【実施例】
【0038】
【表1】
【0039】
(a)IOA=イソオクチルアクリレート;2−EHA=2−エチルヘキシルアクリレート;AA=アクリル酸。
【0040】
(b)AMGARD CU及び1045難燃剤は、式(2)及び(3)で示した環状ホスホネートのブレンドである。
【0041】
(c)AMGARD SPDHは、式(4)で示した環状ホスホネートエステルである。
【0042】
試験方法
水平燃焼法。Federal Motor Vehicle Safety Standard No.302(「Flammability of Interior Materials」)、(FMVSS302)試験法に従って、サンプルを評価した。結果を以下のように評価した。
【0043】
【表2】
【0044】
垂直燃焼法。Underwriters Laboratory Standard UL94に従って、サンプルを試験した。一般に、長さ12.7cm×幅1.27cmのサンプルは、バーナーの10mm上方かつ綿の30.5cm上方にて垂直に懸下された。発炎が停止するまで、高さ20mmの炎をサンプルの自由端に角度45°で10秒間適用した後、除去した。発炎が停止するまで、炎を再度、更に10秒適用し、再度除去した。結果を以下のように評価した。
【0045】
【表3】
【0046】
FINAT Test Method No.1(FTM 1,「Peel adhesion(180°)at 300mm per minute,」FINAT Technical Handbook 7th edition,2005)に従って、180度剥離試験を行った。
【0047】
FINAT Test Method No.8(FTM 8,「Resistance to shear from a standard surface,」FINAT Technical Handbook 7th edition,2005)に従って、静的せん断試験を行った。
【0048】
FINAT Test Method No.18(FTM 18,「Dynamic Shear,」FINAT Technical Handbook 7th edition,2005)に従って、動的せん断試験を行った。
【0049】
溶媒ベース接着剤。所望の溶媒ベース接着剤(SB−ADH−1又はSB−ADH−2)を、0.2〜0.5重量%のビスアジリジン架橋剤及び難燃剤と組み合わせた。得られた組成物を剥離ライナー上に塗布し、炉を通して送った。ここで溶媒が除去され、接着剤が熱架橋されて、厚さ44マイクロメートルの接着剤フィルムを生成した。
【0050】
スペーサ。2つのこのような接着剤フィルムを、厚さ12マイクロメートルのポリエステル(PET)キャリアフィルム(DuPont Teijin製のMYLAR LBT2)の両面に積層して「スペーサ」テープを生成した。スペーサテープ100は、
図1に示される。第1の接着剤層110は、キャリア130の第1の表面131に接着された第1の表面111を含む。同様に、第2の接着剤層120の第1の表面121は、キャリア130の第2の表面132に接着されている。
【0051】
サンドイッチ。サンプルはまた、第1及び第2の接着剤層のそれぞれに、厚さ175マイクロメートルのPETのカバー層を積層することによっても調製された。
図2に示すように、「サンドイッチ」構造200は、スペーサテープ100を含む。第1のカバー層210は、第1の接着剤層110の第2の表面112に接着されている。同様に、第2のカバー層220は、第2の接着剤層120の第2の表面122に接着されている。
【0052】
PETキャリアフィルム及びPETカバーフィルムのいずれも、いずれの難燃剤も含有しなかった。それ故、全ての難燃特性は、2つの接着剤層中の難燃剤により提供された。
【0053】
これらのサンプルを水平燃焼法に供した。結果を表2に記す。市販のサンプル(3M Company製の3M(商標)Double Linered Adhesive Transfer Tape 9553)も試験し、「REF−1」と識別されている。
【0054】
【表4】
【0055】
溶媒ベース接着剤構造はまた、感圧接着特性に対する難燃剤負荷の効果を決定するために評価された。サンプルは、180度剥離試験(「180°剥離」)、20〜22℃での静的せん断試験、及び85℃での動的せん断試験に従って評価された。結果を表3に要約する。
【0056】
【表5】
【0057】
N.T.=試験していない
無溶媒UV硬化接着剤サンプル。所望の無溶媒アクリル系接着剤プレポリマー(UV−ADH−1又はUV−ADH−2)を、0.12重量%のHDDA架橋剤、0.2重量%のIR−651光開始剤及び難燃剤と共にブレンドした。UV−ADH−1接着剤を剥離ライナー上に塗布し、紫外線硬化ステーションを通過させて、厚さ44マイクロメートルの硬化アクリル系接着剤フィルムを形成した。これらのUV−ADH−1接着剤の2つのフィルムを、12マイクロメートルのPETキャリアフィルムの両面に積層して、「スペーサ」構造を形成した。(
図1参照。)UV−ADH−2接着剤を剥離ライナー上に塗布し、紫外線硬化ステーションを通過させて、厚さ1000マイクロメートルの硬化アクリル系接着剤フィルムを形成し、これをそのままで試験した(「厚い」構造)。
【0058】
無溶媒の、UV硬化されたアクリル系接着剤から調製されたサンプルを、水平燃焼法に従って難燃性に関して試験した。結果を表4に報告する。サンプルはまた、90度剥離(「90°剥離」)法と、20〜22℃及び75℃の両方での静的せん断法とに従って、接着剤性能に関して試験された。結果を表5に報告する。
【0059】
【表6】
【0060】
【表7】
【0061】
様々な量のCP−FR−1環状ホスホネート難燃剤を、UV−ADH−2無溶媒UV硬化接着剤と組み合わせた。厚い(1000マイクロメートル)サンプルを調製し、垂直燃焼法に従って試験した。結果を表6に要約する。
【0062】
【表8】
【0063】
ホットメルト塗布接着剤。接着剤フィルムを所望の接着剤(HM−ADH−1、HM−ADH−2又はHM−ADH−3)と難燃剤とのブレンドのホットメルト塗布により調製して、厚さ44マイクロメートルのアクリル系接着剤層を生成した。これらの接着剤フィルムを12マイクロメートルのPETキャリアと組み合わせて、スペーサ構造を形成した。(
図1参照)。追加の175マイクロメートルのPETカバーフィルムを加えて、サンドイッチ構造を提供した。(
図2参照)。
【0064】
得られたホットメルト接着剤サンプルを、水平燃焼法に従って評価した。結果を表7に報告する。参照サンプルREF−1も試験した。接着特性も、20〜22℃及び85℃の両方で試験した。180度剥離試験、静的せん断試験及び動的せん断試験の結果を、表8に要約する。
【0065】
【表9】
【0066】
【表10】
【0067】
RT=20〜22℃、HT=85℃。
【0068】
本開示の難燃性感圧接着剤は、非常に様々な用途にて使用することができ、例えばフリーフィルム、支持フィルム、並びに片面及び両面テープとして使用することができる。接着剤のフリーフィルムは、剥離ライナー等の基材上に配置されてもよく、又は2つの剥離ライナーの間に位置してもよい。支持フィルムは、例えばスクリム類、有機及び/又は無機繊維を含む織布及び不織布ウェブ類、紙等の非常に様々な周知の支持物のいずれかを組み込んだ接着剤層を含む。
【0069】
テープは、典型的に、片面上(即ち、片面塗布テープ)又は両面上(即ち、両面塗布テープ)に接着剤の層を有する基材を含む。例えば紙類、フィルム類(例えば高分子フィルム類)及び箔類を含むものを含む、非常に様々な既知の基材のいずれも使用することができる。いくつかの実施形態では、基材は、発泡体、例えば接着剤発泡体を含んでもよい。一般に、両面テープの両面上の接着剤は、独立して選択される。いくつかの実施形態では、両方の接着剤が、本開示による難燃性接着剤を含んでもよい。いくつかの実施形態では、接着剤の一方のみが、本開示による難燃性接着剤を含んでもよい。そのような実施形態では、第2の接着剤は、既知の難燃剤を含有する任意の既知の接着剤、及び非難燃性接着剤であってもよい。
【0070】
本発明の範囲及び趣旨から逸脱しない本発明の様々な変更や改変は、当業者には明らかとなるであろう。
以下に、本願発明に関連する発明の実施形態について列挙する。
[実施形態1]
アクリル系感圧接着剤を含む高分子成分と、少なくとも1種の環状ホスホネートエステルを含む難燃剤とを含有する難燃性感圧接着剤であって、前記難燃剤が、2重量部未満の、前記環状ホスホネートエステル以外のリン含有難燃剤を含む、難燃性感圧接着剤。
[実施形態2]
前記難燃剤の総量が、前記高分子成分100重量部当たり20重量部以下である、実施形態1に記載の難燃性感圧接着剤。
[実施形態3]
前記難燃剤の総量が、前記高分子成分100重量部当たり3〜15重量部(上限及び下限を含む)である、実施形態2に記載の難燃性感圧接着剤。
[実施形態4]
前記難燃剤の総量が、前記高分子成分100重量部当たり3〜6重量部(上限及び下限を含む)である、実施形態3に記載の難燃性感圧接着剤。
[実施形態5]
アクリル系感圧接着剤を含む高分子成分と、少なくとも1種の環状ホスホネートエステルを含む難燃剤とを含有する難燃性感圧接着剤であって、前記環状ホスホネートエステルの総量が、前記高分子成分100重量部当たり6重量部以下である、難燃性感圧接着剤。
[実施形態6]
前記環状ホスホネートエステルの総量が、前記高分子成分100重量部当たり3〜6重量部(上限及び下限を含む)である、実施形態5に記載の難燃性感圧接着剤。
[実施形態7]
前記難燃剤が、式:
【化7】
(式中、R1及びR2は、C1〜C8アルキル及びフェニルからなる群から独立して選択され、前記アルキル及び/又はフェニル基は、少なくとも1つのヒドロキシル、ヒドロキシアルキル又はフェノキシアルキル基で置換されてもよく、
R3及びR4は、C1〜C4アルキルからなる群から独立して選択され、
xは、1、2又は3であり、
yは、0、1又は2であり、
zは、0又は1であり、
x、y及びzの合計は、3に等しい)を有する少なくとも1種の第1の環状ホスホネートエステルを含む、実施形態1〜6のいずれか一項に記載の難燃性感圧接着剤。
[実施形態8]
前記第1の環状ホスホネートエステルが、
【化8】
及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態7に記載の難燃性感圧接着剤。
[実施形態9]
前記難燃剤が、式:
【化9】
(式中、R5及びR6は、C1〜C4アルキル基からなる群から独立して選択され、
R7、R8、R9及びR10は、C1〜C8アルキル及びフェニルからなる群から独立して選択され、前記アルキル及び/又はフェニル基は、少なくとも1つのヒドロキシル、ヒドロキシアルキル又はフェノキシアルキル基で置換されてもよく、
nは0〜6であり、
mは0〜8であり、
pは0又は8である)を有する少なくとも1種の第2の環状ホスホネートエステルを含む、実施形態1〜8のいずれか一項に記載の難燃性感圧接着剤。
[実施形態10]
前記第2の環状ホスホネートエステルが、
【化10】
である、実施形態9に記載の難燃性感圧接着剤。
[実施形態11]
第1の基材と、前記第1の基材の第1の主表面に接着された第1の接着剤とを含む接着剤物品であって、前記第1の接着剤が、実施形態1〜10のいずれか一項に記載の難燃性感圧接着剤を含む、接着剤物品。
[実施形態12]
前記第1の基材の前記第1の主表面の反対側の、前記第1の基材の第2の主表面に接着された第2の接着剤を更に含み、前記第2の接着剤が、実施形態1〜10のいずれか一項に記載の難燃性感圧接着剤を含み、前記第1の接着剤及び前記第2の接着剤が独立して選択される、実施形態11に記載の接着剤物品。
[実施形態13]
前記第1の接着剤に接着された第2の基材を更に含み、前記第1の接着剤が前記第1の基材と前記第2の基材との間に位置するようにした、実施形態11又は12に記載の接着剤物品。
[実施形態14]
前記第1の基材が発泡体を含む、実施形態10〜13のいずれか一項に記載の接着剤物品。
[実施形態15]
前記発泡体が接着剤を含む、実施形態14に記載の接着剤物品。