(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
二つの入力の周波数の差に等しい周波数の信号を出力する複数のミキサと、前記複数のミキサに共通のローカル信号入力を与える単一のローカル信号源とを備えた信号測定装置における信号測定処理を行う信号測定方法であって、
前記複数のミキサに共通の補正信号入力を与えたときの、前記複数のミキサの出力間のレベル差および位相差を測定する誤差測定工程と、
前記複数のミキサに周波数が共通する被測定信号入力を与えたときに、前記複数のミキサが出力する電界の差の最小値および前記電界の和の最大値を測定する差分・和測定工程と、
前記誤差測定工程の測定結果に基づき、前記差分・和測定工程の測定結果を補正する誤差補正工程と、
を備え、
前記ローカル信号入力および中間周波数信号入力の周波数の和に等しい周波数の信号を前記補正信号とし、
複数本のアンテナのうちのある1本のアンテナに対する他のアンテナの角度および距離を変化させながら前記複数本のアンテナが受信した信号を、前記被測定信号入力とする、
信号測定方法。
二つの入力の周波数の差に等しい周波数の信号を出力する複数のミキサと、前記複数のミキサに共通のローカル信号入力を与える単一のローカル信号源とを備えた信号測定装置における信号測定処理をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
該信号測定処理が、
前記複数のミキサに共通の補正信号入力を与えたときの、前記複数のミキサの出力間のレベル差および位相差を測定する誤差測定工程と、
前記複数のミキサに周波数が共通する被測定信号入力を与えたときに、前記複数のミキサが出力する電界の差の最小値および前記電界の和の最大値を測定する差分・和測定工程と、
前記誤差測定工程の測定結果に基づき、前記差分・和測定工程の測定結果を補正する誤差補正工程と、
を備え、
前記ローカル信号入力および中間周波数信号入力の周波数の和に等しい周波数の信号を前記補正信号とし、
複数本のアンテナのうちのある1本のアンテナに対する他のアンテナの角度および距離を変化させながら前記複数本のアンテナが受信した信号を、前記被測定信号入力とする、
プログラム。
二つの入力の周波数の差に等しい周波数の信号を出力する複数のミキサと、前記複数のミキサに共通のローカル信号入力を与える単一のローカル信号源とを備えた信号測定装置における信号測定処理をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータによって読み取り可能な記録媒体であって、
該信号測定処理が、
前記複数のミキサに共通の補正信号入力を与えたときの、前記複数のミキサの出力間のレベル差および位相差を測定する誤差測定工程と、
前記複数のミキサに周波数が共通する被測定信号入力を与えたときに、前記複数のミキサが出力する電界の差の最小値および前記電界の和の最大値を測定する差分・和測定工程と、
前記誤差測定工程の測定結果に基づき、前記差分・和測定工程の測定結果を補正する誤差補正工程と、
を備え、
前記ローカル信号入力および中間周波数信号入力の周波数の和に等しい周波数の信号を前記補正信号とし、
複数本のアンテナのうちのある1本のアンテナに対する他のアンテナの角度および距離を変化させながら前記複数本のアンテナが受信した信号を、前記被測定信号入力とする、
記録媒体。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。
【0018】
図1は、本発明の実施形態にかかる信号測定装置1の構成を示す機能ブロック図である。信号測定装置1は、第一端子11、第二端子21、出力端子31、第一ローカル信号源12、第一ミキサ14、第一A/D変換器16、第一レベル・位相測定部18、第二ローカル信号源22、第二ミキサ24、第二A/D変換器26、第二レベル・位相測定部28、中間周波数信号源32、補正信号用ミキサ34、スイッチ42、44、ローカル周波数設定部52、誤差測定部54、誤差補正部56、差分・和測定部60を備える。信号測定装置1は、例えば、スペクトラムアナライザである。
【0019】
図2は、本発明の実施形態にかかる信号測定装置1に補正信号を与えたときの構成を示す機能ブロック図である。
図5は、本発明の実施形態にかかる信号測定装置1に被測定信号を与えたときの構成を示す機能ブロック図である。
【0020】
図2を参照して、分配器4は、補正信号を、第一端子11および第二端子21に与える。なお、分配器4は、信号測定装置1に内蔵されていてもよい。また、
図5を参照して、第一端子11および第二端子21には、それぞれ、アンテナANT1、ANT2から被測定信号入力が与えられる。
【0021】
図6は、被測定信号入力を説明するための図である。複数本のアンテナANT1、ANT2は、マルチパス(P1、P2、P3)の信号を受信するアンテナである。アンテナANT1、ANT2は、スペースダイーバーシティに用いられる。
【0022】
複数本のアンテナANT1、ANT2のうちのある1本のアンテナANT1に対する他のアンテナANT2の角度θおよび距離Δを変化させながら複数本のアンテナANT1、ANT2が受信した信号を、被測定信号入力とする。例えば、角度θを固定した状態で距離Δを変化させ、その後、距離Δを固定した状態で角度θを変化させながら、複数本のアンテナANT1、ANT2が受信した信号を、被測定信号入力とする。なお、複数本のアンテナANT1、ANT2からの被測定信号入力は、周波数が共通している。
【0023】
第一端子(CH1:チャンネル1)11は、アンテナANT1から与えられた被測定信号(
図5参照)または分配器4から与えられた補正信号(
図2参照)を、第一ミキサ14に与える。第二端子(CH2:チャンネル2)21は、アンテナANT2から与えられた被測定信号(
図5参照)または分配器4から与えられた補正信号(
図2参照)を、第二ミキサ24に与える。
【0024】
出力端子31は、補正信号を出力する。出力端子31は、分配器4に接続されている(
図2参照)。
【0025】
第一ミキサ14は、二つの入力(R入力およびL入力)の周波数の差に等しい周波数の信号を出力する(I出力)。ただし、R入力は第一端子11から与えられ、L入力は第一ローカル信号源12から与えられる。また、R入力、L入力およびI出力は、それぞれ、Radio Frequency入力、Local(ローカル)入力およびIntermediate Frequency(中間周波数)出力を意味する。
【0026】
第二ミキサ24は、二つの入力(R入力およびL入力)の周波数の差に等しい周波数の信号を出力する(I出力)。ただし、R入力は第二端子21から与えられ、L入力は第一ローカル信号源12から与えられる。R入力、L入力およびI出力の意味は、第一ミキサ14と同様である。
【0027】
第一ローカル信号源12は、複数のミキサ14、24のL入力に共通のローカル信号入力を与える単一のローカル信号源である(
図2、
図5参照)。なお、ローカル信号の周波数f
Lo1は可変、すなわち掃引可能である。
【0028】
第一A/D変換器16は、第一ミキサ14のI出力(アナログ信号)を受け、デジタル信号に変換する。第二A/D変換器26は、第二ミキサ24のI出力(アナログ信号)を受け、デジタル信号に変換する。
【0029】
第一レベル・位相測定部18は、複数のミキサ14、24に周波数が共通する被測定信号入力(
図5参照)または共通の補正信号入力(
図2参照)を与えたときに、第一ミキサ14の出力のレベルおよび位相を測定する。第一ミキサ14の測定結果は、誤差測定部54に与えられるか(
図2参照)、または差分・和測定部60に与えられる(
図5参照)。
【0030】
第二レベル・位相測定部28は、複数のミキサ14、24に周波数が共通する被測定信号入力(
図5参照)または共通の補正信号入力(
図2参照)を与えたときに、第二ミキサ24の出力のレベルおよび位相を測定する。第二ミキサ24の測定結果は、誤差測定部54に与えられるか(
図2参照)、または差分・和測定部60に与えられる(
図5参照)。
【0031】
なお、第一レベル・位相測定部18および第二レベル・位相測定部28は、例えば、DSP(Digital Signal Processor)により実装される。
【0032】
第二ローカル信号源22は、掃引可能(周波数可変)な信号源である。
【0033】
中間周波数信号源32は、中間周波数信号入力を補正信号用ミキサ34に与える。中間周波数信号としては、被測定信号と同様な信号でもよいし、その他にも、パルス、連続波(周波数を掃引してもよい)、変調した信号またはノイズでもよい。
【0034】
補正信号用ミキサ34には、ローカル信号入力(L入力)および中間周波数信号入力(I入力)が与えられる。さらに、補正信号用ミキサ34は、ローカル信号入力および中間周波数信号入力の周波数の和に等しい周波数の信号を補正信号として出力する(R出力)。ローカル信号入力(L入力)は、スイッチ42を介して、第一ローカル信号源12から与えられる。中間周波数信号入力(I入力)は、中間周波数信号源32から与えられる。補正信号は、出力端子31に与えられる。
【0035】
ただし、R出力、L入力およびI入力は、それぞれ、Radio Frequency出力、Local(ローカル)入力およびIntermediate Frequency入力(中間周波数)を意味する。
【0036】
スイッチ42は、第一ローカル信号源12を、補正信号用ミキサ34に接続するか(
図2参照)、または、しないか(
図5参照)を切り替えるスイッチである。
【0037】
スイッチ44は、第二ミキサ24を、単一のローカル信号源12(
図2、
図5参照)、または第二ローカル信号源22に接続する切替器である。
【0038】
ローカル周波数設定部52は、第一ローカル信号源12の周波数であるf
Lo1を設定する。
【0039】
誤差測定部54は、複数のミキサ14、24に共通の補正信号入力を与えたときの(
図2参照)、第一ミキサ14の出力のレベルおよび位相を、第一レベル・位相測定部18から受け、第二ミキサ24の出力のレベルおよび位相を、第二レベル・位相測定部28から受ける。
【0040】
さらに、誤差測定部54は、第一レベル・位相測定部18および第二レベル・位相測定部28から受けた測定結果に基づき、複数のミキサ14、24に共通の補正信号入力を与えたときの(
図2参照)、複数のミキサ14、24の出力間のレベル差および位相差を測定する。
【0041】
誤差測定部54は、複数のミキサ14、24に共通の補正信号入力を与えたときの(
図2参照)、複数のミキサ14、24の出力間のレベル差および位相差を、ローカル信号入力の周波数f
Lo1に対応付けて測定する。
【0042】
図3は、複数のミキサ14、24に共通の補正信号入力を与えたときの、複数のミキサ14、24の出力間のレベル差および位相差の測定の一例を示す図である。
【0043】
誤差測定部54は、ローカル信号入力の周波数f
Lo1がf
1であるときの第一ミキサ14(CH1)の出力レベルを第一レベル・位相測定部18から受ける。しかも、誤差測定部54は、ローカル信号入力の周波数f
Lo1がf
1であるときの第二ミキサ24(CH2)の出力レベルを第二レベル・位相測定部28から受ける。さらに、誤差測定部54は、両者の出力レベルの差(CH2−CH1)を求め(ΔLv1)、記録する。なお、誤差測定部54は、ローカル信号入力の周波数f
Lo1がf
1であることを、ローカル周波数設定部52から取得する。誤差測定部54は、f
1に対応づけてΔLv1を記録する。
【0044】
同様に、誤差測定部54は、ローカル信号入力の周波数f
Lo1がf
2であるときの両者の出力レベルの差(CH2−CH1)を求め(ΔLv2)、記録する。なお、誤差測定部54は、ローカル信号入力の周波数f
Lo1がf
2であることを、ローカル周波数設定部52から取得する。誤差測定部54は、f
2に対応づけてΔLv2を記録する。
【0045】
さらに、誤差測定部54は、ローカル信号入力の周波数f
Lo1がf
3であるときの両者の出力レベルの差(CH2−CH1)を求め(ΔLv3)、記録する。なお、誤差測定部54は、ローカル信号入力の周波数f
Lo1がf
3であることを、ローカル周波数設定部52から取得する。誤差測定部54は、f
3に対応づけてΔLv3を記録する。
【0046】
なお、例えば、f
3−f
2=f
2−f
1かつf
3>f
2>f
1である。
【0047】
誤差測定部54は、ローカル信号入力の周波数f
Lo1がf
1であるときの第一ミキサ14(CH1)の出力位相を第一レベル・位相測定部18から受ける。しかも、誤差測定部54は、ローカル信号入力の周波数f
Lo1がf
1であるときの第二ミキサ24(CH2)の出力位相を第二レベル・位相測定部28から受ける。さらに、誤差測定部54は、両者の出力位相の差(CH2−CH1)を求め(ΔP1)、記録する。なお、誤差測定部54は、ローカル信号入力の周波数f
Lo1がf
1であることを、ローカル周波数設定部52から取得する。誤差測定部54は、f
1に対応づけてΔP1を記録する。
【0048】
同様に、誤差測定部54は、ローカル信号入力の周波数f
Lo1がf
2であるときの両者の出力位相の差(CH2−CH1)を求め(ΔP2)、記録する。なお、誤差測定部54は、ローカル信号入力の周波数f
Lo1がf
2であることを、ローカル周波数設定部52から取得する。誤差測定部54は、f
2に対応づけてΔP2を記録する。
【0049】
さらに、誤差測定部54は、ローカル信号入力の周波数f
Lo1がf
3であるときの両者の出力位相の差(CH2−CH1)を求め(ΔP3)、記録する。なお、誤差測定部54は、ローカル信号入力の周波数f
Lo1がf
3であることを、ローカル周波数設定部52から取得する。誤差測定部54は、f
3に対応づけてΔP3を記録する。
【0050】
差分・和測定部60(
図5参照)は、複数のミキサ14、24に周波数が共通する被測定信号入力を与えたときに、複数のミキサ14、24が出力する電界の差の最小値および電界の和の最大値を測定する。
【0051】
差分・和測定部60は、複数のミキサ14、24に周波数が共通する被測定信号入力を与えたときの(
図5参照)、第一ミキサ14(CH1)の出力(電界)の測定結果を第一レベル・位相測定部18から受け、第二ミキサ24(CH2)の出力(電界)の測定結果を第二レベル・位相測定部28から受ける。
【0052】
さらに、差分・和測定部60は、第一ミキサ14(CH1)の出力(電界)と第二ミキサ24(CH2)の出力(電界)との和および差を測定する。そして、両者の和の最大値および両者の差の最小値を測定して、出力する。
【0053】
誤差補正部56は、誤差測定部54の測定結果に基づき、ローカル信号入力の周波数f
Lo1に応じて、差分・和測定部60の測定結果を補正する(
図5参照)。
【0054】
例えば、誤差補正部56は、ローカル信号入力の周波数f
Lo1がf
1であることを、ローカル周波数設定部52から取得する。さらに、誤差補正部56は、f
1に対応付けられた出力レベルの差ΔLv1および出力位相の差ΔP1を、誤差測定部54から読み出す。誤差補正部56は、ΔLv1およびΔP1を、差分・和測定部60に与えることで、差分・和測定部60の測定結果を補正する。例えば、差分・和測定部60が、第一ミキサ14(CH1)の出力(電界)と第二ミキサ24(CH2)の出力(電界)との和および差を測定する際に、第二ミキサ24(CH2)の出力(電界)のレベル[dBm]および位相[rad]をΔLv1およびΔP1だけ減じる。
【0055】
ローカル信号入力の周波数f
Lo1がf
2またはf
3であるときも同様な補正が行われる。
【0056】
しかし、ローカル信号入力の周波数f
Lo1が、f
1、f
2およびf
3のいずれでも無いときは、上記の方法では差分・和測定部60の測定結果の補正ができない。このような場合は、誤差補正部56は、誤差測定部54の測定結果をローカル信号入力の周波数f
Lo1について補間したものに基づき、差分・和測定部60の測定結果を補正する。
【0057】
図4は、複数のミキサ14、24に共通の補正信号入力を与えたときの、出力レベルの差ΔLv1〜ΔLv3をローカル信号入力の周波数f
Lo1について補間したもの(
図4(a)参照)および出力位相の差ΔP1〜ΔP3をローカル信号入力の周波数f
Lo1について補間したもの(
図4(b)参照)を示す図である。
【0058】
図4においては、出力レベルも出力位相も、一例として一次関数で補間している。出力レベルおよび出力位相を補間した結果は、誤差測定部54に記録される。
【0059】
誤差補正部56は、ローカル信号入力の周波数f
Lo1の値を、ローカル周波数設定部52から取得する。誤差補正部56は、この値に対応する出力レベルの差および出力位相の差を、補間結果(
図4(a)および
図4(b)参照)から取得して、差分・和測定部60に与えることで、差分・和測定部60の測定結果を補正する。
【0060】
次に、本発明の実施形態の動作を説明する。
【0061】
(1)補正信号の入力(
図2参照)
まず、
図2を参照して、信号測定装置1に補正信号を与える。
【0062】
スイッチ42が、第一ローカル信号源12を、補正信号用ミキサ34のL入力に接続する。ここで、ローカル周波数設定部52は、第一ローカル信号源12の周波数f
Lo1を設定する。すると、第一ローカル信号源12からローカル信号入力(L入力)が補正信号用ミキサ34に与えられる。しかも、中間周波数信号源32から中間周波数信号入力(I入力)が補正信号用ミキサ34に与えられる。
【0063】
すると、補正信号用ミキサ34から、ローカル信号入力および中間周波数信号入力の周波数の和に等しい周波数の信号が、補正信号として出力される(R出力)。補正信号は出力端子31から出力され、分配器4に与えられる。分配器4は、補正信号を、第一端子11および第二端子21に与える。
【0064】
ここで、スイッチ44は、第二ミキサ24を、単一のローカル信号源12に接続する。
【0065】
第一端子(CH1)11に与えられた補正信号は、第一ミキサ14のR入力に与えられる。第一ミキサ14のL入力には、ローカル信号源12からローカル信号入力が与えられる。すると第一ミキサ14から、二つの入力(R入力およびL入力)の周波数の差に等しい周波数の信号が出力される(I出力)。I出力の周波数は、中間周波数信号源32の出力する中間周波数信号の周波数となる。
【0066】
第一ミキサ14のI出力(アナログ信号)は、第一A/D変換器16により、デジタル信号に変換され、第一レベル・位相測定部18に与えられる。第一レベル・位相測定部18は、第一ミキサ14の出力のレベルおよび位相を測定し、誤差測定部54に与える。
【0067】
第二端子(CH2)21に与えられた補正信号は、第二ミキサ24のR入力に与えられる。第二ミキサ24のL入力には、ローカル信号源12からローカル信号入力が与えられる。すると第二ミキサ24から、二つの入力(R入力およびL入力)の周波数の差に等しい周波数の信号が出力される(I出力)。I出力の周波数は、中間周波数信号源32の出力する中間周波数信号の周波数となる。
【0068】
第二ミキサ24のI出力(アナログ信号)は、第二A/D変換器26により、デジタル信号に変換され、第二レベル・位相測定部28に与えられる。第二レベル・位相測定部28は、第二ミキサ24の出力のレベルおよび位相を測定し、誤差測定部54に与える。
【0069】
なお、ローカル周波数設定部52から誤差測定部54に、ローカル信号入力の周波数f
Lo1の値が与えられる。
【0070】
第一ミキサ14にも第二ミキサ24にも同じ補正信号を与えているので、第一レベル・位相測定部18の測定結果である出力レベルおよび出力位相と、第二レベル・位相測定部28の測定結果である出力レベルおよび出力位相とが等しいことが理想的である。
【0071】
しかし、実際には、第一ミキサ14にも第二ミキサ24にも同じ補正信号を与えているのにもかかわらず、第一レベル・位相測定部18の測定結果である出力レベルおよび出力位相と、第二レベル・位相測定部28の測定結果である出力レベルおよび出力位相とが異なるものとなる。実際には、ローカル信号源12から第一ミキサ14までの電気回路の電気長および減衰量と、ローカル信号源12から第二ミキサ24までの電気回路の電気長および減衰量とに差異があるからである。
【0072】
誤差測定部54は、複数のミキサ14、24に共通の補正信号入力を与えたときの(
図2参照)、複数のミキサ14、24の出力間のレベル差ΔLv1〜ΔLv3および位相差ΔP1〜ΔP3を、ローカル信号入力の周波数f
Lo1に対応付けて測定する(
図3参照)。
【0073】
なお、複数のミキサ14、24の出力間のレベル差は、第一レベル・位相測定部18の測定結果である出力レベルと、第二レベル・位相測定部28の測定結果である出力レベルとの差である。
【0074】
また、複数のミキサ14、24の出力間の位相差は、第一レベル・位相測定部18の測定結果である出力位相と、第二レベル・位相測定部28の測定結果である出力位相との差である。
【0075】
誤差測定部54は、出力レベルの差ΔLv1〜ΔLv3をローカル信号入力の周波数f
Lo1について補間したもの(
図4(a)参照)および出力位相の差ΔP1〜ΔP3をローカル信号入力の周波数f
Lo1について補間したもの(
図4(b)参照)を求めて記録する。
【0076】
(2)被測定信号の入力(
図5参照)
次に、
図5を参照して、信号測定装置1に被測定信号を与える。
【0077】
まず、アンテナANT1を第一端子11に接続し、アンテナANT2を第二端子21に接続する。アンテナANT1、ANT2は、マルチパス(P1、P2、P3)の信号を受信する。これらの受信信号は周波数が共通の被測定信号となる。被測定信号が、第一端子11および第二端子21に与えられる。
【0078】
ここで、スイッチ44は、第二ミキサ24を、単一のローカル信号源12に接続する。
【0079】
第一端子(CH1)11に与えられた被測定信号は、第一ミキサ14のR入力に与えられる。第一ミキサ14のL入力には、ローカル信号源12からローカル信号入力が与えられる。すると第一ミキサ14から、二つの入力(R入力およびL入力)の周波数の差に等しい周波数の信号が出力される(I出力)。
【0080】
第一ミキサ14のI出力(アナログ信号)は、第一A/D変換器16により、デジタル信号に変換され、第一レベル・位相測定部18に与えられる。第一レベル・位相測定部18は、第一ミキサ14の出力のレベルおよび位相を測定し、その結果を差分・和測定部60に出力する。
【0081】
第二端子(CH2)21に与えられた被測定信号は、第二ミキサ24のR入力に与えられる。第二ミキサ24のL入力には、ローカル信号源12からローカル信号入力が与えられる。すると第二ミキサ24から、二つの入力(R入力およびL入力)の周波数の差に等しい周波数の信号が出力される(I出力)。
【0082】
第二ミキサ24のI出力(アナログ信号)は、第二A/D変換器26により、デジタル信号に変換され、第二レベル・位相測定部28に与えられる。第二レベル・位相測定部28は、第二ミキサ24の出力のレベルおよび位相を測定し、その結果を差分・和測定部60に出力する。
【0083】
また、誤差補正部56は、ローカル信号入力の周波数f
Lo1の値を、ローカル周波数設定部52から取得する。さらに、誤差補正部56は、ローカル信号入力の周波数f
Lo1の値に対応する出力レベルの差および出力位相の差を誤差測定部54から読み出す。
【0084】
ローカル信号入力の周波数f
Lo1の値がf
1、f
2およびf
3のいずれかであれば、誤差補正部56は、誤差測定部54の実測値ΔLv1〜ΔLv3のいずれか、およびΔP1〜ΔP3のいずれか(
図3参照)を読み出せばよい。
【0085】
ローカル信号入力の周波数f
Lo1が、f
1、f
2およびf
3のいずれでも無いときは、誤差補正部56は、ローカル信号入力の周波数f
Lo1に対応する出力レベルの差および出力位相の差を、誤差測定部54に記録された補間結果(
図4(a)および
図4(b)参照)から取得する。
【0086】
誤差補正部56は、読み出した出力レベルの差および出力位相の差を差分・和測定部60に与える。そして、差分・和測定部60が、誤差補正部56から与えられた値に応じて、差分・和測定部60の測定結果を補正する。
【0087】
これにより、ローカル信号源12から第一ミキサ14までの電気回路の電気長および減衰量と、ローカル信号源12から第二ミキサ24までの電気回路の電気長および減衰量とに差異があることに起因する第一レベル・位相測定部18と第二レベル・位相測定部28との測定結果の間の誤差を補正することができる。
【0088】
ただし、第一ミキサ14にも第二ミキサ24にも共通の信号入力を与えたときに、第一ミキサ14および第二ミキサ24の出力間のレベル差および位相差が無いのであれば、誤差補正部56による補正は不要である。
【0089】
本発明の実施形態によれば、スペースダイーバーシティに用いる2本のアンテナANT1、ANT2の各々で受信された電界の差分の最小値および和の最大値を導出することができる。
【0090】
しかも、複数のチャンネル(CH1、CH2)を有する信号測定装置1におけるローカル信号として、単一のローカル信号源12の出力を使用する。このため、各チャンネルにおけるローカル信号の位相のゆらぎが共通するので、ローカル信号の位相の不一致を軽減できる。
【0091】
さらに、ローカル信号源12から第一ミキサ14までの電気回路の電気長および減衰量と、ローカル信号源12から第二ミキサ24までの電気回路の電気長および減衰量とに差異があることに起因する第一レベル・位相測定部18と第二レベル・位相測定部28との測定結果の間の誤差を、ローカル信号入力の周波数f
Lo1の値に対応付けて誤差測定部54に記録しておき、誤差補正部56により読み出して、差分・和測定部60に与えて測定結果を補正するので、上記の誤差を補正できる。
【0092】
本発明の実施形態によれば、このようにして、複数のチャンネルを有する信号測定装置1における各チャンネルのローカル信号のレベルおよび位相の不一致に対処することができる。よって、スペースダイーバーシティに用いる2本のアンテナANT1、ANT2の各々で受信された電界の差分の最小値および和の最大値をより正確に求めることができる。
【0093】
また、上記の実施形態は、以下のようにして実現できる。CPU、ハードディスク、メディア(フロッピー(登録商標)ディスク、CD−ROMなど)読み取り装置を備えたコンピュータに、上記の各部分、例えば第一レベル・位相測定部18、第二レベル・位相測定部28、誤差測定部54、誤差補正部56および差分・和測定部60を実現するプログラムを記録したメディアを読み取らせて、ハードディスクにインストールする。このような方法でも、上記の機能を実現できる。