【0008】
(第1の実施形態)
次に本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態の端末の構成を示すブロック図である。
図2は、第1の実施形態の端末の動作を示すシーケンス・チャートである。
図3は、第1の実施形態の端末を含む通信システムの動作を示すタイミング・チャートである。
図1を用いて、第1の実施形態の端末の構成について説明する。端末100は、通信制御部110、無線LAN通信部120、Bluetooth通信部130、PTA制御部140を備える。
通信制御部110は、一般的な端末機器と同様に、演算装置(Central Processing Unit、CPU)、記憶装置、入出力部、表示部、タイマーなどを備える。通信制御部110の内部の構成は、本発明の趣旨に直接関係しないため、詳細については省略する。通信制御部110では、オペレーティング・システム(Operating System、OS)や、通信制御や画像処理などを司るミドルウェア、アプリケーション・プログラムなどのプログラムが動作する。
無線LAN通信部120は、MAC(Media Access Control)部121とPHY(Physical Layer)部122を備え、IEEE802.11標準に準拠した無線LAN方式による通信を行う。PHY部122は、ISMバンドを使用した無線通信を行う。
Bluetooth通信部130は、LM(Link Manager)部131とBB(Baseband)部132を備え、IEEE802.15.1標準に準拠したBluetoothによる通信を行う。
PTA制御部140は、無線LAN通信部120及びBluetooth通信部130からのリクエストやステータスなどの情報を取得し、無線LAN通信部120とBluetooth通信部130との間の通信の調停を行う。
通信制御部110と、無線LAN通信部120及びBluetooth通信部130とは、SDIO(Secure Digital Input/Output)やUSB(Universal Serial Bus)などのワイヤード(有線)・インタフェースで接続される。このインタフェースは本発明の趣旨に直接関係しないため、インタフェースの種類は特に限定されない。また、説明の便宜上、
図1では、PTA制御部140、無線LAN通信部120、Bluetooth通信部130が、別個のブロックとして表記されているが、実現形態は
図1の構成に限定されるものではない。
次に、
図2のシーケンス・チャートを参照して、端末100の動作について説明する。以下の説明では、インターネット通信で一般的に使われるTCP/IPプロトコルにおいて使用される、DHCPプロトコルを一例として説明する。DHCPプロトコルとは、IPアドレスを取得する際に使われるプロトコルである。
始めに、無線LAN端末機器の通信制御部120は、TCP/IP通信を行うために必要となるIPアドレスの取得を開始する(ステップS11)。TCP/IP通信では、IPアドレスを取得するために、一般的にDHCPプロトコルが使用される。
IPアドレスを取得する際、通信制御部110の通信ミドルウェア(TCP/IPプロトコル・スタック)は、最初にDHCP Discoverをネットワークに送信する(ステップS12)。DHCP Discoverは、無線LAN通信部120によって、ネットワーク上のDHCPサーバーへ転送される(ステップS23)。すなわち、DHCP Discoverは、無線LAN通信部120と、無線LAN通信部120に対向する外部の無線LAN通信装置(図示なし、以降、「対向無線LAN装置」という)に中継され、DHCPサーバーへ転送される。従って、無線LAN通信部120は、実際には対向無線LAN装置へDHCP Discoverを送信する。
なお、無線LAN通信部120が対向無線LAN装置へDHCP Discoverを送信する前に、後述のように、無線LAN通信部120は、DHCP Discoverの受信の有無を検出する(ステップS21)。そして、無線LAN通信部120は、DHCP Discoverの受信を検出すると、Bluetooth通信部130に対して通信停止の要求を出す(ステップS22)。従って、無線LAN通信部120は、Bluetooth通信部130による通信が停止している期間に、対向無線LAN装置へDHCP Discoverを送信することができる。
DHCPサーバーは、DHCP Discoverを受信すると、DHCP Offerを用いて、候補となるIPアドレスを返信する。DHCP Offerは、対向無線LAN装置と無線LAN通信部120によって、通信制御部110へ転送される。すなわち、無線LAN通信部120は、対向無線LAN装置からDHCP Offerを受信する(ステップS24)。そして、無線LAN通信部120は、通信制御部110へDHCP Offerを送信する(ステップS25)。このとき、DHCP Offerの宛先MACアドレスがブロードキャストになっていることがある。
前述のとおり、宛先MACアドレスがブロードキャストの場合、対向無線LAN装置は、端末100がPSモードにあっても、DTIMが含まれるビーコンの直後に送信してしまう。そのため、無線LAN通信部120とBluetooth通信部130とが競合して動作している場合、Bluetooth通信部130が送受信する信号の妨害によって、無線LAN通信部120がDHCP Offerの受信に失敗する可能性がある。
DHCP Offerの受信失敗を防止するために、無線LAN通信部120は、通信制御部110からのDHCP Discoverの受信の有無を検出する(ステップS21)。そして、無線LAN通信部120は、DHCP Discoverの受信を検出すると、PTA制御部140を介して、Bluetooth通信部130に対して通信の停止を要求する(ステップS22)。これにより、DHCP Offerの宛先MACアドレスがブロードキャスト・アドレスであっても、Bluetooth通信部130による通信の妨害で、DHCP Offerの受信に失敗する可能性を排除することができる。上記のように、無線LAN通信部120は、対向無線LAN装置から受信したDHCP Offerを、通信制御部110へ転送する(ステップS25)。このように、無線LAN通信部120は、Bluetooth通信部130による通信が停止している期間に、対向無線LAN装置からDHCP Offerを受信することができる。
通信制御部120は、DHCP Offerによって候補となるIPアドレスを受信する(ステップS13)。そして、通信制御部120は、受信したIPアドレスに問題がないとき、正式にそのIPアドレスを使うことを要求するために、DHCP Requestを送信する(ステップS14)。DHCP Requestは、無線LAN通信部120に受信され(ステップS26)、DHCP Discoverと同様に、無線LAN通信部120と対向無線LAN装置に中継され、DHCPサーバーへ転送される。このように、無線LAN通信部120は、Bluetooth通信部130による通信が停止している期間に、対向無線LAN装置へDHCP Requestを送信することができる。
DHCP Requestを受信したDHCPサーバーは、正式に許可を与えるためにDHCP Ackを返信する。DHCP Ackは、DHCP Offerと同様に、対向無線LAN装置と無線LAN通信部120によって、通信制御部110へ転送される(ステップS27)。このDHCP Ackも宛先MACアドレスがブロードキャスト・アドレスになっていることがある。しかし、Bluetooth通信部130による通信の停止は継続している。そのため、無線LAN通信部120は、Bluetooth通信部130による通信の妨害を受けることなく、対向無線LAN装置からDHCP Ackを受信することができる。
さらに、無線LAN通信部120は、DHCP Ackの受信を検出すると(ステップS28)、PTA部を介して、Bluetooth通信部130に対して通信の停止を解除する(ステップS29)。なお、通信制御部110へのDHCP Ackの転送(ステップS27)は、ステップS29の処理の後でもよい。
通信制御部120は、DHCP Ackを受信する(ステップS15)ことによって、先に受信したIPアドレスの使用が許可されたことを確認し、IPアドレスの取得処理を終了する(ステップS16)。
図3は、
図2を使って説明した動作を、タイミング・チャートで示したものである。
図3のように、端末100によって送信されたDHCP Discoverは、対向無線LAN装置を経由してネットワーク上のDHCPサーバーに届く。
DHCPサーバーは、候補となるIPアドレスをDHCP Offerによって通知する。このとき、宛先MACアドレスはブロードキャストであることがある。端末100がPSモードにある場合、対向無線LAN装置は、一旦、DHCP Offerパケットをバッファリングし、DTIMを含むビーコンの直後に送信する。
DHCP Offerを受信した端末100は、提示されたIPアドレスに問題がなければ、続いてDHCP Requestを送信して、提示されたIPアドレスの使用を正式に要求する。
端末100からのDHCP Requestを受けたDHCPサーバーは、その要求に対してDHCP Ackによって正式な許可を与える。
端末100は、DHCP Discoverを送信してから、DHCP Ackを受信するまで、すなわち、一連のDHCPシーケンスの開始から終了までの間、Bluetooth通信部130による通信を停止させ、Bluetoothによる無線LANへの干渉を防止して、DHCPシーケンスを成功させる。
すなわち、端末100では、DTIM情報を含むビーコンが送信されるタイミングより前に、Bluetooth通信部130に対して通信の停止を要求する。そして、端末100は、マルチキャスト又はブロードキャストのパケットの受信を終了するまでの間、無線LANの通信を優先する。以上の制御によって、Bluetoothによる干渉を排除して、無線LANのマルチキャスト又はブロードキャストを受信できるようにする。
以上説明したように、本実施形態の端末は、無線LAN通信部とBluetooth通信部を備え、無線LAN通信部が所定のパケットを送受信する間は、Bluetooth通信部による通信を停止させる。そのため、Bluetoothによる無線LANへの干渉を防止することができるという効果がある。
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、DHCP Discoverの送信を契機にBluetooth通信部130に対して通信の停止を要求し、DHCP Ack受信を契機に通信の停止を解除する。そのため、DHCPシーケンスの期間中は、Bluetooth通信部130による通信は完全に停止してしまう。これに対して、以下のような制御を追加することによって、Bluetooth通信部130の通信停止期間を短縮することができる。
前述のとおり、宛先MACアドレスがブロードキャストのアドレスであるパケットは、DTIMを含むビーコン(以降、「DTIMビーコン」という)を送出した直後に対向無線LAN通信装置から送信される。そこで、第2の実施形態の通信システムでは、DHCPシーケンスの開始から終了までBluetoothの通信を停止するのではなく、DTIMビーコンが送信されるタイミングから、Bluetooth通信部130による通信を停止させる。そして、宛先がブロードキャスト・アドレスになっているDHCP Offerパケット又は、DHCP Ackパケットを受信したタイミングで、Bluetooth通信部130の通信停止を解除する。
第2の実施形態の通信システムの動作の、シーケンスを
図4に、タイミング・チャートを
図5に示す。なお、本実施形態の端末の構成は、
図1と同じである。
図4のように、無線LAN通信部120は、DTIMビーコンが送信されるタイミングより所定時間だけ前に設定されたタイミング(Bluetooth停止要求タイミング)を検出する(ステップS31)。そして、無線LAN通信部120は、Bluetooth通信部130に対して通信の停止を要求する(ステップS22)。そして、無線LAN通信部120は、DHCP Offerを通信制御部110へ送信すると(ステップS25)、Bluetooth通信部130に対して通信の停止を解除する(ステップS29)。ステップS32についてはステップS31と、ステップS33についてはステップS22と同じ処理を行う。ステップS34では、無線LAN通信部120がDHCP Ackを通信制御部110へ送信(ステップS27)した後、Bluetooth通信部130に対して通信の停止を解除する。
なお、ステップS31におけるBluetooth停止要求タイミングは、実際にDTIMビーコンが送信されるタイミングより前にステップS22を実行し、Bluetooth通信部130による通信を停止させる必要があるために設定されたものである。
以上のように、本実施形態の端末は、DTIMビーコンの送信タイミングから、DHCP Offer、DHCP Ack等、所定のパケットを送信するまで、Bluetooth通信部130による通信を停止させる。従って、Bluetooth通信部130の通信停止期間を極力短くすることができるという効果がある。
(第3の実施形態)
次に第3の実施形態について説明する。第1及び第2の実施形態は、無線LAN通信部120がPSモードにあることを前提とした。第3の実施形態では、DHCP Discoverの送信を契機にBluetooth通信部130に対して通信停止を要求するとともに、無線LAN通信部120自身がPSモードからアクティブ・モードに遷移する。
従って、対向無線LAN通信装置は、接続しているすべての端末がアクティブ・モードの場合、DTIMビーコンの送信タイミングを待たずして、ブロードキャスト又はマルチキャストのパケットを送信することができる。
無線LAN通信部120は、宛先がブロードキャスト・アドレスになっているDHCP Offerパケット又は、DHCP Ackパケットを受信すると、Bluetoothの通信停止を解除するとともに、端末100自身がPSモードに遷移する。
以上のように、本実施形態の端末は、Bluetoothの通信を停止させるときにアクティブ・モードに遷移し、Bluetoothの通信停止を解除するときにPSモードに遷移する。従って、端末100の消費電力を削減することができるという効果がある。
第1乃至第3の実施形態は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、DHCPプロトコル以外の場合でもマルチキャスト又はブロードキャストでパケットが送られてくる場合に適用することができる。
(第4の実施形態)
第1乃至第3の実施形態では、通信方式の例として、無線LANとBluetoothを使用し、無線LAN通信部による通信が行われるときに、Bluetooth通信部の動作が停止されるという実施形態を示した。第1乃至第3の実施形態の説明から明らかなように、これらの実施形態では、ある通信部が通信を行うときに、他の通信部の動作を停止させることに特徴がある。従って、本発明で使用される通信方式は、無線LANとBluetoothには限定されない。また、外部の通信装置(第1乃至第3の実施形態では、対向無線LAN通信装置)との間で送受信されるパケットも、DHCPに関連したパケットに限定されない。すなわち、本発明は、独立して動作する複数の通信部を備える一般の通信装置における、一般の情報通信に適用することができる。
さらに、ある通信部による通信が行われるときには、他の通信部による干渉を防止するためには、他の通信部による通信自体を停止させる必要はなく、他の通信部による信号の送信のみを停止させれば十分である。
なお、本発明は、外部の通信装置からの信号による干渉の防止を対象としていない。ただし、他の通信部による信号の送信を停止させることによって、間接的に外部の通信装置からの信号の送信が減少し、結果的に外部の通信装置からの信号による干渉も抑制される可能性はある。
第4の実施形態は、以上の本発明の特徴点を踏まえた実施形態で、本発明を実施するために必要な最小の構成のみを備える。
図6は、本発明の第4の実施形態の通信装置の構成を示すブロック図である。本実施形態の通信装置10は、第1の通信部11と第2の通信部12を備える。
第1の通信部11は、第1の通信手段13、停止手段14を含む。第1の通信手段13は、第1の送信信号25の送信を行う。さらに、第1の通信手段13は、第1の受信信号(図示なし)の受信も行ってもよい。停止手段14は、第1の通信手段13による第1の送信信号25の送信を停止させる。
第2の通信部12は、第2の通信手段15、通信調停手段16を含む。
第2の通信手段15は、第1の送信信号25による干渉を受ける通信信号を使用して第2の通信方式による通信を行う。通信信号は、具体的には、第2の通信手段15によって送信される送信信号23、及び第2の通信手段15によって受信される受信信号24である。
通信信号は、例えば、第1の送信信号25が伝播する媒体と同じ媒体中を伝播する信号で、使用される周波数帯が第1の送信信号25と等しい。そのため、第1の送信信号25が送信されているときには、通信信号は第1の送信信号25によって何らかの干渉を受ける。そこで、第2の通信手段15による通信が行われるときには、第1の送信信号25の送信を停止させるというのが本実施形態の趣旨である。
通信調停手段16は、外部の通信装置(図示なし)へ送信される情報中、又は、第2の通信手段15によって外部の通信装置から受信された情報中に、所定の情報を検出したとき、停止手段14に第1の送信信号25の送信の停止又は停止の解除を指示する。外部の通信装置へ送信される情報とは、第2の送信信号23に含められて送信される情報である。外部の通信装置から受信された情報とは、第2の受信信号24に含められて送信されてきた情報である。
例えば、通信調停手段16は、送信情報21の中に第1の情報を検出すると、停止手段14へ送信制御信号22を出力し、第1の通信手段13による第1の送信信号25の送信を停止させる。そして、通信調停手段16は、受信信号24の中に第2の情報を検出すると、停止手段14へ送信制御信号22を出力し、第1の通信手段13による第1の送信信号25の送信の停止を解除する。上記のケースは、通信装置10が通信を開始させ、外部の通信装置がその通信を終了させる場合等に相当する。
あるいは、通信調停手段16は、受信信号24の中に第2の情報を検出すると第1の通信手段13による第1の送信信号25の送信を停止させ、送信情報21の中に第1の情報を検出すると第1の送信信号25の送信の停止を解除してもよい。上記のケースは、通信装置10が外部の通信装置からの要求に従って通信を開始させ、通信装置10がその通信を終了させる場合等に相当する。
その他にも、通信調停手段16は、送信情報21の中に第1の情報を検出したときに第1の送信信号25の送信を停止させ、送信情報21の中に第3の情報を検出したときに停止を解除してもよい。あるいは、通信調停手段16は、受信信号23の中に第2の情報を検出したときに第1の送信信号25の送信を停止させ、受信信号23の中に第4の情報を検出したときに停止を解除してもよい。以上のように、通信装置10は、送信する情報又は受信した情報中に所定の情報を検出することを契機として、第1の通信手段13による第1の送信信号25の送信の停止又は停止の解除を行う。すなわち、通信装置10は、送信情報21又は受信信号23の中に所定の情報を検出すると、第1の送信信号25の送信を停止させ、第2の通信手段15のみが動作可能な状態に設定する。また、通信装置10は、送信情報21又は受信信号23の中に所定の情報を検出すると、第1の送信信号25の送信の停止を解除し、第1の通信手段13のみを動作可能な状態に設定する。
従って、送信情報21又は受信信号24の中に所定の情報を含ませるのみで、第1の送信信号25の送信を停止させ、第2の送信信号23及び第2の受信信号24への第1の送信信号25による干渉を防止することができる。そして、送信情報21又は受信信号24の中に所定の情報を含ませるのみで、第1の送信信号25の送信の停止を解除することができる。すなわち、第2の通信部12による通信において交換される情報の中に所定の情報を含ませるのみで、第1の通信部11による信号の送信を停止させたり、停止を解除したりすることができるという効果がある。
さらに、通信装置10は、送信情報21の中に第1の情報を検出すると、送信情報21を第1の送信信号23を用いて送信するときに、第1の通信手段13を停止させ、第2の通信手段15のみを動作可能にしてもよい。この場合も、送信情報12を含む第2の送信信号23は、第1の送信信号25の干渉を受けることがない。通信装置10は、第2の受信信号24中に第2の情報を検出すると、第1の通信手段13の停止を解除し、動作可能な状態に設定する。従って、第2の通信手段15が、第1の情報を送信してから第2の情報を受信するまで、第2の送信信号23及び第2の受信信号24が第1の送信信号23による干渉を受けることがない。
このように、第1の通信手段13による第1の送信信号25の送信を停止させるとき、第1の通信手段13の動作のすべてを停止させてもよい。この場合、第1の通信手段13による信号の送受信がすべて停止するので、第2の通信手段15への干渉は防止される。なお、第1の通信手段13による通信が停止しているときの第1の通信部11の消費電力は、第1の通信手段13による通信が可能な状態にあるときの消費電力よりも小さいことが望ましい。
また、第2の通信手段15も、第2の送信信号24の送信を停止させる停止手段を備えてもよい。この場合、第2の通信手段15による信号の受信は可能であるが、第1の通信手段13による通信への干渉は防止される。あるいは、第2の通信手段15も、第2の通信手段15の動作のすべてを停止させる停止手段を備えてもよい。第2の通信手段15の動作が停止しているときの第2の通信部12の消費電力は、第2の通信手段15の動作が可能な状態にあるときの消費電力よりも小さいことが望ましい。
通信調停手段16の処理は、第2の通信部12に内蔵されたCPU(図示なし)によるプログラム制御によって行うことができる。
図7は、本発明の第4の実施形態の端末の通信調停手段16の動作を示すフローチャートである。
始めに、通信調停手段16は、送信情報21又は受信信号24中に第1の情報が含まれるか否かを判定する(ステップS1)。第1の情報が含まれるとき(ステップS1:Yes)、通信調停手段16は、第1の送信信号25の送信を停止する(ステップS2)。
第1の情報が含まれないとき(ステップS1:No)、通信調停手段16は、送信情報21又は受信信号24中に第2の情報が含まれるか否かを判定する(ステップS3)。第2の情報が含まれるとき(ステップS3:Yes)、通信調停手段16は、第1の送信信号25の送信の停止を解除する(ステップS4)。
送信情報21又は受信信号24中に、第1の情報及び第2の情報が含まれないとき(ステップS3:No)、通信調停手段16は、処理を終了する。
(第5の実施形態)
第5の実施形態も、本発明を実施するために必要な最小の構成を備える通信装置である。本実施形態の通信装置10は、
図6に示した第4の実施形態の通信装置と同じ構成を備える。ただし、第4の実施形態と第5の実施形態とは、第1の通信手段13を停止する条件及び又は停止を解除する条件が異なる。
本実施形態の通信装置10は、第1の通信部11と第2の通信部12を備える。第1の通信部11は、通信を行う第1の通信手段13と、前記第1の通信手段による通信を停止させる停止手段14を含む。第2の通信部12は、通信を行う第2の通信手段15と通信調停手段16を含む。
本実施形態の通信装置10の通信調停手段16は、外部の通信装置との間で所定のパケットを送受信する基準タイミングに同期して停止手段14に停止又は停止の解除を指示する。すなわち、通信調停手段16は、基準タイミングを検出すると、停止手段14に停止又は停止の解除を指示する。なお、上記の「同期」は、基準タイミングと一定の関係を持つことを意味し、タイミングが完全に一致することまでは要求しない。
また、通信調停手段16は、外部の通信装置へ送信される情報中、又は、第2の通信手段15によって外部の通信装置から受信された情報中に、所定の情報を検出したとき、停止手段14に停止を指示、又は停止手段14に停止の解除を指示する。
例えば、通信調停手段16は、基準タイミングを検出すると、停止手段14へ送信制御信号22を出力し、第1の通信手段13による第1の送信信号25の送信を停止させる。そして、通信調停手段16は、受信信号24の中に第2の情報を検出すると、停止手段14へ送信制御信号22を出力し、第1の通信手段13による第1の送信信号25の送信の停止を解除する。上記のケースは、通信装置10が所定のタイミングで通信を開始させ、外部の通信装置がその通信を終了させる場合等に相当する。
以上のように、本実施形態の通信装置10は、所定のタイミングで第1の送信信号25の送信を停止させ、第2の通信手段15のみを動作可能にする。従って、所定のタイミング中は、送信信号24及び受信信号23が第1の送信信号25による干渉を受けることがないという効果がある。
なお、通信調停手段16が、受信信号24の中に第2の情報を検出すると第1の通信手段13による第1の送信信号25の送信を停止させ、基準タイミングを検出すると第1の送信信号25の送信の停止を解除してもよい。
通信調停手段16の処理は、第2の通信部12に内蔵されたCPU(図示なし)によるプログラム制御によって行うことができる。
図8は、本発明の第5の実施形態の端末の通信調停手段16の動作を示すフローチャートである。
始めに、通信調停手段16は、基準タイミングを検出する(ステップS5)。基準タイミングを検出すると(ステップS5:Yes)、通信調停手段16は、第1の送信信号25の送信を停止する(ステップS2)。
第1の情報が含まれないとき(ステップS5:No)、通信調停手段16は、送信情報21又は受信信号24中に第2の情報が含まれるか否かを判定する(ステップS3)。第2の情報が含まれるとき(ステップS3:Yes)、通信調停手段16は、第1の送信信号25の送信の停止を解除する(ステップS4)。
送信情報21又は受信信号24中に、第1の情報及び第2の情報が含まれないとき(ステップS3:No)、通信調停手段16は、処理を終了する。
なお、第4及び第5の実施形態は、その手段の一部を組み合わせることができる。例えば、第1の通信手段の停止条件として第4の実施形態の条件を適用し、第1の通信手段の停止解除条件として第5の実施形態の条件を適用してもよい。あるいは、その逆でもよい。
また、第2の通信部にも、第2の通信手段の停止手段を備え、第1の通信手段の停止又は解除に対応させて、第2の通信手段を停止又は解除させてもよい。すなわち、第1の通信手段の停止させるときには第2の通信手段の停止を解除し、第1の通信手段の停止を解除するときには第2の通信手段を停止させてもよい。
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
この出願は、2010年3月1日に出願された日本出願特願2010−044014を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。