(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
貯蔵庫本体の天井部には、ドレンパンを兼ねた合成樹脂製のエアダクトが一側に向けて下り勾配となった斜め姿勢で張設されることにより冷却器が収容された冷却器室が形成され、前記冷却器からの除霜水が前記エアダクト上を流下して同エアダクトの下部位置に設けられた排水路から前記貯蔵庫本体の壁面に設けられた排水部に排水されるようになっているとともに、
前記エアダクト上にはヒータが設けられた金属製の伝熱プレートが敷設され、かつ、この伝熱プレートにおける前記除霜水の流下方向に沿った側縁と前記エアダクトとの間を水密に接続する防水構造が施されており、
前記防水構造は、前記伝熱プレートの前記側縁と前記エアダクトとの間にコーキング材が塗布されていることで構成されており、
前記伝熱プレートの下縁と前記エアダクトとの間には、前記排水路の入口を囲むような経路でコーキング材が塗布されており、
前記排水路の前記入口を囲むような経路で塗布された前記コーキング材は、前記排水路の前記入口に向かって開口するコの字状をなしていることを特徴とする冷却貯蔵庫。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<実施形態1>
以下、本発明の実施形態1を
図1ないし
図12に基づいて説明する。この実施形態では、4ドア型の冷蔵庫を例示している。
図1及び
図2において、符号10は冷蔵庫本体であって、内箱11と外箱12との間に発泡樹脂等からなる断熱材13が充填された前面開口のやや縦長の断熱箱体から構成されており、4本の脚14で支持されているとともに、内部が貯蔵室15となっている。貯蔵室15内には、棚柱16を介して棚網17が多段に設置できるようになっているとともに、貯蔵室15の前面開口部には、十字形に組まれた断熱性の仕切枠18が装着されることで計4個の出入口19が形成され、観音開き式の断熱扉20が上下2段に分かれて装着されている。
【0013】
本体10の上面には、パネルで囲まれることにより機械室22が形成され、同機械室22には冷凍ユニット23が装備されている。
冷凍ユニット23は、平面方形をなす断熱性の基台24の上面に、圧縮機26、空冷式の凝縮器27等からなる冷凍装置25が載置されるとともに、下面側に冷却器29が吊り下げて取り付けられ、冷凍装置25と冷却器29とが冷媒配管30(
図3)により循環接続された構造となっている。冷却器29は、背面側(
図2の右側)が少し下がった斜め姿勢で取り付けられている。
一方、機械室22の底面、言い換えると貯蔵室15の天井壁15Aにおける奥側の位置には、基台24よりも一回り小さい窓孔32が形成されており、上記した冷凍ユニット23の基台24が、冷却器29を窓孔32の下面側に通しつつ同窓孔32を塞いで取り付けられている。
【0014】
貯蔵室15の天井部分における窓孔32の下面側には、詳しくは後記するように、エアダクト50が張設され、その上方に冷却器室34が形成されている。エアダクト50の底面50Aは、奥縁(
図2の右側)に向けて下り勾配(冷却器29の傾斜角度とほぼ同じ)となるように形成され、手前側の領域に吸込口35が開口されて冷却ファン36が装備されているとともに、奥縁と貯蔵室15の背面壁15Bとの間に吹出口37が形成されている。
そして、冷凍装置25(圧縮機26)を運転しつつ冷却ファン36を駆動すると、貯蔵室15の庫内空気が冷却ファン36によって吸込口35から冷却器室34内に吸引され、その空気が冷却器29を流通する間に熱交換によって冷気が生成され、その冷気が吹出口37から貯蔵室15の奥面に沿うようにして吹き出され、貯蔵室15内に冷気が循環供給される。また、庫内サーミスタ38(
図3)により庫内温度が検知され、庫内温度に応じて冷凍装置25の運転と停止とが制御されて、庫内温度が略一定の冷却温度に維持されるようになっている。
【0015】
また、冷却器29等に付着した霜を除去するために、適宜に除霜運転が行われる。そのため、冷却器29にはシーズヒータからなる除霜ヒータ40が装備されている。この除霜ヒータ40は、
図3に示すように、冷却器29の下面においてジグザグ状に配線されている。
一方、上記したエアダクト50は、除霜水を受けるドレンパンを兼用している。除霜運転は、除霜ヒータ40に通電して冷却器29を加熱することにより行われ、除霜水はエアダクト50(ドレンパン)で受けられたのち、貯蔵室15の背面壁15B内に設けられた排水用通路49を通って庫外に排水されるようになっている。
【0016】
続いて、除霜水の排水部分の構造を詳細に説明する。
エアダクト50はABS樹脂等の合成樹脂製であって、
図4及び
図5に示すように、平面略方形の皿状に形成されており、ただし左右の側壁51は、手前側(
図4の左側)から奥側に向けて次第に背が高くなるように形成され、後記するように、同側壁51の上縁が水平姿勢をなすように取り付けられ、その取付状態において、エアダクト50の底面50Aが奥縁に向けて下り勾配となった傾斜姿勢を取るようになっている。
【0017】
エアダクト50の底面50Aには、左右の側壁51から所定寸法内側に入った位置において、左右一対の取付板52が立ち上がって形成されている。両取付板52は、左右の側壁51と同じく、手前側から奥側に向けて次第に背が高くなるように形成され、全体としては、側壁51よりも若干背が高くなっている。各取付板52の上縁には、前後2箇所の位置において、後方を向いた鈎形をなす掛止部53が形成されている。これに対し、貯蔵室15の天井壁15Aに形成された窓孔32における左右の周面には、エアダクト50の前後の掛止部53が掛止される突部32Aが形成されている。
エアダクト50の前縁部には、左右両端部と中央部との3箇所に取付座55が形成されており、この取付座55は、エアダクト50の前壁56の上縁と面一の高さに形成され、ねじの挿通孔57が開口されている。これに対し、窓孔32の下面側における前側の縁部には、同ねじが螺合されるねじ孔(図示せず)が対応して形成されている。
【0018】
エアダクト50の底面50Aにおける手前側の領域には、上記した吸込口35が3個、間隔を開けて左右に並んで形成されている。吸込口35の回りには、四隅に位置するようにして取付座59が設けられており、冷却ファン36はケーシングの四つ角が取付座59に嵌められ、
図12に示すように、対角の2位置がねじ60で止められることで固定されるようになっている。各冷却ファン36から引き出されたリード線36Aは、同図に示すように、冷却ファン36の手前側を通って右側に延出配線され、パースロック62で保持されのち機械室22側に向けて導出されるようになっている。また、
図5に示すように、吸込口35の周縁部には、リベット孔63が図示7箇所開口されている。
エアダクト50は言い換えると、奥縁側が最深部となっており、
図5に示すように、奥壁64における幅方向の中央よりも正面から見て少し左側に寄った位置に、排水路65が形成されている。排水路65は、底部側が円弧状となったU字形断面の溝状に形成され、
図6に示すように、その底壁がエアダクト50の底面50Aと連続しつつ、奥側に向けて先下がりとなった姿勢を採っている。
【0019】
エアダクト50の底面50A上には、伝熱プレート70が張設されている。この伝熱プレート70はアルミニウム板製であって、全体としては、
図7及び
図9に示すように、エアダクト50の底面50Aにおける左右の取付板52の間で、かつ前壁56から少し奥に入った位置から奥壁64に対して所定間隔を開けた近接位置に至る領域に収まるほぼ方形状に形成されている。ただし、伝熱プレート70の前部側では、上記した冷却ファン36を逃がす切欠部71が形成され、言い換えると前方に突出した4枚の突出板72が幅方向に間隔を開けて形成された形状となっている。伝熱プレート70は、後記するように、前部側を図示7箇所においてリベット63Aで締結することにより(
図6参照)、所定位置に張られるようになっており、そのため、切欠部71の周縁の7箇所、詳細には、エアダクト50のリベット孔63と対応する位置に、リベット孔78が形成されている。
【0020】
伝熱プレート70は、エアダクト50の傾斜に倣って張られるために、必然的に奥縁側が最深部となり、その奥縁に奥壁73が形成される一方、
図7に示すように、同奥壁73における幅方向の中央から少し左側に寄った位置、すなわちエアダクト50の排水路65と対応した位置に排水口74が形成されている。奥壁73は、伝熱プレート70の奥縁部を直角に起こすことで、エアダクト50の奥壁64とほぼ同じ高さ寸法を持って形成されているとともに、同奥壁73の途中の所定位置では、排水路65と同幅で下側の高さ領域が切除されることにより、上記した排水口74が形成されている。
【0021】
排水口74の上縁からは、同じくアルミニウム板製で、門型断面をなす細長いカバー75が奥側に向けて突設されており、伝熱プレート70がエアダクト50の底面50Aの所定位置に張られることに伴い、カバー75が排水路65の中央高さ位置よりも少し上方位置に嵌って、排水路65の上面開口を塞ぐようになっている。なお、カバー75の先端は、
図4に示すように、排水路65の先端よりも控えた位置に留まっている。
また、伝熱プレート70の奥壁73は、エアダクト50の奥壁64の手前側に所定間隔を開けて配されることで、その間に装着空間76が全幅にわたって形成されているとともに、奥壁73の上縁にはフランジ73Aが奥側に直角曲げして形成され、このフランジ73Aが、上記した装着空間76の上面を覆うようになっている。
【0022】
上記した伝熱プレート70の奥壁73からカバー75にわたり、コードヒータからなる第1凍結防止ヒータ81が配線されるようになっている。コードヒータは、ヒータ線をシリコンゴムで被覆した形状となっている。この第1凍結防止ヒータ81は、
図8に示すように、その一端が、奥壁73の外面における正面から見た右端(同図の下側)に配されて、奥壁73の外面に沿って排水口74に向けて配線され、続いてカバー75の上面における右側縁に沿って先端側に向けて配線され、カバー75の先端から突出したところでUターンされて、反対の左側縁に沿って基端側に向けて配線され、さらに奥壁73の外面に沿って左端まで配線される。同ヒータ81の他端から引き出されたリード線81Aは左端で上方にUターンされたのち、奥壁73に沿って右端まで配線されている。
このように配線された状態で、粘着面を備えたアルミ箔により奥壁73の外面並びにカバー75の上面に貼り付けられる。両リード線81Aは揃って、伝熱プレート70の右側縁に沿って前方に引き出される。
【0023】
また、伝熱プレート70における冷却器29の前端部の下方に対応する領域、言い換えると、冷却ファン36の配設位置の直後の領域には、同じくコードヒータからなる第2凍結防水ヒータ82が配線されている。詳細には、第2凍結防水ヒータ82が配線保持されるアルミ箔85が備えられており、このアルミ箔85は、
図7及び
図8に示すように、伝熱プレート70のほぼ全幅に匹敵する長さを持った細長い本体部86の前縁から、伝熱プレート70の各突出板72上に突出する4枚の突出部87が形成された形状となっている。本体部86の縦幅は吸込口35の直径の半分程度であり、また、突出部87は突出板72よりも幅狭であって、突出板72の基端側のほぼ半分の領域に突出するようになっている。
【0024】
アルミ箔85の裏面側には両面テープが配され、同アルミ箔85の裏面と、両面テープの表面との間に挟まれて第2凍結防水ヒータ82が配線固定され、両面テープの裏面が伝熱プレート70に貼り付けられるようになっている。第2凍結防水ヒータ82の具体的な配線形態は、例えば
図7に示すように、本体部86には、第2凍結防止ヒータ82が前後方向に4条のジグザグ状に、また各突出部87には、1条目82Aからヘアピン状に突出して配線され、結果、アルミ箔85のほぼ全域にわたって、第2凍結防止ヒータ82が配線された状態となる。第2凍結防止ヒータ82の両端は、一番右の突出部87に並んで配され、接続部83を介してリード線84が接続されて、同リード線84が前方に引き出されるようになっている。
このように第2凍結防水ヒータ82が配線保持されたアルミ箔85が、伝熱プレート70上の所定位置、詳細には、
図8に示すように、本体部86が伝熱プレート70の前縁部に沿い、かつ突出部87が突出板72の基端側に突出した位置において貼り付けられる。
【0025】
伝熱プレート70における上記のように貼られたアルミ箔85の後縁の直ぐ後方位置には、保護リブ89が突出形成されている。この保護リブ89は、平面横長形状をなし、伝熱プレート70の幅方向の中央部と両端部との都合3箇所において、下面側から叩き出されて形成されている。保護リブ89の高さは、伝熱プレート70上に配線された第2凍結防水ヒータ82の高さの2倍近くとなっている。
【0026】
また、エアダクト50の底面50Aにおける奥側の半分の領域には、
図5に示すように、前後方向(縦方向)に細長い図示8本の支持リブ68が、左右方向に間隔を開けて形成されている。これらの支持リブ68は、上記した伝熱プレート70を底面50Aから浮いた状態で支持することに機能するものである。
各支持リブ68は、その手前側の端部が、
図9に示すように伝熱プレート70が張られた場合に、保護リブ89の形成箇所よりも少し手前に突出した箇所に位置し、奥側の端部は、奥壁64よりも所定寸法手前に留まっている。支持リブ68はまた、エアダクト50の底板の厚さより少し小さい高さ寸法(3mm弱)を有している。
【0027】
さて、伝熱プレート70における左右の側縁と、エアダクト50の底面50Aとの間には第1防水シール91が施されている。また、エアダクト50の奥壁64から突設された排水路65の入口65Aの手前側を囲む位置において、伝熱プレート70との間に第2防水シール92が施されている。これらの第1及び第2防水シール91,92の形成構造については、後記するエアダクト50の組み付け工程の説明に伴って改めて説明する。
【0028】
次に、エアダクト50の組み付け並びに取り付けの手順について説明する。
図8に示すように、伝熱プレート70の奥壁73からカバー75にわたり、第1凍結防水ヒータ81が配線される。それとともに、伝熱プレート70の前縁に沿った領域に、第2凍結防止ヒータ82がアルミ箔85を介して所定の形態で配線される。
このように第1及び第2の凍結防止ヒータ81,82が配線装着された伝熱プレート70が、エアダクト50上に張られる。それに先立ち、
図5に示すように、エアダクト50の底面50Aに設けられた支持リブ68のうち、両端の支持リブ68における先端の上面に、位置決め用のコーキング材93が塗布される。
それとともに、エアダクト50の底面50Aおける排水路65の手前側の位置において、同排水路65の入口65Aの手前側を囲むようなコ字形の経路に亘って、シール用のコーキング材95(以下、第2コーキング材95)が塗布される。第2コーキング材95は、支持リブ68よりも高い高さ寸法を持って塗布される。
【0029】
伝熱プレート70は、
図9に示すように、前側の切欠部71に各吸込口35を嵌めて逃がし、またリベット孔63,78同士を整合させて、エアダクト50の底面50Aにおける前部側を除いたほぼ全面に載置され、奥側の部分は支持リブ68に当てられて受けられる。このとき、2本の支持リブ68に塗布されたコーキング材93が、同支持リブ68と、伝熱プレート70の下面との間を接着し、伝熱プレート70は、リベット孔63,78同士が整合した正規の位置に仮保持される。そののち図示7箇所において、リベット孔63,78に対してリベット63Aが打ち込まれることにより、伝熱プレート70がエアダクト50に固定される。
【0030】
この伝熱プレート70の取り付けに伴い、排水路65の入口65Aの手前側でコ字形に塗布された第2コーキング材95が伝熱プレート70との間で圧縮され、これが固化することで第2防水シール92が形成される。
それとともに、排水口74から突設されたカバー75が、排水路65の中央高さ位置よりも少し上方位置に嵌められる。なお、排水路65の基端側の回りには、パッキン66(
図12参照)が嵌着される。
【0031】
リベット63Aの打ち込みによる伝熱プレート70の取り付けが完了したら、
図9ないし
図11に示すように、伝熱プレート70における左右の側縁と、エアダクト50の底面50Aとの間の隙間に、シール用のコーキング材94(以下、第1コーキング材94)が塗布されて充填される。第1コーキング材94が固化することによって、伝熱プレート70における左右の側縁と、エアダクト50の底面50Aとの間に、全長に亘って第1防水シール91が形成される。
【0032】
そののち、第1凍結防止ヒータ81のリード線81Aが、エアダクト50の右側壁51と右側の取付板52との間を通って前方に配線され、途中をパースロック62に保持されて導出される。また、第2凍結防止ヒータ82のリード線84も、途中を同パースロック62に保持される。
次に、
図12に示すように、3個の吸込口35にそれぞれ冷却ファン36が載置され、対角の2位置においてねじ60で止められて固定される。各冷却ファン36のリード線36Aも一纏めにされたのち、途中を同パースロック62で保持されて導出される。
【0033】
このようにエアダクト50に対して、第1及び第2の凍結防止ヒータ81,82が配線された伝熱プレート70、並びに冷却ファン36が装着されたら、
図3に示すように、エアダクト50が貯蔵室15の天井壁15Aにおける窓孔32の下面側に取り付けられる。
それには、
図4に参照して示すように、エアダクト50の後縁に突設された排水路65を、背面壁15Bの排水用通路49の上端部に差し込みながら、左右の取付板52が窓孔32の左右の周面に沿って下方から入れられ、各取付板52の前後の掛止部53が、それぞれ対応する窓孔32の前後の突部32Aに掛止されて仮保持される。このとき併せて、エアダクト50から引き出された凍結防止ヒータ81,82のリード線81A,84と、冷却ファン36のリード線36Aとが、冷凍ユニット23の基台24に設けられた挿通孔(図示せず)を通して、機械室22内に導出される。
【0034】
最後に、エアダクト50の前縁側に設けられた3箇所の取付座55の挿通孔57にねじを通し、天井壁15Aのねじ孔に螺合して締め付けることによりエアダクト50が固定され、エアダクト50の取り付けが完了する。
エアダクト50が取り付けられると、
図3に示すように、排水路65が貯蔵室15の背面壁15Bに設けられた排水用通路49の上端部内に臨んだ状態となる。
伝熱プレート70に配線された第2凍結防止ヒータ82は、冷却器29における前端部の下方に位置する。また、伝熱プレート70に突設された3本の保護リブ89の上に、冷却器29の下面における前縁から所定寸法入った位置が受けられ、第2凍結防止ヒータ82が保護される。
【0035】
冷却運転は、既述したように、貯蔵室15内に冷気が循環流通されることで行われ、これが継続されると、冷却器29等に次第に着霜する。本実施形態の冷蔵庫では、庫内空気が前面側から冷却器29を流通することで冷気が生成される形式であるため、冷却器29の前面側に特に着霜しやすいと言える。そのため、冷却運転の途中で適宜に除霜運転が行われ、この除霜運転は、冷却器29に設けられた除霜ヒータ40に通電して加熱することで行われ、併せて第1と第2の凍結防止ヒータ81,82に通電される。
除霜運転により、冷却器29等に付着した霜が溶けて除霜水となってエアダクト50上に滴下し、その底面50Aの傾斜に倣って奥まで流下し、排水路65を通って背面壁15Bの排水用通路49を流下したのち、ドレンホースを介して所定の排水箇所に排水される。
【0036】
この間、冷却器29等から霜が塊となって落下する可能性があるが、冷却器29の下面側には、金属製の伝熱プレート70が貼られて第2凍結防止ヒータ82により加熱されているから、落下した塊が伝熱プレート70の熱で融かされ、除霜水となって排水口74に向けて流下する。特に、冷却器29の前面側から霜の塊が落ちやすいと言えるが、冷却器29の前面の下方には第2凍結防止ヒータ82が正に配設されて最も高温となっているから、霜の塊も効率よく融かされる。
【0037】
また、霜の塊が伝熱プレート70上では融け切れず、伝熱プレート70の奥壁73に当たったまま残ったり、排水路65に侵入してその中に留まったりする可能性もあるが、奥壁73の裏側や、排水路65に装着されたカバー75には、第1凍結防止ヒータ81が配線されているから、残った霜の塊もその熱によって融かされ、除霜水となって速やかに排出される。
【0038】
なお、伝熱プレート70の左右両側縁側に霜の塊が落下すると、同位置は十分に高温となっていない可能性があるために、完全には溶け切らずにシャーベット状の半氷結物として残るおそれがある。ここで、伝熱プレート70は支持リブ68に載せられて浮いた状態にあり、すなわち伝熱プレート70の下面側に比較的大きな隙間が確保されているが故に、伝熱プレート70の左右の側縁の隙間から半氷結物が浸入することが懸念される。
それに対して本実施形態では、伝熱プレート70における左右の側縁とエアダクト50の底面50Aとの間には、第1コーキング材94が詰められることで第1防水シール91が施されているから、同位置から半氷結物が伝熱プレート70の下面側に浸入することが防止される。
【0039】
また、排水路65に溶け切っていない半氷結物が詰まり、それが次第に増えると入口65Aから手前側に延びて、伝熱プレート70の奥縁の隙間から浸入することも懸念される。
それに対して本実施形態では、排水路65の入口65Aの手前側に、第2コーキング材95からなるコ字形の第2防水シール92が施されているから、第2防水シール92で遮られて、それ以上半氷結物が浸入することが防止される。
そのため次の冷却運転において、半氷結物が伝熱プレート70の下面側で氷結するおそれがない。
【0040】
以上のように本実施形態によれば、伝熱プレート70を支持リブ68に載せることでエアダクト50の底面50Aから浮いた状態で支持し、伝熱プレート70とエアダクト50の底面50Aとの間に毛細管現象を生じさせない程度の隙間を確保したから、仮に伝熱プレート70の下面側に除霜水が浸入したとしても、支持リブ68の間を通りつつエアダクト50の底面50A上を流下し、伝熱プレート70とエアダクト50との間で留まるおそれがない。そのため両者50,70の間で氷結することが回避され、例えば、氷結した薄い氷が融けることに起因して異音を発することが未然に防止される。
【0041】
一方、エアダクト50と伝熱プレート70との間に比較的広い隙間ができるのであるから、例えば伝熱プレート70上に溶け切らないで残ったシャーベット状の半氷結物が、伝熱プレート70の左右の側縁から浸入したり、あるいは排水路65に残った半氷結物が手前側に延びて伝熱プレート70の奥縁から浸入することが懸念されるが、それらの位置には、コーキング材94,95を塗布することで防水シール91,92が施されているから、半氷結物が浸入すること、ひいては伝熱プレート70とエアダクト50の底面50Aとの間で氷結することが防止される。
【0042】
仮に、半氷結物がエアダクト50と伝熱プレート70との間に浸入すると、同半氷結物は流下し難いために両者50,70の間に留まり、次の冷却運転の際に氷結しやすい。この氷結は嵩高となるために、伝熱プレート70とエアダクト50の間が大きく開くように作用し、伝熱プレート70は冷却器29の下面に当たる一方で、エアダクト50は押し下げられるために、取付板52に設けられたところの、窓孔32の前後の突部32Aに掛止された掛止部53に過大な負荷が掛かるおそれがある。それに対して本実施形態では、氷結が防止されて伝熱プレート70とエアダクト50との間の開きが防止されるから、掛止部53に過大な負荷が掛かることが防止される。
【0043】
また、氷結が防止されることで、伝熱プレート70が支持リブ68を介してではあるがエアダクト50に密着でき、伝熱プレート70の熱がエアダクト50に対して伝わりやすい。したがって、エアダクト50上に落下した霜の塊が溶融しやすくなって、氷の成長を未然に防止できる。
【0044】
<実施形態2>
伝熱プレートの左右の側縁とエアダクトとの間に防水シールを施す手段として、図示はしないが以下のような手段を講じてもよい。
エアダクト50としてまず、左右の取付板52が形成されていない形状のものを一次成形し、その底面に伝熱プレート70を載置したのち、左右の取付板52を二次成形により一体成形することに伴い、伝熱プレート70の左右の側縁とエアダクト50の底面50Aとの間を樹脂で埋めることにより、防水シールが施される。
【0045】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)エアダクトの排水路の入口の回りをシールする第2防水シールについては、これを割愛してもよく、そのようなものも本発明の技術的範囲に含まれる。
(2)支持リブ上に伝熱プレートを仮止めする手段として、上記実施形態に例示したコーキング材以外に、他の接着剤を用いてもよい。また、第2防水シールを形成する第2コーキング材に仮止め手段を兼用させてもよい。さらに仮止め手段を割愛してもよい。
(3)伝熱プレートを浮いた状態に支持する支持リブに関し、その数や形状については適宜に変更してもよい。また、支持リブを設けることに代えて、例えばボスのようなものをマトリックス状に配置する等の他の構造を採用してもよい。
(4)さらに本発明は、伝熱プレートを浮いた状態に支持する手段を講じていないものについても、同様に適用することができる。
【0046】
(5)伝熱プレートをエアダクトに固定する手段としては、上記実施形態に例示したリベット以外に、ねじ等を用いてもよい。
(6)伝熱プレートに配される凍結防止ヒータは、いずれか一方であってもよく、また配線の位置も変更可能である。
(7)エアダクトは、冷蔵庫本体の一方の側壁に向けて下り勾配となった姿勢で設けられるようになっていてもよい。
(8)本発明は冷蔵庫に限らず、冷凍庫、急速凍結庫等、要はドレンパンを兼ねたエアダクトが合成樹脂製であって、同エアダクト上にヒータが設けられた金属製の伝熱プレートが敷かれた構造になる冷却貯蔵庫全般に広く適用することができる。