(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。
【0012】
[実施形態1]
実施形態1を説明する。
図1はホースクランプの自由状態を示す正面図、
図2はホースクランプの展開図である。
図2に示すように、ホースクランプの展開形状に基づいて、金属製の帯状の板ばね材からなるブランク11がプレス成形により形成されており、そのブランク11を曲げ成形することによってホースクランプ10(
図1参照)が形成されている。なお、
図2にはホースクランプ10の各部に相当する符号が付されている。
【0013】
図1に示すように、ホースクランプ10は、前記ブランク11の主体部分を円環状に曲げて形成してなるクランプ本体12と、そのブランク11の両端部をクランプ本体12の両端部から半径方向外方に起立状に折り曲げてなる一対の操作片13、21とからなる。両操作片13、21は、いずれも1本足状に形成されている。また、クランプ本体12は、両操作片13、21を互いに接近させたときに弾性変形を利用して拡径される。また、クランプ本体12が拡径状態から弾性復元力により縮径するときにホースの締付けが可能である。なお、両操作片13、21は本明細書でいう「操作部」にそれぞれ相当する。また、説明の都合上、一方の操作片13を「第1操作片13」といい、他方の操作片21を「第2操作片21」という。また、ホースクランプ10における方位は、
図1の正面図を基準として定めることにする。また、クランプ本体12の前後方向は、「軸方向」、「幅方向」に相当する。
【0014】
前記クランプ本体12は、その周方向の中央部から各操作片13、21側の端部に向かって次第に先細り状をなすように形成されている。詳しくは、
図2に示すように、ブランク11において、クランプ本体12の第1操作片13側の半体部の前側縁12aは、ブランク11の中心線11Lに直交する直線状に形成されている。また、クランプ本体12の第1操作片13側の半体部の後側縁(符号、12hを付す)は、クランプ本体12の中央部付近から第1操作片13側の先端部側に向かって延びる基部側テーパー部12bと先端側テーパー部12cとを有する2段テーパー状に形成されている。基部側テーパー部12bと先端側テーパー部12cとは、後側縁12hを凹状に形成している。すなわち、先端側テーパー部12cは、基部側テーパー部12bと比べて緩やかなテーパー状をなしている。また、クランプ本体12の第1操作片13側の半体部に対して、その第2操作片21側の半体部は、ブランク11の中心点11Cを中心として点対称状に形成されている。このため、クランプ本体12の第2操作片21側の半体部には、ブランク11の中心線11Lに直交する直線状の後側縁12d、及び、クランプ本体12の中央部付近から第2操作片21側の先端部側に向かって延びる基部側テーパー部12eと先端側テーパー部12fとを有する2段テーパー状の前側縁(符号、12iを付す)が形成されている。また、第2操作片21は、クランプ本体12の第1操作片13側の半体部の前側縁12aと同一平面上に位置する前側縁を有する幅広状に形成されている。
【0015】
前記クランプ本体12を中央部から各操作片13、21側の端部に向かって次第に先細り状をなすように形成することにより、クランプ本体12の形状をカスチリアーノの定理に適合する形状に近付けることができる。このため、クランプ本体12の内径の変化にともなう真円度を向上し、面圧分布を均等化することができる。なお、クランプ本体12の第1操作片13側の半体部の後側縁12h、及び、その第2操作片21側の半体部の前側縁12iは、2段テーパー状に限らず、1段テーパー状に形成してもよい。なお、後側縁12h及び前側縁12iは、ブランク11の中心線11Lに直交する直線に対して傾斜状をなす側縁であるため、本明細書でいう「傾斜状の側縁」、「傾斜状の前側縁」又は「傾斜状の後側縁」に相当する。また、後側縁12h及び前側縁12iは、クランプ本体12の円周方向に延びる直線に対して傾斜状をなす側縁に相当する。
【0016】
図1に示すように、前記クランプ本体12が円環状に曲げて形成されたときは、前記第1操作片13側の端部と、第2操作片21側の端部とがクランプ本体12の軸方向(幅方向)に行き違い状態をもって対向される。すなわち、クランプ本体12は、第1操作片13側の端部が第2操作片21側の端部の前側(
図1において紙面表側)に位置する状態となるように、中空円筒状に曲げ成形されている。また、ホースクランプ10の自由状態(
図1参照)において、両操作片13、21は、互いに平行状をなす状態で正対する中立状態となる。また、ホースクランプ10の自由状態において、クランプ本体12の軸方向に対向する第1操作片13側の端部と、その第2操作片21側の端部との対向面間の隙間が最小となる。なお、
図3は第1操作片の周辺部を示す斜視図、
図4は第2操作片の周辺部を示す斜視図である。
【0017】
図3に示すように、前記クランプ本体12における第1操作片13側の端部の後側部には、係止爪14が形成されている。係止爪14は、クランプ本体12の半径方向外方への傾斜状の切り起こしによって形成されている。なお、係止爪14は本明細書でいう「係止部」に相当する。
また、クランプ本体12における第1操作片13側の端部の後側部には、係止爪14に対して第1操作片13側に位置する案内縁15が形成されている。案内縁15は、クランプ本体12の第1操作片13側の端部の幅(前後方向の幅)を基部側が狭く、先端側(第1操作片13側)が広くなるように、所定の勾配をもって傾斜状に形成されている。
【0018】
図4に示すように、前記第2操作片21の外側面(第1操作片13に対して相反する側の面)には、係合凹部22が形成されている。係合凹部22は、前記係止爪14(
図3参照)を係脱可能に係合可能に形成されている。なお、係合凹部22は本明細書でいう「係合部」に相当する。また、係合凹部22は、少なくとも係止爪14の係合解除方向への位置ずれ、及び、クランプ本体12の半径方向内方への係止爪14の位置ずれを防止する形状であればよい。
【0019】
前記第2操作片21の前側部には、前記クランプ本体12側において第1操作片13に対して相反する方向へ突出する拡開規制片24がL字状の折り曲げによって形成されている。また、第2操作片21の前記係合凹部22側と拡開規制片24側との間には、逆U字溝状の開口溝25が形成されている。また、ホースクランプ10の自由状態すなわち両操作片13、21が正対する中立状態において、開口溝25と前記係止爪14とはクランプ本体12の軸方向に整合する。なお、拡開規制片24と前記係止爪14とは本明細書でいう「拡開規制部」を構成している。
【0020】
図1に示すように、前記クランプ本体12における第2操作片21側の端部の前側部には、凹溝状の受入溝26(
図2参照)が形成されている。受入溝26の第2操作片21側の溝壁は案内縁27となっている。案内縁27は、クランプ本体12の第2操作片21側の端部の幅(短手方向の幅)を基部側が狭く、先端側(第2操作片21側)が広くなるように、所定の勾配をもって傾斜状に形成されている。また、案内縁27は、前記第1操作片13側の案内縁15と当接可能でかつ摺動可能に形成されている。なお、両案内縁15、27は本明細書でいう「案内機構」を構成している。
【0021】
前記クランプ本体12における第2操作片21側の端部の前側縁(第1操作片13側の端部に対する対向側縁)には、前記受入溝26に対して基部側に位置する漏れ防止片28が突出されている(
図1参照)。漏れ防止片28の前端縁(先端縁)は、所定の長さLe(
図2参照)をもって周方向に延びる直線状に形成されている。また、漏れ防止片28の先端縁には、ホースクランプ10のホース締付け状態(後述する)のクランプ本体12における第1操作片13側の端部の後側縁(対向側縁)のうちの案内縁15と第1操作片13の基端部(クランプ本体12の折り曲げ終端部)13aとの間に設定された当接部(符号、16を付す)が点接触状に当接可能となっている。なお、漏れ防止片28と当接部16とは本明細書でいう「漏れ防止部」を構成している。
【0022】
次に、前記ホースクランプ10を用いてホースを締付ける場合を説明する。
まず、自由状態におけるホースクランプ10(
図1参照)の両操作片13、21を、プライヤー、ペンチ等の工具30(
図5参照)により把持しかつクランプ本体12の弾性変形を利用して互いに接近させる。これにより、クランプ本体12が拡径されていくとともに、第2操作片21の開口溝25内を第1操作片13側の係止爪14が通過する。そして、第2操作片21に対して第1操作片13を、クランプ本体12の弾性変形を利用して軸方向で対向する方向すなわち後方(
図1において紙面裏方)へオフセットさせた状態(位置ずれさせた状態)で、前記工具30による両操作片13、21に対する把持を解放する。すると、クランプ本体12の弾性復元力をもって、第2操作片21の係合凹部22に第1操作片13側の係止爪14が係合する(
図7参照)。これにより、クランプ本体12が拡径状態に保持される(
図5及び
図6参照)。この状態をホースクランプ10の仮組み状態という。なお、
図5はホースクランプの仮組み状態を示す正面図、
図6は同じく平面図、
図7は同じく両操作片の周辺部を示す斜視図である。
【0023】
図6に示すように、前記ホースクランプ10の仮組み状態では、第2操作片21側の受入溝26内に、クランプ本体12における第1操作片13側の端部の案内縁15を含む後側半部が嵌合されるとともに、受入溝26の案内縁27と第1操作片13側の案内縁15とが近接される。なお、ホースクランプ10は、例えば仮組み状態でホースの締付作業に係る作業現場に搬入される。また、ホースクランプ10を、自由状態で作業現場に搬入し、作業現場において仮組みしてもよい。
【0024】
次に、ホースの締付作業に係る作業現場においては、仮組み状態のホースクランプ10(
図5参照)のクランプ本体12内にホース32を挿入し、そのホース32をその弾性変形を利用して接続パイプ34に嵌め込んだ後、接続パイプ34に対するホース32の締結部分にホースクランプ10を位置させる。そして、ホースクランプ10の両操作片13、21を、プライヤー、ペンチ等の工具30により把持しかつクランプ本体12の弾性変形を利用して互いに接近させる(
図8参照)。なお、
図8は仮組みの解除状態を示す平面図である。
【0025】
すると、
図8に示すように、第2操作片21の係合凹部22から第1操作片13側の係止爪14が離脱するにともない、第2操作片21側の案内縁27に対する第1操作片13側の案内縁15(
図6参照)の摺動接触によって、第2操作片21に対して第1操作片13がクランプ本体12の軸方向で相反する方向すなわち前方(
図8において下方)へ押しやられる。また、第2操作片21に対する第1操作片13のオフセットによる弾性復元力いわるオフセット反力によっても、第2操作片21に対して第1操作片13がクランプ本体12の軸方向で相反する方向すなわち前方(
図8において下方)へ押しやられる。これにより、第2操作片21に第1操作片13が正対又は略正対するとともに、第2操作片21の開口溝25と第1操作片13側の係止爪14とがクランプ本体12の軸方向に整合及び略整合する。
【0026】
続いて、前記工具30(
図5参照)による両操作片13、21に対する把持を解放すると、クランプ本体12が弾性復元力により縮径する。このとき、第2操作片21の開口溝25内を第1操作片13側の係止爪14が通過する。また、弾性復元力により縮径するクランプ本体12は、ホース32を接続パイプ34に締付ける(
図9参照)。なお、
図9はホースクランプのホース締付け状態を示す正面図、
図10は同じく平面図である。
【0027】
前記ホースクランプ10において、第2操作片21の係合凹部22に対する第1操作片13側の係止爪14の係合の解除時において、クランプ本体12のオフセット反力によって、第2操作片21側に対して第1操作片13側が拡開すなわちクランプ本体12の軸方向で相反する方向すなわち前方へ押し戻しされ過ぎたり、あるいは、第2操作片21側の案内縁27に対する第1操作片13側の案内縁15の摺動接触によって、第1操作片13側が同方向へ勢いよく移動され過ぎたりする場合がある。このような場合、そのままのホースクランプ10でホース32を接続パイプ34に締付けると、ホース32に対してクランプ本体12が斜めに組付けられたり、クランプ本体12の両端部の間の隙間が拡大したりすることで、クランプ本体12の組付不良が発生することが予想される。
【0028】
しかしながら、上記したホースクランプ10によると、第2操作片21の係合凹部22に対する第1操作片13側の係止爪14の係合の解除時において、第2操作片21側に対して第1操作片13側が拡開するときは、第2操作片21の拡開規制片24に対して第1操作片13側の係止爪14が当接する(
図11参照)。なお、
図11は拡開規制片の作用を示す平面図である。
図11に示すように、第2操作片21の拡開規制片24に対して第1操作片13側の係止爪14が当接することによって、その拡開が規制されることになる。このため、ホース32に対するクランプ本体12の組付不良を防止し、その組付不良に起因するホース32内の流体の漏れを防止することができる。このことは、両操作片13、21が正対する中立状態から第2操作片21側に第1操作片13側がオフセットされた状態で係合凹部22に係止爪14が係合されることにより仮組み状態とされるホースクランプ10において、係合凹部22に対する係止爪14の係合の解除時に、クランプ本体12のオフセット反力により第2操作片21側に対して第1操作片13側が拡開することが予想される場合に有効といえる。
【0029】
また、ホース32の締付け時(
図9及び
図10参照)において、クランプ本体12の両端部の間すなわち第2操作片21側の漏れ防止片28の先端縁(前端縁)と第1操作片13側の当接部16とが、クランプ本体12の軸方向に略当接する(
図10参照)。また、漏れ防止片28が、クランプ本体12と共にホース32を接続パイプ34に押圧する(
図9参照)。したがって、ホース32におけるクランプ本体12の両端部の間の隙間でクランプ本体12による面圧が低い部分に発生する漏れ流路を、漏れ防止片28の押圧によって遮断することができる。これによって、ホース32の締付け時に発生するホース32内の流体の漏れを防止することができる。なお、漏れ防止片28の先端縁(前端縁)と当接部16とは、当接することが望ましいが、近接することでもよい。
【0030】
また、
図9に示すように、ホース32の締付け時におけるホース32の肉厚の範囲をT±tとし、接続パイプ34のパイプ外径の範囲をD±dとし、ホースクランプ10のクランプ本体12の内径をAとしたとき、クランプ本体12の内径Aの最大値Amaxは、
Amax=(D+d)+(T+t)×2
で表される。また、クランプ本体12の内径Aの最小値Aminは、
Amin=(D−d)+(T−t)×2
で表される。したがって、クランプ本体12の内径の範囲Amin〜Amax内において、漏れ防止片28の先端縁(前端縁)と第1操作片13側の当接部16とが点接触可能となるように、漏れ防止片28の先端縁(前端縁)の長さLeが設定されている(
図2参照)。なお、
図2において、Lはブランク11(
図2参照)の中心線11Lから第1操作片13の基端部13aまでの長さを示す。
【0031】
また、両操作片13、21がいずれも1本足状に形成されている。したがって、例えば第1操作片13が1本足状に形成されかつ第2操作片21が2本足状に形成される場合と比べて、ホースクランプ10をクランプ本体12の軸方向(幅方向)にコンパクト化することができる。
【0032】
次に、前記実施形態1におけるホースクランプ10の係止爪14の変形例1,2について説明する。なお、
図12及び
図13はそれぞれ係止爪を示す斜視図である。
[係止爪の変形例1]
係止爪の変形例1は、
図12に示すように、クランプ本体12における第1操作片13側の端部にU字状のスリット17が形成され、そのスリット17による爪状部が半径方向外方に傾斜状に起こされることにより係止爪14(符号、Aを付す)が形成されている。
【0033】
[係止爪の変形例2]
係止爪の変形例2は、
図13に示すように、クランプ本体12における第1操作片13側の端部の後側縁に突出する突出片を半径方向外方へ起立状に折り曲げることにより、係止爪14(符号、Bを付す)が形成されている。係止爪14Bの先端部には、第2操作片21の係合凹部22(
図4参照)に係合する突起18が形成されている。
【0034】
次に、前記実施形態1におけるホースクランプ10の拡開規制片24の変形例1,2について説明する。なお、
図14及び
図15はそれぞれ拡開規制片を示す斜視図である。
[拡開規制片の変形例1]
拡開規制片の変形例1は、
図14に示すように、クランプ本体12における第2操作片21の開口溝25の前側の側縁部に突出する突出片を起立状に折り曲げることにより、拡開規制片24(符号、Aを付す)が形成されている。
【0035】
[拡開規制片の変形例2]
拡開規制片の変形例2は、
図15に示すように、クランプ本体12における第2操作片21の前側縁に突出する突出片を起立状に折り曲げることにより、拡開規制片24(符号、Bを付す)が形成されている。
【0036】
[実施形態2]
実施形態2を説明する。本実施形態は、前記実施形態1に変更を加えたものであるから、その変更部分について説明し、重複する説明は省略する。
図17は傾き防止片の周辺部を示す側面図、
図18は同じく正面図、
図19はホースクランプの展開図である。
本実施形態では、
図19に示すように、前記実施形態1におけるクランプ本体12の第1操作片13側の半体部の後側縁(傾斜状の側縁)12hの中央部に、クランプ本体12の軸方向外方(
図19において上方)へ突出する傾き防止片36が突片状に形成されている。傾き防止片36は、例えば、基部側テーパー部12bにおける先端側端部(テーパー部12c側の端部)に配置されている。また、本実施形態においても、前記実施形態1(
図2参照)と同様、クランプ本体12の第1操作片13側の半体部に対して、その第2操作片21側の半体部が、ブランク11の中心点11Cを中心として点対称状に形成されている。このため、クランプ本体12の第2操作片21側の半体部の前側縁(傾斜状の前縁)12iの中央部にも、クランプ本体12の軸方向外方(
図19において下方)へ突出する傾き防止片36(便宜上、同一符号を付す)が形成されている。なお、クランプ本体12の第1操作片13側の半体部における傾き防止片36と、クランプ本体12の第2操作片21側の半体部における傾き防止片36とは同一の構成であり、同一の作用・効果を奏するものであるから、以下、第2操作片21側の半体部の傾き防止片36について説明し、第1操作片13側の半体部の傾き防止片36についての説明は省略する。
【0037】
前記傾き防止片36は、前記クランプ本体12の第1操作片13側の半体部の前側縁12aに沿って延びる直線L1をはみ出さない突出量で形成されている。本実施形態では、傾き防止片36を含む部分の幅寸法は、クランプ本体12の軸方向の全幅(すなわちクランプ本体12の第2操作片21側の半体部の後側縁12dと第1操作片13側の半体部の前側縁12aとの間の寸法)W1と等しくなるように設定されている。なお、傾き防止片36は本明細書でいう「傾き防止部」に相当する。
【0038】
本実施形態によると、
図17及び
図18に示すように、ホース32の締付け時において、傾き防止片36がホース32(詳しくは外周面上)に当接することにより、クランプ本体12の傾斜状の前側縁12iの径方向内方(
図17において紙面裏方)への傾きを防止することができる。このため、ホース32に対するクランプ本体12の面圧分布を均等化することができる。
【0039】
この点について詳述する。傾き防止片36がないホースクランプの場合、ホース32の締付け時において、クランプ本体12の第2操作片21側の半体部における傾斜状の前側縁12iが、該半体部の後側縁12dに比べて、形状的に径方向内方(
図17において紙面裏方)へ傾きやすく、また、傾いて組付いた状態が維持されやすく、クランプ本体12がホース32に対して自然に馴染み難いという傾向がある。そして、クランプ本体12の第2操作片21側の半体部における前側縁12iが傾いた状態でホース32が締付けられた場合、その半体部の前方(
図17において左方)への位置ずれ量が大きくなることで、クランプ本体12が所定の径まで縮径せず、クランプ本体12がホース32に対して均一に巻き付けなくなる場合がある。甚だしいときには、クランプ本体12の周方向の中央部においてホース32に対して隙間ができるほど、ホース32に対するクランプ本体12の面圧が低下することがある。したがって、ホース32に対するクランプ本体12の締付け力が低下し、耐圧性能の劣化を招く場合が予想される。
【0040】
これに対し、本実施形態によると、クランプ本体12の第2操作片21側の半体部の傾斜状の前側縁12iの中央部には、ホース32の締付け時において該ホース32に当接することにより該側縁12iの径方向内方への傾きを防止する傾き防止片36が設けられている。したがって、ホース32の締付け時において、傾き防止片36がホース32に当接することにより、クランプ本体12の前側縁12iの径方向内方への傾きを防止することができる。このため、ホース32に対するクランプ本体12の面圧分布を均等化することができる。ひいては、ホース32に対するクランプ本体12の締付け力を向上し、耐圧性能を向上することができる。
【0041】
なお、本実施形態におけるいずれか一方の傾き防止片36は省略してもよい。また、傾き防止片36の配置位置、形状、個数等は適宜選定することができる。また、傾き防止片36を含む部分の幅寸法は、クランプ本体12の軸方向の全幅W1よりも小さくてもよい。
【0042】
[実施形態3]
実施形態3を説明する。本実施形態以降の実施形態は、前記実施形態2の傾き防止片36の変更例であるから、その変更部分について説明し、重複する説明は省略する。
図20は傾き防止片の周辺部を示す側面図である。
図20に示すように、本実施形態における傾き防止片(符号、38を付す)は、前記クランプ本体12の第1操作片13側の半体部の前側縁12aに沿って延びる直線L1をはみ出す突出量で形成されている。本実施形態によると、傾き防止片38の突出量が増大されているため、ホース32の締付け時におけるクランプ本体12の傾斜状の前側縁12iの径方向内方(
図20において紙面裏方)への傾きの防止効果を向上することができる。なお、傾き防止片38は本明細書でいう「傾き防止部」に相当する。
【0043】
[実施形態4]
実施形態4を説明する。
図21は傾き防止片の周辺部を示す側面図である。
図21に示すように、本実施形態における傾き防止片(符号、40を付す)は、前記実施形態3における傾き防止片38(
図20参照)を主部として、その主部38の先端部に対して、クランプ本体12の周方向に沿って平行状に延びる周方向突出部41がT字状に形成されている。本実施形態によると、傾き防止片40が周方向突出部41を有するため、ホース32の締付け時におけるクランプ本体12の傾斜状の前側縁12iの径方向内方(
図21において紙面裏方)への傾きの防止効果を向上することができる。また、ホース32の締付け時における該ホース32に対する傾き防止片40の引っ掛りを防ぎ、該ホース32に対するクランプ本体12の馴染み性を向上することができる。なお、周方向突出部41は、主部38に対してT字状に限らず、L字状、Y字状等に形成してもよく、その形状は適宜変更することができる。また、周方向突出部41は、前記実施形態2における傾き防止片36(
図17参照)を主部として形成することもできる。なお、傾き防止片40は本明細書でいう「傾き防止部」に相当する。
【0044】
[実施形態5]
実施形態5を説明する。
図22は傾き防止片の周辺部を示す側面図、
図23は
図22のXXIII−XXIII線矢視断面図である。
図22及び
図23に示すように、本実施形態は、前記実施形態2における傾き防止片36(
図17参照)の先端部36aをクランプ本体12の径方向外側へ傾斜状に折り曲げたものである。本実施形態によると、傾き防止片36の先端部をクランプ本体12の径方向外側へ傾斜状に折り曲げたことにより、ホース32の締付け時における該ホース32に対する傾き防止片36の引っ掛りを防ぎ、該ホース32に対するクランプ本体12の馴染み性を向上することができる。
【0045】
[実施形態6]
実施形態6を説明する。
図24は傾き防止部の周辺部を示す側面図、
図25は
図24のXXV線矢視図である。
図24及び
図25に示すように、本実施形態における傾き防止片(符号、42を付す)は、前記実施形態3における傾き防止片38(
図20参照)を主部として、その主部38の先端部に対して、クランプ本体12の周方向に沿って平行状に延びる周方向突出部43がL字状に形成されている。さらに、周方向突出部43の先端部43aがクランプ本体12の径方向外側へ傾斜状に折り曲げられている。本実施形態によると、傾き防止片42が周方向突出43を有するため、ホース32の締付け時におけるクランプ本体12の傾斜状の前側縁12iの径方向内方(
図24において紙面裏方)への傾きの防止効果を向上することができる。また、周方向突出部43の先端部43aをクランプ本体12の径方向外側へ傾斜状に折り曲げたことにより、ホース32の締付け時における該ホース32に対する傾き防止片42の周方向突出部43の引っ掛りを防ぎ、該ホース32に対するクランプ本体12の馴染み性を向上することができる。なお、傾き防止片42は本明細書でいう「傾き防止部」に相当する。
【0046】
[実施形態7]
実施形態7を説明する。
図26は傾き防止部の周辺部を示す側面図である。
図26に示すように、本実施形態における傾き防止部(符号、45を付す)は、クランプ本体12の第2操作片21側の半体部の基部側テーパー部12e(
図26中、二点鎖線12e参照)からクランプ本体12の軸方向外方(
図26において左方)へ突出する逆三角形板状に形成されており、クランプ本体12の第1操作片13側の半体部の前側縁12aに連続する前側縁45aと、軸方向に平行をなす端縁45bとを有する。本実施形態によると、クランプ本体12の第2操作片21側の半体部の傾斜状の前側縁12iには、ホース32の締付け時において該ホース32に当接することにより該側縁12iの径方向内方への傾きを防止する周方向に長い前側縁45aを有する板状の傾き防止部45が設けられている。したがって、ホース32の締付け時において、傾き防止部45がホース32(詳しくは外周面上)に当接することにより、クランプ本体12の前側縁12iの径方向内方への傾きを防止することができる。このため、ホース32に対するクランプ本体12の面圧分布を均等化することができる。ひいては、ホース32に対するクランプ本体12の締付け力を向上し、耐圧性能を向上することができる。
【0047】
[実施形態8]
実施形態8を説明する。
図27は傾き防止部の周辺部を示す側面図、
図28は
図27のXXVIII−XXVIII線矢視断面図である。
図27及び
図28に示すように、本実施形態は、前記実施形態7における傾き防止部45(
図26参照)の前側縁45aと端縁45bとのなす隅角部45cを、クランプ本体12の径方向外側(
図28において下方)へ傾斜状に折り曲げたものである。本実施形態によると、傾き防止部45の隅角部45cをクランプ本体12の径方向外側へ傾斜状に折り曲げたことにより、ホース32の締付け時における該ホース32に対する傾き防止部45の引っ掛りを防ぎ、該ホース32に対するクランプ本体12の馴染み性を向上することができる。
【0048】
[実施形態9]
実施形態9を説明する。
図29は傾き防止部の周辺部を示す側面図である。
図29に示すように、本実施形態は、前記実施形態7における傾き防止部45(
図26参照)の前側縁45aと、クランプ本体12の先端側テーパー部12fとを、なだらかなS字状の曲線部47をもって連続させたものである。すなわち、曲線部47は、傾き防止部45の前側縁45aに連続する凸型のR形状部47aと、そのR形状部47a及びクランプ本体12の先端側テーパー部12fに連続する凹型のR形状部47bとを有する。本実施形態によると、傾き防止部45の前側縁45aとクランプ本体12の先端側テーパー部12fとを曲線部47をもって連続させたものであるから、ホース32の締付け時において、傾き防止部45の曲線部47に対するホース32の感受性を低下することができる。ひいては、ホース32に対する傾き防止部45の引っ掛りを防ぎ、該ホース32に対するクランプ本体12の馴染み性を一層向上することができる。
【0049】
[実施形態10]
実施形態10を説明する。
図30は傾き防止部の周辺部を示す側面図、
図31は
図30のXXXI−XXXI線矢視断面図である。
図30及び
図31に示すように、本実施形態は、前記実施形態9における傾き防止部45(
図29参照)の凸型のR形状部47aを含む隅角部47cをクランプ本体12の径方向外側へL字状に折り曲げたものである。本実施形態によると、傾き防止部45の曲線部47の隅角部47cをクランプ本体12の径方向外側へ傾斜状に折り曲げたことにより、ホース32の締付け時における該ホース32に対する傾き防止部45の引っ掛りを防ぎ、該ホース32に対するクランプ本体12の馴染み性を向上することができる。
【0050】
[実施形態11]
実施形態11を説明する。
図32は傾き防止部の周辺部を示す側面図、
図33は
図32のXXXIII線矢視図である。
図32及び
図33に示すように、本実施形態は、前記実施形態7における傾き防止部45(
図26参照)の端縁45b側の端部(符号、48を付す)を、クランプ本体12の径方向外側へ傾斜状に切り起こしたものである。なお、端部48と、クランプ本体12との間にはスリット状の切込溝48aが形成されている。本実施形態によると、傾き防止部45の端部48をクランプ本体12の径方向外側へ傾斜状に折り曲げたことにより、ホース32の締付け時における該ホース32に対する傾き防止部45の引っ掛りを防ぎ、該ホース32に対するクランプ本体12の馴染み性を向上することができる。
【0051】
[実施形態12]
実施形態12を説明する。
図34は傾き防止部の周辺部を示す側面図、
図35は
図34のXXXV線矢視図である。
図34及び
図35に示すように、本実施形態は、前記実施形態11における傾き防止部45の切込溝48a(
図32及び
図33参照)を、溝幅の広い割溝49に変更したものである。
【0052】
また、前記実施形態から請求の範囲に記載した技術的事項以外に把握できる技術的事項について記載する。
(1)請求項1〜4のいずれか1つに記載のホースクランプであって、
一対の操作部が正対する中立状態からクランプ本体の軸方向で対向する方向へオフセットされた状態で他方の操作部側の係合部に一方の操作部側の係止部を係合することにより、クランプ本体が拡径状態に保持されるホースクランプ。
(2)請求項1〜4、前記(1)項のいずれか1つに記載のホースクランプであって、
前記クランプ本体の両端部間には、他方の操作部に対して一方の操作部を接近させたときに操作部を幅方向外方(実施形態において前方)へ案内する案内機構が設けられているホースクランプ。
(3)請求項2に記載のホースクランプであって、
前記傾き防止部は、突片状の傾き防止片であるホースクランプ。
(4)前記(3)項に記載のホースクランプであって、
前記傾き防止片の先端部がクランプ本体の径方向外側に折り曲げられているホースクランプ。
(5)請求項2に記載のホースクランプであって、
前記傾き防止部は、前記クランプ本体の傾斜状をなす側縁から軸方向外方へ突出されかつ周方向に長い側縁を有する板状に形成されているホースクランプ。
(6)前記(5)項に記載のホースクランプであって、
前記傾き防止部の隅角部がクランプ本体の径方向外側に折り曲げられているホースクランプ。
【0053】
本発明は前記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更が可能である。例えば、漏れ防止部は、クランプ本体12の両端部の間に、ホース32の締付け時においてクランプ本体12の軸方向に略当接しかつホース32を押圧する構成であればよく、例えば、漏れ防止片28をクランプ本体12の第2操作片21側の端部に代えて第1操作片13側の端部に設け、当接部16をクランプ本体12の第1操作片13側の端部に代えて第2操作片21側の端部に設けてもよい。また、前記実施形態では、漏れ防止片28の先端縁(前端縁)に当接部16を点接触させたが、漏れ防止片28の先端縁(前端縁)に当接部16を線接触可能に形成してもよい。
【0054】
また、拡開規制部は、両操作部間に、係合凹部22に対する係止爪14の係合の解除時において他方の操作部に対する一方の操作部のクランプ本体12の軸方向で相反する方向への拡開を規制する構成であればよく、例えば、第2操作片21側に対して第1操作片13側あるいは第1操作片13側の端部に対応する拡開規制片を設けてもよいし、第1操作片13に対して第2操作片21あるいは第2操作片21側の端部に対応する拡開規制片を設けてもよい。
【0055】
また、案内機構を構成する両案内縁15、27のいずれか一方の案内縁は、他方の案内縁に対して点接触状に当接可能な当接部として形成してもよい。また、案内機構は省略することも可能である。また、両案内縁(案内機構)15、27は省略することもできる。また、ホースクランプ10は、金属製に代え、樹脂製に代えてもよい。また、第2操作片21の係合凹部22は、第2操作片21を肉厚方向に貫通する係止孔部に代えてもよい。また、第2操作片21の係合凹部22を省略し、第2操作片21自体を係合部として設定してもよい。