【実施例】
【0212】
限定的ではない開示および参照による援用
本明細書中で記載される特定の化合物、組成物および方法は、特定の態様にしたがって具体的に記載されたが、一方で以下の事例は本明細書中で記載された化合物の説明のためにのみ機能し、それを限定することを意図しない。本件出願において記載される参考文献のそれぞれは、その全体を参照により本明細書中に援用される。
【0213】
実施例1:ヒト
ハンチンチン遺伝子配列を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチド
ヒト
ハンチンチン遺伝子配列を標的とする、様々な長さ、モチーフ、そしてバックボーン組成の約1700種の新たに設計したアンチセンス化合物を、いくつかの細胞型におけるin vitroでのヒト
ハンチンチンmRNAに対するそれらの作用について試験した。これらのギャップマーは、ホスホロチオエート結合のみであるヌクレオシド間結合(表1に記載)またはホスホロチオエートとホスホジエステル結合であるヌクレオシド間結合(表5に記載)によりさらに設計した。多数の新たに設計されたオリゴおよび2つのベンチマークオリゴヌクレオチド(以前に設計され開示されたもの)は、表1および表5に提示される。
【0214】
完全にホスホロチオエートヌクレオシド間結合であるギャップマー
表1に示される化合物の特定のものは、5-10-5 MOE、6-8-6 MOE、または5-8-5 MOEのモチーフを有する。5-10-5ギャップマーは、20個の連結したヌクレオシドを有し、ここで中央部ギャップ部分は10個の2'-デオキシヌクレオシドを有し、そしてそれぞれ5個のヌクレオシドを有するウィングが両側(5'方向および3'方向)に配置される。6-8-6ギャップマーは、20個の連結したヌクレオシドを有し、ここで中央部ギャップ部分は、8個の2'-デオキシヌクレオシドを有し、そしてそれぞれ6個のヌクレオシドを有するウィングが両側(5'方向および3'方向)に配置される。5-8-5ギャップマーは、18個の連結したヌクレオシドを有し、ここで中央部ギャップ部分は、8個の2'-デオキシヌクレオシドを有し、そしてそれぞれ5個のヌクレオシドを有するウィングが両側(5'方向および3'方向)に配置される。表1に列挙されるすべてのギャップマーについて、5'ウィング部分のそれぞれのヌクレオシドおよび3'ウィング部分のそれぞれのヌクレオシドは、2'-MOE修飾を有する。各ギャップマー全体を通じたヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエート(P=S)ヌクレオシド間結合である。それぞれのギャップマー全体を通じたすべてのシトシンは、5-メチルシトシンである。表1におけるそれぞれのギャップマーは、SEQ ID NO: 1(GENBANKアクセッションNo. NM_002111.6)またはSEQ ID NO: 2(ヌクレオチド462000〜634000が短縮された、GENBANKアクセッションNo. NT_006081.17)を標的とする。‘開始部位'は、ヒト遺伝子配列中のギャップマーが標的とする最も5'側のヌクレオチドを示す。‘停止部位'は、ヒト遺伝子配列中のギャップマーが標的とする最も3'側のヌクレオチドを示す。
【0215】
【表1】
マウス、アカゲザルおよびラットの
ハンチンチン遺伝子配列を有する表1のギャップマーの相補性が、表2、表3、および表4においてさらに記載される。
【0216】
表2のギャップマーは、マウス
ハンチンチンmRNA(GENBANKアクセッションNo. NM_010414.1、本明細書中ではSEQ ID NO: 3と記載される)と相補的である。‘マウス標的開始部位'は、マウスmRNA中のギャップマーが標的とする最も5'側のヌクレオチドを示す。‘マウス標的停止部位'は、マウスmRNA中のギャップマーが標的とする最も3'側のヌクレオチドを示す。‘ヒト標的開始部位'は、ヒト遺伝子配列中のギャップマーが標的とする最も5'側のヌクレオチドを示す。‘ヒト標的停止部位'は、遺伝子配列中のギャップマーが標的とする最も3'側のヌクレオチドを示す。‘ミスマッチ数'は、ヒトオリゴヌクレオチドとマウスmRNA配列との間でのミスマッチの数を示す。
【0217】
【表2】
表3のギャップマーは、アカゲザル
ハンチンチンゲノム配列(ヌクレオチド698000〜866000が短縮されたGENBANKアクセッションNo. NW_001109716.1の相補物、本明細書中ではSEQ ID NO: 4と記載される)と相補的である。‘アカゲザル標的開始部位'は、アカゲザル遺伝子配列中のギャップマーが標的とする最も5'側のヌクレオチドを示す。‘アカゲザル標的停止部位'は、アカゲザル遺伝子配列中のギャップマーが標的とする最も3'側のヌクレオチドを示す。‘ヒト標的開始部位'は、ヒト遺伝子配列中のギャップマーが標的とする最も5'側のヌクレオチドを示す。‘ヒト標的停止部位'は、ヒト遺伝子配列中のギャップマーが標的とする最も3'側のヌクレオチドを示す。‘ミスマッチ数'は、ヒトオリゴヌクレオチドとアカゲザル遺伝子配列との間でのミスマッチの数を示す。
【0218】
【表3】
表4のギャップマーは、ラット
ハンチンチンmRNA(GENBANKアクセッションNo. NM_024357.2、本明細書中ではSEQ ID NO: 5と記載される)と相補的である。‘ラット標的開始部位'は、ラットmRNA中のギャップマーが標的とする最も5'側のヌクレオチドを示す。‘ラット標的停止部位'は、ラットmRNA中のギャップマーが標的とする最も3'側のヌクレオチドを示す。‘ヒト標的開始部位'は、ヒト遺伝子配列中のギャップマーが標的とする最も5'側のヌクレオチドを示す。‘ヒト標的停止部位'は、ヒト遺伝子配列中のギャップマーが標的とする3'側のヌクレオチドを示す。‘ミスマッチ数'は、ヒトオリゴヌクレオチドとラットmRNA配列との間でのミスマッチ数を示す。
【0219】
【表4】
ホスホロチオエートヌクレオシド間結合とホスホジエステルヌクレオシド間結合との混合を有するギャップマー
表5におけるキメラアンチセンスオリゴヌクレオチドは、5-10-5 MOEギャップマーとして設計された。5-10-5ギャップマーは、20個の連結したヌクレオシドを有し、ここで中央部ギャップ部分は、10個の2'-デオキシヌクレオチドを有し、そしてそれぞれ5個のヌクレオシドを有するウィングが両側(5'方向および3'方向)に配置される。5'ウィング部分のそれぞれのヌクレオシドおよび3'ウィング部分のそれぞれのヌクレオシドは、2'-MOE修飾を有する。中央部ギャップ部分内部のヌクレオシド間結合、ギャップ部分を5'ウィング部分または3'ウィング部分に結合する結合、そしてそれぞれのウィング部分の最も5'側のヌクレオシドおよび最も3'側のヌクレオシドについての結合が、すべて、ホスホロチオエート(P=S)結合である;5'ウィング部分および3'ウィング部分の両方のヌクレオシドの残りを結合するヌクレオシド間結合が、ホスホジエステル結合である;すなわち、ギャップマーは、混合バックボーンを有する。それぞれのギャップマーの全体を通じてすべてのシトシンは、5-メチルシトシンである。表5におけるそれぞれのギャップマーは、ヒトmRNA配列(GENBANKアクセッションNo. NM_002111.6、本明細書中でSEQ ID NO: 1と示される)を標的とする。‘開始部位’は、ヒトmRNA中のギャップマーが標的とする最も5'側のヌクレオチドを示すが。‘停止部位’は、ヒトmRNA中のギャップマーが標的とする最も3'側のヌクレオチドを示す。
【0220】
【表5】
表5中のギャップマーの、マウス
ハンチンチン遺伝子配列、アカゲザル
ハンチンチン遺伝子配列およびラット
ハンチンチン遺伝子配列との相補性は、表6、表7、および表8にさらに記載される。
【0221】
表6のギャップマーは、マウス
ハンチンチンmRNA(GENBANKアクセッションNo. NM_010414.1;SEQ ID NO: 3)と相補的である。‘マウス標的開始部位’は、マウスmRNA中のギャップマーが標的とする最も5'側のヌクレオチドを示す。‘マウス標的停止部位’は、マウスmRNA中のギャップマーが標的とする最も3'側のヌクレオチドを示す。‘ヒト標的開始部位’は、ヒトmRNA(GENBANKアクセッションNo. NM_002111.6)中のギャップマーが標的とする最も5'側のヌクレオチドを示す。‘ヒト標的停止部位’は、ヒトmRNA(GENBANKアクセッションNo. NM_002111.6)中のギャップマーが標的とする最も3'側のヌクレオチドを示す。 ‘ミスマッチ数'は、ヒトオリゴヌクレオチドとマウスmRNA配列との間でのミスマッチ数を示す。
【0222】
【表6】
表7のギャップマーは、アカゲザル
ハンチンチンゲノム配列(ヌクレオチド698000〜866000で短縮されたGENBANKアクセッションNo. NW_001109716.1の相補物;SEQ ID NO: 4)と相補的である。‘アカゲザル標的開始部位’は、アカゲザル遺伝子配列中のギャップマーが標的とする最も5'側のヌクレオチドを示す。‘アカゲザル標的停止部位’は、アカゲザル遺伝子配列中のギャップマーが標的とする最も3'側のヌクレオチドを示す。‘ヒト標的開始部位’は、ヒトmRNA(GENBANKアクセッションNo. NM_002111.6)中のギャップマーが標的とする最も5'側のヌクレオチドを示す。‘ヒト標的停止部位’は、ヒトmRNA(GENBANKアクセッションNo. NM_002111.6)中のギャップマーが標的とする最も3'側のヌクレオチドを示す。‘ミスマッチ数’は、ヒトオリゴヌクレオチドとアカゲザル遺伝子配列との間でのミスマッチ数を示す。
【0223】
【表7】
表8のギャップマーは、ラット
ハンチンチンmRNA(GENBANKアクセッションNo. NM_024357.2;SEQ ID NO: 5)と相補的である。‘ラット標的開始部位’は、ラットmRNA中のギャップマーが標的とする最も5'側のヌクレオチドを示す。‘ラット標的停止部位’は、ラットmRNA中のギャップマーが標的とする最も3'側のヌクレオチドを示す。‘ヒト標的開始部位’は、ヒトmRNA(GENBANKアクセッションNo. NM_002111.6)中のギャップマーが標的とする最も5'側のヌクレオチドを示す。‘ヒト標的停止部位’は、ヒトmRNA(GENBANKアクセッションNo. NM_002111.6)中のギャップマーが標的とする最も3'側のヌクレオチドを示す。 ‘ミスマッチ数’は、ヒトオリゴヌクレオチドとラットmRNA配列との間でのミスマッチ数を示す。
【0224】
【表8】
実施例2:in vitroでのヒト
ハンチンチンmRNAの用量依存的アンチセンス阻害
様々な長さ、モチーフ、そしてバックボーン組成の約1700種の新たに設計したアンチセンス化合物を、いくつかの細胞型におけるin vitroでのヒト
ハンチンチンmRNAに対するそれらの作用について試験した。これらの化合物は、in vivoにおいてかなり強力な化合物であることが以前に決定された化合物ISIS 387916を含む、約250種の以前に設計した化合物を比較された。この実施例において示されるように、ISIS 419640、ISIS 419641、ISIS 419642、ISIS 436665、ISIS 436671、ISIS 436689、ISIS 437507、ISIS 443139、ISIS 444591、ISIS 444661、ISIS 437527、ISIS 444584、およびISIS 444652、および以前に設計されたISIS 388241が、ベンチマーク化合物ISIS 387916と比較して、in vitroで同様またはよりより強力であることが見出された。
【0225】
A. GM04281線維芽細胞
ウェル当たり25,000個の細胞の密度での培養されたGM04281線維芽細胞を、エレクトロポレーションを、500 nM、1000 nM、2000 nM、4000 nM、または8000 nMのアンチセンスオリゴヌクレオチドとともに使用して、トランスフェクトした。約16時間の処置期間の後、RNAを細胞から単離し、そして
ハンチンチンmRNAレベルを定量的リアルタイムPCRにより測定した。ヒトプライマープローブセットRTS2617(フォワード配列CTCCGTCCGGTAGACATGCT、本明細書中でSEQ ID NO: 37と示される;リバース配列GGAAATCAGAACCCTCAAAATGG、本明細書中でSEQ ID NO: 38と示される;プローブ配列TGAGCACTGTTCAACTGTGGATATCGGGAX、本明細書中でSEQ ID NO: 39と示される)を使用して、mRNAレベルを測定した。
ハンチンチンmRNAレベルを、RIBOGREEN(登録商標)により測定されるように、全RNA含量に従って調整した。結果を、非処置対照細胞と比較した
ハンチンチンmRNAの%阻害として、表9において示し、そして
ハンチンチンmRNAレベルのアンチセンスオリゴヌクレオチド-媒介性用量依存性の減少を示す。
【0226】
それぞれのオリゴヌクレオチドの50%最大阻害濃度(IC
50)もまた、表9において示され、そして使用したオリゴヌクレオチドの濃度をそれぞれの濃度で達成された
ハンチンチンmRNA発現の%阻害に対してプロットすることにより算出し、そして対照と比較して
ハンチンチンmRNA発現の50%阻害が達成されるオリゴヌクレオチドの濃度を注記する。IC
50は、μMで表記される。
【0227】
【表9】
ISIS 387916、ISIS 388241、およびISIS 437507を、in vitroでのヒト
ハンチンチンmRNAに対するそれらの作用についてさらに試験した。培養された線維芽細胞を、上述した方法と同様の手順で試験した。結果は、表10において、非処置対照細胞と比較した
ハンチンチンmRNAの%阻害として示され、そして
ハンチンチンmRNAレベルのアンチセンスオリゴヌクレオチド-媒介性用量依存性の減少を示す。それぞれのアンチセンスオリゴヌクレオチドのIC
50もまた、表10中にμMとして示される。
【0228】
【表10】
ISIS 387916、ISIS 388241、およびISIS 437507を、in vitroでのヒト
ハンチンチンmRNAに対するそれらの作用についてさらに試験した。培養されたGM04281線維芽細胞を、上述した方法と同様の手順で試験された。結果を、表11中に、非処置対照細胞と比較した
ハンチンチンmRNAの%阻害として示され、そして
ハンチンチンmRNAレベルのアンチセンスオリゴヌクレオチド-媒介性用量依存性の減少を示す。それぞれのアンチセンスオリゴヌクレオチドのIC
50もまた、表11中にμMで示される。
【0229】
【表11】
ISIS 387916、ISIS 388241、ISIS 419641、およびISIS 436754を、in vitroでのヒト
ハンチンチンmRNAに対するそれらの作用についてさらに試験した。培養されたGM04281線維芽細胞を、上述した方法と同様の手順で試験した。結果は、表12において、非処置対照細胞非処置対照細胞と比較した
ハンチンチンmRNAの%阻害として示され、そして
ハンチンチンmRNAレベルのアンチセンスオリゴヌクレオチド-媒介性用量依存性の減少を示す。それぞれのアンチセンスオリゴヌクレオチドのIC
50もまた、表12においてμMとして示される。
【0230】
【表12】
ISIS 387916、ISIS 388241、およびISIS 437507を、in vitroでのヒト
ハンチンチンmRNAに対するそれらの作用についてさらに試験した。ウェル当たり25,000個の細胞の密度での培養されたGM04281線維芽細胞を、エレクトロポレーションを、250 nM、500 nM、1000 nM、2000 nM、4000 nMまたは8000 nMのアンチセンスオリゴヌクレオチドとともに使用して、トランスフェクトした。約16時間の処置期間の後、RNAを細胞から単離し、そして
ハンチンチンmRNAレベルを定量的リアルタイムPCRにより測定した。ヒトプライマープローブセットRTS2617を使用して、mRNAレベルを測定した。
ハンチンチンmRNAレベルを、RIBOGREEN(登録商標)により測定されるように、全RNA含量に従って調整した。結果を、非処置対照細胞と比較した
ハンチンチンmRNAの%阻害として、表13において示し、そして
ハンチンチンmRNAレベルのアンチセンスオリゴヌクレオチド-媒介性用量依存性の減少を示す。それぞれのアンチセンスオリゴヌクレオチドのIC
50は、表13においてμMで示される。
【0231】
【表13】
ISIS 387916、ISIS 388241、ISIS 419628、ISIS 419629、ISIS 419637、ISIS 436684、ISIS 443139、ISIS 444584、ISIS 444615、ISIS 444627、ISIS 444652、ISIS 444658、ISIS 444659、ISIS 444660、およびISIS 444661は、in vitroでのヒト
ハンチンチンmRNAに対するそれらの作用について、さらに試験した。ウェル当たり25,000細胞の密度での培養されたGM04281線維芽細胞をエレクトロポレーションを、156.25 nM、312.5 nM、625 nM、1250 nM、または2500 nMのアンチセンスオリゴヌクレオチドとともに使用して、トランスフェクトした。約16時間の処置期間の後、RNAを細胞から単離し、そして
ハンチンチンmRNAレベルを、定量的リアルタイムPCRにより測定した。ヒトプライマープローブセットRTS2617を使用して、mRNAレベルを測定した。
ハンチンチンmRNAレベルを、RIBOGREEN(登録商標)により測定されるように、全RNA含量に従って調節した。結果は、表14中に、非処置対照細胞と比較した
ハンチンチンmRNAの%阻害として示され、そして
ハンチンチンmRNAレベルのアンチセンスオリゴヌクレオチド-媒介性用量依存性の減少を示す。示されるデータは、2回の実験の平均である。それぞれのアンチセンスオリゴヌクレオチドのIC
50もまた、表14においてμMで示される。
【0232】
【表14】
ISIS 387916、ISIS 436671、ISIS 444661、ISIS 419641、およびISIS 436665を、in vitroでのヒト
ハンチンチンmRNAに対するそれらの作用についてさらに試験した。ウェル当たり25,000個の細胞の密度での培養されたGM04281線維芽細胞を、エレクトロポレーションを、13.6719 nM、27.3438 nM、54.6875 nM、109.375 nM、218.75 nM、437.5 nM、875 nM、1750 nM、3500 nM、または7000 nMのアンチセンスオリゴヌクレオチドとともに使用して、トランスフェクトした。約16時間の処置期間の後、RNAを細胞から単離し、そして
ハンチンチンmRNAレベルを定量的リアルタイムPCRにより測定した。ヒトプライマープローブセットRTS2617を使用して、mRNAレベルを測定した。
ハンチンチンmRNAレベルを、RIBOGREEN(登録商標)により測定されるように、全RNA含量に従って調整した。結果を、非処置対照細胞と比較した
ハンチンチンmRNAの%阻害として、表15において示し、そして
ハンチンチンmRNAレベルのアンチセンスオリゴヌクレオチド-媒介性用量依存性の減少を示す。それぞれのアンチセンスオリゴヌクレオチドのIC
50は、表15においてμMで示される。
【0233】
【表15-1】
ISIS 387916、ISIS 388241、ISIS 437168、およびISIS 437175を、in vitroでのヒト
ハンチンチンmRNAに対するそれらの作用についてさらに試験した。ウェル当たり25,000個の細胞の密度での培養されたGM04281線維芽細胞を、エレクトロポレーションを、エレクトロポレーションを250 nM、500 nM、1000 nM、2000 nM、4000 nM、および8000 nMのアンチセンスオリゴヌクレオチドとともに使用して、トランスフェクトした。約16時間の処置期間の後、RNAを細胞から単離し、そして
ハンチンチンmRNAレベルを定量的リアルタイムPCRにより測定した。ヒトプライマープローブセットRTS2617を使用して、mRNAレベルを測定した。結果を、非処置対照細胞と比較した
ハンチンチンmRNAの%阻害として、表15.1において示し、そして
ハンチンチンmRNAレベルのアンチセンスオリゴヌクレオチド-媒介性用量依存性の減少を示す。それぞれのアンチセンスオリゴヌクレオチドのIC
50は、表15.1においてμMで示される。
【0234】
【表15-2】
ISIS 387916、ISIS 388241、ISIS 437441、およびISIS 437442を、in vitroでのヒト
ハンチンチンmRNAに対するそれらの作用についてさらに記載した。培養されたGM04281線維芽細胞を、上述した手法と同様の手法で試験した。結果を、非処置対照細胞と比較した
ハンチンチンmRNAの%阻害として、表15.2 において示し、そして
ハンチンチンmRNAレベルのアンチセンスオリゴヌクレオチド-媒介性用量依存性の減少を示す。それぞれのアンチセンスオリゴヌクレオチドのIC
50は、表15.2においてμMで示される。
【0235】
【表15-3】
ISIS 387916、ISIS 388241、ISIS 437175、およびISIS 437527を、in vitroでのヒト
ハンチンチンmRNAに対するそれらの作用についてさらに試験した。培養されたGM04281線維芽細胞を、上述の手法と同様の手法で試験した。結果を、非処置対照細胞と比較した
ハンチンチンmRNAの%阻害として、表15.3において示し、そして
ハンチンチンmRNAレベルのアンチセンスオリゴヌクレオチド-媒介性用量依存性の減少を示す。それぞれのアンチセンスオリゴヌクレオチドのIC
50は、表15.3においてμMで示される。
【0236】
【表15-4】
B. A549細胞
実施例1において記載されたアンチセンスオリゴヌクレオチドのいくつかを、in vitroで、ヒト
ハンチンチンmRNAに対するそれらの作用について試験した。ウェル当たり4,000個の細胞の密度での培養されたA549細胞を、リポフェクチントランスフェクション試薬を7.4074 nM、22.222 nM、66.667 nM、または200 nMのアンチセンスオリゴヌクレオチドとともに使用して、トランスフェクトした。約16時間の処置期間の後、RNAを細胞から単離し、そして
ハンチンチンmRNAレベルを定量的リアルタイムPCRにより測定した。ヒトプライマープローブセットRTS2617を使用して、mRNAレベルを測定した。
ハンチンチンmRNAレベルを、RIBOGREEN(登録商標)により測定されるように、全RNA含量に従って調整した。結果を、非処置対照細胞と比較した
ハンチンチンmRNAの%阻害として、表16において示し、そして
ハンチンチンmRNAレベルアンチセンスオリゴヌクレオチド-媒介性用量依存性の減少を示す。それぞれのアンチセンスオリゴヌクレオチドのIC
50は、表16においてnMで示される。
【0237】
【表16】
ISIS 387916、ISIS 388241、およびISIS 437507を、in vitroでのヒト
ハンチンチンmRNAに対するそれらの作用についてさらに試験した。ウェル当たり20,000個の細胞の密度で培養されたA549細胞を、エレクトロポレーションを250 nM、500 nM、1000 nM、2000 nM、4000 nMまたは8000 nMのアンチセンスオリゴヌクレオチドとともに使用して、トランスフェクトした。約16時間の処置期間の後、RNAを細胞から単離し、そして
ハンチンチンmRNAレベルを定量的リアルタイムPCRにより測定した。ヒトプライマープローブセットRTS2617を使用して、mRNAレベルを測定した。
ハンチンチンmRNAレベルを、RIBOGREEN(登録商標)により測定されるように、全RNA含量に従って調整した。結果を、非処置対照細胞と比較した
ハンチンチンmRNAの%阻害として、表17において示し、そして
ハンチンチンmRNAレベルのアンチセンスオリゴヌクレオチド-媒介性用量依存性の減少を示す。それぞれのアンチセンスオリゴヌクレオチドのIC
50は、表17においてμMで示される。
【0238】
【表17】
C. LLC-MK2細胞
実施例1において記載されそしてヒト
ハンチンチン核酸を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドのいくつかを、in vitroでアカゲザル
ハンチンチンmRNAに対するそれらの作用について試験した。ウェル当たり25,000細胞の密度での培養されたLLC-MK2細胞を、エレクトロポレーションを625 nM、1250 nM、2500 nM、5000 nM、10,000 nM、または20,000 nMのアンチセンスオリゴヌクレオチドとともに使用して、トランスフェクトした。約16時間の処置期間の後、RNAを細胞から単離し、そして
ハンチンチンmRNAレベルを定量的リアルタイムPCRにより測定した。ヒトプライマープローブセットRTS2686(フォワード配列GTCTGAGCCTCTCTCGGTCAA、本明細書中SEQ ID NO: 40と示されれる;リバース配列AAGGGATGCTGGGCTCTGT、本明細書中SEQ ID NO: 41と示される;プローブ配列AGCAAAGCTTGGTGTCTTGGCACTGTTAGTX、本明細書中SEQ ID NO: 42と示される)を使用して、mRNAレベルを測定した。
ハンチンチンmRNAレベルを、RIBOGREEN(登録商標)により測定されるように、全RNA含量に従って調整した。結果を、表18において示し、非処置対照細胞と比較した
ハンチンチンmRNAの%阻害として、
ハンチンチンmRNAレベルのアンチセンスオリゴヌクレオチド-媒介性用量依存性の減少を示す。それぞれのアンチセンスオリゴヌクレオチドのIC
50は、表18においてμMで示される。
【0239】
【表18】
ISIS 387916、ISIS 388241、ISIS 436684、ISIS 437168、ISIS 437175、ISIS 437441、ISIS 437507、ISIS 437527、ISIS 444578、ISIS 444584、ISIS 444591、およびISIS 444607を、in vitroでのアカゲザル
ハンチンチンmRNAに対するそれらの作用についてさらに試験した。培養されたLLC-MK2細胞を、上述した方法と同様の手順で試験した。結果を、非処置対照細胞と比較した
ハンチンチンmRNAの%阻害として、表19において示し、
ハンチンチンmRNAレベルのアンチセンスオリゴヌクレオチド-媒介性用量依存性の減少を示す。それぞれのアンチセンスオリゴヌクレオチドのIC
50は、表19においてμMとして示される。
【0240】
【表19】
ISIS 387916、ISIS 388241、ISIS 444608、ISIS 444615、ISIS 444618、ISIS 444627、ISIS 444652、ISIS 444658、ISIS 444659、ISIS 444660、およびISIS 444661を、in vitroでのアカゲザル
ハンチンチンmRNAに対するそれらの作用についてさらに試験した。培養されたLLC-MK2細胞を、上述した方法と同様の手順で試験した。結果を、非処置対照細胞と比較した
ハンチンチンmRNAの%阻害として、表20において示し、
ハンチンチンmRNAレベルのアンチセンスオリゴヌクレオチド-媒介性用量依存性の減少を示す。それぞれのアンチセンスオリゴヌクレオチドのIC
50は、表20においてμMで示される。
【0241】
【表20】
ISIS 387916、ISIS 419627、ISIS 419628、ISIS 419629、ISIS 419630、ISIS 419636、ISIS 419637、ISIS 419640、ISIS 419641、およびISIS 419642を、in vitroでのアカゲザル
ハンチンチンmRNAに対するそれらの作用についてさらに試験した。ウェル当たり3,000細胞の密度での培養されたLLC-MK2細胞を、リポフェクチントランスフェクション試薬を6.25 nM、12.5 nM、25 nM、50 nM、100 nM、または200 nMのアンチセンスオリゴヌクレオチドとともに使用してトランスフェクトした。約16時間の処置期間の後、RNAを細胞から単離し、そして
ハンチンチンmRNAレベルを定量的リアルタイムPCRにより測定した。ヒトプライマープローブセットRTS2686を使用して、mRNAレベルを測定した。
ハンチンチンmRNAレベルを、RIBOGREEN(登録商標)により測定されるように、全RNA含量に従って調整した。結果を、非処置対照細胞と比較した
ハンチンチンmRNAの%阻害として、表21において示し、
ハンチンチンmRNAレベルのアンチセンスオリゴヌクレオチド-媒介性用量依存性の減少を示す。それぞれのアンチセンスオリゴヌクレオチドのIC
50は、表21においてnMで示される。
【0242】
【表21】
ISIS 387916、ISIS 419641、およびISIS 436689を、in vitroアカゲザル
ハンチンチンmRNAに対するそれらの作用についてさらに試験した。ウェル当たり3,000細胞の密度での培養されたLLC-MK2細胞を、LipofectAMINE2000トランスフェクション試薬を6.25 nM、12.5 nM、25 nM、50 nM、100 nM、または200 nMのアンチセンスオリゴヌクレオチドとともに使用して、トランスフェクトした。約16時間の処置期間の後、RNAを細胞から単離し、そして
ハンチンチンmRNAレベルを定量的リアルタイムPCRにより測定した。ヒトプライマープローブセットRTS2686を使用して、mRNAレベルを測定した。
ハンチンチンmRNAレベルを、RIBOGREEN(登録商標)により測定されるように、全RNA含量に従って調整した。結果を、非処置対照細胞と比較した
ハンチンチンmRNAの%阻害として、表22において示し、
ハンチンチンmRNAレベルのアンチセンスオリゴヌクレオチド-媒介性用量依存性の減少を示す。それぞれのアンチセンスオリゴヌクレオチドのIC
50は、表22においてnMで示される。
【0243】
【表22】
ISIS 387916、ISIS 388241、ISIS 436665、ISIS 436671、およびISIS 436689を、in vitroでのアカゲザル
ハンチンチンmRNAに対するそれらの作用についてさらに試験した。ウェル当たり3,000細胞の密度での培養されたLLC-MK2細胞を、リポフェクチントランスフェクション試薬を4.6875 nM、9.375 nM、18.75 nM、37.5 nM、75 nM、または150 nMのアンチセンスオリゴヌクレオチドとともに使用して、トランスフェクトした。約16時間の処置期間の後、RNAを細胞から単離し、そして
ハンチンチンmRNAレベルを定量的リアルタイムPCRにより測定した。ヒトプライマープローブセットRTS2686を使用して、mRNAレベルを測定した。
ハンチンチンmRNAレベルを、RIBOGREEN(登録商標)により測定されるように、全RNA含量に従って調整した。結果を、非処置対照細胞と比較した
ハンチンチンmRNAの%阻害として、表23において示し、
ハンチンチンmRNAレベルのアンチセンスオリゴヌクレオチド-媒介性用量依存性の減少を示す。それぞれのアンチセンスオリゴヌクレオチドのIC
50は、表23においてnMで示される。
【0244】
【表23】
D. BACHDトランスジェニックマウス肝細胞
実施例1において記載されそしてヒト
ハンチンチン核酸を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドのいくつかを、in vitroでのヒト
ハンチンチンmRNAに対するそれらの作用について試験した。ウェル当たり10,000細胞の密度での培養されたBACHDマウス肝細胞を、サイトフェクチントランスフェクション試薬を7.4074 nM、22.222 nM、66.667 nM、または200 nMのアンチセンスオリゴヌクレオチドとともに使用して、トランスフェクトした。約16時間の処置期間の後、RNAを細胞から単離し、そして
ハンチンチンmRNAレベルを定量的リアルタイムPCRにより測定した。ヒトプライマープローブセットRTS2617を使用して、mRNAレベルを測定した。
ハンチンチンmRNAレベルを、RIBOGREEN(登録商標)により測定されるように、全RNA含量に従って調整した。結果を、非処置対照細胞と比較した
ハンチンチンmRNAの%阻害として、表24において示し、
ハンチンチンmRNAレベルのアンチセンスオリゴヌクレオチド-媒介性用量依存性の減少を示す。示されるデータは、2回の実験の平均である。それぞれのアンチセンスオリゴヌクレオチドのIC
50は、表24においてnMで示される。
【0245】
【表24】
ISIS 387916、ISIS 388241、およびISIS 419641を、in vitroでのヒト
ハンチンチンmRNAに対するそれらの作用についてさらに試験した。ウェル当たり10,000細胞の密度での培養されたBACHDマウス肝細胞を、サイトフェクチントランスフェクション試薬を12.5 nM、25 nM、50 nM、100 nMまたは200 nMのアンチセンスオリゴヌクレオチドとともに使用して、トランスフェクトした。約16時間の処置期間の後、RNAを細胞から単離し、そして
ハンチンチンmRNAレベルを定量的リアルタイムPCRにより測定した。ヒトプライマープローブセットRTS2617を使用して、mRNAレベルを測定した。
ハンチンチンmRNAレベルを、RIBOGREEN(登録商標)により測定されるように、全RNA含量に従って調整した。結果を、非処置対照細胞と比較した
ハンチンチンmRNAの%阻害として、表25において示し、
ハンチンチンmRNAレベルのアンチセンスオリゴヌクレオチド-媒介性用量依存性の減少を示す。それぞれのアンチセンスオリゴヌクレオチドのIC
50は、表25においてnMで示される。
【0246】
【表25】
ISIS 387916、ISIS 388241、ISIS 419641、ISIS 436665、ISIS 436671、およびISIS 436689を、in vitroでのヒト
ハンチンチンmRNAに対するそれらの作用についてさらに試験した。培養されたBACHDマウス肝細胞を、上述した方法と同様に試験した。結果を、非処置対照細胞と比較した
ハンチンチンmRNAの%阻害として、表26において示し、
ハンチンチンmRNAレベルのアンチセンスオリゴヌクレオチド-媒介性用量依存性の減少を示す。それぞれのアンチセンスオリゴヌクレオチドのIC
50は、表26においてnMで示される。
【0247】
【表26】
ISIS 387916、ISIS 419640、ISIS 419641、およびISIS 419642を、in vitroでのマウス
ハンチンチンmRNAに対するそれらの作用についてさらに試験した。ウェル当たり20,000細胞の密度での培養されたBACHDマウス肝細胞を、サイトフェクチントランスフェクション試薬を6.667 nM、20 nM、60 nM、または180 nMのアンチセンスオリゴヌクレオチドとともに使用して、トランスフェクトした。約16時間の処置期間の後、RNAを細胞から単離し、そして
ハンチンチンmRNAレベルを定量的リアルタイムPCRにより測定した。マウスプライマープローブセットRTS2633(フォワード配列CAGAGCTGGTCAACCGTATCC、本明細書中SEQ ID NO: 43と示される;リバース配列GGCTTAAACAGGGAGCCAAAA、本明細書中SEQ ID NO: 44と示される;プローブ配列ACTTCATGATGAGCTCGGAGTTCAACX、本明細書中SEQ ID NO: 45と示される)を使用して、mRNAレベルを測定した。
ハンチンチンmRNAレベルを、RIBOGREEN(登録商標)により測定されるように、全RNA含量に従って調整した。結果を、非処置対照細胞と比較した
ハンチンチンmRNAの%阻害として、表27において示し、
ハンチンチンmRNAレベルのアンチセンスオリゴヌクレオチド-媒介性用量依存性の減少を示す。それぞれのアンチセンスオリゴヌクレオチドのIC
50は、表27においてnMで示される。
【0248】
【表27】
実施例3:BACHDマウスにおける
ハンチンチンmRNAに対する、アンチセンスオリゴヌクレオチドの全身性投与
約1700種の新たに設計したアンチセンス化合物の中から、全身性耐容性スクリーニングにおいて試験するためのISIS 387916と比較したin vitro強度に基づいて、66種の化合物を選択した。
【0249】
BACHDマウスを、ISISオリゴヌクレオチドにより処置し、そして様々な代謝マーカーのレベルの変化について評価し、並びに肝臓における
ハンチンチンmRNAの阻害の変化について評価した。体重、器官重量において、または代謝マーカーレベルにおいて不都合な変化を生じたアンチセンスオリゴヌクレオチドが、さらなる研究において利用するために適切ではないものとみなした。
【0250】
研究1
処置
各4匹の19群のBACHDマウスに、12.5 mg/kgのISIS 387916、ISIS 388241、ISIS 419629、ISIS 419637、ISIS 436684、ISIS 444578、ISIS 444584、ISIS 444591、ISIS 444607、ISIS 444608、ISIS 444615、ISIS 444618、ISIS 444627、ISIS 444652、ISIS 444658、ISIS 444659、ISIS 444660、ISIS 444661、またはISIS 444663を、1週間に2回、2週間にわたり、腹腔内に注射した。4匹のマウスの対照群に、PBSを、1週間に2回、2週間にわたり、腹腔内に注射した。最終投与の2日後に、マウスをイソフルレンを用いて麻酔し、そして血漿回収のために放血し、その後頸椎脱臼を行い、器官を回収した。
【0251】
RNA解析
RNAを、
ハンチンチンmRNAレベルのリアルタイムPCR解析用に肝臓組織から抽出した。ヒト変異型
ハンチンチンmRNAレベルを、ヒトプライマープローブセットRTS2617を使用して測定した。マウス正常
ハンチンチンレベルを、マウスプライマープローブセットRTS2633を使用して測定した。結果を、表28および表29に示し、そしてPBS対照と比較して、ヒト
ハンチンチン発現レベルおよびマウス
ハンチンチン発現レベルの%阻害としてそれぞれ算出した。すべてのアンチセンスオリゴヌクレオチドは、ヒト
ハンチンチンmRNAレベルの顕著な阻害を引き起こす。ISIS 388241は、マウス
ハンチンチンmRNA(SEQ ID NO: 3)と比較して3つ以上のミスマッチを有し、そして従って対照と比較して、マウスmRNAレベルの顕著な阻害を示さなかった。
【0252】
【表28】
【0253】
【表29】
器官重量測定
肝臓重量、脾臓重量および腎臓重量を、研究の最後に測定し、そして体重で正規化した生理食塩水対照の%として、表30において示す。
【0254】
【表30】
肝臓機能の評価
ISISオリゴヌクレオチドの上述したマウスの肝臓機能に対する効果を評価するため、トランスアミナーゼの血漿濃度を、自動化臨床化学解析装置(Hitachi Olympus AU400e, Melville, NY)を使用して測定した。アラニントランスアミナーゼ(ALT)およびアスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)の測定値を、IU/Lで示し、そして結果を表31に示す。
【0255】
【表31】
研究2
処置
各4匹の14群のBACHDマウスに、12.5 mg/kgまたは50 mg/kgのISIS 419581、ISIS 419602、ISIS 419628、ISIS 419629、ISIS 419640、ISIS 419641、またはISIS 419642を、1週間に2回、2週間にわたり、腹腔内に注射した。4匹のBACHDマウスのグループには、12.5 mg/kgのISIS 387916を1週間に2回、2週間にわたり、腹腔内に注射した。4匹のマウスの対照群には、PBSを、1週間に2回、2週間にわたり、腹腔内に注射した。最終投与ののち2日後に、マウスを、イソフルレンを用いて麻酔し、そして血漿回収のために放血し、その後頸椎脱臼を行い、器官を回収した。
【0256】
RNA解析
RNAを、
ハンチンチンmRNAレベルのリアルタイムPCR解析用に肝臓組織から抽出した。ヒト変異型
ハンチンチンmRNAレベルを、ヒトプライマープローブセットRTS2617を使用して測定した。マウス正常
ハンチンチンレベルを、マウスプライマープローブセットRTS2633を使用して測定した。結果を、表32および表33に示し、そしてPBS対照と比較して、ヒト
ハンチンチン発現レベルおよびマウス
ハンチンチン発現レベルの%阻害としてそれぞれ算出した。
【0257】
【表32】
【0258】
【表33】
器官重量測定
肝臓重量、脾臓重量および腎臓重量を、研究の最後に測定し、そして体重で正規化した生理食塩水対照の%として、表34において示す。
【0259】
【表34】
肝臓機能の評価
ISISオリゴヌクレオチドの上述したマウスの肝臓機能に対する効果を評価するため、トランスアミナーゼの血漿濃度を、自動化臨床化学解析装置(Hitachi Olympus AU400e, Melville, NY)を使用して測定した。ALTおよびASTの測定値を、IU/Lで示し、そして結果を表35に示す。
【0260】
【表35】
研究3
処置
各4匹の18群のBACHDマウスに、12.5 mg/kgまたは50 mg/kgのISIS 388250、ISIS 388251、ISIS 388263、ISIS 388264、ISIS 419641、ISIS 436645、ISIS 436649、ISIS 436668、またはISIS 436689を、1週間に2回、2週間にわたり、腹腔内に注射した。4匹のBACHDマウスのグループには、12.5 mg/kgのISIS 388241を、1週間に2回、2週間にわたり、腹腔内に注射した。4匹のマウスの対照群には、PBSを、1週間に2回、2週間にわたり、腹腔内に注射した。最終投与ののち2日後に、マウスを、イソフルレンを用いて麻酔し、そして血漿回収のために放血し、その後頸椎脱臼を行い、器官を回収した。
【0261】
RNA解析
RNAを、
ハンチンチンmRNAレベルのリアルタイムPCR解析用に肝臓組織から抽出した。ヒト変異型
ハンチンチンmRNAレベルを、ヒトプライマープローブセットRTS2617を用いて測定した。マウス正常
ハンチンチンレベルを、マウスプライマープローブセットRTS2633を用いて測定した。結果を、表36および表37に示し、そしてPBS対照と比較して、ヒト
ハンチンチン発現レベルおよびマウス
ハンチンチン発現レベルの%阻害としてそれぞれ算出した。すべてのアンチセンスオリゴヌクレオチドは、ヒト
ハンチンチンmRNAレベルの顕著な阻害を引き起こす。ISIS 388241、ISIS 388250、ISIS 388251、ISIS 388263、ISIS 388264、およびISIS 436645は、マウス
ハンチンチンmRNA(SEQ ID NO: 3)と比較して3つ以上のミスマッチを有し、そして従って対照と比較して、マウスmRNAレベルの顕著な阻害を示さなかった。ISIS 436649およびISIS 436689は、マウス
ハンチンチンmRNA(SEQ ID NO: 3)と比較して3つ以上のミスマッチを有し、そして従って対照と比較して、マウスmRNAレベルの顕著な阻害を示さなかった。
【0262】
【表36】
【0263】
【表37】
器官重量測定
肝臓重量、脾臓重量および腎臓重量を、研究の最後に測定し、そして体重で正規化した生理食塩水対照の%として、表38において示す。ISIS 388263およびISIS 436645で処理したマウスは、PBS対照と比較して、50 mg/kg投与に際して、肝臓重量の増加を生じた。
【0264】
【表38】
肝臓機能の評価
ISISオリゴヌクレオチドの上述したマウスの肝臓機能に対する効果を評価するため、トランスアミナーゼの血漿濃度を、自動化臨床化学解析装置(Hitachi Olympus AU400e, Melville, NY)を使用して測定した。アラニントランスアミナーゼ(ALT)およびアスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)の測定値を、IU/Lで示し。そして結果を表39に示す。
【0265】
【表39】
研究4
処置
各4匹の18群のBACHDマウスに、腹腔内に12.5 mg/kまたは50 mg/kgのISIS 388241、ISIS 437123、ISIS 437132、ISIS 437140、ISIS 437442、ISIS 437446、ISIS 437477、ISIS 437478、またはISIS 437490 1週間に2回、2週間にわたり、腹腔内に注射した。4匹のBACHDマウスのグループには、12.5 mg/kgのISIS 387916を1週間に2回、2週間にわたり、腹腔内に注射した。4匹のマウスの対照群には、PBSを、1週間に2回、2週間にわたり、腹腔内に注射した。最終投与ののち2日後に、マウスを、イソフルレンを用いて麻酔し、そして血漿回収のために放血し、その後頸椎脱臼を行い、器官を回収した。
【0266】
RNA解析
RNAを、
ハンチンチンmRNAレベルのリアルタイムPCR解析用に肝臓組織から抽出した。ヒト変異型
ハンチンチンmRNAレベルを、ヒトプライマープローブセットRTS2617を使用して測定した。マウス正常
ハンチンチンレベルを、マウスプライマープローブセットRTS2633を使用して測定した。結果を、表40および表41に示し、そしてPBS対照と比較して、ヒト
ハンチンチン発現レベルおよびマウス
ハンチンチン発現レベルの%阻害としてそれぞれ算出した。ISIS 388241およびISIS 437490は、マウス
ハンチンチンmRNA(SEQ ID NO: 3)と比較して3つよりも多いミスマッチを有し、そしてしたがって、対照と比較して、マウスmRNAレベルの顕著な阻害を示さなかった。ISIS 437132は、マウス
ハンチンチンmRNA(SEQ ID NO: 3)と比較して3つのミスマッチを有し、そしてしたがって、対照と比較して、マウスmRNAレベルの顕著な阻害を示さなかった。ISIS 437123およびISIS 437140は、マウス
ハンチンチンmRNA(SEQ ID NO: 3)と比較して2つのミスマッチを有し、そして対照と比較して、マウスmRNAレベルの顕著な阻害を示さなかった。
【0267】
【表40】
【0268】
【表41】
器官重量測定
肝臓重量、脾臓重量および腎臓重量を、研究の最後に測定し、そして体重は、体重で正規化した生理食塩水対照の%として、表42中に示される。
【0269】
【表42】
肝臓機能の評価
ISISオリゴヌクレオチドの上述したマウスの肝臓機能に対する影響を評価するため、トランスアミナーゼの血漿濃度を、自動化臨床化学解析装置(Hitachi Olympus AU400e, Melville, NY)を使用して測定した。アラニントランスアミナーゼ(ALT)およびアスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)の測定値は、IU/Lで表し、そして結果を表43に示す。
【0270】
【表43】
研究5
処置
各4匹の11群のBACHDマウスに、12.5 mg/kgのISIS 388241、ISIS 419640、ISIS 419641、ISIS 419642、ISIS 436665、ISIS 436671、ISIS 436689、ISIS 437507、ISIS 443139、ISIS 444591、またはISIS 444661を、1週間に2回、2週間にわたり、腹腔内に注射した。4匹のマウスの対照群に、リン酸緩衝塩類溶液(PBS)を、1週間に2回、2週間にわたり、腹腔内を注射した。最終投与ののち2日後に、マウスを、イソフルレンを用いて麻酔し、そして血漿回収のために放血し、その後頸椎脱臼を行い、器官を回収した。
【0271】
RNA解析
RNAを、
ハンチンチンmRNAレベルのリアルタイムPCR解析用に肝臓組織から抽出した。ヒト変異型
ハンチンチンmRNAレベルを、ヒトプライマープローブセットRTS2617を使用して測定した。マウス正常
ハンチンチンレベルを、マウスプライマープローブセットRTS2633を使用して測定した。結果を、表44および表45に示し、そしてPBS対照と比較して、ヒト
ハンチンチン発現レベルおよびマウス
ハンチンチン発現レベルの%阻害としてそれぞれ算出した。すべてのアンチセンスオリゴヌクレオチドは、ヒト
ハンチンチンmRNAレベルの顕著な阻害を示さなかった。ISIS 388241、ISIS 437507、およびISIS 443139は、マウス
ハンチンチンmRNA(SEQ ID NO: 3)と比較して3つよりも多いミスマッチを有し、そしてしたがって対照と比較して、マウスmRNAレベルの顕著な阻害を示さなかった。ISIS 436689は、マウス
ハンチンチンmRNA(SEQ ID NO: 3)と比較して3つのミスマッチを有し、そして対照と比較して、マウスmRNAレベルの顕著な阻害を示さなかった。
【0272】
【表44】
【0273】
【表45】
体重および器官重量の測定
マウスの体重を、研究の開示時点および1週間に2回、測定した。マウスの体重を表46に示し、そして研究の開始時に測定された体重に対する%変化として表す。結果は、これらのオリゴヌクレオチドによる処置は、研究を通じてマウスの体重において有害な変化を生じなかったことを示す。
【0274】
【表46】
肝臓重量、脾臓重量および腎臓重量を、研究の最後に測定し、そして体重は、体重で正規化した生理食塩水対照の%として表47に示される。
【0275】
【表47】
肝臓機能の評価
ISISオリゴヌクレオチドの上述したマウスの肝臓機能に対する影響を評価するため、トランスアミナーゼの血漿濃度を、自動化臨床化学解析装置(Hitachi Olympus AU400e, Melville, NY)を使用して測定した。ALTおよびASTの測定値は IU/Lで表した。ビリルビンおよびアルブミンの血漿レベルもまた、同一の臨床的化学物質解析装置を使用して測定し、そしてg/dLで表した。結果を、表48に示す。
【0276】
【表48】
腎臓機能の測定
ISISオリゴヌクレオチドの上述したマウスの腎臓機能に対する影響を評価するため、血中尿素窒素(BUN)およびクレアチニンのの血漿濃度を、自動化臨床化学解析装置(Hitachi Olympus AU400e, Melville, NY)を使用して測定した。結果を、表49においてmg/dLで示す。
【0277】
【表49】
その他の代謝パラメータの測定
ISISオリゴヌクレオチドの上述したマウスにおけるその他の代謝機能に対する影響を評価するため、グルコース、コレステロールおよびトリグリセリドの血漿濃度を、自動化臨床化学解析装置(Hitachi Olympus AU400e, Melville, NY)を使用して測定した。結果を、表50において示し、mg/dLで表し、そしてこれらのオリゴヌクレオチドによる処置が、対照群と処置群とのあいだで、これらの代謝マーカーのレベルの有害な変化を何も生じなかった。
【0278】
【表50】
実施例4:
ハンチンチンmRNAに対するアンチセンスオリゴヌクレオチドの、BACHDマウスの大脳基底核線条体に対するボーラス投与
BACHDマウスを、規定のマウス脳領域、大脳基底核線条体、に対して、ヒト
ハンチンチンmRNA発現およびマウス
ハンチンチンmRNA発現に対する脳組織におけるオリゴヌクレオチド活性をスクリーニングすることを目的として、ボーラス投与を介してISISオリゴヌクレオチドにより処理した。
【0279】
処置および手術
各4匹のBACHDマウスのグループに、大脳基底核線条体中に3μg、10μgまたは25μg濃度を1回ボーラス注射として送達されるISIS 388241、ISIS 419628、ISIS 419637、ISIS 419640、ISIS 419641、ISIS 419642、ISIS 436665、ISIS 436671、ISIS 436684、ISIS 436689、ISIS 436754、ISIS 437168、ISIS 437175、ISIS 437441、ISIS 437442、ISIS 437507、ISIS 437527、ISIS 443139、ISIS 444578、ISIS 444584、ISIS 444591、ISIS 444607、ISIS 444608、ISIS 444615、ISIS 444618、ISIS 444627、ISIS 444652、ISIS 444658、ISIS 444659、ISIS 444660、ISIS 444661またはISIS 444663を投与した。
【0280】
4匹のBACHDマウスの対照群を、PBSにより同様に処置した。ISIS 388241を、各4匹の7グループのマウスにおいて投与し、そして示される結果は、データの平均である。ISIS 419628を、各4匹の2グループのBACHDマウスに投与し、そして示された結果は、8匹のマウスに由来するデータの平均である。ボーラス投与の7日後、マウスを、イソフルレンを用いて麻酔し、そして器官を取り出した。動物を頚椎脱臼させ、そして組織の切片のための脳を取り出した。
【0281】
RNA解析
RNAを、
ハンチンチンmRNAレベルのリアルタイムPCR解析のために、大脳基底核線条体組織から抽出した。ヒト変異型
ハンチンチンmRNAレベルを、ヒトプライマープローブセットRTS2617を使用して測定した。マウス正常
ハンチンチンmRNAレベルを、マウスプライマープローブセットRTS2633を使用して測定した。ヒト
ハンチンチンmRNAレベルに関する結果を、表51中にて提示し、そして、PBS対照群と比較して%阻害を表示する。すべてのアンチセンスオリゴヌクレオチドは、ヒト
ハンチンチンmRNAレベルの用量依存的な阻害を生じる。マウス
ハンチンチンmRNAレベルについての結果を、表52に示し、そしてPBS対照群と比較した%阻害として表す。
【0282】
各オリゴヌクレオチドのヒト
ハンチンチンmRNAおよびマウス
ハンチンチンmRNAに対する有効用量(ED
50)は、使用されるオリゴヌクレオチド濃度対いずれかの種の
ハンチンチンmRNA発現レベルの%阻害とをプロッティングすることにより、そして対応する対照と比較して、
ハンチンチンmRNA発現の50%阻害がそれぞれの種に関して達成された濃度に注目することにより、算出した。各アンチセンスオリゴヌクレオチドについてのED
50(μg)もまた、ヒト
ハンチンチンmRNAおよびマウス
ハンチンチンmRNAに関してそれぞれ表51および表52に示す。
【0283】
ISIS 388241、ISIS 436684、ISIS 436754、ISIS 437175、ISIS 437507、ISIS 443139、およびISIS 444584はそれぞれ、マウス
ハンチンチンmRNA(SEQ ID NO: 3)と比較して8塩基対またはそれ以上のミスマッチを有し、そしてしたがって対照と比較して、マウスmRNAレベルの顕著な阻害を示さない。ISIS 437168およびISIS 437441は、マウス
ハンチンチンmRNA(SEQ ID NO: 3と比較して)2つのミスマッチを有し、そして対照と比較して、マウスmRNAレベルの顕著な阻害を示さない。ISIS 436689は、マウス
ハンチンチンmRNA(SEQ ID NO: 3)と比較して3つのミスマッチを有し、そして、対照と比較して、マウスmRNAレベルの顕著な阻害を示さない。
【0284】
【表51】
【0285】
【表52】
アスタリスクをつけた10種の化合物は、ISIS 388241と比較して改善されたED
50を有した。
【0286】
実施例5:ラットの大脳基底核線条体組織における、アンチセンスオリゴヌクレオチドのボーラス投与の神経毒性作用についてのアッセイ
約30種の化合物を、高耐容性および高強度を有するものとして選択した。ついで、化合物を、ついで、ラットにおいてCNSボーラス注射により試験し、さらに神経毒性について評価した。
【0287】
Sprague-Dawleyラットのそれぞれを、CNS毒性の測定としてミクログリアマーカーAIF1の誘導についてスクリーニングすることを目的として、規定の脳領域、大脳基底核線条体、へのボーラス投与を介してISISオリゴヌクレオチドにより処置した。
【0288】
処置および手術
4匹のSprague-Dawleyラットのグループに、大脳基底核線条体中に50μg濃度を1回ボーラス注射として送達されるISIS 387916、ISIS 388241、ISIS 419627、ISIS 419628、ISIS 419629、ISIS 419630、ISIS 419636、ISIS 419637、ISIS 419640、ISIS 419641、ISIS 419642、ISIS 436665、ISIS 436668、ISIS 4196671、ISIS 436684、ISIS 436689、ISIS 436754、ISIS 443168、ISIS 437175、ISIS 437441、ISIS 437442、ISIS 437507、ISIS 437527、ISIS 443139、ISIS 444578、ISIS 444584、ISIS 444591、ISIS 444607、ISIS 444608、ISIS 444615、ISIS 444618、ISIS 444627、ISIS 444652、ISIS 444658、ISIS 444659、ISIS 444660、ISIS 444661、またはISIS 444663を、投与した。
【0289】
4匹のラットの対照群を、PBSにより同様に処理した。4匹のラットのグループを、陰性対照群としてTNF-αに対するアンチセンスオリゴヌクレオチドである、ISIS 104838により同様に処置した。ISIS 387916は、4匹のラット、4グループのそれぞれにおいて投与し、そして示された結果は、16匹のラットから得られたデータの平均である。ISIS 419628は、4匹のラット、2グループのそれぞれにおいて投与し、そして示された結果は、8匹のラットから得られたデータの平均である。ISIS 419629、ISIS 444584およびISIS 444618は、全身性投与研究(実施例3)において毒性指標を有したものであるが、本研究においても試験した。ボーラス投与の7日後に、ラットを、イソフルレンを用いて麻酔し、そして器官を取り出した。動物を頚椎脱臼させ、そして大脳基底核線条体組織の切片のための脳を取り出した。
【0290】
AIF1発現レベルのRNA解析
RNAを、AIF1 mRNAレベルのリアルタイムPCR解析のために、大脳基底核線条体組織から抽出した。ラットAIF1レベルを、ラットプライマープローブセットrAif1_LTS00219(フォワード配列AGGAGAAAAACAAAGAACACCAGAA、本明細書中SEQ ID NO: 46と示される;リバース配列CAATTAGGGCAACTCAGAAATAGCT、本明細書中SEQ ID NO: 47と示される;プローブ配列CCAACTGGTCCCCCAGCCAAGAX、本明細書中SEQ ID NO: 48と示される)を使用して測定した。結果を、PBS対照のAIF1発現と比較して、AIF1発現の%として算出し、それを表53に示した。ISIS 419629、ISIS 444584、およびISIS 444618は、全身性投与研究(実施例3)における毒性指標を示したものであるが、本研究においても同様に毒性指標を有した(生理食塩水対照と比較して300%高い)。その後の研究により、ISIS 444584は、神経耐容性であり、そしてわずかな毒性指標を示すことが示された(実施例16および実施例17)。
【0291】
【表53】
ハンチンチン発現レベルのRNA解析
RNAを、
ハンチンチンmRNAレベルのリアルタイムPCR解析のために、大脳基底核線条体組織から抽出した。ラット
ハンチンチンmRNAレベルを、ラットプライマープローブセットrHtt_LTS00343(フォワード配列CAGAGCTGGTGAACCGTATCC、本明細書中SEQ ID NO: 49と示される;リバース配列GGCTTAAGCAGGGAGCCAAAA、本明細書中SEQ ID NO: 50と示される;プローブ配列ACTTCATGATGAGCTCGGAGTTCAACX、本明細書中SEQ ID NO: 51と示される)を使用して、測定した。結果を、PBS対照の
ハンチンチン発現と比較して、
ハンチンチン発現の減少%として算出し、それを表54に示した。ISIS 388241、ISIS 436684、ISIS 436754、ISIS 437175、ISIS 437507、およびISIS 443139はそれぞれ、ラット遺伝子配列(SEQ ID NO: 5)と比較して6塩基対またはそれ以上のミスマッチを有し、そしてしたがって対照と比較して、ラットmRNAレベルの顕著な阻害を示さない。ISIS 419640、ISIS 419641、ISIS 419642、ISIS 436665、ISIS 436668、ISIS 437442、ISIS 444615、およびISIS 444627はそれぞれ、ラット遺伝子配列(SEQ ID NO: 5)と比較して1つのミスマッチを有し、そして対照と比較して、ラットmRNAレベルの顕著な阻害を示さない。ISIS 437168およびISIS 437441は、ラット遺伝子配列(SEQ ID NO: 5)と比較して2つのミスマッチを有し、そして対照と比較して、ラットmRNAレベルの顕著な阻害を示さない。ISIS 436689およびISIS 444584は、ラット遺伝子配列(SEQ ID NO: 5)と比較して3つのミスマッチを有し、そして対照と比較して、ラットmRNAレベルの顕著な阻害を示さない。
【0292】
【表54】
実施例6:
ハンチンチンmRNAに対するアンチセンスオリゴヌクレオチドの脳室内投与〜BACHDマウスにおける耐容性研究
選択された化合物を、以前に設計した化合物ISIS 388241と、BACHDマウスにおいてICV投与により比較した。
【0293】
選択された化合物+ベンチマーク388241は、in vitroおよび全身性の強度および耐容性、並びにCNS強度および耐容性に基づいて、選択した。
BACHDマウスを、マウスにおけるICV投与の耐容性を評価することを目的として、規定のマウス脳領域、右側脳室、に対する脳室内(ICV)投与を介して、ISISオリゴヌクレオチドにより処置した。
【0294】
処置および手術
5匹のBACHDマウスのグループのそれぞれに、Alzet 2002ポンプを用いて12μL/日の速度で2週間にわたり150μg/日をICVに送達される、ISIS 388241、ISIS 437507、ISIS 443139、ISIS 419640、ISIS 419641、ISIS 419642、ISIS 444591、ISIS 436665、ISIS 436671、ISIS 444661、またはISIS 436689を投与した。4匹のBACHDマウスの対照群を、PBSにより同様に処置した。マウスに対して、以下のようにしてポンプを外科的に移植した:ポンプの移植のため、マウスを個別に3%イソフルレンを用いて麻酔した。2週間後、マウスを再び麻酔し、そしてポンプを外科的に取り除いた。ついで、動物をさらに2週間かけて回復させ、その後安楽死させた。
【0295】
マウスの体重を処置および回復期間のあいだ毎週測定した。4週間後、マウスをイソフルレンおよび頚椎脱臼を使用して安楽死させた。前頭部および後頭部から組織を得るために脳を取り出した。
【0296】
RNA解析
RNAを、
ハンチンチンmRNAレベルのリアルタイムPCR解析のため、前頭皮質の右半球およびカニューレ部位小脳後葉部分から抽出した。ヒト変異型
ハンチンチンmRNAレベルを、ヒトプライマープローブセットRTS2617を使用して測定した。マウス正常
ハンチンチンmRNAレベルを、マウスプライマープローブセットRTS2633を使用して測定した。結果を、対照と比較してヒト
ハンチンチンmRNA発現およびマウス
ハンチンチンmRNA発現の%阻害として算出し、表56および表57においてそれぞれ示す。すべてのアンチセンスオリゴヌクレオチドは、ヒト
ハンチンチンmRNAレベルの顕著な阻害を生じる。ISIS 388241、ISIS 437507、およびISIS 443139はそれぞれ、マウス
ハンチンチンmRNA(SEQ ID NO: 3)と比較して8塩基対またはそれ以上のミスマッチを有し、そしてしたがって、対照と比較して、マウスmRNAレベルの顕著な阻害を示さない。ISIS 444591は、マウス
ハンチンチンmRNA(SEQ ID NO: 3)と比較して1つのミスマッチを有し、そして対照と比較して、マウスmRNAレベルの顕著な阻害を示さない。ISIS 436689は、マウス
ハンチンチンmRNA(SEQ ID NO: 3)と比較して3つのミスマッチを有し、そして、対照と比較して、マウスmRNAレベルの顕著な阻害を示さない。
【0297】
【表55】
【0298】
【表56】
【0299】
【表57】
体重測定
マウスの体重を、研究の開始時およびその後は1週間に1回、測定した。マウスの体重を表58に示し、そして研究の開始時に測定した体重と比較した%変化として表す。体重は、アンチセンスオリゴヌクレオチドのICV投与に対するマウスの耐容性の測定値と考えられた。‘n.d.'は、その時点で利用可能なデータが存在しなかったことを意味する。
【0300】
【表58】
マウスの生存
マウスの生存を、全研究期間にわたり評価した。以下の表59は、ISISオリゴヌクレオチドおよび対照により処置したマウスグループの生存パターンを示す。
【0301】
【表59】
実施例7:C57/BL6マウスにおける、
ハンチンチンに対するアンチセンスオリゴヌクレオチドの脳室内投与
野生型C57/BL6マウスを、これらのマウスにおけるマウス
ハンチンチンに対するオリゴヌクレオチドの強度を評価することを目的として、ISISオリゴヌクレオチドを用いて、脳室内(ICV)投与を介して、規定のマウス脳領域、右側脳室、に対して処置した。
【0302】
処置および手術
各10匹のC57/BL6マウスのグループに対して、50μg/日をAlzet 2002ポンプを用いて0.5μL/日の速度で7日間または14日間ICVに送達される、ISIS 408737(5' TCCTAGTGTTACATTACCGC 3'(SEQ ID NO: 52)、開始部位SEQ ID NO: 3の5263)を投与した。6匹のC57/BL6マウスの対照群を、PBSにより同様に処置した。マウスに対して、以下のようにしてポンプを外科的に移植した:簡単に述べると、Alzet浸透圧ポンプ(Model 2002)を、製造者の指示書に従って組み立てた。ポンプをアンチセンスオリゴヌクレオチドを含有する溶液で充填し、そして移植の24時間前に、37℃にて一晩、インキュベートした。動物を3%イソフルレンにより麻酔し、そして定位固定フレーム中に配置した。外科手術部位を消毒した後、頭蓋骨上で正中切開を行い、背部に皮下ポケットを作り、そこに事前に充填した浸透圧ポンプを移植した。小型のキリ穴を、右側脳室上に頭蓋骨を通して開けた。プラスチックカテーテルを介して浸透圧ポンプに対して接続したカニューレを、脳室内に配置し、そしてLoctite接着剤を使用して適した位置に接着した。切開を縫合により閉じた。アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはPBSを7または14日間注入し、ポンプを取り出した後に、その後動物を、Institutional Animal Care and Use Committeeにより承認された人道的なプロトコルに従って安楽死させた。脳および脊髄の組織を回収し、液体窒素中で瞬間的に凍結した。凍結する前に、脳組織をマウス脳マトリクスを使用して5つの部分(S1、S2、S3、S4、およびS5)に横方向に切断した。部分1〜5は、約互いに2 mmずつ離れており、S1が最も前部であり、そしてS5が最も後部であった。
【0303】
RNA解析およびタンパク質解析
全RNAを、
ハンチンチンmRNAレベルのリアルタイムPCR解析のため、RNeasy Mini prep kit(Qiagen)を使用して、RNeasy Protect Mini Kit(Qiagen, Mississauga, ON, Canada)によりマウス脳および脊髄から抽出した。Q-PCR反応を、ABI Prism 7700配列検出器(Applied Biosystems)上で行いそして解析した。マウス
ハンチンチンmRNAレベルを、マウスプライマープローブセットABI # Mm01213820_m1(Applied Biosystems)を使用して測定し、そしてペプチジルプロリルイソメラーゼA mRNAレベルに対して正規化した。タンパク質溶解物を、以前に記載されたように(Li S.H. and Li X.J.、Methods in Molecular Biology(2008)、217:1940-6029)、マウス脳スラブから調製した。溶解物を3〜8%のtris-酢酸ゲル上で泳動し、そしてiBlotドライブロッティングシステム(Invitrogen)を使用して転写した。ブロットを、抗-βチューブリン(Chemicon)およびマウス
ハンチンチンタンパク質に対して特異的に反応するモノクローナルMAB2166抗体(Millipore)を用いてプローブ化した。イムノブロットを、Odyssey V3.0 softwareを使用して定量化した。
【0304】
結果をPBS対照と比較した%減少として表60に示し、そしてday 7およびday 14の両方で、アンチセンスオリゴヌクレオチドにより、
ハンチンチンmRNAおよびタンパク質レベルの顕著な阻害を示した。
【0305】
【表60】
実施例8:カニクイザルにおける、
ハンチンチンmRNAに対するアンチセンスオリゴヌクレオチドの脳室内投与
カニクイザルを、
ハンチンチンmRNA発現に対する脳組織におけるオリゴヌクレオチドの活性をスクリーニングすることを目的として、ISISオリゴヌクレオチドを用いて、脳室内(ICV)投与を介して、規定の脳領域、側脳室、に対して処置した。
【0306】
処置および手術
各3頭のカニクイザルの2グループに対して、0.05 ml/時間の速度で4週間、個別の歩行可能なポンプ(Pegasus Vario)によりICV送達される、0.635 mg/ml(1.5 mg/日)または1.67 mg/ml(4 mg/日)のISIS 436689のいずれかを投与した。2頭のカニクイザルの対照群に対して、PBSにより同様に投与した。グループには、ISIS 436689を両側性に投与した。1頭の動物に対して、右脳室にISIS 436689を4 mg/日用量で片側性に投与した。
【0307】
動物を、注入を行う前に、手術から10日間回復させた。手術後の回復期間のあいだ、動物を、0.05 mL/hの流速で、脳室当たり1個の歩行可能な注入ポンプを使用して、PBSをICV注入しながら維持した。回復期間の最後に、それぞれのカニューレを霊長類用ジャケット(Lomir, PJ-02NB)中に配置した個別の歩行可能なポンプ(Pegasus Vario)に対して接続した。ポンプを、注入期間の完了まで、接続したままにした。4週間の投与後、動物を安楽死させ、そして脳、肝臓および腎臓を回収した。
【0308】
htt mRNAのRNA解析
RNAを、
ハンチンチンmRNAレベルのリアルタイムPCR解析のため、前部尾状核、後部尾状核、側頭皮質、頭頂皮質、視床下部、中脳、海馬、および脊髄、並びに肝臓および腎臓から抽出した。
ハンチンチンmRNAレベルを、ヒトプライマープローブセットRTS2617を使用して測定し、そしてサルシクロフィリンAレベルに対して正規化した。結果を、PBS対照と比較して、
ハンチンチンmRNA発現の%阻害として算出し、そして表61に示す。ISIS 436689は、CNSにおいてヒト
ハンチンチンmRNAレベルの顕著な阻害を生じる。
【0309】
【表61】
実施例9:1回ボーラス投与を介したC57/BL6マウスの大脳基底核線条体におけるISIS 387898の半減期の測定
C57/BL6マウスに、大脳基底核線条体組織における
ハンチンチンmRNA発現に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドの半減期および作用期間を測定することを目的として、大脳基底核線条体に対して1回ボーラスとして、ISIS 387898を投与した。
【0310】
処置
40匹のC57/BL6マウスを、実施例5において記載される方法と同様の方法において、50μgの1回ボーラスとして送達した、ISIS 387898(5' CTCGACTAAAGCAGGATTTC 3'(SEQ ID NO: 53);開始部位はSEQ ID NO: 1の4042および開始位置はSEQ ID NO: 3の4001)により処置した。8匹の対照C57/BL6マウスを、同様の手法でPBSにより処置した。各4匹のマウスのグループを、様々な時点で安楽死させ、そして大脳基底核線条体組織を実施例5に記載される方法と同様の方法で取り出した。
【0311】
RNA解析
RNAを、
ハンチンチンmRNAレベルのリアルタイムPCR解析のため、抽出した。大脳基底核線条体組織から、マウス正常
ハンチンチンmRNAレベルを、マウスプライマープローブセットRTS2633を使用して測定した。結果を、表62に示し、そしてday 7でのPBS対照グループと比較して、%阻害としてあらわした。ISIS 387898の阻害作用は、少なくとも91日延長されることが観察された。
【0312】
【表62】
脳におけるアンチセンスオリゴヌクレオチド濃度の解析:
脳組織を細かく切断し、秤量し、ホモジナイズし、そしてフェノール/クロロホルム液-液抽出法を使用して抽出した。この次に、キャピラリーゲル電気泳動動電学的注射の前に、フェニル-結合カラム上の上清の固相抽出を行う。P/ACE MDQキャピラリー電気泳動装置(Beckman Coulter, Fullerton, CA)をゲル-充填キャピラリー電気泳動解析のために使用した。オリゴヌクレオチドピークを、260 nmのUV吸収により検出した。
【0313】
脳内でのISIS 387898の濃度(μg/g)を、PBS対照の%として、ヒト
ハンチンチンの発現に対してプロットした(表63および
図1)。
ハンチンチンmRNAの発現の50%阻害を達成するISIS 387898の濃度(EC
50)を、算出した。EC
50を、0.45μg/gであると決定した。脳組織におけるISIS 387898の時間依存的濃度および対応する%
ハンチンチンmRNA発現をプロットし(表64および
図2)そしてオリゴヌクレオチドの半減期を、21日と算出した。
【0314】
【表63】
【0315】
【表64】
実施例10:ICV投与を介してBACHDマウスの側脳室におけるISIS 387898の半減期の測定
BACHDマウスに対して、脳組織における
ハンチンチンmRNA発現に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドに対する半減期および作用期間を測定することを目的として、ICVにより脳の側脳室に対してISIS 387898を投与した。
【0316】
処置
28匹のBACHDマウスを、実施例9において記載されるのと同様の手法において、75μg/日でICV投与により2週間にわたり送達した、ISIS 387898により処置した。28匹の対照BACHDマウスを、実施例9において記載されるのと同様の手法において、PBSにより処置した。処置グループおよび対照グループの両方から得たそれぞれ4匹のマウスのグループを、隔週の時点で安楽死させ、そして前頭皮質組織を、実施例9に記載される方法と同様の方法において抽出した。
【0317】
RNA解析
RNAを、
ハンチンチンmRNAレベルのリアルタイムPCR解析のため、カニューレ部位に対して前部および後部両方の右半球から抽出した。ヒト変異型
ハンチンチンmRNAレベルを、ヒトプライマープローブセットRTS2617を使用して測定した。マウス正常
ハンチンチンmRNAレベルを、マウスプライマープローブセットRTS2633を使用して測定した。ヒト変異型
ハンチンチンmRNA発現レベルを、表65に示し、そしてPBS対照グループにおいて測定された%阻害の平均と比較した%阻害として表す。マウス正常
ハンチンチンmRNA発現レベルを表66に示し、そしてPBS対照グループにおいて測定された%阻害の平均と比較した、%阻害として表す。ISIS 387898の阻害作用は、91日間にわたり延長されたことが観察された。
【0318】
【表65】
【0319】
【表66】
脳内におけるアンチセンスオリゴヌクレオチド濃度の解析:
脳組織を、実施例9に記載される方法と同様の方法で処理した。脳の前頭皮質におけるISIS 387898の濃度(μg/g)を、ヒト
ハンチンチンの阻害に対してPBS対照の%としてプロットし(表67および
図3)、そしてEC
50を、26.4μg/gと算出した。脳組織における時間-依存性のISIS 387898濃度もまた、プロットし(表68および
図4)、そしてオリゴヌクレオチドのを21日と算出した。
【0320】
【表67】
【0321】
【表68】
実施例11:ICV投与を介したBACHDマウスの側脳室におけるISIS 388241およびISIS 443139の半減期の測定
BACHDマウスに、組織における
ハンチンチンmRNA発現に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドの半減期および作用期間を測定することを目的として、脳の側脳室に対してICVにより、ISIS 388241またはISIS 443139を投与した。
【0322】
処置
20匹のBACHDマウスを、実施例9に記載される方法と同様の方法において、50μg/日で2週間にわたり、ICV投与により送達した、ISIS 38241により処置した。20匹のBACHDマウスを、実施例9に記載される方法と同様の方法において、50μg/日で2週間にわたり、ICV投与により送達した、ISIS 443139により処置した。20匹の対照BACHDマウスを、実施例9に記載される方法と同様の方法において、PBSにより処置した。処置グループおよび対照グループの両方に由来する各4匹のマウスのグループを、1週間おきの間隔で安楽死させ、そして組織を、実施例9に記載される方法と同様の方法で抽出した。
【0323】
RNA解析
RNAを、
ハンチンチンmRNAレベルのリアルタイムPCR解析のため、前頭部および後頭部の両方からカニューレ部位まで、右半球から抽出した。ヒト変異型
ハンチンチンmRNAレベルを、ヒトプライマープローブセットRTS2617を使用して測定した。結果を表69に示し、そしてPBS対照群において測定された平均と比較して、%阻害として表す。ISIS 388241およびISIS 443139両方の阻害活性は、少なくとも16週間にわたり延長されたことが観察された。
【0324】
ISIS 388241、およびその混合バックボーン対応物、ISIS 443139、は両方共、マウス
ハンチンチンmRNA(SEQ ID NO: 5)とは3つ以上のミスマッチを有し、そしてしたがって、対照と比較して、マウスmRNAレベルの顕著な阻害を示さなかった。
【0325】
【表69】
脳におけるアンチセンスオリゴヌクレオチド濃度の解析:
脳組織を、実施例9に記載された方法と同様の方法で処理した。後頭部脳組織におけるISIS 388241の時間-依存的濃度をプロットし(表70および
図5)、そしてオリゴヌクレオチドの半減期を20日と算出した。後頭部脳組織におけるISIS 443139の時間-依存的濃度をプロットし(表71および
図6)、そしてオリゴヌクレオチドの半減期を20日と算出した。
【0326】
【表70】
【0327】
【表71】
実施例12:変異型ヒト
ハンチンチンのBACHDマウスの運動筋肉能力に対するアンチセンス阻害の作用
BACHDマウスを、
ハンチンチンmRNA発現に対するオリゴヌクレオチドのその運動筋肉能力に対する作用をローターロッドアッセイを介して評価することを目的として、脳室内(ICV)投与を介してISISオリゴヌクレオチドにより処置した。
【0328】
処置
加速性ローターロッドアッセイを、Ugo Basileローターロッド上で行った。動物を2 RPMのスピートのローターロッド上に配置し、ローターロッドを5分間かけて40 RPMまで加速した。落下するまでの期間を記録した。落下するまでの期間を、動物がローターロッドから落下するか、または動物その走るのをやめ、ローターロッドにぶら下がり、そしてその上で回転するかのいずれかで定義される。6ヶ月齢のBACHDマウスおよびそれらの非-トランスジェニック同腹子を、処置の前に1週間、ローターロッド上で走るように訓練した。これは、試行の間に20分間の休憩時間を含む、各5分間の3回連続の試行から構成された。15匹のBACHDマウスのグループを、12μL/日の速度で2週間にわたりAlzet 2002ポンプでICV送達した、50μg/日のISIS 388241で処置した。マウスに対して、実施例6の方法と同様の方法でポンプを外科的に移植した。14匹のBACHDマウスの対照群を、同様にPBSにより処置した。9匹の非-トランスジェニック同腹子の対照群を、同様にPBSにより処置した。
【0329】
ローターロッド運動性能アッセイ
処置期間の最後に、ポンプを取り出し、そして2週間後に、最初の処置後ローターロッドアッセイを行った。ローターロッド行動を、マウスが11ヶ月齢になるまで毎月解析した。各月に、1日あたり3回の試行を2日間行うため、動物をローターロッド上に配置した。結果を、
図7ならびに、落下するまでの期間(秒)として表した表72に示す。6ヶ月齢でのベースライン値を処置の前にとり、そして所定の時点は、アッセイを行ったマウスの週齢である。データは、ISIS 388241によるBACHDマウスの処置は、非処置BACHDマウスにおいて観察された場合、落下するまでの期間が増加したことを示す。
【0330】
【表72】
実施例13:変異型ヒト
ハンチンチンmRNAおよび野生型マウス
ハンチンチンmRNAのアンチセンス阻害のBACHDマウスの運動筋肉能力に対する作用
BACHDマウスを、
ハンチンチンmRNA発現に対するオリゴヌクレオチドのその運動筋肉能力に対する作用をローターロッドアッセイを介して評価することを目的として、脳室内(ICV)投与を介してISISオリゴヌクレオチドにより処置した。
【0331】
処置
加速性ローターロッドアッセイを、Ugo Basileローターロッド上で行った。動物を2 RPMのスピードのローターロッド上に配置し、ローターロッドを5分間かけて40 RPMまで加速した。落下するまでの期間を記録した。落下するまでの期間を、動物がローターロッドから落下するか、またはその走るのをやめ、ローターロッドにぶら下がり、そしてその上で回転するかのいずれかで定義される。2ヶ月齢のBACHDマウスおよびそれらの非-トランスジェニック同腹子を、処置の前に1週間、ローターロッド上で走るように訓練した。これは、試行の間に20分間の休憩時間を含む、各5分間の3回連続の試行から構成された。各17〜21匹のBACHDマウスのグループを、0.5μL/時間の速度で2週間にわたりAlzet 2002ポンプでICV送達された、50μg/日のISIS 388241、75μg/日のISIS 408737、または75μg/日のISIS 387898で処置した。マウスに対して、実施例6で記載された方法と同様の方法で、ポンプを外科的に移植した。20匹のBACHDマウスの対照群を、同様の方法でPBSにより処置した。非-トランスジェニック対照マウスのグループはまた、ISISオリゴヌクレオチドまたはPBSにより、同一様式で投与される。
【0332】
ローターロッド運動性能アッセイ
処置期間の最後に、ポンプを取り出し、そして2週間後に、-処置ローターロッドアッセイを行った。ローターロッド行動を、マウスが10ヶ月齢になるまで毎月解析した。各月に、1日当たり3〜5回の試行走を3日間行うため、動物をローターロッド上に配置した。結果を、落下前の期間を秒として表した表73に示す。2ヶ月齢でのベースライン値を処置の前にとり、そして所定の時点はアッセイを行ったマウスの週齢である。ISIS 387898(表においてヒト-マウスASOと表示される)は、マウス
ハンチンチンmRNAおよびヒト
ハンチンチンmRNAの両方ともについて、交差反応性であり、そしてしたがって、マウスにおいてヒト変異型
ハンチンチンmRNAおよび野生型マウス
ハンチンチンmRNAの両方共を阻害しうる。ISIS 388241(表においてヒトASOと表示される)は、ヒト
ハンチンチンmRNAを特異的に標的とし、そしてマウス
ハンチンチンmRNAとは8塩基対ミスマッチを有する。したがって、ISIS 388241は、ヒト変異型
ハンチンチンmRNAのみを特異的に阻害するが、マウスにおける野生型マウス
ハンチンチンmRNAを特異的には阻害しなかった。ISIS 408737(表においてマウスASOと表示される)は、マウス
ハンチンチンmRNAを特異的に標的とし、そしてヒト
ハンチンチンmRNAと7塩基対のミスマッチを有する。したがって、ISIS 408737は、野生型マウス
ハンチンチンmRNAのみを特異的に阻害するが、マウスにおけるヒト変異型
ハンチンチンmRNAは特異的には阻害しなかった。‘Tg’はBACHDマウスを示し、‘非-Tg’は非-トランスジェニック対照マウスを示す。
【0333】
研究の結果は、ISIS 388241(Tg-ヒトASO)によるヒト変異型
ハンチンチンmRNAの阻害は、対照(Tg-PBS)と比較して、ローターロッドアッセイにおいてマウスの運動性能を顕著に向上させたことを示す。結果はまた、変異型
ハンチンチンmRNAおよびマウスにおける野生型
ハンチンチンmRNAの両方を標的とするISIS 387898(Tg-ヒト-マウスASO)によるマウスの処置は、マウスの運動筋肉能力に対する有害な作用を何ら引き起こさず、そして実際、対照(Tg-PBS)と比較して、ローターロッド運動性能を顕著に向上させたことを示す。ISIS 408737(Tg-マウスASO)により処置されたマウスは、このオリゴヌクレオチドが変異型
ハンチンチンmRNAを標的としないため、PBS対照と比較した場合、予測された通り、ローターロッド運動性能の向上を示さなかった。非-トランスジェニック対照は、このアッセイにおいて陽性対照として使用された。
【0334】
【表73】
実施例14:
ハンチンチンmRNAのアンチセンス阻害のR6/2マウスの脳の大きさに対する作用
R6/2マウスを、
ハンチンチンmRNA発現に対するオリゴヌクレオチドの脳重量および脳容量に対する作用を評価することを目的として、脳室内(ICV)投与を介してISISオリゴヌクレオチドにより処置した。
【0335】
処置
R6/2マウスを、ケージ当たり5匹までのグループで飼育した(混合遺伝子型、単一性別)。すべてのマウスを、滅菌されたウッドチップの寝床で底部を覆った靴箱型のケージ中で飼育し、動物に乾燥した寝床を提供するために、必要に応じて頻繁に交換した。この基本的な環境は、すべてのマウス用に、遊び用トンネル、寸断された小巣(nestlet)、およびプラスチックの骨を追加した;すなわち、マウストンネル(琥珀色、公認、透明、BioServ Product# K3323)、Petite Green Gumabone(BioServ Product # K3214)および小巣(Hockley et al., Ann Neurol. 2002、51: 235-242)、を含有する環境的に向上されたケージである。食餌および水は、そのケージ中でマウスに対して自由に利用可能とした。
【0336】
10匹の6ヶ月齢R6/2マウスのグループに対して、0.12μl/時間の速度で4週間Alzet 1004ポンプでICV送達した、50μg/日のISIS 388817を投与した。2匹の非-トランスジェニック同腹子のグループには、同様にして送達し50μg/日のISIS 388817を送達した。5匹のR6/2マウスの対照群には同様の方法で送達された50μg/日のISIS 141923を投与した。9匹のR6/2マウスの対照群は、同様の方法において送達されたPBSにより、投与した。8匹の非-トランスジェニック同腹子のグループに、同様の方法で送達されたPBSを投与した。4匹の非処置8週齢の発症前のR6/2のグループもまた、研究に含まれた。
【0337】
脳重量測定
動物をイソフルレンで麻酔し、そしてその後経心臓氷-冷ソレンセソンのリン酸緩衝液(SPB)の対照となり、そしてSPB中の4%により固定化した。
。脳を取り出し、そして前脳に対してすぐ吻側(嗅球を除去する)および小脳(脊髄)に対してすぐ尾側を冠状切断して、トリミングした。残りの脳を、mgで秤量した。結果は、
図8中および表74に提示され、そしてISIS 388817によるR6/2マウス処理においてPBS対照と比較して、脳重量を増加させる。
【0338】
【表74】
実施例15:
ハンチンチンmRNAのアンチセンス阻害のYAC128マウスの不安動作に対する作用
YAC128マウスを、オープンフィールドアッセイおよび高架式十字迷路アッセイにおいてそれらの性能により測定するように、
ハンチンチンmRNA発現に対するオリゴヌクレオチドのこれらのマウスにおける不安に対する作用を評価することを目的として、脳室内(ICV)投与を介してISISオリゴヌクレオチドにより処置した。
【0339】
処置
7匹の5ヶ月齢YAC128マウスのグループを、0.5μl/hrの速度で14日にわたり、Alzet 1004ポンプでICV送達された50μg/日のISIS 388241で処置した。4匹のYAC128マウスの対照群を、同様にPBSにより処置した。8匹の非-トランスジェニックFVB/NJ同腹子の対照群を研究に含ませたが、何の処置も与えなかった。マウスに対して以下のようにしてポンプを外科的に移植した:簡単に述べると、Alzet浸透圧ポンプ(Model 2002)を、製造者の指示書に従って組み立てた。ポンプをアンチセンスオリゴヌクレオチドを含有する溶液で充填し、そして移植の24時間前に、37℃にて一晩、インキュベートした。動物を3%イソフルレンにより麻酔し、そして定位固定フレーム中に配置した。外科手術部位を消毒した後、頭蓋骨上で正中切開を行い、背部に皮下ポケットを作り、そこに事前に充填した浸透圧ポンプを移植した。小型のキリ穴を、右側脳室上に頭蓋骨を通して開けた。プラスチックカテーテルを介して浸透圧ポンプに対して接続したカニューレを、脳室内に配置し、そしてLoctite接着剤を使用して適した位置に接着した。切開を縫合により閉じた。アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはPBSを7または14日間注入し、その後、ポンプを取り出した。動物をさらに2週間かけて回復させ、その後行動解析を行い、そしてマウスを最終的にはInstitutional Animal Care and Use Committeeにより承認された人道的なプロトコルに従って安楽死させた。脳および脊髄の組織を回収し、液体窒素中で瞬間的に凍結した。凍結する前に、脳組織をマウス脳マトリクスを使用して5つの部分(S1、S2、S3、S4、およびS5)に横方向に切断した。部分1〜5は、約互いに2 mmずつ離れており、S1が最も前部であり、そしてS5が最も後部であった。
【0340】
オープンフィールドアッセイ
マウスを、光ビーム中断を使用して30分間のテストセッションの間水平的移動および垂直的移動を測定する、オープンフィールドアリーナ(Med Associates)中に配置した。データを活性モニターソフトウェアを使用して解析し、アリーナ中での全回廊移動、そして不安の測定値としてのアリーナの中央部での移動を測定した。YAC128対照マウスは、それらの非-トランスジェニックの、不安-傾向のより少ないFVB/NJ同腹子と比較して、アリーナ中央部で過ごす時間がより少ないものと予想された。結果を、
図9および表75に示し、そしてYAC128マウスのアンチセンスオリゴヌクレオチドでの処置により、オープンフィールドアッセイのパラメータに従って、これらのマウスにおいて不安が低下したことが示される。
【0341】
【表75】
高架式十字迷路アッセイ
装置は、2つの開放されたアーム部および2つの閉じられたアーム部からなり、65×6.25 cmを測定し、そして底部から50 cm上を評価した。マウスを装置の中央部に配置し、そしてそれらの位置を5分間のテストセッションにわたり記録した。YAC128対照マウスは、それらの非-トランスジェニックの、不安-傾向のより少ないFVB/NJ同腹子と比較して、装置の開放されたアーム部にて過ごす時間がより短いことが予想された。結果を、
図10および表76に示し、そしてそしてYAC128マウスのアンチセンスオリゴヌクレオチドでの処置により、高架式十字迷路アッセイのパラメータに従って、これらのマウスにおいて不安が低下したことが示される。
【0342】
【表76】
RNA解析およびタンパク質解析
全RNAを、
ハンチンチンmRNAレベルのリアルタイムPCR解析のため、RNeasy Mini prep kit(Qiagen)を使用して、RNeasy Protect Mini Kit(Qiagen, Mississauga, ON, Canada)によりマウス脳および脊髄から抽出した。Q-PCR反応を、ABI Prism 7700配列検出器(Applied Biosystems)上で行いそして解析した。ヒト
ハンチンチンmRNAレベルを、ヒトプライマープローブセットRTS2686を使用して測定し、そしてペプチジルプロリルイソメラーゼA mRNAレベルに対して正規化した。
【0343】
タンパク質溶解物を、以前に記載されたように(Li S.H. and Li X.J.、Methods in Molecular Biology(2008)、217:1940-6029)、マウス脳スラブから調製した。溶解物を3〜8%のtris-酢酸ゲル上で泳動し、そしてiBlotドライブロッティングシステム(Invitrogen)を使用して転写した。ブロットを、抗-βチューブリン(Chemicon)およびヒト
ハンチンチンタンパク質に対して特異的に反応するモノクローナルEM48抗体(Millipore)を用いてプローブ化した。イムノブロットを、Odyssey V3.0 softwareを使用して定量化した。
【0344】
結果をPBS対照と比較した%減少として表77に示し、そしてアンチセンスオリゴヌクレオチドにより、
ハンチンチンmRNAおよびタンパク質レベルの顕著な阻害を示す。
【0345】
【表77】
実施例16:C57/BL6マウスにおける
ハンチンチンに対するアンチセンスオリゴヌクレオチドの脳室内投与
C57/BL6マウスを、これらのマウスにおけるオリゴヌクレオチドの耐容性を評価することを目的として、右側脳室に対して脳室内(ICV)投与することを介してISISオリゴヌクレオチドにより処置した。
【0346】
処置および手術
各5匹のC57/BL6マウスのグループに対して、0.5μL/日の速度で2週間にわたり、Alzet 2002ポンプでICV送達された150μg/日のISIS 387916、ISIS 437527、ISIS 444578、ISIS 444584、ISIS 444607、ISIS 444608、ISIS 444627、ISIS 444652、ISIS 444659、ISIS 444660、またはISIS 444661を投与した。6匹のC57/BL6マウスの対照群を、PBSにより同様に処置した。ポンプを移植しおよびオリゴヌクレオチド投与するための手順は、実施例6に記載される通りである。
【0347】
動物をさらに2週間かけて回復させ、その後イソフルレンを使用して安楽死させた。脳および脊髄の組織を回収し、液体窒素中で瞬間的に凍結した。凍結する前に、脳組織をマウス脳マトリクスを使用して5つの部分(S1、S2、S3、S4、およびS5)に横方向に切断した。部分1〜5は、約互いに2 mmずつ離れており、S1が最も前部であり、そしてS5が最も後部であった。
【0348】
RNA解析
全RNAを、脳の
ハンチンチンmRNAレベルのリアルタイムPCR解析のため、RNeasy Mini prep kit(Qiagen)を使用して、前頭皮質および後頭皮質から抽出した。RT-PCR反応を、ABI Prism 7700配列検出器(Applied Biosystems)上で行った。マウス
ハンチンチンmRNAレベルを、マウスプライマープローブセットRTS2633を使用して測定し、そしてシクロフィリンmRNAレベルに対して正規化した。結果をPBS対照と比較した%減少として表78に示した。ISIS 387916、ISIS 437527、ISIS 444627、およびISIS 444652はすべて、マウス
ハンチンチンmRNA(SEQ ID NO: 3)とのあいだで1つのミスマッチを有し、そしてしたがって、対照と比較して、マウスmRNAレベルの顕著な阻害を示さなかった。
【0349】
ミクログリアマーカーAIF1もまた、マウスプライマープローブセットmAIF1_LTS00328(フォワード配列TGGTCCCCCAGCCAAGA、本明細書中にてSEQ ID NO: 54と示される;リバース配列CCCACCGTGTGACATCCA、本明細書中にてSEQ ID NO: 55と示される;プローブ配列AGCTATCTCCGAGCTGCCCTGATTGG、本明細書中にてSEQ ID NO: 56と示される)を使用して、RT-PCR解析により測定された。結果を表79に示し、そして試験されたISISオリゴヌクレオチドが炎症性応答を誘導しなかったことを示す。
【0350】
【表78】
【0351】
【表79】
体重測定
体重を、研究期間のあいだにわたり定期的な間隔で測定し、そして表80に示す。これらの体重は、耐容性の指標として使用された。ISIS 437527、ISIS 444584、およびISIS 444652により処置されたマウスは、研究期間のあいだにわたり一貫した体重を有し、そして本研究において含まれるISISオリゴヌクレオチドのすべての中で最も耐容性であるとみなされた。‘n/a’は、そのマウスグループについてはデータがないことを示す。
【0352】
【表80】
実施例17:ラットの大脳基底核線条体組織における、アンチセンスオリゴヌクレオチドのボーラス投与の神経毒性作用についてのアッセイ.
Sprague-Dawleyラットを、CNS毒性の測定としてミクログリアマーカーAIF1の誘導についてスクリーニングすることを目的として、大脳基底核線条体へのボーラス投与を介してISISオリゴヌクレオチドにより処置した。
【0353】
処置および手術
4匹のSprague-Dawleyラットのグループに対して、1回ボーラスとして送達された25μg、50μg、75μg、または100μgの濃度のISIS 388241、ISIS 443139、ISIS 436671、ISIS 437527、ISIS 444584、ISIS 444591、またはISIS 444652を投与した。
【0354】
4匹のラットのグループを、1回ボーラスとして送達された10μg、25μg、50μg、または75μgの濃度のISIS 387916により、同様に処置した。4匹のラットの対照群を、PBSにより同様に処置した。ボーラス投与の7日後、ラットをイソフルレンを使用して安楽死させ、そして器官を取り出した。動物を頚椎脱臼させ、大脳基底核線条体組織の詳細な調査のために脳を取り出した。精密に湾曲したピンセット一対を、海馬の直前の脳中にまっすぐ下に配置し、皮質に横断方向の切り込みを作り、そしてその下の組織を鈍性切開した。精密に湾曲させたピンセットもう一対の先端を、海馬と嗅球とのあいだの中程の正中洞に沿ってまっすぐ下に配置し、縦方向の切り込みを作り、脳梁を鈍性切開により切断した。その後、最初の一対のピンセットを使用して、生じた皮質の一隅を反転させて、大脳基底核線条体および内包を暴露し、ついで内包を切断して大脳基底核線条体から取り去った。2つめの一対のピンセットを湾曲した末端が大脳基底核線条体のいずれかの側面に接触するように配置し、それを押し下げて組織を単離した。最初の一対のピンセットを使用して、大脳基底核線条体の後部末端をつまみ、脳から大脳基底核線条体を取り出した。
【0355】
AIF1発現レベルのRNA解析
RNAを、AIF1 mRNAレベルのリアルタイムPCR解析のために、大脳基底核線条体組織から抽出した。ラットAIF1レベルを、ラットプライマープローブセットrAif1_LTS00219を使用して測定した。結果を、PBS対照のAIF1発現と比較して、AIF1発現%として算出し、そして表81に示す。結果は、ISIS 388241、ISIS 443139、ISIS 436671、ISIS 444591、ISIS 437527、ISIS 444584、およびISIS 444652は、ラット脳において十分に耐容であったことを示す。
【0356】
【表81】
ハンチンチン発現レベルのRNA解析
RNAを、
ハンチンチンmRNAレベルのリアルタイムPCR解析のため、大脳基底核線条体組織から抽出した。ラット
ハンチンチンmRNAレベルを、ラットプライマープローブセットrHtt_LTS00343を使用して測定した。結果を、PBS対照の
ハンチンチン発現と比較した
ハンチンチン発現の減少%として算出し、そして表82に示す。ISIS 388241およびISIS 443139は、ラット遺伝子配列(SEQ ID NO: 5)とそれぞれ6塩基対またはそれ以上のミスマッチを有し、そしてしたがって、対照と比較して、ラットmRNAレベルの顕著な阻害を示さない。ISIS 444584は、ラット遺伝子配列(SEQ ID NO: 5)と3つのミスマッチを有し、そしてしたがって、対照と比較して、ラットmRNAレベルの顕著な阻害を示さない。
【0357】
【表82】
実施例18:カニクイザル初代肝細胞における、
ハンチンチンmRNAの用量-依存性アンチセンス阻害
ISIS 437527、ISIS 444584、およびISIS 444652を、様々な濃度で、カニクイザル初代肝細胞において試験した。ベンチマークオリゴヌクレオチド、ISIS 387916およびISIS 388241もまた、比較のために含ませた。細胞を、ウェル当たり35,000細胞の密度でまき、そして39.0625 nM、78.125 nM、156.25 nM、312.5 nM、625 nM、1,250 nM、2,500 nM、5,000 nM、10,000 nM、および20,000 nMの濃度のそれぞれのアンチセンスオリゴヌクレオチドを用いて、エレクトロポレーションを使用してトランスフェクトした。約16時間後、RNAを細胞から単離し、そして
ハンチンチンmRNA転写物レベルを、プライマープローブセットRTS2686を使用した定量的リアルタイムPCRにより測定した。
ハンチンチンmRNA転写物レベルを、RIBOGREEN(登録商標)により測定されるように、全RNA含量に対して正規化した。結果を、非処置対照細胞と比較して、
ハンチンチンの%阻害として、表83において示す。対照オリゴヌクレオチド、ISIS 141923を、このアッセイに含ませ、そして予想されたように、
ハンチンチンmRNAの阻害を示さなかった。
【0358】
ISIS 437527、ISIS 444584、およびISIS 444652は、ベンチマークオリゴヌクレオチド、ISIS 388241と比較して、より低いIC
50値を有した。ISIS 437527およびISIS 444652は、ベンチマークオリゴヌクレオチド、ISIS 387916と比較して、同じくらい低いIC
50値またはより低いIC
50値を有した。
【0359】
【表83】
実施例19:線条体内1回ボーラス投与を介した、BACHDマウスにおけるISISオリゴヌクレオチドの半減期の測定
BACHDマウスに対して、大脳基底核線条体における
ハンチンチンmRNA発現に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドの作用期間、またはその半減期を測定することを目的として、大脳基底核線条体に対する1回ボーラスとして、ISISオリゴヌクレオチドを投与した。
【0360】
処置および手術
各25匹のBACDマウスのグループを、実施例4に記載された手順と同様の手順で、40μgの1回ボーラスとして送達される、ISIS 388241、ISIS 436689、ISIS 436671、またはISIS 444591で処置した。25匹のBACHDマウスの対照群を、同様の手順でPBSにより処置した。様々な時点において、各グループ由来の5匹のマウスを安楽死させ、そして大脳基底核線条体組織を取り出した。精密に湾曲したピンセット一対を、海馬の直前の脳中にまっすぐ下に配置し、皮質に横断方向の切り込みを作り、そしてその下の組織を鈍性切開した。精密に湾曲させたピンセットもう一対の先端を、海馬と嗅球とのあいだの中程の正中洞に沿ってまっすぐ下に配置し、縦方向の切り込みを作り、脳梁を鈍性切開により切断した。その後、最初の一対のピンセットを使用して、生じた皮質の一隅を反転させて、大脳基底核線条体および内包を暴露し、ついで内包を切断して大脳基底核線条体から取り去った。2つめの一対のピンセットを湾曲した末端が大脳基底核線条体のいずれかの側面に接触するように配置し、それを押し下げて組織を単離した。最初の一対のピンセットを使用して、大脳基底核線条体の後部末端をつまみ、脳から大脳基底核線条体を取り出した。
【0361】
RNA解析
RNAを、組織
ハンチンチンmRNAレベルのリアルタイムPCR解析のため、大脳基底核線条体前部および後部から抽出した。ヒト変異型
ハンチンチンmRNAレベルを、RTS2617を使用して測定した。マウス正常
ハンチンチンmRNAレベルを、マウスプライマープローブセットRTS2633を使用して測定した。結果を表84および表85に示し、そしてweek 1、week 10、およびweek 20にて、PBS対照群の平均と比較した%阻害として表す。脳の前頭部におけるISISオリゴヌクレオチドの半減期を阻害データから算出し、そして表86に示す。
【0362】
【表84】
【0363】
【表85】
【0364】
【表86】
体重測定
体重を通常の間隔で測定し、そして研究の開始時のマウスの体重の%として表87に示す。これらの体重を、耐容性の指標として使用した。ISISオリゴヌクレオチドで処置したマウスのいずれにおいても、体重の不都合な変化は存在しなかった。
【0365】
【表87】
実施例20:Sprague DawleyラットにおけるISIS 437527のくも膜下腔投与の作用
Sprague Dawleyラットに対して、単回投与、繰り返し投与、または持続的注入のいずれかとして、くも膜下腔(IT)投与によりISIS 437527を投与した。
【0366】
処置および手術
ラットをイソフルレンを使用して安楽死させ、そして28-ゲージのポリウレタンカテーテルを各ラットのIT腰部スペース中に配置した。カテーテルの基部末端を、投与軸受台に接着させ、それを皮膚を介してボーラス注射を与えたグループの動物に対して進展させた。持続的注入を受けるグループの動物のためのカテーテルを、ALZETポンプ(Model 2ML1)に対して接続し、それを各動物の背部側の皮下ポケットに配置した。手術後に、動物は、セフチオフルナトリウム(5 mg/kg)および酒石酸ブトルファノール(0.05 mg/kg)の単回筋肉内投与を受けた。持続的注入を受けるラットは、オリゴヌクレオチド投与をすぐに受け始めた。ボーラス注射を受ける動物には、少なくとも5日の手術回復期間を与え、その後カテーテルの開存性を評価した。
【0367】
5匹のSprague Dawleyラットのグループに対して、くも膜下腔に送達される、350μgのISIS 437527の1回ボーラス注射を投与した。5匹のSprague Dawleyラットの別のグループに対して、1週間の経過のあいだに3回くも膜下腔に送達される、120μgのISIS 437527のボーラス注射を投与した。5匹のSprague Dawleyラットの別のグループに対して、1週間の経過のあいだに3回くも膜下腔に送達される、350μgのISIS 437527のボーラス注射を投与した。5匹のSprague Dawleyラットの別のグループに対して、0.01 mL/時の速度で7日間持続的注入することにより送達される、50μg/日のISIS 437527を投与した。5匹のSprague Dawleyラットの対照群に対して、1週間の経過のあいだに3回くも膜下腔に送達される、PBSのボーラス注射を投与した。各グループには、7日の回復期間を与え、その後ラットを安楽死させた。脳および脊髄をすべてのグループから採取し、そして解析した。
【0368】
ハンチンチン発現レベルのRNA解析
RNAを、
ハンチンチンmRNAレベルのリアルタイムPCR解析のため、前頭皮質、側頭皮質、および頸髄から抽出した。ラット
ハンチンチンmRNAレベルを、シクロフィリンレベルに対して正規化して、プライマープローブセットrHtt_LTS00343を使用して測定した。結果を表88に示し、そしてPBS対照群の平均と比較した%阻害として表す。
【0369】
【表88】
AIF1発現レベルのRNA解析
RNAを、AIF1 mRNAレベルのリアルタイムPCR解析のため、前頭皮質、側頭皮質、および頸髄から抽出した。ラットAIF1レベルを、ラットプライマープローブセットrAif1_LTS00219を使用して測定した。結果を、PBS対照のAIF1発現と比較してAIF1発現の%として算出し、そして表89に示す。結果は、繰り返しITボーラス投与により、頸髄組織にて炎症を引き起こすことを示す。持続的IT投与および単回ITボーラス投与は、ラットにおいて良好な耐容性を示した。
【0370】
【表89】
実施例21:くも膜下腔投与を介したカニクイザルのCNS組織における、ISIS 436689の半減期の測定
カニクイザルに対して、様々なCNS組織における
ハンチンチンmRNA発現に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドの半減期およひ作用期間を測定することを目的として、ISIS 436689をくも膜下腔(IT)に投与した。
【0371】
処置
研究を、Northern Biomedical Research, MIにて行った。処置の開始前に、サルを4週間のあいだ隔離して飼育し、その間に血清化学および血液学の標準的なパネル、卵および寄生虫に関する糞便サンプルの調査、および結核試験を行なって、異常なサルまたは病気のサルをスクリーニング抽出した。サルに対して、皮下チタンアクセスポート(P.A.S. PORT(登録商標)Elite Plastic/Titanium portal with Ultra lock connector)に接続したポリウレタンカテーテルを使用して、くも膜下腔腰部カテーテルにより移植した。外部ポンプを使用した持続的注入のため、動物を麻酔して、投与装置をポートに接続した。動物を、0.04 mg/kgの投与量の硫酸アトロピンで、皮下注射により事前処置した。およそ15分後、8 mg/kgのケタミンHClの筋肉内投与を行い、鎮静を誘導した。動物を、麻酔の手術面に対してマスクし、挿管し、そして約1 L/分の酸素および2%のハロセンまたはイソフルレンで維持した。動物に5 mg/kgのセフチオフルナトリウム抗生物質の単回筋肉内投与を与えた。改変ニードルサポートの配置のため、ポートのそばに切開を行った。改変ニードルを、ポートに配置し、そして縫合して固定した。手術からの回復の際、ジャケットを動物に装着した。
【0372】
15頭のオスのカニクイザルに対して、1.67 mg/mLの濃度で2.4 mL/日の流速で、21日間、4 mg/日のISIS 436689を投与した。3頭のカニクイザルの対照群に対して、同様の方法で同一の期間、PBSを投与した。3頭のサルのグループにはそれぞれ、1日、2週間、4週間、または8週間の回復期間を与え、その後安楽死させた。研究期間のあいだ、病気または苦痛の兆候に関して、サルを毎日観察した。
【0373】
すべての動物を8.0 mg/kgのケタミンHClの筋肉内注射により鎮静し、ハロセンまたはイソフルレン/酸素混合物で維持し、そして200 IU/kgのヘパリンNaの静脈内ボーラスを与えた。動物に対して、食塩水中0.001%亜硝酸ナトリウムにより、左心室を介して潅流した。
【0374】
犠死させる時点で、脳を、脳マトリクス中で3 mm厚の冠状スライスで切断した。いくつかの脳構造を4 mmバイオプシーパンチを使用してサンプリングした。各構造から1つの4 mm直径のサンプルを1.0 mLのRNAlater RNA安定化溶液(Qiagen, CA)を含有する2 mLのスクリューキャップチューブ中に配置し、周囲温度にて1時間インキュベートし、その後凍結した。隣接する6 mm直径のサンプルを、2 mLのスクリューキャップチューブ中に配置し、そして薬物動態解析用に凍結した。
【0375】
脊髄を頸部、胸部、そして腰部に分割し、そして脊髄の各領域の約3 mm厚の切片を、RNA解析および薬物動態解析用に採取した。これらのサンプルを、脳サンプルの場合と同様の方法で処理した。
【0376】
肝臓のサンプルを、RNA解析および薬物動態解析用に採取した。これらのサンプルを、上述した脳および脊髄の場合と同様の方法で処理した。
RNA解析
RNAを、
ハンチンチンmRNAレベルのリアルタイムPCR解析のため、プライマープローブセットRTS2617を用いて、腰髄、胸髄、頸髄、前頭皮質、後頭皮質、小脳皮質、尾状組織、海馬、中脳、および脳橋から抽出した。脊髄の様々な部分で測定された結果を、表90に示し、そして8週にPBS対照群において測定された結果と比較した%阻害として示す。脳の様々な部分で測定された結果を、表91に示し、そして8週にPBS対照群において測定された結果と比較した%阻害として示す。
【0377】
【表90】
【0378】
【表91】
ELISAによるオリゴヌクレオチド濃度測定
組織(20 mg)を細かく切断し、秤量し、そしてホモジナイズして、フェノール/クロロホルムを使用して液体/液体抽出を行った。上清を取り出し、凍結乾燥し、そしてヒトEDTA血漿(1 mL)中で戻し、その後ハイブリダイゼーションELISA法を使用して解析した。
【0379】
ISIS 436689を、標識された相補的な切断用プローブ(5'末端にジゴキシゲニン、そして3'末端にC18スペーサーとBioTEG)に対してハイブリダイゼーションすることにより、組織中で検出した。ついで、複合体をニュートラアビジンでコートしたプレート上で捕捉し、そしてS1ヌクレアーゼを添加して、ハイブリダイズしなかった切断用プローブを消化した。ISIS 436689は切断用プローブを消化することから防御するため、消化されない切断用プローブを、オリゴヌクレオチド濃度の測定として使用した。消化されない切断用プローブを、アルカリホスファターゼを結合した抗-ジゴキシゲニン抗体を使用し、その後蛍光性基質読み取りを使用して検出した。オリゴヌクレオチド濃度を、回復期間のday 7、day 20、day 34、そしてday 62において、脊髄の頸部、胸部、そして腰部において測定し、そして肝臓において測定し、そして表92に示す。これらの組織中のISIS 436689の半減期を、このデータから算出し、そして表93に示す。データは、オリゴヌクレオチドが、全身性組織では無視できる程度の濃度だが、CNSでは主として濃縮されることを示している。
【0380】
【表92】
【0381】
【表93】