【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成23年度、総務省、超高速近距離無線伝送技術等の研究開発の委託事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係る可変利得増幅器の各実施形態について、図面を参照して説明する。
【0016】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態の可変利得増幅器100の回路構成を示す図である。
図1に示す可変利得増幅器100は、トランジスタ110、FBインピーダンス部120、ソースインピーダンス部130、ドレインインピーダンス部140、ゲイン制御部150、周波数特性制御部160、入力端子170、出力端子180及び電源端子190を含む構成である。
【0017】
増幅素子としてのトランジスタ110は、入力信号が入力される制御端子としてのゲート端子111、直流電源に接続される電源側端子としてのドレイン端子112、基準電位(例えばグランド)に接続される基準側端子としてのソース端子113、及び出力端子114を含む構成である。
【0018】
トランジスタ110は、ゲート端子111に入力された入力信号を増幅し、出力端子114から出力端子180に出力する。ドレイン端子112には、電源端子190及びドレインインピーダンス部140を介して、直流電圧が印加される。ソース端子113は、ソースインピーダンス部130を介して、接地される。
【0019】
FBインピーダンス部120は、抵抗121及びスイッチ122を含む構成であり、トランジスタ110のゲート端子111とドレイン端子112との間に接続される。FBインピーダンス部120において、抵抗121とスイッチ122とは直列に接続されている。スイッチ122のON及びOFFの変化により、トランジスタ110のゲート端子111とドレイン端子112との間のインピーダンスが変化する。
【0020】
基準側インピーダンス部としてのソースインピーダンス部130は、抵抗131及び可変容量135を含む構成であり、トランジスタ110のソース端子113と基準電位(グランド)との間に接続される。ソースインピーダンス部130において、抵抗131と可変容量135とは並列に接続されている。可変容量135の容量値が変化した場合、ソース端子113とグランドとの間のインピーダンス、即ちソースインピーダンス部130のインピーダンスの周波数特性が変化する。
【0021】
電源側インピーダンス部としてのドレインインピーダンス部140は、抵抗141を含む構成であり、トランジスタ110のドレイン端子112と電源端子190との間に接続される。
【0022】
ゲイン制御部150は、FBインピーダンス部120のスイッチ122のON及びOFFを制御することにより、可変利得増幅器100のゲインを所定値に設定する。ゲイン制御部150は、ゲインの所定値(以下、「ゲイン設定値」という)情報を含むゲイン制御信号を周波数特性制御部160に出力する。
【0023】
周波数特性制御部160は、ゲイン制御部150から出力されたゲイン制御信号を入力し、ゲイン制御信号に含まれるゲイン設定値情報を基に、ソースインピーダンス部130の可変容量135の容量値を変化させる。
【0024】
周波数特性制御部160は、ゲイン制御部150が制御するスイッチを含むインピーダンス部のインピーダンスの変化に起因して増加するゲインの帯域内偏差を、ゲイン制御部150が制御するインピーダンス部とは異なるインピーダンス部の可変容量の容量値を変化させることによって、低減させる。
【0025】
周波数特性制御部160が可変容量135の容量値を変化させる具体例を説明する。可変利得増幅器100は、ゲイン制御部150がFBインピーダンス部120のスイッチ122をON又はOFFに設定することにより、ゲインをそれぞれG
1又はG
2というゲイン設定値に設定する。
【0026】
即ち、ゲイン制御部150は、FBインピーダンス部120のスイッチをONに設定する場合、可変利得増幅器100のゲインを、ゲイン設定値G
1に設定する。また、ゲイン制御部150は、FBインピーダンス部120のスイッチをOFFに設定する場合、可変利得増幅器100のゲインを、ゲイン設定値G
2に設定する。
【0027】
図2は、ゲイン設定値G
1に対する周波数とゲインとの関係を示すグラフである。
図3は、ゲイン設定値G
2に対する周波数とゲインとの関係を示すグラフである。
図2及び
図3には、可変容量135の容量値C
Sが0pF、1pF、2pF、3pF、4pF、5pFである場合のゲインの周波数特性が示されている。
【0028】
ゲイン設定値がG
1では、FBインピーダンス部120のスイッチ122はONとなるため、上述した寄生容量に起因した帯域内偏差は増加しない。このため、可変容量135の容量値C
Sが0でも帯域内偏差はほとんど発生しない。可変容量135の容量値C
Sが増加された場合には、周波数が高い領域のソースインピーダンス部130のインピーダンスが低下するため、周波数が高い領域のゲインが増加し、帯域内偏差が増大する。従って、ゲイン設定値がG
1では、容量値C
S=0と設定される。
【0029】
一方、ゲイン設定値がG
2では、FBインピーダンス部120のスイッチ122はOFFとなるため、上述の寄生容量に起因した帯域内偏差が増加する。可変容量135の容量値C
Sが0では、周波数が上がるにつれてFBインピーダンス部120のインピーダンスが低下するため、可変利得増幅器100のゲインが低下し、帯域内偏差が増大する。可変容量135の容量値C
Sが増加されると、周波数が高い領域のソースインピーダンス部130のインピーダンスが低下するため、周波数が高い領域のゲインが増加し、帯域内偏差が減少する。
【0030】
但し、可変容量135の容量値C
Sが増加され過ぎると、高い周波数領域におけるゲインが大きくなり、帯域内偏差が増加する。このため、周波数特性制御部160は、帯域内偏差が最も小さくなる容量値C
Sを用いる。
図3では、帯域内偏差が最も小さくなる容量値C
Sの値は4〜5pFの間の値であることが分かる。
【0031】
例えば、周波数特性制御部160は、
図4(a)〜(c)に示すルックアップテーブル(LUT:Lookup Table)を保持し、ゲイン制御部150からのゲイン制御信号に含まれるゲイン設定値情報に応じた容量値C
Sを、ルックアップテーブルを参照して決定する。周波数特性制御部160は、ルックアップテーブルにて決定された容量値C
Sを、ソースインピーダンス部130の可変容量135の容量値に設定する。これにより、例えばベースバンド800MHz帯域の高周波信号が可変利得増幅器100に入力され、ゲインがゲイン設定値G
2(スイッチ122はOFF)に設定された場合でも、ゲインの帯域内偏差を低減できる。
【0032】
図4は、第1の実施形態において用いられるルックアップテーブルの例を示す図である。
図4(a)は、ルックアップテーブルの第1例である。
図4(b)は、ルックアップテーブルの第2例である。
図4(c)は、ルックアップテーブルの第3例である。ルックアップテーブルは、周波数特性制御部160に含まれるメモリ(不図示)に書き込まれてもよいし、周波数特性制御部160とは別体の構成として可変利得増幅器100のメモリ(不図示)に書き込まれてもよく、以下の各実施形態においても同様である。
【0033】
各ルックアップテーブルにおける容量値(C
1からC
5まで)は、実際の可変利得増幅器100の回路構成又は回路定数を基に行われたシミュレーション結果を用いて、周波数に対する帯域内偏差が小さくなる値として予め算出される。なお、周波数特性制御部160は、ルックアップテーブルを保持せずに、公知の計算式を用いて、ゲイン設定値に対応した容量値C
Sの値を、都度算出してもよい。
【0034】
また、容量値C
Sは
図4(a)に示すゲイン設定値に対応した値以外も、
図4(b)に示す温度を含めて予め算出されてもよく、後述の各実施形態でも同様である。温度は、例えば可変利得増幅器100の周囲温度を表す。
【0035】
更に、容量値C
Sは、ゲイン設定値及び温度を基に予め算出される値に限らず、例えば、可変利得増幅器100を含む装置のバッテリ電源電圧、又は送信機から送信される変調信号の変調方式(例えばQPSK)も含めて算出されてもよく、後述の各実施形態でも同様である。
【0036】
また、FBインピーダンス部120が複数のスイッチと複数の抵抗とを含む構成である場合には、可変利得増幅器100は、3つ以上のゲイン設定値(例えばG
1からG
5まで)を設定可能としてもよく、後述の各実施形態でも同様である。例えば
図4(c)では、全てのゲイン設定値に対応した容量値C
S(sは1,2,3,4,5)がシミュレーションによって予め算出されている。周波数特性制御部160は、ルックアップテーブルを参照して、3つ以上のゲイン設定値に対応した容量値C
Sを用いて可変容量135の容量値を変化させる。
【0037】
なお、可変容量135は、例えば直列接続された容量とスイッチとが複数、並列接続された構成である。
図5は、ソースインピーダンス部の可変容量の回路構成の一例を示す図である。なお、FBインピーダンス部120の抵抗121とスイッチ122とは、順序が逆に配置されてもよい。
【0038】
また、FBインピーダンス部120は、例えば、
図6(a)では、抵抗123を更に含む構成である。
図6(a)は、FBインピーダンス部120の変形例を示す図である。
図6(b)では、グランドに対する寄生容量(C
GN1,C
GN2)が、スイッチ122に生じている。FBインピーダンス部120の構成において抵抗123を、スイッチ122を介して抵抗121と対称的に設けることにより、寄生容量C
GN2の影響を緩和し、
図3に示す可変利得増幅器100のゲインの周波数特性を向上させ、ゲインの帯域内偏差の影響を低減できる。
【0039】
これは、抵抗123を追加しないと、寄生容量C
GN2がトランジスタ110のドレイン端子112に直接接続されることになり、周波数特性に対する影響が大きくなるためである。ここで、抵抗123を追加すると、トランジスタ110のドレイン端子112は、抵抗123を介して寄生容量C
GN2が接続され、周波数特性への影響が緩和される。
【0040】
なお、抵抗121の抵抗値を2分割した場合、抵抗121の抵抗値は半分になるため、トランジスタ110のゲート端子111と寄生容量C
GN1との間の抵抗値が半分になり、寄生容量C
GN1の周波数特性への影響は若干大きくなるが、寄生容量C
GN2の影響が小さくなる効果と比べて小さいため、可変利得増幅器100全体としては周波数特性が緩和される。
【0041】
図7は、第1の実施形態の可変利得増幅器100の具体的な回路構成を示す図である。
図7に示す可変利得増幅器100では、トランジスタ110がnチャネルのMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)である。
【0042】
また、本実施形態の可変利得増幅器100は、シングルエンド信号が入力される構成としたが、
図8における差動信号が入力される構成としても、同様の効果を得ることができる。
図8は、第1の実施形態の可変利得増幅器において、差動対となる2つのトランジスタ110p,110nを用いて構成した場合の具体的な回路構成を示す図である。
図8に示す可変利得増幅器100aでは、差動対となるトランジスタ110p,110nは同様にnチャネルのMOSFETである。
【0043】
図8に示す可変利得増幅器100aの構成について簡単に説明する。なお、
図8では、
図1又は
図7に示す構成と同様の構成には参照符号pを更に付して説明を簡略化又は省略し、参照符号nを更に付した構成について説明する。
【0044】
図8に示す可変利得増幅器100aは、トランジスタ110p,110n、FBインピーダンス部120p,120n、ソースインピーダンス部130p,130n、ドレインインピーダンス部140p,140n、ゲイン制御部150、周波数特性制御部160、入力端子170p,170n、出力端子180p,180n及び電源端子190p,190nを含む構成である。
【0045】
増幅素子としてのトランジスタ110nは、トランジスタ110pのゲート端子に入力される入力信号と差動対となる差動入力信号を入力して増幅し、出力端子180nに出力する。
【0046】
FBインピーダンス部120nは、抵抗121n及びスイッチ122nを含む構成であり、トランジスタ110nのゲート端子とドレイン端子との間に接続される。FBインピーダンス部120nにおいて、抵抗121nとスイッチ122nとは直列に接続されている。スイッチ122nのON及びOFFの変化により、トランジスタ110のゲート端子111とドレイン端子112と間のインピーダンスが変化する。
【0047】
ソースインピーダンス部130nは、抵抗131nと可変容量135nとを含む構成であり、トランジスタ110nのソース端子と基準電位(グランド)との間に接続される。ソースインピーダンス部130nにおいて、抵抗131nと可変容量135nとは並列に接続されている。可変容量135nの容量値が変化した場合、ソース端子とグランドとの間のインピーダンス、即ちソースインピーダンス部130nのインピーダンスの周波数特性が変化する。
【0048】
ドレインインピーダンス部140nは、抵抗141nを含む構成であり、トランジスタ110nのドレイン端子と電源端子190nとの間に接続される。
【0049】
ゲイン制御部150は、FBインピーダンス部120p,120nの各スイッチ122p,122nのON及びOFFを制御することにより、可変利得増幅器100aのゲインを所定値に設定する。ゲイン制御部150は、ゲイン設定値情報を含むゲイン制御信号を周波数特性制御部160に出力する。
【0050】
周波数特性制御部160は、ゲイン制御部150から出力されたゲイン制御信号を入力し、ゲイン制御信号に含まれるゲイン設定値情報を基に、ソースインピーダンス部130p,130nの各可変容量135p,135nの容量値を変化させる。可変利得増幅器100aにおいて、周波数特性制御部160の各可変容量135p,135nの容量値の制御方法は、
図1又は
図7に示す可変利得増幅器100と同様であるため、説明を省略する。
【0051】
図9は、差動対となる2つのトランジスタ110p,110nを用いて構成した変形例1の可変利得増幅器100bの回路構成を示す図である。
図9に示す可変利得増幅器100bでは、
図8に示す可変利得増幅器100aと同様の説明は省略し、異なる内容について説明する。
【0052】
可変利得増幅器100bでは、
図8に示す各ソースインピーダンス部130p,130nの代わりに、トランジスタ110p,110nの各ソース端子間にソースインピーダンス部130pnが接続され、トランジスタ110pのソース端子に電流源ISpが接続され、トランジスタ110nのソース端子に電流源ISnが接続されている。
【0053】
ソースインピーダンス部130pnは、抵抗131pn及び可変容量135pnを含む構成である。ソースインピーダンス部130pnにおいて、抵抗131pnと可変容量135pnとは並列に接続されている。
図8に示す抵抗131p、131nの各抵抗値の和が抵抗131pnの抵抗値となる場合に、
図8に示す各ソースインピーダンス部130p,130nと、
図9に示すソースインピーダンス部130pn及び電流源ISp,ISnとは等価回路となる。
【0054】
周波数特性制御部160は、ゲイン制御部150から出力されたゲイン制御信号を入力し、ゲイン制御信号に含まれるゲイン設定値情報を基に、ソースインピーダンス部130pnの可変容量135pnの容量値を変化させる。可変利得増幅器100bにおいて、周波数特性制御部160の可変容量135pnの容量値の制御方法は、
図8に示す可変利得増幅器100aと同様であるため、説明を省略する。
【0055】
図10は、差動対となる2つのトランジスタ110p,110nを用いて構成した変形例2の可変利得増幅器100cの回路構成を示す図である。
図10に示す可変利得増幅器100cでは、
図8に示す可変利得増幅器100a又は
図9に示す可変利得増幅器100bと同様の説明は省略し、異なる内容について説明する。
【0056】
可変利得増幅器100cでは、
図8に示す各ソースインピーダンス部130p,130nの代わりに、トランジスタ110p,110nの各ソース端子間に可変容量340pnが接続され、更にトランジスタ110pのソース端子に抵抗350pが接続され、トランジスタ110nのソース端子に抵抗350nが接続されている。抵抗350p,350n及び可変容量340pnは、可変利得増幅器100cにおけるソースインピーダンス部を形成する。
【0057】
図8に示す抵抗131p、131nの各抵抗値の和が各抵抗350p,350nの抵抗値となり且つ各抵抗350p,350nの各抵抗値が等しい場合に、
図8に示す各ソースインピーダンス部130p,130nと、
図10に示すソースインピーダンス部とは等価回路となる。
【0058】
周波数特性制御部160は、ゲイン制御部150から出力されたゲイン制御信号を入力し、ゲイン制御信号に含まれるゲイン設定値情報を基に、ソースインピーダンス部の可変容量340pnの容量値を変化させる。可変利得増幅器100cにおいて、周波数特性制御部160の可変容量340pnの容量値の制御方法は、
図8に示す可変利得増幅器100aと同様であるため、説明を省略する。
【0059】
なお、
図8〜
図10において、各トランジスタ110p,110nの各ドレイン端子と電源端子190p,190nとの間に接続されたドレインインピーダンス部も、ソースインピーダンス部と同様な構成としてもよい。
【0060】
以上により、第1の実施形態の可変利得増幅器100,100a〜100cは、高周波信号を用いる場合において、ゲイン設定のためのFBインピーダンス部のスイッチの寄生容量に起因して増加するゲインの帯域内偏差を低減できる。従って、可変利得増幅器100,100a〜100cは、出力信号における信号歪みを低減できる。
【0061】
また、ルックアップテーブルにおける容量値C
Sは、シミュレーションによって予め算出されなくてもよく、後述の各実施形態でも同様である。例えば、ルックアップテーブルにおける容量値C
Sは、可変利得増幅器100を含む装置の電源投入時、若しくは所定の一定時間間隔にて、装置内にて行われる信号のキャリブレーションの結果に応じて、随時書き換えられてもよい。
【0062】
例えば、装置の送信回路側には、キャリブレーション用のテスト信号を出力するテスト信号発生部(不図示)が設けられ、送信回路側から受信回路側に切り換えられてテスト信号が受信回路側に送り出される。可変利得増幅器100では、受信回路側に送り出されたテスト信号の信号レベルを用いて、信号をキャリブレーションし、キャリブレーション結果に応じた容量値C
Sを算出して、ルックアップテーブルに直接書き込めばよい。
【0063】
また、ソースインピーダンス部130の可変容量135の容量値C
Sは、可変利得増幅器100の帯域内偏差が最小となる値として算出されるが、例えば送信機全体、受信機全体、或いは送受信機全体としてゲインの周波数特性が最も良くなる値として算出されてもよく、後述の各実施形態でも同様である。具体的には、可変利得増幅器100が受信機に含まれる場合では、低雑音増幅器(LNA:Low Noise Amplifier)及びダウンコンバート用のミキサにおける各帯域内偏差も含め、受信機全体としての帯域内偏差が最小となる容量値C
Sが算出されてもよい。
【0064】
また、送信機又は受信機では、デジタル信号を取り扱う信号処理部においてゲインの帯域内偏差を微調整してもよい。可変利得増幅器100において用いられる容量値C
Sは、ゲインの帯域内偏差が必ずしも最小となるものではなく、可変利得増幅器100ではゲインの帯域内偏差が粗調整され、信号処理部においてゲインの帯域内偏差が微調整され、送信機又は受信機全体にてゲインの帯域内偏差が低減されてもよく、後述の各実施形態でも同様である。
【0065】
(第2の実施形態)
図11は、第2の実施形態の可変利得増幅器200の回路構成を示す図である。
図11に示す可変利得増幅器200は、
図1に示す可変利得増幅器100と比べて、FBインピーダンス部からスイッチ122が除かれている点と、ドレインインピーダンス部140にスイッチ142及び抵抗143が追加されている点とが異なる。
【0066】
図11に示す可変利得増幅器200の説明では、
図1に示す可変利得増幅器100と同様の内容の説明は同様の参照符号を付して簡略化又は省略し、異なる内容について説明する。
【0067】
FBインピーダンス部120は、抵抗121を含む構成であり、トランジスタ110のゲート端子111とドレイン端子112の間に接続される。
【0068】
ドレインインピーダンス部140は、抵抗141、スイッチ142及び抵抗143を含む構成であり、トランジスタ110のドレイン端子112と電源端子190との間に接続される。ドレインインピーダンス部140において、スイッチ142と抵抗143とは、直列に接続され、抵抗141とは並列に接続されている。スイッチ142のON及びOFFの変化により、トランジスタ110のドレイン端子112と電源端子190との間のインピーダンスが変化する。
【0069】
ゲイン制御部150は、ドレインインピーダンス部140のスイッチ142のON及びOFFを制御することにより、可変利得増幅器200のゲインを所望値に設定する。ゲイン制御部150は、ゲイン設定値情報を含むゲイン制御信号を周波数特性制御部160に出力する。
【0070】
周波数特性制御部160は、ゲイン制御部150から出力されたゲイン制御信号を入力し、ゲイン制御信号に含まれるゲイン設定値情報を基に、ソースインピーダンス部130の可変容量135の容量値を変化させる。
【0071】
第1の実施形態では、周波数特性制御部160は、ゲイン制御部150によるFBインピーダンス部120のスイッチ122のON及びOFFの変化に起因して増加するゲインの帯域内偏差を、ソースインピーダンス部130の可変容量135の容量値を変化させることにより、低減させる。
【0072】
本実施形態では、周波数特性制御部160は、ゲイン制御部150によるドレインインピーダンス部140のスイッチ142のON及びOFFの変化に起因して増加するゲインの帯域内偏差を、ソースインピーダンス部130の可変容量135の容量値を変化させることにより、低減させる。
【0073】
従って、周波数特性制御部160は、ゲイン制御部150が制御するスイッチを含むインピーダンス部のインピーダンスの変化に起因して増加するゲインの帯域内偏差を、ゲイン制御部150が制御するインピーダンス部とは異なるインピーダンス部の可変容量の容量値を変化させることによって、低減させる。
【0074】
周波数特性制御部160におけるソースインピーダンス部130の可変容量135の容量値の制御方法は、第1の実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0075】
以上により、第2の実施形態の可変利得増幅器200は、第1の実施形態の可変利得増幅器100と同様に、高周波信号を用いる場合において、ゲイン設定のためのドレインインピーダンス部のスイッチの寄生容量に起因して増加するゲインの帯域内偏差を低減できる。従って、可変利得増幅器200は、出力信号における信号歪みを低減できる。
【0076】
なお、
図11に示す抵抗121の抵抗値は無限大でもよい。即ち、抵抗121が存在せず、FBインピーダンス部120によってゲート端子111とドレイン端子112とが切り離されていても、本実施形態の可変利得増幅器200は、可変利得増幅器100と同様の効果を得ることができる。
【0077】
なお、可変利得増幅器200は、図面の複雑化を避けるために図示を省略するが、
図8〜10と同様に、差動信号が入力される構成としてもよく、後述の各実施形態でも同様である。
【0078】
(第3の実施形態)
図12は、第3の実施形態の可変利得増幅器300の回路構成を示す図である。
図12に示す可変利得増幅器300は、
図1に示す可変利得増幅器100と比べて、FBインピーダンス部120からスイッチ122が除去されて可変容量125が追加されている点と、ソースインピーダンス部130から可変容量135が除去されてスイッチ132及び抵抗133が追加されている点とが異なる。
【0079】
図12に示す可変利得増幅器300の説明では、
図1に示す可変利得増幅器100と同様の内容の説明は同様の参照符号を付して簡略化又は省略し、異なる内容について説明する。
【0080】
FBインピーダンス部120は、抵抗121及び可変容量125を含む構成であり、トランジスタ110のゲート端子111とドレイン端子112との間に接続される。FBインピーダンス部120において、抵抗121と可変容量125とは並列に接続されている。可変容量125の容量値が変化した場合、ゲート端子111とドレイン端子112との間のインピーダンスの周波数特性が変化する。
【0081】
ソースインピーダンス部130は、抵抗131、スイッチ132及び抵抗133を含む構成であり、トランジスタ110のソース端子113と基準電位(グランド)との間に接続される。ソースインピーダンス部130において、スイッチ132と抵抗133とは、直列に接続され、抵抗131とは並列に接続されている。スイッチ132のON及びOFFの変化により、トランジスタ110のソース端子113とグランドとの間のインピーダンスが変化する。
【0082】
ゲイン制御部150は、ソースインピーダンス部130のスイッチ132のON及びOFFを制御することにより、可変利得増幅器300のゲインを所望値に設定する。ゲイン制御部150は、ゲイン設定値情報を含むゲイン制御信号を周波数特性制御部160に出力する。
【0083】
周波数特性制御部160は、ゲイン制御部150から出力されたゲイン制御信号を入力し、ゲイン制御信号に含まれるゲイン設定値情報を基に、FBインピーダンス部120の可変容量125の容量値を変化させる。
【0084】
本実施形態では、周波数特性制御部160は、ゲイン制御部150によるソースインピーダンス部130のスイッチ132のON及びOFFの変化に起因して増加するゲインの帯域内偏差を、FBインピーダンス部120の可変容量125の容量値を変化させることにより、低減させる。
【0085】
従って、周波数特性制御部160は、ゲイン制御部150が制御するスイッチを含むインピーダンス部のインピーダンスの変化に起因して増加するゲインの帯域内偏差を、ゲイン制御部150が制御するインピーダンス部とは異なるインピーダンス部の可変容量の容量値を変化させることによって、低減させる。
【0086】
周波数特性制御部160におけるFBインピーダンス部120の可変容量125の容量値の制御方法は、第1の実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0087】
以上により、第3の実施形態の可変利得増幅器300は、第1の実施形態の可変利得増幅器100と同様に、高周波信号を用いる場合において、ゲイン設定のためのソースインピーダンス部のスイッチの寄生容量に起因して増加するゲインの帯域内偏差を低減できる。従って、可変利得増幅器300は、出力信号における信号歪みを低減できる。
【0088】
(第4の実施形態)
図13は、第4の実施形態の可変利得増幅器400の回路構成を示す図である。
図13に示す可変利得増幅器400は、
図1に示す可変利得増幅器100と比べて、FBインピーダンス部120からスイッチ122が除去されている点と、ソースインピーダンス部130から可変容量135が除去され、スイッチ132及び抵抗133が追加されている点と、ドレインインピーダンス部140に可変容量145が追加されている点が異なる。
【0089】
図13に示す可変利得増幅器400の説明では、
図1に示す可変利得増幅器100と同様の内容の説明は同様の参照符号を付して簡略化又は省略し、異なる内容について説明する。
【0090】
FBインピーダンス部120は、抵抗121を含む構成であり、トランジスタ110のゲート端子111とドレイン端子112との間に接続される。
【0091】
ソースインピーダンス部130は、抵抗131、スイッチ132及び抵抗133を含む構成であり、トランジスタ110のソース端子113と基準電位(グランド)との間に接続される。ソースインピーダンス部130において、スイッチ132と抵抗133とは、直列に接続され、抵抗131とは並列に接続されている。スイッチ132のON及びOFFの変化により、トランジスタ110のソース端子113とグランドとの間のインピーダンスが変化する。
【0092】
ドレインインピーダンス部140は、抵抗141及び可変容量145を含む構成であり、トランジスタ110のドレイン端子112と電源端子190との間に接続される。ドレインインピーダンス部140において、抵抗141と可変容量145とは並列に接続されている。可変容量145の容量値が変化した場合、ドレイン端子112と電源端子190との間のインピーダンスの周波数特性が変化する。
【0093】
ゲイン制御部150は、ソースインピーダンス部130のスイッチ132のON及びOFFを制御することにより、可変利得増幅器400のゲインを所望値に設定する。ゲイン制御部150は、ゲイン設定値情報を含むゲイン制御信号を周波数特性制御部160に出力する。
【0094】
周波数特性制御部160は、ゲイン制御部150から出力されたゲイン制御信号を入力し、ゲイン制御信号に含まれるゲイン設定値情報を基に、ドレインインピーダンス部140の可変容量145の容量値を変化させる。
【0095】
本実施形態では、周波数特性制御部160は、ゲイン制御部150によるソースインピーダンス部130のスイッチ132のON及びOFFの変化に起因して増加するゲインの帯域内偏差を、ドレインインピーダンス部140の可変容量145の容量値を変化させることにより、低減させる。
【0096】
従って、周波数特性制御部160は、ゲイン制御部150が制御するスイッチを含むインピーダンス部のインピーダンスの変化に起因して増加するゲインの帯域内偏差を、ゲイン制御部150が制御するインピーダンス部とは異なるインピーダンス部の可変容量の容量値を変化させることによって、低減させる。
【0097】
周波数特性制御部160におけるドレインインピーダンス部140の可変容量145の容量値の制御方法は、第1の実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0098】
以上により、第4の実施形態の可変利得増幅器400は、第1の実施形態の可変利得増幅器100と同様に、高周波信号を用いる場合において、ゲイン設定のためのソースインピーダンス部のスイッチの寄生容量に起因して増加するゲインの帯域内偏差を低減できる。従って、可変利得増幅器400は、出力信号における信号歪みを低減できる。
【0099】
なお、
図13に示す抵抗121の抵抗値は無限大でもよい。即ち、抵抗121が存在せず、FBインピーダンス部120によってゲート端子111とドレイン端子112とが切り離されていても、本実施形態の可変利得増幅器400は、可変利得増幅器100と同様の効果を得ることができる。
【0100】
(第5の実施形態)
図14は、第5の実施形態の可変利得増幅器500の回路構成を示す図である。
図14に示す可変利得増幅器500は、
図1に示す可変利得増幅器100と比べて、ソースインピーダンス部130にスイッチ132及び抵抗133が追加されている点と、ドレインインピーダンス部140に可変容量145が追加されている点とが異なる。
【0101】
図14に示す可変利得増幅器500の説明では、
図1に示す可変利得増幅器100と同様の内容の説明は同様の参照符号を付して簡略化又は省略し、異なる内容について説明する。
【0102】
FBインピーダンス部120は、抵抗121及びスイッチ122を含む構成であり、トランジスタ110のゲート端子111とドレイン端子112との間に接続される。FBインピーダンス部120において、抵抗121とスイッチ122とは直列に接続されている。スイッチ122のON及びOFFの変化により、トランジスタ110のゲート端子111とドレイン端子112との間のインピーダンスが変化する。
【0103】
ソースインピーダンス部130は、抵抗131、スイッチ132、抵抗133及び可変容量135を含む構成であり、トランジスタ110のソース端子113と基準電位(グランド)との間に接続される。ソースインピーダンス部130において、スイッチ132と抵抗133とは、直列に接続され、抵抗131とは並列に接続され、更に、可変容量135とも並列に接続されている。スイッチ132のON及びOFFの変化により、トランジスタ110のソース端子113とグランドとの間のインピーダンスが変化する。また、可変容量135の容量値が変化した場合、ソース端子113とグランドとの間のインピーダンスの周波数特性が変化する。
【0104】
ドレインインピーダンス部140は、抵抗141及び可変容量145を含む構成であり、トランジスタ110のドレイン端子112と電源端子190との間に接続される。ドレインインピーダンス部140において、抵抗141と可変容量145とは並列に接続されている。可変容量145の容量値が変化した場合、ドレイン端子112と電源端子190との間のインピーダンスの周波数特性が変化する。
【0105】
ゲイン制御部150は、FBインピーダンス部120のスイッチ122のON及びOFF、並びに、ソースインピーダンス部130のスイッチ132のON及びOFFを制御することにより、可変利得増幅器500のゲインを所望値に設定する。ゲイン制御部150は、ゲイン設定値情報を含むゲイン制御信号を周波数特性制御部160に出力する。
【0106】
周波数特性制御部160は、ゲイン制御部150から出力されたゲイン制御信号を入力し、ゲイン制御信号に含まれるゲイン設定値情報を基に、ソースインピーダンス部130の可変容量135、及びドレインインピーダンス部140の可変容量145の各容量値を変化させる。
【0107】
本実施形態では、周波数特性制御部160は、ゲイン制御部150によるソースインピーダンス部130のスイッチ132のON及びOFFの変化に起因して増加するゲインの帯域内偏差を、ドレインインピーダンス部140の可変容量145の容量値を変化させることにより、低減させる。
【0108】
更に、周波数特性制御部160は、ゲイン制御部150によるFBインピーダンス部120のスイッチ122のON及びOFFの変化に起因して増加するゲインの帯域内偏差を、ソースインピーダンス部130の可変容量135の容量値を変化させることにより、低減させる。
【0109】
従って、周波数特性制御部160は、ゲイン制御部150が制御するスイッチを含むインピーダンス部のインピーダンスの変化に起因して増加するゲインの帯域内偏差を、ゲイン制御部150が制御するインピーダンス部とは異なるインピーダンス部の可変容量の容量値を変化させることによって、低減させる。
【0110】
図15は、第5の実施形態において用いられるルックアップテーブルの例を示す図である。本実施形態では、ゲイン制御部150が設定するゲイン設定値(例えばG
1)に対応して、可変容量135は容量値C
S(例えばC
1)に設定され、可変容量145は容量値C
D(例えばC
5)に設定される。
【0111】
周波数特性制御部160におけるソースインピーダンス部130の可変容量135の容量値、及びドレインインピーダンス部140の可変容量145の容量値の制御方法は、第1の実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0112】
また
図14に示す可変利得増幅器500は、FBインピーダンス部120ではゲイン設定、ソースインピーダンス部130ではゲイン設定及び可変容量の変化によるゲインの周波数特性制御、ドレインインピーダンス部140では可変容量の変化によるゲインの周波数特性を制御する。しかし、本実施形態の可変利得増幅器500は、FBインピーダンス部120、ソースインピーダンス部130及びドレインインピーダンス部140に対し、次の4つのうちいずれかの役割を担わせてもよい。
【0113】
(1)ゲイン制御部150は、ゲインを設定しない。周波数特性制御部160は、可変容量の変化によるゲインの周波数特性を制御しない。
(2)ゲイン制御部150は、ゲインを設定する。周波数特性制御部160は、可変容量の変化によるゲインの周波数特性を制御しない。
(3)周波数特性制御部160は、可変容量の変化によるゲインの周波数特性を制御する。ゲイン制御部150は、ゲインを設定しない。
(4)ゲイン制御部150は、ゲインを設定する。周波数特性制御部160は、可変容量の変化によるゲインの周波数特性を制御する。
【0114】
但し、可変利得増幅器500は、FBインピーダンス部120、ソースインピーダンス部130及びドレインインピーダンス部140のうち、少なくとも1つのインピーダンス部においてゲインを設定し、少なくとも1つのインピーダンス部において可変容量の変化によるゲインの周波数特性を制御する。
【0115】
以上により、第5の実施形態の可変利得増幅器500は、第1の実施形態の可変利得増幅器100と同様に、高周波信号を用いる場合において、ゲイン設定のためのソースインピーダンス部及びFBインピーダンス部の各スイッチの寄生容量に起因して増加するゲインの帯域内偏差を低減できる。従って、可変利得増幅器500は、出力信号における信号歪みを低減できる。
【0116】
(第6の実施形態)
図16は、第6の実施形態の可変利得増幅器600の回路構成を示す図である。
図16に示す可変利得増幅器600は、
図1に示す可変利得増幅器100と比べて、トランジスタ210がトランジスタ110に縦続接続されている点が異なる。
【0117】
具体的には、可変利得増幅器600は、トランジスタ110,210、FBインピーダンス部120,220、ソースインピーダンス部130,230、ドレインインピーダンス部140,240、ゲイン制御部150、周波数特性制御部160、入力端子170、出力端子180,280及び電源端子190,290を含む構成である。
【0118】
増幅素子としてのトランジスタ210は、トランジスタ110からの出力信号が入力される制御端子としてのゲート端子211、直流電源に接続される電源側端子としてのドレイン端子212、基準電位(例えばグランド)に接続される基準側端子としてのソース端子213、及び出力端子214を含む構成である。
【0119】
トランジスタ110において増幅された信号は、出力端子114及び180を介して、トランジスタ210のゲート端子211とFBインピーダンス部220とに入力される。トランジスタ210は、ゲート端子211に入力された入力信号を増幅し、出力端子214から出力端子280に出力する。ドレイン端子212には、電源端子290及びドレインインピーダンス部240を介して、直流電圧が印加される。ソース端子213は、ソースインピーダンス部230を介して、接地される。
【0120】
FBインピーダンス部120は、抵抗121を含む構成であり、トランジスタ110のゲート端子111とドレイン端子112との間に接続される。
【0121】
FBインピーダンス部220は、抵抗221及びスイッチ222を含む構成であり、トランジスタ210のゲート端子211とドレイン端子212との間に接続される。FBインピーダンス部220において、抵抗221とスイッチ222とは直列に接続されている。スイッチ222のON及びOFFの変化により、トランジスタ210のゲート端子211とドレイン端子212との間のインピーダンスが変化する。
【0122】
ソースインピーダンス部130は、抵抗131、スイッチ132、抵抗133及び可変容量135を含む構成であり、トランジスタ110のソース端子113と基準電位(グランド)との間に接続される。ソースインピーダンス部130において、スイッチ132と抵抗133とは、直列に接続され、抵抗131とは並列に接続され、更に、可変容量135とも並列に接続されている。スイッチ132のON及びOFFの変化により、トランジスタ110のソース端子113とグランドとの間のインピーダンスが変化する。また、可変容量135の容量値が変化した場合、ソース端子113とグランドとの間のインピーダンスの周波数特性が変化する。
【0123】
ソースインピーダンス部230は、抵抗231を含む構成であり、トランジスタ210のソース端子213と基準電位(グランド)との間に接続される。
【0124】
ドレインインピーダンス部140は、抵抗141及び可変容量145を含む構成であり、トランジスタ110のドレイン端子112と電源端子190との間に接続される。ドレインインピーダンス部140において、抵抗141と可変容量145とは並列に接続される。可変容量145の容量値が変化した場合、ドレイン端子112と電源端子190との間のインピーダンスの周波数特性が変化する。
【0125】
ドレインインピーダンス部240は、抵抗241及び可変容量245を含む構成であり、トランジスタ210のドレイン端子212と電源端子290との間に接続される。ドレインインピーダンス部240において、抵抗241と可変容量245とは並列に接続される。可変容量245の容量値が変化した場合、ドレイン端子212と電源端子290との間のインピーダンスの周波数特性が変化する。
【0126】
ゲイン制御部150は、ソースインピーダンス部130のスイッチ132のON及びOFF、並びに、FBインピーダンス部220のスイッチ222のON及びOFFを制御することにより、可変利得増幅器600のゲインを所望値に設定する。ゲイン制御部150は、ゲイン設定値情報を含むゲイン制御信号を周波数特性制御部160に出力する。
【0127】
周波数特性制御部160は、ゲイン制御部150から出力されたゲイン制御信号を入力し、ゲイン制御信号に含まれるゲイン設定値情報を基に、ソースインピーダンス部130の可変容量135、ドレインインピーダンス部140の可変容量145及びドレインインピーダンス部240の可変容量245の各容量値を変化させる。
【0128】
本実施形態では、周波数特性制御部160は、ゲイン制御部150によるソースインピーダンス部130のスイッチ132のON及びOFFの変化に起因して増加するゲインの帯域内偏差を、ドレインインピーダンス部140,240の各可変容量145,245の各容量値を変化させることにより、低減させる。
【0129】
更に、周波数特性制御部160は、ゲイン制御部150によるFBインピーダンス部220のスイッチ222のON及びOFFの変化に起因して増加するゲインの帯域内偏差を、ソースインピーダンス部130の可変容量135の容量値を変化させることにより、低減させる。
【0130】
従って、周波数特性制御部160は、ゲイン制御部150が制御するスイッチを含むインピーダンス部のインピーダンスの変化に起因して増加するゲインの帯域内偏差を、ゲイン制御部150が制御するインピーダンス部とは異なるインピーダンス部の可変容量の容量値を変化させることによって、低減させる。
【0131】
図17は、第6の実施形態において用いられるルックアップテーブルの例を示す図である。本実施形態では、ゲイン制御部150が設定するゲイン設定値(例えばG
1)に対応して、可変容量135は容量値C
S1(例えばC
1)に設定され、可変容量145は容量値C
D1(例えばC
5)に設定され、可変容量245は容量値C
D2(例えばC
9)に設定される。
【0132】
周波数特性制御部160におけるソースインピーダンス部130の可変容量135の容量値、及びドレインインピーダンス部140,240の各可変容量145,245の各容量値の制御方法は、第1の実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0133】
また
図16に示す可変利得増幅器600は、FBインピーダンス部220ではゲインを設定し、ソースインピーダンス部130ではゲインを設定し、更に、可変容量の変化によるゲインの周波数特性を制御し、ドレインインピーダンス部140,240では可変容量の変化によるゲインの周波数特性を制御する。しかし、本実施形態の可変利得増幅器600は、FBインピーダンス部120,220、ソースインピーダンス部130,230及びドレインインピーダンス部140,240に対し、次の4つのうちいずれかの役割を担わせてもよい。
【0134】
(1)ゲイン制御部150は、ゲインを設定しない。周波数特性制御部160は、可変容量の変化によるゲインの周波数特性を制御しない。
(2)ゲイン制御部150は、ゲインを設定する。周波数特性制御部160は、可変容量の変化によるゲインの周波数特性を制御しない。
(3)周波数特性制御部160は、可変容量の変化によるゲインの周波数特性を制御する。ゲイン制御部150は、ゲインを設定しない。
(4)ゲイン制御部150は、ゲインを設定する。周波数特性制御部160は、可変容量の変化によるゲインの周波数特性を制御する。
【0135】
但し、可変利得増幅器600は、FBインピーダンス部120,220、ソースインピーダンス部130,230及びドレインインピーダンス部140,240のうち、少なくとも1つのインピーダンス部においてゲインを設定し、少なくとも1つのインピーダンス部において可変容量の変化によるゲインの周波数特性を制御する。
【0136】
以上により、第6の実施形態の可変利得増幅器600は、第1の実施形態の可変利得増幅器100と同様に、高周波信号を用いる場合において、ゲイン設定のためのソースインピーダンス部及びFBインピーダンス部の各スイッチの寄生容量に起因して増加するゲインの帯域内偏差を低減できる。従って、可変利得増幅器600は、出力信号における信号歪みを低減できる。
【0137】
以上、図面を参照しながら各種の実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。