【実施例】
【0038】
以下実施例によって本発明をさらに詳述するが、下記実施例は本発明を制限するものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施をすることは全て本発明の技術的範囲に包含される。なお、特に断らない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」をそれぞれ意味する。
【0039】
[特性評価方法]
<不織布の目付>
JIS L 1906 5.2(2000)記載の方法に準拠し、20cm×20cmのサイズで測定した。
【0040】
<高周波ウェルダー溶着部の引張(破断)強度>
高周波ウェルダー加工機(新型ハイブリッド高周波ウェルダーYO−5AN;山本ビニター株式会社製)で、0.25A、金型温度150℃、溶着時間3秒、冷却時間3秒で、樹脂コート不織布の一方の面と他方の面とを線状に溶着接合して試料を作製する。溶着部に垂直な方向の長さが200mm程度、溶着部と同一方向の長さ(この長さが試験片の幅となる)が30mmとなり、かつ、溶着部が試験片の中央近傍に来るように、試料から試験片を切り出す。引張試験機(島津製作所株式会社製「オートグラフ(登録商標)」)の上下のチャックに、チャック間距離が100mmとなるように試験片を挟み、引張速度200mm/分で引張って、溶着部が破断したときの強度を試験片幅方向長さで割って、引張強度(N/cm)とした。
【0041】
<ブロッキング性>
幅60mm、長さ90mmの2枚の樹脂コート不織布試験片を向かい合わせて、縦および横がそれぞれ60mmの平滑な2枚のガラス板で、向かい合わせた試験片の幅の1辺と合わせて挟む。底面の縦および横がそれぞれ60mmで、質量3kgの重りを載せ、70℃±2℃の空気恒温器中に24時間放置した後取り出し、重りを取り除いて室温で1時間放冷して、2枚の樹脂コート不織布試験片を静かにはがし、不織布表面に損傷等の異常が生じたかどうかを目視で調べた。評価は、不織布表面に明らかに損傷が見られた場合を×、不織布表面に若干損傷が見られた場合を△、不織布表面に何ら損傷が見られなかった場合を○として行った。
【0042】
<柔軟性>
JIS L 1913 6.7.2に記載のカンチレバー式で測定した。
【0043】
<凸比率>
下記実施例および比較例で得られた樹脂コート不織布の任意の位置の凹部と、これに隣り合う凹部との距離が最も小さくなる断面を選択し、剃刀(フェザー安全剃刀株式会社製、フェザー(登録商標)剃刀S片刃)を使用して樹脂コート不織布の平面に垂直な断面を露出させ、株式会社日立製作所製S−800型電界放射形走査電子顕微鏡により断面を撮影する(断面写真の調製)。得られた断面写真において、上記任意の位置の凹部と、凸部を挟んで隣り合う凹部との中心間距離Aを測定する(凹部中心間距離A)。次いで、樹脂コート不織布の凸部表面からの厚みが10%に当たる位置において、樹脂コート不織布に平行な直線を引き、当該直線が上記凸部により切り取られる線分の長さBを測定する(凸部長さB)。そして、得られたA、Bの値を用いて下記式(1)より凸比率を算出する。
100×B/A (1)
【0044】
実施例1
固有粘度0.65dl/gのポリエチレンテレフタレート(PET)を用い、紡糸温度285℃、単孔吐出量1.0g/分で溶融紡糸し、エジェクターで引き取りつつ開繊して、ネットコンベア上に繊維配列がランダムになるように速度調整して堆積させた。単糸繊度2.0dtexの長繊維からなる目付100g/m
2のスパンボンド不織布を得た。次いで圧着面積率9%の角錐台形状の凸部が千鳥配列されたエンボスロールで、230℃、線圧20kN/mでエンボス加工を行い、熱圧着タイプの長繊維不織布を得た。
【0045】
エチレン、酢酸ビニルおよび塩化ビニルの共重合体エマルジョン(エチレン/酢酸ビニル/塩化ビニル=15/60/25;住友化学株式会社製「スミカフレックス(登録商標)801HQ」)が固形分で67%、アクリル酸エステル共重合体エマルジョン(新中村化学工業株式会社製「ニューコート9500」)が固形分で15%、塩化ビニルとアクリルの共重合体エマルジョン(塩ビ/アクリル=80/20;日信化学工業株式会社製「ビニブラン(登録商標)278」)が固形分で18%となるように、各成分をよく混合し、樹脂組成物1を得た。
【0046】
上記の熱圧着タイプの長繊維不織布の表面に、乾燥後の樹脂付着量が70g/m
2になるようナイフコーターで上記樹脂組成物1をコートして、乾燥させた後、台形格子型のエンボスロールで、153℃、線圧70kN/mでエンボス加工を行い、樹脂コート不織布を得た。
【0047】
ウェルダー溶着部の引張(破断)強度、ブロッキング性、柔軟性を上記方法で評価し、表1に示した。
【0048】
実施例2
実施例1と同様にして、熱圧着タイプの長繊維不織布を得た。
【0049】
エチレンと酢酸ビニルの共重合体エマルジョン(エチレン/酢酸ビニル=10/90;住友化学株式会社製「スミカフレックス(登録商標)355HQ」)が固形分で85%、アクリル酸エステル共重合体エマルジョン(前記「ニューコート9500」)が固形分で7%、塩化ビニルとアクリルの共重合体エマルジョン(前記「ビニブラン278」)が固形分で8%となるように、各成分をよく混合し、樹脂組成物2を得た。
【0050】
上記の熱圧着タイプの長繊維不織布の表面に、乾燥後の樹脂付着量が70g/m
2になるようナイフコーターで上記樹脂組成物2をコートして、乾燥させた後、台形格子型のエンボスロールで153℃、線圧70kN/mでエンボス加工を行い、樹脂コート不織布を得た。
【0051】
ウェルダー溶着部の引張(破断)強度、ブロッキング性、柔軟性を上記方法で評価し、表1に示した。
【0052】
実施例3
実施例1と同様にして、熱圧着タイプの長繊維不織布を得た。
【0053】
エチレンと酢酸ビニルの共重合体エマルジョン(前記「スミカフレックス355HQ」)が固形分で25%、アクリル酸エステル共重合体エマルジョン(前記「ニューコート9500」)が固形分で55%、塩化ビニルとエチレンの共重合エマルジョン(塩化ビニル/エチレン=70/30;住友化学株式会社製「スミエリート(登録商標)1010」)が固形分で20%となるように、各成分をよく混合し、樹脂組成物3を得た。
【0054】
上記の熱圧着タイプの長繊維不織布の表面に、乾燥後の樹脂付着量が70g/m
2になるようナイフコーターで上記樹脂組成物3をコートして、乾燥させた後、台形格子型のエンボスロールで153℃、線圧70kN/mでエンボス加工を行い、樹脂コート不織布を得た。
【0055】
ウェルダー溶着部の引張(破断)強度、ブロッキング性、柔軟性を上記方法で評価し、表1に示した。
【0056】
実施例4
実施例1と同様にして、熱圧着タイプの長繊維不織布を得た。
【0057】
エチレンと酢酸ビニルの共重合体エマルジョン(前記「スミカフレックス355HQ」)が固形分で45%、アクリル酸エステル共重合体エマルジョン(前記「ニューコート9500」)が固形分で55%となるように、各成分をよく混合し、樹脂組成物4を得た。
【0058】
上記の熱圧着タイプの長繊維不織布の表面に、乾燥後の樹脂付着量が70g/m
2になるようナイフコーターで上記樹脂組成物4をコートして、乾燥させた後、台形格子型のエンボスロールで、153℃、線圧70kN/mでエンボス加工を行い、樹脂コート不織布を得た。
【0059】
ウェルダー溶着部の引張(破断)強度、ブロッキング性、柔軟性を上記方法で評価し、表1に示した。
【0060】
実施例5
実施例1と同様にして、熱圧着タイプの長繊維不織布を得た。
【0061】
エチレンと酢酸ビニルの共重合体エマルジョン(前記「スミカフレックス355HQ」)が固形分で40%、塩化ビニルとエチレンの共重合体エマルジョン(前記「スミエリート1010」)が固形分で60%となるように、各成分をよく混合し、樹脂組成物5を得た。
【0062】
上記の熱圧着タイプの長繊維不織布の表面に、乾燥後の樹脂付着量が70g/m
2になるようナイフコーターで上記樹脂組成物5をコートして、乾燥させた後、台形格子型のエンボスロールで、153℃、線圧70kN/mでエンボス加工を行い、樹脂コート不織布を得た。
【0063】
ウェルダー溶着部の引張(破断)強度、ブロッキング性、柔軟性を上記方法で評価し、表1に示した。
【0064】
比較例1
実施例1と同様にして、熱圧着タイプの長繊維不織布を得た。
【0065】
アクリル酸エステル共重合体エマルジョン(前記「ニューコート9500」)のみを用いて(樹脂組成物6)、上記の熱圧着タイプの長繊維不織布の表面に、乾燥後の樹脂付着量が70g/m
2になるようナイフコーターで上記樹脂組成物6をコートして、乾燥させた後、台形格子型のエンボスロールで、153℃、線圧70kN/mでエンボス加工を行い、樹脂コート不織布を得た。
【0066】
ウェルダー溶着部の引張(破断)強度、ブロッキング性、柔軟性を上記方法で評価し、表1に示した。
【0067】
比較例2
実施例1と同様にして、熱圧着タイプの長繊維不織布を得た。
【0068】
エチレンと酢酸ビニル共重合体エマルジョン(前記「スミカフレックス355HQ」のみを用いて(樹脂組成物7)、上記のニードルパンチ長繊維不織布の表面に、乾燥後の樹脂付着量が70g/m
2になるようナイフコーターで上記エマルジョンをコートして、乾燥させた後、台形格子型のエンボスロールで、153℃、線圧70kN/mでエンボス加工を行い、樹脂コート不織布を得た。
【0069】
ウェルダー溶着部の引張(破断)強度、ブロッキング性、柔軟性を上記方法で評価し、表1に示した。
【0070】
比較例3
実施例1と同様にして、熱圧着タイプの長繊維不織布を得た。
【0071】
エチレン、酢酸ビニルおよび塩化ビニルの共重合体エマルジョン(前記「スミカフレックス801HQ」が固形分で17%、塩化ビニルとエチレンの共重合体エマルジョン(前記「スミエリート1010」)が固形分で25%、アクリル酸エステル共重合体エマルジョン(前記「ニューコート9500」)が固形分で40%、塩化ビニルとアクリルの共重合体エマルジョン(前記「ビニブラン」)が固形分で18%となるように、各成分をよく混合し、樹脂組成物8を得た。
【0072】
上記の熱圧着タイプの長繊維不織布の表面に、乾燥後の樹脂付着量が70g/m
2になるようナイフコーターで上記樹脂組成物8をコートして、乾燥させた後、台形格子型のエンボスロールで、153℃、線圧70kN/mでエンボス加工を行い、樹脂コート不織布を得た。
【0073】
ウェルダー溶着部の引張(破断)強度、ブロッキング性、柔軟性を上記方法で評価し、表1に示した。
【0074】
比較例4
実施例1と同様にして、熱圧着タイプの長繊維不織布を得た。
【0075】
エチレン、酢酸ビニルおよび塩化ビニルの共重合体エマルジョン(前記「スミカフレックス801HQ」)が固形分で67%、アクリル酸エステル共重合体エマルジョン(前記「ニューコート9500」)が固形分で15%、塩化ビニルとアクリルの共重合体エマルジョン(前記「ビニブラン278」)が固形分で18%となるように、各成分をよく混合し、樹脂組成物9を得た。
【0076】
上記の熱圧着タイプの長繊維不織布の表面に、乾燥後の樹脂付着量が30g/m
2になるようナイフコーターで上記樹脂組成物9をコートして、乾燥させた後、台形格子型のエンボスロールで、153℃、線圧70kN/mでエンボス加工を行い、樹脂コート不織布を得た。
【0077】
ウェルダー溶着部の引張(破断)強度、ブロッキング性、柔軟性を上記方法で評価し、表1に示した。
【0078】
比較例5
実施例1と同様にして、熱圧着タイプの長繊維不織布を得た。
【0079】
エチレン、酢酸ビニルおよび塩化ビニルの共重合体エマルジョン(前記「スミカフレックス801HQ」)が固形分で67%、アクリル酸エステル共重合体エマルジョン(前記「ニューコート9500」)が固形分で15%、塩化ビニルとアクリルの共重合体エマルジョン(前記「ビニブラン278」)が固形分で18%となるように、各成分をよく混合し、樹脂組成物10を得た。
【0080】
上記の熱圧着タイプの長繊維不織布の表面に、乾燥後の樹脂付着量が160g/m
2になるようナイフコーターで上記樹脂組成物10をコートし、乾燥させた後、台形格子型のエンボスロールで、153℃、線圧70kN/mでエンボス加工を行い、樹脂コート不織布を得た。
【0081】
ウェルダー溶着部の引張(破断)強度、ブロッキング性、柔軟性を上記方法で評価し、表1に示した。
【0082】
【表1】