(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5809269
(24)【登録日】2015年9月18日
(45)【発行日】2015年11月10日
(54)【発明の名称】ダクト部材の製造方法
(51)【国際特許分類】
F24F 13/02 20060101AFI20151021BHJP
【FI】
F24F13/02 E
【請求項の数】4
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2013-524400(P2013-524400)
(86)(22)【出願日】2011年7月27日
(65)【公表番号】特表2013-535656(P2013-535656A)
(43)【公表日】2013年9月12日
(86)【国際出願番号】EP2011062930
(87)【国際公開番号】WO2012022594
(87)【国際公開日】20120223
【審査請求日】2014年6月12日
(31)【優先権主張番号】12/857,733
(32)【優先日】2010年8月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511201336
【氏名又は名称】ウォルシュ インテレクチュアル プロパティー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100156867
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 欣浩
(74)【代理人】
【識別番号】100179947
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 晃太郎
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン ローワン
(72)【発明者】
【氏名】パトリック ウォルシュ
【審査官】
渡邉 聡
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭60−034815(JP,A)
【文献】
特開昭62−132615(JP,A)
【文献】
特開2009−008276(JP,A)
【文献】
特開昭61−025810(JP,A)
【文献】
特開平08−110080(JP,A)
【文献】
特開平05−187702(JP,A)
【文献】
実開昭58−015709(JP,U)
【文献】
国際公開第2010/094385(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダクト部材を製造する方法であって、ロールからシートメタルを連続的に給送するステップと、シートが前進するに従ってその対向縁を漸次折り曲げ、各縁に沿って個々に折り曲げられた板金はぜを形成するステップであって、各はぜが、シートの本体と該シートの幅にわたって浅いトレイを画定する直立壁を含むステップと、前記シートが前進するに従って流体状の断熱材を前記浅いトレイに注ぎ、前記直立壁の間のトレイ幅ほぼ全体に断熱材を広げて充填するステップであって、該液体がその後固化して固体の熱絶縁層を形成するステップと、シートを各縁に沿ったはぜをそれぞれ有する個々のパネルに横方向に切断して、使用する際に隣接するパネルの縁に沿った係合はぜと圧入接続させるステップとを含む方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記液体状の断熱材は、硬化によって固化して固体絶縁層を形成する液体ポリマーを有する方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法において、前記ポリマーは液体ポリウレタンである方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法において、フランジを各パネルの横方向の切断端に取り付けて、各パネルを隣接するパネルの該横方向の切断端に固定するステップをさらに含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダクト部材の製造方法、すなわち一本のダクトの端部と端部に部材を接続して、例えば空気やガスの供給システム用の管状ダクトを形成する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
2010年8月26日に公開された国際公開第2010/094385号(PCT/EP2010/000433)は、折り曲げられたシートメタルのはぜを係合させて隣接する縦方向の縁に沿って接合した、複数のシートメタルパネルを備える管状ダクト部材を開示している。これらのはぜを押すことにより、各々のはぜの戻り止め面がそれぞれ互いに裏面で係合されてシートの縁が保持される。一実施形態では、 断熱パネルがダクト部材の種々のパネルに取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2010/094385号(PCT/EP2010/000433)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、ダクト部材製造の改善された方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、ロールからシートメタルを連続的に給送するステップと、シートが前進するに従ってその対向縁を漸次折り曲げ、各縁に沿って個々に折り曲げられた板金はぜを形成するステップであって、各板金はぜが、シートの本体と該シートの幅にわたって浅いトレイを画定する直立壁を含むステップと、シートが前進するに従って流体状の断熱材を浅いトレイに注ぎ、直立壁の間のトレイ幅ほぼ全体に断熱材を広げて充填するステップであって、該液体がその後固化して固体の熱絶縁層を形成するステップと、シートを、各縁に沿ったはぜをそれぞれ有する個々のパネルに横方向に切断して、使用する際に隣接するパネルの縁に沿った係合はぜと圧入接続させるステップとを含んでいる。
【0006】
本発明の実施形態を、添付の図面を参照して、例として以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の一実施形態によって製造されたダクトパネルを示す図である。
【
図2】
図2および
図2(a)は、
図1のダクトパネルを含む組み立てられたダクトの詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、本発明の実施形態に従って製造されたダクトパネルを示す図である。
図1(a)はダクトパネル100を下から見た平面図であり、
図1(b)は
図1(a)の線B−Bにおける断面図であり、
図1(c)は
図1(b)と同様の断面図を拡大したものである。
【0009】
国際公開第2010/094385号の
図8と同様に、パネル100はそれぞれ平行して対向する縁に沿って走る雌雄のはぜを有している。これらのはぜは、国際公開第2010/094385号の
図8における雄はぜ14’および雌はぜ16’と概ね同じ様に動作する。従って、同じ参照番号を付している。下記の説明は、国際公開第2010/094385号との相違点および推定されるはぜの基本的な動作に焦点をあてたものである。
【0010】
主な相違点は、はぜ14’および16’はそれぞれ
図1(c)に示す様に、2回の90度の曲げと1回の180度の曲げによる、パネルの各縁においてシートメタルをさらに折り曲げることによって形成された直立壁102、104をそれぞれ有していることである。 これらの直立壁102および104は、基部としてのパネル100の本体106と共に、パネルの幅にわたって浅いトレイを形成している。
【0011】
パネル100をシートメタルロールから連続的に製造し、シートの縁をシートがロールから進むに従って徐々に折り曲げてはぜ14’、16’および直立壁102,104を形成し、その後シートを横方向に切断して個々のパネルにする。しかし、はぜおよび直立壁の折り曲げ後の、シートを個々のパネルに切断する前に、壁102、104およびメタルシートによって形成された浅いトレイに液体ポリウレタン(LPU)を連続的に注入する。液体ポリウレタンは横へ流れて壁102および104の間の幅を全て埋め、素早く硬化して(数分内に)固体絶縁層110が形成される。LPUを注ぐ前に、プレス加工によって各パネルに縦方向および横方向の補強リブ112を形成する。最後に、
図2の組立図および詳細
図2(a)に示す、国際公開第2010/094385号の
図1〜
図4の一体フランジ18と同じ働きをするエンドフランジを、各々のパネルの横方向の切断端にリベットで留めて(あるいは点溶接し)、各々のパネルを隣接するパネルに固定する。
【0012】
上述の実施形態では、
図1の発泡/絶縁層110の露出された表面に硬質ポリマーライニング114を任意選択で噴霧する。これには2つの利点がある。先ず、ライニングによって、ダクトを洗浄する際に下部の層110を保護する硬い表面が提供されることと、次に、層110にはある程度の難燃性があるが、それでも燃えるので、硬質ポリマーライニングは難燃剤であるため、下部の材料よりも高い耐火性を提供することである。硬質ポリマー層114の厚さは約3mmであるが、約0.5mmからの範囲とすることができる。これに対して、層110は典型的には32mm〜35mmの厚さであるが、約45mmまでの厚さとすることができる。難燃性ポリマー114としては、BASFのElastcoat(登録商標)C6325/105またはBollom Fire Protection(UK)のBroFlame(登録商標)が好適である。
【0013】
ダクト内またはダクト周りの絶縁体として、例えばRockwoolまたはその同等品を使用する場合と比較すると、例えば
図2および
図2(a)に示す様に、組み立てられたダクトがポリマーライニング114で被覆された絶縁層110を有する発明の実施形態では、耐久性のある、比較的不浸透な内面ライニングが提供される。この層/ライニングはげっ歯類を寄せ付けず、また、先行技術によるシステムの様に、レジオネラなどの細菌を留まらせておいたり、それらをすぐに広めたりすることはない。またこのダクトはフラットパックの状態で運ぶことができ、組み立てると、多くの用途で使用できる、比較的気密性の高い導管を提供する。
【0014】
層114に加えて、またはその代わりとして、抗菌性の層(図示せず)を絶縁層110に追加することができる。一つの適切な被覆として、アイルランドのGeneral Paints社によって製造される、Hygen Ultra(登録商標)がある。
【0015】
本発明は上述の実施形態に制限されず、本発明の趣旨を逸脱することなく、変更または変形を行なうことができる。