特許第5809091号(P5809091)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5809091
(24)【登録日】2015年9月18日
(45)【発行日】2015年11月10日
(54)【発明の名称】台車姿勢検出方法
(51)【国際特許分類】
   B61K 13/00 20060101AFI20151021BHJP
   B61K 9/08 20060101ALI20151021BHJP
   G01B 11/26 20060101ALI20151021BHJP
【FI】
   B61K13/00 Z
   B61K9/08
   G01B11/26 H
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-67415(P2012-67415)
(22)【出願日】2012年3月23日
(65)【公開番号】特開2013-199156(P2013-199156A)
(43)【公開日】2013年10月3日
【審査請求日】2014年6月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000173784
【氏名又は名称】公益財団法人鉄道総合技術研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100100413
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 温
(74)【代理人】
【識別番号】100123696
【弁理士】
【氏名又は名称】稲田 弘明
(72)【発明者】
【氏名】梅原 康宏
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 聡一郎
【審査官】 黒田 暁子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−192759(JP,A)
【文献】 特開2003−246266(JP,A)
【文献】 特開平05−141947(JP,A)
【文献】 特開2003−166808(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61K 13/00
B61K 9/08
G01B 11/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸箱支持装置を介して輪軸を支持する台車枠の軌道に対する姿勢を検出する台車姿勢検出方法であって、
前記台車枠に設けられた第1の2次元センサによって第1のレールの断面形状を2次元計測し、
前記台車枠に設けられた第2の2次元センサによって前記第1のレールの断面形状を前記第1の2次元センサとは車両前後方向にずらした位置において計測し、
前記台車枠に設けられた第3の2次元センサによって第2のレールの断面形状を計測し、
前記第1の2次元センサの計測結果に基づいて前記第1のレールのフィールドコーナに設定された第1の基準箇所の前記第1の2次元センサに対する相対位置を算出し、
前記第2の2次元センサの計測結果に基づいて前記第1のレールのフィールドコーナに設定された第2の基準箇所の前記第2の2次元センサに対する相対位置を算出し、
前記第3の2次元センサの計測結果に基づいて前記第2のレールのフィールドコーナに設定された基準箇所の前記第の2次元センサに対する相対位置を算出し、
前記第1のレールの前記第1の基準箇所、前記第1のレールの前記第2の基準箇所、及び、前記第2のレールの基準箇所を含む平面の式を算出し、前記平面と前記台車枠との相対変位に基づいて前記軌道に対する前記台車枠の相対位置を算出すること
を特徴とする台車姿勢検出方法。
【請求項2】
前記軌道に対する前記台車枠の相対位置は、前記軌道に対する前記台車枠の枕木方向変位、上下方向変位、ヨー角、ロール角の一部又は全部を含むこと
を特徴とする請求項1に記載の台車姿勢検出方法。
【請求項3】
軸箱支持装置を介して輪軸を支持する台車枠における前記輪軸の車輪が走行する軌道に対する姿勢を検出する台車姿勢検出方法であって、
前記台車枠に設けられた第1の2次元センサによって第1のレールの断面形状を2次元計測し、
前記台車枠に設けられた第2の2次元センサによって第2のレールの断面形状を前記第1の2次元センサとは車両前後方向にずらした位置において計測し、
前記第1の2次元センサの計測結果に基づいて前記第1のレールのフィールドコーナに設定された基準箇所の前記第1の2次元センサに対する相対位置を算出し、
前記第2の2次元センサの計測結果に基づいて前記第2のレールのフィールドコーナに設定された基準箇所の前記第2の2次元センサに対する相対位置を算出し、
前記第1のレールの前記基準箇所の前記第1の2次元センサに対する枕木方向の相対変位、及び、前記第2のレールの前記基準箇所の前記第2の2次元センサに対する枕木方向の相対変位の平均及び差分に基づいて前記台車枠の前記軌道に対する枕木方向位置及びヨー角をそれぞれ算出すること
を特徴とする台車姿勢検出方法。
【請求項4】
前記第1のレールの前記基準箇所の前記第1の2次元センサに対する上下方向の相対変位、及び、前記第2のレールの前記基準箇所の前記第2の2次元センサに対する上下方向の相対変位の平均及び差分に基づいて前記台車枠の前記軌道に対する上下方向位置及びロール角をそれぞれ算出すること
を特徴とする請求項3に記載の台車姿勢検出方法。
【請求項5】
前記2次元センサによる計測データを、予め準備された軌道不整情報を用いて補正すること
を特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の台車姿勢検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道車両の台車の軌道に対する姿勢を検出する台車姿勢検出方法に関し、特に簡素なセンサ構成によって精度よく台車姿勢を検出可能なものに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な鉄道車両は、左右のレール上を走行する一対の車輪を有する輪軸を、軸箱支持装置を介して台車枠に取付け、台車枠の上部にまくらばねを介して車体を載せて構成されている。
このような鉄道車両において、台車枠の軌道に対する枕木方向(横方向)変位、上下方向変位、ヨー角、ロール角等の姿勢を検出することが求められる場合がある。
【0003】
レールに対する台車枠の姿勢を検出しようとした場合、従来はレールと車輪との間、軸箱と台車枠との間に多数のセンサを設置し、各センサの検出値を積み上げることによって台車枠の姿勢を検出していたが、特にレールと車輪との変位を検出することは、センサの配置スペースが限られ、振動等の条件も過酷であることから困難を伴うものであった。
【0004】
台車からレールの測定を行う従来技術として、例えば特許文献1には、台車枠にCCDカメラを装着し、レールを照明装置で照射しつつ撮像し、画像処理によって帯状に光るレールのコーナ部を認識することによって、レールに対する輪軸のアタック角(対レールヨー角)を測定することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−246266号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のように、レールと車輪との相対変位、軸箱と台車枠との相対変位などを個別に検出し、計測結果を積み上げて台車枠の姿勢を検出する場合、センサ等の構成、配置や、データの解析が複雑となってしまう。
また、特許文献1のようにカメラ画像を画像解析してレールの基準箇所(コーナ部等)を検出しようとした場合、コーナ部がある程度の幅をもった帯状に観測されることから測定誤差が比較的大きいうえ、照明装置の設置等によって装置の構成が複雑となってしまう。
上述した問題に鑑み、本発明の課題は、簡素なセンサ構成によって精度よく台車姿勢を検出可能な台車姿勢検出方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するため、本発明の台車姿勢検出方法は、軸箱支持装置を介して輪軸を支持する台車枠の軌道に対する姿勢を検出する台車姿勢検出方法であって、前記台車枠に設けられた第1の2次元センサによって第1のレールの断面形状を2次元計測し、前記台車枠に設けられた第2の2次元センサによって前記第1のレールの断面形状を前記第1の2次元センサとは車両前後方向にずらした位置において計測し、前記台車枠に設けられた第3の2次元センサによって第2のレールの断面形状を計測し、前記第1の2次元センサの計測結果に基づいて前記第1のレールのフィールドコーナに設定された第1の基準箇所の前記第1の2次元センサに対する相対位置を算出し、前記第2の2次元センサの計測結果に基づいて前記第1のレールのフィールドコーナに設定された第2の基準箇所の前記第2の2次元センサに対する相対位置を算出し、前記第3の2次元センサの計測結果に基づいて前記第2のレールのフィールドコーナに設定された基準箇所の前記第の2次元センサに対する相対位置を算出し、前記第1のレールの前記第1の基準箇所、前記第1のレールの前記第2の基準箇所、及び、前記第2のレールの基準箇所を含む平面の式を算出し、前記平面と前記台車枠との相対変位に基づいて前記軌道に対する前記台車枠の相対位置を算出することを特徴とする。
これによれば、最低3箇所の2次元センサを台車枠に取付けることによって、台車枠と軌道面との相対変位を把握することが可能となり、簡単なセンサ構成によって台車枠の姿勢を検出することができる。
また、このような2次元センサを用いて、レールの断面形状を計測することによって、画像処理などに対して精度よくレールの基準箇所の位置を特定することができる。
このような基準箇所として、レールの例えばフィールドコーナ(軌道外側のエッジ部)を用いることができる。
【0008】
本発明において、前記軌道に対する前記台車枠の相対位置は、前記軌道に対する前記台車枠の枕木方向変位、上下方向変位、ヨー角、ロール角の一部又は全部を含む構成とすることができる。
【0009】
また、本発明の台車姿勢検出方法は、軸箱支持装置を介して輪軸を支持する台車枠における前記輪軸の車輪が走行する軌道に対する姿勢を検出する台車姿勢検出方法であって、前記台車枠に設けられた第1の2次元センサによって第1のレールの断面形状を2次元計測し、前記台車枠に設けられた第2の2次元センサによって第2のレールの断面形状を前記第1の2次元センサとは車両前後方向にずらした位置において計測し、前記第1の2次元センサの計測結果に基づいて前記第1のレールのフィールドコーナに設定された基準箇所の前記第1の2次元センサに対する相対位置を算出し、前記第2の2次元センサの計測結果に基づいて前記第2のレールのフィールドコーナに設定された基準箇所の前記第2の2次元センサに対する相対位置を算出し、前記第1のレールの前記基準箇所の前記第1の2次元センサに対する枕木方向の相対変位、及び、前記第2のレールの前記基準箇所の前記第2の2次元センサに対する枕木方向の相対変位の平均及び差分に基づいて前記台車枠の前記軌道に対する枕木方向位置及びヨー角をそれぞれ算出することを特徴とする。
これによれば、最低2箇所の2次元センサを台車枠に取付けることによって、台車枠の軌道に対する枕木方向位置及びヨー角を検出することができる。
【0010】
本発明において、前記第1のレールの前記基準箇所の前記第1の2次元センサに対する上下方向の相対変位、及び、前記第2のレールの前記基準箇所の前記第2の2次元センサに対する上下方向の相対変位の平均及び差分に基づいて前記台車枠の前記軌道に対する上下方向位置及びロール角をそれぞれ算出する構成とすることができる。
これによれば、最低2箇所の2次元センサを台車枠に取付けることによって、台車枠の軌道に対する上下方向位置及びロール角を検出することができる。
【0011】
本発明において、前記2次元センサによる計測データを、予め準備された軌道不整情報を用いて補正する構成とすることができる。
これによれば、軌道不整の影響を排除して精度よく台車姿勢を検出することができる。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、本発明によれば、簡素なセンサ構成によって精度よく台車姿勢を検出可能な台車姿勢検出方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明を適用した台車姿勢検出方法の第1実施形態の適用対象となる鉄道車両の構成を示す模式的平面図である。
図2】第1実施形態の台車姿勢検出方法におけるレールの基準点設定及び変位検出を示す模式図である。
図3】第1実施形態の台車姿勢検出方法における枕木方向の変位、軌道不整量、軌道不整補正後変位、ロール角補正変位量、軌道不整ロール角補正後変位の推移の一例を示すグラフである。
図4】本発明を適用した台車姿勢検出方法の第2実施形態の適用対象となる鉄道車両の構成を示す模式的平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ、本発明の第1乃至第2実施形態に係る台車姿勢検出方法について説明する。
<第1実施形態>
先ず、第1実施形態の台車姿勢検出方法について説明する。
図1は、第1実施形態の台車姿勢検出方法の適用対象となる鉄道車両の構成を示す模式的平面図である。
なお、以下の各説明において、枕木方向をy方向、鉛直方向をz方向として説明する。
【0015】
車両1は、車体10、1位台車20、2位台車30等を有して構成されている。
車体10は、床面を構成する台枠の上部に妻構、側構、屋根構等を設けて実質的に六面体状に形成されている。
1位台車20、2位台車30は、車体10の下部に、前後方向に離間して、列車の進行方向前方側から順次配置されている。
1位台車20及び2位台車30は、車体10に対して、枕ばね等の2次ばね系を介して、ボギー角付与可能に取り付けられている。
【0016】
1位台車20は、1位輪軸21、2位輪軸22、台車枠23等を有して構成されている。
1位輪軸21、2位輪軸22は、第1レールR1、第2レールR2上をそれぞれ走行する一対の車輪を、車軸によって連結して構成されている。
1位輪軸21、2位輪軸22は、列車の進行方向前側から順次配置されている。
1位輪軸21、2位輪軸22の両端部を回転可能に支持する図示しない軸箱は、台車枠23に対して、軸ばね、軸ダンパ等の1次ばね系、及び、軸箱支持装置を介して取り付けられている。
【0017】
以下、第1実施形態の台車姿勢検出方法について説明する。
先ず、台車枠23に、2次元レーザ測定器101,102,103を固定する。
2次元レーザ測定器101,102,103は、所定の平面上において、計測対象物の表面形状を2次元的に測定可能なものである。
2次元レーザ測定器101,102,103の計測面(走査面)は、第1レールR1、第2レールR2の長手方向と直交する平面に沿って配置されている。
これによって、2次元レーザ測定器101,102,103は、第1レールR1、第2レールR2上部の横断面形状を計測可能となっている。
【0018】
2次元レーザ測定器101,102は、第1レールR1の直上に設けられ、第1レールR1の断面形状を測定する。
2次元レーザ測定器101,102は、車両1の前後方向に離間して配置され、台車枠10の前後方向中央に設けられる横梁に対して、2次元レーザ測定器101は1位輪軸20側、2次元レーザ測定器102は2位輪軸30側に配置されている。
2次元レーザ測定器103は、第2レールR2の直上でありかつ2次元レーザ測定器102と車両前後方向における位置を実質的に一致させて配置されている。
2次元レーザ測定器103は、第2レールR2の断面形状を測定する。
【0019】
次に、列車が直線走行中であって、軌道の実質的に中心を走行していると見なされる状態のときに、基本レール形状データを取得する。
図2は、第1実施形態の台車姿勢検出方法におけるレールの基準点設定及び変位検出を示す模式図である。
図2(a)は、レールの基準点設定を示す図である。
レールの基準点としては、2次元レーザ測定器101,102,103によって計測された断面形状から特定可能な点であればいかなる点でもよいが、例えば、レールの軌道外側上部のコーナ部(フィールドコーナ)を基準点とすることができる。
このようなフィールドコーナは、軌道内側のゲージコーナのように摩耗等の影響を受けにくいからである。
【0020】
図2(b)は、レールの変位検出を示す図である。
図2(b)に示すように、図2(a)に示す基準状態に対して、計測面上におけるレールの位置が変位した場合であっても、基準点として設定したフィールドコーナの位置は特定可能である。
2次元レーザ測定器101,102,103に対するレールR1,R2のy方向及びz方向の相対変位は、このような基準点位置の直進状態からの変位に基づいて検出することができる。
【0021】
図3は、第1実施形態の台車姿勢検出方法における枕木方向の変位、軌道不整量、軌道不整補正後変位、ロール角補正変位量、軌道不整ロール角補正後変位の一例を示すグラフである。
先ず、車両1を走行させながら、基準点位置の変位を逐次記録する。
図3(a)は、車両1の走行距離と、検出された基準点位置のy方向変位の変位に関する測定データの一例を示すグラフである。
なお、以下の説明は、一例としてy方向(枕木方向)についてのものであるが、z方向(鉛直方向)においても、同様の処理が行われる。
【0022】
図3(a)に示す変位においては、軌道に対する台車枠10の変位による影響と、軌道不整による影響とをともに含んでいる。
そこで、第1実施形態においては、予め準備された軌道不整データを用いて、測定データの補正を行っている。
図3(b)は、軌道不整量の推移の一例を示すグラフである。
図3(c)は、図3(a)に示す変位から、図3(b)に示す軌道不整量を減算した軌道不整量補正後変位の推移の一例を示すグラフである。
【0023】
また、台車枠10がロール方向に回動すると、ロール角に応じてy方向変位の計測にも誤差が生じる。
そこで、第1実施形態においては、台車枠10のロール角に応じて、y方向の変位を補正するようにしている。
図3(d)は、ロール角と補正変位量との相関を示すグラフである。
このような補正量は、各2次元レーザ測定器と、レール及びロール中心との位置関係に基づいて、幾何学的に求めることが可能である。
図3(e)は、図3(c)に示す軌道不整補正後変位の推移を、図3(d)に示すロール角補正変位量で補正した軌道不整ロール角補正後変位の推移の一例を示すグラフである。
なお、ヨー角に応じた変位の補正も実質的に同様に行うことができる。
【0024】
第1実施形態においては、2次元レーザ測定器101が計測した基準点(y1、z1)、2次元レーザ測定器102が計測した基準点(y2、z2)、2次元レーザ測定器103が計測した基準点(y3、z3)(いずれも補正後の座標値)を含む平面の数式を求め、この平面の数式に基づいて、軌道に対する台車枠のy方向変位、z方向変位、ヨー角、ロール角等の各種姿勢情報を演算によって求めている。
以上説明した第1実施形態によれば、台車枠10に3箇所の2次元レーザ測定器101,102,103を設けることによって、簡素なセンサ構成によって精度よく台車姿勢を検出することができる。
【0025】
また、このような2次元レーザ測定器101,102,103としては、一般的な市販品を用いることが可能であり、台車姿勢検出に要するコストも低減することができる。
特に、第1実施形態においては、センサ設置スペースや振動等の環境的に測定が難しいレールと車輪との間の変位を求める必要がないことから、台車姿勢の検出を従来技術に対して大幅に簡易化することができる。
なお、このようにして台車姿勢を簡易に検出することができれば、台車枠と車体との相対変位は比較的容易に測定可能であり、これらの検出値を演算することによって、軌道に対する車体の姿勢を求めることができる。このような車体の姿勢は、例えば地上施設との干渉を確認する場合等に活用することができる。
【0026】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態の台車姿勢検出方法について説明する。
なお、上述した第1実施形態と実質的に共通する箇所については同じ符号を付して説明を省略し、主に相違点について説明する。
図4は、第2実施形態の台車姿勢検出方法の適用対象となる鉄道車両の構成を示す模式的平面図である。
第2実施形態においては、第1実施形態の2次元レーザ測定器101,102,103に代えて、2次元レーザ測定器104,105を用いている。
2次元レーザ測定器104は、2次元レーザ測定器101と実質的に同様に設置されている。
2次元レーザ測定器105は、2次元レーザ測定器103と実質的に同様に設置されている。
ここで、2次元レーザ測定器104,105がそれぞれ計測する基準点の車両前後方向(レール長手方向)における間隔をa、枕木方向(車幅方向)における間隔をbとする。
【0027】
第2実施形態においては、台車枠10の回転中心が台車中心と実質的に一致するものと仮定し、2次元レーザ測定器104が計測した基準点(y4、z4)、2次元レーザ測定器105が計測した基準点(y5、z5)を用いて、以下説明する演算によって台車姿勢を検出している。

<y方向変位>
y=(y4+y5)/2

<z方向変位>
z=(z4+z5)/2

<台車ヨー角>
φ=tan―1((y4−y5)/a)

<台車ロール角>
θ=tan―1((z4−z5)/b)

以上説明した第2実施形態においては、台車枠10に2箇所の2次元レーザ測定器104,105を設けることによって台車姿勢検出が可能であり、台車姿勢の検出をより簡易に行うことが可能である。
【0028】
(他の実施形態)
なお、本発明は上述した各実施形態のみに限定されるものではなく、種々の応用や変形が考えられる。
例えば、センサの設置位置は、上述した各実施形態に限らず、適宜変更することができる。
また、計測データの処理順序や、補正の内容、数式等も各実施形態のものに限らず、適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0029】
1 車両 10 車体
20 1位台車 21 1位輪軸
22 2位輪軸 23 台車枠
30 2位台車 101〜105 2次元レーザ測定器
R1 第1レール R2 第2レール
図1
図2
図3
図4