【文献】
ERIK DAHLMAN,4G: LTE/LTE-ADVANCED FOR MOBILE BROADBAND,2011年 3月,pages.152 - 173,242-245,304-305
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記無線基地局は、通信開始フェーズにて、信号種別として、報知情報及びシステム情報の少なくとも1つを含んだ下りリンク信号を、前記通信タイプ1に対応したアンテナ構成で、ユーザ端末へ通知することを特徴とする請求項1記載の無線通信システム。
前記無線基地局は、信号種別として、制御信号、システム情報、参照信号の少なくとも1つを含んだ下りリンク信号を、前記通信タイプ1に対応したアンテナ構成で、ユーザ端末へ通知することを特徴とする請求項1記載の無線通信システム。
前記無線基地局は、信号種別として、4アンテナポート用の参照信号を含んだ下りリンク信号を、前記通信タイプの中の1つの通信タイプに対応した4ビーム伝送によって、ユーザ端末へ通知することを特徴とする請求項1記載の無線通信システム。
前記無線基地局は、信号種別として、8アンテナポート用の参照信号を含んだ下りリンク信号を、前記通信タイプの中の1つの通信タイプに対応した8ビーム伝送によって、ユーザ端末へ通知することを特徴とする請求項1記載の無線通信システム。
前記ユーザ端末は、前記無線基地局へ無線接続した後に、当該ユーザ端末の能力情報を含んだ上りリンク信号を、上りリンクを介して前記無線基地局へ通知することを特徴とする請求項1記載の無線通信システム。
前記無線基地局は、前記ユーザ端末から通知された当該ユーザ端末の能力情報と、前記ユーザ端末から通知された通信品質に関するフィードバック情報とに基づいて、通信タイプを選択することを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載の無線通信システム。
【発明を実施するための形態】
【0016】
通信タイプに応じて異なるアンテナ構成を持つアンテナを用いてMIMO伝送を行うための技術として、本発明者らは、特願2010−183188に記載のアンテナ装置を提案している。このアンテナ装置においては、複数の通信タイプに対してアンテナ素子構成のグループを変えることで、設置するアンテナの数を従来よりも少なくし、かつ通信タイプが変化しても同一エリアをカバーすることが可能となる。このアンテナ装置を用いたMIMO伝送においては、個々のユーザ端末が別々の通信タイプに対応した通信を行う場合、複数のアンテナ構成が同時に混在することになる。本発明者らは、基地局装置から異なる通信タイプ間で同時に複数の参照信号を多重して送信し、ユーザ端末から個々の通信タイプに合わせてフィードバックすることで、通信タイプに応じて異なるアンテナ構成を持つアンテナを用いたMIMO伝送において、個々のユーザ端末が別々の通信タイプに対応した通信を行う場合でも適切にシグナリングを行うことができる点に着目し、本発明に至ったものである。
【0017】
すなわち、本発明に係る無線通信システムは、無線基地局に、少なくとも2つの通信タイプに応じてそれぞれ異なるアンテナ構成を有するアンテナ構成で、その中の少なくとも1つの通信タイプ1で無線基地局のカバーするすべてのエリアへ信号を送信可能なアンテナ構成を有するアンテナを備え、それぞれの通信タイプで利用される複数の参照信号を同一のリソースブロックに多重して送信する一方、ユーザ端末UEから個々の通信タイプに応じた参照信号に基づいて測定したチャネル品質をフィードバックするものである。これにより、通信タイプに応じて異なるアンテナ構成を持つアンテナを用いたMIMO伝送において、個々のユーザ端末が別々の通信タイプに対応した通信を行う場合でも、通信に必要となる参照信号とフィードバック信号とを無線基地局及びユーザ端末間で適切に送受信することが可能となる。
【0018】
以下、本発明の一実施の形態に係る無線通信システムの構成について説明する。
本実施の形態に係る無線通信システムは、垂直方向に指向性を設定可能な送信ビームを形成できる無線基地局(以下、「基地局」という)を備える。この基地局は、Nを2以上の整数として、N個の通信タイプのそれぞれに対応して少なくとも1つのグループに分けられる複数のアンテナ素子から構成されるアレーアンテナを備える。以下、この基地局が備えるアレーアンテナによって提供されるN個の通信タイプについて
図1を用いて説明する。
図1は、本実施の形態に係る基地局が備えるアレーアンテナによって提供されるN個の通信タイプを説明するための模式図である。
【0019】
図1Aに示すように、アレーアンテナ10は、垂直方向に1列に配列された複数のアンテナ素子11から構成されている(
図1Aには16個のアンテナ素子11が例示されている)。本実施の形態では、アレーアンテナ10は、垂直偏波アンテナ10aと水平偏波アンテナ10bとを組み合わせた偏波アンテナで構成される。ただし、本発明は偏波アンテナ構成に限定されない。
図1Bは、垂直偏波アンテナ10aを単独で示した概念図であり、
図1Cは、水平偏波アンテナ10bを単独で示した概念図である。偏波アンテナが適用される場合、個々のアンテナ素子11は、それぞれ垂直偏波素子11Vと水平偏波素子11Hのセットで構成される。
【0020】
第1の通信タイプは、アレーアンテナ10を構成するアンテナ素子11の全体で1つのグループAを形成し、アンテナ全体で1つのアンテナブランチを構成するタイプである。第2の通信タイプは、アレーアンテナ10を構成するアンテナ素子11を上下に2分割し、アンテナ素子11を2つのグループB1,B2に分けて2つのアンテナブランチを構成するタイプである。第3の通信タイプは、アレーアンテナ10を構成するアンテナ素子11を上下に4分割し、アンテナ素子11を4つのグループC1,C2,C3,C4に分けて4つのアンテナブランチを構成するタイプである。本実施の形態では、第1から第3の通信タイプ(アンテナブランチ数と呼ぶこともできる)を例示するが、アレーアンテナ10を構成するアンテナ素子11の垂直方向の分割数に応じて適宜任意の数の通信タイプを設定可能である。また、最大ブランチ数はアンテナ素子11に応じて適宜選択可能である。
【0021】
第1から第3の通信タイプの中では、第1の通信タイプが1ブランチを構成するアンテナ長(アンテナ素子数)が最も長い。アンテナブランチ数が増えるのに従って1ブランチ当たりのアンテナ長が短くなる。一般的に、アレーアンテナを用いてビーム形成する場合、1ブランチ当たりのアンテナ素子数が多くなるのに従って、アンテナ利得が増大し、かつビーム幅を小さくできる。したがって、第1の通信タイプは、アンテナ全体を1アンテナブランチで構成するので、セル端に向けたシャープなビームを形成できる。なお、この第1の通信タイプに応じたアンテナ構成は、基地局のカバーするすべてのエリアへ信号を送信可能なアンテナ構成に対応する。
【0022】
アレーアンテナ10にはグループ毎にウェイトが掛けられた送信信号がアンテナ素子11に入力される。ウェイトを制御することによってアレーアンテナ10で任意のアンテナブランチを構成できる。このようにアレーアンテナ10は、第1〜第3の通信タイプに応じて異なるアンテナ構成を有する。
図2に示すように、アレーアンテナ10を構成する16個のアンテナ素子11は、最小アンテナブランチ単位(アンテナ素子数=4)で、同一のウェイトが掛けられた送信信号が供給される。
図2には2つの送信信号S1,S2を合成可能な構成が示されているが、最大合成数はこれに限定されない。例えば、8多重MIMOを提供する場合は、4つの送信信号S1,S2,S3,S4を合成可能な構成が望ましい(
図5参照)。アレーアンテナ10は、送信信号数×構成ブランチ数に相当する数のビームを同時に形成できる。
【0023】
第1の通信タイプでは、
図3に示すように、アレーアンテナ10は、1つのグループAを構成する各アンテナ素子11に入力する送信信号S1に同一のウェイトW(例えば、W11、W12、W13、W14=1,1,1,1)を掛ける。これにより、高いアンテナ利得で、かつビーム幅の小さい1つのビームを形成することができる。なお、
図3においては、説明の便宜上、水平偏波アンテナ10bに入力される送信信号S1を省略している。垂直偏波アンテナ10aと水平偏波アンテナ10bとでそれぞれ1つのビームを形成するので、アレーアンテナ10としては2つのビームが形成される。したがって、第1の通信タイプは、2多重MIMO伝送を提供できる。受信機が2×2のMIMO伝送をサポートしていれば、2×2のMIMO伝送が実現できる。また、1アンテナ構成の受信機であれば、2アンテナによるSFBC(Space−Frequency Block Coding)による空間周波数送信ダイバーシチを実現できる。なお、SFBCは、アンテナ/周波数領域で符号化が行われる。
【0024】
第2の通信タイプでは、
図4に示すように、アレーアンテナ10は、グループB1を構成するアンテナ素子11に入力する送信信号S1にウェイトW(例えば、W11、W12、W13、W14=1,1,0,0)を掛け、かつ、グループB2を構成するアンテナ素子11に入力する送信信号S2にウェイトW(例えば、W21、W22、W23、W24=0,0,1,1)を掛ける。これにより、グループB1及びB2に対応した2つのアンテナブランチによりビーム1、ビーム2を形成できる。なお、
図4においては、説明の便宜上、水平偏波アンテナ10bに入力される送信信号S1、S2を省略している。垂直偏波アンテナ10aがビーム1、ビーム2を形成し、同時に水平偏波アンテナ10bがビーム1、ビーム2を形成するので、アレーアンテナ10は合計で4つのビームを並列に形成することができる。並列に形成される4つのビームをセル内の同一エリアに向けることにより、4多重MIMO伝送が提供される。
【0025】
第3の通信タイプでは、
図5に示すように、アレーアンテナ10は、グループC1を構成するアンテナ素子11に入力する送信信号S1にウェイトW(例えば、W11、W12、W13、W14=1,0,0,0)を掛け、かつ、グループC2を構成するアンテナ素子11に入力する送信信号S2にウェイトW(例えば、W21、W22、W23、W24=0,1,0,0)を掛ける。同時に、アレーアンテナ10は、グループC3を構成するアンテナ素子11に入力する送信信号S3にウェイトW(例えば、W31、W32、W33、W34=0,0,1,0)を掛け、かつ、グループC4を構成するアンテナ素子11に入力する送信信号S4にウェイトW(例えば、W41、W42、W43、W44=0,0,0,1)を掛ける。これにより、グループC1〜C4に対応した4つのアンテナブランチによりビーム1〜ビーム4を形成できる。なお、
図5においては、説明の便宜上、水平偏波アンテナ10bに入力される送信信号S1〜S4を省略している。垂直偏波アンテナ10aが4ビームを形成し、同時に水平偏波アンテナ10bが4ビームを形成するので、アレーアンテナ10は合計で8つのビームを並列に形成することができる。並列に形成される8つのビームをセル内の同一エリアに向けることにより、8多重MIMO伝送が提供される。
【0026】
また、本実施の形態に係る基地局は、第1〜第3の通信タイプを同時に選択するミックスタイプ(第4の通信タイプ)を選択することもできる。第4の通信タイプは、リソースエレメント(RE)毎に送信信号に対するウェイトを制御することで実現される。LTE及びLTE−Aは、1リソースブロック(RB)を、12サブキャリア×14OFDM(or SC−FDMA)シンボルから構成する。1リソースエレメントは、1サブキャリア×1OFDM(or SC−FDMA)シンボルのことを指す。なお、この第4の通信タイプは、第1の通信タイプを含む少なくとも2つの通信タイプが同時に選択される混合通信タイプに対応する。
【0027】
このように本実施の形態に係る無線通信システムにおいては、アンテナ素子11に入力される送信信号に対するウェイトを制御することにより、アレーアンテナ10を1又は複数のグループに分割できる。これにより、複数種類の通信タイプの中から所望の通信タイプを選択しながらユーザ端末UEに対して各種の信号を送信することが可能となる。
【0028】
次に、本実施の形態に係る無線通信システムにおけるシグナリングについて説明する。LTE方式及びLTE−A方式のシステムは、下り参照信号として、CRS(Cell−specific Reference Signal)、CSI−RS(Channel State Information Reference Signal)、ユーザ固有のDM−RS(DeModulation Reference Signal)等を規定している。CRSは、全ての下りリンクサブフレームで送信され、下りリンクの周波数帯域全体にまたがって配置される。CRSは、下りリンクの同期検波用のチャネル推定に用いられる。CSI−RSは、チャネル情報測定用の参照信号であり、CSI(CQI,PMI,Rank数)の測定に用いられる。ユーザ固有のDM−RSは、個別のユーザ端末UEへの下り共用チャネル(DL−SCH)伝送に割り当てられるリソースブロックで送信される。ユーザ固有のDM−RSは、下り共用チャネルの同期検波用チャネル推定に用いることができるユーザ固有の復調用の参照信号である。
【0029】
また、LTE方式及びLTE−A方式のシステムは、ユーザ端末UEが接続すべきセルを検出するセルサーチに使用する同期信号(SS)、セルサーチ後に必要なシステム情報(SIB(System Information Block),MIB(Master Information Block))を送信する物理報知チャネル(PBCH)を規定している。さらに、LTE方式及びLTE−A方式のシステムは、下り制御信号の送信用にPDCCH(Physical Downlink Control CHannel)を規定し、上り制御信号の送信用にPUCCH(Physical Uplink Control CHannel)を規定している。さらに、LTE方式及びLTE−A方式のシステムは、下りのデータ(一部の制御信号を含む)送信用にPDSCH(Physical Uplink Control CHannel)を規定し、上りのデータ(一部の制御信号を含む)送信用にPUSCH(Physical Uplink Shared CHannel)を規定している。
【0030】
本実施の形態に係る無線通信システムを構成する基地局は、これらのようなユーザ端末UEに対して送信する信号の種別、並びに、ユーザ端末UEの能力に応じて通信タイプを決定する。通信タイプを決定する際に判定されるユーザ端末UEの能力については、例えば、ユーザ端末UEが、Release8(Rel.8)、Release9(Rel.9)、Release10(Rel.10)又はRelease11(Rel.11)のLTE対応のユーザ端末か否かなどが該当する。
【0031】
例えば、基地局は、第1の通信タイプにより、Rel.8、Rel.9、Rel.10又はRel.11のLTEに対応するユーザ端末向けのCRS及びPDCCH、並びに、MIB/SIB/ページング情報の少なくとも1つを含む下りリンク信号を送信する。セル接続を希望するユーザ端末UEは、必ず同期信号(SS)及び物理報知チャネル(PBCH)を受信する必要が有るので、同期信号(SS)及び物理報知チャネル(PBCH)はエリア内の全てをカバレッジとすることが求められる。通信タイプ1に対応したビームによってこれらの下りリンク信号を送信することにより、エリア内の全てのユーザ端末UEにこれらの下りリンク信号を送信することが可能となる。また、基地局は、第1の通信タイプにより、Rel.8のLTEに対応し、2×2のMIMO伝送をサポートするユーザ端末向けのPDSCHを送信する。
図6Aに第1の通信タイプに対応したビームに割り当てられるCRS構成を示す。
【0032】
また、基地局は、第2の通信タイプにより、Rel.10のLTEに対応し、トランスミッションモード9をサポートするユーザ端末向けの4アンテナポート用のCSI−RSを含む下りリンク信号を送信する。通信タイプ2に対応したビームによってこの下りリンク信号を送信することにより、ユーザ端末UEの能力を最大限活用して効率的に4アンテナポート用のCSI−RSをユーザ端末UEに送信することが可能となる。また、基地局は、第2の通信タイプにより、Rel.10のLTEに対応し、トランスミッションモード9をサポートするユーザ端末向けのPDSCH及びDM−RSを送信する。
図6Bに第2の通信タイプに対応したビームに割り当てられる参照信号(CSI-RS)構成を示す。
【0033】
さらに、基地局は、第3の通信タイプにより、例えば、Rel.10のLTEに対応し、8×8のMIMO伝送をサポートするユーザ端末向けの8アンテナポート用のCSI−RSを含む下りリンク信号を送信する。通信タイプ3に対応したビームによってこの下りリンク信号を送信することにより、ユーザ端末UEの能力を最大限活用して効率的に8アンテナポート用のCSI−RSをユーザ端末UEに送信することが可能となる。また、基地局は、第3の通信タイプにより、Rel.10のLTEに対応し、トランスミッションモード9をサポートするユーザ端末向けのPDSCH及びDM−RSを送信する。
図6Cに第3の通信タイプに対応したビームに割り当てられる参照信号(CSI-RS)構成を示す。
【0034】
図6Dは、第4の通信タイプが選択された場合のリソースブロックの参照信号配置を示している。
図6Dに示すように、第4の通信タイプが選択された場合のリソースブロックには、第1〜第3の通信タイプで形成されるビームに割り当てられる全ての参照信号が含まれている。すなわち、第4の通信タイプを選択することにより、基地局がサポートする複数の通信タイプで利用される参照信号を同時に多重して送信することができる。ここで、「同時に多重して送信する」とは、共通のリソースブロックに多重して送信することを含む概念である。
【0035】
次に、本実施の形態に係る無線通信システムにおける、基地局とユーザ端末UEとの間のシーケンスについて説明する。
図7は、本実施の形態に係る無線通信システムを構成する基地局とユーザ端末UEとの間の基本的なシーケンスを示す図である。
図7に示すStepは、通信手順における各フェーズを示す。以下においては、第1の通信タイプを「通信タイプ1」と呼ぶものとする。また、第2、第3及び第4の通信タイプについても同様である。
【0036】
(Step1)
通信開始フェーズにおいて、基地局は、アンテナ装置(アレーアンテナ10)から報知情報を送信している。基地局は、アンテナ装置を通信タイプ1に対応した1アンテナブンランチ構成の下で、同期信号(SS)、物理報知チャネル信号(PBCH)を送信する。すなわち、アレーアンテナ10内の4つのグループC1からC4に対して、同一のウェイトW(W11、W12、W13、W14=1,1,1,1)を掛けた送信信号S1を入力すると共に、同一のウェイトW(W21、W22、W23、W24=1,1,1,1)を掛けた送信信号S2を入力する。これにより、最大のアンテナ利得で、かつ最小のビーム幅の1つのビームを形成することができる。
【0037】
なお、ここでは、通信開始フェーズにおいて、通信タイプ1により同期信号(SS)、物理報知チャネル信号(PBCH)を送信する場合について説明している。しかしながら、通信開始フェーズで選択される通信タイプについては、適宜変更が可能である。例えば、通信タイプ1〜3を同時に選択するミックスタイプ(通信タイプ4)を選択するようにしてもよい。この場合には、基地局と無線接続を開始するユーザ端末UEに対して確実に同期信号(SS)、物理報知チャネル信号(PBCH)を送信できると共に、既にデータ通信を行っているユーザ端末UEに対して所望の参照信号や下りデータ信号(PDSCH)を送信することができる。
【0038】
(Step2)
ユーザ端末UEは、通信タイプ1に対応したビーム形成は広いカバレッジであることから、エリア内のどこにいても同期信号(SS)、物理報知チャネル信号(PBCH)を受信できる。ユーザ端末UEは、受信した同期信号(SS)に基づいて、ネットワーク内のセルを検出して同期する。また、ユーザ端末UEは、受信した物理報知チャネル(PBCH)を復号してシステム情報を取得し、システム情報に基づいてセル(基地局)に接続する。そして、基地局を経由したコアネットワークとユーザ端末UEとの間で認証及び位置登録が行われる。なお、このStep2において、ユーザ端末UEの能力情報(対応するLTEのrelease番号や最大MIMO伝送のレイヤ数)等が基地局に通知される。このように基地局に無線接続した後にユーザ端末UEの能力情報が通知されるので、基地局で確実にユーザ端末UEの能力情報を把握することが可能となる。
【0039】
(Step3)
基地局は、無線接続されたユーザ端末UEとの間でデータ通信を開始する。無線通信システムにおけるデータ通信は、下りリンクはPDSCHを介して行われ、上りリンクはPUSCHを介して行われる。
【0040】
Step3において、基地局では、通信タイプ4により、セル固有の参照信号(CRS、CSI−RS)、下り制御信号(PDCCH、PCHICH、PHICH)に関し、サポートする全ての通信タイプで同時に送信し続けている。例えば、2×2のMIMO伝送をサポートする場合、基地局は、通信タイプ1を選択してCRS及び下り制御信号(PDCCH)を送信する。また、4×4のMIMO伝送をサポートする場合、基地局は、通信タイプ2を選択して4アンテナポート用のCSI−RSを送信する。さらに、8×8のMIMO伝送をサポートする場合、基地局は、通信タイプ3を選択して8アンテナポート用のCSI−RSを送信する。基地局は、これらの通信タイプの参照信号(CRS、CSI−RS)を同時に送信し続ける。
【0041】
データ通信を開始すると、基地局は、各ユーザ端末UEに対して下りデータ信号(PDSCH)を送信する。この際、基地局は、Step2で通知されたユーザ端末UEの能力情報に応じて通信タイプを決定する。例えば、ユーザ端末UEがRel8又はRel.9のLTEに対応し、2×2のMIMO伝送をサポートする場合、基地局は、通信タイプ1を選択して下りデータ信号(PDSCH)を送信する。また、ユーザ端末UEがRel.10又はRel.11のLTEに対応し、4×4のMIMO伝送をサポートする場合、基地局は、通信タイプ2を選択して4アンテナポート用の下りデータ信号(PDSCH)とDM−RSを合わせて送信する。さらに、ユーザ端末UEがRel.10又はRel.11のLTEに対応し、8×8のMIMO伝送をサポートする場合、基地局は、通信タイプ3を選択して8アンテナポート用の下りデータ信号(PDSCH)とDM−RSを合わせて送信する。これらの下りデータ信号の送信は、個々のユーザ端末UEに対して行われる。このため、同時に異なる通信タイプを持つユーザ端末UEが混在する場合にも制御可能となっている。
【0042】
(Step4)
ユーザ端末UEは、基地局から送信された参照信号を元に通信品質情報(CSI)を随時生成し、生成したCSIを基地局に通知する。通信タイプ1によりCRSを送信された場合、ユーザ端末UEは、このCRSに対してCSIを生成し、データ信号(PUSCH)又は上り制御信号(PUCCH)で通知する。また、通信タイプ2、或いは、通信タイプ3により複数のCSI−RSを送信された場合、ユーザ端末UEは、この全てのCSI−RSに対してCSIを生成し、データ信号(PUSCH)又は上り制御信号(PUCCH)で通知する。
【0043】
(Step5)
基地局は、ユーザ端末UEから通知されるCSIと、Step2で通知されたユーザ端末UEの能力情報とに基づいて、通信タイプを随時選択してデータ通信を継続する。この場合、ユーザ端末UEへデータ信号(PDSCH)を送信するため、或いは、ユーザ端末UEからデータ信号(PUSCH)を受信するためのリソースを割り当て、MIMO伝送のレイヤ数やウェイトが設定されると共に、符号化率等が随時更新される。このように基地局でユーザ端末UEから通知されるCSIと、ユーザ端末UEの能力情報とに基づいて、通信タイプを選択することから、基地局とユーザ端末UEとの間の無線通信路の通信品質を反映して所望の通信タイプ(ウェイト)を選択することが可能となる。そして、基地局は、アンテナ装置(アレーアンテナ10)に対して、データ信号送信用の割り当てリソース、MIMO伝送のレイヤ数、ウェイト、チャネル符号化のための符号化率を反映させる。さらに、基地局は、その情報とともにデータ信号(PDSCH、PUSCH)へ参照信号(DM−RS)を付加して送信する。ユーザ端末UEは、ユーザ固有の参照信号(DM−RS)を用いてデータ信号(PDSCH)を復調する。
【0044】
Step5において、例えば、ユーザ端末UEがRel8又はRel.9のLTEに対応し、2×2のMIMO伝送をサポートする場合、基地局は、通信タイプ1を選択してデータ通信を行う。また、ユーザ端末UEがRel.10(トランスミッションモード9)又はRel.11(トランスミッションモード9)のLTEに対応し、2×2のMIMO伝送をサポートする場合にも、基地局は、通信タイプ1を選択してデータ通信を行う。一方、ユーザ端末UEがRel.10(トランスミッションモード9)又はRel.11(トランスミッションモード9)のLTEに対応し、4×4のMIMO伝送をサポートする場合には、基地局は、通信タイプ2を選択してデータ通信を行う。また、ユーザ端末UEがRel.10(トランスミッションモード9)又はRel.11(トランスミッションモード9)のLTEに対応し、8×8のMIMO伝送をサポートする場合には、基地局は、通信タイプ3を選択してデータ通信を行う。
【0045】
(Step6)
データ通信が終了したら、基地局は、そのユーザ端末UEに割り当てていたリソースを開放する。
【0046】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。ここでは、LTE−Aシステムに対応する基地局及び移動局装置を用いる場合について説明する。
【0047】
図8を参照しながら、本発明の一実施の形態に係るユーザ端末UEとしての移動局装置(以下、「移動局」という)100及び基地局200を有する無線通信システム1について説明する。
図8は、本実施の形態に係る移動局100及び基地局200を有する無線通信システム1の構成を説明するための図である。なお、
図8に示す無線通信システム1は、例えば、LTEシステム又はSUPER 3Gが包含されるシステムである。また、この移動通信システム1は、IMT−Advancedと呼ばれても良いし、4Gと呼ばれても良い。
【0048】
図8に示すように、無線通信システム1は、基地局200と、この基地局200と通信する複数の移動局100(100
1、100
2、100
3、・・・100
n、nはn>0の整数)とを含んで構成されている。基地局200は、上位局装置300と接続され、この上位局装置300は、コアネットワーク400と接続される。ユーザ端末100は、セル500において基地局200と通信を行っている。なお、上位局装置300には、例えば、アクセスゲートウェイ装置、無線ネットワークコントローラ(RNC)、モビリティマネジメントエンティティ(MME)等が含まれるが、これに限定されるものではない。
【0049】
各移動局(100
1、100
2、100
3、・・・100
n)は、同一の構成、機能、状態を有するので、以下においては、特段の断りがない限り移動局100として説明を進める。また、説明の便宜上、基地局200と無線通信するのは移動局100であるものとして説明するが、より一般的には固定端末も含むユーザ端末でよい。
【0050】
移動通信システム1においては、無線アクセス方式として、下りリンクについてはOFDMA(直交周波数分割多元接続)が、上りリンクについてはSC−FDMA(シングルキャリア−周波数分割多元接続)が適用される。OFDMAは、周波数帯域を複数の狭い周波数帯域(サブキャリア)に分割し、各サブキャリアにデータをマッピングして通信を行うマルチキャリア伝送方式である。SC−FDMAは、システム帯域を端末毎に1つ又は連続したリソースブロックからなる帯域に分割し、複数の端末が互いに異なる帯域を用いることで、端末間の干渉を低減するシングルキャリア伝送方式である。
【0051】
ここで、LTEシステムにおける通信チャネルについて説明する。下りリンクについては、各移動局10で共有されるPDSCHと、下りL1/L2制御チャネル(PDCCH、PCFICH、PHICH)とが用いられる。このPDSCHにより、ユーザデータ、すなわち、通常のデータ信号が伝送される。送信データは、このユーザデータに含まれる。なお、基地局200で移動局100に割り当てたコンポーネントキャリア(CC)やスケジューリング情報は、L1/L2制御チャネルにより移動局100に通知される。
【0052】
上りリンクについては、各移動局100で共有して使用されるPUSCHと、上りリンクの制御チャネルであるPUCCHとが用いられる。このPUSCHにより、ユーザデータが伝送される。また、PUCCHにより、下りリンクの無線品質情報(CQI:Channel Quality Indicator)等が伝送される。
【0053】
図9は、本実施の形態に係る基地局200の構成を示すブロック図である。
図10は、本実施の形態に係る移動局100の構成を示すブロック図である。なお、
図9及び
図10に示す基地局200及び移動局100の構成は、本発明を説明するために簡略化したものであり、それぞれ通常の基地局及び移動局が有する構成は備えているものとする。
【0054】
図9に示す基地局200において、不図示のスケジューラは、後述するチャネル推定部215#1〜215#Kから与えられるチャネル推定値に基づいて多重するユーザ数(多重ユーザ数)を決定する。そして、各ユーザに対する上下リンクのリソース割り当て内容(スケジューリング情報)を決定し、ユーザ#1〜#Kに対する送信データ#1〜#Kを対応するチャネル符号化部201#1〜201#Kに送出する。
【0055】
送信データ#1〜#Kは、チャネル符号化部201#1〜201#Kでチャネル符号化された後、データ変調部202#1〜202#Kに出力され、データ変調される。この際、チャネル符号化及びデータ変調は、後述するMIMO切替部221#1〜221#Kから与えられるチャネル符号化率及び変調方式に基づいて行われる。データ変調部202#1〜202#Kでデータ変調された送信データ#1〜#Kは、不図示の離散フーリエ変換部で逆フーリエ変換され、時系列の信号から周波数領域の信号に変換されてサブキャリアマッピング部203に出力される。
【0056】
サブキャリアマッピング部203においては、送信データ#1〜#Kを、後述するリソース割当制御部220から与えられるリソース割当情報に応じてサブキャリアにマッピングする。このとき、サブキャリアマッピング部203は、不図示の参照信号生成部から入力される参照信号#1〜#K、報知情報生成部及びシステム情報生成部から入力される報知情報及びシステム情報を、送信データ#1〜#Kと共にサブキャリアにマッピング(多重)する。これにより、通信タイプに応じた参照信号が予め定められたリソースエレメントに割り当てられる。特に、第4の通信タイプが選択される場合には、基地局200がサポートする全ての通信タイプで利用される参照信号が同一のリソースブロックに多重される。このようにしてサブキャリアにマッピングされた送信データ#1〜#Kがプリコーディング乗算部204#1〜204#Kに出力される。なお、それぞれの通信タイプで利用される複数の参照信号を同一のリソースブロックに多重するサブキャリアマッピング部203は、多重部を構成する。
【0057】
プリコーディング乗算部204#1〜204#Kは、後述するプリコーディングウェイト生成部219から与えられるプリコーディングウェイトに基づいて、送信アンテナTX#1〜TX#N毎に送信データ#1〜#Kを位相及び/又は振幅シフトする(プリコーディングによる送信アンテナTX#1〜送信アンテナTX#Nの重み付け)。プリコーディング乗算部204#1〜204#Kにより位相及び/又は振幅シフトされた送信データ#1〜#Kは、マルチプレクサ(MUX)205に出力される。
【0058】
マルチプレクサ(MUX)205においては、位相及び/又は振幅シフトされた送信データ#1〜#Kを合成し、送信アンテナTX#1〜TX#N毎の送信信号を生成する。マルチプレクサ(MUX)205により生成された送信信号は、逆高速フーリエ変換部(IFFT部)206#1〜206#Nにて逆高速フーリエ変換して周波数領域の信号から時間領域の信号に変換される。そして、サイクリックプレフィクス(CP)付加部207#1〜207#NにてCPが付加された後、RF送信回路208#1〜208#Nへ出力される。そして、RF送信回路208#1〜208#Nで無線周波数帯に変換する周波数変換処理が施された後、デュプレクサ(Duplexer)209#1〜209#Nを介して送信アンテナTX#1〜TX#Nに出力され、送信アンテナTX#1〜TX#Nから下りリンクで移動局100に送出される。
【0059】
一方、移動局100から上りリンクで送出された送信信号は、送信アンテナTX#1〜TX#Nにより受信され、デュプレクサ(Duplexer)209#1〜209#Nにて送信経路と受信経路とに電気的に分離された後、RF受信回路210#1〜210#Nに出力される。そして、RF受信回路210#1〜210#Nにて、無線周波数信号からベースバンド信号に変換する周波数変換処理が施される。周波数変換処理が施されたベースバンド信号は、CP除去部211#1〜211#NにてCPが除去された後、高速フーリエ変換部(FFT部)212#1〜212#Nに出力される。受信タイミング推定部213は、受信信号に含まれるリファレンス信号から受信タイミングを推定し、その推定結果をCP除去部211#1〜211#Nに通知する。FFT部212#1〜212#Nは、入力された受信信号にフーリエ変換を施し、時系列の信号から周波数領域の信号に変換する。これらの周波数領域の信号に変換された受信信号は、データチャネル信号分離部214#1〜214#Kに出力される。
【0060】
データチャネル信号分離部214#1〜214#Kは、FFT部212#1〜212#Kから入力された受信信号を、例えば、平均2乗誤差最小(MMSE:Minimum Mean Squared Error)や最尤推定検出(MLD:Maximum Likelihood Detection)信号分離法により分離する。これにより、移動局100から到来した受信信号は、ユーザ#1〜ユーザ#Kに関する受信信号に分離される。チャネル推定部215#1〜215#Kは、データチャネル信号分離部214#1〜214#Kで分離された受信信号に含まれるリファレンス信号からチャネル状態を推定し、推定したチャネル状態を制御チャネル復調部216#1〜216#Kに通知する。
【0061】
データチャネル信号分離部214#1〜214#Kにより分離されたユーザ#1〜ユーザ#Kに関する受信信号は、不図示のサブキャリアデマッピング部にてデマッピングされて時系列の信号に戻された後、データ復調部217#1〜217#Kでデータ復調される。そして、図示しないチャネル復号部#1〜#Kにてチャネル復号処理が施されることで送信信号#1〜送信信号#Kが再生される。
【0062】
制御チャネル復調部216#1〜216#Kは、データチャネル信号分離部214#1〜214#Kで分離された受信信号に含まれる制御チャネル信号(例えば、PDCCH)を復調する。この際、制御チャネル復調部216#1〜216#Kにおいては、チャネル推定部215#1〜215#Kから通知されたチャネル状態に基づいて、それぞれユーザ#1〜ユーザ#Kに対応する制御チャネル信号を復調する。制御チャネル復調部216#1〜216#Kにより復調された各制御チャネル信号は、CSI情報更新部218#1〜218#Kに出力される。
【0063】
CSI情報更新部218#1〜218#Kは、制御チャネル復調部216#1〜216#Kから入力された各制御チャネル信号(例えば、PUCCH)に含まれるチャネル状態情報(CSI)を抽出し、常にCSIを最新の状態に更新する。例えば、CSIには、PMI、RI及びCQIが含まれる。また、CSI情報更新部218#1〜218#Kには、制御チャネル信号(例えば、PUCCH)等で通知される移動局200の能力情報が保持される。CSI情報更新部218#1〜218#Kに保持されるCSI情報及び移動局200の能力情報は、それぞれプリコーディングウェイト生成部219、リソース割当制御部220及びMIMO切替部221#1〜221#Kに出力される。
【0064】
プリコーディングウェイト生成部219は、上述したアレーアンテナ10に通信タイプに応じた数のビームを形成させるプリコーディングウェイトを生成する。より具体的には、プリコーディングウェイト生成部219は、CSI情報更新部218#1〜218#Kから入力されたCSI及び移動局200の能力情報に基づいて、送信データ#1〜#Kに対する位相及び/又は振幅シフト量を示すプリコーディングウェイトを生成する。生成された各プリコーディングウェイトは、プリコーディング乗算部204#1〜204#Kに出力され、送信データ#1〜送信データ#Kのプリコーディングに利用される。
【0065】
例えば、第1の通信タイプが選択される場合には、アレーアンテナ10内のグループAを構成する各アンテナ素子11に入力する送信データに乗算される、同一のウェイト(例えば、W11、W12、W13、W14=1,1,1,1)が生成される。第2の通信タイプが選択される場合には、アレーアンテナ10内のグループB1を構成するアンテナ素子11に入力する送信データに乗算されるウェイト(例えば、W11、W12、W13、W14=1,1,0,0)が生成され、かつ、グループB2を構成するアンテナ素子11に入力する送信データに乗算されるウェイト(例えば、W21、W22、W23、W24=0,0,1,1)が生成される。第3の通信タイプが選択される場合には、アレーアンテナ10内のグループC1を構成するアンテナ素子11に入力する送信データに乗算されるウェイト(例えば、W11、W12、W13、W14=1,0,0,0)が生成され、かつ、グループC2を構成するアンテナ素子11に入力する送信信号S2に乗算されるウェイト(例えば、W21、W22、W23、W24=0,1,0,0)が生成される。同時に、グループC3を構成するアンテナ素子11に入力する送信データに乗算されるウェイト(例えば、W31、W32、W33、W34=0,0,1,0)が生成され、かつ、グループC4を構成するアンテナ素子11に入力する送信データに乗算されるウェイト(例えば、W41、W42、W43、W44=0,0,0,1)が生成される。また、第4の通信タイプが選択される場合には、リソースエレメント毎に送信データに乗算されるウェイトが生成される。
【0066】
リソース割当制御部220は、移動局200の能力情報及び通信タイプに応じた信号種別を含む下りリンク信号に無線リソースを割り当てる。より具体的には、リソース割当制御部220は、CSI情報更新部218#1〜218#Kから入力されたCSI及び移動局200の能力情報に基づいて、各ユーザに割り当てるリソース割当情報を決定する。リソース割当制御部220により決定されたリソース割当情報は、サブキャリアマッピング部203に出力され、送信データ#1〜送信データ#Kのマッピングに利用される。
【0067】
MIMO切替部221#1〜221#Kは、CSI情報更新部218#1〜218#Kから入力されたCSI及び移動局200の能力情報に基づいて、送信データ#1〜送信データ#Kに用いるMIMO伝送方式を選択する。そして、選択したMIMO伝送方式に応じた送信データ#1〜送信データ#Kに対するチャネル符号化率及び変調方式を決定する。決定されたチャネル符号化率は、それぞれチャネル符号化部201#1〜201#Kに出力され、決定された変調方式は、それぞれデータ変調部202#1〜202#Kに出力される。
【0068】
このように本実施の形態に係る基地局200においては、異なる通信タイプにおける複数の参照信号(CRS、CSI−RS)が同時に多重(共通のリソースブロックに多重)されることから、個々の移動局100が別々の通信タイプに対応した通信を行う場合でも適切に参照信号を送信することが可能となる。
【0069】
一方、
図10に示す移動局100において、基地局200から送出された送信信号は、受信アンテナRX#1〜RX#Nにより受信され、デュプレクサ(Duplexer)101#1〜101#Nにて送信経路と受信経路とに電気的に分離された後、RF受信回路102#1〜102#Nに出力される。そして、RF受信回路102#1〜102#Nにて、無線周波数信号からベースバンド信号に変換する周波数変換処理が施される。周波数変換処理が施されたベースバンド信号は、サイクリックプレフィクス(CP)除去部103#1〜103#NにてCPが除去された後、高速フーリエ変換部(FFT部)104#1〜104#Nに出力される。受信タイミング推定部105は、受信信号に含まれるリファレンス信号から受信タイミングを推定し、その推定結果をCP除去部103#1〜103#Nに通知する。FFT部104#1〜104#Nは、入力された受信信号にフーリエ変換を施し、時系列の信号から周波数領域の信号に変換する。周波数領域の信号に変換された受信信号は、データチャネル信号分離部106に出力される。
【0070】
データチャネル信号分離部106は、FFT部104#1〜104#Nから入力された受信信号を、例えば、平均2乗誤差最小(MMSE:Minimum Mean Squared Error)や最尤推定検出(MLD:Maximum Likelihood Detection)信号分離法により分離する。これにより、基地局200から到来した受信信号は、ユーザ#1〜ユーザ#Kに関する受信信号に分離され、移動局100のユーザ(ここでは、ユーザKとする)に関する受信信号が抽出される。チャネル推定部107は、データチャネル信号分離部106で分離された受信信号に含まれる参照信号からチャネル状態を推定し、推定したチャネル状態を制御チャネル復調部108に通知する。また、チャネル推定部107は、データチャネル信号分離部106で分離された受信信号に含まれる参照信号をチャネル品質測定部110に通知する。
【0071】
データチャネル信号分離部106により分離されたユーザ#Kに関する受信信号は、不図示のサブキャリアデマッピング部にてデマッピングされて時系列の信号に戻された後、データ復調部109で復調される。そして、図示しないチャネル復号部にてチャネル復号処理が施されることで送信信号#Kが再生される。
【0072】
制御チャネル復調部108は、データチャネル信号分離部106で分離された受信信号に含まれる制御チャネル信号(例えば、PDCCH)を復調する。この際、制御チャネル復調部108においては、チャネル推定部107から通知されたチャネル状態に基づいて、ユーザ#Kに対応する制御チャネル信号を復調する。制御チャネル復調部108により復調された各制御チャネル信号は、チャネル品質測定部110に出力される。
【0073】
チャネル品質測定部110は、チャネル推定部107から入力された参照信号に基づいてチャネル品質(CQI)を測定する。また、チャネル品質測定部110は、測定したCQIに基づいてPMI及びRIを選択する。例えば、移動局100が第1の通信タイプで通信を行っている場合には、基地局200から到来するCRSに基づいてチャネル品質を測定する。また、移動局100が第2又は第3の通信タイプで通信を行う場合には、基地局200から到来するCSI−RSに基づいてチャネル品質を測定する。そして、CQI、PMI及びRIをCSIフィードバック信号生成部111及びMIMO切替部112に通知する。なお、チャネル品質測定部110は、品質測定部を構成する。
【0074】
CSIフィードバック信号生成部111においては、基地局200にフィードバックするCSIフィードバック信号(例えば、PUCCH)が生成される。この場合、CSIフィードバック信号には、チャネル品質測定部110から通知されたCQI、PMI及びRIが含まれる。CSIフィードバック信号生成部111で生成されたCSIフィードバック信号は、マルチプレクサ(MUX)113に出力される。なお、CSIフィードバック信号生成部111は、フィードバック情報生成部を構成する。
【0075】
MIMO切替部112は、チャネル品質測定部110から入力されたCQI、PMI及びRIに基づいて、送信データ#Kに用いるMIMO伝送方式を選択する。そして、選択したMIMO伝送方式に応じた送信データ#Kに対するチャネル符号化率及び変調方式を決定する。決定されたチャネル符号化率は、それぞれチャネル符号化部114に出力され、決定された変調方式は、それぞれデータ変調部115に出力される。
【0076】
一方、上位レイヤから送出されたユーザ#Kに関する送信データ#Kは、チャネル符号化部114によりチャネル符号化された後、データ変調部115にてデータ変調される。データ変調部115にてデータ変調された送信データ#Kは、不図示の直並列変換部で、時系列の信号から周波数領域の信号に変換されてサブキャリアマッピング部116に出力される。
【0077】
サブキャリアマッピング部116においては、送信データ#Kを、基地局200から指示されたスケジュール情報に応じてサブキャリアにマッピングする。このとき、サブキャリアマッピング部116は、不図示の参照信号生成部により生成された参照信号#Kを、送信データ#Kと共にサブキャリアにマッピング(多重)する。このようにしてサブキャリアにマッピングされた送信データ#Kがプリコーディング乗算部117に出力される。
【0078】
プリコーディング乗算部117は、受信アンテナRX#1〜RX#N毎に送信データ#Kを位相及び/又は振幅シフトする。このとき、プリコーディング乗算部117は、制御チャネル復調部108で復調された制御チャネル信号で指定されるPMIに対応するプリコーディングウェイトに応じて位相及び/又は振幅シフトする。プリコーディング乗算部117により位相及び/又は振幅シフトされた送信データ#Kは、マルチプレクサ(MUX)113に出力される。
【0079】
マルチプレクサ(MUX)113においては、位相及び/又は振幅シフトされた送信データ#Kと、CSIフィードバック信号生成部111により生成された制御信号とを合成し、受信アンテナRX#1〜RX#N毎の送信信号を生成する。マルチプレクサ(MUX)113により生成された送信信号は、逆高速フーリエ変換部(IFFT部)118#1〜118#Nにて逆高速フーリエ変換して周波数領域の信号から時間領域の信号に変換された後、CP付加部119#1〜119#NでCPが付加されてRF送信回路120#1〜120#Nへ出力される。そして、RF送信回路120#1〜120#Nで無線周波数帯に変換する周波数変換処理が施された後、デュプレクサ(Duplexer)101#1〜101#Nを介して受信アンテナRX#1〜RX#Nに出力され、受信アンテナRX#1〜RX#Nから上りリンクで基地局200に送出される。なお、RF送信回路120#1〜120#Nを含む送信系ブロックは、CSIフィードバック信号生成部111により生成されたCSIフィードバック信号をフィードバックする送信部を構成する。
【0080】
このように本実施の形態に係る移動局100においては、自端末が通信を行う通信タイプに応じて基地局200から到来する参照信号に基づいてチャネル品質を測定する。このため、自端末が通信を行う通信タイプに応じて適切にチャネル品質を基地局200にフィードバックすることが可能となる。
【0081】
以上説明したように、本実施の形態に係る無線通信システム1においては、基地局200から異なる通信タイプで用いられる複数の参照信号を同時に多重して送信する一方、移動局100から個々の通信タイプに応じた参照信号に基づいて測定したチャネル品質をフィードバックすることから、通信タイプに応じて異なるアンテナ構成を持つアンテナを用いたMIMO伝送において、個々のユーザ端末が別々の通信タイプに対応した通信を行う場合でも適切にシグナリングを行うことが可能となる。
【0082】
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。例えば、上述の実施形態において、ユーザ数や装置における処理部数については、これに限定されず、装置構成に応じて適宜変更することが可能である。また、本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。従って、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【0083】
例えば、上記実施の形態においては、垂直偏波アンテナ10aと、水平偏波アンテナ10bとを組み合わせた偏波アンテナでアレーアンテナ10が構成される場合について説明している。しかしながら、基地局に装備されるアレーアンテナの構成については、これに限定されない。例えば、アレーアンテナは、偏波面が互いに直交する第1の偏波アンテナと第2の偏波アンテナとを有する偏波アンテナで構成することができる。このように変更した場合でも、上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0084】
また、上記実施の形態に係る無線通信システムを構成する基地局においては、通信タイプ1〜3を提供するアレーアンテナ10を備える場合について説明しているが、アンテナの構成についてはこれに限定されない。例えば、少なくとも2つの通信タイプに応じてそれぞれ異なるアンテナ構成を有し、その中の少なくとも1つの通信タイプ1に対応したアンテナ構成で基地局のカバーするすべてのエリアへ信号を送信可能なアンテナを持てばよい。例えば、上記実施の形態のうちの通信タイプ1と少なくとも1つの通信タイプを選択した場合や、上記実施の形態にかかわらず、アンテナ構成の組み合わせに応じて通信タイプを追加する場合などのように、構成する通信タイプを変えた場合にも、上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0085】
さらに基地局のカバーするすべてのエリアへ信号を送信可能なアンテナ構成は、上記実施の形態の通信タイプ1に限らず、同様の条件を満たすアンテナ構成であればどのような構成でもよい。