特許第5809162号(P5809162)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ユード ヴァッサーアオフベライトゥング ゲー・エム・ベー・ハーの特許一覧

<>
  • 特許5809162-水処理システム及びその操作方法 図000006
  • 特許5809162-水処理システム及びその操作方法 図000007
  • 特許5809162-水処理システム及びその操作方法 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5809162
(24)【登録日】2015年9月18日
(45)【発行日】2015年11月10日
(54)【発明の名称】水処理システム及びその操作方法
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/42 20060101AFI20151021BHJP
   B01J 47/14 20060101ALI20151021BHJP
   B01J 39/04 20060101ALI20151021BHJP
   B01J 49/00 20060101ALI20151021BHJP
【FI】
   C02F1/42 B
   C02F1/42 A
   B01J47/14
   B01J39/04
   B01J49/00 181
   B01J49/00 111
【請求項の数】12
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-543707(P2012-543707)
(86)(22)【出願日】2010年12月15日
(65)【公表番号】特表2013-514166(P2013-514166A)
(43)【公表日】2013年4月25日
(86)【国際出願番号】EP2010069720
(87)【国際公開番号】WO2011080075
(87)【国際公開日】20110707
【審査請求日】2013年12月13日
(31)【優先権主張番号】102009055007.0
(32)【優先日】2009年12月18日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510148153
【氏名又は名称】ユード ヴァッサーアオフベライトゥング ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】Judo Wasseraufbereitung GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100125254
【弁理士】
【氏名又は名称】別役 重尚
(74)【代理人】
【識別番号】100118278
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 聡
(72)【発明者】
【氏名】ソークニック ラルフ
【審査官】 目代 博茂
(56)【参考文献】
【文献】 独国特許出願公開第102007013203(DE,A1)
【文献】 特表2011−505243(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第10011692(DE,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第01002495(EP,A1)
【文献】 特開2002−153867(JP,A)
【文献】 特開2005−095322(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F1/42
B01J39/00−49/02
A47L15/00−21/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オン交換樹脂(7)を含み、カルシウムイオン及びマグネシウムイオンをナトリウムイオンと化学量論的に交換するための軟化デバイス(4)と、
導電率センサ(9)と、
電子制御デバイス(13)と、
軟化した部分の第1の流れV(t)part1soft及び原水搬送部分の第2の流れV(t)part2rawから、混合水の流れV(t)blendを混合するための自動調節可能な混合デバイスと
を有し、
前記軟水の導電率LFsoft又は前記混合水の導電率LFblendは実験的に求められる水処理システム(1)を操作する操作方法であって、
前記原水の導電率LFraw及び/又は前記原水の全硬度が、前記実験的に求められた軟水の導電率LFsoft又は前記実験的に求められた混合水の導電率LFblendから導出され、
前記実験的に求められた軟水の導電率LFsoft又は混合水の導電率LFblendから導電率LFraw及び/又は原水の全硬度を導出するときに、1個のカルシウムイオン又はマグネシウムイオンと2個のナトリウムイオンとの異なる導電率は、1つ以上の関数によって補正され
前記導出された原水の導電率LFraw及び/又は原水の全硬度は、部分流れV(t)part1soft及びV(t)part2rawの2つにおける混合比率を対応させて所望の値(SW)に調節することによって、混合水の流れV(t)blendの硬度を調節するために使用されることを特徴とする操作方法。
【請求項2】
前記原水の導電率LFrawがLFraw=UF(LFsoft)の変換関数UFにより、前記実験的に求められた軟水の導電率LFsoftから導出されることを特徴とする請求項1記載の操作方法。
【請求項3】
前記変換関数UFがLFraw=UFK×LFsoftにおいて一定の変換係数UFKとなるように選択され、0.90≦UFK≦0.99であることを特徴とする請求項2記載の操作方法。
【請求項4】
前記軟化デバイス(4)の再生運転を制御するのに用いられる前記原水の全硬度Iが、第1の較正関数K1によって前記導出された原水の導電率LFrawから導出され、
前記混合デバイスを制御するのに用いられる前記原水の全硬度IIが、第2の較正関数K2によって前記導出された原水の導電率LFrawから導出されることを特徴とする請求項2又は3記載の操作方法。
【請求項5】
前記軟化デバイス(4)の再生運転を制御するのに用いられる前記原水の全硬度Iが、第1の全較正関数GK1によって前記実験的に求められた軟水の導電率LFsoftから直接導出され、
前記混合デバイスを制御するのに用いられる前記原水の全硬度IIが、第2の全較正関数GK2によって前記実験的に求められた軟水の導電率LFsoftから直接導出されることを特徴とする請求項1記載の操作方法。
【請求項6】
前記原水の導電率LFrawが、前記実験的に求められた混合水の導電率LFblendから、次式を用いて導出され、
【数3】
具体的には、前記式がLFrawについて解かれ、
ここでUFは、前記原水の導電率LFrawが前記軟水の導電率LFsoftから、LFraw=UF(LFsoft)を用いて得られる変換関数を示し、UF−1はUFの逆関数を示すことを特徴とする請求項1記載の操作方法。
【請求項7】
前記変換関数UFがLFraw=UFK×LFsoftにおいて一定の変換係数UFKとなるように選択され、0.90≦UFK≦0.99であって、それによって
【数4】
となることを特徴とする請求項6記載の操作方法。
【請求項8】
前記軟化デバイス(4)の再生運転を制御するのに用いられる前記原水の全硬度Iが、第1の較正関数K1によって前記導出された原水の導電率LFrawから導出され、
前記混合デバイスを制御するのに用いられる前記原水の全硬度IIが、第2の較正関数K2によって前記導出された原水の導電率LFrawから導出されることを特徴とする請求項6又は7記載の操作方法。
【請求項9】
前記軟化デバイス(4)の再生運転を制御するのに用いられる前記原水の全硬度Iが、第1の重み付き全較正関数GGK1によって前記実験的に求められた混合水の導電率LFblend並びに前記2つの部分流れV(t)part1soft及びV(t)part2rawから直接導出され、
前記混合デバイスを制御するのに用いられる前記原水の全硬度IIが、第2の重み付き全較正関数GGK2によって前記実験的に求められた混合水の導電率LFblend並びに前記2つの部分流れV(t)part1soft及びV(t)part2rawから直接導出されることを特徴とする請求項1記載の操作方法。
【請求項10】
オン交換樹脂(7)を含み、カルシウムイオン及びマグネシウムイオンをナトリウムイオンと化学量論的に交換するための軟化デバイス(4)と、
導電率センサ(9)と、
電子制御デバイス(13)と、
軟化した部分の第1の流れV(t)part1soft及び原水搬送部分の第2の流れV(t)part2rawから、混合水の流れV(t)blendを混合するための自動調節可能な混合デバイスと
を有し、
前記導電率センサ(9)は、前記軟水又は前記混合水の領域に配置される水処理システム(1)であって、
前記制御デバイス(13)が、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の操作方法を行うように構成されることを特徴とする水処理システム(1)。
【請求項11】
前記電子制御デバイス(13)が、前記軟水の導電率LFsoft又は前記混合水の導電率LFblendから前記原水の導電率LFraw及び/又は前記原水の全硬度を算出するための、複数の記憶された較正関数(K1、K2)及び/又は複数の記憶された全較正関数(GK1、GK2)及び/又は複数の記憶された重み付き全較正関数(GGK1、GGK2)を有するメモリ(18)を有することを特徴とする請求項10記載の水処理システム(1)。
【請求項12】
前記部分流れV(t)part1soft及びV(t)part2rawを直接的又は間接的に実験的に求めるために、少なくとも2つの流量計(3)が存在することを特徴とする請求項10又は11記載の水処理システム(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、
オン交換樹脂を含み、カルシウムイオン及びマグネシウムイオンをナトリウムイオンと化学量論的に交換するための軟化デバイスと、
− 導電率センサと、
− 電子制御デバイスと、
− 第1の軟化した部分の流れV(t)part1soft及び第2の原水搬送部分の流れV(t)part2rawから、混合水の流れV(t)blendを混合するための自動調節可能な混合デバイスとを有する水処理システムを操作する方法に関し、軟化された水の導電率LFsoft又は混合水の導電率LFblendは実験的に求められる。
【背景技術】
【0002】
このような方法は、DE 10 2007 013 203 A1号から知られるようになった。
【0003】
従来型の給水システム(例えば飲用水道ネットワーク)によって比較的高硬度の水しか入手できないところならどこでも硬水軟化が用いられるが、技術的理由又は便宜上の理由で、より低硬度の水が望ましい。
【0004】
硬水軟化では、主としてイオン交換によって作動する軟化デバイスが使用される。それによって、水に含まれる物質であって、硬度をもたらす物質(カルシウムイオン及びマグネシウムイオン)が、イオン交換樹脂内のナトリウムイオンと交換される。イオン交換樹脂が使い尽くされたとき、例えば、塩水を用いたフラッシングによってそのイオン交換樹脂を再生する必要がある。
【0005】
技術的理由又は経済的理由のために、完全に軟化された水ではなく、適度であるが厳密に定義された水硬度を有する水が利用可能であることが、必要である又は望ましいことが多い。例えば、下流の配管設備内で保護層の形成がもはや不可能なとき、完全に軟化された水は、腐食問題をもたらす可能性がある。また、完全な軟化の場合には軟化装置の能力が迅速に失われ、早めに再生を行わなければならない。これにより塩が大量に消費され、したがって、コストが高くなる。部分的軟化を行うために、軟化された水(純水又は軟水とも称される)と原水を混合するためのデバイス(混合デバイス)が必要である。軟水と原水の混合水では、水硬度を調節し、且つ制御するのが一般に望ましい。
【0006】
DE 10 2007 059 058 B3号には、導電率センサによって原水の導電率を測定する硬水軟化システムが開示されている。再生及び混合のデバイスを制御するのに用いられる原水の全硬度は、測定した原水の導電率から、較正特性F1及びF2に基づいて導出される。
【0007】
導電率センサは廉価で、取扱いが簡単であるが、硬水の中で使用すると石灰化することがある電極を測定プローブとして使用しなければならないという短所がある。電極表面上に石灰かすの層が形成されると、導電率センサが故障する恐れがある。
【0008】
DE 100 11 692 A1号には家庭電化製品が開示されており、特に、食洗機が開示されており、その食洗機では混合弁によって原水が流されるが、一部は軟化装置を通過して流され、また一部は洗浄室の入口に直接流される。硬度を求めるための導電率センサが、入口に配置されている。
【0009】
DE 10 2007 013 203 A1号には水処理装置が開示されており、その水処理装置では、原水の質及び混合水の質を測定するための伝導性センサが入口側及び出口側に複数配置されている。混合比率は、消耗の度合いに依存して調節される。あるいは、混合比率はまた、出口側のセンサの伝導値に基づいて、直接的に規制され得る
EP 1 002 495 A1号には、プログラム制御された食洗機における、硬水軟化の方法及び再生時間を求める方法が開示されている。原水及び軟水は、原水の硬度及び軟水の硬度に基づいて混合されるが、硬度センサはこのために使用され得る。軟水の硬度が上昇すると再生が行われる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、廉価で、恒久的に信頼性のある水処理システム及びその操作方法を提供すること、具体的には再生及び混合の制御が可能である水処理システム及びその操作方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的は、最初に言及されるタイプの方法によって実現され、この方法は、原水の導電率LFraw及び/又は原水の全硬度が、実験的に求められた、軟水の導電率LFsoft又は混合水の導電率LFblendから導出される点とによって特徴づけられ、実験的に求められた軟水の導電率LFsoft又は混合水の導電率LFblendから導電率LFraw及び/又は原水の全硬度を導出するときに、1個のカルシウムイオン又は1個のマグネシウムイオンと2個のナトリウムイオンとの異なる導電率は、1つ以上の関数によって補正され、導出された原水の導電率LFraw及び/又は原水の全硬度は、部分流れV(t)part1soft及びV(t)part2rawの2つにおける混合比率を対応させて所望の値(SW)に調節することによって、混合水の流れV(t)blendの硬度を調節するために使用される点によって特徴づけられる。
【0012】
本発明によれば、同様に原水の導電率によって通常得られる原水の硬度は、導電率センサを使用して求められる。しかし、導電率センサは、水処理システム内の領域であって、原水を搬送する領域に配置される必要はなく、水処理システム内の領域であって、軟水又は混合水を搬送する領域に配置され得る。結果として導電率センサが石灰化から保護され、廉価な導電率センサの正確な動作が恒久的に保証される。
【0013】
導電率センサによって記録された導電率は、水に溶解したイオンを記録する和パラメータを表す。軟化されていない水(原水)の場合には、導電率は、水硬度、すなわちカルシウムイオン及びマグネシウムイオンの含有量にほぼ比例する。
【0014】
硬水軟化では、水に含まれる物質であって、硬度をもたらす物質(カルシウムイオン及びマグネシウムイオン)が、イオン交換樹脂内のナトリウムイオンと交換される。それによって、1つのカルシウムイオン又はマグネシウムイオンが2つのナトリウムイオンで置換され、それに応じて軟水の導電率が変化する。
【0015】
軟化された水(軟水)にはカルシウムイオン及びマグネシウムイオンが含まれていない。しかし、軟水で測定される導電率は、元の原水における物質であって、硬度をもたらす物質の含有量に比例した振る舞いをする。軟水では、硬度をもたらす物質だけがナトリウムイオンと化学量論的に交換され、他のイオンの組成及び濃度は変わらない。したがって、原水の導電率、結果的に原水の硬度は、測定された軟水の導電率から推定することができる。本発明は、このことを利用する。
【0016】
この目的のために、本発明の要旨の範囲内で、1つ又は複数の適切な関数(制御デバイスに特性線として記憶されることが多い)によって軟水の導電率の測定値から原水の導電率及び/又は原水の全硬度が導出される。1つ又は複数の関数が、一方では1つのカルシウムイオン又はマグネシウムイオンの、他方では2つのナトリウムイオンの異なる導電率を補正する。導電率が、完全に軟化された水ではなく混合水で実験的に求められる場合、補正は、2つの部分流れV(t)part1softとV(t)part2rawの割合によって重み付けする必要がある。
【0017】
本発明によれば、原水の導電率LFraw及び原水の全硬度が、通常は、あらかじめ混合水硬度を求めることなく導出されることが注目されよう。混合水硬度は、導出された原水硬度と部分流れの相対的な割合とによって算出することができる。
【0018】
軟水又は部分的に軟化された水の導電率を実験的に求めることにより、測定電極の表面を恒久的に石灰かすなしに保つことができる。結果として、導電率センサは、メンテナンスフリーで正確な測定値を常に提供する。
【0019】
本発明の好ましい変形形態
軟水の導電率が求められる変形形態
本発明の要旨の範囲内で、軟水の領域に導電率センサを配置することができる。この場合、原水の導電率又は原水硬度などの原水の特性を求めるための部分流れによる重み付けを行う必要がないので、この方法はとりわけ簡単である。原水硬度を求めるために、原水の導電率LFrawは、最初に軟水の導電率LFsoftから導出することができ、次いで、既知の較正関数を用いて、原水の導電率LFrawを原水硬度に変換することができる。あるいは、軟水の導電率LFsoftから原水硬度を直接求めることもできる。
【0020】
本発明による方法の有利な変形形態では、原水の導電率LFrawは、LFraw=UF(LFsoft)における変換関数UFにより、実験的に求められたLFsoftであって、軟水の導電率LFsoftから導出される。変換関数は、例えば、特性線、多項式関数、又は値の表として、電子制御デバイスに記憶することができる。原水の全硬度は、既知の較正関数によって原水の導電率から容易に求めることができ、様々な制御態様に対して、様々な較正関数を容易に適用することができる。
【0021】
この変形形態の更なる発展形態が特に好ましく、その発展形態によれば、変換関数UFは、LFraw=UFK×LFsoftにおける一定の変換係数UFKとなるように選択され、0.90≦UFK≦0.99であり、好ましくは0.93≦UFK≦0.97である。軟化、すなわち、硬度をもたらす物質であるカルシウムイオン及びマグネシウムイオンとナトリウムイオンとの化学量論的交換において、導電率がわずかに増加する。様々な水に関する研究により、軟化の結果としての導電率の増加率は、水質とは無関係に約5%とほぼ一定であって、約0.95のUFKに相当し、好ましい値を表すことが明らかになった。この更なる発展形態では、原水の導電率LFrawを求めるための算術演算を、かなり簡易化することができる。
【0022】
上記の変形形態の別の更なる発展形態によれば、軟化デバイスの再生運転を制御するのに用いられる原水の全硬度Iが、導出された原水の導電率LFrawから第1の較正関数K1によって導出され、且つ混合デバイスを制御するのに用いられる原水の全硬度IIが、導出された原水の導電率LFrawから第2の較正関数K2によって導出される。
【0023】
2つの較正関数K1及びK2は、記録された導電率が、水に溶解したすべてのイオンを記録する和パラメータを表し、導電率が、水硬度、すなわちカルシウムイオン及びマグネシウムイオンの含有量に、単に、ほぼ比例するという事実を考慮に入れている。
【0024】
第1の較正関数K1(較正曲線又は較正特性線として主に制御デバイスに記憶される)は、好ましくは、第1の較正関数K1から求めた水硬度が、その導電率で生じる最大の水硬度の少なくとも優れた近似に相当するものと定義される。これによって、再生運転の開始が遅れすぎることを回避でき、硬度漏れを確実に回避できる。第1の較正関数K1は、通常、°dH当たり28〜35μS/cm、具体的には、°dH当たり30〜33μS/cmの較正を用いる(°dHはドイツ硬度である)。
【0025】
第2の較正関数K2(同様に、較正曲線又は較正特性線として主に制御デバイスに記憶される)から求める水硬度は、好ましくは、その導電率で生じるすべての水硬度の平均として得られる。この第2の較正関数を用いると、導電率から求められた原水の硬度と原水の実際の硬度との間に、より優れた一致を得ることができる。また、混合水の水硬度の調節又は制御が、それに応じてより正確になる。第2の較正関数K2は、一般に、°dH当たり35〜44μS/cm、具体的には、°dH当たり38〜41μS/cmの較正を用いる。
【0026】
2つの較正関数を用いることにより、正確な混合が保証され、同時に、硬度漏れを確実に回避できる。
【0027】
K1とK2は、好ましくは異なるものであり、具体的には、第1の較正関数K1から導出された全硬度Iが、第2の較正関数K2から導出された全硬度IIより少なくとも区分的に大きい。再生運転及び混合デバイスを制御するのに用いられる原水硬度は、測定された導電率から近似的にのみ求められ得る。再生運転及び混合デバイスには別の諸要件が適用され、これらは、規格DIN EN 14743及び規格DIN 19636−100に規定されている。別々の較正関数を用いることにより、原水の全硬度に関する2つの近似値が得られる。一方の近似値を用いると、硬度漏れが回避され、同時に、用いる再生塩1キログラム当たり4mol(400gのCaCO)という規格DIN EN 14763に指定された最小限の交換容量が観測されるように再生運転を制御することができ、第2の近似値では、混合デバイスが、混合水に関して規格DIN 19636−100に規定された許容限度を満たすように正確に制御される。
【0028】
本発明による方法の変形形態の同様に有利な点は、軟化デバイスの再生運転を制御するのに用いられる原水の全硬度Iが、実験的に求められた軟水の導電率LFsoftから、第1の全較正関数GK1によって直接導出されること、及び混合デバイスを制御するのに用いられる原水の全硬度IIが、実験的に求められた軟水の導電率LFsoftから、第2の全較正関数GK2によって直接求められることによって特徴づけられる。前述のように、2つの全較正関数GK1及びGK2を用いることにより、正確な混合を保証して、同時に、硬度漏れを確実に回避することができる。中間的に原水導電率を求めることなく、原水硬度を直接求めると、特に迅速になる。全較正関数は、具体的には変換関数と較正関数の組合せに相当するか、又は実験的に求めた値を直接割り当てることもできる。GK1とGK2は、好ましくは異なるものであり、具体的には、第1の全較正関数GK1から導出した全硬度Iが、第2の全較正関数GK2から導出した全硬度IIより少なくとも区分的に大きい。
【0029】
混合水の導電率を求める変形形態
本発明の要旨の範囲内で、原水の導電率LFrawは、一般に、部分流れV(t)part1softとV(t)part2rawの比を考慮に入れて混合水の導電率LFblendから求めることもできる。混合水に含まれる軟水の導電率LFsoftの正確な変換が、部分流れによる重み付けをされながら、ここで行なわれ得る。あるいは、原水の導電率LFrawは、混合水の導電率LFblendに乗数を適用することにより、簡易化したやり方で求めることもでき、この乗数は、部分流れに依存し、原水含有量の増加とともに増加し、通常は、原水含有量が0%であると乗数は約0.95(又は、局所的条件により、0.90から0.99の範囲、好ましくは0.93から0.97の範囲の別の値)であり、原水含有量が100%であると乗数は1であって、乗数の中間値は直線的に補間される。本発明の要旨の範囲内で、他の近似も可能である。次いで、既知の較正関数によって、(近似的に)求められた原水の導電率LFrawから、簡単なやり方で原水硬度を求める(算出する)ことができる。原水硬度は、一般に、部分流れV(t)part1softとV(t)part2rawの比を考慮に入れて、混合水の導電率LFblendから直接求めることもできる。
【0030】
本発明による方法の好ましい変形形態では、原水の導電率LFrawは、実験的に求められた混合水の導電率LFblendから次式を用いて導出され、
【0031】
【数1】
【0032】
具体的には、この式がLFrawについて解かれ、UFは変換関数を示し、UFを用いて、軟水の導電率LFsoftから原水の導電率LFrawが得られ、LFraw=UF(LFsoft)であり、UF−1は、UFの逆関数を示す。この式により、(相対的)部分流れを考慮に入れて原水の導電率LFrawの割出しを非常に正確に行うことができる。変換関数の逆関数UF−1を用いて、軟水の導電率LFsoftは、式UF−1(LFraw)=LFsoftによって置換することができる。特に、この式をLFrawについて解くのが困難なとき、必要に応じて、LFrawの割出しを数値的に行うこともできる。(相対的)部分流れは、流量計によって直接的もしくは間接的に求めるか、又は混合デバイスの調節位置によって評価することができる。
【0033】
上記方法の変形形態の特に好ましい更なる発展形態では、変換関数UFが、一定の変換係数UFKとなるように選択され、LFraw=UFK×LFsoftであって、0.90≦UFK≦0.99であり、好ましくは0.93≦UFK≦0.97であって、それによって次式となる。
【0034】
【数2】
【0035】
一定の変換係数を用いるとLFrawの割出しが容易になり、具体的には、上記の式をLFrawについて容易に解くことができる。
【0036】
同様に好ましい更なる発展形態は、軟化デバイスの再生運転を制御するのに用いられる原水の全硬度Iが、導出された原水の導電率LFrawから、第1の較正関数K1によって導出され、混合デバイスを制御するのに用いられる原水の全硬度IIが、導出された原水の導電率LFrawから、第2の較正関数K2によって導出されることを特徴とする。2つの較正関数K1及びK2を用いることにより、既に上記で説明されたように、正確な混合が保証され得て、同時に硬度漏れが確実に回避される。K1とK2は、好ましくは異なるものであり、具体的には、第1の較正関数K1から導出した全硬度Iが、第2の較正関数K2から導出した全硬度IIより、少なくとも区分的に大きい。
【0037】
方法の変形形態の同様に好ましい点は、軟化デバイスの再生運転を制御するのに用いられる原水の全硬度Iが、実験的に求められた混合水の導電率LFblend並びに2つの部分流れV(t)part1soft及びV(t)part2rawから、第1の重み付き全較正関数GGK1によって直接導出され、混合デバイスを制御するのに用いられる原水の全硬度IIが、実験的に求められた混合水の導電率LFblend並びに2つの部分流れV(t)part1soft及びV(t)part2rawら直接導出されることである。前述のように、2つの重み付き全較正関数GGK1及びGGK2を用いることにより、正確な混合を保証して、同時に、硬度漏れを確実に回避することができる。中間的に原水導電率を求めることなく、原水硬度を直接求めると、特に迅速になる。GGK1とGGK2は、好ましくは異なるものであり、具体的には、第1の重み付き全較正関数GGK1から導出された全硬度Iが、第2の重み付き全較正関数GGK2から導出した全硬度IIより少なくとも区分的に大きい。重み付き全較正関数は、具体的にはLFrawを求めるための上記の式(変換関数又はその逆関数を用いる)と較正関数の組合せに相当するか、又は実験的に求めた値を直接割り当てることもできる。
【0038】
本発明による水処理システム
本発明は、
オン交換樹脂を含み、カルシウムイオン及びマグネシウムイオンをナトリウムイオンと化学量論的に交換するための軟化デバイスと、
− 導電率センサと、
− 電子制御デバイスと、
− 軟化した部分の第1の流れV(t)part1soft及び原水搬送部分の第2の流れV(t)part2rawから、混合水の流れV(t)blendを混合するための自動調節可能な混合デバイスとを有し、導電率センサは、軟水又は混合水の領域に配置される水処理システムであって、制御デバイスは、本発明による前述の方法を行うように構成されることを特徴とする水処理システムも提供する。本発明による水処理システムは、装置に関して簡単な構造である。導電率センサが石灰化されることはあり得ず、メンテナンスフリーである。定期的な脱石灰化は不要である。制御デバイスは、例えば変換関数UF又は較正関数といった、運転方法を行うのに必要な関数をすべて記憶することができる。
【0039】
本発明による水処理システムの好ましい実施形態では、電子制御デバイスは、軟水の導電率LFsoft又は混合水の導電率LFblendから原水の導電率LFraw及び/又は原水の全硬度を算出するための、複数の記憶された較正関数(K1、K2)及び/又は複数の記憶された全較正関数(GK1、GK2)及び/又は複数の記憶された重み付き全較正関数(GGK1、GGK2)を備えるメモリを有する。前述の複数の関数を記憶すると、様々な原水硬度に基づく再生の制御及び混合の制御が可能になり、したがって、早めに再生を行い、同時に混合精度を向上することが確実に可能になる。
【0040】
同様に、部分流れV(t)part1soft及びV(t)part2rawを直接的又は間接的に実験的に求めるために、少なくとも2つの流量計が存在する実施形態が好ましい。とりわけ、導電率センサが混合水の中に配置されると、部分流れの正確な重み付けを行うことができるので、結果として、混合及び再生の制御が特に正確に行われ得る。あるいは、混合デバイスの位置調節についての知見により、部分流れの相対的割合を評価することができる。
【0041】
発明による前述の水処理システムは、前述の方法における本発明による前述の水処理システムの使用法によって使用され得る
【0042】
説明及び図面から、本発明の更なる利点が明らかになるであろう。同様に、前述の特徴及び以下で説明される特徴は、本発明に従って、それぞれの場合で個々に、又は任意の所望の組合せで用いることができる。示されて説明される実施形態は、網羅的リストとして理解されるべきではなく、むしろ、本発明を説明するための例示的性質である。
【0043】
本発明は、図面で示され、また、例示的実施形態によって詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】本発明による水処理システムの概略構造を示す図である。
図2】様々な飲料水の場合における、軟化後に測定された導電率(LFsoft)に応じて測定された、原水の導電率(LFraw)をグラフに示した図である。
図3】様々な飲料水の場合における、滴定法で求めた原水の全硬度に応じて測定された、原水の導電率(LFraw)をグラフに示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図1は、一例として本発明による水処理システム1を示しており、水処理システム1は、入口2を通って、例えば飲用水道ネットワークなどの局所的給水システムに接続される。入口2に流れる(全)原水流れV(t)rawは、最初に流量計3を通り、次いで2つの部分流れに分かれる。
【0046】
(全)原水流れV(t)rawの第1の部分は軟化デバイス4へと流れ、軟化デバイス4は、特に、制御ヘッド5と、イオン交換樹脂7を含む2つのタンク6a、6bとを有する。第2の部分は、バイパスライン8に流れ込む。
【0047】
軟化デバイス4に流れ込む原水は、イオン交換樹脂7を含む2つのタンク6a、6bを通って流れて完全に軟化される(V(t)part1soft)。それによって、硬度をもたらす物質であるカルシウムイオン及びマグネシウムイオンが、ナトリウムイオンと化学量論的に交換される。次いで、この軟水が導電率センサ9を通って流れ、その導電率センサ9を用いて、軟化された部分流れの導電率が求められる。
【0048】
バイパスライン8における原水の第2の部分V(t)part2rawは、混合弁11をサーボモータ10によって調節することができる自動混合デバイスを通る。
【0049】
第1の部分流れV(t)part1softと第2の部分流れV(t)part2rawは、最終的に混ぜ合わせられて、混合水の流れV(t)blendを形成し、これが出口12へと流れる。出口12は、例えば建屋の真水補給ラインである下流水設備に接続される。
【0050】
導電率センサ9及び流量計3の測定結果は、電子制御デバイス13に伝送される。
【0051】
制御デバイス13は、本発明による特別な特徴として、(ここでは)複数の関数(好ましくは特性線として記憶される)のためのメモリ18を有し、これらの関数を用いると、軟水流れV(t)part1softにおける導電率センサ9の測定結果から、原水の瞬間水硬度WHrawinstが求められる。これらの関数は、軟化した部分流れV(t)part1softではカルシウムイオン及びマグネシウムイオンが化学量論的に交換されていること、すなわち、それぞれの場合において、硬度をもたらす物質の1つが2つのナトリウムイオンと交換されており、結果として、特に、導電率が変化したという事実を考慮に入れる。この例示的実施形態では、変換関数UFが制御デバイス13又はメモリ18に記憶され、これを用いて、測定された軟水の導電率LFsoftが、関連する原水の導電率LFrawに変換される。2つの較正関数K1及びK2はさらに記憶され、これによって、原水の導電率LFrawが、(較正関数K1によって)再生を制御するために、また(較正関数K2によって)混合を制御するために、原水硬度に変換され得る。
【0052】
混合水の水硬度の所望の目標値(SW)が、同様に制御デバイスに記憶される。制御デバイス13は、混合水硬度の目標値(SW)及び原水内の瞬間水硬度WHrawinstから、部分流れのV(t)part1softとV(t)part2rawとの瞬間目標比を求め、これによって混合水の所望の水硬度が得られる。2つの部分流れV(t)part1softとV(t)part2rawの割合は、混合デバイスを調節することによって確立される。示された例示的実施形態では、部分流れの相対的な割合は、混合弁11の(既知の)調節位置から評価され、あるいは、第2の部分流れV(t)part2rawを直接求めることができ、(全)V(t)rawとV(t)part2rawとの間の差として第1の部分流れV(t)part1softを間接的に求めることができるように、例えばバイパスライン8に、更なる流量計を設けることもできる。
【0053】
電子制御デバイス13は、2つのタンク6a、6bにおけるイオン交換樹脂7の消耗状態も監視する。水が除去されたとき、除去された水の量が、それぞれの場合において、関連する瞬間原水硬度をで重み付けされ、現行の残留容量から減じられる。タンクが空になると、電子制御デバイス13は、空になったタンクをネットワークから除去して再生を受けさせる。その目的のために、電子制御デバイス13が、サーボモータ15を有する再生弁14を自動的に作動させ、その結果、再生剤溶液(好ましくは塩水)16が貯蔵容器17から空になったタンクを通って流れる。
【0054】
図2は、様々な飲料水の場合における、関連する測定された軟水の導電率LFsoftに応じて、測定された、原水の導電率LFrawをグラフに示した図である。
【0055】
図2のグラフを作成するために、様々な給水ネットワークからの飲料水が試験され、導電率が実験的に求められた。次いで、飲料水は、本発明による水処理システム1を用いて完全に軟化され、軟水の導電率が再び実験的に求められた。
【0056】
図2は、軟化の結果として軟水の導電率LFsoftがわずかに増加し、また、すべての水試料に関して、原水の導電率LFrawの、軟水の導電率LFsoftに対する比F1が、近似的にF1=LFraw/LFsoft=0.95であることを示す。このことにより、値F1の直線の傾斜を有する変換関数UFにおいて優れた近似がもたらされ、すなわち、変換関数UFはLFraw=UFK×LFsoftに従う一定の変換係数UFK=F1を有する。すべての実験値が、2つの破線によって境界をつけられた小幅の範囲内にある。下側の破線は0.90の傾斜を有し、上側の破線の傾斜は0.99である。
【0057】
したがって、軟水の導電率のわずかな増加は、2価の電荷担体(カルシウムイオン及びマグネシウムイオン)が、それぞれの場合において2つの1価の電荷担体と交換されたという事実によるものである。
【0058】
原水の導電率と軟水の導電率の間にほぼ線形の関係があるので、本発明により、実験的に求めた軟水の導電率から、簡単な特性線として表すことができる変換関数UFによって、原水の導電率を優れた近似で求めることができる。
【0059】
軟水で用いられる導電率センサの動作は、石灰かすの堆積によって損なわれる恐れがなく、その結果メンテナンスフリー運転が可能である。
【0060】
図3は、様々な飲料水の場合における、滴定法で求めた原水の全硬度に応じて測定された、原水の導電率LFrawをグラフに示した図である。
【0061】
図3については、ドイツ連邦共和国の約300の別々の飲料水が試験され、導電率及び全硬度が求められた。導電率は導電率計で測定され、全硬度は滴定法で求められた。
【0062】
滴定法で求める方法とは対照的に、導電率からの全硬度の導出は迅速且つ簡単に行うことができ、したがって、硬水軟化システムを制御するのに広く用いられる。しかし、図3では、一般に、水の導電率から推定することができるのは、正確な硬度値ではなく、水硬度が実際に存在するはずの範囲でしかないことが理解されよう。
【0063】
再生運転及び混合デバイスには別の諸要件が適用され、これらは、規格DIN EN 14743及び規格DIN 19636−100に規定されている。別々の較正関数K1およびK2(ここでは較正特性線)を用いることにより、原水の全硬度に対する2つの別々の近似値が、原水の導電率LFrawの関数として得られる。一方の近似値を用いると、硬度漏れが回避され、同時に、用いる再生塩1キログラム当たり4mol(400gのCaCO)という、規格DIN EN 14763に指定された最小限の交換容量が観測されるように再生運転を制御することができ、第2の近似値では、混合デバイスが、混合水に関して、規格DIN 19636−100に規定された許容限度を満たすように正確に制御される。
【0064】
図3で、K1は、約31μS/cm°dHの傾斜を有して原点を通る直線であり、K2は、約39μS/cm°dHの傾斜を有して同様に原点を通る直線である。
【0065】
原水の導電率は、図2に従って、(ここでは線形の)変換関数UFを使って、実験的に求められた軟水の導電率から導出される。次いで、原水の全硬度I及びIIが、図3に従って、較正関数K1及びK2を使って原水の導電率から導出される。原水の全硬度I及びIIも、変換関数UFと較正関数K1及びK2とを組み合わせることにより、測定された軟水の導電率LFsoftから直接導出することができる。
【0066】
導電率LFが、完全に軟化された水ではなく混合水で実験的に求められる場合、変換関数UFは、2つの部分流れの割合によって重み付けする必要がある。
【0067】
例における変換関数UF並びに較正関数K1及びK2は直線として延びており、それによって関数の数学的な説明が容易になることが注目されよう。しかし、全硬度I及びIIを求めるのに、本発明により、原理上は非線形の関数も考えることができ、これらは例えば多項式として近似される。
図1
図2
図3