(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の油圧源側の油通路と複数のアクチュエータ側の油通路とに連通するスプール摺動穴が6個以上設けられた弁ハウジングと、該弁ハウジングの各スプール摺動穴内にそれぞれ挿嵌して設けられ前記油圧源側の油通路とアクチュエータ側の油通路とを連通,遮断する6個以上のスプールとを備えてなる多連弁装置において、
前記弁ハウジングは、対向する合せ面の位置で互いに衝合、離間される第1ハウジングブロックと第2のハウジングブロックとに2分割する構成とし、
前記各スプール摺動穴のうち前記第1のハウジングブロックに設けられた3個以上のスプール摺動穴は、前記合せ面に対して平行な方向と垂直な方向とに立体構造をなして配設する構成とし、
前記第2のハウジングブロックに設けられた残り3個以上のスプール摺動穴は、前記合せ面に対して平行な方向と垂直な方向とに他の立体構造をなして配設する構成とし、
前記第1,第2のハウジングブロックのうち一方のハウジングブロックには、前記各油通路内の最高圧力を予め決められた設定圧以下に抑えるリリーフ弁を設け、
該リリーフ弁は、前記一方のハウジングブロックに設けられた前記各スプール摺動穴よりも前記合せ面に近い位置に配置する構成としたことを特徴とする多連弁装置。
前記弁ハウジングは、前記各スプール摺動穴内にそれぞれ挿嵌して設けられた前記各スプールと共に建設機械に用いる複数の方向制御弁を構成してなる請求項1に記載の多連弁装置。
前記第1のハウジングブロックは、合計4個の前記各スプール摺動穴に挿嵌して設けられた合計4個の前記スプールと共に左,右の走行用方向制御弁、作業装置の作業具用方向制御弁および予備の方向制御弁を構成し、前記第2のハウジングブロックは、合計5個の前記各スプール摺動穴に挿嵌して設けられた合計5個の前記スプールと共に前記作業装置の一対のブーム用方向制御弁、一対のアーム用方向制御弁および上部旋回体の旋回用方向制御弁を構成してなる請求項1または2に記載の多連弁装置。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態による多連弁装置を、建設機械としての油圧ショベルに搭載した場合を例に挙げ、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0018】
実施の形態の記載では、多連弁装置の代表例として、第1のハウジングブロックに合計4個のスプール摺動穴を設け、第2のハウジングブロックに合計5個のスプール摺動穴を設ける場合を例に挙げている。しかし、本発明に係る多連弁装置は、これに限るものではなく、6〜12個のスプール摺動穴が設けられた弁ハウジングのうち、第1のハウジングブロックに3〜6個のスプール摺動穴を設け、第2のハウジングブロックに3〜6個のスプール摺動穴を設ける構成としてもよいものである。
【0019】
ここで、
図1ないし
図14は本発明の実施の形態に係る多連弁装置を示している。図中、1は建設機械としての油圧ショベルで、この油圧ショベル1は、
図1に示すように自走可能なクローラ式の下部走行体2と、該下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体3と、後述の作業装置7とにより大略構成されている。
【0020】
この場合、油圧ショベル1の上部旋回体3は、下部走行体2と共に建設機械の車体を構成するものである。そして、上部旋回体3は、下部走行体2上で旋回駆動される旋回フレーム3Aを有し、この旋回フレーム3A上には、後述のキャブ4、カウンタウエイト5および建屋カバー6等が設けられている。
【0021】
4は旋回フレーム3Aの前部左側に配設されたキャブで、該キャブ4は、略四角形の箱体として形成され、その内部に運転室を画成している。キャブ4の内側には、オペレータが着席または着座する運転席、操作レバー、走行用レバー(いずれも図示せず)等が配設されている。
【0022】
5は旋回フレーム3Aの後端側に設けられたカウンタウエイトで、該カウンタウエイト5は、旋回フレーム3Aの後端側に着脱可能に搭載され、前側の作業装置7に対して上部旋回体3全体の重量バランスをとるものである。また、カウンタウエイト5の前側には、エンジン(図示せず)等を収容する後述の建屋カバー6が設けられている。
【0023】
6はキャブ4とカウンタウエイト5との間に位置して旋回フレーム3A上に立設された建屋カバーである。この建屋カバー6は、例えば薄い鋼板からなる複数枚の金属パネルを用いて形成され、内部にエンジン等を収容する機械室(図示せず)を画成するものである。建屋カバー6内には、前記エンジンによって回転駆動される後述の油圧ポンプ77,79(
図14参照)が設けられている。また、建屋カバー6内には、キャブ4に近い位置に後述の多連弁装置11が設けられている。
【0024】
7は上部旋回体3の前部に俯仰動可能に設けられた作業装置で、該作業装置7は、基端側が旋回フレーム3Aに俯仰動可能に取付けられたブーム8と、該ブーム8の先端側に俯仰動可能に取付けられたアーム9と、例えば土砂等の掘削作業を行うため該アーム9の先端側に回動可能に設けられた作業具としてのバケット10とにより大略構成されている。
【0025】
作業装置7のブーム8は、ブームシリンダ8Aにより旋回フレーム3Aに対して上,下に俯仰動され、アーム9は、ブーム8の先端側でアームシリンダ9Aにより上,下に俯仰動される。また、作業具としてのバケット10は、アーム9の先端側で作業具用シリンダとしてのバケットシリンダ10Aにより上,下に回動されるものである。
【0026】
次に、11は本実施の形態で採用した多連弁装置で、該多連弁装置11は、
図2〜
図14に示すように弁ハウジング12と、後述のスプール27,31,35,39,49,51,56,58,62およびリリーフ弁88等とにより構成されている。そして、多連弁装置11の弁ハウジング12は、
図2〜
図6等に示すように、後述する第1,第2のハウジングブロック13,14により2分割して形成されている。
【0027】
ここで、第1,第2のハウジングブロック13,14は、後述の合せ面13B,14Aに対して平行な左,右方向(
図2中のX軸方向)と前,後方向(Y軸方向)に延びると共に、合せ面13B,14Aに垂直な上,下方向(Z軸方向)にもそれぞれ延びる直方体状のブロックとして形成される。第1,第2のハウジングブロック13,14は、合せ面13B,14Aを介して互いに分離可能に衝合されるものである。
【0028】
13は弁ハウジング12の半割体となる第1のハウジングブロックで、該第1のハウジングブロック13は、鋳造等の手段を用いて
図2〜
図7に示す如く直方体状をなす鋳造品として成形されている。第1のハウジングブロック13は、上側の一面13A(以下、上面13Aという)、下側の合せ面13B、前,後の側面13C,13Dおよび左,右の側面13E,13Fからなる合計6個の面を有している。
【0029】
図2に示すように、第1のハウジングブロック13には、前側の側面13Cのうち後述のカバー81Aよりも上側となる位置に後述のポンプポート65が開口して設けられている。また、前側の側面13Cには、左,右方向(X軸方向)に離間した位置に後述の圧油給排ポート29A,29Bと圧油給排ポート37A,37Bとがそれぞれ開口して設けられている。
図3に示すように、後側の側面13Dには、左,右方向(X軸方向)に離間した位置に後述の圧油給排ポート33A,33Bと圧油給排ポート41A,41Bとがそれぞれ開口して設けられている。
【0030】
14は弁ハウジング12の他の半割体を構成する第2のハウジングブロックである。この第2のハウジングブロック14も、鋳造等の手段により直方体状のブロック(鋳物)として成形されている。第2のハウジングブロック14は、上側の合せ面14A、下側の他面14B(以下、下面14Bという)、前,後の側面14C,14Dおよび左,右の側面14E,14Fからなる合計6個の面を有している。
【0031】
図2に示すように、第2のハウジングブロック14には、前側の側面14Cのうち後述のカバー85Aよりも下側となる位置に後述のポンプポート71が開口して設けられ、ポンプポート71よりもX軸方向で左側となる位置には後述のタンクポート75が開口して設けられている。また、前側の側面14Cには、後述の圧油給排ポート53A,53Bが左,右方向(X軸方向)に離間して設けられている。
図3に示すように、後側の側面14Dには、後述の圧油給排ポート60A,60Bと圧油給排ポート64A,64Bとがそれぞれ左,右方向(X軸方向)に離間して設けられている。
【0032】
15は第1のハウジングブロック13に形成した複数(例えば、合計4個)の凹窪部で、これらの凹窪部15は、合せ面13Bよりも上側となる位置で第1のハウジングブロック13の各角隅部(即ち、前,後の側面13C,13Dと左,右の側面13E,13Fとの間の角隅部)を、それぞれ断面L字状に切欠いて凹設することにより形成されている。
【0033】
各凹窪部15の下面側は、合せ面13Bとの間がボルト締結用の座面部15Aとなり、該各座面部15Aは、複数のボルト16,16,…を用いて第1のハウジングブロック13を第2のハウジングブロック14に衝合状態で固着(結合)するための締結部を構成する。そして、凹窪部15は、座面部15Aの上側位置にボルト16用のボルト装着スペースを形成するものである。
【0034】
第2のハウジングブロック14には、合せ面14Aのうち前記各座面部15Aと上,下で対向する位置にそれぞれねじ穴17(
図10、
図13参照)が形成され、これらのねじ穴17には、ボルト16がそれぞれ螺着されている。これにより、第1のハウジングブロック13と第2のハウジングブロック14とは、合計4本のボルト16を用いて衝合状態に固着され、多連弁装置11の弁ハウジング12を構成するものである。
【0035】
18,19,20,21は第1のハウジングブロック13に設けられた4個のスプール摺動穴で、該スプール摺動穴18〜21は、
図2に示す後述のカバー体22と同様に立体構造をなして第1のハウジングブロック13内に配置されている。スプール摺動穴18〜21は、
図4、
図5、
図7、
図8に示す如くX軸方向に沿って互いに並行に延び、Y軸方向とZ軸方向では互いに離間する構成となっている。
【0036】
ここで、第1のハウジングブロック13に設けるスプール摺動穴の個数は4個に限らず、スプール摺動穴を立体構造をなすように最少個数として3個設ける構成とすればよい。この場合、第1のハウジングブロック13には、例えば走行左用制御弁、走行右用制御弁、バケット用制御弁の合計3個のスプール摺動穴18,19,20を設け、予備の制御弁用のスプール摺動穴21は省略することができる。
【0037】
即ち、スプール摺動穴18〜21のうちスプール摺動穴18,19は、
図7に示すようにX軸方向では並行して延び、Y軸方向には所定の間隔をもって配置されている。また、スプール摺動穴20,21も、
図8に示すようにX軸方向で並行して延び、Y軸方向には所定の間隔をもって配置されている。スプール摺動穴18,20は、
図4に示す如くX軸方向に沿って互いに並行に延び、Z軸方向には所定の間隔をもって配置されている。また、スプール摺動穴19,21も、
図5に示す如くX軸方向に沿って互いに並行に延び、Z軸方向には所定の間隔をもって配置されている。
【0038】
ここで、第1のハウジングブロック13には、
図7に示すようにスプール摺動穴18の周壁側に環状の油溝18A,18Bが軸方向に離間して形成され、該油溝18A,18B間には他の環状の油溝18C,18Cが形成されている。また、スプール摺動穴18の周壁側には、油溝18A,18Bよりも軸方向の外側となる位置に別の油溝18D,18Dが形成されている。
【0039】
これらの油溝18A〜18Dのうち油溝18A,18Bは、圧油給排側の油溝となって後述する走行右用の圧油給排ポート29A,29Bに連通し、アクチュエータ側の油通路を構成するものである。各油溝18Cは、高圧側の油溝となって後述するポンプポート65側のポンプ通路66、高圧通路68,69に連通し、各油溝18Dは、低圧側の油溝となって後述するタンク78側の低圧通路70の側方通路部70Bと連通している。これらの油溝18C,18Dは、油圧源側の油通路を構成するものである。
【0040】
また、第1のハウジングブロック13には、
図7に示す如くスプール摺動穴19の周壁側に、アクチュエータ側の油通路を構成する圧油給排側の油溝19A,19Bと、油圧源側の油通路を構成する高圧側の油溝19C,19C、低圧側の油溝19D,19Dとが互いに軸方向に離間して形成されている。
【0041】
スプール摺動穴20の周壁側には、
図8に示す如くアクチュエータ側の油通路を構成する圧油給排側の油溝20A,20Bと、油圧源側の油通路を構成する高圧側の油溝20C,20C、低圧側の油溝20D,20Dとが互いに軸方向に離間して形成されている。また、スプール摺動穴21の周壁側には、
図8に示す如くアクチュエータ側の油通路を構成する圧油給排側の油溝21A,21Bと、油圧源側の油通路を構成する高圧側の油溝21C,21C、低圧側の油溝21D,21Dとが互いに軸方向に離間して形成されている。
【0042】
22は第1のハウジングブロック13の側面13Fに設けられたカバー体で、該カバー体22は、
図2に示すように合計4個の筒状突出部22A,22B,22C,22Dを有し、これらの筒状突出部22A〜22Dは、後述する制御弁26,30,34,38の油圧パイロット部26B,30B,34B,38Bを構成するものである。
【0043】
筒状突出部22A,22B,22C,22Dは、
図4、
図5、
図7、
図8に示すように、スプール摺動穴18,19,20,21と同軸となってハウジングブロック13の側面13FからX軸方向に突出している。即ち、筒状突出部22A〜22Dは、スプール摺動穴18〜21と同様にX軸方向に沿って互いに並行に延び、Y軸方向とZ軸方向では互いに離間する立体構造の配置関係に配設されている。
【0044】
23は第1のハウジングブロック13の側面13Eに設けられた他のカバー体で、該カバー体23は、
図3に示すように合計4個の短尺な筒状部23A,23B,23C,23Dを有し、これらの筒状部23A〜23Dは、後述する制御弁26,30,34,38の油圧パイロット部26A,30A,34A,38Aを構成するものである。
【0045】
24は第2のハウジングブロック14の側面14Fに設けられたカバー体で、該カバー体24は、
図2に示すように合計5個の筒状突出部24A,24B,24C,24D,24Eを有し、これらの筒状突出部24A〜24Eは、後述する制御弁47,48,54,55,61の油圧パイロット部47B,48B,54B,55B,61Bを構成するものである。
【0046】
筒状突出部24A,24B,24C,24D,24Eは、
図4、
図5、
図10〜
図12に示す如く後述のスプール摺動穴42,43,44,45,46と同軸となってハウジングブロック14の側面14FからX軸方向に突出している。即ち、筒状突出部24A〜24Eは、スプール摺動穴42〜46と同様にX軸方向に沿って互いに並行に延び、Y軸方向とZ軸方向では互いに離間する立体構造の配置関係に配設されている。
【0047】
25は第2のハウジングブロック14の側面14Eに設けられた他のカバー体で、該カバー体25は、
図3に示す如く合計5個の短尺な筒状部25A,25B,25C,25D,25Eを有し、これらの筒状部25A〜25Eは、後述する制御弁47,48,54,55,61の油圧パイロット部47A,48A,54A,55A,61Aを構成するものである。
【0048】
26は第1のハウジングブロック13に設けられた走行右用の方向制御弁(以下、走行用制御弁26という)で、該走行用制御弁26は、
図7に示す如くスプール摺動穴18内にスプール27を挿嵌してなるスプール弁により構成されている。走行用制御弁26は、スプール27の軸方向両側に位置してカバー体22,23内に左,右の油圧パイロット部26A,26Bを有し、右側の油圧パイロット部26Bには、スプール27を常時中立位置に向けて付勢するスプリング28が配設されている。
【0049】
ここで、走行用制御弁26は、走行用レバー等の操作弁(図示せず)から油圧パイロット部26A,26Bに供給されるパイロット圧に従ってスプール27をスプール摺動穴18の軸方向に変位させ、アクチュエータ側の油溝18A,18Bを油圧源側の油溝18C,18Dに対して選択的に連通,遮断する。これにより、走行用制御弁26は、
図14中の中立位置(イ)から左,右の切換位置(ロ),(ハ)に切換わるものである。
【0050】
29A,29Bはハウジングブロック13の側面13Cに設けられた圧油給排ポートで、該圧油給排ポート29A,29Bは、
図7に示すようにアクチュエータ側の油溝18A,18Bに一方で連通し、他方ではハウジングブロック13の側面13Cに
図2に示す如く開口している。
図14に示すように圧油給排ポート29A,29Bは、下部走行体2(
図1参照)に設ける左,右の走行用モータ2L,2Rのうち、例えば右側の走行用モータ2Rに圧油を給排するものである。
【0051】
30は第1のハウジングブロック13に設けられた走行左用の方向制御弁(以下、走行用制御弁30という)で、該走行用制御弁30は、
図7に示す如くスプール摺動穴19内にスプール31を挿嵌してなるスプール弁により構成されている。走行用制御弁30は、スプール31の軸方向両側に位置してカバー体22,23内に左,右の油圧パイロット部30A,30Bを有し、油圧パイロット部30Bには、スプール31を常時中立位置に向けて付勢するスプリング32が配設されている。
【0052】
走行用制御弁30は、走行用レバー等の操作弁(図示せず)から油圧パイロット部30A,30Bに供給されるパイロット圧に従ってスプール31をスプール摺動穴19の軸方向に変位させ、アクチュエータ側の油溝19A,19Bを油圧源側の油溝19C,19Dに対して選択的に連通,遮断する。これにより、走行用制御弁30は、
図14中の中立位置(イ)から左,右の切換位置(ロ),(ハ)に切換わるものである。
【0053】
33A,33Bはハウジングブロック13の側面13Dに設けられた他の圧油給排ポートで、該圧油給排ポート33A,33Bは、
図7に示すようにアクチュエータ側の油溝19A,19Bに一方で連通し、他方ではハウジングブロック13の側面13Dに
図3に示す如く開口している。
図14に示すように、圧油給排ポート33A,33Bは、下部走行体2(
図1参照)に設ける左,右の走行用モータ2L,2Rのうち例えば左側の走行用モータ2Lに圧油を給排するものである。
【0054】
34は第1のハウジングブロック13に設けられた作業具用の方向制御弁(以下、バケット用制御弁34という)で、該バケット用制御弁34は、
図8に示す如くスプール摺動穴20内にスプール35を挿嵌してなるスプール弁により構成されている。バケット用制御弁34には、スプール35の軸方向両側に位置してカバー体22,23内に左,右の油圧パイロット部34A,34Bが設けられ、右側の油圧パイロット部34Bには、スプール35を常時中立位置に向けて付勢するスプリング36が配設されている。
【0055】
バケット用制御弁34は、バケット用操作レバー等の操作弁(図示せず)から油圧パイロット部34A,34Bに供給されるパイロット圧に従ってスプール35をスプール摺動穴20の軸方向に変位させ、アクチュエータ側の油溝20A,20Bを油圧源側の油溝20C,20Dに対して選択的に連通,遮断する。これにより、バケット用制御弁34は、
図14中の中立位置(イ)から左,右の切換位置(ロ),(ハ)に切換わるものである。
【0056】
37A,37Bはハウジングブロック13の側面13Cに設けられた圧油給排ポートで、該圧油給排ポート37A,37Bは、
図8に示すようにアクチュエータ側の油溝20A,20Bに一方で連通し、他方ではハウジングブロック13の側面13Cに
図2に示す如く開口している。そして、圧油給排ポート37A,37Bは、作業装置7のバケットシリンダ10A(
図1参照)に圧油を給排するものである。
【0057】
38は第1のハウジングブロック13に設けられた予備の方向制御弁(以下、予備の制御弁38という)で、該予備の制御弁38は、
図8に示すようにスプール摺動穴21内にスプール39を挿嵌してなるスプール弁により構成されている。予備の制御弁38には、スプール39の軸方向両側に位置してカバー体22,23内に左,右の油圧パイロット部38A,38Bが設けられ、右側の油圧パイロット部38Bには、スプール39を常時中立位置に向けて付勢するスプリング40が配設されている。
【0058】
予備の制御弁38は、操作レバー等の操作弁(図示せず)から油圧パイロット部38A,38Bに供給されるパイロット圧に従ってスプール39をスプール摺動穴21の軸方向に変位させ、アクチュエータ側の油溝21A,21Bを油圧源側の油溝21C,21Dに対して選択的に連通,遮断する。これにより、予備の制御弁38は、
図14中の中立位置(イ)から左,右の切換位置(ロ),(ハ)に切換わるものである。
【0059】
41A,41Bはハウジングブロック13の側面13Dに設けられた他の圧油給排ポートで、該圧油給排ポート41A,41Bは、
図8に示すようにアクチュエータ側の油溝21A,21Bに一方で連通し、他方ではハウジングブロック13の側面13Dに
図3に示す如く開口している。圧油給排ポート41A,41Bは、予備の油圧アクチュエータ(図示せず)等に圧油を給排するものである。
【0060】
42,43,44,45,46は第2のハウジングブロック14に設けられた5個のスプール摺動穴で、該スプール摺動穴42〜46は、
図2に示すカバー体24に対応する立体構造をなして第2のハウジングブロック14内に配置されている。スプール摺動穴42〜46は、
図4、
図5、
図10〜
図12に示す如くX軸方向に沿って互いに並行に延び、Y軸方向とZ軸方向では互いに離間する構成となっている。
【0061】
ここで、第2のハウジングブロック14に設けるスプール摺動穴の個数は5個に限らず、スプール摺動穴を立体構造をなすように最少個数として3個設ける構成とすればよい。この場合、第2のハウジングブロック14には、例えばブーム用制御弁、アーム用制御弁、旋回用制御弁の合計3個のスプール摺動穴42,44,46を設け、ブーム用制御弁、アーム用制御弁のスプール摺動穴43,45は省略することができる。
【0062】
スプール摺動穴42〜46のうちスプール摺動穴42,43は、
図10に示すようにX軸方向では並行して延び、Y軸方向には所定の間隔をもって配置されている。また、スプール摺動穴45,46は、
図11に示すようにX軸方向で並行して延び、Y軸方向には所定の間隔をもって配置されている。また、スプール摺動穴42,44は、
図4に示す如くX軸方向に沿って互いに並行に延び、Z軸方向には間隔をもって配置されている。一方、
図5に示す如く、スプール摺動穴45は、スプール摺動穴43,46の間にZ軸方向に離間して配置され、これらのスプール摺動穴43,45,46は、X軸方向に沿って互いに並行に延びている。
【0063】
ここで、第2のハウジングブロック14には、
図10に示すようにスプール摺動穴42の周壁側に環状の油溝42A,42Bが軸方向に離間して形成され、該油溝42A,42B間には他の環状の油溝42C,42Cが形成されている。また、スプール摺動穴42の周壁側には、油溝42A,42Bよりも軸方向の外側となる位置に別の油溝42D,42Dが形成されている。
【0064】
これらの油溝42A〜42Dのうち油溝42A,42Bは、圧油給排側の油溝となって後述するブーム用の圧油給排ポート53A,53Bに連通し、アクチュエータ側の油通路を構成するものである。また、各油溝42Cは、高圧側の油溝となって後述する油圧ポンプ77側の高圧通路69に連通し、各油溝42Dは、低圧側の油溝となって後述するタンク側の側方通路部76Bと連通している。これらの油溝42C,42Dは、油圧源側の油通路を構成するものである。
【0065】
また、第2のハウジングブロック14には、
図10に示す如くスプール摺動穴43の周壁側に、アクチュエータ側の油通路を構成する圧油給排側の油溝43A,43Bと、油圧源側の油通路を構成する高圧側の油溝43C,43C、低圧側の油溝43D,43Dとが互いに軸方向に離間して形成されている。
【0066】
スプール摺動穴44の周壁側には、
図11に示す如くアクチュエータ側の油通路を構成する圧油給排側の油溝44A,44Bと、油圧源側の油通路を構成する高圧側の油溝44C,44C、低圧側の油溝44D,44Dとが互いに軸方向に離間して形成されている。また、スプール摺動穴45の周壁側には、
図11に示す如くアクチュエータ側の油通路を構成する圧油給排側の油溝45A,45Bと、油圧源側の油通路を構成する高圧側の油溝45C,45C、低圧側の油溝45D,45Dとが互いに軸方向に離間して形成されている。
【0067】
さらに、
図12に示すように、スプール摺動穴46の周壁側には、アクチュエータ側の油通路を構成する圧油給排側の油溝46A,46Bと、油圧源側の油通路を構成する高圧側の油溝46C,46C、低圧側の油溝46D,46Dとが互いに軸方向に離間して形成されている。
【0068】
47,48は第2のハウジングブロック14に設けられたブーム用の方向制御弁(以下、ブーム用制御弁47,48という)で、該ブーム用制御弁47,48のうち一方のブーム用制御弁47は、
図10に示す如く、スプール摺動穴42内にスプール49を挿嵌してなるスプール弁により構成されている。ブーム用制御弁47は、スプール49の軸方向両側に位置してカバー体24,25内に左,右の油圧パイロット部47A,47Bを有し、右側の油圧パイロット部47Bには、スプール49を常時中立位置に向けて付勢するスプリング50が配設されている。
【0069】
ここで、ブーム用制御弁47は、ブーム用操作レバー等の操作弁(図示せず)から油圧パイロット部47A,47Bに供給されるパイロット圧に従ってスプール49をスプール摺動穴42の軸方向に変位させ、アクチュエータ側の油溝42A,42Bを油圧源側の油溝42C,42Dに対して選択的に連通,遮断する。これにより、ブーム用制御弁47は、
図14中の中立位置(イ)から左,右の切換位置(ロ),(ハ)に切換わる。
【0070】
ブーム用制御弁47,48のうち他方のブーム用制御弁48は、スプール摺動穴43内にスプール51を挿嵌してなるスプール弁により構成されている。ブーム用制御弁48は、スプール51の軸方向両側に位置してカバー体24,25内に左,右の油圧パイロット部48A,48Bを有し、右側の油圧パイロット部48Bには、スプール51を常時中立位置に向けて付勢するスプリング52が配設されている。
【0071】
ここで、ブーム用制御弁48は、前述のブーム用制御弁47と同様に前記操作弁から油圧パイロット部48A,48Bに供給されるパイロット圧に従ってスプール51をスプール摺動穴43の軸方向に変位させ、アクチュエータ側の油溝43A,43Bを油圧源側の油溝43C,43Dに対して選択的に連通,遮断する。これにより、ブーム用制御弁48は、
図14中の中立位置(イ)から左,右の切換位置(ロ),(ハ)に切換わるものである。
【0072】
53A,53Bはハウジングブロック14の側面14Cに設けられた圧油給排ポートで、該圧油給排ポート53A,53Bは、
図10に示すように、アクチュエータ側の油溝42A,42Bと油溝43A,43Bとに一方で連通し、他方ではハウジングブロック14の側面14Cに
図2に示す如く開口している。圧油給排ポート53A,53Bは、作業装置7のブームシリンダ8A(
図1参照)に圧油を給排するものである。即ち、ブーム用制御弁47,48は、共通の圧油給排ポート53A,53Bを介して作業装置7のブームシリンダ8Aに圧油を給排するものである。
【0073】
54,55は第2のハウジングブロック14に設けられたアーム用の方向制御弁(以下、アーム用制御弁54,55という)で、該アーム用制御弁54,55のうち一方のアーム用制御弁54は、
図11に示す如く、スプール摺動穴44内にスプール56を挿嵌してなるスプール弁により構成されている。アーム用制御弁54は、スプール56の軸方向両側に位置してカバー体24,25内に左,右の油圧パイロット部54A,54Bを有し、右側の油圧パイロット部54Bには、スプール56を常時中立位置に向けて付勢するスプリング57が配設されている。
【0074】
ここで、アーム用制御弁54は、アーム用操作レバー等の操作弁(図示せず)から油圧パイロット部54A,54Bに供給されるパイロット圧に従ってスプール56をスプール摺動穴44の軸方向に変位させ、アクチュエータ側の油溝44A,44Bを油圧源側の油溝44C,44Dに対して選択的に連通,遮断する。これにより、アーム用制御弁54は、
図14中の中立位置(イ)から左,右の切換位置(ロ),(ハ)に切換わる。
【0075】
アーム用制御弁54,55のうち他方のアーム用制御弁55は、スプール摺動穴45内にスプール58を挿嵌してなるスプール弁により構成されている。アーム用制御弁55は、スプール58の軸方向両側に位置してカバー体24,25内に左,右の油圧パイロット部55A,55Bを有し、右側の油圧パイロット部55Bには、スプール58を常時中立位置に向けて付勢するスプリング59が配設されている。
【0076】
ここで、アーム用制御弁55は、前述のアーム用制御弁54と同様に前記操作弁から油圧パイロット部55A,55Bに供給されるパイロット圧に従ってスプール58をスプール摺動穴45の軸方向に変位させ、アクチュエータ側の油溝45A,45Bを油圧源側の油溝45C,45Dに対して選択的に連通,遮断する。これにより、アーム用制御弁55は、
図14中の中立位置(イ)から切換位置(ロ),(ハ)に切換わり、アーム用制御弁54と共に後述の圧油給排ポート60A,60B側に圧油を給排するものである。
【0077】
60A,60Bはハウジングブロック14の側面14Dに設けられた圧油給排ポートで、該圧油給排ポート60A,60Bは、
図11に示すように、アクチュエータ側の油溝44A,44Bと油溝45A,45Bとに一方で連通し、他方ではハウジングブロック14の側面14Dに
図3に示す如く開口している。圧油給排ポート60A,60Bは、作業装置7のアームシリンダ9A(
図1参照)に圧油を給排する。即ち、アーム用制御弁54,55は、作業装置7のアームシリンダ9Aに対し、共通の圧油給排ポート60A,60Bを介して圧油を給排するものである。
【0078】
61は第2のハウジングブロック14に設けられた旋回用の方向制御弁(以下、旋回用制御弁61という)で、該旋回用制御弁61は、
図12に示す如くスプール摺動穴46内にスプール62を挿嵌してなるスプール弁により構成されている。そして、旋回用制御弁61は、スプール62の軸方向両側に位置してカバー体24,25内に左,右の油圧パイロット部61A,61Bを有し、右側の油圧パイロット部61Bには、スプール62を常時中立位置に向けて付勢するスプリング63が配設されている。
【0079】
ここで、旋回用制御弁61は、旋回用操作レバー等の操作弁(図示せず)から油圧パイロット部61A,61Bに供給されるパイロット圧に従ってスプール62をスプール摺動穴46の軸方向に変位させ、アクチュエータ側の油溝46A,46Bを油圧源側の油溝46C,46Dに対して選択的に連通,遮断する。これにより、旋回用制御弁61は、
図14中の中立位置(イ)から切換位置(ロ),(ハ)に切換わるものである。
【0080】
64A,64Bはハウジングブロック14の側面14Cに設けられた圧油給排ポートで、該圧油給排ポート64A,64Bは、
図12に示すようにアクチュエータ側の油溝46A,46Bに一方で連通し、他方ではハウジングブロック14の側面14Dに
図3に示す如く開口している。そして、
図14に示すように、圧油給排ポート64A,64Bは、上部旋回体3(
図1参照)側に設けられた旋回用モータ3Mに圧油を給排するものである。
【0081】
65はハウジングブロック13の側面13Cに設けられた第1のポンプポートで、該第1のポンプポート65は、
図2に示すように後述のカバー81Aよりも上側となる位置で側面13Cの中央部に開口し、後述する油圧ポンプ77の吐出側に接続されるものである。
図6に示すように、第1のポンプポート65は、第1のハウジングブロック13内に穿設したポンプ通路66、センタバイパス通路67および高圧通路68,69等に連通している。
【0082】
ここで、センタバイパス通路67および高圧通路68は、
図7、
図14に示すようにポンプ通路66を介して第1のポンプポート65に連通している。また、高圧通路69は、
図14の油圧回路にも示す通り、センタバイパス通路67から分岐した通路であり、センタバイパス通路67よりもハウジングブロック13の側面13Cに近い位置に配設されている(
図8、
図9参照)。センタバイパス通路67および高圧通路69は、
図6に示すように第1のハウジングブロック13から第2のハウジングブロック14内へと上,下方向(Z軸方向)に延びて形成されている。
【0083】
このため、センタバイパス通路67は、
図6に示す如く合せ面13B,14Aの上,下で液密に接続される。また、高圧通路69についても、合せ面13B,14Aの上,下で液密に接続されている。ここで、ポンプ通路66、高圧通路69は、第1の油圧ポンプ77から吐出される圧油を走行用制御弁26、バケット用制御弁34、ブーム用制御弁47、アーム用制御弁54等に供給するものである。
【0084】
70は第1のハウジングブロック13内に形成された低圧通路で、該低圧通路70は、
図4〜
図9に示すように、ポンプ通路66、センタバイパス通路67および高圧通路68,69から離間した位置に形成されている。低圧通路70は、第1のハウジングブロック13の上面13Aに沿って延びる複数(2本)の上側通路部70Aと、上端側が該各上側通路部70Aに連通し第1のハウジングブロック13の左,右の側面13E,13Fに沿って下向きに延びる左,右の側方通路部70Bとを含んで構成されている。
【0085】
低圧通路70の各側方通路部70Bは、その下端側が合せ面13Bの位置で後述するタンク通路76の各側方通路部76Bと連通している。このため、低圧通路70の上側通路部70Aおよび側方通路部70B内を流れる油液(各油圧アクチュエータからの戻り油)は、後述のタンク78にタンク通路76を介して排出されるものである。
【0086】
71はハウジングブロック14の側面14Cに設けられた第2のポンプポートで、該第2のポンプポート71は、
図2に示すように後述のカバー85Aよりも下側となる位置で側面14Cの中央部に開口し、後述する第2の油圧ポンプ79の吐出側に接続されるものである。第2のポンプポート71は、第2のハウジングブロック14内に穿設したポンプ通路72に連通すると共に、第2のハウジングブロック14から第1のハウジングブロック13にわたって、例えばZ軸方向に延びるように形成されたセンタバイパス通路73および高圧通路74にも連通している。
【0087】
ここで、高圧通路74は、
図6に示すように、センタバイパス通路73よりもハウジングブロック13,14の側面13D,14Dに近い位置に配設されている。センタバイパス通路73および高圧通路74は、第2のハウジングブロック14から第1のハウジングブロック13内へと上向きに延びて形成されている。
【0088】
このため、センタバイパス通路73および高圧通路74は、
図6に示す如く合せ面13B,14Aの上,下で液密に接続されるものである。高圧通路74は、後述する第2の油圧ポンプ79から吐出された圧油を、旋回用制御弁61、アーム用制御弁55、ブーム用制御弁48、予備の制御弁38、走行用制御弁30等に供給するものである。
【0089】
75は第2のハウジングブロック14の側面14Cに設けられたタンクポートで、該タンクポート75は、
図2に示すように第2のポンプポート71から左方向に離間した位置で側面14Cに開口し、後述のタンク78に接続されるものである。タンクポート75は、
図12に示すようにタンク通路76の下側通路部76Aを介して左,右の側方通路部76B等に連通し、これらの側方通路部76B内を流れる油液(各油圧アクチュエータからの戻り油)をタンク78に排出するものである。
【0090】
ここで、各側方通路部76Bは、例えば
図4、
図5に示す如く第2のハウジングブロック14内で左,右(X軸方向)大きく離間して形成されている。そして、これらの側方通路部76Bは、第1のハウジングブロック13内に形成した前記低圧通路70の側方通路部70Bと合せ面13B,14Aの位置で液密に接続されるものである。
【0091】
77はタンク78と共に第1の油圧源を構成する第1の油圧ポンプで、該第1の油圧ポンプ77は、その吐出側が
図6、
図7に示すように第1のポンプポート65に接続され、ポンプ通路66および高圧通路69等を介して制御弁26,34,47,54等に圧油を供給するものである。
【0092】
79はタンク78と共に第2の油圧源を構成する第2の油圧ポンプで、該第2の油圧ポンプ79は、その吐出側が
図6、
図12に示すように第2のポンプポート71に接続され、ポンプ通路72および高圧通路74等を介して制御弁61,55,48,38,30等に圧油を供給するものである。
【0093】
80は走行用制御弁30に付設したチェック弁で、該チェック弁80は、
図7に示す如くハウジングブロック13の側面13Dから高圧通路74側に向けて装入するように取付けられ、側面13Dとの間はカバー80Aによって閉塞されている。チェック弁80は、高圧通路74から油溝19C側に向けて圧油が流通するのを許し、逆向きの流れを阻止するものである。
【0094】
81はバケット用制御弁34に付設したチェック弁で、該チェック弁81は、
図8に示す如くハウジングブロック13の側面13Cから高圧通路69側に向けて装入するように取付けられ、側面13Cとの間はカバー81Aによって閉塞されている。チェック弁81は、高圧通路69から油溝20C側に向けて圧油が流通するのを許し、逆向きの流れを阻止するものである。
【0095】
82は予備の制御弁38に付設した他のチェック弁で、該チェック弁82は、前述したチェック弁80とほぼ同様に構成され、ハウジングブロック13の側面13D側にカバー82Aが設けられている。チェック弁82は、高圧通路74から油溝21C側に向けて圧油が流通するのを許し、逆向きの流れを阻止するものである。
【0096】
また、第2のハウジングブロック14にも、チェック弁83〜86が設けられている。このうちチェック弁83,84は、
図16に示す如くブーム用制御弁51,55に付設され、これらのチェック弁83,84はカバー83A,84Aを備えている。一方、チェック弁85,86は、
図11に示すようにアーム用制御弁54,55に付設され、これらのチェック弁85,86はカバー85A,86Aを備えている。さらに、チェック弁87は、
図12に示すように旋回用制御弁61に付設され、チェック弁87はカバー87Aを備えている。
【0097】
88は第1のハウジングブロック13に設けられたメインのリリーフ弁で、該リリーフ弁88は、
図9、
図14に示すように、一対のチェック弁89,90間に位置して第1のハウジングブロック13に取付けられている。
図9に示すように、チェック弁89は、高圧通路68に連通したリリーフ通路91を閉塞するように、弁ばね89Aにより常時閉弁方向に付勢されている。リリーフ通路91内の圧力が弁ばね89Aの設定圧を越えると、チェック弁89は開弁し、リリーフ弁88の圧力室88Aには、高圧通路68内の圧力がリリーフ通路91を介して導かれる。しかし、チェック弁89は、圧力室88Aからリリーフ通路91側に向けて油液が流通するのを阻止する。
【0098】
また、チェック弁90は、高圧通路74に連通したリリーフ通路92を閉塞するように、弁ばね90Aにより常時閉弁方向に付勢されている。リリーフ通路92内の圧力が弁ばね90Aの設定圧を越えると、チェック弁90は開弁し、リリーフ弁88の圧力室88Aには、高圧通路74内の圧力がリリーフ通路92を介して導かれる。しかし、チェック弁90は、圧力室88Aからリリーフ通路92側に向けて油液が流通するのを阻止するものである。
【0099】
リリーフ弁88は、圧力室88A(即ち、高圧通路68,74)内の圧力が所定のリリーフ設定圧を越えると開弁し、このときの過剰圧を低圧通路70の側方通路部70B等を介してタンク78側にリリーフさせる。これにより、リリーフ弁88は、ポンプ通路66,72および高圧通路68,69,74内の最高圧力を予め決められたリリーフ設定圧以下に抑えるものである。
【0100】
ここで、リリーフ弁88は、
図5に示す如く予備の制御弁38(スプール摺動穴21)よりも下側でハウジングブロック13の合せ面13Bに近い位置、即ちハウジングブロック13内に設けられたスプール摺動穴18〜21よりも合せ面13Bに近い位置に配設されている。これにより、リリーフ弁88は、例えば
図14に例示するように第1のポンプポート65と第2のポンプポート71との間でほぼ中間となる位置(即ち、両者間の管路長をほぼ等しくできる位置)に配置されるものである。
【0101】
本実施の形態による油圧ショベル1に搭載した多連弁装置11は、上述の如き構成を有するもので、次にその作動について説明する。
【0102】
まず、油圧ショベル1(車両)を走行させるときには、キャブ4内に搭乗したオペレータが左,右の走行用レバー等を傾転操作すると、このときのパイロット圧に従って左,右の走行用制御弁26,30が中立位置(イ)から切換位置(ロ),(ハ)のいずれかに切換えられる。
【0103】
これにより、右側の走行用制御弁26は、油圧ポンプ77からの圧油を圧油給排ポート29A,29Bを介して右側の走行用モータ2Rに給排する。そして、左側の走行用制御弁30は、油圧ポンプ79からの圧油を圧油給排ポート33A,33Bを介して左側の走行用モータ2Lに給排する。この結果、下部走行体2は、左,右の走行用モータ2L,2Rで履帯を駆動し、車両を前進または後進させる走行動作を行うものである。
【0104】
また、作業現場において土砂等の掘削作業を行うときには、作業装置7のブーム8とアーム9を上,下に俯仰動させつつ、バケット10を回動する。即ち、キャブ4内のオペレータがバケット用操作レバーを傾転操作することにより、バケット用制御弁34が中立位置(イ)から切換位置(ロ),(ハ)のいずれかに切換えられ、油圧ポンプ77からの圧油をバケット用制御弁34、圧油給排ポート37A,37Bを介してバケットシリンダ10Aに給排する。
【0105】
また、ブーム用操作レバーが傾転されると、ブーム用制御弁47,48が中立位置(イ)から切換位置(ロ),(ハ)のいずれかに切換えられ、油圧ポンプ77,79からの圧油をブーム用制御弁47,48、圧油給排ポート53A,53Bを介してブームシリンダ8Aに給排する。そして、アーム用操作レバーが傾転されると、アーム用制御弁54,55が中立位置(イ)から切換位置(ロ),(ハ)のいずれかに切換えられ、油圧ポンプ77,79からの圧油をアーム用制御弁54,55、圧油給排ポート60A,60Bを介してアームシリンダ9Aに給排する。
【0106】
また、下部走行体2上で上部旋回体3を旋回駆動するときには、旋回用操作レバーの傾転操作に従って旋回用制御弁61を中立位置(イ)から切換位置(ロ),(ハ)のいずれかに切換える。これにより、油圧ポンプ79からの圧油を旋回用制御弁61、圧油給排ポート64A,64Bを介して旋回用モータ3Mに給排するものである。
【0107】
ここで、本実施の形態では、多連弁装置11の弁ハウジング12を第1,第2のハウジングブロック13,14に2分割して形成する構成とし、該第1,第2のハウジングブロック13,14は、相手方と対向する合せ面13B,14Aの位置で互いに衝合、離間される構成としている。そして、第1のハウジングブロック13には、合せ面13Bとの間がボルト締結用の座面部15Aとなる各凹窪部15を形成している。
【0108】
これにより、第1のハウジングブロック13を第2のハウジングブロック14に衝合状態で固着(結合)するときには、各凹窪部15によるボルト装着スペースを活用し、前記座面部15Aに比較的短尺な複数のボルト16を締結するだけで、第1のハウジングブロック13と第2のハウジングブロック14とを衝合状態で固着することができ、多連弁装置11の弁ハウジング12を容易に組立てることができる。
【0109】
これによって、第1のハウジングブロック13内には、例えば合計4個のスプール摺動穴18〜21を、Y軸方向とZ軸方向とに互いに離間させた状態で、X軸方向に沿って互いに並行に延びるように立体構造をなして配置することができ、第1のハウジングブロック13側には、左,右の走行用制御弁26,30、バケット用制御弁34および予備の制御弁38をコンパクトな構造で組立てることができる。
【0110】
一方、第2のハウジングブロック14内には、例えば合計5個のスプール摺動穴42〜46を、Y軸方向とZ軸方向とに互いに離間させると共に、X軸方向で互いに並行に延びるように立体構造をもって配置することができる。これによって、第2のハウジングブロック14側には、ブーム用制御弁47,48、アーム用制御弁54,55および旋回用制御弁61をコンパクトな構造で組立てることができる。
【0111】
このため、弁ハウジング12内に設けるスプール摺動穴(スプール弁)の個数を増やすときには、合せ面13B,14Aに垂直なZ軸方向でハウジングブロック13,14の寸法を大きくして対応すればよく、例えば合せ面13B,14Aに平行なY軸方向にハウジングブロック13,14の寸法を大きくする必要がなくなり、合せ面13B,14Aの面積を可能な限り小さくすることができる。
【0112】
従って、本実施の形態によれば、2分割型である弁ハウジング12の利点を活かしつつ、第1,第2のハウジングブロック13,14間の衝合面積、即ち合せ面13B,14Aの面積を小さくでき、合せ面13B,14A間を通る高圧通路69,74、センタバイパス通路67,73等の通路本数(油通路の接続箇所)を従来技術に比較して確実に減らすことができる。
【0113】
これにより、第1,第2のハウジングブロック13,14間での合せ面13B,14Aにおける油漏れ、シール不良等の発生を抑えることができ、シール性を向上することができる。そして、第1,第2のハウジングブロック13,14を衝合状態で締結するのに用いるボルト16の本数を減らすことができ、部品点数を低減して組立て時の作業性を高めることができる。
【0114】
また、スプール摺動穴18〜21,42〜46を第1,第2のハウジングブロック13,14内に立体構造をなしてコンパクトに工夫して配置できるため、従来の2分割型に比較しても弁ハウジング12全体の小型、軽量化を図ることができ、移送、搬送時の取扱い性、作業性を向上することができる。
【0115】
また、第1,第2のハウジングブロック13,14をそれぞれ鋳造するときに用いる鋳型、特に中子の構造を簡略化することができ、成形加工後に内部の切粉を除去したり、確認したりする作業を容易に行うことができる。しかも、鋳造時の成形工程に伴う作業時間を短縮でき、作業性、生産性の向上化を実現することができる。
【0116】
また、第1のハウジングブロック13には、例えばスプール摺動穴18〜21よりも合せ面13Bに近い位置にリリーフ弁88を設ける構成としている。このため、第1,第2のハウジングブロック13,14内に形成した複数のポンプ通路66,72、高圧通路69,74のうち、例えば2つの油圧ポンプ77,79間でほぼ中間となる位置(即ち、合せ面13B,14Aに近い位置)にリリーフ弁88を配置することができる。
【0117】
この結果、第1の油圧ポンプ77に接続されたポンプ通路66、高圧通路69と、第2の油圧ポンプ79に接続されたポンプ通路72、高圧通路74との間で、管路内の最高圧力にバラツキが発生するのを抑えることができ、2つの油圧ポンプ77,79間における吐出圧力(最高圧力)の調整作業等を容易に行うことができる。
【0118】
なお、前記実施の形態では、第1のハウジングブロック13に、左,右の走行用制御弁26,30、バケット用制御弁34および予備の制御弁38を設け、第2のハウジングブロック14には、ブーム用制御弁47,48、アーム用制御弁54,55および旋回用制御弁61を設ける場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば第1のハウジングブロック13に、2個のブーム用制御弁、2個のアーム用制御弁および1個の旋回用制御弁を設け、第2のハウジングブロック14に走行左用制御弁、走行右用制御弁、バケット用制御弁および予備の制御弁等を設ける構成としてもよい。
【0119】
この場合、第1のハウジングブロック13には、最少個数として3個のスプール摺動穴(例えば、ブーム用制御弁、アーム制御弁、旋回用制御弁の合計3個のスプール摺動穴)を設け、第2のハウジングブロック14には、同じく最少個数として3個のスプール摺動穴(例えば、走行左用制御弁、走行右用制御弁、バケット用制御弁の合計3個のスプール摺動穴)を設ける構成としてもよい。具体的には、6〜12個の制御弁(スプール摺動穴)が設けられた弁ハウジングのうち、第1のハウジングブロックに3個〜6個の制御弁(スプール摺動穴)を設け、第2のハウジングブロックに3個〜6個の制御弁(スプール摺動穴)を設ける構成としてもよい。
【0120】
これらの制御弁(6個以上で、12個以下のスプール摺動穴からなる複数の制御弁)を、第1,第2のハウジングブロックのうち、いずれのハウジングブロックに設けるかは、多連弁装置が搭載される油圧ショベル(建設機械)または、これ以外の油圧式作業機械との関係で適宜に変更すればよい。この場合、第1のハウジングブロックには、立体構造をなすように合計3個以上で、6個以下のスプール摺動穴を設け、第2のハウジングブロックには、他の立体構造をなすように合計3個以上で、6個以下のスプール摺動穴を設ける構成とすればよいものである。
【0121】
特に、2つの油圧ポンプ間でほぼ中間となる位置(即ち、合せ面に近い位置)に1つのリリーフ弁を配置する構成とするためには、第1のハウジングブロックに設けるスプール摺動穴の個数と第2のハウジングブロックに設けるスプール摺動穴の個数とを、可能な限り等しい個数となるように設計するのが好ましい。これにより、2つの油圧ポンプ間で吐出圧力にバラツキが発生するのを良好に抑えることができる。
【0122】
さらに、本発明の多連弁装置が搭載される建設機械としては油圧ショベルに限らず、例えばホイール式油圧ショベル、油圧クレーン、ホイールローダ、ブルドーザ、またはリフトトラックと呼ばれる作業車両等にも適用でき、建設機械以外の油圧装置にも適用できるものである。