(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
DRAMなどの半導体記憶装置では、メモリセルにデータが格納される。メモリセルは、アクセストランジスタとキャパシタで構成される。キャパシタは一対のビット線のうちの一方にアクセストランジスタを介して接続される。データの書き込み時には、一方のビット線がハイレベル(電源電位)になり、他方のビット線がローレベル(接地電位)になるように制御された状態で、アクセストランジスタがオンにされる。これにより、メモリセルは、ハイレベルまたはローレベルに相当する論理値をキャパシタに電荷を保持することで記憶している。スタンバイ時には、一対のビット線が、参照電位Vrefになるようにプリチャージされる。データを読み出す際には、選択トランジスタがオンにされ、キャパシタに保持された電荷に基づいて、一方のビット線の電位が参照電位Vrefから僅かに変化しビット線対に電位差が生じる。生じた電位差は、センスアンプ回路によって増幅され、外部回路に出力データとして読み出される。
【0003】
ここで、参照電位Vrefとしては、一般的に、接地電圧GNDと電源電位VDDとの間の中点電圧である1/2VDD(以下、HVDD)が用いられる。
【0004】
半導体記憶装置に対しては、セルホールド特性を向上させることが望まれる。セルホールド特性を向上させるために、参照電位VrefをHVDDよりも低い電圧に設定することが知られている。メモリセルとビット線対の一方との間には、スイッチ回路として、通常、NMOSトランジスタが設けられる。メモリセルにハイレベルのデータが格納されている場合、メモリセルの電荷が、NMOSトランジスタのバックバイアス側に漏洩し、メモリセルの電荷が失われてしまう場合がある。その結果、読み出し時に、ビット線の電位が十分に上昇せず、ビット線対の電位差が増幅され難くなる。ここで、参照電位Vrefを低く設定すれば、参照電位Vrefとビット線電位との差電位が広がる。従って、読み出しマージンを高くすることが可能になる。
【0005】
上記に関連して、特許文献1(特開2010−73299号公報)には、半導体装置の速度低下を防ぎつつ、データのホールド特性を改善することが可能となる技術が開示されている。以下に、特許文献1に記載された半導体記憶装置について説明する。
【0006】
図1は、特許文献1に記載された半導体記憶装置100を示す回路図である。この半導体記憶装置100は、参照電位電源回路102、第1メモリ回路101−1、及び第2メモリ回路101−2を備えている。参照電位電源回路102は、参照電位Vrefを参照電位配線108に供給する。
【0007】
第1メモリ回路101−1は、複数のビット線対(D11−DB11、D12−DB12)、センスアンプ回路(103−1、103−2)、プリチャージ回路(104−1、104−2)、プルダウン回路105−1、及び複数のメモリセル(106−1、106−2)を備えている。メモリセル106−1は、スイッチ回路を介してビット線D11に接続され、メモリセル106−2は、スイッチ回路を介してビット線D12に接続されている。これらのスイッチ回路は、ワード線WL0が選択されたときに、オンになる。センスアンプ回路103−1は、制御信号SE0がオンの場合に、ビット線対(D11−DB11)間の電位差を増幅する。センスアンプ回路103−2は、制御信号SE0がオンの場合に、ビット線対(D12−DB12)間の電位差を増幅する。プリチャージ回路104−1は、制御信号PDL0Gがオンの場合に、ビット線対(D11−DB11)を参照電位配線108に接続する。プリチャージ回路104−2は、制御信号PDL0がオンの場合に、ビット線対(D12−DB12)を参照電位配線108に接続する。プルダウン回路105−1は、制御信号PGL0がオンの場合に、ビット線対(D11−DB11)を接地電位GNDになるようにプルダウンする。尚、複数のビット線対(D11−DB11、D12−DB12)に含まれる複数のビット線間には、寄生容量107が生じている。
【0008】
第2メモリ回路101−2は、第1メモリ回路101−2と同様の構成を有している。すなわち、第2メモリ回路101−2は、複数のビット線対(D22−DB22、D21−DB21)、センスアンプ回路(103−3、103−4)、プリチャージ回路(104−3、104−4)、プルダウン回路105−2、及び複数のメモリセル(106−3、106−4)を備えている。ワード線WL1が選択されたときに、メモリセル106(106−3、106−4)は、それぞれ、ビット線(D22、D21)に接続される。センスアンプ回路(103−3、103−4)は、制御信号SE1により制御される。プリチャージ回路(104−3、104−4)は、制御信号(PDL1G、PDL1)により制御される。プルダウン回路105−2は、制御信号PGL1により制御される。
【0009】
上述の半導体記憶装置100の動作方法について説明する。半導体記憶装置100においては、第1メモリ回路101−1が選択されている場合、第2メモリ回路101−2は、非選択状態になるように制御され、ダミーのメモリ回路として動作する。
図2及び
図3を参照して、第1メモリ回路101−1においてデータが読み出される場合の動作について説明する。
図2及び
図3は、半導体記憶装置100の動作方法を示すタイミングチャートである。
図2には、各信号の波形が示されている。
図3には、ビット線(D11、D12、D21、D22、DB11、DB12、DB21、DB22)の電位が示されている。
【0010】
図2に示されるように、読み出し処理が行われる前のスタンバイ期間(時刻t1以前)においては、制御信号(PDL0、PDL0G、PDL1、PDL1G)として、それぞれ、ハイレベルの信号が与えられている。その結果、各メモリ回路(101−1、101−2)において、プリチャージ回路104(104−1〜104−4)がオン状態になっている。すなわち、全てのビット線(D11、D12、D21、D22、DB11、DB12、DB21、DB22)は、参照電位配線108に接続される。これによって各ビット線は、参照電位Vrefになるようにプリチャージされている(
図3参照)。
【0011】
図2に示されるように、読み出し時には、時刻t1において、制御信号(PDL0、PDL0G、PDL1G)がローレベルに切り替えられる。これにより、ビット線対(D11−DB11、D12−DB12、D22−DB22)において、プリチャージ状態が解除される。
【0012】
次いで、時刻t2において、ワード線WL0がオンにされる。すなわち、第1メモリ回路101−1におけるワード線WL0が選択される。第1メモリ回路101−1において、メモリセル(106−1及び106−2)が、それぞれ、ビット線(D11及びD12)に接続される。ここで、メモリセル106−1及び106−2のそれぞれに、ハイレベルのデータが格納されていたとする。この場合、
図3に示されるように、ビット線(D11、D12)の電位は、参照電位Vrefから、僅かに上昇する。また、
図2に示されるように、時刻t2においては、制御信号PGL1がハイレベルになるように切り替えられる。これにより、第2メモリ回路101−2において、プルダウン回路105−2が動作し、ビット線対D22−DB22が接地電位GNDになるようにプルダウンされる。
【0013】
次いで、時刻t3において、制御信号SE0がハイレベルになるように制御される。これにより、第1メモリ回路101−1において、センスアンプ回路103−1、103−2が動作し、ビット線対(D11−DB11、D12−DB12)の電位差が増幅される。すなわち、
図3に示されるように、ビット線D11及びD12の電位は、電源電位VDDにまで引き上げられ、ビット線DB11及びDB12の電位は、接地電位GNDにまで引き下げられる。この状態で、増幅された電位差が図示しない外部回路に出力データとして読み出される。
【0014】
読み出し処理の終了後、
図2に示されるように、時刻t4において、ワード線WL0がオフにされ、制御信号SE0及びPGL1がローレベルに変更される。次いで、時刻t5において制御信号PDL0、PDL0G、及びPDL1Gがオンにされる。これにより、全てのビット線対(D11−DB11、D12−DB12、D22−DB22、D21−DB21)が、参照電位配線108を介して電気的に接続される。その結果、これらのビット線対間で、チャージシェアが行なわれる。チャージシェア前において、ビット線D11及びD12の電位は電源電位VDDであり、ビット線(DB11、DB12、D22、DB22)の電位は接地電位GNDである。従って、チャージシェアの結果、
図3に示されるように、各ビット線の電位は、平均化され、1/3VDD(参照電位Vref)になる。尚、参照電位電源回路102は、参照電位Vrefとして1/3VDDを生成している。すなわち、ビット線D21及びDB21の電位は、参照電位Vrefであり、チャージシェアに影響を及ぼさない。尚、チャージシェア後の電圧である参照電位Vrefは、チャージシェア時に参照電位配線108に接続されるビット線の本数を変えることにより、制御できる。
【0015】
上述の半導体記憶装置100によれば、参照電位Vrefとして、1/2VDDよりも低い電圧を設定することが可能になる。また、第1メモリ回路100−1が選択されている場合に、第2メモリ回路100−2は非選択になるように設定されている。そのため、第1メモリ回路100−1において読み出し動作が行われている期間において、第2メモリ回路100−2におけるビット線対(D22−DB22)の電圧をプルダウンすることができる。プルダウン処理は、チャージシェア処理のためのセットアップ動作とも言える。第1メモリ回路100−1においてデータを読み出ししている間に、セットアップ動作を行うことができるので、回路動作を高速化することができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(概要)
まず、本発明の概要について説明する。
図5は、本発明に係る半導体記憶装置1を概略的に示す回路図である。
【0027】
図5に示されるように、半導体記憶装置1は、参照電位制御回路2、ビット線対(D、DB)、メモリセル3、ワード線ドライバ5、センスアンプ回路6、ワード線WL、及びデータバス7を備えている。メモリセル3は、キャパシタとアクセストランジスタ4とを有している。メモリセルの一端は接地され、他端はアクセストランジスタ4を介してビット線Dに接続されている。尚、実際には、ワード線WLは、複数設けられている。ビット線対も、複数設けられている。メモリセル3も、複数のワード線WL及び複数のビット線対に対応して、複数設けられている。
【0028】
ワード線ドライバ5は、アドレス信号(不図示)に応じて複数のワード線WLのいずれかを選択する機能を有している。ワード線WLが選択されると、対応するアクセストランジスタ4がオンになり、対応するメモリセル3がビット線対(D、DB)のうちの一方と電気的に接続される。
【0029】
データバス7は、データの読み出し、及び書込みを行なう部分である。ビット線対(D、DB)は、データバス7に接続されている。
【0030】
センスアンプ回路6は、ビット線対(D、DB)間に生じた電位差を増幅させる為に設けられている。センスアンプ回路6は、一対のPMOSトランジスタ(T1、T2)、及び一対のNMOSトランスジスタ(T3、T4)を有している。一対のPMOSトランススタ(T1、T2)の共通ソースは、制御信号SPが供給される配線に接続されている。一対のNMOSトランススタ(T3、T4)の共通ソースは、制御信号SNが供給される配線に接続されている。トランジスタT1及びT3は、直列に接続されている。トランジスタT2及びT4は、直列に接続されている。トランジスタT1及びT3のゲートは、トランジスタT2とトランジスタT4との間の接続点に接続されている。トランジスタT2及びT4のゲートは、トランジスタT1とトランジスタT3との間の接続点に接続されている。トランジスタT1とトランジスタT3との間の接続点は、ビット線Dに接続されている。トランジスタT2とトランジスタT4との間の接続点は、ビット線DBに接続されている。このセンスアンプ回路6は、制御信号SPとしてハイレベルの信号が供給され、制御信号SNとしてローレベルの信号が供給されたときに、ビット線対D,DB間の電位差を増幅する。ここで、一対のNMOSトランジスタ(T3、T4)のゲート閾値電圧は、VTNである。
【0031】
参照電位制御回路2は、参照電位としてVrefを出力し、ビット線対(D,DB)に対して参照電位Vrefを供給するものである。
【0032】
この半導体記憶装置1において、データを書き込む際には、データバス7を介して、ビット線対(D、DB)のうちの一方がハイレベル(電源電位VDD)になり、ビット線対(D、DB)のうちの他方がローレベル(接地電位GND)になる。その後、ワード線ドライバ5により、ワード線WLが選択される。これにより、アクセストランジスタ4がオンになり、メモリセル3とビット線Dとが電気的に接続される。ビット線Dの電位がハイレベルである場合には、メモリセル3にハイレベルのデータが書き込まれ、ビット線Dの電位がローレベルである場合には、メモリセル3にローレベルのデータが書き込まれる。
【0033】
データの書込み後、ビット線対D、DBは、参照電位Vrefになるようにプリチャージされる。データを読み出す場合には、ビット線対(D、DB)のプリチャージ状態が解除された後、ワード線ドライバ5により、読みし対象のワード線WLが選択される。その結果、メモリセル3がビット線Dと接続される。メモリセル3にハイレベルのデータが格納されている場合には、ビット線Dの電位が僅かに上昇し、メモリセル3にローレベルのデータが格納されている場合には、ビット線Dの電位が僅かに減少する。次いで、制御信号SPとしてハイレベルの信号が、制御信号SNとしてローレベルの信号がそれぞれ供給される。その結果、センスアンプ回路6が動作し、ビット線対D、DB間の電位差が増幅される。増幅された電位差は、データバス7を介して外部回路(図示せず)によって読み出される。
【0034】
ここで、スタンバイ期間(データの書込み期間及びデータの読み出し期間の経過後)には、参照電位制御回路2が、ビット線対(D、DB)の電位を、参照電位Vrefになるように制御する。
図6は、参照電位Vrefと、電源電位VDDとの関係を示すグラフであり、横軸は電源電位VDDを示し、縦軸は電圧を示している。
図6には、直線(1)及び直線(2)が示されている。直線(1)及び(2)は、下記式(1)で表される直線である。
(数式1):Vref=a×VDD+b (a<1/2、b>0)
【0035】
ここで、参照電位制御回路2は、参照電位Vrefが、上式(1)で表されるように、ビット線対(D、DB)の電位を制御する。このような高さになるように参照電位Vrefを制御することによって、電源電位VDDが高い場合に参照電位Vrefの値が必要以上に高くなってしまうことが防止される。また、電源電位VDDが低い場合に、参照電位Vrefの値が必要以上に低くなってしまうことを防止できる。すなわち、電源電位VDDの高さが変動した場合におけるセルホールド特性の悪化を防止できる。
【0036】
以下に、本発明の実施形態を説明することにより、本発明を詳細に説明する。
【0037】
(第1の実施形態)
図7は、本実施形態に係る半導体記憶装置1を示す概略図である。
図7に示されるように、本実施形態に係る半導体記憶装置1は、参照電位制御回路2、第1メモリ回路11−1、及び第2メモリ回路11−2を備えている。
【0038】
本実施形態に係る半導体記憶装置1は、以下の点において、
図1に示した半導体記憶装置100とは異なっている。
図1に示した半導体記憶装置100においては、各メモリ回路101−1、101−2に、プルダウン回路(105−1、105−2)が設けられている。そして、一方のメモリ回路101−1においてデータの読み出しが行なわれている期間に、他方のメモリ回路101−2において、プルダウン回路105が動作し、ビット線対(D22−DB22)が接地電位GNDにプルダウンされる。これに対して、本実施形態では、プルダウン回路105の代わりに、ダミービット線レベル切替回路17(17−1、17−2)が設けられている。また、参照電位制御回路2には、ダミービット線電位DBLを発生させるダミービット線電位発生回路13が設けられている。そして、一方のメモリ回路(第1メモリ回路11−1)においてデータが読み出されている期間に、他方のメモリ回路(第2メモリ回路11−2)において、ダミービット線レベル切替回路17−2がオンにされ、ビット線対D22−DB22の電位がダミービット線電位DBLになるように制御される。ここで、ダミービット線電位発生回路13は、電源電位VDDに基づいて、ダミービット線電位DBLを決定する。その後、
図1に示した半導体記憶装置100と同様に、ビット線対(D11−DB11、D12−DB12、D22−DB22、D21−DB21)間で、チャージシェアが行なわれる。チャージシェア後のビット線対の電位(D11−DB11、D12−DB12、D22−DB22、D21−DB21)は、ビット線対D22−DB22に与えられていたダミービット線電位DBLに依存する。すなわち、ダミービット線電位発生回路13は、ダミービット線電位DBLを制御することにより、チャージシェア後のビット線対電位を制御する。つまり、電源電位VDDに応じて、チャージシェア後のビット線電位を1/2VDD以下の適切な値に設定することができるので、電源電位VDDの高さが変動した場合であっても、セルホールド特性の悪化を防止できる。尚、その他の点については、
図1に示した半導体記憶装置100と同様である。
【0039】
以下に、本実施形態に係る半導体記憶装置1を詳細に説明する。
【0040】
参照電位制御回路2は、既述のように、参照電位Vrefを制御する回路である。参照電位制御回路2は、参照電位生成回路12、及びダミービット線電位発生回路13を備えている。参照電位生成回路12は、参照電位配線9に接続されており、参照電位配線9に、参照電位Vrefを供給する機能を有している。尚、チャージシェアした後のビット線は参照電圧生成回路から供給されるVrefによってその電位が設定される。このときの参照電位Vrefは、チャージシェア後のビット線電位と同電位となるように生成される。一方、ダミービット線電位発生回路13は、電源電位VDDの電位に基づいて、ダミービット線電位DBLの電位を決定し、ダミービット線電位DBLを生成する機能を有している。
【0041】
次いで、第1メモリ回路11−1の構成を説明する。
【0042】
第1メモリ回路11−1は、複数(本実施形態では2つ)のビット線対(D11−DB11、D12−DB12)、セルプレート15−1、及びセンスアンプエリア(14−1、14−2)を備えている。
【0043】
セルプレート15−1は、複数のメモリセル18(18−1、18−2)を備えている。メモリセル18−1は、キャパシタ3−1及びアクセストランジスタ4−1を備えている。キャパシタ3ー1は、アクセストランジスタ4−1を介して、ビット線D11に接続されている。アクセストランジスタ4−1は、NMOSトランジスタにより実現され、そのゲートは、ワード線WL10に接続されている。一方、メモリセル18−2は、キャパシタ3−2及びアクセストランジスタ4−2を備えている。メモリセル3−2は、アクセストランジスタ4−2を介して、ビット線D12に接続されている。アクセストランジスタ4−2は、NMOSトランジスタにより実現され、そのゲートは、ワード線WL10に接続されている。
【0044】
尚、図示されていないが、セルプレート15−1には、複数のワード線WL10が設けられており、複数のワード線WL10に対応して、複数のメモリセル18が設けられている。選択時(読み出し時又は書き込み時)には、複数のワード線WL10のうちのいずれかが選択され、選択されたワード線WL10に対応するメモリセル18において、キャパシタ3がビット線に接続される。
【0045】
センスアンプエリア14−1は、ビット線対(D11−DB11)の電位を制御する部分である。センスアンプエリア14−1には、センスアンプ回路6−1、プリチャージ回路16−1、及びダミービット線レベル切替回路17−1が設けられている。
【0046】
センスアンプ回路6−1は、ビット線対(D11−DB11)に生じた電位差を増幅する回路である。センスアンプ回路6−1の動作は、制御信号SE11によって制御される。制御信号SE11が活性化され(例えば、ハイレベル)たとき、センスアンプ回路6−1は、ビット線対(D11−DB11)に生じた電位差を増幅する。
【0047】
プリチャージ回路16−1は、ビット線対(D11−DB11)と、参照電位配線9との間の電気的接続を切り替える回路である。プリチャージ回路16−1は、制御信号PDL11により制御される。制御信号PDL11が活性化されたとき、プリチャージ回路16−1は、ビット線対(D11−DB11)を短絡させると共に、参照電位配線9に電気的に接続する。具体的には、プリチャージ回路16−1は、トランジスタTr131、Tr132、及びTr133を備えている。トランジスタTr131は、ビット線D11とビット線DB11間に接続されている。トランジスタTr132は、ビット線D11と参照電位配線9間に接続される。Tr133は、ビット線DB11と参照電位配線9との間に接続されている。トランジスタTr131、Tr132、及びTr133のゲートは、参照電位制御回路2から制御信号PDL11が供給されている。
【0048】
ダミービット線レベル切替回路17−1は、ビット線対(D11−DB11)と、ダミービット線電位発生回路13との間の電気的接続を切り替える回路である。ダミービット線レベル切替回路17−1は、制御信号PDG11により制御される。制御信号PDG11が活性化されたとき、ダミービット線レベル切替回路17−1は、ビット線対(D11−DB11)を、ダミービット線電位発生回路13に接続する。これにより、ビット線対(D11−DB11)の電位が、ダミービット線電位DBLになるように制御される。具体的には、ダミービット線レベル切替回路17−1は、トランジスタTr151及びTr152を有している。トランジスタTr151は、ビット線D11とダミービット線電位発生回路13間に接続される。Tr152は、ビット線DB11とダミービット線電位発生回路13間に接続されている。トランジスタTr151及びトランジスタTr152のゲートは、参照電位制御回路2から制御信号PDG11が供給されている。
【0049】
一方、センスアンプエリア14−2は、ビット線対(D12−DB12)の電位を制御する部分である。センスアンプエリア14−2は、センスアンプエリア14−1と同様に、センスアンプ回路6−2、及びプリチャージ回路16−2を有している。但し、センスアンプエリア4−2に、ダミービット線レベル切替回路17は設けられていない。センスアンプ回路6−2は、ビット線対(D12−DB12)に生じた電位差を増幅するために設けられており、制御信号SE12により制御される。また、プリチャージ回路16−2は、トランジスタTr141、Tr142、Tr143を備えており、制御信号PDL12により制御される。すなわち、制御信号PDL12が活性化されたとき、プリチャージ回路16−2は、ビット線D12とビット線DB12とを短絡させると共に、参照電位配線9に接続する。
【0050】
続いて、第2メモリ回路11−2について説明する。第2メモリ回路11−2も、第1メモリ回路11−1と同様の構成を有している。すなわち、第2メモリ回路11−2は、複数(2つ)のビット線対(D21−DB21、D22−DB22)、セルプレート15−2、及びセンスアンプエリア(14−3、14−4)を有している。
【0051】
セルアレイプレート15−2には、ワード線WL20、メモリセル(18−3、18−4)が設けられている。各メモリセル(18−3、18−4)は、キャパシタ(3−3、3−4)、及びアクセストランジスタ(4−3、4−4)を有している。
【0052】
センスアンプエリア14−3は、ビット線対(D22−DB22)に対応して設けられており、センスアンプ回路6−3、プリチャージ回路16−3、及びダミービット線レベル切替回路17−2を有している。センスアンプ回路6−3は、制御信号SE22により制御される。プリチャージ回路16−3は、トランジスタTr231、232、233を有しており、制御信号PDL22により制御される。ダミービット線レベル切替回路17−2は、トランジスタTr251、Tr252を有しており、制御信号PDG22により制御される。
【0053】
センスアンプエリア14−4は、ビット線対(D21−DB21)に対応して設けられており、センスアンプ回路6−4、及びプリチャージ回路16−4を有している。センスアンプ回路6−4は、制御信号SE21により制御される。プリチャージ回路16−4は、トランジスタTr241、242、243を有しており、制御信号PDL21により制御される。尚、センスアンプエリア14−4に、ダミービット線レベル切替回路17は設けられていない。
【0054】
続いて、本実施形態に係る半導体記憶装置1の動作方法について説明する。本実施形態においては、第1メモリ回路11−1が選択された場合、第2メモリ回路11−2は非選択になるように制御される。
【0055】
図8は、第1メモリ回路11−1においてデータが読み出される場合の動作を示すタイミングチャートである。尚、第1メモリ回路11−1において、メモリセル18−1及びメモリセル18−2には、それぞれ、ハイレベルのデータが格納されているものとする。
図8には、ワード線WL10、制御信号SE11/SE12、制御信号PDL11/PDL12、制御信号PDG11、ワード線WL20、制御信号SE12/SE22、制御信号PDL21、制御信号PDL22、及び制御信号PDG22の波形が示されている。また、
図9は、各ビット線(D11、D12、D21、D22、DB11、DB12、DB21、DB22)の電位を示すグラフである。
【0056】
図8及び
図9において、時刻t1以前は、スタンバイ期間である。また、時刻t1からt4までの期間は、第1メモリ回路11−1の読み出し期間である。時刻t4以降は、スタンバイ期間である。
【0057】
時刻t1以前において、参照電位制御回路2は、制御信号PDL11、PDL12、PDL21、及びPDL22として、ハイレベルの信号を供給する。これにより、各メモリ回路11(11−1、11−2)において、プリチャージ回路16(16−1〜16−4)がプリチャージ動作およびイコライジング動作を行なう。その結果、全てのビット線(D11、D12、D21、D22、DB11、DB12、DB21、DB22)は、参照電位配線9に接続される。すなわち、スタンバイ期間において、ビット線(D11、D12、D21、D22、DB11、DB12、DB21、DB22)の電位は、参照電位生成回路12によって生成される参照電位Vrefである。
【0058】
図8に示されるように、時刻t1において、制御信号PDL11、PDL12がローレベルに切り替えられる。また、制御信号PDL22も、ローレベルに切り替えられる。これにより、選択された第1メモリ回路11−1において、ビット線対D11−DB11、D12−DB12のプリチャージ状態が解除される。また、非選択の第2メモリ回路11−2においては、ビット線対D22−DB22のプリチャージ状態が解除される。但し、ビット線対D21−DB21については、制御信号PDL21が変化せず、プリチャージ状態が維持されている。
【0059】
続く時刻t2に、第1メモリ回路11−1においてワード線WL10が選択される。すなわち、ワード線WL10にハイレベルの信号が供給される。これにより、第1メモリ回路11−1においては、キャパシタ3−1がビット線D11と電気的に接続され、キャパシタ3−2がビット線D12と電気的に接続される。既述のように、キャパシタ3−1及びキャパシタ3−2には、それぞれ、ハイレベルのデータが格納されている。そのため、
図9に示されるように、ビット線D11及びD12の電位は、参照電位Vrefから僅かに上昇する。
【0060】
一方、時刻t2においては、
図8に示されるように、制御信号PDG22がハイレベルに切り替えられる。その結果、第2メモリ回路11−2において、ダミービット線レベル切替回路17−2により、ビット線対D22−DB22がダミービット線電位発生回路13と電気的に接続される。その結果、
図9に示されるように、ビット線対D22−DB22の電位は、ダミービット線電位DBLになるように、変化する。
【0061】
その後、
図8に示されるように、時刻t3において、制御信号SE11及びSE12がハイレベルに切り替えられる。その結果、第1メモリ回路11−1において、センスアンプ回路6(6−1、6−2)が活性化する。すなわち、センスアンプ回路6−1がビット線対D11−DB11の電位差を増幅し、センスアンプ回路6−2がビット線対D12−DB12の電位差を増幅する。その結果、
図9に示されるように、ビット線D11及びD12の電位は、電源電位VDDにまで引き上げられ、ビット線DB11及びDB12の電位は、接地電位GNDになるように引き下げられる。そして、増幅された電位差が、データバス(図示せず)を介して読み出される。
【0062】
その後、
図8に示されるように、時刻t4において、ワード線WL10に供給される信号、制御信号SE11、SE12、及び制御信号PDG22が、ローレベルに切り替えられる。また、続く時刻t5において、制御信号PDL11、PDL12、及びPDL22が、ハイレベルに切り替えられる。プリチャージ回路16−1、16−2、16−3がプリチャージ動作及びイコライジング動作を行なう。その結果、ビット線対D11−DB11、D12−DB12、D22−DB22が、参照電位配線9を介して電気的に接続される。よって、ビット線D11−DB11、D12−DB12、D22−DB22間においてチャージシェアが行なわれ、ビット線D11−DB11、D12−DB12、D22−DB22の電位は、平均化される。このときは、たとえば、1/3VDD+1/3DBL(DBL:ダミービット線電位)になる。尚、ビット線(D21−DB21)は、チャージシェア前から参照電位Vrefであるので、電荷シェアには影響しない。このため、参照電位生成回路から供給される参照電位Vrefを、上記チャージシェアを行なった結果の電位に設定しておくことで、ビット線(D21−DB21)は上述したチャージシェアにほとんど関係せず、電位の変化も起こらない。
【0063】
上述のように、チャージシェア後のビット線対の電位は、チャージシェア前におけるビット線対(D11−DB11、D12−DB12、D22−DB22)の電位によって、決められる。従って、チャージシェア後のビット線対の電位は、ビット線対(D22−DB22)の電位であるダミービット線電位DBLの電位によって決まる。ここで、本実施形態においては、ダミービット線電位発生回路13(
図7参照)が、電源電位VDDの高さに基づいて、ダミービット線電位DBLの電位を可変にすることによって、チャージシェア後のビット線対の電位を適切な高さに設定することが可能となる。
【0064】
図10は、電源電位VDD、ダミービット線電位DBL、及び参照電位Vrefの関係を示すグラフである。
図10に示されるように、ダミービット線電位発生回路13は、電源電位VDDが低いときにダミービット線電位DBLが高くなり、電源電位VDDが高いときにダミービット線電位DBLが低くなるように、ダミービット線電位DBLの電位を決定する。
【0065】
このように、電源電位VDDが高くなった場合には、参照電位Vrefを1/2VDDに比べて十分に低い電圧に設定することができる。一方、電源電位VDDが低くなった場合には、参照電位Vrefを1/2VDDに近い電圧に設定することができる。したがって、電源電位VDDが低下した場合であっても、参照電位Vrefが必要以上に低くならず、ロウレベルデータを読み出す場合であっても、センスアンプの読み出しマージンを確保することができる。また、ダミービット線電位DBLを、1/2VDDよりは低いが接地電位GNDよりも高い電位にすることで、ダミービット線電位DBLが与えられるビット線対に接続されるメモリセルのデジットディスターブホールド(DDH)特性の悪化を防ぐこともできる。なお、従来技術と同様に、1/2VDDよりも低電位でビット線をプリチャージしているため、メモリセルのハイレベルデータのホールド特性を改善する効果は変わらない。さらに、ダミービット線電位を供給する動作を、データ読み出し期間に行ない、チャージシェアを行なっているため、回路動作の高速化する効果も維持される。
【0066】
尚、本実施形態においては、第1メモリ回路11−1における複数(2つ)のビット線対(D11−DB11、D12−DB12)と、第2メモリ回路11−2における複数(2つ)のビット線対(D21−DB21、D22−DB22)との間でチャージシェアが行なわれる場合について説明した。但し、必ずしも、これらのビット線対(D11−DB11、D12−DB12、D21−DB21、D22−DB22)間でチャージシェアが行なわれる必要はない。例えば、一方のメモリ回路11−1における1つのビット線対と、他方のメモリ回路11−2における1つのビット線対との間でチャージシェアが行われてもよい。また、チャージシェア時に、各ビット線対のうちの一方のビット線だけが参照電位配線9に接続されてもよい。参照電位配線9に接続されるビット線の本数を調整することにより、参照電位Vrefの高さを制御することも可能である。
【0067】
また、本実施形態においては、ダミービット線電位発生回路13が、電源電位VDDの高さに基づいて、ダミービット線電位DBLの高さを決定する場合について説明した。ここで、高温時には、メモリセルからのオフリークも増大する。そのため、高温時には、参照電位Vrefを低く設定することが望まれる。そこで、ダミービット線電位発生回路13は、更に、温度に基づいて、ダミービット線電位DBLの高さを決定することが好ましい。具体的には、ダミービット線電位発生回路13は、図示しない温度センサによる温度の測定結果に基づいて、高温時に、ダミービット線電位DBLが低くなり、低温時にダミービット線電位DBLが高くなるように、ダミービット線電位DBLの高さを決定することが好ましい。これにより、高温時に参照電位Vrefを下げることが可能となり、メモリセルホールド特性を改善することができる。
【0068】
また、本実施形態においては、データが読み出された場合の動作について説明した。但し、データが書き込まれた場合においても、時刻t4以降と同様の動作を行うことにより、参照電位Vrefの高さを制御することが可能である。
【0069】
(第2の実施形態)
続いて、第2の実施形態について説明する。
図11は、本実施形態に係る半導体記憶装置1を示す概略図である。尚、
図11には、第1メモリ回路11−1、第2メモリ回路11−2、及び参照電位制御回路2が示されている。また、本実施形態においては、第1の実施形態とは異なり、参照電位制御回路2にダミービット線電位発生回路13は設けられていない。
【0070】
まず、第1メモリ回路11−1の構成を説明する。第1メモリ回路11−1には、一対のビット線対D1−DB1、セルプレート15−1、センスアンプエリア14−5、及びYスイッチ回路YSW1が設けられている。
【0071】
セルプレート15−1には、複数のキャパシタ3、及び複数のアクセストランジスタ4が設けられている。各キャパシタ3は、各アクセストランジスタ4を介して、ビット線対(D1−DB1)の一方に接続されている。各アクセストランジスタ4は、複数のワード線WL1のうちの何れかにより制御され、対応するワード線WL1が選択された場合に、各キャパシタ3をビット線対(D1−DB1)の一方に接続する。複数のワード線WL1は、ワード線ドライバ5によって選択される。
【0072】
センスアンプエリア14−5には、センスアンプ回路6、イコライザ回路19、及びプリチャージ回路16が設けられている。
【0073】
センスアンプ回路6は、PMOSトランジスタT1、T2、及びNMOSトランジスタT3、T4を備えている。PMOSトランジスタT1、T2の共通ソースは、制御信号SP1が供給されるように、参照電位制御回路2に接続されている。NMOSトランジスタT3、T4の共通ソースは、制御信号SN1が供給されるように、参照電位制御回路2に接続されている。このセンスアンプ回路6は、制御信号SP1としてハイレベルの信号が供給され、制御信号SN1としてローレベルの信号が供給されたときに、ビット線対(D1−DB1)の電位差を増幅する。
【0074】
イコライザ回路19は、ビット線対(D1−DB1)を短絡させるために設けられている。イコライザ回路19は、制御信号EQ1によって制御され、制御信号EQ1がオン(ハイレベル)のときに、ビット線対(D1−DB1)を短絡する。
【0075】
プリチャージ回路16は、ビット線対(D1−DB1)を、参照電位配線9に接続する為に設けられている。プリチャージ回路16は、トランジスタT5、T6を備えている。トランジスタT5、T6は、ビット線D1とビット線DB1との間に直列に接続されている。トランジスタT5とトランジスタT6との間の接続点は、参照電位配線9に接続されている。トランジスタT5及びT6のゲートは、制御信号PDL1が供給されるように、参照電位制御回路2(図示せず)に接続されている。
【0076】
また、ビット線対(D1−DB1)は、Yスイッチ回路YSW1を介して、データバス線21に接続されている。読み出し時又は書込み時には、Yスイッチ回路YSW1がオンにされ、データバス線21を介してデータの読み出し又は書込みが行なわれる。
【0077】
続いて、第2メモリ回路11−2の構成を説明する。第2メモリ回路11−2も、第1メモリ回路11−1と同様の構成を有している。すなわち、第2メモリ回路11−2は、ビット線対(D2−DB2)、セルプレート15−2、センスアンプエリア14−6を有している。
【0078】
セルプレート15−2には、複数のキャパシタ3及び複数のアクセストランジスタ4が設けられており、各キャパシタ3は、各アクセストランジスタ4を介してビット線対(D2−DB2)の一方に接続されている。複数のアクセストランジスタ4は、複数のワード線WL2によって制御される。
【0079】
センスアンプエリア14−6には、センスアンプ回路6、イコライザ回路19、及びプリチャージ回路16が設けられている。センスアンプ回路6において、PMOSトランジスタT1、T2の共通ソースは、制御信号SP2が供給されるように、参照電位制御回路2に接続されている。また、NMOSトランジスタT3、T4の共通ソースは、制御信号SN2が供給されるように、参照電位制御回路2に接続されている。イコライザ回路19は、制御信号EQ2によって制御され、制御信号EQ2がオン(ハイレベルのときに)、ビット線対(D2−DB2)を短絡させる。プリチャージ回路16は、トランジスタT5及びT6を有しており、制御信号PDL2によって制御される。プリチャージ回路16は、制御信号PDL2がオンのとき、ビット線対(D2−DB2)を参照電位配線9に接続する。
【0080】
また、本実施形態において、制御信号SP1、SN1、EQ1、PDL1、SP2、SN2、EQ2、及びPDL2は、参照電位制御回路2によって供給される。
【0081】
続いて、本実施形態に係る半導体記憶装置1の動作方法を説明する。
図12は、本実施形態に係る半導体記憶装置1の動作方法を示すタイミング図である。
図12には、第1メモリ回路11−1からデータが読み出されるときの動作が示されている。
図12には、ビット線D1、DB1、D2、及びDB2の電位が示されている。また、
図12には、制御信号SP1、SN1、PDL1、EQ1、SN2、及びPDL2の波形が示されている。尚、制御信号EQ2はハイレベルに固定され、制御信号SP2はローレベルに固定される。
【0082】
図12において、時刻t1以前は、スタンバイ期間である。スタンバイ期間においては、制御信号SP1、SP2としてローレベルの信号が供給され、制御信号SN1、PDL1、EQ1、SN2、EQ2及びPDL2としては、ハイレベルの信号が供給される。すなわち、スタンバイ期間においては、各メモリ回路11のセンスアンプ回路6は動作していない。また、各メモリ回路において、イコライザ回路19によりビット線対(D1−DB1、D2−DB2)が短絡されている。また、各メモリ回路のビット線対(D1−DB1、D2−DB2)は、プリチャージ回路16により、参照電位配線9に接続されている。すなわち、各メモリ回路11におけるビット線対(D1−DB1、D2−DB2)の電位は、参照電位Vrefになっている。
【0083】
時刻t1において、制御信号PDL1、EQ1、及びPDL2がローレベルに切り替えられる。また、ワード線WL1の電位が、アクセストランジスタ4を確実にオンにする為に、電源電位VDDよりも高いVPPにまで引き上げられる。制御信号PDL1及びEQ1がローレベルに切り替えられることにより、第1メモリ回路11−1では、ビット線対(D1−DB1)が、参照電位配線9から遮断される。また、ビット線D1とDB1との間も電気的に遮断される。そして、ワード線WL1が選択されることにより、キャパシタ3がビット線D1と接続される。ここで、キャパシタ3にハイレベルのデータが格納されている場合には、ビット線D1の電位が、参照電位Vrefから僅かに上昇する。一方、制御信号PDL2がローレベルに切り替えられることにより、第2メモリ回路11−2においては、ビット線対(D2−DB2)が参照電位配線9から遮断される。ただし、制御信号EQ2にはハイレベルの信号の供給が維持されているため、ビット線対D2−DB2間は短絡している。
【0084】
その後、時刻t2において、制御信号SP1がハイレベルに切り替えられ、制御信号SN1がローレベルに切り替えられ、制御信号SN2がローレベルに切り替えられる。これにより、第1メモリ回路11−1においては、センスアンプ回路6が駆動し、ビット線対(D1−DB1)に生じた電位差を増幅する。すなわち、ビット線D1の電位が電源電位VDDにまで引き上げられ、ビット線DB1の電位が接地電位GNDに引き下げられる。
【0085】
一方、第2メモリ回路11−2からはデータが読み出されないので、制御信号SP2としてローレベルの信号の供給が維持されているが、制御信号SN2には、時刻t2において、ローレベルの信号が供給される。その結果、ビット線対(D2、DB2)の電位が、トランジスタT3及びT4の閾値電圧VTNになるように変化する。以下に、この点について説明する。
【0086】
図13は、制御信号SP2及びSN2としてそれぞれローレベルの信号が供給された場合における、センスアンプ回路6の等価回路を示す図である。
図13に示されるように、制御信号SP2及びSN2がローレベルである場合には、PMOSトランジスタT1及びT2はオフ状態になる。その結果、センスアンプ回路6においては、NMOSトランジスタT3及びT4が、接地電位(制御信号SN2=ローレベル)とビット線対(D2−DB2)との間にダイオード接続される。ここで、ビット線対(D2−DB2)は、イコライザ回路19により短絡されているので、ビット線対(D2−DB2)の電位は、NMOSトランジスタT3及びT4の閾値電圧VTNになるように、変化する。
【0087】
その後、
図12に示されるように、時刻t3において、ワード線WL1の電位がローレベルに引き下げられる。また、制御信号SP1がローレベルに切り替えられ、制御信号SN1、PDL1、EQ1、SN2,及びPDL2がハイレベルに切り替えられる。その結果、既述の実施形態と同様に、第1メモリ回路11−2におけるビット線対(D1−DB1)と、第2メモリ回路11−2におけるビット線対(D2−DB2)とが、参照電位配線9を介して互いに接続される。既述の実施形態と同様に、ビット線(D1、DB1、D2、DB2)間でチャージシェアが行なわれる。
【0088】
本実施形態においては、選択されたメモリ回路(第1メモリ回路11−1)においてデータの読み出しが行なわれている間に、非選択のメモリ回路(第2メモリ回路11−2)のビット線対(D2−DB2)の電位(以下、ダミービット線レベルDBL)が、NMOSトランジスタ(T3、T4)の閾値電圧VTNになるように制御される。すなわち、ダミービット線レベルDBLは、閾値電圧VTNである。これにより、既述の実施形態と同様の効果が得られる。
【0089】
また、NMOSトランジスタ(T3、T4)の閾値電圧VTNは、温度に応じて依存する。すなわち、高温時には、閾値電圧VTNが低下し、ダミービット線レベルDBLも低くなる。その結果、参照電位Vrefの高さを、温度に応じて適切に制御することができる。
図14は、電源電位VDD、ダミービット線レベル(DBL−1、DBL−2)、及び参照電位(Vref−1、Vref−2)の関係を示すグラフである。尚、ダミービット線レベルDBL−1及び参照電位Vref−1は、それぞれ、高温時におけるダミービット線レベルDBL及び参照電位Vrefを示す。ダミービット線レベルDBL−2及び参照電位Vref−2は、それぞれ、低温時におけるダミービット線レベルDBL及び参照電位Vrefを示す。
図14に示されるように、高温時には、低温時よりも、NMOSトランジスタ(T3、T4)の閾値電圧VTNが低下する。その結果、高温時におけるダミービット線レベルDBL−1は、低温時におけるダミービット線レベルDBL−2よりも、低くなる。その結果、高温時における参照電位Vref−1も、低温時における参照電位Vref−2よりも、低くなる。既述のように、高温時には、メモリセルからのオフリークも増大する。そのため、高温時には、参照電位Vrefを低い値に設定することが望まれる。本実施形態によれば、ダミービット線レベルDBLが、NMOSトランジスタ(T3、T4)の閾値電圧VTNになるように制御されるので、高温時には、参照電位Vrefを低い電位になるように制御することができ、セルホールド特性を改善することができる。
【0090】
また、本実施形態によれば、第1の実施形態とは異なり、ダミービット線レベルDBLを制御するために、参照電位制御回路2にダミービット線電位発生回路13(
図7参照)が設けられている必要がない。また、各メモリ回路11に、ダミービット線レベル切替回路17(
図7参照)が設けられている必要がない。従って、第1の実施形態と比べて、回路構成を簡単にすることが可能である。
【0091】
また、本実施形態では、第1メモリ回路11−1及び第2メモリ回路11−2の配置を工夫することにより、回路構成を更に簡単にすることができる。
図15は、第1メモリ回路11−1及び第2メモリ回路11−2の配置の一例を示す概略図である。
図15に示される例においては、第1メモリ回路11−1と第2メモリ回路11−2とが隣接して配置されている。そして、第1メモリ回路11−1においては、セルプレート15−1よりも第2メモリ回路11−2側に、センスアンプエリア14−5が配置されている。一方、第2メモリ回路11−2においては、セルプレート15−2よりも第1メモリ回路11−1側に、センスアンプエリア14−6が配置されている。すなわち、第1メモリ回路11−1及び第2メモリ回路11−2は、センスアンプエリア14同士で隣接するように配置されている。
【0092】
ここで、
図12にされるように、制御信号SN1及び制御信号SN2は、常に同じレベルの信号である。また、制御信号PDL2及びPDL1も、同じレベルの信号である。従って、センスアンプエリア14同士が隣接するように第1メモリ回路11−1及び第2メモリ回路11−2を配置すれば、共通の配線を介して、センスアンプエリア14−5に制御信号SN1を供給し、センスアンプエリア14−6に制御信号SN2を供給することができる。同様に、共通の配線を用いて、センスアンプエリア14−5に制御信号PDL1を供給し、センスアンプエリア14−6に制御信号PDL2を供給することができる。これより、制御信号に要する配線を少なくすることができ、回路構成を簡単にすることが可能である。
【0093】
(第3の実施形態)
続いて、第3の実施形態について説明する。既述の実施形態においては、第1のメモリ回路11−1のビット線対と、第2のメモリ回路11−2のビット線対との間でチャージシェアを行うことにより、参照電位Vrefのレベルが決定される。これに対して、本実施形態においては、単一のメモリ回路において、参照電位Vrefのレベルが決定される。
【0094】
図16は、本実施形態に係る半導体記憶装置1におけるメモリ回路11の構成を示す概略図である。本実施形態におけるメモリ回路11は、第2の実施形態における各メモリ回路11(11−1、11−2)と同様の構成を有している。すなわち、このメモリ回路11は、複数のキャパシタ3、一対のビット線(D−DB)、セルプレート15、及びセンスアンプエリア14を有している。複数のキャパシタ3の各々は、アクセストランジスタ4を介して、ビット線対(D−DB)の一方に接続されている。また、アクセストランジスタ4は、対応するワード線が選択されたときにオンになる。一方、センスアンプエリア14には、センスアンプ回路6、イコライザ回路19、及びプリチャージ回路16が設けられている。センスアンプ回路6は、制御信号SP及びSNによって制御される。イコライザ回路19は、制御信号EQによって制御され、ビット線対(D−DB)を短絡させる。プリチャージ回路16は、制御信号PDLによって制御され、ビット線対(D−DB)を参照電位配線9に接続する。また、ビット線対(D−DB)は、スイッチ回路YSWを介して、データバス線21に接続されている。
【0095】
尚、制御信号SP、SN、PDL、及びEQは、参照電位制御回路2によって供給される。
【0096】
図17は、半導体記憶装置1の動作方法を示すタイミングチャートである。
図17には、ビット線対(D−DB)の波形、及び、制御信号SP、SN、PDL、及びEQの波形が示されている。
図17において、時刻t1以前は、スタンバイ期間である。また、時刻t1から時刻t3までの期間は、読み出し期間(センス動作期間)である。時刻t3から時刻t4までの期間は、プリチャージ期間である。時刻t4以降は、スタンバイ期間である。
【0097】
時刻t1以前においては、制御信号SPとしてローレベルの信号が供給され、制御信号SN、PDL,及びEQとしてそれぞれハイレベルの信号が供給される。このとき、ビット線対(D−DB)は、短絡されると共に、参照電位配線9に接続される。すなわち、ビット線対(D−DB)の電位は、参照電位Vrefになるように制御される。
【0098】
時刻t1において、ワード線WL1が選択され、制御信号PDL及びEQがローレベルに変更される。制御信号PDL及びEQがローレベルになることにより、ビット線対(D−DB)は、参照電位配線9から切り離される。また、ビット線対(D−DB)は、互いに遮断される。そして、ワード線WL1が選択されることにより、キャパシタ3がビット線Dに接続される。キャパシタ3にハイレベルのデータが格納されている場合には、ビット線Dの電位が参照電位Vrefから僅かに上昇する。
【0099】
その後、時刻t2において、制御信号SPがハイレベルに切り替えられ、制御信号SNがローレベルに切り替えられる。これにより、センスアンプ回路6が動作し、ビット線対(D−DB)に生じた電位差が増幅される。すなわち、ビット線Dの電位が電源電位VDDにまで引き上げられ、ビット線DBの電位が接地電位GNDにまで引き下げられる。
【0100】
その後、時刻t3において、ワード線WL1の電位が接地電位に引き下げられ、制御信号SPがローレベルに切り替えられ、制御信号EQがハイレベルに切り替えられる。これにより、第2の実施形態と同様に、センスアンプ回路6では、NMOSトランジスタ(T3、T4)が、ビット線対(D−DB)と接地電位GNDとの間にダイオード接続されることになる。その結果、ビット線対(D−DB)の電位は、一旦1/2VDDに近づいた後、NMOSトランジスタT3及びT4の閾値電圧VTNに向かって降下する。
【0101】
その後、時刻t4において、制御信号SN及びPDLがハイレベルに切り替えられる。これにより、ビット線対(D−DB)が参照電位配線9に接続され、ビット線対(D−DB)の電位が参照電位Vrefに固定される。ここで、プリチャージ期間(時刻t3からt4までの期間)が長く設定された場合には、参照電位Vrefが低くなり(閾値電圧VTNに近くなり)、プリチャージ期間が短く設定された場合には、参照電位Vrefが高くなる。従って、参照電位制御回路2に遅延回路などを設け、プリチャージ期間の長さを制御することにより、参照電位Vrefの高さを適切な高さに設定することができる。参照電位制御回路2から供給される参照電位Vrefの設定も同様に調整すればよい。
【0102】
本実施形態によれば、センス動作期間の後に、プリチャージ期間を設けなければならないが、参照電位制御回路2に、ダミービット線電位発生回路13(
図7参照)を設けることなく、参照電位Vrefを適切な高さに設定することが可能である。従って、電源電位VDDが変動した場合であっても、読み出しマージンの悪化を防止できる。
【0103】
また、参照電位Vrefの高さが閾値電圧VTNになるように制御される場合には、参照電位Vrefを参照電位配線9に供給する参照電位生成回路12として、NMOSトランジスタ(T3、T4)と同一のサイズのNMOSトランジスタが用いられることが好ましい。このようなMMOSトランジスタを用いることにより、参照電位配線9に供給される参照電位Vrefの高さを、NMOSトランジスタ(T3、T4)の閾値電圧VTNに正確に一致させることができる。
【0104】
以上、本発明について、第1乃至第3の実施形態を用いて説明した。尚、これらの実施形態は互いに独立するものではなく、矛盾のない範囲内で組み合わせて用いることも可能である。