特許第5809134号(P5809134)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5809134
(24)【登録日】2015年9月18日
(45)【発行日】2015年11月10日
(54)【発明の名称】排気管内に流体を噴射する噴射システム
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/023 20060101AFI20151021BHJP
   F01N 3/025 20060101ALI20151021BHJP
   F01N 3/029 20060101ALI20151021BHJP
   F01N 3/36 20060101ALI20151021BHJP
【FI】
   F01N3/02 321B
   F01N3/36 A
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-516596(P2012-516596)
(86)(22)【出願日】2010年4月26日
(65)【公表番号】特表2012-530868(P2012-530868A)
(43)【公表日】2012年12月6日
(86)【国際出願番号】EP2010055491
(87)【国際公開番号】WO2010149409
(87)【国際公開日】20101229
【審査請求日】2011年12月22日
(31)【優先権主張番号】102009027182.1
(32)【優先日】2009年6月25日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501125231
【氏名又は名称】ローベルト ボッシュ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100095957
【弁理士】
【氏名又は名称】亀谷 美明
(74)【代理人】
【識別番号】100096389
【弁理士】
【氏名又は名称】金本 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100101557
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100128587
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 一騎
(72)【発明者】
【氏名】ロイジング、フォルカー
(72)【発明者】
【氏名】ヴァイラオホ、クリス
(72)【発明者】
【氏名】シュタイン、シュテファン
【審査官】 今関 雅子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−221024(JP,A)
【文献】 特開2005−307769(JP,A)
【文献】 特開2002−081311(JP,A)
【文献】 特表2009−503328(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/02−3/38
B01D 53/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気管内に流体を噴射するための噴射システムであって、
前記噴射システムは、
少なくとも2つのモジュールと、
少なくとも1つの圧力補正容積室(44、46、48、54、56)と、
を有し、
各モジュールは、前記排気管内に流体を噴射するように構成された少なくとも1つの噴射ユニット(40、50、60)を備え、
前記圧力補正容積室(44、46、48、54、56)は、前記モジュールの少なくとも1つに対して前記流体を供給するように構成され、前記モジュールの少なくとも2つを互いに連結し、個々のモジュール間の圧力の脈動の伝達を抑制し、
前記圧力補正容積室(44、46、48、54、56)は所定の容積を有し、前記圧力補正容積室(44、46、48、54、56)には燃料が充填され、
少なくとも第1の前記モジュールは、前記流体を調量するための調量ユニット(10、20、30;21、31)を有し、
前記調量ユニット(10、20、30)は、前記流体の供給を遮断するための遮断弁(12、22、32)と、前記流体を調量するための調量弁(14、24、34)と、を有し、前記遮断弁(12、22、32)の出口は、前記調量弁(14、24、34)の入口と連結され、
第2の前記モジュールの入口側は、前記圧力補正容積室(44、46)を介して、第1の前記モジュールの前記遮断弁(12)の出口と連結される、噴射システム。
【請求項2】
前記噴射システムは第3のモジュールを有し、
前記第3のモジュールの入口側が、前記圧力補正容積室(46)と連結される、請求項1に記載の噴射システム。
【請求項3】
第2の前記モジュールは遮断弁(22)を備え、
前記噴射システムは第3のモジュール及び第2の圧力補正容積室(54)を有し、
前記第3のモジュールの入口側は、前記第2の圧力補正容積室(54)を介して、第2の前記モジュールの前記遮断弁(22)の出口と連結される、請求項1に記載の噴射システム。
【請求項4】
第1の前記モジュールのみが前記遮断弁(12)を有する、請求項1又は2に記載の噴射システム。
【請求項5】
前記噴射システムは、前記流体を調量するための少なくとも1つの前記調量ユニット(10)を有し、
別の圧力補正容積室(56)を有し、
前記別の圧力補正容積室(56)は前記調量ユニット(10)と前記噴射ユニット(40、50、60)とを連結し、前記別の圧力補正容積室(56)には、前記調量ユニット(10)により前記流体が充填可能である、請求項1に記載の噴射システム。
【請求項6】
前記噴射ユニットは、前記排気管内に配置された触媒コンバータの上流側で、前記流体を当該排気管内に噴射可能であるように構成される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の噴射システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気管内に流体を噴射する噴射システムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の内燃機関の排気システム内にパティキュレートフィルタ(Partikelfilter)を取り付けることは公知である。内燃機関が例えばディーゼルエンジンの場合には、パティキュレートフィルタは、例えば、固体粒子除去フィルタ(Russfilter)として機能し、そのフィルタ効果によって、細かな煤による負荷を低減する。特定の使用期間の後にフィルタが詰まることを防止するために、時折フィルタを再生する必要がある。当該再生は、例えば約600度まで温度を上げることにより行われ、これにより、微粒子、特に、固体粒子が燃焼する。このことは、全ての作動状態において、エンジン対策(エンジン制御)(motorische Massnahme)によって可能ではないため、温度上昇は、噴射弁を介して排気管内へと噴射される燃料、例えばディーゼル油により達成される。噴射された燃料は、パティキュレートフィルタの前に配置された酸化触媒コンバータに達する。酸化触媒コンバータ内に達した燃料は酸化され又は燃焼され、排気ガスの温度が上昇することとなり、対応する高温の排気ガスが、後段のパティキュレートフィルタに到達し、再生を引き起こす。
【0003】
パティキュレートフィルタを再生する方法及び装置が、例えば、独国特許出願公開第102005034704号明細書、独国特許出願公開第102006062491号明細書、及び、独国特許出願公開第102006057425号明細書に記載されている。
【0004】
排気管内に流体を噴射する従来の公知のシステムは、1つの排気管のためにのみ利用可能であり、噴射する流体量を任意に増やすことが出来ない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、排気管内に流体を噴射するための改善されたシステムであって、複数の排気系を備えた排気システムに容易に調整可能であり任意の大きさの流体量を噴射することを可能とする上記システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本課題は、独立請求項1に記載の噴射システムにより解決される。従属請求項は、独立請求項1に記載の本発明にかかる噴射システムの好適な構成を記載する。
【0007】
本発明にかかる噴射システムは、少なくとも2つのモジュールと、少なくとも1つの圧力補正容積室を有する。この圧力補正容積室は、上記モジュールの少なくとも1つに対して流体を供給するように構成され、当該モジュールの少なくとも2つを互いに油圧連結する。各上記モジュールは、流体を受けるための入口と、排気管内に流体を噴射するように構成された少なくとも1つの噴射ユニットと、を有する。
【0008】
モジュール構成によって、本発明にかかる噴射システムは、多段排気システム(多流(マルチフロー)排気システム)と、噴射される流体に対する様々な量の要請と、に対して容易に調整可能である。特に、追加的なモジュールを付け加えることによって、任意の大きさの噴射量が噴射されうる。
【0009】
本発明に基づいて設けられる圧力補正容積室は、個々のモジュール間の圧力の脈動(Druckschwingung)の伝達を抑制する。従って、各モジュールに基本的に一定の圧力条件が備わることが保障される。このことは、所定の噴射量を正確に噴射することを可能とする。
【0010】
実施形態において、少なくとも第1のモジュールは、流体を調量するための調量ユニットを有する。このような調量ユニットによって、所望の噴射量を正確に設定することが出来る。
【0011】
更なる別の実施形態において、調量ユニットは、流体供給を遮断するための遮断弁と、流体を調量するための調量弁と、を有する。ここで、遮断弁の出口は、調量弁の入口と油圧連結される。直列に相前後して配置された遮断弁及び調量弁を備える調量ユニットのこのような構成により、流体供給を確実に遮断することが可能になる一方で、所望の噴射量の正確な調量が可能となる。流体供給が遮断弁により、調量弁に依存せずに遮断可能であることによって、当該調量弁の誤動作の際にも、コントロールされることなく流体が溢れ出ることが確実に防止される。噴射システムの安全性がこのように高められる。
【0012】
実施形態において、モジュールの入口側は、共通の流体供給部と油圧連結される。ここで、共通の流体供給部は、少なくとも部分的に圧力補正容積室として構成される。少なくとも部分的に圧力補正容積室として構成される流体供給部は、モジュール間の必要な圧力非連結(Druckentkopplung)のために役立つ。対応する大きさの容積室が、例えば、コモンレール(Common−Rail)技術で使用されるレールのように形成されるので、コモンレール技術において公知の経験を参考にすることが出来る。
【0013】
代替的な実施形態において、第2のモジュールの入口側は、圧力補正容積室を介して、第1のモジュールの遮断弁の出口側と油圧連結される。この実施形態では、噴射システム全体の流体供給が、第1のモジュールの遮断弁により遮断可能である。これにより、追加的なモジュール内に遮断弁を設ける必要がなく、当該モジュールのコストが低減される。
【0014】
上記実施形態の変形例において、第3のモジュールの入口側が、圧力補正容積室と油圧連結され、従って、圧力補正容積室が、第2のモジュール、第3のモジュール、及び場合によっては更なる別のモジュールのために共有され、利用されるモジュールの数に依存せずに、ただ1つの圧力補正容積室が設けられる。ただ1つの圧力補正容積室を利用することにより、噴射システムのコストを少なく抑えることが出来る。
【0015】
代替的な実施形態において、第3のモジュールの入口側は、第2の圧力補正容積室を介して、第2のモジュールの遮断弁の出口と油圧連結される。本実施形態において各モジュールが、それぞれ独自の圧力補正容積室を介して前段のモジュールと接続されることにより、個々の圧力補正容積室が、共通の圧力補正容積室よりも小さく形成されうる。複数の、より小さな圧力補正容積室の利用により、噴射システムを、提供される空間に対してフレキシブルに調整することが可能であり、噴射システムの取り付けが容易になる。
【0016】
実施形態において、流体を調量するための少なくとも1つの調量素子が設けられる。ここで、圧力補正容積室には、上記調量素子により流体が充填可能である。調量素子によって共通の圧力補正容積室に流体が充填されうる噴射システムでは、ただ1つの調量素子が必要である。これにより、噴射システムのコストがさらに低減されうる。
【0017】
実施形態において、圧力補正容積室と各モジュールとの間には、弁、特に逆止め弁が配置される。このような弁により、個々のモジュールが互いに油圧連結される。モジュールが互いに油圧非連結状態である(hydraulisch entkoppeln)場合に、圧力補正容積室をより小さく形成することが可能であり、噴射システムの動作信頼性が改善される。なぜならば、個々のモジュール間の有害な相互作用が確実に防止されるからである。
【0018】
更なる別の実施形態において、第2の圧力補正容積室に流体を供給する第2の調量素子は、第3の圧力補正容積室を介して第1の調量素子と油圧連結される。このような構成を備えた噴射システムは任意に拡張可能であり、特に、噴射システムは、複数の排気系内に大きな噴射量も噴射可能であるように構成されうる。
【0019】
実施形態において、噴射ユニットは、排気管内に配置された触媒コンバータの上流側で流体を噴射するように構成される。これにより、噴射される流体の触媒燃焼と、排気管内に配置されるフィルタの特に効果的な再生と、が達成される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
以下、本発明を、添付の図面に示される排気管内に流体を噴射するシステムを用いて、より詳細に解説することにする。本発明は、例えば尿素のような他の流体を噴射するシステムでも適用可能である。
図1】直列に接続された3つの調量ユニットを備えた本発明にかかる噴射システムの第1実施形態を示す。
図2】調量ユニットが共通の圧力補正容積室を介して互いに接続される本発明にかかる噴射システムの第2実施形態を示す。
図3】2つの簡素化された調量ユニットを備えた第2の実施形態の変形例を示す。
図4】3つの計測ユニット全てに、共通の圧力補正容積室を介して流体が供給される第3の実施形態を示す。
図5】共通の圧力補正容積室が1つの計測ユニットにより供給される、本発明にかかる噴射システムの第4の実施形態、及び、排気システムを備えた内燃機関を概略的に示す。
図6図1及び図5に示される実施形態の組み合わせを示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、第1の調量ユニット10と第1の噴射ユニット40とを有する第1のモジュールを備えた、本発明にかかる噴射システムの第1の実施形態を示している。第1の調量ユニット10は、燃料供給8により供給される燃料流量がそれによって遮断可能な遮断弁12を有する。出口側に、即ち、遮断弁12の後の流れ方向において、第1の調量ユニット10内の燃料通路19上に、流入する燃料の圧力を図るために第1の圧力センサ16が配置される。第1の圧力センサ16の後の流れ方向において、所望の噴射量を調量するように構成された調量弁14が配置される。調量弁14の出口には、当該調量弁14の出口での燃料圧を図るために、第2の圧力センサ18が設けられる。第1の調量ユニット10の出口は、第1の噴射ユニット40の入口と油圧連結される。噴射ユニット40は、噴射弁42の他に、図1の概略図には示されない冷却調整器及び金属シールを有する。
【0022】
噴射弁42は、排気管内に燃料を噴射するために、触媒コンバータの上流の、同様に図示されない排気管上に配置される。噴射された燃料は、触媒コンバータ内で触媒燃焼する。これにより、排気管の周りの温度が上昇し、触媒コンバータの下流に配置されるパティキュレートフィルタ内に堆積した堆積物が燃焼し、フィルタが再生される。
【0023】
燃料通路19上では、遮断弁12の出口と第1の調量ユニット10の第1の圧力センサ16と間に、第1の圧力補正容積室44が油圧連結しており、当該第1の圧力補正容積室44は、遮断弁12が開くと、燃料通路8からの燃料が充填される。第1の圧力補正容積室44の出口は、第2の調量ユニット20及び第2の噴射ユニット50を有する第2のモジュールの、当該調量ユニット20の入口と接続されている。従って、第1の調量ユニット10の遮断弁12が開くと、第2のモジュールの調量ユニット20は、第1の圧力補正容積室44を介して、燃料通路8からの燃料が供給される。
【0024】
第2の調量ユニット20は、対応する第2の噴射ユニット50に、調量された燃料量を供給する。第2の調量ユニット20及び第2の噴射ユニット50を備えた第2のモジュールは、第1の調量ユニット10及び第1の噴射ユニット40を備えた第1のモジュールと同じ構成である。従って、構成についての新たな詳細な記載は省略される。
【0025】
第2のモジュールの調量ユニット20の、噴射弁22と第1の圧力センサ26との間には、燃料通路29上に、第2の圧力補正容積室54が接続され、当該第2の圧力補正容積室54は、遮断弁22が開くと、第3のモジュールの調量ユニット30に燃料を供給する。第3のモジュールは、第3の噴射ユニット60を有し、当該第3の噴射ユニット60には、第3のモジュールの調量ユニット30により燃料が供給される。
【0026】
それぞれが更なる別の噴射ユニットを備える、図1に示されない更なる別の調量ユニットを、図1に示されない追加的な圧力補正容積室を介して、第3の調量ユニット30内の燃料通路39へと接続することによって、図1に示される噴射システムは任意に拡張可能である。
【0027】
調量ユニット10、20、30及び噴射ユニット40、50、60を備えた同じ構成の各モジュールと、圧力補正容積室44、54と、を利用することによって、本発明にかかる噴射システムは、特に簡単に、フレキシブルに、安価に製造可能である。任意の大きさの噴射システムをそれらから構成しうる3つの異なる構成要素のみ製造すればよい。各調量ユニット10、20、30の接続のために、それぞれ異なる圧力補正容積室44、54を利用することによって、個々の圧力補正容積室44、54が小さいことが可能であり、容易でフレキシブルに組み立てることが出来る。
【0028】
図2は、本発明にかかる噴射システムの代替的な実施形態を示す。
【0029】
本実施形態において利用される調量ユニット10、20、30及び噴射ユニット40、50、60は、第1実施形態で利用されるユニットと同じ構成であるため、改めて記載しない。
【0030】
図2に示される実施形態は、第1の調量ユニット10の燃料通路19上の遮断弁12の上流側に接続された圧力補正容積室46に対して、第2の調量ユニット20、及び、第3の調量ユニット30、及び、場合によっては図2に示されない更なる別の調量ユニットが接続されるという点で、図1に示される実施形態とは異なっている。図2に示されない実施形態ではただ1つの圧力補正容積室46が利用されるため、複数の圧力補正容積室の製造及び組み立てを行う必要がない。従って、噴射システムは、容易で安価に製造可能であり、組み立て可能である。
【0031】
図3は、図2に示される実施形態の変形例を示しており、圧力補正容積室48に接続された調量ユニット21、31は遮断弁を有さず、各調量弁22、34の後にそれぞれが配置された各圧力センサ28、38のみを有する。
【0032】
遮断弁を有さない調量ユニット21、31は、「スレーブ」調量ユニット21、31と呼ばれ、遮断弁12、及び、当該遮断弁12と調量弁14との間の第1の圧力センサ16を更に有するいわゆる「マスタ」調量ユニット10よりも、安価に製造可能である。本実施形態では、燃料供給は、噴射システム全体について、第1の「マスタ」調量ユニット10内の遮断弁12を閉鎖することにより、遮断可能である。
【0033】
図4は、第1実施形態の調量ユニットと同じ構成であり共通の燃料供給部54に接続された3つの「マスタ」調量ユニット10、20、30を備えた第3実施形態を示す。共通の燃料供給部54(「コモンレール(Common−Rail)」)は、ここでは少なくとも部分的に圧力補正容積室として構成される。本実施形態では、コモンレール技術の構成要素および経験を参考にすることが可能であり、従って、本実施形態は特に容易で安価に実現可能である。
【0034】
示されない代替的な実施形態において、調量ユニットは、遮断弁が無い「スレーブ」調量ユニットとして構成され、中央遮断弁が、共通の燃料供給部54への図示されない供給線内に構成される。
【0035】
図5は、本発明にかかる噴射システムの代替的な実施形態を示しており、ここでは、個々のモジュールはそれぞれ、噴射ユニット40、50、60、70を含み、共通の圧力補正容積室58を介して、共通の調量ユニット10から燃料が供給される。
【0036】
図5では、6つのシリンダ及び2つの排気系82、84を備えた内燃機関72が概略的に示される。排気系82、84のそれぞれの中には、排気流からの粒子をフィルタリングするように構成されたパティキュレートフィルタ76が配置される。各排気系82、84内では、内燃機関72と各パティキュレートフィルタ76との間に、酸化触媒コンバータ74がそれぞれ配置される。
【0037】
合計4つの噴射ユニット40、50、60、70が、調量ユニット10により調量される燃料を酸化触媒コンバータ74の上流側の各排気系82、84内に噴射するために、当該排気系82、84に配置される。噴射された燃料は、酸化触媒コンバータ74内で触媒燃焼する。当該燃焼によって、排気系82、84内の温度が、パティキュレートフィルタ76内に堆積した固体粒子が燃焼して当該パティキュレートフィルタ76が再生される程度にまで上昇する。
【0038】
図5に示される本発明にかかる噴射システムの実施形態は、第1の実施形態で開示された、燃料供給8を介して燃料が供給される調量ユニット10を有する。調量ユニット10は、調量ユニット14により調量される燃料量を、4つの噴射ユニット40、50、60、70と油圧連結した共通の圧力補正容積室58内に供給する。従って、当該4つの噴射ユニット40、50、60、70には、圧力補正容積室58からの燃料が供給可能である。噴射ユニット40、50、60、70は、上記の実施形態との関連で記載された噴射ユニット40、50、60と同じ構成であるため、改めて記載しない。
【0039】
上記4つの噴射ユニット40、50,60、70のそれぞれは、独自の燃料通路49、59、69、79を介して、圧力補正容積室58と接続される。燃料通路49、59、69、79のそれぞれの中では、圧力補正容積室58と各噴射ユニット40、50、60、70との間に、それぞれ逆止め弁64、65、66、67が設けられる。逆止め弁64、65、66、67は、噴射ユニット40、50、60、70から圧力補正容積室58への燃料の逆流を防止する。従って、噴射ユニット40、50、60、70は、互いに油圧非連結状態にある。
【0040】
図5に示される噴射システムの実施形態は、ただ1つの調量ユニット10、及び、ただ1つの圧力補正容積室58を有する。従って、特に安価に製造可能であり、小さな空間のみ必要である。
【0041】
図6は、第1の実施形態と第4の実施形態とが組み合わされた、本発明にかかる噴射システムの更なる別の実施形態を示す。
【0042】
図6に示される実施形態は、3つの調量ユニット10、20、30であって、各当該調量ユニット10、20、30に割り当てられた圧力補正容積室56、57、58のそれぞれに、調量された燃料量を充填するための上記3つの調量ユニット10、20、30を有する。各圧力補正容積室56、57、58には、それぞれ3つの噴射ユニット40、50、60、41、51、61、43、53、63が接続される。当該噴射ユニット40、50、60、41、51、61、43、53、63は、上記の実施形態との関連で記載された噴射ユニット40、50、60と同じ構造であり、調量ユニット10、20、30により調量される燃料を、示されない排気系内に噴射するための図6に示されないノズルを特に有する。
【0043】
第1の調量ユニット10には、燃料入口8を通じて燃料が供給される。
【0044】
第2の調量ユニット20は、第1の実施形態と同じように、噴射弁12の後で第1の調量ユニット10の燃料通路19へと接続する圧力補正容積室44を介して、第1の調量ユニット10と接続し、当該圧力補正容積室44を介して燃料が供給される。
【0045】
の調量ユニット30は、遮断弁22の後で第2の調量ユニット20の燃料通路29に接続される第2の圧力補正容積室54を介して、第の調量ユニット20と接続し、当該第2の圧力補正容積室54を介して、燃料が供給される。
【0046】
図6に示される実施形態は、第1の実施形態(図1)の利点と、第4の実施形態(図6)の利点とを結びつける。特に、本実施形態の2段モジュール構成は、任意の排気システムに対して特にフレキシブルに噴射システムを調整し、複数の排気系を備えた特に大きな排気システム内に、特に大きな噴射量を噴射することを可能とする。
【0047】
3つの調量ユニット10、20、30であって、各3つの噴射ユニット40、50、60、41、51、61、43、53、63がそこから燃料を供給される、上記3つの調量ユニットを備えた、図6に示される構成は例示的なものにすぎない。各調量ユニット10、20、30は、任意のより大きい、又は、より小さい数の噴射ユニット40、50、60、41、51、61、43、53、63に対して、燃料を供給する。同様に、所望の大きさの噴射システムを提供するために、任意の数の調量ユニット10、20、30が組み合わされうる。
【0048】
図に示されない代替的な実施形態において、追加的な調量ユニット20、30が、第2実施形態にかかる共通の圧力補正容積室を介して、第1の調量ユニット10と接続される。また、追加的な調量ユニット20、30が、独自の遮断弁22、32のない「スレーブ」調量ユニット21、31として構成可能であり、噴射システムのためのコストが小さく抑えられる。
【0049】
代替的に、3つの調量ユニット10、20、30全ても、第3の実施形態に基づき少なくとも部分的に圧力補正容積室として構成された共通の燃料供給部を介して接続されうる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6