【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、光源として例えばLEDを用いた照明配置を記載する。これらのLEDは、照明ユニットに設けられる。照明ユニットは特に、光源(ここではLED)からの実質的に全ての光を園芸栽培物(温室内の)に向けることができる。加えるに、さらに園芸栽培物認識システムを照明配置に備えることができる。それにより、そのシステムは、園芸栽培物の位置(成長の場合、移動の場合等)に、例えばビームを適合させることができる。
【0009】
それゆえに、本発明の一側面として、上で説明した1又は2以上の欠点の好ましくは少なくとも一部を克服する、他の照明配置を提供するものである。また、本発明の一側面として、上で説明した1又は2以上の欠点の好ましくは少なくとも一部を克服する、例えば温室のような、他の環境制御室を提供するものである。
【0010】
従って、一つの実施態様において、本発明は、園芸栽培物の照明配置であ
る。
【0011】
前記センサは、特に前記園芸栽培物を感知(又はモニタ)するように設けられ、前記制御ユニットは、前記センサの前記センサシグナルから情報を取り出し、前記照明ユニットを制御して、前記制御ユニットにより生成された前記制御シグナルに応じて、前記光ビームの光学的性質を制御し、それにより前記照明ユニットが園芸栽培物に照明を与える。前記センサ、前記制御ユニット及び前記光ビームの制御可能な光学的性質の結果として、前記光ビームを、ビームスペクトル、ビーム形状及びビームフラックスのような望ましい光学的性質に適合させることができる。特に、前記センサシグナルと、場合により他のシグナル(温度センサからのシグナルのような)と、ビームの光学的性質との、あらかじめ決められた関連性に基づいて、ビームの光学的性質が制御される。用語「光学的性質」には、一以上の光学的性質をも意味する。
【0012】
それゆえ、ひとつの実施態様において、前記制御ユニットは、前記センサシグナルが、園芸栽培物種類、園芸栽培物サイズ、園芸栽培物の成長速度、園芸栽培物位置及び園芸栽培物外見(例えば、一以上の園芸栽培物の色、園芸栽培物の果実含量、園芸栽培物果実濃度)からなる群から選択される、一以上の特質を前記センサシグナルから決定し(導いて)、且つ、光ビームの一以上の光学的性質、特に、ビームフラックス(ここでは「フラックス」とする)、ビーム形状(ここでは「形状」とする)及びビームスペクトル(ここでは「スペクトル」とする)からなる群から選ばれる、光ビームの光学的性質の方法により、園芸栽培物の成長に影響させるように前記対応する制御シグナルを計算(「処理」)して、前記制シグナルを生成するように、処理させるように設けられる。
【0013】
それゆえ、一つの実施態様においては、前記制御ユニットは、前記センサシグナルを、特に、ビームフラックス、ビーム形状及びビームスペクトルからなる群から選択される、前記光ビームの光一以上の光学的性質と、(a)前記センサシグナルから導かれる一以上の園芸栽培物特質及び(b)場合により一以上の時間シグナル、環境センサシグナル及び情報センサシグナルとの間の、あらかじめ決められた関係に応じて、前記制御シグナルを生成するように処理するように設けられる。
【0014】
前記センサシグナルから導かれる一以上の特質は、園芸栽培物種類、園芸栽培物成長速度、園芸栽培物位置及び園芸栽培物外見(例えば、一以上の園芸栽培物の色、園芸栽培物果実含量及び園芸栽培物果実濃度等)からなる群から選択されることができる。時間シグナル、環境センサシグナル及び情報センサシグナルは、電磁波センサ以外のセンサ、すなわち、環境センサシグナル及び特定の情報センサシグナルのそれぞれで生成されてもよい。時間シグナルは又制御ユニット自体で生成されてもよい。
【0015】
ビーム形状を制御するための照明ユニットにアドレス指定する制御シグナルは、ここでは又、ビーム形状制御シグナルとして表してもよい。ビームスペクトルを制御するための照明ユニットにアドレス指定する制御シグナルは、ここでは又、ビームスペクトル制御シグナルとして表してもよい。ビームフラックスを制御するための照明ユニットにアドレスする制御シグナルは、ここでは又、ビームフラックス制御シグナルとして表してもよい。これらの制御ユニットシグナルは、一以上のこれらの性質を制御するために使用されることができる。
【0016】
上で指摘したように、一つの特定の実施態様では、光学的性質は光ビームの形状を含む。特に制御ユニットとビーム制御装置は、実質的に園芸栽培物のみ照明するように光のビームを制御するように設けられる。この方法で、園芸栽培物の照明が最適化される。一方で、余分な光は実質的に最小化される。そして外見の変化(例えば成長)及び/又は移動(照明配置に沿って運搬されることを含む)の変化を考慮することができる。さらに、園芸栽培物の成長の関数として全葉の面積の変化が、成長の間に照明される手段により効率的に制御され得る。というのは、照明配置が、園芸栽培物の成長と及び/又は消費要求により、時間に応じてビーム形状及び/又はビームフラックスを調整することができるからである。
【0017】
ひとつの実施態様において、ビーム制御装置は、エレクトロウエッティングレンズ(electrowetting lens)、液晶レンズ、制御可能拡散要素、制御可能回折要素、屈折要素及び反射要素からなる群から選択される一以上の、光ビームの形状を制御する光学要素を含むことができる。そのようなビーム制御装置は、この技術分野では知られており、WO2007/007220及びWO2007/007235に記載されている。これらは本明細書に参照として取り込まれる。
【0018】
他の実施態様において、ビーム制御装置は、調整可能な機械的光学ビーム形状化システムを含むことができる。例えば回転(又は回転可能な)コリメータである。「ビーム制御装置」とは又、複数のビーム制御装置を意味してもよい。ゆえに照明ユニットは、一以上の上で説明したビーム制御装置を含むことができる。ひとつの実施態様においては特にこれらを連続して配置することが可能である。
【0019】
例えば成長の観点、昼夜サイクル強要の観点から、光のフラックスの制御が望まれる。ゆえに、さらなる実施態様において(昼夜サイクルを提供するために使用され得る)、光学的性質は光ビームのフラックスを含み、制御シグナルはビームフラックス制御シグナルを含み、且つ照明ユニットはさらに、光ビームのフラックスをビームフラックス制御シグナルに応じて制御するように設けられ、及び制御ユニットは、センサシグナルを、ビームフラックス制御シグナルを生成するように処理するように設けられる。ゆえにひとつの実施態様において、制御ユニットと照明ユニットとは、あらかじめ決められた明暗サイクルを与えるように設けられる。又、園芸栽培物の要求又は消費者要求の観点から、ビームフラックスは時間により変更され得る。例えばセンサシグナルから導かれる情報が、園芸栽培物の成長が遅すぎるというものである場合、フラックスは増加されることができる。
【0020】
一つの実施態様において、前記照明ユニットは、複数の光源を含む。例えば複数のLEDとして、2-1000LED、4-100LED、特に4-25LEDのようなものである。
用語「LED」は、OLED及び固体LEDを意味するが、特にLEDの後者のタイプを意味する。照明ユニットが、複数の光源を含む場合、2以上の光源は、同じか又は異なるビームスペクトルを有していてよく(即ち個々の光源の発光波長範囲である)、例えばRBGLEDである。
【0021】
ゆえに、一つの実施態様において、照明ユニットは、それぞれ複数の異なるスペクトルを有する複数の光源を含む。2以上の異なる波長の光を生じる複数の光源(LEDのような)を用いることで、例えばセンサシグナルに依存する光ビームスペクトル(即ち、光ビームの波長範囲)に適合させることが可能である。複数の光源を用いる利点は、光源が個々に制御ユニットによりアドレス指定され、それにより、さらに、ビーム形状、ビームフラックス及び場合によりビームスペクトル制御が適合されるようにできるということである。
【0022】
さらに一つの実施態様において、光ビームは、種々のビームスペクトルを有し、照明ユニットが、制御シグナルに応じて光ビームのビームスペクトルを制御するように設けられる。そのような照明配置は、異なるスペクトル(上で説明した)を有する複数の光源を用いることで可能である。又は、その代わりに又はそれに加えて、カラーフィルタを用いることで可能である。時間に応じて異なるスペクトルを適用することは、園芸栽培物成長の要求に最適に合わせるために使用されることができる。しかし、スペクトルの変更可能性はまた、照明下で園芸栽培物についてのスペクトルの最適化に使用することもできる。
【0023】
ゆえに一つのさらなる実施態様において、制御シグナルはスペクトル制御シグナルを含み、照明ユニットが、さらに、スペクトル制御シグナルに応じて、決定された園芸栽培物の種類に対応してあらかじめ決められたビームスペクトルを与えるように設けられ、且つ制御ユニットが、さらに、センサシグナルから園芸栽培物のあらかじめ決められた複数の種類の一つを決定し、スペクトル制御シグナルを生成するように設けられる。制御ユニットは、園芸栽培物のあらかじめ決められた種類のライブラリを、少なくともひとつ、しかし好ましくは2以上、例えば5つの種類のライブラリを持つことができる。制御ユニットは、センサシグナルから園芸栽培物の種類を導き、制御ユニットはその後、制御ユニット(のソフトウエア)でプログラムされたあらかじめ決められた関係に基づき、特定のビームスペクトルを選択し、対応する制御シグナルを照明ユニットに与える。よって、照明配置は、ビームスペクトルを園芸栽培物の種類に適合させることができる。それゆえ、スペクトル制御シグナルは又「園芸栽培物種類定義ビームスペクトルシグナル」として表されてもよい。
【0024】
制御され得る光ビームの光学的性質は、ビームフラックス、ビーム形状及びビームスペクトルからなる群から特に選ばれる。さらには特に、光ビームの光学的性質は、ビーム形状であり及び場合により、ビームフラックス及びビームスペクトルからなる一以上である。
【0025】
本発明の照明配置の光ビームは、ひとつの実施態様として、複数の個々の光ビームを含むことができ、照明ユニットがさらに、制御シグナルに応じて個々の光ビームの光学的性質を制御するように設けられる。制御シグナルに応じて個々の光ビームの光学的性質を制御することは、以下の一以上により達成できる。すなわち、(a)個々の光ビームが、個々の光源からくる実施態様において、個々の光源にアドレス指定すること、(b)個々の光源について個々のカラーフィルタにアドレス指定すること、及び(c)個々の光ビームの光学的性質が、個々のアドレス指定可能なビーム制御装置により制御される実施態様において、個々のビーム制御装置にアドレス指定することである。注意すべきは、複数のビーム制御装置の存在は、複数の光源を含むことを必ずしも必要としないことである。さらに注意すべきは、複数の個々の光ビームが、一以上の複数の光源、複数のビーム制御装置(単一光源を制御するか、又は複数のビーム光源を制御する)、及びルーバー構造(又は対応する構造)により、生成されてもよいことである。
【0026】
ゆえに、ひとつの特定の実施態様において、ビーム制御装置は、複数のビーム制御装置を含み、ビーム制御装置は、個々の光ビームの光学的性質(特にビーム形状及び/又はビームフラックス)を、制御シグナルに応じて制御するように設けられる。単一ビームがなお光の最適ではない使用をもたらすものである一方、複数の個々の制御可能な光ビームは、さらに光の使用を最適化することができ、且つ照明下の特定の園芸栽培物へ光ビームを形状化することを可能とする。個々の光ビームのビームフラックス及び/又はビーム形状を制御することにより、光ビーム(個々の光ビームからなる)のビーム形状((及び場合によりビームフラックスも)が制御ユニットにより制御されることができる。
【0027】
ひとつの実施態様において、光学的性質は光ビームの形状を含み、制御シグナルはビーム形状制御シグナルを含み、照明ユニットが、光ビームの形状をビーム形状制御シグナルに応じて制御するように設けられ、且つ制御ユニットが、センサシグナルから園芸栽培物の位置を決定してビーム形状シグナルを生成するように設けられる。用語「位置」は、点又は空間でのある拡がりを意味する。ゆえに、用語「位置」は、園芸栽培物の特定の(一時的な)位置を意味するが、用語「位置」は又、園芸栽培物により占められるすべての数の点をも意味する、即ちその拡がり(ある瞬間の時間での)である。
照明配置は、実施態様において、さらに、湿度センサ、灌漑水センサ、温度センサ、ガスセンサ、肥料センサ及び背景光センサからなる群から特に選ばれる環境センサを含むことができる。環境センサは、環境センサシグナルを生成するように設けられ、制御ユニットがさらに、環境センサシグナルを処理して制御シグナルを生成するように設けられる。例えば、園芸栽培物の周りの環境の湿度についての情報、供給されている及び/又は受け取られている灌漑水の情報、園芸栽培物の周りの温度の情報、ガス濃度又はガスのタイプ(CO濃度のような)、園芸栽培物に与えられる肥料の量及び背景光の量についての情報が、フラックス、スペクトル及び形状のような光ビームの光学的性質を調整するために制御ユニットで使用されることができる。それにより制御ユニットは、照明ユニットを園芸栽培物を最適に照明するように制御することができる。
【0028】
場合によっては、制御ユニットは又、湿度、灌漑水、温度、ガス雰囲気、肥料及び背景光からなる群から特に選択される環境パラメータのような、一以上の環境パラメータを、特にセンサシグナルから導かれる情報と、一以上の環境パラメータとのあらかじめ決められた関係の関数として制御するように設けられてもよい。
【0029】
他の実施態様において、照明配置はさらに、RFIDセンサからなる群から選ばれる特定情報センサを含む。ここで、特定情報センサは、特定情報センサシグナルを生成するように設けられ、制御ユニットが、さらに特定情報センサシグナルを処理して制御シグナルを生成させるように設けられる。例えば、園芸栽培物は、望ましい配達日、園芸栽培物種類、望ましい園芸栽培物サイズ、望ましい園芸栽培物熟度等からなる群から選択される特定情報を有するRFIDチップでラベル化され得る。RFIDセンサ又は他の特定情報センサは、(RFIDチップ)特定情報を受け取り、特定情報センサシグナルと制御ユニットを一組にする。これにより制御ユニットは、この特定情報を用いて、フラックス、スペクトル及び形状のようなビームの光学的性質を調整するために使用するように設けられることができる。これにより制御ユニットは、照明ユニットを制御して、園芸栽培物を最適に照明することができる。
【0030】
ゆえに、導かれ得る情報(園芸栽培物特性を含む)は、(a)センサシグナルから導かれ得る情報であって、一以上の、園芸栽培物種類、園芸栽培物成長速度、園芸栽培物位置、園芸栽培物外見シグナル(一以上の園芸栽培物の色、園芸栽培物果実量、園芸栽培物果実濃度のような)からなる群から選択されるものである。また場合により、(b)環境センサ及び特定情報から導かれる情報であって、一以上の、環境情報及び特定情報(一以上の、望ましい配達日、園芸栽培物種類、望ましい園芸栽培物の熟度)である。
【0031】
電磁波センサは、IRイメージセンサ及び可視光イメージセンサからなる群から選択されるセンサを含むことができる。そのようなセンサには、園芸栽培物の(3D)イメージを生成することができる。(3D)イメージは、制御ユニットから望ましい情報を導くためのセンサシグナルとして用いることができる。そのセンサは、例えばCCDカメラ、CMOSカメラ又は他のデジタルカメラから選択されることができる。そのようなセンサは、IR光及び/又は可視光を測定するように設けられてもよい。
【0032】
又、前記電磁波センサがレーダセンサであり、レーダ波の助けにより(3D)イメージを与えるように設けられる。それゆえ、他の実施態様において、電磁波はレーダーセンサを含む。用語「センサ」は、複数のセンサ、すなわち2以上のセンサと関連させてもよい。さらに、用語「複数のセンサ」とは、同じタイプ又は異なるタイプの複数のセンサ、例えばVISセンサ及び複数のIRセンサのようなセンサを含む。
【0033】
一つの実施態様において、照明配置は、制御ユニットにより(好ましくは独立して)アドレス指定され得る複数の照明ユニットを含む。好ましくは、実施態様において、前記照明配置が複数の照明ユニットを含み、前記照明配置がさらに複数のビーム制御装置を含み、前記ビーム制御装置が、前記センサシグナルに応じて前記照明ユニットの光ビームの形状を制御するように設けられている。
【0034】
さらに、本発明は、ここで記載され請求される本発明の照明配置を含む、園芸栽培物を栽培する環境制御室を提供する。
【0035】
用語「園芸栽培物」はこの技術分野では知られており、いかなる種類の植物に関するものであって、穀類、雑木、木、さらに例えば果実を持つ又は果実自体である植生を含む、野菜、きのこ、ベリー、ナッツ、花、木、低木、芝等である。園芸栽培物はここでは特に、室内の園芸栽培物に関する。例えば特にいかなる種類の植物、穀物、雑木、木、人又は動物の消費のための栽培物、又は他の人の使用、例えば室内又は室外の装飾等である。
【0036】
本発明の実施例につき、単なる例を示すという方法で以下添付図を用いて説明する。ここで図中の対応する番号は対応する部材を示す。