【文献】
Dominic Gates,Boeing 787 may not fly this year,Seattle Times Newspaper,米国,The Seattle Times Company,2009年 7月22日,XP002661843,URL,http://seattletimes.nwsource.com/html/boeingaerospace/2009513152_boeing22.html
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【0005】
開示されるストリンガ端部トリムによって、ストリンガ端部における軸方向曲げ剛性を低くして、荷重がストリンガ端部に殆ど掛からないようにする。更に、端部トリムによって、荷重をより広い領域に亘って、かつストリンガトリム切り欠き縁部に沿って分散させることができる。その結果、引き剥がし力に対する耐性及び局所歪み集中に対する耐性は共に、ストリンガ端部トリム設計における重要な特性である。トリムの歪み集中を最小にするために、半径を連続的に変化させることが、切り欠き部に沿ったこれらの歪み集中を低減する最も効果的な方法となり得る。引き剥がし力を、所定のジョイントの構造上の要件を満たすように低減するために、更に別の注意事項が必要となる。変化部を、半径が連続的に変化する2つの半径縁部の間に付加すると、効果的な材料がストリンガに付加されて曲げ剛性が高くなるとともに、ストリンガトリムに沿った歪み集中が最小になることにより、耐性を高めることができることが確認された。
【0006】
ジョイントアタッチメントが、複合材ストリンガのベースフランジ及びキャップフランジの両方を介して取り付けられる状況では、複数の半径方向トリムが好適な方法となり得る。このトリムの目的は、自由縁部における局所応力及び歪みを、SOB(翼付け根)ジョイント近傍の軸方向曲げ剛性を低くすることにより低減することにある。端部トリムを用いることにより、荷重を分散させることができ、従ってSOBジョイント近傍の複合材構造への応力及び歪みを分散させることができる。このようなトリムが、空間的な制約、縁部マージンの注意事項などに起因して実用的ではない場合では、半径が可変の1半径方向トリムが好ましい。
【0007】
アタッチメントが、ストリンガの1つのフランジを介したスキンアタッチメントまたはストリンガアタッチメントによってのみ取り付けられることが好ましい場合では、より長い半楕円形のトリム/半径が連続的に変化するトリムが、応力及び歪み集中を低減するために好ましい。この例では、ストリンガは、荷重がストリンガ端部(特に、非締結ストリンガフランジ)から遠ざかって、ストリンガウェブ、締結ストリンガフランジ、継手、及び外板に向かう方向に出来る限り分散されるようにトリム切除される。このトリムの目的は、出来る限り広い面積に相当する部分のストリンガを、ジョイントの重心回りのモーメント耐性、または軸方向剛性を低下させることなくトリミング除去することにある。
【0008】
本開示は概して、ストリンガ結合構造への引き剥がし力を低減するストリンガ端部トリムを有するストリンガに関するものであり、前記ストリンガは、ストリンガ本体と、前記ストリンガ本体に設けられるストリンガ自由縁部と、そして前記ストリンガ結合構造を形成する前記ストリンガ自由縁部に設けられる少なくとも1つの曲率部を有するストリンガ端部トリムと、を含む。
【0009】
本開示は更に、1つ、または複数の半径縁部を有し、かつ複合材翼ストリンガウェブへの応力及び歪み集中を低減するために適するストリンガに関するものである。この半径縁部またはこれらの半径縁部は、荷重がストリンガキャップ及びストリンガベースフランジからこれらの半径縁部に向かって伝達されるようにすることにより、ストリンガのキャップ及びベースフランジへの、かつ固定縁部に沿った応力及び歪みを低減することができる。ストリンガの例示的な実施形態は、ストリンガ本体と、前記ストリンガ本体に設けられるストリンガ自由縁部と、そして前記ストリンガ自由縁部に設けられる少なくとも1つの半径縁部を有するストリンガ端部トリムと、を含む。
【0010】
更に、本開示は概して、航空宇宙製品(例えば、これらには限定されないが、飛行機の垂直安定板及び水平安定板、翼/フィン胴体取り付け構造、または航空機、ロケット、及びミサイルのような)の翼/胴体結合構造または翼/フェアリングアタッチメントに関するものである。翼/胴体結合構造の例示的な実施形態は、翼付け根リブと、翼付け根リブによって支持されるストリンガ本体、前記ストリンガ本体に設けられるストリンガ自由縁部、及び前記ストリンガ自由縁部に設けられる少なくとも1つの半径縁部を有するストリンガ端部トリムを有するストリンガと、そして前記翼付け根リブ及び前記ストリンガによって支持される翼外板パネルと、を含む。
【0011】
更に、本開示は概して、ストリンガの自由端部への応力集中を調整低減する方法に関するものである。前記方法の例示的な実施形態は、ストリンガ自由端部を有するストリンガを設けるステップと、そして少なくとも1つの半径縁部を前記ストリンガ自由端部に設けるステップと、を含む。
【0012】
幾つかの実施形態では、前記ストリンガは、第1ストリンガフランジと、第2ストリンガフランジと、そして前記第1ストリンガフランジと前記第2ストリンガフランジとの間に延びるストリンガウェブと、を有する積層複合材ストリンガ本体と;前記ストリンガウェブに設けられるストリンガ自由縁部と;そして前記ストリンガ自由縁部に設けられ、かつ半径が連続的に変化する放物線状の第1半径縁部と、半径が連続的に変化する放物線状の第2半径縁部と、そして前記第1半径縁部と前記第2半径縁部を結ぶ凸状半径変化部と、を有する2半径方向ストリンガ端部トリムと、を含むことができる。
【0013】
幾つかの実施形態では、前記翼/胴体結合構造は、翼付け根リブと;前記翼付け根リブによって支持される積層複合材ストリンガ本体を有し、かつ第1ストリンガフランジ、第2ストリンガフランジ、前記第1ストリンガフランジと前記第2ストリンガフランジとの間に延びるストリンガウェブ、前記ストリンガウェブに設けられるストリンガ自由縁部、及び2半径方向ストリンガ端部トリムを含むストリンガであって、前記2半径方向ストリンガ端部トリムが前記ストリンガ自由縁部に設けられ、かつ半径が連続的に変化する放物線状の第1半径縁部と、半径が連続的に変化する放物線状の第2半径縁部と、そして前記第1半径縁部と前記第2半径縁部を結ぶ凸状半径変化部と、を有する、前記ストリンガと;前記翼付け根リブ、及び前記ストリンガの前記第1ストリンガフランジによって支持される翼外板パネルと;そして前記ストリンガの前記第2ストリンガフランジによって支持されるストリンガキャップ継手と、を含むことができる。
【0014】
幾つかの実施形態では、ストリンガの自由端部への応力集中を調整低減する方法は、第1ストリンガフランジと、第2ストリンガフランジと、そして前記第1ストリンガフランジと前記第2ストリンガフランジとの間に、ストリンガ自由端部をストリンガウェブに設けた状態で延びるストリンガウェブと、を含む積層複合材ストリンガ本体を有するストリンガを設けるステップと;半径が連続的に変化する放物線状の第1半径縁部と、半径が連続的に変化する放物線状の第2半径縁部と、そして前記ストリンガ自由端部の前記第1半径縁部と前記第2半径縁部を結ぶ凸状半径変化部と、を有する2半径方向ストリンガ端部トリムを施すステップと;翼付け根リブと、そして前記翼付け根リブによって支持される翼外板パネルと、を有する翼/胴体結合構造を設けるステップと;前記ストリンガを前記翼/胴体結合構造に、前記ストリンガの前記ストリンガ本体を前記翼付け根リブ及び前記翼外板パネルに結合させることにより取り付けるステップと、を含むことができる。ストリンガキャップ及びベースフランジアタッチメントを含むアタッチメントの場合、「Double Grodzinski(ダブルグロッジンスキー)」形状または2半径方向ストリンガ端部トリム形状を用いることができる。1つのストリンガフランジを介してのみ取り付けられるストリンガアタッチメントを含むアタッチメントの場合、1半径方向ストリンガ端部トリム形状が好ましい。
【0015】
まとめると、本願発明の一つの観点によれば、
ストリンガ結合構造への引き剥がし力を低減するストリンガ端部トリムを有するストリンガであって:
ストリンガ本体と、
前記ストリンガ本体に設けられるストリンガ自由縁部と、
前記ストリンガ結合構造を形成する前記ストリンガ自由縁部に設けられる少なくとも1つの曲率部を有するストリンガ端部トリムと、
を備える、ストリンガが提供される。
有利には、前記ストリンガ本体は、第1ストリンガフランジと、第2ストリンガフランジと、そして前記第1ストリンガフランジと前記第2ストリンガフランジとの間に延びるストリンガウェブと、を備える、前記ストリンガ。
有利には、前記ストリンガ端部トリムは前記ストリンガウェブに設けられる、前記ストリンガ。
有利には、少なくとも1つの曲率部を有する前記ストリンガ端部トリムは、1つの半径縁部を有する1つの曲率ストリンガ端部トリムを含む、前記ストリンガ。
有利には、前記1つの半径縁部は、連続的に変化する半径を有する、前記ストリンガ。
有利には、前記1つの半径縁部は、1つの放物線状の半径縁部を含む、前記ストリンガ。
有利には、少なくとも1つの曲率部を有する前記ストリンガ端部トリムは、2つの曲率ストリンガ端部トリムを含む、前記ストリンガ。
有利には、前記2つの曲率ストリンガ端部トリムは、2つの放物線状の半径縁部を有する、前記ストリンガ。
有利には、前記2つの曲率ストリンガ端部トリムは、第1半径縁部と、第2半径縁部と、そして前記第1半径縁部と前記第2半径縁部を結ぶ半径変化部と、を含む、前記ストリンガ。
有利には、前記ストリンガ本体は複合材料を含む、前記ストリンガ。
本願発明の更に別の観点によれば、翼付け根リブと、
前記翼付け根リブによって支持されるストリンガ本体と、前記ストリンガ本体に設けられるストリンガ自由縁部と、そして前記ストリンガ自由縁部に設けられる少なくとも1つの半径縁部を有するストリンガ端部トリムと、を有するストリンガと、
前記翼付け根リブ及び前記ストリンガによって支持される翼外板パネルと、
を備える、翼/胴体結合構造
が提供される。
【0016】
有利には、前記ストリンガ本体は、第1ストリンガフランジと、第2ストリンガフランジと、そして前記第1ストリンガフランジと前記第2ストリンガフランジとの間に延びるストリンガウェブと、を備える、
前記翼/胴体結合構造。
【0017】
有利には、少なくとも1つの半径縁部を有する前記ストリンガ端部トリムは、1つの半径縁部を有する1半径方向ストリンガ端部トリムを含む、
前記翼/胴体結合構造。
【0018】
有利には、前記1つの半径縁部は、連続的に変化する半径を有する、
前記翼/胴体結合構造。
【0019】
有利には、少なくとも1つの半径縁部を有する前記ストリンガ端部トリムは、2半径方向ストリンガ端部トリムを含む、
前記翼/胴体結合構造。
【0020】
有利には、前記2半径方向ストリンガ端部トリムは、第1半径縁部と、第2半径縁部と、そして前記第1半径縁部と前記第2半径縁部を結ぶ半径変化部と、を含む、
前記翼/胴体結合構造。
【0021】
有利には、更に、前記ストリンガ本体によって支持されるストリンガキャップ継手を備える、
前記翼/胴体結合構造。
本願発明の更に別の観点によれば、ストリンガの自由端部への応力集中を調整低減する方法であって:
ストリンガ自由端部を有するストリンガを設けるステップと、
少なくとも1つの曲率部を前記ストリンガ自由端部に設けるステップと、
を含む、方法が提供される。
有利には、少なくとも1つの曲率部を前記ストリンガ自由端部に設ける前記ステップでは、少なくとも1つの半径縁部を前記ストリンガ自由端部に設ける、前記方法。
有利には、少なくとも1つの曲率部を前記ストリンガ自由端部に設ける前記ステップでは、複数の半径縁部を前記ストリンガ自由端部に設ける、前記方法。
有利には、複数の半径縁部を前記ストリンガ自由端部に設ける前記ステップは、第1半径縁部を前記ストリンガ自由端部に設けるステップと、第2半径縁部を前記ストリンガ自由端部に設けるステップと、そして半径変化部を前記ストリンガ自由端部に設け、そして前記第1半径縁部と前記第2半径縁部を前記半径変化部で結ぶステップと、を含む、前記方法。
有利には、前記第1半径縁部及び前記第2半径縁部の各半径縁部はそれぞれ、連続的に変化する半径を有する、前記方法。
有利には少なくとも1つの曲率部を前記ストリンガ自由端部に設ける前記ステップでは、半径が連続的に変化する1つの半径縁部を前記ストリンガ自由端部に設ける、前記方法。
【0022】
本願発明の更に別の観点によれば、第1ストリンガフランジと、第2ストリンガフランジと、そして前記第1ストリンガフランジと前記第2ストリンガフランジとの間に延びるストリンガウェブと、を有する積層複合材ストリンガ本体と、
前記ストリンガウェブに設けられるストリンガ自由縁部と、
前記ストリンガ自由縁部に設けられ、かつ半径が連続的に変化する放物線状の第1半径縁部と、半径が連続的に変化する放物線状の第2半径縁部と、そして前記第1半径縁部と前記第2半径縁部を結ぶ凸状半径変化部と、を有する2半径方向ストリンガ端部トリムと、
を備える、ストリンガ
が提供される。
【0023】
本願発明の更に別の観点によれば、翼付け根リブと、
前記翼付け根リブによって支持され、かつ第1ストリンガフランジと、第2ストリンガフランジと、前記第1ストリンガフランジと前記第2ストリンガフランジとの間に延びるストリンガウェブと、を含む積層複合材ストリンガ本体と、前記ストリンガウェブに設けられるストリンガ自由縁部と、そして前記ストリンガ自由縁部に設けられ、かつ半径が連続的に変化する放物線状の第1半径縁部と、半径が連続的に変化する放物線状の第2半径縁部と、そして前記第1半径縁部と前記第2半径縁部を結ぶ凸状半径変化部と、を有する2半径方向ストリンガ端部トリムと、を有するストリンガと、
前記翼付け根リブ、及び前記ストリンガの前記第1ストリンガフランジによって支持される翼外板パネルと、
前記ストリンガの前記第2ストリンガフランジによって支持されるストリンガキャップ継手と、
を備える、翼/胴体結合構造
が提供される。
【0024】
本願発明の更に別の観点によれば、ストリンガの自由端部への応力集中を調整低減する方法であって:
第1ストリンガフランジと、第2ストリンガフランジと、そして前記第1ストリンガフランジと前記第2ストリンガフランジとの間に、ストリンガ自由端部を前記ストリンガウェブに設けた状態で延びるストリンガウェブと、を含む積層複合材ストリンガ本体を有するストリンガを設けるステップと、
半径が連続的に変化する放物線状の第1半径縁部と、半径が連続的に変化する放物線状の第2半径縁部と、そして前記ストリンガ自由端部の前記第1半径縁部と前記第2半径縁部を結ぶ凸状半径変化部と、を有する2半径方向ストリンガ端部トリムを施すステップと、
翼付け根リブと、そして前記翼付け根リブによって支持される翼外板パネルと、を有する翼/胴体結合構造を設けるステップと、
前記ストリンガを前記翼/胴体結合構造に、前記ストリンガの前記ストリンガ本体を前記翼付け根リブ及び前記翼外板パネルに結合させることにより取り付けるステップと、
を含む、方法
が提供される。
【0025】
有利には、翼/胴体結合構造のストリンガへの剥離荷重を低減する方法であって:
ストリンガ自由端部を有するストリンガを設けるステップと、
少なくとも1つの半径縁部を前記ストリンガ自由端部に設けるステップと、
を含む、方法。
【0026】
有利には、少なくとも1つの半径縁部を前記ストリンガ自由端部に設ける前記ステップは、複数の半径縁部を前記ストリンガ自由端部に設けるステップを含む、
前記方法。
【0027】
有利には、複数の半径縁部を前記ストリンガ自由端部に設ける前記ステップは、第1半径縁部を前記ストリンガ自由端部に設けるステップと、第2半径縁部を前記ストリンガ自由端部に設けるステップと、そして半径変化部を前記ストリンガ自由端部に設けて、前記第1半径縁部と前記第2半径縁部を前記半径変化部で結ぶステップと、を含む、
前記方法。
【0028】
有利には、前記第1半径縁部及び前記第2半径縁部の各半径縁部はそれぞれ、連続的に変化する半径を有する、
前記方法。
【0029】
有利には、少なくとも1つの半径縁部を前記ストリンガ自由端部に設ける前記ステップは、半径が連続的に変化する1つの半径縁部を前記ストリンガ自由端部に設けるステップを含む、
前記方法。
【0030】
更に、本開示は概して、翼/胴体結合構造のストリンガへの剥離荷重を低減する方法に関するものである。前記方法の例示的な実施形態は、ストリンガ自由端部を有するストリンガを設けるステップと、そして少なくとも1つの半径縁部を前記ストリンガ自由端部に設けるステップと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】
図1は、2半径方向ストリンガ端部トリムをストリンガに施した状態のストリンガを側面から見た図である。
【
図1A】
図1Aは、2半径方向ストリンガ端部トリムを施すために適するdouble Grodzinski(ダブルグロッジンスキー)半径縁部の側面図である。
【
図2】
図2は、2半径方向ストリンガ端部トリムを施したストリンガを有する翼/胴体結合構造を斜めから見た図である。
【
図3】
図3は、2半径方向ストリンガ端部トリムが施され、かつ翼付け根(SOB)リブに取り付けられた一対のストリンガを有する翼/胴体結合構造を断面から見た図である。
【
図4】
図4は、1半径方向ストリンガ端部トリムを施したストリンガを側面から見た図である。
【
図5】
図5は、1半径方向ストリンガ端部トリムが施され、かつ翼付け根(SOB)リブに取り付けられた一対のストリンガを有する翼/胴体結合構造を断面から見た図である。
【
図6】
図6は、2半径方向ストリンガ端部トリムを施したストリンガへの荷重の最適化を示すグラフであり、正規化移動平均引き剥がし荷重(Y軸)を自由縁部効果発現度合い(X軸)に対してプロットしている。
【
図7】
図7は、異なる端部トリムを施したストリンガを移動平均引き剥がし荷重(lb/in:ポンド/インチ)について比較した様子を示すグラフである。
【
図8】
図8は、2半径方向ストリンガ端部トリムを施したストリンガと1半径方向ストリンガ端部トリムを施したストリンガを移動平均荷重について比較した様子を示すグラフである。
【
図9】
図9は、1半径方向ストリンガ端部トリムを施した基準ストリンガへの移動平均引き剥がし荷重(約375 lb/in)と、2半径方向ストリンガ端部トリムを施したストリンガへの移動平均引き剥がし荷重(約150 lb/in)を、ストリンガの自由縁部からのインチで表わした距離の関数として比較した様子を示すグラフである。
【
図10】
図10は、取り付けた積層複合材ストリンガの自由端部への応力集中を調整低減する方法を示すフロー図を示している。
【
図11】
図11は、ストリンガ末端への応力集中を調整低減する方法を示すフロー図を示している。
【
図11A】
図11Aは、翼/胴体結合構造のストリンガへの剥離荷重を低減する方法を示すフロー図を示している。
【
図12】
図12は、航空機製造及び整備方法のフロー図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下の詳細な説明は、本質的に単なる例示であり、そして記載される実施形態、または記載される実施形態の用途及び使用を限定する趣旨ではない。本明細書において使用されるように、「exemplary」または「illustrative」という単語は、「serving as an example, instance, or illustration(例、事例、または実例として利用される)」ことを意味する。本明細書において「exemplary」または「illustrative」として記載される実施形態は決して、他の実施形態よりも好適である、または有利であるとして解釈される必要があるという訳ではない。以下に記載される種々実施形態の全ては、この技術分野の当業者による本開示の実施を可能にするために提供される例示的な実施形態であり、そして添付の請求項の範囲を限定する趣旨ではない。更に、前出の技術分野、背景技術、発明の概要、または以下の詳細な説明において提示される如何なる明示的または暗示的な理論によっても拘束されるものではない。
【0033】
最初に、これらの図面のうちの
図1〜3を参照するに、2半径方向ストリンガ端部トリムが施されたストリンガ、以降「stringer」と表記されるストリンガの例示的な実施形態が、
図1の参照番号2で一括指示されている。
図2及び3に図示されるように、幾つかの実施形態では、ストリンガ2は、宇宙航空用途または他の用途における翼/胴体結合構造(wing−to−body structure)1の一部とすることができ、この場合、ストリンガ2の自由縁部8への応力及び歪み集中を低減することが望ましい。幾つかの実施形態では、自由縁部8は
図1に示すように曲線状とすることができる。ストリンガ2は、複合材料とすることができるストリンガ本体9を含むことができ、このストリンガ本体9は、ストリンガベースフランジ3と、ストリンガキャップフランジ4と、そしてストリンガベースフランジ3とストリンガキャップフランジ4との間を延在するストリンガウェブ5と、を有する。ストリンガベース3は、複合材積層板3aを有する積層複合材とすることができる。ストリンガベースフランジ3,ストリンガキャップ4、及び/又はストリンガウェブ5は、複合材積層板4aを有する積層複合材とすることができる。ストリンガ2は、例えばこれらには限定されないが、J字形状、Z字形状、T字形状、またはハット形状を含む種々の断面形状のうちの任意の形状を有することができる。
【0034】
ストリンガ2のストリンガ本体9は、ストリンガ自由縁部8を有することができる。2半径方向ストリンガ端部トリム7は、ストリンガ自由縁部8に施すことができる。
図1Aに示すように、2半径方向ストリンガ端部トリム7は、2半径縁部形状(double radius configuration)であるdouble Grodzinski radius(ダブルグロッジンスキー半径縁部)80とすることができ、この2半径縁部形状は、第1連続曲率半径変化部81と、半径が連続的に変化する第1半径縁部81と、半径が連続的に変化する第1半径縁部81から延びる半径変化部82と、そして半径が連続的に変化し、かつ半径変化部82から延びる第2半径縁部83と、を有する。
図1に示すように、2半径方向ストリンガ端部トリム7は、略凹状の第1半径縁部10と、略凹状の第2半径縁部14と、そして第1半径縁部10と第2半径縁部14を結ぶ略凸状の半径変化部12と、を含むことができる。第1半径縁部10、半径変化部12、及び第2半径縁部14は、連続的に変化する半径16a〜16cをそれぞれ有することができる。幾つかの実施形態では、第1半径縁部10及び第2半径縁部14はそれぞれ、図示のように、略放物線形状を有することができる。半径変化部12は、第1半径縁部10と第2半径縁部14との間のなだらかな輪郭変化領域となることができる。2半径方向ストリンガ端部トリム7の第1半径縁部10、第2半径縁部14、及び半径変化部12は、ストリンガ自由縁部8に、この技術分野の当業者が有する知識に基づいて切断形成する、そして/またはそれ以外には、加工形成することができる。
【0035】
図2及び3に示すように、ストリンガ2は、翼/胴体結合構造1の一部とすることができ、翼/胴体結合構造1は、翼付け根(side of body:SOB)スプライスプレート22を含むことができる。SOBスプライスプレート22は、目的に適合する金属材料、複合材料、及び/又は他の材料とすることができる。ストリンガ2は、翼外板パネル18に結合させる、そして/またはそれ以外には、取り付けることができ、この翼外板パネル18はSOBスプライスプレート22に、ストリンガ2のストリンガ自由縁部8がSOBスプライスプレート22に略隣接する状態で取り付けられる。ストリンガ2及び翼外板パネル18は、SOBスプライスプレート22にボルト締めする(図示せず)、そして/またはそれ以外には、取り付けることができる。
図2に示すように、幾つかの実施形態では、ストリンガキャップ継手24をストリンガ2のストリンガキャップ4に配設することができる。
【0036】
図3に示すように、航空宇宙用途または他の用途では、圧縮荷重20が翼外板パネル18及びストリンガ2に加わる可能性がある。圧縮荷重20は、翼外板パネル18及びストリンガ2からSOBスプライスプレート22に伝達される可能性がある。圧縮荷重20によって曲げモーメント26が、翼外板パネル18の端部18a、及びストリンガ2に生じる虞がある。曲げモーメント26は引き剥がし荷重27として作用する虞があり、この引き剥がし荷重は、ストリンガ2のストリンガウェブ5への剥離荷重としても知られている。2半径方向ストリンガ端部トリム7によって、ストリンガ自由縁部8における曲げモーメント26から生じる引き剥がし荷重27の絶対値を小さくすることができる。2半径方向ストリンガ端部トリム7によって更に、トリム周縁の歪み30をストリンガ自由縁部8全体に亘って最小にすることができる。
図2に示すように、2半径方向ストリンガ端部トリム7によって、ストリンガベースフランジ3及びストリンガキャップ4から2半径方向ストリンガ端部トリム7に向かう荷重伝達経路38を設定することができる。これにより、ストリンガベースフランジ3及びストリンガキャップ4に沿った応力及び歪み集中30を低減することができるので、ストリンガが外板から引き剥がされる可能性を低くすることができる。
【0037】
次に、
図4及び5を参照するに、1半径方向ストリンガ端部トリムを施したストリンガ、以降「stringer」と表記されるストリンガが、参照番号2aで一括指示されている。1半径方向ストリンガ端部トリム28は、ストリンガ2aのストリンガ本体109のストリンガ自由縁部86に施すことができる。1半径方向ストリンガ端部トリム28は、連続的に変化する半径16を有することができる1つの半径縁部29を有することができる。
図4に示すように、幾つかの実施形態では、1半径方向ストリンガ端部トリム28の1半径縁部29は、ストリンガ2aのストリンガキャップフランジ104を貫通して延在することができる。幾つかの実施形態では、1つの半径縁部29は、図示のように、略放物線形状を有することができる。1半径方向ストリンガ端部トリム28は、ストリンガ自由縁部86に、この技術分野の当業者が有する知識に基づいて切断形成する、そして/またはそれ以外には、加工形成することができる。ストリンガ2aは、例えばこれらには限定されないが、J字形状、Z字形状、T字形状、またはハット形状を含む種々の断面形状のうちの任意の形状を有することができる。
【0038】
図5に示すように、ストリンガ2aは、翼/胴体結合構造1aの一部とすることができ、この翼/胴体結合構造1aは、翼付け根(SOB)スプライスプレート122を含むことができる。ストリンガ2aは、翼外板パネル118に結合させる、そして/またはそれ以外には、取り付けることができ、この翼外板パネル118はSOBスプライスプレート122に、ストリンガ2aのストリンガ自由縁部108がSOBスプライスプレート122に略隣接する状態で取り付けることができる。ストリンガ2a及び翼外板パネル118は、SOBスプライスプレート122にボルト締めする、そして/またはそれ以外には、取り付けることができる。1半径方向ストリンガ端部トリム128を施したストリンガ2aは、翼外板パネル118のような構造体118をストリンガ2aの一方の側106にのみ設ける用途において使用することができる。当該事例では、ストリンガキャップ継手124(
図2)をストリンガ2の反対の側106aから無くすことができる。
【0039】
ストリンガ2aは、
図2及び3のストリンガ2についてこれまで説明してきた通りに適用することができる。従って、航空宇宙用途または他の用途では、翼外板パネル118に加わる圧縮荷重120は、翼外板パネル118からストリンガ2aに、SOBスプライスプレート122を介して伝達させることができる。曲げモーメント126は、ストリンガ2aのストリンガウェブ5に引き剥がし荷重127として作用する虞がある。1半径方向ストリンガ端部トリム128によって、ストリンガ自由縁部108における曲げモーメント126から生じる引き剥がし荷重127の絶対値を小さくすることができる。1半径方向ストリンガ端部トリム128によって更に、トリム周縁の歪み130をストリンガ自由縁部86全体に亘って最小にすることができる。
図4に示すように、1半径方向ストリンガ端部トリム28によって、ストリンガベースフランジ103及びストリンガキャップ104から1半径方向ストリンガ端部トリム128に向かう荷重伝達経路39を設定することができる。これにより、ストリンガベースフランジ103及びストリンガキャップ104に沿った応力及び歪み集中130を低減することができるので、引き剥がし荷重を低減することができる。
【0040】
次に、
図6を参照するに、2半径方向ストリンガ端部トリム7を施したストリンガ2(
図1)への荷重最適化を示すグラフ32が図示されている。グラフ32では、ストリンガ2の自由縁部の効果の発現度合いをX軸33に沿ってプロットし、そして自由縁部の効果の発現度合いを表わす各値に対応する正規化移動平均荷重27(
図3,5)をY軸34に沿ってプロットしている。最適化方向35が直線35として図示されている。1.0の正規化移動平均荷重27は、構造上必要とされる耐荷重性能の100%の自由縁部の効果の発現度合い33に対応する。グラフ32のポイント群36は、2半径方向ストリンガ端部トリム7を施したストリンガ2の種々の最適化された実施形態、及び最適化されていない実施形態を示している。
【0041】
引き剥がし荷重127は、ストリンガウェブ5からストリンガフランジ103に伝達される引っ張り荷重から生じたものである。提案するストリンガ端部トリム128によって、変化を徐々に引き起こすことができ、これにより、引っ張り荷重を、より長い変化経路に亘って再分散させることができ、そして移動平均引き剥がし荷重127を低減することができる。更に、端部トリム128によって、最大引き剥がし荷重を自由縁部108から、剥離停止及び防止機構を作動させることができる箇所に向かって遠ざけることができる。端部トリムでは、既存の形状を利用して、最大荷重を外板/ストリンガ結合線(図示せず)に直接分散させるのではなく、二面せん断ファスナー位置(図示せず)を介して分散させる。1半径方向曲線縁部または2半径方向曲線縁部の何れを使用するかは、ファスナーパターンを含むストリンガの断面形状によって異なった。一般的に、2半径方向曲線縁部が1半径方向曲線縁部よりも、ストリンガの両方の側(キャップ及びベースフランジ)がボルト締めされる構成に関して最適である/好適であることが判明している。
【0042】
所望の荷重伝達機構に関連付けられて所望の設計形状包絡線に収まるGrodzinski(グロッジンスキー)曲線を利用することにより、提案する端部トリム128形状が得られた。更に、Double Grodzinski(ダブルグロッジンスキー)は半径変化部16b(
図1)を有し、この半径変化部16bは、更に大きい曲げ耐力をストリンガ2に、ストリンガ剛性を高めることにより保持させることができる。この特徴によって、荷重のうちのより大きい部分を、ストリンガ2に向かって、かつベースフランジ103から遠ざかる方向に伝達することができるので、ベースフランジ/外板ファスナー位置を介して伝達される荷重が若干小さくなって引き剥がし耐力を更に向上させることができる。
【0043】
次に、
図7を参照するに、端部トリム28を施したストリンガ2a(
図3)、及び端部トリム28を施していないストリンガ2aを移動平均荷重(lb/in:ポンド/インチ)27(
図3)について比較した様子を示すグラフ40が図示されている。ストリンガ自由縁部8までの距離(単位:インチ)をX軸41に沿ってプロットし、そしてストリンガ2aに加わる移動平均荷重(lb/in)27をY軸42に沿ってプロットしている。ストリンガ自由縁部8における最大移動平均荷重は5400 lb/inである。ファスナー位置45は、ストリンガ自由縁部8から2〜3インチである。ストリンガ自由縁部8に加わり、かつファスナーの影響を受ける距離44内に位置する低いピーク移動平均荷重27(
図3)は約1000 lb/inである。この比較に示されるデータは、重いストリンガ構造に基づくデータであった。
【0044】
次に、
図8を参照するに、2半径方向端部トリム7を施したストリンガ2(
図1)、及び1半径方向端部トリム28を施したストリンガ2a(
図4)をピーク移動平均荷重について比較した様子を示すグラフ50が図示されている。ストリンガ自由縁部8までの距離(単位:インチ)をX軸51に沿ってプロットし、そしてストリンガ2,2aに加わる移動平均荷重(lb/in)27をY軸52に沿ってプロットしている。ストリンガ2aに1半径方向端部トリム28を施した場合のピーク移動平均荷重53は約2,400 lbs/in(ポンド/インチ)である。ストリンガ2に2半径方向端部トリム7を施した場合のピーク移動平均荷重54は約1,800 lbs/in(ポンド/インチ)である。これは、ピーク引き剥がし荷重27(
図3)が33%低減した状態に相当する。
【0045】
次に、
図9を参照するに、1半径方向端部トリム7を施したストリンガ2、及び2半径方向ストリンガ端部トリム7を施したテスト用ストリンガ2を、軽いストリンガ構造の移動平均荷重27について比較した様子を示すグラフ60が図示されている。ストリンガ2の自由縁部8からのインチ表示の距離をX軸61に沿ってプロットしている。ストリンガ2に加わるlbs/in(ポンド/インチ)表示の移動平均荷重27をY軸62に沿ってプロットしている。1半径方向端部トリム63を施した第1ストリンガには、約375 lbs/in(ポンド/インチ)の最大移動平均荷重27が加わっていた。1半径方向端部トリム65を施した第2ストリンガには、約460 lbs/in(ポンド/インチ)の最大移動平均荷重27が加わっていた。2半径方向トリム64を施した第1ストリンガには、約150 lbs/in(ポンド/インチ)の最大移動平均荷重27が加わっていた。2半径方向トリム66を施した第2ストリンガには、約160 lbs/in(ポンド/インチ)の最大移動平均荷重27が加わっていた。1半径方向トリム63を施した第1ストリンガ、及び1半径方向トリム65を施した第2ストリンガと比較すると、2半径方向トリム64を施した第1ストリンガ、及び2半径方向トリム66を施した第2ストリンガには共に、より小さい移動平均荷重27が加わっていた。端部トリムによって、静的載荷状態及び動的載荷状態の両方に耐え易くなる。当該有効性を評価し、そして当該有効性は、静的載荷状態に対してのみならず動的載荷状態(疲労)に対しても発現した。
【0046】
次に、
図10を参照するに、取り付けた積層複合材ストリンガ2のストリンガ自由端部8への応力集中を調整低減する方法を示すフロー
図1100が図示されている。ブロック1102では、ストリンガフランジ3,4と、そしてストリンガフランジ3と4との間に延びるストリンガウェブ5と、を含む積層複合材ストリンガ本体9を有し、かつストリンガ自由端部8がストリンガウェブ5に配置されたストリンガ2を設ける。ブロック1104では、半径が連続的に変化する放物線状の第1半径縁部10及び第2半径縁部14と、そして第1半径縁部10と第2半径縁部14を結ぶなだらかな凸状半径変化部12と、を有する2半径方向ストリンガ端部トリム7をストリンガ自由端部8に施す。ブロック1106では、翼付け根リブ22と、そして翼付け根リブ22上に配設される翼外板パネル18と、を有する翼/胴体結合構造1を設ける。ブロック1108では、ストリンガ2を翼/胴体結合構造1に、ストリンガ2のストリンガ本体9を翼付け根リブ22及び翼外板パネル18に結合させることにより取り付けることができる。
【0047】
次に、
図11を参照するに、取り付けた積層複合材ストリンガ2aのストリンガ自由端部8への応力集中を調整低減する方法を示すフロー
図1200が図示されている。ブロック1202では、ストリンガフランジ3,4と、そしてストリンガフランジ3と4との間に延びるストリンガウェブ5と、を含む積層複合材ストリンガ本体9を有し、かつストリンガ自由端部8がストリンガウェブ5に配置されたストリンガ2aを設ける。ブロック1204では、半径が連続的に変化する放物線状の1つの半径縁部を有する1半径方向ストリンガ端部トリム28をストリンガ自由端部8に施す。ブロック1206では、翼付け根スプライスプレート22と、そして翼付け根スプライスプレート22上に配設される翼外板パネル18と、を有する翼/胴体結合構造1を設ける。ブロック1208では、ストリンガ2aを翼/胴体結合構造1aに、ストリンガ2aのストリンガ本体9を翼付け根スプライスプレート22及び翼外板パネル18に結合させることにより取り付けることができる。
【0048】
次に、
図11Aを参照するに、翼/胴体結合構造のストリンガへの剥離荷重を低減する方法を示すフロー
図1100aが図示されている。ブロック1102aでは、ストリンガフランジ3,4と、そしてストリンガフランジ3と4との間に延びるストリンガウェブ5と、を含む積層複合材ストリンガ本体9を有し、かつストリンガ自由端部8がストリンガウェブ5に配置されたストリンガ2を設ける。ブロック1104a及び1105aでは、半径が連続的に変化する放物線状の1つの半径縁部を有する1半径方向ストリンガ端部トリム28をストリンガ自由端部8に施す、または半径が連続的に変化する放物線状の第1半径縁部10及び第2半径縁部14と、そして第1半径縁部10と第2半径縁部14を結ぶなだらかな凸状半径変化部12と、を有する2半径方向ストリンガ端部トリム7をストリンガ自由端部8に施す。ブロック1106aでは、翼付け根リブ22と、そして翼付け根リブ22上に配設される翼外板パネル18と、を有する翼/胴体結合構造1を設ける。ブロック1108aでは、ストリンガ2を翼/胴体結合構造1に、ストリンガ2のストリンガ本体9を翼付け根リブ22及び翼外板パネル18に結合させることにより取り付けることができる。
【0049】
次に、
図12及び13を参照するに、本開示の種々の実施形態は、
図12に示す航空機製造及び整備方法78、及び
図13に示す航空機94に関連して用いることができる。製造前段階では、例示的な方法78において、航空機94の仕様決定及び設計80、及び材料調達82を行なうことができる。製造段階では、航空機94の部品及びサブアセンブリ製造84、及びシステム統合86が行なわれる。その後、航空機94は、証明書発行及び機体引き渡し88を経て、供用90される。顧客が供用している間、航空機94は、日常的なメンテナンス及び整備92を行うようにスケジューリングすることができる(このメンテナンス及び整備92は、改修、再構成、改装などを含むこともできる)。
【0050】
方法78のプロセス群の各プロセスは、システムインテグレータ、サードパーティ、及び/又はオペレータ(例えば、顧客)によって行なうことができるか、または実行することができる。この説明を進めるために、システムインテグレータとして、これらには限定されないが、任意の数の航空機製造業者、及び航空機大手システムサブコントラクタを挙げることができ;サードパーティとして、これらには限定されないが、任意の数のベンダー、サブコントラクタ、及びサプライヤーを挙げることができ;そしてオペレータは、航空会社、リース会社、軍隊、航空機整備機関などとすることができる。
【0051】
次に、
図13を参照するに、例示的な方法78により製造される航空機94は、複数のシステム96を搭載した機体98と、そして機内100と、を含むことができる。高位システム群96の例として、推進システム102、電気システム104、油圧システム106、及び環境システム108のうちの1つ以上を挙げることができる。任意の数の他のシステムを含めてもよい。航空宇宙用の例を示しているが、本発明の原理は、自動車産業のような他の産業に適用することができる。
【0052】
本明細書において具体化される装置は、製造及び整備方法78の種々の段階のうちの任意の1つ以上の段階において用いることができる。例えば、製造プロセス84に対応する部品群またはサブアセンブリ群は、航空機94を供用している間に製造される部品群またはサブアセンブリ群と同様の方法で組み立てる、または製造することができる。更に、1つ以上の装置実施形態は、製造段階84及び86において、例えば航空機94の組み立てを大幅に促進することにより、または航空機94のコストを大幅に低減することにより利用することができる。同様に、1つ以上の装置実施形態は、航空機94を供用している間に、例えばこれに限定されないが、メンテナンス及び整備92が施されている状態で利用することができる。
【0053】
本開示の種々の実施形態について、特定の例示的な実施形態に関連して説明してきたが、これらの特定の実施形態は、他の変形をこの技術分野の他の当業者であれば想到し得るので、例示という形態で開示してきたのであり、限定的に解釈されるべきではないことを理解されたい。