(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5809297
(24)【登録日】2015年9月18日
(45)【発行日】2015年11月10日
(54)【発明の名称】端子ブリックを有するメザニンコネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/6585 20110101AFI20151021BHJP
【FI】
H01R13/6585
【請求項の数】11
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-558213(P2013-558213)
(86)(22)【出願日】2012年3月16日
(65)【公表番号】特表2014-508388(P2014-508388A)
(43)【公表日】2014年4月3日
(86)【国際出願番号】US2012029471
(87)【国際公開番号】WO2012125938
(87)【国際公開日】20120920
【審査請求日】2013年10月18日
(31)【優先権主張番号】61/453,847
(32)【優先日】2011年3月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591043064
【氏名又は名称】モレックス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100116207
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100096426
【弁理士】
【氏名又は名称】川合 誠
(72)【発明者】
【氏名】カーク ビー ペロザ
【審査官】
竹下 晋司
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−027354(JP,A)
【文献】
特表2011−527819(JP,A)
【文献】
特開2009−152212(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/56 − 13/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタであって、
筐体の両側に位置付けられる第1の装着面および第1の嵌合面を有する筐体であって、前記装着面から前記嵌合面に延在するチャネルを有する、筐体と、
前記チャネル内に位置付けられるれんが状端子ブロックとしての端子ブリックであって、該端子ブリックがさや状の収容部であるポッドおよび接地端子であってその大部分における長手方向に垂直な断面の形状がU字である接地端子を含み、前記ポッドがフレーム内に位置付けられる一対の信号端子を備え、それぞれの信号端子が接点、尾部、および該尾部の間に延在する本体を有し、前記信号端子がエッジ結合を提供するように整列され、前記端子ブリックは、前記尾部と前記信号端子の接点との間に延在する第1の方向で前記チャネル内に挿入されるように構成され、前記ポッドは、前記第1の方向を横断する方向で前記接地端子内に挿入されるように構成される、端子ブリックと、
を備える、コネクタ。
【請求項2】
前記接地端子が、基部から延在する第1および第2の側面を有する基部を含み、第1および第2の側面がそれぞれ縁部を有する、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記ポッドが、少なくとも1つの窓を含み、少なくとも1つの窓が前記信号端子本体の長さに沿って延在する、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項4】
少なくとも1つの窓が、前記信号端子本体の長さの過半に沿って延在する、請求項3に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記接地端子の接点および前記信号端子の接点が、反対方向を向いている、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記接地端子の接点は、信号端子の接点から離れた第1の方向に偏向するように構成され、前記信号端子の接点は、前記接地端子の接点から離れた第2の方向に偏向するように構成される、請求項5に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記接地端子が2つの尾部を含む、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項8】
前記接地端子の2つの尾部が、前記信号端子の尾部と整列される、請求項7に記載のコネクタ。
【請求項9】
コネクタシステムであって、
第1の筐体の両側に位置付けられる第1の装着面および第1の嵌合面を有する第1の筐体であって、前記第1の装着面から前記第1の嵌合面へと延在する第1のチャネルを含む、第1の筐体と、
第2の筐体の両側に位置付けられる第2の装着面および第2の嵌合面を有する第2の筐体であって、前記第2の装着面から前記第2の嵌合面へと延在する第2のチャネルを含む、第2の筐体と、
前記第1のチャネル内に位置付けられるれんが状端子ブロックとしての第1の端子ブリックであって、前記第1の端子ブリックがさや状の収容部である第1のポッドおよび第1の接地端子であってその大部分における長手方向に垂直な断面の形状がU字である第1の接地端子を含み、前記第1のポッドがフレーム内に位置付けられる一対の信号端子を備え、それぞれの信号端子が接点、尾部、および該尾部の間に延在する本体を有し、前記信号端子がエッジ結合を提供するように整列される、第1の端子ブリックと、
前記第2のチャネル内に位置付けられるれんが状端子ブロックとしての第2の端子ブリックであって、前記第2の端子ブリックがさや状の収容部である第2のポッドおよび第2の接地端子であってその大部分における長手方向に垂直な断面の形状がU字である第2の接地端子を含み、前記第2のポッドがフレーム内に位置付けられる一対の信号端子を備え、該一対の信号端子のそれぞれの信号端子が接点、尾部、および前記尾部の間に延在する本体を有し、前記一対の信号端子がエッジ結合を提供するように整列され、前記第1の端子ブリックの前記接点が、前記第2の端子ブリックの前記接点と嵌合するように構成される、第2の端子ブリックと、
を備える、コネクタシステム。
【請求項10】
前記第1の筐体が、一緒に連結される2つの筐体で形成され、前記2つの筐体が、それぞれ前記第1のチャネルを画定する開口を含む、請求項9に記載のコネクタシステム。
【請求項11】
前記第2の端子ブリックの少なくとも2つの接点が、前記第1の端子ブリックの前記接点によって互いに反対の方向に偏向される、請求項9に記載のコネクタシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2011年3月17日に出願された米国仮特許出願第61/453,847号に対する優先権を主張し、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、コネクタの分野、より詳細には、高データレートの用途に対応するために好適なコネクタに関する。
【背景技術】
【0003】
電気コネクタには多様な構成があり、概してそれらが装着される回路基板に対して直角または垂直な向きを提供するように構成される。2つの回路基板が平行な向きで提供され、2つの適切に構成されたコネクタが、2つの回路基板が垂直移動で一緒に嵌合されることを可能にするように設計される場合、このコネクタはメザニン型コネクタと呼ばれることがある。いくつかのメザニン型のコネクタが存在するが、そのような設計にとり問題であり続けている1つの問題は、密度増加に対する要求(例えば、1平方インチ毎のピン数を増加させる要望)である。例えば、1GHzで問題なく無視され得る詳細が、周波数が10GHzを超えて増大すると、重大な障壁になり得るため、より高い周波数でも良好に機能する密なコネクタを提供することは、多くの場合、困難である。したがって、特定の個人はメザニン型コネクタにおける更なる改善を高く評価するであろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
筐体に、嵌合面および装着面が提供される。チャネルは2つの表面の間に延在する。
れんが状端子ブロックとしての端子ブリックは第1の方向でチャネル内に挿入され、それぞれの端子ブリックは接地端子および1対の信号端子を含み得る。実施形態において、信号端子は、第2の方向にポッドを平行移動することによって装着されるポッド内に設けられ得、したがって、ポッドは、U字形状であり得る接地端子に係合する。
【0005】
本発明は例として例証され、添付の図において限定されず、ここで同種の参照番号は、同様の要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】コネクタシステムの実施形態の斜視図である。
【
図2】コネクタシステムの実施形態の断面の斜視図である。
【
図3】コネクタシステムの実施形態の断面の斜視図である。
【
図4】
図3に図示されるコネクタシステムの別の断面の斜視図である。
【
図5】コネクタシステムの実施形態の断面の斜視図である。
【
図6】コネクタシステムの実施形態の断面の斜視図である。
【
図7】コネクタシステムの実施形態の部分的分解斜視図である。
【
図10】
図8に図示される実施形態の部分的分解斜視図である。
【
図12】
図11に図示される端子ブリックの別の斜視図である。
【
図16】
図11に図示される端子ブリックの別の斜視図である。
【
図17】
図11に図示される端子ブリックの別の斜視図である。
【
図18】端子ブリックの実施形態の部分的分解斜視図である。
【
図19】コネクタの実施形態の断面の斜視図である。
【
図21】コネクタの実施形態の部分的分解斜視図である。
【
図24】
図22に図示される端子ブリックの別の斜視図である。
【
図25】
図22に図示される端子ブリックの別の斜視図である。
【
図26】
図22に図示される端子ブリックの部分的分解斜視図である。
【
図27】コネクタの実施形態の断面の斜視図である。
【
図29】
図28に図示されるコネクタ筐体の断面の別の斜視図である。
【
図30】嵌合された1対の端子ブリックの斜視図である。
【
図31】1対の嵌合された端子ブリックの断面の拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
後続する詳細な説明は例示的な実施形態を記載し、明示的に記載される組合せ(複数可)に限定されるものではない。ゆえに、別途注記されない限り、本明細書に開示される特徴は、簡明さの目的のために別途示されない付加的な組合せを形成するように一緒に組み合わされてもよい。
【0008】
出願人は、既存の設計についての1つの問題が、異なる高さのメザニンコネクタを作製することについての問題であると特定した。異なる用途は、接続される回路基板の間に異なる間隙を要求する場合がある。例えば、
図1は、メザニン型の基板と基板との接続を提供するように第2のコネクタ300に嵌合する、第1のコネクタ100を含む、コネクタシステム10を例示する。理解され得るように、異なる用途は、異なる間隙要求を有する場合があり、コネクタ(および/または矩形および正方形等の様々なフットプリント)によって支持される端子の数に対する異なる要求も有する場合がある。過去には、これは、全ての異なる寸法の要求に対処するために大量の高価な工具を必要とする傾向にあった。
【0009】
出願人は、この問題への1つの解決方法が、2つの部品として形成され、次いで一緒に結合される第1のセクション120と第2のセクション130を有する筐体110を提供することであると特定した。第1のセクション120がそれぞれ端子ブリック150を受容し得るフロア121の複数の開口122を伴う、第1のフロア121を有し、第2のセクション130がそれぞれ端子ブリック150を受容し得る開口132を伴う、第2のフロア131を有するとき、2つのフロア121、131は、所望の位置および向きで端子ブリック150を支持し得る。したがって、筐体110に装着面110aと嵌合面110bとの間で所望の距離を提供するように、端子ブリック150の長さ168を調整し、第1のセクション120の壁部126の高さ128を調整することが可能である。しかし、2つの筐体構造がより低いコストの設計を提供すると考えられる一方で、本明細書に開示される他の特徴を利用することが必要とされないことに留意されたい。
【0010】
理解され得るように、開口122、132は一緒に、筐体110を通って延在するチャネル105を形成するように補助し、実施形態(
図2に図示される)において、チャネル105は、第1の筐体110および第2の筐体310が一緒に嵌合されるとき、第1の筐体110の装着面と第2の筐体310の装着面310aとの間で実質的に一直線の方向に延在し得る。
【0011】
例示される設計の1つの重要な利益は、端子ブリック150の性能が端子ブリック150の構造に基づいて予め定められ得ることである。図示されるように、端子ブリック150は、ポッド152および接地端子160を備える。ポッド152は、1対の信号端子170の周囲に形成されたフレーム155を含み、端子ブリック150は、信号端子170によって形成される差動対180を本質的に絶縁する想像線401を形成する、接地端子160との連通チャネルを提供する(
図27によって理解され得るように)。したがって、端子のアレーにおいて、犠牲の端子ブリックVは、囲繞する信号端子からの信号端子S1、S2のための良好な電気的分離を提供し得る。
【0012】
端子(信号端子および接地端子の両方)は、尾部162、172上に設けられ、回路基板上の対応するパッドに端子をはんだ付けするために使用されるように構成される、はんだ塊163を含み得る。あるいは、尾部は、回路基板に圧入嵌合するように構成され得るであろう。はんだ取付け構造の1つの利点は、支持回路基板がビアを含まなくてもよいことであり、したがって、回路基板のルートアウト構成が単純化され得る。
【0013】
接地端子160は、係合角度θ2を有する接点161を含み、一方信号端子は、それぞれ係合角度θ1を有する接点171を有する。2つの係合角度は、実質的に反対であり、理解され得るように、図示される設計の1つの利益は、端子ブリック150が引き抜くことなく嵌合接点に容易に係合し得ることである。これは、端子が同じ側面で嵌合接点に係合するのみでなく、却って嵌合工程中に及ぼされる力が実質的に均衡され得る、構成を提供する利益をもたらす。したがって、例示される実施形態は、対向するコネクタと嵌合する間に筐体120、130上に与えられるストレスを潜在的に低減する。これは、尾部上のストレスを低減するように補助し得、コネクタが回路基板上に信頼可能に装着されたままであるというより大きな保証を提供し得る。
【0014】
図示されるように、接地端子160は、信号端子の尾部172と整列される、2つの尾部を含む。典型的に、コネクタの嵌合および/または装着インターフェースは、インターフェースで必要である構造の変化のために、端子のインピーダンスを変更する。信号端子と整列され、支持回路基板へと延在する、接地端子160の2つの尾部162を有することによって、差動端子のインピーダンスは、長さ全体に渡って所望の値(用途に応じて変化してもよい)により接近して保持され得る。したがって、理解され得るように、この設計は基板まで常に一貫したインピーダンスを提供するように補助し(そして装着インターフェース内のインピーダンスにあまり変化を提供しないように補助する)、また、隣接する端子ブリックの信号端子から信号端子を遮蔽するように補助する。
【0015】
実施形態において、フレーム155は、離間配置され、信号端子170を支持するために付加的構造を提供するブロックを含む。性能を改善するために、信号端子170は、互いに整列されるが、接地端子160から片寄る、変位された部分175を含み得る。端子の幅が変位された部分に保持される一方、ネックダウン部分176a、176bは、信号端子を提供するために使用される金属の量を減少させる。曲げられた部分180は、嵌合コネクタ上の嵌合端子に係合する接点171を提供する。理解され得るように、信号端子170の接点171は、接地端子の接点161の方に曲げられるので、接地端子側面に2つの接点を有することは所望でないことが特定されている。代わりに、接点161および信号接点171は、よりインラインな関係(完全にインラインであり得、または完全にインラインでない場合がある)の方に移行するように曲げられ、したがって、U字形状の接地端子(端子ブリック150/350によって提供される)に少なくとも部分的に囲まれる、
エッジ結合された信号と信号との対に戻って移行する前に、実質的に信号/接地/信号の向きであるものを提供し得る。
【0016】
図18から理解され得るように、フレーム155は、信号端子と整列された1つ以上の窓158を含み得る。理解され得るように、これは信号端子と関連付けられた誘電率を低下させる傾向を有し、端子ブリックの長さ全体に一貫したインピーダンスを提供するように補助する一方、信号端子および接地端子の電気長が実質的に一様であるように信号端子を調整するために使用される。2つの窓が開示されるが、1つの窓またはより大きい数の窓も使用され得る(複数の窓を使用することは関連付けられた誘電率を増大させる場合がある一方、1つの窓を使用することは、端子ブリックの強度を低下させる場合があることが理解される)ことに留意されたい。
【0017】
理解され得るように、端子ブリック150は、筐体110によって提供される対応するチャネル内に第1の方向D1に挿入される。しかし、ポッド152は、第1の方向D1に対して実質的に垂直である第2の方向D2での平行移動によってU字形状の接地端子160と嵌合される。これは、ポッド152が、端子ブリック150の筐体110内への据付け中に接地端子160からより取り外されにくいことを確実にするように補助する。ポッドは、接地端子160内の対応する開口164とのスナップフィットを有する、複数のフィンガ156を含み得る。
【0018】
コネクタ100はコネクタ300と嵌合し、コネクタ300は、端子ブリック350を支持する筐体310を含み、かつ装着面310aおよび嵌合面310bを含む。嵌合面110bおよび310bの特徴が、所望である場合(例えば、コネクタ110が周囲付近に延在し、コネクタ310を受容するように構成されるリップを有し得る)、反対になり得る極性を有することに留意されたい。筐体310はフロア320から延在する支柱315を含み、支柱は端子ブリック350を支持するチャネルを画定する。
【0019】
端子ブリック350は、フレーム355と共に信号端子370を支持するポッド352を含む。ポッド352は、ポッド352を第4の方向D4に平行移動することによって(これは、ポッド352および接地端子360の相対運動によって達成され得る)接地端子360上に装着され得る。次に、結果としてもたらされた端子ブリック350が、第3の方向D3に平行移動することによって筐体310内に挿入され得、方向D3およびD4は互いに実質的に垂直であり得る。
【0020】
端子ブリック350が端子ブリック150に類似した構造を有し得ることに留意されたい(上述)。例えば、信号端子370は、それぞれ接点371およびはんだ塊378を支持し得る尾部372を含む。接地端子360は、組み合わせてU字形状のチャネルを形成する側面367を有する、基部366を含む。接地端子360は、接点361およびそれぞれ、はんだ塊368を支持し得る2つの尾部362を更に含む。
【0021】
接点371が対向する縁部376a/376bを有するアームによって支持され、縁部376a/376bの間の間隙が嵌合インターフェース内の差動インピーダンスを制御するように調整され得ることに留意されたい。したがって、端子ブリック350に連結される端子ブリック150を含む、連通チャネルが提供され得る。端子ブリック(およびそれぞれの筐体)のうちの1つの長さは、最小の設計数でいくつかの異なる間隙要求を支持し得るコネクタシステムを提供するように、他と別に調整され得る。
【0022】
図31から理解され得るように、接点371および接点361は、接点161、171に嵌合するときに、反対方向に偏向するように構成される。これは、コネクタ300がコネクタ100と嵌合するときに、端子ブリックおよび結果としてもたらされた筐体上のストレスを低減するように補助し、端子のはんだ接合上に及ぼされる力を低減するようにも補助し得る。
【0023】
本明細書に提供される開示は、その好ましい例示的な実施形態の観点からの特徴を記載する。添付の特許請求の範囲および趣旨内での、他の多数の実施形態、修正、および変形は、本開示の検討から当業者に想起されるであろう。