特許第5809285号(P5809285)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5809285環状ホスホネートエステル難燃剤を含有する感圧接着剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5809285
(24)【登録日】2015年9月18日
(45)【発行日】2015年11月10日
(54)【発明の名称】環状ホスホネートエステル難燃剤を含有する感圧接着剤
(51)【国際特許分類】
   C09J 133/00 20060101AFI20151021BHJP
   C09J 9/00 20060101ALI20151021BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20151021BHJP
   C09J 7/02 20060101ALI20151021BHJP
【FI】
   C09J133/00
   C09J9/00
   C09J11/06
   C09J7/02 Z
【請求項の数】4
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2013-537660(P2013-537660)
(86)(22)【出願日】2011年3月11日
(65)【公表番号】特表2014-500347(P2014-500347A)
(43)【公表日】2014年1月9日
(86)【国際出願番号】US2011028137
(87)【国際公開番号】WO2012060895
(87)【国際公開日】20120510
【審査請求日】2014年3月11日
(31)【優先権主張番号】61/408,692
(32)【優先日】2010年11月1日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100111903
【弁理士】
【氏名又は名称】永坂 友康
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(72)【発明者】
【氏名】イェルン ビュートナー
(72)【発明者】
【氏名】ユミ ピュン
(72)【発明者】
【氏名】アンソニー アール.プレピス
(72)【発明者】
【氏名】リサ エス.リム
(72)【発明者】
【氏名】フランソワ セー.ダーゼ
(72)【発明者】
【氏名】トビアス ピック
【審査官】 松原 宜史
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第10/015603(WO,A1)
【文献】 特開平06−025629(JP,A)
【文献】 特表平06−506247(JP,A)
【文献】 特開昭60−099167(JP,A)
【文献】 国際公開第10/077673(WO,A1)
【文献】 特開2007−297640(JP,A)
【文献】 特開2010−132820(JP,A)
【文献】 特開平08−193187(JP,A)
【文献】 特表2001−523295(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00−201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクリル系感圧接着剤を含む高分子成分と、少なくとも1種の環状ホスホネートエステルを含む難燃剤とを含有する難燃性感圧接着剤であって、前記難燃剤が、2重量部未満の、前記環状ホスホネートエステル以外のリン含有難燃剤を含んでもよく、前記難燃剤の総量が、前記高分子成分100重量部当たり3〜15重量部(上限及び下限を含む)であり、前記難燃剤が、式:
【化1】
(式中、R5及びR6は、C1〜C4アルキル基からなる群から独立して選択され、
R7、R8、R9及びR10は、C1〜C8アルキル及びフェニルからなる群から独立して選択され、前記アルキル及び/又はフェニル基は、少なくとも1つのヒドロキシル、ヒドロキシアルキル又はフェノキシアルキル基で置換されてもよく、
nは0〜6であり、
mは0〜8であり、
pは0又は8である)を有する少なくとも1種の第2の環状ホスホネートエステルを含む、難燃性感圧接着剤。
【請求項2】
アクリル系感圧接着剤を含む高分子成分と、少なくとも1種の環状ホスホネートエステルを含む難燃剤とを含有する難燃性感圧接着剤であって、前記環状ホスホネートエステルの総量が、前記高分子成分100重量部当たり6重量部以下であり、前記難燃剤が、式:
【化2】
(式中、R5及びR6は、C1〜C4アルキル基からなる群から独立して選択され、
R7、R8、R9及びR10は、C1〜C8アルキル及びフェニルからなる群から独立して選択され、前記アルキル及び/又はフェニル基は、少なくとも1つのヒドロキシル、ヒドロキシアルキル又はフェノキシアルキル基で置換されてもよく、
nは0〜6であり、
mは0〜8であり、
pは0又は8である)を有する少なくとも1種の第2の環状ホスホネートエステルを含む、難燃性感圧接着剤。
【請求項3】
前記第2の環状ホスホネートエステルが、
【化3】
である、請求項1又は2に記載の難燃性感圧接着剤。
【請求項4】
第1の基材と、前記第1の基材の第1の主表面に接着された第1の接着剤とを含む接着剤物品であって、前記第1の接着剤が、請求項1〜のいずれか一項に記載の難燃性感圧接着剤を含み、前記第1の基材が発泡体を含む、接着剤物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、難燃性感圧接着剤に関する。より詳細には、比較的少量の環状ホスホネートエステル難燃剤を含有する感圧接着剤に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、感圧接着剤は周知であり、非常に様々な用途にて使用されている。アクリル系接着剤は、感圧接着剤の一般的なクラスである。しかしながら、アクリル系接着剤は可燃性の場合があり、火災中、燃焼ガスの形成に寄与する場合がある。接着テープは、家庭、工業及び電子装置の用途にて広く使用されているため、火災荷重に対する接着テープのいかなる寄与も低減又は排除する必要がある。
【0003】
アクリル系接着剤を含む接着剤には、難燃剤が添加されている。例えば、ポリ臭化ビフェニルエーテル類等のハロゲン化難燃剤は非常に有効である。しかしながら、ハロゲン化物質は、それらの物質のいくつかに関連した、環境及び健康上の懸念に起因して規制され、又は更には禁止されており、代替的な難燃剤を見出すことが所望されている。
【0004】
金属水酸化物類及び赤リン等の他の難燃剤が使用されているが、所望のレベルの難燃性を達成するためには、一般にこれらの物質は高い濃度で使用される必要がある。多くの場合、要求されるそれら難燃剤の負荷によって、感圧接着剤の機械的特性及び接着特性の容認できない低下がもたらされる。
【0005】
ホスファイト類、ホスフェート類及びホスホネート類も、難燃剤として使用されている。例えば、欧州特許第2 154 191 A1号には、環状ホスホネートと、環状ホスホネートとは異なるリン誘導体から選択された少なくとも1種の他の難燃剤との両方を含有する、難燃性の放射線硬化性組成物が記載されている。欧州特許第2 154 191 A1号は、V1又はV0のUL 94等級を達成するフィルムを例示しているが、これは比較的高い負荷の環状ホスホネート難燃剤(少なくとも17重量パーセント)と、比較的高い負荷の別のリン誘導体難燃剤(少なくとも15重量%)との組み合わせにおいてのみ達成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
感圧接着剤組成物用の非ハロゲン化難燃剤を特定する必要がある。加えて、十分低い難燃剤の負荷レベルにおいて容認できる難燃特性を提供して、感圧接着剤性能の容認できない低下を避ける必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
手短には、一態様において本開示は、アクリル系感圧接着剤を含む高分子成分と、少なくとも1種の環状ホスホネートエステルを含む難燃剤とを含有する難燃性感圧接着剤であって、難燃剤が、2重量部未満の、環状ホスホネートエステル以外のリン含有難燃剤を含む、難燃剤感圧接着剤を提供する。
【0008】
いくつかの実施形態では、難燃剤の総量は、高分子成分100重量部当たり20重量部以下、例えば高分子成分100重量部当たり3〜15重量部(上限及び下限を含む)、又は更には高分子成分100重量部当たり3〜6重量部(上限及び下限を含む)である。
【0009】
別の態様では、本開示は、アクリル系感圧接着剤を含む高分子成分と、少なくとも1種の環状ホスホネートエステルを含む難燃剤とを含有する難燃性感圧接着剤であって、環状ホスホネートエステルの総量が、高分子成分100重量部当たり6重量部以下である、難燃性感圧接着剤を提供する。いくつかの実施形態では、環状ホスホネートエステルの総量は、高分子成分100重量部当たり6重量部以下、例えば高分子成分100重量部当たり3〜6重量部(上限及び下限を含む)である。
【0010】
本開示の任意のこれらの態様のいくつかの実施形態では、難燃剤は、式:
【0011】
【化1】
【0012】
(式中、R1及びR2は、C1〜C8アルキル及びフェニルからなる群から独立して選択され、アルキル及び/又はフェニル基は、少なくとも1つのヒドロキシル、ヒドロキシアルキル又はフェノキシアルキル基で置換されてもよく、R3及びR4は、C1〜C4アルキルからなる群から独立して選択され、xは1、2又は3であり、yは0、1又は2であり、zは0又は1であり、x、y及びzの合計は、3に等しい)を有する少なくとも1種の環状ホスホネートエステルを含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、環状ホスホネートエステルは、
【0014】
【化2】
【0015】
のうちの少なくとも1つを含む。
【0016】
別の態様において、本開示は、第1の基材と、第1の基材の第1の主表面に接着された第1の接着剤とを含む接着剤物品であって、第1の接着剤が、本開示の難燃性感圧接着剤を含む、接着剤物品を提供する。いくつかの実施形態では、接着剤物品は第2の接着剤を更に含み、第1の接着剤及び第2の接着剤は、独立して選択される。いくつかの実施形態では、接着剤物品は、第1の接着剤に接着された第2の基材を更に含み、第1の接着剤が第1の基材と第2の基材との間に位置するようにした。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの基材は、高分子フィルム、例えばポリエステルフィルムを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの基材は、発泡体、例えば接着剤発泡体を含む。
【0017】
上記の本開示の概要は、本発明のそれぞれの実施形態を説明することを目的としたものではない。本発明の1つ以上の実施形態の詳細を以下の説明文においても記載する。本発明の他の特徴、目的、及び利点は、その説明文から、また特許請求の範囲から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】「スペーサ」構成を有する、本発明のいくつかの実施形態による代表的な接着剤物品。
図2】「サンドイッチ」構成を有する、本発明のいくつかの実施形態による代表的な接着剤物品。
【発明を実施するための形態】
【0019】
アクリル系感圧接着剤は、周知である。典型的には、アクリル系感圧接着剤は、1種以上の(メタ)アクリレートエステルと、場合により1種以上のビニルカルボン酸とを含有するモノマー混合物の重合生成物を含む。所望の特性に応じて、モノマー混合物中に他の共重合性モノマーも含まれ得る。
【0020】
本明細書で使用される「(メタ)アクリレート」は、アクリレートエステルとメタクリレートエステルの一方及び/又は両方を指す。それ故、例えばブチル(メタ)アクリレートは、ブチルアクリレート及び/又はブチルメタクリレートを指す。
【0021】
いくつかの実施形態では、少なくとも1種の(メタ)アクリレートエステルは、アルキル(メタ)アクリレートである。いくつかの実施形態では、少なくとも1種のアルキル(メタ)アクリレートのアルキル基は、5〜18個の炭素原子、例えば5〜12個の炭素原子を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1種のアルキル(メタ)アクリレートのアルキル基は、8個の炭素原子を含み、例えばイソオクチル(メタ)アクリレート及び2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートである。いくつかの実施形態では、少なくとも1種のアルキル(メタ)アクリレートのアルキル基は、1〜4個の炭素原子を含み、例えばブチル(メタ)アクリレートである。いくつかの実施形態では、少なくとも1種のアルキル(メタ)アクリレートのアルキル基は、1〜3個の炭素原子、例えば2個の炭素原子を含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、モノマー混合物は、1種以上のビニルカルボン酸を含有する。一般に、任意の既知のビニルカルボン酸又はビニルカルボン酸の混合物を使用することができる。代表的なビニルカルボン酸類には、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸及びβ−カルボキシエチルアクリレートが挙げられる。いくつかの実施形態では、ビニルカルボン酸は、アクリル酸、メタクリル酸、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されてもよい。
【0023】
いくつかの実施形態では、1種以上の無極性モノマーを含有することが望ましい場合がある。本明細書で使用される「無極性」モノマーは、そのホモポリマーがFedors法により測定した場合に10.5以下の溶解度パラメータを有するモノマーである。好適な無極性モノマー及びそれらのFedorsの溶解度パラメータ((cal/cm1/2)の例には、3,3,5トリメチルシクロヘキシルアクリレート(9.35)、イソボルニルアクリレート(9.71)、ブチルアクリレート(9.77)、シクロヘキシルアクリレート(10.16)及びN−オクチルアクリルアミド(10.33)が挙げられる。
【0024】
いくつかの実施形態では、モノマー混合物は、少なくとも80重量パーセント(重量%)、例えば少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、又は更には少なくとも98重量%の1種以上のアルキル(メタ)アクリレートモノマーを含有する。いくつかの実施形態では、モノマー混合物は、10重量%以下、例えば8重量%以下、5重量%以下、2重量%以下、又は更には1重量%以下のビニルカルボン酸モノマーを含有する。いくつかの実施形態では、モノマー混合物は、0〜4重量%、例えば0.1〜4重量%、0.1〜2重量%、0.1〜1重量%、又は更には0.1〜0.5重量%のビニルカルボン酸モノマーを含有する。他の実施形態では、モノマー混合物は、少なくとも3重量%、例えば少なくとも5重量%のビニルカルボン酸モノマー、例えば3〜10重量%、又は5〜10重量%のビニルカルボン酸モノマーを含有する。
【0025】
本開示の感圧接着剤は、少なくとも1種の環状ホスホネート難燃剤も含有する。本開示の接着剤組成物中の難燃剤としての使用に好適な、代表的な環状ホスホネートエステルには、例えば米国特許第3,789,091号及び同第3,849,368号に記載されているもの、並びにRhodiaから商標名AMGARD(例えばAMGARD CU及びAMGARD 1045)で入手可能なものが挙げられる。好適な環状ホスホネートには、式1:
【0026】
【化3】
【0027】
(式中、R1及びR2は、C1〜C8アルキル及びフェニルからなる群から独立して選択され、アルキル及び/又はフェニル基は、少なくとも1つのヒドロキシル、ヒドロキシアルキル又はフェノキシアルキル基で置換されてもよく、
R3及びR4は、C1〜C4アルキル基からなる群から独立して選択され、
xは、1、2又は3であり、
yは、0、1又は2であり、
zは、0又は1であり、
x、y及びzの合計は、3に等しい)の一般構造を有するものが挙げられる。
【0028】
式1の特定の代表的な環状ホスホネートには、
【0029】
【化4】
【0030】
並びにこれらの物質の二量体及び三量体が挙げられ、メチル基の代わりにより長い脂肪族鎖を有するものも含む。それらの物質の混合物も使用することができる。
【0031】
他の好適な環状ホスホネートエステルには、一般式4:
【0032】
【化5】
【0033】
(式中、R5及びR6は、C1〜C4アルキル基からなる群から独立して選択され、
R7、R8、R9及びR10は、C1〜C8アルキル及びフェニルからなる群から独立して選択され、アルキル及び/又はフェニル基は、少なくとも1つのヒドロキシル、ヒドロキシアルキル又はフェノキシアルキル基で置換されてもよく、
nは、0〜6であり、
mは、0〜8であり、
pは、0又は8である)を有するものが挙げられる。
【0034】
式4の特定の代表的な環状ホスホネートには、
【0035】
【化6】
【0036】
並びにこれらの物質の二量体及び三量体が挙げられ、メチル基の代わりにより長い脂肪族鎖を有するものも含む。それらの物質の単独での混合物、又は式1の環状ホスホネートと組み合わせた混合物も使用することができる。
【0037】
アクリル系接着剤と難燃剤に加えて、本開示の感圧接着剤組成物は、例えば架橋剤、開始剤、充填剤、粘着付与剤、染料、顔料等を含む非常に様々な任意の添加剤を含有してもよい。それらの材料の選択及び相対的な量は、当業者が深く理解するように、所望の最終用途の特徴に依存するであろう。
【実施例】
【0038】
【表1】
【0039】
(a)IOA=イソオクチルアクリレート;2−EHA=2−エチルヘキシルアクリレート;AA=アクリル酸。
【0040】
(b)AMGARD CU及び1045難燃剤は、式(2)及び(3)で示した環状ホスホネートのブレンドである。
【0041】
(c)AMGARD SPDHは、式(4)で示した環状ホスホネートエステルである。
【0042】
試験方法
水平燃焼法。Federal Motor Vehicle Safety Standard No.302(「Flammability of Interior Materials」)、(FMVSS302)試験法に従って、サンプルを評価した。結果を以下のように評価した。
【0043】
【表2】
【0044】
垂直燃焼法。Underwriters Laboratory Standard UL94に従って、サンプルを試験した。一般に、長さ12.7cm×幅1.27cmのサンプルは、バーナーの10mm上方かつ綿の30.5cm上方にて垂直に懸下された。発炎が停止するまで、高さ20mmの炎をサンプルの自由端に角度45°で10秒間適用した後、除去した。発炎が停止するまで、炎を再度、更に10秒適用し、再度除去した。結果を以下のように評価した。
【0045】
【表3】
【0046】
FINAT Test Method No.1(FTM 1,「Peel adhesion(180°)at 300mm per minute,」FINAT Technical Handbook 7th edition,2005)に従って、180度剥離試験を行った。
【0047】
FINAT Test Method No.8(FTM 8,「Resistance to shear from a standard surface,」FINAT Technical Handbook 7th edition,2005)に従って、静的せん断試験を行った。
【0048】
FINAT Test Method No.18(FTM 18,「Dynamic Shear,」FINAT Technical Handbook 7th edition,2005)に従って、動的せん断試験を行った。
【0049】
溶媒ベース接着剤。所望の溶媒ベース接着剤(SB−ADH−1又はSB−ADH−2)を、0.2〜0.5重量%のビスアジリジン架橋剤及び難燃剤と組み合わせた。得られた組成物を剥離ライナー上に塗布し、炉を通して送った。ここで溶媒が除去され、接着剤が熱架橋されて、厚さ44マイクロメートルの接着剤フィルムを生成した。
【0050】
スペーサ。2つのこのような接着剤フィルムを、厚さ12マイクロメートルのポリエステル(PET)キャリアフィルム(DuPont Teijin製のMYLAR LBT2)の両面に積層して「スペーサ」テープを生成した。スペーサテープ100は、図1に示される。第1の接着剤層110は、キャリア130の第1の表面131に接着された第1の表面111を含む。同様に、第2の接着剤層120の第1の表面121は、キャリア130の第2の表面132に接着されている。
【0051】
サンドイッチ。サンプルはまた、第1及び第2の接着剤層のそれぞれに、厚さ175マイクロメートルのPETのカバー層を積層することによっても調製された。図2に示すように、「サンドイッチ」構造200は、スペーサテープ100を含む。第1のカバー層210は、第1の接着剤層110の第2の表面112に接着されている。同様に、第2のカバー層220は、第2の接着剤層120の第2の表面122に接着されている。
【0052】
PETキャリアフィルム及びPETカバーフィルムのいずれも、いずれの難燃剤も含有しなかった。それ故、全ての難燃特性は、2つの接着剤層中の難燃剤により提供された。
【0053】
これらのサンプルを水平燃焼法に供した。結果を表2に記す。市販のサンプル(3M Company製の3M(商標)Double Linered Adhesive Transfer Tape 9553)も試験し、「REF−1」と識別されている。
【0054】
【表4】
【0055】
溶媒ベース接着剤構造はまた、感圧接着特性に対する難燃剤負荷の効果を決定するために評価された。サンプルは、180度剥離試験(「180°剥離」)、20〜22℃での静的せん断試験、及び85℃での動的せん断試験に従って評価された。結果を表3に要約する。
【0056】
【表5】
【0057】
N.T.=試験していない
無溶媒UV硬化接着剤サンプル。所望の無溶媒アクリル系接着剤プレポリマー(UV−ADH−1又はUV−ADH−2)を、0.12重量%のHDDA架橋剤、0.2重量%のIR−651光開始剤及び難燃剤と共にブレンドした。UV−ADH−1接着剤を剥離ライナー上に塗布し、紫外線硬化ステーションを通過させて、厚さ44マイクロメートルの硬化アクリル系接着剤フィルムを形成した。これらのUV−ADH−1接着剤の2つのフィルムを、12マイクロメートルのPETキャリアフィルムの両面に積層して、「スペーサ」構造を形成した。(図1参照。)UV−ADH−2接着剤を剥離ライナー上に塗布し、紫外線硬化ステーションを通過させて、厚さ1000マイクロメートルの硬化アクリル系接着剤フィルムを形成し、これをそのままで試験した(「厚い」構造)。
【0058】
無溶媒の、UV硬化されたアクリル系接着剤から調製されたサンプルを、水平燃焼法に従って難燃性に関して試験した。結果を表4に報告する。サンプルはまた、90度剥離(「90°剥離」)法と、20〜22℃及び75℃の両方での静的せん断法とに従って、接着剤性能に関して試験された。結果を表5に報告する。
【0059】
【表6】
【0060】
【表7】
【0061】
様々な量のCP−FR−1環状ホスホネート難燃剤を、UV−ADH−2無溶媒UV硬化接着剤と組み合わせた。厚い(1000マイクロメートル)サンプルを調製し、垂直燃焼法に従って試験した。結果を表6に要約する。
【0062】
【表8】
【0063】
ホットメルト塗布接着剤。接着剤フィルムを所望の接着剤(HM−ADH−1、HM−ADH−2又はHM−ADH−3)と難燃剤とのブレンドのホットメルト塗布により調製して、厚さ44マイクロメートルのアクリル系接着剤層を生成した。これらの接着剤フィルムを12マイクロメートルのPETキャリアと組み合わせて、スペーサ構造を形成した。(図1参照)。追加の175マイクロメートルのPETカバーフィルムを加えて、サンドイッチ構造を提供した。(図2参照)。
【0064】
得られたホットメルト接着剤サンプルを、水平燃焼法に従って評価した。結果を表7に報告する。参照サンプルREF−1も試験した。接着特性も、20〜22℃及び85℃の両方で試験した。180度剥離試験、静的せん断試験及び動的せん断試験の結果を、表8に要約する。
【0065】
【表9】
【0066】
【表10】
【0067】
RT=20〜22℃、HT=85℃。
【0068】
本開示の難燃性感圧接着剤は、非常に様々な用途にて使用することができ、例えばフリーフィルム、支持フィルム、並びに片面及び両面テープとして使用することができる。接着剤のフリーフィルムは、剥離ライナー等の基材上に配置されてもよく、又は2つの剥離ライナーの間に位置してもよい。支持フィルムは、例えばスクリム類、有機及び/又は無機繊維を含む織布及び不織布ウェブ類、紙等の非常に様々な周知の支持物のいずれかを組み込んだ接着剤層を含む。
【0069】
テープは、典型的に、片面上(即ち、片面塗布テープ)又は両面上(即ち、両面塗布テープ)に接着剤の層を有する基材を含む。例えば紙類、フィルム類(例えば高分子フィルム類)及び箔類を含むものを含む、非常に様々な既知の基材のいずれも使用することができる。いくつかの実施形態では、基材は、発泡体、例えば接着剤発泡体を含んでもよい。一般に、両面テープの両面上の接着剤は、独立して選択される。いくつかの実施形態では、両方の接着剤が、本開示による難燃性接着剤を含んでもよい。いくつかの実施形態では、接着剤の一方のみが、本開示による難燃性接着剤を含んでもよい。そのような実施形態では、第2の接着剤は、既知の難燃剤を含有する任意の既知の接着剤、及び非難燃性接着剤であってもよい。
【0070】
本発明の範囲及び趣旨から逸脱しない本発明の様々な変更や改変は、当業者には明らかとなるであろう。
以下に、本願発明に関連する発明の実施形態について列挙する。
[実施形態1]
アクリル系感圧接着剤を含む高分子成分と、少なくとも1種の環状ホスホネートエステルを含む難燃剤とを含有する難燃性感圧接着剤であって、前記難燃剤が、2重量部未満の、前記環状ホスホネートエステル以外のリン含有難燃剤を含む、難燃性感圧接着剤。
[実施形態2]
前記難燃剤の総量が、前記高分子成分100重量部当たり20重量部以下である、実施形態1に記載の難燃性感圧接着剤。
[実施形態3]
前記難燃剤の総量が、前記高分子成分100重量部当たり3〜15重量部(上限及び下限を含む)である、実施形態2に記載の難燃性感圧接着剤。
[実施形態4]
前記難燃剤の総量が、前記高分子成分100重量部当たり3〜6重量部(上限及び下限を含む)である、実施形態3に記載の難燃性感圧接着剤。
[実施形態5]
アクリル系感圧接着剤を含む高分子成分と、少なくとも1種の環状ホスホネートエステルを含む難燃剤とを含有する難燃性感圧接着剤であって、前記環状ホスホネートエステルの総量が、前記高分子成分100重量部当たり6重量部以下である、難燃性感圧接着剤。
[実施形態6]
前記環状ホスホネートエステルの総量が、前記高分子成分100重量部当たり3〜6重量部(上限及び下限を含む)である、実施形態5に記載の難燃性感圧接着剤。
[実施形態7]
前記難燃剤が、式:
【化7】
(式中、R1及びR2は、C1〜C8アルキル及びフェニルからなる群から独立して選択され、前記アルキル及び/又はフェニル基は、少なくとも1つのヒドロキシル、ヒドロキシアルキル又はフェノキシアルキル基で置換されてもよく、
R3及びR4は、C1〜C4アルキルからなる群から独立して選択され、
xは、1、2又は3であり、
yは、0、1又は2であり、
zは、0又は1であり、
x、y及びzの合計は、3に等しい)を有する少なくとも1種の第1の環状ホスホネートエステルを含む、実施形態1〜6のいずれか一項に記載の難燃性感圧接着剤。
[実施形態8]
前記第1の環状ホスホネートエステルが、
【化8】
及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態7に記載の難燃性感圧接着剤。
[実施形態9]
前記難燃剤が、式:
【化9】
(式中、R5及びR6は、C1〜C4アルキル基からなる群から独立して選択され、
R7、R8、R9及びR10は、C1〜C8アルキル及びフェニルからなる群から独立して選択され、前記アルキル及び/又はフェニル基は、少なくとも1つのヒドロキシル、ヒドロキシアルキル又はフェノキシアルキル基で置換されてもよく、
nは0〜6であり、
mは0〜8であり、
pは0又は8である)を有する少なくとも1種の第2の環状ホスホネートエステルを含む、実施形態1〜8のいずれか一項に記載の難燃性感圧接着剤。
[実施形態10]
前記第2の環状ホスホネートエステルが、
【化10】
である、実施形態9に記載の難燃性感圧接着剤。
[実施形態11]
第1の基材と、前記第1の基材の第1の主表面に接着された第1の接着剤とを含む接着剤物品であって、前記第1の接着剤が、実施形態1〜10のいずれか一項に記載の難燃性感圧接着剤を含む、接着剤物品。
[実施形態12]
前記第1の基材の前記第1の主表面の反対側の、前記第1の基材の第2の主表面に接着された第2の接着剤を更に含み、前記第2の接着剤が、実施形態1〜10のいずれか一項に記載の難燃性感圧接着剤を含み、前記第1の接着剤及び前記第2の接着剤が独立して選択される、実施形態11に記載の接着剤物品。
[実施形態13]
前記第1の接着剤に接着された第2の基材を更に含み、前記第1の接着剤が前記第1の基材と前記第2の基材との間に位置するようにした、実施形態11又は12に記載の接着剤物品。
[実施形態14]
前記第1の基材が発泡体を含む、実施形態10〜13のいずれか一項に記載の接着剤物品。
[実施形態15]
前記発泡体が接着剤を含む、実施形態14に記載の接着剤物品。
図1
図2