【実施例1】
【0015】
本実施例は、本発明をスロットマシンに適用したものである。
なお、スロットマシンの種々の構成は周知であるため、これを省略する。
【0016】
(スロットマシン1)
図1は、本実施例に係るスロットマシン1の電気的な構成を示すブロック図である。
スロットマシン1は、メイン制御基板2と、サブ制御基板3と、液晶制御基板4、払出し制御基板5とを備えている。
【0017】
(メイン制御基板2)
メイン制御基板2は、プログラムを実行するプロセッサであるメインCPU21と、メインCPU21が実行するプログラムを予め記憶した読み取り専用のメインROM22と、メインCPU21がプログラムを実行する際に生成される一時的なデータを記憶する読み書き可能なメインRAM23と、サブCPU31と通信を行うためのサブ用通信回路24と、払出し用CPU51と通信を行うための払出し用通信回路25を備える。なお、メイン制御基板2は、本発明に係る第1の制御部に相当する。
【0018】
メインCPU21は、メインROM22に記憶されているメインプログラムを実行し、主として、遊技者の操作状況に応じた制御(メイン制御)を行う。
【0019】
また、メイン制御基板2は、投入センサ11、ベットスイッチ12、スタートスイッチ13、ストップスイッチ14、リセットスイッチ15、メダル検知センサ16と接続され、これらの機器からの信号を入力する。さらに、メイン制御基板2は、リール17、メダル投入経路切換え装置18と接続され、これらの機器に信号を出力する。
【0020】
投入センサ11は、遊技者がメダルを投入するメダル投入口の内部に配設され、遊技者により投入されたメダルが後述の貯留経路を1枚通過するごとに、その旨をメインCPU21に通知する。このとき、メインCPU21は、投入センサ11からの通知を検知すると、遊技者所有のメダルとしてメインRAM23に記憶されているクレジットメダルの枚数に「1」を加算する。
【0021】
ベットスイッチ12は、遊技者が1回の遊技に使用する賭け数を設定するためのものであって、遊技者により操作されると、その旨をメインCPU21に通知する。メインCPU21は、賭け数の設定が可能な状態において、ベットスイッチ12からの通知を受けると、1回の遊技に必要なメダルの枚数(規定数)のクレジットメダルを賭け数として設定する。規定数は、1枚以上の任意の枚数で良いが、スロットマシン1では、「3枚」を規定数としている。
【0022】
スタートスイッチ13は、遊技者が1回の遊技を開始するためのものであって、遊技者により操作されると、その旨をメインCPU21に通知する。メインCPU21は、規定数の賭け数が設定された状態において、スタートスイッチ13からの通知を受けると、リール17の回転を開始する。
【0023】
ストップスイッチ14は、遊技者がリール17の回転を停止させるためのもので、1個のストップスイッチに1個のリールが対応付けられている。スロットマシン1では、3個のストップスイッチ14L,14C,14Rが配設され、3個のストップスイッチ14L,14C,14Rは3個のリール17L,17C,17Rにそれぞれ対応する。メインCPU21は、操作されたストップスイッチ14に対応するリール17が回転している状態において、ストップスイッチ14からの通知を受けると、操作されたストップスイッチ14に対応するリール17の回転を停止する。
【0024】
リセットスイッチ15は、スロットマシン1が設置されるパチンコ店の従業員などスロットマシン1の管理者が操作するためのものである。ここで、スロットマシン1は、前方が箱型の筐体と、筐体の前方を塞ぐ前扉とから構成されているが、前扉には錠前が配設され、管理者のみが所有する鍵がなければ、前扉を開放することができない構造になっている。そして、リセットスイッチ15は、スロットマシン1の前扉を開放しなければ操作できない位置、例えば、前扉の裏面(遊技者と正対しない面)や筐体の内部などのスロットマシン1の内部、に配設されている。このように、リセットスイッチ15は、管理者のみが操作でき、遊技者は操作できないように配設されている。
【0025】
また、リセットスイッチ15は、操作されると、その旨をメインCPU21に通知する。メインCPU21は、スロットマシン1をエラー状態に制御している状態において、リセットスイッチ15からの通知を受けると、エラー状態を終了し、中断していた通常状態のメイン制御を再開する。また、このとき、メインCPU21は、後述の「リセットスイッチ操作コマンド」をサブCPU31に対して送信する。
【0026】
メダル検知センサ16は、払出し装置55の内部に配設されたもので、払出し装置55が払い出すメダルを1枚検知すると、その旨をメインCPU21に通知する。
【0027】
リール17は、遊技者に図柄を表示するためのものであって、スロットマシン1の内部に配設されている。リール17は、円筒の形状であり、その周囲に複数種類の図柄を配置している。スロットマシン1では、1個のリール17の周囲に21個の図柄を等間隔で配置している。
なお、遊技者は、遊技者とリール17との間に配設されたスロットマシン1のリール表示窓を介して、リール17の周囲に配置された図柄を視認するため、リール17が回転を停止した状態では、リール17の周囲に配置された21個の図柄のうちの3個の図柄のみを視認できる。
つまり、スロットマシン1が備える3個のリール17がすべて回転を停止した状態では、リール表示窓には、3行(1個のリール17により視認できる図柄の個数)×3列(リールの個数)の計9個の図柄が表示される。
【0028】
また、スロットマシン1は、1本の中段ラインを入賞ラインとして設定している。入賞ラインは、リール表示窓に表示される図柄の表示位置を組合せたもので、中段ラインとは、3行×3列の図柄表示位置のうち、各列の真ん中の行を組合せたものである。
【0029】
また、リール17には、1個のリール17に1個のステッピングモータが接続されている。各ステッピングモータは、メインCPU21によって、回転または停止が制御される。
【0030】
メダル投入経路切換え装置18は、メダル投入口から投入されたメダルの投入経路を切り換えるためのものである。スロットマシン1は、メダル投入口から投入されたメダルを、スロットマシン1の内部に貯留する貯留経路と、遊技者に返却する返却経路とが配設されており、メダル投入経路切換え装置18は、貯留経路及び返却経路のいずれかの経路を選択的に切り換える。メインCPU21は、賭け数の設定が可能な状態とする場合は経路を貯留経路として、賭け数の設定が不可能な状態とする場合は経路を返却経路とする。
【0031】
サブ用通信回路24は、メインCPU21が生成するサブ用コマンドを用いて、メインCPU21がサブCPU31と通信するためのもので、サブ制御基板3のメイン用通信回路34と配線を介して電気的に接続され、メインCPU21が生成したサブ用コマンドを電気信号に変換してメイン用通信回路34に送信する。
【0032】
図2は、サブ用コマンドを示す図である。サブ用コマンドは、必須の識別部と任意のパラメータ部とから構成されている。識別部はサブ用コマンドの種類を特定するための識別データが格納され、パラメータ部は識別データにより特定される種類に付随する個別的な情報が格納される。識別部は必ず1バイトの識別データが格納される固定長のデータ格納部であるが、パラメータ部は1バイト以上の任意のデータ長のデータが格納される場合もデータが格納されない場合もある可変長のデータ格納部である。なお、図中の「h」は、16進数であることを示す。
【0033】
「スタートスイッチ操作コマンド」は、スタートスイッチ13が操作されたことを示すコマンドである。
「役抽選結果通知コマンド」は、後述する役抽選の結果を通知するコマンドあり、役抽選の結果を特定可能な値をパラメータ部に格納する。
「リール起動通知コマンド」は、リール17が回転を開始することを示すコマンドである。
【0034】
「第1停止操作コマンド」は、全てのリール17が回転をしている状態で、ストップスイッチ14が操作されたことを示すコマンドであり、パラメータ部に操作されたストップスイッチ14を特定可能な値を格納する。換言すると、「第1停止操作コマンド」は、最初に操作されたストップスイッチ14を示すコマンドである。
「第2停止操作コマンド」は、2個のリール17が回転をしている状態で、ストップスイッチ14が操作されたことを示すコマンドであり、パラメータ部に操作されたストップスイッチ14を特定可能な値を格納する。換言すると、「第2停止操作コマンド」は、2番目に操作されたストップスイッチ14を示すコマンドである。
「第3停止操作コマンド」は、1個のリール17が回転をしている状態で、ストップスイッチ14が操作されたことを示すコマンドであり、パラメータ部に操作されたストップスイッチ14を特定可能な値を格納する。換言すると、「第3停止操作コマンド」は、3番目(最後)に操作されたストップスイッチ14を示すコマンドである。
【0035】
「リール全停止通知コマンド」は、全てのリール17が停止したことを示すコマンドである。
「リセットスイッチ操作コマンド」は、リセットスイッチ15が操作されたことを示すである。
【0036】
図1に説明を戻す。
払出し用通信回路25は、メインCPU21が生成する払出し用コマンドを用いて、メインCPU21が払い出し用CPU51と通信するためのもので、払出し制御基板5のメイン用通信回路54と配線を介して電気的に接続され、メインCPU21が生成した払出し用コマンドを電気信号に変換してメイン用通信回路54に送信する。
【0037】
払出し用コマンドは、メダルの払い出しの開始を指示する「払出し開始コマンド」と、メダルの払い出しの終了を指示する「払出し終了コマンド」とがある。
【0038】
(サブ制御基板3)
サブ制御基板3は、プログラムを実行するプロセッサであるサブCPU31と、サブCPU31が実行するプログラムを予め記憶した読み取り専用のサブROM32と、サブCPU31がプログラムを実行する際に生成される一時的なデータを記憶する読み書き可能なサブRAM33と、メインCPU21と通信を行うためのメイン用通信回路34と、液晶用CPU41と通信を行うための液晶用通信回路35と、スロットマシン1の状況をスロットマシン1の外部に通知する外部出力回路36を備える。なお、サブ制御基板3は、本発明に係る第2の制御部に相当する。
【0039】
サブCPU31は、サブROM32に記憶されているサブプログラムを実行し、主として、メインCPU21により送信されたサブ用コマンドの内容に応じた制御(サブ制御)を行う。
【0040】
メイン用通信回路34は、サブCPU31がメインCPU21と通信するためのもので、サブ用通信回路24から送信された電気信号を、サブ用コマンドに変換し、サブRAM33の所定領域(サブ用受信バッファ)に記憶する。
スロットマシン1は、メイン制御基板2のサブ用通信回路24を送信専用とし、サブ制御基板3のメイン用通信回路34を受信専用としている。このため、サブ用コマンドは、メインCPU21からサブCPU31への一方向通信となる。
【0041】
液晶用通信回路35は、サブCPU31が生成する液晶制御用コマンドを用いて、サブCPU31が液晶用CPU41と通信するためのもので、液晶制御基板4のサブ用通信回路44と配線を介して電気的に接続され、液晶制御用コマンドを電気信号に変換して送信する。
【0042】
外部出力回路36は、スロットマシン1が設置されるパチンコ店などの設置場所に配置される管理用コンピュータに対して、スロットマシン1の状況を通知するための外部コマンドを送信する。
外部コマンドは、スロットマシン1にエラーが発生すると、その都度、エラーの内容を特定可能なコマンドが生成され、エラーが発生したときに、管理用コンピュータに対して送信される。
【0043】
管理用コンピュータは、設置場所の遊技者が閲覧できない場所に配置される。このため、管理用コンピュータに対して送信された情報は、管理者のみが閲覧できる。
【0044】
液晶制御用コマンドは、液晶表示器45に出力する映像を特定するコマンドである。
具体的には、「第1停止操作コマンド」の受信時に出力する映像を特定する「第1段階演出コマンド」、「第2停止操作コマンド」の受信時に出力する映像を特定する「第2段階演出コマンド」、「第3停止操作コマンド」の受信時に出力する映像を特定する「第3段階演出コマンド」がある。
【0045】
また、サブ制御基板3は、音声を出力するスピーカ37と接続され、サブCPU31は、スピーカ37に音声を出力するための信号を出力する。
【0046】
(液晶制御基板4)
液晶制御基板4は、プログラムを実行するプロセッサである液晶用CPU41と、液晶用CPU41が実行するプログラムを予め記憶した読み取り用の液晶用ROM42と、液晶用CPU41がプログラムを実行する際に生成される一時的なデータを記憶する読み書き可能な液晶用RAM43と、サブ制御基板3と通信を行うためのサブ用通信回路44とを備える。
【0047】
サブ用通信回路44は、液晶用CPU41がサブCPU31と通信するためのもので、液晶用通信回路35から送信された電気信号を受信すると、液晶制御用コマンドに変換し、液晶用RAM43の所定領域(液晶用受信バッファ)に記憶する。
また、液晶制御基板4は、映像を出力する液晶表示器45と接続され、液晶表示器45が表示する映像の映像データを出力する。
液晶用CPU41は、定期的に液晶用受信バッファの記憶内容を参照し、液晶制御用コマンドが記憶されていれば、液晶用ROM42に記憶されている映像データを参照して、液晶制御用コマンドに対応した映像データを、液晶表示器45に出力する。
【0048】
(払出し制御基板5)
払出し制御基板5は、プログラムを実行するプロセッサである払出し用CPU51と、払出し用CPU51が実行するプログラムを予め記憶した読み取り専用の払出し用ROM52と、払出し用CPU51がプログラムを実行する際に生成される一時的なデータを記憶する読み書き可能な払出し用RAM53と、メイン用通信回路54とを備える。
【0049】
メイン用通信回路54は、払出し用CPU51がメインCPU21と通信するためのもので、払出し用通信回路25から送信された電気信号を受信すると、払出し用コマンドに変換し、払出し用RAM53の所定領域(払出し用受信バッファ)に記憶する。
また、払出し制御基板5は、遊技者にメダルを払い出す払出し装置55と接続され、払出し装置55を構成するホッパーモータを回転または停止する駆動信号を出力する。
【0050】
払出し用CPU51は、定期的に払出し用受信バッファの記憶内容を参照し、払出し用コマンドが記憶されていれば、払出し用コマンドに対応する駆動信号を払出し装置55に対し出力する。
具体的には、払出し用コマンドが「払出し開始コマンド」であれば、ホッパーモータを回転する駆動信号を出力し、払出し用コマンドが「払出し終了コマンド」であれば、ホッパーモータを停止する駆動信号を出力する。
【0051】
(メイン制御)
次に、
図3および
図4を用いて、メインCPU21が実行するメイン制御を説明する。
図3および
図4は、メイン制御の流れを示すフローチャートである。
【0052】
まず、
図3を説明する。
ステップS101では、規定数の賭け数が設定されるまで待機し、規定数の賭け数が設定されると、次のステップへ進む。
ステップS102では、スタートスイッチ13が操作されるまで待機し、スタートスイッチ13が操作されると、次のステップへ進む。また、メインCPU21は、次のステップに進む際に、賭け数の設定が不可能な状態とする。
ステップS103では、「スタートスイッチ操作コマンド」をサブCPU31に対して送信する。
【0053】
ステップS104では、役抽選を行う。役抽選は、予め定められた複数の役に当選したか否かを判断するためのものである。メインCPU21は、まず、一定の範囲内(乱数範囲)の乱数値を生成し、次に、役ごとに定められ、乱数範囲のうちの当選とする範囲を定めた役抽選用データを参照し、そして、乱数値が役抽選用データの定める当選範囲内であるか否かを判断することで役抽選を行う。役抽選用データは、メインROM22に記憶されている。
【0054】
メインCPU21は、メインROM22に記憶されている役ごとの役抽選用データを順次参照し、乱数値が役抽選用データの当選範囲内であれば当該役抽選データに対応する役に当選とし、いずれの役の役抽選用データによっても、当選とならない場合には、当該遊技の役抽選の結果をハズレとする。
ステップS105では、ステップS104の役抽選の結果(役抽選結果)を特定可能な「役抽選結果通知コマンド」をサブCPU31に対して送信する。
【0055】
ステップS106では、前回の遊技における規制遊技時間の判断を終了したとき(前回の遊技におけるステップS106でYESとなったとき)からの経過時間が予め定められた規制遊技時間に達しているか否かを判断する。規制遊技時間は、遊技の間隔が過剰に短くならないようにすることで、遊技者が熱中し過ぎないようにするためのもので、スロットマシン1では「4.1秒間」が規定されている。また、規制遊技時間は、任意に設定することができる時間であって、後述のサブ用基準時間よりも長い時間とすることができる。なお、規制遊技時間は、本発明に係る規制時間に相当する。経過時間が規制遊技時間に達すると、次のステップへ進む。
【0056】
ステップS107では、「リール起動通知コマンド」をサブCPU31に対して送信する。「リール起動通知コマンド」は、ステップS106の処理により、前回の遊技において送信されてから今回の遊技において送信されるまでの経過時間が規制遊技時間よりも短くなることはない。
【0057】
ステップS108では、リール17の回転を開始する。
ステップS109では、リール17の回転速度が所定の速度に達するまで待機し、リール17の回転速度が所定の速度に達すると、次のステップへ進む。
ステップS110では、ストップスイッチ14に対する操作を有効とする。「有効とする」とは、後述の無効化の状態を解除し、ストップスイッチ14から操作された旨の通知に応じて、メインCPU21が処理を行うことをいう。
【0058】
図4に、
図3の続きを示す。
ステップS201では、有効なストップスイッチ14に対する操作があるまで待機し、有効なストップスイッチ14に対する操作があると、次のステップへ進む。
ステップS202では、操作されたストップスイッチ14に対する以後の操作を無効化する。具体的には、無効化されたストップスイッチ14から操作された旨の通知を受けてもメインCPU21は、処理を行わないようにする。
【0059】
ステップS203では、ストップスイッチ14が操作された旨を示すコマンドをサブCPU31に対して送信する。具体的には、全てのリール17が回転をしている状態で(最初に)ストップスイッチ14が操作された場合は、「第1停止操作コマンド」を送信し、2個のリール17が回転をしている状態で(2番目に)ストップスイッチ14が操作された場合は、「第2停止操作コマンド」を送信し、1個のリール17が回転をしている状態で(3番目に)ストップスイッチ14が操作された場合は、「第3停止操作コマンド」を送信する。
【0060】
ステップS204では、操作されたストップスイッチ14に対応するリール17の回転を停止する。具体的には、左ストップスイッチ14Lが操作された場合は、左リール17Lの回転を停止し、中ストップスイッチ14Cが操作された場合は、中リール17Cの回転を停止し、右ストップスイッチ14Rが操作された場合は、右リール17Rの回転を停止する。
ここで、役には図柄の組合せが対応付けられているため、メインCPU21は、役抽選の結果、当選と判断された役に対応する図柄の組合せが入賞ライン上に揃うように、かつ、当選と判断されていない役に対応する図柄の組合せが入賞ライン上に揃わないように、リール17の回転を停止する。
【0061】
ステップS205では、全てのリール17の回転が停止したか否かを判断し、全てのリール17の回転が停止していなければ(回転中のリール17があれば)、ステップS201へ戻る。一方、全てのリール17の回転が停止していれば、次のステップS206へ進む。
ステップS206では、「リール全停止通知コマンド」をサブCPU31に対して送信する。
【0062】
ステップS207では、入賞ライン上に表示されている図柄の組合せを判断する。メインCPU21は、入賞ライン上に表示されている図柄の組合せが役に対応して予め定められた図柄の組合せであれば、役に入賞したと判断する。
ステップS208では、払い出しがある役に入賞したか否かを判断し、払い出しがある役に入賞した場合には、次のステップS209へ進み、それ以外の場合は、ステップS101へ戻る。
【0063】
ステップS209では、払出し用CPU51に対し「払出し開始コマンド」を送信する。
ステップS210では、メダル検知センサ16からの通知に基づき、役に対応した枚数のメダルを払い出したか否かを判断し、役に対応した枚数のメダルを払い出すまで待機する。役に対応した枚数のメダルを払い出したと判断すれば、次のステップへ進む。
ステップS211では、払出し用CPU51に対し「払出し終了コマンド」を送信し、ステップS101へ戻る。
【0064】
メインCPU21は、ステップS208でNOとなるか、または、ステップS211を終了すると、1回の遊技を終了し、次回の遊技のための賭け数の設定が可能な状態にする。
【0065】
以上のように、本実施例では、メインCPU21は、メイン制御において1回の遊技に係る一連の処理を繰返し実行する。そして、当該一連の処理において、進行状況に応じて、「スタートスイッチ操作コマンド」→「役抽選結果通知コマンド」→「リール起動通知コマンド」→「第1停止操作コマンド」→「第2停止操作コマンド」→「第3停止操作コマンド」→「リール全停止通知コマンド」の順序(以下、規定順序という。)で、7種類のサブ用コマンドを1種類ずつサブ制御基板3に送信するよう構成されている。すなわち、かかる7種類のサブ用コマンドは、本発明に係る「複数種類のコマンド」に相当するものである。
【0066】
(サブ制御)
次に、
図5を用いて、サブCPU31が実行するサブ制御の説明をする。サブ制御は、サブ用コマンドを受信するごとに、受信したサブ用コマンドの種類に応じた処理を行う。
ステップS301では、サブ用コマンドを受信するまで待機する。具体的には、サブCPU31は、定期的に、サブ用受信バッファにサブ用コマンドが記憶されているか否かを確認する。そして、サブCPU31は、サブ用コマンドを受信すると(サブ用受信バッファにサブ用コマンドが記憶されていると)、次のステップへ進む。
【0067】
ステップS302では、今回受信したサブ用コマンドと同一種類のサブ用コマンドについて、前回受信してから今回受信するまでの経過時間(同一種類コマンド経過時間)が、サブ用基準時間に達しているかを判断する。サブ用基準時間は、通常の遊技で想定される最短の時間に基づいて予め定めた時間である。具体的には、メインCPU21の性能により規定されるサブ用コマンドを送信し得る最短の時間や、遊技者が通常の遊技において操作し得る最短の時間などから予め導出可能な時間である。また、導出した時間に対し任意の時間を加算した時間をサブ用基準時間としても良い。なお、サブ用基準時間は、本発明に係る基準時間に相当する。
【0068】
ここで、サブ制御基板3には、各種類のサブ用コマンドを最後に受信してからの経過時間を計時する受信間隔タイマTM1〜TM7が設けられており、ステップS302においては、かかる受信間隔タイマTM1〜TM7の計測値によって、受信したサブ用コマンドの同一種類コマンド経過時間を知ることができる。
【0069】
受信間隔タイマTM1〜TM7について詳述すると、受信間隔タイマTM1〜TM7は、サブCPU31が備えるタイマ割込み機能を利用して作動するソフトウェアタイマであり、上記7種類のサブ用コマンド毎に配設される。
図6に示すように、各受信間隔タイマTM1〜TM7は、対応する種類のサブ用コマンドを受信すると、当該受信時点からの経過時間の計時を開始する。そして、同種類のサブ用コマンドを再受信するたびに計測値をクリアして、当該受信時点からの経過時間の計時を新たに開始する。例えば、受信間隔タイマTM1は、スタートスイッチ操作コマンドに対応しており、サブCPU31がスタートスイッチ操作コマンドを受信する度に計測値がクリアされ、その時点から新たに計時を開始するよう構成されている。
【0070】
そして、ステップS302において、サブ用基準時間に達していなければ、ステップS303へ進み、サブ用基準時間に達していれば、不正行為の疑いの強い異常が発生したと判断して、ステップS306へ進む。
【0071】
ステップS303では、不正検知時処理を実行する。具体的には、不正行為を検知したことを示す外部コマンドを外部出力回路36から送信する。
ステップS304では、エラー報知用の液晶制御用コマンドを液晶用CPU41に対し送信し、液晶表示器45に不正行為の疑いがある旨の警告を表示する。また、このとき、スピーカ37に対して、不正行為の疑いがある旨の音声を出力するための信号を出力する。
ステップS305では、リセットスイッチ15に対する操作があるまで、待機する。具体的には、メインCPU21から送信される「リセットスイッチ操作コマンド」を受信するまで待機する。リセットスイッチ15に対する操作があれば、ステップS301へ戻り、通常の処理を再開する。
【0072】
なお、不正検知時処理(S303)は、サブ用コマンドをサブ用基準時間や規制遊技時間よりも短い時間で受信した場合の処理である。これらの異常は、ほぼ自然発生しない事象であるため、スロットマシン1では、受信したサブ用コマンドが不正行為者によって外部から不正に入力されたコマンドである蓋然性が高いとして、以降の処理を中断し、管理者によるエラー解除の操作が行われるまで、液晶表示器45により警告の表示等を行うエラー状態とする。しかし、遊技の進行を妨げないように、不正行為を検知しても、管理者への通知は行うものの、以降の処理は中断しないことにしても良い。
【0073】
ステップS306では、受信したサブ用コマンドが「リール起動通知コマンド」であるか否かを判断する。「リール起動通知コマンド」は、サブCPU31で、サブ用コマンドの受信順序を判断する契機となるコマンドである。また、リール起動コマンドは、上述のように、送信側のメインCPU21により、同一種類のコマンドを送信する送信間隔が予め定められた時間よりも短くならないように送信されるコマンドでもある。すなわち、本実施例では、「リール起動通知コマンド」が、本発明に係る第1種のコマンドに相当する。また、「リール起動通知コマンド」以外の各種類のサブ用コマンドは、本発明に係る第2種のコマンドに相当する。
【0074】
ステップS307では、受信したサブ用コマンドの受信順序が規定順序であるかを判断する受信順序判定処理を実行する。受信順序判定処理については後述する。
ステップS308では、受信順序エラーフラグがONであるか否かを判定する。受信順序エラーフラグは、受信順序判定処理で、規定順序でサブ用コマンドを受信していないと判断した場合にONとなるものである。そして、受信順序エラーフラグがONでなければステップS309へ進み、受信順序エラーフラグがONであればステップS310に進む。
【0075】
ステップS309では、ステップS302で使用した「リール起動通知コマンド」に係る同一種類コマンド経過時間が、規制遊技時間に達しているかを判断する。規制遊技時間に達していれば、ステップS313へ進む。一方、規制遊技時間に達していなければ、不正行為の疑いの強い異常が発生したと判断して、上述のステップS303へ進み、不正検知時処理を実行する。
【0076】
ステップS310では、順序異常検知時処理を実行する。具体的には、順序異常を検知したことを示す外部コマンドを外部出力回路36から送信する。
これにより、管理者は、異常発生した旨を知ることができ、スロットマシン1の状況を目視により確認することにより、不正行為者を発見することができる。なお、サブ用コマンドが欠落することは、静電気の影響により自然発生し得る事象である。このため、スロットマシン1では、遊技の進行を妨げないように、管理者へ通知するものの、以降の処理は通常どおりに実行する。しかし、順序異常を検知したことをもって、以降の処理を中断し、スピーカ37や液晶表示器45を用いて警報を出力することにし、不正行為者の摘発をより強固に行うことにしても良い。
【0077】
ステップS311では、復旧処理を実行し、ステップS312へ進む。具体的には、受信順序判定処理(S307)では、欠落したと推定される種類のサブ用コマンドに対応した処理を実行する。例えば、「役抽選結果通知コマンド」の欠落が推定された場合は、「役抽選結果通知コマンド」の受信時に対応した処理を実行する。
【0078】
ステップS312では、受信順序エラーフラグをOFFにして、ステップS313へ進む。
【0079】
ステップS313,S314では、受信したサブ用コマンドに係る受信間隔タイマTM1〜TM7の計測値をクリアして、当該時点からの経過時間の計時を開始させる。
そして、ステップS315では、受信したサブ用コマンドに応じた処理を実行する。具体的には、受信したサブ用コマンドに応じた演出を実行する。その後、ステップS301へ戻る。
【0080】
次に、上記受信順序判定処理(
図5:S307)について詳述する。
受信順序判定処理では、今回受信したサブ用コマンド(リール起動通知コマンド)について、同種のサブ用コマンドを前回受信したときからの経過時間(同一種類コマンド経過時間)と、その他の種類のサブ用コマンドを最後に受信してから「リール起動通知コマンド」の経過時間(異種類コマンド経過時間)と、を比較することで、サブ用コマンドの受信順序が予め定められた順序であるか否かを判断する。
なお、「リール起動通知コマンド」の同一種類コマンド経過時間は、本発明に係る第1の経過時間に相当し、その他の種類のサブ用コマンドついての各異種類コマンド経過時間は、本発明に係る第2の経過時間に相当する。
【0081】
図7は、受信順序判定処理の具体的な制御内容である。
ステップS401では、「リール起動通知コマンド」に係る受信間隔タイマTM3の計測値を、その他の受信間隔タイマTM1,TM2,TM4〜TM7の計測値と比較する。
ここで、受信順序判定処理は「リール起動通知コマンド」の受信時に実行するため、ステップS401の時点で、「リール起動通知コマンド」に係る受信間隔タイマTM3の計測値には、「リール起動通知コマンド」の同一種類コマンド経過時間が記憶される。一方、その他の受信間隔タイマTM1,TM2,TM4〜TM7の各計測値には、その他の種類のサブ用コマンドの異種類コマンド経過時間が夫々記憶される。すなわち、かかるステップS401では、「リール起動通知コマンド」の同一種類コマンド経過時間と、その他の種類のサブ用コマンドの異種類コマンド経過時間とが比較される。
【0082】
図8(a)のタイミングチャートを参照して具体的に説明する。
図8(a)中のB時点では、メインCPU21からサブCPU31に、m+1回目の遊技に係る「リール起動通知コマンド」が送信され、これにより、サブCPU31が受信順序判定処理を実行する。このとき、「リール起動通知コマンド」に係る受信間隔タイマTM3の計測値t3は、m回目の遊技に係る「リール起動通知コマンド」を受信したA時点からB時点までの経過時間、すなわち、「リール起動通知コマンド」の同一種類コマンド経過時間となっている。一方、その他の受信間隔タイマTM1,TM2,TM4〜TM7の計測値t1,t2,t4〜t7は、その他の種類のサブ用コマンドを最後に受信してからB時点までの経過時間、すなわち、その他のサブ用コマンドの異種類コマンド経過時間となっている。
【0083】
上述のように、7種類のサブ用コマンドは、規定順序でメインCPU21から一種類ずつ送信されるため、サブ用コマンドが規定順序で送受信されていれば、「リール起動通知コマンド」と、「リール起動通知コマンド」以外の各種類のサブ用コマンドが、サブCPU31で、任意の2種類のサブ用コマンドが交互に受信される。すなわち、サブ用コマンドの送受信が正常であれば、
図8(a)に示すように、「リール起動通知コマンド」の前回受信時(A時点)から今回受信時(B時点)までに、その他の6種類のサブ用コマンドがサブCPU31で一回ずつ受信されることとなる。したがって、サブ用コマンドの送受信が正常である場合は、「リール起動通知コマンド」に係る同一種類コマンド経過時間t3は、その他のサブ用コマンドの異種類コマンド経過時間t1,t2,t4〜t7のいずれよりも長くなる。
【0084】
このため、受信順序判定処理(
図7参照)では、ステップS402において、「リール起動通知コマンド」に係る受信間隔タイマTM3の計測値t3が、受信間隔タイマTM1〜TM7の計測値t1〜t7の中で最大であるか否かを判定し、t3が最大である場合には、サブ用コマンドの受信順序が正常であると判断して、そのまま受信順序判定処理を終了する。
【0085】
次に、サブ用コマンドの受信順序が規定順序ではない場合を説明する。
図8(b)は、サブ用コマンドが欠落した場合のタイミングチャートである。かかる例では、図中のD時点で、n+1回目の遊技の「役抽選結果通知コマンド」が欠落する。このため、当該D時点で、「役抽選結果通知コマンド」に係る受信間隔タイマTM2がクリアされず、当該受信間隔タイマTM2は、前回遊技(n回目)のコマンド受信時(図中C時点)からの経過時間の計時を継続する。このため、かかる場合には、「役抽選結果通知コマンド」の欠落後、図中Eの時点で受信順序判定処理が実行されたときに、「リール起動通知コマンド」に係る受信間隔タイマTM3の計測値t3(同一種類コマンド経過時間)よりも、役抽選結果通知コマンドに係る受信間隔タイマTM2の計測値t2(異種類コマンド経過時間)が大きくなる。
【0086】
このように、一部のサブ用コマンドが欠落した場合には、欠落したサブ用コマンドに係る受信間隔タイマTM1,TM2,TM4〜TM7の計測値t1〜t7が、「リール起動通知コマンド」に係る受信間隔タイマTM3よりも大きくなるため、受信順序判定処理(
図7参照)では、ステップS402において、「リール起動通知コマンド」に係る受信間隔タイマTM3の計測値t3が、受信間隔タイマTM1〜TM7の計測値t1〜t7の中で最大であるか否かを判定し、t3が最大でない場合には、サブ用コマンドの受信順序が異常であると判断して、ステップS403へ進む。
【0087】
ステップS403では、受信順序エラーフラグをONにして、ステップS404へ進む。
ステップS404では、欠落したと推定される種類のサブ用コマンドをチェックして、受信順序判定処理を終了する。具体的には、「リール起動通知コマンド」に係る受信間隔タイマTM3よりも計測値が長かった受信間隔タイマTM1,TM2,TM4〜TM7に係るサブ用コマンドを、欠落したと推定する。
【0088】
以上のように、本実施例では、「リール起動通知コマンド」の受信時に、「リール起動通知コマンド」の同一種類コマンド経過時間と、その他の種類のサブ用コマンドの異種類コマンド経過時間とを比較することで、サブ用コマンドが規定順序であるか否かを判断することができる。
【0089】
ここで、「リール起動通知コマンド」の同一種類コマンド経過時間は、コマンドの受信間隔が正常であるか否かの判断時に、サブ用基準時間や規制遊技時間と比較されるものでもある。このため、本実施例では、コマンドの受信順序異常と受信間隔異常の二つの判断に係る構成を共通化することができ、コマンドの通信異常検知に係る構成を簡易化できるという利点がある。
【0090】
また、異種類コマンド経過時間を計時するための受信間隔タイマTM1,TM2,TM4〜TM7は、「リール起動通知コマンド」以外のサブ用コマンドの同一種類コマンド経過時間の計時にも用いられて、コマンドの受信間隔が正常であるか否かを判断するのに用いられる。このため、本実施例にあっては、かかる受信間隔タイマTM1,TM2,TM4〜TM7を、コマンドの受信順序異常と受信間隔異常の二つの判断で兼用することで、コマンドの通信異常検知に係る構成を簡易化できるという利点がある。
【0091】
また、本実施例のスロットマシン1は、サブ用コマンドの受信順序判定に係るサブ制御基板3の構成を変更することなく、メイン制御基板2でサブ用コマンドの送信順序を変更できるという利点がある。以下、具体的に説明する。
【0092】
(サブ用コマンドの送信順序を変更する場合)
例えば、サブ用コマンドの通信仕様の変更により、本実施例に係る「役抽選結果通知コマンド」と「リール起動通知コマンド」の送信順序を、メイン制御基板2で入れ替えるとする。
この場合、従来からある、コマンドの種類と送信順序とを対応付けたチェック番号とコマンドを受信するごとに受信側の制御部が所定の数値を加算する通信エラーチェックカウンタとを備え、チェック番号の値と通信エラーチェックカウンタの値とが一致しているか否かを判断する仕組みでは、少なくとも、コマンドの受信側で「役抽選結果通知コマンド」や「リール起動通知コマンド」に対応するチェック番号と、チェック番号の値と通信エラーチェックカウンタの値とが一致しているか否かを判断する処理とを変更しなければならない。
【0093】
これに対して、本実施例は、「役抽選結果通知コマンド」と「リール起動通知コマンド」の送信順序を入れ替えたとしても、
図9に示すように、サブ用コマンドが正確に送受信されていれば、「リール起動通知コマンド」を受信する図中のF時点で、「リール起動通知コマンド」に係る受信間隔タイマTM3の計測値t3が、他の受信間隔タイマの計測値t1,2,4〜7よりも大きくなる。このため、本実施例の構成であれば、受信間隔タイマTM1〜TM7や受信順序判定処理などの、サブ用コマンドの受信順序判定に係るサブ制御基板3の構成を全く変更することなく、サブ用コマンドの受信順序の異常を検出できる。
【0094】
このように、本実施例は、サブ用コマンドの送信順序を変更した場合、チェック番号を使用した仕組みに比べ、制御処理の全面的な変更をする必要がないため、サブ用コマンドを正常な順序で受信できたか否かを判断する仕組みの汎用性を向上させることができる。
【0095】
また、本実施例のスロットマシン1は、チェック番号を使用した仕組みに比べ、サブ用コマンドの受信順序判定に係る制御処理を変更することなく、送信するサブ用コマンドの種類を追加できるという利点がある。以下、具体的に説明する。
【0096】
(サブ用コマンドを追加する場合)
例えば、サブ用コマンドの通信仕様の変更により、本実施例に係る「スタートスイッチ操作コマンド」と「役抽選結果通知コマンド」との間に、新たなサブ用コマンド(追加コマンド)を追加したとする。
この場合、従来からある、チェック番号と通信エラーチェックカウンタとを用いた仕組みでは、少なくとも、追加したコマンド以降に受信するコマンドのチェック番号と、チェック番号の値と通信エラーチェックカウンタの値とが一致しているか否かを判断する処理とを変更しなければならない。
【0097】
しかしながら、本実施例は、追加コマンドに対応する最小限の制御の変更で良い。
例えば、
図10に示すように、各種サブ用コマンド受信時からの経過時間の計時は、追加コマンドに対応する受信間隔タイマTM8を追加するのみで、その他の受信間隔タイマTM1〜TM7の構成を変更する必要がない。
【0098】
また、同様に、受信順序判定処理の実行時(
図10中のG時点)では、追加した受信間隔タイマTM8の計測値t8を、追加コマンドに係る異種類コマンド経過時間として比較対象に加えるだけで良い。
【0099】
つまり、本実施例は、追加したサブ用コマンドの受信順序判定に係る処理の変更が、既存のサブ用コマンドに対応する処理に大きな影響を与えないため、追加したサブ用コマンドに対応する制御の変更が少なくなる。
【0100】
このように、本実施例は、サブ用コマンドを追加した場合、チェック番号を使用した仕組みに比べ、制御処理の全面的な変更をする必要がないため、サブ用コマンドを正常な順序で受信できたか否かを判断する仕組みの汎用性を向上させることができる。
【0101】
(第1実施例の変形例)
上記実施例では、本発明を、メインCPU21(メイン制御基板)とサブCPU31(サブ制御基板)との通信に適用したが、例えば、サブCPU31と液晶用CPU41(液晶制御基板)との通信に適用しても良い。
具体的には、サブCPU31が「第1停止操作コマンド」、「第2停止操作コマンド」、「第3停止操作コマンド」の順で送信する液晶制御用コマンドに関し、液晶制御用コマンドの受信順序が予め定められた順序であるか否かを液晶用CPU41が判断するに際し、本発明を適用しても良い。
【0102】
また、メインCPU21と払出し用CPU51(払出し制御基板)との通信に適用しても良い。
具体的には、メインCPU21が「払出し開始コマンド」、「払出し終了コマンド」の順で送信するコマンドに関し、コマンドの受信順序が予め定められた順序であるか否かを払出し用CPU51が判断するに際し、本発明を適用しても良い。
【0103】
また、本実施例では、本発明に係る第1の経過時間や第2の経過時間を計時する計時手段として受信間隔タイマTM1〜TM7を用いているが、かかる計時手段は、所要の種類のコマンドを受信した時からの経過時間を計時可能なものであれば良い。例えば、計時開始時点の時刻を記憶しておき、現在時刻との差から、計時開始時からの経過時間を算出するようなものでも良い。
【0104】
なお、本実施例では、リール起動通知コマンド(第1種のコマンド)以外の全種類のサブ用コマンドが本発明に係る第2種のコマンドに相当する構成となっているが、本発明にあっては、第1種のコマンド以外の少なくとも1種類のコマンドが第2種のコマンドに対応する構成であれば良い。すなわち、本実施例では、一部の種類のサブ用コマンドに係る異種類コマンド経過時間を、受信順序判定処理における比較対象から除外するようにしても良い。
【0105】
また、上記実施例では、同一種類コマンド経過時間を、異種類コマンド経過時間と比較することによりサブ用コマンドの受信順序が正常であるか否かを判定しているが、かかる判定に加えて、複数の異種類コマンド経過時間を相互に比較することによって、サブ用コマンドの受信順序が正常であるか否かを判定するようにしても良い。
【実施例2】
【0106】
本実施例は、本発明をパチンコ機に適用したものである。
【0107】
(パチンコ機100)
パチンコ機100は、遊技者と正対する遊技盤と、遊技者が遊技盤へ球を打ち出すための発射装置と、遊技者に球を払出すための球払出し装置405とを備えている。
遊技盤には、遊技球が入る始動入賞口101と、始動入賞口101に遊技球が入ると図柄の変動表示を開始し抽選結果に基づいて図柄を停止させて停止図柄を表示する液晶表示器305と、停止図柄が「777」などの所定の当選図柄であれば大入賞用の開口を塞ぐ平板を移動させ開口を露出する大入賞口移動装置105が配設されている。
大入賞用の開口の内部には、遊技球が入る大入賞口102が配設されている。
図11は、本実施例に係るパチンコ機100の電気的な構成を示すブロック図である。
パチンコ機100は、図柄決定制御基板200と、図柄表示制御基板300と、球払出し制御基板400とを備えている。
【0108】
(図柄決定制御基板200)
図柄決定制御基板200は、プログラムを実行するプロセッサである決定用CPU201と、決定用CPU201が実行するプログラムを予め記憶した読み取り専用の決定用ROM202と、決定用CPU201がプログラムを実行する際に生成される一時的なデータを記憶する読み書き可能な決定用RAM203と、表示用CPU301と通信を行うための表示用通信回路204と、球払出し用CPU401と通信を行うための球払出し用通信回路205を備える。なお、図柄決定制御基板200は、本発明に係る第1の制御部に相当する。
【0109】
決定用CPU201は、決定用ROM202に記憶されている図柄決定用プログラムを実行し、主として、図柄の決定に関する制御(図柄決定制御)を行う。
【0110】
また、図柄決定制御基板200は、始動入賞口101、大入賞口102、払出し球検知センサ103と接続され、これらの機器からの信号を入力可能に形成されている。さらに、図柄決定制御基板200は、発射装置104、大入賞口移動装置105と接続され、これらの機器に信号を出力可能に形成されている。
【0111】
始動入賞口101は、1回の抽選の開始契機となる始動入賞を発生させるためのもので、始動入賞口101の内部に配設された球検知センサが1個の球を検知すると、その旨を決定用CPU201に対して通知する。
【0112】
大入賞口102は、遊技者の球の払い出しの開始契機となる大入賞を発生させるためのもので、大入賞口102の内部に配設された球検知センサが1個の球を検知すると、その旨を決定用CPU201に対して通知する。
払出し球検知センサ103は、球払出し装置405の内部に配設され、球払出し装置405が払い出す球を1個検知すると、その旨を決定用CPU201に対して通知する。
大入賞口移動装置104は、大入賞口102の閉塞及び露出を切り換えるためのものである。
【0113】
表示用通信回路204は、決定用CPU201が生成する図柄用コマンドを用いて、決定用CPU201が表示用CPU301と通信するためのもので、図柄表示制御基板300の決定用通信回路304と配線を介して電気的に接続され、決定用CPU201が生成した図柄用コマンドを電気信号に変換して決定用通信回路304に送信する。
図柄用コマンドは、前述のサブ用コマンドと同様に、必須の識別部と任意のパラメータ部とから構成されている。
【0114】
パチンコ機100では、図柄用コマンドとして、主に、「変動パターン指定コマンド」、「左図柄指定コマンド」、「中図柄指定コマンド」、「右図柄指定コマンド」、「図柄停止コマンド」の5種類がある。
「変動パターン指定コマンド」は、図柄抽選により決定した変動パターンを通知するコマンドであり、変動パターンを特定可能な値をパラメータ部に格納する。
【0115】
「左図柄指定コマンド」,「中図柄指定コマンド」,「右図柄指定コマンド」は、いずれも、図柄抽選により決定した停止図柄の種類を決定するためのもので、停止図柄の種類を特定可能な値をパラメータ部に格納する。
「左図柄指定コマンド」,「中図柄指定コマンド」,「右図柄指定コマンド」は、液晶表示器305に表示される図柄のうち、遊技者から見て、左側の図柄,真ん中の図柄,右側の図柄をそれぞれ特定する。
「図柄停止コマンド」は、図柄の変動表示の停止を通知するコマンドである。
【0116】
球払出し用通信回路204は、決定用CPU201が生成する球払出し用コマンドを用いて、決定用CPU201が球払出し用CPU401と通信するためのもので、球払出し制御基板400の決定用通信回路404と配線を介して電気的に接続され、決定用CPU201が生成した球払出し用コマンドを電気信号に変換して決定用通信回路404に送信する。
球払出し用コマンドは、球の払い出しの開始を指示する「球払出し開始コマンド」と、メダルの払い出しの終了を指示する「球払出し終了コマンド」とがある。
【0117】
(図柄表示制御基板300)
図柄表示制御基板300は、プログラムを実行するプロセッサである表示用CPU301と、表示用CPU301が実行するプログラムを予め記憶した読み取り専用の表示用ROM302と、表示用CPU301がプログラムを実行する際に生成される一時的なデータを記憶する読み書き可能な表示用RAM303と、図柄決定制御基板200と通信を行うための決定用通信回路304とを備える。なお、図柄表示制御基板300は、本発明に係る第2の制御部に相当する。
【0118】
表示用CPU301は、表示用ROM302に記憶されている表示用プログラムを実行し、主として、決定用CPU201により送信された図柄用コマンドの内容に応じた制御(図柄表示制御)を行う。
【0119】
決定用通信回路304は、表示用CPU301が決定用CPU201と通信するためのもので、表示用通信回路204から送信された電気信号を、図柄用コマンドに変換し、表示用RAM303の所定領域(表示用受信バッファ)に記憶する。
パチンコ機100は、図柄決定制御基板200の表示用通信回路204を送信専用とし、図柄表示制御基板300の決定用通信回路304を受信専用としている。このため、図柄用コマンドは、決定用CPU201から表示用CPU301への一方向通信となる。
【0120】
(球払出し制御基板400)
球払出し制御基板400は、プログラムを実行するプロセッサである球払出し用CPU401と、球払出し用CPU401が実行するプログラムを予め記憶した読み取り用の球払出し用ROM402と、球払出し用CPU401がプログラムを実行する際に生成される一時的なデータを記憶する読み書き可能な球払出し用RAM403と、決定用通信回路404を備える。
【0121】
決定用通信回路404は、球払出し用CPU401が決定用CPU201と通信するためのもので、球払出し用通信回路205から送信された電気信号を受信すると、球払出し用コマンドに変換し、球払出し用RAM403の所定領域(球払出し用受信バッファ)に記憶する。
また、球払出し制御基板400は、遊技者に球を払い出す球払出し装置405と接続され、球払出し装置405を構成する払出し用モータを回転または停止する駆動信号を出力可能に形成されている。
【0122】
球払出し用CPU401は、定期的に球払出し用受信バッファの記憶内容を参照し、球払出し用コマンドが記憶されていれば、球払出し用コマンドに対応する駆動信号を球払出し装置405に対し出力する。
具体的には、球払出し用コマンドが「球払出し開始コマンド」であれば、払出し用モータを回転する駆動信号を出力し、球払出し用コマンドが「球払出し終了コマンド」であれば、払出し用モータを停止する駆動信号を出力する。
【0123】
(図柄決定制御)
次に、図柄決定制御を説明する。
まず、決定用CPU201は、始動入賞口101からの通知を受けると、図柄抽選を行い、図柄抽選の結果に基づいて図柄の変動表示の態様(変動パターン)と変動表示後に停止する図柄(停止図柄)の種類を決定する。
【0124】
次に、決定用CPU201は、図柄抽選の結果を特定可能な図柄用コマンドを表示用CPU301に対して送信する。
具体的には、「変動パターン指定コマンド」、「左図柄指定コマンド」、「中図柄指定コマンド」、「右図柄指定コマンド」を順次、表示用CPU301に対して送信する。この時、決定用CPU201は、1回の図柄抽選の結果を送信する一連の処理において、「変動パターン指定コマンド」→「左図柄指定コマンド」→「中図柄指定コマンド」→「右図柄指定コマンド」→「図柄停止コマンド」の順序(以下、規定順序という。)で、5種類の図柄用コマンドを1種類ずつ表示用CPU301に対して送信する。以下、この5種類の図柄用コマンドを「基本図柄用コマンド」という。この基本図柄用コマンドは、本発明に係る「複数種類のコマンド」に相当するものである。
【0125】
また、決定用CPU201は、図柄抽選の結果が当選であれば、大入賞口移動装置105が有する平板を移動し、大入賞口102を露出し、球が大入賞口102に入り得る状態とする。その後、決定用CPU201は、大入賞口102から通知された球の個数が所定の個数に達したと判断すると、再び平板を移動し、大入賞用の開口を塞ぎ、球が大入賞口102に入らない状態とする。
【0126】
また、決定用CPU201は、始動入賞口101および大入賞口102から球を検知した旨の通知を受けると、球払出し用CPU401に対して「球払出しの開始コマンド」を送信する。
そして、払出し球検知センサ103からの通知に基づき、球を検知した入賞口に対応した個数の球を払い出したか否かを判断し、予め定められた個数の球を払い出すまで待機をし、予め定められた個数の球を払い出したと判断すれば、球払出し用CPU401に対して「球払出し終了コマンド」を送信する。
【0127】
(図柄表示制御)
次に、表示用CPU301が実行する、基本図柄用コマンドの受信順序の判定方法について説明する。
図12は、3回の図柄抽選を実行した場合における、決定用CPU201が表示用CPU301に対して送信する基本図柄用コマンドの種類と送信状況とを示す。上述のように、本実施例では、図柄抽選1回ごとに、5種類の基本図柄用コマンドが1種類ずつ規定順序で送信される。
【0128】
ここで、図柄表示制御基板300には、各種類の基本図柄用コマンドを受信してからの経過時間を計時する受信間隔タイマTMa〜TMeが配設される。受信間隔タイマTMa〜TMeは、基本図柄用コマンドの種類毎に配設されて、
図12に示すように、対応する種類の基本図柄用コマンドを受信すると計時開始して、当該受信時点からの経過時間を計時し、同種類の基本図柄用コマンドを再受信するたびに計測値をクリアして、当該受信時点からの経過時間の計時を新たに開始する。
【0129】
本実施例では、実施例1の受信順序判定処理と同様にして、受信した基本図柄用コマンドの受信順序が規定順序であるかを判断する受信順序判定処理を実行する。
例えば、
図13(a)のタイミングチャートでは、表示用CPU301は、図中のHの時点で、「変動パターン指定コマンド」を表示用CPU301が受信すると、受信順序判定処理を実行する。受信順序判定処理では、受信間隔タイマTMa〜TMeの当該時点の計測値ta〜teを参照して、基本図柄用コマンドの受信順序が正常であるか否かを判定する。
【0130】
具体的には、図中のHの時点では、「変動パターン指定コマンド」に対応する受信間隔タイマTMaの計測値taが、前回(p回目の図柄抽選)の「変動パターン指定コマンド」を受信したときから、今回(p+1回目の図柄抽選)の「変動パターン指定コマンド」を受信するまでの経過時間(同一種類コマンド経過時間)が示している。
一方、図中のHの時点では、「左図柄指定コマンド」に対応する受信間隔タイマTMb〜TMeの計測値tbが、「左図柄指定コマンド」を最後に受信してから、今回の「変動パターン指定コマンド」を受信するまでの経過時間(異種類コマンド経過時間)を示している。同様に、その他の基本図柄用コマンドに対応する受信間隔タイマTMc〜TMeの計測値tc〜teも、対応する基本図柄用コマンドを最後に受信してから、今回の「変動パターン指定コマンド」を受信するまでの経過時間(異種類コマンド経過時間)を示している。
【0131】
したがって、
図13(a)に示すように、基本図柄用コマンドが規定順序で正しく送受信されているのであれば、「変動パターン指定コマンド」を受信したHの時点では、「変動パターン指定コマンド」に対応する受信間隔タイマTMaの計測値taが、その他の受信間隔タイマTMb〜TMeの計測値tb〜teよりも長くなっているはずである。このため、
図13(a)中のHの時点では、表示用CPU301は、受信間隔タイマTMaの計測値taを、その他の受信間隔タイマTMb〜TMeの計測値tb〜teと比較して、tb〜teのいずれかがtaよりも大きい場合に、基本図柄用コマンドの受信順序が異常であると判定する。
【0132】
また、本実施例では、受信順序判定処理が、全種類の基本図柄用コマンドを受信するたびに実行する。すなわち、
図13(a)では、「変動パターン指定コマンド」を受信したときの受信順序判定処理を説明したが、その他の基本図柄用コマンドの受信を契機としても受信順序判定処理が実行される。
例えば、
図13(b)では、H時点の直後(図中のI時点)で、表示用CPU301が「左図柄指定コマンド」を受信するが、かかる「左図柄指定コマンド」の受信を契機としても、受信順序判定処理が実行される。
ここで、図中のIの時点では、「左図柄指定コマンド」に対応する受信間隔タイマTMbの計測値tbが、「左図柄指定コマンド」に係る同一種類コマンド経過時間を示しており、また、その他の受信間隔タイマTMa,TMc〜TMeの計測値ta,tc〜teが、その他の基本図柄用コマンドの異種類コマンド経過時間を示している。このため、図中のI時点の受信順序判定処理では、表示用CPU301は、受信間隔タイマTMbの計測値tbを、その他の受信間隔タイマTMa,TMc〜TMeの計測値ta,tc〜teと比較して、ta,tc〜teのいずれかがtbよりも大きい場合に、基本図柄用コマンドの受信順序が異常であると判定する。
【0133】
このように、本実施例では、全ての種類の基本図柄用コマンドを受信するたびに、受信順序判定処理を実行するため、任意の種類の基本図柄用コマンドが本発明に係る第1種のコマンドに相当し得るものとなっている。また、本実施例に係る受信順序判定処理では、当該処理の契機となった基本図柄用コマンドと異なる全種類のサブ用コマンドを異種類コマンド経過時間の比較対象とするため、任意の種類の基本図柄用コマンドが本発明に係る第2種のコマンドに相当し得るものとなっている。
【0134】
図14は、基本図柄用コマンドの受信順序が予め定められた順序ではない場合のタイミングチャートである。
図14の例では、q+1回目の図柄抽選において、「変動パターン指定コマンド」が欠落する。この場合、図中のJの時点で、表示用CPU301が、受信すべき「変動パターン指定コマンド」を受信しないため、「変動パターン指定コマンド」に対応する受信間隔タイマTMaがクリアされず、前回(q回目の図柄抽選)の受信時からの計時を継続する。このため、
図14では、その直後のK時点の受信順序判定処理において、受信間隔タイマTMa〜TMeの計測値ta〜teを比較したときに、かかる受信間隔タイマTMaの計測値ta(異種類コマンド経過時間)が、当該時点で受信した基本図柄用コマンドに対応する受信間隔タイマTMbの計測値tb(同一種類コマンド経過時間)よりも大きくなるため、基本図柄用コマンドの受信順序が異常であると判定される。
【0135】
以上のことから、実施例1と同様に、表示用CPU301は、受信順序判定処理において、同一種類コマンド経過時間と異種類コマンド経過時間とを比較することで、同一種類コマンド経過時間が異種類コマンド経過時間より長ければ受信した基本図柄用コマンドの受信順序が予め定められた順序であると判断し、同一種類コマンド経過時間が異種類コマンド経過時間より短ければ受信した基本図柄用コマンドの受信順序が予め定められた順序ではないと判断することができる。
【0136】
表示用CPU301は、上記の処理により、順序異常であると判断すれば、順序異常を検知したことを示す旨を液晶表示器305に一定時間だけ表示し、以降の処理を継続する。なお、以降の処理を継続することなく、電源が遮断されるまで、液晶表示器305に順序異常を検知した旨を表示し続けても良い。
【0137】
また、表示用CPU301は、上記の処理により、順序異常であると判断すれば、実施例1と同様に、復旧処理を実行する。例えば、
図14の例では、「変動パターン指定コマンド」に対応した処理を実行する。なお、順序異常であると判断した際に、復旧処理を実行せず、前述の液晶表示器305に順序異常を検知した旨を表示するのみとしても良い。
【0138】
また、表示用CPU301は、基本図柄用コマンドを受信するたびに、受信順序判定に加えて、同一種類コマンド経過時間を予め定められた図柄コマンド用の基準時間と比較して、短ければ、液晶表示器305に不正行為の疑いがある旨の警告を表示し、以降の処理を中断する。
【0139】
なお、図柄コマンド用の基準時間は、実施例1のサブ用基準時間と同様、通常の遊技で想定される最短の時間に基づいて予め定めた時間である。具体的には、決定用CPU201の性能により規定される基本図柄用コマンドを送信し得る最短の時間などから予め導出可能な時間である。なお、図柄コマンド用の基準時間は、本発明に係る基準時間に相当する。
【0140】
また、詳細な説明は省略するが、本実施例のパチンコ機100は、実施例1と同様に、受信順序判定処理によって基本図柄用コマンドの受信順序を判定するよう構成されているため、基本図柄用コマンドの受信順序判定に係る図柄表示制御基板300の構成を変更することなく、図柄決定制御基板200で基本図柄用コマンドの送信順序を変更でき、また、チェック番号を使用した仕組みに比べ、基本図柄用コマンドの受信順序判定に係る制御処理を変更することなく、送信する基本図柄用コマンドの種類を追加できる。
【0141】
以上、説明したように本発明は、遊技機をパチンコ機とした場合にも適用できる。
特に、本実施例では、全ての種類の基本図柄用コマンドを受信するたびに、受信順序判定処理を実行するため、実施例1よりも基本図柄用コマンドの欠落を厳密に検出することができるという利点がある。
【0142】
また、本実施例では、1つの種類の基本図柄用コマンドに係る同一種類コマンド経過時間と、他の種類の基本図柄用コマンドに係る異種類経過コマンドとを比較する受信順序判定処理を実行するとともに、他の種類の基本図柄用コマンドに係る同一種類コマンド経過時間と、1つの種類の基本図柄用コマンドに係る異種類経過コマンドとを比較する受信順序判定処理を実行するよう構成されているが、受信間隔タイマTMa〜TMeを、同一種類コマンド経過時間の計時と、異種コマンド経過時間の計時に兼用しているため、受信間隔タイマTMa〜TMeの数を増やさずに、多くの種類のコマンドについて受信順序判定処理を実行できるという利点がある。
【0143】
(第2実施例の変形例)
第2実施例では、本発明を、決定用CPU201(図柄決定制御基板)と表示用CPU301(図柄表示制御基板)との通信に適用したが、決定用CPU201と球払出し用CPU401(球払出し制御基板)との通信に適用しても良い。
具体的には、決定用CPU201が「球払出し開始コマンド」、「球払出し終了コマンド」の順で送信する球払出し用コマンドに関し、球払出し用コマンドの受信順序が予め定められた順序であるか否かを球払出し用CPU401が判断するに際し、本発明を適用しても良い。
【0144】
また、第2実施例においても、実施例1と同様に、決定用CPU201が同一種類の基本図柄用コマンドを送信する送信間隔が予め定められた規制時間よりも短くならないように送信するようにし、表示用CPU301は、受信した基本図柄用コマンドの受信順序が予め定められた順序であるか否かの判断に加えて、同一種類コマンド経過時間を予め定められた図柄コマンド用の規制時間と比較して、短ければ、液晶表示器305に不正行為の疑いがある旨の警告を表示し、以降の処理を中断するとしても良い。
【0145】
上記した実施例では、各通信回路は、配線を介して電気的に接続されていたが、これに限定されず、コマンドによる通信ができるように接続されていれば良い。例えば、光通信や無線通信を使って、コマンドによる通信ができるように接続されていても良い。