(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
高炉の炉底(下方側壁)構造は、炉内稼働面側(内面側)にカーボン煉瓦(カーボンブロック)が配され、外部容器である鉄皮内面側に配されたステーブ(冷却配管により水冷されている)へ熱が逃げる構造となっている。また、ステーブが無い構造もあるが、この場合は鉄皮へ直接冷却水を散水して冷却する。いずれの構造においても、カーボン煉瓦は、稼働面側(内面側)の高温の溶銑に直接接触する機会があるため、長期間の使用により損耗することから、この厚みを計測し、管理する必要がある。
【0003】
従来、炉底煉瓦の厚さを検査するためには、熱電対を用いた推定する手段が用いられていたが、バラツキが大きく、安定した測定が困難であった。熱電対を用いた推定手段では、高炉の炉内が安定状態のときは比較的精度が高く推定できるものの、炉内の流動状態によって急激に熱負荷が変化しつつある状態のときは精度が低下する傾向にあった。
【0004】
そこで、例えば特許文献1の手段が既に提案されている。なお、本発明に関連する超音波センサは、特許文献2に開示されている。
【0005】
特許文献1の手段は、
図1に示すように、鉄皮1又は鉄皮1及びステーブ2に耐火物3同士の目地をずらして開孔4を形成し、この開孔4に超音波探触子5を挿入して開孔に臨んだステーブ2又は耐火物3に接触させ、超音波探触子5から20〜200kHzの超音波を耐火物3へ伝播させ、この伝播させた超音波が耐火物3を往復するのに要した時間を測定することで耐火物3の厚みを測定するものである。
【0006】
特許文献2の超音波センサは、
図2に示すように、検査対象面Bに接触させる検出外面52aと検出外面52aに任意の角度を持つ平面である検出内面52bとを有する導電性の台座52と、検出内面52bに密着する耐熱軟金属からなる第1電極54aと、第1電極54aを台座52との間で挟む形で第1電極54aと密着する平板状の圧電素子56と、圧電素子56を第1電極54aとの間で挟む形で圧電素子56と密着する耐熱軟金属からなる第2電極54bと、圧電素子56を第2電極54bを介して検出内面52bに向けて弾性的に付勢する耐熱付勢部材60と、耐熱付勢部材60を検出内面52bに向けて押圧する押さえ部材70と、一端が台座52に連結されており内部に第1電極54a、圧電素子56、第2電極54b、耐熱付勢部材60及び押さえ部材70を収容する本体50と、本体50に螺合し、押さえ部材70よりも本体の他端側で押さえ部材70からの反力を受ける支持手段69とを備え、支持手段69は、検出内面52bに向けて押さえ部材70に外部から押圧力を作用させるための第1貫通穴65を有し、押さえ部材70は、前記押圧力を受ける受け部72を有するものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した従来の手段は、以下の問題点があった。
高炉の運転条件の変化により、耐火物3の表面は鉄皮1に対して、相対的に3次元移動する。この3次元移動量は、例えば、超音波探触子5の計測面内において、2方向に±2〜5mm程度、半径方向に±2〜5mm程度である。
【0009】
超音波探触子5により耐火物3の厚みを正確に測定するためには、超音波探触子5の接触面が耐火物3の計測面に密着しながら倣い、かつ接触面の全面が所望の面圧で耐火物3の表面に押し付けられる必要がある。
しかし、従来の手段では、耐火物3の表面が鉄皮1に対して、相対的に3次元移動する場合、超音波探触子5の接触面が耐火物3の計測面に対して傾いて、接触面の一部に隙間ができ、或いは、その間の面圧が不均一になる問題点があった。
【0010】
本発明は、上述した問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、耐火物の計測面が鉄皮に対して、相対的に3次元移動しても、超音波探触子の接触面が耐火物の計測面に密着しながら追従することができ、接触面の全面を所望の面圧で耐火物の計測面に押し付けることができ、これにより超音波探触子により耐火物の厚みを正確に測定することができる煉瓦残厚測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、金属製の鉄皮の内側にカーボン煉瓦を有する高炉に取り付けられ、カーボン煉瓦の厚さを計測する煉瓦残厚測定装置であって、
高炉は、鉄皮を貫通しカーボン煉瓦まで達する計測孔と、計測孔と連通する鉄皮の貫通孔に気密に設けられた取付フランジとを有しており、
計測孔に挿入され接触媒体を介してカーボン煉瓦の計測面に押し付けられる超音波センサと、
取付フランジに取り付けられ、軸線に沿って内方に延び、その内方端に位置する中間部材をカーボン煉瓦へ向けて弾性的に押し付ける付勢装置と、
前記中間部材と超音波センサとの間で軸線に沿って延びるセンサ押付棒と、
前記中間部材と超音波センサに対しセンサ押付棒の両端部を揺動可能に連結する1対の球面軸受と、
超音波センサから球面軸受、センサ押付棒、及び付勢装置を通して鉄皮の外側まで引き出される信号線と、を備えることを特徴とする煉瓦残厚測定装置が提供される。
【発明の効果】
【0012】
上記本発明の構成によれば、中間部材と超音波センサに対しセンサ押付棒の両端部を揺動可能に連結する1対の球面軸受を備えるので、カーボン煉瓦の計測面が鉄皮に対して超音波センサの計測面内において、2方向に移動しても、超音波センサと付勢装置の軸線を常に平行に維持することができる。
また、センサ押付棒の長さは、カーボン煉瓦の表面から鉄皮表面までの距離又はそれ以上(例えば300〜500mm)に設定することにより、各球面軸受におけるセンサ押付棒の揺動角度は非常に小さくなる(例えば、5mmの変動の場合に、0.95〜1.43°)。
従って、付勢装置による押付け力は、センサ押付棒を介して超音波センサに同じ方向に作用するので、超音波センサの接触面がカーボン煉瓦の計測面に密着しながら追従することができ、接触面の全面を所望の面圧でカーボン煉瓦の計測面に押し付けることができ、これにより超音波センサによりカーボン煉瓦の厚みを正確に測定することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して説明する。なお各図において、共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明は省略する。
【0015】
図3は、本発明による煉瓦残厚測定装置を備えた高炉の全体構成図であり、水平断面図を模式的に示している。
この図において、10は高炉であり、金属製の鉄皮1の内側に、本例では、ステーブ2、及びカーボン煉瓦3が順に積層されている。カーボン煉瓦3の厚さは例えば2m以上であり、カーボン煉瓦3の外表面の温度は、例えば100〜200℃に保持されている。
なお、鉄皮1とステーブ2の間にキャスタブルが存在したり、ステーブ2とカーボン煉瓦3の間にスタンプ材が存在するケースも多いが、これらの存在の有無にかかわらず、本発明の装置でカーボン煉瓦の残厚を測定可能である。
【0016】
高炉10は、鉄皮1を貫通しカーボン煉瓦3まで達する計測孔12と、計測孔12と連通する鉄皮1の貫通孔に気密に設けられた取付フランジ14とを有する。
【0017】
本発明の煉瓦残厚測定装置20は、高炉10の取付フランジ14に取り付けられ、カーボン煉瓦3の厚さを計測する装置である。
【0018】
図4は、本発明による煉瓦残厚測定装置の第1実施形態図である。
【0019】
図4において、本発明の煉瓦残厚測定装置20は、超音波センサ16、付勢装置30、センサ押付棒22、1対の球面軸受24a,24b、及び信号線26を備える。
【0020】
超音波センサ16は、計測孔12に挿入され、接触媒体を介してカーボン煉瓦3の計測面3aに押し付けられる。
【0021】
超音波センサ16は、2枚の電極の間にニオブ酸リチウム振動子が挟持された高温用超音波センサである。この高温用超音波センサは、例えば最高600℃の耐熱性を有し、カーボン煉瓦3の計測面3a近傍の温度に耐えるように構成されている。
なお、かかる超音波センサ16の構造は、例えば
図2に示したように、特許文献2に開示されている。
【0022】
接触媒体は、カーボン煉瓦3の計測面3aの温度(例えば100〜200℃)に耐える接触媒体である。
接触媒体は、超音波伝達時に阻害要因となるカーボン煉瓦3および超音波センサ16のセンサ面との凹凸面の影響を低減し、損失を極力低減させた超音波伝達を行うために必要であり、かつ使用環境温度領域での超音波伝達性能を安定的に具備していなければならない。このため接触媒体には、変形能を有し、材質として粘土のように応力下で自在に変形し、凹凸部を均してカーボン煉瓦3と超音波センサ16とを接触媒体を介して密着させ、超音波をセンサ面からカーボン煉瓦3へと伝達させることができる材質であればよい。このような機能を満たすために、接触媒体は、粘土質を構成する骨材と、それらを結合させる結合材とから構成されることが好ましい。
【0023】
この場合、骨材としては比較的高温下でも安定的に超音波を伝達可能な金属や酸化金属等の粉粒体を使用でき(例えば、0.1mm以下)、結合材については骨材同士のバインダーとしての役割を担いながら、変形能が高く、且つ、熱分解開始温度が使用環境温度領域よりも高温で安定的であり、結合剤中の揮発成分が揮発しても大きな空隙をつくらずに、超音波の伝達をできるだけ阻害しないような材料がより好ましい。
骨材の具体例としては、アルミナ粉、ムライト粉、アルミニウム粉、フリット粉などが挙げられ、これらを単独又は混合して使用できる。
また、結合材の具体例としては、樹脂やタールやピッチなどが挙げられ、これらを単独又は混合して使用できる。中でもフェノール樹脂が上記機能を高いレベルで満たすため、結合剤中に含まれていることが好ましい。
また、接触媒体の変形能をより高めるため、例えば、モノエチレングリコールなどが含まれていても構わない。
市販品では、耐火材料製品として販売されている黒崎播磨製「クロジョック」(商標登録)を接触媒体として用いることができる。
【0024】
付勢装置30は、取付フランジ14に取り付けられ、軸線に沿って内方に延び、その内方端に位置する中間部材31をカーボン煉瓦3へ向けて弾性的に押し付ける。また、付勢装置30は、軸線に沿う中空孔を有する。
中間部材31は、鉄皮1の表面の近傍又はそれより外側に位置している。また中間部材31の形状は、中空円筒形の好ましくは平板であり、鉄皮近傍の温度(例えば30〜100℃)に耐える好ましくは金属製である。
【0025】
(中間部材31の必要性)
鉄皮外側のスペースが狭く、センサ押付棒22と付勢棒36とが一体の場合、取付けフランジ14から超音波センサ16を挿入する事が困難であり、センサ押付棒22を分割して、鉄皮外側のスペースが狭い場所においてもセンサ挿入を可能とした。
また中間部材31の形状は、センサ押付棒22と付勢棒36の中心部へ信号線26を通すため、中空円筒形が望ましい。
【0026】
センサ押付棒22は、中空円筒形であり、軸線に沿う中空孔22aを有し、中間部材31と超音波センサ16との間で軸線に沿って延びる。センサ押付棒22は、この例では中空円筒管であり、カーボン煉瓦3の計測面3aの温度(例えば100〜200℃)に耐える好ましくは金属製である。
【0027】
センサ押付棒22の長さは、超音波センサ16の計測面3a内において、2方向に±5mm程度移動しても、1対の球面軸受24a,24bの揺動角度が所定の範囲(例えば±2°)になるように設定する。
この長さは、カーボン煉瓦3の表面から鉄皮1表面までの距離又はそれ以上に設定するのがよい。
例えば長さが300〜500mmである場合、5mmの変動に対する球面軸受24a,24bの揺動角度は、0.95〜1.43°である。
【0028】
1対の球面軸受24a,24bは、軸線に沿う中空孔を有し、中間部材31と超音波センサ16に対しセンサ押付棒22の両端部を揺動可能に連結する。
球面軸受24a,24bは、軸線に対して360度のどの方向にも揺動可能であり、かつその揺動範囲が所定の範囲(例えば±2°)に設定されている。
また、1対の球面軸受24a,24bは図示しない固定ネジにより、センサ押付棒22から分離できるようになっている。
【0029】
上述のように球面軸受24a,24b、センサ押付棒22、及び付勢装置30は、それぞれ軸線に沿う中空孔を有する。この中空孔は、信号線26と2芯コネクタ18を通すためである。
信号線26は、超音波センサ16から球面軸受24a,24b、センサ押付棒22、及び付勢装置30の中空孔を通して鉄皮1の外側まで引き出される。
【0030】
超音波センサ16からの信号線26は、一端が2枚の電極に接続し他端が円筒形部分を有する2芯コネクタ18(
図6参照)に接続された2芯ケーブルである。なお、2枚の電極の一方を接地(アース)してもよい。
信号線26は、超音波センサ16から球面軸受24a,24b、センサ押付棒22、及び付勢装置30の中空孔を通して鉄皮1の外側まで延びる長さを有する。また、2芯コネクタ18の円筒形部分は、直径約8mmの密閉された円筒形金属パイプからなり、その外方端にコネクタの接点が設けられている。
【0031】
図5は、
図4のA部の拡大図である。
この図において、計測孔12は、超音波センサ16の傾きを抑制する内径を有している。計測孔12の内径は、超音波センサ16の挿入に支障がない限りで、超音波センサ16の直径に近いのがよい。具体的には、超音波センサ16の直径に対して、2〜8mmのクリアランスを有することが好ましい。
例えば、超音波センサ16が直径約40mmの円筒形である場合に、計測孔12の内径を42〜48mm(直径隙間が2〜8mm)に設定することにより、計測孔12の内部における超音波センサ16の傾きを防止し、超音波センサ16の軸線を計測面3aに対し、ほぼ垂直に維持することができる。
また計測面3aは、カーボン煉瓦3の外表面より内側に位置している。計測面3aの外表面からの深さは、計測面3aが鉄皮1に対して、相対的に3次元移動しても、超音波センサ16が、計測面3aに対しほぼ垂直に維持し、かつ計測面3aから離れないように設定する。この深さは、超音波センサ16が円筒形状である場合、その長さの半分から1倍程度、例えば100mmである場合に、50〜100mm程度であるのがよい。
【0032】
図6は、
図4のB部の拡大図である。
この図において、付勢装置30は、治具フランジ32、ネジパイプ34、付勢棒36、及び付勢部材38を有する。
【0033】
治具フランジ32は、取付フランジ14に取り付けられ、計測孔12の軸心を中心とする雌ネジ部33を有する。
ネジパイプ34は、中空円筒形であり、雌ネジ部33と螺合する雄ネジ部35を有し、軸心に沿って鉄皮1の外側から内側まで延びる。
付勢棒36は、ネジパイプ34の中空孔を貫通してネジパイプ34の外側から内側まで延び、内方端に中間部材31が設けられている。
付勢部材38は、この例ではコイルバネであり、ネジパイプ34の内端面と中間部材31との間に位置し、中間部材31をカーボン煉瓦3へ向けて弾性的に押し付ける。
【0034】
上述した付勢装置30の構成により、雌ネジ部33と雄ネジ部35の螺合により、ネジパイプ34を軸方向に移動することで、付勢部材38の圧縮長さを調整し、中間部材31をカーボン煉瓦3へ向けて弾性的に押し付ける押し付け力(例えば50〜100kg)を調節することができる。
なお、超音波センサ16の感度特性は、50kg以上で良好な感度が得られるが、100kgを超えると感度が鈍化することが確認されている。
【0035】
上述した本発明の構成によれば、中間部材31と超音波センサ16に対しセンサ押付棒22の両端部を揺動可能に連結する1対の球面軸受24a,24bを備えるので、カーボン煉瓦3の計測面3aが鉄皮1に対して超音波センサ16の計測面3a内において、2方向に移動しても、超音波センサ16と付勢装置30の軸線を常に平行に維持することができる。
また、センサ押付棒22の長さは、カーボン煉瓦3の表面から鉄皮1表面までの距離又はそれ以上(例えば300〜500mm)に設定することにより、各球面軸受24a,24bにおけるセンサ押付棒22の揺動角度は非常に小さくなる(例えば、5mmの変動の場合に、0.95〜1.43°)。
従って、付勢装置30による押付け力は、センサ押付棒22を介して超音波センサ16に同じ方向に作用するので、超音波センサ16の接触面がカーボン煉瓦3の計測面3aに密着しながら追従することができ、接触面の全面を所望の面圧でカーボン煉瓦3の計測面3aに押し付けることができ、これにより超音波センサ16によりカーボン煉瓦3の厚みを正確に測定することができる。
【0036】
図6において、本発明の煉瓦残厚測定装置20は、さらに、メインケース42とサブケース44を備える。
メインケース42とサブケース44は、付勢装置30を気密に囲み、信号線26の信号を、気密を保持したまま外部に取り出すようになっている。
【0037】
メインケース42は、主管と枝管からなるL字管42a、主管の開口部に取り付けられ取付フランジ14に気密に取り付けられる主フランジ42b、及び枝管の開口部に取り付けられた中間メクラフランジ42cからなる。
【0038】
サブケース44は、直管44a、直管44aの一端に取り付けられ中間メクラフランジ42cと気密に結合される中間フランジ44b、直管44aの他端に取り付けられた外部フランジ44c、及び外部フランジ44cと気密に結合される外部メクラフランジ44dからなる。
【0039】
上述した超音波センサ16、付勢装置30、センサ押付棒22、及び球面軸受24a,24bは、取付けフランジ14に気密に取り付けられており、かつ、気密を保持したまま信号線26を外部に取り出す構造を備えている。
【0040】
上述した構成により、メインケース42がL字形になっているので、メインケース42とサブケース44の超音波センサ16の軸方向長さを短くすることができる。
また、球面軸受24aが図示しない固定ネジにより、センサ押付棒22から分離できるので、付勢装置30をメインケース42とともにセンサ押付棒22から分離することができる。
従って、鉄皮1の表面から非常樋背面(図示せず)までの距離が900mm以内であっても、本発明による煉瓦残厚測定装置20を組み立て、或いは分解することができる。
【0041】
図7は、本発明による煉瓦残厚測定装置の第2実施形態図である。
この例において、超音波センサ16と球面軸受24aとの間に、フレキシブルカップリング17が配置されている。その他の構成は、第1実施形態と同様である。
【0042】
この構成により、球面軸受24aが得意とする上下方向5mmの煉瓦変位変動(例えば、熱膨張による変動)の良好な追従性に加えて、横方向(炉体周方向)の煉瓦変位変動(例えば、高炉立ち上げ初期の炉体膨張による変動)にもより良好な追従性を得ることができ、長期安定した残厚測定が可能となる。
【実施例1】
【0043】
鉄皮、キャスタブル、ステーブ、スタンプ材、及びカーボン煉瓦の順に部材が配置されている高炉の炉底に、
図4に示した煉瓦残厚測定装置を設置した。その際、鉄皮〜カーボン煉瓦壁(背面)までを通して、50mmの開孔径を空けて、超音波センサ径40mmの本装置を設置した。
その結果、測定途中に、熱膨張による上下方向5mmの煉瓦変位変動が生じたが、本発明の装置により、反射波信号を安定的に得ることができた。
また、高炉設備の臨時停止時における圧力変動にも耐え、十分に追従し、連続的で安定した計測を行うことができた。
また、高炉の炉内状態が安定した状態のときに、同時に併設した温度計による従来技術の計測値と比較したところ、差が0〜10mmの範囲でほぼ同一の残厚の測定値が得られ、測定値に信頼性もあることを確認した。
【実施例2】
【0044】
実施例1で使用した装置の超音波センサと球面軸受との間に、フレキシブルカップリングを配置した装置を使用して、実施例1と同様に高炉のカーボン煉瓦の残厚を測定した。実施例2では、高炉の立ち上げ時から残厚を測定した。
その結果、熱膨張による上下方向5mmの煉瓦変位変動に追従しただけでなく、高炉立ち上げ初期の炉体膨張による、横方向(炉体周方向)の3〜5mmの移動にも十分追従し、立上初期から連続して安定した信号を得ることができた。
【0045】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々に変更することができることは勿論である。