特許第5809456号(P5809456)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5809456
(24)【登録日】2015年9月18日
(45)【発行日】2015年11月11日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20151022BHJP
【FI】
   A63F7/02 304D
   A63F7/02 326Z
【請求項の数】1
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2011-136990(P2011-136990)
(22)【出願日】2011年6月21日
(65)【公開番号】特開2013-483(P2013-483A)
(43)【公開日】2013年1月7日
【審査請求日】2014年4月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000161806
【氏名又は名称】京楽産業.株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089004
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】服部 孝志
【審査官】 渡辺 剛史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−055948(JP,A)
【文献】 特開2009−061153(JP,A)
【文献】 特開2007−257379(JP,A)
【文献】 特開2009−165527(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動部材と、この可動部材を移動させる移動駆動機構と、可動部材が定位置にあるか否か検出する位置検出手段と、この位置検出手段により可動部材が定位置にあることが検出されない場合に、可動部材を定位置に復帰させるために復帰制御データに基づいて移動駆動機構を制御する復帰制御を実行する復帰制御手段とを備えた遊技機において、
優先順位が予め設定された複数レイヤのデータ記憶領域を備え、
前記復帰制御手段は、
前記復帰制御を開始する際に前記複数レイヤのデータ記憶領域に複数の復帰制御データを夫々格納するデータ格納手段と、
前記複数レイヤのデータ記憶領域に格納された複数の復帰制御データを再生可能なデータ再生手段とを備え
前記復帰制御の開始後、前記位置検出手段により可動部材が定位置にあることが検出されない状態で、前記複数レイヤのデータ記憶領域に格納された複数の復帰制御データが、前記データ再生手段により複数レイヤの優先順位に従って順次再生されるように構成され、
前記データ格納手段は、前記復帰制御で使用する複数レイヤのうち最上位レイヤ以外の各レイヤのデータ記憶領域に、1つ上位のレイヤに対応する復帰制御データの再生が終了する迄の休止期間のデータを復帰制御データに付随して格納する、
ことを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は遊技機に関し、特に、複数レイヤのデータ処理技術を利用して可動部材を定位置に復帰させる復帰制御技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、パチンコ遊技機において、遊技球が始動口に入賞することにより大当り抽選を行い、その大当り抽選で当選した場合に大入賞口が開閉する機種の多くは、大当り抽選の興趣を高め得る遊技演出を行うために、可動部材と、この可動部材を移動させる電動モータ(ステッピングモータ)を有する移動駆動機構と、この移動駆動機構(電動モータ)を制御して可動部材に演出動作を実行させる役物制御装置とを備えている。
【0003】
通常、位置検出センサにより可動部材が定位置(原点位置)にあるか否か検出され、役物制御装置は、この位置検出センサから得られる位置検出情報に基づいて、可動部材を非作動時には定位置に待機させるとともに、作動時(演出動作時)には定位置を基準に移動させるように移動駆動機構を制御する。
【0004】
この種のパチンコ遊技機において、一般に、役物制御装置は、定期的に(例えば、大当り抽選に基づく特別図柄の変動開始毎に)、位置検出センサからの位置検出情報に基づいて、可動部材が定位置にあるか否か判定し、否定判定した場合に、可動部材を定位置に復帰させるために移動駆動機構を制御する復帰制御を実行する。
【0005】
但し、この復帰制御を実行するにあたって、特別図柄の変動時間が短い場合(例えば、確変時の短時間変動の場合)には、当該図柄変動中に可動部材を定位置に復帰させることが困難であるため、当該図柄変動では復帰制御を実行しない技術も公知である。尚、特許文献1には、可動役物を原点位置に復帰させた後、再度、可動役物の移動領域端まで移動させてから原点位置へ移動させる技術が開示されている。
【0006】
ところで、近年主流の遊技者参加型のパチンコ遊技機では、特定の遊技演出の実行中に演出操作有効期間が設定され、その期間滞在中に遊技者による演出操作(演出ボタンSWの押下操作等)が有効である旨が画像表示器等で報知される。そこで、演出操作が行われた場合、例えば、カットイン演出が実行されて大当り抽選での当選期待度が報知される。このような遊技演出の制御を行う場合、複数レイヤのデータ処理技術を用いることが有効であり、本願出願人が実用化しているパチンコ遊技機にも採用されている。
【0007】
この複数レイヤのデータ処理技術を用いた演出制御では、複数レイヤのデータ記憶領域に複数の演出制御データが夫々格納された場合、それら複数レイヤのうち最上位レイヤの演出制御データが優先的に再生される。故に、特定の遊技演出を実行する場合、例えば、先ず、下位側レイヤのデータ記憶領域に第1の演出制御データが格納され、そのレイヤよりも上位レイヤのデータ記憶領域が空き領域とされることで、第1の演出制御データが再生されて、第1の遊技演出(ベース演出)が実行される。
【0008】
この第1の演出制御データの再生中に演出操作有効期間が設定され、その期間滞在中に演出操作が行われた場合、上位側レイヤのデータ記憶領域に第2の演出制御データが格納される。これにより、第2の演出制御データが第1の演出制御データよりも優先して再生され、第2の遊技演出(カットイン演出)が実行される。その後、第2の演出制御データは再生終了後にデータ記憶領域から消去されることで、再び第1の演出制御データが再生され、第1の遊技演出が実行される。
【0009】
尚、特許文献2には、表示に関するレイヤ処理技術が開示されている。CGメモリに格納された複数の画像情報から、表示させる複数の画像情報がレイヤ領域(レイヤ1,2,3)に格納される。レイヤ領域に格納された画像情報は、レイヤ3→2→1の順で優先表示されるように合成され表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2007−195589号公報
【特許文献2】特開2003−228703号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
パチンコ遊技機において、位置検出センサにより可動部材が非作動時に定位置にあることが検出されない場合に、役物制御装置が可動部材を定位置に復帰させる復帰制御を実行し、そこで、可動部材やその移動駆動機構、或いは位置検出センサが故障している場合には、可動部材が定位置へ復帰しない、或いは復帰してもそれを検出することができないが、種々の要因(例えば、可動部材の位置、駆動量、駆動速度等)により、1回の復帰制御では可動部材が定位置へ復帰しない場合も想定される。
【0012】
役物制御装置が、大当り抽選に基づく特別図柄の変動開始毎に、可動部材が定位置にあるか否か判定し、否定判定した場合に復帰制御を実行する場合、1回の復帰制御で可動部材が定位置へ復帰しなかった場合には、複数回の復帰制御が特別図柄の変動開始毎に連続的に行われることになる。ここで、復帰制御を連続的に設定回数(例えば、3回)実行しても可動部材が定位置に復帰しない場合、エラー判定とし、以後、可動部材の作動を禁止し、これにより、エラー判定の精度は高められる。
【0013】
しかし、1回の復帰制御で可動部材が定位置へ復帰しない場合に、複数回の復帰制御が特別図柄の変動開始毎に連続的に行われても、各復帰制御の終了時から次の復帰制御の開始時までの間に復帰休止期間が生じ、その復帰休止期間は特別図柄の変動時間が長くなるほど長くなる。つまり、初回の復帰制御で可動部材が定位置へ復帰しない場合、以後、可動部材が定位置に復帰する或いはエラー判定とされる迄の時間が長くなる。
【0014】
特に、特別図柄の変動時間が短い場合に、当該図柄変動では復帰制御を実行しないものでは、可動部材が定位置に復帰する或いはエラー判定とされる迄の時間がより長くなる。しかも、各復帰制御の実行毎(特別図柄の変動開始毎)に、可動部材を定位置に復帰させる為の復帰制御データを設定する必要があるため制御負荷が大きくなる。
【0015】
本発明の目的は、複数レイヤのデータ処理技術を利用して可動部材を定位置に復帰させる復帰制御を効果的に実行することができる遊技機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
請求項1の発明(遊技機)は、可動部材(21,22)と、この可動部材(21,22)を移動させる移動駆動機構(24)と、可動部材(21,22)が定位置にあるか否か検出する位置検出手段(29)と、この位置検出手段(29)により可動部材(21,22)が定位置にあることが検出されない場合に、可動部材(21,22)を定位置に復帰させるために復帰制御データに基づいて移動駆動機構(24)を制御する復帰制御を実行する復帰制御手段(42)とを備えた遊技機(1)において、優先順位が予め設定された複数レイヤのデータ記憶領域(43)を備え、前記復帰制御手段(42)は、前記復帰制御を開始する際に前記複数レイヤのデータ記憶領域(43)に複数の復帰制御データを夫々格納するデータ格納手段(42a)と、前記複数レイヤのデータ記憶領域(43)に格納された複数の復帰制御データを再生可能なデータ再生手段(42c)とを備え、前記復帰制御の開始後、前記位置検出手段(29)により可動部材(21,22)が定位置にあることが検出されない状態で、前記複数レイヤのデータ記憶領域(43)に格納された複数の復帰制御データが、前記データ再生手段(42c)により複数レイヤの優先順位に従って順次再生されるように構成され、前記データ格納手段(42a)は、前記復帰制御で使用する複数レイヤのうち最上位レイヤ以外の各レイヤのデータ記憶領域(43)に、1つ上位のレイヤに対応する復帰制御データの再生が終了する迄の休止期間のデータを復帰制御データに付随して格納することを特徴としている。
【発明の効果】
【0024】
本発明(遊技機)によれば、複数レイヤのデータ処理技術を利用して可動部材を定位置に復帰させる復帰制御を効果的に実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】パチンコ遊技機の正面図である。
図2】パチンコ遊技機の可動役物装置を装備した遊技盤の正面図である。
図3】パチンコ遊技機の制御系のブロック図である。
図4】可動役物装置の正面図である。
図5】可動役物装置の背面図である。
図6】可動役物装置及び役物制御手段等の構成図である。
図7】複数レイヤのデータ記憶領域を示す図表である。
図8】演出制御データが格納された複数レイヤのデータ記憶領域を示す図表であり、(A) は演出制御データ1を、(B)は演出制御データ1,2を格納した状態を示す。
図9】演出制御データが格納された複数レイヤのデータ記憶領域を示す図表であり、(A)は演出制御データ1,2,3を、(B)は演出制御データ2,3を、(C)は演出制御データ3を格納した状態を示す。
図10】復帰制御データが格納された複数レイヤのデータ記憶領域を示す図表であり、(A)は復帰制御データ1,2,3を、(B)は復帰制御データ2,3を、(C)は復帰制御データ3を格納した状態を示す。
図11】複数の復帰データを示す図表である。
図12】復帰制御のフローチャートである。
図13】複数レイヤのデータ記憶領域に演出制御データの上書きを示す図表である。
図14】(A)は復帰制御での駆動対象を、(B)は演出制御での駆動対象を、(C)は上書き後の駆動対象を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、発明を実施するための形態について実施例に基づいて説明する。
【実施例】
【0027】
図1図2に示すように、パチンコ遊技機1には、遊技ホールの島構造体に取付けられる外枠(図示略)に開閉枠2が開閉自在に装着され、開閉枠2に開閉扉3が開閉自在に装着されている。開閉扉3に窓3aが形成され、その窓3aに透明板3bが装着されている。開閉枠2の左端部に開閉扉3の左端部が鉛直軸心回りに回動自在に支持され、開閉扉3の右端部には、開閉扉3を閉じた状態で開閉枠2に施錠するキーシリンダ3cが装着されている。開閉枠2に遊技盤4が装着され、遊技盤4とその前側の透明板3bとの間に遊技球が転動する遊技領域4aが形成され、この遊技領域4aが開閉扉3により開閉される。
【0028】
開閉扉3には、窓3aの下側に貯留皿5が設けられ、その貯留皿5に演出ボタンSW6(「SW」はスイッチを意味する)が装着され、貯留皿5の右下側に発射ハンドル7が装着されている。発射ハンドル7が回動操作されると、貯留皿5から発射位置に導入された遊技球が発射され、貯留皿5に複数の遊技球が存在する場合には、複数の遊技球が約0.6秒間隔で連続発射される。発射された遊技球はガイドレール8で案内され遊技領域4aの上部に導入される。
【0029】
図2図3に示すように、遊技盤4には遊技領域4aに配置された多数の障害釘(図示略)の他、第1始動口10、開閉式の第2始動口11aを有する始動口装置11、ゲート12、開閉式の大入賞口13aを有する大入賞口装置13、複数の一般入賞口14が設けられている。第1始動口10、ゲート12、複数の一般入賞口14には、夫々、そこに入賞した遊技球を検出する第1始動口SW10a、ゲートSW12a、複数の一般入賞口SW14aが付設されている。
【0030】
始動口装置11は、第2始動口11a、第2始動口11aを開閉する開閉部材11b、第2始動口11aに入賞した遊技球を検出する第2始動口SW11c、開閉部材11bを開閉駆動する第2始動口SOL11d(「SOL」はソレノイドアクチュエータを意味する)を有する。大入賞口装置13は、大入賞口13a、大入賞口13aを開閉する開閉部材13b、大入賞口13aに入賞した遊技球を検出する大入賞口SW13c、開閉部材13bを開閉駆動する大入賞口SOL13dを有する。
【0031】
遊技球が入賞口10,11a,13a,14に入賞した場合、遊技球1個の入賞について入賞口10,11a,13a,14毎に設定された数の遊技球が払出される。遊技球が始動口10,11aに入賞した場合には大当り抽選が行われ、その大当り抽選で当選した場合、通常は閉塞の大入賞口13aが複数ラウンドに亙って開閉する大当り遊技が発生する。遊技球がゲート12を通過した場合には当り抽選が行われ、その当り抽選で当選した場合、通常は閉塞の第2始動口11aが1又は複数回開閉する補助遊技が発生する。
【0032】
遊技盤4にはセンタ役物15が取付けられ、このセンタ役物15に遊技演出用の画像表示器16及び可動役物装置17が装備されている。センタ役物15は遊技盤4に比較的大きく形成されたセンタ開口部(図示略)に嵌合装着されたセンタ枠体15aを有し、センタ枠体15aの下部には遊技球が転動するステージ15bが形成されている。
【0033】
画像表示器16はその画面をパチンコ遊技機1の前側からセンタ枠体15aの内側を通して視認できるように配置されている。画像表示器16の画面には、前記大当り抽選を演出するために、複数の演出図柄が変動後停止するように表示されるとともに各種動画が表示され、また、前記大当り遊技中に大当り演出用の動画が表示される。
【0034】
可動役物装置17は、大当り抽選に関する報知(例えば、大当り抽選での当選、或いは当選期待度が高い旨の報知等)を行うために作動して、左右1対の可動部材21,22が画像表示器4の前側で演出動作を実行して遊技盤4の盤面と平行な左右方向へ移動する。
【0035】
遊技盤4の右下部に各種表示を行う遊技表示盤19が設けられ、この遊技表示盤19は、第1特図表示器19a、第2特図表示器19b、普図表示器19c、第1特図保留ランプ19d、第2特図保留ランプ19e、普図保留ランプ19fを備えている。
【0036】
第1特図表示器19aには第1特別図柄が変動可能に表示され、第1特図保留ランプ19dには第1特図保留数が表示され、その第1特図保留数は4未満の場合に第1始動口10に遊技球が入賞する毎に1加算される。第2特図表示器19bには第2特別図柄が変動可能に表示され、第2特図保留ランプ19eには第2特図保留数が表示され、その第2特図保留数は4未満の場合に第2始動口11aに遊技球が入賞する毎に1加算される。
【0037】
第1,第2特別図柄が変動停止状態で、第1特図保留数が1以上の場合、第2特図保留数が0の場合には、第1特図保留数が1減算されて第1特別図柄が変動開始され、その後の停止図柄で大当り抽選の結果が表示される。第1,第2特別図柄が変動停止状態で、第2特図保留数が1以上の場合、第2特図保留数が1減算されて第2特別図柄が変動開始され、その後の停止図柄で大当り抽選の結果が表示される。
【0038】
普図表示器19cには普通図柄が変動可能に表示され、普図保留ランプ19fには普図保留数が表示され、その普図保留数は4未満の場合にゲート12に遊技球が入賞する毎に1加算される。普通図柄が変動停止状態で、普図保留数が1以上の場合、普図保留数が1減算されて普通図柄が変動開始され、その後の停止図柄で当り抽選の結果が表示される。
【0039】
可動役物装置17について説明する。
図4図5に示すように、可動役物装置17は、センタ役物15の裏面部に取付けられたベース枠20と、左右1対の可動部材21,22と、1対の可動部材21,22を左右方向(接近・離隔方向)へ夫々移動自在にガイドするガイド機構23と、1対の可動部材21,22を左右方向へ対称に移動させる移動駆動機構24とを備えている。
【0040】
1対の可動部材21,22は、夫々、画像表示器16の画面上下長と略同じ上下長と、画像表示器16の画面左右長の約1/4の左右長とを有する。1対の可動部材21,22は、画像表示器16の画面前側からその左右両端側に退いてセンタ役物15の後側に隠れて図4図5に実線で示す待機位置(定位置)になり、画像表示器16の画面前側に現れてそれらの対向端縁同士が当接して図1及び図4図5に仮想線で示す作動位置(合体位置)になり、そこで、所定の物体(例えば、人物の顔)を形成する。尚、1対の可動部材21,22は、夫々その前面部を電飾可能に構成されている。
【0041】
役物ガイド機構23は、左右方向に延びる上部ガイドロッド23a及び下部ガイド板23bを有する。上部ガイドロッド23aはその左右両端部がベース枠20の上部に固定され、この上部ガイドロッド23aに、1対の可動部材21,22の上部連結部21a,22aが夫々左右方向へ移動自在にガイド支持されている。下部ガイド板23bはベース枠20の下部に固定され、この下部ガイド板23bに、1対の可動部材21,22の下部連結部21b,22bが夫々左右方向へ摺動自在に当接してガイドされている。
【0042】
移動駆動機構24は、電動モータ25(ステッピングモータ25)と、電動モータ25により駆動されるギヤ列26と、ギヤ列26に連動連結され且つ1対の可動部材21,22に夫々固定的に設けられた1対のラック27,28とを有する。ギヤ列26の下流部分は1対のピニオン26a,26bに分岐し、この1対のピニオン26a,26bが夫々1対のラック27,28に噛合している。電動モータ25が駆動されると、ギヤ列26により、1対のピニオン26a,26bが逆方向に同期回転し、これにより、1対のラック27,28を夫々介して1対の可動部材21,22が左右方向へ対称に移動駆動される。
【0043】
ここで、ベース枠20には、1対の可動部材21,22が定位置(原点位置,初期位置)にあるか否か検出する位置検出センサSW29(位置検出手段)が取付けられている。この位置検出センサ29は、右側の可動部材22の移動領域の右端側に配置された光学センサ(フォトインタラプタ)からなり、一方、右側の可動役物22の上部連結部22aに遮蔽板部22c設けられ、1対の可動部材21,22が定位置のとき、位置検出センサSW29は、その発光部と受光部との間が遮蔽板部22cにより遮られることにより、1対の可動部材21,22が定位置にあることを検出する。
【0044】
次に、パチンコ遊技機1の制御系について説明する。
図3に示すように、制御装置30は、遊技制御基板31、払出制御基板32、演出制御基板33、画像制御基板34、ランプ制御基板35を備え、これら制御基板31〜35に夫々CPUとROMとRAMを含むコンピュータを備えて構成され、演出制御基板33は更にRTC(「RTC」はリアルタイムクロックを意味する)を備えている。
【0045】
遊技制御基板31のコンピュータは、第1,第2始動口SW10a,11c、ゲートSW12a、大入賞口SW13c、一般入賞口SW14aからの信号と、払出制御基板32からの情報とを受けて、第2始動口SOL11d、大入賞口SOL13d、図柄表示器19a〜19c、図柄保留ランプ19d〜19fを制御し、払出制御基板32と演出制御基板33とに制御情報(遊技情報)を出力する。
【0046】
払出制御基板32のコンピュータは、遊技制御基板31からの制御情報と、払出球検出SW36a、球有り検出SW36b、満タン検出SW36c、扉開閉検出SW39からの信号とを受けて、払出モータ36を制御し、遊技制御基板32に制御情報(払出情報)を出力する。演出制御基板33のコンピュータは、遊技制御基板31、画像制御基板34、ランプ制御基板35からの制御情報と、演出ボタンSW6からの信号とを受けて、画像制御基板34、ランプ制御基板35に制御情報を出力する。
【0047】
画像制御基板34のコンピュータは、演出制御基板33からの制御情報を受けて、遊技演出用の画像表示器16とスピーカ37とを制御し、演出制御基板33に制御情報を出力する。ランプ制御基板35のコンピュータは、演出制御基板33からの制御情報を受けて、主に画像制御基板34のコンピュータによる制御に同期させて、遊技演出用の枠ランプ38aと盤ランプ38bと可動役物装置17とを制御する。
【0048】
図6に示すように、ランプ制御基板35のコンピュータにより役物制御手段40が構成され、その役物制御手段40は、演出制御手段41、復帰制御手段42、優先順位が予め設定された複数レイヤのデータ記憶領域43を備えている。
【0049】
演出制御手段41は、遊技演出を行うために演出制御データに基づいて可動役物装置17、枠ランプ38a、盤ランプ38bを制御する演出制御を実行する。ここで、可動役物装置17の制御では、位置検出センサ29から得られる位置検出情報に基づいて、可動部材21,22を非作動時には図4図5に実線で示す待機位置(定位置)に待機させるとともに、作動時(演出動作時)には可動部材21,22を待機位置から図4図5に仮想線で示す作動位置へ移動させ、その後、作動位置から待機位置へ移動させるように移動駆動機構24(電動モータ25)を制御する。
【0050】
復帰制御手段42は、位置検出センサ29により可動部材21,22が定位置にあることが検出されない場合に、可動部材21,22を定位置に復帰させるために復帰制御データに基づいて移動駆動機構24を制御する復帰制御を実行する。
【0051】
図7に示すように、複数レイヤのデータ記憶領域43について、例えば、8つのレイヤA〜Hが設定され、これら8つのレイヤA〜Hに夫々対応付けられた8つのデータ記憶領域43がコンピュータRAMの作業領域に設定されている。この複数レイヤのデータ記憶領域43は、通常時に遊技演出を実行させる為の演出制御データを格納するものである。
【0052】
図6に示すように、演出制御手段41は、複数レイヤのデータ処理技術を用いて演出制御を実行するために、演出データ格納手段41a、演出データ消去手段41b、演出データ再生手段41cを有し、また、復帰制御手段42は、複数レイヤのデータ処理技術を利用して復帰制御を実行するために、復帰データ格納手段42a、復帰データ消去手段42b、復帰データ再生手段42cを有する。
【0053】
演出制御手段41において、演出データ格納手段41aが、演出制御基板33から演出制御指令(コマンド)を受信して演出制御を開始する際に、複数レイヤのデータ記憶領域43に演出制御指令の種類に応じた1又は複数の演出制御データを格納する。その後、場合によって、演出データ格納手段41aが、複数レイヤのデータ記憶領域43に1又は複数の演出制御データを追加的に格納したり、演出データ消去手段41bが、複数レイヤのデータ記憶領域43に格納された1又は複数の演出制御データを消去したりする。
【0054】
演出制御手段41において、演出データ再生手段41cは、複数レイヤのデータ記憶領域43に格納された1又は複数の演出制御データを再生可能であるが、演出制御データが格納されたデータ記憶領域43のレイヤが複数の場合、その複数のレイヤのうち最も優先順位が高いレイヤのデータ記憶領域43に格納された演出制御データを、他のレイヤのデータ記憶領域43に格納された演出制御データよりも優先して再生する。図8図9に演出制御の具体例を示す。
【0055】
図8(A)に示すように、演出制御を開始させる際、演出制御データ1がレイヤHのデータ記憶領域43に格納され、レイヤA〜Gのデータ記憶領域43が空き領域とされることで、先ず、演出制御データ1が再生され、この演出制御データ1に基づく遊技演出1が実行される。演出制御データ1の再生中(遊技演出1の実行中)に演出操作有効期間Sが設定され、その期間Sの滞在中に演出ボタンSW6が押下操作された場合、図8(B)に示すように、演出制御データ2がレイヤGのデータ記憶領域43に格納される。
【0056】
故に、演出制御データ2が演出制御データ1よりも優先して再生され、この演出制御データ2に基づく遊技演出2が実行され、そこで大当り抽選での当選期待度が報知される。尚、操作有効期間Sの滞在中に演出ボタンSW6が押下操作されなかった場合には、演出制御データ1が継続的に再生され、遊技演出1が継続的に実行される。演出制御データ2の再生終了後、図8(A)に示すように、演出制御データ2がレイヤGのデータ記憶領域43から消去され、故に、再び演出制御データ1が再生される。こうして、遊技演出1において遊技演出2が挿入された演出が実行される。
【0057】
図9(A)に示すように、演出制御を開始させる際、演出制御データ1,2,3が夫々レイヤF,G,Hのデータ記憶領域43に格納される。ここで、レイヤGのデータ記憶領域43には、演出制御データ2を再生可能となる(操作有効期間S1に滞在する)迄の休止期間1のデータが演出制御データ2に付随して格納され、レイヤHのデータ記憶領域43には、演出制御データ3を再生可能となる(操作有効期間S2に滞在する)迄の休止期間1,2のデータが演出制御データ3に付随して格納される。そして、レイヤA〜Eのデータ記憶領域43が空き領域とされることで、先ず、演出制御データ1が休止期間1のデータよりも優先して再生され、この演出制御データ1に基づく遊技演出1が実行される。
【0058】
演出制御データ1の再生中(遊技演出1の実行中)に演出操作有効期間S1が設定され、その期間S1の滞在中に演出ボタンSW6が押下操作された場合、図9(B)に示すように、演出制御データ1がレイヤFのデータ記憶領域43から消去される。故に、次に、演出制御データ2が休止期間2のデータよりも優先して再生され、この演出制御データ2に基づく遊技演出2が実行され、そこで大当り抽選での当選期待度が報知される。操作有効期間S1の滞在中に演出ボタンSW6が押下操作されなかった場合、演出制御データ1が演出制御データ2及び休止期間2のデータよりも優先して、つまり継続して再生され、遊技演出1が継続して実行される。
【0059】
演出制御データ1又は2の再生中(遊技演出1又は2の実行中)に演出操作有効期間S2が設定され、その期間S2の滞在中に演出ボタンSW6が押下操作された場合、図9(C)に示すように、演出制御データ1の消去に加え、演出制御データ2及びその付随データ(休止期間1のデータ)がレイヤGのデータ記憶領域43から消去される。故に、演出制御データ3が再生され、この演出制御データ3に基づく遊技演出3が実行され、そこでも大当り抽選での当選期待度が報知される。操作有効期間S2の滞在中に演出ボタンSW6が押下操作されなかった場合、演出制御データ1又は2が演出制御データ2,3又は演出制御データ3よりも優先して、つまり継続して再生され、遊技演出1又は2が継続して実行される。
【0060】
図6に示すように、復帰制御手段42において、復帰データ格納手段42aが、演出制御基板33から復帰制御指令(コマンド)を受信して復帰制御を開始する際に、複数レイヤのデータ記憶領域43に複数の復帰制御データを夫々格納する。ここで、複数の復帰制御データは、移動駆動機構24(電動モータ25)の駆動量と駆動速度の少なくとも一方を互いに異ならせた複数の復帰制御データを含む。
【0061】
復帰制御手段42において、復帰データ再生手段42cは、複数レイヤのデータ記憶領域43に格納された1又は複数の復帰制御データを再生可能であるが、復帰制御手段42は、復帰制御の開始後、位置検出センサ29により可動部材21,22が定位置にあることが検出されない状態で、複数レイヤのデータ記憶領域43に格納された複数の復帰制御データが、復帰データ再生手段42cにより複数レイヤの優先順位に従って順次再生されるように構成している。
【0062】
そのために、復帰データ格納手段42aは、復帰制御で使用する複数レイヤのうち最上位レイヤ以外の各レイヤのデータ記憶領域43には、1つ上位のレイヤに対応する復帰制御データの再生が終了する迄の休止期間のデータを復帰制御データに付随して格納し、復帰データ消去手段42bは、復帰データ再生手段42cで再生を完了した復帰制御データを複数レイヤのデータ記憶領域43から消去する。
【0063】
また、復帰データ消去手段42bは、復帰制御の実行途中(復帰データ再生手段42cによる復帰制御データ再生途中)で位置検出センサ29により可動部材21,22が定位置にあることが検出された場合、複数レイヤのデータ記憶領域43に記憶されている全ての復帰制御データを消去する。そして、復帰制御手段42は、復帰制御を全て終了しても、位置検出センサ29により可動部材21,22が定位置にあることが検出されない場合、以後、可動部材21,22の作動を禁止する。図10に復帰制御の具体例を示す。
【0064】
図10(A)に示すように、復帰制御を開始させる際、演出制御データ1,2,3が夫々レイヤA,B,Cのデータ記憶領域43に格納され、更に、レイヤBのデータ記憶領域43には、レイヤAのデータ記憶領域43に記憶された復帰制御データ1の再生が終了する迄の休止期間1のデータが付随して格納され、レイヤCのデータ記憶領域43には、レイヤBのデータ記憶領域43に記憶された復帰制御データ2の再生が終了する迄の休止期間1,2のデータが付随して格納される。
【0065】
これにより、位置検出センサ29により可動部材21,22が定位置にあることが検出されない状態が続くと、次のようになる。先ず、図10(A)に示すように、復帰制御データ1が休止期間1のデータよりも優先して再生され、この復帰制御データ1に基づく復帰動作1が実行される。次に、10(B)に示すように、復帰制御データ1がレイヤAのデータ記憶領域43から消去され、すると、演出制御データ2が休止期間2のデータよりも優先して再生され、この復帰制御データ2に基づく復帰動作2が実行される。
【0066】
次に、図10(C)に示すように、復帰制御データ2及び休止期間1のデータがレイヤBのデータ記憶領域43から消去され、すると、演出制御データ3が再生され、この復帰制御データ3に基づく復帰動作3が実行される。そして、最終的に、復帰制御データ3及び休止期間1,2のデータがレイヤCのデータ記憶領域43から消去される。
【0067】
ここで、図11に復帰制御データ1〜3の具体的内容を示している。復帰制御データ1〜3は、電動モータ25の駆動量、駆動速度、駆動方向の3つをパラメータとし、そのうちの駆動量、駆動速度の少なくとも一方(本実施例では、駆動量10step/20step/30step)を互いに異ならせている。
【0068】
次に、上記の復帰制御についてフローチャートに基づいて説明する。
図12に示すように、この復帰制御は特別図柄の変動開始毎に開始され、先ず、復帰制御実行中か否か判定され(S1)、S1の判定がNoの場合、可動役物21,22が定位置か否か判定される(S2)。S1又はS2の判定がYes の場合、この復帰制御を終了する。S2の判定がNoの場合、図10(A)に示すように、複数レイヤのデータ記憶領域43に複数の復帰制御データが夫々格納される(S3)。
【0069】
次に、現段階の最上位レイヤの復帰制御データが再生される(S4)。そこで、図10(A)に示す状態では復帰制御データ1が再生され、電動モータ25が復帰側に駆動量10step、駆動速度;100pps で駆動され、図10(B)に示す状態では復帰制御データ2が再生され、電動モータ25が復帰側に駆動量20step、駆動速度;100pps で駆動され、図10(C)に示す状態では復帰制御データ3が再生され、電動モータ25が復帰側に駆動量30step、駆動速度;100pps で駆動される。
【0070】
次に、可動役物21,22が定位置か否か判定され(S5)、S5の判定がNoの場合、現段階の最上位レイヤの復帰制御データの再生が終了したか否か判定される(S6)。S6の判定がNoの場合、S5へリターンし、S6の判定がYes の場合、現段階の最上位レイヤの復帰制御データが消去される(S7)。そこで、図10(A)に示す状態からは図10(B)に示す状態へ移行し、図10(B)に示す状態からは図10(C)に示す状態へ移行し、図10(C)に示す状態からは全復帰制御データが消去された状態へ移行する。
【0071】
次に、複数レイヤのデータ記憶領域43に復帰制御データが残存しているか否か、つまり図10(B)又は(C)に示す状態か否か判定される(S8)。S8の判定がYes の場合、S4へリターンし、S8の判定がNoの場合、可動部材21,22(電動モータ25)、及び可動部材21,22に干渉する虞がある他の可動部材(電動モータ)を作動禁止とし(S9)、この復帰制御を終了する。一方、復帰制御データの再生中、S5の判定がYes となり、可動役物21,22が定位置に復帰した場合、複数レイヤの全復帰制御データが消去され(S10)、この復帰制御を終了する。
【0072】
以上説明したパチンコ遊技機1(復帰制御手段42)によれば次の効果を奏する。
優先順位が予め設定された複数レイヤのデータ記憶領域43を備え、復帰制御手段42は、復帰制御を開始する際に複数レイヤのデータ記憶領域43に複数の復帰制御データを夫々格納する復帰データ格納手段42aと、複数レイヤのデータ記憶領域43に格納された1又は複数の復帰制御データを再生可能な復帰データ再生手段42cとを有するので、複数レイヤのデータ処理技術を利用して可動部材21,22を定位置に復帰させる復帰制御を効果的に実行することができる。
【0073】
詳しく説明すると、先ず、復帰制御手段42は、復帰制御の開始後、位置検出センサ29により可動部材21,22が定位置にあることが検出されない状態で、複数レイヤのデータ記憶領域43に格納された複数の復帰制御データ43が、復帰データ再生手段42cにより複数レイヤの優先順位に従って順次再生されるように構成したので、1回の復帰制御では可動部材21,22が定位置に復帰しない場合も想定して、復帰制御を連続的に複数回実行可能にするとともに、復帰制御を連続的に複数回実行して可動部材21,22が定位置に復帰しない場合には、エラー判定とすることができ、このエラー判定精度を高めることができる。
【0074】
しかも、復帰制御を開始する際に複数レイヤのデータ記憶領域43に複数の復帰制御データを一旦格納すれば、復帰制御を複数回実行させるために、従来のように各復帰制御の開始度に復帰制御データを設定(格納)する必要はなく、その後は、複数の復帰制御データを順次消去する簡単な処理を行うことで実現することができ、つまり、復帰制御を複数回実行させる場合の制御負荷を軽減することができる。
【0075】
更に、復帰制御を複数回実行させる場合、従来のように複数回の復帰制御を特別図柄の変動開始毎に開始させるものと比べると、最終の復帰制御以外の各復帰制御の終了後直ちに、次の復帰制御を開始できるように構成できるため、初回の復帰制御で可動部材21,22が定位置へ復帰しない場合、以後、可動部材21,22が定位置に復帰する或いはエラー判定とされる迄の時間を著しく短縮することができる。
【0076】
ここで、復帰データ格納手段42aは、復帰制御で使用する複数レイヤのうち最上位レイヤ以外の各レイヤのデータ記憶領域43には、1つ上位のレイヤに対応する復帰制御データの再生が終了する迄の休止期間のデータを復帰制御データに付随して格納し、復帰データ消去手段42bは、データ再生手段42cで再生を完了した復帰制御データをデータ記憶領域43から消去するので、前記のように、データ再生手段42cにより複数レイヤの優先順位に従って順次再生されるように確実に構成することができる。
【0077】
また、復帰データ消去手段42bは、復帰制御の実行途中で位置検出センサ29により可動部材21,22が定位置にあることが検出された場合、複数レイヤのデータ記憶領域43に記憶されている全ての復帰制御データを消去するので、その時点で、復帰制御を確実に終了させることができる。
【0078】
また、復帰制御手段42は、復帰制御を全て終了しても、位置検出センサ29により可動部材21,22が定位置にあることが検出されない場合、以後、可動部材21,22の作動を禁止するので、可動部材21,22を不確実に作動させることを防止し、他の可動部材等との衝突により損傷する虞を防止することができる。
【0079】
また、複数の復帰制御データは、移動駆動機構24の駆動量と駆動速度の少なくとも一方を互いに異ならせた複数の復帰制御データを含むので、復帰制御を複数回実行する場合に、復帰制御毎に移動駆動機構24の駆動量と駆動速度の少なくとも一方を異ならせて、できる限り、可動部材21,22を定位置に復帰させる可能性を高めることができる。
【0080】
そして、複数レイヤのデータ記憶領域は、通常時に遊技演出を実行させる為の演出制御データを格納するものであり、依って、複数レイヤのデータ処理技術、特に遊技演出を実行させる際に用いる複数レイヤのデータ処理技術を利用して、可動部材21,22を定位置に復帰させる復帰制御を効果的に実行可能になる。
【0081】
ところで、図13に示すように、役物制御手段40において、復帰データ再生手段42cが復帰制御データ(復帰制御データ1)の再生中(復帰制御の実行中)に、演出制御基板33から演出制御指令を受信した場合、その復帰制御データの再生(復帰制御の実行)の妨げにならないように、演出データ格納手段42aが、再生中の復帰制御データが格納されているレイヤのデータ記憶領域43に、受信した演出制御指令に基づく演出制御データを格納(上書き)し、演出データ再生手段41cがその演出制御データを再生して、演出制御データに基づく遊技演出を実行させるように構成することができる。
【0082】
例えば、図14(A)に復帰制御での駆動対象を示し、図14(B)に演出制御での駆動対象を示している。可動役物装置17の電動モータ25が第1モータに相当し、復帰制御では、その第1電動モータのみが駆動対象である。一方、演出制御では、第1,第3電飾、第2モータが駆動対象である。そして、図14(C)に示すように、演出制御データが上書きされると、第1,第3電飾、第1,第2モータが駆動対象となる。但し、第2モータは復帰制御での駆動、第1,第3電飾、第2モータは演出制御での駆動となる。
【0083】
演出制御データを上書きする場合、その演出制御データにおいて、復帰制御に供する第1モータの演出モータ制御データがある場合、その演出モータ制御データだけは復帰制御データに代えて上書きされないようにしている。そのために、演出制御基板33のコンピュータ、或いは演出制御手段41が、その演出モータ制御データを強制的にカット、或いは、その演出モータ制御データに対応するデータをNull設定するようにしている。
【0084】
ところで、図13に示すように、上書きにて格納された演出制御データでは、復帰制御データ(復帰制御データ1)に基づく復帰動作よりも後で終了する遊技演出を実行させる(殆どのケースでそうなる)が、復帰制御データの再生終了時には、その復帰制御データが消去されるとともに、演出制御データが再生途中で消去される。つまり、遊技演出は中途終了になるが、その遊技演出は少なくとも最初から途中まで実行されることになる。尚、他の復帰制御データ(復帰制御データ2,3)が格納されているレイヤのデータ記憶領域43に演出制御データを上書きにて格納されることも有り得る。このようにして、復帰制御の実行中でも、復帰制御に関わらない、つまり第1電動モータ以外の駆動対象(電飾、モータ)を駆動して、できるだけ遊技演出を実行させることが可能になる。
【0085】
例えば、復帰制御データ1を再生する場合、レイヤAに復帰動作(第1電動モータ)に係らない10種類のランプ演出を実行させる演出制御データを上書きし、そこで、可動部材21,22の復帰が確認されなかった場合、その後、復帰制御データ2を再生するが、その場合、レイヤBに復帰動作に係らない更に15種類のランプ演出を実行させる演出制御データを上書きし、そこで、可動部材21,22の復帰が確認されなかった場合、その後、復帰制御データ3を再生するが、その場合、レイヤCに復帰動作に係らない更に20種類のランプ演出を実行させる演出制御データを上書きすることができる。
【0086】
このように、復帰制御データの再生が、復帰制御データ1→2→3と進むほど、復帰動作に係らない演出(ランプ演出)の実行可能数を10種類→25種類(=10+15)→40種類(=10+15+25)と増やすことができ、つまりは、復帰動作中も通常の演出をできるだけ崩さずに(或いはそれ以上の演出を)実行可能になる。更にここで、仮に、復帰制御データの再生が終了しても、その復帰制御データに対応して上書きされた演出制御データを全て再生するまで、次の復帰制御データが再生されないようにすると、それだけ、次の復帰制御データの再生が遅れ、結局は全体的な復帰処理が長引くが、これを防止し、それで以て、通常の演出をできるだけ崩さずに実行させることを可能にしている。
【0087】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を付加して実施可能である。また、本発明は実施例のような可動役物装置の可動部材に限らず、種々の可動部材を定位置に復帰させる技術として適用することが可能である。
【符号の説明】
【0088】
1 パチンコ遊技機
21,22 可動部材
24 移動駆動機構
29 位置検出センサ
42 復帰制御手段
42a 復帰データ格納手段
42c 復帰データ再生手段
43 複数レイヤのデータ記憶領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14