【文献】
Ayse R. Kose et al.,Label-free cellular manipulation and sorting via biocompatible ferrofluids,Proc. Natl. Acad. Sci.,2009年12月22日,vol. 106, no. 51,21478-21483
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記電源は、選択された振幅、選択された周波数、および選択された位相のうちの1つ以上を有する電流を印加するように構成され、前記サンプルの前記少なくとも2つの標的種の分離は、該電流の該選択された振幅、該選択された周波数、および該選択された位相のうちの該1つ以上に少なくとも部分的に基づいている、請求項2に記載のデバイス。
前記複数の電極は、前記少なくとも2つの標的種を前記マイクロ流体チャネルの中の前記サンプルの前記実質的に連続した流れの方向に対して実質的に直角な方向に分離させるように構成される、請求項1に記載のデバイス。
前記実質的に連続した流れを生成するように構成される流れ生成ユニットをさらに備え、該流れ生成ユニットは、圧力ポンプ、シリンジポンプ、蠕動ポンプ、真空デバイス、重力を介して流れを可能にする構造、および毛細管力を生成するデバイスのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のデバイス。
前記生体適合性磁性流体は、約150mMの設計されたイオン強度を備え、それにより、該生体適合性磁性流体は等張性であり、生真核細胞を持続させるように適合される、請求項9に記載のデバイス。
前記マイクロ流体チャネルに近接して設置された前記少なくとも2つの電極は、制御可能に供給された電流を伝導するように、および該少なくとも2つの電極の物理的属性に少なくとも部分的に従って前記制御可能な磁力を生成するように構成される、請求項19に記載のデバイス。
前記少なくとも2つの電極は、構造を含み、該構造は、該少なくとも2つの電極のうちの1つ以上の電極についての実質的に真っ直ぐな形状、該少なくとも2つの電極のうちの該1つ以上の電極についての実質的に波状の形状、該少なくとも2つの電極についての実質的に平行な配設、および該少なくとも2つの電極が徐々に相互に接近する該少なくとも2つの電極についての実質的にテーパ状の方向付けのうちの少なくとも1つを有する、請求項20に記載のデバイス。
前記少なくとも2つの電極は、前記少なくとも1つの標的種を前記マイクロ流体チャネルの中の空間に流入させるように構成され、該マイクロ流体チャネルは、該少なくとも2つの電極よりも上側およびその間に位置する、請求項20に記載のデバイス。
前記少なくとも2つの電極は、逆移動磁場の少なくとも2つの磁気波を生成して、前記少なくとも1つの標的種を該少なくとも2つの生成された磁気波の間の境界のほぼ中心に集束させるように構成される、請求項19に記載のデバイス。
前記少なくとも2つの電極は、電極の配列を含み、該配列の少なくともいくつかの第1の電極は、該第1の電極が隣接電極に徐々に接近するよう構成されるように、隣接電極に対して実質的にテーパ状の方向付けで配設されており、該電極の配列は、磁力を生成することにより、該少なくとも1つの標的種の結果として生じる流れを複数対の隣接電極よりも上側およびその間に形成させるように構成される、請求項19に記載のデバイス。
前記電極のうちの少なくとも2つの電極は、関連付けられた位相を有する前記制御可能な電流が該少なくとも2つの電極に印加されたときに、前記サンプルの中に制御可能な磁力を生成するように構成され、該電流の少なくとも1つの電流の関連付けられた位相は、該電流のもう1つの電流の関連付けられた位相とは異なる、請求項19に記載のデバイス。
前記少なくとも2つの電極の前記物理的属性は、それに従って前記制御可能な磁力が生成されるが、該少なくとも2つの電極の電極構造を含み、該少なくとも2つの電極の該構造は、該少なくとも2つの電極のうちの1つ以上の電極の実質的に真っ直ぐな形状、該少なくとも2つの電極のうちの該1つ以上の電極の実質的に波状の形状、該少なくとも2つの電極の実質的に平行な配設、および該少なくとも2つの電極が相互に徐々に接近している、該少なくとも2つの電極の実質的にテーパ状の方向付けのうちの1つ以上を含む、請求項36に記載のデバイス。
前記少なくとも2つの電極は、電極の配列を含み、該電極のうちの少なくともいくつかは、該電極のうちの少なくともいくつかがそれらの隣接電極に徐々に接近しているように、隣接電極に対して実質的にテーパ状の方向付けで配設されている、請求項35に記載のデバイス。
前記電極のうちの少なくとも2つの電極は、関連付けられた位相を有する制御可能な電流が該少なくとも2つの電極に印加されたときに、前記磁性流体を含有する前記サンプルの中に制御可能な磁力を生成するように構成され、該電流の少なくとも1つの関連付けられた位相は、該電流のもう1つの関連付けられた位相とは異なる、請求項35に記載のデバイス。
前記少なくとも1つの標的種の前記存在を決定するように構成された前記同定ユニットは、該少なくとも1つの標的種の該存在から生じる前記マイクロ流体チャネルの中の測定された静電容量の変化に基づいて、該少なくとも1つの標的種の該存在を決定するように構成される、請求項47に記載のデバイス。
前記少なくとも1つの標的種の前記存在を決定するように構成される前記同定ユニットは、該少なくとも1つの標的種の該存在から生じる前記マイクロ流体チャネルの中の測定されたインピーダンスの変化に基づいて、該少なくとも1つの標的種の該存在を決定するように構成される、請求項51に記載のデバイス。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
生体適合性磁性流体に懸濁された粒子のサンプルを分離するためのデバイスが説明される。いくつかの実施形態では、デバイスは、サンプル入口、少なくとも1つの出力、およびサンプル入口と少なくとも1つの出力との間の長さを有する、マイクロ流体チャネルを含み、サンプルは、サンプル入口に追加することができ、長さに沿って少なくとも1つの出口まで流れることができる。デバイスは、複数の電極を含み、マイクロ流体チャネル長は、複数の電極を横断し、さらに、マイクロ流体チャネルの長さに沿って磁場パターンを生成するように、電流を複数の電極に印加するための電源を含む。いくつかの実施形態では、電極の間の間隔は、徐々に増加させられる。いくつかの実施形態では、電極の間の間隔は、徐々に減少させられる。いくつかの実施形態では、複数の電極は、少なくとも1つの電極層を備える。いくつかの実施形態では、複数の電極は、複数の電極層を備える。いくつかの実施形態では、複数の電極層は、実質的に直交するパターンにある。いくつかの実施形態では、複数の電極は、同心円のパターンを備える。いくつかの実施形態では、マイクロ流体チャネル長の壁は、ポケット状、隆起、溝付き、溝型、または傾斜領域を含む。いくつかの実施形態では、マイクロ流体チャネル長は、約0〜360度(より具体的には0〜90度)の間の角度で、複数の電極の少なくとも一部分を横断する。いくつかの実施形態では、粒子は、生細胞である。
【0009】
また、生体適合性磁性流体に懸濁されたサンプルから少なくとも1つの標的を分離するためのシステムも説明される。システムは、サンプル入口、少なくとも1つの出力、およびサンプル入口と少なくとも1つの出力との間の長さを有する、マイクロ流体チャネルを含み、サンプルは、サンプル入口に追加することができ、長さに沿って少なくとも1つの出口まで流れることができる。システムはまた、複数の電極も含み、マイクロ流体チャネル長は、複数の電極を横断し、さらに、電流が電極に印加された時に、マイクロ流体チャネルの長さに沿って磁場パターンを生成する。システムはさらに、生体適合性磁性流体に懸濁されたサンプル中の少なくとも1つの標的を含み、少なくとも1つの標的は、少なくとも1つの標的がマイクロ流体チャネル長の少なくとも一部分に沿って伝わるにつれて、残りのサンプルから分離される。一実施形態では、生体適合性磁性流体は、細胞への浸透圧を制御して細胞の持続可能性を増進するように、好適な量のイオン種を含む。いくつかの実施形態では、生体適合性磁性流体は、約5〜200mMの間のクエン酸塩濃度を備える。いくつかの実施形態では、生体適合性磁性流体は、約40Mmのクエン酸塩濃度を備える。いくつかの実施形態では、生体適合性磁性流体は、約7.4のpHを有する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの標的は、標的サイズに基づいて分離される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの標的は、標的形状に基づいて分離される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの標的は、標的弾性に基づいて分離される。いくつかの実施形態では、標的は、選択された出口に方向付けられることによって分離される。いくつかの実施形態では、標的は、電極の間隔に基づいて捕捉される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの標的は、細胞である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの標的は、粒子である。
【0010】
また、少なくとも1つの細胞型を分離するための方法も説明される。方法は、サンプルを形成するように、生体適合性磁性流体の中で2つ以上の細胞型を懸濁させるステップと、複数の電極を横断するマイクロ流体チャネルにサンプルを通過させるステップと、マイクロ流体チャネルの長さに沿って磁場パターンを生成するように、電流を複数の電極に印加するステップと、細胞サイズ、形状、および弾性のうちの少なくとも1つの変動に基づいて、少なくとも1つの出力チャネルに細胞を選別するステップとを含む。一実施形態では、細胞は、少なくとも約90%の効率で分離される。いくつかの実施形態では、分離におけるサイズ分解能は、約10μm未満である。いくつかの実施形態では、細胞は、約1分未満で分離される。
【0011】
いくつかの実施形態では、本明細書で説明されるシステム、デバイス、方法、および製品は、微小粒子および生細胞の両方の制御された操作および急速分離のために生体適合性磁性流体を使用するマイクロ流体プラットフォームに関する。いくつかの実施形態では、本明細書で説明されるシステム、デバイス、方法、および製品は、生体適合性である集中磁性流体を介した細胞の高スループット操作、無標識選別、および分離を可能にする。磁性流体の生体適合性は、クエン酸塩等のイオン性界面活性剤の有効均衡または濃度に基づく。生体適合性は、概して、中性pH、セルへの十分な浸透圧、および好適な磁性流体を必要とする(例えば、過剰に多くの含有量が懸濁液を不安定にする場合がある)。プラットフォームは、急速かつ効率的な分離を達成するために、粒子サイズ、形状、弾性、および形態等の違いを利用する。微小球を使用して、サイズベースの分離が、例えば、約45秒未満で、約99%分離効率および10μm未満の分解能を用いて実証される。本明細書で説明されるシステム、デバイス、方法、および製品はまた、生赤血球の連続操作ならびに鎌状細胞および細菌からの形状ベースの分離も提供する。本明細書で説明される磁性マイクロ流体システム、デバイス、方法、および製品は、インキュベーション時間を有意に短縮し、標的細胞の急速分離およびセンサアレイへの送達を通して、細胞検定における診断感度を増加させる。
【0012】
したがって、いくつかの実施形態では、生体適合性磁性流体に懸濁された複数の標的種を分離するためのシステムが開示される。システムは、少なくとも1つのサンプル入口と、少なくとも1つの出口とを含む、マイクロ流体チャネルを含み、マイクロ流体チャネルは、少なくとも1つのサンプル入口と少なくとも1つの出口との間に延在するチャネル長を有し、マイクロ流体チャネルは、少なくとも1つのサンプル入口からサンプルの実質的に連続な流れを受容するように構成され、チャネルは、チャネル長に沿って少なくとも1つの出口までサンプルを流すように構成され、サンプルは、複数の標的種と、生体適合性磁性流体とを含む。システムはまた、複数の電極であって、マイクロ流体チャネル長は、複数の電極の少なくとも一部分に近接して通る、複数の電極と、少なくとも1つの電流を複数の電極に制御可能に印加して、マイクロ流体チャネルのチャネル長の少なくとも一部分に沿って磁場パターンを制御可能に生成し、サンプル中の複数の標的種のうちの少なくとも2つを分離させるように構成される、電源とを含む。
【0013】
システムの実施形態は、以下の特徴のうちのいずれかを含む、本開示で説明される特徴のうちのいずれかを含んでもよい。
【0014】
電源は、加えて、少なくとも1つの電流を制御可能に印加して、磁力成分および磁気トルク成分を生成するように構成されてもよい。
【0015】
分離される複数の標的種は、マイクロ流体チャネル中のサンプルの実質的に連続した流れの方向に対して実質的に直角な方向へ分離されてもよい。
【0016】
サンプルの実質的に連続した流れは、例えば、圧力ポンプ、シリンジポンプ、蠕動ポンプ、真空デバイス、重力、および/または毛細管力のうちの少なくとも1つによって提供されてもよい。
【0017】
電源は、例えば、選択された振幅、選択された周波数、および/または選択された位相のうちの少なくとも1つに従って、電流を印加するように構成されてもよい。サンプルの少なくとも2つの標的種の分離は、例えば、電流の選択された振幅、選択された周波数、および/または選択された位相のうちの1つ以上に少なくとも部分的に基づいてもよい。
【0018】
複数の電極の間の間隔は、その長さに沿って徐々に増加してもよい。
【0019】
複数の電極のうちの少なくともいくつかの間の間隔は、その長さに沿って徐々に減少してもよい。
【0020】
複数の電極は、電極層の中に配設されてもよい。
【0021】
複数の電極は、複数の電極層の中に配設されてもよい。
【0022】
複数の電極層は、実質的に直交するパターンで配設されてもよい。
【0023】
複数の電極は、同心円のパターンで配設されてもよい。
【0024】
マイクロ流体チャネルの壁は、例えば、ポケット状、隆起、溝付き、溝型、および/または傾斜領域を画定してもよい。
【0025】
マイクロ流体チャネル長は、約0〜90°の間の角度で、複数の電極の少なくとも一部分に近接して通ってもよい。
【0026】
複数の標的種は、少なくとも1つの細胞ベースの標的種を含んでもよい。細胞ベースの標的種は、例えば、白血球、赤血球、腫瘍細胞、および/または細菌ベースの細胞のうちの1つ以上を含んでもよい。
【0027】
いくつかの実施形態では、生体適合性磁性流体に懸濁された複数の標的種を分離するためのデバイスが開示される。デバイスは、少なくとも1つのサンプル入口と、少なくとも1つの出口とを含む、マイクロ流体チャネルを含み、マイクロ流体チャネルは、少なくとも1つのサンプル入口と少なくとも1つの出口との間に延在するチャネル長を有し、マイクロ流体チャネルは、少なくとも1つのサンプル入口からサンプルの実質的に連続した流れを受容するように構成され、さらに、チャネル長に沿って少なくとも1つの出口までサンプルを流すように構成される。サンプルは、複数の標的種と、生体適合性磁性流体とを含む。デバイスはまた、マイクロ流体チャネルに近接して設置される、複数の電極であって、電流が複数の電極に印加された時に、マイクロ流体チャネルのチャネル長の少なくとも一部分に沿って磁場パターンを生成するように構成される複数の電極を含む。磁場パターンは、サンプルの流れが、マイクロ流体チャネルの少なくとも一部に沿って進む時に、サンプルの流れの中の複数の標的種のうちの少なくとも2つを分離させるように構成される。
【0028】
デバイスの実施形態は、システムに関して上記で説明される特徴のうちのいずれか、および以下で説明される特徴を含む、本開示で説明される特徴のうちのいずれかを含んでもよい。
【0029】
デバイスはさらに、電流を複数の電極に制御可能に印加して、磁場パターンを制御可能に生成するように構成される電源を含んでもよい。
【0030】
複数の電極は、制御可能な磁力成分および制御可能な磁気トルク成分を生成するように構成されてもよい。
【0031】
複数の電極は、マイクロ流体チャネル中のサンプルの実質的に連続した流れの方向に対して実質的に直角な方向へ少なくとも2つの標的種を分離させるように構成されてもよい。
【0032】
デバイスはさらに、実質的に連続した流れを生成するように構成される、流れ生成ユニットを含んでもよい。流れ生成ユニットは、例えば、圧力ポンプ、シリンジポンプ、蠕動ポンプ、真空デバイス、重力を介して流れを可能にする構造、および/または毛細管力を生成するデバイスのうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0033】
生体適合性磁性流体は、細胞への浸透圧を制御して細胞の持続可能性を増進するように、好適な量のイオン種を含んでもよい。生体適合性磁性流体は、約5〜200mMの間のクエン酸塩濃度を含んでもよい。生体適合性磁性流体は、約40mMのクエン酸塩濃度を含んでもよい。生体適合性磁性流体は、生体適合性磁性流体が等張性であり、生真核細胞を持続させるよう適合されるように、約150mMの設計されたイオン強度を含んでもよい。
【0034】
生体適合性磁性流体は、約7.4のpHを有してもよい。
【0035】
少なくとも2つの標的種は、標的サイズに基づいて分離されてもよい。
【0036】
少なくとも2つの標的種は、標的形状に基づいて分離されてもよい。
【0037】
少なくとも2つの標的種は、標的弾性に基づいて分離されてもよい。
【0038】
少なくとも2つの標的種は、標的形態に基づいて分離されてもよい。
【0039】
少なくとも2つの標的種は、例えば、電極の間隔、印加される電流の周波数、および/または印加される電流の位相のうちの1つ以上に基づいて捕捉されてもよい。
【0040】
いくつかの実施形態では、複数の標的種を分離するための方法が開示される。方法は、マイクロ流体チャネルの入口の中で、生体適合性磁性流体に懸濁された複数の標的種を含む、サンプルの実質的に連続した流れを受容するステップと、マイクロ流体チャネルに沿ってサンプルを渡すステップと、少なくとも1つの制御可能な電流を、チャネルに近接して設置される複数の電極に印加するステップとを含む。電流は、マイクロ流体チャネルのチャネル長の少なくとも一部分に沿って磁場パターンを制御可能に生成して、サンプル中の複数の標的種のうちの少なくとも2つを分離させるように構成される。
【0041】
方法の実施形態は、システムおよびデバイスに関して上記で説明される特徴のうちのいずれか、および以下で説明される特徴を含む、本開示で説明される特徴のうちのいずれかを含んでもよい。
【0042】
方法はさらに、例えば、細胞サイズ、形状、弾性、および/または形態のうちの少なくとも1つの変動に基づいて、複数の標的種のうちの分離された少なくとも2つを少なくとも1つの出力チャネルに選別するステップを含んでもよい。
【0043】
少なくとも1つの制御可能な電流を印加するステップは、磁力成分および磁気トルク成分を生成するように少なくとも1つの電流を制御可能に印加するステップを含んでもよい。
【0044】
電流を複数の電極に制御可能に印加するステップは、マイクロ流体チャネル中のサンプルの実質的に連続した流れの方向に対して実質的に直角な方向へ、複数の標的種のうちの少なくとも2つを分離させる。
【0045】
サンプルの実質的に連続した流れを受容するステップは、例えば、圧力ポンプ、シリンジポンプ、蠕動ポンプ、真空デバイス、重力支援圧力を可能にする構造、および/または毛細管力を生成するデバイスのうちの少なくとも1つを使用して、外部源からサンプルの連続流を提供するように圧力を生成するステップを含む。
【0046】
少なくとも1つの電流を制御可能に印加するステップは、例えば、選択された振幅、選択された周波数、および/または選択された位相のうちの1つ以上を伴う電流を印加するステップを含んでもよく、サンプルの少なくとも2つの標的種の分離は、例えば、電流の選択された振幅、選択された周波数、および/または選択された位相のうちの1つ以上に少なくとも部分的に基づく。
【0047】
いくつかの実施形態では、生体適合性磁性流体に懸濁された少なくとも1つの標的種を集束させるデバイスが開示される。デバイスは、少なくとも1つの標的種と、生体適合性磁性流体とを含有する、サンプルを受容するように構成される、マイクロ流体チャネルを含み、受容したサンプル中の少なくとも1つの標的種は、関連入力幅を伴う入力流れの中で実質的に集中させられる。デバイスはまた、マイクロ流体チャネルに近接して設置される電極のうちの少なくとも2つを含み、少なくとも2つの電極は、制御可能な電流が少なくとも2つの電極に印加されたときに、磁性流体を含有する前ンプル中で制御可能な磁力を生成するように構成される。生成された制御可能な磁力は、入力流れと関連付けられる入力幅よりも狭い幅を有する、結果として生じる流れの中で、少なくとも1つの標的種を集束させる。
【0048】
デバイスの実施形態は、システム、第1のデバイス、および方法に関して上記で説明される特徴のうちのいずれか、および以下で説明される特徴を含む、本開示で説明される特徴のうちのいずれかを含んでもよい。
【0049】
マイクロ流体チャネルに近接して設置される少なくとも2つの電極は、制御可能に供給された電流を伝導するように、および少なくとも部分的に少なくとも2つの電極の物理的属性に従って制御可能な磁力を生成するように構成されてもよい。少なくとも2つの電極は、例えば、少なくとも2つの電極のうちの1つ以上の実質的に真っ直ぐな形状、少なくとも2つの電極のうちの1つ以上の実質的に波状の形状、少なくとも2つの電極の実質的に平行な配設、および/または少なくとも2つの電極が徐々に相互に接近する、少なくとも2つの電極の実質的にテーパ状の方向付けのうちの少なくとも1つを有する、構造を含む。
【0050】
少なくとも2つの電極は、少なくとも2つの電極より上側かつその間に位置する、マイクロ流体チャネル中の空間の中へ少なくとも1つの標的種を流れさせるように構成されてもよい。
【0051】
少なくとも2つの電極は、逆移動磁場の少なくとも2つの磁気波を生成して、少なくとも2つの生成された磁気波の間の境界のほぼ中心で少なくとも1つの標的種を集束させるように構成されてもよい。
【0052】
少なくとも2つの電極は、複数の実質的に平行に配設された電極を含んでもよい。
【0053】
少なくとも2つの電極は、第1の電極が隣接電極に徐々に接近するように構成されるように、隣接電極に対して実質的にテーパ状の方向付けで配設されている、配列の少なくともいくつかの第1の電極を伴う、電極の配列を含んでもよく、電極の配列は、磁力を生成して、複数対の隣接電極より上側およびその間で、少なくとも1つの標的種の結果として生じる流れを形成させるように構成される。
【0054】
電極のうちの少なくとも2つは、関連付けられた位相を有する制御可能な電流が少なくとも2つの電極に印加されたときに、サンプル中で制御可能な磁力を生成するように構成されてもよい。電流の少なくとも1つの関連付けられた位相は、電流のもう1つの関連付けられた位相とは異なってもよい。
【0055】
少なくとも1つの標的種は、少なくとも2つの標的種を含む。複数の電極はさらに、結果として生じた集束流れ中の複数の標的種のうちの少なくとも2つを分離させるように構成されてもよい。
【0056】
少なくとも2つの電極の間の間隔は、徐々に増加してもよい。
【0057】
少なくとも2つの電極の間の間隔は、徐々に減少してもよい。
【0058】
少なくとも2つの電極は、少なくとも1つの電極層の中に配設されてもよい。
【0059】
少なくとも2つの電極は、複数の電極層の中に配設されてもよい。
【0060】
マイクロ流体チャネル長は、約0〜90°の間の角度で、少なくとも2つの電極の少なくとも一部分に近接して通ってもよい。
【0061】
少なくとも1つの標的種は、細胞ベースの標的種を含んでもよい。
【0062】
いくつかの実施形態では、生体適合性磁性流体に懸濁された少なくとも1つの標的種を集束させるシステムが開示される。システムは、少なくとも1つの標的種と、生体適合性磁性流体とを含有する、サンプルを受容するように構成される、マイクロ流体チャネルを含み、受容したサンプル中の少なくとも1つの標的種は、関連入力幅を伴う入力流れの中で実質的に集中させられる。システムはまた、マイクロ流体チャネルに近接して設置される電極のうちの少なくとも2つも含み、少なくとも2つの電極は、制御可能な電流が少なくとも2つの電極に印加されたときに、磁性流体を含有するサンプル中で制御可能な磁力を生成するように構成される。生成された制御可能な磁力は、入力流れと関連付けられる入力幅よりも狭い幅を有する、結果として生じる流れの中で、少なくとも1つの標的種を集束させる。システムはさらに、制御可能な電流を少なくとも2つの電極に制御可能に印加するように、電源を含む。
【0063】
システムの実施形態は、第1のシステム、デバイス、および方法に関して上記で説明される特徴のうちのいずれか、および以下で説明される特徴を含む、本開示で説明される特徴のうちのいずれかを含んでもよい。
【0064】
電源は、それぞれの選択された振幅、それぞれの選択された関連周波数、および/またはそれぞれの選択された関連付けられた位相を含む、電流を印加するように構成されてもよい。少なくとも1つの標的種の集束は、例えば、印加された電流のそれぞれの選択された振幅、選択された周波数、および/または選択された位相に少なくとも部分的に基づいてもよい。
【0065】
システムはさらに、入力流れを提供するように圧力生成ユニットを含んでもよく、圧力生成ユニットは、例えば、圧力ポンプ、シリンジポンプ、蠕動ポンプ、真空デバイス、重力支援圧力を可能にする構造、および/または毛細管力を生成するデバイスのうちの少なくとも1つを含む。
【0066】
制御可能な磁力は、少なくとも2つの電極より上側かつその間に位置する、マイクロ流体チャネル中の空間の中へ少なくとも1つの標的種の結果として生じる流れを押し込ませてもよい。
【0067】
マイクロ流体チャネルに近接して設置される少なくとも2つの電極は、逆移動磁場の少なくとも2つの磁気波を生成して、少なくとも2つの生成された磁気波の間の境界のほぼ中心で少なくとも1つの標的種を集束させるように構成されてもよい。
【0068】
逆移動磁場の関連する少なくとも2つの磁気波を生成するように構成される、少なくとも2つの電極は、複数の実質的に平行に配設された電極を含んでもよい。
【0069】
少なくとも2つの電極は、第1の電極が隣接電極に徐々に接近するように、隣接電極に対して実質的にテーパ状の方向付けで配設される複数の第1の電極を含む、電極の配列を含んでもよく、電極の配列は、磁力を生成して、複数対の隣接電極より上側およびその間で、少なくとも1つの標的種の結果として生じる流れを形成させるように構成される。
【0070】
電極のうちの少なくとも2つは、関連付けられた位相を有する制御可能な電流が少なくとも2つの電極に印加されたときに、磁性流体を含有するサンプル中で制御可能な磁力を生成するように構成されてもよい。電流の少なくとも1つの関連付けられた位相は、電流のもう1つの関連付けられた位相とは異なってもよい。
【0071】
いくつかの実施形態では、マイクロ流体チャネルの中で少なくとも1つの標的種を集束させるための方法が開示される。方法は、生体適合性磁性流体に懸濁された少なくとも1つの標的種を含有する、サンプルを受容するステップを含み、受容したサンプル中の少なくとも1つの標的種は、関連入力幅を伴う入力流れの中で実質的に集中させられる。方法はまた、磁性流体チャネルを含有するサンプル中で制御可能な磁力を生成するように、少なくとも1つの電流を、マイクロ流体に近接して設置される電極のうちの少なくとも2つに制御可能に印加するステップも含む。磁力は、入力流れと関連付けられる入力幅よりも狭い幅を有する、結果として生じる流れの中で、少なくとも1つの標的種を集束させる。
【0072】
方法の実施形態は、システム、デバイス、および第1の方法に関して上記で説明される特徴のうちのいずれか、および以下で説明される特徴を含む、本開示で説明される特徴のうちのいずれかを含んでもよい。
【0073】
少なくとも1つの電流を制御可能に印加するステップは、少なくとも1つの電流について、例えば、それぞれの関連振幅、それぞれの関連周波数、およびそれぞれの関連付けられた位相のうちの1つ以上を制御可能に選択するステップを含んでもよい。少なくとも1つの標的種の集束は、例えば、印加された少なくとも1つの電流のそれぞれの選択された振幅、それぞれの選択された周波数、および/またはそれぞれの選択された位相に少なくとも部分的に基づいてもよい。
【0074】
方法はさらに、圧力生成ユニットを使用して入力流れを提供するステップを含んでもよく、圧力生成ユニットは、例えば、圧力ポンプ、シリンジポンプ、蠕動ポンプ、真空吸引デバイス、重力支援圧力を可能にする構造、および/または毛細管力を生成するデバイスのうちの少なくとも1つを含む。
【0075】
制御可能に供給された電流を伝導して、制御可能な磁力を生成するように構成される、少なくとも2つの電極は、少なくとも2つの電極より上側かつその間に位置する、マイクロ流体チャネル中の空間の中へ少なくとも1つの標的種の結果として生じる流れを押し込ませる。
【0076】
いくつかの実施形態では、サンプル中の少なくとも1つの標的種を検出するデバイスが開示される。デバイスは、少なくとも1つの標的種と、少なくとも1つの標的種が懸濁される生体適合性磁性流体とを含有する、サンプルを受容するように構成される、マイクロ流体チャネルと、サンプル中の少なくとも1つの標的種を決定する検出器と、マイクロ流体チャネルに近接して設置される電極のうちの少なくとも2つとを含む。少なくとも2つの電極は、制御可能な少なくとも1つの電流が少なくとも2つの電極に印加されたときに、磁性流体を含有するサンプル中で制御可能な磁力を生成するように構成され、生成された制御可能な磁力は、少なくとも1つの標的種を検出器に向かって方向付けさせる。
【0077】
デバイスの実施形態は、システム、デバイス、および方法に関して上記で説明される特徴のうちのいずれか、および以下で説明される特徴を含む、本開示で説明される特徴のうちのいずれかを含んでもよい。
【0078】
少なくとも2つの電極は、電極のうちの少なくともいくつかが、それらの隣接電極に徐々に接近しているように、隣接電極に対して実質的にテーパ状の方向付けで配設された電極のうちの少なくともいくつかを伴う、電極の配列を含んでもよい。
【0079】
電極のうちの少なくとも2つは、関連付けられた位相を含む制御可能な電流が少なくとも2つの電極に印加されたときに、磁性流体を含有するサンプル中で制御可能な磁力を生成するように構成されてもよい。電流の少なくとも1つの関連付けられた位相は、電流のもう1つの関連付けられた位相とは異なってもよい。
【0080】
サンプルは、複数の標的種を含んでもよく、デバイスはさらに、サンプル中の複数の標的種のうちの少なくとも2つを分離させるように、制御可能な電流が一組の電極に印加されたときに、マイクロ流体チャネルの長さの少なくとも一部分に沿って、制御可能な磁場パターンを生成するように構成される、一組の電極を含んでもよい。
【0081】
マイクロ流体チャネルは、外部サンプル源からサンプルの流れを受容するように構成されてもよい。
【0082】
検出器は、マイクロ流体チャネル内の静電容量を測定する1対の離間電極と、測定された静電容量に基づいて、少なくとも1つの標的種の存在を決定する同定ユニットとを含んでもよい。
【0083】
少なくとも1つの標的種の存在を決定するように構成される同定ユニットは、少なくとも1つの標的種の存在に起因する、マイクロ流体チャネルの中の測定された静電容量の変化に基づいて、少なくとも1つの標的種の存在を決定するように構成されてもよい。
【0084】
検出器はさらに、複数の標的種のうちの1つと相互作用するように構成される物質を含む、捕捉領域であって、1対の離間電極の下流でマイクロ流体チャネルの中に位置する、捕捉領域と、マイクロ流体チャネル内の静電容量を測定する、捕捉領域の下流に位置する別の1対の離間電極とを含んでもよい。同定ユニットは、1対の離間電極において測定される静電容量に基づく、1対の離間電極における少なくとも1つの標的種の初期数と、他方の1対の離間電極において測定される前記静電容量に基づく、少なくとも1つの標的種の終了数とを決定するように、ならびに初期および終了数の間の差に少なくとも部分的に基づいて、捕捉領域によって捕捉される少なくとも1つの標的種のレベルが所定の閾値を超えるかどうかを決定するように構成されてもよい。
【0085】
検出器は、連続的に設置された検出セットのカスケードを含んでもよく、連続的に設置された検出セットのカスケードの各々は、マイクロ流体チャネル内の静電容量を測定する第1の対の離間電極と、複数の標的種のうちの1つと相互作用するように構成される物質を含む、捕捉領域であって、第1の対の離間電極の下流に位置する捕捉領域と、マイクロ流体チャネル内の静電容量を測定する、捕捉領域の下流に位置する第2の対の離間電極とを含む。デバイスはまた、第1の対の離間電極において測定される静電容量に基づく、第1の対の離間電極における少なくとも1つの標的種の初期数と、第2の対の離間電極において測定される静電容量に基づく、第2の対の離間電極における少なくとも1つの標的種の終了数とを、検出セットの各々において決定し、ならびに初期および終了数の間の差に少なくとも部分的に基づいて、捕捉領域によって捕捉される少なくとも1つの標的種のレベルが所定の閾値を超えるかどうかを決定する、同定ユニットを含んでもよい。
【0086】
検出器は、マイクロ流体チャネル内のインピーダンスを測定する1対の離間電極と、測定されたインピーダンスに基づいて、少なくとも1つの標的種の存在を決定する同定ユニットとを含んでもよい。
【0087】
少なくとも1つの標的種の存在を決定するように構成される同定ユニットは、少なくとも1つの標的種の存在に起因する、マイクロ流体チャネルの中の測定されたインピーダンスの変化に基づいて、少なくとも1つの標的種の存在を決定するように構成されてもよい。
【0088】
検出器はさらに、複数の標的種のうちの1つと相互作用するように構成される物質を含む、捕捉領域であって、1対の離間電極の下流でマイクロ流体チャネルの中に位置する、捕捉領域と、マイクロ流体チャネル内のインピーダンスを測定する、捕捉領域の下流に位置する別の1対の離間電極とを含んでもよい。同定ユニットは、1対の離間電極によって測定されるインピーダンスに基づく、1対の離間電極における少なくとも1つの標的種の初期数と、他方の1対の離間電極において測定されるインピーダンスに基づく、他方の1対の離間電極における少なくとも1つの標的種の終了数とを決定するように、ならびに初期および終了数の間の差に少なくとも部分的に基づいて、捕捉領域によって捕捉される少なくとも1つの標的種のレベルが所定の閾値を超えるかどうかを決定するように構成されてもよい。
【0089】
検出器は、連続的に設置された検出セットのカスケードを含んでもよく、連続的に設置された検出セットの前記カスケードの各々は、マイクロ流体チャネル内のインピーダンスを測定する第1の対の離間電極と、複数の標的種のうちの1つと相互作用するように構成される物質を含む、捕捉領域であって、第1の対の離間電極の下流に位置する捕捉領域と、マイクロ流体チャネル内のインピーダンスを測定する、捕捉領域の下流に位置する第2の対の離間電極とを含む。デバイスはまた、第1の対の離間電極において測定されるインピーダンスに基づく、第1の対の離間電極における少なくとも1つの標的種の初期数と、第2の対の離間電極において測定されるインピーダンスに基づく、第2の対の離間電極における少なくとも1つの標的種の終了数とを、検出セットの各々において決定し、ならびに初期および終了数の間の差に少なくとも部分的に基づいて、捕捉領域によって捕捉される少なくとも1つの標的種のレベルが所定の閾値を超えるかどうかを決定する、同定ユニットを含んでもよい。
【0090】
いくつかの実施形態では、サンプル中の少なくとも1つの標的種を検出するシステムが開示される。システムは、少なくとも1つの標的種と、少なくとも1つの標的種が懸濁される生体適合性磁性流体とを含有する、サンプルを受容するように構成される、マイクロ流体チャネルと、サンプル中の少なくとも1つの標的種を決定する検出器と、マイクロ流体チャネルに近接して設置される電極のうちの少なくとも2つであって、制御可能な少なくとも1つの電流が少なくとも2つの電極に印加されたときに、磁性流体を含有するサンプル中で制御可能な磁力を生成するように構成される、少なくとも2つの電極であって、生成された制御可能な磁力は、少なくとも1つの標的種を検出器に向かって方向付けさせる、少なくとも2つの電極と、制御可能な少なくとも1つの電流を少なくとも2つの電極に制御可能に印加する電源とを含む。
【0091】
システムの実施形態は、システム、デバイス、および方法に関して上記で説明される特徴のうちのいずれか、および以下で説明される特徴を含む、本開示で説明される特徴のうちのいずれかを含んでもよい。
【0092】
制御可能な少なくとも1つの電流を少なくとも2つの電極に制御可能に印加する電源は、関連するそれぞれの選択された振幅、選択された周波数、および選択された位相を伴う電流を印加するように構成されてもよく、少なくとも1つの標的種を検出器に向かって方向付けるステップは、印加された電流のそれぞれの選択された振幅、選択された周波数、および選択された位相に少なくとも部分的に基づく。
【0093】
システムはさらに、サンプルの流れを提供するように圧力生成ユニットを含んでもよく、圧力生成ユニットは、例えば、圧力ポンプ、シリンジポンプ、蠕動ポンプ、真空吸引デバイス、重力支援圧力を可能にする構造、および/または毛細管力を生成するデバイスのうちの少なくとも1つを含む。
【0094】
いくつかの実施形態では、サンプル中の少なくとも1つの標的種を検出するための方法が開示される。方法は、生体適合性磁性流体に懸濁された少なくとも1つの標的種を含有するサンプルを、マイクロ流体チャネルにおいて受容するステップと、磁性流体チャネルを含有するサンプル中で制御可能な磁力を生成して、少なくとも1つの標的種を検出器に向かって方向付けさせるように、少なくとも1つの電流を、マイクロ流体チャネルに近接して設置される電極のうちの少なくとも2つに制御可能に印加するステップと、検出器によってマイクロ流体チャネルの中のサンプルに行われた測定に基づいて、サンプル中の少なくとも1つの標的種を決定するステップとを含む。
【0095】
方法の実施形態は、システム、デバイス、および方法に関して上記で説明される特徴のうちのいずれか、および以下で説明される特徴を含む、本開示で説明される特徴のうちのいずれかを含んでもよい。
【0096】
少なくとも1つの電流を制御可能に印加するステップは、少なくとも1つの電流について、例えば、それぞれの関連振幅、それぞれの関連周波数、および/またはそれぞれの関連付けられた位相のうちの1つ以上を制御可能に選択するステップを含んでもよい。少なくとも1つの標的種を検出器に向かって方向付けるステップは、例えば、印加された少なくとも1つの電流のそれぞれの選択された振幅、選択された周波数、および選択された位相に少なくとも部分的に基づく。
【0097】
方法はさらに、圧力生成ユニットを使用して、マイクロ流体チャネルの中で受容されるサンプルを提供するステップを含んでもよく、圧力生成ユニットは、例えば、圧力ポンプ、シリンジポンプ、蠕動ポンプ、真空吸引デバイス、重力支援圧力を可能にする構造、および/または毛細管力を生成するデバイスのうちの1つ以上を含む。
【0098】
検出器は、マイクロ流体チャネル内の静電容量を測定する1対の離間電極を含んでもよく、少なくとも1つの標的種を決定するステップは、測定された静電容量に基づいて、少なくとも1つの標的種の存在を決定するステップを含んでもよい。
【0099】
検出器はさらに、複数の標的種のうちの1つと相互作用するように構成される物質を含む、捕捉領域であって、1対の離間電極の下流でマイクロ流体チャネルの中に位置する、捕捉領域と、マイクロ流体チャネル内の静電容量を測定する、捕捉領域の下流に位置する別の1対の離間電極とを含んでもよい。サンプル中の少なくとも1つの標的種の存在を決定するステップは、1対の離間電極において測定される静電容量に基づく、1対の離間電極における少なくとも1つの標的種の初期数と、他方の1対の離間電極において測定される静電容量に基づく、他方の1対の離間電極における少なくとも1つの標的種の終了数とを決定するステップと、初期および終了数の間の差に少なくとも部分的に基づいて、捕捉領域によって捕捉される少なくとも1つの標的種のレベルが所定の閾値を超えるかどうかを決定するステップとを含んでもよい。
【0100】
検出器は、連続的に設置された検出セットのカスケードを含んでもよく、連続的に設置された検出セットのカスケードの各々は、マイクロ流体チャネル内の静電容量を測定する第1の対の離間電極と、複数の標的種のうちの1つと相互作用するように構成される物質を含む、捕捉領域であって、第1の対の離間電極の下流に位置する捕捉領域と、マイクロ流体チャネル内の静電容量を測定する、捕捉領域の下流に位置する第2の対の離間電極とを含む。少なくとも1つの標的種の存在を決定するステップは、1対の離間電極において測定される静電容量に基づく、第1の対の離間電極における少なくとも1つの標的種の初期数と、他方の1対の離間電極において測定される静電容量に基づく、第2の対の離間電極における少なくとも1つの標的種の終了数とを、検出セットの各々において決定するステップと、初期および終了数の間の差に少なくとも部分的に基づいて、捕捉領域によって捕捉される少なくとも1つの標的種のレベルが所定の閾値を超えるかどうかを、検出セットの各々において決定するステップとを含んでもよい。
【0101】
検出器は、マイクロ流体チャネル内のインピーダンスを測定する1対の離間電極を含んでもよく、少なくとも1つの標的種を決定するステップは、測定されたインピーダンスに基づいて、少なくとも1つの標的種の存在を決定するステップを含んでもよい。
【0102】
検出器はさらに、複数の標的種のうちの1つと相互作用するように構成される物質を含む、捕捉領域であって、1対の離間電極の下流でマイクロ流体チャネルの中に位置する、捕捉領域と、マイクロ流体チャネル内のインピーダンスを測定する、捕捉領域の下流に位置する別の1対の離間電極とを含んでもよい。サンプル中の少なくとも1つの標的種の存在を決定するステップは、1対の離間電極において測定されるインピーダンスに基づく、1対の離間電極における少なくとも1つの標的種の初期数と、他方の1対の離間電極において測定されるインピーダンスに基づく、他方の1対の離間電極における少なくとも1つの標的種の終了数とを決定するステップと、初期および終了数の間の差に少なくとも部分的に基づいて、捕捉領域によって捕捉される少なくとも1つの標的種のレベルが所定の閾値を超えるかどうかを決定するステップとを含んでもよい。
【0103】
検出器は、連続的に設置された検出セットのカスケードを含んでもよく、連続的に設置された検出セットの前記カスケードの各々は、マイクロ流体チャネル内のインピーダンスを測定する第1の対の離間電極と、複数の標的種のうちの1つと相互作用するように構成される物質を含む、捕捉領域であって、第1の対の離間電極の下流に位置する捕捉領域と、マイクロ流体チャネル内のインピーダンスを測定する、捕捉領域の下流に位置する第2の対の離間電極とを含む。少なくとも1つの標的種を決定するステップは、1対の離間電極において測定されるインピーダンスに基づく、第1の対の離間電極における少なくとも1つの標的種の初期数と、他方の1対の離間電極において測定されるインピーダンスに基づく、第2の対の離間電極における少なくとも1つの標的種の終了数とを、検出セットの各々において決定するステップと、初期および終了数の間の差に少なくとも部分的に基づいて、捕捉領域によって捕捉される少なくとも1つの標的種のレベルが所定の閾値を超えるかどうかを、検出セットの各々において決定するステップとを含んでもよい。
本明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
生体適合性磁性流体に懸濁された複数の標的種を分離するためのデバイスであって、
該デバイスは、
少なくとも1つのサンプル入口と少なくとも1つの出口とを含むマイクロ流体チャネルであって、該マイクロ流体チャネルは、該少なくとも1つのサンプル入口と該少なくとも1つの出口との間に延在するチャネル長を有し、該マイクロ流体チャネルは、該少なくとも1つのサンプル入口からサンプルの実質的に連続した流れを受容するように構成され、該チャネルは、該サンプルを該チャネル長に沿って該少なくとも1つの出口まで流すように構成され、該サンプルは、複数の標的種と該生体適合性磁性流体とを含む、マイクロ流体チャネルと、
該マイクロ流体チャネルに近接して設置される複数の電極であって、該複数の電極は、電流が該複数の電極に印加されたときに、磁場パターンを該マイクロ流体チャネルの該チャネル長の少なくとも一部分に沿って生成するように構成され、該磁場パターンは、該サンプルの該流れが、該マイクロ流体チャネルの少なくとも一部に沿って進むときに、該サンプルの該流れの中の該複数の標的種のうちの少なくとも2つの標的種を分離させるように構成される、複数の電極と
を備える、デバイス。
(項目2)
電源をさらに備え、該電源は、電流を前記複数の電極に制御可能に印加して、前記磁場パターンを制御可能に生成するように構成される、項目1に記載のデバイス。
(項目3)
前記電源は、選択された振幅、選択された周波数、および選択された位相のうちの1つ以上を有する電流を印加するように構成され、前記サンプルの前記少なくとも2つの標的種の分離は、該電流の該選択された振幅、該選択された周波数、および該選択された位相のうちの該1つ以上に少なくとも部分的に基づいている、項目2に記載のデバイス。
(項目4)
前記複数の電極は、制御可能な磁力成分および制御可能な磁気トルク成分を生成するように構成される、項目1に記載のデバイス。
(項目5)
前記複数の電極は、前記少なくとも2つの標的種を前記マイクロ流体チャネルの中の前記サンプルの前記実質的に連続した流れの方向に対して実質的に直角な方向に分離させるように構成される、項目1に記載のデバイス。
(項目6)
前記実質的に連続した流れを生成するように構成される流れ生成ユニットをさらに備え、該流れ生成ユニットは、圧力ポンプ、シリンジポンプ、蠕動ポンプ、真空デバイス、重力を介して流れを可能にする構造、および毛細管力を生成するデバイスのうちの少なくとも1つを含む、項目1に記載のデバイス。
(項目7)
前記サンプルは、細胞ベースの種を含む、項目1に記載のデバイス。
(項目8)
前記生体適合性磁性流体は、好適な量のイオン種を含むことにより、細胞への浸透圧を制御して細胞の持続可能性を増進する、項目1に記載のデバイス。
(項目9)
前記生体適合性磁性流体は、約5〜200mMの間のクエン酸塩濃度を備える、項目8に記載のデバイス。
(項目10)
前記生体適合性磁性流体は、約40mMのクエン酸塩濃度を備える、項目9に記載のデバイス。
(項目11)
前記生体適合性磁性流体は、約150mMの設計されたイオン強度を備え、それにより、該生体適合性磁性流体は等張性であり、生真核細胞を持続させるように適合される、項目9に記載のデバイス。
(項目12)
前記生体適合性磁性流体は、約7.4のpHを有する、項目1に記載のデバイス。
(項目13)
前記少なくとも2つの標的種は、標的サイズに基づいて分離される、項目1に記載のデバイス。
(項目14)
前記少なくとも2つの標的種は、標的形状に基づいて分離される、項目1に記載のデバイス。
(項目15)
前記少なくとも2つの標的種は、標的弾性に基づいて分離される、項目1に記載のデバイス。
(項目16)
前記少なくとも2つの標的種は、標的形態に基づいて分離される、項目1に記載のデバイス。
(項目17)
前記少なくとも2つの標的種は、電極の間隔、印加される電流の周波数、該印加される電流の位相のうちの1つ以上に基づいて捕捉される、項目1に記載のデバイス。
(項目18)
複数の標的種を分離するための方法であって、
該方法は、
サンプルの実質的に連続した流れをマイクロ流体チャネルの入口の中に受容することであって、該サンプルは、生体適合性磁性流体の中に懸濁された複数の標的種を含む、ことと、
該サンプルを該マイクロ流体チャネルに沿って渡すことと、
少なくとも1つの制御可能な電流を、該チャネルに近接して設置された複数の電極に印加することであって、該電流は、磁場パターンを該マイクロ流体チャネルのチャネル長の少なくとも一部分に沿って制御可能に生成して、該サンプルの中の該複数の標的種のうちの少なくとも2つの標的種を分離させるように構成される、ことと
を含む、方法。
(項目19)
生体適合性磁性流体に懸濁された少なくとも1つの標的種を集束させるデバイスであって、
該デバイスは、
マイクロ流体チャネルであって、該マイクロ流体チャネルは、該少なくとも1つの標的種と該生体適合性磁性流体とを含有するサンプルを受容するように構成され、該受容されたサンプルの中の該少なくとも1つの標的種は、関連付けられた入力幅を有する入力流れの中で実質的に集中させられる、マイクロ流体チャネルと、
該マイクロ流体チャネルに近接して設置される電極のうちの少なくとも2つの電極であって、該少なくとも2つの電極は、制御可能な電流が該少なくとも2つの電極に印加されたときに、該磁性流体を含有する該サンプルの中に制御可能な磁力を生成するように構成され、該生成された制御可能な磁力は、該少なくとも1つの標的種を、該入力流れと関連付けられた該入力幅よりも狭い幅を有する結果として生じる流れの中に集束させる、電極と
を備える、デバイス。
(項目20)
前記マイクロ流体チャネルに近接して設置された前記少なくとも2つの電極は、制御可能に供給された電流を伝導するように、および該少なくとも2つの電極の物理的属性に少なくとも部分的に従って前記制御可能な磁力を生成するように構成される、項目19に記載のデバイス。
(項目21)
前記少なくとも2つの電極は、構造を含み、該構造は、該少なくとも2つの電極のうちの1つ以上の電極についての実質的に真っ直ぐな形状、該少なくとも2つの電極のうちの該1つ以上の電極についての実質的に波状の形状、該少なくとも2つの電極についての実質的に平行な配設、および該少なくとも2つの電極が徐々に相互に接近する該少なくとも2つの電極についての実質的にテーパ状の方向付けのうちの少なくとも1つを有する、項目20に記載のデバイス。
(項目22)
前記少なくとも2つの電極は、前記少なくとも1つの標的種を前記マイクロ流体チャネルの中の空間に流入させるように構成され、該マイクロ流体チャネルは、該少なくとも2つの電極よりも上側およびその間に位置する、項目20に記載のデバイス。
(項目23)
前記少なくとも2つの電極は、逆移動磁場の少なくとも2つの磁気波を生成して、前記少なくとも1つの標的種を該少なくとも2つの生成された磁気波の間の境界のほぼ中心に集束させるように構成される、項目19に記載のデバイス。
(項目24)
前記少なくとも2つの電極は、複数の実質的に平行に配設された電極を含む、項目23に記載のデバイス。
(項目25)
前記少なくとも2つの電極は、電極の配列を含み、該配列の少なくともいくつかの第1の電極は、該第1の電極が隣接電極に徐々に接近するよう構成されるように、隣接電極に対して実質的にテーパ状の方向付けで配設されており、該電極の配列は、磁力を生成することにより、該少なくとも1つの標的種の結果として生じる流れを複数対の隣接電極よりも上側およびその間に形成させるように構成される、項目19に記載のデバイス。
(項目26)
前記電極のうちの少なくとも2つの電極は、関連付けられた位相を有する前記制御可能な電流が該少なくとも2つの電極に印加されたときに、前記サンプルの中に制御可能な磁力を生成するように構成され、該電流の少なくとも1つの電流の関連付けられた位相は、該電流のもう1つの電流の関連付けられた位相とは異なる、項目19に記載のデバイス。
(項目27)
前記少なくとも1つの標的種は、少なくとも2つの標的種を含み、前記複数の電極は、前記結果として生じる集束流れの中の前記複数の標的種のうちの少なくとも2つを分離させるようにさらに構成される、項目19に記載のデバイス。
(項目28)
前記少なくとも2つの電極の間の前記間隔は、徐々に増加する、項目19に記載のデバイス。
(項目29)
前記少なくとも2つの電極の間の前記間隔は、徐々に減少する、項目19に記載のデバイス。
(項目30)
前記少なくとも2つの電極は、少なくとも1つの電極層の中に配設される、項目19に記載のデバイス。
(項目31)
前記少なくとも2つの電極は、複数の電極層の中に配設される、項目30に記載のデバイス。
(項目32)
前記マイクロ流体チャネル長は、前記少なくとも2つの電極の少なくとも一部分に約0〜90°の間の角度で近接して通過する、項目19に記載のデバイス。
(項目33)
前記少なくとも1つの標的種は、細胞ベースの標的種を含む、項目19に記載のデバイス。
(項目34)
マイクロ流体チャネルの中に少なくとも1つの標的種を集束させるための方法であって、
該方法は、
生体適合性磁性流体に懸濁された該少なくとも1つの標的種を含有するサンプルを受容することであって、該受容されたサンプルの中の該少なくとも1つの標的種は、関連付けられた入力幅を有する入力流れの中に実質的に集中させられる、ことと、
該磁性流体チャネルを含有する該サンプルの中に制御可能な磁力を生成するために、少なくとも1つの電流を該マイクロ流体に近接して設置された電極のうちの少なくとも2つの電極に制御可能に印加することと
を含み、
該磁力は、該少なくとも1つの標的種を、該入力流れと関連付けられた該入力幅よりも狭い幅を有する結果として生じる流れの中に集束させる、方法。
(項目35)
サンプルの中の少なくとも1つの標的種を検出するデバイスであって、
該デバイスは、
マイクロ流体チャネルであって、該マイクロ流体チャネルは、該少なくとも1つの標的種と、該少なくとも1つの標的種が中に懸濁される生体適合性磁性流体とを含有する該サンプルを受容するように構成される、マイクロ流体チャネルと、
該サンプルの中の該少なくとも1つの標的種を決定する検出器と、
該マイクロ流体チャネルに近接して設置された電極のうちの少なくとも2つの電極であって、該少なくとも2つの電極は、制御可能な少なくとも1つの電流が該少なくとも2つの電極に印加されたときに、該磁性流体を含有する該サンプルの中に制御可能な磁力を生成するように構成され、該生成された制御可能な磁力は、該少なくとも1つの標的種を該検出器に向かって方向付けさせる、少なくとも2つの電極と
を備える、デバイス。
(項目36)
前記マイクロ流体チャネルに近接して設置される前記少なくとも2つの電極は、前記制御可能に印加された少なくとも1つの電流を伝導するように、および該少なくとも2つの電極の物理的属性に少なくとも部分的に従って前記制御可能な磁力を生成するように構成される、項目35に記載のデバイス。
(項目37)
前記少なくとも2つの電極の前記物理的属性は、それに従って前記制御可能な磁力が生成されるが、該少なくとも2つの電極の電極構造を含み、該少なくとも2つの電極の該構造は、該少なくとも2つの電極のうちの1つ以上の電極が実質的に真っ直ぐな形状、該少なくとも2つの電極のうちの該1つ以上の電極の実質的に波状の形状、該少なくとも2つの電極の実質的に平行な配設、および該少なくとも2つの電極が相互に徐々に接近している、該少なくとも2つの電極の実質的にテーパ状の方向付けのうちの1つ以上を含む、項目36に記載のデバイス。
(項目38)
前記少なくとも2つの電極は、電極の配列を含み、該電極のうちの少なくともいくつかは、該電極のうちの少なくともいくつかがそれらの隣接電極に徐々に接近しているように、隣接電極に対して実質的にテーパ状の方向付けで配設されている、項目35に記載のデバイス。
(項目39)
前記電極のうちの少なくとも2つの電極は、関連付けられた位相を有する制御可能な電流が該少なくとも2つの電極に印加されたときに、前記磁性流体を含有する前記サンプルの中に制御可能な磁力を生成するように構成され、該電流の少なくとも1つの関連付けられた位相は、該電流のもう1つの関連付けられた位相とは異なる、項目35に記載のデバイス。
(項目40)
前記サンプルは、複数の標的種を含み、前記デバイスは、一組の電極をさらに備え、
該一組の電極は、該サンプルの中の該複数の標的種のうちの少なくとも2つの標的種を分離させるように制御可能な電流が一組の電極に印加されたときに、制御可能な磁場パターンを前記マイクロ流体チャネルの長さの少なくとも一部分に沿って生成するように構成される、項目35に記載のデバイス。
(項目41)
前記マイクロ流体チャネルは、前記サンプルの流れを外部サンプル源から受容するように構成される、項目35に記載のデバイス。
(項目42)
前記少なくとも2つの電極の間の間隔は、徐々に増加させられる、項目35に記載のデバイス。
(項目43)
前記少なくとも2つの電極の間の間隔は、徐々に減少させられる、項目35に記載のデバイス。
(項目44)
前記少なくとも2つの電極は、少なくとも1つの電極層の中に配設される、項目35に記載のデバイス。
(項目45)
前記マイクロ流体チャネル長は、前記少なくとも2つの電極の少なくとも一部分を約0〜90°の間の角度で横断する、項目35に記載のデバイス。
(項目46)
前記少なくとも1つの標的種は、細胞ベースの標的種を含む、項目35に記載のデバイス。
(項目47)
前記検出器は、
前記マイクロ流体チャネル内の静電容量を測定する1対の離間電極と、
該測定された静電容量に基づいて、前記少なくとも1つの標的種の存在を決定する同定ユニットと
を備える、項目35に記載のデバイス。
(項目48)
前記少なくとも1つの標的種の前記存在を決定するように構成された前記同定ユニットは、該少なくとも1つの標的種の該存在から生じる前記マイクロ流体チャネルの中の測定された静電容量の変化に基づいて、該少なくとも1つの標的種の該存在を決定するように構成される、項目47に記載のデバイス。
(項目49)
前記検出器は、
複数の標的種のうちの1つの標的種と相互作用するように構成される物質を含む捕捉領域であって、該捕捉領域は、前記1対の離間電極の下流で前記マイクロ流体チャネルの中に位置する、捕捉領域と、
該マイクロ流体チャネル内の静電容量を測定するための、該捕捉領域の下流に位置する別の1対の離間電極と
をさらに備え、
前記同定ユニットは、該1対の離間電極において測定される該静電容量に基づく、該1対の離間電極における少なくとも1つの標的種の初期数と、その他の1対の離間電極において測定される該静電容量に基づく、該少なくとも1つの標的種の終了数とを決定するように、および該初期数と終了数との間の差に少なくとも部分的に基づいて、該捕捉領域によって捕捉される該少なくとも1つの標的種のレベルが所定の閾値を超えるかどうかを決定するように構成される、項目47に記載のデバイス。
(項目50)
前記検出器は、
連続的に設置された検出セットのカスケードであって、該連続的に設置された検出セットの該カスケードの各々は、
前記マイクロ流体チャネル内の静電容量を測定する第1の対の離間電極と、
複数の標的種のうちの1つの標的種と相互作用するように構成される物質を含む捕捉領域であって、該捕捉領域は、該第1の対の離間電極の下流に位置する、捕捉領域と、
該マイクロ流体チャネル内の静電容量を測定するために該捕捉領域の下流に位置する第2の対の離間電極と
を備える、カスケードと、
同定ユニットであって、該同定ユニットは、該第1の対の離間電極において測定される該静電容量に基づく、該第1の対の離間電極における少なくとも1つの標的種の初期数と、該第2の対の離間電極において測定される該静電容量に基づく、該第2の対の離間電極における該少なくとも1つの標的種の終了数とを該検出セットの各々において決定し、該初期数と終了数との間の差に少なくとも部分的に基づいて、該捕捉領域によって捕捉された該少なくとも1つの標的種のレベルが所定の閾値を超えるかどうかを決定する、同定ユニットと
を備える、項目35に記載のデバイス。
(項目51)
前記検出器は、
前記マイクロ流体チャネル内のインピーダンスを測定する1対の離間電極と、
該測定されたインピーダンスに基づいて、前記少なくとも1つの標的種の存在を決定する同定ユニットと
を備える、項目35に記載のデバイス。
(項目52)
前記少なくとも1つの標的種の前記存在を決定するように構成される前記同定ユニットは、該少なくとも1つの標的種の該存在から生じる前記マイクロ流体チャネルの中の測定されたインピーダンスの変化に基づいて、該少なくとも1つの標的種の該存在を決定するように構成される、項目51に記載のデバイス。
(項目53)
前記検出器は、
複数の標的種のうちの1つの標的種と相互作用するように構成される物質を含む捕捉領域であって、該捕捉領域は、前記1対の離間電極の下流の前記マイクロ流体チャネルの中に位置する、捕捉領域と、
該マイクロ流体チャネル内のインピーダンスを測定するために、該捕捉領域の下流に位置する別の1対の離間電極と
をさらに備え、
前記同定ユニットは、該1対の離間電極によって測定される該インピーダンスに基づく、該1対の離間電極における少なくとも1つの標的種の初期数と、その他の1対の離間電極において測定される該インピーダンスに基づく、該その他の1対の離間電極における該少なくとも1つの標的種の終了数とを決定するように、および該初期数と終了数との間の差に少なくとも部分的に基づいて、該捕捉領域によって捕捉される該少なくとも1つの標的種のレベルが所定の閾値を超えるかどうかを決定するように構成される、項目51に記載のデバイス。
(項目54)
前記検出器は、
連続的に設置された検出セットのカスケードであって、該連続的に設置された検出セットの該カスケードの各々は、
前記マイクロ流体チャネル内のインピーダンスを測定する第1の対の離間電極と、
複数の標的種のうちの1つの標的種と相互作用するように構成される物質を含む捕捉領域であって、該捕捉領域は、該第1の対の離間電極の下流に位置する、捕捉領域と、
該マイクロ流体チャネル内のインピーダンスを測定するために、該捕捉領域の下流に位置する第2の対の離間電極と
を備える、カスケードと、
同定ユニットであって、該同定ユニットは、該第1の対の離間電極において測定される該インピーダンスに基づく、該第1の対の離間電極における少なくとも1つの標的種の初期数と、該第2の対の離間電極において測定される該インピーダンスに基づく、該第2の対の離間電極における該少なくとも1つの標的種の終了数とを該検出セットの各々において決定し、該初期数と終了数との間の差に少なくとも部分的に基づいて、該捕捉領域によって捕捉される該少なくとも1つの標的種のレベルが所定の閾値を超えるかどうかを決定する、同定ユニットと
を備える、項目35に記載のデバイス。
(項目55)
サンプルの中の少なくとも1つの標的種を検出するための方法であって、
該方法は、
生体適合性磁性流体の中に懸濁された該少なくとも1つの標的種を含有するサンプルをマイクロ流体チャネルにおいて受容することと、
該磁性流体チャネルを含有する該サンプルの中に制御可能な磁力を生成して、該少なくとも1つの標的種を検出器に向かって方向付けさせるために、少なくとも1つの電流を該マイクロ流体チャネルに近接して設置される電極のうちの少なくとも2つの電極に制御可能に印加することと、
該検出器によって該マイクロ流体チャネルの中の該サンプルに行われた測定に基づいて、該サンプルの中の該少なくとも1つの標的種を決定することと
を含む、方法。
【0104】
別様に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術および科学用語は、一般的および従来的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書で使用されるように、「1つの」という冠詞は、冠詞の文法的目的語のうちの1つまたは1つよりも多く(すなわち、少なくとも1つ)を指す。一例として、「1つの要素」は、1つの要素または1つよりも多くの要素を意味する。量、時間的な持続時間、および同等物等の測定可能な値を指すときに本明細書で使用されるような「約」は、特定値からの±20%または±10%、±5%、または±0.1%の変動が、本明細書で説明されるシステム、デバイス、および方法との関連で適切であるため、そのような変動を包含するように意図されている。本開示の全体を通して、範囲への参照は、利便性および簡潔性のためにすぎず、本明細書で説明されるシステム、デバイス、および方法の実施形態への融通の利かない制限として解釈されるべきではない。したがって、範囲の説明は、全ての可能な部分的範囲ならびにその範囲内の個々の数値を具体的に開示していると見なされるべきである。例えば、1から6等の範囲の説明は、1から3、1から4、1から5、2から4、2から6、3から6等の部分的範囲、ならびにその範囲内の個々の数、例えば、1、2、2.7、3、4、5、5.3、6、およびその間の任意の全体および部分的増分を具体的に開示していると見なされるべきである。
【0105】
本開示のその他およびさらなる目的、特徴、側面、および利点は、添付図面の以下の詳細な説明により、より理解されるであろう。
【0106】
ここで、以下の図面を参照して、これらおよび他の側面を詳細に説明する。
【発明を実施するための形態】
【0108】
種々の図面中の類似参照記号は、類似要素を示す。
【0109】
本明細書では、少なくとも1つのサンプル入口と、少なくとも1つの出口とを含む、マイクロ流体チャネルであって、少なくとも1つのサンプル入口と少なくとも1つの出口との間に延在するチャネル長を有する、マイクロ流体チャネルを含む、(例えば、生体適合性磁性流体に懸濁された複数の標的種を分離するための)デバイスを含む、システム、方法、デバイス、製品、および種々の実装が開示される。マイクロ流体チャネルは、少なくとも1つのサンプル入口からサンプルの実質的に連続した流れを受容するように構成され、また、チャネル長に沿って少なくとも1つの出口までサンプルを流すようにも構成される。サンプルは、複数の標的種と、生体適合性磁性流体とを含む。デバイスはまた、マイクロ流体チャネルに近接して設置される、複数の電極であって、電流が複数の電極に印加されたときに、マイクロ流体チャネルのチャネル長の少なくとも一部分に沿って磁場パターンを生成するように構成される、複数の電極も含み、磁場パターンは、サンプルの流れが、マイクロ流体チャネルの少なくとも一部に沿って進むときに、サンプルの流れの中の複数の標的種のうちの少なくとも2つを分離させるように構成される。
【0110】
また、生体適合性磁性流体に懸濁された少なくとも1つの標的種を集束させるデバイスも開示される。デバイスは、少なくとも1つの標的種と、生体適合性磁性流体とを含有する、サンプルを受容するように構成される、マイクロ流体チャネルであって、受容したサンプル中の少なくとも1つの標的種は、関連入力幅を伴う入力流れの中で実質的に集中させられる、マイクロ流体チャネルと、マイクロ流体チャネルに近接して設置される電極のうちの少なくとも2つであって、制御可能な電流が少なくとも2つの電極に印加されたときに、磁性流体を含有するサンプル中で制御可能な磁力を生成するように構成される、少なくとも2つの電極とを含む。生成された制御可能な磁力は、入力流れと関連付けられる入力幅よりも狭い幅を有する、結果として生じる流れの中で、少なくとも1つの標的種を集束させる。
【0111】
さらに、サンプル中の少なくとも1つの標的種を検出するデバイスを含む、システム、デバイス、方法、および実装が開示され、デバイスは、少なくとも1つの標的種と、少なくとも1つの標的種が懸濁される生体適合性磁性流体とを含有する、サンプルを受容するように構成される、マイクロ流体チャネルと、サンプル中の少なくとも1つの標的種を決定する検出器と、マイクロ流体チャネルに近接して設置される少なくとも2つの電極とを含む。少なくとも2つの電極は、制御可能な少なくとも1つの電流が少なくとも2つの電極に印加されたときに、磁性流体を含有するサンプル中で制御可能な磁力を生成するように構成され、生成された制御可能な磁力は、少なくとも1つの標的種を検出器に向かって方向付けさせる。
【0112】
概して、本明細書で説明されるシステム、デバイス、および方法とともに使用される磁性流体は、界面活性材料と適合する担体媒質に懸濁される、界面活性剤によって覆われたコバルトフェライト等のナノメートルサイズの磁性粒子のコロイド混合物である。例えば、マグネタイト粒子をもたらすサンプル反応は、以下の
2FeCl3+FeCl2+8NH3+4H2OFe3O4+8NH4Cl
ようである。
【0113】
マグネタイトの容量で10%の懸濁は、約560Gの飽和磁化を有する。各単磁区粒子の磁化は、約10μsの時定数で高磁場に応答する。高磁場勾配は、磁性流体を設置するために使用することができる。「スパイク」および他の興味深い特徴が、そのような高磁場の存在下で磁性流体表面に現れる場合がある。
【0114】
いくつかの実施形態では、粒径は、約1nmから約100nm、およびその間の任意の全体または部分的増分に及ぶことができる。例えば、制限なく、粒径は、1〜10nm、1〜20nm、5〜50nm、または10〜100nmに及ぶことができる。いくつかの実施形態では、粒径は、平均して約10nmである。体積分率は、0.1%から約10%、およびその間の任意の全体または部分的増分に及んでもよい。
【0115】
いくつかの実施形態では、本明細書で説明される磁性流体は、生体適合性であり、物理的特性または持続可能性の劣化を伴うことなく、生細胞を数時間にわたって持続させることができ、標的サンプルの長時間の検査を可能にする。生体適合性磁性流体は、例えば、任意の動物または植物の組織細胞型、任意の微生物、またはそれらの任意の組み合わせ等の任意の生細胞型および/または形状を持続させるために好適となり得る。磁性流体はまた、生体であろうと非生体であろうと、任意の種類の粒子、および任意のサイズまたは形状の粒子、あるいは粒子集団または集塊を持続させるために好適であってもよい。
【0116】
クエン酸塩は、磁性流体中の有効な界面活性剤であり、細胞培養において大抵は生体適合性でもある。したがって、いくつかの実施形態では、クエン酸塩は、磁性流体を安定させるため、および細胞が生存するためのイオン媒質を提供するための両方に利用される。これに関連して、過剰に多いまたは過剰に少ないクエン酸塩が、磁性流体内で粒子凝集および沈殿をもたらし得るため、新規で最適なクエン酸塩濃度を決定することが望ましかった。さらに、磁性流体内の細胞生存は、細胞への浸透圧を制御して持続可能性を増進するのに十分なイオン種を有することに依存する。1つの例示的実施形態では、磁性ナノ粒子の安定したコロイド懸濁液をもたらす、磁性流体内のクエン酸塩濃度は、約40mMであった。より高いクエン酸塩濃度が、磁性流体を徐々に不安定にし始める場合がある一方で、クエン酸塩の濃度は、使用される磁性流体の特性および種類に応じて、5〜200mMの間のいずれか、およびその間の任意の全体または部分的増分に及んでもよい。例示的実施形態(
図8Cで描写される)では、数時間にわたって大幅な細胞生存を最初にもたらした、約7.4のpHをもたらすようにクエン酸で安定させられたクエン酸の最低濃度は、約40mMであることも決定された。このイオン濃度で、細胞は生存能力があり、磁性流体は安定していた。したがって、いくつかの実施形態では、約40mMのクエン酸塩濃度を、有効生体適合性磁性流体として使用することができる。本明細書で検討されるように、使用される磁性流体の種類に応じて、本明細書で説明される磁性流体はまた、約2〜11の間、およびその間の任意の全体または部分的増分のpH範囲で安定させられてもよい。いくつかの実施形態では、細胞が、少なくとも約1時間、約2時間、約3時間、約5時間、約10時間、最大で約24時間、またはさらに長く、磁性流体内で生存することができるように、磁性流体は、生体適合性である。いくつかの実施形態では、使用される生体適合性磁性流体は、約150mMのイオン強度を伴う工学的生体適合性磁性流体を含み、そのような生体適合性磁性流体は、等張性であるように構成され、ヒト細胞、ヒト細胞等の生真核細胞を持続させるように適合される。
【0117】
(1.分離システムおよびデバイス)
本明細書で説明されるように、生体適合性磁性流体内の標的種(例えば、細胞および微生物)の無標識操作および分離のための磁性流体力学に基づく、マイクロ流体システムが提供される。いくつかの実施形態では、システムは、マイクロ流体チャネル内の細胞または他の粒子を包囲する均一な磁性環境として使用される水性の磁性流体を含む。磁性流体内の細胞および他の磁性粒子は、半導体の中の電子穴と同様に、「磁性空隙」の役割を果たす(Kashevsky,1997,Phys Fluids 9:1811−1818)。外部から印加された磁場国倍は、磁性ナノ粒子を引き付けることができ、それは、非磁性微小粒子または細胞を効果的に押しのけさせる(Rosensweig RE(1997)Ferrohydrodynamics (Dover,New York);Odenbach S (2002) Ferrofluids:Magnetically Controllable Fluids and Their Applications (Springer,New York))。近年、磁性流体で充填されたマイクロチャネルの中の島状磁性フィルムの間に非磁性マイクロビーズを捕捉するように、この原則が適用されている(Yellen et al.,2005,Prot Natl Acad Sci USA 102:8860−8864)。これとは対照的に、本開示のシステム、デバイス、および方法は、プログラム可能/構成可能な磁場勾配を局所的に生成するように電流を搬送する電極(随意で、集積銅電極等の集積電極であってもよい)を伴うマイクロ流体デバイスを含む。処理される標的種を含むサンプルが通って流れる、マイクロ流体チャネルへの磁場の印加の結果として生じる、挙動および相互作用関係の数学的記述および解析が、付録AおよびBで以下に提供される。
【0118】
図1A−1Dは、磁性マイクロ流体デバイスおよび粒子操作プラットフォームの例示的実施形態を図示する。
図1Aは、マイクロ流体チャネル110と、下層の電極120とを含むデバイス100の概略図である(一定の縮尺で描かれていない)。増幅器からの2つの出力チャネルは、いくつかの実施形態では、いくつかの実装では、相互に対して90°だけ位相ロックされた正弦波電流(例えば、I
1およびI
2)を提供する。基板上の隣接電極は、直角位相で電流を搬送し、マイクロ流体チャネル内の進行波磁場をサポートする方式で、配設/接続される。生成される磁場勾配は、磁性マイクロ流体チャネル内の非磁性微小球または細胞を押し上げ、電極の間の間隙の中へ押し込む。移動磁場もまた、チャネル天井に沿って細胞を回転させて転がし、閾値を上回る周波数で、チャネルの長さに沿った連続並進をもたらす。結果として生じる微小粒子の運動は、上側から正立顕微鏡130を用いて、例えば、さらなる解析のために1秒につき18フレームでCCDカメラを用いて観察されてもよい。磁性マイクロ流体デバイスおよび粒子操作プラットフォームのさらなる説明は、例えば、「Label−Free Cellular Manipulation and Sorting Via Biocompatible Ferrofluids」と題され、2010年12月7日に出願されたPCT出願第PCT/US10/59270号、ならびに2009年12月7日に出願された米国仮出願第61/267,163号、および2010年10月28日に出願された第61/407,738号で提供され、その全ての内容は、それらの全体で参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0119】
図1Aを継続して参照すると、電極層の中に配設され、マイクロ流体チャネル110に近接して設置され得る電極120は、標準的な絶縁金属基板150等の基板の上に位置してもよい。例えば、効率的なヒートシンキングを可能にし、さらに、電極を通る低い電圧において、例えば、最大で10AのAC電流の伝導を可能にする、絶縁ポリマーで被覆されたアルミニウム基板が使用されてもよい。1つの例示的実施形態では、
図1Aで描写されるように、単一の電極層が利用されてもよい。いくつかの実施形態では、多次元制御を提供するために(したがって、サンプル中の標的種を操作して分離するように、生成され、マイクロ流体チャネルの中のサンプルに印加されてもよい、磁場の多次元制御を可能にするために)、多重電極層が使用される。例えば、
図3Aは、直交電極層を含む多次元電極構成の実施例を描写する。
【0120】
所与の電極層内で、電極は、高さ約30μm、幅約300μm、および長さ約2cmであってもよい。代替実施形態では、所与の層内の電極は、高さ約5〜100μm、幅約0.01〜1mm、および長さ約0.1〜10cmのいずれか、ならびにその間の任意の全体または部分的増分に及んでもよい。したがって、利用される電極のサイズは限定されず、複数の電極層にわたって異なり得ることを理解されたい。さらに、電極は、任意の形状、曲率、またはパターンを含んでもよく、電極の間の可変間隙サイズを含んでもよい。例えば、
図2Aは、チャネル領域中の100、150、200、および300μm間隔の電極形成を描写する。記述されるように、いくつかの実装では、例えば、
図3Aで描写されるように、多層直交パターンが使用されてもよい。さらに他の例示的実施形態では、進行波が、粒子または細胞を円と関連付けられる領域の中へより効果的に移動させ、円と関連付けられる領域から外へ移動させ、または円と関連付けられる領域の種々の部分の中でそれらを捕捉することを可能にするために、
図3Bで描写されるように、同心円電極パターンが使用されてもよい。いくつかの実施形態では、電極は、近くの粒子または細胞に外乱力またはトルクを導入するよう、「波状」(蛇行)または略湾曲形状を有してもよい。これらの波状領域は、本質的に均一、不均一、無作為、および/または周期的であってもよく、電極の全体を通して分散されてもよい。電極の形状、間隔、およびパターンは、所与の電極層内で異なってもよく、さらに、形状、サイズ、間隔、およびパターンの任意の組み合わせが、電極層で、および複数の層にわたって起こり、所望の属性を伴う(そのような属性は、例えば、電極に印加される電流の制御を通して、さらに制御可能または構成可能である)所望の磁場を生成してもよいように、複数の層にわたって異なってもよいことに留意されたい。
【0121】
いくつかの実施形態では、電極は、銅等の任意の好適な伝導性材料から成ってもよい。いくつかの実装では、電極は、フォトレジストマスクを通して(絶縁金属基板上の)熱被覆プリント回路板の銅層をウェットエッチングすることによって製造することができる。任意の種類のエッチングまたは他の好適な製造方法が、電極の作成で使用されてもよいことに留意されたい。
【0122】
チャネル(
図1Aに示されるマイクロ流体チャネル110等)は、少なくとも1つの入口と、少なくとも1つの出口とを含んでもよく、チャネルの長さが電極の少なくとも一部分に近接して通るように構成されてもよく、したがって、電極の少なくとも一部分を横断してもよい。例えば、いくつかの実施形態では、マイクロ流体チャネルは、デバイスの電極がその長さと実質的に平行であるように、約90度回転させることができる。いくつかの他の実施形態では、チャネルは、約0〜90度の間の角度、およびその間の任意の全体または部分的増分で電極を横断する。さらなる例示的実施形態では、チャネルは、実質的に真っ直ぐな線で電極を横断する。なおも他の例示的実施形態では、チャネルは、湾曲、屈曲、または略不規則パターンで電極を横断する。
【0123】
いくつかの実装では、マイクロ流体チャネルは、高さ20〜100μm、幅1〜3mm、および長さ2〜3cm、ならびにその間の任意の全体または部分的増分に及ぶことができる。チャネルの他の寸法値が使用されてもよい。いくつかの実施形態では、チャネル壁の輪郭の配座効果に基づいて、チャネル内を進む粒子または細胞を局所的に集中または分散させることができるように、チャネルは、チャネル壁内に、任意の数またはサイズのポケット、隆起、溝、壕、および/または傾斜を含んでもよい。複数の入口および出口を伴う付加的なチャネル例が、
図2Bで描写されている。チャネルは、任意の好適な材料から成ってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、チャネルは、ソフトリソグラフィを通してポリジメチルシロキサン(PDMS)スタンプから調製され、電極を覆う薄いPDMSの絶縁層に接着されてもよい(Mao et al.,2006,Nanotechnology 17:34−47)。いくつかの実施形態では、チャネルの高さは、粒子移動へのその潜在的影響を最小化するために、局部的磁性流体力学流のための最適条件を下回るように選択されてもよい。
【0124】
必要とはされないが、PDMS壁への粒子付着を最小化するように、磁性流体/微小球混合物をマイクロ流体デバイスに導入する前に、チャネルを1%トリトン・X溶液で約10分間洗浄することができる。代替として、基板、絶縁層、およびチャネルはそれぞれ、同様の特徴および/または特性を有する材料から成ることができると理解されたい。したがって、本明細書で説明されるデバイスおよびシステムは、例えば、電極を画定するように、単一の低分解能透明マスクを介してエッチングされた絶縁銅層を特色とする、安価なプリント回路板の上に構築することができる。記述されるように、マイクロ流体チャネルは、低分解能金型を使用したソフトリソグラフィを介して構築することができる。いくつかの実施形態では、デバイス製造は、清潔な部屋を必要とせず、したがって、急速かつ安価に製造することができる。
【0125】
サンプルに所望の処理を行う(例えば、複数の標的種のうちの少なくとも2つを分離する、標的種を集束させる等)ようにサンプルを操作するためには、マイクロ流体チャネルの長さの少なくとも一部分に沿って磁場パターンを生成するように、電源から電極(
図1Aで描写される電極120等)へ送達される制御可能な少なくとも1つの電流(およびいくつかの実施形態では少なくとも2つの電流)を印加することによって、移動磁場がチャネル内で生成される。磁性流体内の約90Oeの最大磁場強度に対応する、最大で約7Aの最高最低振幅であり、約10Hzから100kHzの周波数を伴う交流電流を、電極に印加することができる。いくつかの変化例では、生成された磁場強度は、1〜200Oeの間、およびその間の任意の全体または部分的増分に及んでもよい。一実施例では、マイクロチャネルの長さに沿って進む周期的磁場パターンを生成するように、直角位相での交流電流を電極の単一の層に印加することによって、磁場が生成される。この構成を用いて、デバイスは、両方の磁場勾配を生成することができ、細胞または粒子への時間平均力、および磁性流体磁化の局所回転をもたらし、それは最終的に、
図1Bに図示されるように、非磁性粒子へのトルクをもたらす。
図1Bは、所与の瞬間での磁性マイクロ流体デバイスの断面にわたる磁場(黒い矢印)および磁束密度の大きさのCOMSOLシミュレーションを描写する。より薄い色の矢印は、1つの期間内の30°ごとの磁場を描写する。図示されるシミュレーション結果は、1670Hzの周波数で12Aの最大振幅電流入力について行われた。
【0126】
制御可能な少なくとも1つの電流が電極に印加されるとき、2つ以上の標的種(細胞または粒子)が、少なくとも部分的に磁力により、電極からチャネルの最上部へ押しのけられ、そこで、少なくとも部分的に磁気トルクにより、その長さに沿って回転して転がり始める。したがって、デバイス挙動は、使用される特定の磁性流体の周波数依存性磁化率を模倣することができる。所与の粒子サイズについて、例えば、
図1C(4.6kHzにおいて7Aの最大振幅入力を用いた、マイクロチャネルの長さに沿った6μm直径の微小球への計算された力およびトルクのグラフを示す)に図示されるように、その速度は、チャネル長に沿った局所的な力およびトルク値に依存してもよい。
【0127】
低い周波数では、磁力成分が、概して優勢であり、非磁性微小粒子をチャネル天井(すなわち、電極に最も近い表面の反対側の表面)まで押し上げ、電極の間の空間の中へ押し込む。高い周波数では、転がる微小粒子は、
図1Dに図示されるように、磁力によって引き起こされる逓減反発力を克服し、チャネルに沿って連続的に移動することができる。
図1Dは、チャネル天井上の電極の間に位置する同じ粒子に対する周波数の関数としての計算された磁力およびトルクのグラフである(シミュレーションを行うために使用された入力電流振幅は、7Aの最大振幅であり、全てのシミュレーションに対する仮定された滑り係数は1であった)。
【0128】
一例として、直径が数マイクロメートルである粒子に印加することができる一般的な磁力は、μmサイズの粒子上の光学ピンセットで一般的であるよりも有意に大きい、約数10ピコニュートンとなり得る。いくつかの実施形態では、より大きい励起電流を印加することによって、作動力を増加させることができる。例えば、単純なヒートシンクが、室温でのチャネル内容物を最大10Aの最大振幅入力電流で維持することができる(Mao L,Koser H (2006) Toward ferrofluidics for p−TAS and lab on−a−chip applications.Nanotechnotogy 17:34−47)。
【0129】
したがって、少なくとも1つの電流を電極(電極120等)に印加することによって生成される磁場の属性(強度、周波数、位相等)は、例えば、電極を通して印加される電流の特定の特性(例えば、印加される電流の振幅、周波数、位相)に基づいてもよい。いくつかの実装では、電極に印加される少なくとも1つの電流の属性は、何らかの必要磁場を生成して維持するために必要とされる必要電流属性を決定することができる、
図1Aで描写されるコントローラ160(または何らかの他のコンピュータデバイス)等の、プロセッサベースのコントローラ等のコントローラを使用して、制御されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、コントローラは、デバイス内で検出される条件に基づいて、電流属性の動的調整を可能にしてもよい(例えば、サンプル内の粒子、細胞等の非磁性標的種が、要求通りまたは期待通りに処理されていない、例えば、それらが適正に分離していないことが決定された場合、磁場を変化させる)。
【0130】
加えて、および/または代替として、いくつかの実装では、生成される磁場の属性はまた、マイクロ流体チャネルの構成(例えば、その構造、チャネルを実装するために使用される材料)、電極の構成(例えば、それらの配設、マイクロ流体チャネルに対する電極の空間的関係、電極を実装するために使用される材料等)、ならびに他の要因に基づいてもよい。したがって、例えば、デバイス100の分離機能性を制御および調節するために生成される磁場を制御するためには、デバイスを構成する要素のうちの1つ以上が制御または操作されてもよい。例えば、記述されるように、いくつかの実装では、サンプル中の複数の標的種の少なくとも2つの分離を可能にするようにサンプルに印加される磁場は、少なくとも1つの電流(デバイス100等の分離デバイスに接続されてもよい電源によって供給される)を電極(
図1Aの電極120等)に制御可能に印加することによって制御されてもよい。少なくとも1つの電流をデバイス100の電極に制御可能に印加することは、いくつかの実施形態では、電源が、それぞれの選択された振幅、選択された周波数、および/または選択された位相を有する、少なくとも1つの電流を印加するように、電源を制御/設定することを含んでもよい。これらの状況下では、サンプル中の少なくとも2つの標的種の分離は、印加される電流のそれぞれの選択された振幅、選択された周波数、および/または選択された位相のうちの1つ以上に少なくとも部分的に基づいてもよい。
【0131】
記述されるように、いくつかの実施形態では、生成され、サンプルに印加される磁場の属性は、例えば、マイクロ流体チャネルの構成および/またはマイクロ流体チャネルに近接して設置される電極の構成に基づいて決定されてもよい。例えば、
図2Aを再び参照すると、チャネルの中の100、150、200、および300μm間隔の電極形成を含む、代替的で可能なマイクロチャネル構成の例示的実施形態の概略図が示されている。
図2Bは、約0.17〜0.19cmの間であり、4つの入口および4つの出口を有する、チャネル形成を描写する。別の実施例では、
図3Aおよび3Bを再び参照すると、電極パターンの代替実施形態を描写する概略図が示されている。具体的には、
図3Aは、実質的に直交である多層電極パターンを描写し、
図3Bは、同心円のパターンで電極を描写する。したがって、
図2および3で描写される種々の構成は、例えば、マイクロ流体チャネル(
図1Aのチャネル110等)の中を流れるサンプル中の標的種を分離し、集束させ、方向付け、および/または別様に操作して作動させるように生成することができる、磁場の属性を制御する別の方法/機構を提供する。
【0132】
いくつかの実装では、
図1Aのデバイス100等の分離デバイスは、デバイスのマイクロ流体チャネルへの連続流として送達される、サンプル内の標的種の分離を可能にするように構成されてもよい。ここで
図4Aを参照すると、電極によって生成される磁場が印加される、サンプル中の標的種の流れを可能にするように構成されるマイクロ流体チャネルを使用して実装された、連続流分離デバイス200の部品を示す略図が示されている。デバイス200は、
図1Aで描写されるデバイス100と同様であってもよく、あるいは例えば、異なる電極構成および/または異なるマイクロ流体チャネル構成を伴う異なる実装に基づいてもよい。
図4Aは、磁性流体250内で懸濁されたサンプル240がデバイス入口に進入して分離チャンバを通過し、特定のサイズの粒子を捕捉するために構成される複数の出口を介して退出することを可能にする、連続流デバイスを描写する。具体的には、デバイス200は、入口(入口段階とも呼ばれる)210と、分離チャンバ220と、出口(出口段階とも呼ばれる)230とを含む。
図4Aの実施例では、2つの異なる標的種、すなわち、2μm粒子および5μm粒子を含有する、連続流サンプルが、入口210を介して導入される。例えば、いくつかの実施形態では、サンプルは、圧力ポンプ、シリンジポンプ、蠕動ポンプ、真空デバイス、および/またはサンプル240を入口に進入させ、デバイス200の分離チャンバ220および出口230に向かって流れさせる、入口210に連結された任意の他のデバイスのうちの少なくとも1つを使用して、導入されてもよい。加えて、および/または代替として、いくつかの実施形態では、連続流は、重力(例えば、入口と出口貯留部との間の高さの違い)を通して、または毛細管力によって達成されてもよい。2つの標的種を含むサンプルの拡大図が、
図4Bに示されている。
【0133】
デバイス200の特定の電極構成を通した制御可能な電流の印加を通して、関連属性(電極を通して印加される制御可能な電流に少なくとも部分的に基づく)を伴う磁場が生成され、標的粒子を分離させる。概して、粒子の分離は、サンプル(標的種を含む)が分離チャンバ220を通って流れるにつれて行われる。
図4Aおよび
図4C(分離チャンバの拡大図を示す)に示されるように、生成される磁場は、中心間隙流の中で、
図4Aおよび4Cで描写される実施例において捕捉される5μm粒子から2μm粒子を分離させる。後に、
図4Aおよび4Dに図示されるように、2μmが出口段階230の中の出口Aへ流れる一方で、5μm粒子は出口段階230の出口Bへ流れる。残りのサンプルは廃棄物出口Cへ流れる。したがって、
図4A−Dで描写されるデバイス200は、サイズ、形状、弾性、形態等のうちの1つまたは組み合わせに基づいて、2つ以上の粒子の種類を分離および選別するために好適である。
【0134】
図5を参照すると、連続流を伴って離散分離を実装するデバイス300の別の例示的実施形態の概略図が示されている。デバイス300は、1つ以上の入口、例えば、磁性流体および細胞のサンプルを受容する入口310と、磁性流体を受容する2つの入口312および314とを含む。いくつかの実施形態では、任意の数の入口が使用されてもよく、その各々は、例えば、デバイスのマイクロ流体チャネルに方向付けられる磁場の制御された印加を通して、デバイスによって処理される磁性流体および/または標的種の混合物を受容するように構成されてもよい。入口を通して受容される材料は、
図5の実装では、連続流を引き起こす圧力機構302等の1つ以上の圧力機構によって提供される、そのような連続流として、入口を通して受容されてもよい。本明細書で説明されるように、連続流を提供する機構は、例えば、圧力ポンプ、シリンジポンプ、蠕動ポンプ、真空デバイス、重力ベースの機構、および/または毛細管力のうちの1つ以上を含んでもよい。いくつかの実装では、入口段階は、次いで、デバイス300のマイクロ流体チャネルに印加される磁場によって処理される、単一の流れの中へ標的種を集束させる集束機構を含んでもよい。集束機構は、流体力学的集束に基づいてもよく、および/または磁気ベースの集束に基づいてもよい(例えば、入口段階の近傍でサンプルに印加される磁場を生成するために、永久磁石および/または別の一組の電極を使用する)。
【0135】
図5でさらに示されるように、デバイス300はまた、
図1Aのチャネル110と同様であってもよく、そのようなものとして種々の形状および構成であってもよく、複数の異なる材料のうちの1つから構築されてもよい、マイクロ流体チャネル320も含む。マイクロ流体チャネル320は、複数の電極330(例えば、銅電極、または他の種類の電極)の少なくとも一部分に近接して通る。複数の電極330は、マイクロ流体チャネル320の中を流れるサンプルに処理を行うために使用される、制御可能な属性を伴う制御可能な磁場を生成することを(制御可能な電流が電極を通過するときに)促進する寸法および他の物理的特性を有するように構成されてもよい。例えば、
図5の実装では、生成された磁場は、磁性流体に懸濁された2つ以上の標的種の分離を行うことを可能にし、分離された材料は、複数の標的種を分離する磁場の結果として、少なくとも1つの出口貯留部に方向付けられる。
図5で描写されるように、複数の電極は、制御可能な電流が複数の電極330に印加されたときに、矢印350によって示される方向を伴う磁場が生成されるように(例えば、マイクロ流体チャネル320に対して種々の角度で)配設される、8個の「波状」電極を含む。生成される磁場の他の造成は、複数の電極に印加される少なくとも1つの電流を制御することによって制御されてもよい。印加される電流を制御することは、いくつかの実施形態では、
図1Aのコントローラ160等のコントローラを使用して行われてもよい。また、電極の異なる構成を使用することによって、磁場の属性は、例えば、異なる方向を伴う磁場を生成するように、さらに調整/制御されてもよい。デバイス300を使用して生成される磁場は、磁性流体に懸濁された非磁性標的種を、実質的に電極332および334の間で画定される領域に方向付けさせる。いくつかの実装では、マイクロ流体チャネルの中で流れるサンプルに印加される磁場を生成するために、複数の電極に加えて、またはそれらの代わりに、永久磁石が使用されてもよい。例えば、永久磁石は、標的種を押して標的種の分離を促進するように、流れと垂直な磁場勾配を印加するために使用されてもよい。
【0136】
(例えば、少なくとも1つの電流の印加、例えば、異なる位相を有する2つの電流の印加によって)生成される移動磁場は、複数の標的種(例えば、細胞、細菌、他の粒子)に印加される、生成された磁力およびトルクをもたらす。これは、複数の標的種を同時に(例えば、磁力を使用して、天井上に、および電極の間の間隙より上側の空間に向かって)押し進ませ、磁気トルクを使用して、天井(例えば、電極に最も近い表面の反対側の表面)に沿ってチャネルの幅を横断して転がらせる。高い周波数および小さい電極間隙では、磁気トルクが優勢であり(間隙の進路を横断して細胞を進ませる)、低い周波数および/または大きい間隙では、磁力が優勢である(細胞を各進路内で集束されたままにする)。したがって、増加する間隙の間隔を伴うデバイスでは、細胞が最終的に個々の進路に限定されるため、標的種の離散分離を実装するために、印加された磁場を使用することができる。磁場は、例えば、標的種のそれぞれのサイズ、それぞれの形状、それぞれの弾性、それぞれの形態、ならびに他の特性のうちの1つ以上に基づいて、標的種の分離を引き起こす。
【0137】
磁場が作用するサンプルが、マイクロ流体チャネルの長さを進み、出口段階に接近するにつれて、複数の標的種が分離され(例えば、それらのサイズ、形状、形態、弾性等に従って)、それぞれの別個の出口貯留部に方向付けられる。例えば、
図5で描写される実施形態では、小さい標的種(例えば、小細胞または細菌)は、例えば、出口貯留部344の方向へ、デバイス300の左側に向かって漂流する。より大きい標的種(例えば、白血球、赤血球等)は、例えば、出口貯留部342に向かって、異なる方向へ漂流する。サンプルの他の物質(例えば、廃棄物)は、出口貯留部340に方向付けられてもよい。いくつかの実施形態では、1つだけの出口が使用されてもよい。
【0138】
連続サンプル流を送達するデバイス300は、微小粒子および細胞の連続した高スループット分離、操作、および選別を達成する。標的種処理/操作は、いくつかの実装では、外部から課された流れに対して直角に行われる。このようにして、複数の標的種の輸送および分離の機構を分断することができる。流速は、高いスループットのために最適化することができ、次いで、それに従って、細胞分離領域の寸法を選択することができる。側面からの流体力学的剪断シース流を通して、または磁力によって、標的種(例えば、細胞)混合物が、隣接電極上およびその間の単一の間隙の中へ集束させられてもよい。電極の中の電流によって生成される移動磁場は、流れとともに下流に引きずられるにつれて、分離チャンバの幅にわたって細胞を分離および選別し続ける。
【0139】
いくつかの実施形態では、励起周波数を制御することによって、どの標的種が元の電極間隙の中で捕捉され、およびどの標的種が分離されるかについての制御を達成することができる。隣接電極の間の間隙幅を次第に変化させることによって、分離パラメータの付加的な制御も達成されてもよい。より大きい間隙は、さらに小さい微小粒子/細胞を捕捉し、集束させることをより容易にする。例えば、隣接間隙サイズ(例えば、100μm、200μm、および300μm)の勾配は、例えば、連続流を伴って三重分離動作を行うデバイス300等のデバイスの動作を示す、
図6A−Cでそれぞれ図示されるように、10μm、5μm、および2μm微小球を分離し、次いで、集束させることができる。いくつかの実施形態では、血液から白血球、赤血球、および血小板の個々の流れを生成するために、同様のアプローチが使用されてもよい。これは、数分内に迅速かつ正確に血液数結果を得ることを可能にする。他の標的細胞(循環腫瘍細胞等)は、確実な分離のために、それらの全流体力学的体積が血液細胞とは実質的に異なるように、微小球(磁性または非磁性)でそれらをタグ付けすることによって、残りの血液細胞から分離されてもよい。一般的には、約$100Kの費用がかかり、卓上全体を占有し、複数のレーザ、ポンプ、配管、試薬、蛍光染料、および熟練した技術者を含む、多くの構成要素を必要とする、フローサイトメータ等の従来の分離デバイスと違って、本明細書で説明される離散マイクロ流体チャネル分離デバイスおよびシステムは、(数時間の代わりに)数分以内に、処理の終了時に処分することができるほど十分安価であるパッケージの中で、サンプル処理を完成させる。
【0140】
図7を参照すると、磁性流体に懸濁された複数の標的種の離散分離を行う手順例400のフローチャートが示されている。手順400は、
図1A、4、および5で描写されるマイクロ流体チャネル等のマイクロ流体チャネルの入口の中で、生体適合性磁性流体に懸濁された複数の標的種を含むサンプルの実質的に連続した流れを受容すること410を含む。生体適合性磁性流体は、比較的長い期間(例えば、数分から数時間)にわたって生物学的試料(例えば、ヒトまたは動物細胞)を持続させるように構成される、本明細書で説明される磁性流体のうちのいずれかであってもよい。複数の標的流体を含むサンプルの連続流を可能にするために、例えば、圧力ポンプ、シリンジポンプ、蠕動ポンプ、真空デバイス、重力支援圧力を可能にする構造/デバイス、および/または毛細管力を生成するデバイスのうちの少なくとも1つを使用して、外部源からサンプルの連続流を提供する圧力が生成される。他の種類のデバイスもまた使用されることができる。
【0141】
マイクロ流体チャネルベースのデバイスの入口でサンプルを受容すると、サンプルはマイクロ流体チャネルに沿って伝えられる420。サンプルがデバイスのマイクロ流体チャネルを通って流れている間に、少なくとも1つの制御可能な電流が、チャネルに近接して設置される複数の電極(例えば、
図5で描写される電極330等の電極)に印加される430。制御可能な少なくとも1つの電流は、マイクロ流体チャネルのチャネル長の少なくとも一部分に沿って磁場パターンを制御可能に生成して、サンプル中の複数の標的種のうちの少なくとも2つを分離させるように構成される。具体的には、本明細書で説明されるように、制御可能な少なくとも1つの電流(ならびに電極および/またはマイクロ流体チャネルの選択された構成)は、磁場がプログラム可能または構成可能であるように生成される、磁場の属性を制御することを可能にする。生成される磁場は、概して、非磁性物質(標的種を含む)を磁性マイクロ流体チャネル内で押し上げさせ、電極の間の間隙に押し込ませる、磁力およびトルク成分を含む。移動磁場はまた、細胞をチャネル天井に沿って回転させて転がし、閾値を上回る周波数でチャネルの長さに沿った連続並進をもたらす。生成される磁場は、少なくとも部分的に、標的種のサイズ、形状、形態、弾性、および他の特性に依存する、マイクロ流体チャネル内の異なる空間的挙動および運動を有する、異なる標的種をもたらす。その結果として、種々の標的種が、相互から分離され、選別され、または別様に区別され、連続的に流れるサンプル中に存在する異なる標的種の同定を可能にする。
【0142】
したがって、本明細書で説明されるように、生体適合性磁性流体を組み込む、流れベースの検定システムが実装されてもよい。いくつかの実施形態では、流体流れが新鮮標的種(例えば、細胞)をチャネルの入口に連続的に導入している間に、生体磁性流体分離を行うことによって、はるかに高いスループットを達成することができる。出口では、流入ビーズ、細胞、粒子が、異なる出力チャネルに選別される。そこから、細胞を点検のために収集することができ、あるいは外部または内部(すなわち、統合)センサに向かって方向付けることができる。例えば、流れデバイスは、磁性流体内に懸濁されたサンプルが、デバイス入口に進入して分離チャンバを通過し、特定のサイズの粒子を捕捉するために適合される複数の出口を介して退出することを可能にする。例えば、
図4Aで描写されるように、2μm粒子は出口Aへ流れることができ、5μm粒子は出口B等へ流れることができ、残りのサンプルは出口Cへ流れてもよい。いくつかの実施形態では、流れは、細胞を方向付けるために必要とされない。代わりに、それらを方向付けるために、磁気励起を使用することができる。さらに、センサは、例えば、流路に沿ったサイドポケットに直接統合されてもよい。
【0143】
操作は、細胞のサイズだけでなく、細胞の形状および弾性にも依存する。例えば、細菌および鎌状細胞の可変サイズ、形状、および弾性は、それらが健康な血液細胞から分離されることを可能にする。いくつかの実施形態では、粒子分離は、サイズおよび周波数に依存してもよい。いくつかの実施形態では、臨界周波数はまた、電極間隙に依存してもよい。例えば、より大きい微小球を、最初に、より小さい間隙の中で捕捉することができる。この現象を利用することによって、粒子または標的サイズに基づいて選別を行うことができる。さらに、システムは、磁気励起により形成し得る、起こり得るナノ粒子鎖を壊すのに役立つ操作励起を、選択された周波数と別の周波数との間で繰り返してもよい。いくつかの変化例では、ビーズまたは細胞が、チャネルの下方に流れるにつれて、大きい塊に群がることを防止するために、「波状」電極を使用することができる。「波状」電極は、ビーズまたは細胞に外乱力およびトルクを導入して集団を分解し、より大きい個々のビーズまたは細胞がネックレスの真珠のように一列に並ぶことを可能にする。ナノ粒子鎖を周期的に壊すことによって、磁性流体の物理的特性が経時的に保たれる。さらに、標的細胞を、効率的に、急速に、かつ無標識様式で、集中させ、捕捉し、局限し、または単純にセンサ表面に向かって方向付けることができる。例えば、分離の方法は、サイズ、形状、弾性、形態等に基づいて、細胞または粒子の種類を出口の中へ方向付けることができ、あるいは、電極の間の間隔の増加または減少を介して、サイズ、形状、形態、弾性、および/または何らかの他の特性に基づいて、細胞または粒子の種類を捕捉することによる。
【0144】
したがって、サンプルから少なくとも1つの標的細胞(細胞型)を分離するように実装される手順は、サンプルを形成するように生体適合性磁性流体の中で細胞を懸濁させるステップと、複数の電極を横断するマイクロ流体チャネルにサンプルを通過させるステップとを含む(そのような電極は、例えば、マイクロ流体チャネルの縦軸に対して90°の角度で配設されたときに、マイクロ流体チャネルに対して0〜360°の角度で配設されてもよく、複数の電極は、マイクロ流体チャネルの長さと実質的に平行である)。本明細書で説明される手順はさらに、マイクロ流体チャネルの長さに沿って磁場パターンを生成するように、電流を複数の電極に印加するステップと、細胞のサイズ、形状、および弾性のうちの少なくとも1つの変動に基づいて、細胞を少なくとも1つの出力出口に選別するステップとを含んでもよい。分離は、効率的に、急速に、かつ無標識様式で、集中させ、捕捉し、局限し、または単純にセンサ表面に向かって方向付けることを介して起こることができる。
【0145】
例えば、いくつかの実施形態では、本明細書で説明される手順はまた、サイズに基づいて標的種(例えば、細胞および/または粒子)を分離することも可能にする。サイズベースの分離は、例えば、約50%効率、約60%効率、約70%効率、約80%効率、約90%効率、約92%効率、約94%効率、約96%効率、約97%効率、約98%効率、および約99%分離効率で実証することができる。分離仮定におけるサイズ分解能は、例えば、約10μm未満、約9μm未満、約8μm未満、約7μm未満、約6μm未満、約5μm未満、約4μm未満、約3μm未満、約2μm未満、約1μm未満、約0.5μm未満、約0.1μm未満、および約10nm未満となり得る。そのような分離は、約2m未満、約1m未満、約45秒未満、約30秒未満、約20秒未満、および約10秒未満で達成することができる。
【0146】
本明細書でさらに説明されるように、標的種の連続操作および形状ベースの分離(例えば、鎌状細胞および/または細菌からの生赤血球等の細胞の分離)も実装されてもよい。これらの実証は、標的細胞の急速分離およびセンサアレイへの送達を通して、細胞検定におけるインキュベーション時間を有意に短縮し、診断感度を増加させる、磁性マイクロ流体の能力を強調する。
【0147】
本明細書で説明されるマイクロ流体システムおよびデバイスは、極めて小さいサンプルサイズとともに使用するための層流プラットフォームを提供するという点で、いくつかの独特な利点を有する。システム/デバイスはさらに、高速拡散および高速結果を提供し、携帯用となり得て、他の既存のセンサと一体化することができる(以下でさらに詳細に説明されるように)。例えば、本明細書で説明されるシステム、デバイス、および方法は、戦闘中の兵士および海兵隊員のための創傷治癒および臓器再生の状況で使用するための血液サンプルから得られた成熟幹細胞の滅菌のために使用することができる。本明細書で説明されるシステム、デバイス、および方法はまた、献血された血液中の低レベル細菌汚染の急速検出(例えば、<1分)に使用することもできる。これは、戦場での外傷緊急状況で特に有用となり得る。本明細書で説明されるシステム、デバイス、方法はまた、血液中の循環腫瘍細胞を検索すること等の血液中の超低濃度の細胞の検出を必要とする、「見つけることが不可能な」用途に使用することもできる。
【0148】
(実験例)
本明細書で説明されるシステム、デバイス、および方法の実装および動作をさらに例証するために、以下の実施例が提供される。これらの実施例は、本明細書で説明されるシステム、デバイス、および方法を限定するものとして解釈されるものではないが、むしろ、本明細書で提供される本開示の結果として明白となる、ありとあらゆる変化例を包含すると解釈されるべきである。
【0149】
以下の実験例を実装する際に、20%固体含有量を伴う水性の磁性流体に最終的に組み込まれたコバルトフェライトナノ粒子を合成するために、共沈手順が使用された(Khalafalla SE,Reimers GW (1973)、米国特許第3,764,540号)。塩化コバルト(II)六水和物および塩化鉄(III)の混合物を添加することによって、1M水酸化ナトリウムの沸騰溶液から、コバルトフェライトナノ粒子を沈殿させた。DI水を使用して、磁性沈殿物を2回洗浄した。2M硝酸および硝酸鉄(III)の0.35M溶液を、沈殿物に添加した(Massart,1981,IEEE Trans Magn 17:1247−1248;Fischer et al.,2008,IEEE Int Conlon Nano/Micro Eng and Molecular Syst China,907−910)。次いで、この混合物を80℃で20分間撹拌した。次いで、沈殿物が磁石で定位置に担持されている間に、硝酸溶液を静かに注いだ。沈殿物内のコバルトフェライト粒子を、後に脱イオン水中に分散させ、結果として生じた磁性流体を、7.4のpHレベルで40mMクエン酸ナトリウムおよびクエン酸溶液に対して一週間透析した。溶液は、透析中に毎日新しくした。結果として生じた磁性流体は、20℃で1.5cPの粘度を有した。
【0150】
以下の実験例を実装する際に、PhilipsからのTecnai 12電子顕微鏡(120keV)を使用して、透過電子顕微鏡(TEM)画像を撮影した。(Electron Microscopy Sciencesからの)銅/ロジウムグリッドを、薄い炭素フィルムで覆い、エタノールで希釈された磁性流体サンプルに浸した。TEM画像が取得された後に、ImageJソフトウェアを使用して、画像中の粒子サイズが特徴付けられた。TEM画像から取得されたような磁性ナノ粒子コアサイズの分布(約200個の粒子が数えられた)を、以下のように対数正規確率密度関数に適合させ、
【0151】
【数1】
式中、Dが、コア直径を表す無作為な変数である一方で、D
0およびσは、それぞれ、ln(D)の平均および標準偏差である。
【0152】
磁性流体の周波数依存性AC磁化率は、磁性流体の存在を伴って、および伴わずに、電磁コイルペアの相互インダクタンスの変化を測定することによって得ることができる(Maiorov,1979,Magnetohydrodynamics 15:135−139)。この点に関して、(9.76mmの平均直径を伴う200回巻きの)ピックアップコイルを、(13.34mmの平均直径を伴う340回巻きの)ソレノイド励起コイル内で中心に置き、2つのコイルの相互インダクタンスがAgilentからのLCRメータ(E4980A)を介して明らかにされた。磁性流体サンプルを、1ccプラスチックシリンジの中で2組のコイル内に導入した。設定の対称性は、ピックアップコイルの場所で平行磁力線を確保し、相互インダクタンス、および最終的に、測定されたデータからのAC磁化率の解析計算を可能にした。
【0153】
いずれの流体運動または変換も仮定しない、磁化緩和式(Rosensweig RE (1997) Ferrohydrodynamics(Dover:New York))は、
【0154】
【数2】
であり、式中、ωは、磁性流体内の局所渦度であり、χ
0は、磁性流体のDC磁化率値であり、τは、磁性ナノ粒子と関連付けられる磁気緩和時定数である。円筒形設定内の均一な磁場は、渦度(したがって、上記の式中の第2の項)を測定体積内でごくわずかにする対称性につながる。磁気緩和時定数は、2つの物理的緩和過程の組み合わせを表す。粒子の磁心が十分小さい場合、それらの磁気モーメントは、以下の式によって求められる特徴的な時定数とともに、単純にナノ粒子の内側で回転し(Neel relaxation)(Rosensweig RE (1997) Ferrohydrodynamics(Dover:New York))、
【0155】
【数3】
式中、f
0は、プリセッション周波数(一般的には10
8〜10
12Hzの範囲内)であり、K
aは、磁気異方性エネルギー密度であり、V
coreは、ナノ粒子の磁心体積であり、k
BTは、熱エネルギーである。より大きい磁心を伴う粒子は、より高い磁気異方性エネルギーを有し、磁心内の固定磁気モーメントにつながり、粒子自体は、以下の式によって求められる特徴的な時定数とともに、印加された磁場で方向付けするように溶液中で回転する(ブラウン緩和)。
【0156】
【数4】
ここで、ηは、流体の動的粘度であり、k
Bは、ボルツマン定数であり、Tは、(ケルビン単位の)絶対温度であり、D
hydは、その界面活性剤層を含む、粒子の流体力学的直径である。2つの機構のうちの速いほうが、緩和過程を支配する。コバルトフェライトは、高い磁気異方性エネルギー密度(バルク材料については1.8x10
5から3.0×10
5J/m
3の間、およびナノ粒子については最大で3.15×10
6J/m
3(Tung et al.,2003,J Appl Phys 93:7486−7488))と、直径約5nmの臨界ナノ粒子サイズを上回る、主に粒子回転(ブラウン機構)によるこの材料緩和に基づく磁性流体とを保有する。TEM写真で観察されるナノ粒子のほとんどが、この臨界サイズよりも大きかったため、我々のAC磁化率測定を解釈する際に、ブラウン時定数のみを考慮した。
【0157】
渦度が存在しない場合の式2への正弦波定常解は、周波数fの関数として、磁性流体磁化と印加された磁場との間の大きさおよび位相の関係を表す、有効磁化率の概念をもたらす。
【0158】
【数5】
(Debye PJW (1929) Polar Molecules.(Dover:New York))。ここで、χ
0は、磁性流体のDC磁化率値であり、τは、磁性ナノ粒子と関連付けられるブラウン緩和時定数である。
【0159】
磁性流体は、緩和時間の分布にもつながる、サイズ分布(一般的には対数正規)を伴う粒子から成る。これを考慮するために、全体的なAC磁化率は、所与の粒子サイズと関連付けられる対数正規確率密度関数F(D
hyd)によって加重された、磁性流体中に存在する粒子サイズに起因する全ての磁化率スペクトルの線形結合として表される。
【0160】
【数6】
ナノ粒子内の全磁化の規模は、その磁性体積に比例し、よって、その個別貢献は、磁化率スペクトルに比例する。したがって、式1の中の確率密度関数は、V
2coreによって拡大縮小される。正規化係数Aは、以下の式によって求められる。
【0161】
【数7】
AC磁化率データ(その実施例が
図8Bに示されている)は、流体力学的直径の対数正規分布を仮定して、磁気緩和式への正弦波定常解と適合させることができる(式4から7)。同時に、もう一度、流体力学的直径の同じ対数正規分布(および自由パラメータとしての粒子濃度)を仮定して、(
図8Bの差し込み図で描写されるような)DC磁化データの相対的形状をランジュバン式と適合させることができる。同時適合は、実験結果を非常によく説明し、72.5nmの平均流体力学的直径をもたらす。この値は、TEMを用いて取得されるようなナノ粒子の平均コア直径よりもはるかに大きい。この相違に対する合理的な説明は、平衡状態で、ナノ粒子が、単一の単位として、測定中に印加された磁場に応答する、中規模の凝集体を形成していることである。動的光散乱実験もまた、同じ磁性流体の希釈サンプルに行われた。これらの結果は、流体力学的直径がコア直径よりもはるかに大きいことを確認し、本明細書で提示される説明を支持した。
【0162】
一般的には、使用される界面活性剤濃度は、(少なくとも数ヶ月にわたって)コロイド安定性の連続劣化を防止するほど十分高かった。したがって、しばしば過程を加速するために永久磁石の使用を伴う、磁性流体合成プロトコルの短時間沈殿段階のうちの1つの間に、粒子凝集体が形成していてもよい可能性がある。界面活性剤は後に添加され、すでに形成されている凝集体を壊すことができない。
【0163】
以下の実験例をさらに実装する際に、Brookhaven Instruments GroupからのZetaPALS器具を使用して、動的光散乱実験を行った。これらの測定のために、多重散乱を回避するように磁性流体を脱イオン水で希釈した。流体力学的粒径は、64.9nmであることが分かった。
【0164】
加えて、以下の実験例を実装する際に、実験で使用された粒子操作デバイス(例えば、
図1Aで描写されるデバイス100)は、マイクロ流体チャネルおよび下層の銅電極といった、2つの部品を含んだ。フォトレジストマスクを通して(絶縁金属基板上の)熱被覆プリント回路板の銅層をウェットエッチングすることによって、電極(高さ30μm、幅300μm、および長さ2cm)を製造した。直角位相での交流電流を電極の単一の層に印加することによって、移動磁場をチャネルの中で生成した。マイクロ流体チャネル(高さ20μmから100μm、幅1mmから3mm、および長さ2cmから3cm)を、ソフトリソグラフィを通してポリジメチルシロキサン(PDMS)スタンプから調製し、電極を覆う非常に薄いPDMSの絶縁層に接着された(Mao et al.,2006,Nanotechnology 17:34−47)。チャネルの高さは、粒子移動へのその潜在的影響を最小化するために、局部的磁性流体力学流のための最適条件をはるかに下回るように選択された。サブミクロントレーサ粒子を用いた別個の実験では、同定可能な流体力学流が観察されなかった。絶縁金属基板は、効率的なヒートシンキングを可能にし、電極を通る低い電圧において、最大で10AのAC電流の伝導を可能にする。磁性流体/微小球混合物をマイクロ流体デバイスに導入する前に、PDMS壁への粒子の付着を最小化するために、チャネルを1%トリトン・X溶液で約10分間洗浄した。
【0165】
以下の実験例を実装する際にも、異なるサイズ(直径1.2μm、1.9μm、2.2μm、3.1μm、5.0μm、6.0μm、9.9μm)の緑色蛍光ポリスチレン微小球をDuke Scientific(Fremont,CA,USA)から入手した。微小球直径の変動係数は、約1%であった。これらのカスタム生産微小球は、非常に低い多孔性を有し、それらの表面上に最小量の荷電群を担持した。微小球を脱イオン(DI)水の中で懸濁させ、磁性流体実験で使用されるまで4℃で保った。
【0166】
加えて、細胞を磁性流体内で可視的にするために、血液細胞を緑色蛍光膜色素PKH67(Sigma−Aldrichから入手された)で染色した。この色素は、490nmにおける励起ピークおよび502nmにおける発光を有する(Horan et al.,1989,Nature 340:167−168)。いくつかの修正とともに製造業者のプロトコルに従うことによって、細胞染色を行った。
【0167】
以下の実験例を行う際に使用された一般調製プロトコルは、以下の通りであった。実験前に、ドナーから採血し、約1千万個の細胞を遠心分離して、後に血小板を除去する前に、血液を4℃で保った。次いで、細胞を血清がない500μlのRPMI 1640培地(Invitrogen, Carlsbad, CA, USAから入手された)の中で懸濁させ、付着および結合細胞を除去するようによく混合した。細胞の結果として生じた懸濁液を、1000rpmで5分間、再び遠心分離した。
【0168】
上清を慎重に吸引し、ペレットを500μl希釈剤C(染色キットともに供給された)の中で懸濁させた。この直後に、希釈剤C中の4マイクロモルPKH67色素を調製した。等体積の色素および細胞溶液を混合した。結果として生じた細胞懸濁液を4分間インキュベートし、光への暴露を回避した。等体積のウシ胎仔血清(FBS)を添加することによって染色反応を停止させ、細胞懸濁液をさらに1分間インキュベートした。次いで、染色溶液を除去するように、細胞を1200rpmで5分間遠心分離した。溶液中の残りの色素を除去するように、10%FBSを含有する細胞培養中でそれらを3回洗浄した。洗浄が完了した後に、細胞を培地の中で懸濁させた。標識細胞の輝度を、蛍光顕微鏡検査法で検査した。磁性流体を混合する前に、染色した細胞を、10%FBSを含有するDulbeccoのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)緩衝剤で洗浄した。
【0169】
加えて、クエン酸塩が、磁性流体中の有効な界面活性剤であり、細胞培養において大抵は生体適合性であるため、したがって、磁性流体を安定させるため、および細胞が生存するためのイオン媒質を提供するための両方で、クエン酸塩を利用した。これに関連して、過剰に多いまたは過剰に少ないクエン酸塩が、磁性流体内で粒子凝集および沈殿をもたらすため、適正な濃度を決定することが重要であった。さらに、磁性流体内の細胞生存は、細胞への浸透圧を制御して持続可能性を増進するのに十分なイオン種を有することに依存する。磁性ナノ粒子の安定したコロイド懸濁液を依然としてもたらした、磁性流体内のクエン酸塩濃度は、約40mMであった。より高いクエン酸塩濃度は、磁性流体を徐々に不安定にし始める。
【0170】
Trypan Blue(Invitrogenから入手された)染色法を使用して、細胞の生存を監視した。Trypan Blueは、死細胞を選択的に青く染色し、生細胞および死細胞が区別されることを可能にする色素である(The Sigma−Aldrich Handbook of Stains,Dyes & Indicators,Green,F.J.,ed.,Aldrich Chemical Co.(Milwaukee,WI:1990),721−722)。製造業者のプロトコルに従って、90μlの0.4%Trypan Blue染色剤を、培地の1mlにつき5×10
5の細胞濃度を伴う10μlの細胞懸濁液に添加した。室温で5分間のインキュベーション後、生細胞を数えるように、混合物からの小サンプルを血球計上に配置した。数時間にわたって大幅な細胞生存を最初にもたらした、(約7.4のpHをもたらすようにクエン酸で安定させられた)クエン酸の最低濃度は、(
図8Cに示されるように)40mMであることが決定された。このイオン濃度で、細胞は生存能力があり、磁性流体は安定していた。したがって、我々の磁性流体内で懸濁された細胞を伴う全ての実験では、40mMのクエン酸塩濃度が使用された。
【0171】
(実施例)
(実施例1 磁性流体特性およびデバイス特性化)
生細胞を伴う高濃度磁性流体を使用することは、慎重に設計されたコロイド系を必要とするため、従来は困難であることが分かっている。生細胞を持続させることに最も関連する磁性流体パラメータは、全体的および関連濃度とともに、pH、イオン強度、およびナノ粒子・界面活性剤の組み合わせを含む。
【0172】
正しいナノ粒子・界面活性剤の組み合わせを見つけることは、この点に関して重要であり、磁性流体は、7.4のpHで安定する必要があり、コロイド安定性は、生細胞を持続させることができるイオン強度まで維持されなければならない。また、磁性流体内のナノ粒子のサイズ分布にも注意を払うべきである。直径がわずか数ナノメートルであるナノ粒子がある場合、それらは、細胞膜を通過し、直接細胞毒性を引き起こし得る(Scherer et al.,2005,Brazilian J Phys 45:718−727)。この理由により、本明細書で説明されるシステム、デバイス、および方法は、最も小さいナノ粒子を特異的に残すように、生体適合性磁性流体の合成に磁気沈殿ステップを含む。
【0173】
無機ナノ粒子の表面との直接接触を妨げることによって、表面活性剤分子が毒性を低減するため、磁性流体の生体適合性を向上させるための従来のアプローチは、一般的には、デキストラン等の厚いポリマー層で磁性ナノ粒子を永久的に覆うことを伴う(Bautista, et al.,2004,Aranotechnology 15:S154−S159)。しかしながら、そのようなアプローチは、磁性流体内の磁性ナノ粒子の体積含有量の有意な低減、および対応するその磁化率の低下に繋がる。より高い磁性流体磁化率は、一般的には、より速い粒子操作に変換し、よって、本開示の磁性流体は、短い表面活性剤分子を使用することによって最適化されている。
【0174】
いくつかの実施形態では、使用された磁性流体は、水に懸濁され、クエン酸塩で安定させられたコバルトフェライトナノ粒子を含んだ。透過電子顕微鏡法(TEM)で決定されるような磁性流体内の平均ナノ粒子コア直径は、(縮尺バーが50nmである、TEMによって取得されるような、磁性流体内のコバルトフェライトナノ粒子サイズの分布を描写するグラフを示す、
図8Aで図示されるように)約11.3±4.4nmであることが分かった。AC磁化率およびDC磁化データへの同時適合から、平均流体力学的直径は約72.5nmであることが決定された。具体的には、AC磁化率および磁性流体の消磁曲線を描写するグラフを示す、
図8Bで図示されるように、対数正規分布を仮定する、AC磁化率への適合は、72.5nmの平均流体力学的直径を伴う中程度の粒子凝集を示す。TEM画像で観察される平均流体力学的直径と個々のコアサイズとの間の相違は、磁性流体のコロイド懸濁液内のある程度の粒子凝集を指し示す。この所見はまた、磁性流体の高度希釈したサンプルで約64.9nmの平均流体力学的直径をもたらした、動的光散乱測定を通しても確認された。それでもなお、μmサイズの微小球および細胞と比較して、磁性ナノ粒子は依然として、連続磁気媒質としての磁性流体に近似するほど十分小さかった。
【0175】
合成中に、(trypan blue試験によって決定されるような)細胞の生存と磁性流体の安定性との間で良好な妥協を提供する、磁性流体内の最適イオン濃度は、約40mMであることが決定された。具体的には、
図8Cを参照すると、生細胞数対クエン酸塩濃度を描写するチャートが提供されている。チャートに示されるように、(約7.4のpHをもたらすようにクエン酸で安定させられた)40mMクエン酸塩濃度が、組み合わせられた細胞の生存および磁性流体の安定性のために最適であることが分かった。鎖線は、元の血液サンプル中の細胞数を示す。数3は、クエン酸塩溶液中で約1時間費やした細胞に対応する。所与の実験の経過中に、細胞は、それらの生存を保持した。数時間にわたって磁性流体に懸濁された後でさえも、細胞の75%が生存能力を持ったままであり、生細胞操作および分離を伴う長時間の試験を可能にすることが分かった。
【0176】
細胞操作実験前に、磁性マイクロ流体デバイスは、蛍光ポリスチレン微小球を使用した(Duke Scientific、1.2〜9.9μmに及ぶ直径を伴う単分散セット)。磁性流体中に分散された非磁性微小粒子の挙動への励起周波数および電流振幅の影響を理解するために、種々の励起周波数および電流振幅において異なるサイズの微小球を使用して、一連の実験を行った。所与のサイズの微小球を、少量(最小微小粒子直径については1mLにつき最大1.1×10
6個の微小球)で磁性流体と混合し、後に、マイクロ流体チャネルに添加した。一過性の流体の運動を防止するように、チャネル入口および出口を両端で締め付けた。StreamPixソフトウェアを使用して、正立蛍光顕微鏡(Zeiss Axiolmager A1)および高感度ビデオカメラ(Retiga 2000R)を用いて、マイクロチャネルの天井付近の微小球を上から撮像した。オプティカルフロー手順を介して、MATLAB(MathWorks)において画像解析をオフラインで行った。手順は、軌道を自動的に追跡し、1分未満で視野内の数千個の個々の微小球のサイズを決定することができた。
【0177】
これらの実験中に、2種類の粒子動態が観察された。低い周波数では、微小球は電極の間に限局し、そこで、磁場勾配によって引き起こされる反発力が極小値を形成する。
図9Aを参照すると、臨界値f
cを上回る周波数が、チャネル天井の長さに沿った微小球の連続並進につながった。この臨界周波数は、粒子サイズおよび電極間隔に依存するが、必ずしも入力電流振幅には依存しない(
図9B)。所与のサイズの微小球の平均速度は、励起周波数、電流振幅、および下層の電極に対するそれらの場所に依存する。
【0178】
具体的には、
図9Aおよび9Bは、入力周波数および電流振幅の関数としての粒子速度を実証する。
図9Aでは、真ん中のグラフは、2つの異なる周波数での7Aの入力電流振幅(最大振幅)における6pm直径の粒子の瞬間平均x速度の空間分布を示す。磁場勾配からの反発力により、微小粒子は、電極の間で減速する、または完全に停止する。負の傾斜を伴うゼロ交差は、安定した均衡点(すなわち、粒子捕捉)に対応する。
図9Aの上のグラフは、10Hzで、捕捉をもたらす、電極の間で終端する粒子軌道を示す。
図9Aの下のグラフは、4,640Hzで、チャネルの長さの全体を通して連続的に移動する粒子を示す。これは、進行波の局所回転成分からの磁気トルクが反発力を支配する体制である。各軌道の終端の黒い点は、粒子が最終的に停止する場所を示す。
図9Bは、臨界周波数(f
c)を上回って、6μmの微小球が、捕捉されることなく、チャネル上面に沿って継続的に転がることを示す。
【0179】
図10A−10Dは、周波数依存性粒子分離を図示する。種々の微小球直径を伴う実験では、増加する粒子サイズとともに、臨界周波数で単調増加が見出され、励起周波数制御を通したサイズベースの粒子分離の可能性を実証した。
図10Aは、臨界周波数(f
c)の粒子サイズ依存性を描写する。粒子の異なる直径の離散f
c値は、正しい周波数に同調することによって、サイズベースの分離を可能にする。この現象は、簡単な流体力学的論拠を通して説明されてもよい。磁力およびトルクの両方が、粒子体積(R
3)とともに拡大縮小し、線形粒子運動に抵抗する流体力学的抗力が、力に対するRおよび粒子を転がすトルクに対するR
2とともに増減する。したがって、磁力のみによって引き起こされる線形粒子速度は、R
2に依存する一方で、トルクによって引き起こされるものは、Rとともに増減する。この観察は、より小さい粒子へのトルク効果が比較的有意であることを示し、なぜより小さい微小粒子が磁力トラップの反発を克服し、より低い周波数においてチャネル内で連続的に伝播することができるかを説明する。
図10Aで描写される実線の曲線は、臨界周波数のシミュレーション結果を表し、nm(1nm)の平均微小球・壁間隙および微小球の回転に適用される滑りのない条件のデータを非常によく説明する。
【0180】
図10Bは、10Hzから100kHzに及ぶ励起周波数下での2.2および9.9μm微小球(同じ磁性流体内で8:1比において混合された)の平均速度(操作速度とも呼ばれる)を示す。
図10Bで描写されるように、2.2および9.9μm粒子を400Hzで分離することができる。広い周波数範囲については、より小さい粒子が連続的に並進した一方で、より大きい粒子は電極の間で捕捉された。この特定の実験および他の実験では、粒子/細胞の混合物は、最終的に、例えば、捕捉されたもの対チャネルから取り除かれたものといった、2つの群に分離された。標的粒子/細胞が捕捉を目的としているものであると仮定すると、捕捉効率は、初期混合物中の対応数に対する、捕捉群内の標的部分の数の比として定義することができる。同様に、分離効率は、初期混合物中の対応数に対する、除去群内の非標的部分の数の比として定義される。しかしながら、粒子/細胞純度は、単純に、捕捉群内の細胞の総数に対する、その群内の標的細胞の数の比である。400Hzの励起周波数では、9.9μm微小球の96.5%(173のうちの167)が10秒内に捕捉された一方で、2.2μm粒子(1,294のうちの1,285)は、チャネルに沿って並進し続け、99.3%分離効率で(
図10Cおよび10Dで図示されるように)捕捉されることなく観察窓(45s)から取り除かれた。捕捉群内の粒子純度は、94.9%であった(176個の全捕捉粒子のうちの167個の標的)。チャネルを通過できなかった小さい微小球のほとんどは、電極の間で捕捉される代わりに、無作為な場所でポリジメチルシロキサン(PDMS)壁上に付着した。より良好なチャネル分離により、分離効率および粒子純度は、さらに高くなり得る。
【0181】
図10Cは、励起の直前にチャネル内で無作為に分散された2.2および9.9μm微小球を含有する、マイクロ流体チャネルの区分からの蛍光顕微鏡画像である。垂直線は、電極境界を示す。
図10Dは、励起(6Aの最大振幅、400Hz)がオンにされた45秒後の
図10Cと同じ場所からのチャネルのスナップショットである。9.9μm粒子が、電極の間の最も近い間隔内で迅速に限局する一方で、2.2μm微小球の97%は、捕捉されることなく右から左へ連続的に進む。
図10Dの視野内のより小さい微小球のほとんど全ては、新しいバッチとして右から進入している。
【0182】
図11Aおよび11Bは、細菌および血液細胞による細胞分離を描写する。
図11Aは、大腸菌および赤血球を含有するサンプル中の200Hzでのx速度の空間分布を描写する。この周波数では、ほとんどの赤血球が、電極の間で捕捉される(それらのゼロ局所速度によって示される)一方で、大腸菌は、その領域を通ってゆっくりであるが連続的に移動することができる。赤血球データの変動は、本明細書で説明されるように、本質的に統計的である。
図11Bは、鎌状細胞分離を描写する。正常な赤血球と比較して、細長い形状および改変した弾性を有する、鎌状細胞が、電極の間で捕捉され、集中させられる一方で、健康な細胞は、依然として300Hzにおいてマイクロ流体チャネル内で循環することができる。
図11Aのデバイスの電極間隔は、
図11Bのものとは異なり、各チャネル内の赤血球の異なるf
cをもたらす。
【0183】
図12Aは、励起周波数の関数として描写された、電流振幅(最大振幅)の二乗によって正規化された、12Aでの最大値までの微小粒子平均速度を描写する。粒子速度は、約7Aまで電流の二乗に比例する。
図12Bは、異なる間隔を伴う電極上を進む9.9pm微小球の6A最大振幅での平均速度対周波数を描写する。より小さい間隔は、より高い粒子速度およびより小さい臨界周波数につながる。
図12Cは、
図12Cで観察された効果に基づく、微小粒子選別機の概念的スケッチを描写する。所与の励起周波数で、より小さい間隔は、より小さい粒子を通過させながら、より大きい粒子を捕捉する。最終的に、最小粒子さえも、より大きい間隙の中で捕捉することができる。ここでは、粒子が左から右へ移動し、描写される電極上のチャネルが最初に細胞を含まないことが仮定される。
【0184】
したがって、粒子運動は電極間隔に依存することが決定され、より小さい間隔は、より速い微小球の進行および臨界周波数の低減につながる(
図12B参照)。この現象は、2つよりも多くの明確に異なるサイズを伴う粒子混合物を分離するために同じ励起周波数を使用する、異なる間隙を伴う電極の領域を特色とするデバイスで使用されてもよい。電極パターンはまた、(例えば、
図12Cに図示されるように)サイズに基づいて粒子を選別するように、徐々に増加する間隙を伴って生成されてもよい。これに関連して、(製造によって引き起こされる)実際の電極間隔の中のわずかな不均一性が、高い効率(例えば、>90%)で依然として分離することができる粒子の最小サイズ差として定義される、分離の分解能を部分的に決定することが観察された。一連の粒子サイズを考慮すると、この分離の分解能は、対応する臨界周波数の違いに直接関係する。理想的な条件(すなわち、完璧に制御された電極間隙および極めて希釈された細胞濃度)下で、分離の分解能は、恣意的に小さくなり得る。しかしながら、臨界周波数は、各不均一電極間隙の周囲のわずかな局所変動を示す傾向がある。
図10Aで描写されるように、最適臨界周波数は、粒子半径に非線形的に依存する。したがって、9および10μmの微小球の間の直径の1μmの違いは、1および2μm粒子の間の違いよりも(電極間隔のわずかな無作為変動を伴って)分解しやすい。最終的に、本明細書で説明される実施形態で達成された分離の分解能は、2μm以上の粒子については約1μmであった。
【0185】
(実施例2 微小粒子速度への電流振幅の影響)
付加的な実験では、入力電流振幅の関数としての微小粒子操作速度の依存性を調査し、決定した。本明細書で概説される計算によれば、磁性流体が磁気的に線形のままであると仮定して、粒子速度は入力電流の二乗とともに増減する。
図12Aに図示されるように、この仮定は、7Aの最高最低入力電流振幅を上回って中断し始める。
【0186】
電極間隔はまた、粒子操作へのその影響を決定するように(電極幅が210μmで固定された状態で)変化させられてもよい。より小さい電極間隔が、より速い粒子速度およびより低い臨界周波数をもたらした(
図12Bに図示されるように)。この観察は、より近く離間された電極が、微小粒子への磁力を生じる局所磁場勾配を低減することに留意することによって、説明することができる。より近い電極はまた、これらの微小粒子への磁気トルクを生じる進行波の基本波により多くのエネルギーを詰め込む。より低い磁力およびより高いトルクが、より高い微小粒子か移転および全体的な進行速度をもたらす。それらはまた、臨界周波数を低下させる(Tung LD, et al. (2003) Magnetic properties of ultrafine cobalt ferrite particles.J Appl Phys 93:7486−7488)。この観察は、(
図12Cに図示されるように)ますます小さい粒子または細胞を捕捉するように、電極の間の間隔を徐々に増加させることができる、微小粒子選別デバイスを使用するという考えをさらに支持する。
【0187】
(実施例3 生細胞の分離)
磁性マイクロ流体プラットフォームの物理的挙動に基づいて、生物医学的適用のために本明細書で説明される磁性マイクロ流体システムおよびデバイスの有用性および実用性を実証するように、生ヒト赤血球および細菌を用いて操作および分離実験を行った。赤血球および大腸菌[K12株(Blattner et al.,1997,Science 277:1453−1474)]を、緑色蛍光マーカーで染色し、磁性流体の中に懸濁する前に混合した。チャネル内の細胞および細菌の平均速度を、10Hzから100kHzの周波数について6Aの最高最低電流振幅で測定した。細胞および細菌の臨界周波数は、それぞれ、215および77Hzであることが分かった。これらのf
c値は、おそらく、チャネル天井に沿って転がることの困難の増加につながる柔軟な形状および非球形幾何学形状の組み合わせにより、同等なサイズのポリスチレン微小球について見出される値よりもいくらか低い。また、細菌および細胞は、それらの複雑な表面化学を伴って、裸の微小球よりも強力にPDMSチャネルと相互作用し(より広く行き渡った細胞付着をもたらした)、細胞とPDMS表面との間の潜在的により高い有効動摩擦係数を示した。
図11Aを再び参照すると、200Hzの励起周波数に対するチャネルに沿った細胞および細菌の空間的平均直線速度が図示されている。より小さい大腸菌がチャネルに沿って連続的に移動し(
図11Aの速度点はゼロを交差しない)、最終的に観察窓から出て行った一方で、血液細胞は電極の間に限局された(速度点がゼロに達する)。
図11Aの赤血球データで観察可能なより大きい変動は、統計的変動から生じることに留意されたい。観察窓中に所与のx場所を通過した、ほんのわずかな赤血球があり、それらの非球形の形状は、各細胞がその場所でチャネルの下方へ転がるにつれて、無作為な角度方向付け(およびわずかに異なる瞬間速度)になることを意味する。細菌は、長さおよび非球形が異なるが、良好な平均統計をもたらすのに十分な数があった(所与のx場所を通して数百個)。最後に、サンプルの視野内に最初に存在した7,050個の大腸菌のうちの約6,750個を、45秒以内に取り除いた(95.7%分離効率)。最初に存在した1,018個の赤血球のうち、93.7%の捕捉効率および76.1%の細胞純度に対応する、954個を捕捉した。
【0188】
異なる実験では、(
図11Bに図示されるように)それらの間の形状および弾性差を利用することによって、健康な赤血球を鎌状赤血球貧血に罹患したものから分離した。約4:1の健康対鎌状赤血球比を含有する血液サンプルを、磁性流体に添加し、マイクロチャネルに導入した。300Hzでは、鎌状細胞を捕捉した一方で、健康な血液細胞をチャネルから連続的に取り除いた(
図11Bで描写される各データセットの変動は本質的に統計的である)。約501個の健康な赤血球および145個の鎌状細胞を最初に含有したサンプルでは、300個の健康な細胞を取り除いた一方で、109個の鎌状細胞を捕捉した。目標が鎌状細胞からサンプルを取り除くことであると仮定して、これらの数は、75.2%の分離効率(145個の鎌状細胞のうちの109個が健康な細胞から分離された)および89.3%の健康な細胞純度(300個の健康な細胞および36個の鎌状細胞が取り除かれた)に対応する。
【0189】
これらの実施例は、標的細胞の急速分離およびセンサアレイへの選択的送達を通して、インキュベーション時間を有意に短縮し、細胞検定における診断感度を増加させる際の磁性マイクロ流体の使用を実証する。マイクロ流体デバイス内の微小粒子および生細胞の操作および分離はまた、確立された技法(DEPおよび磁気標識ベースの方法)を通して可能であるが、本明細書で説明される磁性マイクロ流体アプローチは、既存の方法を超えた多数の利点を提供する。例えば、標的細胞は、効率的に、急速に、かつ無標識様式で、集中させ、捕捉し、局限し、または単純にセンサ表面に向かって方向付けることができる。本開示の生体適合性磁性流体は、物理的特性の劣化を伴うことなく、生血液細胞を数時間にわたって持続させることができ、標的サンプルの長時間の検査を可能にする。
【0190】
単純なフォトダイオードと組み合わせられた時に、細胞の磁性マイクロ流体分離は、顕微鏡、ポンプ、または冗長なサンプル調製ステップを必要とせずに、例えば、1分以内に、任意の標的細胞型(細菌または鎌状細胞等)の数を数え、濃度を推定することができる、急速で自動化された使い捨て血液検定を提供することができる。本明細書で説明されるシステム、デバイス、および方法はまた、対象細胞型のヤング係数の差を利用することによって、血液サンプル中の循環腫瘍細胞等の珍しい細胞を選択的に集中させるために使用することもできる(Lekka et al.,1999,Eur Biophys J28:312−316)。このようにして適用されると、本明細書で説明されるシステム、デバイス、および方法は、既存の細胞検定の検出選択性を増加させることができる。
【0191】
したがって、本明細書で説明されるシステム、デバイス、および方法は、低費用マイクロ流体デバイス内で生体適合性磁性流体を使用する、細胞操作および分離プラットフォームを含む。高度に効率的な粒子分離は、1分未満で達成可能であることが実証された。実施例として、細菌を生血液細胞から分離することができ、鎌状細胞を健康な赤血球から分離することができる。流れベースのデバイスの場合、分離は、流れ方向と垂直な粒子操作で達成することができる。電極幾何学形状および入力励起周波数を変化させることによって、本明細書で説明されるシステム、デバイス、および方法は、粒子および細胞の異なるサイズ範囲に合わせることができる。マイクロチャネル表面化学の制御とともに、本明細書で説明されるシステム、デバイス、および方法は、標的細胞を活性領域に向かって方向付けるように、ラボオンチップセンサおよび診断システム内に統合することができる。このようにして、本明細書で説明されるシステム、デバイス、および方法は、インキュベーション時間を有意に短縮し、既存のセンサおよび診断プラットフォームで達成される実用的な診断感度を増加させることができる。
【0192】
(2.標的種集束)
記述されるように、本明細書では、少なくとも1つの標的種と、生体適合性磁性流体とを含有する、サンプルを受容するように構成される、マイクロ流体チャネルを含み、受容したサンプル中の少なくとも1つの標的種は、関連入力幅を伴う入力流れの中で実質的に集中させられる、生体適合性磁性流体に懸濁された少なくとも1つの標的種を集束させるデバイスを含む、システム、デバイス、方法、および他の実装も説明される。デバイスはさらに、マイクロ流体チャネルに近接して設置される電極のうちの少なくとも2つであって、制御可能な電流が少なくとも2つの電極に印加されたときに、磁性流体を含有するサンプル中で制御可能な磁力を生成するように構成される、少なくとも2つの電極を含み、生成された制御可能な磁力は、入力流れと関連付けられる入力幅よりも狭い幅を有する、結果として生じる流れの中で、少なくとも1つの標的種を集束させる。いくつかの実施形態では、生成された磁力は、電極への少なくとも1つの電流の制御された印加を通して制御されてもよい(すなわち、複数の標的種の離散分離を可能にするために使用される磁場を制御することに関して説明されるものと同様に)。
【0193】
本明細書で説明されるように、マイクロ流体チャネルおよび電極技術の利点は、チャネル天井において一列形成に細胞を集束および集中させる能力である。したがって、下層のマイクロパターン電極により、この能力で高精度を達成することができる。ある程度の集束はまた、外部永久磁石からの磁場を使用して達成することもできる。細胞を集束させながら、チャネル天井に向かって押し進めることは、それらを検出し、数え、捕捉することを容易にする。
【0194】
以下でさらに詳細に説明されるように、(i)チャネルの長さに沿って(種々の相対位相で)DCまたはAC電流を搬送する、少なくとも2つの平行電極が、それらの間の間隙より上側の空間に細胞を押し込む、(ii)反対方向に移動磁場を搬送する少なくとも2組の電極が、各セット間の境界の中へ細胞を転がすことができる、(iii)磁気トルク効果が顕著になるために間隙が十分小さくなるまで、隣接間で徐々に減少する間隙を伴って、(移動磁場をもたらすものを含む、種々の相対位相で)DCまたはAC電流を搬送する電極の配列が、細胞を押し進め、これらの間隙内で保持するといった、異なる電極幾何学形状を使用して、磁性マイクロ流体デバイスで細胞集束を達成することができる、少なくとも3つの方法がある。最初の2つのアプローチは、検出器/計数器の近傍で標的細胞の流れを集束させるために使用することができる一方で、第3のアプローチは、入力サンプルの大規模並列集束および後続の分離を実現するために理想的である。具体的には、第3のアプローチでは、標的種(例えば、細胞)は、最初に交互捕捉間隙に集束させられ、次いで、標的細胞は、隣接間隙に分離される。
【0195】
電極およびマイクロ流体チャネル構成を使用して実装される細胞集束の利点は、以下の通りである。
・流体力学的シース流を伴わずに、非常に効率的な集束を達成することができるため、デバイスの体積全体は、細胞の入力流れに専念することができる。したがって、流体力学的集束を使用する既存のアプローチと比較して、より高いスループットを本明細書で説明される実装で達成することができる。
・1つおきの電極間隙に入力細胞流を集束させることによって、標的種(例えば、細胞または病原体)を隣接間隙に分離することができる。デバイスが、流路の幅にわたって配列された数10のそのような電極パターンを特色とすることができるため、この能力は、分離および選別機能性において劇的な並列性を達成することを可能にする。
・細胞がチャネル天井の近傍で一列に並んだときに、それらを容易に検出し(例えば、光学、磁気、電気インピーダンスおよび静電容量測定を含む、種々の方法を通して)、数えることができる。このようにして、実装されたシステム/デバイスは、数分で最大数何百万個もの細胞を分離し、数えることが可能な「ナノサイトメータ」としての機能を果たすことができる。システム/デバイスは、病原体検出器として使用することができ、または他の非標的細胞(CD4、赤血球、血小板等)の濃度を明らかにするのに役立つために使用することができる。
【0196】
図13を参照すると、磁場を生成して、サンプルの標的種を実質的に一列の流れの上に集束させるように構成される、電極セットを含む、マイクロ流体デバイス500の概略図が示されている。デバイス500は、マイクロ流体チャネルデバイス510と、一組の電極520とを含む。マイクロ流体チャネル510は、
図1A、4、および5に関して説明されるマイクロ流体チャネルと同様であってもよい。一組の電極520は、
図13の例示的実施形態では、概して実質的に相互と平行である、2つの「波状」電極を含む。一組の電極への制御可能な少なくとも1つの電流の印加時に、磁性流体内で懸濁された標的種をマイクロ流体チャネル内で押し進めさせ、集束させる、磁場が生成される。電極に印加される制御可能な少なくとも1つの電流は、
図1Aのコントローラ160(プロセッサベースのコントローラであってもよい)等のコントローラを使用して、制御/調節されてもよい。
【0197】
いくつかの実装では、少なくとも2つの電極(電極520等)は、例えば、少なくとも2つの電極のうちの1つ以上の実質的に真っ直ぐな形状、少なくとも2つの電極のうちの1つ以上の実質的に波状の形状、少なくとも2つの電極の実質的に平行な配設、および/または少なくとも2つの電極が徐々に相互に接近する、少なくとも2つの電極の実質的にテーパ状の方向付けのうちの少なくとも1つを有する、構造を含んでもよい。
【0198】
いくつかの実施形態では、一組の電極は、実質的にマイクロ流体デバイスの入口において標的種に印加される、少なくとも1つの電流をその上に印加すると、磁場を生成するように構成される。そのような実施形態では、複数組の電極が、マイクロ流体デバイスとともに使用されてもよく、一組は、少なくとも1つの標的種を含むサンプルを、マイクロ流体チャネルを通って流れる一列形成に集束させるように作用し、別の電極セットは、その主な目的が、例えば、
図1−7に関して説明される方式で、2つ以上の異なる標的種の分離を可能にするように、(例えば、磁性流体ベースのサンプルの連続流について)サンプルの離散分離を実装することである。
【0199】
いくつかの実装では、マイクロ流体デバイスの入口において集束する磁力は、マイクロ流体デバイスの中で(例えば、デバイスのチャネルの中で)画定された捕捉間隙への細胞の急速選別につながることができる。したがって、そのような集束機能性は、最初に標的種(例えば、標的細胞)を交互捕捉に集束させるために使用することができ、次いで、標的細胞を隣接間隙に分離することができる。
【0200】
したがって、
図14を参照すると、交互間隙の中への標的種の集束を可能にするように構成される、別のマイクロ流体デバイス600例の一部の概略図が示されている。デバイス600は、
図1A、4、5、および13に関して説明されるマイクロ流体チャネルと同様であってもよい、流体チャネル610を含む。デバイス600はさらに、少なくとも2つの種類の電極幾何学形状を含む、複数の電極620を伴う一組の電極を含む。
図14の実施例では、2つごとの電極(一対の電極を画定する)のうちの1つは、実質的にデバイスの入口領域630の中へ延在する長さを有し、したがって、集束電極622を画定する。そのような各集束電極622には、より短い電極624が隣接する。いくつかの実施形態では、集束電極622と、より短い電極624とを含む、一対の電極であって、相互に接近するように相互に対して実質的にテーパ状の方向付けで配設されている、電極が使用されてもよい。複数の電極620(集束電極およびより短い電極を含む)は、入口段階を通り過ぎ、デバイスの出口領域に向かって延在している、マイクロ流体チャネルの中の点からの波状形状を有する。複数の電極620が略波状形状を成す空間位置から、電極は、概して、いくつかの実施形態では、相互と実質的に平行な方向に延在する。
【0201】
図14で描写される電極の幾何学形状例を用いると、複数の電極620への少なくとも1つの電流の印加時に、入口領域の周囲での電極の幾何学形状は、標的種を、複数対の電極によって画定された交互捕捉間隙(
図14で描写される捕捉間隙640を含む)に集束された複数の一列流に方向付けさせる、磁場を生成させる。いったん流れ(その各々は、デバイスの入口において受容される標的種の同様の混合物を含んでもよい)が形成されると、現在集束されている複数のサンプル流に作用する磁場が、隣接間隙(すなわち、集束動作の結果として標的種のうちのいずれかを受容しなかった間隙)への異なる標的種の分離を引き起こす。電極620が実質的に平行であり、離散分離動作を行うように動作する、流体チャネルの領域で形成される磁場は、入口領域の周囲での磁場とは異なる(または同様の)属性を有してもよい。電極620が実質的に平行である場所に存在する磁場によって行われる、離散分離動作は、
図1−12に関して説明されるシステム、デバイス、および方法によって行われる動作と同様である。
【0202】
したがって、いくつかの実装では、デバイスは、第1の電極が隣接電極に徐々に接近するように構成されるように、隣接電極に対して実質的にテーパ状の方向付けで配設されている、配列の少なくともいくつかの第1の電極を伴う、電極の配列を含んでもよい。
電極の配列は、磁力を生成して、複数対の隣接電極より上側およびその間で、少なくとも1つの標的種の結果として生じる流れを形成させるように構成される。したがって、複数対の電極の間の全間隙は、概して、集束動作後に空であるが、流れに分離動作を行うと、空の間隙は、混合物が集束されている隣接間隙の中を流れる混合物から分離されている、標的種のうちの少なくとも1つを受容する。
【0203】
図13および14で描写されるものとは異なる他の電極幾何学形状が、集束機能性を可能にするために使用されてもよい。
【0204】
いくつかの実施形態では、集束動作を行うために使用される電極は、逆移動磁場の少なくとも2つの磁気波を生成して、少なくとも2つの生成された磁気波の間の境界のほぼ中心で少なくとも1つの標的種を集束させるように構成される。
図15を参照すると、マイクロ流体デバイス700の別の例示的実施形態の一部の概略図が示されている。デバイス700は、
図1A、4、5、13、および/または14に関して説明されるマイクロ流体チャネルと同様であってもよい、流体チャネル710を含む。デバイス700はさらに、
図15の実施形態では、略波状の形状を有し、相互に対して実質的に平行な方向付けを有する、複数の電極720を伴う一組の電極を含む。電極720は、マイクロ流体チャネル710に近接して設置される。例えば、電極720は、マイクロ流体チャネルの外側に設置された電極層の中に配設されてもよい。
【0205】
図15の電極への制御可能な少なくとも1つの電流の印加時に、逆移動磁場の2つの磁気波(波730および732として印付けられる)が生成される。逆移動磁場の2つの磁気波は、サンプル中の標的種を、2つの生成された磁気波の間の境界740(鎖線として描写される)の周囲で集束させる。
【0206】
他の電極構成が、サンプル中の標的種を集束させるために使用される磁場(したがって磁力)を生成するために使用されてもよい。いくつかの実施形態では、集束機能性を果たすために使用される磁場を生成するように構成される、少なくとも2つの電極は、所望の集束機能を実装するように決定される制御可能な属性を伴う制御可能なAC電流を伝導してもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも2つのそのような電極は、DC電流を伝導してもよい。いくつかの実施形態では、単一の電極は、集束磁場を生成するために使用される複数の電極部分を画定する、2本(以上)の平行脚部を形成するように、それ自体に巻き付けられてもよい。いくつかの実施形態では、集束機能性を実装することを促進する電極セットに加えて、またはその代わりに、一組の1つ以上の永久磁石が使用されてもよい。
【0207】
図16を参照すると、マイクロ流体チャネルの中で標的種を集束させる手順例800のフローチャートが示されている。手順800は、生体適合性磁性流体に懸濁された少なくとも1つの標的種を含有する、サンプルを受容すること810を含み、受容したサンプル中の少なくとも1つの標的種は、関連入力幅を伴う入力流れの中で実質的に集中させられる。
【0208】
サンプルを受容すると、少なくとも1つの電流(例えば、制御可能な周波数、位相、および/または振幅を伴うAC電流、DC電流等)が、磁性流体チャネルを含有するサンプル中で制御可能な磁力を生成するように、マイクロ流体に近接して設置された少なくとも2つの電極に制御可能に印加される820。磁力は、入力流れと関連付けられる入力幅よりも狭い幅を有する、結果として生じる流れの中で、少なくとも1つの標的種を集束させる。いくつかの実施形態では、少なくとも2つの電極は、制御可能に供給された電流を伝導するように、および例えば、電流の属性、マイクロ流体チャネルの属性、および/または少なくとも2つの電極の属性(それらの構図または形状等)に従って制御可能な磁力を生成するように構成される。
【0209】
(3.標的種を検出器に方向付ける磁力)
前述のように、本明細書では、サンプル中の少なくとも1つの標的種を検出するデバイスを含む、デバイス、システム、方法、および実装が説明され、デバイスは、少なくとも1つの標的種と、少なくとも1つの標的種が懸濁される生体適合性磁性流体とを含有する、サンプルを受容するように構成される、マイクロ流体チャネルと、サンプル中の少なくとも1つの標的種を決定する検出器と、マイクロ流体チャネルに近接して設置される電極のうちの少なくとも2つであって、制御可能な少なくとも1つの電流が少なくとも2つの電極に印加されたときに、磁性流体を含有するサンプル中で制御可能な磁力を生成するように構成される、少なくとも2つの電極とを含む。生成された制御可能な磁力は、少なくとも1つの標的種を検出器に向かって方向付けさせる。標的種の有効性および質が、少なくとも部分的に、電極までの標的種の垂直距離に依存するため、垂直距離を制御することができない場合、異なる種類の標的種が確実に区別されない場合がある。したがって、標的種を天井(検出機構が設置されもよい場所の付近)に押し進めることによって、検出器までの標的種の垂直距離の結果として、標的種の検出成功を妨げる課題を制御し、ある程度克服することができる。
【0210】
本明細書で説明される検出スキームは、いくつかの実施形態では、一対の平行平坦電極を通した直接電気インピーダンス測定および/または静電容量測定を伴う。インピーダンス測定検出器に関して、数えられ、検出されることが必要な細胞サイズの範囲が、これらの電極の間の間隔を決定する。一般的には、この間隔は、細胞直径と同程度、またはそれよりもいくらか大きくなるべきである。血液細胞については、間隔は、10〜20ミクロンとなり得る。細菌検出については、間隔は、5〜10ミクロンとなり得る。
【0211】
サンプル中の標的種の存在を数えて検出する種々の技法/方法は、2つの電極の間に少量の電流を通すことによって、マイクロ流体チャネル内を流れる緩衝溶液の電気伝導性を測定することを含む。この電流(ACまたはDC)の急上昇は、電気伝導度の特性が媒質とは異なる細胞の通過によって引き起こされる可能性が高い、媒質の局所伝導度のつかの間の変化を示す。感知電極の間の間隙が細胞サイズと同程度であるときに、電極間の電場パターンへの外乱が最大化され、電気信号対背景比が最適化される。
【0212】
いくつかの実施形態では、磁性流体溶液に存在する細胞を検出し、数えることは、静電容量を測定することによって行われてもよい。静電容量センサのための電極レイアウトおよび細胞検出機構は、幅が関心の細胞の直径と同程度である間隙を伴う一対の電極といった、インピーダンスアプローチと同じである。測定される静電容量は、一般的には小さく、その測定は、概して、静電容量信号を得るために高い周波数AC励起(一般的には>1MHz)で行われる。検出される標的種が細菌である場合、そのような細菌標的種の比誘電率が約100であり、磁性流体の比誘電率が約80となるため、感知電極の近くに細胞を限局することができる場合、磁性流体内でそれらの存在を検出することができる。
【0213】
したがって、生成される磁場を使用することによって、例えば、
図1−16に関して説明されるものと同様の電極構成を使用して、感知電極が位置してもよいチャネル天井に向かって、標的種を押し進めることができる。いくつかの実施形態では、マイクロ流体デバイスおよびシステムと併せて使用される検出器は、標的細胞を特異的に捕捉する抗体「カーペット」と、捕捉カーペットの上流に1つ、下流にもう1つがある、一対の検出キャパシタとを含む。そのような構成では、感知キャパシタは、捕捉領域に進入する細胞(N_in)およびそこから出て行く細胞(N_out)の数を数え、どれだけカーペットによって捕捉されたかを計算された差(すなわち、N_in−N_out)から決定することができる。代替として、インピーダンスを測定する複数対の電極、または個別標的種の数/量を表す何らかの他の特性を測定する何らかの他のデバイスが使用されてもよい。本明細書で説明されるマイクロ流体システムおよびデバイスは、他の細胞の非特異的付着を防止するほど十分強力であるが、標的細胞の損失につながるよう強力すぎない、剪断流を抗体カーペットの表面上でもたらすように実装される。この動作モードでは、異なる捕捉領域が、相互の下流に直列に配置されてもよく、複数の標的種、例えば、病原体、またはCD4+白血球、上皮細胞接着分子(EpCAM)を発現する特定の癌細胞等の他の標的細胞に対する定量的かつ特異的検出能力を提供することができる。
【0214】
抗体カーペットは、種々の表面機能化化学によって実現することができる。感知電極は、印刷され、パターン転写され、または微細加工(リソグラフィでパターン化された表面上の金属の蒸発またはスパッタリング)されてもよい。
【0215】
マイクロ流体チャネルベースの検出器のいくつかの利点は、以下を含む。
・実際の細胞センサ(検出器)から表面機能化を分離することによって製造過程を単純化する。
・統合電子機器を伴う多くの従来の既存のバイオセンサが、センサ表面を直接機能化する。マイクロまたはナノスケールセンサ(意図的にはるかに高い感度を生じる)を用いると、機能化される全表面積は極めて小さい。時折、センサ表面上にごくわずかだけの細胞のための空間がある。したがって、標的細胞濃度が極めて高い場合、センサ信号の急速飽和が後に続いて起き得る。この問題を解決するために、いくつかの従来のデバイスは、システム複雑性および製造可能性課題の劇的な増加につながる、(最大で数千もの)膨大な配列の中にそれらのセンサを配設する。本明細書で説明されるマイクロ流体ベースのシステムおよびデバイスでは、そのようなシステムおよびデバイスとともに使用される検出器は、検出領域を通過する単一の細胞というわずかな検出も可能であり、信号飽和前に検出することができる細胞の最大数は、捕捉カーペットの相対的範囲によって求められる。開示されたマイクロ流体システムおよびデバイスとともに使用されるセンサのダイナミックレンジを増加させることは、センサの数を増加させる必要なく、捕捉領域の範囲を増加させるのと同じくらい単純であり得る。
・本明細書で説明される検出アプローチは無標識である(すなわち、検出を可能にするために、いずれの蛍光マーカーまたは他のタグも細胞に取り付けられない)。
・細胞流を集束させ、検出領域に向かって押し進める、チャネルより下側の電流搬送電極の使用(または何らかの他の磁場生成機構、例えば、永久磁石に基づく機構の使用)は、いくつかの実施形態では、良好なスループットを維持しながら、1psi(ポンド毎平方インチ)未満のサンプル流を提供するために入力圧力を使用することを可能にする。対照的に、従来の細胞操作では、細胞直径(一般的には50ミクロン以下)と同程度である高さおよび幅を伴うチャネルが使用される必要があり、したがって、これらのデバイスのスループットが低い、または非常に大きい圧力源が、そのような極めて小さいチャネルを通して高速流を押し進めるために使用される必要がある。
【0216】
したがって、
図17を参照すると、マイクロ流体デバイス900の例示的実施形態の一部の概略図が示されている。デバイス900は、例えば、
図1A、4、5、13、および/または14に関して説明されるマイクロ流体チャネルと同様であってもよい、マイクロ流体チャネル910を含む。デバイス900はさらに、マイクロ流体チャネル910を通って流れるサンプル中の標的種の存在および数を検出および決定するように、また、そのように検出された標的種の種類または同定を決定するように構成される、チャネル910の片側に近接して設置される、1つ以上の検出器920a−nを含む(描写される実施形態では、検出器は、チャネルの天井を画定するチャネル910の外壁上に設置される)。デバイス900はまた、磁性流体サンプル中の標的種をマイクロ流体チャネル910の天井に向かって、したがって、検出器920a−nに向かって押し進める磁場を生成するように、磁場生成機構も含む。いくつかの実施形態では、磁場生成機構は、
図1−17に関して描写および説明されるものと同様となり得る、電極930(鎖線として描写される)等の一組の電極を使用して実装されてもよい。そのような電極は、少なくとも1つの制御可能な電流がこれらの電極を通過するときに、電極に近い表面とは反対側のマイクロ流体チャネルの表面に向かって非磁性標的種(細胞、細菌等)を押し進める、制御可能な磁場が生成されるように、所定の構成を有してもよい。
【0217】
例えば、電極は、制御可能に供給された電流を伝導するように、および少なくとも部分的に、電極の物理的属性、マイクロ流体チャネルの物理的属性、および/または印加される電流の属性に従って制御可能な磁力を生成するように構成される、マイクロ流体チャネルに近接して設置される少なくとも2つの電極を含んでもよい。そのような物理的属性は、少なくとも2つの電極の構造を含んでもよく、少なくとも2つの電極の構造は、例えば、少なくとも2つの電極のうちの1つ以上の実質的に真っ直ぐな形状、少なくとも2つの電極のうちの1つ以上の実質的に波状の形状、少なくとも2つの電極の実質的に平行な配設、および/または少なくとも2つの電極が徐々に相互に接近する、少なくとも2つの電極の実質的にテーパ状の方向付けのうちの1つ以上を含んでもよい。電極は、関連属性(例えば、位相、周波数、振幅等)を含む少なくとも1つの制御可能な電流(
図1Aのコントローラ160等のコントローラを使用して制御されてもよい)が、少なくとも2つの電極に印加されたときに、磁性流体を含有するサンプル中で制御可能な磁力を生成するように構成される。
【0218】
いくつかの実装では、標的種を検出器920a−nに最も近いチャネルに向かって押し進める磁場を生成することを促進する電極に加えて、またはその代わりに、永久磁石が使用されてもよい。
【0219】
記述されるように、
図17に示されるように、いくつかの実施形態では、静電容量ベースの検出器、インピーダンスベースの検出器等が使用されてもよい。例えば、検出器920aは、2つの感知電極板を備える上流検出キャパシタ922aと、捕捉領域(カーペット領域とも呼ばれる)924aと、
図17のマイクロ流体デバイス900と併せて使用されるための次の順次検出器のためのキャパシタ922aおよびカーペット924の下流に設置される下流検出キャパシタ926a(下流検出キャパシタ926aはまた、922nとして印付けられる上流検出キャパシタとしての機能も果たす)とを含む。
【0220】
上流検出キャパシタ922aは、サンプル中に存在する標的種(細胞、細菌等)の数(または概数)に起因する静電容量を決定するように構成される。検出される静電容量(またはインピーダンス)に基づいて、同定ユニット940(プロセッサベースのコンピュータデバイスであってもよい)が、検出器に進入する数(または概数)N_inを決定するために使用されてもよい。
図18を参照すると、検出キャパシタの概略図、および細菌が検出器面の付近を通る結果としての静電容量の変化を描写するグラフが示されている。
図18のグラフに図示されるように、通過する細菌(または何らかの他の標的種)の数が大きくなるほど、検出された静電容量が高くなる。
【0221】
上流検出キャパシタ922aによって、通過する標的種の数を決定した後に、標的種は、(細胞であろうと何らかの病原体であろうと)特定の種類の標的種を捕捉し、したがって、検出するように機能化される抗体カーペット924aの付近を流れる。カーペット924は、(例えば、顕微鏡を用いた同定をより困難かつ不確実にする)同様のサイズおよび構造を有する場合がある、標的種の検出における特異性を得ることを促進する。例えば、大腸菌およびサルモネラ菌は、同様のサイズ分布を伴って棒状であるが、これらの標的種は、1つ以上の抗体カーペットを機能化するために使用される抗体を使用して区別することができる。
【0222】
記述されるように、磁場生成機構(電極または永久磁石)の使用は、より効率的な捕捉能力を実現することができるように、カーペット924aに十分近く標的種を押し進めることを可能にする。後に、非捕捉標的種が流れ続け、残りの非捕捉標的種に起因する静電容量(または代替としてインピーダンス)を測定する下流検出キャパシタ926aを通り過ぎ、そうするとすぐに、下流検出キャパシタ926aにおける決定された静電容量に基づいて、残りの標的種の数(N_out)を(例えば、同定ユニット940によって)決定することができる。したがって、N_inおよびN_outの差は、カーペット924aによって捕捉される標的種の数をもたらすことができる。いくつかの実施形態では、N_inとN_outとの間の差が所定の閾値を超える場合に、捕捉される標的種の個々の構成要素がサンプル中のその標的種の存在を示すという決定が行われる。他の種類の検出機構(例えば、インピーダンスに基づく機構)が、流れるサンプル中の種々の標的種の数および同定を同様に決定するために使用されてもよい。
【0223】
いくつかの実施形態では、同様の(または異なりさえする)構成の標的細胞検出器のカスケードを使用することができる。例えば、
図17で描写される実施形態では、第1の検出器920aの後には、カーペット領域(すなわち捕捉領域)が、(適切な機能化によって)異なる種類の標的種を捕捉し、したがって、検出するように構成されてもよい、順次検出器920bが続く。
【0224】
したがって、いくつかの実施形態では、本明細書で説明されるマイクロ流体デバイスおよびシステムとともに使用される検出器はそれぞれ、マイクロ流体チャネル内の静電容量(またはインピーダンス)を測定する1対の離間電極と、測定された静電容量に基づいて、少なくとも1つの標的種の存在を決定する同定ユニットとを含んでもよい。同定ユニットは、少なくとも1つの標的種の存在に起因する、マイクロ流体チャネルの中の測定された静電容量の変化に基づいて、少なくとも1つの標的種の存在を決定するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、検出器は、インピーダンス等の標的細胞の存在による影響を受ける、他の特性を測定するように構成されてもよい。各検出器はさらに、複数の標的種のうちの1つと相互作用するように構成される物質を含む、捕捉領域であって、1対の離間電極の下流でマイクロ流体チャネルの中に位置する、捕捉領域と、マイクロ流体チャネル内の静電容量(またはインピーダンス)を測定する、捕捉領域の下流に位置する別の1対の離間電極とを含んでもよい。
【0225】
記述されるように、いくつかの実装では、同定ユニットは、1対の離間電極における少なくとも1つの標的種の初期数と、他方の1対の離間電極における少なくとも1つの標的種の終了数とを決定するように、ならびに初期および終了数の間の差に少なくとも部分的に基づいて、捕捉領域によって捕捉される少なくとも1つの標的種のレベルが所定の閾値を超えるかどうかを決定するように構成される。
【0226】
さらに説明されるように、いくつかの実施形態では、検出器は、連続的に設置された検出セットのカスケードを備え、連続的に設置された検出セットの前記カスケードの各々は、マイクロ流体チャネル内の静電容量(またはインピーダンス)を測定する第1の対の離間電極と、複数の標的種のうちの1つと相互作用するように構成される物質を含む、捕捉領域であって、第1の対の離間電極の下流に位置する捕捉領域とを含む。連続的に設置された検出セットのカスケードの各々はまた、マイクロ流体チャネル内の静電容量(またはインピーダンス)を測定する、捕捉領域の下流に位置する第2の対の離間電極と、第1の対の離間電極における少なくとも1つの標的種の初期数と、第2の対の離間電極における前記少なくとも1つの標的種の終了数とを、検出セットの各々において決定し、ならびに初期および終了数の間の差に少なくとも部分的に基づいて、捕捉領域によって捕捉される少なくとも1つの標的種のレベルが所定の閾値を超えるかどうかを決定する、同定ユニットとを含む。
【0227】
ここで
図19を参照すると、サンプル中の少なくとも1つの標的種を検出する手順例1000のフローチャートが示されている。方法は、本明細書で説明されるもの等の生体適合性磁性流体に懸濁された少なくとも1つの標的種(例えば、細胞、細菌、非生物種等)を含有するサンプルを、マイクロ流体チャネル(
図1A、4、5、13、14、および17で描写されるもの等)において受容すること1010を含む。
【0228】
サンプルを受容すると、少なくとも1つの電流が、磁性流体チャネルを含有するサンプル中で制御可能な磁力を生成して、少なくとも1つの標的種を検出器に向かって方向付けさせるように、マイクロ流体に近接して設置された少なくとも2つの電極に(または1つだけの電極にも)制御可能に印加される1020(例えば、プロセッサベースのコントローラ等のコントローラを使用する、手動で制御する等)。電極は、例えば、
図1−18に関して本明細書で説明される電極構成のうちのいずれかであってもよい。いくつかの実施形態では、検出器は、静電容量測定に基づく検出器、または標的種を含有するサンプルの他の特性(例えば、インピーダンス)の測定に基づく検出器であってもよい。そのような検出器は、捕捉領域(例えば、サンプル中に存在し得る特定の標的種と相互作用するように構成される特定の抗体で機能化されたカーペット)への入力および出力段階で、標的種の数(または量)を決定することを可能にしてもよい。入力および出力段階における標的種構成要素の数の間の差は、特定の標的種の種類を捕捉するように構成(例えば、機能化)された捕捉領域によって捕捉される標的種構成要素(例えば、個々の生物)の数を示してもよい。したがって、検出器によってマイクロ流体チャネルの中のサンプルに行われる測定に基づいて、サンプル中の少なくとも1つの標的種が決定されてもよい1030。
【0229】
ここで
図20を参照すると、
図1Aのコントローラ160、
図17の同定ユニット940等を含む、本明細書で説明されるシステムおよびデバイスとともに使用され得る、プロセッサベースのシステム/デバイスのうちのいずれかを実装するために使用されてもよい、一般的コンピュータシステム1100の概略図が示されている。コンピュータシステム1100は、一般的には中央プロセッサユニット1112を含む、パーソナルコンピュータ、特殊コンピュータデバイス等のプロセッサベースのデバイス1110を含む。CPU1112に加えて、システムは、主要メモリ、キャッシュメモリ、およびバスインターフェース回路(図示せず)を含む。プロセッサベースのデバイス1110は、コンピュータシステムと関連付けられるハードドライブ等の大容量記憶要素1114を含む。コンピュータシステム1100はさらに、キーボードまたはキーパッド1116と、モニタ1120、例えば、CRT(陰極線管)またはLCD(液晶ディスプレイ)モニタとを含んでもよい。
【0230】
プロセッサベースのデバイス1110は、例えば、本明細書で説明される制御および処理動作、例えば、制御可能な磁場を生成するように、電極に印加される少なくとも1つの制御可能な電流を決定および/または制御すること、検出される特性(例えば、静電容量、インピーダンス)に基づいて標的種の数/量を決定すること等を促進するように構成される。したがって、記憶デバイス1114はまた、プロセッサベースのデバイス1110上で実行されたときに、プロセッサベースのデバイスに、本明細書で説明される制御および/または処理動作の実装を促進する動作を行わせる、コンピュータプログラム製品を含んでもよい。プロセッサベースのデバイスはさらに、入力/出力機能性を可能にする周辺デバイスを含んでもよい。そのような周辺デバイスは、例えば、CD−ROMドライブおよび/またはフラッシュドライブ、あるいは関連コンテンツを接続されたデバイスにダウンロードするためのネットワーク接続を含んでもよい。そのような周辺デバイスはまた、それぞれのシステム/デバイスの一般動作を可能にするコンピュータ命令を含有する、ソフトウェアをダウンロードするために使用されてもよい。代替として、および/または加えて、いくつかの実施形態では、特殊用途論理回路、例えば、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)またはASIC(特定用途向け集積回路)が、システム1100の実装で使用されてもよい。プロセッサベースのデバイス1110とともに含まれてもよい、他のモジュールは、スピーカ、サウンドカード、およびポインティングデバイス、例えば、それによってユーザが入力をコンピュータシステム1100に提供することができる、マウスまたはトラックボールである。プロセッサベースのデバイス1110は、オペレーティングシステム、例えば、Windows XP(登録商標) Microsoft Corporationオペレーティングシステムを含んでもよい。代替として、他のオペレーティングシステムを使用することができる。
【0231】
また、本明細書で開示される実施形態と関連して説明される種々の例示的な論理ブロック、モジュール、および方法は、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(「DSP」)、または他のプログラマブル論理デバイス、離散ゲートまたはトランジスタ論理、離散ハードウェア構成要素、または本明細書で説明される機能を果たすように設計されるそれらの任意の組み合わせで実装または実施することができる。汎用プロセッサは、マイクロプロセッサとなり得るが、代替案では、プロセッサは、任意のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、または状態機械となり得る。プロセッサはまた、コンピュータデバイスの組み合わせ、例えば、DSPおよびマイクロプロセッサの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと併せた1つ以上のマイクロプロセッサ、または任意の他のそのような構成として実装することもできる。
【0232】
コンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、またはコードとしても知られている)は、プログラマブルプロセッサ用の機械命令を含み、高次プロシージャおよび/またはオブジェクト指向プログラミング言語で、および/またはアセンブリ/機械言語で実装されてもよい。本明細書で使用されるように、「機械可読媒体」とは、機械可読信号として機械命令を受信する非一過性の機械可読媒体を含む、機械命令および/またはデータをプログラマブルプロセッサに提供するために使用される、任意の非一過性のコンピュータプログラム製品、装置、および/またはデバイス(例えば、磁気ディスク、光ディスク、メモリ、プログラマブル論理デバイス(PLD))を指す。
【0233】
ユーザとの相互作用を提供するために、本明細書で説明される主題は、ユーザに情報を表示するための表示デバイス(例えば、CRT(陰極線管)またはLCD(液晶ディスプレイ)モニタ)と、それによってユーザが入力をコンピュータに提供してもよい、キーボードおよびポインティングデバイス(例えば、マウスまたはトラックボール)とを有する、コンピュータ上で実装されてもよい。他の種類のデバイスも、ユーザとの相互作用を提供するために使用されてもよく、例えば、ユーザに提供されるフィードバックは、任意の形態の間隔フィードバック(例えば、視覚フィードバック、聴覚フィードバック、または触覚フィードバック)であってもよく、ユーザからの入力は、音響、発話、または触覚入力を含む、任意の形態で受信されてもよい。
【0234】
本明細書で説明される主題のうちのいくつかまたは全ては、(例えば、データサーバとしての)バックエンド構成要素を含む、またはミドルウェア構成要素(例えば、アプリケーションサーバ)を含む、またはフロントエンド構成要素(例えば、グラフィカルユーザインターフェースを有するクライアントコンピュータ、またはそれを通してユーザが本明細書で説明される主題の実施形態と相互作用してもよいウェブブラウザ)を含む、あるいはそのようなバックエンド、ミドルウェア、またはフロントエンド構成要素の任意の組み合わせを含む、コンピュータシステムで実装されてもよい。システムの構成要素は、任意の形態または媒体のデジタルデータ通信(例えば、通信ネットワーク)によって相互接続されてもよい。通信ネットワークの実施例は、ローカルエリアネットワーク(「LAN」)、広域ネットワーク(「WAN」)、およびインターネットを含む。
【0235】
コンピュータシステムは、クライアントおよびサーバを含んでもよい。クライアントおよびサーバは、概して、相互から遠隔にあり、一般的には、通信ネットワークを通して相互作用する。クライアントおよびサーバの関係は、概して、それぞれのコンピュータ上で作動し、相互にクライアント・サーバ関係を有する、コンピュータプログラムによって生じる。
【0236】
上記の図および本明細書で開示される実施形態と関連して説明される、種々の例示的な論理ブロック、モジュール、回路、および方法はしばしば、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェア、または両方の組み合わせとして実装することができる。
【0237】
加えて、本明細書で開示される実施形態と関連して説明される、方法/手順は、直接ハードウェアで、プロセッサによって実行されるソフトウェアモジュールで、または2つの組み合わせで具現化することができる。ソフトウェアモジュールは、RAMメモリ、フラッシュメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、レジスタ、ハードディスク、可撤性ディスク、CD−ROM、またはネットワーク記憶媒体を含む任意の他の形態の記憶媒体の中に存在することができる。例示的な記憶媒体は、プロセッサが記憶媒体から情報を読み出し、記憶媒体に情報を書き込むことができるように、プロセッサに連結することができる。代替案では、記憶媒体は、プロセッサと一体となり得る。プロセッサおよび記憶媒体はまた、ASICの中に存在することもできる。
【0238】
本発明のいくつかの実装を説明してきた。それでもなお、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、種々の修正が行われてもよいことが理解されるであろう。したがって、他の実施形態が以下の請求項の範囲内である。
【0239】
(付録A−粒子操作のための計算)
本明細書では、本明細書で説明される磁性マイクロ流体システム、デバイス、および方法で観察される粒子速度および臨界周波数の推定を可能にする、解析アプローチが提供される。計算を単純化するために、完璧に球形の非圧縮性微小粒子、磁気的に線形の磁性流体、ならびに磁場の大きさおよび周波数から独立している滑り係数(以下を参照)が仮定される。さらに、
【0240】
【化1】
が当てはまるように、電極寸法および間隔によって決定されるような移動磁場の波長
【0241】
【化2】
と比較して、球形粒子半径(R)が小さいことが仮定される。これらの仮定の下で、微小粒子の直接近傍での磁性流体磁化、および粒子の体積V
p内の仮想磁化M
effを、均一として近似することができる。また、(その勾配ではなく)フィールド値が、微小粒子の内部範囲内で一定であることも近似される。
【0242】
次いで、その双極子への全瞬発力は、以下
【0243】
【数8】
によって求められ、式中、B
inは、球形微小粒子内の磁束密度であり、積分は、粒子の内部体積に対する(Zahn et al.,1995,J of Magnetism and Magnetic Materials 149:165−173)。これらの仮定の下で、MおよびBの不連続性による式Aの中の表面項は、0に積分する圧力項を生成し、被積分関数の単純ベクトル拡張は、この項がケルビン力密度と同じであることを明らかにする。したがって、瞬発力式は、以下
【0244】
【数9】
に単純化することができる。
【0245】
磁力の最終解析表現を得るために、微小粒子がない場合に外部磁場(H
ext)に関してM
effおよびB
inを表すことは、このフィールド値を単純シミュレーションから容易に得ることができるため有用である。磁性流体(複雑な周波数依存性透磁率μ
p=μ
0(1+χ
f)を伴う)内の透磁率μ
p(本質的にμ
0)を伴う粒子の正味の磁化は、以下の
【0246】
【数10】
ようにH
extに依存する。
【0247】
粒子内の磁束密度および磁場を決定することは、その内側の減磁場の考慮を必要とする。粒子の内側の全体的な磁場は、
【0249】
【化4】
である。したがって、粒子磁化を
【0250】
【化5】
と書くことができる、線形体制では、以下の
【0252】
式CおよびDを比較することにより、磁性流体磁化率に関して粒子の有効磁化率を明らかにする。
【0253】
【数12】
磁性流体を変位させて「磁気穴」を生成するため、微小粒子が磁力のみに応答するので、有効磁化率は、磁性流体の磁化率に依存することに留意されたい。その点に関して、穴が存在する磁気媒体は、磁気穴と印加された磁場との間の相互作用の強度を決定する。式Eの中の負号は、微小粒子の有効磁化が、静的条件下の局所磁性流体磁化の反対方向にあることを示す。
【0254】
【化6】
である一方で、磁気穴の有効磁化率は、強力に磁化可能な媒体において−1に近づく。実際には、微小粒子操作のために強力すぎる磁性流体は、非生産的となり得る。
【0256】
【数13】
ように表すことができる。
【0257】
ここで、θは、複素磁化率χ
effの角度によって求められる、
【0261】
移動磁場の存在下で、局所磁場は正弦波的に変化し、時間平均力は、瞬発力の最大値のちょうど半分である。
【0262】
【数15】
同様に、磁気双極子への瞬間トルクは、以下によって求められる(Zahn et al.,1995,J of Magnetism and Magnetic Materials 149:165−173)。
【0263】
【数16】
ここで、非磁性微小粒子の回転が、0から1の間の滑りsを受ける場合がある可能性が考慮されている。この滑り係数は、同じサイズおよび有効磁化の単離粒子によって感じられるトルクの値に対する、本明細書で説明される磁性マイクロ流体システムおよびデバイスにおいて非磁性微小粒子が被るトルクの比を表す。
【0264】
磁気トルクの偏差の残りの詳細は、磁力と酷似している。磁束密度を代入することにより、以下の式
【0270】
磁性マイクロ流体チャネルおよび電極下部の現実的な2次元断面を使用して、所与の入力電流振幅のH
extを計算するために、有限要素解析プログラム(COMSOL)が使用された。静止磁性流体中のミクロンスケールのビーズおよび細胞の運動と関連付けられるレイノルズ数は非常に小さい。この体制では、慣性効果を無視することができ、ストークス流の式が流体力学を支配する。したがって、粘性抵抗と磁力との間の平衡が、微小粒子力学を決定する。ストークス流の式が線形であるので、全ての流体力学的係数を抵抗行列に組み込むことができる(Happel J,Brenner 1−1 (1983) Low Reynolds Number Hydrodynamics with special applications to particulate media.(Martinus Nijhoff:Dordrecht))。
【0271】
【数20】
ここで、νは、チャネル長に沿った微小粒子の直線速度であり、wは、その角速度であり、ηは、磁性流体速度であり、Rは、微小球半径であり、f
iは、粒子半径およびチャネル天井からのその距離(h)に依存する抵抗係数である。h<<<Rと仮定すると、これらの抵抗係数は、以下のように標準潤滑理論から得ることができる(Goldman et al.,1967,Chem Eng Sci 22:637−651)。
【0272】
【数21】
一般に、磁性流体内のイオン条件を考慮して、微小粒子上の表面電荷密度およびチャネル表面を使用して、デリャーギン・ランダウ・フェルウェー・オーバービーク理論(DLVO理論)を通して「それ」を推定することが可能である(Ise,2007,Proc Jpn Acad B Phys.Mal Sci 83;192−198)。興味深いことに、微小粒子をチャネル天井まで押し上げる垂直力(F
avg,y)は、約nNであり、チャネル壁にほぼ触れることが見込まれる。
【0273】
式Mは、単純行列反転を通して、νおよびωについて解くことができる。
【0275】
【数23】
ここで、G=f
lf
4−f
2f
3は、表記の便宜上定義されている。したがって、磁力およびトルクによる粒子直線速度のみを決定することができる。
【0276】
【数24】
次いで、正味の粒子速度は、以下の式
【0278】
磁気およびトルクの両方は、粒子体積(R
3)とともに増減する。式QおよびRから、磁力による粒子速度がR
2に依存する一方で、トルクに依存する粒子速度はRとともに増減する。この観察は、より小さい粒子へのトルク効果が比較的有意であることを示し、なぜより小さい微小粒子がそれらの力学においてより小さい臨界周波数を示すかを説明する。
【0279】
先行の理論的アプローチは、1という滑り係数および約1nmのhについて実験結果を非常によく説明し(例えば、
図10A)、微小粒子が実際にチャネル天井に向かって強く押し進められるという期待を確認する。1という滑り係数は、微小球が滑りのない条件下で回転することを示唆する。
【0280】
(付録B−磁気双極子への力)
一般に、ケルビン力の式、すなわち、以下を使用して、磁気双極子への磁力を求めることができる。
【0281】
【数26】
この式は、付録Aで提示される式Aとほぼ同等である。主要な仮定は、印加された磁場が不均一すぎず、任意の方向に
【0282】
【化10】
であるように、粒子半径(R)が十分小さいことである。この仮定の下で、微小粒子を直接包囲する磁性流体の磁化は、均一として見なすことができる。さらに、(その勾配ではなく)フィールド値が、微小粒子の内部範囲内で一定であることが近似される。
【0283】
これらの単純化仮定を念頭に置いて、以下のように式Aの被積分関数を書き換えるために、ベクトル同定を使用することができる。
【0284】
【数27】
式Uの右側(RHS)の第1項は、以下の
【0285】
【数28】
ように拡張することができる、磁束密度の回転を伴う。
【0286】
磁性流体および塑性微小粒子の両方が絶縁性であり、電流を支持しないため、磁場の回転は、式Aの積分体積内のどこでも0である。したがって、式VのRHSの第1項がゼロになる。磁化の回転は、微小粒子の内側で0であるが、その表面にわたって、有効磁化はステップとして変化する。したがって、力密度への表面貢献が、一般に考慮されるべきである。しかしながら、微小粒子を直接包囲する磁性流体の磁化が一定であると仮定されるため、(対称性により)球形の周囲で積分されたときに、式Vの第2項もゼロになる。同じ論理を、式Uの中の
【0287】
【化11】
項に適用することができ、
【0288】
【化12】
は、微小球の内側で0であり、
【0289】
【化13】
は、微小球の直接近傍で一定と仮定される磁束密度および磁性流体磁化を伴う球面の周囲で0に積分する。
【0291】
【化14】
項もまた、微小球の内側で0となり、その周囲で0に積分する。次いで、磁場ベクトルの非ゼロ勾配を伴う唯一の項は、以下の
【0293】
積分は、非磁性である微小粒子の体積に対して有効である。ここでは、微小粒子の内側で、
【0294】
【化15】
であり、式Wは、式Tと同じになる。言い換えれば、上記で概説される仮定の下で、式AおよびTは、本明細書で提示される設定の場合に同等である。
【0295】
その方向に沿った力を決定するために所与の空間方向に沿った単一の微分係数を得ることを必要とする勾配演算子によって、その方向が決定される、力につながるため、式Aが、式Tの中の式の代わりに、力の式として使用されてもよい。
【0296】
また、式Aの中の式と関連付けられる表面勾配に起こることも考慮される。再度、磁性流体磁化および磁束密度が、微小球表面の内側およびそのちょうど周辺で一定である(しかしそれらの微分係数は一定ではない)という仮定を使用して、以下を決定することができる。
【0297】
【数30】
ここで、磁場および磁化ベクトルは、磁性マイクロ流体チャネルの対称性による、x−z面内にあると解釈される。前述のように、式Xの中の式は、x方向の力を計算するように微小粒子の内部内のみで評価される。一般性を失うことなく、微小球中心が起源と見なされる。
【0298】
【化16】
の両方が、粒子・磁性流体境界において不連続であるため、それらの微分係数は、インパルスをもたらし、微小球表面にわたって積分されたときに、
【0299】
【化17】
における表面パッチからの積分への各貢献M
x,outB
x,out−M
z,inB
z,inは、
【0300】
【化18】
における反対パッチでのその貢献の負数によって相殺される。結果として生じる面積分は0である。球対称によって、同じことがF
zの中の項に当てはまる。したがって、説明された仮定の下で、微小粒子の内部内の式Aを評価することにより、それへの磁力をもたらす。