特許第5808998号(P5808998)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5808998
(24)【登録日】2015年9月18日
(45)【発行日】2015年11月10日
(54)【発明の名称】吐出栓
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/18 20060101AFI20151021BHJP
   B05B 11/04 20060101ALI20151021BHJP
   B65D 51/18 20060101ALI20151021BHJP
   B65D 83/00 20060101ALI20151021BHJP
   A61J 1/05 20060101ALI20151021BHJP
【FI】
   B65D47/18
   B05B11/04 B
   B65D51/18 B
   B65D83/00 G
   A61J1/00 313H
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2011-215212(P2011-215212)
(22)【出願日】2011年9月29日
(65)【公開番号】特開2013-49484(P2013-49484A)
(43)【公開日】2013年3月14日
【審査請求日】2014年3月28日
(31)【優先権主張番号】特願2011-166178(P2011-166178)
(32)【優先日】2011年7月29日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100113169
【弁理士】
【氏名又は名称】今岡 憲
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】水嶋 博
(72)【発明者】
【氏名】藤原 宏太郎
【審査官】 種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−240624(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/134590(WO,A1)
【文献】 特開2005−230299(JP,A)
【文献】 実開昭62−095556(JP,U)
【文献】 特開2002−263166(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/18
A61J 1/05
B05B 11/04
B65D 51/18
B65D 83/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧搾可能な胴部(40)を備える容器体(B)の口頸部(41)内周に外周下部を液密に嵌合させて装着するとともに、下端を開口した有頂筒状をなし、頂部に吐出口(18)を開口したノズル基体(A1)と、ノズル基体(A1)内に嵌着固定した柔軟で弾力性に富む材質で構成され、容器体(B)内から吐出口(18)に至る通液路(p1)を画成するとともに、ノズル基体(A1)の周壁(10)に穿設した外気導入孔(17)から容器体(B)内へ至る通気路(p2)を画成した弁部材(A2)とを備え、通液路(p1)途中に容器体(B)内から吐出口(18)へ一方的に連通する吐出弁(v1)を、通気路(p2)途中に外部から容器体(B)内へ一方的に連通する吸気弁(v2)を、それぞれ設けた吐出栓において、
弁部材(A2)は、ノズル基体(A1)内周に下端開口の有頂筒状をなす筒部(30)より突設した固定区画壁(33)の周縁を嵌着固定してノズル基体(A1)に固定し、筒部(30)下端部より突設した吸気弁体(31)とノズル基体(A1)下面の吸気弁座(36)とで吸気弁(v2)を、筒部(30)上端部より突設した吐出弁体(32)とノズル基体(A1)の周壁(10)内面に形成した吐出弁座(13)とで吐出弁(v1)を、それぞれ形成し、固定区画壁(33)と吐出弁体(32)との間の筒部(30)に穿設した通液路(p1)を構成する透孔(34)を介して筒部(30)内外を連通し、固定区画壁(33)下方に通気路(p2)を構成する外気導入孔(17)を穿設した吐出栓。
【請求項2】
固定区画壁(33)と吸気弁体(31)との間の筒部(30)外周に、間隔をあけてフランジ状リブ(35)を突設し、各フランジ状リブ(35)の外周縁を、ノズル基体(A1)の周壁(10)内周に嵌着し、ノズル基体(A1)の周壁(10)内面に通気路(p2)を構成する凹部(15)を凹設した請求項に記載の吐出栓。
【請求項3】
ノズル基体(A1)と弁部材(A2)との間に、弁部材(A2)をノズル基体(A1)内の所定位置に嵌着係止させる係止手段を設けた請求項1又は請求項2に記載の吐出栓。
【請求項4】
係止手段が、ノズル基体(A1)の頂部下面に、弁部材(A2)の上面に下面を当接係止する係止柱(21)を垂設した請求項に記載の吐出栓。
【請求項5】
係止手段が、ノズル基体(A1)の周壁(10)内周下端部を大径部(22)に形成することで、その上端に形成された係止段部(23)と、弁部材(A2)の筒部(30)外周下部に突設するとともに、係止段部(23)下面に当接係止し、且つ、通気路(p2)を構成する通気孔(38)を備えたフランジ状の係止板部(37)とで構成した請求項又は請求項に記載の吐出栓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は吐出栓に関し、詳しくは、薬剤(目薬)容器等に好適な吐出栓に関する。
【背景技術】
【0002】
目薬容器等には、容器体内に収容された液を分取する吐出栓が装着されている。(例えば、特許文献1を参照)
【0003】
特許文献1に記載されている目薬容器に装着されている吐出栓は、容器体口頸部内周に下端を密嵌させるとともに、先端に吐出孔を備えた筒状をなしている。
【0004】
上記特許文献1に記載された様な従来の吐出栓の場合、例えば、先端注出口に雑菌等が付着した場合に容器体内へ逆流する虞があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−155928号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は先端にたとえ雑菌等が付着した場合でも容器体内への逆流の虞がなく、また、構成部材の構造が単純であるとともに組み付けが容易であり、組み付け後のしっかりとした構造維持が可能な吐出栓を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の手段として、以下の通り構成した。即ち、 圧搾可能な胴部40を備える容器体Bの口頸部41内周に外周下部を液密に嵌合させて装着するとともに、下端を開口した有頂筒状をなし、頂部に吐出口18を開口したノズル基体A1と、ノズル基体A1内に嵌着固定した柔軟で弾力性に富む材質で構成され、容器体B内から吐出口18に至る通液路p1を画成するとともに、ノズル基体A1の周壁10に穿設した外気導入孔17から容器体B内へ至る通気路p2を画成した弁部材A2とを備え、通液路p1途中に容器体B内から吐出口18へ一方的に連通する吐出弁v1を、通気路p2途中に外部から容器体B内へ一方的に連通する吸気弁v2を、それぞれ設けた吐出栓において、
弁部材A2は、ノズル基体A1内周に下端開口の有頂筒状をなす筒部30より突設した固定区画壁33の周縁を嵌着固定してノズル基体A1に固定し、筒部30下端部より突設した吸気弁体31とノズル基体A1下面の吸気弁座36とで吸気弁v2を、筒部30上端部より突設した吐出弁体32とノズル基体A1の周壁10内面に形成した吐出弁座13とで吐出弁v1を、それぞれ形成し、固定区画壁33と吐出弁体32との間の筒部30に穿設した通液路p1を構成する透孔34を介して筒部30内外を連通し、固定区画壁33下方に通気路p2を構成する外気導入孔17を穿設している。
【0009】
の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第の手段に於いて、固定区画壁33と吸気弁体31との間の筒部30外周に、間隔をあけてフランジ状リブ35を突設し、各フランジ状リブ35の外周縁を、ノズル基体A1の周壁10内周に嵌着し、ノズル基体A1の周壁10内面に通気路p2を構成する凹部15を凹設した。
【0010】
の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段又は第2の手段に於いて、ノズル基体A1と弁部材A2との間に、弁部材A2をノズル基体A1内の所定位置に嵌着係止させる係止手段を設けた。
【0011】
の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第の手段に於いて、係止手段が、ノズル基体A1の頂部下面に、弁部材A2の上面に下面を当接係止する係止柱21を垂設した。
【0012】
の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第の手段又は第の手段に於いて、係止手段が、ノズル基体A1の周壁10内周下端部を大径部22に形成することで、その上端に形成された係止段部23と、弁部材A2の筒部30外周下部に突設するとともに、係止段部23下面に当接係止し、且つ、通気路p2を構成する通気孔38を備えたフランジ状の係止板部37とで構成した。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、容器体B内から吐出口18に至る通液路p1を備え、また、ノズル基体A1の周壁10に穿設した外気導入孔17から容器体B内へ至る通気路p2を備え、また、通液路p1途中に容器体B内から吐出口18へ一方的に連通する吐出弁v1を、通気路p2途中に外部から容器体B内へ一方的に連通する吸気弁v2を、それぞれ弁部材A2と一体に形成しているため、たとえ、雑菌等が吐出栓の先端に付着することがあったとしても、それらが容器体内に吸引される虞はなく、特に収容液が目薬等の目薬容器の場合には雑菌の存在は好ましくないため好適である。また、ノズル基体A1に弁部材A2を嵌着するという簡単な組み付け操作が可能であり、構造も簡単であり、安価に製造できる利点を兼ね備える。
【0014】
弁部材A2は、ノズル基体A1内周に下端開口の有頂筒状をなす筒部30より突設した固定区画壁33の周縁を嵌着固定してノズル基体A1に固定し、筒部30下端部より突設した吸気弁体31とノズル基体A1下面の吸気弁座36とで吸気弁v2を、筒部30上端部より突設した吐出弁体32とノズル基体A1の周壁10内面に形成した吐出弁座13とで吐出弁v1を、それぞれ形成し、固定区画壁33と吐出弁体32との間の筒部30に穿設した通液路p1を構成する透孔34を介して筒部30内外を連通し、固定区画壁33下方に通気路p2を構成する外気導入孔17を穿設した場合には、構造が極めて簡単であり製造が容易で、また、組み付け操作も容易である。
【0015】
固定区画壁33と吸気弁体31との間の筒部30外周に、間隔をあけてフランジ状リブ35を突設し、各フランジ状リブ35の外周縁を、ノズル基体A1の周壁10内周に嵌着し、ノズル基体A1の周壁10内面に通気路p2を構成する凹部15を凹設した場合には、ノズル基体A1に対して弁部材A2を安定した状態で嵌着固定させておくことができ、しかも、ノズル基体A1に対する弁部材A2の組み付けも容易に行える利点もある。
【0016】
ノズル基体A1と弁部材A2との間に、弁部材A2をノズル基体A1内の所定位置に嵌着係止させる係止手段を設けた場合には、ノズル基体A1に対し弁部材A2を適正位置に容易に且つ正確に組み付けることができる利点がある。
【0017】
ノズル基体A1の頂部下面に、弁部材A2の上面に下面を当接係止する係止柱21を垂設した場合には、ノズル基体A1に対し弁部材A2を所定位置に容易に組み付けることができる利点があり、特に、筒部30の上面を所定位置に係止でき、筒部30上端部より突設した吐出弁体31を吐出弁座13の圧接位置に適切に係止できる利点がある。
【0018】
係止手段が、ノズル基体A1の周壁10内周下端部を大径部22に形成することで、その上端に形成された係止段部23と、弁部材A2の筒部30外周下部に突設するとともに、係止段部23下面に当接係止し、且つ、通気路p2を構成する通気孔38を備えたフランジ状の係止板部37とで構成した場合には、係止段部23とフランジ状の係止板部37の存在で、広範囲な当接面積で安定的に弁部材A2をノズル基体A1の所定位置に嵌着係止でき、柔軟で弾力性に富む材質で形成される弁部材A2が、例えば下方からの圧縮でやや収縮した状態でノズル基体A1内に嵌着固定される等の不都合を確実に防止できる。従って、吐出弁体32の吐出弁座13への良好な圧接も、吸気弁体31の吸気弁座36への良好な圧接も可能となる。また、係止柱21で構成される上方の係止手段を併せて設けることで、更に確実な弁部材A2の適正位置への嵌着固定が可能となり、各部の良好な機能維持が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】吐出栓を装着した目薬容器の一部切欠正面図である。(第1実施例)
図2】吐出栓を装着した目薬容器の平面図である。(第1実施例)
図3】吐出栓を装着した目薬容器の一部切欠側面図である。(第1実施例)
図4】吐出栓を装着した目薬容器の要部拡大断面図である。(第1実施例)
図5】吐出栓を装着した目薬容器の要部拡大断面図である。(第2実施例)
図6】栓部材の係止板部部分の要部拡大横断面図である。(第2実施例)
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の形態を図面を参照して説明する。
【0021】
図1は吐出栓Aの第1実施例を示し、吐出栓Aは、容器体Bに嵌着し、また、キャップCを備え、全体として目薬容器として構成している。
【0022】
容器体Bは圧搾可能な胴部40より口頸部41を起立して構成している。
【0023】
吐出栓Aは、ノズル基体A1と、弁部材A2とで構成している。
【0024】
ノズル基体A1は合成樹脂等により形成され、周壁10の上端縁より頂壁11を延設した下端開口の有頂筒状をなし、周壁10外周下部を容器体Bの口頸部41内周に気密・液密に嵌合させて装着している。周壁10の内周下端部は環状に凹ませた環状凹陥部を設けている。図示例では周壁10外周所定位置に突設したフランジ12を容器体口頸部41上面に当接係止させて、その下方の周壁10を容器体口頸部41内周に嵌合している。また、周壁10の上部内周には環状の突条形態の吐出弁座13を突設し、また、吐出弁座13下方内周の所定位置には係止用の突条14を突周設している。更に、係止用の突条14下方の周壁10内周下部には通気路p2を構成する縦長の凹部15を形成している。また、凹部15内上端部位置の周壁10には外気導入孔17を穿設している。また、頂壁11には吐出口18を開口している。吐出口18は頂壁11中央部に上端を開口した吐出筒19内に開口しており、吐出筒19内下部に周方向複数突設した支持リブ20を介して係止柱21を支持している。
【0025】
弁部材A2は、エラストマー等の柔軟で弾力性に富む材質により形成されたもので、下端開口の有頂筒状をなす筒部30を備え、筒部30の外周下端より外方へフランジ状の吸気弁体31を一体に突設しており、筒部30の外周上端より外方へフランジ状の吐出弁体32を一体に突設している。また、筒部30の外周上部からは外周縁をノズル基体A1の周壁10内周に嵌着固定する固定区画壁33を突設している。固定区画壁33と吐出弁体32との間の筒部30には透孔34を穿設し、筒部30内と、固定区画壁33と吐出弁体32との間の外部とを連通している。また、固定区画壁33下方の筒部30外周からはフランジ状リブ35を間隔をあけて複数突設している。
【0026】
そして、ノズル基体A1の下端開口から弁部材A2を挿入嵌合して吐出栓Aを形成している。吐出栓Aは、弁部材A2の上面が係止柱21下面に当接した状態で固定区画壁33が係止用の突条14の上面に乗り越え係合し、また、吐出弁体32が吐出弁座13の上面に圧接して吐出弁v1を構成する。また、吸気弁体31がノズル基体A1の周壁10下面が構成する吸気弁座36に圧接して吸気弁v2を構成している。更に、各フランジ状リブ35の外周縁はそれぞれノズル基体A1の周壁10内面に圧接して筒部30の安定した嵌合を補助している。また、筒部30の下端開口から筒部30内を通り、筒部30上端の透孔34、吐出弁v1を介して吐出口18に至る通液路p1を画成しており、更に、外気導入孔17から凹部15内を通り、吸気弁v2を介して容器体B内に至る吸気路p2を画成している。
【0027】
本発明では、ノズル基体A1のと弁部材A2との間に、弁部材A2をノズル基体A1内の所定位置に嵌着係止させる係止手段を設けており、本例では、弁部材A2の上面を係止柱21下面に当接することで、係止手段を構成している。
【0028】
キャップCは、口頸部41外周に、周壁50下部の大径部50aを螺着し、大径部50aの上端よりフランジ50bを介して周壁50の小径部50を起立し、小径部50の上端縁より頂壁51を延設している。また、頂壁51の裏面中央部より吐出筒19内に着脱可能に嵌着する棒栓52を垂設している。
【0029】
上記の如く構成した目薬容器を使用する場合には、例えば、図1の状態からキャップCを螺脱した後、容器体を傾けて胴部40を圧搾すれば、容器体B内の液が筒部30内から透孔34を介して吐出弁v1を液圧で押し開けて吐出口18より吐出される。胴部40の圧搾を解除すると、吐出弁v1が閉じ、容器体胴部40の弾性復元力により胴部40内が負圧化することで吸気弁v2が開き、外気導入孔17から通気路p2を通った外気が容器体B内に導入される。
【0030】
図5は吐出栓Aの第2実施例を示し、吐出栓Aは、第1実施例と同様の容器体Bに嵌着し、全体として目薬容器として構成している。また、図示しないが、図1の第1実施例と同様のキャップを装着する様に構成している。また、吐出栓Aは、第1実施例と同様にノズル基体A1と、弁部材A2とで構成している。
【0031】
ノズル基体A1は合成樹脂等により形成され、周壁10の上端縁より頂壁11を延設した下端開口の有頂筒状をなし、周壁10外周下部を容器体Bの口頸部41内周に気密・液密に嵌合させて装着している。図示例では周壁10外周所定位置に突設したフランジ12を容器体口頸部41上面に当接係止させて、その下方の周壁10を容器体口頸部41内周に嵌合している。
【0032】
周壁10の内周下端部には環状に凹ませた大径部22を設け、大径部22の上端に弁部材A2のフランジ状の係止板部37を係止する環状の係止段部23を形成している。また、周壁10の上部内周には環状の突条形態の吐出弁座13を突設し、また、吐出弁座13下方内周の所定位置には係止用の突条14を突周設している。更に、係止用の突条14下方の周壁10内周下部には、下端が係止段部23に至る、通気路p2を構成する縦長の凹部15を形成している。また、凹部15内上端部位置の周壁10には外気導入孔17を穿設している。また、頂壁11には吐出口18を開口している。吐出口18は頂壁11中央部に上端を開口した吐出筒19内に開口しており、吐出筒19内下部に周方向複数突設した支持リブ20を介して上記係止手段を構成する係止柱21を支持している。
【0033】
弁部材A2は、エラストマー等の柔軟で弾力性に富む材質により形成されたもので、下端開口の有頂筒状をなす筒部30を備え、筒部30下面の開口周縁より下方外方へ、ラッパ口状に下方外方へ広がる吸気弁体31を一体に突設しており、筒部30の頂面よりラッパ口状に上方外方へ広がる吐出弁体32を一体に突設している。また、筒部30の外周上部からは外周縁をノズル基体A1の周壁10内周に嵌着固定する固定区画壁33を突設している。固定区画壁33と吐出弁体32との間の筒部30には透孔34を穿設し、筒部30内と、固定区画壁33と吐出弁体32との間の外部とを連通している。また、固定区画壁33下方の筒部30外周からは、フランジ状リブ35を間隔をあけて複数突設している。
【0034】
更に、筒部30の外周下端部からは、弁部材A2をノズル基体A1内の所定位置に嵌着係止させる係止手段を構成するフランジ状の係止板部37を突設している。この係止板部37は、係止段部23下面に当接係止して、弁部材A2をノズル基体A1内の所定位置に嵌着係止させる。また、係止板部37には通気路p2を構成する通気孔38を備えている。本例では、図6に示す如く、周方向複数の切欠き状をなす通気孔38を設けている。尚、本例では係止柱21で構成される上方の係止手段と、係止段部23及び係止板部37で構成される下方の係止手段の二つの係止手段を同時に設けているが、係止手段は上方の係止手段のみ或いは下方の係止手段のみであっても弁部材A2を適正位置に嵌着固定することができるが、上方の係止手段と下方の係止手段を併用することで柔軟で弾力性に富む材質の弁部材A2をより適正位置に容易に嵌着固定することが可能となる。
【0035】
そして、ノズル基体A1の下端開口から弁部材A2を挿入嵌合して吐出栓Aを形成している。吐出栓Aは、弁部材A2の上面が係止柱21下面に当接した状態で固定区画壁33が係止用の突条14の上面に乗り越え係合し、また、吐出弁体32の周縁部下面が吐出弁座13の上面に圧接して吐出弁v1を構成する。また、吸気弁体31の周縁部上面がノズル基体A1の周壁10下面が構成する吸気弁座36に圧接して吸気弁v2を構成している。更に、各フランジ状リブ35の外周縁はそれぞれノズル基体A1の周壁10内面に圧接して筒部30の安定した嵌合を補助している。また、係止板部37が係止段部23の下面に係止されている。また、筒部30の下端開口から筒部30内を通り、筒部30上端の透孔34、吐出弁v1を介して吐出口18に至る通液路p1を画成しており、更に、外気導入孔17から凹部15内、通気孔38を通り、吸気弁v2を介して容器体B内に至る吸気路p2を画成している。
【0036】
上記の如く構成した目薬容器を使用する場合には、例えば、図5の状態から容器体を傾けて胴部40を圧搾すれば、容器体B内の液が筒部30内から透孔34を介して吐出弁v1を液圧で押し開けて吐出口18より吐出される。胴部40の圧搾を解除すると、吐出弁v1が閉じ、容器体胴部40の弾性復元力により胴部40内が負圧化することで吸気弁v2が開き、外気導入孔17から通気路p2を通った外気が容器体B内に導入される。
【0037】
尚、上記各例では凹部15及び外気導入孔17をそれぞれ一箇所ずつ設けているが、それぞれ複数箇所設けても良く、また、通気路p1の形態として、周壁10内周に環状の凹部を凹設してそこに周方向複数の縦リブを突設した形態であっても良い。
【符号の説明】
【0038】
A:吐出栓
A1:ノズル基体
10…周壁、11…頂壁、12…フランジ、13…吐出弁座、14…係止用の突条、
15…凹部、17…外気導入孔、18…吐出口、19…吐出筒、
20…支持リブ、21…係止柱、22…大径部、23…係止段部
A2:弁部材
30…筒部、31…吸気弁体、32…吐出弁体、33…固定区画壁、34…透孔、
35…フランジ状リブ、36…吸気弁座、37…係止板部、38…通気孔
B:容器体
40…胴部、41…口頸部
C:キャップ
50…周壁、50a…大径部、50b…フランジ、50c…小径部、51…頂壁、
52…棒栓
p1:通液路
p2:通気路
v1:吐出弁
v2:吸気弁
図1
図2
図3
図4
図5
図6