(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
開口枠に対して吊り元側の縦框をヒンジによって支持させた開き戸では、開口枠に対して障子を開いた場合、戸先側に位置する縦框が開口枠から大きく突出した位置に配置される。このため、この種の開き戸では、戸先側に位置する縦框の下端部にカバー装置が装着されているのが一般的である。カバー装置は、縦框の下面を覆う下方カバー部と、縦框の側面を覆う側方カバー部とを有したもので、ナイロン、ポリプロピレン等の合成樹脂やゴム等の弾性材によって一体に成形されている。側方カバー部には、縦框に対向する面に係止突部が設けられている。係止突部は、挿通孔よりも小さい外形を有した基部と、基部の先端部に挿通孔よりも大きな外形を有するように形成した係止部とを有したものである。このカバー装置は、下方カバー部によって縦框の下面を覆った状態で縦框に形成された挿通孔に係止突部の係止部を圧入させることによって縦框に保持されている。
【0003】
このように、縦框の下端部にカバー装置を装着した開き戸によれば、小口切りされた縦框の下端部が合成樹脂もしくは弾性材によって覆い隠されることになるため、縦框の下端部に履き物の先端部やズボンの裾が接触した場合にも履き物やズボンに損傷を来す恐れがなくなる(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、戸先側の縦框に装着したカバー装置に履き物やズボンが接触した場合にも、カバー装置が容易に脱落しないようにするためには、縦框に対するカバー装置の装着力を向上させることが好ましい。例えば、上述したカバー装置にあっては、基部に対してより大きな外形を有するように係止部を構成すれば、縦框への掛かり代が大きく設定されることになる。従って、縦框に対するカバー装置の装着力が高くなり、履き物やズボンが接触した場合にも、カバー装置が脱落する恐れがなくなる。
【0006】
ここで、基部から大きく突出した係止部を挿通孔に圧入する場合には、側方カバー部に対して係止部の位置を大きく変位できることが好ましい。すなわち、基部の長さを大きく設定すれば、側方カバー部に対する係止部の変形自由度が大きくなるため、係止部を大型化した場合にも、挿通孔への挿入作業を容易に行うことが可能となる。
【0007】
しかしながら、側方カバー部と係止部との間の基部については、これを縦框の板厚よりも大きな寸法に設定することができない。つまり、挿通孔を通過した係止部をガタ付くことなく縦框に係止させるためには、基部の寸法が縦框の板厚とほぼ同等であることが必須となり、縦框の板厚に対して基部の寸法を大きく設定することができない。このため、側方カバー部に対する係止部の変形自由度が著しく制限され、係止部を大型化した場合には挿通孔への挿入作業が煩雑化する事態を招来する。
【0008】
本発明は、上記実情に鑑みて、縦框への取付作業を煩雑化することなく、縦框からの脱落を防止することのできる縦框用のカバー装置及びこれを適用した障子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に係る縦框用のカバー装置は、障子の戸先側に位置する縦框の下端部に装着される縦框用のカバー装置において、前記縦框の下端開口を介して内部に配設されるインサート部材と、前記縦框の外表面を覆うカバー部材とを備え、前記インサート部材は、少なくとも前記縦框の戸先側に位置する戸先框壁の内表面に対向して配置され、かつ前記戸先框壁に設けた挿通孔に対応する部位に装着孔が形成された戸先内壁部を有し、前記カバー部材は、前記縦框の戸先面を覆う側方カバー部と、前記縦框の下端面を覆う下方カバー部とを有するとともに、前記側方カバー部において前記戸先框壁の挿通孔に対応する部位に係止突部を有したものであり、
前記係止突部は、前記インサート部材の装着孔に挿通される基部と、前記基部の先端部から上方に向けて突出し、前記インサート部材の戸先内壁部に係止される係止部とを有し、前記縦框の挿通孔及び前記インサート部材の装着孔を介して前記戸先内壁部に前記係止突部を係止させることにより前記カバー部材を前記縦框に支持させたことを特徴とする。
【0010】
この発明によれば、装着孔を有したインサート部材を縦框の内部に配設しているため、カバー部材の係止突部が縦框の挿通孔及びインサート部材の装着孔を介して戸先内壁部に係止されてカバー部材が縦框に支持される。
【0012】
この発明によれば、係止突部の係止部をインサート部材の装着孔を介して戸先内壁部に係止することによってカバー部材が縦框に支持される。
【0013】
また、本発明
に係る縦框用のカバー装置は、障子の戸先側に位置する縦框の下端部に装着される縦框用のカバー装置において、前記縦框の下端開口を介して内部に配設されるインサート部材と、前記縦框の外表面を覆うカバー部材とを備え、前記インサート部材は、少なくとも前記縦框の戸先側に位置する戸先框壁の内表面に対向して配置され、かつ前記戸先框壁に設けた挿通孔に対応する部位に装着孔が形成された戸先内壁部を有し、前記カバー部材は、前記縦框の戸先面を覆う側方カバー部と、前記縦框の下端面を覆う下方カバー部とを有するとともに、前記側方カバー部において前記戸先框壁の挿通孔に対応する部位に係止突部を有したものであり、前記縦框の挿通孔及び前記インサート部材の装着孔を介して前記戸先内壁部に前記係止突部を係止させることにより前記カバー部材を前記縦框に支持させ、前記カバー部材の下方カバー部と前記インサート部材との間には、互いに係止されるサブ係止手段を設けたことを特徴とする。
【0014】
この発明によれば、カバー部材の側方カバー部が係止突部をインサート部材の戸先内壁部に係止することによって縦框に支持され、かつ下方カバー部がサブ係止手段によってインサート部材に係止される。
【0015】
また、本発明は、上述した縦框用のカバー装置において、前記サブ係止手段は、前記インサート部材の下面から下方に向けてフック片を突設するとともに、前記カバー部材の下方カバー部にサブ係止部を設けることによって構成し、前記サブ係止部を介して前記インサート部材のフック片に前記下方カバー部を係止させることを特徴とする。
【0016】
この発明によれば、カバー部材の側方カバー部と下方カバー部とが互いに異なる方向に係止される。
【0017】
また、本発明は、上述した縦框用のカバー装置において、前記カバー部材には、下枠の上面に接触する止水ヒレ部を設けたことを特徴とする。
【0018】
この発明によれば、止水ヒレ部により下枠との間において止水することができる。
【0019】
また、本発明に係る障子は、上述したいずれかに記載の縦框用のカバー装置を、障子の戸先側に位置する縦框の下端部に支持させたことを特徴とする。
【0020】
この発明によれば、装着孔を有したインサート部材を縦框の内部に配設しているため、カバー部材の係止突部が縦框の挿通孔及びインサート部材の装着孔を介して戸先内壁部に係止されてカバー部材が縦框に支持される。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、装着孔を有したインサート部材を縦框の内部に配設しているため、カバー部材の係止突部が縦框の挿通孔及びインサート部材の装着孔を介して戸先内壁部に係止されてカバー部材が縦框に支持される。従って、側方カバー部と係止突部との間に縦框とインサート部材の戸先内壁部との板厚を合計した寸法の距離を確保することができる。これにより、側方カバー部に対して係止突部の変形自由度が大きくなり、係止突部を大型化した場合にも、挿通孔への挿入作業を容易に行うことが可能となり、縦框への取付作業を煩雑化することなく、縦框からの脱落を防止できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1-1】
図1−1は、本発明の実施の形態1である縦框用のカバー装置を適用した障子の要部断面図である。
【
図1-2】
図1−2は、
図1−1に示した障子においてカバー装置を傾斜させて係止突部の先端部を縦框の挿通孔及びインサート部材の装着孔に挿入している状態の要部断面図である。
【
図2】
図2は、
図1−1に示した障子の要部破断斜視図である。
【
図4】
図4は、
図1−1に示した障子を用いた浴室用の開き戸を浴室側から見た要部斜視図である。
【
図5】
図5は、
図1−1に示した障子を用いた浴室用の開き戸を脱衣室側から見た要部斜視図である。
【
図6-1】
図6−1は、
図1−1に示した障子に用いるカバー装置のカバー部材を外表面側から見た斜視図である。
【
図6-2】
図6−2は、
図1−1に示した障子に用いるカバー装置のカバー部材を内表面側から見た斜視図である。
【
図7-1】
図7−1は、
図1−1に示した障子に用いるカバー部材の変形例を内表面側から見た斜視図である。
【
図7-2】
図7−2は、
図7−1に示したカバー部材を外表面側から見た斜視図である。
【
図8】
図8は、本発明の実施の形態2である縦框用のカバー装置を適用した障子の要部断面図である。
【
図9】
図9は、本発明の実施の形態3である縦框用のカバー装置を適用した障子の要部断面図である。
【
図10】
図10は、本発明の実施の形態4である縦框用のカバー装置を適用した障子の要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面を参照しながら本発明に係る縦框用のカバー装置及び障子の好適な実施の形態1について詳細に説明する。
【0024】
図1−1〜
図3は、本発明の実施の形態1である縦框用のカバー装置を適用した障子を示したものである。ここで例示する障子10は、
図4及び
図5に示すように、浴室と脱衣室との間の出入り口を開閉する浴室用の開き戸として用いられるもので、戸先側に位置する縦框(以下、「戸先框11」という)の下端部にカバー装置20が装着されている。
【0025】
カバー装置20の装着対象となる戸先框11は、アルミニウムやアルミニウム合金製の押し出し形材によって一様な横断面形状を有するように構成したものである。本実施の形態1では、ほぼ矩形状の横断面を有した戸先框11を適用しており、小口切りされた端部が戸先の下端部において下方に開口している。戸先框11において戸先側に位置する戸先框壁11aには、戸先ヒレ11b,11c及び挿通孔11dが設けてある。戸先ヒレ11b,11cは、戸先框壁11aの両側縁部からそれぞれ見付け方向に沿って外方に突出した突部である。挿通孔11dは、図には明示していないが、戸先框11と下框12との間を連結する連結ネジ(図示せず)を挿通させるとともに、連結ネジ(図示せず)を締結するための工具の先端部を挿入するための円形の開口である。
【0026】
この戸先框11に装着するカバー装置20は、戸先框11の下端開口を介して戸先框11の内部に配設されるインサート部材120と、戸先框11の戸先面及び下面を覆う位置に配設されるカバー部材220とを備えて構成してある。
【0027】
インサート部材120は、比較的硬質の合成樹脂によって成形したもので、
図1−1〜
図3に示すように、戸先框11の下端開口よりもわずかに小さい外形寸法に形成した角筒状を成し、上端が開口する一方、下端に底壁121を有している。このインサート部材120には、角筒状を成す部分の外表面に複数本の突条部122が設けてある。突条部122は、それぞれ上下方向に沿って形成した幅の小さい突出部であり、インサート部材120を戸先框11の下端開口から内部に挿入した場合に、戸先框11の内壁面に対して互いに圧接される寸法に形成してある。
【0028】
インサート部材120の底壁121には、排水口123及びフック片124が設けてある。排水口123は、上下方向に貫通した開口であり、戸先框11の内部を伝って底壁121の上面に水が浸入した場合に、この浸入水を外部に排出するためのものである。フック片124は、底壁121の下面から下方に突出した後、戸尻に向けて直角に屈曲するようにフック部124aを形成した部分である。
【0029】
インサート部材120において戸先框11の戸先框壁11aに対向して配置される戸先内壁部125には、装着孔125aが設けてある。装着孔125aは、左右の幅が戸先框11の挿通孔11dとほぼ一致し、かつ上下に長い楕円形状を成すもので、インサート部材120を戸先框11の内部に配設した場合に、その上縁の位置が挿通孔11dの上縁とほぼ一致するように形成してある。
【0030】
一方、カバー部材220は、比較的軟質の合成樹脂やゴム等の弾性材によって成形したもので、戸先框壁11aの戸先面を覆う側方カバー部221と、戸先框壁11aの下端面を覆う下方カバー部222とを有している。
【0031】
側方カバー部221は、
図3〜
図6−2に示すように、戸先框11に設けた戸先ヒレ11b,11cの相互間隔よりも小さい幅を有し、かつ戸先框11の下端から戸先框11の挿通孔11dを覆うに十分な高さを有した矩形状部分である。図からも明らかなように、側方カバー部221は、本来稜線となる部分を含めて全体を滑らかな面で構成し、異物が接触した場合の手掛かりとなる部分を減少させるようにしている。また、側方カバー部221の外表面には、欠肉部221aが形成してある。欠肉部221aは、側方カバー部221の外表面中央部に形成した凹状部分であり、側方カバー部221の外方への突出量を抑えて異物との接触機会を減少させるものである。この側方カバー部221には、戸先框11の挿通孔11dに対応する部位に係止突部223が設けてある。
【0032】
係止突部223は、側方カバー部221において戸先框11に対向する内表面から戸尻側に向けてほぼ水平に突設した基部223aと、基部223aの突出端部から上方に向けて突出した係止部223bとを有したもので、側面視が略L字状を成している。係止突部223の基部223aは、戸先框11の挿通孔11dに挿通可能となる外径に形成した軸状部分である。基部223aの突出長さは、係止突部223が無負荷状態にある場合において、戸先框壁11aの板厚とインサート部材120の戸先内壁部125の板厚との合計寸法よりもわずかに大きい長さに設定してある。係止突部223の係止部223bは、左右の幅が基部223aと等しくなるように形成してあるが、基部223aから上方へは大きく突出し、その上端が側方カバー部221の上端を超えて上方に位置している。
【0033】
図1−1及び
図1−2からも明らかなように、係止突部223において基部223aと係止部223bとの接合部には、傾斜面223cが設けてある。傾斜面223cは、側方カバー部221の内表面から離隔するに従って漸次上方となるように傾斜したものである。この傾斜面223cを設けた係止突部223では、
図1−2に示すように、側方カバー部221の内表面が下方に向くようにカバー部材220を傾斜させた場合に傾斜面223cがほぼ水平となるため、下方への突出量を減少させることができる。
【0034】
カバー部材220の下方カバー部222は、側方カバー部221の下端部から側方に向けて突出した部分であり、側方カバー部221を戸先框11の戸先面に当接させた場合に、戸先框壁11aの下面を覆うとともに、戸先面から突出する戸先ヒレ11b,11cの下面を覆うように形成してある。この下方カバー部222には、サブ係止部222a及び止水ヒレ部222bが設けてある。
【0035】
サブ係止部222aは、下方カバー部222からさらに戸尻側に向けて突出し、インサート部材120に設けたフック片124を覆うように形成した部分である。このサブ係止部222aには、係止孔222cが設けてある。係止孔222cは、サブ係止部222aによってインサート部材120の下面を覆った場合にフック片124を挿通させ、フック片124のフック部124aをサブ係止部222aの下面に係止させるためのものである。
【0036】
止水ヒレ部222bは、下方カバー部222の下面から下方に向けて突出し、下縁部が下枠1の上面に接触する薄板状部分であり、戸先框11の戸先面に沿って延在している。
図4及び
図5に示すように、本実施の形態1では、下枠1の上面が浴室側に向けて漸次低くなるように傾斜しており、止水ヒレ部222bの下縁も下枠1の傾斜に沿って浴室側が漸次低くなるように傾斜している。
【0037】
上記のように構成したカバー装置20を戸先框11の下端部に支持させるには、まず、戸先框11の下端開口を介して戸先框11の内部にインサート部材120を配設する。このとき、インサート部材120を戸先框11の内部に圧入すれば、突条部122が戸先框11の内壁面に圧接されることになり、戸先框11に対して脱落することなくインサート部材120を取り付けることができる。
【0038】
この状態から戸先框11の挿通孔11d及びインサート部材120の装着孔125aを介してカバー部材220の係止突部223を挿入し、その後、カバー部材220のサブ係止部222aの係止孔222cにインサート部材120のフック片124を挿入すれば、係止突部223の係止部223bがインサート部材120の戸先内壁部125に係止されるとともに、フック片124のフック部124aがサブ係止部222aに係止され、カバー部材220を戸先框11に支持させることができる。
【0039】
上記のようにして戸先框11の下端部にカバー装置20を装着した障子10によれば、小口切りされた戸先框壁11aの下面及び戸先面から突出する戸先ヒレ11b,11cの下面がいずれも合成樹脂もしくは弾性材によって成形されたカバー部材220の下方カバー部222によって覆い隠されることになる。従って、戸先框11の下端部に履き物の先端部やズボンの裾が接触した場合にも、履き物やズボンに損傷を来す恐れがなくなる。この場合、外部に露出する側方カバー部221は、欠肉部221aによって薄肉化されているため、異物との接触機会が少ない
とともに、外表面全体が滑らかな面で構成されているため、仮に異物に接触した場合にも捲れてしまう恐れが少なく、カバー部材220の脱落を招来することがない。
【0040】
しかも、上述した障子10においては、係止突部223として基部223aから上方に向けて係止部223bが大きく突出したものを適用しているため、戸先框11に対するカバー装置20の装着力を向上させることができ、カバー部材220に外力が加えられた場合にも、カバー部材220が戸先框11から容易に脱落する恐れはない。さらに、カバー部材220の下方カバー部222とインサート部材120との間においてもサブ係止部222aとフック片124のフック部124aとを係止させ、係止突部223の係止部223bとインサート部材120の戸先内壁部125との係止状態を解除する方向の移動を阻止するようにしているため、戸先框11に対するカバー装置20の装着力がより大きく向上されることになる。
【0041】
ここで、係止突部223の係止部223bを単に大きな外形を有するように構成した場合には、大型化した係止部223bを挿通孔11dに挿通させる操作が難しくなり、カバー装置20の戸先框11への取付作業が煩雑化する事態を招く恐れがある。しかしながら、上述した障子10では、戸先框11の挿通孔11d及びインサート部材120の装着孔125aを介して係止突部223の係止部223bを戸先内壁部125に係止させるように構成しているため、カバー部材220においては側方カバー部221と係止突部223との間に戸先框11とインサート部材120の戸先内壁部125との板厚を合計した寸法の距離を設定することができる。これにより、側方カバー部221に対して係止突部223の変形自由度が大きくなり、係止突部223を大型化した場合にも、挿通孔11dへの挿入作業を容易に行うことが可能となり、戸先框11への取付作業を煩雑化する事態を招来することがない。さらに、インサート部材120の戸先内壁部125については、障子10の重量に大きな影響を与えることなく、その板厚を任意に設定することが可能である。従って、戸先内壁部125の板厚を大きく設定することで、側方カバー部221と係止突部223との間の距離をより大きく設定することも可能である。
【0042】
また、上述の障子10によれば、係止突部223において基部223aと係止部223bとの接合部に傾斜面223cを設けているため、側方カバー部221の内表面が下方に向くようにカバー部を傾斜させ、係止突部223の係止部223bを戸先框11の挿通孔11dに挿入させれば、係止突部223が挿通孔11dの投影域内に配置されるようになり、カバー装置20の取付作業をより容易化することができるようになる。
【0043】
このように上述した障子10によれば、装着孔125aを有したインサート部材120を戸先框11の内部に配設しているため、カバー部材220の係止突部223が戸先框11の挿通孔11d及びインサート部材120の装着孔125aを介して戸先内壁部125に係止されてカバー部材220が戸先框11に支持される。従って、側方カバー部221と係止突部223との間には、戸先框11とインサート部材120の戸先内壁部125との板厚を合計した寸法の距離を確保することができる。これにより、側方カバー部221に対して係止突部223の変形自由度が大きくなり、係止突部223を大型化した場合にも、挿通孔11dへの挿入作業を容易に行うことが可能となり、戸先框11への取付作業を煩雑化することなく、戸先框11からのカバー装置20の脱落を確実に防止できるようになる。
【0044】
尚、上述した実施の形態1では、カバー装置20のカバー部材220として側方カバー部221が矩形状に成形されたものを例示しているが、
図7−1及び
図7−2に示す変形例のように、角部を無くして円弧状の外形を有するようにカバー部材220′を構成しても良い。この変形例によれば、異物に接触した場合の手掛かりとなる部分をさらに減らすことができ、戸先框11からの脱落をより確実に防止することができる。
図7−1及び
図7−2に示す変形例において、実施の形態1と同様の構成に関しては、同一の符号を付して詳細説明を省略している。
【0045】
また、上述した実施の形態1では、サブ係止手段として、インサート部材120の下面から下方に向けてフック片124を突設するとともに、カバー部材220の下方カバー部222にサブ係止部222aを設け、サブ係止部222aを介してインサート部材120のフック片124に下方カバー部222を係止させるものを例示したが、本発明はこれに限定されない。
【0046】
例えば、
図8に示す実施の形態2のように、インサート部材320の底壁321に係止孔320aを設けてサブ係止部320bを構成するとともに、カバー部材420の下方カバー部422においてインサート部材320の下面に対向する部位から上方に向けてフック片424を突設してサブ係止手段を構成し、係止孔320aに挿通したフック片424をサブ係止部320bに係止させることで下方カバー部422をインサート部材320に支持させるようにしても良い。
【0047】
この場合、
図9に示す実施の形態3のように、下方カバー部422に設けたフック片424をさらに戸尻側に向けて屈曲させ、インサート部材320において戸尻側に位置する戸尻内壁部321及び戸先框11において戸尻側に位置する戸尻框壁11eにフック片424を係止させるようにしても良い。
【0048】
さらに、
図10の実施の形態4のように、下框12の下方に臨む見込み面に係止孔12aを設けてサブ係止部12bを構成するとともに、カバー部材520の下方カバー部522において下框12に対向する部位から上方に向けてフック片524を突設してサブ係止手段を構成し、係止孔12aに挿通したフック片524をサブ係止部12bに係止させることで下方カバー部522を下框12に支持させるようにすることも可能である。
【0049】
また、上述した実施の形態1では、浴室用の開き戸として用いられる障子を例示しているが、必ずしも浴室用のものに限らない。