(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5809102
(24)【登録日】2015年9月18日
(45)【発行日】2015年11月10日
(54)【発明の名称】吐出器
(51)【国際特許分類】
B65D 47/06 20060101AFI20151021BHJP
B65D 83/00 20060101ALI20151021BHJP
【FI】
B65D47/06 A
B65D83/00 G
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-104232(P2012-104232)
(22)【出願日】2012年4月27日
(65)【公開番号】特開2013-230854(P2013-230854A)
(43)【公開日】2013年11月14日
【審査請求日】2014年10月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100113169
【弁理士】
【氏名又は名称】今岡 憲
(72)【発明者】
【氏名】阿部 孝之
【審査官】
中野 裕之
(56)【参考文献】
【文献】
特開平08−198295(JP,A)
【文献】
実開平02−102366(JP,U)
【文献】
特開平05−213382(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/06
B65D 83/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧搾可能な胴部(4)から口頸部(6)を起立する容器体(2)と、
上記口頸部(6)に嵌合させた装着筒部(12)の上部から内向きフランジ状頂壁(14)を内方突出するとともに、この内向きフランジ状頂壁(14)の内周部から、小径連通筒部(16)及び大径連通筒部(18)を2重筒状に起立したキャップ状部材(10)と、
上記小径連通筒部(16)及び大径連通筒部(18)に対して少なくとも昇降可能に取り付けたノズル(56)付きの押下げヘッド(40) とを具備し、
上記押下げヘッド(40) の裏面側から棒状弁体(42)及びこの棒状弁体(42)の周囲を囲むシール筒部(44)をそれぞれ垂下させ、
その棒状弁体(42)の外周面を、上記小径連通筒部(16)の内面に対して、押下げヘッド(40) の上昇による棒状弁体(42)の離脱可能に密嵌させるとともに、小径連通筒部(16)から容器体(2)の底部へ吸上げパイプ(22)を垂下し、
また上記シール筒部(44)の外面を、上記大径連通筒部(18)の内面に対して上下方向の摺動が可能に密嵌させるとともに、上記小径連通筒部(16)と大径連通筒部(18)との間の内向きフランジ状頂壁(14)部分に通気孔(24)を開口させて、小径連通筒部(16)の外面と大径連通筒部(18)乃至シール筒部(44)の対向面部分との間隙を空気流路(PA)とし、
上記シール筒部(44)の上部内に形成した気液混合室(M)が起泡部(62)を介して上記ノズル(56)に連通するように設け、
上記小径連通筒部(16)の内面と上記棒状弁体(42)の外面との間には液体吐出用の第1バルブ(V1)を、小径連通筒部(16)の外面と上記シール筒部(44)の内面との間には空気吐出用の第2バルブ(V2)をそれぞれ形成しており、
上記第1バルブ(V1)は、棒状弁体(42)の下端部(42a)を第1弁座(17)より下降させた第1の状態で密閉するとともに第1弁座(17)より上昇させた第3の状態で大きく開き、かつ当該下端部(42a)が第1弁座(17)内にある第2の状態で小さく開くように設け、
上記第2バルブ(V2)は、少なくとも上記棒状弁体(42)の下端部(42a)が第1弁座(17)内にある状態で開き、この状態から押下げヘッド(40)が上方又は下方へ移動することで閉じるように設けて、
上記第2の状態では泡が吐出され、かつ第3の状態では液体が吐出されるように構成し、
上記小径連通筒部(16)の上端部内面に上端開放の第1連通凹部(R1)を形成し、
上記第2バルブ(V2)は、上記小径連通筒部(16)の外周面及びシール筒部(44)の内周面のうちの一方周面に周設され他方周面に接する凸状の環状シール手段(48)を設けるとともに、他方周面の上下方向の一部に第2連通凹部(R2)を形成して、この第2連通凹部(R2)内に環状シール手段(48)の全体が位置するときに開弁するように構成し、
少なくとも上記棒状弁体(42)の下端部(42a)が上記第1弁座(17)内に位置しているときに、環状シール手段(48)の全体が第2連通凹部(R2)内にあるように環状シール手段(48)の位置を設定し、
さらに上記キャップ状部材(10)の表側に装着筒部(12)の筒軸の回りの回動自在に取り付けられたコア部(68)を含む回転部材(66)を設け、そのコア部(68)の内周側に形成した原動筒部(C1)の内側に、押下げヘッド(40)の裏面から垂下させた従動筒部(C2)を重ね合わせ、これら原動筒部(C1)の内面と従動筒部(C2)の外面との一方に螺旋状の係合溝(72)を、他方に係合溝内に摺動可能に嵌合する係合突部(53)を設けたことを特徴とする、吐出器。
【請求項2】
上記回転部材(66)は、上記コア部(68)から突出する操作腕(74)を有し、この操作腕(74)は上枠板(75)から垂設する垂下片(76)を有し、また上記内向きフランジ状頂壁(14)の外周部に、泡及び液体を吐出しない第1の状態で垂下片(76)の下端部を係止する第1係合凸部(34)、泡吐出モードに対応する上記第2の状態で垂下片(76)の下端部を係止する第2係合凸部(36)、及び液体吐出モードに対応する上記第3の状態で垂下片(76)の下端部を係止する第3係合凸部(38)をそれぞれ形成したことを特徴とする、請求項1記載の吐出器。
【請求項3】
上記大径連通筒部(18)よりも外側の内向きフランジ状頂壁部分に外気導入孔(28)を設け、かつこの外気導入孔(28)を開閉する弁部材(30)を設けたことを特徴とする、請求項1又は請求項2記載の吐出器。
【請求項4】
上記ノズル56を、外部から容器体(2)の内部に至る唯一の連通口とすることで、容器体(2)の胴部を圧搾した後に、容器体の弾性復元により、ノズル56から気液混合室(M)迄の流路内に存する泡又は液体を容器体側へ吸引するように構成したことを特徴とする、請求項1又は請求項2記載の吐出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出器に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のものとして、ポンプシリンダ内に液体加圧室と空気加圧室とをそれぞれ設け、液体加圧室から送り出された液体と空気加圧室から送り出された空気とを気液混合室で混合し、起泡部を通過させることで起泡させ、ノズルから吹き出すように構成したものが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−226384
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のタイプの泡吐出器は、ポンプシリンダ内に液体加圧室と空気加圧室とをそれぞれ形成するために、各部屋を画成するためのパーツを必要とし、ある程度複雑な構成となっていた。
【0005】
他方、近年では、空容器として流通しかつ使用時に中身を入れて使用するタイプのスクイズフォーマーが流通している。
【0006】
本発明の目的は、スクイズフォーマーの性質を利用して、泡と液体とのいずれも吐出することができる切換え機構を備えた、簡易な構成の吐出器を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の手段は、
圧搾可能な胴部4から口頸部6を起立する容器体2と、
上記口頸部6に嵌合させた装着筒部12の上部から内向きフランジ状頂壁14を内方突出するとともに、この内向きフランジ状頂壁14の内周部から、小径連通筒部16及び大径連通筒部18を2重筒状に起立したキャップ状部材10と、
上記小径連通筒部16及び大径連通筒部18に対して少なくとも昇降可能に取り付けたノズル56付きの押下げヘッド40 とを具備し、
上記押下げヘッド40 の裏面側から棒状弁体42及びこの棒状弁体42の周囲を囲むシール筒部44をそれぞれ垂下させ、
その棒状弁体42の外周面を、上記小径連通筒部16の内面に対して、押下げヘッド40 の上昇による棒状弁体42の離脱可能に密嵌させるとともに、小径連通筒部16から容器体2の底部へ吸上げパイプ22を垂下し、
また上記シール筒部44の外面を、上記大径連通筒部18の内面に対して上下方向の摺動が可能に密嵌させるとともに、上記小径連通筒部16と大径連通筒部18との間の内向きフランジ状頂壁14部分に通気孔24を開口させて、小径連通筒部16の外面と大径連通筒部18乃至シール筒部44の対向面部分との間隙を空気流路P
Aとし、
上記シール筒部44の上部内に形成した気液混合室Mが起泡部62を介して上記ノズル56に連通するように設け、
上記小径連通筒部16の内面と上記棒状弁体42の外面との間には液体吐出用の第1バルブV
1を、小径連通筒部16の外面と上記シール筒部44の内面との間には空気吐出用の第2バルブV
2をそれぞれ形成しており、
上記第1バルブV
1は、棒状弁体42の下端部42aを第1弁座17より下降させた第1の状態で密閉するとともに第1弁座17より上昇させた第3の状態で大きく開き、かつ当該下端部42aが第1弁座17内にある第2の状態で小さく開くように設け、
上記第2バルブV
2は、少なくとも上記棒状弁体42の下端部42aが第1弁座17内にある状態で開き、この状態から押下げヘッド40が上方又は下方へ移動することで閉じるように設けて、
上記第2の状態では泡が吐出され、かつ第3の状態では液体が吐出されるように構成し、
上記小径連通筒部16の上端部内面に上端開放の第1連通凹部R
1を形成し、
上記第2バルブV
2は、上記小径連通筒部16の外周面及びシール筒部44の内周面のうちの一方周面に周設され他方周面に接する凸状の環状シール手段48を設けるとともに、他方周面の上下方向の一部に第2連通凹部R2を形成して、この第2連通凹部R
2内に環状シール手段48の全体が位置するときに開弁するように構成し、
少なくとも上記棒状弁体42の下端部42aが上記第1弁座17内に位置しているときに、環状シール手段48の全体が第2連通凹部R
2内にあるように環状シール手段48の位置を設定し、
さらに上記キャップ状部材10の表側に装着筒部12の筒軸の回りの回動自在に取り付けられたコア部68を含む回転部材66を設け、そのコア部68の内周側に形成した原動筒部C
1の内側に、押下げヘッド40の裏面から垂下させた従動筒部C
2を重ね合わせ、これら原動筒部C
1の内面と従動筒部C
2の外面との一方に螺旋状の係合溝73を、他方に係合溝内に摺動可能に嵌合する係合突部53を設けた。
【0008】
本手段では、まず
図1に示す通り、スクイズ型の容器体2に嵌合したキャップ状部材10の内向きフランジ状頂壁14の内周部から小径連通筒部16及び大径連通筒部18を起立し、他方、押下げヘッド40の裏面側から棒状弁体42及びシール筒部44を垂下し、小径連通筒部16内に棒状弁体42を上方離脱可能に密嵌するとともに、大径連通筒部18の内面にシール筒部44を密嵌させている。小径連通筒部16及び大径連通筒部18の間の内向きフランジ状頂壁部分には連通孔58を開口して、小径連通筒部16と大径連通筒部18乃至シール筒部44との間を空気流路P
Aとしている。また上記小径連通筒部16から容器体2の下部へ吸上げパイプ22を垂下している。これによれば、容器体の下部内の液体、及び容器体の上部の空気を別々の経路を経て気液混合室Mに導くことができ、構成をシンプルとすることができる。
【0009】
また本手段では、
図2に示すように、第1バルブV
1の弁座(第1弁座17)を形成する小径連通筒部16の上端部の内面に、上面開放の第1連通凹部R
1を設けている。例えばその小径連通筒部16の上端部全体を大外径部とする場合に比べて、液体の流路がより狭くなるので流速が大となり、液体が霧化し易い。霧化した液体は小径連通筒部16の外面に沿って吹き上がる空気流と合流するので気体とよく混合し、故に効果的に起泡させることができる。
【0010】
さらに本手段では、第2バルブV2の好適な形態として、
図2に示すように、小径連通筒部16の外周面とシール筒部44の内周面との一方に付設した環状シール手段48と、他面に形成した第2連通凹部R
2とで形成するものを提案する。上記環状シール手段48は、一つ又は適数(図示例では2つ)の環状シール突条で形成することができる。本手段の要件中、「環状シール手段48の全体が第2連通凹部R
2内にある」とは、“複数の環状シール突条を設ける場合には全部の環状シール突条が第2連結凹部内にある”ようにという意味である。また本手段では、キャップ状部材10に回動部材66を設け、この回動部材を回転させることで押下げヘッドが昇降するように設けている。その具体的な構成に関しては後で説明する。
【0011】
第2の手段は、第1の手段を有し、かつ
上記回転部材66は、上記コア部68から突出する操作腕74を有し、この操作腕74は上枠板75から垂設する垂下片76を有し、また上記内向きフランジ状頂壁14の外周部に、泡及び液体を吐出しない上記第1の状態で垂下片76の下端部を係止する第1係合凸部34、上記泡吐出モードに対応する第2の状態で垂下片76の下端部を係止する第2係合凸部36、及び液体吐出モードに対応する上記第3の状態で垂下片76の下端部を係止する第3係合凸部38をそれぞれ形成した。
【0012】
本手段では、
図5〜
図8に示す第1係合凸部34、第2係合凸部36、第3係合凸部38を内向きフランジ状頂壁14の上面に設け、操作腕74が有する垂下片76を各係合凸部が係止することで、各動作状態に対応する位置決めを可能としている。
【0013】
第3の手段は、第1の手段又は第2の手段を有し、かつ上記大径連通筒部(18)よりも外側の内向きフランジ状頂壁部分に外気導入孔(28)を設け、かつこの外気導入孔(28)を開閉する弁部材(30)を設けている。
【0014】
第4の手段は、第1の手段又は第2の手段を有し、かつ
上記ノズル56を、外部から容器体(2)の内部に至る唯一の連通口とすることで、容器体(2)の胴部を圧搾した後に、容器体の弾性復元により、ノズル56から気液混合室(M)迄の流路内に存する泡又は液体を容器体側へ吸引するように構成した。
【0015】
本手段は、容器体の中身によっては乾燥による起泡部の目詰まりなどを生ずるため、これを防止するためにバックサックション機能を実現したものである。この機能によりノズルの中身を容器体側へ回収することもできる。
【発明の効果】
【0016】
第1の手段に係る発明によれば、小径連通筒部16の外側に、それぞれ容器体2の下部と連通する液体流路P
Lと容器体2の上部に連通する空気流路P
Aを開通させたから、簡易な構成の吐出器とすることができる。また液体の吐出モードと泡の吐出モードとの切換えが可能である。さらに第2バルブV
2を第2連通凹部R
2と環状シール手段48とで設けたから構成が簡単である。
第2の手段に係る発明によれば、操作腕の垂下片と内向きフランジ状頂壁に設けた第1係合凸部34・第2係合突部36・第3係合凸部38とで各動作モードに対応する位置決めを行うから、使い勝手がよい。
第3の手段に係る発明によれば、外気導入孔を設けたから、容器体胴部の弾性圧搾後の速やかな復元が可能である。
第4の手段に係る発明によれば、容器体胴部の弾性圧搾後の復元によりノズル側から容器体内へのバックサックション機能を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る吐出器の流通状態(請求項1にいう第1の状態)の縦断面図である。
【
図3】
図1の吐出器の泡吐出時(請求項1にいう第2の状態)の要部拡大図である。
【
図4】
図1の吐出器の液吐出時(請求項1にいう第3の状態)の要部拡大図である。
【
図6】
図1の吐出器の泡吐出時の要部拡大図である。
【
図8】
図1の吐出器の液吐出時の要部拡大図である。
【
図9】本発明の第2実施形態に係る吐出器の流通状態の縦断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1から
図7は、本発明の第1の実施形態に係る泡吐出器を示している。この泡吐出器は、容器体2と、キャップ状部材10と、押下げヘッド40と、回転部材66とで構成している。これら各部材はとくに断らない限り合成樹脂材で形成することができる。
【0019】
容器体2は、圧搾可能な胴部4から口頸部6を起立している。
【0020】
キャップ状部材10は、上記口頸部6の外面に嵌合(図示例では螺合)させた装着筒部12の上端部から内向きフランジ状頂壁14を内方突出している。この内向きフランジ状頂壁14の裏面からは、上記口頸部6内面に嵌合する垂下筒部15を垂設させている。
【0021】
この内向きフランジ状頂壁14の内周部からは小径連通筒部16及び大径連通筒部18を相互に間隔を存して2重筒状に起立している。
【0022】
上記小径連通筒部16は、図示例では、内向きフランジ状頂壁14のフランジ孔の孔縁から起立しており、また大径連通筒部18よりも長く設けている。その小径連通筒部16の上端部内面は後述の第1バルブの弁座17を形成する箇所であり、この上端部内面には、周方向に間隔を存して第1連通凹部R
1を設けている。図示の第1連通凹部R
1は縦長に形成している。
【0023】
また小径連通筒部16の外周面には、第2連通凹部R
2を形成している。この第2連通凹部R
2は、後述のシール筒部44の内周面に存する凸状の環状シール手段48とともに空気の流路を開閉するための構造である。図示例とは逆に、シール筒部44の内周面に第2連通凹部R
2を設け、かつ小径連通筒部16の外周面に環状シール手段48を設けることもできる。また第2連通凹部R
2は、小径連通筒部16(又はシール筒部)の周面全体に周設することが好適であるが、周方向の一部も設けてもよい。
【0024】
さらに図示例の小径連通筒部16は上半部を小径部としており、その上半部の下端から嵌合筒部20を垂下している。この嵌合筒部20の内面には吸上げパイプ22の上端部を嵌合させ、吸上げパイプ22の下端は容器体2の底部へ延びている。
【0025】
上記小径連通筒部16及び大径連通筒部18の間の内向きフランジ状頂壁14部分には、通気孔24を開口させる。これにより小径連通筒部16の外面と大径連通筒部18乃至後述のシール筒部の対向面との間隙は、空気流路P
Aとして機能する。
【0026】
内向きフランジ状頂壁14の裏面からは、上記通気孔24よりも外方に位置させて取付筒部26を垂下するとともに、この取付筒部26の外面の近傍に外気導入孔28を開口する。そしてこの外気導入孔28を開閉する弁板を筒体外面から突出する弁部材30が、上記取付筒部26の外面に取り付けられている。また内向きフランジ状頂壁14の上面からは、上記外気導入孔28よりも外方に連結筒部32を起立している。この連結筒部32と内向きフランジ状頂壁14の外縁との間にも後述の第1凸部34などを形成するためのスペースをとるものとする。
【0027】
さらに上記内向きフランジ状頂壁14の外周部(連結筒部32よりも外方の内向きフランジ状頂壁部分)の上面には、第1係合凸部34、第2係合凸部36、及び第3係合凸部38を、周方向に距離を置いて相互に一定の角度(図示例ではほぼ45°)を存して設けている。図示の各係合突部は、上記内向きフランジ状頂壁14の外周部に半径方向に長く設けている。図示例では、第1係合凸部34は、後述の操作腕が乗り越えることができない程度に巾太の単一の突部であり、第3係合凸部38も同様である。他方、第2係合凸部36は、操作腕が乗り越えることができる程度に巾の細い一対の突部として構成している。
【0028】
また
図5の状態で、想像線で示すように操作腕74を対称軸として、第1係合凸部34と線対称位置に操作腕74が乗り越え可能な巾の係合突部を設けてもよく、
図8に想像線で示す状態で、想像線で示すように操作腕74を対称軸として、第3係合凸部38と線対称位置に操作腕74が乗り越え可能な巾の係合突部を設けてもよい。回転部材に外力が加わったときに動かないようにするためである。
【0029】
押下げヘッド40は、頂壁の裏面中央部から、棒状弁体42、及びこの棒状弁体42を囲むシール筒部44を垂下している。
【0030】
上記棒状弁体42は、上記小径連通筒部16の上半部内に、押下げヘッド40の上昇に伴なって上方離脱することが可能に液密に嵌合させている。図示の棒状弁体42は、下端開放の筒体としているが、中実の棒体に形成しても構わない。この棒状弁体42の外周面と前述の第1弁座17とで液体吐出用の第1バルブV
1が形成される。
【0031】
上記シール筒部44は、棒状弁体42より長く下方に延びている。そのシール筒部44の内周面の下部には環状シール手段48を周設する。本実施形態では、環状シール手段48を、上側シール突条48aと下側シール突条48bとで形成している。またシール筒部44の外周面下部には、補助シール突条50を周設しており、この補助シール突条50を上記大径連通筒部18の内周面に気密に当接させている。上記シール筒部44の環状シール手段48を弁体とし、かつ上記第2連通凹部R
2を有する小径連通筒部16の外面を弁座として、空気吐出用の第2バルブV
2を形成している。
【0032】
上記押下げヘッド40の頂壁外周部からは外周壁52を垂下する。この外周壁52の下部内面と上記大径連通筒部18の外面との間には押下げヘッド回り止め用のストッパSを設ける。このストッパは、それら両面の一方に縦設した溝S
1に、その他方に付設した縦リブS
2を嵌合させることで形成することができる。
【0033】
また押下げヘッド40は、後述の回転部材66と連動するための従動筒部C
2を有する。図示例では上記外周壁を従動筒部C
2としているが、その構造は適宜変更することができる。従動筒部の外面には係合突部53を付設する。
【0034】
上記押下げヘッド40の内部のうち大径連通筒部18の上部内の空間は、気液混合室Mを形成している。この気液混合室Mは、上記大径連通筒部及び外周壁の各上部を貫く流路を介してノズル56に連通している。具体的には、上記大径連通筒部18の前壁上部に連通孔58を形成し、この連通孔58から外周壁52を貫通する横筒60を形成し、この横筒内に先端部にノズル56を有するノズル筒57を嵌合している。このノズル筒57の基部には起泡部62を設ける。この起泡部62は筒体の両端面に発泡ネットを貼着してなる。ノズル筒57の先端側には蓋体64を取り付ける。
【0035】
回転部材66は、上記連結筒部32の外周面に回動自在に嵌合させた基筒部70を含む筒状のコア部68を有する。基筒部70の上端から連結筒部32の内周面側に原動筒部C
1を折り返している。この原動筒部C
1の内面には、係合溝72を螺旋状に形成して、この係合溝72内に上記係合突部53を係合させている。図示例の係合溝72は、2本の平行な凸条の間に形成されているが、その構造は適宜変更できる。この仕組みにより、回転部材66の回転力を押下げヘッド40の上昇力に変換することができる。
【0036】
また基筒部70の外面からは操作腕74を側外方へ延出している。操作腕74は、上記基筒部70から側外方へ長く突出する上枠板75を有し、この上枠板75の裏面から、剛性を有する垂下片76を内向きフランジ状頂壁14の上面付近まで垂下している。図示例の垂下片76は、上枠部75の裏面の中央部から垂下する垂直板部76aと、上枠部75の裏面の外周部から垂下する断面長方形状の枠体76bとで、この枠体76bが垂直板部76aを囲むように構成している。上記垂直板部76 aは、内向きフランジ状頂壁14の周方向と直角に形成されている。また図示例では上記枠体76bの先端部(断面コ字形の部分)を装着筒部12 の外面に沿って下方へ延出している。
【0037】
上記操作腕74は、回転部材66の回動位置を決める位置決め手段を兼ねている。すなわち
図4の状態(初期状態)では、巾太の第1係合凸部34が操作腕74の側面に当接しているために、操作腕74を同図の時計回りに回転させることができない。操作腕74を逆方向に押すと、枠体76b及び垂直板部76aは巾狭の第2係合凸部36を乗り越える。これにより
図7に示すように横断面長方形状の枠体76bの長辺部分と上記垂直板部76aとの間に各第2係合凸部36が挟まれることになる。これにより回転部材66が不意に動くことを防止できる。さらに操作腕74を同じ方向に押すと第2係合凸部36が枠体76bの下面から離脱し、第3係合凸部38が枠体76bに当接して回転部材66の回動を留める。
【0038】
上記構成において、
図1に示す初期状態(請求項1にいう第1の状態)では、棒状弁体42の下端部42aが第1弁座17より下方に位置しているため、第1バルブV
1は閉じている。また下側シール突条48bが第2連通凹部R
2の下端を閉塞しているため、第2バルブV2も閉じている。
【0039】
図2の状態(請求項1にいう第1の状態)から、操作腕74を摘んで回転させると、
図3(請求項1にいう第2の状態)に示す如く、押下げヘッド40が上昇して、上記第1バルブV1が小さく開きかつ第2バルブV
2も開く。この状態で容器体の胴部4を圧接すると、容器体2の下半部内の液体が液体流路P
Lを通って気液混合室Mに入り、かつ容器体2の上半部内の空気が空気流路P
Aを通って気液混合室Mに入る。そして液体と空気の混合物が起泡部62で泡となってノズル56から吹き出す。また容器体2の圧搾を解放すると、容器体2内が負圧化され、空気吸込弁が開いて外気が容器体2内へ入る。
【0040】
図3の状態から更に操作腕74を摘んで回転させると、
図4(請求項1にいう第3の状態)に示す如く、第1バルブV
1が大きく開くとともに第2バルブV
2が閉じる。これにより液体がノズル56から噴出される。容器体2の圧搾を解放すると、再び外気が空気吸込弁を通って容器体2内に入る。
【0041】
図8から
図9は、本発明の第2実施形態を示している。この実施形態では、第1実施形態の構成のうちで通気孔24及び弁部材30を省略したものである。この構成によれば、容器体2を圧搾して、泡又は液体をノズルから吹き出した後に、容器体2が弾性復元して容器体2内が負圧化する。これによりノズル56及び起泡部62内の泡が容器体側に吸い戻される。このバックサックション機能によりノズル56から液体が垂れるなどの不都合を回避できる。
【符号の説明】
【0042】
2…容器体 4…胴部 6…口頸部
10…キャップ状部材 12…装着筒部 14…内向きフランジ状頂壁 15…垂下筒部
16…小径連通筒部 17…第1弁座 18…大径連通筒部 20…嵌合筒部
22…吸上げパイプ
24…通気孔 26…取付筒部 28…外気導入孔 30…弁部材
32…連結筒部 34…第1係合凸部 36…第2係合凸部 38…第3係合凸部
40…押下げヘッド 42…棒状弁体 42a…下端部 44…シール筒部
48…環状シール手段 48a…上側シール突条 48b…下側シール突条
50…補助シール突条 52…外周壁 53…係合突部
56…ノズル 57…ノズル筒 58…連通孔 60…横筒
62…起泡部 64…蓋体 66…回転部材 68…コア部 70…基筒部 72…係合溝
74…操作腕 75…上枠板 76…垂下片 76a…垂直板部 76b…枠体
C
1…原動筒部 C
2…従動筒部 M…気液混合室
P
A…空気流路 P
L…液体流路 R
1…第1連通凹部 R
2…第2連通凹部
S…ストッパ S
1…溝 S
2…縦リブ
V
1…第1バルブ V
2…第2バルブ