(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5809268
(24)【登録日】2015年9月18日
(45)【発行日】2015年11月10日
(54)【発明の名称】熱交換器
(51)【国際特許分類】
F28D 1/06 20060101AFI20151021BHJP
F28D 7/16 20060101ALI20151021BHJP
F28D 7/02 20060101ALI20151021BHJP
【FI】
F28D1/06 A
F28D7/16 Z
F28D7/02
【請求項の数】9
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-522834(P2013-522834)
(86)(22)【出願日】2012年6月25日
(86)【国際出願番号】JP2012066109
(87)【国際公開番号】WO2013002161
(87)【国際公開日】20130103
【審査請求日】2014年11月12日
(31)【優先権主張番号】特願2011-142831(P2011-142831)
(32)【優先日】2011年6月28日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000231235
【氏名又は名称】大陽日酸株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086210
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 一彦
(74)【代理人】
【識別番号】100128358
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 良彦
(72)【発明者】
【氏名】片岡 稔治
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 昇
【審査官】
仲村 靖
(56)【参考文献】
【文献】
特開平06−174353(JP,A)
【文献】
特開2005−083567(JP,A)
【文献】
特開平10−075767(JP,A)
【文献】
特開2001−082885(JP,A)
【文献】
特開平01−193590(JP,A)
【文献】
特開昭58−175790(JP,A)
【文献】
特開2008−164177(JP,A)
【文献】
特開2003−148841(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28D 1/06
F28D 7/02
F28D 7/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
低温冷媒で冷却されたブラインで水素ガスを冷却する熱交換器において、該熱交換器は、ブラインが充填される真空断熱された容器と、該容器の上部開口を塞ぐ蓋と、前記容器の軸線方向に配設された回転軸と、該回転軸に設けられたプロペラと、前記回転軸及びプロペラの周囲に配設された螺旋状の水素ガス冷却管と、該水素ガス冷却管の周囲に配設されたブライン冷却用の冷媒管とを備えていることを特徴とする熱交換器。
【請求項2】
前記水素ガス冷却管は、複数の水素ガス冷却管を上下多段に配設していることを特徴とする請求項1記載の熱交換器。
【請求項3】
前記冷媒管は、環状の上部マニホールドと環状の下部マニホールドとに上下端を連通状態に接続して、下端から上端方向に冷媒を流通させることを特徴とする請求項1記載の熱交換器。
【請求項4】
前記蓋の内面と容器内のブラインの液面との間の気相部にドライガスを供給することを特徴とする請求項1記載の熱交換器。
【請求項5】
前記容器の底部には、容器内に充填されているブラインを排出するためのドレインが設けられていることを特徴とする請求項1記載の熱交換器。
【請求項6】
前記容器は、縦長有底円筒状を呈し、容器下部を3本以上の支持脚にて支持されて、軸線を垂直にして自立できることを特徴とする請求項1記載の熱交換器。
【請求項7】
前記低温冷媒は、冷凍サイクルを用いた冷凍機の低温冷媒であることを特徴とする請求項1記載の熱交換器。
【請求項8】
低温冷媒で冷却されたブラインで水素ガスを冷却する熱交換器において、該熱交換器は、ブラインが充填される真空断熱された二重壁構造の縦長有底円筒状の容器と、該容器の上部開口を塞ぐ円盤状の蓋と、該蓋の中心を貫通して容器の軸線方向に配設された回転軸と、該回転軸に設けられたプロペラと、前記回転軸及びプロペラの周囲に配設された螺旋状の水素ガス冷却管と、該水素ガス冷却管の周囲に配設されて、環状の上部マニホールドと環状の下部マニホールドとに上下端を連通状態に接続して、下部マニホールドに連通する冷媒導入管から供給される冷媒を上部マニホールドに連通する冷媒導出管から排出する複数本のブライン冷却用の冷媒管とを備え、前記回転軸、前記水素ガス冷却管、前記複数のブライン冷却用冷媒管及び容器は、平面視、前記回転軸を中心にして内側から、前記プロペラ、前記水素ガス冷却管、複数のブライン冷却用冷媒管及び容器の順に同心円上に配置されていることを特徴とする熱交換器。
【請求項9】
前記低温冷媒は、冷凍サイクルを用いた冷凍機の低温冷媒であることを特徴とする請求項8記載の熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換器に関し、より詳しくは、水素自動車の燃料タンク等へ水素ガスを充填する設備に設けられる水素ガス冷却用熱交換器に適した熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池自動車のような水素自動車の燃料として用いられる水素ガスは、水素ガスが流れる経路に設けられている各種弁や流量計等の部分で断熱膨張すると、ジュールトムソン効果によって温度が上昇するという性質を有している。したがって、水素ガス供給源から水素自動車に水素ガスを充填する経路に設けられている弁等を通過する際のジュールトムソン効果により水素ガスの温度が上昇するとともに、水素ガスを水素自動車の燃料タンクに高圧に圧縮充填するための圧縮熱によっても水素ガスの温度が上昇する。
【0003】
このように水素ガスの温度が上昇すると、燃料タンクの使用上限温度である85℃を超える問題や、充填後の冷却に伴う圧力降下等の問題が発生するため、水素ガスが流れる経路に冷却設備を配置し、この冷却設備で水素ガスを冷却しながら水素自動車に水素を充填する装置や方法が各種提案されている。
【0004】
水素ガスを冷却するための冷却設備としては、冷凍機の低温冷媒との熱交換によりブラインを冷却して貯槽に貯留し、該貯槽に貯留した低温のブラインによって水素ガスを冷却する方式のものや(例えば、特許文献1参照。)、液化窒素のような液化ガスと水素ガスとを熱交換させて水素ガスを冷却するものが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−164177号公報
【特許文献2】特開2008−267496号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載された冷却設備では、冷凍サイクルの低温冷媒とブラインとを熱交換させる熱交換器、ブラインと水素ガスとを熱交換させる熱交換器、ブライン貯槽、ブライン循環用の配管及びポンプ等が必要であることから、設備が複雑になり、設置面積も大きく、設備費が高額なものとなっていた。また、特許文献2に記載された冷却設備では、熱交換器が1基で済むことから設備の小型化や簡略化を図ることは可能であるが、水素ガスとの熱交換によって消耗する液化ガスを常に補充する必要があるため、ランニングコストが大幅に上昇するという問題がある。
【0007】
そこで本発明は、低温冷媒とブラインとの熱交換、ブラインと水素ガスとの熱交換を効率よく行うことができ、冷却設備の小型化や設備費の低減を図れる熱交換器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る低温冷媒で冷却されたブラインで水素ガスを冷却する熱交換器は、ブラインが充填される真空断熱された容器と、該容器の上部開口を塞ぐ蓋と、前記容器の軸線方向に配設された回転軸と、該回転軸に設けられたプロペラと、前記回転軸及びプロペラの周囲に配設された螺旋状の水素ガス冷却管と、該水素ガス冷却管の周囲に配設されたブライン冷却用の冷媒管とを備えていることを特徴としている。
【0009】
また、上記熱交換器は、前記水素ガス冷却管が、複数の水素ガス冷却管を上下多段に配設していること、前記冷媒管は、環状の上部マニホールドと環状の下部マニホールドとに上下端を連通状態に接続して、下端から上端方向に冷媒を流通させること、前記蓋の内面と容器内のブラインの液面との間の気相部にドライガスが供給されていること、前記容器の底部には、容器内に充填されているブラインを排出するためのドレインが設けられていること、前記容器は、縦長有底円筒状を呈し、容器下部を3本以上の支持脚にて支持されて、軸線を垂直にして自立できること、前記低温冷媒は冷凍サイクルを用いた冷凍機の低温冷媒であることが好ましい。
【0010】
さらに、低温冷媒で冷却されたブラインで水素ガスを冷却する熱交換器は、ブラインが充填される真空断熱された二重壁構造の縦長有底円筒状の容器と、該容器の上部開口を塞ぐ蓋と、該蓋の中心を貫通して容器内に軸線方向に挿入される回転軸と、該回転軸に設けられたプロペラと、前記回転軸及びプロペラの周囲に配設された螺旋状の水素ガス冷却管と、該水素ガス冷却管の周囲に配設されて、環状の上部マニホールドと環状の下部マニホールドとに上下端を連通状態に接続して、下部マニホールドに連通する冷媒導入管から供給される冷媒を上部マニホールドに連通する冷媒導出管から排出する複数本のブライン冷却用の冷媒管とを備え、前記回転軸、前記水素ガス冷却管、前記複数のブライン冷却用冷媒管及び容器は、平面視、前記回転軸を中心にして内側から、前記プロペラ、前記水素ガス冷却管、複数のブライン冷却用冷媒管及び容器の順に同心円上に配置されていることを特徴としている。また、前記低温冷媒は冷凍サイクルを用いた冷凍機の低温冷媒であることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、低温サイクルの低温冷媒によってブラインを冷却する熱交換及び冷却されたブラインによって水素ガスを冷却する熱交換を1つの容器内で行うことができ、ブライン用の貯槽やブライン循環用の配管及びポンプを省略でき、冷却設備の小型化及び設備費の低減を図れる。また、冷凍機の低温冷媒を冷熱源とするので、液化ガスを冷熱源として使用するものに比べてランニングコストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の熱交換器の一形態例を示す断面正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本形態例に係る熱交換器11は、ブラインが充填される真空断熱された二重壁構造の縦長有底円筒状の容器12と、該容器12の上部開口を塞ぐ円板状の蓋13と、該蓋13の中心を貫通して容器12の軸線方向に配置された回転軸14と、該回転軸14の上下に複数個設けられた軸流式のプロペラ15と、前記回転軸14及びプロペラ15の周囲に上下2段に配設された螺旋状の第1水素ガス冷却管16及び第2水素ガス冷却管17と、前記第1水素ガス冷却管16及び第2水素ガス冷却管17の周囲に軸線方向に配設された複数本のブライン冷却用の冷媒管18とを備えている。
【0014】
該複数本のブライン冷却用の冷媒管18のそれぞれは、前記第1水素ガス冷却管16の上方位置に配設された環状の上部マニホールド19と前記第2水素ガス冷却管17の下方位置に配設された環状の下部マニホールド20とに上下端を連通状態に接続している。このブライン冷却用の冷媒管18は、冷凍サイクルにおける蒸発器に相当するものであって、減圧された液冷媒が蒸発する際に発生する冷熱により、冷媒管18の周囲のブラインを冷却する。
【0015】
前記容器12は、容器下部に3本以上の支持脚21が設けられ、軸線を垂直にして自立できるように形成されている。また、容器12の底部には、容器12内に充填されているブラインをメンテナンス時等に排出するためのドレイン22が設けられている。
【0016】
前記蓋13は、前記容器12の上部外縁に設けられたフランジ12aに多数のボルト及びナットからなる締結具23にて着脱可能に固着されている。前記蓋13の外面中央部には、図示しないエアーモータにより回転駆動される駆動軸24の回転速度を減速して前記回転軸14に伝達するカバー付きの減速機25が設置されており、エアーモータを作動させることにより、前記駆動軸24、減速機25及び回転軸14を介して前記プロペラ15を回転させる。容器12内の前記ブラインは、このプロペラの回転により、前記第1水素ガス冷却管16及び第2水素ガス冷却管17の内周側を上昇し、第1水素ガス冷却管16の上方から前記冷媒管18の外側を下降して第2水素ガス冷却管17の下方から第2水素ガス冷却管17の内周側に循環する。
【0017】
前記蓋13には、水素ガス供給源からの水素ガスを、前記第1水素ガス冷却管16及び前記第2水素ガス冷却管17にそれぞれ供給する第1水素ガス導入管16a及び第2水素ガス導入管17aと、前記第1水素ガス冷却管16及び前記第2水素ガス冷却管17で冷却された水素ガスを導出して使用先、例えば自動車の燃料タンクへ送出する第1水素ガス導出管16b及び第2水素ガス導出管17bとが設置されている。各水素ガス冷却管16,17と各第1水素ガス導出管16b及び第2水素ガス導出管17bとは、突き合わせ溶接により継手を必要としない接合構造により接続されている。
【0018】
また、前記第1水素ガス導入管16aは、前記第1水素ガス冷却管16の外側に沿って軸線方向に配設され、前記第1水素ガス冷却管16の下端に連通しており、前記第1水素ガス導出管16bは、前記第1水素ガス冷却管16の上端に連通している。前記第2水素ガス導入管17aは、前記第1水素ガス冷却管16及び前記第2水素ガス冷却管17の外側に沿って軸線方向に配設され、前記第2水素ガス冷却管17の下端に連通している。また、前記第2水素ガス導出管17bは、前記第2水素ガス冷却管17の上端に連通して、前記第1水素ガス導出管16bの外側に沿って軸線方向に配設されている。
【0019】
さらに、前記蓋13を貫通して、ブライン冷却用の低温冷媒を、前記下部マニホールド20から各ブライン冷却用冷媒管18に導入する冷媒導入管20aと、前記上部マニホールド19から導出する冷媒導出管19aとが設置されている。前記冷媒導入管20aは、前記冷媒管18の内周側で、前記第1水素ガス導入管16a、前記第2水素ガス導入管17a、前記第1水素ガス導出管16b、前記第2水素ガス導出管17bの間に軸線方向に配設されている。
【0020】
なお、ブライン冷却用の低温冷媒については、液化窒素のような液化ガスを用いることもできるが、冷凍サイクルを用いた冷凍機(図示せず)のフロン等を使用することでランニングコストを低減することができ、好ましい。
【0021】
前記第1・第2水素ガス冷却管16,17、上部マニホールド19及び下部マニホールド20、複数のブライン冷却用冷媒管18は、平面視で、容器12の軸線上に配置されている前記回転軸14を中心にして内側から、前記第1・第2水素ガス冷却管16,17、複数のブライン冷却用冷媒管18の順に同心円上に配置され、上部マニホールド19及び下部マニホールド20は、回転軸14を中心とした円形に形成されている。
【0022】
また、前記蓋13の内面とブラインの液面との間には、ブラインの熱膨張に対処するための気相部が設けられるとともに、この気相部に、ブラインの変質を防止するためのドライガスを常時供給するドライガス供給管26a及び供給されたドライガスを排気するドライガス排出管26bが前記蓋14を貫通して設けられている。
【0023】
次に、この熱交換器11を用いて水素ガスを自動車の燃料タンクに充填する使用例を説明する。まず、前記ドライガス供給管26a及びドライガス排出管26bの弁を開いて前記気相部をドライガスで満たした状態とし、前記冷媒導入管20a及び冷媒導出管19aの弁を開き、冷凍機の膨張弁(図示せず)で膨張した液冷媒あるいは該液冷媒が蒸発した低温のガス冷媒を冷媒管18に導入し、冷媒管18を介して低温サイクルの低温冷媒とブラインとを熱交換させることによりブラインを冷却するとともに、図示しないエアーモータで駆動軸24、減速機25、回転軸14を介してプロペラ15を回転させ、ブラインを容器12内で循環させることにより、容器12内のブラインをあらかじめ設定されたブライン冷却温度まで冷却する。ブラインの温度がブライン冷却温度に達したら、冷凍機を停止して冷媒管18への低温冷媒の導入を中断するとともに、エアーモータを停止してブラインの循環も中断し、熱交換器11を待機状態とする。この待機状態でブラインの温度があらかじめ設定された上限温度に上昇したときには、再び冷凍機及びエアーモータを作動させてブラインをブライン冷却温度に冷却する。
【0024】
あらかじめ圧縮された高圧の水素ガスを自動車の燃料タンクへ充填する際には、第1水素ガス導入管16a及び第2水素ガス導入管17aの弁をそれぞれ開き、前記第1水素ガス冷却管16及び前記第2水素ガス冷却管17の下端に水素ガス供給源からの水素ガスをそれぞれ供給すると同時に、冷凍機及びエアーモータを作動させてブラインの冷却及びブラインの循環を再開する。供給された水素ガスは、前記第1水素ガス冷却管16及び前記第2水素ガス冷却管17を上昇しながら、あらかじめ冷却されたブラインと熱交換を行い、所定温度に冷却されて第1水素ガス導出管16b及び第2水素ガス導出管17bに導出され、充填用配管を介して燃料タンクに充填される。
【0025】
このように、ブラインが充填された容器12内に、螺旋状の前記水素ガス冷却管16,17と、ブライン冷却用の前記冷媒管18とを配設したことにより、従来のブライン貯槽、ブライン循環用の配管及びポンプを省略して水素ガス冷却設備の小型化を図ることができる。また、容器12の軸線方向に配置した回転軸14にプロペラ15を設けてブラインを容器12内で循環させることにより、冷媒管18内を流れる低温冷媒とブラインとの熱交換及び水素ガス冷却管16,17内を流れる水素ガスとブラインとの熱交換を効果的に行うことができ、それぞれの熱交換効率を向上させて熱交換器11の小型化も図ることができる。
【0026】
また、回転軸14、第1水素ガス導入管16a、第2水素ガス導入管17a、第1水素ガス導出管16b、第2水素ガス導出管17b、冷媒導入管20a、冷媒導出管19a、ドライガス供給管26a及びドライガス排出管26bのすべてを蓋13に設けているので、容器12の周壁に配管接続用の加工を施す必要がなく、各配管の接合や組み立ても蓋13の部分で行うことができるので、熱交換器11の製作も容易に行うことができ、製造コストを低減することができる。さらに、熱交換器11のメンテナンスも、ドレイン22から容器12内のブラインを排出して蓋13を取り外すことにより容易に行うことができ、保守コストの低減も図れる。加えて、あらかじめブラインを冷却して待機状態としておくことにより、水素ガス充填開始時から水素ガスを効果的に冷却することができる。
【0027】
なお、上述の形態例では、前記気相部に常時新鮮なドライガスを供給しているが、予めドライガスで満たしておくこともできる。また、ドライガスとしては、窒素ガスが最適であるが、窒素以外の不活性ガスや乾燥空気も使用可能である。
【0028】
さらに、上述の形態例では水素ガス冷却管を上下2段構成としているが、容器の高さなどの条件によっては上下3段以上に配設することも可能であり、1段にすることもできる。水素ガス冷却管における螺旋のコイル径は、水素ガスの流量、管のサイズ等によって異なるが、一般的には、100mm〜500mmの範囲が好ましく、螺旋の隙間間隔は、5mm〜32mmの範囲が好ましい。
【0029】
また、上述の形態例によれば、前記駆動軸の駆動にエアーモータを採用しているが、電気モータを使用することも可能であり、プロペラは、水素ガス冷却管の長さによって異なり、複数個設置することが好ましいが、1個のみとすることもできる。
【0030】
さらに、上述の形態例では、上部マニホールド及び下部マニホールドを設けて直管状の冷媒管を複数本配置するようにしているが、冷媒管を水素ガス冷却管と同様の螺旋形状として各マニホールドを省略することもできる。
【0031】
また、冷媒管や水素ガス冷却管として、フィン付き管や内面に螺旋状の溝を形成した管を用いることにより、伝熱面積を大きくして伝熱効果を促進することがきる。また、内面に螺旋状の溝を形成した管を使用することにより、管内を流れる流体の乱流を促進することができ、伝熱効率を更に向上させることができる。
【符号の説明】
【0032】
11…熱交換器、12…容器、13…蓋、14…回転軸、15…プロペラ、16…第1水素ガス冷却管、16a…第1水素ガス導入管、16b…第1水素ガス導出管、17…第2水素ガス冷却管、17a…第2水素ガス導入管17a、17b…第2水素ガス導出管、18…冷媒管、19…上部マニホールド、20…下部マニホールド、21…支持脚、22…ドレイン管、23…締結具、24…駆動軸、25…減速機、26a…ドライガス供給管、26b…ドライガス排出管