特許第5809152号(P5809152)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5809152
(24)【登録日】2015年9月18日
(45)【発行日】2015年11月10日
(54)【発明の名称】誘電体膜をパッシベーションする方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/02 20060101AFI20151021BHJP
   C23C 16/34 20060101ALI20151021BHJP
   C23C 16/455 20060101ALI20151021BHJP
   H01L 21/285 20060101ALI20151021BHJP
   H01L 21/316 20060101ALI20151021BHJP
【FI】
   C23C16/02
   C23C16/34
   C23C16/455
   H01L21/285 C
   H01L21/316 P
【請求項の数】10
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2012-535250(P2012-535250)
(86)(22)【出願日】2010年10月14日
(65)【公表番号】特表2013-508552(P2013-508552A)
(43)【公表日】2013年3月7日
(86)【国際出願番号】US2010052741
(87)【国際公開番号】WO2011049816
(87)【国際公開日】20110428
【審査請求日】2013年10月3日
(31)【優先権主張番号】61/253,444
(32)【優先日】2009年10月20日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501380070
【氏名又は名称】エーエスエム インターナショナル エヌ.ヴェー.
【氏名又は名称原語表記】ASM INTERNATIONAL N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100118256
【弁理士】
【氏名又は名称】小野寺 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100127328
【弁理士】
【氏名又は名称】八木澤 史彦
(72)【発明者】
【氏名】ブロムベルク トム イー.
(72)【発明者】
【氏名】トワ エヴァ イー.
(72)【発明者】
【氏名】フッガレ ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】マエス ヤン ウィレム
(72)【発明者】
【氏名】マッカウトサン ヴラジーミル
(72)【発明者】
【氏名】ピエルー ディーター
【審査官】 國方 恭子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−177564(JP,A)
【文献】 特開2004−296490(JP,A)
【文献】 特開2001−267566(JP,A)
【文献】 特開2006−093653(JP,A)
【文献】 特表2003−511560(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 16/00−16/56
H01L 21/285
H01L 21/316
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応チャンバ内の基板に窒化チタンを含む薄膜を形成する化学気相成長(CVD)方法であって、
前記反応チャンバ内にhigh−k層を有する基板を提供する工程と、
気相フッ化チタンを前記反応チャンバに提供する工程と、
窒素を含む気相反応物質を前記反応チャンバに提供し、窒素を含む前記気相反応物質が前記フッ化チタンと反応して、窒化チタンを含む薄膜を形成する工程と、
塩素、臭素又はヨウ素を含むチタン前駆体を用いて、形成された前記窒化チタンを含む薄膜に亘って窒化チタン層をさらに堆積する工程と、を含む方法。
【請求項2】
反応チャンバ内の基板に窒化チタンを含む薄膜を形成する方法であって、
前記反応チャンバにフッ化チタンを気相状態で提供する工程と、
窒素を含む気相反応物質を前記反応チャンバに提供して、窒素を含む前記気相反応物質が前記フッ化チタンと反応して、窒化チタンを含む薄膜を形成する工程と、
塩素、臭素又はヨウ素を含むチタン前駆体を用いて、形成された前記窒化チタンを含む薄膜に亘って窒化チタン層をさらに堆積する工程と、を含み、
窒素を含む前記気相反応物質は、NH又はN含有プラズマを含み、前記基板は、high−k表面を含み、前記フッ化チタンは、前記high−k表面を含む前記基板に提供される方法。
【請求項3】
前記窒化チタンを含む薄膜を形成する方法は、ALDプロセスである請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記窒化チタンを含む薄膜を形成する方法は、CVD又はパルスCVDプロセスである請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記high−k表面は、ハフニウム又はジルコニウムを含む請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記窒素を含む前記気相反応物質は、NH又はNを含むプラズマを含む請求項1に記載の方法。
【請求項7】
high−k表面は、ハフニウム又はジルコニウムを含む請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記窒化チタンの層は、2原子%を超えるフッ素を含む請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記窒化チタンの薄膜は、10nmよりも小さい厚さを有し、500μΩcm未満の抵抗率を有する請求項2に記載の方法。
【請求項10】
形成された前記窒化チタンを含む薄膜は、4.9eVよりも大きい仕事関数を有する請求項2に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の参照)
本願は、35 U.S.C. § 119(e)による2009年10月20日付け米国特許仮出願第61/253,444f号の優先権を主張するものであり、参照により全体が本明細書に援用される。
【0002】
本願は、超high k膜のパッシベーションに関する。特に、本発明は、超high k膜の上部に電極を堆積する新規な方法(processes)に関する。
【背景技術】
【0003】
原子層堆積(ALD)は、通常、自己限定性プロセスであり、反応物質前駆体の交互のパルスは、基板表面で飽和し、一回のパルスにつき材料の一つ以下の単分子層を残す。堆積条件及び前駆体は、通常、一つのパルスにおいて吸着された層が、同一パルスのガス状反応物質と反応しない表面ターミネーション(surface termination)を残すように、自己飽和反応を提供するように選択される。続いて、異なる反応物質のパルスは、前述のターミネーションと反応し、連続する堆積を可能にする。よって、交互のパルスの各サイクルは、通常、所望の材料のほぼ一つの単分子層以上を残す。ALD型プロセスの原理は、T. Suntola, e.g. in the Handbook of Crystal Growth 3, Thin Films and Epitaxy, Part B: Growth Mechanisms and Dynamics, Chapter 14, Atomic Layer Epitaxy, pp. 601−663, Elsevier Science B.V. 1994に示されており、これは、参照により本明細書に援用される。
【発明の概要】
【0004】
一態様によれば、反応チャンバ内の基板にhigh−k層をパッシベーション(不動態化)する方法が提供される。いくつかの実施形態では、前記方法は、前記反応チャンバ内にhigh−k層を有する基板を提供する工程であって、前記high−k層は、塩素、臭素又はヨウ素を含む化合物と反応しやすい材料を含む、工程と、フッ素を含む前記化学物質を前記反応チャンバに気相状態で提供し、フッ素を含む化学物質が前記high−k層と反応して、フッ素及びhigh−k材料からの金属を含むパッシベーション層を形成する工程と、を含む。
【0005】
他の態様によれば、反応チャンバ内の基板にhigh−k層用のパッシベーション層膜を形成する方法が提供される。いくつかの実施形態では、前記方法は、high−k材料を有する基板を提供する工程であって、high−k層は、Sr又はBaを含む、工程と、前記high−k材料を、フッ素を含む化学物質の気相パルスと接触させる工程と、を含む。
【0006】
他の態様によれば、複数の窒化チタン堆積サイクルを含み、反応チャンバ内の基板に薄膜を含む窒化チタンを形成する方法が提供される。いくつかの実施形態では、各サイクルは、フッ化チタンのパルスを気相状態で前記反応チャンバに提供して、前記基板に前記フッ化チタンのほぼ一つの単分子層以上を形成する工程と、前記反応チャンバから過剰なフッ化チタンを除去する工程と、窒素を含む気相反応物質のパルスを前記反応チャンバに提供して、窒素を含む前記気相反応物質が前記フッ化チタンと前記基板で反応して、薄膜を含む窒化チタンを形成する工程と、もしあれば、過剰な窒素を含む前記気相反応物質及び反応副生成物を前記反応チャンバから除去する工程と、を含む。
【0007】
他の態様によれば、反応チャンバ内の基板に薄膜を含む窒化チタンを形成する化学気相成長(CVD)方法が提供される。いくつかの実施形態では、堆積サイクルは、前記反応チャンバ内にhigh−k層を有する基板を提供する工程であって、前記high−k層は、塩素を含む化合物と反応しやすい材料を含む、工程と、気相フッ化チタンを前記反応チャンバに提供する工程と、窒素を含む気相反応物質を前記反応チャンバに提供し、窒素を含む前記気相反応物質が前記フッ化チタンと反応して、窒化チタンを含む薄膜を形成する工程と、を含む。
【0008】
他の態様によれば、キャパシタ構造が提供される。いくつかの実施形態では、前記キャパシタ構造は、電気伝導下部電極層と、Sr又はBaを含むhigh−k誘電体層と、フッ素を含み、前記high−k誘電体層の直上にあるパッシベーション層と、電気伝導上部電極層と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1a−1cは、異なるTiF+NH化学物質のサイクル回数がTiN/SrTiOインターフェースで用いられ、かつTiCI+NHがバルクTiN電極堆積に用いられた場合におけるTiN/SrTiO/Si MIS構造の写真である。ウェーハの異なる色は、下にあるSrTiO層の異なる厚さ、(b)30nm及び(c)50nmにより生じたものである。
図2図2は、2パルスプロセスを有するALD TiNの堆積後のSi/ALD−SrTiO/30nm/ALD−TiNウェーハのシート抵抗測定を示す図である。
図3図3a及び3bは、TiN堆積前にWFで表面をフッ化した後のウェーハの概観を示す。WFパルスでシート抵抗〜350Ω/□(Ω/スクエア)。
図4図4は、SrTiO上でのTiF+NHからのTiNの500サイクルを堆積した後のウェーハの写真である。平均シート抵抗は、483.00Ω/□である。
図5図5は、一実施形態に係るキャパシタスタックの堆積のためのプロセスフローである。
図6図6は、一実施形態に係るhigh−k層と上部電極層との間にフッ化インターフェース層を有するキャパシタスタックの模式図である。
図7図7は、一実施形態に係る下部電極層とhigh−k層との間にフッ化インターフェース層を有するキャパシタスタックの模式図である。
図8図8は、一実施形態に係る下部電極層とhigh−k層との間及び上部電極層とhigh−k層との間にフッ化インターフェース層を有するキャパシタスタックの模式図である。
図9図9は、一実施形態に係るhigh−k層と上部電極層との間にフッ化インターフェース層及び導体窒化パッシベーション層を有するキャパシタスタックの模式図である。
図10図10は、一実施形態に係るhigh−k層と上部電極層との間にフッ化インターフェース層及び金属酸化層を有するキャパシタスタックの模式図である。
図11図11は、一実施形態に係るキャパシタスタックの堆積のためのプロセスフローである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書の記載は、例えば、ハロゲン化物に基づく化学物質から、特に、TiClに基づく化学物質からの電極堆積を可能にするhigh−k膜表面をパッシベーションする方法である。さらなる本明細書の記載は、ソース化学物質としてTiFを用いることによりALD、CVD又はパルスCVDによってTiNを堆積する方法である。
【0011】
ALD型のプロセスは、いくつかの実施形態で使用される。ALD型のプロセスは、前駆体化学物質の制御された、自己限定性の表面反応に基づく。ガス状反応物質は、通常、反応チャンバへの交互に連続的な前駆体の供給により避けられる。気相反応物質は、例えば、反応パルス間に反応チャンバから、過剰な反応物質及び/又は反応副生成物を除去することにより、反応チャンバ内で互いに分離される。
【0012】
簡潔には、基板は、反応チャンバ内に搬入され、通常、低い圧力で、適切な堆積温度に加熱される。堆積温度は、反応物質の熱分解温度以下で維持されるが、反応物質の凝結を防ぎ、かつ所望の表面反応のための活性化エネルギーを提供するために十分高いレベルとなる。勿論、任意の所与のALD反応のための適切な温度ウィンドウは、表面ターミネーション及び関連する反応種に依存する。
【0013】
第1の反応物質は、反応チャンバに気相パルスの形態で導入又はパルスされ、基板の表面と接触する。条件は、好ましくは、第1の反応物質のほぼ一つの単分子層以上が、自己限定型手法で基板表面に吸着されるように選択される。適切なパルス時間は、特定状況に基づき当業者により容易に決定されうる。もしあれば、過剰な第1の反応物質及び反応副生成物は、例えば、不活性ガスをパージすることにより、反応チャンバから除去される。
【0014】
反応チャンバへのパージは、真空ポンプでチャンバを排気すること及び/又はアルゴン又は窒素のような不活性ガスでリアクタ内をガスで置換することにより、気相前駆体及び/又は気相副生成物が反応チャンバから除去されることを示す。典型的なパージガス時間は、約0.05から20秒であり、より好ましくは約1から10秒であり、さらに好ましくは約1から2秒である。しかし、非常に高いアスペクト比構造又は複雑な表面モフォロジーを有する他の構造への高いコンフォーマルなステップカバレージが必要な場合に、必要であれば、他のパージ時間も用いることができる。
【0015】
第2のガス状反応物質は、チャンバ内へパルスされ、表面と結合した第1の反応物質と反応する。過剰な第2の反応物質及び表面反応物質のガス状副生成物は、もしあれば、好ましくは不活性ガスを用いてのパージ及び/又は排気により、反応チャンバから除去される。パルス及びパージする工程は、所望の厚さの薄膜が基板に形成されるまで繰り返され、各サイクルは分子単層未満を残す。反応物質の提供及び反応空間へのパージを含むさらなる工程は、三元材料のような、より複雑な材料を形成するために含まれうる。
【0016】
上述したように、各サイクルの各パルス又はフェーズは、好ましくは自己限定型である。反応物質前駆体の余剰分は、各フェーズにおいて反応しやすい構造表面を飽和するために提供される。表面飽和は、全ての取得可能な反応性サイト(例えば、物理的な大きさ又は“立体障害(steric hindrance)”制限)の反応物占有を確実にし、よって、優れたステップカバレージを確実にする。典型的には、材料の一つの単分子層以上が各サイクルで堆積されるが、いくつかの実施形態では、一分子層よりも多くのものが各サイクルで堆積される。
【0017】
過剰な反応物質の除去は、反応空間のいくつかの内容物の排気及び/又はヘリウム、窒素又は他の不活性ガスでの反応空間のパージを含みうる。いくつかの実施形態では、パージは、反応ガスのフローをオフにし、反応空間への不活性キャリアガスのフローを継続することを含みうる。
【0018】
ALD型プロセスで採用される前駆体は、標準条件(室温及び大気圧)下で固体、液体又はガス状であってもよく、前駆体が、反応チャンバへ導入され、かつ基板表面に接触する前に気相状態で提供される。気相化された前駆体を基板へ“パルスする”ことは、前駆体気相がチャンバ内へ制限された期間に導入することを示す。通常は、パルス時間は、約0.05から10秒である。しかし、基板のタイプ及びその表面領域によっては、パルス時間は、10秒よりも長くてもよい。パルス時間は、いくつかのケースでは分単位であってもよい。最適なパルス時間は、特定状況に基づき当業者により決定されうる。
【0019】
前駆体のマスフローレートもまた、当業者により決定されうる。いくつかの実施形態では、金属前駆体のフローレートは、好ましくは約1から1000sccmであるが、これに限定されず、より好ましくは100から500sccmである。
【0020】
反応チャンバにおける圧力は、通常、約0.01から約20mbarであり、より好ましくは約1から約10mbarである。しかし、いくつかの場合には、前駆体は、この範囲よりも高い又は低くなり、特定状況が与えられた当業者により決定されうる。
【0021】
膜の堆積を開始する前に、基板は、通常、適切な成長温度まで加熱される。成長温度は、薄膜が形成される型、前駆体の物理的な特性等によって変化する。成長温度は、薄膜が形成される各型に関して以下により詳細に説明される。成長温度は、アモルファス薄膜が形成されるような堆積材料に対する結晶化温度よりも低くなりうる、又は、成長温度は、結晶薄膜が形成されるような結晶化温度よりも高くなりうる。好ましい堆積温度は、限定されないが、反応物質前駆体、圧力、フローレート、リアクタの配置、堆積される薄膜の結晶化温度、及び堆積される材料の性質を含む基板の組成のような多数の要素に応じて変化してもよい。具体的な成長温度は、当業者により選択されてもよい。
【0022】
使用されうる好ましいリアクタの例としては、F−120(登録商標) reactor, Pulsar(登録商標) reactor and Advance(登録商標) 400 Series reactor, available from ASM America, Inc of Phoenix, Arizona and ASM Europe B.V., Almere, Netherlandsのような商業的に取得可能なALD装置が挙げられる。ALDリアクタに加えて、適切な装置が備えられていたCVDリアクタを含み、薄膜のALD成長可能な多くの他のリアクタ及び前駆体をパルスする手段は、採用されうる。好ましくは、反応物質は、前駆体のための共有ラインが最小化されるように、反応チャンバに到達するまで別々に維持される。しかし、他の配置も可能であり、例えば、プレ反応チャンバの使用は、2004年8月30日出願の米国特許出願10/929,348号及び2001年4月16日出願の米国特許出願番号09/836,674号で説明され、この開示は、参照により本明細書に援用される。
【0023】
成長プロセスは、リアクタ内又はクラスタツールに接続される反応空間内で追加的に行われうる。クラスタツールでは、各反応空間は、プロセスの一つの型に専念されるため、各モジュールでの反応空間の温度は、一定に維持され、基板が各処理前のプロセス温度まで加熱されるリアクタと比較して、スループットが向上する。
【0024】
本明細書に記載されるパッシベーションプロセスは、前及び/又はその後の堆積プロセスと同じリアクタ内で行われうる。いくつかの場合には、パッシベーションプロセスは、同一のクラスタツール内の異なるリアクタ又は異なるクラスタツール内に位置するリアクタで行われうる。
【0025】
(酸化膜表面のパッシベーション)
いくつかの実施形態では、酸化膜表面は、パッシベーションされる。酸化膜は、従来から既知の任意の方法により形成されうる。いくつかの実施形態では、酸化膜は、CVDにより形成される。いくつかの実施形態では、酸化膜は、ALDにより形成される。いくつかの実施形態では、酸化表面は、酸化により形成される。
【0026】
薄膜を堆積する典型的なALDプロセス(方法)では、一つの堆積サイクルは、第1の前駆体に基板を露出し、未反応の第1の前駆体及び反応副生成物を反応チャンバから除去し、第2の前駆体に基板を露出し、その後、第2の除去工程を含む。高価でなく、相対的に安定であるため、TiClのようなハロゲン前駆体がALD堆積には使用されるが、それと同時に反応は異なる型の表面群へ向かう。第2の前駆体として、HO 及びNH は、それぞれ酸化及び窒化堆積のために広く用いられる。また、適切なハロゲン系前駆体は、超high k膜(例えば、SrTi,BaTi,SrBa(1−x)TiOz及びSrBiTa)に用いられるSr及びBaのようなハロゲン系前駆体が多くの金属に存在しないため、有機金属(metalorganic、organometallic)前駆体は、通常、超high k膜堆積に用いられる。有機金属の第1の前駆体との混合に用いられる典型的な第2の前駆体は、O、酸素原子、プラズマに基づく酸素、ラジカルに基づく酸素、及び水である。超high k膜のALDの記述は、例えば、米国特許第7,108,747号及び米国特許公開第20060219157号にあり、この両方は参照により本明細書に援用される。
【0027】
半導体産業において用いられる典型的なキャパシタ構造は、金属−絶縁体−半導体(MIS)及び金属−絶縁体−金属(MIM)である。キャパシタのさらなる型は、金属−絶縁体−金属−絶縁体−金属(MIMIM)及び金属−絶縁体−金属−絶縁体−半導体(MIMIS)を含む。メモリキャパシタ及びデカップリングキャパシタは、半導体産業のキャパシタ用のいくつかの用途にちょうどよい。
【0028】
窒化チタンは、半導体産業のキャパシタ用の電極材料に広く用いられる。窒化チタンは、ALD、パルスCVD又はCVDのような多くの異なる堆積プロセスにより堆積されうる。TiN堆積のための典型的かつ最も便利な前駆体は、TiClであり、これは、主に相対的に高い蒸気圧を有する液体であるためである。窒化チタン堆積の記述は、例えば、米国特許公開第20060060137号にあり、これは、参照により本明細書に援用される。
【0029】
しかし、絶縁−金属構造の金属電極プロセス(CVD又はALD)に基づくSrTiO 及び塩化チタンの集積は、金属の基本特性によりチャレンジとなることがわかる。TiCIに基づく化学物質は、塩化物に基づく化学物質と下にあるSrTiOとのシビアな反応のために、絶縁体−金属界面及び構造の破壊をもたらし、上部電極堆積のために好ましくないことがわかっている。
【0030】
窒化チタン電極は、SrTiOのような超high k膜との結合に巧く用いられているが、これらの場合、窒化チタン上部電極は、物理気相堆積(PVD)により堆積される、又は下部電極のみがALD又はCVDにより堆積される。SrTiO誘電体へのTiN下部電極及びPVD白金上部電極を用いることにより良好な結果を得ることは、例えば、Menou, N., et al, 0.5 nm EOT Low Leakage ALD SrTiO on TiN MIM Capacitors for DRAM Applications IEDM 2008, San Francisco, USAに記載される。しかし、ダメージが少なく、より膜厚及び均一性の制御が正確であり、より良好なステップカバレージを有するために、ALD又はCVD堆積方法は、将来のデバイスの上部電極堆積に好ましい。
【0031】
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、MIMキャパシタスタックのような超high k膜スタックで電極を堆積するTiClに基づく化学物質のような塩化物に基づく前駆体を使用することを可能にする。
【0032】
例えば、SrTiO膜の上部に、TiClに基づく化学物質(又は他のCl、I又はBrに基づく化学物質)から窒化チタン膜を堆積する際の問題点は、TiClが誘電体を腐食し、キャパシタの電気特性を損なうことである。TiClからの電極堆積時にSrClの固相が形成されるため、大方腐食が起こる。これは、図1a及び2からわかる。
【0033】
SrTiOのようなSr及びBaを含む少なくともいくつかの超high−k材料は、塩化物、臭化物又はヨウ化物のアタックに反応しやすい。TiCl化学物質は、例えば、SrTiO誘電体特性のスタックを破壊する。理論を維持することなく、室温でSrOよりも安定である固体SrClの組成によるものと考えられる。異なるハロゲン化学物質は、上部電極堆積に用いられる(Til,TiCl及びTiF)。Til及びTiClの両方は、逆に、誘電体材料の特性に影響を及ぼす。驚くべきことに、TiFは、逆に誘電体材料の特性に影響を及ぼさない。SrIがSrOよりも不安定であることが期待されるために、これは、幾分驚きである(表1参照)。
【0034】
【表1】
【0035】
驚くべきことに、TiFは、SrFがSrOよりも安定である事実にもかかわらず、機能した。理論では、SrFは、全てのハロゲン化Srの中で最も良好に形成される。Cl、Br又はIに基づく化学物質がSrTiOを破壊するため、当業者は、形成のエネルギーに基づいて、Fに基づく化学物質も疑うべきであると考えている。しかし、TiFがhigh−k誘電体層を腐食しないことは驚きである。特定の理論でなければ、TiFが表面をパッシベートするSrFの超薄層を形成すると考えられる。
【0036】
本明細書に記載される塩化物、臭化物又はヨウ化物に基づく化学物質は、前駆体の分子に塩素、臭素又はヨウ素原子の少なくとも一つを含む前駆体を意味する。いくつかの場合、塩化金属、臭化金属又はヨウ化金属前駆体の場合における配位子全ては、それぞれ、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子である。例えば、ハロゲン化チタンTiXの場合には、Xがハロゲン化、臭化又はヨウ化金属であり、Xの4は、全て塩素、臭素又はヨウ素であり、好ましくは塩素である。本明細書に記載される塩化物、臭化物又はヨウ化物に基づく化学物質は、また、有機配位子を有するが、前駆体の分子に塩素、臭素又はヨウ素原子の少なくとも一つを有する前駆体を用いてもよい。
【0037】
いくつかの実施形態では、基板表面は、塩化物、臭化物又はヨウ化物アタックに反応しやすい。好ましい表面は、TiClのアタックのような塩化物のアタックに反応しやすい。塩化物、臭化物又はヨウ化物アタックに反応しやすい基板表面は、誘電体材料を含む表面が好ましく、二酸化シリコンよりも誘電定数が高い材料を含むことがより好ましく、SrTiOy,BaTi,SrBa(1−TiyO及びSrBiTaのようなSr又はBa原子を有する材料が最も好ましい。本明細書で使用される塩化物、臭化物又はヨウ化物アタックとは、塩化物、臭化物又はヨウ化物が、所望の特性が所望されない、及びいくつかの場合にはそれらの意図した使用に適切でなくなるように、下にある基板又は膜の所望の特性を変化、分解又は破壊することを意味する。フッ化物は、下にある基板又は膜の所望の特性を分解する代わりに、一方で、フッ化物は、基板表面でも反応し、その後のプロセスにおいてさらなる塩化物、臭化物又はヨウ化物アタックから下にある基板又は膜の所望の特性を保護しうるパッシベーション層を形成する。
【0038】
SrTi,BaTi,SrBa(1−X)TiyO及びSrBiTaのようなhigh−k膜の表面は、フッ化物を含む化学物質を用いることによりパッシベートされ、かつ保護される。high−k膜の表面は、例えば、上記にリスト化したALDリアクタの一つにおける好ましいリアクタ内でフッ化物を含む前駆体でトリートメントされる。このプロセスは、ガス状(気相)プロセスであることが好ましい。好ましいパッシベーションは、TiF,TaF,NbF,WF,MoF,VFのような一又はそれ以上の遷移金属フッ化物を用いることによりなされる。最も好ましいパッシベーションは、TiFを用いることによりなされる。しかし、NF,NHF,F,CF,SF,フッ素含有化学物質、若しくは上述した化学物質又はフッ化物原子のプラズマ及びラジカルのような他のフッ化物を含む化学物質も用いることができる。他の実施形態では、RuF及びIrFのような揮発性の腐食しない金属フッ化物が用いられてもよい。
【0039】
いくつかの実施形態では、パッシベーション層は、フッ化物を含む前駆体と基板表面との反応を通じてhigh−k材料から形成される。好ましいパッシベーション層は、high−k膜から形成され、より好ましくは、SrTi,BaTi,SrBa(1−x)Ti又はSrBiTa層から形成される。いくつかの実施形態では、パッシベーション層は、基板材料の上部には形成されないことが好ましいが、むしろフッ化物を含む前駆体及びhigh−k材料自体の交換反応を通じて形成されることが好ましく、これは、超薄フッ化物パッシベーション層を形成する。しかし、他の実施形態では、導電性金属窒化パッシベーション層は、以下に説明するようにフッ素前駆体を用いて堆積されてもよい。パッシベーション層が形成されるSrTi,BaTi,SrBa(1−x)Ti及びSrBiTaのような多くのhigh−k材料は、ペロブスカイト型構造を有し、これは、アモルファス相で相対的に低いk値を有するが、結晶化された場合、高いk値を有する。いくつかの実施形態では、high−k材料は、約50から1000の範囲のk値を有することが好ましく、約60から500がより好ましく、約70から350が最も好ましい。しかし、キャパシタスタックにおけるhigh−k誘電体に対する算出されたk値は、材料自体及びhigh−k材料の厚さによって、少なくなったり、多くなったりしてもよい。
【0040】
いくつかの実施形態では、パッシベーション層は、1Åから50Åの厚さの間であることが好ましく、20Åの厚さ未満であることがより好ましく、15Åの厚さ未満であることが最も好ましい。
【0041】
パッシベーショントリートメントは、使用されるフッ素化学物質に応じて約20から約500℃までの基板温度でなされてもよい。反応チャンバ内でのパッシベーショントリートメント時の圧力は、通常、約0.01から約20mbarであり、約1から約10mbarであることが好ましい。しかし、いくつかの場合には、温度及び/又は圧力は、この範囲よりも高く又は低くなり、特定状況考慮して当業者により決定される。約0.05から120秒であることが好ましく、約1から60秒の間であることがより好ましく、約1から30秒の間であることがさらに好ましい、フッ素ベース化学物質の一つのパルスは、通常、表面をパッシベーションするために十分であるが、いくつかの場合、例えば、バッチリアクタ又は非常に高いアスペクト比での高いコンフォーマルステップカバレージ又は複雑な表面モフォロジーを有する他の構造が必要な場合には、必要であれば、他のパルス時間が用いられうる。
【0042】
いくつかの実施形態では、フッ素化トリートメント又はパッシベーションは、ポスト堆積アニールと同時に又はその直後、すなわち、ポスト堆積アニールが行われたのと同じツールでイン−サイチュで行われうる。
【0043】
一実施形態では、フッ素化パッシベーション層は、誘電体堆積後のエッチング工程時に形成される。上部電極を堆積する工程の前に、誘電体層は、パターン化され、かつエッチングされてもよく、又はパターン化無しでエッチングされてもよい。エッチング工程においてフッ素を含む化学物質を用いることは、パッシベーション層を形成しうる。
【0044】
一実施形態では、フッ素化パッシベーション層は、上部電極堆積後のエッチング工程時に形成される。上部電極は、パターン化され、かつエッチングされてもよく、又はパターン化無しでエッチングされてもよい。エッチング工程においてフッ素を含む化学物質を用いることは、high−k層のパッシベーション層を形成する。
【0045】
一実施形態では、フッ化物表面は、パッシベーショントリートメント後に窒素を含む化学物質でトリートメントされる。好ましくは、窒素を含む化学物質は、NH,N,窒素を含むプラズマ,ラジカル又は原子からなる群から選択される。最も好ましい窒素を含む化学物質は、NHである。窒素を含む化学物質は、また、アミノを含むシラン、アミノを含むシラザン、アミノを含むゲルマン又はアミノを含むボランのような窒素を含む化学物質から選択されてもよい。パッシベーション化学物質としてTiFを用い、かつ窒素を含む化学物質としてNHを用いることにより、導電性TiN層は、high−k誘電体層の上部に形成される。TiFのようなフッ化物前駆体を用いることにより、TiNのような導電性窒化層の堆積は、継続され、続いて、ALD又はCVDの例は、本明細書に記載されたフッ化物前駆体を用いることにより、窒化する。よって、導電性窒化パッシベーション層は、フッ化パッシベーション層の上部に形成されうる。フッ化物に基づく化学物質を用いることにより製造された導電性窒化パッシベーション層の厚さは、100Å未満であることが好ましく、より好ましくは30Å未満であり、最も好ましくは15Å未満である。複数のALDサイクル(例えばTiFパルス/NHパルス)は、所望の厚さの層を堆積するために用いられてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、約2から約10ALD堆積サイクルが行われる。当業者は、サイクルの回数が堆積された薄膜の所望の厚さに基づいて選択されうることがわかるであろう。
【0046】
いくつかの実施形態では、いずれかの型の層は、通常、集積回路がパッシベーションされた表面の上部に堆積されうる製造において用いられる。
【0047】
いくつかの実施形態では、TiN電極は、TiCl及びNHを用いることによりパッシベーションされた誘電体表面の上部に堆積されてもよく、又はTiCl及びNHを用いることによりTiFに基づく化学物質を用いて製造された導電性TiN層の上部に堆積されてもよい。いくつかの実施形態では、上部電極は、以下に説明するようなフッ素を含む前駆体を用いて、ALD(又はCVD)により堆積されてもよい。
【0048】
いくつかの実施形態では、high−k誘電体層のような金属酸化層は、パッシベーションされた層の上部に堆積される。この金属酸化層は、例えば、塩化物、臭化物又はヨウ化物に基づく化学物質、好ましくは塩化物に基づく化学物質のようなハロゲン化物前駆体を用いることにより、ALD又はCVD及びこれらのバリエーションのような任意の化学堆積方法を用いることにより、堆積される。例えば、HfOは、前駆体としてHfCl及びHOを用いることにより、パッシベーションされた酸化層の上部にALDにより堆積されうる。同様に、ZrOは、前駆体としてZrCl及びHOを用いることにより、パッシベーションされた酸化層の上部にALDにより堆積されうる。前駆体として塩化金属、臭化金属又はヨウ化金属を用いる金属酸化のための多くのALD及びCVD堆積プロセスが存在し、当業者は、特定の用途及びその需要に応じて、正しい金属酸化プロセス及びパッシベーションされた酸化層の上部に堆積される正しい金属酸化材料を選択できる。
【0049】
いくつかの実施形態では、半導体層は、塩化物ベース化学物質を用い、ALD又はCVDのような任意の化学堆積方法を用いることにより、パッシベーションされた酸化層の上部に堆積される。
【0050】
(ALD又はCVDによるパッシベーションされた表面の上部への堆積)
いくつかの実施形態では、一又はそれ以上の膜は、パッシベーションされた誘電体表面の上部又はフッ素を含む化合物を用いて製造された導電性TiN層の上部へ堆積される。
【0051】
好ましくは、パッシベーションされた表面の上部へ堆積される膜は、塩素、臭素又はヨウ素を含む前駆体を用いて堆積される。図5は、基板への半導体構造を形成する一つの方法を示す模式的なフローチャートである。いくつかの実施形態では、TiN膜は、ALD又はCVDによりTiCl及びNH前駆体を用いて堆積される。
【0052】
(フッ化物前駆体を用いることによるALD窒化物の堆積)
いくつかの実施形態では、上部電極は、フッ素を含む化合物を用いてhigh−k誘電体に形成される。いくつかの実施形態では、フッ素を含む化合物が上部電極の堆積に用いられうるため、パッシベーション層は、上部電極と別に形成されない。
【0053】
任意の続く前駆体は、本明細書に記載の各種のALD窒化又は窒化物を含む炭化プロセスにおいて用いられうる。他の前駆体は、当業者にとって明らかであろう。特に、遷移金属フッ化物を含む前駆体が用いられる。
【0054】
いくつかの実施形態では、基板表面は、塩化物、臭化物又はヨウ化物アタックに反応しやすい。好ましい表面は、TiClアタックのような塩化物アタックに反応しやすい。塩化物、臭化物又はヨウ化物アタックに反応しやすい基板表面は、誘電体材料を含む表面であることが好ましく、二酸化シリコンよりも高い誘電定数を有する材料であることがより好ましく、SrTi,BaTi,SrBa(1−X)Ti及びSrBiTaのようなSr又はBa原子を有する材料であることが最も好ましい。本明細書で用いられる塩化物、臭化物又はヨウ化物アタックとは、塩化物、臭化物又はヨウ化物が、所望の特性が所望されない、及びいくつかの場合にはそれらの意図した使用に適切でなくなるように、下にある基板又は膜の所望の特性を変化、分解又は破壊することを意味する。フッ化物は、下にある基板又は膜の所望の特性を分解する代わりに、一方で、フッ化物は、基板表面でも反応し、その後のプロセスにおいてさらなる塩化物、臭化物又はヨウ化物アタックから下にある基板又は膜の所望の特性を保護しうるパッシベーション層を形成する。
【0055】
いくつかの実施形態では、金属窒化物は、フッ化物前駆体及び窒素前駆体を用いて堆積されうる。これらの実施形態では、フッ化物を含む前駆体が金属窒化物を堆積するために用いられるため、パッシベーションは、なされなくてもよい。
【0056】
いくつかの実施形態では、フッ化物前駆体は、TiF,TaF,NbF,WFMoF,VFのような揮発性遷移金属フッ化物を含む。
【0057】
窒化膜のALD堆積のための第2の前駆体は、例えば、NH,N,窒素を含むプラズマ、ラジカル又は原子、例えば、N/Hプラズマ、ラジカル又は原子の混合物等を含む。好ましくは窒素を含む化学物質は、NHである。窒素を含む化学物質は、また、アミノを含むシラン、アミノを含むシラザン、アミノを含むゲルマン又はアミノを含むボランのような窒素を含む化学物質から選択されてもよい。
【0058】
フッ化物前駆体を用いることによる窒化物のALDは、使用されるフッ化物化学物質に応じて約20から約700℃の温度でなされうる。好ましい堆積温度は、約250から約500℃である。窒素を含むプラズマ、Nラジカル又はN原子を含まない、第2の前駆体として熱活性化窒素反応物質を用いる場合において、より好ましい堆積温度は、約300から約450℃である。反応チャンバ内での窒化物堆積時の圧力は、通常、約0.01から約20mbarであり、より好ましくは、約1から約10mbarである。しかし、いくつかの場合には、圧力は、この範囲よりも高く又は低くなり、特定状況を考慮して当業者により決定される。約0.05から20秒であることが好ましく、約1から10秒の間であることがより好ましく、約1から2秒の間であることがさらに好ましい、化学物質の一つのパルスは、通常、表面をパッシベーションするために十分であるが、いくつかの場合、例えば、バッチリアクタ又は非常に高いアスペクト比での高いコンフォーマルステップカバレージ又は複雑な表面モフォロジーを有する他の構造が必要な場合には、必要であれば、他のパルス時間が用いられうる。
【0059】
いくつかの実施形態では、複数のALDサイクルは、所望の厚さで窒化物層を堆積するために用いられる。例えば、いくつかの実施形態では、約2から約1000ALD堆積サイクルが行われる。当業者は、サイクルの回数が堆積された薄膜の所望の厚さに基づいて選択されうることがわかるであろう。
【0060】
好ましい実施形態では、TiNは、フッ化物前駆体としてTiFを用い、窒素前駆体としてNHを用いて、ALDにより堆積される。この実施形態の一例は、実施例1に記載される。TiFは、室温及び室圧で固体である。TiFのための好ましいソース温度範囲は、約100から約300℃であり、より好ましくは約150から約200℃である。堆積のための好ましい反応温度範囲は、約250から約700℃であり、より好ましくは約300から約450℃である。高い仕事関数が必要とされる場合には、堆積は、約250から約350℃の反応温度範囲で行われうる。
【0061】
他の好ましい実施形態では、TiNは、フッ化物前駆体としてTiFを用い、窒素前駆体としてN/Hプラズマ、ラジカル又は原子の混合物を用いて、ALDにより堆積される。TiFのための好ましいソース温度範囲は、約100から約300℃であり、より好ましくは約150から約200℃である。より窒素前駆体が反応しやすくなるため、好ましい反応温度範囲は、低くてもよく、よって、好ましい反応温度範囲の下限がやや低くなる。窒素前駆体としてN/Hプラズマ、ラジカル又は原子の混合物を用いる堆積のための好ましい反応温度は、約100℃から約700℃であり、より好ましくは約200℃から約450℃である。
【0062】
いくつかの実施形態では、TiFを用いて堆積されるTiN膜は、約20nm未満、好ましくは約10nm未満、より好ましくは約5nm未満の厚さを有し、約1000μΩcm未満、好ましくは約750μΩcm未満、より好ましくは約500μΩcm未満、最も好ましくは約400μΩcm未満の抵抗率を有する。10nmを下回る非常に薄い膜での厚さは、膜の抵抗率を増加させうる。
【0063】
いくつかの実施形態では、フッ素が仕事関数を増加させうるため、TiFを用いて堆積されるTiN膜は、所望の不純物としてのフッ素を有する。TiFを用いて堆積されるTiN膜は、フッ素の0.5at−%超、より好ましくは2at−%超のフッ素含有量を有してもよく、必要であれば5at−%超のフッ素がTiN膜に組み込まれてもよい。
【0064】
さらに他の実施形態では、TaCN又はNbCNは、フッ化物前駆体としてTaF 又はNbFを用い、窒素前駆体としてヘキサメチルジシラザン(hexamethyldisilazan(HMDS)),テトラメチルジシラザン(tetramethyldisilazane (TMDS)),及びバイスジエチルアミノシラン(bisdiethylaminosilane(BDEAS))を用いて、ALDにより堆積されてもよい。これらのプロセスの詳細は、米国特許公開第20080317955号からわかり、参照により本明細書に援用される。この実施形態のための一例は、図2に記載される。
【0065】
金属電極堆積工程でのフッ素を含む化学物質を使用することのさらに別の利益は、形成された金属膜にフッ素不純物が残ることである。フッ素は、最も電気陰性の原子として知られ、かつ、例えば、ref. Appl. Phys. Lett. 96, 053506 (2010)に示されるように、形成された金属層の仕事関数を増加させる。金属層の仕事関数は、MIMキャパシタのリーク電流密度を求める最も重要なパラメータの一つであり、したがって、金属層の高い仕事関数は、より所望される。金属ゲートの仕事関数は、また、トランジスタ用途での閾値電圧を主として求め、高い仕事関数材料は、PMOS用に好ましい。PMOS用の適切な仕事関数の範囲は、5.0−5.2evの範囲内である。金属ゲート用途及び仕事関数の調整は、また、米国特許第7045406号及び第6858524号に開示され、この両方は、参照により本明細書に援用される。
【0066】
(フッ化物前駆体を用いたCVD又はパルスCVDによる窒化物の堆積)
任意の続く前駆体は、本明細書に記載の各種のALD窒化又は炭素を含む窒化プロセスにおいて用いられうる。特に、遷移金属フッ化物を含む前駆体が開示される。窒化チタン堆積のパルスCVDのための堆積は、例えば、米国特許出願第20060060137号から理解され、米国特許出願第20060060137号の金属前駆体を本明細書に記載のフッ化物前駆体により置換することにより、任意の金属窒化物のパルスCVDは、同様の手法でなされうる。
【0067】
いくつかの実施形態では、基板表面は、塩化物、臭化物又はヨウ化物アタックに反応しやすい。好ましい表面は、TiClアタックのような塩化物アタックに反応しやすい。塩化物、臭化物又はヨウ化物アタックに反応しやすい基板表面は、誘電体材料を含む表面であることが好ましく、二酸化シリコンよりも高い誘電定数を有する材料であることがより好ましく、SrTi,BaTi,SrBa(1−X)Ti及びSrBiTaのようなSr又はBa原子を有する材料であることが最も好ましい。本明細書で用いられる塩化物、臭化物又はヨウ化物アタックとは、塩化物、臭化物又はヨウ化物が、所望の特性が望まれない、及びいくつかの場合にはそれらの意図した使用に適切でなくなるように、下にある基板又は膜の所望の特性を変化、分解又は破壊することを意味する。フッ化物は、下にある基板又は膜の所望の特性を分解する代わりに、一方で、フッ化物は、基板表面でも反応し、その後のプロセスにおいてさらなる塩化物、臭化物又はヨウ化物アタックから下にある基板又は膜の所望の特性を保護しうるパッシベーション層を形成する。
【0068】
いくつかの実施形態では、金属窒化物は、フッ化物前駆体及び窒素前駆体を用いて堆積されうる。これらの実施形態では、フッ化物を含む前駆体が金属窒化物を堆積するために用いられるため、パッシベーションは、なされなくてもよい。
【0069】
いくつかの実施形態では、フッ化物前駆体は、TiF,TaF,NbF,WF,MoF,VFのような揮発性遷移金属フッ化物を含む。
【0070】
窒化膜のCVD堆積のための第2の前駆体は、例えば、NH,N、窒素を含むプラズマ、ラジカル又は原子、例えば、N/Hプラズマ、ラジカル又は原子の混合物等を含む。好ましくは窒素を含む化学物質は、NHである。窒素を含む化学物質は、また、アミノを含むシラン誘導体、アミノを含むシラザン誘導体、アミノを含むゲルマン誘導体又はアミノを含むボラン誘導体のような窒素を含む化学物質から選択されてもよい。
【0071】
フッ化物前駆体を用いることによる窒化物のCVDは、使用されるフッ化物化学物質に応じて約20から約700℃の温度でなされうる。好ましい堆積温度は、約250から約500℃である。窒素を含むプラズマ、Nラジカル又はN原子を含まない、第2の前駆体として熱活性化窒素反応物質を用いる場合において、より好ましい堆積温度は、約300から約450℃である。窒素を含むプラズマ、Nラジカル又はN原子を用いる実施形態では、より窒素前駆体が反応しやすくなるため、好ましい反応温度範囲は、低くてもよく、よって、好ましい反応温度範囲の下限がやや低くなる。窒素前駆体としてN/Hプラズマ、ラジカル又は原子の混合物を用いる堆積のための好ましい反応温度は、約20℃から約700℃であり、より好ましくは約100℃から約450℃である。
【0072】
反応チャンバ内での窒化物堆積時の圧力は、通常、約0.01から約20mbarであり、より好ましくは、約1から約10mbarである。しかし、いくつかの場合には、圧力は、この範囲よりも高く又は低くなり、特定環境を考慮して当業者により決定される。パルスCVDの場合には、例えば、フッ化物化学物質がパルスとして反応チャンバへ導入される間に、窒素を含む前駆体のような第2の前駆体は、反応チャンバ内へ連続的な手法で流入されてもよい。パルスCVDのいくつかの場合には、両方の前駆体は、パルスとして反応チャンバに同時に流入されてもよい。パルスは、部分的に又は全体的に互いに重複してもよい。CVDの場合には、両方の前駆体は、連続的な手法として反応チャンバに同時に流入されてもよい。
【0073】
好ましい実施形態では、TiNは、フッ化物前駆体としてTiFを用い、窒素前駆体としてNHを用いて、CVD又はパルスCVDにより堆積される。この実施形態の一例は、実施例3に記載される。TiFのための好ましいソース温度範囲は、約100から約300℃であり、より好ましくは約150から約200℃である。堆積のための好ましい反応温度範囲は、約250から約700℃であり、より好ましくは約300から約450℃である。
【0074】
さらに他の実施形態では、TiNは、フッ化物前駆体としてTiFを用い、窒素前駆体としてNHを用いて、パルスCVDにより堆積される。好ましい実施形態では、NHパルスは、TiFパルスよりも長い。他の実施形態では、リアクタへのNHフローは、一定に維持され、TiFパルスは、リアクタへ導入される。他の実施形態では、リアクタへのNHフローは、TiFパルス時に、一定であるが減少し、好ましくは約50%よりも多く減少し、さらに好ましくは約75%よりも多く減少する。
【0075】
他の好ましい実施形態では、TiNは、フッ化物前駆体としてTiFを用い、窒素前駆体としてN/Hプラズマ、ラジカル又は原子を用いて、CVD又はパルスCVDにより堆積される。TiFのための好ましいソース温度範囲は、約100から約300℃であり、より好ましくは約150から約200℃である。より窒素前駆体が反応しやすくなるため、好ましい反応温度範囲は、低くてもよく、よって、好ましい反応温度範囲の下限がやや低くなる。窒素前駆体としてN/Hプラズマ、ラジカル又は原子の混合物を用いる堆積のための好ましい反応温度は、約100℃から約700℃であり、より好ましくは約200℃から約450℃である。
【0076】
いくつかの実施形態では、TiFを用いて堆積されるTiN膜は、約20nm未満、好ましくは約10nm未満、より好ましくは約5nm未満の厚さを有し、約1000μΩcm未満、好ましくは約500μΩcm未満、より好ましくは約300μΩcm未満、最も好ましくは約200μΩcm未満抵抗率を有する。10nmを下回る非常に薄い膜での厚さは、膜の抵抗率を増加させうる。
【0077】
いくつかの実施形態では、フッ素が仕事関数を増加させうるため、TiFを用いて堆積されるTiN膜は、所望の不純物としてのフッ素を有する。TiFを用いて堆積されるTiN膜は、フッ素の0.5at−%超、より好ましくは2at−%超のフッ素含有量を有してもよく、必要であれば5at−%超のフッ素がTiN膜に組み込まれてもよい。
【0078】
さらに他の実施形態では、TaCN又はNbCNは、フッ化物前駆体としてTaF又はNbFを用い、窒素前駆体としてヘキサメチルジシラザン(hexamethyldisilazan(HMDS)),テトラメチルジシラザン(tetramethyldisilazane(TMDS)),及びバイスジエチルアミノシラン(bisdiethylaminosilane(BDEAS))を用いて、CVD又はパルスCVDにより堆積されてもよく、他の前駆体は米国特許出願2008031795号に記載される。
【0079】
金属電極堆積工程でのフッ素を含む化学物質を使用することのさらに別の利益は、形成された金属膜にフッ素不純物が残ることである。フッ素は、最も電気陰性の原子として知られ、かつ、例えば、ref. Appl. Phys. Lett. 96, 053506 (2010)に示されるように、形成された金属層の仕事関数を増加させる。金属層の仕事関数は、MIMキャパシタのリーク電流密度を求める最も重要なパラメータの一つであり、したがって、金属層の高い仕事関数は、より所望される。金属ゲートの仕事関数は、また、トランジスタ用途での閾値電圧を主として求め、高い仕事関数材料は、PMOS用に好ましい。PMOS用の適切な仕事関数の範囲は、5.0−5.2eVの範囲内である。
【0080】
(フッ素を含む化学物質を用いることにより堆積された材料の仕事関数)
好ましくは、フッ素を含む化学物質を用いて堆積された材料の仕事関数は、4.8eVより大きなゲート又はキャパシタスタックの有効仕事関数をもたらし、より好ましくは4.9eVより大きく、最も好ましくは5.0eVより大きく、トランジスタの金属ゲート用途での最適な範囲は約5.0eVから5.2eVである。キャパシタ用途のためには、より大きな仕事関数を有していることが好ましく、この場合、仕事関数は、5.2eVより大きい、又はいくつかの場合には、5.3eVより大きいことが好ましい。
【0081】
キャリア/電子注入のためのエネルギー障壁又は伝導帯オフセットを増加させるため、キャパシタ用途での電極としての高い仕事関数材料の使用は、リーク電流を低減する。高い仕事関数は、また、キャパシタ用途において、誘電体が、例えば、SrTi,BaTi,BaSrTi,又はSrBiTaのようなBa又はSrを含む誘電体以外のものであることが好ましい。キャパシタ用途における誘電体は、例えば、ZrSiO,HfSiO,ZAZ(ZrO−Al−ZrOスタック),ZrO,HfOのようなZr又はHfに基づく材料でありうる。
【0082】
例えば金属ゲート用途、すなわち、トランジスタ構造における用途では、構造が金属−絶縁体−半導体(MIS)であり、high−k誘電体が塩化物、臭化物、又はヨウ化物アタックに反応しにくい場合に、high−k層とフッ化物化学物質を用いて堆積されるTiN層と間にフッ化物以外の前駆体を用いて製造される薄いTiN層を有することが好ましい。これは、例えば、TiCl、TiBr、TiI又は有機金属チタン化合物を用いることによりなされうる。トランジスタ用途でのhigh−k誘電体は、例えば、ZrSiO,HfSiO,ZAZ(ZrO−AlO−ZrOスタック),ZrO,HfO、又は任意の誘電体材料のようなZr又はHfに基づく材料でありうる。このように、フッ化物を含む前駆体以外の前駆体を用いて製造される薄いTiN層の厚さを制御することにより、ゲートスタックの特性は、最適値に調整されうる。フッ化物を含む前駆体以外の前駆体(すなわち、TiN層厚さが薄い)を用いて製造される薄いTiN層の厚さの制御は、ゲートスタック全体の仕事関数でのフッ素の効果を制御する。フッ化物を含む前駆体以外の前駆体を用いて製造される薄いTiN層の厚さは、約2から約50Åを有することが好ましく、約5から約30Åを有することがより好ましく、約10から約20Åを有することが最も好ましい。
【0083】
(high−kキャパシタスタックの堆積のためのプロセスフロー)
任意の続くプロセスフロー又はプロセスフローの一部又はプロセスは、本明細書に前述した各種のALD、CVD窒化又は炭素を含む窒化プロセス及びフッ化トリートメントにおいて用いられうる。
【0084】
一実施形態では、前述した本明細書に記載のプロセスは、約50mmから675mmの直径を有する、好ましくは約100mmから450mmの直径を有する、最も好ましくは約200mmから450mmを有するシリコンウェーハを用いることにより、キャパシタ構造又はキャパシタ構造の一部を製造するために用いられる。
【0085】
使用されうるALD、CVD窒化又は炭素を含む窒化プロセス及びフッ化トリートメントのためのプロセス条件及びパラメータは、前述したものと同様であることが好ましい。
【0086】
いくつかの実施形態では、high−k材料は、塩化物、臭化物又はヨウ化物と反応しやすい。好ましくは、表面は、塩化物アタック、より好ましくはTiClと反応しやすい。塩化物、臭化物又はヨウ化物アタックに反応しやすい基板表面は、誘電体材料を含む表面であることが好ましく、二酸化シリコンよりも高い誘電定数を有する材料であることがより好ましく、SrTi,BaTi,SrBa(1−X)Ti及びSrBiTaのようなSr又はBa原子を有する材料であることが最も好ましい。本明細書で用いられる塩化物、臭化物又はヨウ化物アタックとは、塩化物、臭化物又はヨウ化物が、所望の特性が所望されない、及びいくつかの場合にはそれらの意図した使用に適切でなくなるように、下にある基板又は膜の所望の特性を変化、分解又は破壊することを意味する。フッ化物は、下にある基板又は膜の所望の特性を分解する代わりに、一方で、フッ化物は、基板表面でも反応し、その後のプロセスにおいてさらなる塩化物、臭化物又はヨウ化物アタックから下にある基板又は膜の所望の特性を保護しうるパッシベーション層を形成する。
【0087】
SrTi,BaTi,SrBa(1−x)Ti及びSrBiTaのような多くのhigh−k材料は、ペロブスカイト型構造を有し、これは、アモルファス相で相対的に低いk値を有するが、結晶化された場合、高いk値を有し、好ましくは約50から1000の範囲、より好ましくは約60から500の範囲、最も好ましくは約70から350の範囲である。しかし、キャパシタスタックにおけるhigh−k誘電体に対する算出されたk値は、材料自体及びhigh−k材料の厚さによって、少なくなったり、多くなったりしてもよい。ポスト堆積アニールは、通常、これらの膜の結晶化のために行われる。しかし、いくつかの場合、high−k膜は、堆積後、ポスト堆積アニール工程前に全体的又は部分的に結晶化されてもよく、この場合、ポスト堆積アニールは、必要が無ければ行われないが、膜のよりよい電気的特性を得るために行われてもよい。
【0088】
ポスト堆積アニール、例えば、high−k膜層の堆積後のいくつかの工程において行われるアニールは、high−k堆積の次の工程又は上部電極堆積の次の工程であることが好ましく、high−k堆積の後、かつフッ化物パッシベーションの前の工程であることが最も好ましく、約300から約800℃の温度で製造されることが好ましく、約400から約700℃がより好ましく、約500から約650℃が最も好ましい。ポスト堆積アニールのための雰囲気は、例えば、N,N/H(形成ガス),O,Ar,Heを含みうる。いくつかの場合には、フッ化物トリートメントは、ポスト堆積アニールと同時に又はその直後、すなわち、ポスト堆積アニールが行われたのと同じツールでイン−サイチュで行われうる。
【0089】
一実施形態では、本明細書に記載される構造を製造するためのプロセスフロー又はプロセスフローの一部を以下に示す。
【0090】
一実施形態では、下部電極材料は、PVD、CVD又はALDのような任意の堆積方法で堆積される。好ましくは、下部電極は、CVD又はALDで堆積される。いくつかの実施形態では、材料は、例えば、TiN,TaCN,NbCN,Pt,SrRuO,RuTiN又はRuでありうる。いくつかの実施形態では、下部電極は、また、本明細書に記載のプロセスを用いることにより堆積されうる。
【0091】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の任意の方法を用いることにより、high−k誘電体は、その後、堆積される、つまり、塩化物、臭化物又はヨウ化物アタックに反応しやすい、又はSrTi,BaTi,BaSrTi,SrBiTaのようなBa又はSrを含む誘電体のようなパッシベーション層を必要とする。好ましくは、high−k誘電体は、ALD又はCVDを用いて堆積される。high−k誘電体は、例えば、米国特許第710874号及び米国特許公開第20060219157号に記載されるようなBa又はSrのCp化合物を用いて堆積されてもよい。high−k層の堆積のための方法は、また、米国特許第7108747号及び米国特許公開第20060219157号に記載される。いくつかの実施形態では、high−k誘電体は、フッ素を含む化合物を用いて堆積されうる。
【0092】
いくつかの実施形態では、high−k堆積後に、ポスト堆積アニール(PDA)は、high−kの結晶化がなされうる。high−k堆積直後になされない場合、上部電極堆積後にもなされうる。好ましくは、約300から約800℃でなされ、より好ましくは約400から約700℃でなされ、最も好ましくは約500から約650℃でなされる。ポスト堆積アニールのための雰囲気は、例えば、N,N/H(形成ガス),O,Ar,Heを含みうる。いくつかの場合には、フッ化物トリートメントは、ポスト堆積アニールと同時に又はその直後、すなわち、ポスト堆積アニールが行われたのと同じツールでイン−サイチュで行われうる。
【0093】
いくつかの実施形態では、high−k層は、フッ化物トリートメントによりパッシベーションされる。好ましくは、パッシベーション層を形成するフッ化物化学物質を用いることによりなされる。好ましくは、TiF,TaF,NbF,WF,MoF,VFのような遷移金属フッ化物を用い、最も好ましくはTiFを用いる。いくつかの実施形態では、NF,NHF,F,CF,SF,フッ素含有化学物質、又は上述した化学物質のプラズマ及びラジカル又はフッ化物原子のような他のフッ化物を含む化学物質が、また、用いられうる。フッ化物前駆体は、また、RuF及びIrFのような揮発性の腐食しない金属フッ化物から選択されてもよい。いくつかの実施形態では、HfF及びZrF4もまた用いられうる。
【0094】
いくつかの実施形態では、フッ化物化学物質の一つのパルスは、パッシベーション層を形成するために十分である。他の実施形態では、パッシベーション層膜は、例えば、TiFのような対応するフッ化物化学物質及びNHのような対応する窒素化学物質を用いることにより、かつ本明細書で前述したような多くのサイクルで堆積することにより、堆積されうる。他の一実施形態では、パッシベーション層は、フッ素を含む化学物質を用いるプラズマエッチング工程のような、high−k層のためのエッチング工程中に形成されてもよい。パッシベーション層膜の厚さは、約100Å未満が好ましく、約30Å未満がより好ましく、約15Å未満が最も好ましい。
【0095】
次に、上部電極は、TiCl化学物質を用いることにより堆積されてもよく、又はパッシベーション層が無いhigh−k層をアタックする他の化学物質により堆積されてもよい。好ましくは、上部電極は、CVD又はALDを用い、TiCl化学物質を用いることにより製造される。より好ましくは、このプロセスは、例えば、米国特許出願第2006006013号に記載したようなパルスCVD又はALDである。いくつかの実施形態では、上部電極は、本明細書に記載されるフッ素を含む任意の化合物を用いて堆積されうる。
【0096】
上部電極が、下にあるhigh−k層を腐食しない方法で堆積された場合、フッ化物パッシベーションは、上部電極堆積工程の後、追加でなされうる。上部電極堆積工程の後、フッ素を含む化学物質を用いたエッチング工程は、MIMスタックをパターンニングするために用いられる。high−k層のフッ化物パッシベーションは、エッチング工程時に形成される。上部電極形成後のパッシベーションは、例えば、high−k材料の側壁との所望しない反応のような、所望しない次のプロセスの材料との反応からhigh−k層を保護しうる。
【0097】
いくつかのプロセスフローの一部は、実施例4−7に記載される。一実施形態での一般化したプロセスは、図5に記載される。
【0098】
記載されたプロセスフローは、キャパシタ構造の堆積のために、記載されたように用いられうる、又はその一部として用いられうる。当業者は、対象のキャパシタ構造の特定の型のための正しいプロセスフロー又はプロセスフローの一部を適切に選択できる。例えば、いくつかの場合において、望まれた場合、本明細書に記載のプロセスを用いて、パッシベーション層膜を下部電極と遷移金属フッ化物及び窒素を含む化学物質から、好ましくはTiF 及びNHからのhigh−k材料との間に堆積することが可能である。
【0099】
さらに、本明細書に記載のパッシベーションプロセスは、また、MIMスタック及び本明細書に記載の他の構造を製造するためだけではなく、他の表面又はプロセスフローのために用いられうる。
【0100】
(high−kキャパシタスタックの構造)
図6に示すように、本明細書に記載のプロセスは、high−k層30と電極層との間、好ましくはhigh−k層30と上部電極層21との間にフッ素又はフッ化物界面層40を含む層を有するキャパシタスタックを堆積するために用いられうる。いくつかの実施形態では、フッ素を含む層は、また、high−kからの材料又は上にある上部電極からの金属を含みうる。フッ素を含む層40は、また、図7に示すように下部電極20とhigh−k層30との間であってもよく、図8に示すように下部電極21とhigh−k層30との間及び上部電極21とhigh−k層30との間の両方であってもよい。導電性窒化パッシベーション層41は、図9に示すようにフッ素を含む層40の上部であってもよい。好ましくは、導電性窒化パッシベーション層41の厚さは、約100Å未満であり、より好ましくは約30Å未満であり、最も好ましくは約15Å未満である。さらなる金属酸化層31は、図10に示すようにフッ化物パッシベーション層の上部にあってもよい。キャパシタスタックは、シリコンウェーハ10に堆積されることが好ましい。
【0101】
フッ素を含む層40の厚さは、約1Åから約50Åの間であることが好ましく、約2Åから約20Åの間であることがより好ましく、約3Åから約15Åの間であることが最も好ましい。当業者は、1−3Å厚さの膜のような超薄膜が連続せず、膜として理解されないことを理解するであろう。しかし、ここで、膜という単語は、シンプルに用いられる。
【0102】
high−k膜49は、SrTi,BaTi,SrBa(1−X)Ti及びSrBiTa又はその混合物を含むことが好ましいがこれに限定されず、ペロブスカイト型の結晶構造を有する。
【0103】
下部電極層20は、Si,SiGe,TiN,TaCN,NbCN,Pt,SrRuO,RuTiN又はRuを含むことが好ましい。下部電極層厚さは、約1から50nmであることが好ましく、約3から30nmであることがより好ましく、約5から20nmであることが最も好ましい。
【0104】
上部電極層21は、TiN,TaCN,NbCN,Pt,SrRuO,RuTiN又はRuを含むことが好ましい。上部電極層厚さは、約1から50nmであることが好ましく、約3から30nmであることがより好ましく、約5から20nmであることが最も好ましい。
【0105】
キャパシタスタックは、トレンチ、ポア及び積層された膜を含む三次元構造のような非平面構造を含んでもよい。
【0106】
本明細書に記載のスタックの構造は、キャパシタスタックの状況で開示されているが、当業者は、NMOS及びPMOS構造のようなトランジスタ構造のような本明細書に記載された他の構造の実施形態を用いることができる。
【実施例】
【0107】
(実施例1)
ALD TiN膜は、二酸化シリコン及びSrTiO基板の両方に395℃の反応温度で反応物質としてTiF及びNHを用いることにより、堆積された。TiFのソース温度は、170℃である。TiFのパルス時間は、6秒であり、パージ時間は、5秒であった。NHパルス時間は、2秒であり、パージ時間は、10秒であった。
【0108】
例えば、SrTiO表面で、反応物質としてTiF及びNHを用いることによりALD TiN膜を堆積した場合、損傷又は腐食は観察されなかった。TiNの堆積は、TiClに基づく化学物質を用いることにより継続されたが、SrTiOの損傷又は腐食は無かった。
【0109】
(比較例1)
ALD TiN膜は、SrTiO基板に反応物質としてTiF及びNHを用いることにより、堆積された。TiN膜は、また、SrTiO基板に反応物質としてTiF及びNHを用いることにより、堆積された。TiCl及びTiIの両方を用いるALDプロセスは、SrTiO表面に損傷及び腐食をもたらした。図1a及び2を参照。
【0110】
(実施例2)
TaCNは、400℃でのバッチALDリアクタにおいて、TaF及びテトラメチルジシラザン(TMDS)を用いることにより、200及び300mmシリコンウェーハでのSrTiO膜の上部に堆積され、このプロセスは米国特許出願第20080317955号に記載される。SrTiO膜への損傷は観察されなかった。
【0111】
類似のNbCNは、TaFの置き換えとしてのNbFを用いることにより堆積され、SrTiO膜への損傷は観察されなかった。
【0112】
TiNの堆積は、必要に応じて、TiClに基づく化学物質を用いることにより継続されたが、SrTiOの損傷又は腐食は無かった。
【0113】
(実施例3)
CVD TiN膜は、400−600℃の反応温度で反応物質としてTiF及びNHを用いることにより、堆積された。TiFのソース温度は、約170から約200℃であった。約50sccmから約5000sccmの範囲でのNHの連続的なフローは、反応チャンバへ導入された。TiFは、NHを反応チャンバへ連続的に流しながら、連続的な手法で反応チャンバへ導入される、又は好ましくはパルス状で導入される。
【0114】
(実施例4)
例えば、SrTiO表面で、反応物質としてTiF及びNHを用いることによりCVD TiN膜を堆積した場合、high−k材料への損傷又は腐食は観察されなかった。TiNの堆積は、TiClに基づく化学物質を用いることにより継続されたが、SrTiOの損傷又は腐食は無かった。
【0115】
ALD SrTiOは、250℃のASM Pulsar(登録商標)2000で堆積された。(1,2,4−第三級ブチル−Cp)Srは、Sr前駆体として用いられ、170℃の温度で加熱された。Ti(OMe)は、Ti前駆体として用いられ、145℃の温度で加熱された。室温21℃でのHOは、酸化剤として用いられた。ALD堆積は、次の手法でのリアクタへの連続的なパルスにより行われた:x・[(1,2,4−第三級ブチル−Cp)Srパルス、(1,2,4−第三級ブチル−Cp)Srパージ、HOパルス、HOパージ]、y・[Ti(OMe)パルス,Ti(OMe)パージ,HOパルス、HOパージ]。x=2及びy=1が用いられ、わずかにSrリッチが導かれた。パルス及びパージ時間は、以下のようになる:(1,2,4−第三級ブチル−Cp)Srパルスを5秒、(1,2,4−第三級ブチル−Cp)Srパージを10秒、HOパルスを0.5秒、HOパージを5秒、Ti(OMe)パルスを4秒、Ti(OMe)パージを10秒、HOパルスを0.5秒、HOパージを5秒。
【0116】
パルスシーケンスは、175回繰り返され、約30nmの平均厚さでSrTiO膜が得られた。
【0117】
その後、前記段落で説明した手法で堆積されたSrTiO膜は、他のASM Pulsar(登録商標)2000リアクタへ移送され、ALD TiN上部電極が395℃で堆積された。上部電極は、次の手法で堆積された:6秒TiF(170℃に維持)パルスがリアクタに導入され、その後、5秒パージ、その後、2秒NHパルス、その後、10秒パージ。この後、ALD TiNは、500回のTiCl+NHサイクルにより395℃で堆積された。TiCl及びNHは、室温の21℃であった。パルス及びパージ時間は、TiClパルス0.1秒、TiClパージ3秒、NHパルス2秒、NHパージ4秒であった。図1(b)は、ウェーハの写真を示し、図2は、TiN上部電極のシート抵抗を示す。
【0118】
(実施例5)
ALD SrTiOは、ASM Pulsar(登録商標)2000リアクタにおいて250℃で堆積された。(1,2,4−第三級ブチル−Cp)Srは、Sr前駆体として用いられ、170℃の温度で加熱された。Ti(OMe)は、Ti前駆体として用いられ、145℃の温度で加熱された。室温21℃でのHOは、酸化剤として用いられた。ALD堆積は、次の手法でのリアクタへの連続的なパルスにより行われた:x・[(1,2,4−第三級ブチル−Cp)Srパルス、(1,2,4−第三級ブチル−Cp)Srパージ、HOパルス、HOパージ]、y・[Ti(OMe)パルス,Ti(OMe)パージ,HOパルス、HOパージ]。x=2及びy=1が用いられ、わずかにSrリッチ膜が導かれた。パルス及びパージ時間は、以下のようになる:(1,2,4−第三級ブチル−Cp)Srパルスを5秒、(1,2,4−第三級ブチル−Cp)Srパージを10秒、HOパルスを0.5秒、HOパージを5秒、Ti(OMe)パルスを4秒、Ti(OMe)パージを10秒、HOパルスを0.5秒、HOパージを5秒。
【0119】
パルスシーケンスは、175回繰り返され、約30nmの平均厚さでSrTiO膜が得られた。
【0120】
その後、前記段落で説明した手法で堆積されたSrTiO膜は、他のASM Pulsar(登録商標)2000リアクタへ移送され、ALD TiN上部電極が395℃で堆積された。上部電極は、次の手法で堆積された:1秒WF(室温21℃に維持)パルスがリアクタに導入され、その後、3秒パージ。この後、ALD TiNは、500回のTiCl+NHサイクルにより395℃で堆積された。TiCl及びNHは、室温の21℃であった。パルス及びパージ時間は、TiClパルス0.1秒、TiClパージ3秒NHパルス2秒、NHパージ4秒であった。図3(a)は、ウェーハの写真を示す。
【0121】
(実施例6)
ALD SrTiOは、ASM Pulsar(登録商標)2000リアクタにおいて250℃で堆積された。(1,2,4−第三級ブチル−Cp)Srは、Sr前駆体として用いられ、170℃の温度で加熱された。Ti(OMe)は、Ti前駆体として用いられ、145℃の温度で加熱された。室温21℃でのHOは、酸化剤として用いられた。ALD堆積は、次の手法でのリアクタへの連続的なパルスにより行われた:x・[(1,2,4−第三級ブチル−Cp)Srパルス、(1,2,4−第三級ブチル−Cp)Srパージ、HOパルス、HOパージ]、y・[Ti(OMe)パルス,Ti(OMe)パージ,HOパルス、HOパージ]。パルス及びパージ時間は、以下のようになる:(1,2,4−第三級ブチル−Cp)Srパルスを5秒、(1,2,4−第三級ブチル−Cp)Srパージを10秒、HOパルスを0.5秒、HOパージを5秒、Ti(OMe)パルスを4秒、Ti(OMe)パージを10秒、HOパルスを0.5秒、HOパージを5秒。
【0122】
パルスシーケンスは、175回繰り返され、約30nmの平均厚さでSrTiO膜が得られた。
【0123】
その後、前記段落で説明した手法で堆積されたSrTiO膜は、他のASM Pulsar(登録商標)2000リアクタへ移送され、ALD TiN上部電極が395℃で堆積された。上部電極は、次の手法で堆積された:1秒WF(室温21℃に維持)パルスがリアクタに導入され、その後、3秒パージ、その後、2秒NHパルス、その後、10秒パージ。この後、ALD TiNは、500回のTiCl+NHサイクルにより395℃で堆積された。TiCl及びNHは、室温の21℃であった。パルス及びパージ時間は、TiClパルス0.1秒、TiClパージ3秒NHパルス2秒、NHパージ4秒であった。図4(b)は、ウェーハの写真を示す。
【0124】
(実施例7)
ALD SrTiOは、ASM Pulsar(登録商標)2000リアクタにおいて250℃で堆積された。(1,2,4−第三級ブチル−Cp)Srは、Sr前駆体として用いられ、170℃の温度で加熱された。Ti(OMe)は、Ti前駆体として用いられ、145℃の温度で加熱された。室温21℃でのHOは、酸化剤として用いられた。ALD堆積は、次の手法でのリアクタへの連続的なパルスにより行われた:x・[(1,2,4−第三級ブチル−Cp)Srパルス、(1,2,4−第三級ブチル−Cp)Srパージ、HOパルス、HOパージ]、y・[Ti(OMe)パルス,Ti(OMe)パージ,HOパルス、HOパージ]。パルス及びパージ時間は、以下のようになる:(1,2,4−第三級ブチル−Cp)Srパルスを5秒、(1,2,4−第三級ブチル−Cp)Srパージを10秒、HOパルスを0.5秒、HOパージを5秒、Ti(OMe)パルスを4秒、Ti(OMe)パージを10秒、HOパルスを0.5秒、HOパージを5秒。
【0125】
パルスシーケンスは、175回繰り返され、約30nmの平均厚さでSrTiO膜が得られた。
【0126】
その後、前記段落で説明した手法で堆積されたSrTiO膜は、他のASM Pulsar(登録商標)2000リアクタへ移送され、ALD TiN上部電極が395℃で堆積された。ALD TiNは、500回のTiF+NHサイクルにより395℃で堆積された。TiClは、170℃で維持され、NHは、室温の21℃であった。パルス及びパージ時間は、TiFパルス6秒、TiFパージ5秒NHパルス2秒、NHパージ10秒であった。図4は、ウェーハの写真を示す。
【0127】
(実施例8)
SrTiO膜は、任意の方法、好ましくはALD又はCVDにより基板へ堆積された。SrTiOは、アモルファス相又はペロブスカイト相のいずれかとして堆積される、又はポストアニールトリートメント(PDA)により追加で結晶化される。その後、SrTiO膜は、例えば、TiF,TaF,NbF,WF,MoF又はVFのようなフッ化物を含む前駆体に露出される。最も好ましいパッシベーションは、TiFを用いてなされる。しかし、他のフッ化物を含む化学物質は、また、NF,NHF,F,CF,SF,フッ素を含む化学物質、又は上述した化学物質のプラズマ及びラジカル又はフッ化物原子のようなものが用いられうる。他の実施形態では、フッ化物前駆体は、RuFx 及び IrFxのような揮発性の腐食しない金属フッ化物を含む。その後、上部電極は、塩化物、臭化物又はヨウ化物を含む前駆体、好ましくはTiClを用い、ALD技術によりパッシベーションされたSrTiOに堆積された。
【0128】
(実施例9)
SrTiO膜は、任意の方法、好ましくはALD又はCVDにより基板へ堆積された。SrTiOは、アモルファス相又はペロブスカイト相のいずれかとして堆積される、又はポストアニールトリートメント(PDA)により追加で結晶化される。その後、SrTiO膜は、例えば、TiF,TaF,NbF,WF,MoF又はVFのようなフッ化物を含む前駆体に露出される。最も好ましいパッシベーションは、TiFを用いてなされる。しかし、他のフッ化物を含む化学物質は、また、NF,NHF,F,CF,SF,フッ素を含む化学物質、又は上述した化学物質のプラズマ及びラジカル又はフッ化物原子のようなものが用いられうる。他の実施形態では、フッ化物前駆体は、RuFx及びIrFxのような揮発性の腐食しない金属フッ化物を含む。その後、上部電極は、塩化物、臭化物又はヨウ化物を含む前駆体、好ましくはTiClを用い、CVD又はパルスCVD技術によりパッシベーションされたSrTiOに堆積された。
【0129】
(実施例10)
SrTiO膜は、任意の方法、好ましくはALD又はCVDにより基板へ堆積された。SrTiOは、アモルファス相又はペロブスカイト相のいずれかとして堆積される、又はポストアニールトリートメント(PDA)により追加で結晶化される。その後、SrTiO膜は、例えば、NF,NHF,F,CF,SF,フッ素を含む化学物質、又は上述した化学物質のプラズマ及びラジカル又はフッ化物原子のようなフッ素を含む前駆体を用いるエッチング工程に対して露出される。その後、上部電極は、塩化物、臭化物又はヨウ化物を含む前駆体、好ましくはTiClを用い、ALD技術によりパッシベーションされたSrTiOに堆積された。
【0130】
(実施例11)
SrTiO膜は、任意の方法、好ましくはALD又はCVDにより基板へ堆積された。SrTiOは、アモルファス相又はペロブスカイト相のいずれかとして堆積される、又はポストアニールトリートメント(PDA)により追加で結晶化される。その後、上部電極は、例えば、PVD又はALD又は有機金属前駆体を用いるCVDによる下にあるSrTiO層を破壊しない方法によりSrTiOに堆積された。その後、上部電極は、パターン化され、かつSrTiO膜のフッ化物パッシベーション層を形成するフッ素を含む化学物質でエッチングされる。
【0131】
(実施例12)
TiNは、300°C,350°C及び425°Cの各種温度でSi/HfO基板にTiCl+NH化学物質を用いて堆積される。堆積後、形成されたTiN層の有効仕事関数が測定され、5.25eV(300°C),5.25eV(350°C),4.97eV(425°C)であった。
【0132】
当業者により、本発明から逸脱されない範囲で種々の変更および変形が当業者によりなされうることがわかる。同様の他の変更および変形は、係属中の特許請求の範囲により規定されるような、本発明の範囲内で逸脱しないことが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
図8
図9
図10
図11