特許第5809170号(P5809170)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ウイスコ レーザーテクニク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングの特許一覧 ▶ ウイスコ テイラード ブランクス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングの特許一覧

特許5809170バンドを互いにそれらの縦縁に沿って接合するように案内するための装置及び方法
<>
  • 特許5809170-バンドを互いにそれらの縦縁に沿って接合するように案内するための装置及び方法 図000002
  • 特許5809170-バンドを互いにそれらの縦縁に沿って接合するように案内するための装置及び方法 図000003
  • 特許5809170-バンドを互いにそれらの縦縁に沿って接合するように案内するための装置及び方法 図000004
  • 特許5809170-バンドを互いにそれらの縦縁に沿って接合するように案内するための装置及び方法 図000005
  • 特許5809170-バンドを互いにそれらの縦縁に沿って接合するように案内するための装置及び方法 図000006
  • 特許5809170-バンドを互いにそれらの縦縁に沿って接合するように案内するための装置及び方法 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5809170
(24)【登録日】2015年9月18日
(45)【発行日】2015年11月10日
(54)【発明の名称】バンドを互いにそれらの縦縁に沿って接合するように案内するための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 37/04 20060101AFI20151021BHJP
   B23K 13/02 20060101ALI20151021BHJP
   B23K 26/21 20140101ALI20151021BHJP
【FI】
   B23K37/04 E
   B23K13/02
   B23K26/21 P
【請求項の数】11
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-550350(P2012-550350)
(86)(22)【出願日】2010年12月23日
(65)【公表番号】特表2013-517945(P2013-517945A)
(43)【公表日】2013年5月20日
(86)【国際出願番号】EP2010070685
(87)【国際公開番号】WO2011088951
(87)【国際公開日】20110728
【審査請求日】2013年11月15日
(31)【優先権主張番号】102010005758.4
(32)【優先日】2010年1月25日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】512194330
【氏名又は名称】ウイスコ レーザーテクニク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】WISCO Lasertechnik GmbH
(73)【特許権者】
【識別番号】511135787
【氏名又は名称】ウイスコ テイラード ブランクス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】WISCO Tailored Blanks GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100095614
【弁理士】
【氏名又は名称】越川 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】マルティン レツバッハ
(72)【発明者】
【氏名】ステファン ウイッシュマン
(72)【発明者】
【氏名】イェンス プルハ
(72)【発明者】
【氏名】ウォルター ミュールハウス
【審査官】 青木 正博
(56)【参考文献】
【文献】 特公平06−013153(JP,B2)
【文献】 特開2003−001874(JP,A)
【文献】 特開2002−307768(JP,A)
【文献】 独国特許発明第04022062(DE,C1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00−26/70
B23K 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バンド(5、6)をそれらの縦縁(7、8)に沿って互いに接合するように案内するための装置であって、前記バンドの少なくとも1つのための互いにずらして配置された少なくとも2つの偏向ローラ(1、3;2、4;1’、3;2’、4)を備える装置において、接合位置(P)のより近くにある偏向ローラ(3、4)は、前記バンドの接合すべき縦縁(7、8)の方向に先細である円錐ローラとして構成され、前記バンドの進行方向のこの円錐ローラ(3、4)の上流に配置された偏向ローラ(1、2)は、同様に円錐ローラとして又は円柱状の外側面を有する偏向ローラ(1’、2’)として構成され、かつ最後に述べた偏向ローラ(1、2)は、バンド(5、6)の他方の縦縁(10、11)の方向に先細であるか、又は円柱状の外側面を有する偏向ローラ(1’、2’)の回転軸は、バンド(5、6)の接合すべき縦縁(7、8)の反対の縁側(14、15)で、バンド(5、6)の進行方向の下流に配置された円錐ローラ(3、4)の回転軸に空間的に接近していることを特徴とする装置。
【請求項2】
偏向ローラ(1、2;1’、2’)の少なくとも1つは、軸方向に可動に制御可能な偏向ローラ又は円錐ローラとして構成されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
接合位置(P)のより近くにある円錐ローラ(3、4)は、高さ可動の円錐ローラとして構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
互いに接合すべきバンド(5、6)の第2バンド(5又は6)のための互いにずらして配置された少なくとも2つのさらなる偏向ローラ(1、3又は2、4;1’、3又は2’、4)が存在し、接合位置(P)のより近くにある偏向ローラ(3又は4)は、前記第2バンドの接合すべき縦縁の方向に先細である円錐ローラとして構成され、この円錐ローラ(3又は4)の前記第2バンドの進行方向の上流に配置された偏向ローラ(1、1’又は2、2’)は、同様に円錐ローラ(1又は2)として、又は円柱状の外側面を有する偏向ローラ(1’又は2’)として構成され、かつ最後に述べたこの偏向ローラ(1又は2)は、第2バンド(5;6)の他方の縦縁(10又は11)の方向に先細であるか、又は円柱状の外側面を有する偏向ローラ(1’又は2’)の回転軸は、第2バンド(5;6)の接合すべき縦縁(7;8)の反対の縁側(14;15)で、第2バンド(5;6)の進行方向の下流に配置された円錐ローラ(3;4)の回転軸に空間的に接近していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
接合位置(P)のより近くにある円錐ローラ(3、4)の外側面は、共通面(12)内にあることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
互いに接合すべきバンド(5、6)の進行方向の接合位置(P)のより近くにある円錐ローラ(3、4)の下流に、互いに高さ調整可能なテンションローラが配置されていることを特徴とする請求項4又は5に記載の装置。
【請求項7】
バンド(5、6)をそれらの縦縁(7、8)に沿って互いに接合するように案内する方法であって、互いに間隔を空けて進むバンドを偏向ローラを介して接合位置(P)に案内する方法において、円錐ローラ(1、2)又は円柱状の外側面を有する偏向ローラ(1’、2’)を用いて、バンド(5、6)の少なくとも1つを、それが他のバンドの方へ進み、かつこの他のバンドと、くさび形接合角(β)を規定するように偏向させ、次にこの偏向されたバンド(5、6)を、バンド(5、6)の接合すべき縦縁(7、8)の方向に先細である円錐ローラ(3、4)を用いて、接合すべきバンド(5、6)がそれらの縦縁(7、8)に沿って触れてから互いに平行に進むように偏向させることを特徴とする方法。
【請求項8】
バンド(5、6)を、いずれの場合も円錐ローラ(1、2)又は円柱状の外側面を有する偏向ローラ(1’、2’)を用いて、バンド(5、6)が他のバンド(5又は6)の方へ進み、かつ一緒にくさび形接合角(β)を規定するように偏向させ、次にこの偏向されたバンドを、いずれの場合もそれぞれのバンドの接合すべき縦縁(7、8)の方向に先細である円錐ローラ(3、4)を用いて、接合すべきバンド(5、6)がそれらの縦縁(7、8)に沿って触れてから互いに平行に進むように偏向させることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
接合位置(P)のより近くにある1つ又は複数の円錐ローラ(3、4)に対して、1つ又は複数の偏向ローラ(1、2;1’、2’)を半径方向、特に水平方向に動かすことによって、接合角(β)を調整することを特徴とする請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
偏向ローラ及び/又は円錐ローラ(1、2、3、4;1’、2’、3、4)上のバンド(5、6)のラップ角(α)を変えることによって、接合角(β)を調整することを特徴とする請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
バンド(5、6)の隣接する縦縁(7、8)において、円錐ローラ(1、2)の位置を次の円錐ローラ(3、4)に対して変えることによって、規定力を調整することを特徴とする請求項9又は10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バンドを互いにそれらの縦縁に沿って接合するように案内するための装置であって、バンドの少なくとも1つのための互いにずらして配置された少なくとも2つの偏向ローラを備える装置に関する。特に、本発明は、バンドを互いにそれらの縦縁に沿って接合するように案内する方法であって、互いに間隔を空けて実質的に平行に進むバンドを偏向ローラを介して接合位置に案内する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
接合システム、特に不連続又は連続バンドを製造するための溶接システムについてのバンドの案内では、一般に、それらの縦縁に沿って互いに接合すべきバンド(接合相手)間にくさび形の接合角(供給角)を作り出し、引き続き接合点の後方で縦縁の平行性を伴う方法に関して要望が存在する。
【0003】
バンドを案内するための種々の装置が知られており、これらの装置では、異なる厚さ、幅及び/又は材料品質のフラットバンドをそれらの縦縁に沿って縁間溶接して不連続又は連続バンドを形成することができる。
【0004】
バンドの制御された案内及びバンドの縦縁に沿ったバンドの突き合わせ溶接のための装置は、特許文献1から知られており、各バンド用の軸方向に可動に制御可能な偏向ローラを有し、そのうちの溶接位置前のバンドの進行方向の最後の偏向ローラは、偏向ローラを介して案内されたバンドが、それらの縦縁と共に、溶接のために互いに望ましい位置にあり、かつ同じ垂直面に位置する程度まで互いにそれらの平行軸で高さ調整可能である。溶接点前の最後の偏向ローラは、それらの対向する端面間に間隔が残る程度まで互いに横方向にずれており、レーザ溶接機構の溶接ビームが最後の偏向ローラ間の溶接位置に向けられる。これらの最後の偏向ローラの1つは、その高さ位置に対して移動可能に取り付けられ、他方の偏向ローラはその軸方向に対して移動可能に取り付けられている。
【0005】
スチールバンドを案内するため及びそれらの縦縁に沿ってレーザ溶接によって連続突き合わせ接合するための装置が特許文献2に開示されている。この場合、2つのスチールバンドは、同一輸送面にくさび形接合角又は供給角を形成しながら互いに接近し、互いに接合すべきそれらの縦縁は、接触点から先へ隙間なし、かつ重なりなしで互いに支えられるように案内される。このために、2つの各バンド用の装置は、溶接位置の前に、共通の輸送面を規定する複数の輸送ローラを有する。さらに、第1の水平案内要素が設けられ、その上に2つのバンドの第1バンドが、溶接すべきその縦縁とともに置かれ、この第1バンドは、溶接位置を通って進む軸上へ、バンドの溶接されない外側の縦縁を押し付けるさらなる(第1)水平案内要素によって案内される。2つのバンドの接触点のすぐ前で、他方又は第2バンドの溶接すべき縦縁は、第2バンドの溶接されない外側の縦縁を押しつけるさらなる又は第2水平案内要素によって、第1バンドの溶接すべき縦縁に押しつけられる。さらに、2つのバンドの接触点前の最後の輸送ローラの少なくとも1つを、バンドを他方のバンドに向けるためにバンドの進行方向に対して斜めに向けることができる。
【0006】
比較的厚いバンド及び/又は高強度若しくは極高強度品質のバンドをそれらの縦縁に沿って互いに連続的に突き合わせ溶接して、不連続又は連続バンドを形成する場合、一般的にバンドの少なくとも1つの塑性変形、ひいては機械的特性に望ましくない変化なしではくさび形接合角(供給角)を調整できず;このことは特に、特許文献2から知られる装置に当てはまる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】独国特許第4022062(C1)号明細書(DE 40 22 062 C1)
【特許文献2】特開平11−285874号公報(JP 11285874 A)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、比較的厚いバンド及び/又は高強度品質のバンドを接合するときでさえ、プロセス中にバンドの1つが塑性変形することなく、必要なくさび形接合角(開口角)を作り出せるようにする、最初に述べたタイプの装置及び方法を開示することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するため、請求項1の特徴を有する装置を提案する。本発明の装置は、バンドの少なくとも1つのための互いにずらして配置された少なくとも2つの偏向ローラを有し、接合位置のより近くにある偏向ローラは、円錐ローラとして構成され、バンドの接合すべき縦縁の方向に先細であり、この円錐ローラのバンドの進行方向の上流に配置された偏向ローラは、同様に円錐ローラとして又は円柱状の外側面を有する偏向ローラとして構成されており、この最後に述べた円錐ローラはバンドの他方の縦縁の方向に先細であるか又は円柱状の外側面を有する偏向ローラの回転軸は、接合すべき縦縁の反対縁側で、バンドの進行方向の下流に配置された円錐ローラの回転軸に空間的に接近している。
【0010】
少なくとも1つの円錐ローラを用いたこのローラ配置によって、比較的厚いバンド及び/又は高強度品質のバンドを接合するときにも、バンドの1つに塑性変形が起こることなく、必要なくさび形接合角(開口角)を作り出すことができる。
【0011】
本発明の装置の有利な構成は、偏向ローラの少なくとも1つが軸方向に可動に制御可能な偏向ローラ又は円錐ローラとして構成され、その結果、それが実質的に半径方向、特に水平方向に移動可能なことである。円錐ローラとして又は円柱状外側面を有するように構成されている偏向ローラの対応する移動又は空間位置の変化によって、偏向ローラ上のバンドのラップ角が変更又は調整される。結果として、互いに結合すべきバンド間のくさび形接合角を同時に調整することができる。
【0012】
本発明の装置のさらに好ましい構成は、接合位置のより近くにある円錐ローラが高さ可動円錐ローラとして構成されることを条件とする。異なる厚さのバンドを接合する場合、この構成は厚さ変化の位置を自由に選択できるようにする。
【0013】
2つのバンドの縦縁に沿って接合すべき2つのバンドをいずれの場合も同じ様式で案内するのが好ましい。従って、本発明の装置は、好ましくは互いに接合すべきバンドの第2バンドのための互いにずらして配置された少なくとも2つのさらなる偏向ローラを含み、接合位置のより近くにある偏向ローラは、円錐ローラとして構成され、第2バンドの接合すべき縦縁の方向に先細であり、この円錐ローラの第2バンドの進行方向の上流に配置された偏向ローラは、同様に円錐ローラとして又は円柱状の外側面を有する偏向ローラとして構成され、かつこの最後に述べた円錐ローラは、第2バンドの他方の縦縁の方向に先細であるか、又は円柱状の外側面を有する偏向ローラの回転軸は、第2バンドの接合すべき縦縁の反対の縁側で、第2バンドの進行方向の下流に配置された円錐ローラの回転軸に空間的に接近している。
【0014】
方法に関しては、請求項7の特徴を有する方法によって上記目的が達成される。本発明の装置によれば、互いに間隔を空けて実質的に平行に進むバンドを偏向ローラを介して接合位置に案内する本発明の方法は、円錐ローラ又は円柱状の外側面を有する偏向ローラを用いて、バンドの少なくとも1つを、それが他のバンドに向かって進み、かつこの他のバンドと、くさび形接合角を規定するように偏向させ、次にこの偏向されたバンドを、バンドの接合すべき縦縁の方向に先細である円錐ローラを用いて、接合すべきバンドがそれらの縦縁に沿って触れてから互いに平行に進むように偏向させることを特徴とする。必要ならば、特にバンドの不正確さを補うため、バンドの前位置決めを行ってもよい。
【0015】
好ましくはバンドを、いずれの場合も円錐ローラ又は円柱状の外側面を有する偏向ローラを用いて、バンドが他のバンドの方へ進み、かつ一緒にくさび形接合角を規定するよう偏向させ、次にこの偏向されたバンドを、いずれの場合もそれぞれのバンドの接合すべき縦縁の方向に先細である円錐ローラを用いて、接合すべきバンドがそれらの縦縁に沿って触れてから互いに平行に進むように偏向させる。
【0016】
レーザを用いて溶接を行う場合、確実に技術的ゼロギャップが存在するようにしなければならない。或いは、高周波数を利用して溶接を行うこともできる。しかしながら、このためには、溶接すべき縦縁の接触点に規定力を加えて、結合すべき縁の完全な材料結合を確保しなければならない。必要に応じて、かつ特に、接合すべき材料に適合するように、加えるべき規定力を決定することができる。規定力は最大限で、室温で溶接すべき材料の降伏強さに相当し、リアルゼロギャップを確保するためには、温度が上昇するにつれて熱の影響を受けるゾーンの降伏強さが低減することに注意しなければならない。
【0017】
本発明の方法では、接合位置のより近くにある円錐ローラ(複数可)に対する偏向ローラ(複数可)の半径方向、特に水平方向の移動よってくさび形接合角を調整することができる。
【0018】
従って、本発明のバンド案内は、くさび形接合により区別される。特に、本バンド案内は、接合角を調整する可能性を提供する。さらに、直線状の接合縁とは無関係に本発明のバンド案内を利用することができる。
【0019】
本発明の装置又は本発明の方法のさらなる好ましい構成及び有利な構成は、従属請求項に開示されている。
【0020】
張力をかけずにバンドを案内することができ、又はバンドに張力を加えてもよい。
【0021】
以下、複数の実施形態を示す図面の助けを借りて本発明をさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】バンドをそれらの縦縁に沿って互いに接合するように案内するための2対の円錐ローラを備える本発明の装置の第1実施形態を示す側面図である。
図2図1の装置を示す正面図である。
図3図1の装置を示す正面斜視図である。
図4図1に示す調整に比べてそれぞれのラップ角が大きくなるように、下側円錐ローラが上側円錐ローラに対して移動している、図1の装置の側面図である。
図5図4の調整を備える装置の正面図である。
図6】バンドを案内してそれらの縦縁に沿って互いに接合するための2つの円柱状の偏向ローラと、バンドが進む方向で次に来る2つの円錐ローラとを備える本発明の装置のさらなる実施形態の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1〜5に示す装置は、互いにずらして、好ましくは高さに関してずらして配置されている偏向ローラ1、2、3、4を含み、これらは、バンド5、6を案内して、それらの縦縁7、8に沿って隣接縁間を互いに接合させる。バンド5、6はフラット、すなわち実質的に二次元の金属バンド、例えばスチール又はアルミニウムバンドである。バンド5、6は、異なる厚さ、幅及び/又は材料品質を有してもよい。図5は、例として、異なる厚さのバンド5、6を示している。
【0024】
バンド5、6は、一般的に巻き取りステーション(図示せず)のコイルから繰り出され、偏向ローラ1、2、3、4によって接合装置9、例えば高周波溶接装置又はレーザ溶接装置に供給される。図2には参照符号Pを備える矢印で接合又は溶接点を示している。高周波溶接中には、接触点での規定力によって、(ギャップなしで)調整できるリアルゼロギャップが存在しなければならない。レーザ溶接中には、完全な溶接シームのための技術的ゼロギャップが存在しなければならない。
【0025】
巻き取りステーション(図示せず)から前進すると、バンド5、6はまず互いに実質的に平行かつ間隔を空けて偏向ローラ1、2の方向に進む。偏向ローラ1、2は、円錐ローラとして構成されている。バンド5、6は、円錐ローラ1、2によって次のローラ3、4に偏向される。円錐ローラ1、2は、バンド5、6の互いに接合されない外側縦縁10、11の方向に先細である。円錐ローラ1、2の逆向きに配向された先細りのため、バンド5、6は、次の円錐ローラ3、4の方向で互いに傾斜している。接合位置(接合点P)のより近い位置にある円錐ローラ3、4は、バンド5、6の互いに溶接すべき縦縁7、8の方向に先細である。特に図1、2、4及び5で見られるように、円錐ローラ3、4の回転軸は、互いに対して、ローラ3、4からバンド5、6が送り出される領域の円錐ローラ3、4の外側面が共通のバンド輸送面12にあるように設定されている。
【0026】
接合位置Pのより近くにある円錐ローラ3、4の少なくとも1つは、好ましくは高さ可動の円錐ローラとして構成されている。異なる厚さのバンド5、6を溶接するとき、厚さ変化の位置13は、円錐ローラ3、4の互いに対する高さ調整によって影響を受け得る(図5参照)。
【0027】
図5の配置では、円錐ローラ3、4の回転軸が互いに対して、円錐ローラ3、4の外側面が共通のバンド輸送面12にあり、この配置では、厚さ変化13が円錐ローラ3、4から遠くのバンド側にあるように設定されている。しかしながら、円錐ローラ3、4の互いに対する高さ調整によって、円錐ローラ3、4の外側面が、互いに平行である異なるバンド輸送面にあるローラ配置を達成することもできる。例えば、いずれの場合も、バンドの互いに溶接すべき2つのバンド側面に厚さ変化が生じるように、本発明の装置の円錐ローラ3、4の回転軸を位置づけることができる。さらに、一方のバンド側面から他方のバンド側面への厚さ変化が、任意に元に戻り、特に、バンド5、6から生じたバンドに正弦厚変化をもたらすように、接合又は溶接プロセス中に互いに円錐ローラ3、4の位置を調整することは本発明の範囲内である。
【0028】
円錐ローラ3、4の高さ調整機能の代替として又はそれに加えて、互いに高さ調整可能なテンションローラ(図示せず)をバンド5、6の進行方向の円錐ローラ3、4の下流に配置して、厚さ変化の位置を選択することができる。このタイプの高さ調整可能なテンションローラを用いて厚さ変化の位置に影響を与えることもできる。
【0029】
バンド5、6の互いに突き合わせ溶接すべき縦縁7、8が互いに隣接する点は、円錐ローラ3、4の外側面が共通の輸送面12にあるか又は互いに平行のバンド輸送面にある点にあるか或いはその点のすぐ前にある。そして、バンド5、6は、互いに接触しているか又は互いに接合した縦縁7、8と平行して前方へ進む。
【0030】
バンド5、6は、好ましくはそれらの接触点、言い換えれば、円錐ローラ3、4の外側面が共通の輸送面にあるか又は互いに平行なバンド輸送面にある点で接合される。しかしながら、バンド5、6の第1接触点からさらに間隔を空けた接合又は溶接点Pを設けることも本発明の範囲内である。
【0031】
接合角(開口角)βは、それぞれの円錐ローラ1、2、3、4について円錐角γと、バンド5又は6のラップ角αとの関数である。接合角βは、特に、固有の円錐角γを有する円錐ローラ3、4を用いて構造的に予め調整される(図2参照)。
【0032】
さらに、円錐ローラ1、2は、それらが軸方向、並びに実質的に半径方向、特に水平方向に、移動可能であるように、軸方向に可動に取り付けられる。円錐ローラ1、2の位置を次の円錐ローラ3、4に対して移動又は変更することによって、円錐ローラの周りのバンド5、6のラッピング、言い換えれば、円錐ローラ1、3又は2、4上のバンド5又は6のラップ角α、ひいては同時に接合角(開口角)βが変わる。
【0033】
図1に示す実施形態では、ラップ角αは約90°である。接合位置Pの最も近くにある円錐ローラ3、4の円錐角γは、5°〜10°の範囲内、例えば、約7°である。この場合、接合角βは約3.5°である。
【0034】
下側の円錐ローラ1、2を距離S’だけ動かすことによって、ラップ角αが増加する。この場合、下側円錐ローラ1、2の互いの間隔及び接合角βが同時に増加する(図4及び5参照)。ラップ角αの増加につれて、接合角βが増加する。この場合、接合又は溶接点Pの位置は変わらない。
【0035】
従って、本発明の装置は、円錐ローラ1、2の位置を次の円錐ローラ3、4に対して変えることによって、ラップ角α又は接合角βを変えることができる。特に、円錐ローラ1、2の位置を次の円錐ローラ3、4に対して変えることによって、バンド5、6の相互に隣接する縦縁7、8に有効な押圧力(接合力)を及ぼすことができ、特に、規定力を調整して、リアルゼロギャップを調整することができる。
【0036】
本発明の装置の図6に示す実施形態は、バンド5、6の進行方向の円錐ローラ3、4の上流に配置された偏向ローラ1’、2’が、円柱状の外側面を有する偏向ローラとして構成されている点で、図1〜5の実施形態とは異なる。この場合、円錐ローラ3、4及び円柱状偏向ローラ1’、2’は、それぞれのバンドに関して、円柱状偏向ローラ1’又は2’の回転軸が、バンド5又は6の溶接すべき縦縁7又は8の反対の縁側14又は15のバンド進行方向で次に来る円錐ローラ3又は4の回転軸に空間的に接近するように配置される。円柱状偏向ローラ1’、2’の回転軸が一緒に鈍角を形成する。円錐ローラ3、4は、それらの外側面が共通のバンド輸送面12にあるように互いに設定される。
【0037】
図1〜5又は図6に従う本発明の装置は、さらにバンド縁制御機構(図示せず)を備えることができ、これはシステム中心における互いに溶接すべき縦縁(接合縁)7、8の位置決めをもたらす。
【0038】
本発明の構成は、上述し、かつ図面に示す実施形態に限定されない。むしろ、基本的に逸脱する構成があっても、添付の特許請求の範囲で開示する本発明をも利用する多数の変形が考えられる。従って、例えば、最初は互いに平行に間隔を空けて進むバンド5、6が、円錐又は円柱状の偏向ローラ1、2又は1’、2’を介して下方へ案内されるように、偏向ローラ又は円錐ローラ1、2、3、4又は1’、2’、3、4を配置してもよい。しかしながら、この場合、円錐又は円柱状の偏向ローラ1、2又は1’、2’の適切な空間配置によっても確実に、バンド5、6が次に互いの方に傾斜し、共通のバンド輸送面12又は下方に配置されている円錐ローラ3、4の互いに平行なバンド輸送面の領域内で接触する。
【0039】
さらに、図1〜5又は6に示すローラ配置の半分だけ、言い換えれば、2つのバンド5又は6の1つのためのローラ配置だけを他方のバンド6又は5のための異なる構成のバンド案内と併用する場合に、本発明の装置の利点を活用することもできる。従って、例えば、バンド5又は6の1つを案内するための従来のローラコース(図示せず)を、バンド6又は5の進行方向に互いに続き、かつ反対方向に先細である2つの円錐ローラ2、4又は1、3を含み、バンド5又は6の進行方向に見られる第1ローラ1又は2がバンド5又は6の溶接されない外側の縦縁10又は11に対して先細であり、かつ次の円錐ローラ3又は4の外側面がローラコースの隣接する円柱状ローラ(図示せず)の外側面と一緒に共通のバンド輸送面12にある、本発明のローラ配置と併用することができる。
【符号の説明】
【0040】
1、1’、2、2’、3、4 偏向ローラ
5、6 バンド
7、8 縦縁
10、11 他方の縦縁
12 共通面
14、15 縁側
P 接合位置
β 接合角
図1
図2
図3
図4
図5
図6