(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記設定値を保存する前記記録部は、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)によって構成されている、
請求項1から3のいずれか1項に記載の生体試料測定システム。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態に係る生体試料測定システムついて、図面を参照して詳細に説明する。
(実施形態1)
本実施形態の生体試料測定システムは、
図1に示すように、病院のナースセンターに設置された生体試料データ管理装置1と、生体試料データ管理装置1に電気的に接続された生体試料測定装置2,3,4とを備えている。
【0012】
生体試料測定装置2,3,4は、
図1および
図2に示すように、生体試料データ管理装置1に接続されている。
なお、生体試料測定装置2,3,4は、基本的に同じ構成を有しているため、
図2では、生体試料測定装置2の構成を例として挙げて説明する。
生体試料測定装置2は、血糖値の測定を行なう測定部5と、測定部5に接続された制御部6と、制御部6に接続された表示部7、記録部8、入力部9、バッテリ10、バーコードリーダ11、動作音発生部12、動作設定メモリ(記録部)13、データ送受信部14、とを有している。
【0013】
測定部5には、生体試料測定装置2に血糖値センサ(図示せず)が装着されたことを検出する検出部15が接続されている。
なお、
図2では、記録部8と動作設定メモリ13とが別々に設けられており、記録部8には、主に、血糖値などの測定関連データを格納し、動作設定メモリ13には設定値、判定値、及び各種パラメータなどのデータを格納している。しかし、記録部8と動作設定メモリ13とは、必ずしも別々に設けられている必要はない。
【0014】
つまり、記録部8の中に、動作設定用のデータエリアを確保し、記録部8に動作設定メモリ13を集約した構成であってもよい。
また、入力部9は、生体試料測定装置2,3,4の外表面に設けられた操作ボタン(例えば、電源ボタン(起動ボタン)、決定ボタン、メニューボタン、選択・設定するための十字キーあるいはテンキー(数値キー)などである)に相当する構成であり、設定値の変更・参照、測定値の参照、モード切替などを行なう。
【0015】
ここで、生体試料測定装置2を用いて血糖値を検出する場合には、よく知られているように、まず、入力部9によって電源ONまたは測定モードに選択され、バーコードリーダ11によって看護師のID、患者のID、血糖値センサのIDが読み取られる。
この操作を行なうのは、本実施形態の生体試料測定装置2,3,4は、医療機関向けの測定機器であるためである。具体的には、本実施形態の生体試料測定装置2,3,4は、複数の患者を対象とし、複数の測定者(看護師等)によって使用されるため、このような操作は測定データの正確な管理上不可欠なものであって、これにより測定の準備が完了する。
【0016】
次に、生体試料測定装置2のセンサ装着部(図示せず)に血糖値センサを装填し、対象の患者の指に穿刺を行なって血液を滲出させ、血糖値センサにその血液を点着すると、測定部5において血糖値が測定され、表示部7に表示される。また、この測定値と上記IDとが関連付けされて記録部8に記録される。
このとき、センサ装着部に設けられた検出部15において、上記血糖値センサが正しく装着されているか否か(例えば、血糖値センサの表裏が逆であるか否か、血糖値センサの種類が間違っていないかなどの判別)を検出する。また、測定後は、測定した時刻の情報も一緒に測定値、患者ID,看護師ID等と関連付けられて記録部8に記録される。
【0017】
このような動作モードは、動作設定メモリ13に記録された設定値に従って実行される。本実施形態においては、生体試料測定装置2の設定値は、入力部9からの入力によって設定・変更が行なわれる。
そして、このような設定値の設定およびその後の変更が行なえるように、動作設定メモリ13は、不揮発性メモリの一種であるEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)によって構成されている。
【0018】
また、
図2では、動作設定メモリ13は、生体試料測定装置2の内部に固定して設けられているが、これの代わりに交換可能なメモリ(例えば、SDメモリ等)などを使用することもできる。同様に、記録部8についても交換可能なメモリ(例えば、SDメモリ等)を使用することもできる。
なお、後段において詳細に説明するが、生体試料測定装置3,4の動作設定メモリ13への設定値の入力および変更は、生体試料測定装置2の動作設定メモリ13に設定された設定値が生体試料データ管理装置1を介して、生体試料測定装置3,4に伝達され、生体試料測定装置3,4の動作設定メモリ13に書き込まれる。
【0019】
これにより、生体試料測定装置2,3,4は、同じ設定値に設定され、動作する。
さて、生体試料データ管理装置1は、
図2に示すように、生体試料測定装置2のデータ送受信部14と無線(有線でも可)を介してデータの送受信を行なうデータ送受信部16と、データ送受信部16に接続された制御部17と、制御部17に接続された表示部18、記録部19および入力部20とを有している。
【0020】
つまり、データ送受信部14,16を介して、生体試料測定装置2の記録部8から生体試料データ管理装置1に伝達された各ID情報と関連付けされた血糖測定値が、表示部18に表示されるとともに、記録部19に記録される。
なお、生体試料データ管理装置1には、
図1に示すように、生体試料測定装置3,4も連結されている。このため、生体試料測定装置3,4によって得られた各ID情報と関連付けされた血糖測定値が表示部18に表示されるとともに、記録部19に記録される。
入力部20は、生体試料測定装置2,3,4と生体試料データ管理装置1との間において、データの送受信などを行なわせる時に操作される。
【0021】
<各生体試料測定装置2,3,4の設定変更>
本実施形態の生体試料測定システムに含まれる生体試料測定装置2,3,4は、病院内において、患者の血糖値の測定を行なう。そして、血糖値の測定は、例えば、多い患者の場合には、1日8回実施される。
【0022】
具体的には、起床後の午前6時30分、朝食前の午前8時、朝食後の9時30分、昼食前の11時30分、昼食後の13時、夕食前の17時30分、夕食後の19時、就寝前の20時30分と少なくとも8回の血糖値測定が必要になる。
このように、1日に8回も血糖値を測定することになるため、例えば、起床時間直後の測定時には、被測定者以外の患者に対して配慮する必要がある。
【0023】
ここで、本実施形態の生体試料測定システムにおいて、各生体試料測定装置2,3,4の設定を変更していく際の手順について、
図3のフローチャートを用いて以下で説明する。
なお、以下の説明では、生体試料測定装置(第1の生体試料測定装置)2の設定変更を手動で入力し、他の生体試料測定装置(第2の生体試料測定装置)3,4の設定変更を自動的に行なう例について説明する。
【0024】
(起床時間直後)
すなわち、血糖値を測定する時には、生体試料測定装置2等の測定動作の進行を知らしめるために、動作音発生部12からビープ音が発せられる。よって、被測定者以外の患者がこのビープ音で目を覚ましたり、他の患者が不快感を感じたりすることの無いように、使用する生体試料測定装置2等の設定を変更する必要がある。
【0025】
そこで、本実施形態の生体試料測定装置2,3,4では、起床時間直後の測定時には、動作音発生部12から発せられるビープ音の音量が小さくなるように設定を変更する。
つまり、この起床時間直後の測定前、具体的には、前日の最終測定後にナースステーションにおいて、測定者である看護師等が、生体試料測定装置2の入力部9を介して動作設定メモリ13に記録された設定を変更することにより、動作音発生部12からのビープ音の音量が小さくなるように、生体試料測定装置2の設定を変更する(S1)。
【0026】
次に、設定変更された生体試料測定装置2を、生体試料データ管理装置1と接続する(S2)。
次に、生体試料測定装置2の入力部9を操作して、変更後の設定値を生体試料データ管理装置1に送信する(S3)。
このとき、生体試料データ管理装置1は、要求待ち状態となっている(S4)。
【0027】
よって、生体試料測定装置2から変更済みの設定値を受信し(S5)、次に、この設定値を生体試料データ管理装置1の記録部19に保存する(S6)。
次に、ナースステーションに戻っている生体試料測定装置3,4の電源が入れられる(S7)。
次に、それぞれの生体試料測定装置3,4のパスワードが入力される(S8)
次に、生体試料データ管理装置1に対して、設定値の受信要求を送信する(S9)。
【0028】
このとき、生体試料データ管理装置1は、要求待ち状態となっている(S10)。
よって、設定値の受信要求があった場合には、記録部19に保存されている設定値を読み出して(S11)、それを要求のあった生体試料測定装置3,4に送信する(S12)。
次に、生体試料測定装置3,4は、生体試料データ管理装置1から生体試料測定装置2の変更後の設定値を受信し(S13)、それを自らの動作設定メモリ13に保存する(S14)。
【0029】
以上のように、生体試料測定装置2,3,4の動作設定を変更する場合には、生体試料測定装置2の設定値だけを入力部9により変更し、その後は、生体試料データ管理装置1との通信を経由して上記設定値を受信することで、生体試料測定装置3,4の動作設定を簡単に変更することができる。この結果、極めて使い勝手の良い生体試料測定システムを提供することができる。
そして、以上のように、ビープ音の音量が小さくなるように設定された生体試料測定装置2,3,4を用いて、起床後の患者の血糖値を測定することで、被測定者以外の患者がビープ音で目を覚ましたり、不快感を感じたりすることを防止することができる。
【0030】
(朝食後等)
次に、その後の朝食前や朝食後、昼食前や昼食後、夕食前や夕食後の測定時においては、患者全員が起床していると想定されるため、被測定者の周囲が若干騒がしい状況となっていることが予想される。よって、この時には、ビープ音の音量が大きくなるように設定を変更し、確実に動作確認できるようにすることが求められる。
【0031】
そこで、本実施形態の生体試料測定システムでは、起床後の血糖値の測定が終わり、その測定値を生体試料データ管理装置1の記録部19に送信した後、生体試料測定装置2の入力部9を操作することで、再びビープ音の音量を大きくするように設定を変更する。
このときの設定変更についても、上記と同様に、
図3および
図4で示した手順により、生体試料測定装置3,4に対して、生体試料測定装置2の変更後の設定値が伝達される。
これにより、音量が大きくなったビープ音によって、測定者は確実に動作確認を行なうことができる。
【0032】
(就寝前)
また、就寝前の測定時には、既に就寝している他の患者を起こさないようにするために動作音発生部12から発せられるビープ音の音量を小さくし、かつ表示部7の輝度を低下させる等の配慮が求められる。
そこで、本実施形態では、夕食後の血糖値の測定が終わり、その測定値を生体試料データ管理装置1の記録部19に送信した後、生体試料測定装置2の入力部9を操作することで、ビープ音の音量を小さくし、かつ表示部7の輝度を低下させるように、設定の変更を行なう。
【0033】
このときの設定変更についても、上記と同様に、
図3および
図4で示した手順により、生体試料測定装置3,4に対して、生体試料測定装置2の変更後の設定値が伝達される。
これにより、静かなビープ音で、表示部7の輝度を低下させた状態で測定を行なうことができる。この結果、就寝している他の患者を起こしてしまうことを回避することができる。
以上のように、病院内における生体試料の測定を行なうためには、1日の間に、複数の生体試料測定装置2,3,4の設定を何度も変更する必要が生じる場合がある。
【0034】
そこで、本実施形態の生体試料測定システムによれば、実際には、1つの生体試料測定装置2の変更を行なうだけで他の生体試料測定装置3,4の設定変更を自動的に行なうことができるため、測定者の使い勝手を向上させることができる。
さらに、上述した説明では、生体情報測定装置2の設定データを他の生体情報測定装置3,4に送信して変更する例を示したが、これに関しても、必ずしも生体情報測定装置2の設定データを基準にする必要はない。例えば、生体情報測定装置(端末)3または生体情報測定装置(端末)4の設定データを基準にしてもよい。
【0035】
(実施形態2)
本発明の他の実施形態に係る生体試料測定システムについて、以下で説明する。
ここで、本実施形態の生体試料測定システムでは、
図5に示すように、生体試料データ管理装置1を介さず、生体試料測定装置2,3,4間において設定値の変更情報を送受信する点で、上記実施形態1とは異なっている。
なお、本実施形態において、上記実施形態1と同様の機能を有する構成については、同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0036】
すなわち、本実施形態の生体試料測定システムでは、
図5に示すように、生体試料データ管理装置1を介すことなく、各生体試料測定装置2,3,4のみで設定変更に関するデータリンクを行なう。
以下、2つのパターンに分けて説明する。
(i)マスター固定方式
本実施形態の生体試料測定システムでは、例えば、生体試料測定装置2をマスター端末に固定した上で、各種設定変更に関する情報を生体試料測定装置2,3,4間において送受信する方式を採用可能である。
【0037】
すなわち、各生体試料測定装置2,3,4は、それぞれ有線または無線の通信機能を有するデータ送受信部14を備えている。
なお、有線方式による通信手段としては、USB、LAN、RS−232Cなどがある。また、無線方式による通信手段としては、無線LAN、Bluetooth、赤外線通信方式などがある。
【0038】
この場合には、
図6に示すように、マスター側となる生体試料測定装置2とその他の生体試料測定装置3との間において、互いのデータ送受信部14を介して設定値の送受信を行なう。
具体的には、
図7に示すように、まず、マスター側の生体試料測定装置2では、ビープ音の音量や表示部7の輝度等の設定値を必要に応じて入力(変更)する(S21)。
【0039】
次に、マスター側の生体試料測定装置2を送信状態にセットする(S22)。
次に、設定値に関する情報をマスター側の生体試料測定装置2から、その他の生体試料測定装置3,4に対して送信する。
一方、他の端末(生体試料測定装置3,4)側では、受信状態(要求待ち状態)にセットされると(S24)、マスター側の生体試料測定装置2から設定値に関する情報を受信する(S25)。
【0040】
次に、各生体試料測定装置3,4では、各生体試料測定装置3,4内の動作設定メモリ13の設定値のデータ等を更新して保存する(S26)。
なお、新たに生体試料測定装置を増設または交換する場合も同様である。
これにより、マスター側の生体試料測定装置2とその他の生体試料測定装置3,4間において設定値のデータを共有化することで、マスター側の生体試料測定装置2において手動で設定するだけで、生体試料測定装置3,4においても生体試料測定装置2と共通の設定値を設定することができる。
【0041】
(ii)マスターランダム方式
本実施形態の生体試料測定システムでは、マスター端末となる生体試料測定装置を固定することなく、最初に設定値のデータを変更した生体試料測定装置をマスター端末として使用する方式も採用可能である。
【0042】
すなわち、この場合には、同じ時間帯において、最初に設定変更された生体試料測定装置をマスター機として認識させ、その他の生体試料測定装置をスリーブ側として認識させればよい。
具体的には、いずれかの生体試料測定装置の1台(例えば、生体試料測定装置3)の設定データが変更されると、それに伴って、その生体試料測定装置3がマスター端末として設定データの送信準備に入る。この場合、処理としては、設定データが変更されたことを受けて、マスター端末であることを示す「マスター端末」フラグをオンし、自身は送信状態に移行し送信準備に入る。
【0043】
次に、他の生体試料測定装置2,4は、マスター側の生体試料測定装置3と通信接続すると、そのマスター側の生体試料測定装置3からの受信準備に入る。これにより、マスター側の生体情報測定装置3からの「送信要求」待ちの状態に移行する。
次に、マスター側の生体試料測定装置3は、他の生体情報測定装置2,4の受信状態を確認後(送信要求を送信し、その応答を確認後)、設定データなどを他の生体試料測定装置2,4に対して送信する。
【0044】
次に、他の生体試料測定装置2,4は、マスター側の生体試料測定装置3から設定データなどを受信し、それぞれの生体試料測定装置2,4に搭載された内部の動作設定メモリ13に格納して更新する。
これにより、上記マスター固定方式の場合と同様に、複数の生体試料測定装置2,3,4を含む生体試料測定システムにおいて、マスター側の生体試料測定装置2において手動で設定するだけで、生体試料測定装置3,4においても生体試料測定装置2と共通の設定値を設定することができる。
また、マスター機と固定しないことで、マスター機となる生体試料測定装置が故障、紛失した場合でも、臨機応変に対応でき、本生体試料測定システムを構成することができる。
【0045】
(実施形態3)
本発明のさらに他の実施形態に係る生体試料測定システムについて、以下で説明する。
ここで、本実施形態の生体試料測定システムでは、
図8に示すように、生体試料データ管理装置1の代わりにクレードル30を介して、生体試料測定装置2,3,4間において設定値の変更情報を送受信する点で、上記実施形態1とは異なっている。
なお、本実施形態において、上記実施形態1と同様の機能を有する構成については、同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0046】
すなわち、本実施形態の生体試料測定システムでは、
図8に示すように、生体試料測定装置2,3,4の充電を行なうために設けられているクレードル30を介して、生体試料測定装置2,3,4間において設定値の変更情報を共有化する。
具体的には、本実施形態の生体試料測定システムでは、まず、所定の端末(生体試料測定装置2)の設定データなどをクレードル30に送信する。
【0047】
このとき、設定データの送信方法については、有線方式、無線方式、クレードル30に生体試料測定装置2を装填した時にコネクタを経由して直接送信する方式、という、3つの方式を採用することができる。
また、 クレードル30が所定の生体試料測定装置2の設定データなどを受信するタイミングとしては、以下の3通りが可能である。
・所定の生体試料測定装置2の操作ボタンを押すことにより起動する方法(なお、この場合は、生体試料測定装置2をクレードル30に装填していても、装填していなくてもよい。)
・生体試料測定装置2をクレードル30に装填した時点で、自動的にクレードル30に搭載されている端末設定データなどを格納するメモリに送る方法
・クレードル30に「送受信ボタン」を設けて、その「送受信ボタン」を押すことにより、所定の端末(生体情報測定装置2)の設定データなどをクレードル30に受信し、その内部のメモリに格納する方法
【0048】
さらに、クレードル30のメモリ内に格納された設定データをその他の生体試料測定装置3,4に送る送信タイミングとしては、上述と同様に、
・生体試料測定装置3,4の操作ボタンを押すことにより起動する方法(なお、この場合は、生体試料測定装置3,4をクレードル30に装填していても装填していなくてもよい。)
・生体試料測定装置3,4をクレードル30に装填した時点で自動的にクレードル30のメモリに格納されている設定データなどを生体試料測定装置3,4に送る方法
・クレードル30に「送受信ボタン」を設けて、その「送受信ボタン」を押すことにより、クレードル30のメモリ内の設定データなどを生体試料測定装置3,4へ送信する方法(なお、上記クレードル30に設けられた「送受信ボタン」は、「送信ボタン」と「受信ボタン」とに分離されていてもよい。)
また、クレードル30側では、通信接続された端末がどの端末(生体試料測定装置2,3,4)であるかどうかの確認も各端末の固有の識別コードである「端末ID」/「端末番号」などを使って判断すればよい。
【0049】
さらに、所定の端末(生体試料測定装置)は、上記実施形態2のように、固定方式、ランダム方式のいずれを採用してもよい。
ここで、本実施形態の生体試料測定システムに含まれるクレードル30は、
図9に示すように、充電部31と、クレードル制御部32と、メモリ33と、データ送受信部34と、表示部35と、送受信ボタン36と、を有している。
【0050】
充電部31は、クレードル30に生体情報測定装置を装填した時に、生体試料測定装置2,3,4に搭載されたバッテリ10を充電する。
クレードル制御部32は、クレードル30側の制御を行ない、充電制御・設定データの送受信・送受信ボタン36など入力部のスキャン・メモリ33へのデータ記録・再生、および表示部35への表示指令などを行なう。
【0051】
メモリ33は、設定データ等を保存する。
データ送受信部34は、各生体試料測定装置2,3,4のデータ送受信部14との間において、設定データ等の送受信を行なう。
表示部35は、LCD(Liquid Crystal Display)等のディスプレイを有していてもよい。また、表示部35は、充電状態、通信状態、および設定データの有無・更新等を表示する。また、充電状態、通信状態、設定データの更新状態を、LED(複数)の点灯/点滅などにより表示する。
送受信ボタン36は、各生体試料測定装置2,3,4とクレードル30との間におけるデータ通信を起動する際に使用される。
【0052】
<各生体試料測定装置2,3,4の設定変更>
本実施形態の生体試料測定システムでは、
図10および
図11に示す手順に従って、生体試料測定装置2,3,4の設定値を共有化する。
すなわち、
図10は、クレードル30の送受信ボタン36を操作することで起動する方式において、生体試料測定装置2の設定データをクレードル30に送信して保存されるまでの流れを示すフローチャートである。
まず、測定者によって手動で設定変更される生体試料測定装置2では、入力部9を介して設定値の入力・変更が行なわれる(S31)。
【0053】
次に、生体試料測定装置2をクレードル30との通信接続を行なう(S32)。
この場合、生体試料測定装置2は、必ずしもクレードル30に装填しておく必要はない。また、生体試料測定装置2側の起動も、入力部9の起動ボタンを操作して通信接続を起動する方法でも、設定値入力操作完了時に自動的に送信状態に移行して通信接続を行なう方法でもよい。
【0054】
次に、生体試料測定装置2がクレードル30と通信接続が可能な状態となり、クレードル30に対して送信状態となる(S33)。
次に、生体試料測定装置2からクレードル30に対して、変更後の設定値に関するデータを送信する(S34)。
一方、クレードル30側では、送受信ボタン36(または受信ボタン36a)が操作されるまで待機し、操作されると(S35)、生体試料測定装置2と接続される(S36)。
【0055】
次に、クレードル30は、生体試料測定装置2との間において通信接続が可能な状態となり、生体試料測定装置2から設定値に関する情報を受信する(S38)。
次に、クレードル30は、生体試料測定装置2から受信した設定値に関する情報を内部のメモリ33へ保存する(S39)。
そして、
図11は、生体試料測定装置2から設定値に関する情報を受信したクレードル30から送信された変更後の設定値に関する情報が、他の端末(生体試料測定装置3,4)において受信、保存されるまでの流れを示すフローチャートである。
【0056】
なお、ここでは、生体試料測定装置3,4の電源をONにした際に、設定値に関する情報の要求を自動的に行なう場合について説明する。
まず、生体試料測定装置3,4の電源がONされると(S41)、パスワードが入力される(S42)。なお、パスワード入力の代わりに、バーコードリーダ11によってID等を読み取ってもよい。
【0057】
次に、生体試料測定装置3,4は、クレードル30に対して、変更後の設定値に関する情報の受信要求を送信する(S43)。
次に、生体試料測定装置3,4は、クレードル30との通信接続が可能な状態となり、クレードル30から変更後の設定値に関する情報を受信する(S44)。
次に、生体試料測定装置3,4では、受信した設定値に関する情報を、動作設定メモリ13に保存する(S45)。
【0058】
なお、生体試料測定装置3,4の起動ボタンがONされた場合には、S43へ移行すればよい(S46)。
次に、クレードル30側では、送受信ボタン36(または、送信ボタン36b)が押下されるまで待機し、実際に押下されると(S47)、生体試料測定装置3,4からの受信要求待ちの状態となる(S48)。
【0059】
次に、生体試料測定装置3,4から受信要求を受信すると、変更後の設定値をメモリ33から読み出して(S49)、生体試料測定装置3,4に対して送信する(S50)。
本実施形態の生体試料測定システムでは、各生体試料測定装置2,3,4の充電を行なうクレードル30を介して、生体試料測定装置2における変更後の設定値に関する情報を、他の生体試料測定装置3,4間において共有化する。
これにより、上記と同様に、複数の生体試料測定装置2,3,4を含む生体試料測定システムにおいて、マスター側の生体試料測定装置2において手動で設定するだけで、他の生体試料測定装置3,4においても生体試料測定装置2と共通の設定値を設定することができる。
【0060】
(実施形態4)
本発明のさらに他の実施形態に係る生体試料測定システムについて、以下で説明する。
ここで、本実施形態の生体試料測定システムでは、
図15に示すように、各生体試料測定装置2,3,4がセットされるクレードル131,132,133間において設定値の変更情報を送受信する点で、上記実施形態1とは異なっている。
なお、本実施形態において、上記実施形態1と同様の機能を有する構成については、同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0061】
すなわち、本実施形態の生体試料測定システムでは、クレードル131,132,133間において通信を行ない、マスター機となるクレードルのメモリに格納されている更新した設定データなどを他のクレードルに送信し、各クレードルそれぞれに対応した端末(生体試料測定装置)に設定する。
なお、上述した実施形態2では、端末(生体試料測定装置)のみで設定データの送受信を実施していたのに対して、本実施形態では、それぞれの端末(生体試料測定装置2,3,4)が装填されているクレードル131,132,133間において設定データの送受信を行なう点で異なっている。
【0062】
ここで、各クレードル131,132,133は、有線または無線の通信機能を有する通信部として、データ送受信部34A,34Bを備えている。この場合、有線方式には、USB、LAN、RS−232C等がある。無線方式には、無線LAN、bluetooth、赤外線通信方式等がある。
本実施形態では、各クレードル131,132,133は、各端末(生体試料測定装置2,3,4)に対応して設けられている。
【0063】
また、本実施形態では、上記実施形態2と同様に、所定のクレードルをマスタークレードルとして固定したシステムであってもよいし、ランダムにマスタークレードルを選択するシステムであってもよい。
また、
図15では、各クレードル131,132,133に、それぞれ生体試料測定装置2,3,4が装填されている状態を示しているが、必ずしも全部の生体試料測定装置2,3,4がクレードル131,132,133に装填されている必要は無い。よって、必要に応じて、各生体試料測定装置2,3,4を対応するクレードル131,132,133に装填して、設定値を更新することができる。
【0064】
さらに、本実施形態では、生体試料測定装置2,3,4からクレードル131,132,133に予め設定値を取り込んでいるか、または設定値送信または受信時に、生体試料測定装置2,3,4をクレードル131,132,133に装填しておく必要がある。
図16は、本実施形態の生体試料測定システムに含まれるクレードル131,132の構成を示すブロック図である。
【0065】
なお、クレードル131,132(クレードル133も同様)とも、ハードウェアの構成は同一である。
ただし、本実施形態では、クレードル131,132,133同士の間で設定値の送受信を行なうため、
図16に示すように、各クレードル131,132等に設けられたデータ送受信部34Aと34Bを介して行なう。
【0066】
ここで、
図17は、本実施形態の生体試料測定システムによる各生体試料測定装置2,3,4における設定変更の手順を示すフローチャートである。
ここでは、本実施形態のクレードル131(マスタークレードル)に格納されている端末(生体試料測定装置2) の設定値をクレードル132に送信する場合について説明する。
【0067】
また、ここでは、クレードル131の送受信ボタン36A,36Bによって起動する方式を採用した場合を示している。
まず、クレードル131側では、生体試料測定装置2の設定値をクレードル131のメモリ33Aに保存する(S71)(なお、設定値をメモリ33Aに取り込む方法としては、上記実施形態3のフローチャート(
図10)を参照。)。
【0068】
次に、送受信ボタン36Aが押下されると(S72)、 クレードル132に送信要求を送信する(S73)。
なお、クレードル131に生体試料測定装置2が装填されている場合は、クレードル131の送受信ボタン36Aを押下する代わりに、生体試料測定装置2の操作ボタンを押下すればよい。
【0069】
次に、クレードル131とクレードル132との間における通信接続を確認する(S74)。
ここで、通信接続を確認すると、クレードル131からクレードル132に対して設定値に関する情報を送信する(S75)。
一方、クレードル132側では、クレードル131の「送信要求」があったことを確認すると(S76)、通信接続確立して、受信状態となる(S77)。
【0070】
次に、クレードル132は、クレードル131から設定値に関する情報を受信する(S78)。
次に、クレードル132では、受信した設定値に関する情報を内部のメモリ33Bに保存する(S79)。
次に、クレードル132に生体試料測定装置3が装填されているか否かを確認し(S80)、装填されていない場合は終了処理を行う(S80)。
【0071】
一方、クレードル132に生体試料測定装置3が装填されている場合には、生体試料測定装置3に対してクレードル132から設定値に関する情報を送信し、生体試料測定装置3の動作設定メモリ13に設定値を保存し(S81)、処理を終了する(なお、メモリ33Bの設定値を生体試料測定装置3に送信する方法としては、上記実施形態3のフローチャート(
図11)を参照)。
【0072】
[他の実施形態]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
(A)
上記実施形態では、生体試料測定装置2の設定値を手動で変更し、他の生体試料測定装置3,4の設定値を自動的に行なう例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0073】
例えば、最初に設定値を手動で変更された生体試料測定装置を基準として他の生体試料測定装置の設定値を自動的に変更すればよく、いずれの生体試料測定装置を基準のマスター機とすることも可能である。
また、本発明の生体試料測定システムに含まれる生体試料測定装置の台数としては、上述した3台に限らず、2台以上であれば何台であってもよい。
【0074】
(B)
上記実施形態では、生体試料測定装置2,3,4において設定変更されるパラメータとして、ビープ音の音量と表示部7の輝度とを例として挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、上述のビープ音の種類には、測定完了時の音、測定エラーを示す警告音、予めスケジュールされている測定実施の時刻を示すアラーム音などがあるが、もちろんこれに限られることは無く、メロディー音でも、音声による通知でもよい。
【0075】
また、ビープ音・メロディー音・音声や表示部の輝度の制御に関わる設定データ以外では、測定に関する判定値、患者の変更に伴う対象患者の患者ID(識別)データの変更・登録あるいは患者ID入力設定の許否(入力するかしないか)の選択、測定者である担当看護師の変更に伴う看護師IDデータの変更・登録あるいは看護師ID入力設定の許否(入力するかしないか)の選択、及び測定実施スケジュール(共通部分)データの変更等、他のパラメータの設定値を変更する場合でも、同様に本発明の適用は可能である。
【0076】
例えば、院内では、起床後は多くの患者の血糖値測定を一斉(ほぼ同時)に行う必要がある。
つまり、この時間帯は、多くの看護師が多くの血糖測定装置を使用することになる。また、その際には看護師IDや患者IDも同時に管理するために、看護師IDおよび患者IDの入力設定は「入力する」に選択され、測定前にそれらのID情報を同時に取得し、正確な管理に用いられる。
【0077】
しかしながら、それ以降の時間帯においては、多くの血糖測定装置を必ずしも一斉に使用する時間帯があるわけではないため、血糖測定装置の一部は外来や臨時の患者を測定するために用いられることがある。その際には各種IDを入力して管理する必要性はないので、設定は「入力しない」に選択することになる。
このような状況に対応するため、1日のうちに患者IDや看護師IDの入力設定を選択・変更する必要が出てくる場合があり、そのような場合にも、本発明の生体試料測定装置を活用することができる。これにより、看護師への負担も軽減して、設定ミスなどの問題も解消することができるため、信頼性を向上させることができる。
【0078】
(C)
上記実施形態3では、生体試料測定装置2とクレードル30との間におけるデータの送受信を、無線あるいは有線等の通信手段を介して行なう例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、生体試料測定装置2とクレードル30との間のデータの送受信を行なう手段として、データ送受信部14,34の代わりに、
図12に示すように、データコネクタ部14a,37を設け、データコネクタ部14a,37を介して、生体試料測定装置2Aとクレードル30Aとの間においてデータの送受信を行なう生体試料測定システムであってもよい。なお、他の生体試料測定装置3A,4Aについても、生体試料測定装置2Aと同様の構成を備えているものとする。また、データコネクタ部14a,37aは、本発明のデータ送受信部の一種に含まれるものとする。
【0079】
この場合には、クレードル30Aに生体試料測定装置2Aを装填することにより、データコネクタ部14aとデータコネクタ部37とが電気的に接続され、設定データなどのデータの送受信が可能となる。
また、この構成では、生体試料測定装置2Aがクレードル30Aに装填されたことをデータコネクタ部37で検知することで、生体試料測定装置2からクレードル30Aに対して設定データを自動的に送受信することができる。よって、上記実施形態3で説明した「送受信ボタン36」は必ずしも必要ではない。
【0080】
なお、その他の構成については、上記実施形態3に示す構成と同一である。
ここで、
図13および
図14は、
図12に示す生体試料測定システムによる各生体試料測定装置の設定変更の手順を示すフローチャートである。
なお、ここでは、クレードル30Aに生体試料測定装置2Aを装填することにより、自動で起動する方式を採用した場合の流れを示している。
【0081】
図13に示すように、生体試料測定装置2Aでは、まず、入力部9を介して、設定値を入力・変更される(S51)。
次に、生体試料測定装置2Aをクレードル30Aに装填すると(S52)、クレードル30Aのデータコネクタ部37と生体試料測定装置2Aのデータコネクタ部14aとの接続が完了する(S53)。
【0082】
次に、生体試料測定装置2Aの設定値をクレードル30Aへ送信する(S54)。
次に、生体試料測定装置2Aをクレードル30Aから取り外し(S55)、処理を終了する。
一方、クレードル30A側では、まず、データコネクタ部37における接続確認(生体試料測定装置2Aが装填されたことの検知)を行なう(S56)。
【0083】
次に、クレードル30Aは、生体試料測定装置2Aの設定値を受信する(S57)。
次に、クレードル30Aは、受信した設定値を内部のメモリ33に保存する(S58)。
次に、データコネクタ部37における切離し確認(生体試料測定装置2Aがクレードル30Aから取り外されたことの検知)を行ない(S59)、処理を終了する。
【0084】
さらに、
図14に示すように、端末(生体試料測定装置3A,4A)では、クレードル30Aに装填されると(S61)、データコネクタ部14aの接続確認を行なう(S62)。
次に、生体試料測定装置3A,4Aは、データコネクタ部14a経由で、設定値に関する情報を受信する(S63)。
【0085】
次に、生体試料測定装置3A,4Aは、受信した設定値に関する情報を、動作設定メモリ13に保存する(S64)。
次に、生体試料測定装置3A,4Aをクレードル30Aから取り外し(S65)、処理が終了する。
一方、クレードル30A側では、データコネクタ部37において、生体試料測定装置3A,4Aとの接続確認を行なう(S66)。
【0086】
次に、クレードル30Aでは、生体試料測定装置2Aから受信した設定値に関する情報を、生体試料測定装置3A,4Aに対して送信する(S67)。
次に、データコネクタ部37において、生体試料測定装置3A,4Aがクレードル30Aから取り外されたことを確認すると(S68)、処理が終了する。