(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5808774
(24)【登録日】2015年9月18日
(45)【発行日】2015年11月10日
(54)【発明の名称】車両に搭載される燃料電池システム
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04 20060101AFI20151021BHJP
H01M 8/00 20060101ALI20151021BHJP
B60L 11/18 20060101ALI20151021BHJP
H01M 8/10 20060101ALN20151021BHJP
【FI】
H01M8/04 J
H01M8/00 Z
H01M8/04 X
H01M8/04 Y
B60L11/18 G
!H01M8/10
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-116789(P2013-116789)
(22)【出願日】2013年6月3日
(65)【公開番号】特開2014-235889(P2014-235889A)
(43)【公開日】2014年12月15日
【審査請求日】2014年12月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147500
【弁理士】
【氏名又は名称】田口 雅啓
(74)【代理人】
【識別番号】100166235
【弁理士】
【氏名又は名称】大井 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100179914
【弁理士】
【氏名又は名称】光永 和宏
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 博之
【審査官】
久保田 創
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−109569(JP,A)
【文献】
特開2013−105533(JP,A)
【文献】
特開2010−129293(JP,A)
【文献】
特開2006−294458(JP,A)
【文献】
国際公開第2012/035974(WO,A1)
【文献】
特開2012−227008(JP,A)
【文献】
特開2007−157621(JP,A)
【文献】
特開2008−166164(JP,A)
【文献】
特開2009−026496(JP,A)
【文献】
特開2003−208911(JP,A)
【文献】
特開2002−260696(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0009219(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0141895(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/04 − 8/06
B60L 11/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される燃料電池システムであって、
複数の発電セルを積層して構成される燃料電池スタックと、
前記燃料電池スタックに水素ガスを供給する水素供給手段と、
前記燃料電池スタックに酸素を含む空気を供給する空気供給手段と、
前記燃料電池スタックのセル電圧を検出する電圧検出手段と、
前記電圧検出手段によって検出される前記燃料電池スタックの前記セル電圧に基づいて前記空気供給手段の動作を制御する制御手段と
を備え、
前記制御手段は、前記燃料電池システムの間欠運転の際に、前記電圧検出手段によって検出される前記セル電圧が所定の閾値電圧を下回ると、前記空気供給手段を稼働させて前記燃料電池スタックに第1所定流量で空気を供給し、前記セル電圧が所定の目標電圧に到達した後、連続的に、前記燃料電池スタックに前記第1所定流量よりも多い第2所定流量で空気を一定時間供給し、
前記第1所定流量は、前記空気供給手段が供給可能な最低流量である、車両に搭載される燃料電池システム。
【請求項2】
車両に搭載される燃料電池システムであって、
複数の発電セルを積層して構成される燃料電池スタックと、
前記燃料電池スタックに水素ガスを供給する水素供給手段と、
前記燃料電池スタックに酸素を含む空気を供給する空気供給手段と、
前記燃料電池スタックのセル電圧を検出する電圧検出手段と、
前記電圧検出手段によって検出される前記燃料電池スタックの前記セル電圧に基づいて前記空気供給手段の動作を制御する制御手段と
を備え、
前記制御手段は、前記燃料電池システムの間欠運転の際に、前記電圧検出手段によって検出される前記セル電圧が所定の閾値電圧を下回ると、前記空気供給手段を稼働させて前記燃料電池スタックに第1所定流量で空気を供給し、前記セル電圧が所定の目標電圧に到達した後、連続的に、前記燃料電池スタックに前記第1所定流量よりも多い第2所定流量で空気を一定時間供給し、
前記第2所定流量は、前記燃料電池システムを最低出力状態で運転する際に必要な流量である、車両に搭載される燃料電池システム。
【請求項3】
車両に搭載される燃料電池システムであって、
複数の発電セルを積層して構成される燃料電池スタックと、
前記燃料電池スタックに水素ガスを供給する水素供給手段と、
前記燃料電池スタックに酸素を含む空気を供給する空気供給手段と、
前記燃料電池スタックのセル電圧を検出する電圧検出手段と、
前記電圧検出手段によって検出される前記燃料電池スタックの前記セル電圧に基づいて前記空気供給手段の動作を制御する制御手段と
を備え、
前記制御手段は、前記燃料電池システムの間欠運転の際に、前記電圧検出手段によって検出される前記セル電圧が所定の閾値電圧を下回ると、前記空気供給手段を稼働させて前記燃料電池スタックに第1所定流量で空気を供給し、前記セル電圧が所定の目標電圧に到達した後、連続的に、前記燃料電池スタックに前記第1所定流量よりも多い第2所定流量で空気を一定時間供給し、
前記空気供給手段によって前記第1所定流量で供給される空気量と前記第2所定流量で供給される空気量との総量は、前記燃料電池スタック内の各発電セルのアノードの容積の総和よりも多い、車両に搭載される燃料電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両に搭載される燃料電池システムに係り、特に間欠運転を行う車両に搭載される燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池システムを搭載した車両の実用化が進められている。一般的な燃料電池システムでは、複数の発電セルを積層して構成される燃料電池スタックに水素ガスと空気が供給され、これら水素ガスと空気中の酸素とが各発電セルの内部で化学反応を起こすことによって発電が行われる。
【0003】
従来、燃料電池システムの燃費を向上させるために、車両のアイドリング時や低速走行時等の低負荷運転時に燃料電池スタックへの空気の供給を中止して発電を停止させ、バッテリからの電力供給によって車両の要求電力を賄う「間欠運転」と呼ばれる運転方法が行われている。ただし、燃料電池スタックへの空気の供給を長時間中止していると、各発電セルの電圧(セル電圧)が徐々に低下していき、やがて発電セルの性能劣化を起こすことなく使用可能な最低電圧(最低許容電圧)を下回ってしまう。
【0004】
特許文献1には、間欠運転時におけるセル電圧の過度の低下を防止するために、セル電圧が所定の閾値電圧を下回った際に燃料電池スタックに空気を一時的に供給して発電を行わせ、各セル電圧を一定電圧以上に保つ発明が記載されている(特許文献1の
図6を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−109569号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の発明では、燃料電池スタックへの空気の供給を急激に開始するためにセル電圧も急激に上昇し、発電セルの性能劣化を起こすことなく使用可能な最大許容電圧を超過してしまう可能性がある。また、セル電圧が急激に上昇するのを防止するために空気を穏やかに供給すると、燃料電池スタック内に空気のムラができてしまい、各セル電圧が不均一になってしまうという問題がある。
【0007】
この発明はこのような問題を解決するためになされたものであり、燃料電池システムの間欠運転時に、燃料電池スタックの各セル電圧を均一に保ちながら、各セル電圧が最大許容電圧を超過することを防止することができる、車両に搭載される燃料電池システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、この発明に係る車両に搭載される燃料電池システムは、複数の発電セルを積層して構成される燃料電池スタックと、燃料電池スタックに水素ガスを供給する水素供給手段と、燃料電池スタックに酸素を含む空気を供給する空気供給手段と、燃料電池スタックのセル電圧を検出する電圧検出手段と、電圧検出手段によって検出される燃料電池スタックのセル電圧に基づいて空気供給手段の動作を制御する制御手段とを備え、制御手段は、燃料電池システムの間欠運転の際に、電圧検出手段によって検出されるセル電圧が所定の閾値電圧を下回ると、空気供給手段を稼働させて燃料電池スタックに第1所定流量で空気を供給し、セル電圧が所定の目標電圧に到達し
た後、連続的に、燃料電池スタックに第1所定流量よりも多い第2所定流量で空気を一定時間供給
し、第1所定流量は、空気供給手段が供給可能な最低流量である。
【0009】
また、上記の課題を解決するために、この発明に係る車両に搭載される燃料電池システムは、複数の発電セルを積層して構成される燃料電池スタックと、燃料電池スタックに水素ガスを供給する水素供給手段と、燃料電池スタックに酸素を含む空気を供給する空気供給手段と、燃料電池スタックのセル電圧を検出する電圧検出手段と、電圧検出手段によって検出される燃料電池スタックのセル電圧に基づいて空気供給手段の動作を制御する制御手段とを備え、制御手段は、燃料電池システムの間欠運転の際に、電圧検出手段によって検出されるセル電圧が所定の閾値電圧を下回ると、空気供給手段を稼働させて燃料電池スタックに第1所定流量で空気を供給し、セル電圧が所定の目標電圧に到達した後、連続的に、燃料電池スタックに第1所定流量よりも多い第2所定流量で空気を一定時間供給し、第2所定流量は、燃料電池システムを最低出力状態で運転する際に必要な流量である。
【0010】
また、上記の課題を解決するために、この発明に係る車両に搭載される燃料電池システムは、複数の発電セルを積層して構成される燃料電池スタックと、燃料電池スタックに水素ガスを供給する水素供給手段と、燃料電池スタックに酸素を含む空気を供給する空気供給手段と、燃料電池スタックのセル電圧を検出する電圧検出手段と、電圧検出手段によって検出される燃料電池スタックのセル電圧に基づいて空気供給手段の動作を制御する制御手段とを備え、制御手段は、燃料電池システムの間欠運転の際に、電圧検出手段によって検出されるセル電圧が所定の閾値電圧を下回ると、空気供給手段を稼働させて燃料電池スタックに第1所定流量で空気を供給し、セル電圧が所定の目標電圧に到達した後、連続的に、燃料電池スタックに第1所定流量よりも多い第2所定流量で空気を一定時間供給し、空気供給手段によって第1所定流量で供給される空気量と第2所定流量で供給される空気量との総量は、燃料電池スタック内の各発電セルのアノードの容積の総和よりも多い。
【発明の効果】
【0012】
この発明に係る車両に搭載される燃料電池システムによれば、燃料電池システムの間欠運転時に、燃料電池スタックの各セル電圧を均一に保ちながら、各セル電圧が最大許容電圧を超過することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】この発明の実施の形態に係る車両に搭載される燃料電池システムの構成を示す図である。
【
図2】この発明の実施の形態に係る車両に搭載される燃料電池システムにおける間欠運転時の動作を示すフローチャートである。
【
図3】この発明の実施の形態に係る車両に搭載される燃料電池システムにおける間欠運転時の燃料電池スタックへの空気供給流量とセル電圧との関係を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明の実施の形態について添付図面に基づいて説明する。
実施の形態.
この発明の実施の形態に係る車両に搭載される燃料電池システム100の構成を
図1に示す。なお、以降の説明では、燃料電池システム100は、フォークリフト等の荷役装置を有する産業車両に搭載されるものとして説明する。
【0015】
燃料電池システム100は、燃料電池スタック10と、水素ガスを供給可能な水素タンク20と、酸素を含む空気を供給可能なエアコンプレッサ30とを備えている。燃料電池スタック10は、固体高分子電解質をアノード極(水素極)とカソード極(空気極)とで挟み込んで形成される発電セルが複数積層された構成を有しており、各発電セルのアノード極には水素ガスが供給され、カソード極には空気が供給される。そして、各発電セルの内部における水素ガスと空気中の酸素との化学反応によって電気エネルギーが生成され、燃料電池スタック10の発電が行われる。
【0016】
水素タンク20と燃料電池スタック10との間の水素供給管21の途中には、燃料電池スタック10に供給される水素ガスの流量を調整するためのインジェクタ等から構成される流量調整弁22と、水素還流管23に接続されるエゼクタ24とが設けられており、水素還流管23の途中には電動ポンプ25が設けられている。
【0017】
水素タンク20から水素供給管21を経由して燃料電池スタック10に供給される水素ガスは、燃料電池スタック10内の化学反応によってその一部が消費され、化学反応に寄与することなく水素還流管23に排出された水素ガスは、電動ポンプ25の作用によってエゼクタ24に導かれ、再び燃料電池スタック10に供給される。
【0018】
一方、エアコンプレッサ30から空気供給管31を経由して燃料電池スタック10に供給される空気は、燃料電池スタック10内の化学反応によってその一部が消費され、化学反応に寄与することなく空気排気管32に排出された空気は、図示しない排気経路を経由して外気に放出される。
【0019】
また、燃料電池スタック10の出力には、DC/DCコンバータ40が接続されており、DC/DCコンバータ40の出力には、キャパシタ50と車両負荷60が接続されている。燃料電池スタック10から出力される直流電力は、DC/DCコンバータ40によって所定の電圧まで降圧された後、荷役モータや走行モータ等によって構成される車両負荷60に供給される。その際、燃料電池スタック10の発電電力が車両負荷60の要求電力を上回る場合には、余剰の電力がキャパシタ50に充電され、発電電力が要求電力を下回る場合には、不足分の電力がキャパシタ50から車両負荷60に供給される。
【0020】
さらに、燃料電池スタック10には、燃料電池スタック10のセル電圧Vc(より正確には、燃料電池スタック10を構成する複数の発電セルの各セル電圧の平均値)を検出する電圧センサ70が取り付けられており、電圧センサ70の出力は、電子制御ユニット(ECU)80に入力される。
【0021】
ECU80は、マイクロコンピュータによって構成されており、流量調整弁22の開閉と電動ポンプ25の回転数を制御することによって、燃料電池スタック10に供給される水素ガスの流量を調整すると共に、エアコンプレッサ30の吐出流量を制御することによって、燃料電池スタック10に供給される空気の流量を調整し、これらにより燃料電池スタック10の発電電力を制御する。また、ECU80は、燃料電池システム100の間欠運転の際に、電圧センサ70によって検出される燃料電池スタック10のセル電圧Vcに基づいてエアコンプレッサ30を制御することによって、燃料電池スタック10の各発電セルの性能劣化を防止する。
【0022】
次に、この実施の形態に係る車両に搭載される燃料電池システム100における間欠運転時の動作について説明する。燃料電池システム100の間欠運転時には、エアコンプレッサ30は通常は停止状態であり、燃料電池スタック10への空気の供給は中止されている。一方、流量調整弁22は通常は閉状態であり、水素の圧力が低下すると開状態となり、また電動ポンプ25も低回転で駆動されており、燃料電池スタック10への水素ガスの供給は微量ながら継続されている。このような状況において、ECU80は、
図2の制御フローに示される処理を所定の時間間隔で実行する。
【0023】
図2の制御フローを参照すると、ECU80は、まずステップS1において、電圧センサ70によって検出される燃料電池スタック10のセル電圧Vcが所定の閾値電圧V’を下回っているか否かを判定する。ここで、所定の閾値電圧V’は、燃料電池スタック10を構成する各発電セルの性能劣化を起こすことなく使用可能な最低電圧(最低許容電圧:Vmin)よりも僅かに高く設定された電圧である。
【0024】
上記ステップS1において、セル電圧Vcが閾値電圧V’を下回っていると判定された場合、ECU80は、ステップS2において、エアコンプレッサ30を仕様上許される最低吐出流量で駆動させる。これにより、
図3(a)のタイミングチャートの時刻T1に示されるように、燃料電池スタック10に第1所定流量(最低吐出流量)の空気が供給される。
【0025】
続いて、ECU80は、ステップS3において、燃料電池スタック10のセル電圧Vcが各発電セルの性能劣化を起こすことなく使用可能な最大電圧(最大許容電圧:Vmax)よりも僅かに低く設定された目標電圧V”に到達して安定状態になるまでの間、エアコンプレッサ30の駆動を継続させる(
図3(a)の時刻T1〜T2)。この間、水素タンク20から供給される水素とエアコンプレッサ30から供給される空気中の酸素との化学反応によって燃料電池スタック10内で発電が行われ、
図3(b)に示されるように、セル電圧Vcが徐々に上昇していく。ただし、上述のように空気はエアコンプレッサ30の最低吐出流量で穏やかに供給されるため、セル電圧Vcが急激に上昇して最大許容電圧Vmaxを超過してしまうことはない。
【0026】
上記ステップS3において、セル電圧Vcが目標電圧V”に到達して安定状態になったと判定されると、ECU80は、ステップS4において、エアコンプレッサ30の吐出流量を調整することによって、燃料電池スタック10に供給される空気の流量を上記第1所定流量よりも多い第2所定流量まで増加させ、この第2所定流量で空気を一定時間供給する(
図3(b)の時刻T2〜T3)。ここで、第2所定流量は、燃料電池システム100を最低出力状態で運転する際に必要な空気流量に設定されており、これは燃料電池スタック10内に溜まっている水を吹き飛ばして各セル電圧の不均一を解消するのに十分な流量である。これにより、燃料電池スタック10内に溜まっている水が吹き飛ばされて空気のムラが解消され、各セル電圧の不均一が解消される。
【0027】
また、この実施の形態においては、上記ステップS2〜S3において第1所定流量で供給される空気量と、上記ステップS4において第2所定流量で供給される空気量との総量は、燃料電池スタック10内の各発電セルのアノードの容積の総和よりも多くなるように設定されている。これにより、時刻T1〜T3の間に燃料電池スタック10内の空気は完全に入れ替えられる。
【0028】
最後に、ECU80は、ステップS5において、エアコンプレッサ30の駆動を停止させる。これにより、
図3(a)の時刻T3に示されるように、燃料電池スタック10への空気の供給が中止される。その結果、燃料電池スタック10内での発電が停止され、
図3(b)に示されるようにセル電圧Vcは徐々に下降していく。
【0029】
以上説明したように、この実施の形態に係る車両に搭載される燃料電池システム100では、燃料電池システム100の間欠運転の際に、燃料電池スタック10のセル電圧Vcが所定の閾値電圧V’を下回ると、エアコンプレッサ30を稼働させて燃料電池スタック10に第1所定流量で空気を供給し、セル電圧Vcが所定の目標電圧V”に到達して安定状態になると、燃料電池スタック10に第1所定流量よりも多い第2所定流量で空気を一定時間供給する。これにより、燃料電池システム100の間欠運転時に、燃料電池スタック10の各セル電圧を均一に保ちながら、各セル電圧が最大許容電圧Vmaxを超過することが防止される。
【0030】
その他の実施の形態.
上記実施の形態では、燃料電池スタック10を構成する複数の発電セルの各セル電圧の平均値としてセル電圧Vcを定義したが、例えば
図2のフローチャートにおいて、ステップS2では各セル電圧の最低値としてセル電圧Vcを定義し、またステップS3では各セル電圧の最大値としてセル電圧Vcを定義してもよい。
また、上記実施の形態では、空気の供給流量を第1所定流量と第2所定流量の2段階で制御したが、3段階以上で制御してもよい。
【符号の説明】
【0031】
100 燃料電池システム、10 燃料電池スタック、20 水素タンク(水素供給手段)、30 エアコンプレッサ(空気供給手段)、70 電圧センサ(電圧検出手段)、80 ECU(制御手段)。