特許第5809180号(P5809180)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5809180蒸発源、蒸発源アセンブリー及び蒸着装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5809180
(24)【登録日】2015年9月18日
(45)【発行日】2015年11月10日
(54)【発明の名称】蒸発源、蒸発源アセンブリー及び蒸着装置
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/24 20060101AFI20151021BHJP
   C23C 14/12 20060101ALI20151021BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20151021BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20151021BHJP
【FI】
   C23C14/24 A
   C23C14/12
   H05B33/10
   H05B33/14 A
【請求項の数】50
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2013-41011(P2013-41011)
(22)【出願日】2013年3月1日
(62)【分割の表示】特願2010-3358(P2010-3358)の分割
【原出願日】2005年11月24日
(65)【公開番号】特開2013-144850(P2013-144850A)
(43)【公開日】2013年7月25日
【審査請求日】2013年3月1日
(31)【優先権主張番号】10-2004-0098270
(32)【優先日】2004年11月26日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2005-0013298
(32)【優先日】2005年2月17日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2005-0014713
(32)【優先日】2005年2月22日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2005-0018833
(32)【優先日】2005年3月7日
(33)【優先権主張国】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】512187343
【氏名又は名称】三星ディスプレイ株式會社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Display Co.,Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】安 宰 弘
(72)【発明者】
【氏名】李 星 昊
(72)【発明者】
【氏名】鄭 錫 憲
(72)【発明者】
【氏名】趙 源 錫
(72)【発明者】
【氏名】康 熙 哲
【審査官】 今井 淳一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−238688(JP,A)
【文献】 特開2005−163090(JP,A)
【文献】 特開2004−052113(JP,A)
【文献】 特開2004−149865(JP,A)
【文献】 特開2004−158337(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/24
C23C 14/12
H01L 51/50
H05B 33/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一面が開口されたハウジングと、
前記ハウジングの内部に位置し、内部に有機物が貯蔵され、一面が開口された貯蔵部と、
前記貯蔵部の開口された部分に連結され、蒸着物を噴射するノズル部と、
前記貯蔵部と前記ハウジングとの間に介在される加熱部と、を含み、
前記貯蔵部には、漏洩防止部材がコートされ
前記漏洩防止部材は、前記貯蔵部の外面にコートされたものであることを特徴とする蒸発源。
【請求項2】
前記貯蔵部は、黒鉛よりなることを特徴とする請求項1に記載の蒸発源。
【請求項3】
前記漏洩防止部材は、ニッケルであることを特徴とする請求項1または2に記載の蒸発源。
【請求項4】
前記漏洩防止部材は、タングステン、レニウム、タンタル、モリブデン、ニオブ、バナジウム、ハフニウム、ジルコニウム、チタンのような高融点金属のうちいずれか1つよりなることを特徴とする請求項1または2に記載の蒸発源。
【請求項5】
前記漏洩防止部材は、酸化物であることを特徴とする請求項1または2に記載の蒸発源。
【請求項6】
前記漏洩防止部材は、炭化物であることを特徴とする請求項1または2に記載の蒸発源。
【請求項7】
前記漏洩防止部材は、窒化物であることを特徴とする請求項1または2に記載の蒸発源。
【請求項8】
前記ノズル部は、黒鉛よりなることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の蒸発源。
【請求項9】
前記ノズル部には、前記漏洩防止部材がコートされることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の蒸発源。
【請求項10】
前記漏洩防止部材は、前記ノズル部の内部にコートされたものであることを特徴とする請求項に記載の蒸発源。
【請求項11】
前記漏洩防止部材は、前記ノズル部の外面にコートされたものであることを特徴とする請求項に記載の蒸発源。
【請求項12】
前記漏洩防止部材は、ニッケルであることを特徴とする請求項9から11のいずれかに記載の蒸発源。
【請求項13】
前記漏洩防止部材は、タングステン、レニウム、タンタル、モリブデン、ニオブ、バナジウム、ハフニウム、ジルコニウム、チタンのような高融点金属のうちいずれか1つよりなることを特徴とする請求項9から11のいずれかに記載の蒸発源。
【請求項14】
前記漏洩防止部材は、酸化物であることを特徴とする請求項9から11のいずれかに記載の蒸発源。
【請求項15】
前記漏洩防止部材は、炭化物であることを特徴とする請求項9から11のいずれかに記載の蒸発源。
【請求項16】
前記漏洩防止部材は、窒化物であることを特徴とする請求項9から11のいずれかに記載の蒸発源。
【請求項17】
前記ノズル部は、
蒸着物粒子を前記基板上に噴射する蒸着物噴射ノズルと、
前記貯蔵部の蒸着物の飛散を防止する飛散防止膜と、
を含むことを特徴とする請求項1から16のいずれかに記載の蒸発源。
【請求項18】
請求項1から17のいずれかに記載の蒸発源は、前記ハウジングの内壁に取り付けられる内部熱反射板をさらに含むことを特徴とする。
【請求項19】
請求項1から18のいずれかに記載の蒸発源は、前記ノズル部の基板方向の外部面に取り付けられる熱遮断板をさらに含むことを特徴とする。
【請求項20】
請求項1から19のいずれかに記載の蒸発源は、前記加熱部の一側に位置し、前記貯蔵部と前記ハウジングとの間に位置する多数の第1支持手段をさらに含み、前記多数の第1支持手段は、前記貯蔵部及び前記ハウジングの各々の所定部分に接触することを特徴とする。
【請求項21】
前記多数の第1支持手段は、線状形態、点状形態またはこれらの結合形態よりなることを特徴とする請求項20に記載の蒸発源。
【請求項22】
前記多数の第1支持手段のうち少なくとも1つの第1支持手段は、前記貯蔵部の一側面の中央部に固定される固定−第1支持手段であることを特徴とする請求項20または21に記載の蒸発源。
【請求項23】
前記貯蔵部の一側面の中央部に対応する前記貯蔵部の長手方向に対する中央部に凹凸部が設けられることを特徴とする請求項22に記載の蒸発源。
【請求項24】
前記固定−第1支持手段は、前記ハウジングとの間で拘束されて固定されることを特徴とする請求項22または23に記載の蒸発源。
【請求項25】
前記ハウジングは、前記多数の第1支持手段に各々連結される第2支持手段をさらに含むことを特徴とする請求項20から24のいずれかに記載の蒸発源。
【請求項26】
前記多数の第1支持手段のうち中央に配置される第1支持手段は、前記第2支持手段と連結して固定されることを特徴とする請求項25に記載の蒸発源。
【請求項27】
前記第2支持手段は、両側面部にトレンチが形成され、前記トレンチを介して挿入されて組み立てられる内部熱反射板をさらに含むことを特徴とする請求項25または26に記載の蒸発源。
【請求項28】
前記多数の第1支持手段は、前記ノズル部を支持する支持手段をさらに含むことを特徴とする請求項20から27のいずれかに記載の蒸発源。
【請求項29】
請求項20に記載の蒸発源と、
該蒸発源を少なくとも1つまたは2つ以上を収納する外部ハウジングと、を含むことを特徴とする蒸発源アセンブリー。
【請求項30】
請求項29に記載の蒸発源アセンブリーは、前記蒸発源と前記外部ハウジングとの間に位置する、前記外部ハウジングに前記蒸発源を連結して支持する多数の第3支持手段を含むことを特徴とする。
【請求項31】
前記多数の第3支持手段は、前記蒸発源の所定部分に接触することを特徴とする請求項30に記載の蒸発源アセンブリー。
【請求項32】
前記多数の第3支持手段は、前記蒸発源の長手方向に対する中央部に固定される固定−第3支持手段を含むことを特徴とする請求項30または31に記載の蒸発源アセンブリー。
【請求項33】
一面が開口されたハウジングと、
前記ハウジングの内部に位置し、内部に蒸着物が貯蔵され、一面が開口された貯蔵部と、
前記貯蔵部の開口された部分に連結され、蒸着物粒子を基板上に噴射する噴射ノズルと、
前記貯蔵部の蒸着物の飛散を防止する飛散防止膜と、を含むノズル部と、
前記貯蔵部と前記ハウジングとの間に介在される加熱部と、
前記ハウジングの内壁に設けられ、前記加熱部からの熱を前記貯蔵部に反射する熱反射板と、
前記ノズル部の基板方向の外部面に取り付けられる熱遮断板と、を含み、
前記貯蔵部には、漏洩防止部材がコートされ、
前記漏洩防止部材は、前記貯蔵部の外面にコートされたものであることを特徴とする蒸着装置。
【請求項34】
前記ハウジングは、1〜5mmの厚みを有することを特徴とする請求項33に記載の蒸着装置。
【請求項35】
前記貯蔵部は、1〜5mmの厚みを有することを特徴とする請求項33または34に記載の蒸着装置。
【請求項36】
前記貯蔵部は、黒鉛よりなることを特徴とする請求項33から35のいずれかに記載の蒸着装置。
【請求項37】
前記漏洩防止部材は、ニッケルであることを特徴とする請求項33から36のいずれかに記載の蒸着装置。
【請求項38】
前記漏洩防止部材は、タングステン、レニウム、タンタル、モリブデン、ニオブ、バナジウム、ハフニウム、ジルコニウム、チタンのような高融点金属のうちいずれか1つよりなることを特徴とする請求項33から36のいずれかに記載の蒸着装置。
【請求項39】
前記漏洩防止部材は、酸化物であることを特徴とする請求項33から36のいずれかに記載の蒸着装置。
【請求項40】
前記漏洩防止部材は、炭化物であることを特徴とする請求項33から36のいずれかに記載の蒸着装置。
【請求項41】
前記漏洩防止部材は、窒化物であることを特徴とする請求項33から36のいずれかに記載の蒸着装置。
【請求項42】
前記ノズル部は、黒鉛よりなることを特徴とする請求項33から41のいずれかに記載の蒸着装置。
【請求項43】
前記ノズル部には、前記漏洩防止部材がコートされることを特徴とする請求項42に記載の蒸着装置。
【請求項44】
前記漏洩防止部材は、前記ノズル部の内部にコートされたものであることを特徴とする請求項43に記載の蒸着装置。
【請求項45】
前記漏洩防止部材は、前記ノズル部の外面にコートされたものであることを特徴とする請求項43に記載の蒸着装置。
【請求項46】
前記漏洩防止部材は、ニッケルであることを特徴とする請求項43から45のいずれかに記載の蒸着装置。
【請求項47】
前記漏洩防止部材はタングステン、レニウム、タンタル、モリブデン、ニオブ、バナジウム、ハフニウム、ジルコニウム、チタンのような高融点金属のうちいずれか1つよりなることを特徴とする請求項43から45のいずれかに記載の蒸着装置。
【請求項48】
前記漏洩防止部材は、酸化物であることを特徴とする請求項43から45のいずれかに記載の蒸着装置。
【請求項49】
前記漏洩防止部材は、炭化物であることを特徴とする請求項43から45のいずれかに記載の蒸着装置。
【請求項50】
前記漏洩防止部材は、窒化物であることを特徴とする請求項43から45のいずれかに記載の蒸着装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸発源、蒸発源アセンブリー及び蒸着装置に関し、より詳細には、大面積基板上に有機物または導電性物質を蒸着するための蒸発源、蒸発源アセンブリー及び蒸着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機電界発光表示装置を始めとする有機半導体装置は、有機膜を形成する工程が必要である。前記有機膜を形成しようとする物質が低分子であるかまたは高分子であるかによって膜の形成方法は異なる。
【0003】
前記高分子物質の場合、前記有機物質を溶剤に溶解し、前記溶解された有機物質を用いて有機膜を形成する。前記有機膜は、スピンコート、ディップコート、ドクターブレード、及びインクジェットプリントなどの方法を用いて形成する。
【0004】
前記低分子物質の場合、200乃至400℃の比較的低い温度で蒸発が可能なので、熱を加えて蒸発させて有機膜を形成する。すなわち、前記低分子よりなる有機膜は、パターンが形成されたマスクを基板上に整列した後、熱により蒸発された有機物分子を前記基板に向かって照射することによって形成される。
【0005】
前述のような低分子有機物質の蒸発及び噴射は、有機物蒸発源により行われる。前記有機物蒸発源は、有機物質を所定温度に加熱可能なるつぼ(crucible)形態を有する。前記有機物蒸発源は、有機物質の加熱が可能な加熱部と、前記加熱した有機物を噴射させるノズル部とを含む。したがって、前記加熱部から蒸発された有機物が、前記ノズル部を介して基板に噴射され、所定のパターンが形成される。
【0006】
このような方法は、コート法やプリント法に比べて均質の薄膜を形成できるという長所があり、有機電界発光表示装置の有機膜層や電極層を形成するのに適している。また、線状の蒸発源を利用する場合、大面積の基板に均一な厚みの有機膜または電極層を形成できるので、上記の蒸発源による蒸着方法は、大面積の有機電界発光表示装置の製造に適した方法であると見られる。
【0007】
このような従来の有機物蒸発源及びこの蒸発源を備えた蒸着装置は、加熱部の熱が外部に放出され、熱効率が低くなりやすい。また、前記線状の蒸発源を利用する場合、材料が噴射されるノズル部の温度が前記蒸発源の内部より低いことから、ノズル部の前面に材料が凝縮され、ノズルに目詰まりが発生する。
【0008】
従来の有機物蒸発源を用いて大型基板上に有機薄膜を形成する場合には、基板と蒸発源間の距離が共に増加するようになる。ところが、基板と蒸発源間の距離が増加すれば、基板上に形成される有機薄膜の均一性が低下するという問題が発生する。
【0009】
基板と蒸発源間の距離が増加すれば、蒸発源で蒸発された有機物が基板以外の真空チャンバーに蒸着され、有機物の損失が増加するが、有機物は、非常に高価なので、このような有機物の損失は、素子の製造コストを上昇させる。
【0010】
有機薄膜の均一性を確保するために、シャドウマスクパターンと蒸発源が所定の角度をなすようにして有機薄膜を形成する。ところが、この時、シャドウマスクパターンと蒸発源が所定の角度をなす場合、シャドウマスクパターンによる影効果が発生し、所望の形状の有機薄膜を得ることが難しいという問題がある。
【0011】
従来の有機物蒸着装置の場合、有機物が貯蔵された蒸発源の構成要素の間隙に有機物粒子が入り込んで有機物の漏洩が発生する場合がある。このような有機物の漏洩が発生すれば、加熱ヒータの汚染が発生し、有機発光素子の品質に影響を及ぼし、窮極的に良品率を低下させる。
【0012】
加熱ヒータのショットが発生して加熱ヒータを交替する場合、加熱ヒータが有機物蒸発源と一体型になっているので、加熱ヒータの交替がかなり難しく、その交替作業時間が長くなるという問題がある。
【0013】
また、前記蒸着装置は、蒸着物質を貯蔵する貯蔵部と、前記蒸着物質を蒸発するための加熱部と、前記蒸発された蒸着物質を噴射するノズル部とからなる蒸発源と、前記蒸発源を収納する外部ハウジングを含む蒸発源アセンブリーと、前記蒸発源アセンブリーを移動するための移送手段と、前記各々の構成要素の胴体をなしているチャンバーから構成される。この時、蒸着工程を実行するために、前記蒸着装置を加熱する時、前記蒸着装置を構成している部品間の熱膨脹率が異なるため、構造の反りや位置変動が生じ、偏心が発生する。
【0014】
これにより、前記蒸着装置の構成部品が破損され、または損傷され、これにより部品を持続的に交替しなければならないので、生産コストが増大する。以上の関連従来技術は下記特許文献1乃至4に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】大韓民国特許出願第2004−0098270号明細書
【特許文献2】大韓民国特許出願第2005−0013298号明細書
【特許文献3】大韓民国特許出願第2005−0014713号明細書
【特許文献4】大韓民国特許出願第2005−0018833号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の目的は、蒸発源で発生した輻射熱によって基板及びマスクが熱変形されるのを防止することができる蒸着装置を提供することにある。
【0017】
また、本発明のさらに他の目的は、蒸着物質の側面拡散を防止して、蒸着装置内部の汚染を防止することができる蒸発源及びそれを備えた蒸着装置を提供することにある。
【0018】
また、本発明のさらに他の目的は、有機物蒸発源から有機物が漏洩されるのを防止することによって、漏洩された有機物による蒸発源の構成が損失されるのを防止することができる有機物蒸発源を提供することにある。
【0019】
また、本発明のさらに他の目的は、有機物蒸発源の各構成要素の厚み及び体積を最小化することによって、有機物の漏洩を防止することができると共に、有機物の蒸発のための熱伝導性を向上させることができ、且つ蒸発効率をさらに向上させることができる有機物蒸発源を提供することにある。
【0020】
また、本発明は、蒸発源及び蒸発源アセンブリーを構成する各部品間の連結部の接触を最小化し、前記部品間の固定及び支持を図り、ある程度のスリップ性を有することによって、熱膨張による装置の損傷を防止できる蒸発源及び蒸発源アセンブリーを提供する。
【0021】
さらに、本発明は、前記蒸発源及び該蒸発源アセンブリーを備えた蒸着装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明の一実施態様に係る蒸着源は、一面が開口されたハウジングと、前記ハウジングの内部に位置し、内部に有機物が貯蔵され、一面が開口された貯蔵部と、前記貯蔵部の開口された部分に連結され、蒸着物を噴射するノズル部と、前記貯蔵部と前記ハウジングとの間に介在される加熱部と、を含み、前記貯蔵部には、漏洩防止部材がコートされ、前記漏洩防止部材は、前記貯蔵部の外面にコートされたものであることを特徴とする。
【0023】
また、本発明のさらに他の態様に係る有機物蒸発源は、一面が開口されたハウジングと、前記ハウジングの内部に位置し、内部に蒸着物が貯蔵され、一面が開口された貯蔵部と、前記貯蔵部の開口された部分に連結され、蒸着物粒子を基板上に噴射する噴射ノズルと、前記貯蔵部の蒸着物の飛散を防止する飛散防止膜と、を含むノズル部と、前記貯蔵部と前記ハウジングとの間に介在される加熱部と、前記ハウジングの内壁に設けられ、前記加熱部からの熱を前記貯蔵部に反射する熱反射板と、前記ノズル部の基板方向の外部面に取り付けられる熱遮断板と、を含み、前記貯蔵部には、漏洩防止部材がコートされ、前記漏洩防止部材は、前記貯蔵部の外面にコートされたものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明では、独立分離可能な加熱部と、飛散防止板と一体化したノズル部とを備えた有機物蒸着装置を提供し、有機物貯蔵部やノズル部の熱効率をより向上させ、有機物が有機物貯蔵部やノズル部から漏洩されることを防止して、有機物による蒸発源の構成要素が損傷されることを防止するという効果がある。
【0025】
本発明の有機物蒸発源の各構成要素は、ノズル部と有機物貯蔵部での有機物漏洩が防止されることによって、その厚みと体積を最小化できるようにして、有機物蒸発源の熱伝導性及び蒸発効率をより向上させることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明に係る蒸発源を示す斜視図である。
図2A】本発明の第1実施形態に係る蒸発源を示す断面図である。
図2B】本発明の第1実施形態に係る蒸発源を示す断面図である。
図3】本発明の第2実施形態に係る蒸発源を示す断面図である。
図4】本発明の第3実施形態に係る蒸発源を示す斜視図である。
図5】本発明の第3実施形態に係る蒸発源を示す断面図である。
図6】本発明の実施形態に係る蒸発源を備えた蒸着装置を示す断面図である。
図7】本発明の第4実施形態に係る有機物蒸発源を示す斜視図である。
図8図2の線A−Aに沿う断面図である。
図9図8のB部を拡大して示す断面図である。
図10図8のC部を拡大して示す断面図である。
図11A】本発明の第5実施形態に係る蒸発源を説明するための図であって、前記蒸発源を構成する貯蔵部及び前記貯蔵部に連結しているノズル部と加熱部の支持構造を説明するための図である。
図11B】本発明の第5実施形態に係る蒸発源を説明するための図であって、前記蒸発源を構成する貯蔵部及び前記貯蔵部に連結しているノズル部と加熱部の支持構造を説明するための図である。
図11C】本発明の第5実施形態に係る蒸発源を説明するための図であって、前記蒸発源を構成する貯蔵部及び前記貯蔵部に連結しているノズル部と加熱部の支持構造を説明するための図である。
図12A】本発明の第5実施形態に係る蒸発源を説明するための図であって、加熱部とハウジングを連結及び支持する支持構造を説明するための図である。
図12B】本発明の第5実施形態に係る蒸発源を説明するための図であって、加熱部とハウジングを連結及び支持する支持構造を説明するための図である。
図12C】本発明の第5実施形態に係る蒸発源を説明するための図であって、加熱部とハウジングを連結及び支持する支持構造を説明するための図である。
図12D】本発明の第5実施形態に係る蒸発源を説明するための図であって、加熱部とハウジングを連結及び支持する支持構造を説明するための図である。
図12E】本発明の第5実施形態に係る蒸発源を説明するための図であって、加熱部とハウジングを連結及び支持する支持構造を説明するための図である。
図13A】本発明の第5実施形態の蒸発源を備えた蒸発源アセンブリーを説明するための斜視図である。
図13B】本発明の第5実施形態の蒸発源を備えた蒸発源アセンブリーを説明するための断面図である。
図13C】本発明の第5実施形態の蒸発源を備えた蒸発源アセンブリーを説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付の図面を参照して、本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。下記の実施形態は、当業者に本発明の思想が十分に伝達され得るようにするために一例として提示されるものである。したがって、本発明は、下記の実施形態に限らず、様々な変形が可能である。なお、図面において、層及び領域の長さや厚みは、明確性を図るために誇張されて表現されることがある。本明細書において、同一の参照番号は、同一の構成要素を示す。
【0028】
図1は、本発明の第1実施形態に係る蒸発源を示す斜視図である。
【0029】
図面を参照すれば、蒸着物質が位置し、一部分が開口された蒸着物質貯蔵部が蒸発源100の内部に構成される。そして、前記蒸着物質を噴射するための開口部Aを有するノズル部30が位置する。前記ノズル部30の開口部Aは、蒸着物質貯蔵部の開口された部分に連結される。前記ノズル部30上には、前記ノズル部30の少なくとも一部の角部を取り囲む反射板50が設けられる。
【0030】
前記反射板50は、前記ノズル部30から放出される熱の一部をさらに前記ノズル部30に反射させる。したがって、前記反射板50を用いて前記ノズル部30の熱損失を低減することができる。前記反射板50の表面は、輻射率(emissivity)が低いものが好ましい。
【0031】
また、前記蒸発源100は、前記蒸着物質貯蔵部を取り囲むハウジング60を含む。前記ハウジング60は、前記反射板50の一部を取り囲むことができる。さらに、前記ハウジング60と前記蒸着物質貯蔵部との間には、加熱部を介在させることができる。
【0032】
図2A及び図2Bは、本発明の第1実施形態に係る蒸発源を示す断面図であり、図1の切断線I−I’に沿う断面図である。
【0033】
図2Aを参照すれば、開口部を有する蒸着物質貯蔵部20内に蒸着物質10が位置する。前記蒸着物質10は、有機物であることができる。さらに、前記蒸着物質10は、導電性物質であることができる。
【0034】
前記蒸着物質貯蔵部20の開口部は、ノズル部30の開口部Aに連結される。前記蒸着物質貯蔵部20の1つ以上の側面には、加熱部40が位置する。前記加熱部40は、熱源及び熱源支持体を備えるものであってもよい。したがって、前記加熱部40から前記蒸着物質貯蔵部20に熱を加えると、前記熱によって前記蒸着物質10が蒸発され、前記蒸発された蒸着物質10は、前記ノズル部30の開口部Aを介して蒸発源の外部に噴射される。
【0035】
前記ノズル部30上には、前記ノズル部30の少なくとも一部の角部を取り囲む反射板50が位置する。
【0036】
前記反射板50は、前記ノズル部30から放出される熱の一部をさらに前記ノズル部30に反射させる。したがって、前記反射された熱は、さらに前記ノズル部30の内部に伝達され、これにより、前記ノズル部30の熱損失を低減することができる。したがって、前記反射板50の表面は、輻射率が低いものが好ましい。
【0037】
前記反射板50は、耐熱合金よりなることができる。したがって、前記加熱部40から発生した熱に対しても安定した熱安定性を有することができる。さらに、前記反射板50は、ニッケルを主成分とする耐熱合金よりなることができる。また、前記反射板50は、インコネルよりなることができる。
【0038】
前記インコネルは、耐熱性が良好であり、900℃以上の酸化気流中でも酸化せず、硫黄を含有する大気でも浸漬されない特性を有する。また、伸張強度、引張強度、降伏点などの性質も熱に対して安定した特性を有するので、機械的な性質に優れていて、有機物や塩類溶液に対しても腐食しない。したがって、前記蒸着物質10に対しても安定した特性を有することができる。
【0039】
前記ノズル部30の開口部Aの周辺に位置する前記反射板50の角部部分Bは、テーパ角を有することができる。また、前記ノズル部30の開口部の周辺に位置する前記反射板50表面のエッジ間隔a1は、前記ノズル部30のノズルの幅a2より広い。したがって、蒸発された前記蒸着物質10が前記反射板50の角部部分Bで凝縮されるのを効果的に防止することができる。また、前記反射板50の形態によって前記反射板50のエッジで前記蒸着物質10が遮断または干渉されるのを防止することができる。
【0040】
前記蒸発源100は、前記蒸着物質貯蔵部20を取り囲むハウジング60を含む。前記ハウジング60は、前記反射板50の一部を取り囲むことができる。また、前記ハウジング60と前記加熱部40との間に介在される反射板55をさらに含むことができる。したがって、前記加熱部40の熱損失をさらに減少させることができ、前記蒸着物質貯蔵部20内に熱が伝達され、熱効率を増加させることができる。
【0041】
前記加熱部40の熱は、輻射により前記反射板55に伝達される構造を有することができる。前記反射板55は、前記加熱部40の輻射熱を直接受ける構造を有することができ、前記反射板55と前記加熱部40との間には、一定空間Cが位置することができる。
【0042】
図2Bを参照すれば、前記図2Aとは異なって、前記反射板55と前記加熱部40との間に介在される熱伝導体42をさらに含むことができる。前記熱伝導体42は、前記反射板55に連結され、前記加熱部40から輻射された熱を受けて、前記反射板55に熱を伝達する。前記反射板55に伝達された熱は、前記加熱部40に向かってさらに伝達されることによって、熱効率を高めることができる。
【0043】
また、前記加熱部40の熱は、伝導により前記反射板55に伝達される構造を有することができる。この時、前記加熱部40と前記反射板55との間に介在される熱伝導体42をさらに含むことができる。したがって、前記加熱部40から発生した熱が前記熱伝導体42に伝導され、前記熱伝導体42に伝導された熱は、前記反射板55に伝導される。前記熱は、前記反射板55により再び前記加熱部40に向かう方向に反射されることによって、熱効率を高めることができる。また、前記熱伝導体42無しに、前記加熱部40と前記反射板55は直接連結されることができる。
【0044】
図3は、本発明の第2実施形態に係る蒸発源を示す断面図であって、図1の線I−I’に沿う断面図である。
【0045】
図3を参照すれば、本発明の第2実施形態は、第1実施形態とは異なって、ノズル部30の前面は、凹凸形態を有するようになる。すなわち、ノズル部30は、角部部分より中央部が突出した構造を有する。そして、前記ノズル部30の中央部より低い角部部分に前記反射板50が位置する。
【0046】
さらに、前記ノズル部30の突出した中央部は、前記反射板50表面の高さより高い。したがって、前記ノズル部30から放出された熱を前記蒸発源100の内部に効果的に反射させると同時に、前記反射板50の角部部分で前記蒸着物質10が凝縮されるのを効果的に防止することができる。
【0047】
さらに、前記ノズル部30の突出した中央部は、前記反射板50表面の高さより低い。したがって、前記反射板50が前記ノズル部30を覆う面積を増加させると同時に、前記反射板50による前記蒸着物質10の噴射方向に向かう進出妨害を防止することができる。前記蒸着物質10の効果的な噴射のために、前記ノズル部30の突出した中央部と前記反射板50の表面とは、1mm以下の高さ差を有することが好ましい。
【0048】
前記第2実施形態の蒸発源でも、前記第1実施形態と同様に、前記ハウジング60と前記加熱部40間に介在される反射板55をさらに含むことができ、さらに、伝導または輻射により前記加熱部40から前記反射板55に熱が伝達されることができる。また、前記加熱部40と前記反射板55との間に熱伝導体42を介在することができる。
【0049】
一方、図4は、本発明の第3実施形態に係る蒸発源を示す斜視図である。本実施形態では、前記実施形態1の前記反射板50上に、前記反射板50を覆うカバー70をさらに備える。前記カバー70は、加熱部により直接加熱されない構造で装着される。したがって、前記ノズル部30より低い温度を維持するようになる。また、前記カバー70は、蒸着方向に突出した突出部75を備える。前記突出部75は、蒸着物質の側面拡散を防止する。
【0050】
図5は、本発明の第3実施形態に係る蒸発源を示す断面図であり、図4の線I−I’に沿う断面図である。
【0051】
本実施形態では、前記第1実施形態の前記反射板50上に、前記反射板50を覆うカバー70をさらに備える。前記カバー70は、前記加熱部40により直接加熱されない構造で装着され、これにより、前記ノズル部30より低い温度を維持できる。したがって、前記カバー70は、高温の熱を放出しないと同時に、前記ノズル部30及び前記反射板50から放出される輻射熱を遮断することができる。したがって、前記蒸発源100が蒸着しようとする基板と前記基板上に位置するマスクの前記輻射熱による変形を防止できるようになる。
【0052】
また、前記カバー70は、蒸着方向に突出した突出部75を備えることができる。前記突出部75は、前記蒸着物質10の側面拡散を防止することによって、前記蒸発源100外部の汚染を防止することができる。また、前記突出部75は、前記蒸発源100からの放熱をさらに効果的に行うことができる。
【0053】
図6は、本発明に実施形態に係る蒸発源を含む蒸着装置を示す断面図であって、図6に示されるように、有機物蒸着装置500の胴体をなすチャンバー300と、基板S上に有機物粒子を噴射させるための少なくとも1つの有機物蒸発源100とを備える。
【0054】
前記基板S上には、蒸着しようとするパターンを有するマスクMが位置する。前記マスクMは、高精細金属マスク(fine metal mask)であることができる。
【0055】
チャンバー300は、図示しない真空ポンプによって内部が真空状態を維持するようになっている。そして、チャンバー300の内部には、有機物蒸発源100を垂直方向に移動させることができる有機物蒸発源移送装置150が設けられ、有機物蒸発源100を蒸着方向に移動させるようになっている。
【0056】
この有機物蒸発源移送装置150は、真空に維持されるチャンバー300内で使用が適合した垂直移送装置であって、工程条件に応じて有機物蒸発源100の移動速度を調節できるようになっている。
【0057】
そして、その構成は、ボールスクリュー151と、このボールスクリュー151を回転させるモータ153とを備え、有機物蒸発源100の案内のためにガイド152を備える。そして、この有機物蒸発源移送装置150は、他の実施形態としてリニアモータを用いて定速で駆動するように具現できる。
【0058】
一方、チャンバー300の内部に位置する基板Sは、有機物の蒸着のために略垂直方向に位置する。好ましくは、地面に対して略70゜乃至110゜の角度を維持するようにする。
【0059】
そして、基板Sの前面、すなわち有機物蒸発源100と基板Sとの間には、蒸着される有機物の形状を決定するマスクパターンMが設けられる。したがって、有機物蒸発源100から蒸発される有機物は、マスクパターンMを経て基板S上に蒸着され、所定形状の有機膜が基板S上に形成されるようにする。
【0060】
一方、有機物蒸発源100は、チャンバー300内部の基板S上に蒸着しようとする有機物を収容し、収容された有機物を加熱して蒸発させた後、これを基板S上に噴射して、基板S上に有機膜が形成されるように機能する。前記蒸発源100は、本発明の第1実施形態乃至前記第3実施形態に係る蒸発源であることができる。
【0061】
前記蒸発源100は、本発明の第3実施形態によりカバー70をさらに備える。したがって、前述した通り、前記カバー70は、前記ノズル部30より低い温度を維持できるようになる。したがって、前記カバー70は、多くの熱を放出しないと同時に、前記ノズル部30及び前記反射板50から放出される輻射熱を遮断できるので、前記マスクMと前記基板200の温度上昇量を減少させることができる。これにより、前記基板200と前記マスクMは、前記蒸発源100の輻射熱による変形が防止されることができる。
【0062】
また、前記蒸発源100は、前記カバー70上に蒸着方向に突出した突出部75を備えることができる。したがって、前記蒸発源100からの放熱をより効果的に行うことができる。すなわち、前記突出部75によって前記基板200に進行される輻射熱をもう一度遮断することによって、放熱効果をさらに高めることができる。
【0063】
さらに、前記突出部75を用いて前記蒸着物質10の側面拡散を防止することによって、前記チャンバー300内部の汚染を防止することができる。
【0064】
図7は、本発明に第4実施形態に係る有機物蒸発源の斜視図である。図8は、図7の有機物蒸発源の線A−Aに沿う断面図である。
【0065】
図示のように、有機物蒸発源100は、有機物を貯蔵し、一面が開口されたハウジング60を備え、ハウジング60の内部には、有機物貯蔵部20(またはるつぼという)が設けられる。
【0066】
ここで、ハウジング60は、略1〜5mm程度の厚みT2で形成される。このハウジング60は、有機物貯蔵部20を取り囲む形態よりなり、有機物貯蔵部20を外部環境と隔離する役目をする。
【0067】
そして、有機物貯蔵部20は、ハウジング60より小さい大きさとなっており、ハウジング60の内部に設けられていて、ハウジング60の開口面と同一方向に開口された開口面を確保している。
【0068】
また、有機物貯蔵部20は、基板S上に蒸着しようとする有機薄膜の原材料である有機物を貯蔵する。そして、この有機物貯蔵部20は、熱伝導度に優れた黒鉛で形成されるが、この黒鉛は、後述する加熱部40によって加熱される有機物貯蔵部20の内部温度が均一に維持されるようにする長所を有している。すなわち、工程温度で速い加熱と共に、均一な温度維持で有機物蒸発源100の効率的な加熱による薄膜蒸着がなされるようにする。
【0069】
ところが、黒鉛は、六方晶系多孔性物質であって、断熱効率に非常に優れている。したがって、有機物貯蔵部20内部の加熱温度を安定的に維持することができるが、有機物の漏洩が発生することもできる。
【0070】
これを防止するために、有機物貯蔵部20には、図9に示されるように、有機物漏洩防止部材21がコートされる。この有機物漏洩防止部材21は、有機物貯蔵部20の内面又は外面、或いは内面及び外面の両面にコートされることができる。この有機物漏洩防止部材21のコート面は、選択的に採用することができる。
【0071】
この時の有機物漏洩防止部材21は、ニッケルや高融点金属よりなることができる。高融点金属とは、鉄の融点より高い融点を有する金属を言い、この高融点金属には、タングステン(融点:3,400℃)、レニウム(3,147℃)、タンタル(2,850℃)、モリブデン(2,620℃)、ニオブ(1,950℃)、バナジウム(1,717℃)、ハフニウム(2,227℃、ジルコニウム(1,900℃)、チタン(1,800℃)などが挙げられ、本発明では、これらのうちのいずれか1つを採用する。
【0072】
また、有機物漏洩防止部材21は、酸化物、炭化物、窒化物のうちいずれか1つを使用することができる。酸化物は、より正確には、フルオルを除いた元素との化合物を言う。
【0073】
本発明では、酸性酸化物やアルカリ性酸化物をいずれも採用することができ、好ましくは、酸性酸化物を使用する。液体によく溶けないで、熱に強い難溶性を有する。そして、炭化物は、カルシウムカーバイド及びその他の種類を採用することができ、窒化物は、炭化物と合成したものを採用することができる。
【0074】
有機物貯蔵部20は、ハウジング60と同様に、厚みT4が1〜5mm程度の厚みで形成される。このように、ハウジング60と有機物貯蔵部20の厚みを5mm以下にしたことは、ハウジング60及び有機物貯蔵部20の熱伝導性をより向上させるためのものである。
【0075】
すなわち、このハウジング60及び有機物貯蔵部20の厚みを小さくすればするほど熱伝導度が向上する。しかし、1mm以下の厚みは、耐久性が劣化し、製造が容易でないので、現実的に実施が容易でない。
【0076】
そして、このハウジング60及び有機物貯蔵部20の厚みが小さくなっても、前述したように、有機物貯蔵部20に漏洩防止部材21がコートされるため、有機物の漏洩は、効率的に遮断されると同時に、熱伝導度が一層向上する。
【0077】
一方、有機物貯蔵部20の開口された面の内側には、有機物貯蔵部20の内部から蒸発して吐出される有機物を噴射するノズル部30が設けられ、有機物貯蔵部20とハウジング60との間には、加熱部40が介設される。
【0078】
ノズル部30は、有機物貯蔵部20から蒸発される有機物粒子を略垂直に立設した基板S上に噴射し、有機物粒子が基板S上に蒸着、分布される形態を決定する役目をする。
【0079】
また、ノズル部30は、有機物貯蔵部20から蒸発される有機物粒子を基板S上に噴射する有機物噴射流路31と、有機物貯蔵部20から有機物粒子として蒸発せず、クラスター形態の有機物の飛散を防止する飛散防止膜32とが一体化した形態よりなる。また、このノズル部30は、熱伝導度に優れた黒鉛よりなる。
【0080】
また、有機物噴射流路31は、噴射方向の側傍に延長される多数個で形成されるが、この有機物噴射流路31は、ノズル部30の中央部分から両側に行くほどその数字が一層密に形成され、基板S上に有機物の均一な密度の噴射及び蒸着がなされるようになっている。
【0081】
一方、黒鉛は、既に説明したように、吐出される有機物の温度を安定的に維持できる。そして、有機物の漏洩を防止するために、図10に示されるように、ノズル部30には、有機物漏洩防止部材33がコートされている。この有機物漏洩防止部材33は、ノズル部30の内面又は外面、或いは内面及び外面の両面に有機物漏洩防止部材33がコートされる。
【0082】
この有機物漏洩防止部材33のコート面は、選択的に採用することができ、その組成は、前述した有機物貯蔵部20にコートされる漏洩防止部材21と同一に採用される。すなわち、高融点金属、酸化物、炭化物、窒化物のうちいずれか1つを使用することができる。
【0083】
そして、ノズル部30は、開口された形態によって有機物粒子が噴射される形態が調節可能であり、また、有機物貯蔵部20内の有機物の均一な蒸発が可能なように制御することができる。
【0084】
一方、加熱部40は、有機物貯蔵部20とハウジング60との間に介在され、前記有機物貯蔵部20の有機物を蒸発が可能なように加熱する役目をする。この時、加熱部40は、有機物の蒸発が可能なようにする熱源である熱線と、図示していないが、一種のリブのような形態よりなり、熱線の垂れを防止し、収容する熱線支持体とから構成される。
【0085】
すなわち、加熱部40は、熱線と熱線支持体とから構成される一種のヒータトンネル構造よりなり、ヒータトンネルが有機物貯蔵部20を取り囲む形態よりなる。したがって、加熱部40は、有機物蒸発源100においてその他の構成要素、特に有機物貯蔵部20と一体化したり、またはその他の構成要素に取り付けたりする形態よりなるものでないので、独立的に分離及び交替が可能である。
【0086】
一方、有機物蒸発源100は、ハウジング60の内壁に取り付けられる内部熱反射板50をさらに備えることができる。この内部熱反射板50は、加熱部40から発生する熱を反射し、加熱部40の熱効率を増加させるためのものである。そして、この内部熱反射板50の厚みT3は、1〜5mm程度よりなる。
【0087】
また、有機物蒸発源100は、ノズル部30の基板S方向に外部面に取り付けられる熱遮断板80をさらに備えることができる。この熱遮断板80は、ノズル部30を介して熱が放出され、基板Sに影響を及ぼすのを防止する。
【0088】
そして、有機物蒸発源100は、ハウジング60の外壁に設けられる断熱部材90をさらに備えることができる。この断熱部材90は、加熱部40から発生する熱がハウジング60を介して外部に放出されるのを防止する。そして、この断熱部材90の厚みT1は、1〜5mm程度で形成される。
【0089】
このような熱反射板50、熱遮断板80及び断熱部材90は、有機物蒸発源100の熱効率をさらに向上させる機能を行う。
【0090】
一方、有機物蒸発源100は、図示していないが、基板S上に蒸着される有機物の蒸着率及び有機物の蒸着厚みを測定する役目を行う測定装置をさらに備えることができる。
【0091】
前述したような前記有機物蒸着装置500は、有機物貯蔵部20が、ヒータトンネル構造である加熱部40間に介在され、有機物貯蔵部20の開口された部分にノズル部30が挿入され、加熱部40がハウジング60に挿入される構造よりなり、有機物貯蔵部20、ノズル部30及び加熱部40の分解・組立が容易な構造よりなる。
【0092】
前述したような有機物蒸着装置500を利用する有機膜の形成方法は、以下で説明する。
【0093】
まず、有機物蒸着装置500のチャンバー300内に基板Sを地面に対して略垂直、好ましくは、地面に対して70゜乃至110゜を維持するように装着する。
【0094】
その後、有機物蒸発源100の基板S上に蒸着しようとする有機物を収容している有機物貯蔵部20を、加熱部40を介して加熱する。この時、加熱部40を介して有機物貯蔵部20に貯蔵されている有機物が加熱され、有機物粒子状態で蒸発される。
【0095】
蒸発された有機物粒子は、ノズル部30に流入され、ノズル部30を介して噴射され、基板S上に蒸着される。この時、基板S上に蒸着される有機物粒子は、マスクパターンMによって蒸着形状が決定される。
【0096】
そして、移送装置150を介して有機物蒸発源100を移送させ、基板S上に有機物を蒸着し、より均一な有機物の蒸着を行うことができる。
【0097】
一方、ノズル部30は、有機物噴射流路31と飛び防止板32とが一体化しているので、有機物貯蔵部20から有機物粒子として蒸発せず、クラスター形態の有機物の飛散を防止することができる。
【0098】
また、ノズル部30が黒鉛のような熱伝導度に優れた物質よりなるので、別途の加熱装置を設けなくとも、ノズル部30を介して噴射される有機物粒子の凝縮を防止することができる。
【0099】
また、有機物粒子が基板S上に蒸着する時、有機物噴射ノズル部30の開口された形態によって前記基板S上に蒸着される有機物粒子の形態が調節される。また、このような有機物蒸発源100での有機物蒸着時、有機物貯蔵部20及びノズル部30には、共に有機物漏洩防止部材21、353がコートされ、有機物の漏洩が効率的に防止される。
【0100】
このように、本発明の有機物蒸発源は、測定装置(図示せず)をさらに備えることによって、有機物を前記基板S上に蒸着する間、前記基板S上に蒸着される有機物の蒸着率及び有機物の蒸着厚みを測定できる。この測定装置は、レーザセンサなどを採用することができ、その他の各種センサと、これらセンサの測定データ値を処理するデータ処理部と、測定状態を表示する表示装置を使用することができる。
【0101】
したがって、測定装置を用いて、有機薄膜を形成する間、有機物粒子の蒸着率及び有機物蒸着厚みを制御することによって、均一な有機薄膜の厚みの再現性を実現することができる。
【0102】
図11A乃至図11Cは、本発明の第5実施形態に係る前記蒸発源を説明するための図であって、前記蒸発源を構成する貯蔵部及び前記貯蔵部に連結しているノズル部と加熱部の支持構造を説明するための図である。
【0103】
図11Aは、前記蒸発源を構成する貯蔵部20及び前記貯蔵部20に連結されるノズル部30部と加熱部40が支持手段により支持されている構造を限定して示す斜視図であって、上・下部を反転して示す図である。
【0104】
図11Aを参照すれば、本発明の蒸発源は、蒸着物質を貯蔵し、一部分が開口された貯蔵部20と、前記貯蔵部20に連結されているノズル部30と、前記ノズル部30を取り囲むトンネル形態を有する加熱部40とを含む。ここで、前記加熱部40は、前記ノズル部30全体と前記貯蔵部の所定部分までを取り囲むことができる。ここで、前記加熱部40は、一側面に位置し、前記ノズル部30及び前記貯蔵部20を支持する第1支持手段を備える。この時、前記第1支持手段は、前記貯蔵部20の所定部分と接触することが好ましい。図面には、前記第1支持手段は、線状の支持台と、点状の支持ピンとの結合形態で図示したが、前記第1支持手段は、線状の支持台、又は点状の支持ピンよりなることができる。
【0105】
これにより、前記第1支持手段により前記貯蔵部20の所定部分を支持することによって、前記第1支持手段による熱損失を最小化できるので、前記貯蔵部20の全体面の温度均一性を維持することができる。
【0106】
ここで、図面には、前記貯蔵部20は、前記加熱部の3つの第1支持手段300により連結されて支持することを示しているが、これに限らず、3つ以上の多数の第1支持手段300を備えることができる。この時、前記貯蔵部20は、所定部分に凹凸部310が形成されている。ここで、前記凹凸部310は、前記貯蔵部20の長手方向に対する中央部に位置することが好ましい。この時、前記多数の第1支持手段300のうちいずれか1つの第1支持手段300は、前記貯蔵部20の凹凸部310に挿入されて連結及び固定される固定−第1支持手段であることができる。
【0107】
前記貯蔵部20は、前記被蒸着基板の一面に蒸着しようとする薄膜を形成する蒸着材料を貯蔵する部分であって、一般的にるつぼよりなる。また、前記貯蔵部20は、熱伝導度に優れた黒鉛またはその等価物よりなることができるが、本発明において、その材質が限定されるものではない。
【0108】
前記ノズル部30は、前記貯蔵部20から蒸発される蒸着物質粒子を略垂直に立設した基板S上に噴射し、前記蒸着物質粒子が前記基板S上に蒸着、分布される噴射ノズルと、前記貯蔵部20から蒸着物質粒子として蒸発せず、クラスター形態の有機物の飛散を防止する飛び防止膜とが一体化した形態よりなる。
【0109】
前記加熱部40は、前記貯蔵部20の蒸着物質が蒸発できるように加熱する役目をする。また、前記加熱部40は、少なくとも3つ以上の第1支持手段300を備え、前記貯蔵部20と前記ノズル部30を支持して固定する役目をする。
【0110】
図11Bは、図11Aの加熱部と前記加熱部の一側に位置する第1支持手段を詳細に示す斜視図である。
【0111】
図11Bを参照すれば、前記加熱部(図11Aの40)は、前記蒸着物質の蒸発が可能なようにする熱源である熱線41と、一種のリブのような形態よりなり、前記熱線の垂れを防止し、収容する熱線支持体42と、前記熱線支持体に連結され、前記貯蔵部を支持するための3つの第1支持手段300とからなる。図面には、3つの第1支持手段300が示されているが、これに限定されず、3つ以上の多数の第1支持手段300よりなることができる。
【0112】
前記加熱部40は、熱線41が前記蒸着物質の蒸発に効率的に熱を伝達するために、ジグザグまたはS字曲線が持続的に反復して、前記熱線支持体42により収容されていて、その形状は、一種のトンネル形態を有し、トンネルの内部に前記ノズル部(図11Aの30)、さらに前記貯蔵部(図11Aの20)の所定部分が位置する。
【0113】
前記第1支持手段300は、各々前記熱線支持体42の一側に連結されていて、前記貯蔵部(図11Aの20)との接触面積が最小化できる線状の支持台301a、301b、301cと、前記支持台301a、301b、301cに固定されていて、2つの点状の支持ピン302a、302b、302c、303a、303b、303cとからなる。この時、本実施形態では、2つの支持ピンとして説明したが、これらに限定されない。ここで、前記支持ピン302a、302b、302c、303a、303b、303cは、円柱、直方体、円錐台、三角錐、四角錐よりなる群から選ばれる1つの形態を有することができる。
【0114】
一方、前記第1支持手段300のうちいずれか1つの第1支持手段は、すなわち前記貯蔵部(図11Aの20)の長手方向において中央である中央部を支持する第1支持手段300cは、前記貯蔵部20を支持する支持ピン302cと別途に、前記加熱部(図11Aの40)の熱線41内に位置し、前記ノズル部(図11Aの30)を支持する少なくとも1つの支持ピン303cをさらに備えることが好ましい。この時、前記支持ピン303cでない別途の支持手段により、前記ノズル部を支持することができる。これにより、前記第1支持手段300により支持される前記加熱部40及び前記ノズル部30が一方の方向に傾くのを防止することができる。
【0115】
また、固定−第1支持手段の支持ピン302b、303cは、左右に位置する第1支持手段300a、300bの支持ピンと異なって、前記支持ピン上に凹凸部302cを有することが好ましい。
【0116】
さらに図11Cを参照すれば、前記貯蔵部20の中央部に位置する凹凸部310に前記支持ピン上に形成された凹凸部302cが挿入されて固定されることができる。または、図面とは異なって、前記支持ピン上に形成された凹凸部302cが、前記貯蔵部20の中央部に位置する凹凸部310に挿入されて固定されることができる。
【0117】
また、前記第1支持手段300は、連結部の熱損失の差異による温度の不均一を防止するために、熱伝導率が低い物質よりなる。例えば、前記第1支持手段300は、ジルコニアまたはクォーツ(Quartz)よりなることが好ましい。
【0118】
図11Cは、図11Aの後面で観察される前記加熱部と前記貯蔵部及び前記ノズル部の支持する形態を示す概略図である。
【0119】
図11Cを参照すれば、前記貯蔵部20の中央部に形成された凹凸部310に固定−第1支持手段300cの前記支持ピン302c上に位置する凹凸部304cが挿入されて固定され、左右に位置する第1支持手段300a、300bは、前記貯蔵部20の一面に接触している構造を有する。すなわち、前記固定−第1支持手段300cは、前記凹凸部に挿入されて拘束されており、左右に位置する第1支持手段300a、300bは、前記貯蔵部20の荷重を支持し、スリップが可能な構造よりなる。これにより、前記貯蔵部が加熱により膨脹しても、前記貯蔵部に反りが生じたり、破損が生じたりすることを防止することができる。
【0120】
図12A乃至図12Eは、本発明の第2実施形態に係る蒸発源を示す図であって、加熱部と前記ハウジングを連結及び支持する支持構造を説明するための図である。
【0121】
図12Aは、前記ハウジングの内部に前記加熱部が第1支持手段により固定されて連結されていることを概略的に示す斜視図である。
【0122】
図12Aを参照すれば、一部分が開口されたハウジング60内に加熱部40が収納されている。この時、前記ハウジング60は、第2支持手段320をさらに備え、前記第1支持手段と接触または連結され、前記加熱部を支持及び連結する。この時、前記ハウジングの中央部に位置する第2支持手段320cは、凹凸部が形成されている。これにより、前記加熱部に連結されている前記固定−第1支持手段が挿入されて固定されている。また、左右に位置する第2支持手段320a、320bは、前記第1支持手段に接触してその荷重を支持する構造を有する。結局、前記加熱部40の中央部は、前記ハウジング60の所定部分に拘束されていて、左右側は、ただ前記加熱部の荷重を支持し、スリップが可能なように構成されている。これにより、前記加熱部40が熱により膨脹する時、反りが生じたり、破損が生じたりするのを防止することができる。
【0123】
図示していないが、前記加熱部の内部にノズル部及び該ノズル部が連結している貯蔵部が挿入されることができ、必要に応じていつでも分離及び交換することができる。
【0124】
図12Bは、図12Aのハウジングを限定して示す図である。
【0125】
図12Bに示されるように、前記ハウジング60は、前記加熱部40を支持するための第2支持手段320を備える。
【0126】
ここで、前記第2支持手段320は、前記加熱部との接触面積が小さいことが好ましい。これにより、前記第2支持手段320は、線状の支持台321aまたは前記支持台に固定されていて、点状の支持ピン322aよりなることができる。また、前記第2支持手段は、連結部の熱損失の差異による温度の不均一を防止するために、熱伝導率が低い物質よりなる。例えば、前記第2支持手段は、ジルコニアまたはクォーツよりなることが好ましい。
【0127】
この時、前記ハウジングの中央に位置する第2支持手段320cは、前記支持台321aまたは前記支持ピン322aが凹凸部を有していることが好ましい。この時、前記ハウジングの内部に固定される加熱部は、突出部を有していて、前記突出部は、前記支持ピンの凹凸部に挿入されて固定される。これにより、前記加熱部は、中央部分は拘束されて固定され、左右は、荷重だけを支持し、スリップが可能な構造を有することによって、熱膨脹による反り現象を防止することができる。
【0128】
図12Cは、本発明の第1実施形態に係る蒸発源に関するものであって、前記ハウジングの内部に固定される加熱部を詳細に示す図である。
【0129】
図12Cを参照すれば、前記加熱部40は、蒸着物質の蒸発に効率的に熱を伝達するために、ジグザグまたはS字曲線が持続的に反復して形成される熱線41と、前記熱線を支持し収容する熱線支持体42とよりなる。
【0130】
前記加熱部40の形状は、一種のトンネル形態を有し、図示していないが、トンネルの内部にノズル部または貯蔵部の所定部分が位置することができる。
【0131】
ここで、前記ノズル部及び該ノズル部に連結されている貯蔵部は、前記加熱部内に収納され、必要に応じて分離及び交換が可能な構造で形成されている。すなわち、前記ノズル部及び前記貯蔵部は、前記熱線支持体42に連結されている第1支持手段330により固定及び連結されている。
【0132】
前記各々の第1支持手段330は、前記ハウジングの内部に位置する各々の第2支持手段320と接触し、前記ハウジング60に前記加熱部40を固定及び支持する。
【0133】
この時、前記加熱部の中央部に連結される固定−第1支持手段330cは、下部に凹凸部を有することが好ましい。これにより、前記ハウジングの中央部に位置する第2支持手段320cに挿入されて固定されることができる。
【0134】
また、前記ハウジングの内壁に内部熱反射板55をさらに備えることができる。前記内部熱反射板55は、前記第2支持手段の両側に形成されたトレンチに挿入されて組み立てられることができる。ここで、前記内部熱反射板55は、前記加熱部から発生する熱を反射し、前記加熱部の熱効率を増加させる役目をする。
【0135】
図12Dは、図12CのP領域を拡大した斜視図であって、前記ハウジングと前記加熱部の中央地点の支持構造を説明するための斜視図である。
【0136】
図12Dを参照すれば、前記ハウジングの中央部に位置する第2支持手段320cは、線状の支持台321cと、その上部に凹凸部が形成された支持ピン322cとよりなる。また、前記加熱部の一側の中央部に位置する固定−第1支持手段330cは、その下部に凹凸部335cが形成されている。これにより、前記第2支持手段320cと固定−第1支持手段330cとは、互いに挿入されて固定されている。
【0137】
また、前記第2支持手段320cの側面に、内部熱反射板を組立てるためのトレンチ323が形成されている。
【0138】
図12Eは、図12cのQ領域を拡大した斜視図であって、前記ハウジングと前記加熱部の左右地点の支持構造を説明するための斜視図である。
【0139】
図12Eを参照すれば、前記ハウジングの左側または右側に位置する第2支持手段320aは、線状の支持台321aと、その上部に形成された支持ピン322aとよりなる。また、前記加熱部の一側の中央部に位置する固定−第1支持手段330cの下部に、前記第2支持手段320aが位置し、前記加熱部の荷重を支持する。
【0140】
また、前記第2支持手段320aの側面には、内部熱反射板を組立てるためのトレンチ323が形成されている。
【0141】
これにより、前記加熱部は、中央部分が前記ハウジングの第2支持手段320cと固定−第1支持手段330cにより拘束されていて、両側が前記ハウジングの第2支持手段320a、320bと第1支持手段330a、330bに接触し、前記加熱部の荷重だけを支持し、スリップが可能な構造よりなっている。これにより、前記加熱部の熱膨脹により反ることを防止することができる。また、前記加熱部と前記ハウジングの接触面積を最小化させることによって、接触部による熱損失に起因して前記加熱部の温度が不均一となることを防止することができる。
【0142】
図13A乃至図13Cは、本発明の第2実施形態に係る蒸発源を備えた蒸発源アセンブリーを説明するための図である。
【0143】
図13Aを参照すれば、前記蒸発源アセンブリー600は、蒸発源100と、前記蒸発源を収納する外部ハウジング62とを備え、前記外部ハウジングは、前記蒸発源を支持して連結する第3支持手段を備える。
【0144】
前記蒸発源100は、図示していないが、貯蔵部と、前記貯蔵部に連結されるノズル部と、前記ノズル部及び前記貯蔵部の所定部分を取り囲む加熱部と、これらを収納するハウジングとよりなり、前記構成要素を連結し支持する多数の支持手段を備える。
【0145】
前記外部ハウジング62には、第3支持手段330が形成されている。ここで、前記3支持手段330は、前記蒸発源100の熱損失を防止するための最小限の形態よりなり、線状、点状、又はこれらの結合形態よりなることができる。
【0146】
また、前記蒸発源100との連結部の熱損失の差異に起因する温度の不均一を防止するために、熱伝導率が低い物質よりなる。例えば、前記第3支持手段は、ジルコニアまたはクォーツよりなることが好ましい。
【0147】
前記蒸発源100の開口部が形成された下端面の所定部分に突起部350が形成される。この時、前記蒸発源の長手方向に対して前記突起部350の中央部に凹凸部が形成される。ここで、前記第3支持手段330のうちいずれか1つの第3支持手段は、前記凹凸部に挿入されて固定される固定−第3支持手段330cであることができる。
【0148】
これにより、前記蒸発源100の中央部は、固定−第3支持手段330cにより固定され、両側は、他の第3支持手段に前記蒸発源の荷重を支持するものの、スリップが可能な構造である。これにより、前記蒸発源100が熱により膨脹する時、反りが生じたり、破損が生じたりすることを防止することができる。
【0149】
また、前記外部ハウジング62は、冷媒を用いてその内部に位置する蒸発源から放出する熱が外部に放出するのを防止するための冷却板よりなることができる。
【0150】
また、前記外部ハウジングは、多数のセルに分けられ、前記多数のセルの各々に蒸発源を備えることができる。これにより、前記各々の蒸発源は、同じ蒸着物質を内包し、垂直に移動することによって、均一な薄膜を基板上に蒸着することができ、特に、大型基板に適用時に有利である。または、前記各々の蒸発源は、各々相異なる蒸着物質を内包していて、蒸着工程の間、2つの蒸着物質を混合して前記基板に蒸着することができる。
【0151】
図13Bは、図13Aの蒸発源アセンブリーを線I−I’に沿って切断した断面図であって、すなわち、前記蒸発源の長手方向に対して中央部の断面図である。
【0152】
図13Bを参照すれば、前記蒸発源100は、固定−第3支持手段330cにより前記外部ハウジング62に支持及び固定されている。
【0153】
この時、前記蒸発源100は、開口された前面の下端の所定部分に突起部350が形成されていて、前記凹凸部に前記外部ハウジングの第3支持手段の凹凸部331cが挿入されて固定されている。ここで、前記蒸発源の後面に位置する第3支持手段330c’の高さまたは前面に位置する第3支持手段330cの高さを調整することによって、前記蒸発源の傾きを調節することができる。これにより、前記蒸発源から放出される蒸着物質の蒸着方向を調節することができる。
【0154】
図13Cは、図13Aの蒸発源アセンブリーを線II−II’に沿って切断した断面図であって、前記蒸発源の左側部または右側部の断面図である。
【0155】
図13Cを参照すれば、前記蒸発源100は、第3支持手段330bにより前記外部ハウジング62に支持及び固定されている。この時、前記蒸発源は、第3支持手段330bにより接触し、その荷重を支持されることができる。
【0156】
上述した通り、前記蒸発源の中央部に位置するセンター−3支持手段のように、後面に位置する第3支持手段330b’の高さまたは前面に位置する第3支持手段330bの高さを調整することによって、前記蒸発源100の傾きを調節することができる。これにより、前記蒸発源100から放出される蒸着物質の蒸着方向を調節することができる。
【0157】
これにより、前記蒸発源の長手方向に対する中央部は、前記外部ハウジングの固定−第3支持手段330cにより拘束されていて、その両側部は、前記外部ハウジングの第3支持手段330a、330bにより前記蒸発源の荷重だけを支持して、スリップが可能な構造よりなる。これにより、前記蒸発源が熱膨脹により反ることを防止することができる。また、前記蒸発源と前記外部ハウジングの接触面積を最小化させることによって、接触部による熱損失に起因して前記加熱部の温度が不均一となることを防止することができる。
【0158】
以上において説明した本発明は、本発明が属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で、様々な置換、変形及び変更が可能であるので、上述した実施形態及び添付された図面に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0159】
10 蒸着物質、
20 蒸着物質貯蔵部、
30 ノズル部、
40 加熱部、
50 反射板、
60 ハウジング、
100 蒸発源、
250 マスク、
200 基板、
300 チャンバー。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図12A
図12B
図12C
図12D
図12E
図13A
図13B
図13C