(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御装置には前記作業機用IDコードとは別に登録コードが保存され、前記携帯端末は、前記携帯用IDコードとは別の登録コードを前記制御装置に送信可能となっており、
前記IDコード登録手段は、前記携帯端末から送信された登録コードと前記制御装置に保存された登録コードとの照合が成立した際に前記制御装置に予め保存された作業機用IDコードを前記携帯端末に送信することを特徴とする請求項3に記載の作業機のデータ通信システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、携帯電話をデータ出力モードにするだけで、建設機械の制御装置のデータの書き換えを行うことができるものとなっているため、携帯電話さえあればユーザ以外の不特定多数の第三者に簡単に制御装置のデータを書き換えられるという問題がある。即ち、特許文献1は、携帯電話を用いて制御装置のデータを書き換えられるものの、データの書き換えに対するセキュリティが低く、あまりにも簡単にデータの書き換えができるという問題がある。
【0006】
本発明は上記問題点に鑑み、制御装置と携帯端末とのデータ通信のセキュリティを向上させた上で簡単にデータ通信を行うことができる作業機及び作業機のデータ通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明は、次の手段を講じた。
即ち、請求項1に係る作業機において、携帯端末との無線通信が可能で且つ作業機用IDコードが保存された制御装置を備え、前記制御装置は、前記作業機用IDコードを携帯用IDコードとして前記携帯端末に登録するIDコード登録手段と、前記携帯用IDコードと前記作業機用IDコードとの照合を行うIDコード照合手段と、前記照合手段によってIDコードの照合が成立したときに携帯端末と前記制御装置とのデータ通信を可能とすると共に照合が不成立のときにデータ通信を不能とするデータ通信手段とを備えていることを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る作業機において、前記制御装置には登録コードが保存されており、前記IDコード登録手段は、前記携帯用IDコードとは別の登録コードが携帯端末から送信され、前記携帯端末から送信された登録コードと前記登録コードとの照合が成立した際に作業機用IDコードを前記携帯端末に送信することを特徴とする。
請求項3に係る作業機のデータ通信システムは、携帯端末と、この携帯端末とのデータ通信が可能で且つ作業機用IDコードが保存された制御装置とを備え、前記作業機用IDコードを携帯用IDコードとして前記携帯端末に登録するIDコード登録手段と、前記携帯用IDコードと前記作業機用IDコードとの照合を行うIDコード照合手段と、前記照合手段によってIDコードの照合が成立したときに携帯端末と前記制御装置とのデータ通信を可能とすると共に照合が不成立のときにデータ通信を不能とするデータ通信手段とを備えていることを特徴とする。
【0009】
請求項4に係る作業機のデータ通信システムは、前記制御装置には登録コードが保存され、前記携帯端末は、前記携帯用IDコードとは別の登録コードを前記制御装置に送信可能となっており、前記IDコード登録手段は、前記携帯端末から送信された登録コードと前記制御装置に保存された登録コードとの照合が成立した際に作業機用IDコードを前記携帯端末に送信することを特徴とする。
本発明の最適な技術的手段は以下の通りである。
作業機は、携帯端末との無線通信が可能で作業機の制御を行う装置であって作業機用IDコードが予め保存された制御装置を備え、前記制御装置は、 前記予め保存された作業機用IDコードを前記携帯端末に送信することにより、当該作業機用IDコード
を携帯用IDコードとして前記携帯端末に登録させるIDコード登録手段と、前記携帯用IDコードと前記作業機用IDコードとの照合を行うIDコード照合手段と、前記照合手段によってIDコードの照合が成立したときに携帯端末と前記制御装置とのデータ通信を可能とすると共に照合が不成立のときにデータ通信を不能とするデータ通信手段とを備えていることを特徴とする。
前記制御装置には前記作業機用IDコードとは別に登録コードが保存されており、前記IDコード登録手段は、前記携帯用IDコードとは別の登録コードが携帯端末から送信され、前記携帯端末から送信された登録コードと前記登録コードとの照合が成立した際に前記制御装置に予め保存された作業機用IDコードを前記携帯端末に送信することを特徴とする。
作業機のデータ通信システムは、携帯端末と、この携帯端末とのデータ通信が可能で作業機の制御を行う装置であって作業機用IDコードが予め保存された制御装置とを備え、前記予め保存された作業機用IDコードを前記携帯端末に送信することにより、当該作業機用IDコード
を携帯用IDコードとして前記携帯端末に登録させるIDコード登録手段と、前記携帯用IDコードと前記作業機用IDコードとの照合を行うIDコード照合手段と、前記照合手段によってIDコードの照合が成立したときに携帯端末と前記制御装置とのデータ通信を可能とすると共に照合が不成立のときにデータ通信を不能とするデータ通信手段とを備えていることを特徴とする。
前記制御装置には前記作業機用IDコードとは別に登録コードが保存され、前記携帯端末は、前記携帯用IDコードとは別の登録コードを前記制御装置に送信可能となっており、前記IDコード登録手段は、前記携帯端末から送信された登録コードと前記制御装置に保存された登録コードとの照合が成立した際に前記制御装置に予め保存された作業機用IDコードを前記携帯端末に送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る作業によれば、作業機(制御装置)と携帯端末とのデータ通信のセキュリティを向上させつつ簡単にデータ通信を行うことができる。さらに、特定の作業機に対してデータ通信を行うことができる携帯端末の追加を行うことができ、1台の作業機に対して複数の携帯端末を用いてデータ通信を行うことが可能となる。
請求項2に係る作業機によれば、登録コードの照合の許可によって作業機と携帯端末との関連付けが行えるようになっているため、関連付けを行うためのセキュリティを向上させることができる。
【0011】
請求項3に係る作業機のデータ通信システムによれば、作業機と携帯端末とのデータ通信のセキュリティを向上させつつ簡単にデータ通信を行うことができる。さらに、特定の作業機に対してデータ通信を行うことができる携帯端末の追加を行うことができ、1台の作業機に対して複数の携帯端末を用いてデータ通信を行うことが可能となる。
請求項4に係る作業機のデータ通信システムによれば、登録コードの照合の許可によって作業機と携帯端末との関連付けが行えるようになっているため、関連付けを行うためのセキュリティを向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、作業機のデータ通信システムの全体図を示している。
作業機のデータ通信システム1は、トラクタ、バックホー、コンバイン、移植機等の作業機2と、携帯端末3とのデータ通信を行うためのシステムである。
携帯端末3は、持ち運びが容易で無線通信が可能なPDA(Personal Data Assistance)、タブレットPC(TabletPC)等であって、電話機能を有するスマーフォン(Smartphone)や携帯電話を含むものである。また、携帯端末3は、データ通信によって作業機が必要な制御プログラムや制御パラメータを作業機に送信したり、作業機が有する情報を取得することができるものである。
【0014】
まず、携帯端末3と無線通信を行う作業機2について、トラクタを例にとり詳しく説明する。
図6に示すように、トラクタ2は、前後に車輪を有する走行車体10に、エンジン(例えば、ディーゼルエンジン)11、変速装置12、制御装置13等が搭載されて構成されている。この走行車体10の後部には、3点リンク機構14が昇降可能に設けられている。この3点リンク機構14には、各種の作業装置(図例は耕耘装置)15が着脱自在となっている。この作業装置15には、PTO軸を介してエンジン11からの動力が伝達されるようになっている。また、エンジン11の後方には、独立搭載型のキャビン16が設けられており、キャビン16内に運転席17が設けられている。運転席17の周囲にはトラクタ2の様々な情報を表示するための表示装置18が設けられている。この表示装置18は、携帯端末3とは異なり、トラクタ2の運転席17の周囲に固定されていてオペレータが運転席17に座ると、運転席17から表示装置18に表示された内容を視認できる。言い換えれば、固定型の表示装置である。このようなトラクタ2は、走行や作業装置15による作業が行えるようになっている。
【0015】
制御装置13は、トラクタ2において走行系の制御や作業系の制御を行うものであって、CPU等から構成されている。トラクタ2において走行系の制御や作業系の制御は、複数(例えば、2つ)の制御装置13A、13Bによって行うものとなっている。なお、この実施形態では、複数の制御装置13A、13Bによってトラクタ2の制御を行うものとなっているが、制御装置13は1台であっても複数台でもよい。
【0016】
第1制御装置13Aはトラクタ2の全体を制御するものであって、CAN(Controller
Area Network)やフレックスレイ(FlexRay)等の車載用通信ネットワークによって、他の制御装置13B、即ち、第2制御装置13Bと相互通信が行えるようになっている。
この第1制御装置13Aには、アクセルペダルを操作したときのアクセルペダルの操作量、変速用のシフトレバーを操作したときのシフトレバー位置などが入力されるようになっている。
【0017】
第1制御装置13Aは、アクセルペダルの操作量に基づいてエンジン11が所定の回転数になるように第2制御装置13Bに制御指令を出力すると共に、シフトレバー位置に基づいて変速装置12を制御(変速制御)することができるようになっている。その他、第1制御装置13Aには、エンジン回転上限値、アクセルレバー量、エンジン回転数などが入力されるようになっている。エンジン回転上限値は、運転席17の近傍に設けられたボリュームにより設定できるようになっており、アクセルレバー量は運転席17の近傍に設けられたアクセルレバーにより設定できるようになっている。
【0018】
エンジン回転上限値が入力されている場合、第1制御装置13Aは、エンジン11の回転数がエンジン回転上限値を超えないように第2制御装置13Bに制御指令を出力する。また、アクセルレバー量が入力されている場合、第1制御装置13Aは、アクセルペダルの操作量がアクセルレバー量以上となれば、アクセルペダルの操作量に応じた制御指令を第2制御装置13Bに出力するものの、アクセルペダルの操作量がアクセルレバー量未満であるときにはアクセルペダルの操作量に応じた制御指令を行わず、アクセルペダルの操作量に応じたエンジン11の回転数の制御は行わないようになっている。
【0019】
また、第1制御装置13Aは、エンジン回転数、変速段、油温など、トラクタ2の様々な情報を表示する表示装置18を制御すると共に操作部材からの入力に基づいて3点リンク機構14の昇降を制御する(3P昇降制御)。
第2制御装置13B(エンジンコンピュータユニット)は、主にエンジン11を制御するものであって、第1制御装置13Aを介して出力されたアクセルペダルの操作量、クランク位置、カム位置等の入力に基づいて、インジェクタ27、コモンレール28、サプライポンプ29等を制御するものである。なお、第2制御装置13Bにおけるエンジン制御は、一般的なディーゼルエンジン制御と同じものであり、例えば、インジェクタ27の制御では燃料噴射量、噴射時期、燃料噴射率が設定され、サプライポンプ29やコモンレール28の制御では燃料噴射圧が設定される。
【0020】
上述した第1制御装置13A、第2制御装置13Bによって、トラクタ2の走行系及び作業系の制御を行うことができる。なお、トラクタ2の走行系及び作業系の制御は、上述したものに限定されない。
第1制御装置13Aには、携帯端末3と無線通信によってデータ通信を行うための通信部(送受信部)30が設けられている。本発明では、第1制御装置13Aと携帯端末3とのデータ通信の許可を行うか否かの判断を行い、データ通信の許可が出るとデータ通信を行い、データ通信の許可が出ないとデータ通信を行わないシステムとなっている。
【0021】
以下、作業機2のデータ通信システム1について詳しく説明する。
作業機2のデータ通信システム1では、第1制御装置13Aに保存された作業機用IDコードと、携帯端末3に保存された携帯用IDコードとの照合を行って、両者のIDコードの照合が成立するとデータ通信を行い、IDコードの照合が不成立であるとデータ通信を行わない。
【0022】
作業機用IDコードは、トラクタ2(作業機2)毎に割り当てられたトラクタ2固有のものであり、例えば、トラクタ2を製造する製造会社によってトラクタ2の製造時に第1制御装置13Aの記憶部31に記憶(保存)される。携帯用IDコードは、後述するID
コード登録手段45によって予め携帯端末3の記憶部32に記憶されたものである。
第1制御装置13Aの記憶部31や携帯端末3の記憶部32は、例えば、不揮発性メモリで構成されている。
【0023】
図1に示すように、第1制御装置13Aは、IDコード取得手段40と、IDコード照合手段41と、データ通信手段42とを備えている。IDコード取得手段40、IDコード照合手段41及びデータ通信手段42は、第1制御装置13Aに格納されたプログラム等から構成されている。
IDコード取得手段40は、携帯用IDコードを携帯端末3から無線通信により取得するものである。また、IDコード照合手段41は、携帯用IDコードと、作業機用IDコードとの照合を行うものである。データ通信手段42は、IDコード照合手段41によってIDコードの照合が成立したときに携帯端末3と第1制御装置13Aとのデータ通信をできる状態にする(可能状態にする)と共に照合が不成立のときにデータ通信を行えない状態にする(不能状態にする)。
【0024】
図2(a)に示すように、第1制御装置13Aが携帯用IDコードを取得するには、例えば、表示装置18に設けたスイッチ等の操作によって、表示装置18に「IDコード取得」のメニューを表示する。そして、「IDコード取得」のメニューがスイッチ等により選択されると、
図2(b)に示すように、IDコード取得手段40が起動する。
IDコード取得手段40が起動すると、まず、送受信部30を介して外部にIDコードの要求を行うために信号を送信し、無線通信を行うことが可能な携帯端末3を探す。次に、IDコード取得手段40は、携帯端末3からの応答があると、携帯端末3に携帯用IDコードの要求をして、携帯端末3から送信された携帯用IDコードを取得する。
【0025】
図2(c)に示すように、IDコード取得手段40によって携帯用IDコードが取得後に、IDコード照合手段41が起動して、IDコード照合手段41によって第1制御装置13Aの記憶部31に保存された作業機用IDコードが呼び出される。そして、IDコード照合手段41は、呼び出した作業機用IDコードと携帯用IDコードとの照合を行う。なお、IDコード照合手段41によるIDコードの照合を行うタイミングは、作業機2と携帯端末2との間でデータ通信を実行するときに行えばよく、
図2に示した方法に限定されない。
【0026】
例えば、携帯用IDコードが「M13510006」であり、作業機用IDコードも「M13510006」であるとすると、IDコード照合手段41は、携帯用IDコードと作業機用IDコードとが一致しているため、IDコードの照合が成立したと判断する。携帯用IDコードと作業機用IDコードとが一致しない場合は、IDコード照合手段41はIDコードの照合は不成立と判断する。
【0027】
次に、データ通信手段42は、IDコードの照合が成立した場合には、第1制御装置13A(送受信部30)と携帯端末3との無線通信を継続すると共に、第1制御装置13Aから携帯端末3へのデータ送信を可能とすると共に、携帯端末3から送信されたデータ受信を可能とし、両者のデータ通信ができる状態にする。
なお、第1制御装置13Aとトラクタ2に搭載された他の制御装置とはCANによってデータの相互通信が可能であるため、データ通信を行える状態であるときは、第1制御装置13Aを介して他の制御装置のデータも携帯端末3へ送信したり、携帯端末3のデータを第1制御装置13Aを介して他の制御装置が受信することができる。
【0028】
一方、データ通信手段42は、IDコードの照合が不成立の場合には、第1制御装置13A(送受信部30)と携帯端末3との無線通信を切断して、第1制御装置13Aから携帯端末3へのデータ送信を不能とすると共に、携帯端末3から送信されたデータ受信を不能とし、両者のデータ通信をできない状態にする。言い換えれば、データ通信手段42は、照合が不成立のときは、制御装置13Aと携帯端末3との間での双方向のデータのやり取りが行えないようにデータ通信をロックする。なお、一度、IDコードの照合不成立によってデータ通信をロックした状態であっても、携帯用IDコードや登録コードだけは受信できるようにすることが好ましい。
【0029】
さらに、第1制御装置13Aは、データ書込手段43と、データ配信手段44と、ID
コード登録手段45とを備えている。データ書込手段43、データ配信手段44及びIDコード登録手段45は、第1制御装置13Aに格納されたプログラム等から構成されている。
データ書込手段43は、データ通信手段42によって携帯端末3と第1制御装置13Aとのデータ通信を行える状態において、携帯端末3から送信されたデータの書き込みを行うものである。また、データ配信手段44は、データ書込手段43と同様にデータ通信が行える状態において携帯端末3へのデータの配信(出力)を行うものである。
【0030】
図3(a)に示すように、トラクタ2のメンテナンスなどを行う際に、データを書き込む場合、表示装置18のスイッチ等を操作して、データ書き込みの内容を選択するための書込内容選択画面を表示する。この書込内容選択画面では、データ書き込みの内容を選択するためのメニューが表示され、例えば、「制御プログラムの書込」や「制御パラメータ書込」のメニューが表示される。
【0031】
図3(b)に示すように、スイッチの操作によって「制御プログラムの書込」又は「制御パラメータ」を選択すると、制御プログラムや制御パラメータの書込を行う装置(書込対象装置)を選択するための装置選択画面が表示される。装置選択画面では、例えば、「第1制御装置」、「第2制御装置」、「表示装置」が表示される。
図3(c)に示すように、データ書込手段43は、データ通信が行える状態で且つ装置選択画面で装置が選択されると、装置選択画面にて選択された書込対象装置に対応する制御プログラムを、携帯端末3から第1制御装置13A(送受信部30)へ受信可能とした上で、携帯端末3から送信された制御プログラムを受信すると、装置選択画面にて選択された装置の制御プログラムを書き換える。これにより、トラクタ2に搭載した装置などの制御プログラムや制御パラメータを携帯端末3に格納しておけば、制御プログラム等を自在に書き換えることができる。
【0032】
また、
図4(a)に示すように、データの配信(出力)を行うには、表示装置18のスイッチ等を操作することによって、データの出力内容を選択するため出力内容選択画面を表示する。出力内容選択画面では、データ出力内容を選択するためのメニューが表示される。例えば、運行管理情報や故障履歴のデータが、制御装置13の記憶部31に格納されていたとすると、「運行管理情報の出力」や「故障履歴の出力」のメニューが表示される。なお、運行管理情報とは、トラクタ2のエンジンの駆動時間を日付毎に記録したものであり、故障履歴とは、故障した時期と故障箇所を関連付けて記録したものである。
【0033】
図4(b)に示すように、データ配信手段44は、データ通信が行える状態で且つ出力内容選択画面で出力内容が選択された状態では、出力内容選択画面にて選択された内容(運行管理情報や故障情報)を、第1制御装置13A(送受信部30)から携帯端末3へ送信する。これにより、トラクタ2に保存されたデータを自在に携帯端末3へ送信することができる。なお、出力内容は、運行管理情報や故障履歴だけでなく、トラクタ2のデータであれば、どのようなものであってもよい。
【0034】
IDコード登録手段45は、携帯用IDコードと作業機用IDコードとの照合が成立するように、作業機用IDコードを携帯用IDコードとして携帯端末3に登録するものである。言い換えれば、IDコード登録手段45は、携帯用IDコードと作業機用IDコードとの関連付けを行って、IDコードの照合が成立できるようにする。
図5(a)に示すように、作業機用IDコードを携帯用IDコードとして携帯端末3に登録するには、まず、表示装置18のスイッチ等を操作することによってIDコード登録画面を表示する。IDコード登録画面は、まず、登録を許可するための登録コードを入力する入力モードとなる。この登録コードは、作業機用IDコードや携帯用IDコードとは別に、予めトラクタ2毎に定められており、登録コードが分からないと、作業機用IDコードを携帯用IDコードとして携帯端末3に登録することができない。登録コードは、第1制御装置13Aの記憶部31に予め記憶されている。
【0035】
登録コードは、トラクタ2を製造する製造会社、トラクタ2の販売をする販売会社、トラクタ2のレンタルをするレンタル会社が管理しており、IDコードを登録する場合には、これらの会社から予め登録コードを、ユーザ等が取得することになる。
図5(b)に示すように、IDコード登録画面の入力モードにて登録コードを入力すると、IDコード登録手段45は、入力された登録コードと第1制御装置13Aの記憶部31に記憶されている登録コードとの照合を行う。
【0036】
図5(c)に示すように、IDコード登録手段45は、登録コードの照合が成立すると、IDコード登録画面に照合が成立したことを示す「照合完了」を表示させた後、IDコードの登録を許可し、第1制御装置13Aの記憶部31に記憶された作業機用IDコード及び登録許可信号を、送受信部30を介して携帯端末3に送信する。IDコード登録手段45は、登録コードの照合が成立しないと、作業機用IDコードは携帯端末3に送信せず、IDコードの登録を行うことができない。
【0037】
一方、
図5(d)に示すように、携帯端末3は、トラクタ2、即ち、第1制御装置13Aから送信された作業機用IDコード及び登録許可信号を受信すると、送信された作業機用IDコードを携帯用IDコードとして携帯端末3の記憶部32に記憶する。
これにより、特定のトラクタ1と特定の携帯端末3とが関連付けられることになり、携帯端末3を用いて特定のトラクタ1とのデータ通信が可能となる。
【0038】
なお、携帯端末3の記憶部32には、複数の携帯用IDコードを記憶することができるようにしてもよい。その結果、IDコード登録手段45を用いて、1台の携帯端末3に対して複数のトラクタ2を関連付けすれば、1台の携帯端末3で複数台のトラクタ2とデータ通信を行うことができる。例えば、複数台(3台)のトラクタ2があり、それぞれのトラクタ2の作業機用IDコードが、「M13510006」、「M13510007」、「M1351008」であったとする。ここで、トラクタ2を使用するユーザが、「M13510006」に対応するトラクタ2の登録コードと、「M13510007」に対応するトラクタ2の登録コードとを取得して、2つの登録コードを用いて、IDコード登録手段45によってIDコードの登録を行った場合、3台あるトラクタ2のうち、2台のトラクタ2について携帯端末3を用いてデータ通信を行うことができる。
【0039】
なお、別実施例として、IDコード登録画面を表示装置18に表示する代わりに携帯端末3に表示させてもよい。例えば、携帯端末3を操作することによって携帯端末3の表示画面にIDコード登録画面を表示する。IDコード登録画面を表示させるためのプログラムは、予め携帯端末3に記憶させていてもよいし、IDコード登録時にトラクタ2から無線通信によって取得してもよい。
【0040】
別実施例の場合、携帯端末3を操作し、IDコード登録画面の入力モードにて登録コードを入力すると、携帯端末3からトラクタ2(第1制御装置13A)へ入力された登録コードが送信される。そして、携帯端末3から送信された登録コードが入力されると、IDコード登録手段45は、入力された登録コードと第1制御装置13Aの記憶部31に記憶されている登録コードとの照合を行った後、登録コードの照合が成立すると、IDコードの登録を許可し、第1制御装置13Aの記憶部31に記憶された作業機用IDコード及び登録許可信号を、送受信部30を介して携帯端末3に送信する。IDコード登録手段45は、登録コードの照合が成立しないと、作業機用IDコードは携帯端末3に送信せず、IDコードの登録は行うことができない。
【0041】
さらに別実施例として、上述したIDコード取得手段40、IDコード照合手段41、データ通信手段42、IDコード登録手段45、データ書込手段43、データ配信手段44は、第1制御装置13Aではなくトラクタ2に搭載した他の制御装置、例えば、第2制御装置に設けてもよい。また、IDコード取得手段40、IDコード照合手段41、データ通信手段42、IDコード登録手段45、データ書込手段43、データ配信手段44の全てを1台の制御装置に設けるのではなく、それぞれの制御装置に分散して設けてもよい。
【0042】
本発明によれば、制御装置は、IDコード照合手段41と、データ通信手段42と備えているため、IDコードの照合が成立したときのみ、作業機2と携帯端末3とのデータ通信ができるようになり、作業機2におけるデータ通信のセキュリティを向上させることができる。
特に、特定の作業機2と特定の携帯端末3との照合(認証)が成立しないと、両者にお
けるデータ通信が許可されないため、データ書き換え、書き込みの安全性を向上させつつ、特定の作業機2で対しては、携帯端末3を用いて自由にデータのやり取りを行うことができる。
【0043】
また、制御装置はIDコード登録手段45を備えているため、特定の作業機2に対してデータ通信を行うことができる携帯端末3の追加を行うことができ、1台の作業機2に対して複数の携帯端末3を用いてデータ通信を行うことが可能となる。さらには、制御装置は、データ書込手段43やデータ配信手段44を備えているため、容易に制御装置のデータの書き込み、書き換え、配信(出力)を行うことができる。
【0044】
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
上記実施形態では、作業機2の制御装置にてIDコードの照合を行っていたが携帯端末3でIDコードの照合を行ってもよい。例えば、携帯端末3が制御装置から作業機用IDコードを取得し、取得した作業機用IDコードと携帯用IDコードとの照合を行う。また、携帯端末3にて照合が成立したときに携帯端末3が当該携帯端末3と制御装置とのデータ通信を許可し、照合が成立しなかったとき携帯端末3がデータ通信の許可をしないようにしてもよい。つまり、携帯端末3にIDコード照合手段41、データ通信手段42とを設けても良い。
【0045】
登録コードの取得方法は、特に限定されないが、例えば、携帯端末3を用いて製造会社、販売会社、レンタル会社のいずれかの管理サーバにアクセスして、この管理サーバにユーザ登録などを行うことによって、管理サーバから登録コードを取得するようにしてもよい。
また、上述したように、作業機用IDコードは製造会社が作業機2を製造したときに作業機側2(制御装置等)に予め記憶させるのが好ましいが、表示装置18等を用いて、制御装置等に手入力によって記憶できるようにしてもよい。
【0046】
上記実施形態では、携帯用IDコードと作業機用IDコードとの一致を、照合成立としていたが、携帯端末3に保存した携帯用IDコードと作業機側に保存した作業機用IDコードとの関連付けがなされていれば、照合が成立したものとして扱ってもよい。例えば、作業機側と携帯端末側とでデータ通信を行う際に用いられる暗号化コードを作業機用IDコードや携帯用IDコードとして用いてもよいし、時間によって変化する暗号化コードを作業機用IDコードや携帯用IDコードとして用いてもよい。
【0047】
データ通信を行うために用いられる携帯用IDコードは、例えば、データ通信を行う場合(IDコードの照合を行う場合のみ)に一時的に記憶部32に記憶されるものであってもよい。例えば、上述したように、IDコード登録手段45によって、作業機用IDコードを携帯用IDコードとして関連付けができるように携帯端末3に登録した後、IDコードの照合後は、自動的に登録された携帯用IDコードを消去する。或いは、携帯用IDコードは、IDコードの照合後に消去されず、IDコードの照合後(データ通信終了後)も長期に亘って記憶部32に記憶されるものであってもよい。