(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記位置センサは、前記ペダルアームに設けられた磁性材料からなる環状のアーマチュアと、前記アーマチュアの内周面に結合された円弧状の永久磁石と、前記第1ハウジング本体に設けられた磁性材料からなるステータと、前記第1ハウジング本体に配置されたホール素子を含む、
ことを特徴とする請求項2に記載のアクセルペダル装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みて成されたものであり、その目的とするところは、構造の簡素化、部品点数の削減、低コスト化、装置全体の小型化等を図りつつ、遮磁板等の特別な対策を施すことなくペダルアームの角度位置を検出する磁気式の位置センサ(APS)に対するアクティブ制御機構に含まれる駆動源の磁場の影響を低減ないし防止でき、応答性に優れたアクティブ制御が可能なアクセルペダル装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のアクセルペダル装置は、アクセルペダルに連動するペダルアームと、ペダルアームを休止位置と最大踏込み位置の間で所定軸線回りに回動可能に支持する
ハウジング本体及び前記ハウジング本体に着脱自在に結合されるハウジングカバーを含むハウジングと、ペダルアームを休止位置に復帰させる付勢力を及ぼす復帰バネと、ペダルアームの角度位置を検出する磁気式の位置センサと、所定条件下でペダルアームを休止位置に向けて押し戻すように制御するべく,ペダルアームに当接して戻し力を及ぼす戻しレバー,戻しレバーを電磁力により回転駆動する駆動源,駆動源を駆動制御する制御回路基板を含むアクティブ制御機構を備えたアクセルペダル装置であって、
上記駆動源は、ハウジング本体の一方側に配置され、上記制御回路基板は、位置センサの回路が設けられると共にハウジング本体の他方側に配置され、上記位置センサは、駆動源から隔離されるべくハウジング本体の他方側に配置されている、構成となっている。
この構成によれば、運転者がアクセルペダルを操作して、ペダルアームを休止位置と最大踏み込み位置の間で回動させる際に、所定条件下で(例えば、車両の運転中に危険回避あるいは危険告知等が必要
になった場合に)はアクティブ制御機構が作動して、運転者の踏力に対抗してペダルアームを押し戻すような押し戻し力を発生させることができる。
ここで、アクティブ制御機構の制御回路基板には、ペダルアームの角度位置を検出する位置センサの回路が設けられているため、従来のように位置センサのための専用の回路基板を設ける必要が無く、又、リード配線等を廃止してバスバー等により位置センサを連結することで、部品点数を削減して、組立工数の削減、低コスト化、装置の小型化等を達成することができる。
また、制御回路基板に一体的に設けられた位置センサの回路により、制御回路基板上の種々の制御回路を介して、直接的にペダルアームの角度位置(アクセル開度)が検出されるため、アクティブ制御機構の駆動源の回転角度を検出する専用の位置センサ(MPS)等が不要であり、さらに構造の簡素化、部品点数の削減、低コスト化等を達成することができる。
特に、ペダルアームを支持するハウジング本体の一方側にアクティブ制御機構の駆動源を配置し、ハウジング本体の他方側に位置センサの回路を含む制御回路基板を配置し、ハウジング本体の側壁部を介して位置センサを駆動源から隔離した領域に配置するため、専用の遮磁板等を設けることなく、制御回路基板上に配置される種々の電子部品や制御回路基板上に回路が設けられる磁気式の位置センサ等に対する駆動源の磁場の影響を低減ないし防止することができる。
【0008】
上記構成において、ハウジング本体は、ペダルアームを軸線方向の両側から挟み込むように形成された第1ハウジング本体及び第2ハウジング本体を含み、ハウジングカバーは、第1ハウジング本体に着脱自在に結合される第1ハウジングカバーと、第2ハウジング本体に着脱自在に結合される第2ハウジングカバーを含み、制御回路基板
及び位置センサは、第1ハウジング本体と第1ハウジングカバーの間に配置されて保持され、駆動源は、第2ハウジング本体と第2ハウジングカバーの間に配置されて保持されている、構成を採用することができる。
この構成によれば、ペダルアームは、第1ハウジング本体及び第2ハウジング本体により挟持されるように組み付けられることにより、所定の軸線回りに回動自在に支持され、さらに、第1ハウジング本体と第1ハウジングカバーの間に制御回路基板
及び位置センサを配置し、第2ハウジング本体と第2ハウジングカバーの間に駆動源を配置して組み付けることで、種々の電子部品及び回路を備える制御回路基板
及び位置センサと駆動源とを完全に分離することができ、駆動源の磁場の影響をより確実に低減ないし防止することができる。
【0009】
上記構成において、位置センサは、ペダルアームに設けられた磁性材料からなる環状のアーマチュアと、アーマチュアの内周面に結合された円弧状の永久磁石と、第1ハウジング本体に設けられた磁性材料からなるステータと、第1ハウジング本体に配置されたホール素子を含む、構成を採用することができる。
この構成によれば、ペダルアームが回動することにより、アーマチュア及び永久磁石が、ステータ及びホール素子に対して相対的に回転し、この相対的な回転移動による磁束密度の変化をホール素子で検出して電圧信号として出力することで、ペダルアームの角度位置を検出することができる。
【0010】
上記構成において、ペダルアームは、ハウジング
本体により回動自在に支持される円筒部を有し、第1ハウジング本体は、円筒部の内側に非接触にて配置される円柱部を有し、アーマチュア及び永久磁石は、ペダルアームの円筒部に保持され、ステータ及びホール素子は、第1ハウジング本体の円柱部の内側に配置されている、構成を採用することができる。
この構成によれば、ペダルアームの円筒部に位置センサのアーマチュア及び永久磁石が保持され、第1ハウジング本体の円柱部の内側に位置センサのステータ及びホール素子が配置(埋設)されることで、検出のための磁気回路を効率良く形成することができると共に、ホール素子を第1ハウジング本体の壁部により駆動源から完全に遮断することができ、ホール素子に対する駆動源の磁場による影響をより確実に低減ないし防止することができる。
【0011】
上記構成において、駆動源は、永久磁石を一体的に有し電磁力により回転するロータと、励磁用のコイルと、磁路を形成するヨークを含み、第1ハウジング本体には、コイルの温度を検出する温度センサが保持され、制御回路基板には、温度センサの回路が設けられている、構成を採用することができる。
この構成によれば、駆動源を、コイルへの通電を適宜制御することにより回転トルクを発生するトルクモータとして機能させることができ、又、温度センサによりコイルの温度を検出し、この検出温度に基づいてコイルへの通電のオン/オフを制御することで、過熱を防止してフェールセーフ機能を確保することができる。
【0012】
上記構成において、ペダルアームに当接してアクセルペダルの踏力にヒステリシスを発生させるヒステリシス発生機構を含み、ハウジング本体は、筒状部を有し、ヒステリシス発生機構は、筒状部内に摺動自在に配置されてペダルアームの踏力により生じるお互いのくさび作用により筒状部の内壁面に対して押圧力を発生する一対のスライダと、一対のスライダの一方に当接してペダルアームを休止位置に向けて付勢する付勢バネとを含む、構成を採用することができる。
この構成によれば、運転者がアクセルペダルを操作して、ペダルアームを休止位置と最大踏み込み位置の間で回動させる際に、ヒステリシス発生機構によりヒステリシスを生じるような踏力が得られ、かつ、所定条件下で(例えば、車両の運転中に危険回避あるいは危険告知等が必要
になった場合に)はアクティブ制御機構が作動して、運転者の踏力に対抗してペダルアームを押し戻すような押し戻し力を発生させることができる。
【発明の効果】
【0013】
上記構成をなすアクセルペダル装置によれば、構造の簡素化、部品点数の削減、低コスト化、装置全体の小型化等を達成しつつ、遮磁板等の特別な対策を施すことなくペダルアームの角度位置を検出する磁気式の位置センサ(APS)に対するアクティブ制御機構に含まれる駆動源の磁場の影響を低減ないし防止でき、応答性に優れたアクティブ制御が可能なアクセルペダル装置を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
このアクセルペダル装置は、
図1ないし
図6に示すように、自動車等の車体に固定されるハウジング10、アクセルペダル(不図示)に連動しハウジング10により規定される所定の軸線Lを中心として回動自在に支持されたペダルアーム20、ペダルアーム20を休止位置に戻す付勢力を及ぼす復帰バネ30、ペダルアーム20の回転角度位置を検出する位置センサ40(環状のアーマチュア41,円弧状の永久磁石42,ステータ43,ホール素子44)、所定条件下においてペダルアーム20を休止位置に向けて押し戻す押し戻し力を生じさせるためのアクティブ制御機構50(駆動源51(ロータ51a,励磁用のコイル51b,ヨーク51c),戻しレバー52,制御回路基板53)、アクティブ制御機構50を構成する部品(駆動源51のコイル51b)の温度を検出する温度センサ60、ペダルアーム20を休止位置に戻す付勢力を及ぼすと共に踏力(ペダル荷重)にヒステリシスを発生させるためのヒステリシス発生機構70(一対のスライダ71,72,及び付勢バネ73)、制御回路基板53に電気的に接続されたコネクタ80等を備えている。
【0016】
ハウジング10は、
図1ないし5に示すように、ハウジング本体をなす第1ハウジング本体11及び第2ハウジング本体12、ハウジングカバーをなす第1ハウジングカバー13及び第2ハウジングカバー14により構成されている。
第1ハウジング本体11は、樹脂材料により成形されており、
図3ないし
図5に示すように、側壁部11a、側壁部11aの内側において軸線Lと同軸上に設けられた円筒状の軸受部11b、軸受部11bの中央において軸線L方向の内側に向けて突出しかつ側壁部11aの外側に向けて凹状に形成された円柱部11c、第2ハウジング本体12を連結するための複数の連結孔11d、側壁部11aの外側に形成されて制御回路基板53を取り付けるために位置決めする複数の位置決めピン11e、側壁部11aの外側に形成されて第1ハウジングカバー13を結合するための複数のネジ穴11f、駆動源51に含まれる励磁用のコイル51を制御回路基板53に電気的に接続するべく側壁部11aに埋設された複数の端子11g、第2ハウジング本体12を連結するための複数の連結片11h、ペダルアーム20の最大踏込み位置を規定する全開ストッパ11i等を備えている。
円柱部11cは、
図8に示すように、軸受部11bと同軸上すなわち軸線L上に中心をもつように形成されて、軸受部11bがペダルアーム20の円筒部21に嵌め込まれた状態で、円筒部21の内周面に固定された環状のアーマチュア41及び円弧状の一対の永久磁石42と非接触となるように形成されている。
【0017】
第2ハウジング本体12は、樹脂材料により成形されており、
図3ないし
図6に示すように、側壁部12a、側壁部12aの内側において軸線Lと同軸上に設けられた円柱状の軸受部12b、第1ハウジング本体11を連結するための複数の嵌合突起12d、側壁部12aの外側に形成されて駆動源51(ヨーク51c,コイル51b)を取り付けるため
の取付凹部12e、ヨーク51cを取り付けるネジ孔12f、ロータ51aの回転軸51a´を回動自在に支持する軸受孔12g、コイル51bを通す開口部12h、復帰バネ30の一端部を受ける受け部12i、ヒステリシス発生機構70を配置する筒状部12j、第2ハウジングカバー14を結合するためのネジ穴12k、第1ハウジング本体11を連結するための複数の連結爪12m等を備えている。
【0018】
第1ハウジングカバー13は、樹脂材料により成形されており、
図3ないし
図5に示すように、側壁部13a、複数のネジ孔13b等を備え、第1ハウジング本体11と協働して制御回路基板53を挟み込んで覆った状態で保持するべく、第1ハウジング本体11に対して着脱自在に結合されるように形成されている。
【0019】
第2ハウジングカバー14は、放熱性を高めるために金属材料(例えば、アルミ)により成形されており、
図3、
図4、
図6に示すように、側壁部14a、複数のネジ孔14b、コイル51bを収容するべく外側に膨らむ凹部14c、ロータ51aの端部(ナット51a´´)側を回動自在に支持する軸受部14d等を備え、第2ハウジング本体12と協働して駆動源51を挟み込んで(一部を除いて)覆った状態で保持するべく、第2ハウジング本体12及びヨーク51cに対して着脱自在に結合されるように形成されている。
【0020】
ペダルアーム20は、全体が樹脂材料により成形されており、
図3ないし
図5、
図8及び
図9に示すように、ハウジング10(第1ハウジング本体11及び第2ハウジング本体12)の軸受部11b,12bにより回動自在に支持される円筒部21、円筒部21から下方に伸長して一体的に形成されてアクセルペダル(不図示)にリンク機構等を介して連動するように連結される下側アーム22、円筒部21から上方に伸長して一体的に形成された上側アーム23、円筒部21の下方近傍において下側アーム22に形成されて復帰バネ30の他端部を受ける受け部24、受け部24の下方近傍に形成されてヒステリシス発生機構70のスライダ71に当接するロッド状の当接部25等を備えている。
【0021】
円筒部21は、
図8に示すように、第1ハウジング本体11の軸受部11bがその縮径部分の外側に嵌合され、かつ、第2ハウジング本体12の軸受部12bがその拡径部分の内側に嵌合されて、軸線L回りに回動自在に支持されている。
また、円筒部21には、
図5及び
図8に示すように、その縮径部分の内周面において、磁性材料からなる環状のアーマチュア41、アーマチュア41の内周面に結合された一対の円弧状の永久磁石42が設けられている。
上側アーム23は、ペダルアーム20が第1ハウジング本体11及び第2ハウジング本体12により回動自在に挟持された状態において、復帰バネ30の付勢力により、その縁部23aが戻しレバー52の近傍に配置された嵌合突起12dに当接してペダルアーム20が休止位置に位置決めされ、又、その縁部23bに対してペダルアーム20を休止位置に向けて押し戻す戻しレバー52が当接するように形成されている。
当接部25は、
図9に示すように、筒状部12j内に配置されたヒステリシス発生機構70(一対のスライダ71,72、付勢バネ73)のスライダ71に離脱可能に当接して、一対のスライダ71,72を付勢バネ73の付勢力に抗して押し込むように形成されている。
【0022】
復帰バネ30は、
図4及び
図5に示すように、バネ鋼等により形成された圧縮型のコイルバネであり、その一端部が第2ハウジング本体12の受け部12iに当接しかつその他端部がペダルアーム20の受け部24に当接して、所定の圧縮代に圧縮された状態で取り付けられて、ペダルアーム20を休止位置に戻す付勢力を及ぼすようになっている。
【0023】
位置センサ40は、非接触式の磁気式センサであり、
図5及び
図8に示すように、軸線Lの周りの領域において、ペダルアーム20の円筒部21の内周面に配置(保持)された磁性材料からなる環状のアーマチュア41、アーマチュア41の内周面に結合された円弧状の一対の永久磁石42、第1ハウジング本体11の円柱部11cの内側に埋設するようにして配置(保持)された磁性材料からなる二つのステータ43、二つのステータ43間に配置された2つのホール素子44等により構成されている。
【0024】
ホール素子44は、その電気的接続が端子等を介して第1ハウジング本体11の外側に配置される制御回路基板53上に形成された回路に接続されるようになっている。
ここで、位置センサ40(アーマチュア41、永久磁石42、ステータ43、ホール素子44)は、第2ハウジング本体12の側壁部12a及び第1ハウジング本体11の側壁部11a(又は円柱部11cの壁部)により、駆動源50から隔離された領域に配置されている。
すなわち、この位置センサ40によれば、ペダルアーム20が回動することにより、アーマチュア41及び永久磁石42が、ステータ43及びホール素子44に対して相対的に回転し、この相対的な回転移動による磁束密度の変化をホール素子44で検出して電圧信号として出力することで、ペダルアーム20の角度位置が検出されるようになっている。
【0025】
アクティブ制御機構50は、
図3ないし
図6に示すように、第2ハウジング本体12と第2ハウジングカバー14の間に配置されて保持され電磁力により回転駆動力を発生する駆動源51、駆動源51に直結されてペダルアーム20の上側アーム23に対して離脱可能に係合する戻しレバー52、第1ハウジング本体11と第1ハウジングカバー13の間に配置されて保持され駆動源51を駆動制御するための制御回路基板53等により構成されている。
【0026】
駆動源51は、
図6に示すように、一対の永久磁石を一体的に有し電磁力により回転するロータ51a、励磁用のコイル51b、磁路を形成するヨーク51cにより構成されている。
ロータ51aは、
図6に示すように、第2ハウジング本体12の軸受孔12gに通されて支持される回転軸51a´及び締結用のナット51a´´を有し、回転軸51a´の端部において戻しレバー52が一体的に回転するように固定されている。尚、ロータ51aは、ナット51a´´側も第2ハウジングカバー14の軸受部14dにより回動自在に支持されるようになっている。
コイル51bは、ボビンを介して図示しない励磁部材に巻回され、組付けの際にその接続端子が開口部12hを通して第1ハウジング本体11に埋設された端子11gと接続されるようになっている。
ヨーク51cは、第2ハウジング本体12の取付凹部12eに配置され、第2ハウジング本体12の側壁部12aと第2ハウジングカバー14により挟持されると共にその一部を除いて露出しないように覆われた状態で保持されるようになっている。
すなわち、駆動源51は、軸線Lに平行な軸線L2を中心として所定の角度範囲を回動すると共に戻しレバー52を直結するロータ51aを含むトルクモータである。
尚、ペダルアーム20の踏力に抵抗して戻しレバー52を回動させることができるものであれば、トルクモータに限らずその他の構成をなす電磁駆動源を適用してもよい。
【0027】
戻しレバー52は、
図5及び
図6に示すように、軸線L2を中心に回動するロータ51aの回転軸51a´に直結されると共にその先端部のローラ52aがペダルアーム20の上側アーム23の縁部23bに離脱可能に係合するように形成されている。
そして、戻しレバー52は、駆動源51が駆動力(回転トルク)を及ぼさないとき、ペダルアーム20の揺動に追従するように、すなわち、上側アーム23の移動に対して抵抗力を及ぼすことなく追従するように自由に回動し、一方、駆動源51が駆動力(回転トルク)を及ぼすとき、踏力に抵抗してペダルアーム20を休止位置に向けて押し戻す押し戻し力を上側アーム23に対して及ぼすようになっている。
【0028】
制御回路基板53は、
図3ないし
図5、
図8に示すように、第1ハウジング本体11の位置決めピン11eに嵌め込まれる複数の位置決め孔53a、ネジが通される複数の孔53b、種々の電子部品(制御ユニット)を含む制御回路、位置センサ40のホール素子44から出力される信号を処理する回路、温度センサ60から出力される信号を処理する回路、ホール素子44を電気的に接続する端子(バスバー)、温度センサ60を電気的に接続する端子(バスバー)等を備えている。
そして、制御回路基板53は、第1ハウジング本体11と第1ハウジングカバー13との間に配置されて外部に露出しないように覆われた状態で保持されている。
【0029】
このように、制御回路基板53には、ペダルアーム20の角度位置を検出する位置センサ40(ホール素子44)の回路が設けられているため、従来のように位置センサのための専用の回路基板を設ける必要が無く、又、リード配線等を廃止してバスバー等により位置センサ(ホール素子44)を連結することで、部品点数を削減して、組立工数の削減、低コスト化、装置の小型化等を達成することができる。
また、制御回路基板53に一体的に設けられた位置センサ40(ホール素子44)の回路により、制御回路基板53上の種々の制御回路を介して、直接的にペダルアーム20の角度位置(アクセル開度)が検出されるため、アクティブ制御機構50の駆動源51の回転角度を検出する専用の位置センサ(MPS)等が不要であり、さらに構造の簡素化、部品点数の削減、低コスト化等を達成することができる。
さらに、アクティブ制御機構50は、駆動源51(トルクモータ)と、駆動源51により回転駆動されてペダルアーム20の上側アーム23に対して離脱可能に係合し得る戻しレバー52、制御回路基板53により構成されているため、アクティブ制御機構50の簡素化及び装置の小型化等が達成され、所定条件下でアクティブ制御が必要になった場合の応答性を高めることができる。
【0030】
また、上記構成の配置関係においては、駆動源51は、ハウジング本体(第1ハウジング本体11及び第2ハウジング本体12)の一方側に配置され、制御回路基板53は、ハウジング本体(第1ハウジング本体11及び第2ハウジング本体12)の他方側に配置され、さらに、位置センサ40は、ハウジング本体(第1ハウジング本体11及び第2ハウジング本体12)の側壁部により、駆動源51から隔離された領域に配置されている、すなわち、ペダルアーム20を支持するハウジング本体の一方側にアクティブ制御機構50の駆動源51を配置し、ハウジング本体の他方側に制御回路基板53を配置し、ハウジング本体の側壁部を介して位置センサ40を駆動源51から隔離した領域に配置するため、専用の遮磁板等を設けることなく、制御回路基板53上に配置される種々の電子部品や制御回路基板53上に回路が設けられる磁気式の位置センサ40(ホール素子44)等に対する駆動源51の磁場の影響を低減ないし防止することができる。
【0031】
温度センサ60は、第1ハウジング本体11の側壁部11aの外側に保持されて、コイル51bの温度を検出するものであり、温度センサ60の信号を処理する回路は、制御回路基板53に設けられており、その電気的接続が、端子等を介して第1ハウジング本体11の外側に配置される制御回路基板53上に形成された回路に接続されるようになっている。
この温度センサ60により、コイル51bの温度を検出され、この検出温度に基づいてコイル51bへの通電のオン/オフが適宜制御されて、過熱を防止してフェールセーフ機能が確保されるようになっている。
【0032】
ヒステリシス発生機構70は、
図4、
図5、
図7、
図9に示すように、第2ハウジング本体12の筒状部12jに収容された、スライダ71、スライダ72、付勢バネ73により構成されており、ペダルアーム20の当接部25がスライダ71に離脱可能に係合して踏力(ペダル荷重)にヒシテリシスを発生させるように形成されている。
スライダ41は、樹脂材料(例えば、含油ポリアセタール等の高摺動性材料)により形成されており、
図7及び
図9に示すように、筒状部12jの内壁面12j´に摺動自在に接触し、スライダ72の傾斜面72aと接触する傾斜面71a、ペダルアーム20の当接部25が離脱可能に係合し得る係合面71b等を備えている。
スライダ72は、樹脂材料(例えば、含油ポリアセタール等の高摺動性材料)により形成されており、
図7及び
図9に示すように、筒状部12jの内壁面12j´に摺動自在に接触し、スライダ71の傾斜面71aと接触する傾斜面72a、付勢バネ73の一端部を受ける受け面72b等を備えている。
付勢バネ73は、
図7及び
図9に示すように、バネ鋼等により形成された圧縮型のコイルバネであり、その一端部73aがスライダ72の受け面72bに係合し、その他端部73bが第2ハウジング本体12の筒状部12jの底壁に係合して、所定の圧縮代に圧縮された状態で取り付けられて、スライダ72の傾斜面72aをスライダ71の傾斜面71aに押し付けて、スライダ71及びスライダ72を内壁面12j´に向けて押し付けるようなくさび作用を及ぼすと共に、一対のスライダ71,72を介して、ペダルアーム20を休止位置に戻す付勢力を及ぼすようになっている。
【0033】
したがって、ペダルアーム20が、復帰バネ30(及び付勢バネ73)の付勢力に抗して最大踏込み位置(全開位置)に向けて踏み込まれる場合は、当接部25が付勢バネ73の付勢力に抗してスライダ71を
図9中の左向きに押すことで、傾斜面71a,72aのくさび作用により生じる摩擦力(摺動抵抗)が増加し、付勢バネ73の付勢力の増加に伴って摩擦力が直線的に増加する。
一方、ペダルアーム20が、復帰バネ30(及び付勢バネ73)の付勢力に応じて休止位置に向けて戻される場合は、傾斜面71a,72aのくさび作用により生じる摩擦力(摺動抵抗)は小さくなり、付勢バネ73の付勢力によりスライダ71及びスライダ72が元の位置に向けて
図9中の右向きに移動するに連れて、付勢バネ73の付勢力が減少することで摩擦力が直線的に減少する。ここで、戻り動作の際の摩擦力は、踏込み動作の際の摩擦力よりも小さくなるため、踏込み動作から戻し動作までの全体の踏力(ペダル荷重)にヒステリシスを発生させることができる。
尚、戻り動作の途中において、スライダ71がスティックして停止したときは、復帰バネ30の付勢力により、当接部25がスライダ71(の係合面71b)から離脱することで、ペダルアーム20は所定の休止位置に戻るようになっている。
【0034】
上記構成をなすアクセルペダル装置によれば、構造の簡素化、部品点数の削減、低コスト化、装置全体の小型化等を達成しつつ、遮磁板等の特別な対策を施すことなくペダルアーム20の角度位置を検出する磁気式の位置センサ40(APS)に対するアクティブ制御機構50に含まれる駆動源51の磁場の影響を低減ないし防止でき、応答性に優れたアクティブ制御が可能なアクセルペダル装置を得ることができる。
【0035】
次に、このアクセルペダル装置の動作について説明する。
先ず、運転者がアクセルペダルを踏み込まない休止位置にあるとき、復帰バネ30の付勢力により、上側アーム23が嵌合突起12dに当接して、ペダルアーム20は休止位置に停止している。このとき、ペダルアーム20の当接部25は、スライダ71の係合面71bと離脱可能に係合した状態にある。また、戻しレバー52(のローラ52a)は、上側アーム23に戻し力を及ぼさない状態で係合した状態にある。
【0036】
この状態から、運転者がアクセルペダルを踏み込むと、ペダルアーム20は、復帰バネ30の付勢力に抗して回転し、ヒステリシス発生機構70が発生する抵抗荷重(押返し荷重)を増しながら、最大踏込み位置(全開位置)まで回転して、上側アーム23(の縁部23b)がハウジング10(第1ハウジング本体11)の全開ストッパ11iに当接して停止する。この踏込み動作において、戻しレバー52は、何ら負荷(押し戻し力)を及ぼすことなく、上側アーム23の移動に追従するようになっている。
【0037】
一方、運転者が踏力を緩めると、踏込み時の抵抗荷重(ペダル荷重)よりも小さい抵抗荷重(ペダル荷重)を操作者(運転者)に及ぼしながら、ペダルアーム20は復帰バネ30の付勢力により休止位置に向けて移動し、上側アーム23(の縁部23a)がハウジング10(第2ハウジング本体12)の嵌合突起12dに当接して停止する。この戻し動作において、戻しレバー52は、何ら負荷(押し戻し力)を及ぼすことなく、上側アーム23の移動に追従するようになっている。
【0038】
一方、運転者がアクセルペダルを踏み込んだ状態において、例えば、危険回避
あるいは危険告知が必要と判断(この判断は別の車間距離検出システム等に判断される)された場合(所定条件下において)は、制御回路基板53(上の制御ユニット)からの制御信号及び位置センサ40からの出力信号等に基づいて、アクティブ制御機構50の駆動源51が起動し、戻しレバー52が回転トルク(押し戻し力)を発生して、運転者の踏力に対抗してペダルアーム20を休止位置に向けて押し戻すように駆動制御される。
【0039】
また、戻しレバー52の押し戻し力をペダルアーム20(の上側アーム23)に直接作用させることで、ヒステリシス発生機構70に影響を及ぼすのを防止でき、踏力において所望のヒステリシス特性を得ることができる。
また、アクティブ制御機構50が仮に作動不良になっても、戻しレバー52はペダルアーム20の上側アーム23に対して離脱可能であるため、ペダルアーム20の安全側(休止位置)への戻りを確実に保証することができる。
さらに、ヒシテリシス発生機構70及びアクティブ制御機構50が作動不良になっても、復帰バネ30が直接付勢力を及ぼしているため、ペダルアーム20の安全側(休止位置)への戻りを確実に保証することができる。
【0040】
上記構成をなすアクセルペダル装置によれば、運転者がアクセルペダルを操作して、ペダルアーム20を休止位置と最大踏み込み位置の間で回動させる際に、ヒステリシス発生機構70によりヒステリシスを生じるような踏力が得られ、かつ、所定条件下で(例えば、車両の運転中に危険回避あるいは危険告知等が必要
になった場合に)はアクティブ制御機構50が作動して、運転者の踏力に対抗してペダルアーム20を押し戻すような押し戻し力を発生させることができる。
【0041】
上記実施形態においては、ヒステリシス発生機構70を備えた構成を示したが、これに限定されるものではなく、ヒステリシス発生機構を廃止した構成において、本発明を採用してもよい。
上記実施形態においては、戻しレバー52とペダルアーム20の回転方向を同一方向にするように配置した場合を示したが、これに限定されるものではなく、戻しレバーがペダルアーム20の回転方向と逆向きの方向に回転して押し戻し力を及ぼすように構成してもよい。
上記実施形態においては、ペダルアーム20が、アクセルペダルと別個に形成され、車両等の床面に揺動自在に支持されたアクセルペダルと連動する場合を示したが、アクセルペダルを一体的に備えたペダルアームを用いる構成において、本発明を採用してもよい。
上記実施形態においては、ハウジング10のハウジング本体が、第1ハウジング本体11及び第2ハウジング本体12により構成され、ハウジング10のハウジングカバーが、第1ハウジングカバー13及び第2ハウジングカバー14により構成される場合を示したが、これに限定されるものではなく、ハウジング本体が一体的に形成され、ハウジング本体を境にして、駆動源と制御回路基板とが隔離配置されるようにしてもよい。