特許第5809104号(P5809104)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 有限会社アクセスの特許一覧 ▶ 椿本興業株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5809104
(24)【登録日】2015年9月18日
(45)【発行日】2015年11月10日
(54)【発明の名称】清掃装置用連結具及び清掃装置
(51)【国際特許分類】
   A47L 11/16 20060101AFI20151021BHJP
   A47L 11/22 20060101ALI20151021BHJP
   A47L 13/20 20060101ALI20151021BHJP
   F16B 21/04 20060101ALI20151021BHJP
【FI】
   A47L11/16
   A47L11/22
   A47L13/20 A
   F16B21/04 K
【請求項の数】3
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2012-111764(P2012-111764)
(22)【出願日】2012年5月15日
(65)【公開番号】特開2013-236760(P2013-236760A)
(43)【公開日】2013年11月28日
【審査請求日】2015年2月17日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】512126571
【氏名又は名称】有限会社アクセス
(73)【特許権者】
【識別番号】390021669
【氏名又は名称】椿本興業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112874
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 薫
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 勝三
【審査官】 伊藤 秀行
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−065538(JP,A)
【文献】 実開平03−084062(JP,U)
【文献】 特開2001−017351(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第01279363(EP,A1)
【文献】 特開平07−327897(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 11/00−13/62
F16B 21/00−21/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
清掃装置における本体部と、該本体部に取り付けられる清掃部との連結を可能にする連結具であって、
側周部が先端に向かうに従いすぼむ傾斜部を有する膨出部、及び当該膨出部の周囲に突出形成された第1突出部が設けられた第1連結部材と、
前記膨出部が遊嵌可能な被嵌合部、及び当該被嵌合部の周囲に突出形成されて前記第1突出部と隣接可能な第2突出部が設けられた第2連結部材と、を備え、
前記第2連結部材には、前記被嵌合部の周囲に複数の係止部が配列されており、
前記膨出部は、円錐台形状を有すると共に、前記係止部が係止可能な溝部が少なくとも一条周設され、
前記第1突出部の前記突出方向の先端部は、当該第1連結部材の回転軸に対して半径方向に向かって傾斜し、前記第1連結部材の回転軸側末端に頂点部が形成されると共に、前記第1連結部材の回転方向に傾斜した面が形成され、
前記第2突出部の前記突出方向の先端部は、当該第2連結部材の回転軸に対して半径方向に向かって傾斜し、前記第2連結部材の回転軸側末端に頂点部が形成されると共に、前記第2連結部材の回転方向に傾斜した面が形成される清掃装置用連結具。
【請求項2】
前記係止部は、
前記膨出部の側周部に対面可能な壁面部と、
先端部に前記溝部に係止可能な突起部と、を有する請求項1に記載の清掃装置用連結具。
【請求項3】
本体部、
該本体部に取り付けられる清掃部、及び
請求項1記載の連結具、
を備える清掃装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、清掃装置用連結具及び清掃装置に関する。より詳しくは、清掃装置の本体部に清掃部を連結する際に用いられる清掃装置用連結具及び該清掃装置用連結具を有する清掃装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、ドアとドアノブとを取り付けたり、清掃装置の本体部とブラシやパッド等の清掃部とを取り付けたりする場合に連結具が用いられている。
【0003】
このうち、特に、清掃装置では、清掃部のみを定期的に交換することが必要な場合がある。そのため、清掃装置における本体部と清掃部との取り付け及び取り外しに工夫がなされた連結具が用いられている。
【0004】
この連結具に相当する具体例として、特許文献1には、円板状の基台と、基台の下に着脱自在に取り付けられた取付板と、取付板の下に取り付けられた清掃材取付板とを備えた清掃材ホルダーが開示されている。この清掃材ホルダーでは、清掃材取付板が摩耗した場合に、ホルダー全体を取り替える必要なく、取付板及び清掃材取付板のみを取り替えることで基台を繰り返し使用することができる点に工夫がなされている。
【0005】
また、特許文献2には、ホルダー板の取付面側に清掃体に係止する突起爪を多数突設した清掃機用ブラシ等の取付装置が開示されている。この取付装置では、ブラシ及びパッドの回転方向に先端が向いている爪が取り付けられることで、ブラシと清掃機とを連結することができる点に工夫がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−150051号公報
【特許文献2】特開2004−113700号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前述した従来の技術では、清掃装置における本体部とブラシやパッド等の清掃部との取り付け及び取り外し(以下、脱着という。)を容易にしているとはまだ言えなかった。本体部と清掃部との脱着は、清掃装置が大型化する程、ユーザにとって煩雑になるため、上記脱着を容易にすることがユーザから希求されていた。
【0008】
そこで、本発明は、清掃装置における本体部と清掃部との脱着を容易に行うことができる清掃装置用連結具及び該清掃装置用連結具を有する清掃装置を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明では、清掃装置における本体部と、該本体部に取り付けられる清掃部との連結を可能にする連結具であって、側周部が先端に向かうに従いすぼむ傾斜部位を有する膨出部が設けられた第1連結部材と、上記膨出部が遊嵌可能な被嵌合部が設けられた第2連結部材と、を備える清掃装置用連結具を提供する。
また、上記第2連結部材には、上記被嵌合部の周囲に複数の係止部が配列され、上記膨出部には、上記係止部が係止可能な溝部が少なくとも一条周設されていてもよい。
また、上記膨出部は、円錐台形状を有し、上記第1連結部材には、上記膨出部の周囲に第1突出部が設けられ、上記第2連結部材には、上記被嵌合部の開口部の周囲に、上記第1突出部と隣接可能な第2突出部が設けられていてもよい。
また、上記第1突出部及び上記第2突出部の夫々の前記突出方向の先端部には、上記第1連結部材及び上記第2連結部材の回転方向に傾斜した面が形成されていてもよい。
更に、上記係止部は、上記膨出部の側周部に対面可能な壁面部と、先端部に上記溝部に係止可能な突起部と、を有していてもよい。
【0010】
なお、上記清掃装置としては、例えば、ポリッシャー、自動床洗浄機、及び手動床洗浄機等が挙げられる。上記本体部は、例えば、清掃部に動力を伝達するための駆動部や操作部等を有する。
また、上記清掃部としては、ブラシ、パッド、及びバフ等が挙げられる。
【0011】
また、本発明では、上述した清掃装置用連結部材を備える清掃装置も提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、清掃装置における本体部と清掃部との脱着を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係る連結具を本体部及び清掃部に取り付けた清掃装置の斜視図である。
図2】同実施形態に係る連結具の分解斜視図である。
図3】同実施形態に係る連結具を構成する第1連結部材の分解斜視図である。
図4A】同実施形態に係る連結具を構成する第1連結部材の平面図である。
図4B図4AにおけるA−A矢視方向断面図である。
図4C図4AにおけるB−B矢視方向断面図である。
図5A】同実施形態に係る連結具を構成する第1突出部を示した平面図である。
図5B】同実施形態に係る連結具を構成する第1突出部を示した右側面図である。
図5C】同実施形態に係る連結具を構成する第1突出部を示した正面図である。
図5D】同実施形態に係る連結具を構成する第1突出部を示した左側面図である。
図6】同実施形態に係る連結具を構成する第2連結部材の斜視図である。
図7A】同実施形態に係る連結具を構成する第2連結部材の平面図である。
図7B図7AにおけるC−C矢視方向断面図である。
図7C図7AにおけるD−D矢視方向断面図である。
図8A】同実施形態に係る連結具を構成する係止部を示した正面図である。
図8B図8AにおけるE−E矢視方向断面図である。
図8C】同実施形態に係る連結具を構成する係止部210の係止状態を示した説明図である。
図9】同実施形態に係る連結具を構成する第1連結部材と第2連結部材とを取り付ける方法を示した説明図である。
図10】同実施形態に係る連結具を構成する第1連結部材と第2連結部材とを取り付ける際に第1突出部と第2突出部とが接触した状態を示した説明図である。
図11】同実施形態に係る連結具を構成する第1突出部と第2突出部とが接触した状態を示した説明図である。
図12】同実施形態に係る連結具を構成する第1連結部材と第2連結部材とを取り付けた状態を示した水平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態について、詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。また、説明は以下の順序で行うものとする。

1.連結具1の概要
2.連結具1の構成とその機能
2−1.第1連結部材10
2−2.第2連結部材20
3.第1連結部材10の第2連結部材20への取り付け方法
【0015】
<1.連結具1の概要>
まず、図1及び図2を参照しながら、本発明の実施形態に係る連結具1の概要について説明する。図1は、同実施形態に係る連結具1により本体部B及びブラシCが連結された清掃装置Aを説明するための図である。また、図2は、連結具1の構成を説明するための分解斜視図である。
【0016】
図1及び図2中、Z軸方向とは、連結具1を構成する第1連結部材10と第2連結部材20との脱着を行う方向を指す。また、図1及び図2中、X軸方向及びY軸方向とは、夫々、Z軸方向に垂直な方向を指し、X軸方向とY軸方向とは、互いに直交する。なお、後述する図3図4A〜C、図5A〜D、図6図7A〜C、図8A〜C、図9図12における、X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向も図1に示すX軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向と同一であるため、以下ではその説明を省略する。
【0017】
図1に示すように、清掃装置Aは、本体部Bと、本体Bに取り付けられたブラシCと、本体部B及びブラシCを連結する連結具1とを有する。連結具1は、清掃装置Aにおける本体部Bに取り付け可能な第1連結部材10と、該第1連結部材10に連結可能であるとともに、その連結面の反対面にブラシCを取り付け可能な第2連結部材20とを主に有する。
【0018】
また、図2に示すように、本実施形態に係る連結具1では、第1連結部材10が矢印Faの方向に移動して、膨出部100が第2連結部材20の被嵌合部200に遊嵌し、第1連結部材10と第2連結部材20とを脱着することが可能である。そのため、連結具1では、ブラシCの本体部Bに対する脱着を行うことができる。
【0019】
なお、ここでいう本体部Bは、ポリッシャー、自動床洗浄機、及び手動床洗浄機等の清掃装置における動力を発生させるための駆動部やユーザによる装置の操作を行うための操作部等を備える。連結具1では、本体部BとブラシCとを連結し、本体部Bを駆動することで、例えば、ブラシCを回転させながら床面等を清掃することが可能である。
【0020】
なお、ブラシCは清掃部の一例であるが、本体部Bに、連結具1を介して連結することが可能なものは、ブラシCに限られず、例えば、パッド等の清掃部を本体部Bに連結することも可能である。
【0021】
なお、図2に示す、符号150を付した本体部支持部、符号210を付した係止部、及び符号220を付した第2突出部については後述するため、ここではその説明を省略する。
【0022】
<2.連結具1の構成とその機能>
次に、連結具1を構成する第1連結部材10及び第2連結部材20の構成とその機能について、より詳細に説明する。
【0023】
[2−1.第1連結部材10]
ここでは、主に図3及び図4A〜Cを参照しながら、第1連結部材10の構成とその機能について説明する。図3は、第1連結部材10の構成を説明するための分解斜視図である。また、図4Aは、第1連結部材10の構成を説明するための平面図である。また、図4Bは、図4AにおけるA−A矢視方向断面図であり、図4Cは、図4AにおけるB−B矢視方向断面図である。
【0024】
まず、図3に示すように、第1連結部材10は、後述する第2連結部材20の被嵌合部200に遊嵌可能な膨出部100と、膨出部100が取り付け可能である円板形状の第1基台101とを主に有する。また、第1基台101には、複数の第1突出部120が突出形成されている。
【0025】
(2−1−1.膨出部100)
膨出部100は、その側周部が先端側に向かうに従いすぼむ傾斜部105を有する。具体的には、図4B及びCに示すように、膨出部100は、先端領域に開口部104を有する。また、該開口部104の第1基台101側には傾斜部105が形成されている。すなわち、膨出部100は錐台形状を有する。
【0026】
傾斜部105が第2連結部材20(図2再参照)に接触したときに、傾斜部105が被嵌合部200(図2再参照)の係止部210又は支持部211の上を滑りながら、膨出部100は被嵌合部200に誘導されていく。また、連結具1では、開口部104が第2連結部材20に接触しながら、第1連結部材10は第2連結部材20上を移動できるため、その移動において、第1連結部材10がぐらつくことを防止できる。
【0027】
また、図3に示すように、膨出部100は円錐台形状であることがより好ましい。膨出部100が円錐台形状であり、かつ被嵌合部200(図2再参照)の開口部が円形の穴であることで、膨出部100が被嵌合部200に嵌合するとき、第1連結部材10と第2連結部材20との向きの調節を必要としない。また、第1連結部材10と第2連結部材20とが連結しても、第1連結部材10は回転することができる。
【0028】
膨出部100の材質については、特に限定されないが、耐久性の観点からアルミ、強化プラスチック、ステンレス、又はチタン等で構成されていることが好ましい。なお、上述した第1基台101も膨出部100と同様の材質で構成されていてよい。
【0029】
また、図3に示すように、膨出部100の側周部に、被係止部材110が環状に装着される。これにより、被係止部材110と第1基台101との間に溝部115が一条周設される(図4BおよびC参照)。この溝部115に、後述する第2連結部材20の係止部210が係止可能となる。
【0030】
溝部115を形成する被係止部材110の材質としては、特に限定されないが、係止部210による係止状態を安定にするために、係止部を構成する材料と表面エネルギーが異なるものであることが好ましい。具体的には、被係止部材110の材質としては、例えば、フッ素樹脂、PEEK、ナイロン及び鏡面仕上げを施した金属等が挙げられる。
【0031】
(2−1−2.第1突出部120)
図3に示すように、第1基台101の中心位置には、膨出部100を支持可能なように、膨出部支持部103が設けられている。また、膨出部支持部103の周囲には第1突出部120が設けられている。すなわち、膨出部100が第1基台101に取り付けられることで、膨出部100の周囲には第1突出部120が配置されることになる。
【0032】
第1突出部120は、後述する第2連結部材20を構成する第2突出部220と隣接することが可能である。そのため、駆動部を有する本体部Bに取り付けられた第1連結部材10の回転により、第2突出部220が第1突出部120と連動し、第2連結部材20が回転する。従って、連結具1では、本体部Bで駆動された動力が第2連結部材20に取り付けられたブラシCに伝達される。これにより、ブラシCは回転することができる。
【0033】
第1突出部120は、特に限定されないが、第1基台101に複数設けられていることが好ましい。第1突出部120が複数設けられることで、第1突出部120と第2突出部220との間隔は狭まり、第1連結部材10の回転開始後、速やかに第1突出部120と第2突出部220とは隣接することになる。そのため、上記動力は速やかに第2連結部材20に伝達されることになる。
【0034】
図3及び図4A〜Cに示す、符号130、140、141、142、143、144、150、151、152、153及び154の構成及びその機能については後述し、ここでは、図5A〜Dを参照しながら、第1突出部120の構成についてより詳細に説明する。図5A〜Dは、夫々、異なる方向から第1突出部120を示した説明図であり、第1連結部材10のうち、第1突出部120を説明するために必要な部分のみを示している。
【0035】
図5A〜Dに示す第1突出部120は、第1基台101(図3再参照)に膨出部100が形成される方向に突出形成されている。また、図5B及びDに示すように、第1突出部120の側面部125、126は側面視略五角形の形状を有する。
【0036】
また、第1突出部120には、突出形成される方向の先端位置に先端部121が延設されている。先端部121には、側面部126側の末端に頂点部122が形成されている。また、図5Cに示すように、第1突出部121は、側面部126側から側面部125側に向かうに従い、先端部121の高さが下がっていくように形成されている。すなわち、第1突出部120において、頂点部122がZ軸正方向側の最先端に位置することになる。
【0037】
また、先端部121に対して、第1突出部120の回転方向(Y軸負方向及びY軸正方向)には、上記第2突出部220の頂点部222が滑りながら移動することが可能な斜面部123、124が形成されている。
【0038】
また、後述するが、第2連結部材20には、第1連結部材10と実質的に同様の形状に形成された第2突出部220が、第1突出部120とは反対向きに(Z軸正方向側に)突出形成されている。
【0039】
第1突出部120及び第2突出部220がこのような形状を有するため、第1突出部120と第2突出部220との先端部同士が接触することがあっても、面で接触するのではなく、頂点部122と、第2突出部220の頂点部222とが点で接触し突き合う。そのため、その接触状態は、特段の力を必要とせずに第1連結部材10の自重により解消される。なお、この第1突出部120と第2突出部220とが突き合う現象については、図10及び図11を参照しながら後述する。
【0040】
(2−1−3.その他の構成)
再び、図3及び図4A〜Cを参照する。図3に示すように、第1連結部材10では、第1基台101の外周に枠状部102が設けられている。また、膨出部100には、該膨出部100の傾斜部105がすぼむ方向と反対の方向に、本体部Bを支持することが可能な筒状の本体部支持部150が、突出形成される。本体部支持部150の外周には、本体部支持部150を嵌合させるための本体部取付穴151が形成されている。
【0041】
また、本体部支持部150には、本体部支持部150の継時的な劣化を抑制する補強部材130が装着されている。
【0042】
更に、膨出部100の開口部104(図4B及びC参照)は開口形状を有し、その開口部104の穴にはネジ取付部材140が設けられている(図3参照)。ネジ取付部材140は、ネジ141とネジ142との取り付けのために、貫通孔143、144を有することが可能である。
【0043】
第1基台101と膨出部100との連結については、特に限定されないが、例えば、第1基台101に膨出部100が取り付けられる方向に、膨出部支持部103に形成された貫通孔153と、本体部取付穴151の周囲に形成されたネジ穴154とに複数のネジ152が通されることで行われる。
【0044】
[2−2.第2連結部材20]
次に、ここでは、主に図6及び図7A〜Cを参照しながら、第2連結部材20の構成とその機能について説明する。図6は、第2連結部材20の構成を説明するための斜視図である。また、図7Aは、第2連結部材20の構成を説明するための平面図である。また、図7Bは、図7AにおけるC−C矢視方向断面図であり、図7Cは、図7AにおけるD−D矢視方向断面図である。
【0045】
まず、図6に示すように、第2連結部材20では、上述した第1連結部材10の膨出部100が被嵌合部200に遊嵌することが可能である。第2連結部材20は、第2基台201と、リング状の該第2基台201の中心部に形成された被嵌合部200とを主に有する。また、第2基台201には、被嵌合部200の周囲に複数の係止部210が配列されている。更に、被嵌合部200の周囲には、第2突出部220が突出形成されている。
【0046】
(2−2−1.被嵌合部200)
被嵌合部200は、膨出部100を遊嵌することが可能であれば、特に限定されないが、例えば、Z軸方向に貫通した孔とすることができる(図7A等参照)。また、上述したように膨出部100が円錐台形状を有するため、膨出部100の形状に対応させるように、被嵌合部200の開口部は円形状とする。これにより、膨出部100が被嵌合部200に嵌合した状態で、第1連結部材10は回転することができる。
【0047】
(2−2−2.係止部210)
図6に示すように、係止部210は、上述した第1連結部材10の溝部115(図4(B)及び(C)再参照)に係止することが可能である。係止部210が溝部115に係止することで、第1連結部材10と第2連結部材20との連結状態が安定に維持される。
【0048】
係止部210の材質については特に限定されないが、上記溝部115への係止状態を安定に維持するために、溝部115を形成する材料(すなわち、被係止部材110の材料(図4再参照))と表面エネルギーが異なっていることが好ましい。
【0049】
また、係止部210は可撓性を有していることが好ましい。係止部210が可撓性を有していることで、第1連結部材10と第2連結部材20との連結状態を解消しようとする外力(第1連結部材10を第2連結部材20から取り外そうとする力)により、係止部210は撓み、溝部115に係止した状態が解除される。これにより、第1連結部材10は第2連結部材20から取り外される。
【0050】
係止部210の材質としては、具体的には、例えば、PEEK、ナイロン、POM、及びABS等の樹脂並びにステンレス等の金属が挙げられる。また、上述した第2基台201も係止部210と同様の材質で構成されていてよい。なお、係止部210の材質については、図8Cを参照しながら後述する。
【0051】
更に、図6に示すように、第2連結部材20には、第1連結部材10及び第2連結部材20の回転方向に係止部210に隣接して支持部211が複数立設されている。特に限定されないが、係止部210と支持部211とは、被嵌合部200の開口部の周囲に交互に配列されている。
【0052】
図6及び図7A〜Cに示す、符号202、203、204、220、227及び228の構成及びその機能については後述し、ここでは、図8A〜Cを参照しながら、係止部210の構成についてより詳細に説明する。図8Aは、係止部210の構成を説明するための説明図であり、第2連結部材20のうち、係止部210を説明するために必要な部分のみを示したものである。また、図8Bは、図8Aに示す係止部210のE−E矢視方向断面図である。また、図8Cは、係止部210の係止状態を示した説明図である。
【0053】
図8Bに示す係止部210は、第2基台201上に立設されている。係止部210は、膨出部100(図3等再参照)の側周部に対面可能な壁面部212と、係止部210の上端部(Z軸正方向の先端部)に設けられ、溝部115に係止可能な突起部213とを有する。突起部213は、被嵌合部200側に向かうに従い先細る。係止部210は、被嵌合部200の周囲に複数設けられ、壁面部212の夫々が膨出部100に対面する。
【0054】
図8Bでは、突起部213を拡大した図も示す(符号(X)参照)。突起部213は、係止部210の立設方向の先端部に形成される領域214と、該領域214の先端に位置する先端部215と、該先端部215に対して係止部210の立設方向に湾曲形成された湾曲面216とを有する。
【0055】
領域214は、上述した溝部115を形成する被係止部材110(図4再参照)に接する。領域214の形状は、被係止部材110の形状に応じて適宜設定することができるが、例えば、先端部215側に向かうに従い、係止部210の立設方向から、該方向に垂直な方向に湾曲する形状とすることができる。
【0056】
また、湾曲面216の形状も、被係止部材110の材質等に応じて適宜設定することができるが、例えば、先端部215側に向かうに従い、係止部210が立設する方向から、該方向に垂直な方向に緩やかに湾曲する形状とすることができる。
【0057】
図8Cでは、第1連結部材10と第2連結部材20とが連結されており、係止部210が、溝部115を形成する被係止部材110に係止している状態を示す。このとき、突起部213と、被係止部材110とは接点Oで接しており、被係止部材110の接点Oにおける接線が線(A)である。これに対し、第1連結部材10から第2連結部材20が取り外されるとき、第1連結部材10に矢印Fbの方向に力が加わり、第1連結部材10は矢印Fbの方向に移動する。これにより、被係止部材110に係止している係止部210は撓む。そして、被係止部材110の接点Oに形成される接線は、線(A)から線(B)になる。
【0058】
ここで、水平線(C)に対する線(B)の傾斜角がαのときに、突起部213及び被係止部材110の摩擦力が最大静止摩擦力となる場合、第1連結部材10に更に矢印Fbの方向に力が加わることで、突起部213は被係止部材110上を滑り、突起部213と被係止部材110との係止状態は解除される。この係止状態が解除されるとき、係止部210が弾性限界内で撓むように、係止部210の材質等が選択されることが好ましい。これにより、第1連結部材10と第2連結部材20との複数回の脱着が実行されても、係止部210の破損を防止することができる。
【0059】
(2−2−3.第2突出部220)
再び、図6及び図7A〜Cを参照する。図6に示すように、被嵌合部200の開口部の周囲には、第2突出部220が設けられる。第2突出部220は、第1連結部材10の回転時に、第1突出部120に隣接することで第2連結部材20の回転を可能にする。
【0060】
第2突出部220の詳細な構成については、上述した第1突出部120とは反対向きに、第2基台201に突出形成される以外、第1突出部120の構成と実質的に同一である(図5A〜D再参照)。
【0061】
第1突出部120の構成及びその機能を説明する際にも既に説明したが、第1連結部材10と第2連結部材20とを連結する際に、第1突出部120と第2突出部220との先端部が接触することがあっても、面で接触するのではなく、点で接触する。そのため、その接触状態は、特段の力を必要とせずに第1連結部材10の自重により解消される。
【0062】
(2−2−4.その他の構成)
図6に示すように、第2基台201の外周には枠状部204が設けられ、第2突出部220と枠状部204との間には、支持部227が設けられている。また、第2突出部220と支持部211との間には、支持部228が設けられている。
【0063】
また、図6及び図7Aに示すように、被嵌合部200の周囲には、第2連結部材20の係止部210の立設方向に貫通した貫通孔202が形成されている。貫通孔202にネジ(不図示)が挿入されることで、ブラシCが第2連結部材20に取り付けられる。また、隣接し合う貫通穴202同士の間には、第2連結部材20へのブラシCの固定状態をより安定にするために孔203が形成されている。
【0064】
[3.第1連結部材10の第2連結部材20への取り付け方法]
次に、本実施形態に係る連結具1において、上述した第1連結部材10の第2連結部材20への取り付け方法について、図9を主に参照しながら説明する。図9は、第1連結部材10に第2連結部材20を取り付ける方法を説明するための説明図である。なお、ここでは、第1連結部材10及び第2連結部材20のみを図示し、第1連結部材10に取り付け可能な本体部Bと、第2連結部材20に取り付け可能なブラシCとについては図示せず説明する。
【0065】
ここでは、第1連結部材10が第2連結部材20の被嵌合部200の開口部の近くに設置された状態から説明する(図9(A)参照)。まず、操作者は、清掃装置における本体部Bの駆動(例えば、操作者がハンドル等の操作部で第1連結部材10を動かすこと)により、膨出部100を第2連結部20に接触させた状態で被嵌合部200側にスライドさせる(矢印F1参照)。膨出部100が円錐台形状を有するため、操作者は、第1連結部材10がぐらつくことを防止しつつ第1連結部材10を移動させることができる。
【0066】
次に、開口部104が被嵌合部200上に位置し、傾斜部105が係止部210又は支持部211(被嵌合部200の外縁)に接するまで、操作者が膨出部100を移動させる。これにより、傾斜部105が係止部210又は支持部211に接触しつつ、膨出部100は被嵌合部200内にスライドすることができる(図9(B)、矢印F2参照)。
【0067】
次に、膨出部100は被嵌合部200内に誘導されていき、被嵌合部200に嵌合する。これにより、第1連結部材10は第2連結部材20と連結する(図9(C)参照)。このように、本実施形態に係る連結具1では、複雑な操作等を必要とせず、容易に第1連結部材10と第2連結部材20とが連結する。
【0068】
この際、図9(C)の拡大図(Y)に示すように、係止部210が溝部115に係止する(突起部213が被係止部材110に当接する)ことで、第1連結部材10と第2連結部材20との安定な連結状態が維持される。一方で、第1連結部材10と第2連結部材20との連結状態を解除しようとする操作者による外力(第1連結部材10を第2連結部材20から取り外そうとする力)により、係止部210は撓み、溝部115に係止した状態が解除される。これにより、第1連結部材10は第2連結部材20から外れることになる。
【0069】
ここで、図9(B)に示す状態から図9(C)に示す状態において、第1突出部120が第2突出部220に接触する状況が起こりうるので、この状況について、図10を参照しながら説明する(図4A及び図7Aも参照)。図10は、第1連結部材10に第2連結部材20を取り付ける際に第1突出部120と第2突出部220とが接触した状態を示した説明図である。
【0070】
図10(A)に示すように、第1突出部120と、第2突出部220とは、夫々の頂点部122、222で突き合って接触する場合がある。この突き合う状態について図11も参照する。図11は、第1突出部120と第2突出部220とが突き合った状態を示した説明図である。第1突出部120と第2突出部220とは、面で接触するのではなく、頂点部122、222が点で接触するため、図10(A)及び図11に示す状態は、不安定な状態となる。この場合、第1連結部材10の自重により、第1突出部120は第2突出部220に形成された斜面223(斜面224でもよい)上を滑りながら動くことになる(図10(A)、矢印F3参照)。
【0071】
次に、斜面部123と斜面部223とが接触しながら、第1突出部120は、斜面223上を滑り動いて、斜面部123と斜面部223とが非接触状態となる。これにより、第1突出部120は、第1連結部材10の自重で第2連結部材20の基台201側(Z軸負方向側)に移動する(図10(B)、矢印F4参照)。
【0072】
そして、第1突出部120と第2突出部220とは隣接し合うようにして配置されることになる(図10(C)参照)。このとき、第1連結部材10と第2連結部材20とは連結が完了されている(図9(C)再参照)。
【0073】
このように、連結具1では、第1突出部120と第2突出部220とが突き合うことがあっても、面で接触するのではなく、頂点部122と、頂点部222とが点で接触する。そのため、その接触状態は、第1連結部材10の自重により解消される。
【0074】
また、図10(C)に示すように、第1突出部120と第2突出部220とが接し合うため、駆動部を有する本体部Bに取り付けられた第1連結部材10の回転により、第2突出部220が第1突出部120と連動し、第2連結部材20が回転する(図10(C)、矢印F5及びF6参照)。従って、連結具1では、本体部で駆動された動力が第2連結部材20に取り付けられたブラシCに伝達され、ブラシCは回転することができる。
【0075】
ここで、図12を参照しながら、本体部で駆動された動力の伝達について説明する。図12は、図9(C)におけるF−F矢視方向断面図である。
【0076】
図12に示すように、本体部Bの駆動により第1連結部材10が矢印F5の方向に回転することで、第1突出部120は第2突出部220と隣接し合う。そして、矢印F6の方向に第2突出部220が第1突出部120と連動するため、第2連結部材20も回転する(図10(C)も参照)。このようにして、連結具1では、第1連結部材10を取り付けた本体部Bによる動力が、第2連結部材20に取り付けられたブラシC等の清掃部に伝達されることになる。これにより、ブラシCは回転することができる。
【0077】
以上詳述したように、本実施形態に係る連結具1は、第1連結部材10の膨出部100が第2連結部材20の被嵌合部200(図6等再参照)に遊嵌可能であり、膨出部100は側周部が先端に向かうに従いすぼむ傾斜部105を有する(図3等再参照)。
【0078】
清掃装置の操作者は、この連結具1の第1連結部材10を清掃装置の本体部Bに取り付け、ブラシ等の清掃部を第2連結部材20に取り付けることができる。そして、操作者が膨出部100を第2連結部材20上で滑らせながら第1連結部材10を移動させることで、開口部104が被嵌合部200上に位置しつつ、傾斜部105は被嵌合部200の外縁に接することができる(図9参照)。これにより、傾斜部105が被嵌合部200の外縁と接しながら、膨出部100が被嵌合部200内へ滑り動くことで、第1連結部材10と第2連結部材20とは連結することができる。従って、連結具1では、複雑な操作を必要とせず、容易に第1連結部材10と第2連結部材20とを連結することができる。
【0079】
また、第2連結部材20には、被嵌合部200の開口部の周囲に複数の係止部210が配列されている(図6等再参照)。そして、膨出部100には、係止部210が係止可能な溝部115が少なくとも一条周設されている(図6等再参照)。
【0080】
そのため、連結具1では、第1連結部材10と第2連結部材20との連結状態を安定に維持することができる。また、第1連結部材10と第2連結部材20との連結状態を解消しようとする外力(第1連結部材10を第2連結部材20から取り外そうとする力)により係止部210が撓むことで、上記係止状態は解除される。これにより、連結具1では、第1連結部材10の第2連結部材20からの取り外しを容易に行うこともできる。
【0081】
更に、第1連結部材10には、円錐台形状を有する膨出部100の周囲に第1突出部120が突出形成されている。また、第2連結部材20には、第2突出部220が被嵌合部200の開口部の周囲に突出形成されている。
【0082】
本体部Bの駆動により、第1連結部材10が回転されると、第1突出部120と隣接した第2突出部220は、第1突出部120と連動することで、第2連結部材20が回転する。そのため、連結具1では、第1連結部材10に取り付けられた清掃装置の動力を、第2連結部材20に取り付けられたブラシやパッド等の清掃部に伝達することができる。
【0083】
また、第1突出部120及び第2突出部220は夫々の先端部に、第1連結部材10及び第2連結部材20の回転方向に傾斜した面が形成されている。
【0084】
第1連結部材10の第2連結部材20への取り付けにおいて第1突出部120と第2突出部220とが接触することがあっても、夫々の先端部が接触し合っているだけである。そのため、第1連結部材10の自重により、第1突出部120と第2突出部220とはその接触状態を解消することができる。
【0085】
更に、連結具1では、係止部210が、膨出部100の側周部に対面可能な壁面部212を有する。連結具1では、膨出部100は壁面部212に対面しつつ、回転移動することができる。また、係止部210は、壁面部212の先端部に設けられ、溝部115に係止可能な突起部213を有することもできる。突起部213については、第1連結部材10と第2連結部材20との脱着の作業を複数回繰り返しても、係止部210の疲労劣化による破損が抑制されるように、図8B等に示すように適宜最適な形状に形成することができる。
【0086】
なお、本実施形態では、第1連結部材10に本体部を取り付け、第2連結部材20にブラシやパッド等の清掃部を取り付ける場合を例に説明したが、連結具1は、かかる例に限定されるものではない。例えば、連結具1は、第1連結部材10に清掃部を取り付け、第2連結部材20に本体部を取り付ける構成であってもよい。
【符号の説明】
【0087】
1 連結具
10 第1連結部材
100 膨出部
101 第1基台
110 被係止部材
115 溝部
120 第1突出部
20 第2連結部材
200 被嵌合部
201 第2基台
210 係止部
212 壁面部
213 突起部
220 第2突出部
A 清掃装置
B 本体部
C ブラシ
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図8C
図9
図10
図11
図12