特許第5809559号(P5809559)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5809559
(24)【登録日】2015年9月18日
(45)【発行日】2015年11月11日
(54)【発明の名称】園芸栽培物を照明するための照明配置
(51)【国際特許分類】
   A01G 7/00 20060101AFI20151022BHJP
【FI】
   A01G7/00 601C
   A01G7/00 601Z
【請求項の数】11
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2011-517289(P2011-517289)
(86)(22)【出願日】2009年7月3日
(65)【公表番号】特表2011-527561(P2011-527561A)
(43)【公表日】2011年11月4日
(86)【国際出願番号】IB2009052893
(87)【国際公開番号】WO2010004489
(87)【国際公開日】20100114
【審査請求日】2012年6月29日
【審判番号】不服2014-17521(P2014-17521/J1)
【審判請求日】2014年9月3日
(31)【優先権主張番号】08160159.3
(32)【優先日】2008年7月11日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】ワウマンス,ラルス エル セー
(72)【発明者】
【氏名】ヤコブス,ヨーゼフ ハー アー エム
(72)【発明者】
【氏名】ファン エヒテルト,エステル エム
(72)【発明者】
【氏名】マリニュス,アントニユス アー エム
【合議体】
【審判長】 小野 忠悦
【審判官】 中田 誠
【審判官】 住田 秀弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−121033(JP,A)
【文献】 特開2004−221042(JP,A)
【文献】 特開2005−312384(JP,A)
【文献】 特開2006−254775(JP,A)
【文献】 特開平10−178899(JP,A)
【文献】 特開昭64−88350(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
園芸栽培物の照明のための照明装置であって:
光ビームを生じさせ、及び前記ビームの光学的性質を、制御シグナルに応じて制御するように設けられた、照明ユニット;
前記園芸栽培物を感知し、センサシグナルを生じさせる電磁波センサ;
前記センサシグナルを処理して前記制御シグナルを生成するように設けられた、制御ユニットを含み;
前記電磁波センサが、CCDカメラ、CMOSカメラ、デジタルカメラ及びレーダーセンサからなる群から選ばれ、さらに、前記センサが、園芸栽培物の3Dイメージを作成し、3Dイメージが前記センサシグナルとして用いられ、
前記照明ユニットが、複数の異なるスペクトルを持つ、それぞれの複数のLED光源を含み;
前記光ビームが、変更可能なビームスペクトルを有する光からなり、
前記照明ユニットが、前記光ビームのビームスペクトルを前記制御シグナルに応じて制御するように設けられ、
前記制御シグナルはスペクトル制御シグナルを含み、
前記照明ユニットがさらに、前記スペクトル制御シグナルに応じて、決められた園芸栽培物の種類に応じて、あらかじめ決められたビームスペクトルを与えるように設けられ、
前記制御ユニットがさらに、前記センサシグナルから園芸栽培物の複数のあらかじめ決められた種類のひとつを決定し、前記スペクトル制御シグナルを生成するように設けられ、
前記照明装置が、灌漑水センサ及び/又は肥料センサである環境センサをさらに含み;
前記環境センサが、環境センサシグナルを生成するように設けられ、及び
前記制御ユニットがさらに、前記環境センサシグナルを処理して前記制御シグナルを生成するように設けられる、照明装置。
【請求項2】
前記光学的性質が光ビームの形状を含み、
前記照明ユニットがビーム形状制御シグナルに応じて前記光ビームの形状を制御するように設けられたビーム制御装置をさらに含み、及び
前記制御ユニットが、園芸栽培物の位置を、前記センサーシグナルから決定して、前記ビーム形状制御シグナルを生成する、請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記制御ユニット及び前記ビーム制御装置が、前記光ビームを制御して、実質的に園芸栽培物のみを照明する、請求項2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記ビーム制御装置が、調整可能な機械的光学ビーム形状システムを含む、請求項2又は3のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項5】
前記ビーム制御装置が、エレクトロウエッティングレンズ(electrowetting lens)、液晶レンズ、制御可能拡散要素、制御可能回折要素、屈折要素及び反射要素からなる群から選ばれる、前記光ビームの形状を制御する、1又は2以上の光学要素を含む、
請求項2から4のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項6】
前記光ビームが、複数の独立した光ビームを含み、前記照明ユニットが、前記制御シグナルに応じて前記独立した光ビームの光学的性質を制御するように設けられる、請求項1から5のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項7】
前記ビーム制御装置が、複数のビーム制御装置を含み、前記ビーム制御装置は、前記制御シグナルに応じて、独立した光ビームのそれぞれの光学的性質を制御するように設けられる、請求項6に記載の照明装置。
【請求項8】
前記光学的性質が、光ビームの形状を含み、前記制御シグナルがビーム形状制御シグナルを含み、前記照明ユニットが、前記ビーム形状制御シグナルに応じて光ビームの形状を制御するように設けられ、及び前記制御ユニットが、前記センサシグナルから前記園芸栽培物の位置を決定して、前記ビーム形状制御シグナルを生成するように設けられる、請求項1から7のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項9】
RFIDセンサからなる群から選択される特定情報センサをさらに含み、
前記特定情報センサが、特定の情報センサシグナルを生成するように設けられ、且つ、
前記制御ユニットが、前記特定情報センサシグナルを処理して前記制御シグナルを生成するようにさらに設けられる、請求項1から8のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項10】
前記電磁波センサが、IRイメージセンサ及び可視光イメージセンサからなる群から選択されるセンサを含む、請求項1から9のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項11】
前記電磁波センサが、レーダーセンサを含む、請求項1から10のいずれか1項に記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、園芸栽培物を照明するための照明配置に関する。本発明はさらに、園芸栽培物を照明するための照明配置を有する、園芸栽培物を照明するための、温室のような環境制御室に関する。
【背景技術】
【0002】
園芸栽培物の人工照明はこの技術分野ではよく知られており、太陽光に代えて、又は太陽光に加えて用いられることができる。植物の分野における研究は、特に、光エネルギを化学的に変換して駆動する植物のプロセスにつき進められてきた。同時に、電気を特定の波長に変換する新たな方法についての研究は、技術者を、植物の成長を促進する人工照明を作り出す試みに導いてきた。例えば、エネルギ的に非効率的な「白色光」光源を変更して、植物の成長及び健康を促進させることが知られている波長の光をより多く生成するようにできる。この強められた「植物成長光」の大部分の光は植物には十分には利用できるものではなかったが、このハイブリッド技術はこの40年間市場において主流であった。
【0003】
US特許6921182には、12個の660nm赤色LED、6個の612nmオレンジ色LED及び1個の470nm青色LEDの比が最適であることが見いだされた。記載された好ましい円形ランプは、2組のこれらの最適LEDを持つものであり、24個の660nm赤色LED、12個の612nmオレンジ色LED及び2個の470nm青色LEDからなる装置となる。又、US6921182には、波長混合を強調するための両方のタイプのLEDを含む、混合LEDの連続体が記載されている。
15度及び30度の2つのビーム広がり角を持ち、且つ660nm及び612nmの両方を同じ比で有するLEDが用いられた。LED光は、成熟綿植物の葉の垂直方向に向けられた場合、葉の下に設けられた量子光センサには、30度LEDでは10%の光透過が、15度では80%の光透過が記録されることが見出された。さらに、光化学反応で主に使用されるオレンジ/赤スペクトルの50%程度が、上にある葉の重なりを通過して下の葉の光化学に利用されることが見出された。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術の照明の不利益は、光源を、園芸栽培物の長期に亘る変化と成長に合わせることが相対的に難しいということである。温室の床をカバーする全葉面積は植物が成長するにつれ変化する。現在温室照明においては、多くの光が、植物の葉には向けられていない。特に植物が小さい場合ではそうである。例えばビーム形状(例えばビーム角)が葉の面積によって変更され得るならば、照明システムはより効果的となるであろう。ゆえに時に応じて、園芸栽培物及び光源が、効率的に園芸栽培物を照明するように適合させられる。
【0005】
現在のシステムでは、例えば放電ランプを用いる場合、温室内で、光源からの非最適化されたビームと反射によって多くの光汚染が起こる可能性がある。このことは、低光子使用率による高いエネルギコストによる不利益となり得る。光はグリーンスイッチプルーフ(green-switch-proof)ではなく(エネルギが浪費される)、光汚染のために、夜間の温室領域の見栄えを悪くする。そして光汚染は植物及び人間のバイオリズムに悪影響を与える。それゆえに、効率的な照明が好ましい。
【0006】
さらに、温室内の植物は、場合により、より収穫がしやすくより効率的になるように移動される。余分な照明は従来システムでは簡単には避けられないものである。
【0007】
さらに、従来の照明システムは、スペクトルを(長時間に亘って)、特定の園芸栽培物の要求に合わせて、又は異なる種類の園芸栽培物の要求に合わせて、変更することは容易ではない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、光源として例えばLEDを用いた照明配置を記載する。これらのLEDは、照明ユニットに設けられる。照明ユニットは特に、光源(ここではLED)からの実質的に全ての光を園芸栽培物(温室内の)に向けることができる。加えるに、さらに園芸栽培物認識システムを照明配置に備えることができる。それにより、そのシステムは、園芸栽培物の位置(成長の場合、移動の場合等)に、例えばビームを適合させることができる。
【0009】
それゆえに、本発明の一側面として、上で説明した1又は2以上の欠点の好ましくは少なくとも一部を克服する、他の照明配置を提供するものである。また、本発明の一側面として、上で説明した1又は2以上の欠点の好ましくは少なくとも一部を克服する、例えば温室のような、他の環境制御室を提供するものである。
【0010】
従って、一つの実施態様において、本発明は、園芸栽培物の照明配置である。
【0011】
前記センサは、特に前記園芸栽培物を感知(又はモニタ)するように設けられ、前記制御ユニットは、前記センサの前記センサシグナルから情報を取り出し、前記照明ユニットを制御して、前記制御ユニットにより生成された前記制御シグナルに応じて、前記光ビームの光学的性質を制御し、それにより前記照明ユニットが園芸栽培物に照明を与える。前記センサ、前記制御ユニット及び前記光ビームの制御可能な光学的性質の結果として、前記光ビームを、ビームスペクトル、ビーム形状及びビームフラックスのような望ましい光学的性質に適合させることができる。特に、前記センサシグナルと、場合により他のシグナル(温度センサからのシグナルのような)と、ビームの光学的性質との、あらかじめ決められた関連性に基づいて、ビームの光学的性質が制御される。用語「光学的性質」には、一以上の光学的性質をも意味する。
【0012】
それゆえ、ひとつの実施態様において、前記制御ユニットは、前記センサシグナルが、園芸栽培物種類、園芸栽培物サイズ、園芸栽培物の成長速度、園芸栽培物位置及び園芸栽培物外見(例えば、一以上の園芸栽培物の色、園芸栽培物の果実含量、園芸栽培物果実濃度)からなる群から選択される、一以上の特質を前記センサシグナルから決定し(導いて)、且つ、光ビームの一以上の光学的性質、特に、ビームフラックス(ここでは「フラックス」とする)、ビーム形状(ここでは「形状」とする)及びビームスペクトル(ここでは「スペクトル」とする)からなる群から選ばれる、光ビームの光学的性質の方法により、園芸栽培物の成長に影響させるように前記対応する制御シグナルを計算(「処理」)して、前記制シグナルを生成するように、処理させるように設けられる。
【0013】
それゆえ、一つの実施態様においては、前記制御ユニットは、前記センサシグナルを、特に、ビームフラックス、ビーム形状及びビームスペクトルからなる群から選択される、前記光ビームの光一以上の光学的性質と、(a)前記センサシグナルから導かれる一以上の園芸栽培物特質及び(b)場合により一以上の時間シグナル、環境センサシグナル及び情報センサシグナルとの間の、あらかじめ決められた関係に応じて、前記制御シグナルを生成するように処理するように設けられる。
【0014】
前記センサシグナルから導かれる一以上の特質は、園芸栽培物種類、園芸栽培物成長速度、園芸栽培物位置及び園芸栽培物外見(例えば、一以上の園芸栽培物の色、園芸栽培物果実含量及び園芸栽培物果実濃度等)からなる群から選択されることができる。時間シグナル、環境センサシグナル及び情報センサシグナルは、電磁波センサ以外のセンサ、すなわち、環境センサシグナル及び特定の情報センサシグナルのそれぞれで生成されてもよい。時間シグナルは又制御ユニット自体で生成されてもよい。
【0015】
ビーム形状を制御するための照明ユニットにアドレス指定する制御シグナルは、ここでは又、ビーム形状制御シグナルとして表してもよい。ビームスペクトルを制御するための照明ユニットにアドレス指定する制御シグナルは、ここでは又、ビームスペクトル制御シグナルとして表してもよい。ビームフラックスを制御するための照明ユニットにアドレスする制御シグナルは、ここでは又、ビームフラックス制御シグナルとして表してもよい。これらの制御ユニットシグナルは、一以上のこれらの性質を制御するために使用されることができる。
【0016】
上で指摘したように、一つの特定の実施態様では、光学的性質は光ビームの形状を含む。特に制御ユニットとビーム制御装置は、実質的に園芸栽培物のみ照明するように光のビームを制御するように設けられる。この方法で、園芸栽培物の照明が最適化される。一方で、余分な光は実質的に最小化される。そして外見の変化(例えば成長)及び/又は移動(照明配置に沿って運搬されることを含む)の変化を考慮することができる。さらに、園芸栽培物の成長の関数として全葉の面積の変化が、成長の間に照明される手段により効率的に制御され得る。というのは、照明配置が、園芸栽培物の成長と及び/又は消費要求により、時間に応じてビーム形状及び/又はビームフラックスを調整することができるからである。
【0017】
ひとつの実施態様において、ビーム制御装置は、エレクトロウエッティングレンズ(electrowetting lens)、液晶レンズ、制御可能拡散要素、制御可能回折要素、屈折要素及び反射要素からなる群から選択される一以上の、光ビームの形状を制御する光学要素を含むことができる。そのようなビーム制御装置は、この技術分野では知られており、WO2007/007220及びWO2007/007235に記載されている。これらは本明細書に参照として取り込まれる。
【0018】
他の実施態様において、ビーム制御装置は、調整可能な機械的光学ビーム形状化システムを含むことができる。例えば回転(又は回転可能な)コリメータである。「ビーム制御装置」とは又、複数のビーム制御装置を意味してもよい。ゆえに照明ユニットは、一以上の上で説明したビーム制御装置を含むことができる。ひとつの実施態様においては特にこれらを連続して配置することが可能である。
【0019】
例えば成長の観点、昼夜サイクル強要の観点から、光のフラックスの制御が望まれる。ゆえに、さらなる実施態様において(昼夜サイクルを提供するために使用され得る)、光学的性質は光ビームのフラックスを含み、制御シグナルはビームフラックス制御シグナルを含み、且つ照明ユニットはさらに、光ビームのフラックスをビームフラックス制御シグナルに応じて制御するように設けられ、及び制御ユニットは、センサシグナルを、ビームフラックス制御シグナルを生成するように処理するように設けられる。ゆえにひとつの実施態様において、制御ユニットと照明ユニットとは、あらかじめ決められた明暗サイクルを与えるように設けられる。又、園芸栽培物の要求又は消費者要求の観点から、ビームフラックスは時間により変更され得る。例えばセンサシグナルから導かれる情報が、園芸栽培物の成長が遅すぎるというものである場合、フラックスは増加されることができる。
【0020】
一つの実施態様において、前記照明ユニットは、複数の光源を含む。例えば複数のLEDとして、2-1000LED、4-100LED、特に4-25LEDのようなものである。
用語「LED」は、OLED及び固体LEDを意味するが、特にLEDの後者のタイプを意味する。照明ユニットが、複数の光源を含む場合、2以上の光源は、同じか又は異なるビームスペクトルを有していてよく(即ち個々の光源の発光波長範囲である)、例えばRBGLEDである。
【0021】
ゆえに、一つの実施態様において、照明ユニットは、それぞれ複数の異なるスペクトルを有する複数の光源を含む。2以上の異なる波長の光を生じる複数の光源(LEDのような)を用いることで、例えばセンサシグナルに依存する光ビームスペクトル(即ち、光ビームの波長範囲)に適合させることが可能である。複数の光源を用いる利点は、光源が個々に制御ユニットによりアドレス指定され、それにより、さらに、ビーム形状、ビームフラックス及び場合によりビームスペクトル制御が適合されるようにできるということである。
【0022】
さらに一つの実施態様において、光ビームは、種々のビームスペクトルを有し、照明ユニットが、制御シグナルに応じて光ビームのビームスペクトルを制御するように設けられる。そのような照明配置は、異なるスペクトル(上で説明した)を有する複数の光源を用いることで可能である。又は、その代わりに又はそれに加えて、カラーフィルタを用いることで可能である。時間に応じて異なるスペクトルを適用することは、園芸栽培物成長の要求に最適に合わせるために使用されることができる。しかし、スペクトルの変更可能性はまた、照明下で園芸栽培物についてのスペクトルの最適化に使用することもできる。
【0023】
ゆえに一つのさらなる実施態様において、制御シグナルはスペクトル制御シグナルを含み、照明ユニットが、さらに、スペクトル制御シグナルに応じて、決定された園芸栽培物の種類に対応してあらかじめ決められたビームスペクトルを与えるように設けられ、且つ制御ユニットが、さらに、センサシグナルから園芸栽培物のあらかじめ決められた複数の種類の一つを決定し、スペクトル制御シグナルを生成するように設けられる。制御ユニットは、園芸栽培物のあらかじめ決められた種類のライブラリを、少なくともひとつ、しかし好ましくは2以上、例えば5つの種類のライブラリを持つことができる。制御ユニットは、センサシグナルから園芸栽培物の種類を導き、制御ユニットはその後、制御ユニット(のソフトウエア)でプログラムされたあらかじめ決められた関係に基づき、特定のビームスペクトルを選択し、対応する制御シグナルを照明ユニットに与える。よって、照明配置は、ビームスペクトルを園芸栽培物の種類に適合させることができる。それゆえ、スペクトル制御シグナルは又「園芸栽培物種類定義ビームスペクトルシグナル」として表されてもよい。
【0024】
制御され得る光ビームの光学的性質は、ビームフラックス、ビーム形状及びビームスペクトルからなる群から特に選ばれる。さらには特に、光ビームの光学的性質は、ビーム形状であり及び場合により、ビームフラックス及びビームスペクトルからなる一以上である。
【0025】
本発明の照明配置の光ビームは、ひとつの実施態様として、複数の個々の光ビームを含むことができ、照明ユニットがさらに、制御シグナルに応じて個々の光ビームの光学的性質を制御するように設けられる。制御シグナルに応じて個々の光ビームの光学的性質を制御することは、以下の一以上により達成できる。すなわち、(a)個々の光ビームが、個々の光源からくる実施態様において、個々の光源にアドレス指定すること、(b)個々の光源について個々のカラーフィルタにアドレス指定すること、及び(c)個々の光ビームの光学的性質が、個々のアドレス指定可能なビーム制御装置により制御される実施態様において、個々のビーム制御装置にアドレス指定することである。注意すべきは、複数のビーム制御装置の存在は、複数の光源を含むことを必ずしも必要としないことである。さらに注意すべきは、複数の個々の光ビームが、一以上の複数の光源、複数のビーム制御装置(単一光源を制御するか、又は複数のビーム光源を制御する)、及びルーバー構造(又は対応する構造)により、生成されてもよいことである。
【0026】
ゆえに、ひとつの特定の実施態様において、ビーム制御装置は、複数のビーム制御装置を含み、ビーム制御装置は、個々の光ビームの光学的性質(特にビーム形状及び/又はビームフラックス)を、制御シグナルに応じて制御するように設けられる。単一ビームがなお光の最適ではない使用をもたらすものである一方、複数の個々の制御可能な光ビームは、さらに光の使用を最適化することができ、且つ照明下の特定の園芸栽培物へ光ビームを形状化することを可能とする。個々の光ビームのビームフラックス及び/又はビーム形状を制御することにより、光ビーム(個々の光ビームからなる)のビーム形状((及び場合によりビームフラックスも)が制御ユニットにより制御されることができる。
【0027】
ひとつの実施態様において、光学的性質は光ビームの形状を含み、制御シグナルはビーム形状制御シグナルを含み、照明ユニットが、光ビームの形状をビーム形状制御シグナルに応じて制御するように設けられ、且つ制御ユニットが、センサシグナルから園芸栽培物の位置を決定してビーム形状シグナルを生成するように設けられる。用語「位置」は、点又は空間でのある拡がりを意味する。ゆえに、用語「位置」は、園芸栽培物の特定の(一時的な)位置を意味するが、用語「位置」は又、園芸栽培物により占められるすべての数の点をも意味する、即ちその拡がり(ある瞬間の時間での)である。
照明配置は、実施態様において、さらに、湿度センサ、灌漑水センサ、温度センサ、ガスセンサ、肥料センサ及び背景光センサからなる群から特に選ばれる環境センサを含むことができる。環境センサは、環境センサシグナルを生成するように設けられ、制御ユニットがさらに、環境センサシグナルを処理して制御シグナルを生成するように設けられる。例えば、園芸栽培物の周りの環境の湿度についての情報、供給されている及び/又は受け取られている灌漑水の情報、園芸栽培物の周りの温度の情報、ガス濃度又はガスのタイプ(CO濃度のような)、園芸栽培物に与えられる肥料の量及び背景光の量についての情報が、フラックス、スペクトル及び形状のような光ビームの光学的性質を調整するために制御ユニットで使用されることができる。それにより制御ユニットは、照明ユニットを園芸栽培物を最適に照明するように制御することができる。
【0028】
場合によっては、制御ユニットは又、湿度、灌漑水、温度、ガス雰囲気、肥料及び背景光からなる群から特に選択される環境パラメータのような、一以上の環境パラメータを、特にセンサシグナルから導かれる情報と、一以上の環境パラメータとのあらかじめ決められた関係の関数として制御するように設けられてもよい。
【0029】
他の実施態様において、照明配置はさらに、RFIDセンサからなる群から選ばれる特定情報センサを含む。ここで、特定情報センサは、特定情報センサシグナルを生成するように設けられ、制御ユニットが、さらに特定情報センサシグナルを処理して制御シグナルを生成させるように設けられる。例えば、園芸栽培物は、望ましい配達日、園芸栽培物種類、望ましい園芸栽培物サイズ、望ましい園芸栽培物熟度等からなる群から選択される特定情報を有するRFIDチップでラベル化され得る。RFIDセンサ又は他の特定情報センサは、(RFIDチップ)特定情報を受け取り、特定情報センサシグナルと制御ユニットを一組にする。これにより制御ユニットは、この特定情報を用いて、フラックス、スペクトル及び形状のようなビームの光学的性質を調整するために使用するように設けられることができる。これにより制御ユニットは、照明ユニットを制御して、園芸栽培物を最適に照明することができる。
【0030】
ゆえに、導かれ得る情報(園芸栽培物特性を含む)は、(a)センサシグナルから導かれ得る情報であって、一以上の、園芸栽培物種類、園芸栽培物成長速度、園芸栽培物位置、園芸栽培物外見シグナル(一以上の園芸栽培物の色、園芸栽培物果実量、園芸栽培物果実濃度のような)からなる群から選択されるものである。また場合により、(b)環境センサ及び特定情報から導かれる情報であって、一以上の、環境情報及び特定情報(一以上の、望ましい配達日、園芸栽培物種類、望ましい園芸栽培物の熟度)である。
【0031】
電磁波センサは、IRイメージセンサ及び可視光イメージセンサからなる群から選択されるセンサを含むことができる。そのようなセンサには、園芸栽培物の(3D)イメージを生成することができる。(3D)イメージは、制御ユニットから望ましい情報を導くためのセンサシグナルとして用いることができる。そのセンサは、例えばCCDカメラ、CMOSカメラ又は他のデジタルカメラから選択されることができる。そのようなセンサは、IR光及び/又は可視光を測定するように設けられてもよい。
【0032】
又、前記電磁波センサがレーダセンサであり、レーダ波の助けにより(3D)イメージを与えるように設けられる。それゆえ、他の実施態様において、電磁波はレーダーセンサを含む。用語「センサ」は、複数のセンサ、すなわち2以上のセンサと関連させてもよい。さらに、用語「複数のセンサ」とは、同じタイプ又は異なるタイプの複数のセンサ、例えばVISセンサ及び複数のIRセンサのようなセンサを含む。
【0033】
一つの実施態様において、照明配置は、制御ユニットにより(好ましくは独立して)アドレス指定され得る複数の照明ユニットを含む。好ましくは、実施態様において、前記照明配置が複数の照明ユニットを含み、前記照明配置がさらに複数のビーム制御装置を含み、前記ビーム制御装置が、前記センサシグナルに応じて前記照明ユニットの光ビームの形状を制御するように設けられている。
【0034】
さらに、本発明は、ここで記載され請求される本発明の照明配置を含む、園芸栽培物を栽培する環境制御室を提供する。
【0035】
用語「園芸栽培物」はこの技術分野では知られており、いかなる種類の植物に関するものであって、穀類、雑木、木、さらに例えば果実を持つ又は果実自体である植生を含む、野菜、きのこ、ベリー、ナッツ、花、木、低木、芝等である。園芸栽培物はここでは特に、室内の園芸栽培物に関する。例えば特にいかなる種類の植物、穀物、雑木、木、人又は動物の消費のための栽培物、又は他の人の使用、例えば室内又は室外の装飾等である。
【0036】
本発明の実施例につき、単なる例を示すという方法で以下添付図を用いて説明する。ここで図中の対応する番号は対応する部材を示す。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1図1は、本発明の実施態様による照明配置を模式的に表しており、環境制御室に設けられ及び園芸栽培物を照明するように設けられている。
図2図2は、本発明の実施の態様に従い園芸栽培物の照明をより詳細に模式的に示す。
図3図3a-3cは、複数の光ビームを生成するための照明ユニットのいくつかの実施例を表す。
図4図4は、本発明による照明配置の実施例において使用するための、いくつかのビーム制御装置を模式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1は、園芸栽培物100を照明するためのひとつの照明配置1を示す。照明配置1は、温室のような環境制御室200内に設けられる。例示の方法で、園芸栽培物100が記載されており、花壇210に設けられる。本発明は、しかし、温室内の照明配置1に限定されないし、園芸栽培物100の上に設けられるもの、又は使用の際の照明配置1には限定されない。
【0039】
照明配置1は、光ビーム11を生成する照明ユニット10を含む。この目的で、照明ユニット10は、光ビーム11aを生成する光源10aを含む。この光11aは、さらに(変更可能な)コリメータ又は(変更可能な)他の光学素子により、ビームに形状化されてもよい。図1(及び図2)では、前記さらなる光学素子が、反射素子又はコリメータ12(これよりコリメータと示す)である。しかし、その代わりに又はそれと共に、他の光学素子も適用可能である。照明配置1又はより特定的に、照明ユニット10はさらに、制御シグナルに応じて光ビーム11の光学的性質を制御するように設けられる。フラックス、スペクトル又はビーム幅等のようなこれらの光学的性質の制御は、光源10a等の個々の光源にアドレス指定されたレンズ、フィルタで制御可能とされてよい。
【0040】
照明配置1はさらに、電磁波センサ50を含み、園芸栽培物100を検知し、センサシグナルを生成するように設けられる。電磁波センサ50は、IRイメージセンサ及び例えばCCDカメラ、CMOSカメラ又は他のデジタルカメラのような、可視光イメージセンサからなる群から選択されるセンサを含んでいてよい。そのようなセンサは、IR光及び/又は可視光を測定するようの設けられてもよい。電磁波センサ50は、又レーダーセンサであってもよく、レーダ波の助けにより(3D)イメージを与えるように設けられてもよい。複数のセンサ50が適用可能である。例として、共にセンサシグナルを提供する複数の光センサ50が挙げられる。例として、複数の電磁波センサ50が挙げられる。
【0041】
照明配置1は、センサシグナルを制御シグナルを生成するように処理するために設けられた、制御ユニット30を、さらに含む。センサ50は特に、園芸栽培物100を検知(又モニタ)するように設けられる。及び、制御ユニット30は、センサ50のセンサシグナルから情報(特に園芸栽培物の成長特性)を導き出して照明ユニット10を制御する。照明ユニット10は、制御ユニット30により生成された制御シグナルに対応して光ビーム11の光学的性質を制御する。照明ユニット10は、園芸栽培物100の照明(光ビーム11により)を与える。
【0042】
センサ50、制御ユニット30及び光ビーム11の制御可能な光学的性質により、光ビーム11は、ビームスペクトル、ビーム形状及びビームフラックスのような望ましい光学的性質に適合させることができる。例えば、制御ユニット30は、園芸栽培物種類、園芸栽培物サイズ、園芸栽培物の成長速度、園芸栽培物位置及び園芸栽培物外見(園芸栽培物の色、果実含有量、果実一般的濃度のような)からなる群から選択されるセンサシグナルの一以上の特質を決定し、且つ、園芸栽培物100の成長に影響する光ビーム11の一以上の光学的性質、特にビームフラックス、ビーム形状及びビームスペクトルからなる群から選択される光学的性質に基づき、対応する制御シグナルを計算することにより、制御シグナルを生成するようにセンサシグナルを処理するように設けられる。
【0043】
ひとつの好ましい実施態様において、光学的性質は、光ビーム11の形状を含み、制御シグナルは、ビーム形状制御シグナルを含む。そのような実施態様において、照明ユニット10は(少なくとも)、ビーム形状制御シグナルに応じて光ビーム11の形状を制御するように設けられる。また制御ユニット30は、園芸栽培物100の位置を、センサシグナルから決定するように設けられる。この方法で、ビーム形状制御シグナルが生成される。この目的で、照明ユニット10は、特に、この図(さらには下記)に示されるように、ビーム制御装置40を含む。
【0044】
照明ユニット1はさらに、環境センサ60を含むことができる。そのようなセンサ60は、湿度センサ、灌漑水センサ、温度センサ、ガスセンサ、肥料センサ又は背景光センサがあり得る。この場合による環境センサ60は、環境センサシグナルを生成するように設けられる。制御ユニット30は、さらに、環境センサシグナルが制御シグナルを生成するように処理するように、設けられてもよい。例として、複数の環境センサ60が挙げられる。これは例えば、背景光、温度、肥料(濃度)をそれぞれ検知することができる。そのような環境センサシグナルに依存して、例えばフラックスを適合させることができる(例えばより多くの肥料、高いフラックス)。
【0045】
他の実施態様において、照明配置1はさらに、特定情報センサ70を含む。そのような特定情報センサは、特にRFIDセンサであり得る。この場合により用いられる、特定情報センサ70は、特定情報センサシグナルを生成するように設けられてもよい。センサシグナル30は、さらに、特定情報センサシグナルを処理して、制御シグナルを生成するように設けられてもよい。例えば、園芸栽培物100は、符号71で示されるようにRFIDチップでラベルされてもよい。特定情報は例えば、望ましい配達日、園芸栽培物種類、園芸栽培物の望ましい熟度、園芸栽培物の望ましいサイズ等である。RFIDセンサ又は他の特定情報センサ70は、特定情報を受け取り、これと特定情報センサシグナルとして制御ユニット30に組み合わせる。そして制御ユニット30は、この特定情報を、フラックス、スペクトル及び形状のような光ビーム11の光学的性質を調整するように設けられることができる。これにより、制御ユニット30は、照明ユニット10を制御して、園芸栽培物100を最適(時間に関して)に照明するように制御することができる。
【0046】
ひとつの特定の実施態様において、図1及び図2に模式的に示されるように、照明ユニット10は、さらに、ビーム形状制御シグナルに応じて光ビーム11の形状を制御するために、ビーム制御装置40を含む。そのような実施態様において、光学的性質は光ビーム11の形状を含み、制御シグナルはビーム形状制御シグナルを含む。制御ユニット30は、センサシグナルから園芸栽培物100の位置を決定し、ビーム形状制御シグナルを生成するように設けられる。この方法で、光ビーム11による園芸栽培物100の照明は最適化され得る。一方、余分な照明は、実質的に最小化される。そして、園芸栽培物100の(成長のような)外見及び/又は移動による変化を考慮に入れることができる。ゆえに、ひとつのさらなる実施態様において、制御ユニット30とビーム制御装置40が設けられ、光ビーム11の形状を制御し、特に実質的に園芸栽培物100のみを照明するように制御する。ビーム制御装置40は、場合によりさらに、光ビーム11のフラックスを制御するために設けられる。ゆえに、制御ユニット30及びビーム制御装置40は、さらに、例えば時間的な園芸栽培物100の光要求に応じて、光ビーム11のフラックスを制御して、例えば園芸栽培物100を効率的に照明するように、設けられる。
【0047】
図1及び図2に、可能な実施態様の例示として、模式的に記載される実施態様において、コリメータ12は、開口部13を含む。開口部13は、光10aがコリメータ12から出るように設けられ、且つ開口部13はさらにビーム制御装置40を含む。ゆえに、この模式図では、ビーム制御装置40は、光源10aの下流に設けられており、光源10aの光11aを制御するように設けられている。それにより光ビーム11のビーム形状を制御するように設けられる(ビーム制御装置40から下流)。
【0048】
上で説明した通り、制御ユニット30及びビーム制御装置40は、光ビーム11を制御して、実質的に園芸栽培物100のみを照明するように設けられることができる。これは、さらに図2に模式的に示される。図2は、模式的に、光ビーム11の断面15を示す。この断面15は、園芸栽培物100の少なくとも一部につき「下流」である。この構成において、「下流」は、照明ユニット10に相対して、光ビーム11の断面15の位置に関連する。その照明ユニット10は、光ビーム11(その断面15はここで説明されている)を生成し、及び照明ユニット10が園芸栽培物100の「上流」である。用語「上流」、「下流」は、光ビーム11の進行方向に関する。光ビーム11内の第一の位置に相対して、照明ユニット10により近い光ビームの第二の位置は上流であり、照明ユニット10からずっと離れた光ビーム内の第三の位置が下流である。
【0049】
好ましくは、光ビーム11の断面15は、園芸栽培物100から下流の位置で規定される。すなわちそこでは、実質的に園芸栽培物100(照明下での園芸栽培物の根(地下での)のための照明を除き)は利用できないか、又は好ましくは少なくともいかなる果実、穀物及び葉も利用できない。しかし注意すべきことは、光ビーム11は、必ずしも垂直光である必要はなく、園芸栽培物100を照明するいかなる方向でもよいということである。
【0050】
断面は影領域14を持つが、これは園芸栽培物によるビームの交差によるものであり、又影のない部分16を持つ。特に制御ユニット30は、影部分15と非影部分との比を最小にするように設けられる。それにより、光ビーム11の実質的にすべて光が園芸栽培物により交差され、それにより実質的にいかなる光も「失われない」。
【0051】
ゆえに、制御ユニット30及びビーム制御装置40は、この実施態様においては、光ビーム11を制御して、園芸栽培物100のみを実質的に照明するように設けられることができる。光ビーム11は、特にFWHM(半値全幅)として定義されてもよい。これは参照番号17で示される(このFWHM「エッジ」17を超えると、強度は半値強度よりも弱くなり、ビーム内(この「エッジ」又はFWHM17の内)では強度はFWHM強度と同じかより強い)。
【0052】
光ビーム11は、ひとつの実施態様において、複数の光ビーム(11'、11’’、...等)を含む。複数の光ビーム11'、11’’、...等を含む光ビーム11の実施態様は、模式的に図3a-3cに示される。ここで、光ビーム11は、複数の光ビーム11'、11’’、...の個々の光ビーム11’、11’’、...からなる。
【0053】
図3aは、照明ユニット10が、個々の開口部141を持つルーバーを含み、光源(図1aには図示されず)の下流に設けられる実施態様が記載されている。ここで個々の開口部141は、照明配置1を使用の際に個々の光ビーム11'、11’’、...を形成する。
【0054】
図3aで模式的に記載された実施態様では、照明配置1は、ビーム制御装置40(全ての光ビーム11'、11’’、...を制御する)を含むことができる。
【0055】
個々の光ビーム11'、11’’、...等は、制御ユニット30により様々の方法で制御可能である。個々の光ビーム11'、11’’、...の光学的性質を制御シグナルに応じて制御することは、以下の1以上の方法で達成可能である。すなわち、(a)個々の光ビームが個々の光源から生じる実施態様(図3c参照)において個々の光源にアドレス指定すること、(b)個々の光源のための個々のカラーフィルタにアドレス指定すること(図示されず)及び(c)個々の光ビームの光学的性質が、個々にアドレス指定可能なビーム制御装置により制御される実施態様において、個々のビーム制御装置にアドレス指定すること(図3b参照)、である。こうして照明ユニット10は、制御シグナルに応じて、個々の光ビーム11'、11’’、...の光学的性質を制御するように設けられる。
【0056】
図3bにおいては、ビーム制御装置40は、複数のビーム制御装置40’、40’’...を含む。ビーム制御装置40’、40’’...は、特に、個々の光ビーム11'、11’’、...の光学的性質(特にビーム形状及び/又はビームフラックス)それぞれを、制御シグナルに応じて制御するように設けられる。単一のビーム11が光の最適化されていない使用を導くものであり得る一方、複数の個々に制御可能な光ビーム11'、11’’、...(個々のビームからなる光ビーム11を形成する)は、さらに、光の使用を最適化することが可能であり、さらに、照明下の特定の園芸栽培物100に関して光ビーム11の形状を適合させることが可能である。ここで注意すべきは、個々の制御装置40’、40’’...の使用には、ルーバーの使用を含む場合も含まない場合もあるということである。
【0057】
他の実施態様において、照明ユニット10は、複数の光源10a’、10a’’、...であって、複数のLED、例えば2-1000LED、4-100LED特に4-24LEDのような、LEDであってよい。そのような実施態様が図3cに模式的に示される。光源10a’、10a’’、...は、同じ又は例えばRGBLEDのような異なるビームスペクトルを有する(即ち、個々の光源によりそれぞれ発光される光の波長範囲)。異なる波長を有する2以上の光の複数の光源10a’、10a’’、...(LEDのような)を用いることで、光ビーム11のスペクトル(即ち、光ビーム11の光の波長範囲)を、例えばセンサシグナルに応じて適合させることができる。複数の光源10a’、10a’’、...を用いる他の利点は、源10a’、10a’’、...が、制御ユニット30により個々にアドレス指定されることができ、それによりさらに、ビーム形状、ビームフラックス及び場合によりビームスペクトルの制御が可能となる、という点である。
【0058】
注意すべきは、図3a及び3cで模式的に記載された実施態様は、組み合わせることができるということである。例えば、照明ユニット10は、複数の光源10a’、10a’’、...及び複数の制御装置40’、40’’...を含み、個々の光源10a’、10a’’、...の個々のビーム11'、11’’、...を制御するように設けられることができる。
【0059】
上で説明した実施態様は、次の照明配置1を提供することができる。制御ユニット30が、光ビーム11の一以上の光学的性質、特にビームフラックス、ビーム形状及びビームスペクトルからなる群から選択される光学的性質と、(a)園芸栽培物成長速度、園芸栽培物位置及びセンサシグナルから導かれた園芸栽培物成長外見、色、果実量、果実濃度からなる群から選ばれる情報、(b)時間シグナル及び(c)環境センサ60及び情報センサ70から導かれる情報との間の、あらかじめ決められた関係に応じて、制御シグナルを生成するように、センサシグナルを処理するように設けられる。
【0060】
環境センサシグナル、情報センサシグナル及び時間シグナルは、電磁波センサ50以外の他のセンサ、即ち、環境センサ60、情報センサ70及び制御ユニット30自体又は外部タイマよりそれぞれ生成されてよい。環境センサシグナルは、(大気)湿度、灌漑水、(大気)温度、(大気)ガスセンサ、肥料及び背景光からなる群から選ばれる情報を含むことができる。特定情報センサシグナルは、望ましい配達日、園芸栽培物種類、望ましい園芸栽培物熟度等からなる群から選ばれる情報を含むことができる。
【0061】
ビーム形状は、いくつかの方法で制御できる。ひとつの実施態様では、ビーム制御装置40は、調整可能な機械的ビーム形状化システムを含み、例えば機械的にコリメータ部分を動かして制御される種々のコリメータが含まれる。他の実施態様では、ビーム制御装置40は、一以上の光学要素を含み、光ビーム11の形状を制御する。光学要素は、エレクトロウエッティングレンズ(electrowetting lens)、液晶レンズ、制御可能な拡散要素、制御可能な回折要素、屈折要素及び反射要素からなる群から選ばれる。
【0062】
図4-12には、模式的に、ビーム制御装置40のいくつかの実施態様が記載されている。入る光が番号11aとして記載されている。即ち、光源10aからの光11aである。及び出る光、即ち光ビーム11又は個々の光ビーム11’、11’’’、等が、番号11として記載されている。これらのビーム制御装置40は、特に、ビーム形状及び場合によりビームフラックスを制御することができる。
【0063】
ビーム制御装置40は、例えば図4に示すように、流体焦点レンズ(アレイ)80を含むことができる。例えば、コンダクタ81及び82を介して調整された振幅を有する交流電圧を流体焦点レンズ(アレイ)80の極性液体86に供することで、極性液体86と非極性液体87の境界にメニスカスが形成される。このメニスカスは、調整可能な振幅を持つ凸状モード及び/又は凹状モードを含む3つの異なるモード83-85を持つ。この方法で、入射光11aのコーン角度に照らして、光ビーム11のコーン形状角度が調整可能となる。
【0064】
ビーム制御装置40は、例えば図5及び6に示されるような種々の液晶物質を含むことができる。図5には、電圧をかけずに光を拡散する物質91が示されている。言い換えると、0ボルトシグナルが、基板190及び191上の透明電極90と92に供給されると、入る光11aは拡散される。そして右側に描かれているように、十分な電圧が供給される場合、物質91は、透明となる。図6において、電圧が供給されない場合に透明である他の物質が示されている。基板193及び195上の透明電極93と95の間の電圧がゼロである場合、物質94は透明となる。そして右側に描かれているように、十分な電圧がこれらの電極間に供給される場合、入る光11aは拡散される。
【0065】
ビーム制御装置40は、光ビームの形状を制御する一以上の要素を含み、例えば図7で示すような液晶物質の要素を含むこともできる。上から下へ、ガラス基板100、透明電極101、配向層102、液晶物質103、異方性層104、透明電極105及びガラス基板106がある。ゼロボルト又は非ゼロボルト供給することにより、入る光11aは屈折されるか、されないかは、電場を供給する際に液晶分子の方向が変えられ、光ビームが屈折することなく通過することができるかどうかによる。両方の偏光方向の効果を必要とする場合、2つのそのような要素を、要素の中の液晶分子の方向が互いに直交する配置で使用される必要がある。分子の配列方向は、同じに維持されることができるが、しかしそのような場合半波板がこれらの要素の間に挿入されなければならない。
【0066】
ビーム制御装置40は、例えば図8に示すように、いわゆるキラル液晶物質を含むことができる。ゼロボルトで、液晶112は円偏光11(1)バンドを反射し、逆の円偏光11(2)バンドを通過させる。ガラス基板110及び114の上にある透明電極111及び113に亘る電圧を架けることで、液晶112のらせん状構造が除かれ、セルが透明となる。両方の偏光を反射するためには、二重セル構成を用いることができる。この構成でひとつの可能性は、円偏光の左偏光方向と右偏光方向を反射するキラル物質を含むセルを用いることである。他の可能性は、同一のキラル物質を含むセルを、その間に半波板を挟んで使用することである。
【0067】
ビーム制御装置40は、図9に示すように、液晶レンズであってもよい。セル中で湾曲した構造125が存在する。構造125が、ゼロボルト状態で、液晶の一つの屈折率とほとんど同じ屈折率を持つ異方性物質からできている場合、レンズとして作用する。ガラス基板120及び127上の透明電極121及び126に亘り電圧を与えると、液晶分子124は再配列しレンズ作用は消失する。透明電極121は、配向層122で被覆され、構造125は配向層124で被覆される。構造125が、ゼロボルト状態で、液晶の一つの屈折率とほとんど同じ屈折率を持つ等方性物質からできている場合、レンズとして作用しない。ガラス基板120及び127上の透明電極121及び126に亘り電圧を与えると、レンズ作用が現れる。単一の要素は一つの線形偏光方向でのみ作用可能であり、従って両方の偏光方向で影響させるには2つの要素が必要である。これは、単一レンズの一例であるが、そのような構成を有するレンズアレイを作ることもまた可能である。ビーム制御装置40は、図10に示すように、液晶屈折率勾配レンズ(GRIN)又はアレイであってもよい。そのような要素は、パターン化された電極を有する。セルの両表面がパターン化された電極を含む場合、その表面はお互いに沿って配列し、パターンがほとんど完全に重なる。この状態で、ポテンシャルは電極間で最大となる。電極の外部では、フィールドラインがセルの外に漏れ出し、非均一なフィールドラインとなる。結果として、屈折率勾配が電極を含まない領域で形成される。透明電極が円形穴を含む場合、球状レンズが形成される。一方周期的間隔の線電極を用いると、円柱状のレンズが形成される。電極配置はまた、他の形、例えば図10に示されるものをとり得る。図9には、液晶(133)を含む、ガラス基板(132、135)上のパターン化された電極(131、136)を示す。液晶分子の巨視的配向は、ラビングポリマー層からなる配向層(132、135)で誘導される。パターン化された電極は、図11で示す、いかなる構成及び種々の例を含むことができる。電極(131、136)間に与えられた電圧がゼロの場合、図10の上に描かれるように、ビーム11aは、セルを変更させることなく通過する。図10の下に示されるように、セルに電場を適用する場合、屈折率の勾配が電極間に誘導され、光ビーム11aの通路が変更される。他の実施態様において、一方の電極表面だけにパターン化され、他の表面はパターンを有さないセルを用いて、GRINレンズを提供することが可能である。他の実施態様においては、パターン化された電極は、非常に高い表面抵抗(メガオーム/平方の範囲)の層で被覆される。
【0068】
上で説明したGRINレンズはまた、偏光依存性を示す。両方向の偏光を効果を持たせる必要がある場合、要素内の液晶分子の配向が、お互いに直交する構成で使用しなければならない。両要素において、分子の配向方向は同じで維持され得るが、しかし、その場合、半波板を要素間に挿入されなければならない。
【0069】
そこで、光分布及び/又は光の形状を変えることができるビーム制御装置40は、平行化光源の前に設けることができる。しかし、光の平行化及び形状化のためのビーム制御装置40は又、光源と一つのパッシブビーム形状化要素間、又は一以上のパッシブビーム形状化要素の場合、パッシブビーム形状化要素間に設けられることができる。例えば、発光ダイオードが光源10aとして用いられる場合、反射板140及び/又はある形状を有する反射板141を、ある分布を持つ光形状を得るために使用することができる。ビーム制御装置40は、それゆえ、図11に示すように、パッシブビーム形状化要素140及び141の間に設けることができる。パッシブビーム形状化要素は又、いくつかの部分からなっていてもよく、ビーム制御装置は、形状化要素140及び141に沿っていかなる場所にも設けられることができる。例えば制御可能な拡散要素は、透明状態では、ズーム機能が用いられる場合主にズームされた目的物を照明するビームを通す。より近い距離の目的物を写真に取る場合、例えば制御可能な拡散要素を用いて、ビームをより広げることができる。同じ方法で、目的物のある部分が、ビームパターンを調節することでハイライトされることができる。例えば、カメラを使用する人の決定により、ひとつの領域が、一以上の他の領域よりも多く照明され、その領域をハイライトすることがあり得る。しかし、制御可能な拡散要素は、広いビームとして光を送りだし、カメラレンズにより完全には拾われずに損失をもたらすということがあり得る。従ってビーム制御装置40を、2つのパッシブビーム形状化要素の間又は光源2とパッシブビーム形状化要素140及び141の間に設け、上で説明したようにそれを平行化要素の一部にすることは、利点となるであろう。代わりに、調整可能なレンズ又はレンズアレイが使用され得る。上で説明した同じ方法で、要素は、パッシブビーム形状化要素の前に設けられることができる。又はパッシブビーム形状化要素構成に挿入されることができる。
【0070】
他の実施態様において、ビーム制御装置40は、回転コリメータを含む。用語「ビーム制御装置」には、複数のビーム制御装置をも意味する。
【0071】
ゆえに、照明ユニットは、一以上の上で示したビーム制御装置40を含み、特にこれらは連続に配置される(即ち、一方は上流に、他方は下流に)。
【0072】
上で説明する実施態様において、光ビーム11は、ビームスペクトルを持つ光からなる。場合により、変法として、光ビームは、種々のビームスペクトルを持つこともできる。即ち、光ビーム11の光のカラー/カラーポイント(colour/colour point)が変更され得る。そのような変法では、照明ユニット10は、光ビーム11のスペクトルを、前記制御シグナルに応じて制御するように設けられる。そのような照明配置1は、異なるスペクトル(上で説明した)を有する複数の光源10a’、10a’’...を用いることで、得られるし、又はそれにカラーフィルタを用いて得ることもできる。
【0073】
前記制御ユニット30は、さらに、前記センサから、あらかじめ決められた園芸栽培物100の種類を決定し、前記スペクトルシグナルを生成するように設けられることも可能である。前記制御ユニット30は、園芸栽培物100のあらかじめ決められた種類のライブラリ、少なくとも1つ、しかし好ましくは2以上、例えば5つの種類の園芸栽培物の種類のライブラリを含む。前記センサシグナルから、前記制御ユニット30は、園芸栽培物100の種類を導き、その後前記制御ユニット30は、制御ユニット30(のソフトウエア)にプログラムされたあらかじめ決められた関係に基づいて、特定のビームスペクトルを選択し、対応する制御シグナルを前記照明ユニット30に与える。それで、前記照明配置が、園芸栽培物100の種類のビームスペクトルに適合させることができる。
【0074】
本発明は、園芸栽培物100を成長させるための環境制御室200を提供するものであり、ここに請求され、又は図1に示される、本発明による照明配置を含む。
【0075】
用語「青色光」又は「青色発光」は、特に、約410-490nmの範囲の波長を持つ光に関連する。用語「緑色光」は、特に、約500-570nmの範囲の波長を持つ光に関連する。用語「赤色光」は、特に、約560-590nmの範囲の波長を持つ光に関連する。用語「光」はここでは、用語「光ビーム」のように用いられ、特に可視光に関連する。「可視光」は特に、その発光波長が、400-700nmの範囲から選ばれる光に関連する。
【0076】
ここで使われる用語「実質的」なる用語、例えば「実質的にすべての発光」又は「実質的に含む」なる用語は、当該技術分野の熟練者には次のように理解されるべきである。「実質的に」には又、「完全に」、「全体的に」、「全て」などの実施態様を含む。従ってこのような実施態様では、副詞の「実質的に」は削除してもよい。用語「実質的に」はまた、90%又はそれより高い、例えば95%又はより高い、特に99%又はより高い、99.5%よりも高い場合(100%を含む)すら場合にも関連させてもよい。用語「含む」には又、「からなる」も含む。
【0077】
ここで言及する装置には、実施例で記載されたそれ以外をも意味する。当該技術分野の熟練者にとって、本発明が、これらの実施方法又は実施方法の装置に制限されるものではないことは明らかであろう。
【0078】
次のことが注意されるべきである。すなわち、上で説明された実施態様は、本発明のいくつかを説明したものにすぎないこと、当技術分野の専門家であれば、本発明の請求項の記載からはずれることなく、多くの実施態様の変法を考えることができることである。特許請求の範囲において、括弧内に参照として付された符号は、請求項を限定するものではない。動詞の「含む(comprise)」及びその活用型は、請求項に記載された要素又はステップにつき他の要素又はステップの存在を排除するものではない。「ひとつの(a, an)」で続けられた要素は、その要素が複数である場合が存在することを排除するものではない。本発明は、いくつかの別の要素を含む機器の手段により実施され得る。いくつかの手段を列記する装置に関する請求項において、これらの手段のいくつかは、一の及び同じ品目の装置により実施され得る。ある手段が、相互に異なる従属請求項に引用されているということは、単なる事実であって、これらの手段の組み合わせは、有効に使用できない、ということを意味するものではない。
図1
図2
図3a
図3b
図3c
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11a
図11b
図11c
図11d
図12