特許第5809558号(P5809558)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5809558荷電粒子ビームからの直接エネルギー抽出のための回路
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5809558
(24)【登録日】2015年9月18日
(45)【発行日】2015年11月11日
(54)【発明の名称】荷電粒子ビームからの直接エネルギー抽出のための回路
(51)【国際特許分類】
   H05H 13/02 20060101AFI20151022BHJP
   G21B 1/11 20060101ALI20151022BHJP
【FI】
   H05H13/02
   G21B1/00 E
【請求項の数】14
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2011-516786(P2011-516786)
(86)(22)【出願日】2009年6月29日
(65)【公表番号】特表2011-527084(P2011-527084A)
(43)【公表日】2011年10月20日
(86)【国際出願番号】US2009049108
(87)【国際公開番号】WO2009158720
(87)【国際公開日】20091230
【審査請求日】2012年3月26日
【審判番号】不服2014-16195(P2014-16195/J1)
【審判請求日】2014年8月15日
(31)【優先権主張番号】61/076,535
(32)【優先日】2008年6月27日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506115514
【氏名又は名称】ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】スメドレー, キーユー
(72)【発明者】
【氏名】ウェッセル, フランク
(72)【発明者】
【氏名】グ, ミンイン
(72)【発明者】
【氏名】ヨン, イン ファー
【合議体】
【審判長】 川端 修
【審判官】 伊藤 昌哉
【審判官】 松川 直樹
(56)【参考文献】
【文献】 特表2004−522158(JP,A)
【文献】 特開2003−88190(JP,A)
【文献】 特開2006−141162(JP,A)
【文献】 特開昭52−129927(JP,A)
【文献】 特開昭54−25430(JP,A)
【文献】 特開昭59−86477(JP,A)
【文献】 特開2006−166618(JP,A)
【文献】 特開2008−54473(JP,A)
【文献】 特開2007−89381(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J3/00-5/00
H05H3/00-15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷電粒子ビームからエネルギーを抽出するためのエネルギー抽出回路であって、
電力網に結合可能な双方向変換器と、
多極逆サイクロトロン変換器と、インダクタと、該双方向変換器に電気的に結合された複数の回路スイッチとを備える共振変換器であって、該多極逆サイクロトロン変換器は、細長い環状の円筒形チャンバを形成する円弧状断面を有する2つ以上の細長いプレートを含み、軸方向に延在する細長い間隙が該2つ以上のプレート間に形成され、該2つ以上のプレートは、該インダクタと結合されたコンデンサとして機能し、該インダクタと結合された該コンデンサは、共振タンクを形成し、該複数の回路スイッチは、直流電圧をパルス波形に刻むブリッジを形成するように構成され、該多極逆サイクロトロン変換器は、該2つ以上のプレート電流が通過すると、該プレート間の該間隙にわたって多極電界を形成し、該多極電界は、該円筒形チャンバを通過する荷電粒子ビームの荷電粒子を減速することにより、該荷電粒子の運動エネルギーから電気エネルギーを抽出する、共振変換器と
を備える、回路。
【請求項2】
前記双方向変換器は、電力網交流電圧とインターフェースするように構成される、請求項1に記載の回路。
【請求項3】
前記双方向変換器は、双方向電力流および無効電力流を達成するように制御される、請求項2に記載の回路。
【請求項4】
前記共振変換器は、H−ブリッジまたはハーフブリッジ共振変換器によって構成される、請求項3に記載の回路。
【請求項5】
前記共振変換器は、共振電圧検知回路と、補償器と、変調生成器と、前記共振変換器へのインターフェースとを有するフィードバック制御ループによって調整される、請求項3に記載の回路。
【請求項6】
前記変調生成器は、パルス幅変調生成器である、請求項5に記載の回路。
【請求項7】
前記変調生成器は、位相シフト変調生成器である、請求項5に記載の回路。
【請求項8】
前記変調生成器は、前記共振変換器の共振電圧を調節する、請求項5に記載の回路。
【請求項9】
前記双方向変換器は、動作の起動モード中に交流/直流整流器として機能し、動作の生成モード中に直流/交流電力網接続型逆変換器として機能するように構成される、請求項1に記載の回路。
【請求項10】
前記双方向変換器は、統一力率、進み位相、または遅れ位相のうちの少なくとも1つにおいて動作するように構成される、請求項1に記載の回路。
【請求項11】
共振変換器と電力網接続型双方向変換器とを備えるシステムにおいて、該共振変換器を通過する荷電粒子ビームの荷電粒子からエネルギーを抽出するための方法であって、
電力網接続型双方向変換器に電気的に結合された共振変換器を備える該システムの該電力網接続型双方向変換器によって、公共電力網から電気エネルギーを受け取るステップであって、該共振変換器は、多極逆サイクロトロン変換器と、インダクタと、複数の回路スイッチとを備え、該多極逆サイクロトロン変換器は、細長い環状の円筒形チャンバを形成する円弧状断面を有する2つ以上の細長いプレートを含み、軸方向に延在する細長い間隙が該2つ以上のプレート間に形成され、該2つ以上のプレートは、該インダクタと結合されたコンデンサとして機能し、該インダクタと結合された該コンデンサは、共振タンクを形成し、該複数の回路スイッチは、直流電圧をパルス波形に刻むブリッジを形成するように構成され、該多極逆サイクロトロン変換器は、該2つ以上のプレート電流が通過すると、該プレート間の該間隙にわたって多極電界を形成し、該多極電界は、該円筒形チャンバを通過する荷電粒子ビームの荷電粒子を減速し、該変換された電気エネルギーは、該電力網接続型双方向変換器から受け取られる、ステップと、
該多極逆サイクロトロン変換器の共振を確立するステップと、
該2つ以上のプレートの該間隙にわたって多極電界を励起するステップと
を含む、方法。
【請求項12】
前記共振変換器内で荷電粒子ビームを受け取るステップと、
荷電粒子の運動エネルギーから電気エネルギーを抽出するように、該荷電粒子ビームの該荷電粒子を減速するステップと、
前記2つ以上の細長いプレートによって、該荷電粒子の減速から損失エネルギーをイメージ電流の形態で収集するステップと
をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記共振変換器を通してイメージ電流を流すステップと、
前記電力網接続型変換器を介してイメージ電流を前記公共電力網に戻るように流すステップと
をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記抽出された電気エネルギーを前記公共電力網に送り戻すステップをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、概して、電気回路に関し、より具体的には、制御された融合反応の結果として、荷電粒子からのエネルギーの抽出を促進し、要求に応じて、統一力率、進み力率、または遅れ力率でネルギーを電力網に送る電気回路に関する。
【背景技術】
【0002】
(背景情報)
制御された融合電力生成は、豊富かつクリーンなエネルギー源を可能にする。この主題に、米国および世界で著しい研究努力が注がれた。報告された手法は、一般的に、融合エネルギーを熱エネルギーに変換し、次いで電気エネルギーに変換することに基づく。
【0003】
参照することによって本明細書に組み込まれる、名称が「Controlled fusion in a field reversed configuration and direct energy conversion」の特許文献1(’106特許)に記載される代替の手法では、四重極逆サイクロトロン変換器(ICC)を使用して、荷電粒子を減速することによって、運動量の形態で荷電粒子ビームによって運ばれる制御された融合エネルギーを電気に直接変換することができる。したがって、より高いエネルギー変換が期待される。ICCからエネルギーを抽出し、それを公共電力網に注入する主要技術が必要とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第6611106号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、プラズマ粒子を減速し、減速作用からエネルギーを抽出し、プラズマエネルギーを電気エネルギーに直接変換し、電気を電力網に送るために使用されるパワーエレクトロニクス回路を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に記載される融合エネルギー抽出回路(FEEC)デバイスの例示的な実施形態は、FEECデバイスの多くの考えられる実現のうちのいくつかの実施例しか表さず、本記載の主題を限定することは決して意図されない。
【0007】
一実施形態では、FEECデバイスは、好ましくは、電力網接続型双方向変換器構成要素と、共振変換器構成要素とを備える。双方向変換器構成要素は、異なる目的のために、進み位相、遅れ位相、または統一力率電力網接続型変換器を実装することができる。
【0008】
共振変換器は、好ましくは、逆サイクロトロン変換器(ICC)と、インダクタと、直流電圧をパルス波形に刻むブリッジを形成する複数の回路スイッチとを備える。ICCは、好ましくは、共振タンクとしての役割を果たすように、インダクタと共にコンデンサとして機能する、2つ以上のプレートまたは四重極プレートを用いて構成される。プレートは、好ましくは、細長く、細長い環状の円筒形チャンバを形成する円弧状断面を伴い、軸方向に延在する細長い間隙がプレート間に形成される。
【0009】
FEECデバイスの起動中、エネルギーは、公共電力網から、電力網接続型双方向変換器構成要素を介して、共振変換器に流れる。これは、共振を確立し、プレート間の間隙にわたって形成される四重極電界を励起する。電力生成またはエネルギー抽出中、例えば、融合プロセスからの荷電粒子ビームの荷電粒子は、粒子ビームがICCを通って移動する際に、四重極電界によって減速される。また、電力生成中、損失エネルギーは、ICCの四重極プレートによって、イメージ電流の形態で収集される。次いで、イメージ電流は、共振変換器および電力網接続型双方向変換器構成要素を通って、公共電力網に流れる。
【0010】
電力網接続型変換器は、起動時間中に交流/直流整流器として機能し、電力生成中に直流/交流電力網接続型逆変換器として機能する。両方の場合において、電力網接続型変換器は、必要に応じて、有効電力および無効電力(VAR)を提供するように、統一力率、進み力率、または遅れ力率で動作する。
【0011】
電界励起およびエネルギー抽出を実現するために、共振変換器の共振周波数および電圧は、好ましくは、精密に制御される。この場合、周波数は、共振タンクの共振周波数のわずかに上に固定され、一方、電圧制御は、スイッチングパターン変調およびフィードバック調整によって達成することができる。2つの変調方法、位相シフト変調(PSM)およびパルス幅変調(PWM)が、電圧制御を提供することができる。フィードバック調整は、検知される共振電圧を基準と比較することによって達成され、一方、その誤差は、共振変換器内のスイッチの位相またはパルス幅を変調するために使用される。この変調によって、動作モードに従う自動双方向エネルギー流が保証される。
【0012】
FEECデバイスの代替の実施形態では、共振導体は、FEECデバイスの動作を最適化するように直列に接続された、複数のフェライトインダクタを実装することができる。直列に接続された共振インダクタは、単一の共振インダクタより優れた、いくつかの利点を有する。
【0013】
フィードバック調整は、検知される共振電圧を基準と比較することによって達成され、一方、その誤差は、共振変換器内の複数のスイッチの位相またはパルス幅を変調するために使用される。
【0014】
別の例示的な実施形態では、自動双方向電力流を促進するために、共振変換器のフィードバック制御ループを利用することができる。フィードバック制御ループは、共振電圧検知回路と、誤差補償器と、PWMまたはPSMパルス生成器とで構成される。
【0015】
本発明の他のシステム、方法、特徴、および利点は、以下の図面ならびに発明を実施するための形態を考察すると、当業者に明らかである、または明らかとなる。すべてのそのような追加のシステム、方法、特徴、および利点は、本記載内に含まれ、本発明の範囲内であり、かつ添付の特許請求の範囲によって保護されることが意図される。上述されるように、また、本発明は、例示的な実施形態の詳細に制限されないことも意図される。
本発明はさらに、例えば、以下を提供する。
(項目1)
エネルギー抽出回路であって、
電力網接続型双方向変換器と、
多極逆サイクロトロン変換器、インダクタおよび複数の回路スイッチを備える共振変換器であって、該多極逆サイクロトロン変換器は、細長い環状の円筒形チャンバを形成する円弧状断面を有する2つ以上の細長いプレートを含み、軸方向に延在する細長い間隙が該2つ以上のプレート間に形成され、該2つ以上のプレートは、該インダクタと共振するコンデンサとして機能し、該複数の回路スイッチは、直流電圧をパルス波形に刻むブリッジを形成するように構成される、共振変換器と
を備える、回路。
(項目2)
前記電力網接続型双方向変換器は、電力網交流電圧とインターフェースするように構成される、項目1に記載の回路。
(項目3)
前記電力網接続型双方向変換器は、双方向電力流および無効電力流を達成するように制御される、項目2に記載の回路。
(項目4)
前記共振変換器は、H−ブリッジまたはハーフブリッジ共振変換器によって構成される、項目3に記載の回路。
(項目5)
前記共振変換器は、共振電圧検知回路と、補償器と、変調生成器と、前記共振変換器へのインターフェースとを有するフィードバック制御ループによって調整される、項目3に記載の回路。
(項目6)
前記変調生成器は、パルス幅変調生成器である、項目5に記載の回路。
(項目7)
前記変調生成器は、位相シフト変調生成器である、項目5に記載の回路。
(項目8)
前記変調生成器は、前記共振変換器の共振電圧を調節する、項目5に記載の回路。
(項目9)
電力網接続型双方向変換器と、共振変換器とを備える、エネルギー抽出回路。
(項目10)
前記共振変換器は、四重極逆サイクロトロン変換器を備え、前記四重極プレートは、インダクタと共振するコンデンサとして機能するように構成される、項目9に記載の回路。
(項目11)
前記電力網接続型変換器は、動作の起動モード中に交流/直流整流器として機能し、動作の生成モード中に直流/交流電力網接続型逆変換器として機能するように構成される、項目10に記載の回路。
(項目12)
前記電力網接続型変換器は、統一力率、進み位相、または遅れ位相のうちの少なくとも1つにおいて動作するように構成される、項目11に記載の回路。
(項目13)
共振変換器と、電力網接続型双方向変換器とを備えるシステムにおいて、荷電粒子からエネルギーを抽出するための方法であって、
公共電力網から、共振変換器と電力網接続型双方向変換器とを備える該システムに、エネルギーを受容するステップであって、該共振変換器は、多極逆サイクロトロン変換器と、インダクタと、複数の回路スイッチとを備え、該多極逆サイクロトロン変換器は、細長い環状の円筒形チャンバを形成する円弧状断面を有する2つ以上の細長いプレートを含み、軸方向に延在する細長い間隙は、該2つ以上のプレート間に形成され、該2つ以上のプレートは、該インダクタと共振するコンデンサとして機能し、該複数の回路スイッチは、直流電圧をパルス波形に刻むブリッジを形成するように構成される、ステップと、
該多極逆サイクロトロン変換器の該共振を確立するステップと、
該2つ以上のプレートの該間隙にわたって多極電界を励起するステップと
を含む、方法。
(項目14)
前記共振変換器内で荷電粒子を受容するステップと、
該荷電粒子の運動エネルギーから電気エネルギーを抽出するように、該荷電粒子を減速するステップと、
前記2つ以上の細長いプレートによって、該荷電粒子の減速から損失エネルギーをイメージ電流の形態で収集するステップと
をさらに含む、項目13に記載の方法。
(項目15)
前記共振変換器を通してイメージ電流を流すステップと、
前記電力網接続型変換器を介してイメージ電流を前記公共電力網に戻るように流すステップと
をさらに含む、項目14に記載の方法。
(項目16)
前記抽出された電気エネルギーを前記公共電力網に送り戻すステップをさらに含む、項目14に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0016】
製造、構造、および動作を含む、本発明の詳細は、一部において、同様の参照番号が同様の部分を指す、添付図面を検討することによって、探り出され得る。図面中の構成要素は、必ずしも一定の縮尺ではなく、代わりに、本発明の原理の図示において強調されている。さらに、すべての図は、概念を伝えることが意図され、相対寸法、形状、および他の詳細な特性は、誇張なしに、または正確にというよりはむしろ、概略的に図示されている場合がある。
図1図1は、融合エネルギー抽出回路(FEEC)の概略図である。
図2図2は、同等のイメージ電流源を伴う、共振変換回路の概略図である。
図3図3は、並列共振タンクのボードプロットを示すグラフである。
図4図4は、パルス幅変調方法図を示すグラフである。
図5図5は、パルス幅変調生成の機構を示すグラフである。
図6図6は、位相シフト変調図を提供するグラフである。
図7図7は、位相シフト変調生成回路の概略図である。
図8図8は、融合エネルギー抽出回路のフィードバックループの概略図である。
図9図9は、共振電圧検知回路の概略図である。
図10図10は、粒子ビーム注入に応じた電力流の動的波形のシミュレーション結果を図示するグラフである。
図11図11は、コンデンサ(四重極プレートを模倣する)での共振電圧の実験結果を図示するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本明細書に記載されるシステムおよび方法は、直接融合エネルギー抽出を目的とする。
【0018】
図1は、融合エネルギー抽出回路(FEEC)デバイス100の好ましい実施形態を図示するブロック図である。FEECデバイス100は、電力網接続型双方向変換器構成要素110と、共振変換器120とで構成される。図1のFEECデバイス100の好ましい実施形態では、双方向変換器構成要素110は、三相電力網接続型変換器112を実装する。しかしながら、双方向変換器構成要素110は、異なる目的のために、異なる率の位相電力網接続型変換器を実装することができることが理解される。例えば、より低い電力用途に、単相電力網接続型変換器(図示せず)を実装することができる。
【0019】
FEECデバイス100の好ましい実施形態では、共振変換器120は、逆サイクロトロン変換器(ICC)122と、複数のスイッチS1〜S4とを備える。’106特許(参照することによって本明細書に組み込まれる)においてより詳細に記載されるICC122は、好ましくは、この場合、四重極構成で示される複数のプレート124によって構成される。ICC122の四重極プレート124は、コンデンサとして機能し、インダクタLと共に、以下でより詳細に記載される共振タンク130を形成する。プレート124は、好ましくは、細長く、細長い環状の円筒形チャンバを形成する円弧状断面を伴い、軸方向に延在する細長い間隙がプレート間に形成される。プレートに電流が印加されると、プレート間の間隙にわたって多極電界が形成される。
【0020】
デバイスの起動中、エネルギーは、共振変換器120の四重極電界の共振および励起を確立するために、公共電力網114から、電力網接続型双方向変換器構成要素110を介して、共振変換器120に流れる。電力生成/エネルギー抽出中、例えば、融合プロセス等からの荷電粒子ビームは、ICC122を通って移動し、ICC122のプレート124間の間隙にわたって形成される四重極電界によって減速される。また、生成/抽出中、四重極プレート122によって、損失エネルギーもイメージ電流iの形態で収集される。次いで、イメージ電流は、共振変換器120および電力網接続型双方向変換器構成要素110を通って電力網114に流れる。電力網接続型変換器110は、起動時間中に交流/直流整流器として機能し、生成時間中に直流/交流電力網接続型逆変換器として機能する。両方の場合において、電力網接続型変換器110は、必要に応じて、有効電力および無効電力(VAR)を提供するように、統一力率、進み力率、または遅れ力率で動作する。
【0021】
共振変換器120が電界励起およびエネルギー抽出を実現するために、共振周波数および電圧が精密に制御されることが好ましい。この場合、周波数は、ゼロ電圧ソフトスイッチングを確実なものにするために、共振タンク130の共振周波数のわずかに上に固定され、一方、電圧制御は、スイッチングパターン変調およびフィードバック調整によって達成することができる。2つの変調方法、位相シフト変調(PSM)およびパルス幅変調(PWM)を以下で考察する。両方とも、電圧制御の仕事を行うことができるが、しかしながら、PSM方法は、動的操作について、より広い動作範囲をもたらす。フィードバック調整は、検知される共振電圧を基準と比較することによって達成され、一方、その誤差は、共振変換器120内のスイッチS1〜S4の位相またはパルス幅を変調するために使用される。この変調によって、動作モードに従う自動双方向エネルギー流が保証される。
【0022】
図2は、共振変換器120の例示的な実施形態を図示する概略図であり、直流電圧vDCは、電力網接続型双方向変換器110によって提供される(また、図1では、vDCも図示されている)。ここで、共振変換器120は、複数のスイッチS1、S2、S3、およびS4を含む。スイッチS1、S2、S3、およびS4は、ABにわたって、直流電圧vDCを、電力網114の周波数より大幅に高いスイッチング周波数fsのパルス波形VABに刻む、ブリッジを形成する。コンデンサCは、ICC122の四重極プレート124を表す。上述されるように、コンデンサCおよびインダクタLは、共振タンク130を形成する。vABの基本波のみが共振タンク130を通過し、ここで、これは、H(s)の利得を得、四重極プレート122にわたって正弦波形vとして現れる。電流源は、荷電粒子が減速される時の補正イメージ電流を表し、抵抗器Rcは、荷電粒子からの熱損失および放射損失を表す。
【0023】
共振タンクの利得H(s)は、以下である。
【0024】
【数1】
したがって、振幅(電圧利得)は、以下である。
【0025】
【数2】
最大振幅周波数はωであり、この周波数において出力電圧は最大値を有する。
【0026】
【数3】
FEECデバイス100に対して、Rcは一般的に非常に大きく、したがって、以下である。
【0027】
【数4】
図3は、並列共振タンク130のボードプロットを図示する。最大利得は、共振周波数ω前後において現れる。共振回路の別の重要なパラメータは、次式のQ値Qであり、
【0028】
【数5】
式中、R0は、共振タンク130の特性インピーダンスである。
【0029】
【数6】
したがって、
【0030】
【数7】
である。
【0031】
式(7)から、より大きなRは、より高いQおよび共振を外れた電圧利得の変化のより急な傾斜をもたらすことが留意される。
【0032】
上述のように、共振変換器120の出力電圧制御は、スイッチングパターン変調およびフィードバック調整によって達成することができる。位相シフト変調(PSM)およびパルス幅変調(PWM)の両方は、電圧制御の仕事を行うことができる。
【0033】
パルス幅変調(PWM):PWMを用いて、2区間におけるスイッチS1、S2、S3、およびS4のパルス幅が調節される。結果として生じる電圧差は、階段形状であり、その基本波成分は、パルス幅によって調節可能である。
【0034】
図4は、図2に示されるすべてのスイッチS1、S2、S3、およびS4のトリガパルス波形を示す。スイッチS1およびS2のオン時間は、0〜50%で調節される。スイッチS4およびS3は、それぞれ、スイッチS1およびS2に対して相補的である。また、図4は、図2に図示される回路実施形態のノードA(v)およびB(V)での電圧パルス波形も図示する。
【0035】
ブリッジ電圧VAB図4に図示される)の基本波は、以下のように表される。
【0036】
【数8】
すべてのスイッチの適切なトリガ信号は、簡便かつよく使用される回路によって実現することができる。
【0037】
図5に図示されるように、位相シフトがT/2に等しい2つの鋸歯状波151および152は、同一の制御信号Vと比較される。デューティ比Dは、Vが鋸歯の振幅より大きいときの時間の部分に等しい。結果として生じる2つのパルスは、MOSFETスイッチSおよびSのそれぞれをトリガするために使用される。上述のように、スイッチS4およびS3は、それぞれ、スイッチSおよびSの相補信号によって駆動される。デューティ比Dは、0〜50%においてのみ変化できることが留意される。好ましい実施形態では、共振変換器120は、MOSFETスイッチS1〜S4を用いて構成される。共振変換器120は、同一の結果を達成し得る様々な回路スイッチを用いて構成できることが理解される。
【0038】
位相シフト変調(PSM):PSM方法では、共振変換器120の出力電圧は、2つの区間のスイッチへのトリガパルス間の位相差を調節することによって調整される。図6は、スイッチ網の一般的なPSM波形を図示し、図中、αは、区間Aと区間Bとの間の位相シフトである。スイッチのパルス幅は変化しないことに留意する。αが変化する際に、ブリッジ電圧vABのパルス幅が変化する。結果として、基本波成分が変化し、共振電圧vが調整される。ブリッジ電圧VABの基本波は、αの関数である。
【0039】
【数9】
位相シフトαは、VABの振幅を制御できることが明白である。
【0040】
図7は、vとvとの間の調節可能な位相シフトを実装することができる回路の例示的な一実施形態を図示する。多くの他の回路の実施形態が、同一の目的を達成できることが理解される。例えば、調節可能な位相シフトを実装するために、様々なデジタル回路を使用することができる。図7に図示されるように、鋸歯状波170は、2つの直流電圧−制御信号vおよび固定直流信号vfixと比較するための搬送波として使用される。鋸歯状波170が制御信号vと比較されると、比較は、位相シフト値をもたらす。鋸歯状波170が固定直流信号vfixと比較されると、比較は、制御回路内のすべてのデジタル構成要素のクロック信号をもたらす。鋸歯の周波数は、Dフリップフロップを通過した後に2で除算されるスイッチング周波数の2倍である。
【0041】
共振インダクタ実装:FEECデバイス100の代替の実施形態では、共振導体120は、FEECデバイス100の動作を最適化するように直列に接続された複数のフェライトインダクタを実装することができる。直列に接続された共振インダクタは、単一の共振インダクタより優れたいくつかの利点を有する。第1に、各直列に接続されたインダクタは、低コア損失かつ小さな磁束変化量の小型の高周波フェライトコアによって実現することができるため、電力損失を低減することができる。第2に、単層構造で各共振インダクタを作製し、層間の高電圧分離の必要性を排除することが可能である。さらに、また、層間の寄生容量および結合インダクタンスも排除される。これらの寄生容量および結合インダクタンスは、FEECデバイス100の共振回路120に深刻な影響を及ぼす可能性がある。第3に、単層構造は、内層を過熱することのない、効率的な冷却解決策を共振インダクタに提供することができる。最後に、直列に接続された共振インダクタは、高周波電力用途向けに市販される小型フェライトコアによって実装することができる。
【0042】
フィードバック制御ループ:上述されるように、共振変換器120の出力電圧制御は、スイッチングパターン変調およびフィードバック調整によって達成することができる。2つの変調方法が詳細に上記された。フィードバック調整は、検知される共振電圧を基準と比較することによって達成され、一方、その誤差は、共振変換器120内のスイッチS1〜S4の位相またはパルス幅を変調するために使用される。
【0043】
図8は、共振変換器120のフィードバック制御ループ180の例示的な実施形態を図示する。共振変換器120のフィードバック制御ループ180は、自動双方向電力流を促進するため、FEECデバイス100の不可欠な要素である。フィードバック制御ループ180は、共振電圧検知回路182と、誤差補償器184と、PWMまたはPSMパルス生成器186とで構成される。起動モード中、共振電圧vsは、初期はゼロである。共振電圧vのこのゼロ値は、大きな誤差および補償器184からの高出力をもたらし、次いで、PWMまたはPSMパルス生成器186は、共振電圧vを上昇させるために、それぞれ、高デューティ比または小さな位相シフトをもたらす。
【0044】
生成または抽出モード中、荷電粒子ビームは、ICC122を通って移動し、四重極プレート124間の間隙にわたって形成される四重極電界を通って回転する際に減速される。四重極プレート124で収集される損失エネルギーは、フィードバックループ180によって共振変換器120に流し込まれる。同様に、電力網接続型双方向変換器110のフィードバックループ180は、直流バス181で収集されるエネルギーを電力網に流し戻す。
【0045】
図9は、共振電圧検知回路182の例示的な実施形態を図示する。共振電圧検知電流の入力vは、共振電圧が光ダイオード電流を変調する、共振出力端子vに結合される。共振電圧検知電流の出力(「vフィードバック」)は、高電圧光学分離を用いて、PWMまたはPSMコントローラの誤差補償器に結合される。したがって、共振電圧の変化量を、フィードバック信号として制御ループ180に光学的に伝達することができる。
【0046】
この方法の利益には、低価格、高電圧分離、および簡単な実装が挙げられる。具体的に、高電圧(HV)分割抵抗器を伴う交流入力光結合器は、HV分割抵抗器が非常に高い抵抗を有するため、共振動作にわずかな影響しか与えない。
【0047】
シミュレーションおよび実験:図10は、様々な粒子強度のシミュレーション結果を図示する。図10に示されるシミュレーション結果によって、図1に図示されるFEEC変換器デバイス100を用いた、直接融合エネルギー抽出が実演される。イメージ電流源Iによってモデル化される、粒子ビーム注入濃度に対応する、起動時間中および生成時間中の平均直流リンク電流IDC値が図示される。図10では、荷電粒子が300μsでICC122に注入された。荷電粒子がICC122によって減速されるとき、融合エネルギーは、イメージ電流にほぼ比例する。このシミュレーションでは、熱損失および放射損失は、1MΩの抵抗器Rによってモデル化された。起動時間中、平均直流リンク電流IDC値は117.5mAであり、これは回路損失を表す。イメージ電流が注入された後に、IDC値は、融合エネルギー入力のために減少する。例えば、5W注入の場合である、3mAのイメージ電流が共振変換器120に注入されるとき、直流リンク電流IDC値は87.5mAに低下する。図10から、融合エネルギーが15Wと20Wとの間であるとき、平均直流リンク電流IDCは、ゼロ(臨界)に到達し、次いで負の値(電力生成)に低下することが予測される。
【0048】
提示されるFEECデバイス100は、ICC122の四重極プレート124にエネルギーを提供して、減速プロセスを開始することができる。四重極プレート124でイメージ電流が収集されるとき、エネルギーは、電力網接続型双方向変換器110を介して電力網に送り戻される。
【0049】
図11は、共振コンデンサC(図2に図示される)にわたって測定された、実験波形を図示する。この実験では、共振インダクタL値は約370μHであり、四重極プレートの模倣コンデンサ値Cは70pFである。熱損失および放射損失の推定抵抗器Rは2MΩであり、イメージ電流の周波数は1MHzであり、これは、共振変換器のスイッチング周波数と同一である。閉鎖ループ制御180を用いて、共振変換器の126Vの直流リンク電圧VDCは、図11に示される起動時間中、3kV、1MHzの共振電圧を生成することができる。
【0050】
本明細書に提供されるシステムおよび方法は、直接融合エネルギー抽出に関して、例示目的のみのために記載される。しかしながら、当業者は、荷電粒子の運動エネルギーを抽出するための本明細書に提供されるシステムおよび方法が、高電流イオン加速器におけるエネルギーの回収に使用することができることを容易に理解するであろう。当業者が周知であるように、高電流イオン加速器からの高電力イオンビームは、科学および工学における様々な商業研究設定ならびに学術研究設定で使用される。すべてのこれらの用途は、エネルギーを大量消費する。今日、エネルギーの大部分は、単に無駄にされている。本明細書に記載されるエネルギー抽出プロセスは、そのようなエネルギーを回収し、そのような設備のエネルギー消費を低減する手段を提供する。これを達成するために、標的領域を超えたビームラインの末端に、抽出設計が単に追加されてもよい。
【0051】
また、当業者は、本明細書に提供されるシステムおよび方法が、エネルギーを回収ならびに抽出するための他のシステムと組み合わせて使用することができることも容易に理解するであろう。参照することによって本明細書に組み込まれる、名称が「Plasma Electric Generation System」のPCT出願第PCT/US2006/008251号は、直接空間プラズマ推進を提供するために使用される、エネルギー生成器システムに言及する。当業者は、本明細書に記載されるエネルギー抽出プロセスが、推進が望ましくない時の融合エネルギーストリームからのエネルギー回収および抽出を促進することができることを容易に認識するであろう。
【0052】
また、当業者は、荷電粒子の運動エネルギーを抽出するためのプロセスが、中性粒子ビーム加速器の効率向上のために使用することができることも容易に理解するであろう。陽および/または陰イオン源からの高電力中性原子ビームは、診断に使用される、または様々な商業用装置もしくは学術用装置において、エネルギー原子源として使用される。すべてのこれらの用途においては、ビーム源は、極めて小さな電荷交換断面から生じる効率の制約によって特徴付けられる。純粋な中性原子ビームを達成するために、中性化セルを通過するすべての残留イオンは、偏向され、排除される。この廃棄エネルギーは、通常、プラグ電力の半分である。本明細書に記載される種類の抽出システムは、これらの「フィルタ処理された」イオンのエネルギーの大部分を回収することを助長することができる。
【0053】
上記の本明細書においては、本発明は、その具体的な実施形態を参照して説明されてきた。しかしながら、本発明の広義の趣旨および範囲から逸脱することなく、それに様々な修正および変更が行われてもよいことが明らかであろう。例えば、読者は、本明細書に記載されるプロセスフロー図に示されるプロセス行為の特定の順序および組み合わせが、そうではないと記述されていない限り、例示にすぎず、本発明は、異なる、もしくは追加のプロセス行為を使用して、またはプロセス行為の異なる組み合わせ、もしくは順序を使用して実施することができることを理解されたい。別の実施例として、一実施形態の各特徴は、他の実施形態に示される他の特徴と合わせるか、および合致させることができる。所望により、当業者に既知の特徴およびプロセスが、同様に組み込まれてもよい。さらに、かつ明らかに、特徴は、所望によって追加または除去されてもよい。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物を考慮する以外に限定されない。
図1
図2
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図4
図5
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図7
図8
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図10
図11