特許第5809284号(P5809284)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5809284無線通信システムにおけるハンドオーバ実行方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5809284
(24)【登録日】2015年9月18日
(45)【発行日】2015年11月10日
(54)【発明の名称】無線通信システムにおけるハンドオーバ実行方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 36/04 20090101AFI20151021BHJP
   H04W 16/02 20090101ALI20151021BHJP
   H04W 72/04 20090101ALI20151021BHJP
【FI】
   H04W36/04
   H04W16/02
   H04W72/04 131
【請求項の数】14
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2013-537613(P2013-537613)
(86)(22)【出願日】2011年11月4日
(65)【公表番号】特表2013-545396(P2013-545396A)
(43)【公表日】2013年12月19日
(86)【国際出願番号】KR2011008365
(87)【国際公開番号】WO2012060655
(87)【国際公開日】20120510
【審査請求日】2013年7月2日
(31)【優先権主張番号】61/410,854
(32)【優先日】2010年11月5日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】502032105
【氏名又は名称】エルジー エレクトロニクス インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100165191
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 章
(74)【代理人】
【識別番号】100151459
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 健一
(72)【発明者】
【氏名】ジュン ソン フン
(72)【発明者】
【氏名】イ スン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】リ ヨン デ
(72)【発明者】
【氏名】チュン スン ドゥク
(72)【発明者】
【氏名】パク スン ジュン
【審査官】 桑江 晃
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/114461(WO,A1)
【文献】 Huawei, HiSilicon,Analysis on TDM based RLM/RRM/CSI measurement impact,3GPP TSG-RAN WG2 Meeting #71bis R2-105600,2010年10月 5日
【文献】 Qualcomm Incorporated, Ericsson, Nokia Siemens Networks, Samsung, AT&T, NTT DOCOMO, KDDI, Inter Digital, CMCC,Initial thought on RAN3 impact from eICIC,3GPP TSG-RAN WG3 #69bis R3-103060,2010年10月18日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 − 7/26
H04W 4/00 − 99/00
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−2
CT WG1
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信システムにおける端末により実行されるハンドオーバ方法であって、
ターゲットセルへのハンドオーバを指示するハンドオーバ命令メッセージをソースセルから受信するステップと、
前記ターゲットセルとハンドオーバを実行するステップと、を含み、
前記ハンドオーバ命令メッセージは、前記端末が前記ターゲットセル内で測定のために使用するABS(Almost Blank Subframe)のパターンに関する情報を含み、
前記ABSは時間領域でセル間干渉を減少するために使用し、
前記測定は前記ABSのパターンに関する前記情報により示される前記サブフレームで実行されるように限定される、
ことを特徴とするハンドオーバ方法。
【請求項2】
前記ABSは、前記ソースセルが干渉セルであり、前記ターゲットセルが干渉を受けるセルである場合、セル間干渉を緩和するために前記ソースセルにより運用される、請求項1に記載のハンドオーバ方法。
【請求項3】
前記ハンドオーバを実行するステップは、
ランダムアクセスプリアンブルを送信し、
前記ランダムアクセスプリアンブルに対する応答としてランダムアクセス応答メッセージを受信し、
ハンドオーバ確認メッセージを前記ターゲットセルに送信するステップを含む、請求項1に記載のハンドオーバ方法。
【請求項4】
前記ハンドオーバを実行するステップは、前記ランダムアクセス応答メッセージを、前記ABSの少なくとも1つにおいて受信することができるように前記ランダムアクセスプリアンブルの送信タイミングを調節するステップをさらに含む、請求項3に記載のハンドオーバ方法。
【請求項5】
前記ランダムアクセス応答メッセージを受信することは、前記ABSの少なくとも1つにおいて受信することを含む、請求項4に記載のハンドオーバ方法。
【請求項6】
前記ランダムアクセスプリアンブルを送信することは、前記ABSの少なくとも1つにおいて送信することを含む、請求項5に記載のハンドオーバ方法。
【請求項7】
前記ハンドオーバを完了した後に前記ABSの少なくとも1つにおいて前記ターゲットセルの測定を開始するステップをさらに含む、請求項6に記載のハンドオーバ方法。
【請求項8】
前記ソースセルは、マクロセルであり、
前記ターゲットセルは、前記マクロセルのカバレッジとオーバラップされるカバレッジを運営するピコセルである、請求項7に記載のハンドオーバ方法。
【請求項9】
無線通信システムにおける測定を実行する装置であって、
無線信号を送信及び受信するRF(radio frequency)部と、
前記RF部と接続されるプロセッサと、を含み、
前記プロセッサは、
ターゲットセルへのハンドオーバを指示するハンドオーバ命令メッセージをソースセルから受信し、
前記ターゲットセルとハンドオーバを実行するように設定され、
前記ハンドオーバ命令メッセージは、端末が前記ターゲットセル内で測定のために使用するABS(Almost Blank Subframe)のパターンに関する情報を含み、
前記ABSは時間領域でセル間干渉を減少するために使用し、
前記測定は前記ABSのパターンに関する前記情報により示される前記サブフレームで実行されるように限定される、
ことを特徴とする装置。
【請求項10】
前記ABSは、前記ソースセルが干渉セルであり、前記ターゲットセルが干渉を受けるセルである場合、セル間干渉を緩和するために前記ソースセルにより運用される、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記ハンドオーバを実行することは、
ランダムアクセスプリアンブルを送信し、
前記ランダムアクセスプリアンブルに対する応答としてランダムアクセス応答メッセージを受信し、
ハンドオーバ確認メッセージを前記ターゲットセルに送信することを含む、請求項9に記載の装置。
【請求項12】
前記ハンドオーバを実行することは、前記ランダムアクセス応答メッセージを、前記ABSの少なくとも1つにおいて受信することができるように前記ランダムアクセスプリアンブルの送信タイミングを調節することをさらに含む、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記ランダムアクセス応答メッセージを受信することは、前記ABSの少なくとも1つにおいて受信することを含む、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記ランダムアクセスプリアンブルを送信することは、前記ABSの少なくとも1つにおいて送信することを含む、請求項13に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信に関し、より詳しくは、無線通信システムにおいて、低干渉無線リソースを使用する制限された測定に基づくハンドオーバ方法とそれをサポートする装置に関する。
【背景技術】
【0002】
UMTS(Universal Mobile Telecommunications System)を改良した3GPP(3rd Generation Partnership Project)LTE(long term evolution)は、3GPPリリース8に紹介されている。3GPP LTEは、ダウンリンクでOFDMA(orthogonal frequency division multiple access)を使用し、アップリンクでSC−FDMA(Single Carrier−frequency division multiple access)を使用する。最大4個のアンテナを有するMIMO(multiple input multiple output)を採用する。最近、3GPP LTEを進化させた3GPP LTE−A(LTE−Advanced)に関する議論が進行中である。
【0003】
端末(User Equipment:UE)は、特定セル内でサービスを受ける中、他のセルから送信される無線信号によって干渉を受ける場合がある。端末は、周期的にセルを測定して測定結果を報告する。端末が他のセルにハンドオーバをするようになる場合、サービングセルだけでなく、隣接セルも測定して結果を報告することができる。もし、特定セルを測定するにあたって、他のセルの無線信号が干渉を発生させる場合、端末は特定セルを正常に測定しにくい。これは無線通信システムで端末の移動性を悪化させる結果を引き起こす。
【0004】
特に、マクロセル、ピコセル及びフェムトセルが共存する場合のようにサービスカバレッジ、使用するチャネルの周波数帯域、セルがサービスするRAT(Radio Access Technology)が相違する場合、上記セルが引き起こす干渉を回避することができる方法の重要性がさらに高まる。
【0005】
ICIC(Inter−cell Interference Coordination)は、セル間干渉の制御が維持されることができるように無線リソースを運営する作業である。ICICメカニズムは、周波数領域ICICと時間領域ICICとに分けられる。ICICは、多重セルから情報を考慮することが必要な多重セルRRM(Radio Resource Management)機能を含む。
【0006】
周波数領域ICICは、多重セル間に周波数領域リソース(例えば、RB(resource block))の使用を調整する。時間領域ICICは、多重セル間に時間領域リソース(例えば、サブフレーム)を調整する。
【0007】
ICICにおいて、端末が測定を実行する対象によって干渉を誘発する対象(即ち、干渉セル)と干渉により被害を受ける対象(即ち、干渉を受けるセル)が決定される。
【0008】
端末が接続不可能な隣接セルのカバレッジに接近すると、端末は高度干渉を受ける場合がある。隣接セルに接続することができない端末が隣接セルによる干渉により通信が不可能な状況を防止するために、上記隣接セルは低干渉無線リソースを設定して無線信号を送受信することができる。また、サービングセルの無線信号により端末の隣接セルに関する測定は干渉を受ける。端末の隣接セルに関する正常な測定を保障するために、サービングセルは低干渉無線リソースを設定して無線信号を送受信することができる。
【0009】
端末はサービングセル及び隣接セルを測定するにあたって、干渉を引き起こすセルが設定した低干渉無線リソースを使用する。これを「制限された測定」という。制限された測定は、干渉を回避したり緩和したりする時間的区間や周波数帯域を使用することをいう。制限された測定は、端末が現在加入しているサービングセルからの正常なサービスを保障することができ、必要時に円滑な移動性を保障することができる。
【0010】
端末は、測定を介してよりよい品質のサービスの提供を受けることができる場合、隣接セルにハンドオーバすることができる。低干渉無線リソースを設定して運用中であるソースセルに加入された端末のハンドオーバの実行可否は、制限された測定結果を介して決定される。一方、ソースセルが提供する低干渉無線リソースを介した端末の動作は、ハンドオーバ実行中又はハンドオーバ後、ターゲットセルからのサービスには適用されない。これはハンドオーバの失敗やハンドオーバ以後、端末サービス品質の低下を引き起こす場合がある。したがって、低干渉無線リソースを使用する制限された測定を介したハンドオーバ方法が要求されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明が解決しようとする技術的な課題は、無線通信システムにおいて、低干渉無線リソースを使用した制限された測定に基づいてハンドオーバを実行する方法及びそれをサポートする装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
一態様において、無線通信システムにおける端末により実行されるハンドオーバ方法が提供される。本方法は、ターゲットセルへのハンドオーバを指示するハンドオーバ命令メッセージをソースセルから受信し、ターゲットセルとハンドオーバを実行するステップを含み、ハンドオーバ命令メッセージは、端末がターゲットセル内で使用する低干渉無線リソースに関する情報を含む。
【0013】
低干渉無線リソースは、ソースセルが干渉セルであり、ターゲットセルが干渉を受けるセルである場合、セル間干渉を緩和するためにソースセルにより運用される無線リソースである。
【0014】
低干渉無線リソースは、一つ又はそれ以上のABS(Almost Blank Subframe)を含む。
【0015】
ハンドオーバを実行するステップは、ランダムアクセスプリアンブルを送信し、ランダムアクセスプリアンブルに対する応答としてランダムアクセス応答メッセージを受信し、ハンドオーバ確認メッセージをターゲットセルに送信することを含む。
【0016】
ハンドオーバを実行するステップは、ランダムアクセス応答メッセージを、低干渉無線リソースを介して受信することができるようにランダムアクセスプリアンブルの送信タイミングを調節することをさらに含む。
【0017】
ランダムアクセス応答メッセージを受信することは、低干渉無線リソースを介して受信することを含む。
【0018】
ランダムアクセスプリアンブルを送信することは、低干渉無線リソースを使用して送信することを含む。
【0019】
上記方法は、ハンドオーバを完了した後に低干渉無線リソースを使用してターゲットセルの測定を開始するステップをさらに含む。
【0020】
ソースセルは、マクロセルであり、ターゲットセルは、マクロセルのカバレッジとオーバラップされるカバレッジを運営するピコセルである。
【0021】
他の態様において、無線通信システムにおける測定を実行する装置が提供される。本装置は、無線信号を送信及び受信するRF(radiofrequency)部及びRF部と接続されるプロセッサを含み、プロセッサは、ターゲットセルへのハンドオーバを指示するハンドオーバ命令メッセージをソースセルから受信し、ターゲットセルとハンドオーバを実行するように設定される。ハンドオーバ命令メッセージは、端末がターゲットセル内で使用する低干渉無線リソースに関する情報を含む。
【0022】
低干渉無線リソースは、ソースセルが干渉セルであり、ターゲットセルが干渉を受けるセルである場合、セル間干渉を緩和するためにソースセルにより運用される無線リソースである。
【0023】
低干渉無線リソースは、一つ又はそれ以上のABSを含む。
【0024】
ハンドオーバを実行することは、ランダムアクセスプリアンブルを送信し、ランダムアクセスプリアンブルに対する応答としてランダムアクセス応答メッセージを受信し、ハンドオーバ確認メッセージをターゲットセルに送信することを含む。
【0025】
ハンドオーバを実行することは、ランダムアクセス応答メッセージを、低干渉無線リソースを介して受信することができるようにランダムアクセスプリアンブルの送信タイミングを調節することをさらに含む。
【0026】
ランダムアクセス応答メッセージを受信することは、低干渉無線リソースを介して受信することを含む。
【0027】
ランダムアクセスプリアンブルを送信することは、低干渉無線リソースを使用して送信することを含む。
【0028】
他の態様において、無線通信システムにおけるソースセルにより実行されるハンドオーバ方法が提供される。本方法は、端末から制限された測定結果を受信し、測定結果は、ソースセルにより設定された低干渉無線リソースに基づく測定結果であり、制限された測定結果に基づいてハンドオーバの対象であるターゲットセルを決定し、ターゲットセルにハンドオーバ要求メッセージを送信し、ハンドオーバ要求メッセージに対する応答としてハンドオーバ要求受信確認メッセージを受信し、ターゲットセルへのハンドオーバを指示するハンドオーバ命令メッセージを端末に送信することを含む。ハンドオーバ命令メッセージは、端末がターゲットセル内で使用する低干渉無線リソースに関する情報を含む。
【0029】
低干渉無線リソースは、ソースセルが干渉セルであり、ターゲットセルが干渉を受けるセルである場合、セル間干渉を緩和するためにソースセルにより運用される無線リソースである。
【0030】
低干渉無線リソースは、一つ又はそれ以上のABSを含む。
【0031】
ハンドオーバ要求メッセージは、ハンドオーバが制限された測定によりトリガされたことを示す情報を含む。
【0032】
ハンドオーバ要求メッセージは、低干渉無線リソースに関する情報をさらに含む。
【0033】
ハンドオーバ要求受信確認メッセージは、端末がターゲットセル内で低干渉無線リソースを使用していること示す情報及び低干渉無線リソースに関する情報のうち少なくとも一つを含む。
【発明の効果】
【0034】
端末は、ターゲットセルが運用中又は運用する予定の低干渉無線リソースに関する情報を取得することができる。端末は、ハンドオーバの実行中に低干渉無線リソースを使用してハンドオーバメッセージをターゲットセルと交換することができる。これにより、端末は、ソースセルにより発生する干渉を回避し、ターゲットセルとのハンドオーバを正常に完了することができる。
【0035】
端末は、ハンドオーバ開始以前にターゲットセル測定のベースとなるソースセルが設定した低干渉無線リソースをハンドオーバ動作中又はハンドオーバ完了後、ターゲットセルとのメッセージ交換及びセル測定にも使用することができる。したがって、端末は、ハンドオーバ以後にも低干渉無線リソースを使用してサービングセルから正常なサービスの提供を受けることができ、サービングセル及び隣接セルに関する正確な測定が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本発明が適用される無線通信システムを示す。
図2】ユーザ平面に関する無線プロトコル構造を示すブロック図である。
図3】制御平面に関する無線プロトコル構造を示すブロック図である。
図4】無線リンク障害を示す例示図である。
図5】接続再確立過程の成功を示すフローチャートである。
図6】接続再確立過程の失敗を示すフローチャートである。
図7】RRC接続再設定過程を示すフローチャートである。
図8】CSGシナリオを例示する。
図9】ピコシナリオを例示する。
図10】本発明の実施例に係るハンドオーバ方法を示すフローチャートである。
図11】本発明の実施例が具現される無線通信システムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1は、本発明が適用される無線通信システムを示す。これはE−UTRAN(Evolved−UMTS Terrestrial Radio Access Network)、又はLTE(Long Term Evolution)/LTE−Aシステムと呼ばれることもある。
【0038】
E−UTRANは、端末(User Equipment:UE)10に制御平面とユーザ平面を提供する基地局(Base Station:BS)20を含む。端末10は、固定されてもよいし、移動性を有してもよく、MS(Mobile station)、UT(User Terminal)、SS(Subscriber Station)、MT(mobile terminal)、無線機器等、他の用語で呼ばれることもある。基地局20は、端末10と通信する固定局を意味し、eNB(evolved−NodeB)、BTS(Base Transceiver System)、アクセスポイント等、他の用語で呼ばれることもある。
【0039】
基地局20は、X2インターフェースを介して互いに接続されることができる。基地局20は、S1インターフェースを介してEPC(Evolved Packet Core)30、より詳しくは、S1−MMEを介してMME(Mobility Management Entity)と接続され、S1−Uを介してS−GW(Serving Gateway)と接続される。
【0040】
EPC30は、MME、S−GW及びP−GW(Packet Data Network−Gateway)で構成される。MMEは、端末の接続情報や端末の能力に関する情報を有しており、このような情報は、端末の移動性管理に主に使われる。S−GWは、E−UTRANを終端点として有するゲートウェイであり、P−GWは、PDNを終端点として有するゲートウェイである。
【0041】
端末とネットワークとの間の無線インターフェースプロトコルの階層は、通信システムで広く知られた開放型システム間相互接続(Open System Interconnection:OSI)基準モデルの下位3個の階層に基づき、L1(第1の階層)、L2(第2の階層)、L3(第3の階層)に区分することができ、このうち、第1の階層に属する物理階層は、物理チャネルを利用した情報転送サービスを提供し、第3の階層に位置するRRC(Radio Resource Control)階層は、端末とネットワークとの間に無線リソースを制御する役割を遂行する。このために、RRC階層は、端末と基地局との間のRRCメッセージを交換する。
【0042】
図2は、ユーザ平面に関する無線プロトコル構造を示すブロック図である。図3は、制御平面に関する無線プロトコル構造を示すブロック図である。ユーザ平面は、ユーザデータ送信のためのプロトコルスタックであり、制御平面は、制御信号送信のためのプロトコルスタックである。
【0043】
図2及び図3を参照すると、物理階層(PHY(physical) layer)は、物理チャネルを利用して上位階層に情報転送サービスを提供する。物理階層は、上位階層であるMAC(Medium Access Control)階層とはトランスポートチャネルを介して接続されている。トランスポートチャネルを介してMAC階層と物理階層との間でデータが移動する。トランスポートチャネルは、無線インターフェースを介して、データが、どのように、どのような特徴で送信されるかによって分類される。
【0044】
互いに異なる物理階層間、即ち、送信機と受信機の物理階層間は、物理チャネルを介してデータが移動する。物理チャネルは、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式に変調することができ、時間と周波数を無線リソースとして活用する。
【0045】
MAC階層の機能は、論理チャネルとトランスポートチャネルとの間のマッピング及び論理チャネルに属するMAC SDU(service data unit)のトランスポートチャネル上に物理チャネルに提供されるトランスポートブロックへの多重化/逆多重化を含む。MAC階層は、論理チャネルを介してRLC(Radio Link Control)階層にサービスを提供する。
【0046】
RLC階層の機能は、RLC SDUの接続、分割及び再結合を含む。無線ベアラ(Radio Bearer:RB)が要求する多様なQoS(Quality of Service)を保障するために、RLC階層は、透明モード(Transparent Mode:TM)、非確認モード(Unacknowledged Mode:UM)及び確認モード(Acknowledged Mode:AM)の三つの動作モードを提供する。AM RLCは、ARQ(automatic repeat request)を介してエラー訂正を提供する。
【0047】
ユーザ平面でのPDCP(Packet Data Convergence Protocol)階層の機能は、ユーザデータの伝達、ヘッダ圧縮及び暗号化を含む。ユーザ平面でのPDCP(Packet Data Convergence Protocol)階層の機能は、制御平面データの伝達及び暗号化/完全性保護(integrity protection)を含む。
【0048】
RRC(Radio Resource Control)階層は、制御平面でのみ定義される。RRC階層は、無線ベアラ(Radio Bearer:RB)の設定、再設定及び解除と関連して論理チャネル、トランスポートチャネル及び物理チャネルの制御を担当する。RBは、端末とネットワークとの間のデータ伝達のために、第1の階層(PHY階層)及び第2の階層(MAC階層、RLC階層、PDCP階層)により提供される論理的経路を意味する。
【0049】
RBが設定されるということは、特定サービスを提供するために、無線プロトコル階層及びチャネルの特性を規定し、それぞれの具体的なパラメータ及び動作方法を設定する過程を意味する。また、RBは、SRB(Signaling RB)とDRB(Data RB)の二つに分けることができる。SRBは、制御平面でRRCメッセージを送信する通路として使われ、DRBは、ユーザ平面でユーザデータを送信する通路として使われる。
【0050】
端末のRRC階層とE−UTRANのRRC階層との間にRRC接続が確立される場合、端末は、RRC接続状態にあり、そうでない場合、RRCアイドル状態となる。
【0051】
ネットワークから端末にデータを送信するダウンリンクトランスポートチャネルには、システム情報を送信するBCH(Broadcast Channel)とユーザトラフィックや制御メッセージを送信するダウンリンクSCH(Shared Channel)がある。ダウンリンクマルチキャスト又はブロードキャストサービスのトラフィック又は制御メッセージの場合、ダウンリンクSCHを介して送信されてもよく、又は別のダウンリンクMCH(Multicast Channel)を介して送信されてもよい。一方、端末からネットワークにデータを送信するアップリンクトランスポートチャネルには、初期制御メッセージを送信するRACH(Random Access Channel)とユーザトラフィックや制御メッセージを送信するアップリンクSCH(Shared Channel)がある。
【0052】
トランスポートチャネルの上位にあり、トランスポートチャネルにマッピングされる論理チャネルには、BCCH(Broadcast Control Channel)、PCCH(Paging Control Channel)、CCCH(Common Control Channel)、MCCH(Multicast Control Channel)、MTCH(Multicast Traffic Channel)などがある。
【0053】
物理チャネルは、時間領域で複数個のOFDMシンボルと、周波数領域で複数個の副搬送波と、で構成される。一つのサブフレームは、時間領域で複数のOFDMシンボルで構成される。リソースブロックは、リソース割当単位であり、複数のOFDMシンボルと複数の副搬送波で構成される。また、各サブフレームは、PDCCH(Physical Downlink Control Channel)、即ち、L1/L2制御チャネルのために、該当サブフレームの特定OFDMシンボル(例えば、1番目のOFDMシンボル)の特定副搬送波を利用することができる。TTI(Transmission Time Interval)は、サブフレーム送信の単位時間である。
【0054】
以下、端末のRRC状態とRRC接続方法について詳述する。
【0055】
RRC状態とは、端末のRRC階層がE−UTRANのRRC階層と論理的に接続されているかどうかを意味し、接続されている場合はRRC接続状態といい、接続されていない場合はRRCアイドル状態という。RRC接続状態の端末は、RRC接続が存在するため、E−UTRANは、該当端末の存在をセル単位に把握することができ、したがって、端末を効果的に制御することができる。一方、RRCアイドル状態の端末は、E−UTRANが把握することはできず、セルより大きい地域単位であるトラッキング区域単位にCN(core netwrok)が管理する。即ち、RRCアイドル状態の端末は、大きい地域単位に存在可否のみが把握され、音声やデータのような通常の移動通信サービスを受けるためにはRRC接続状態に移動しなければならない。
【0056】
ユーザが端末の電源を最初にオンした時、端末は、まず、適切なセルを探索した後、該当セルでRRCアイドル状態にある。RRCアイドル状態の端末は、RRC接続を確立する必要がある時になって始めてRRC接続過程を介してE−UTRANとRRC接続を確立し、RRC接続状態に遷移する。RRCアイドル状態にあった端末がRRC接続を確立する必要がある場合は多様であり、例えば、ユーザの通話試みなどの理由でアップリンクデータ送信が必要な場合、又はE−UTRANから呼び出しメッセージを受信した場合、これに対する応答メッセージ送信などを挙げることができる。
【0057】
RRC階層の上位に位置するNAS(Non−Access Stratum)階層は、接続管理と移動性管理(Mobility Management)などの機能を遂行する。
【0058】
NAS階層で端末の移動性を管理するために、EMM−REGISTERED(EPS Mobility Management−REGISTERED)及びEMM−DEREGISTEREDの二つの状態が定義されており、この二つの状態は、端末とMMEに適用される。初期端末はEMM−DEREGISTERED状態であり、この端末がネットワークに接続するために初期接続(Initial Attach)手順を介して該当ネットワークに登録する過程を実行する。接続(Attach)手順が成功裡に遂行されると、端末及びMMEはEMM−REGISTERED状態となる。
【0059】
端末とEPCとの間のシグナリング接続を管理するために、ECM(EPS Connection Management)−IDLE状態及びECM−CONNECTED状態の二つの状態が定義されており、この二つの状態は、端末及びMMEに適用される。ECM−IDLE状態の端末がE−UTRANとRRC接続を確立すると、該当端末はECM−CONNECTED状態となる。ECM−IDLE状態にあるMMEは、E−UTRANとS1接続を確立すると、ECM−CONNECTED状態となる。端末がECM−IDLE状態にある時、E−UTRANは端末の背景情報を有していない。したがって、ECM−IDLE状態の端末は、ネットワークの命令を受ける必要無しにセル選択又はセル再選択のような端末ベースの移動性関連手順を実行する。一方、端末がECM−CONNECTED状態にある時、端末の移動性はネットワークの命令により管理される。ECM−IDLE状態で端末の位置が、ネットワークが知っている位置と変わる場合、端末は、トラッキング区域更新手順を介してネットワークに端末の該当位置を知らせる。
【0060】
以下、システム情報について説明する。
【0061】
システム情報は、端末が基地局に接続するために知らなければならない必須情報を含む。したがって、端末は、基地局に接続する前にシステム情報を全部受信しなければならず、また、常に最新のシステム情報を有していなければならない。また、システム情報は、一セル内の全ての端末が知らなければならない情報であるため、基地局は、周期的にシステム情報を送信する。
【0062】
3GPP TS 36.331 V8.7.0(2009−09)“Radio Resource Control(RRC);Protocol specification(Release8)”の5.2.2節によると、システム情報は、MIB(Master Information Block)、SB(Scheduling Block)、SIB System Information Block)に分けられる。MIBは、端末が該当セルの物理的構成、例えば、帯域幅などを知ることができるようにする。SBは、SIBの送信情報、例えば、送信周期などを知らせる。SIBは、互いに関連のあるシステム情報の集合体である。例えば、あるSIBは、周辺のセルの情報のみを含み、あるSIBは、端末が使用するアップリンク無線チャネルの情報のみを含む。
【0063】
一般的に、ネットワークが端末に提供するサービスは、下記のように三つのタイプに区分することができる。また、どのようなサービスの提供を受けることができるかによって、端末はセルのタイプも異なると認識する。以下、サービスタイプについて記述した後、セルのタイプについて記述する。
【0064】
1)制限的サービス:このサービスは、緊急呼出し及び地震津波警報システム(Earthquake and Tsunami Warning System:ETWS)を提供し、受容可能セルで提供することができる。
【0065】
2)正規サービス:このサービスは、一般的用途の汎用サービスを意味し、正規セルで提供することができる。
【0066】
3)事業者サービス:このサービスは、通信網事業者のためのサービスを意味し、このセルは、通信網事業者のみ使用することができ、一般ユーザは使用することができない。
【0067】
セルが提供するサービスタイプと関連し、セルのタイプは、下記のように区分することができる。
【0068】
1)受容可能セル:端末が制限されたサービスの提供を受けることができるセル。このセルは、該当端末の立場で、禁止されておらず、端末のセル選択基準を満たすセルである。
【0069】
2)正規セル:端末が正規サービスの提供を受けることができるセル。このセルは、受容可能セルの条件を満たし、同時に追加条件を満たす。追加的な条件は、このセルが、該当端末が接続できるPLMN(Public Land Mobile Network)所属でなければならず、端末のトラッキング区域更新手順の実行が禁止されないセルでなければならない。該当セルがCSGセルである場合、端末がこのセルにCSGメンバーとして接続が可能なセルでなければならない。
【0070】
3)禁止されたセル:セルがシステム情報を介して禁止されたセルであるという情報をブロードキャストするセルである。
【0071】
4)予約されたセル:セルがシステム情報を介して予約されたセルであるという情報をブロードキャストするセルである。
【0072】
以下、測定及び測定報告について記述する。
【0073】
移動通信システムにおいて、端末の移動性サポートは、必須である。したがって、端末は、現在サービスを提供するサービングセルに関する品質及び隣接セルに関する品質を持続的に測定する。端末は、測定結果を適切な時間にネットワークに報告し、ネットワークは、ハンドオーバなどを介して端末に最適な移動性を提供する。
【0074】
端末は、移動性サポートの目的以外に事業者がネットワーク運営に有用な情報を提供するために、ネットワークが設定する特定の目的の測定を実行し、その測定結果をネットワークに報告することができる。例えば、端末が、ネットワークが定めた特定セルのブロードキャスト情報を受信する。端末は、特定セルのセル識別子(これを広域セル識別子ともいう)、特定セルが属する位置識別情報(例えば、Tracking Area Code)及び/又はその他のセル情報(例えば、CSG(Closed Subscriber Group)セルのメンバー可否)をサービングセルに報告することができる。
【0075】
移動中の端末は、特定地域の品質が相当悪いということを、測定を介して確認した場合、品質が悪いセルに関する位置情報及び測定結果をネットワークに報告することができる。ネットワークは、ネックワークの運営を有用な端末の測定結果の報告に基づいてネットワークの最適化を図ることができる。
【0076】
周波数再使用因子が1である移動通信システムでは、移動性は同一の周波数帯に存在する互いに異なるセル間で一般的にサポートされる。したがって、端末の移動性を適切に保障するためには、端末は、サービングセルの中心周波数と同一の中心周波数を有する隣接セルの品質及びセル情報を適切に測定可能でなければならない。このようにサービングセルの中心周波数と同一の中心周波数を有するセルに関する測定を周波数内測定(intra−frequency measurement)と呼ぶ。端末は、周波数内測定を実行して測定結果をネットワークに適切な時間に報告し、該当する測定結果の目的が達成されるようにする。
【0077】
移動通信事業者は、複数の周波数帯を使用してネットワークを運用することもできる。複数の周波数帯を介して通信システムのサービスが提供される場合、端末に最適な移動性を保障するためには、端末は、サービングセルの中心周波数と異なる中心周波数を有する隣接セルの品質及びセル情報を適切に測定可能でなければならない。このように、サービングセルの中心周波数と異なる中心周波数を有するセルに関する測定を周波数間測定と呼ぶ。端末は、周波数間測定を実行し、測定結果をネットワークに適切な時間に報告可能でなければならない。
【0078】
端末が異種ネットワークに関する測定をサポートする場合、基地局設定により異種ネックワークのセルに関する測定を行うことができる。このような、異種ネットワークに関する測定をRAT(Radio Access Technology)間測定という。例えば、RATは、3GPP標準規格に従うUTRAN(UMTS Terrestrial Radio Access Network)及びGERAN(GSM EDGE Radio Access Network)を含んでもよく、3GPP2標準規格に従うCDMA2000システムも含んでもよい。
【0079】
以下、3GPP TS 36.304 V8.8.0(2009−12)“User Equipment(UE) procedures in idle mode(Release8)”を参照し、端末がセルを選択する手順について詳細に説明する。
【0080】
端末がセル選択過程を介してあるセルを選択した後、端末の移動性又は無線環境の変化などにより端末と基地局との間の信号の強度や品質が変わる場合がある。したがって、もし、選択したセルの品質が低下した場合、端末は、より良い品質を提供する他のセルを選択することができる。このようにセルを再選択する場合、一般的に現在選択されたセルより良い信号品質を提供するセルを選択する。このような過程をセル再選択という。セル再選択過程は、無線信号の品質の観点で、一般的に端末に最も良い品質を提供するセルを選択することに基本的な目的がある。
【0081】
無線信号の品質の観点以外に、ネットワークは、周波数毎に優先順位を決定して端末に知らせることができる。このような優先順位を受信した端末は、セル再選択過程で、この優先順位を無線信号の品質基準より優先的に考慮するようになる。
【0082】
上記のように無線環境の信号特性によってセルを選択又は再選択する方法があり、セル再選択において、再選択のためのセルを選択するとき、セルのRATと周波数特性によって下記のようなセル再選択方法がある。
【0083】
−周波数内(Intra−frequency)セル再選択:端末がキャンプ中であるセルと同一のRATと同一の中心周波数を有するセルを再選択する。
【0084】
−周波数間(Inter−frequency)セル再選択:端末がキャンプ中であるセルと同一のRATと異なる中心周波数を有するセルを再選択する。
【0085】
−RAT間(Inter−RAT)セル再選択:端末がキャンプ中であるRATと異なるRATを使用するセルを再選択する。
【0086】
セル再選択過程は、以下の通りである
【0087】
第一に、端末は、セル再選択のためのパラメータを基地局から受信する。
【0088】
第二に、端末は、セル再選択のためにサービングセル及び隣接セルの品質を測定する。
【0089】
第三に、セル再選択は、セル再選択基準に基づいて実行される。セル再選択基準は、サービングセル及び隣接セル測定に関連して以下のような特性を有している。
【0090】
周波数内セル再選択は、基本的にランキングに基づく。ランキングとは、セル再選択評価のための指標値を定義し、この指標値を利用してセルを指標値の大きさ順に順序を定める作業である。最も良い指標を有するセルを最上位セル(best ranked cell)と呼ぶ。セル指標値は、端末が該当セルに関して測定した値を基本にして、必要によって周波数オフセット又はセルオフセットを適用した値である。
【0091】
周波数間セル再選択は、ネットワークにより提供された周波数優先順位に基づく。端末は、最も高い周波数優先順位を有する周波数にあるように試みる。ネットワークは、ブロードキャストシグナリングを介してセル内の端末が共通に適用したり、周波数優先順位を提供したり、端末別シグナリングを介して端末別に各々周波数別優先順位を提供したりすることができる。
【0092】
周波数間セル再選択のために、ネットワークは、端末にセル再選択に使われるパラメータ(例えば、周波数別オフセット)を周波数別に提供することができる。
【0093】
周波数内セル再選択又は周波数間セル再選択のために、ネットワークは、端末にセル再選択に使われる隣接セルリスト(Neighbouring Cell List:NCL)を端末に提供することができる。このNCLは、セル再選択に使われるセル別パラメータ(例えば、セル別オフセット)を含む
【0094】
周波数内又は周波数間セル再選択のために、ネットワークは、端末にセル再選択に使われるセル再選択禁止リスト(black list)を端末に提供することができる。禁止リストに含まれているセルに対し、端末は、セル再選択を実行しない。
【0095】
以下、セル再選択評価過程で実行するランキングについて説明する。
【0096】
セルの優先順位を定める時に使われるランキング指標は、式(1)のように定義される。
【0097】
【数1】
【0098】
式(1)において、Rsはサービングセルのランキング指標であり、Rnは隣接セルのランキング指標であり、Qmeas,sは端末がサービングセルについて測定した品質値であり、Qmeas,nは端末が隣接セルについて測定した品質値であり、Qhystはランキングのためのヒステリシス値であり、Qoffsetは二つのセル間のオフセットである。
【0099】
周波数内で、端末がサービングセルと隣接セルとの間のオフセット(Qoffsets,n)を受信した場合にはQffoset=Qoffsets,nであり、端末がQoffsets,nを受信しない場合にはQoffset=0である。
【0100】
周波数間で、端末が該当セルに関するオフセット(Qoffsets,n)を受信した場合にはQoffset=Qoffsets,n+Qfrequencyであり、端末がQoffsets,nを受信しない場合にはQoffset=Qfrequencyである。
【0101】
サービングセルのランキング指標(Rs)と隣接セルのランキング指標(Rn)が互いに類似する状態で変動すると、変動の結果、ランキング順位が頻繁に入れ替わって端末が二つのセルを交互に再選択する場合がある。Qhystは、セル再選択でヒステリシスを与え、端末が二つのセルを交互に再選択することを防止するためのパラメータである。
【0102】
端末は、上記式によってサービングセルのRs及び隣接セルのRnを測定し、ランキング指標値が最も大きい値を有するセルを最上位セルと見なし、このセルを再選択する。
【0103】
上記基準によると、セルの品質がセル再選択で最も主要な基準として作用することを確認することができる。もし、再選択したセルが正規セル(suitable cell)でない場合、端末は、該当周波数又は該当セルをセル再選択対象から除外する。
【0104】
サービングセルは、1次セル(primary cell)と2次セル(secondary cell)とに区分することができる。1次セルは、1次周波数で動作し、端末が初期接続確立過程を実行したり、接続再確立過程を開始したり、ハンドオーバ過程で1次セルとして指定されたセルである。1次セルは、基準セルともいう。2次セルは、2次周波数で動作し、RRC接続が確立された後に設定可能であり、追加的な無線リソースの提供に使うことができる。常に少なくとも一つの1次セルが設定され、2次セルは上位階層シグナリング(例えば、RRCメッセージ)により追加/修正/解除することができる。
【0105】
以下、無線リンク障害(radio link failure)について記述する。
【0106】
端末は、サービスの提供を受けているサービングセルとの無線リンクの品質を維持するために持続的に測定を実行する。端末は、サービングセルとの無線リンクの品質が悪化し、通信が不可能な状況かどうかを判断する。もし、現在のサービングセルの品質が、通信が不可能な場合であると判断すると、端末は、無線リンク障害と判断する。
【0107】
無線リンク障害と判断されると、端末は、現在のサービングセルとの通信を維持することを放棄し、セル選択(又は、セル再選択)手順を介して新たなセルを選択し、新たなセルへのRRC接続再確立を試みる。
【0108】
図4は、無線リンク障害を示す例示図である。無線リンク障害と関連した動作は、二つの局面で記述することができる。
【0109】
1番目の局面で、端末は、正常動作中であり、現在の通信リンクに問題があるかどうかを検査する。もし、問題が検出された場合、端末は、無線リンク問題を宣言し、第1の待機時間(T1)中、無線リンクが回復するまで待機する。第1の待機時間が経過する前に無線リンクが回復した場合、端末は、再び正常動作を実行する。第1の待機時間が満了する時まで、無線リンクが回復しない場合、端末は、無線リンク障害を宣言し、2番目の局面に移行する。
【0110】
2番目の局面で、再び、第2の待機時間(T2)中、無線リンクが回復するまで待機する。第2の待機時間が満了する時まで、無線リンクが回復しない場合、端末は、RRCアイドル状態に移行する。又は、端末は、RRC再確立手順を実行することができる。
【0111】
RRC接続再確立手順は、RRC_CONNECTED状態で再びRRC接続を再設定する手順である。端末がRRC_CONNECTED状態にあるままであるため、即ち、RRC_IDLE状態に移行しないため、端末は、自身の無線設定(例えば、無線ベアラ設定)の全てを初期化しない。その代わりに、端末は、RRC接続再設定手順を開始する時、SRB0を除外した全ての無線ベアラの使用を一時的に中断する。もし、RRC接続再設定が成功するようになると、端末は、一時的に使用を中断した無線ベアラの使用を再開する。
【0112】
図5は、接続再確立過程の成功を示すフローチャートである。
【0113】
端末は、セル選択を実行してセルを選択する。端末は、選択されたセルでセル接続のための基本パラメータを受信するためにシステム情報を受信する。また、端末は、RRC接続再確立要求メッセージを基地局に送る(S510)。
【0114】
基地局は、選択されたセルが端末のコンテキストを有しているセル、即ち、用意されたセルである場合には端末のRRC接続再確立要求を受諾し、RRC接続再確立メッセージを端末に送る(S520)。端末は、RRC接続再確立完了メッセージを基地局に送り、RRC接続再確立手順が成功する(S530)。
【0115】
図6は、接続再確立過程の失敗を示すフローチャートである。端末は、RRC接続再確立要求メッセージを基地局に送る(S510)。もし、選択されたセルが用意されたセルでない場合、基地局は、端末にRRC接続再確立要求に対する応答としてRRC接続再確立拒絶メッセージを送る(S515)。
【0116】
図7は、RRC接続再設定過程を示すフローチャートである。RRC接続再設定は、RRC接続の修正に使われる。これはRB確立/修正/解除、ハンドオーバ実行、測定セットアップ/修正/解除するために使われる。
【0117】
基地局は、端末にRRC接続を修正するためのRRC接続再設定メッセージを送る(S710)。端末は、RRC接続再設定に対する応答として、RRC接続再設定が成功裡に完了したことを確認するために使われるRRC接続再設定完了メッセージをネットワークに送る(S720)。
【0118】
以下、ICIC(Inter−cell Interference Coordination)について記述する。
【0119】
ICICは、セル間干渉の制御が維持されるように無線リソースを運営する作業である。ICICメカニズムは、周波数領域ICICと時間領域ICICとに分けられる。ICICは、多重セルから情報を考慮することが必要な多重セルRRM(Radio Resource Management)機能を含む。
【0120】
干渉セルは、干渉を提供するセルである。干渉セルは、アグレッサセル(aggressor cell)とも呼ばれる。
【0121】
干渉を受けるセルは、干渉セルから干渉の影響を受けるセルである。干渉を受けるセルは、ヴィクティムセル(victim cell)とも呼ばれる。
【0122】
周波数領域ICICは、多重セル間に周波数領域リソース(例えば、RB(resource block))の使用を調整する。
【0123】
時間領域ICICは、多重セル間に時間領域リソース(例えば、サブフレーム)を調整する。時間領域ICICのために、ABS(Almost Blank Subframe)パターンを設定することができる。ABSは、ABSを設定したセルが送信する無線信号によって隣接したセルに干渉を発生させることを制限するために設定した低干渉無線リソースのうちの一つである。ABSパターンは、一つ又はそれ以上の無線フレーム内でどのサブフレームがABSかを示す情報を意味する。
【0124】
干渉セルでのABSは、強いセル間干渉を受信する干渉を受けるセルでのサブフレーム単位無線リソースの保護に使われる。ABSは、干渉セルで運用され、干渉を受けるセルは、ABSをスケジューリングに活用することで干渉セルからの干渉を調整する。ABSは、物理チャネル上の減少した送信パワー(又は、ゼロ送信パワー)を有したり、減少された活動性を有したりするサブフレームである。
【0125】
ABSにパターンのような低干渉無線リソースが端末に知られ、これにより、端末の測定が制限される。これを測定リソース制限という。ABSとして設定されたサブフレーム区間で、干渉セルは、サービス維持のための最小限の無線送受信を維持する。一方、干渉を受ける端末は、該当区間中、サービングセル及び隣接セルに関する測定を実行することを含み、無線信号を送受信することができる。ABSでないサブフレーム区間で、干渉セルは、一般的な無線信号送受信を実行し、端末は、測定を制限する。
【0126】
測定されるセル(例えば、サービングセル又は隣接セル)及び測定タイプ(例えば、RRM(Radio Resource Management)、RLM(Radio Link Monitoring)、CSI(Channel State Information))によって三つの測定リソース制限パターンがある。
【0127】
「ABSパターン1」は、サービングセルのRRM/RLM測定リソース制限に使われる。ABSパターン1に関する情報は、RBの設定/修正/解除、又はMAC/PHY設定が修正される時、基地局が端末に知らせることができる。
【0128】
「ABSパターン2」は、サービングセルと同一の周波数で動作する隣接セルのRRM測定サポート制限に使われる。したがって、ABSパターン2は、パターン情報と共に測定される隣接セルのリストを端末に提供することができる。ABSパターン2は、測定対象に関する測定設定に含まれてもよい。
【0129】
「ABSパターン3」は、サービングセルのCSI測定に対するリソース制限に使われる。ABSパターン3は、CSI報告を設定するメッセージに含まれてもよい。
【0130】
ICICのためにCSGシナリオとピコシナリオという二つのシナリオが考慮されている。
【0131】
図8は、CSGシナリオを例示する。
【0132】
CSGセルは、特定サブスクライバのみ接続可能なセルをいう。CSGセルは、HeNB(home eNB)である。非メンバー端末は、CSGセルのメンバーではない端末であり、CSGセルに接続されない端末である。端末が接続をすることができないCSGセルを非メンバーCSGセルという。マクロセルは、非メンバー端末のサービングセルを意味する。CSGセルとマクロセルのカバレッジは、一部又は全部が重なる。
【0133】
主な干渉条件は、非メンバー端末がCSGセルの近傍(close proximity)に位置する時に発生する。非メンバー端末の立場で、干渉セルはCSGセルとなり、マクロセルは干渉を受けるセルとなる。時間領域ICICは、非メンバー端末がマクロセルで引き続いてサービスの提供を受けることができるようにするために使われる。
【0134】
RRC接続状態で、ネットワークは、非メンバー端末がCSGセルから強い干渉に属していることを発見すると、低干渉無線リソースを設定して運用するようにすることができる。また、マクロセルからの移動性を容易にするために、ネットワークは隣接セルに対するRRM測定制限を設定することができる。端末がCSGセルからこれ以上干渉をひどく受けない場合、ネットワークは、RRM/RLM/CSI測定リソース制限を解除することができる。
【0135】
ネットワークは、CSGセルが設定された低干渉無線リソースによって特定区間では無線信号送受信を許容しない。即ち、CSGセルは、ABS区間内で端末にデータ処理のための無線信号送受信を実行しない。
【0136】
CSGセルとマクロセルとの間のX2インターフェースのようなバックホール(backhaul)接続が維持されない状況で、マクロセルは、CSGセルに適用された低干渉無線リソース情報を知ることができない。したがって、CSGセルに低干渉無線リソース情報はOAM(Operations、Administration and Maintenance)から与えられたものであると仮定する。したがって、マクロセルも低干渉無線リソース情報を知ることができると仮定する。
【0137】
端末は、RRM、RLM及びCSI測定のために低干渉無線リソースに基づく測定リソース制限の適用を受けることができる。即ち、ABS区間内で、RRM、RLM及びCSI測定を実行する制限された測定を実行することができる。
【0138】
マクロセルは、CSGセルの低干渉無線リソース設定によって低干渉無線リソースを使用してメンバー端末にサービスを提供することができる。端末は、低干渉無線リソースを使用してマクロセルとメッセージを交換することができる。
【0139】
図9に、ピコシナリオを例示する。
【0140】
ピコセルは、ピコ端末のサービングセルである。ピコセルは、マクロセルとカバレッジが一部又は全部が重なるセルである。ピコセルは、一般的にマクロセルよりカバレッジが小さいが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0141】
主な干渉条件は、ピコ端末がピコサービングセルの境界に位置する時に発生する。ピーク端末の立場で、干渉セルはマクロセルとなり、ピコセルは干渉を受けるセルとなる。時間領域ICICは、ピコ端末がピコセルで引き続いてサービスの提供を受けることができるようにするために使われる。
【0142】
ピコシナリオにおいて、時間領域ICICは、マクロセルの低干渉無線リソース設定で開始される。マクロセルは、自分のカバレッジ内及び/又は隣接したところにピコセルのような隣接セルが存在すると判断し、干渉が発生する場合があると判断すると、低干渉無線リソースを設定することができる。低干渉無線リソース設定の必要性は、端末の測定結果を介して確認することができる。マクロセルは、端末が、低干渉無線リソース設定が必要かどうかを決定するための基準情報を提供することができる。端末は、基準情報に基づいて要否を決定する。基準情報は、端末の測定に関する閾値情報と端末の位置制限情報を含むことができる。
【0143】
マクロセルは、低干渉無線リソース情報を端末が取得すると、端末は、これに基づいて制限された測定を実行することができる。端末は、特定区間内でのみマクロセル及びピコセルを含む隣接セルに関する測定を実行し、その他の区間では無線信号を実行しない。特定区間は、ABSパターンにより特定される区間である。
【0144】
マクロセルは、低干渉無線リソースによって一般的なサービスを制限し、サービス維持のための最小限の無線信号送受信を実行することができる。
【0145】
ピコセルは、ピコ端末がマクロセルから強い干渉に属していることを発見すると、低干渉無線リソースを設定して運用することができる。ピコセルが設定する測定リソース制限は、マクロセルが設定した低干渉無線リソースに基づく。マクロセル及びピコセルは、X2インターフェースのようなバックホールを介して情報交換が可能であるため、ピコセルは、マクロセルが設定した低干渉無線リソース情報を取得することができ、これにより、ピコセルに低干渉無線リソースを設定することができる。
【0146】
ピコ端末は、RRM、RLM及びCSI測定のために、低干渉無線リソースに基づいて制限された測定を実行することができる。即ち、ピコセルがマクロセルから強い干渉を受けている時、RRM/RLM/CSI測定をABS区間内で実行すると、より正確な測定が可能である。マクロセルをサービングセルにする端末が隣接セル測定をABSで実行すると、マクロセルでピコセルへの端末移動性を容易にすることができる。
【0147】
ピコセルは、低干渉無線リソースを使用して端末にサービスを提供することができる。ABS区間内では端末に正常なサービスを提供し、ABS区間でないところは、サービス維持のための最小限の無線信号送受信を実行することができる。
【0148】
低干渉無線リソースを設定するにあたって、ABS区間が多いほど多くの端末がピコセルからサービスを受けることができる。一方、マクロセルの容量は、少なくなるため、最適化されたABSパターン設定が問題の核心になる場合がある。
【0149】
前述したICIC技法は、端末の移動性と関連したプロトコルであるハンドオーバにも適用することができる。端末は、ハンドオーバのための測定時に、低干渉無線リソースを介して測定を実行することができる。
【0150】
一方、ICICが適用された無線通信システムにおいて、端末がソースセルの干渉を受けているターゲットセルにハンドオーバ(handover:HO)を試みた時、ターゲットセルに対する干渉といったターゲットセルのチャネル品質低下のためハンドオーバが失敗したり、ハンドオーバが成功しても、以後端末のサービス品質が低下したりする場合がある。
【0151】
端末がターゲットセルを測定する時、ソースセルの干渉が特定低干渉無線リソースについてのみ測定した結果を報告し、これにより、ハンドオーバが実行された場合、端末がハンドオーバ中又はその後に低干渉無線リソースを使用しない場合、又は使用できない場合、ハンドオーバが失敗したり、成功しても、以後端末のサービス品質が低下したりする場合がある。このような問題点を解決するために、低干渉無線リソース情報に対するシグナリングを伴うハンドオーバ方法を提案する。
【0152】
図10は、本発明の実施例に係るハンドオーバ方法を示すフローチャートである。
【0153】
図10を参照すると、端末は、自身が属するソースセルに測定報告を送信する(S1010)。測定報告内の測定結果は、ソースセルにより設定された低干渉無線リソースに基づいて実行されたものである。このような測定結果を「制限された測定」という。測定報告は、制限された測定の基盤となる低干渉無線リソースに関する情報を含むことができる。
【0154】
ソースセルは、端末から制限された測定を受信し、これに基づいてハンドオーバ可否を決定する(S1020)。ハンドオーバ可否決定時、端末のハンドオーバ対象であるターゲットセルを決定することができる。
【0155】
ソースセルは、ターゲットセルにハンドオーバ要求メッセージを送信する(S1030)。ハンドオーバ要求メッセージは、制限された測定に関する情報と低干渉無線リソースに関する情報を含む。
【0156】
制限された測定に関する情報は、端末が実行した制限された測定及びターゲットセルで低干渉無線リソースのみを使用してサービスを受ける場合には、そうでない場合より品質が良いことを示す情報を含むことができる。制限された測定に関する情報は、ハンドオーバが制限された測定に基づいてトリガされたことを示す情報をさらに含むことができる。
【0157】
低干渉無線リソース情報は、低干渉無線リソースの構成と関連した情報、及び低干渉無線リソースを設定したセルに関する情報を含むことができる。低干渉無線リソースは、ABSパターンで特定することができる。設定セルに関する情報は、ソースセルによる設定であることを示す情報である。
【0158】
ハンドオーバ要求メッセージを受信したターゲットセルは、ハンドオーバ要求受信確認(acknowledgement:Ack)メッセージをソースセルに送信する(S1040)。
【0159】
ハンドオーバ要求受信確認メッセージは、ハンドオーバを実行する端末がターゲットセル内で低干渉無線リソースを使用して運用することを示す情報を含むことができる。ハンドオーバ要求受信確認メッセージは、端末がターゲットセルで使用する低干渉無線リソースに関する情報を含むことができる。低干渉無線リソースは、ハンドオーバ要求メッセージに含まれ、ソースセルからターゲットセルに送信された低干渉無線リソース情報である。低干渉無線リソースは、ABSパターンにより特定することができる。
【0160】
ソースセルは、ハンドオーバ命令メッセージを端末に送信する(S1050)。ハンドオーバ命令メッセージは、ハンドオーバ要求Ackメッセージに含まれている情報を含むことができる。ハンドオーバ命令メッセージは、端末が低干渉無線リソースを使用して動作を実行することを指示する情報を含むことができる。
【0161】
端末は、ハンドオーバ命令メッセージに含まれている低干渉無線リソース動作実行指示情報を受信すると、直ちに低干渉無線リソースを使用してセル測定を実行することができる。端末は、ハンドオーバ命令メッセージを受けた直後又はハンドオーバ成功直後から低干渉無線リソースを使用してセル測定を実行することができる。端末は、ターゲットセルにアップリンクメッセージを送信するにあたって、低干渉無線リソースを使用することができる。端末は、ランダムアクセスプリアンブルを送信するにあたって、ランダムアクセスプリアンブルの応答メッセージが低干渉無線リソースに受信されるように、ランダムアクセスプリアンブル送信タイミングを調節することができる。
【0162】
端末は、ソースセルからハンドオーバ命令メッセージを受信した後、ターゲットセルとダウンリンク同期を取得し、ランダムアクセスプリアンブルを送信する(S1060)。ここで、ハンドオーバ命令メッセージで専用ランダムアクセスプリアンブルが割り当てられたとすると、端末は、非コンテンションランダムアクセス過程を実行することができる。
【0163】
ターゲットセルは、アップリンク無線リソース割当情報及び時間オフセット情報を含むランダムアクセス応答メッセージを端末に送信する(S1070)。ランダムアクセス応答メッセージは、DL−SCH(Downlink−Shared Channel)を介して送信することができる。ランダムアクセス応答メッセージは、臨時C−RNTI(Cell−Radio Network Temporary Identifier)をさらに含むことができる。ターゲットセルが低干渉無線リソースを設定して運用中の場合にはランダムアクセス応答メッセージにターゲットセルの低干渉無線リソース情報を含ませて送信することができる。
【0164】
端末のターゲットセルに対するランダムアクセスが成功すると、端末は、ターゲットセルにアップリンクバッファ状態報告メッセージを含むハンドオーバ確認メッセージを送信する(S1080)。
【0165】
ターゲットセルとハンドオーバが完了した端末は、ハンドオーバ命令メッセージ又はランダムアクセス応答メッセージに含まれている低干渉無線リソース情報を使用して運用することができる。端末は、ダウンリンク受信及びダウンリンク品質測定/モニタリングを実行する時、低干渉無線リソースを使用して実行することができる。端末は、ABS区間内で送信されるターゲットセルの信号を受信することができ、ABS区間内で自分のサービングセル及び隣接セルに関する測定を実行することができる。
【0166】
本発明の実施例に係るハンドオーバ方法は、端末にターゲットセルが運用、または運用する予定の低干渉無線リソースに関する情報をハンドオーバメッセージに含めて端末に送信する。端末は、ハンドオーバを実行中に低干渉無線リソース情報を受信すると、これを使用してハンドオーバメッセージをターゲットセルと交換することができる。したがって、端末は、ハンドオーバメッセージ交換時、ソースセルにより発生するおそれがある干渉を回避してハンドオーバを正常に完了することができる。
【0167】
また、端末は、ハンドオーバ開始以前にターゲットセル測定のベースとなるソースセルが設定した低干渉無線リソースをハンドオーバ動作中又はハンドオーバ完了後、ターゲットセルとのメッセージ交換及びセル測定にも使用することができる。したがって、端末は、ハンドオーバ以後にも低干渉無線リソースを使用してサービングセルから正常なサービスの提供を受けることができ、サービングセル及び隣接セルに関する正確な測定が可能である。
【0168】
図11は、本発明の実施例が具現される無線通信システムを示すブロック図である。
【0169】
基地局50は、プロセッサ51、メモリ52、及びRF(radio frequency)部53を含む。メモリ52は、プロセッサ51と接続され、プロセッサ51を駆動するための多様な情報を格納する。RF部53は、プロセッサ51と接続され、無線信号を送信及び/又は受信する。プロセッサ51は、提案された機能、過程及び/又は方法を具現する。図10の実施例において、セルを構成する基地局50の動作は、プロセッサ51により具現することができる。
【0170】
端末60は、プロセッサ61、メモリ62及びRF部63を含む。メモリ62は、プロセッサ61と接続され、プロセッサ61を駆動するための多様な情報を格納する。RF部63は、プロセッサ61と接続され、無線信号を送信及び/又は受信する。プロセッサ61は、提案された機能、過程及び/又は方法を具現する。図10の実施例において、端末60の動作は、プロセッサ61により具現することができる。
【0171】
プロセッサは、ASIC(application−specific integrated circuit)、他のチップセット、論理回路及び/又はデータ処理装置を含むことができる。メモリは、ROM(read−only memory)、RAM(random access memory)、フラッシュメモリ、メモリカード、格納媒体及び/又は、他の格納装置を含むことができる。RF部は、無線信号を処理するためのベースバンド回路を含むことができる。実施例がソフトウェアで具現される時、前述した技法は、前述した機能を遂行するモジュール(過程、機能など)で具現することができる。モジュールは、メモリに格納され、プロセッサにより実行することができる。メモリは、プロセッサの内部又は外部にあり、よく知られた多様な手段でプロセッサと接続することができる。
【0172】
前述した例示的なシステムで、本方法は一連のステップ又はブロックでフローチャートに基づいて説明されているが、本発明は、ステップの順序に限定されるものではなく、あるステップは、前述と異なるステップと異なる順序で、又は同時に実行することができる。また、当業者であれば、フローチャートに示すステップが排他的でなく、他のステップを含むことが可能であり、又はフローチャートの一つ又はそれ以上のステップが本発明の範囲に影響を及ぼさずに削除可能であることを理解することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11