(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5809243
(24)【登録日】2015年9月18日
(45)【発行日】2015年11月10日
(54)【発明の名称】包装材料のヒートシール適性を改善する方法、及びヒートシールされた容器又は包装物を生産する方法
(51)【国際特許分類】
B32B 27/16 20060101AFI20151021BHJP
B29C 65/10 20060101ALI20151021BHJP
B29C 65/18 20060101ALI20151021BHJP
C08L 67/04 20060101ALI20151021BHJP
C08L 67/02 20060101ALI20151021BHJP
C08J 7/04 20060101ALI20151021BHJP
【FI】
B32B27/16
B29C65/10
B29C65/18
C08L67/04
C08L67/02
C08J7/04 R
【請求項の数】17
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-506695(P2013-506695)
(86)(22)【出願日】2011年4月27日
(65)【公表番号】特表2013-530850(P2013-530850A)
(43)【公表日】2013年8月1日
(86)【国際出願番号】FI2011050381
(87)【国際公開番号】WO2011135182
(87)【国際公開日】20111103
【審査請求日】2014年3月7日
(31)【優先権主張番号】20105471
(32)【優先日】2010年4月30日
(33)【優先権主張国】FI
(73)【特許権者】
【識別番号】512236917
【氏名又は名称】ストラ エンソ オーワイジェイ
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100096943
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100102808
【弁理士】
【氏名又は名称】高梨 憲通
(74)【代理人】
【識別番号】100128646
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 恒夫
(74)【代理人】
【識別番号】100134393
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 克彦
(72)【発明者】
【氏名】ペンティネン,タパニ
(72)【発明者】
【氏名】ネヴァライネン,キモ
(72)【発明者】
【氏名】クーシパロ,ジュルッカ
(72)【発明者】
【氏名】コスキネン,タピオ
(72)【発明者】
【氏名】コトカモ,サミ
【審査官】
加賀 直人
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−086877(JP,A)
【文献】
特開昭61−181840(JP,A)
【文献】
特表2002−519222(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 27/16
B29C 65/10
B29C 65/18
C08J 7/04
C08L 67/02
C08L 67/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装材料のヒートシール適性を改善する方法であって、前記包装材料のウェブのポリエステルを含有するポリマー層に前記ウェブを移動させながら紫外線を照射することを特徴とする、方法。
【請求項2】
紫外線照射される前記ポリマー層はポリラクチドを含有することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ポリマー層には、ポリラクチド(PLA)及びポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)が混合されることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記包装材料は、紫外線照射されるポリエステルを含有するコーティング層を繊維性基材上に押し出すことによって生産されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
内側のポリマー性接着層及び外側のポリラクチド含有層が前記繊維性基材上に同時押出しされることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記紫外線照射の波長が100nm〜400nmであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
ヒートシールされた容器又は包装物を生産する方法であって、繊維性基材にポリエステルを含有するポリマーコーティングを付与すること、コーティングされた基材のウェブを移動させながら前記コーティングに紫外線照射すること、及び前記容器又は前記包装物を、前記紫外線照射されたコーティングポリマーをヒートシールすることによってシールすることを特徴とする、ヒートシールされた容器又は包装物を生産する方法。
【請求項8】
前記容器が板紙コップであり、そのジャケットの垂直方向の継ぎ目が前記コップの内側表面のポリマーコーティングをヒートシールすることによって形成されることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記コップの前記ポリマーでコーティングされた内側表面が、前記コップのコーティングされない外側表面とヒートシールされることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記包装物が板紙箱型包装物であり、そのポリマーでコーティングされた外側表面が前記包装物のコーティングされない内側表面とヒートシールされることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記繊維性基材の両側にポリマーコーティングを付与すること、並びに前記容器又は前記包装物のヒートシール処理において、その内側表面及び外側表面の前記ポリマーコーティングが互いとシールされることを特徴とする、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項12】
前記コーティングポリマーがポリラクチドを含有することを特徴とする、請求項7〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
内側のポリマー性接着層及び外側のポリラクチド含有層が前記繊維性基材上に同時押出しされることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ヒートシール処理が高温空気を用いて実施されることを特徴とする、請求項7〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記ヒートシール処理が加熱されたシールジョーによって実施されることを特徴とする、請求項7〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
ポリラクチドをシールする方法であって、ポリラクチド又はポリラクチドを含有するポリマー混合物からなる、移動しているウェブの表面に紫外線を照射し、その後、照射された表面を反対側の表面とヒートシールすることを特徴とする、ポリラクチドをシールする方法。
【請求項17】
ポリラクチド若しくはポリラクチドを含有するポリマー混合物からなる包装フィルム、又は該フィルムの表面層がヒートシールされることを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装材料のヒートシール適性を改善する方法、及びヒートシールされた容器又は包装物を生産する方法に関する。本発明は、ポリラクチド、例えばポリラクチドを含有する包装フィルムをシールする方法に更に関する。
【背景技術】
【0002】
包装技術において、ヒートシール処理は、ポリマーフィルム、又はポリマーでコーティングされた包装材料、例えば紙若しくは板紙から作製された容器又は包装物を生産する又はこれを閉じる従来から知られた方法である。低密度ポリエチレン(LDPE)は、容易にヒートシールすることが可能であるために、包装物において一般的に使用される材料である。さらに、多くの他のポリマー、例えば、LDPEとは異なり生分解性を有する又はLDPEより良好な水蒸気及び/若しくは酸素の遮断性を有するポリエステルが包装物において使用される。しかしながら、これらの他のポリマーは、LDPEよりヒートシールすることが困難であることが多く、このことが、これらの他のポリマーが包装材料の表面層には滅多に直ちに配置されず、多層材料の内側層に配置される理由である。
【0003】
ポリエチレンテレフタレート(PET)は、包装物及び容器に頻繁に使用され、良好な遮断性を有し、非常に耐熱性が高いポリエステルであり、このことが、PETがとりわけオーブン用の板紙のコーティングに好適である理由である。不都合な点は、PETはヒートシールすることが困難であることである。さらに、PETは非生分解性である。
【0004】
ポリマーフィルム、又はポリマーでコーティングされた紙若しくは板紙からなる生分解性包装物における生分解性ポリマーとしては、ポリラクチド(PLA)が一般的に使用されている。ポリラクチドは、比較的良好な水蒸気及び気体の遮断性を有するが、その使用においては、そのかなり高い融解温度及び結果として生じるヒートシール適性の低さが問題となる。押出しにおける紙又は板紙の繊維性基材へのポリラクチドの接着にも問題が多い。十分な接着には、高い押出し温度及びPLAの層厚の大きさが必要とされる。
【0005】
ポリラクチドの接着を改善するために、特許文献1の明細書は、別の生分解性ポリマー、例えばポリエステルアミド、セルロースエステル、又は脂肪族若しくは芳香族のコポリエステルからなる内側の接着層を、ポリラクチドの外側層とともに同時押出しすることを、開示している。更に、特許文献2の明細書は、ポリラクチドのヒートシール適性を改善するために、ジオール及びジカルボン酸からなる生分解性脂肪族ポリエステル、例えばポリカプロラクトン(PLC)又はポリブチレンスクシネートアジペート(PBSA)(混合物中のその割合(portion)は少なくとも9%である)とのポリラクチドの混合を開示している。特許明細書によれば、混合物を押し出してフィルムとすることができ、このフィルムは、軸方向又は二軸方向に伸張させることができ、積層加工によって繊維性基材に付着させることができる。
【0006】
特許文献3の明細書によれば、ポリラクチドの加工適性は、ポリカプロラクトン及び鉱物粒子をポリラクチドと混合することによって改善される。特許文献4の明細書は、ポリラクチド系のフィルム及びポリマーコーティングであって、繊維性基材上に押し出されるものであり、その耐熱性を改善するためにポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)がポリラクチドと混合される、ポリラクチド系のフィルム及びポリマーコーティングを更に記載している。本出願人に関連するものであり、本出願が為された時点では依然として機密扱いである(classified)特許文献5に係る特許出願は、ポリラクチド系の2層コーティングであって、同様に繊維性基材上に押し出されるものであり、内側層と、その内側層より大きな割合の生分解性ポリエステル(ポリラクチドを除く)を混合した外側層とを有することにより、ポリラクチドと繊維性基材との間の接着及びポリラクチドのヒートシール適性を最適化する、ポリラクチド系の2層コーティングを記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許第1094944号
【特許文献2】米国特許出願公開第2002−0065345号
【特許文献3】米国特許出願公開第2005−0192410号
【特許文献4】米国特許出願公開第2007−0259195号
【特許文献5】フィンランド国特許出願公開第20105247号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ポリラクチドのヒートシール適性をそれと混合される他のポリエステル又は幾つかの他の類似の添加剤によって改善しようとする場合、これらの添加剤はポリラクチドよりはるかに高価であるという不都合が存在する。さらに、ポリマーの混合は、複雑なプロセスに余分な作業段階を追加する。そのため、ポリラクチドのヒートシール適性をより低い費用で改善する代替的解決策が望まれている。同様に、包装の分野において使用される他のポリエステルフィルム及びコーティングのヒートシール適性の促進も望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上で言及される要求を満たす解決策を提供する。この解決策では、包装材料のポリエステルを含有するポリマー層に紫外線を照射する。包装材料は、例えば、単層又は多層のポリマー性の包装フィルム又は包装紙若しくは包装板紙であり、単層又は多層のポリマーコーティングが、積層すること又は押し出すことによって繊維性基材上にもたらされ、ポリエステルを含有するその最上層がUV照射される。本発明において、容器又は包装物は、ポリエステルを含有するポリマーコーティングを繊維性基材に付与することと、コーティングにUV照射することと、コーティングをヒートシールすることによって容器又は包装物をシールすることとを含む方法によって生産される。本発明における好ましいポリエステルは、生分解性を有するポリラクチドである。
【0010】
本発明によれば、ポリラクチドを含有するフィルム又はコーティング層に向けられるUV照射において特に、必要なヒートシール処理温度を一般的に使用されるLDPEに相当する又は更にはそれ以下のレベルにまで低下させても、ポリマーのヒートシール適性が大幅に改善されることが観察された。照射によってもたらされるヒートシール処理温度の低下は、単独のポリラクチドに対するものが最大であるが、ポリラクチドと他のポリマー、例えば別の生分解性ポリエステルとの混合物に対しても相当に大きい。観察結果によれば、PETフィルム又はコーティングに対するUV照射の影響はより小さいが、そうとは言っても顕著である。
【0011】
ポリラクチドが繊維系の包装材料、例えば紙又は板紙のコーティングポリマーを構成する場合、これを、例えば他の生分解性ポリエステルと混ぜると、中間のポリマー性接着層を必要とすることなく、板紙基板上に直接押し出すことができる。ただし、内側の接着層をポリラクチドとともに同時押出しすることにより、外側のヒートシール層を、それによって観察結果によればUV照射によってもたらされる利益、すなわちヒートシール処理温度の最大の低下を有する、工業用ポリラクチド(technical polylactide)のみで構成することができる。
【0012】
上記本発明の方法により生産される繊維系のポリマーでコーティングされた包装材料によってヒートシールすることができる容器及び包装物は、板紙コップ、例えば使い捨ての飲用コップ、並びに板紙箱並びにカートン包装物、例えば菓子類、ビスケット、フレーク、シリアル、化粧品及びボトルの包装物、並びに牛乳及びジュースのカートンを含む。飲用コップは、内側はポリマーでコーティングするが外側はコーティングしないものとすることができ、その場合本発明では、コップの垂直方向の継ぎ目(vertical seam)が、外側表面のコーティングされない板紙に内側表面のポリマーコーティングをシールすることによって作り出される。箱型包装物においては、逆に、包装物の外側表面をポリマーでコーティングして内側表面をコーティングしないものとすることができ、その場合、シール処理において、外側表面のポリマーコーティングが、包装物の内部のコーティングされない板紙表面にヒートシールされる。しかしながら、コップ、例えば飲用コップ、及び箱型包装物においては、板紙は両側でポリマーでコーティングされることが多く、その場合本発明では、両側のコーティングにUV照射することができ、ヒートシール処理において、これらのコーティング層は互いにシールされる。この場合も、本発明によるUV照射は、ポリエステルのヒートシール適性を改善する。
【0013】
本発明に関連する試験において、紫外線照射が、高温空気及び加熱されたシールジョーを用いて実施されるヒートシール処理の両方において、ポリラクチド又はポリラクチドを含有する混合物のシール適性を改善することが観察された。
【0014】
ポリマーでコーティングされた繊維系の包装材料に加えて、本発明は、特にそのヒートシール適性がUV照射によって改善された、ポリラクチド系の包装フィルムにも関する。本発明によれば、ポリラクチドは、単独で又は混合された形でフィルムの表面層に存在し、フィルムのヒートシール適性との関連では、PLAを含有する、ポリマーでコーティングされた包装紙及び板紙との関連で上記提示されたものと同じことが基本的に当てはまる。
【0015】
本発明の好ましい実施の一例では、生分解性ポリエステル(ポリラクチドを除く)、例えばPBAT、又はポリラクチド(50重量%〜95重量%)及び他の生分解性ポリエステル(5重量%〜50重量%)、例えばPBAT、の混合物からなる重量5g/m
2〜20g/m
2の内側の接着層、並びにポリラクチド、又はポリラクチド(40重量%〜80重量%)及び他の生分解性ポリエステル(20重量%〜60重量%)、例えばPBAT、の混合物からなる重量5g/m
2〜20g/m
2の外側のヒートシール層を有する2層コーティングが、その重量が40g/m
2〜350g/m
2であるクラフト、CTMP又は機械パルプから作製される紙又は板紙上に同時押出しされる。紙又は板紙の他の面は、コーティングされないままとすることができる。ポリマーでコーティングされたウェブ(web)は、コンベヤーに乗せられ、そのコーティングされた側をランプに向けて、5m/分〜100m/分、好ましくは5m/分〜20m/分の速度で、波長が100nm〜400nmである紫外ランプを通過する。UV照射されたウェブを切断してブランク(blank)とし、これを容器、例えば板紙飲用コップ、又は包装物、例えば包装箱若しくは包装カートンにヒートシールする。高温空気を用いてシール処理を行うことができる(空気の温度は約310℃〜400℃であり得る)。すなわちウェブの速度を遅くして、より集中的に照射した材料では、完全なシールに必要な空気の温度は、より少ない照射を受けた材料で必要な温度よりも低い。高温空気の代わりに、その温度が約130℃〜160℃であり得るシールジョーを使用することができる。この場合も、最も低い温度は、最も多く照射された材料に関するものである。
【0016】
ウェブを移動させる代わりに、ウェブ又はブランクを照射器に対して静止させて、シール処理線にUVを照射するもできる。このとき、この処理線はより大量の照射を受けるが、ポリマー表面の他の部分は照射に曝されない。PETでコーティングされたオーブン用の板紙からなるトレイブランクがその例である。
【0017】
以下で、応用例及び実施した試験を用いて、本発明をより詳細に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】実施例におけるシール処理試験の結果を表すグラフ。
【
図2】実施例におけるシール処理温度を表すグラフ。
【
図3】実施例においてPLAコーティングをそれ自身とシール処理するための温度を表すグラフ。
【
図4】UV照射によるシール処理の改善を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0019】
実施例1
重量280g/m
2の梱包用厚紙上に、ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)からなる重量10g/m
2の内側の接着層、並びに工業用ポリラクチドからなる重量15g/m
2の外側のヒートシール層を同時押出しした。押し出された2層コーティングを冷却した。その後、コーティングされた板紙のウェブを、10m/分の速度でUV照射器(UV-technik、 UVHランプモデル)下で移動させた。照射器の電力は120W/cmであり、種々の波長範囲におけるそのエネルギースペクトルはUV−C約15%、UV−B約8%、UV−A約7%、可視光約15%、及びIR約55%であった。照射された板紙から切断されたブランクを、円錐状に広がる飲用コップを被覆するような形状に曲げて、コーティングされ照射されたコップの内側表面とし、コーティングされておらず照射されていないコップの外側表面にヒートシールした。シール処理は、340℃の高温空気を用いて、及び温度が130℃である高温シールジョーによって、実施した。いずれの場合においても、完全なシールが達成され、その開封時には、繊維層において100%の断裂が生じた。換言すれば、引き剥がすことによるシール部の剥離は観察されなかった。
【0020】
実施例2
実施例1で使用された梱包用厚紙上に、組成がポリラクチド45%及びPBAT55%である重量24g/m
2の単層コーティングを押し出した。コーティングを冷却した後、コーティングされたウェブを、10m/分の速度で、実施例1で使用したUV照射器によって照射した。実施例1と同様に、コーティングされ照射された板紙から切断されたブランクを曲げ、ヒートシールして飲用コップの被覆とした。シール処理を、340℃の高温空気を用いて実施した。完全なシールが達成され、その開封時には、繊維層において100%の断裂が生じた。
【0021】
実施例3
実施例1による梱包用厚紙上に、組成がポリラクチド95%及びエチレンブチルアクリレートグリシジルメタクリレートターポリマー5%である重量25g/m
2の単層コーティングを押し出した。冷却後、実施例2と同様に、ウェブにUV照射し、ウェブから切断されたブランクを曲げ、ヒートシールして飲用コップの被覆とした。340℃の高温空気を用いるシール処理によって完全なシールが達成され、その開封時には、繊維層において100%の断裂が生じた。
【0022】
試験
比較材料は、重量210g/m
2の梱包用厚紙であり、その上に低密度ポリエチレン(LDPE)が押し出された重量25g/m
2の単層コーティングを有していた。試験材料は、重量210g/m
2の梱包用厚紙であり、その上にポリラクチド(PLA)が押し出された重量27g/m
2の単層コーティングを有していた。試験系は、PLAでコーティングされた板紙を、5m/分、10m/分、20m/分、40m/分及び80m/分の5つの異なる速度でコンベアに乗せて、上述の実施例1におけるUV照射器を通過させることによって、これから作り出した。加えて、試験系は、照射されていないPLAでコーティングされた板紙を含んでいた。
【0023】
上で記載された材料を、それぞれ、板紙のポリマーでコーティングされた側を、それに対する板紙のコーティングされていない表面とシールすることによってヒートシールした。完全なシールを達成することができる最も低い温度を見出すために、シール処理を、種々の温度で高温空気又は高温シールジョーを用いて実施した。その基準は、引き剥がすことによって板紙層から剥離せず、100%の断裂が生じることであった。
【0024】
シール処理試験の結果を、添付の
図1におけるグラフを用いて示す。UV照射されていないPLAでコーティングされた板紙が、比較材料として使用されたLDPEでコーティングされた板紙より大幅に高いシール処理温度を必要としたことを観察することができる。UV照射によって、使用された全てのウェブ速度で、PLAでコーティングされた板紙のシール処理温度が明らかに低下した。ウェブ速度が緩やかであるほど、より大きく低下した。10m/分の速度で照射されたPLAでコーティングされた板紙に関しては、シール適性は、比較材料、すなわち照射されていないLDPEでコーティングされた板紙、のシール適性と少なくとも同程度良好であり、5m/分の速度では、更に明らかにより良好であった。結果は、高温空気及び高温シールジョーを用いて実施されたシール処理の両方において基本的に同じであった。
【0025】
PLA及びPBATの混合物でコーティングされた上の実施例2によって得られた板紙、PLA及びエチレンブチルアクリレートグリシジルメタクリレートターポリマーの混合物でコーティングされた実施例3によって得られた板紙、並びにPETでコーティングされた(25g/m
2)板紙(280g/m
2)のヒートシール処理によって、試験を継続した。シール処理プロセスを、高温空気のみを用いて実施した。UV照射された試験材料に加えて、UV照射を行わない同じコーティングされた板紙を含む比較材料を用いた。結果を添付の
図2に示す。PLAを含有する両方のコーティング組成について、UV照射によって、完全なヒートシールに必要な温度が明らかに低下することを見ることができる。PETについては、シール処理温度の低下は僅かであったが、実際上、UV照射によって十分な結果が得られた。
【0026】
第3の試験系では、板紙上におけるPLAコーティングのPLAコーティングそれ自体とのシール処理を研究した。第1の試験系のものと同じグレードのものであるPLAでコーティングされた板紙、すなわち、その上に27g/m
2のPLAコーティング層を有する重量210g/m
2の板紙を、10m/分〜80m/分のウェブ速度で、上に記載のUV照射器によって照射した。照射されていないPLAでコーティングされた板紙を含む比較材料を用いた。シール処理は、板紙を曲げて、自身のPLAコーティング同士をシールすることによって実施した。結果を、添付の
図3におけるグラフを用いて示す。第1の試験系と比較して観察すると、PLA層をそれ自体とシールすることが、コーティングされていない板紙表面とシールすることより明らかに容易であることがわかる。しかしながら、この場合も、PLAコーティングのUV照射によってシール適性が明らかに改善される。
【0027】
第4の試験系においては、上に記載のPLAでコーティングされた板紙に、ウェブの速度を20m/分及び50m/分にして、上で言及されたUV照射器によって照射し、シール処理を、高温シールジョーによって実施した。照射されていないPLAでコーティングされた板紙を含む比較材料を用いた。シールが完全となると考えられる最も低い温度を見出すために、ジョーのシール処理温度を徐々に上昇させた。結果を、添付の
図4におけるグラフを用いて示す。
図4では、縦軸が、以下の尺度によってシールを示す:(1)シールなし、(2)シールが弱い(開封時に継ぎ目が音を立てる(rustles))、(3)シールが弱い(50%未満の継ぎ目の表面領域上で板紙が断裂する)、(4)シールが十分である(50%を超える継ぎ目の表面領域上で板紙が断裂する)、及び(5)シールが完全である(継ぎ目の表面領域の至る所で板紙が断裂する)。PLAコーティングのUV照射が、ジョーによって実施されるシール処理も改善することを観察することができる。特に20m/分というより緩やかなウェブ速度では、照射されていない比較材料との差異が明らかである。