特許第5809265号(P5809265)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社PFUの特許一覧

<>
  • 特許5809265-スキャナシステム 図000002
  • 特許5809265-スキャナシステム 図000003
  • 特許5809265-スキャナシステム 図000004
  • 特許5809265-スキャナシステム 図000005
  • 特許5809265-スキャナシステム 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5809265
(24)【登録日】2015年9月18日
(45)【発行日】2015年11月10日
(54)【発明の名称】スキャナシステム
(51)【国際特許分類】
   H04M 1/00 20060101AFI20151021BHJP
   H04M 11/00 20060101ALI20151021BHJP
【FI】
   H04M1/00 U
   H04M11/00 302
【請求項の数】3
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-520368(P2013-520368)
(86)(22)【出願日】2011年6月15日
(86)【国際出願番号】JP2011063723
(87)【国際公開番号】WO2012172661
(87)【国際公開日】20121220
【審査請求日】2013年7月24日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000136136
【氏名又は名称】株式会社PFU
(74)【代理人】
【識別番号】100117075
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 剣太
(74)【代理人】
【識別番号】100113103
【弁理士】
【氏名又は名称】香島 拓也
(72)【発明者】
【氏名】屋敷 光宏
(72)【発明者】
【氏名】松田 夕貴
(72)【発明者】
【氏名】高柳 佳世
【審査官】 松平 英
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−186418(JP,A)
【文献】 特開2009−135865(JP,A)
【文献】 特開2004−015449(JP,A)
【文献】 特開2003−271856(JP,A)
【文献】 特開2009−147896(JP,A)
【文献】 特開2009−147901(JP,A)
【文献】 特開2010−177947(JP,A)
【文献】 特開2011−037019(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24−7/26
H04L12/00−12/955
13/02−13/18
29/00−29/14
H04M 1/00
1/24−3/00
3/16−3/20
3/38−3/58
7/00−7/16
11/00−11/10
99/00
H04N 1/00
H04W 4/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末とスキャナ装置とを備えるスキャナシステムであって、
前記携帯端末が前記スキャナ装置の載置部に載置されたとき、前記携帯端末と前記スキャナ装置とは電気的に接続されるよう構成され、
前記携帯端末は、
前記スキャナ装置からの接続要求に応じて前記スキャナ装置との通信を確立するためのアプリケーションと、
当該携帯端末が前記スキャナ装置の前記載置部に載置されたことを検出する端末側載置検出部と、
前記端末側載置検出部により当該携帯端末の前記載置部への載置が検出されたとき、前記アプリケーションを起動する起動部と、を有し、
前記スキャナ装置は、
前記携帯端末が当該スキャナ装置の前記載置部に載置されたことを検出する装置側載置検出部と、
前記装置側載置検出部により前記携帯端末の前記載置部への載置が検出されたとき、前記携帯端末の識別情報を取得する識別情報取得部と、
前記識別情報取得部により取得された前記識別情報を持つ前記携帯端末に対して前記接続要求を送信する接続要求部と、を有し、
前記スキャナ装置からの前記接続要求に応じて、前記携帯端末の前記アプリケーションが前記携帯端末と前記スキャナ装置との通信を確立する、
ことを特徴とするスキャナシステム。
【請求項2】
前記スキャナ装置が、
画像読取処理を行い生成した画像データを記億する画像データ記億部と、
前記接続要求により通信が確立された前記携帯端末へ前記画像データ記億部に記億されている画像データを送信する送信部と、を有する
ことを特徴とする、請求項1に記載のスキャナシステム。
【請求項3】
画像データ記億部は、前記通信が確立された前記携帯端末から削除指令を受けた場合に、当該画像データ記億部に記億されている前記画像データを削除することを特徴とする、請求項2に記載のスキャナシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スキャナシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、回覧板、チラシ、レシート、写真などの紙媒体を、スキャナ装置を利用して電子化することが広まってきている。また、PDA(Personal Digital Assistant)やスマートフォンなど多機能な携帯端末が普及してきており、上記の電子化されたデータをこれらの携帯端末で利用する需要が高まってきている。
【0003】
スキャナ装置から携帯端末への電子化データの取り込みは、パーソナルコンピュータなどを仲介して行うのが一般的であるが、携帯端末のユーザの利便性を高めるべく、例えば特許文献1には、スキャナ装置と携帯端末との間で直接電子化データの送受信を行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−84348号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、特許文献1などに開示される、従来の携帯端末とスキャナ装置との間のデータ通信技術では、まずユーザがメニュー選択などの各種操作を行った後に、携帯端末とスキャナ装置とが電気的に接続され、両者の通信が確立されるのが一般的である。このときユーザに求められる操作は、装置ごとに独自のユーザインタフェースを利用して実行されることが多く、ユーザは上記技術を利用するためにまずはユーザインタフェースに慣れる必要があり、このことが上記技術を利用する上でユーザの負担となる虞があった。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、ユーザの操作なしで携帯端末とスキャナ装置との通信を確立することができるスキャナシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述課題を達成するために、本発明に係るスキャナシステムは、携帯端末とスキャナ装置とを備えるスキャナシステムであって、前記携帯端末が前記スキャナ装置の載置部に載置されたとき、前記携帯端末と前記スキャナ装置とは電気的に接続されるよう構成され、前記携帯端末は、前記スキャナ装置からの接続要求に応じて前記スキャナ装置との通信を確立するためのアプリケーションと、当該携帯端末が前記スキャナ装置の前記載置部に載置されたことを検出する端末側載置検出部と、前記端末側載置検出部により当該携帯端末の前記載置部への載置が検出されたとき、前記アプリケーションを起動する起動部と、を有し、前記スキャナ装置は、
前記携帯端末が当該スキャナ装置の前記載置部に載置されたことを検出する装置側載置検出部と、前記装置側載置検出部により前記携帯端末の前記載置部への載置が検出されたとき、前記携帯端末の識別情報を取得する識別情報取得部と、前記識別情報取得部により取得された前記識別情報を持つ前記携帯端末に対して前記接続要求を送信する接続要求部と、を有し、前記スキャナ装置からの前記接続要求に応じて、前記携帯端末の前記アプリケーションが前記携帯端末と前記スキャナ装置との通信を確立する、ことを特徴とする。
【0008】
また、上記のスキャナ装置において、前記スキャナ装置が、画像読取処理を行い生成した画像データを記憶する画像データ記憶部と、前記接続要求により通信が確立された前記携帯端末へ前記画像データ記憶部に記憶されている画像データを送信する送信部と、を有することが好ましい。
【0009】
また、上記のスキャナ装置において、前記画像データ記憶部は、前記通信が確立された前記携帯端末から削除指令を受けた場合に、当該画像データ記憶部に記憶されている前記画像データを削除することが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るスキャナシステムは、携帯端末がスキャナ装置の載置部に載置されるのに応じて、携帯端末では、スキャナ装置からの接続要求に応じてスキャナ装置との通信を確立するためのアプリケーションが起動され、スキャナ装置からの接続要求に応じて通信を確立できるよう準備が整えられる。一方、スキャナ装置では、載置部に載置されている携帯端末の識別情報が取得され、この識別情報を持つ携帯端末へ接続要求が送信される。そして、スキャナ装置からの接続要求を受信した携帯端末のアプリケーションにより、この携帯端末とスキャナ装置との間の通信が確立される。したがって、携帯端末をスキャナ装置の載置部に載置するだけで、載置部に載置されている携帯端末を特定し、この携帯端末とスキャナ装置との間で通信を確立させる処理を自動的に実行させることが可能となる。このように、本発明に係るスキャナシステムは、ユーザの操作なしで携帯端末とスキャナ装置との通信を確立することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の一実施形態に係るスキャナシステムの正面側斜視図である。
図2図2は、図1に示すスキャナシステムの機能ブロック図である。
図3図3は、携帯端末がスキャナ装置の載置部に載置されたときの通信確立処理及び画像データ送信処理を示すシーケンス図である。
図4図4は、携帯端末がスキャナ装置の載置部に載置しない状態で実施されるスキャナ装置の画像読取処理を示すフローチャートである。
図5図5は、スキャナ装置が携帯端末以外の送信先へ画像データを送信する処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明に係るスキャナシステムの実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の図面において、同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰り返さない。また、以下の説明において、上下方向及び左右方向とは、特に記載のない限り図1の上下方向及び左右方向を示すものとする。
【0013】
まず、図1,2を参照して、本発明の一実施形態に係るスキャナシステム100の構成について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るスキャナシステム100の正面側斜視図であり、図2は、図1に示すスキャナシステム100の機能ブロック図である。
【0014】
図1,2に示すように、本実施形態のスキャナシステム100は、スキャナ装置1と、携帯端末10を含んで構成され、携帯端末10をスキャナ装置1の載置部6上に一体的に装着することにより、携帯端末10とスキャナ装置1とを電気的に接続することができるよう構成されるものである。
【0015】
携帯端末10の構成について説明する。携帯端末10は、PDA(Personal Digital Assistant)やスマートフォンなどの多機能型情報端末装置であり、長方形状の前面を備え、この前面上の大半にタッチパネル式の表示画面10aを備えるタイプの端末装置である。この携帯端末10は、単独使用時には縦長の状態で使用されるが、スキャナ装置1への装着時には横長に倒した状態で装着されるよう構成されている。また、この携帯端末10は、縦長状態で使用する際の下方の端面10b(長方形状の一方の短辺側の端面)の中央に、充電及び/又は通信用のコネクタ10cが設けられている。
【0016】
携帯端末10は、図2に示すように、スキャナ装置1との接続処理などを制御する制御部9を備える。この制御部9は、載置検出部(端末側載置検出部)91、アプリケーション制御部(起動部)92、専用アプリケーション93を備えて構成されている。
【0017】
載置検出部91は、携帯端末10がスキャナ装置1の載置部6に載置されたことを携帯端末10側から検出する。より詳細には、載置検出部91は、例えば以下に例示する手法によって、この携帯端末10のスキャナ装置1の載置部6への載置を検出することができる。
(1)携帯端末10に設置された加速度センサを用いて、載置部6に携帯端末10が一定の向きと角度に置かれたことを検出する。
(2)スキャナ装置1と携帯端末10のそれぞれに、載置部6に置かれた際に指定の箇所のマグネットスイッチがONとなるように設置され、マグネットスイッチがONになることで検出する。
(3)無線通信(赤外線通信)機能が、載置部6に置かれる向きで(携帯端末10が載置部6に載置されたときに対向する位置で)携帯端末10及びスキャナ装置1の双方に設置されており、携帯端末10が載置部6に置かれた際に赤外線の通信が始まることで検出する。
(4)携帯端末10が載置部6に置かれた際に無線通信(Bluwtooth/Wifi)により携帯端末10へトリガーとなる通信が行われることで検出する。
(5)スキャナ装置1側のICカードリーダから携帯端末10のICカードにトリガーとなる通信が行われることで検出する。
【0018】
アプリケーション制御部92は、携帯端末10に保持されている各種アプリケーションを制御し、特に本実施形態では、載置検出部91により携帯端末10の載置部6への載置が検出されたとき、スキャナ装置1のための専用アプリケーション93を起動する。
【0019】
専用アプリケーション93は、スキャナ装置1の各種操作(画像読取処理、画像データ通信処理)、スキャナ装置1との通信機能、スキャナ装置1から取得した画像データの蓄積・閲覧・編集機能を備える携帯端末専用アプリケーションである。この専用アプリケーション93を利用して、例えばスキャナ装置1からの接続要求に応じて、スキャナ装置1との通信を確立する処理を実行することができる。なお、この専用アプリケーション93は、スキャナ装置1またはネットワークサーバから携帯端末10にダウンロードしてインストールすることが可能である。
【0020】
ここで、携帯端末10の制御部9は、物理的には、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)及びインターフェースを含む周知のマイクロコンピュータを主体とする電子回路である。上記の制御部9の機能(載置検出部91、アプリケーション制御部92、専用アプリケーション93)は、ROMに保持されるアプリケーションプログラムをRAMにロードしてCPUで実行することによって、CPUの制御のもとで携帯端末10内の各種装置を動作させるとともに、RAMやROMにおけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。
【0021】
スキャナ装置1の構成について説明する。スキャナ装置1は、画像読取部2、アーム部3、パネル部4及び接続コネクタ5を備えて構成されている。
【0022】
画像読取部2は、読み取り対象の紙媒体(原稿)を撮像して画像データを生成するスキャナ機能を有する。画像読取部2のスキャナ機能は原稿搬送式であり、本実施形態ではこのスキャナ機能の主走査方向が設置面と略水平に設定されている。図1に示すように、画像読取部2のカバーの前面部2aには、設置面と略水平方向に延在する給紙口2bが設けられ、この給紙口2bから原稿が内部に導入されて読み取り処理が行われ、画像読取部2の背面側に給紙口と同様に形成される排紙口(図示せず)から、読み取った原稿が排出される。なお、画像読取部2の排紙口に搬送路切替カバー(図示せず)を設け、その開閉状態に応じて原稿の排出方向を上方向または水平方向に切り替えるよう構成してもよい。
【0023】
また、図1に示すように、画像読取部2のカバーの上部には上面部2dが設けられている。前面部2aの上端は幅方向全体にわたってこの上面部2dより上方に突出され、係止部2eが形成されている。
【0024】
アーム部3は、画像読取部2の主走査方向のうち一方の端部から主走査方向と直交する方向に延在する部材である。図1に示す例では、アーム部3は、正面側からみて画像読取部2の右側の端部から、設置面と水平に設定されている画像読取部2の主走査方向と直交する方向かつ上方に延在している。ここで、「上方」とは、具体的には、鉛直上方から、スキャナ装置1の背面側の水平方向との間の任意の方向を指すものとする。図1に示す例では、アーム部3は、スキャナ装置1の背面側へ傾斜する斜め上方を長手方向として延在している。
【0025】
パネル部4は、画像読取部2及びアーム部3の相互の対向面にて画像読取部2及びアーム部3と接続される板状部材である。図1に示す例では、画像読取部2の上面部2dと、アーム部3の左側面3aとが互いに直交して対向する対向面となっており、パネル部4の下端面4aが画像読取部2の上面部2dに嵌合され、パネル部4の右端面4bがアーム部3の左側面3aに嵌合されている。パネル部4は、画像読取部2とアーム部3で支持されている。
【0026】
また、パネル部4は、アーム部3と接続する右端面4bの上端から、画像読取部2と接続する下端面4aの左端へ向けて傾斜する斜端面4cを備える。この斜端面4cは、携帯端末10を載置部6に載置された状態において携帯端末10を把持しやすくし、スキャナ装置1との脱着を容易とするよう構成されている。斜端面4cの形状は、右端面4bの上端と下端面4aの左端とを結ぶ直線状でもよいし、右端面4bと下端面4aとのなす角4dの方向へ窪んだ凹形状でもよいし、図1に示すように、その反対側へ膨らんだ凸形状でもよい。
【0027】
図1に示すように、アーム部3の画像読取部2と対向する左側面3aには、携帯端末10のコネクタ10cと接続可能な接続コネクタ5が設けられている。この接続コネクタ5は、携帯端末10のコネクタ10cと接続したときに、スキャナ装置1と携帯端末10とが通信可能となるように両者を電気的に接続させ、携帯端末10との通信を確立することができる。また、この接続コネクタ5は、携帯端末10の充電手段としても機能し、携帯端末10との接続時には携帯端末10の電池に電力を供給させることができる。なお、スキャナ装置1の電源は、AC電源、バッテリ電池、ソーラー電池、PCからのUSB接続などを適用することができる。
【0028】
このスキャナ装置1では、図1に示すように、画像読取部2、アーム部3及びパネル部4により、携帯端末10を載置可能な載置部6が形成されている。スキャナ装置1は、携帯端末10をこの載置部6に載置させることで、接続コネクタ5を介して携帯端末10との通信を確立できると共に、携帯端末10をスキャナ装置1と一体的に構成することができる。
【0029】
より詳細には、載置部6は、携帯端末10を画像読取部2、アーム部3及びパネル部4と同時に当接させることによって、携帯端末10を所定位置に保持することができるよう構成される。図1に示す例では、携帯端末10は、画像読取部2の上面部2d、アーム部3の左側面3a、及びパネル部4と同時に当接させると、画像読取部2の係止部2eにより前方への移動が規制され、また、パネル部4により背面が支持されるため、常に図1に破線で示される載置部6上の所定位置に同一の姿勢で配置されることが可能となる。なお、この載置部6は、載置された携帯端末10の角度や向きを任意に調整できるよう構成してもよい。
【0030】
さらに、接続コネクタ5は、携帯端末10が図1に破線で示される所定位置に配置されたときに、携帯端末10のコネクタ10cと対向して接続可能となるよう、アーム部3の左側面3a上に配置されている。したがって、携帯端末10が載置部6上の所定位置に載置されると、携帯端末10はコネクタ10cを介して接続コネクタ5と有線接続され、スキャナ装置1と通信可能及び充電可能となると共に、スキャナ装置1に連結固定される。
【0031】
このように携帯端末10がスキャナ装置1の載置部6に保持されるとき、携帯端末10とスキャナ装置1とは、コネクタ10c及び接続コネクタ5を介して電気的に接続されているので、スキャナ装置1は、携帯端末10の表示画面10aを、スキャナ装置1の操作画面やスキャン画像表示画面として利用することができる。本実施形態では、上述のように、携帯端末10の専用アプリケーション93が、携帯端末10が載置部6へ載置されたときに起動されるよう設定されているので、この専用アプリケーション93を介して携帯端末10の表示画面10aを自動的にスキャナ装置1の操作画面として利用することができる。
【0032】
また、画像読取部2は、携帯端末10が載置部6に載置されていない場合にはスリープモードとしておき、携帯端末10が載置部6に載置され、接続コネクタ5により携帯端末10と電気的に接続されたとき、または後述の載置検出部71により携帯端末10の載置部6への載置が検出されたときに、に、スリープモードから起動させるよう構成することができる。
【0033】
スキャナ装置1は、さらに、図2に示すように、制御部7及び記憶部8を備える。制御部7は、載置検出部(装置側載置検出部)71、識別情報取得部72、通信制御部(接続要求部、送信部)73、充電制御部74を含んで構成され、記憶部8は、識別情報記憶部81、画像データ記憶部82、送信先情報記憶部83を含んで構成される。
【0034】
載置検出部71は、携帯端末10がスキャナ装置1の載置部6に載置されたことをスキャナ装置1側から検出する。より詳細には、載置検出部71は、例えば以下に例示する手法によって、携帯端末10のスキャナ装置1の載置部6への載置を検出することができる。
(1)載置部6に荷重センサを設置し、荷重センサの出力の変化をチェックする。
(2)載置部6に光学センサ(赤外線通信も含む)を設置し、光学センサのセンサ出力の変化をチェックする。
(3)スキャナ装置1のICカードリーダにより携帯端末10のICカードの検出を行う。
(4)載置部6近辺のCCDカメラにて携帯端末10の形状・色を読み取る。
(5)スキャナ装置1のバーコードリーダにて携帯端末10に貼付されているバーコードを読み取る。
【0035】
識別情報取得部72は、載置検出部71により携帯端末10の載置部6への載置が検出されたときに、この携帯端末10の識別情報を取得する。より詳細には、識別情報取得部72は、例えば、以下に例示する手法で携帯端末10の識別情報を取得することができる。
(1)携帯端末10に搭載されているICチップ、またはユーザのICカードをICカードリーダで読み取り、ICチップまたはICカードに記憶されている識別情報を取得する。
(2)携帯端末10の表面に添付された、または携帯端末10の画面に表示されたバーコードをバーコードリーダで読み取り、識別情報を取得する。
(3)携帯端末10上の専用アプリケーション93が発する音声、またはユーザの音声をマイクで拾い、これらの音声データと関連付けられている識別情報を識別情報記憶部81から取得する。
(4)携帯端末10と赤外線通信を行い、識別情報を取得する。
(5)指紋センサにて携帯端末10のユーザの指紋を読み取り、この指紋情報と関連付けられている識別情報を識別情報記憶部81から取得する。
なお、上記の手法で取得された識別情報は、識別情報記憶部81に記憶され、画像データの送信設定情報と関連付けられる。
(6)CCDカメラにより携帯端末10の形状(色・形)読み取り、この情報と関連付けられている識別情報を識別情報記憶部81から取得する。
【0036】
通信制御部73は、携帯端末10との通信を制御する。具体的には、通信制御部73は、携帯端末10への接続要求の送信処理、携帯端末10との通信の確立処理、画像データの送信処理などを行う。
【0037】
充電制御部74は、携帯端末10の二次電池の充電を制御する。より詳細には、充電制御部74は、載置検出部71により携帯端末10の載置部6への載置が検出されたときに、スキャナ装置1の接続コネクタ5及び携帯端末10のコネクタ10cを介して電気的に接続されている携帯端末10に対して電力を送信し充電を行う。
【0038】
識別情報記憶部81には、携帯端末10またはユーザの識別情報と、送信先の情報が関連付けられて保持されている。
【0039】
画像データ記憶部82には、画像読取部2による画像読取処理により生成された画像データが記憶されている。
【0040】
送信先情報記憶部83には、電子メール、インターネットFAX、ファイル共有フォルダ、クラウドサービスなどのインターネットN上のサービスに対して認証処理を実行する際の認証情報と送信先の情報とが関連付けられて記憶されている。
【0041】
なお、スキャナ装置1は、画像読取部2で生成した画像データを、携帯端末10のほかにも、例えば図2に示すように、スキャナ装置1に接続されているUSBストレージやSDメモリカードなどの記憶媒体11に記憶させたり、または、電子メール、インターネットFAX、ファイル共有フォルダ、クラウドサービスなどのインターネットN上のサービスにデータを送信することもできる。
【0042】
ここで、スキャナ装置1の制御部7及び記憶部8は、物理的には、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)及びインターフェースを含む周知のマイクロコンピュータを主体とする電子回路である。上記の制御部7の機能(載置検出部71、識別情報取得部72、通信制御部73、充電制御部74)は、ROMに保持されるアプリケーションプログラムをRAMにロードしてCPUで実行することによって、CPUの制御のもとでスキャナ装置1内の各種装置を動作させるとともに、RAMやROMにおけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。また、上記の記憶部8(識別情報記憶部81、画像データ記憶部82、送信先情報記憶部83)は、RAMやROMにより実現される。
【0043】
なお、図1では、スキャナ装置1の接続コネクタ5と携帯端末10のコネクタ10cによって、スキャナ装置1と携帯端末10とが有線で接続される構成を例示しているが、スキャナ装置1と携帯端末10とは電気的に接続可能であればよく、例えば接続コネクタ5及びコネクタ10cの代わりに無線通信により携帯端末10とスキャナ装置1とを接続し、通信機能又は充電機能を実行するよう構成してもよい。本実施形態で用いる「電気的に接続」なる表現とは、スキャナ装置1と携帯端末10との通信を確立することが可能である状態を意味するものであり、また、両者が有線で物理的に接続された状態だけでなく、無線通信などにより実質的に接続された状態も含むものである。
【0044】
次に、図3〜5を参照して、本実施形態に係るスキャナシステム100の動作について説明する。図3は、携帯端末10がスキャナ装置1の載置部6に載置されたときの通信確立処理及び画像データ送信処理を示すシーケンス図であり、図4は、携帯端末10がスキャナ装置1の載置部6に載置しない状態で実施されるスキャナ装置1の画像読取処理を示すフローチャートであり、図5は、スキャナ装置1が携帯端末10以外の送信先へ画像データを送信する処理を示すフローチャートである。
【0045】
まず、図3を参照して、携帯端末10とスキャナ装置1との間の通信確立処理及び画像データ送信処理ついて説明する。図3に示す処理は、スキャナ装置1及び携帯端末10の電源が入ったときに開始される。なお、図3に示す処理は、スキャナ装置1と携帯端末10とが無線通信によって電気的に接続される場合のものである。
【0046】
スキャナ装置1では、まずハードウェアが初期化され(S101)、載置検出部71により、携帯端末10が載置部6に載置されたか否かが確認される(S102)。携帯端末10の載置が検出されるまでは、ステップS102で待機し、携帯端末10の載置が検出されたときにステップS103に移行する。なお、スキャナ装置1は、携帯端末10が載置部6に載置されたときに、携帯端末10と電気的に接続され、通信可能な状態となる。
【0047】
ステップS102において携帯端末10の載置が検出されると、次に、識別情報取得部72により、載置部6に載置されている携帯端末10の固有ID(識別情報)が取得される(S103)。識別情報取得部72は、携帯端末10との電気的に接続された経路(通信確立などに利用される経路)を利用せずに、別ルートから携帯端末10の固有IDを取得する。例えば、携帯端末10のICチップや赤外線通信により固有IDを直接取得したり、携帯端末10のバーコードやユーザの音声などの情報に基づき識別情報記憶部81から固有IDを取得することができる。
【0048】
続いて、通信制御部73により、この固有IDをもつ携帯端末10に端末接続要求が送信され(S104)、ステップS105に移行する。通信制御部73は、固有IDに基づき識別情報記憶部81から送信先情報を取得して、端末接続要求に固有ID情報も添付した上で送信先に送信する。
【0049】
一方、携帯端末10では、まずハードウェアが初期化され(S201)、載置検出部91により、携帯端末10がスキャナ装置1の載置部6に載置されたか否かが確認される(S202)。スキャナ装置1の載置部6への載置が検出されるまでは、ステップS202で待機し、載置部6への載置が検出されたときにステップS203に移行する。なお、携帯端末10は、スキャナ装置1の載置部6に載置されたときに、スキャナ装置1と電気的に接続され、通信可能な状態となる。または携帯端末10は、電源が入ったときから通信可能な状態としてもよい。
【0050】
ステップS202において携帯端末10の載置が検出されると、続いてアプリケーション制御部92により、専用アプリケーション93が起動される(S203)。
【0051】
この専用アプリケーション93により、スキャナ装置1から端末接続要求を受信したか否かが確認される(S204)。端末接続要求を受信したことが確認されるまでは、ステップS204で待機し、受信したときにステップS205に移行する。
【0052】
端末接続要求を受信すると、引き続き専用アプリケーション93により、この端末接続要求に添付される固有IDが、自機の固有IDと一致するか否かが確認される(S205)。固有IDが一致する場合には、この端末接続要求は自機に向けて送信されたものと判断して、通信を確立するためのリンク要求が送信される(S206)。なお、固有IDが不一致の場合には、ステップS204に戻り、新たな端末接続要求を受信するまで待機する。
【0053】
次に、スキャナ装置1において、通信制御部73により、携帯端末10の専用アプリケーション93によるリンク要求を受信したか否かが確認される(S105)。リンク要求を受信した場合には、通信制御部73により、リンク要求応答が携帯端末10へ送信される(S106)。そして、このリンク要求応答が携帯端末10に受信されるのに応じて、スキャナ装置1と携帯端末10との間の通信が確立される。
【0054】
スキャナ装置1と携帯端末10との間の通信が確立されると、通信制御部73により、この携帯端末10に未送信の画像データが画像データ記憶部82に保持されているか否かが確認される(S107)。未送信データがある場合には、まずデータ送信要求が送信され、次いで未送信の画像データが送信される(S108)。なお、ステップS108の未送信データ送信処理は、未送信の画像データをすべて自動的に携帯端末10に送信することができるし、または、携帯端末10の表示画面10a上のタッチパネルやスキャナ装置1のボタン3bなどを用いたユーザの確認/選択操作により手動で行うこともできる。
【0055】
ステップS107において未送信データがない場合には、画像読取部2により新たに画用読取処理が実行され(S109)、新たに生成された画像データが送信される(S108)。なお、ステップS109の画像読取処理は、携帯端末10の表示画面10a上のタッチパネルやスキャナ装置1のボタン3bなどを用いたユーザの操作入力に応じて実行される。
【0056】
次に、携帯端末10において、専用アプリケーション93により、スキャナ装置1よりデータ送信要求が受信されたか否かが確認される(S207)。データ送信要求を受信している場合には、専用アプリケーション93によりスキャナ装置1から送信された画像データが受信され(S208)、この画像データが携帯端末10内の記憶領域に保持される。データ送信要求を受信していない場合には、これを受信するまでステップS207で待機する。
【0057】
画像データの受信後には、引き続き専用アプリケーション93により、スキャナ装置1の画像データ記憶部82に保持されている、この受信した画像データの元データを削除するか否かが確認される(S209)。この判断は、携帯端末10のユーザの操作により逐次入力されるか、または予め設定されている。データを削除するとの設定の場合には、専用アプリケーション93によりデータ削除要求がスキャナ装置1に送信される(S210)。データを削除しないとの設定の場合には、データ削除要求を送信せずにステップS211へ移行する。
【0058】
次に、スキャナ装置1において、通信制御部73により、データ削除要求を携帯端末10から受信したか否かが確認される(S110)。データ削除要求を受信した場合には、画像データ記憶部82に保持されている元データが削除される(S111)。データ削除要求を受信していない場合には、画像データはそのまま画像データ記憶部82に保持されたままステップS112へ移行する。
【0059】
続いて、通信制御部73により、この処理を継続するか否かが確認され(S112)、継続する場合には、ステップS109に戻り、画像読取部2により新たな画像読取処理が実施され、新たな画像データが携帯端末10へ送信される。継続しない場合には、通信制御部73により、携帯端末10へ処理終了通知が送信される(S113)。処理終了通知の送信後には、スキャナ装置1は、例えばスリープモードに移行し、ユーザの操作入力(ボタン3bや携帯端末10の表示画面10a)や携帯端末10の専用アプリケーション93からの要求があったときに、ステップS102から処理を再開するよう構成できる。また、携帯端末10が載置部6から取り外されたとき(例えば載置検出部71により検出)に、携帯端末10との通信を終了するよう構成することができる。
【0060】
一方、携帯端末10では、専用アプリケーション93により、処理終了通知がスキャナ装置1から受信されたか否かが確認される(S211)。処理終了通知が受信された場合(S211のYES)には、携帯端末10は、例えば、スキャナ装置1との通信を維持しておき、専用アプリケーション93による通信終了操作があったときや、携帯端末10がスキャナ装置1の載置部6から取り外されたとき(例えば加速度センサなどを利用して検出)に、スキャナ装置1との通信を終了するよう構成できる。なお、処理終了通知を受信したときにスキャナ装置1との通信を終了するよう構成してもよい。
【0061】
ステップS211において処理終了通知が受信されていない場合(S211のNO)には、ステップS207に戻り、新たなデータ送信要求をスキャナ装置1から受信するまで待機する。
【0062】
なお、図3に示す処理を、例えば図1に示すようにスキャナ装置1と携帯端末10とがスキャナ装置1の接続コネクタ5及び携帯端末10のコネクタ10cを介して有線接続される構成に適用する場合には、スキャナ装置1と有線で電気的に接続されている携帯端末10を明確に特定できるので、図3に示す処理のうち、ステップS103やS205などの携帯端末10の固有IDを利用した携帯端末10を特定する処理は省略することができる。
【0063】
本実施形態のスキャナ装置1は、携帯端末10を載置部6に載置しない状態でも画像データを蓄積しておき、携帯端末10との通信確立時にこのデータを送信することができる。図4を参照して、携帯端末10を載置部6に載置していない場合のスキャナ装置1の画像読取処理について説明する。図4に示す処理は、スキャナ装置1の電源が入ったときに開始される。
【0064】
まずハードウェアが初期化され(S301)、スキャナ装置1に対して、例えばボタン3bなどを利用したユーザの操作入力があるまで待機状態となる(S302)。
【0065】
ユーザの操作入力があった場合には、その操作入力の内容が画像読取処理の読取開始操作か否かが確認され(S303)、読取開始操作である場合にはS304に移行する。読取開始操作でなかった場合には、ステップS302に戻り、再び待機状態となる。
【0066】
ステップS303において読取開始操作があった場合、画像読取部2により、画像読取処理を実行した場合に、生成した画像データを記憶するのに十分な保存領域が画像データ記憶部82に確保できるか否かが確認される(S304)。画像データ記憶部82に保存領域がある場合には、画像読取部2により画像読取処理が実行され(S305)、生成された画像データが画像データ記憶部82に蓄積される。一方、画像データ記憶部82に保存領域がない場合には、画像読取処理を実行せずにステップS302に戻り、再び待機状態となる。
【0067】
画像読取処理の実行後には、画像読取部2により、処理を継続するか否かが確認される(S306)。処理を継続する場合にはステップS302に戻り、再び操作入力があるまで待機状態となる。処理を継続しない場合には、このまま処理を終了する。
【0068】
なお、このように画像読取処理において生成した画像データを画像データ記憶部82に蓄積することは、携帯端末10がスキャナ装置1の載置部6に載置されている状況でも実行してもよい。
【0069】
また、本実施形態のスキャナ装置1は、載置部6に載置される携帯端末10に画像データ送信する他にも、例えば図2に示すように、スキャナ装置1に接続されているUSBストレージやSDメモリカードなどの記憶媒体11に記憶させたり、または、電子メール、インターネットFAX、ファイル共有フォルダ、クラウドサービスなどのインターネットN上のサービスにデータを送信するなど、様々な形態でデータを外部の送信先に送信することができる。図5を参照して、外部の送信先へのデータ送信処理について説明する。図5に示す処理も、スキャナ装置1の電源が入ったときに開始される。
【0070】
まずハードウェアが初期化され(S401)、スキャナ装置1に対して、例えばボタン3bなどを利用したユーザの操作入力があるまで待機状態となる(S402)。
【0071】
ユーザの操作入力があった場合には、画像読取部2により、その操作入力の内容が、外部の送信先へ画像データを送信するための認証操作か否かが確認される(S403)。操作入力が認証操作である場合には認証処理が実行される(S404)。認証処理は、具体的には、ユーザ操作により指定された送信先について、ICカードやバーコードの読取、音声認識、指紋認証、赤外線通信などを利用してユーザから提供される認証情報を用いて、識別情報記憶部81と結び付けられた送信先情報記憶部83から引き出される送信先情報を引き出し、この送信先から認証を得る処理である。一方、操作入力が認証操作でない場合には、ステップS402に戻り、再び待機状態となる。
【0072】
続いて、認証処理の結果がOKだったかどうか確認される(S405)。認証結果がOKならばステップS406に移行する。一方、認証結果がNGならば、この送信先へのデータ送信処理は実行されずステップS402に戻り、再び待機状態となる。
【0073】
ステップS405において認証結果がOKだった場合には、まず、画像読取部2により画像読取部2が画像読取処理を実行できる状態か否かが確認される(S406)。画像読取処理が実行可能であると判断された場合には、画像読取部2により画像読取処理が実行され(S407)、実行不可能と判定された場合には、画像読取処理を実行せずにステップS402に戻り、再び待機状態となる。
【0074】
そして、画像読取処理の実行後には、通信制御部73により、生成された画像データが外部の送信先に送信される(S408)。
【0075】
画像データ送信後には、画像読取部2により、処理を継続するか否かが確認される(S409)。処理を継続する場合にはステップS302に戻り、再び操作入力があるまで待機状態となる。処理を継続しない場合には、このまま処理を終了する。
【0076】
次に、本実施形態に係るスキャナシステム100の効果について説明する。
【0077】
本実施形態のスキャナシステム100は、携帯端末10とスキャナ装置1とを備え、携帯端末10がスキャナ装置1の載置部6に載置されたとき、携帯端末10とスキャナ装置1とは電気的に接続されるよう構成される。携帯端末10は、当該携帯端末10がスキャナ装置1の載置部6に載置されたことを検出する載置検出部91と、載置検出部91により当該携帯端末10の載置部6への載置が検出されたとき、スキャナ装置1からの接続要求に応じてスキャナ装置1との通信を確立するための専用アプリケーション93を起動するアプリケーション制御部92と、を有する。前記スキャナ装置1は、携帯端末10が当該スキャナ装置1の載置部6に載置されたことを検出する載置検出部71と、載置検出部71により携帯端末10の載置部6への載置が検出されたとき、携帯端末10の識別情報(固有ID)を取得する識別情報取得部72と、識別情報取得部72により取得された識別情報を持つ携帯端末10に対して接続要求を送信する通信制御部73と、を有する。そして、スキャナ装置1からの接続要求に応じて、携帯端末10の専用アプリケーション93が携帯端末10とスキャナ装置1との通信を確立する。
【0078】
このような構成により、携帯端末10がスキャナ装置1の載置部6に載置されるのに応じて、携帯端末10では、専用アプリケーション93が起動され、スキャナ装置1からの接続要求に応じて通信を確立できるよう準備が整えられる。一方、スキャナ装置1では、載置部6に載置されている携帯端末10の識別情報が取得され、この識別情報を持つ携帯端末10へ接続要求が送信される。そして、スキャナ装置1からの接続要求を受信した携帯端末10の専用アプリケーション93により、この携帯端末10とスキャナ装置1との間の通信が確立される。したがって、携帯端末10をスキャナ装置1の載置部6に載置するだけで、載置部6に載置されている携帯端末10を特定し、この携帯端末10とスキャナ装置1との間で通信を確立させる処理を自動的に実行させることが可能となる。このように、本実施形態のスキャナシステム100では、ユーザの操作なしで携帯端末10とスキャナ装置1との通信を確立することができる。
【0079】
また、本実施形態のスキャナシステム100において、スキャナ装置1が、画像読取処理を行い生成した画像データを記憶する画像データ記憶部82を備え、スキャナ装置1の通信制御部73は、接続要求により通信が確立された携帯端末10へ画像データ記憶部82に記憶されている画像データを送信する。
【0080】
この構成により、携帯端末10がスキャナ装置1と接続されていない状態でもスキャナ装置1で画像読取処理を実行し、生成した画像データを蓄積することができるので、実際に携帯端末10とスキャナ装置1とが通信可能となったときに迅速に画像データを携帯端末10に提供することができる。また、同一の画像データを複数の携帯端末へ提供することが可能となる。このように、スキャナ装置1により生成した画像データを携帯端末10に送信する処理を効率的に実行することができる。
【0081】
また、本実施形態のスキャナシステム100において、画像データ記憶部82は、通信が確立された携帯端末10から削除指令を受けた場合に、画像データ記憶部82に記憶されている画像データを削除する。この構成により、画像データ記憶部82に記憶される画像データを適宜削除することができるので、記憶領域を確保することができる。また、削除指令をうけるまでは画像データが画像データ記憶部82に保持できるので、同一の画像データを順次複数の携帯端末に提供することが可能となる。
【0082】
以上、本発明について好適な実施形態を示して説明したが、本発明はこれらの実施形態により限定されるものではない。上記実施形態では、スキャナ装置1の画像読取部2により生成された画像データをスキャナ装置1内部の画像データ記憶部82に保持していたが、例えばクラウド上のデータベースなど外部の記憶手段に保持するよう構成してもよい。
【符号の説明】
【0083】
100 スキャナシステム
1 スキャナ装置
6 載置部
71 載置検出部(装置側載置検出部)
72 識別情報取得部
73 通信制御部(接続要求部、送信部)
82 画像データ記憶部
10 携帯端末
91 載置検出部(端末側載置検出部)
92 アプリケーション制御部(起動部)
93 専用アプリケーション
図1
図2
図3
図4
図5