(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
略L字状に形成された取付板と支持板とを有する縦長の基枠体の該支持板に沿って、長尺の作動杆が摺動可能に配設され、該取付板にシリンダ錠がその錠軸を該基枠体内に挿入するように取り付けられ、該シリンダ錠の錠軸にカム部材が固定され、該作動杆には該カム部材の回動時に係合する係合部が設けられ、溝状のロック凹部を有するラッチ部材が該支持板の上部と下部に、前扉の閉鎖時、筐体側の受け具を受け入れて拘束するように回動可能に軸支され、該基枠体の取付板がゲーム機の前扉の内側に取り付けられ、ゲーム機の筐体の内側に該受け具が取り付けられ、該筐体の裏側に点検孔が設けられたゲーム機の施錠装置において、
該作動杆には、該ラッチ部材の係合部に係合して該ラッチ部材を施錠位置にロックするための係止ピンが取り付けられ、該ラッチ部材を解錠側に付勢するためのばね部材が設けられ、
該ラッチ部材は、該前扉を閉じて施錠するとき、該ラッチ部材が該受け具に押され、該ばね部材の付勢力に抗して施錠位置に回動したとき、該作動杆に設けた係止ピンが該ラッチ部材の係合部に係合して施錠位置にロックされ、
該カム部材の近傍を覆うカバーが、該作動杆の摺動方向に摺動可能に配設され、該カバーの摺動時に該作動杆と係合して該作動杆を解錠側に摺動させる係合部が該カバーの一部に設けられたことを特徴とするゲーム機の施錠装置。
前記基枠体には、該支持板、該作動杆、該ラッチ部材を覆う第1カバーが該カム部材近傍を開口して取り付けられ、該第1カバーの上部と下部には前扉の閉鎖時に受け具を進入させるための開口部が形成され、
該第1カバーには前記カム部材近傍を覆う第2カバーが該作動杆の摺動方向に摺動可能に取り付けられ、
該第2カバーの摺動時に該作動杆と係合して該作動杆を解錠側に摺動させる係合部が該第2カバーに設けられたことを特徴とする請求項1記載のゲーム機の施錠装置。
前記第2カバーの背面側には固定ねじが背面側からねじ込まれ、前記第1カバーに対し該第2カバーが該固定ねじにより固定されることを特徴とする請求項2記載のゲーム機の施錠装置。
前記第2カバーの一端近傍には係合片が設けられ、該第2カバーは該係合片を前記第1カバーの係合孔に係合させた状態で、1本の固定ねじを該第2カバーの他端近傍の固定孔に挿入して該第1カバーにねじ込み固定することを特徴とする請求項3記載のゲーム機の施錠装置。
略L字状に形成された取付板と支持板とを有する縦長の基枠体の該支持板の上部と下部に、鉤部材が上下に傾動可能に軸支され、該支持板に沿って、長尺の作動杆が摺動可能に配設され、該取付板にシリンダ錠がその錠軸を該基枠体内に挿入するように取り付けられ、該シリンダ錠の錠軸にカム部材が固定され、該作動杆には該カム部材の回動時に係合する係合部が設けられ、該基枠体の該取付板がゲーム機の前扉の内側に取り付けられ、該ゲーム機の筐体の内側に該受け具が取り付けられ、該筐体の裏側に点検孔が設けられ、該前扉の閉鎖時、該鉤部材が該受け具に係止されて施錠するゲーム機の施錠装置において、
該作動杆には、該鉤部材の係合部に係合して該鉤部材を施錠位置にロックするための係止部が設けられ、該鉤部材を施錠側に付勢するためのばね部材が設けられ、
該シリンダ錠による該前扉の解錠操作時、該カム部材が回動すると、該作動杆が解錠側に摺動して、該鉤部材が傾動し、該鉤部材と該受け具の係止が外れて解錠するように構成され、
該カム部材の近傍を覆うカバーが、該作動杆の摺動方向に摺動可能に配設され、該カバーの摺動時に該作動杆と係合して該作動杆を解錠側に摺動させる係合部が該カバーの一部に設けられたことを特徴とするゲーム機の施錠装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この施錠装置は、取付板と支持板とを有する基枠体の内側に長尺の作動杆が摺動可能に配設され、取付板の中間部にシリンダ錠が固定され、シリンダ錠の錠軸にカム部材が作動杆に係合可能に取り付けられ、基枠体の取付板が前面枠の内側に取り付けられ、本体枠の内側に受け具が取り付けられる。基枠体の支持板の上部と下部に受け具の進入を許容する開口凹部が形成され、開口凹部内の受け具を拘束する溝状のラッチ凹部を有する略半円形状のラッチ部材が上部と下部の開口凹部の近傍に各々回動可能に枢支される。
【0007】
ラッチ部材には係止ピンが移動可能に取り付けられ、支持板に係止ピンの先端が係合しガイドされるガイド係止孔がロック部を有して形成され、作動杆にはその移動時にラッチ部材の係止ピンに係合してロック部によるロックを外すように動作する作動係合部が設けられ、ラッチ部材を解錠側に付勢するばね部材が内蔵される。
【0008】
この施錠装置は、前面枠を閉じて施錠操作を行なったとき、上部と下部のラッチ部材のラッチ凹部に受け具の係止部が嵌入し、その係止部に押されてラッチ部材がラッチ位置に回動した時、ラッチ部材の係止ピンがガイド係止孔からロック部に移動し、ラッチ部材をラッチ位置にロックして施錠する。一方、解錠時にはシリンダ錠の操作によりカム部材を介して作動杆が移動すると、作動杆の作動係合部がロック部によるラッチ部材のロックを外すように動作し、ラッチ部材がばね部材の付勢力により解錠側に回動し、解錠する。
【0009】
ところで、この種の施錠装置は、ゲーム機に取り付けられて使用を開始した後、その基枠体からシリンダ錠とカム板を取り外し、それらの部材を交換する場合、作業者がシリンダ錠とカム板を基枠体から取り外した状態で、誤ってそのゲーム機の前扉を閉じた場合、施錠装置の鉤部材が本体枠側の受け金具に係止され、施錠状態となる。
【0010】
しかしながら、施錠装置を取り付けた前扉を一旦閉じて、シリンダ錠とカム板を外した施錠装置が施錠状態となった場合、シリンダ錠とカム板が基枠体から外されているため、ラッチ部材を解錠側に回動させることができない。
【0011】
或いは、シリンダ錠に不具合が発生し、適正キーを挿入して解錠操作しようとしても、シリンダ錠を解錠操作できないような緊急時、ゲーム機の扉を解錠することができない。このため、上記のような緊急時には、ゲーム機の筐体の裏側から何らかの操作を行なって、適正キーがない状態でも、解錠操作ができる施錠装置が要望されていた。
【0012】
本発明は、上記の点に鑑みなされたもので、緊急時、筐体の裏側からの操作により、解錠することができるゲーム機の施錠装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明の第1発明の施錠装置は、
略L字状に形成された取付板と支持板とを有する縦長の基枠体の該支持板に沿って、長尺の作動杆が摺動可能に配設され、該取付板にシリンダ錠がその錠軸を該基枠体内に挿入するように取り付けられ、該シリンダ錠の錠軸にカム部材が固定され、該作動杆には該カム部材の回動時に係合する係合部が設けられ、溝状のロック凹部を有するラッチ部材が該支持板の上部と下部に、前扉の閉鎖時、筐体側の受け具を受け入れて拘束するように回動可能に軸支され、該基枠体の取付板がゲーム機の前扉の内側に取り付けられ、ゲーム機の筐体の内側に該受け具が取り付けられ
、該筐体の裏側に点検孔が設けられたゲーム機の施錠装置において、
該作動杆には、該ラッチ部材の係合部に係合して該ラッチ部材を施錠位置にロックするための係止ピンが取り付けられ、該ラッチ部材を解錠側に付勢するためのばね部材が設けられ、
該ラッチ部材は、該前扉を閉じて施錠するとき、該ラッチ部材が該受け具に押され、該ばね部材の付勢力に抗して施錠位置に回動したとき、該作動杆に設けた係止ピンが該ラッチ部材の係合部に係合して施錠位置にロックされ、
該カム部材の近傍を覆うカバーが、該作動杆の摺動方向に摺動可能に配設され、該カバーの摺動時に該作動杆と係合して該作動杆を解錠側に摺動させる係合部が該カバーの一部に設けられたことを特徴とする。
【0014】
この発明によれば、例えばシリンダ錠に不具合が発生し、適正キーを挿入して解錠操作しようとしても、シリンダ錠を解錠操作できないような緊急時、ゲーム機の筐体の裏側に設けた点検孔などから、ドライバなどを挿入し、ドライバの先端でカバーを解錠側に摺動させるように動かせば、作動杆が解錠側に摺動し、係止ピンとラッチ部材との係合が外れ、ラッチ部材が回動して解錠することができる。また、カバーはその何れの部分を押しても、摺動して解錠することができるため、緊急時の解錠が容易となる。
【0015】
ここで、上記施錠装置において、該基枠体には、該支持板、該作動杆、該ラッチ部材を覆う第1カバーが該カム部材近傍を開口して取り付けられ、該第1カバーの上部と下部には前扉の閉鎖時に受け具を進入させるための開口部が形成され、該第1カバーには該カム部材近傍を覆う第2カバーが該作動杆の摺動方向に摺動可能に取り付けられ、該第2カバーの摺動時に該作動杆と係合して該作動杆を解錠側に摺動させる係合部が該第2カバーに設けられた構成とすることができる。
【0016】
これによれば、第1カバーにより支持板、作動杆、ラッチ部材が覆われ、背面側にラッチ部材などが突出しないので、ゲーム機の前扉を開いて保守点検などを行なう際、内側の突出部に干渉せずに、作業を容易に行うことができる。また、第1カバーに対し第2カバーをがたつきなく摺動するように、且つ容易に取り付けることができる。
【0017】
また、上記第2カバーの背面側には固定ねじが背面側からねじ込まれ、上記第1カバーに対し第2カバーを固定するように構成することが好ましい。これによれば、固定ねじにより第2カバーを固定するので、第2カバーを不正に摺動させる不正解錠を防止しつつ、緊急時には筐体の裏側の点検孔などから固定ねじを外して第2カバーを摺動させ、解錠することができる。
【0018】
さらに、上記第2カバーの一端近傍には係合片が設けられ、該第2カバーは該係合片を前記第1カバーの係合孔に係合させた状態で、1本の固定ねじを該第2カバーの他端近傍に挿入して該第1カバーにねじ込み固定するように構成することができる。
【0019】
これによれば、第2カバーを1本の固定ねじにより、簡単に固定できるとともに、緊急時には1本の固定ねじを外すのみで、第2カバーを摺動することができ、緊急解錠を迅速に行なうことができる。
【0020】
一方、本願の第2発明の施錠装置は、
略L字状に形成された取付板と支持板とを有する縦長の基枠体の該支持板の上部と下部に、鉤部材が上下に傾動可能に軸支され、該支持板に沿って、長尺の作動杆が摺動可能に配設され、該取付板にシリンダ錠がその錠軸を該基枠体内に挿入するように取り付けられ、該シリンダ錠の錠軸にカム部材が固定され、該作動杆には該カム部材の回動時に係合する係合部が設けられ、該基枠体の該取付板がゲーム機の前扉の内側に取り付けられ、該ゲーム機の筐体の内側に該受け具が取り付けられ、
該筐体の裏側に点検孔が設けられ、該前扉の閉鎖時、該鉤部材が該受け具に係止されて施錠するゲーム機の施錠装置において、
該作動杆には、該鉤部材の係合部に係合して該鉤部材を施錠位置にロックするための係止部が設けられ、該鉤部材を施錠側に付勢するためのばね部材が設けられ、
該シリンダ錠による該前扉の解錠操作時、該カム部材が回動すると、該作動杆が解錠側に摺動して、該鉤部材が傾動し、該鉤部材と該受け具の係止が外れて解錠するように構成され、
該カム部材の近傍を覆うカバーが、該作動杆の摺動方向に摺動可能に配設され、該カバーの摺動時に該作動杆と係合して該作動杆を解錠側に摺動させる係合部が該カバーの一部に設けられたことを特徴とする。
【0021】
この発明によれば、やはりシリンダ錠に不具合が発生し、適正キーを挿入して解錠操作しようとしても、シリンダ錠を解錠操作できないような緊急時、ゲーム機の筐体の裏側に設けた点検孔などから、ドライバなどを挿入し、ドライバの先端でカバーを解錠側に摺動させるように動かせば、作動杆が解錠側に摺動し、作動杆の係止部と鉤部材の係合部との係合が外れ、鉤部材が傾動して解錠することができる。また、カバーはその何れの部分を押しても、摺動して解錠することができるため、緊急時の解錠が容易となる。
【発明の効果】
【0022】
本発明のゲーム機の施錠装置によれば、針金等を使用した不正解錠を防止しつつ、シリンダ錠の不具合等により、適正キーでの解錠ができない緊急時には、筐体の裏側からの操作により、比較的容易に解錠することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1〜
図7に示す第1発明の施錠装置は、スロットマシン等のゲーム機の前扉41を、筐体40に対し施錠する施錠装置であり、その装置本体は、基体フレームを形成する縦長の基枠体1が横断面を略L字状(一部略コ字状)に形成され、正面側の取付板2と左側面側の支持板3とを備えて構成される。基枠体1の支持板3の上部と下部には、背面側から受け具を受け入れてロックするラッチ部材5,6が、各々、枢軸51,61を軸に回動可能に軸支される。
【0025】
さらに、基枠体1内には、ラッチ部材5,6のロック、アンロックを行なうために、支持板3に沿って、長尺の作動杆4が支持板3に沿って摺動可能に配設される。作動杆4の上部には係止ピン52が設けられ、作動杆4の下部には係止ピン62が設けられ、前扉41の閉鎖時に、受け具42の係止部43,44がラッチ部材5,6のロック凹部53,63に押し込まれたとき、ロックするために、ラッチ部材5,6には、係合部54、64が係止ピン52,62と係合可能に設けられる。
【0026】
図11等に示すように、取付板2の中間部が幅広に形成され、その幅広の部位に大径孔が形成される。シリンダ錠7は、取付板2の内側からその大径孔に挿入され、フランジ7bを取付板2の内側に当接させ、その錠軸7aを基枠体1内に入れる状態で、シリンダ錠7が取付板2に取り付けられる。シリンダ錠7の錠軸7aにはカム部材8が固定される。カム部材8には、
図8,9に示すように、係合凸部8a,8bが設けられ、作動杆4の中間部に、カム部材8の回動時、係合凸部8aと係合する係合部4aが設けられる。
【0027】
このような構造により、シリンダ錠7に適正鍵を挿入して回動操作すると、カム部材8が回動し、作動杆4が上に摺動する。つまり、シリンダ錠7の解錠操作時に鍵を右に回すと、カム部材8の係合凸部8aが上に回動して係合部4aと係合し、作動杆4を上昇させる。このとき、
図17に示すように、係止ピン52,62がラッチ部材5,6の係合部54,64との係合から外れ、ラッチ部材5,6がコイルばね37,38の付勢力によりアンロック方向に回動させて解錠する構造である。
図11に示す如く、支持板3の上部寄りと下部寄りには、開口部31,32が、受け具42の係止部43,44を保持するために、背面側に開口して形成され、その開口部31,32の直上にラッチ部材5,6が軸支される。これにより、施錠時、受け具42の係止部43,44がラッチ部材5,6に強固に保持される構造となっている。
【0028】
ラッチ部材5,6は、
図11、16,17に示すように、溝状のロック凹部53、63を有して形成され、施錠時、ロック凹部53、63には、受け具42の係止部43,44が進入して拘束されるように、ラッチ部材5,6が施錠位置まで回動する。ラッチ部材5,6には、
図11,16に示す如く、係合部55,65が設けられ、ラッチ部材5,6が施錠位置まで回動したとき、支持板3に設けたストッパ35,36に係合して、回動端で停止するようになっている。
【0029】
作動杆4には、ラッチ部材5,6の係合部54,64に係合してラッチ部材5,6を施錠位置にロックするための係止ピン52,62が取り付けられる。また、ラッチ部材5,6を解錠側に付勢するためのコイルばね(ばね部材)37,38が支持板3との間に掛けられている。なお、コイルばねに代えてトーションばねを使用することもできる。
【0030】
このように、ラッチ部材5,6は、前扉41を閉じると、ラッチ部材5,6が受け具42の係止部43,44に押され、コイルばね37,38に付勢力に抗して、施錠位置に回動し、作動杆4に設けた係止ピン52,62がラッチ部材5,6の係合部54,64に係合したとき、施錠位置にロックされるようになっている。
【0031】
なお、支持板3の上部と下部の、係止ピン52,62に対応した位置には、
図11,16のように、ガイド孔33,34が上下摺動方向に沿って設けられ、係止ピン52,62の端部がガイド孔33,34に係合してガイド摺動するようになっている。
【0032】
一方、
図12等に示すように、スイッチ作動杆19が作動杆4と支持板3との間に、上下摺動可能に配設される。スイッチ作動杆19は、シリンダ錠7を左に回したとき、カム部材8の係合凸部8bがスイッチ作動杆19の係合部19aと係合し、下降する。スイッチ作動杆19には、作動片19bが設けられ、下降時、図示しない非接触スイッチに作動片19bが作用して、リセット信号等を発生させるようになっている。
【0033】
また、支持板3の上部寄りには背面側に突出する突出部が設けられ、その突出部に支持ローラ9が回転自在に軸支される。この支持ローラ9は、前扉41の閉鎖時、筐体40側の受け具42に設けた滑り板45(
図13)に乗り上げ、前扉41の重量を支持する。
【0034】
基枠体1には、
図10〜12に示すように、細長い縦型の第1カバー10が、支持板3、作動杆4、ラッチ部材5,6を覆うように、取り付けられる。第1カバー10は、薄い板状空間を内部に有した断面コ字状に形成される共に、薄く細い長尺状に形成され、支持板3の背面側から被せるように固定される。第1カバー10の上部と下部には、前扉41の閉鎖時に、受け具42の係止部43,44を進入させるための開口部11,12が形成されている。
【0035】
さらに、第1カバー10には、カム部材近傍を開口するように開口部14が設けられるとともに、前扉41の閉鎖時に受け具42の滑り板45を進入させるための開口部13が形成される。第1カバー10の開口部14には、
図10などに示す如く、カム部材8の近傍を覆うように、第2カバー20が装着される。この第2カバー20は、第1カバー10上で作動杆4の摺動方向つまり上下に摺動可能に取り付けられ、第2カバー20の下部に設けた係合部24(
図9、12、19)を、作動杆4の係合部4bに係合可能としている。
【0036】
第2カバー20の動きをガイドするために、
図12、15、19に示すように、取付板2の一部を背面側に折り曲げてガイド部25が形成される。第2カバー20を基枠体1のカム部材近傍に装着したとき、第2カバー20の縁部がガイド部25の内側で摺動可能に保持される。さらに、第2カバー20の正面右側には、長方形状の凸部26(
図11、19)が設けられ、装着状態で、この凸部26を取付板2の内側縁部(折り曲げ部)に当接させ、これにより、第2カバー20ががたつきなく摺動できる構造となっている。
【0037】
このように、シリンダ錠7に不具合が発生した際などの緊急時に、ゲーム機の筐体40の裏側から挿入したドライバ等により、第2カバー20を上方に摺動させ、適正キーを使用せずに、係合部4bと係合部24とを介して作動杆4を上方に摺動させ、解錠できるようになっている。
【0038】
また、解錠側に摺動可能に配設される第2カバー20には、不正行為を防止するために、その背面側に固定ねじ23が背面側からねじ込まれ、第1カバー10に対し第2カバー20を固定する構造とされる。
【0039】
図8,9に示す如く、第2カバー20の一端(上部)近傍には係合片22が設けられ、第2カバー20は係合片22を第1カバー10の係合孔16に係合させた状態で、1本の固定ねじ23を第2カバー20の他端(下部)近傍に挿入して、第1カバー10のねじ孔15にねじ込み固定する。
【0040】
つまり、固定ねじ23を筐体40の裏側から挿入したドライバにより外した際には、容易に上側に摺動可能とし、第1カバー10の背面側に長方形状の係合孔16を設け、その係合孔16に、第2カバー20の対応位置に内側に向けて折り曲げ状に係合片22が設けられる。さらに、係合片22を係合孔16に係合させた状態で、第2カバー20に設けた固定孔21と一致する第1カバー10の位置にねじ孔15が形成される。
【0041】
これにより、第2カバー20を第1カバー10上に取り付ける場合、先ず、第2カバー20の係合片22を係合孔16に合わせ、次に、第2カバー20を上側(係止側)に摺動させる。これによって、第2カバー20の固定孔21と第1カバー10のねじ孔15を一致させ、この状態で、固定ねじ23を固定孔21及びねじ孔15にねじ込めば、係合片22を係合孔16の縁部に係止させた状態で、1本の固定ねじ23のみで、第2カバー20を簡単に固定することができる。
【0042】
また、緊急時に、第2カバー20を摺動させて解錠操作する際には、筐体40の点検孔46から挿入したドライバ等で固定ねじ23を外せば、ドライバ等で第2カバー20を上に摺動させることができ、この動作により、第2カバー20の係合部24と作動杆4の係合部4bを介して作動杆4を上に摺動させ、解錠操作を行なうことができる構造となっている。
【0043】
次に、上記構成のゲーム機の施錠装置の使用態様と動作を説明する。施錠装置は、
図14、15に示すように、ゲーム機の前扉41の内側の自由端側(向かって右側)に、取付板2を介して縦に固定され、筐体40内の対向位置(右側壁部内面)に縦長の受け具42が取り付けられる。
【0044】
図13に示す如く、受け具42は、帯板状の取付板の上部寄りと下部寄りに、平面コ字状の軸受部を固定し、その軸受部に軸ピン状の係止部43,44を水平横方向に取り付けて構成される。さらに、受け具42には、係止部43の下方の上記支持ローラ9に対応する位置に、滑り板45が水平に取り付けられ、このような受け具42は、筐体40の内壁面に縦に固定される。施錠装置は、前扉41の内側に縦に取り付けられ、且つシリンダ錠7の鍵口が前扉41の前面に露出するように取り付けられる。
【0045】
解錠した状態の施錠装置は、
図14、17のように、ラッチ部材5,6が、コイルばね37,38の付勢力により上側に回動し、係合部54,64がストッパ35,36に当接した状態であり、第1カバー10の開口部11,12内及び支持板3の開口部31,32内で、ラッチ部材5,6のロック凹部53、63が開放された状態となる。
【0046】
この状態で、前扉41を筐体40に対し閉じると、受け具42の上下の係止部43,44が、ラッチ部材5,6のロック凹部53、63の縁部を押し込むように作用し、ラッチ部材5,6は
図16,17の時計方向に回動する。このとき、上部と下部のラッチ部材5,6は、その係合部54,64が回動して、係止ピン52,62を乗り越え、係止ピン52,62を取り付けた作動杆4がコイルばね39により下方に付勢されるので、係合部54,64は係止ピン52,62に係止され、ラッチ部材5,6は、
図16に示すように、そのロック凹部53,63を拘束した状態で、係止ピン52,62によりロックされ、施錠状態となる。
【0047】
前扉41を解錠する場合、シリンダ錠7に鍵を挿入しその鍵を右に回すと、カム部材8が同方向に回動し、カム部材8の係合凸部8aが作動杆4の係合部4aに係合して、作動杆4を上方に摺動させる。このとき、作動杆4の上昇に伴い、係止ピン52、62が上昇し、ラッチ部材5,6の係合部54,64と係止ピン52,62との係合が外れ、上下のラッチ部材5,6は、
図17に示すように、コイルばね37,38の付勢力により反時計方向に回動する。これにより、ロック凹部53、63が背面側に開放され、受け具42の係止部43,44が拘束を解除され、解錠状態となる。
【0048】
一方、シリンダ錠7に不具合が発生し、適正キーを使用しても解錠操作ができないような緊急時、或いはゲーム機の使用が一旦終了して後、ゲーム機をリサイクルする際、適正キーがない状態で、ゲーム機の前扉41を解錠する必要性が生じた場合、
図18のように、ゲーム機の筐体40の裏側に設けられた点検孔46から、ドライバを挿入し、第2カバー20の固定ねじ23を緩めて外す。通常、ゲーム機の筐体40の裏面には複数の点検孔が形成されている。
【0049】
この状態で、第2カバー20はその上部の係合片22が第1カバー10の係合孔16に係合しているのみであり、上下に摺動可能となっているから、ドライバなどで、第2カバー20を少し押し上げれば、第2カバー20は上昇する。このとき、第2カバー20の係合部24が作動杆4の係合部4bと係合して、作動杆4が押し上げられ、これに伴い、作動杆4の上部と下部の係止ピン52,62が上に摺動する。このような作動杆4と係止ピン52,62の上昇によって、上記の如く、ラッチ部材5,6の係合部54,64との係合が外れ、ラッチ部材5,6は
図17のように反時計方向に回動し、解錠される。
【0050】
このように、適正キーを使用して解錠できないような緊急時には、筐体40の裏側の点検孔46からドライバを挿入して、1本の固定ねじ23を外し、第2カバー20をドライバ等で動かすのみの簡単な操作で、緊急解錠を迅速に行なうことができる。また、第2カバー20は比較的形状が大きく、その何れの部分を押しても、摺動して解錠することができるため、緊急時の解錠が容易となる。
【0051】
また、第2カバー20は第1カバー10の開口部14であるカム部材近傍を覆うため、不正解錠の防止に役立ち、第1カバー10により支持板3、作動杆4、ラッチ部材5,6が覆われるので、これによっても不正解錠を防止することができ、しかも、背面側にラッチ部材などが突出しないので、ゲーム機の前扉を開いて保守点検などを行なう際、内側の突出部に干渉せずに、作業を容易に行うことができる。
【0052】
なお、上記実施形態では、施錠するラッチ部材5,6が、前扉の閉鎖時、そのロック凹部53,63に受け具の係止部43,44を進入させ、回動して拘束する構造の施錠装置について説明したが、基枠体の支持板の上部と下部に、鉤部材を上下に傾動(揺動)に軸支した構造の施錠装置に、本発明を適用することもできる。
【0053】
この第2発明の施錠装置は、略L字状に形成された取付板と支持板とを有する縦長の基枠体の支持板の上部と下部に、鉤部材が上下に傾動可能に軸支され、支持板に沿って、長尺の作動杆が摺動可能に配設される。取付板にシリンダ錠がその錠軸を基枠体内に挿入するように取り付けられ、シリンダ錠の錠軸にカム部材が固定される。作動杆にはカム部材の回動時に係合する係合部が設けられ、基枠体の取付板がゲーム機の前扉の内側に取り付けられ、ゲーム機の筐体の内側に受け具が取り付けられ、前扉の閉鎖時、鉤部材が受け具に係止されて施錠する。
【0054】
この施錠装置の作動杆には、鉤部材の係合部に係合して鉤部材を施錠位置にロックするための係止部が設けられ、鉤部材を施錠側に付勢するためのばね部材が設けられる。シリンダ錠による前扉の解錠操作時、カム部材が回動すると、作動杆が解錠側に摺動して、鉤部材が傾動し、鉤部材と受け具の係止が外れて解錠する。
【0055】
このような構造の施錠装置においても、上記と同様に、カム部材の近傍を覆うカバーが、作動杆の摺動方向に摺動可能に配設され、カバーの摺動時に作動杆と係合して作動杆を解錠側に摺動させる係合部をそのカバーの一部に設けることができる。これによれば、適正キーを使用して解錠できないような緊急時には、筐体の裏側の点検孔からドライバを挿入して、固定ねじを外し、カバーをドライバ等で動かすのみの簡単な操作で、緊急解錠を迅速に行なうことができる。