(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記コンタクトは、前記保持部に繋がって逆U字状に曲げられた第1曲部および前記第1曲部に繋がってU字状に曲げられた第2曲部を有し、前記第2曲部に前記接触部が繋がって設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電気コネクタ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された電気コネクタでは、上記のようにフローティング構造を採用することにより電気接続の安定化を図っているが、より一層の接続安定性に優れた電気コネクタが求められている。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、従来よりも接続安定性に優れた電気コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る電気コネクタは、受容空間(例えば、実施形態におけるプラグ部受容空間60s)を有するハウジング(例えば、実施形態におけるレセプタクルハウジング60)と、前記ハウジングに保持された
複数のコンタクト(例えば、実施形態におけるレセプタクルコンタクト70)とを備え、前記受容空間内に相手電気部品(例えば、実施形態におけるプラグコネクタ10)の相手接続部(例えば、実施形態におけるプラグ部29)を受容して前記
複数のコンタクトの接触部(例えば、実施形態におけるレセプタクルコンタクト70の接触部75)を
それぞれ前記相手接続部における相手接触部(例えば、実施形態におけるプラグコンタクト30の接触部35)と接触させて電気接続させる電気コネクタ(例えば、実施形態におけるレセプタクルコネクタ50)である。その上で、前記
複数のコンタクトの接触部は
それぞれ、前記ハウジングに保持された保持部(例えば、実施形態における保持部71)に繋がって前記受容空間の入口に向けて斜め内方に延びるとともに
、前記複数のコンタクトの配列方向に分かれて先端が開放された二股状の二本の接触腕部(例えば、実施形態における接触腕部76,76)を有し、前記二本の接触腕部にそれぞれ前記相手接触部と接触する接触局部(例えば、実施形態における接触局部76a,76a)が設けられ、これら二つの接触局部は、前記相手電気部品の相手接続部を前記受容空間内に受容して前記相手接触部と接触するときに、前記受容方向および
前記配列方向に異なる位置において接触するように設けられ、前記二本の接触腕部
は、前記配列方向の間隔が基端側よりも先端側の方が狭く
なるように形成されていることを特徴とする。
【0008】
なお、上記構成の電気コネクタにおいて、前記二本の接触腕部の先端の位置が揃っていることが好ましい。
【0009】
また、上記構成の電気コネクタにおいて、前記コンタクトは、前記保持部に繋がって逆U字状に曲げられた第1曲部(例えば、実施形態における第1曲部73)および前記第1曲部に繋がってU字状に曲げられた第2曲部(例えば、実施形態における第2曲部74)を有し、前記第2曲部に前記接触部が繋がって設けられていることが好ましい。
【0010】
また、上記構成の電気コネクタにおいて、前記二本の接触腕部の先端部が
前記配列方向に丸みを帯びた形状に形成されていることが好ましい。
【0011】
また、上記構成の電気コネクタにおいて、前記接触局部の前記相手接触部と接触する面が曲面状に形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る電気コネクタによれば、コンタクトの接触部は、ハウジングに保持された保持部に繋がって受容空間の入口に向けて斜め内方に延びるとともに先端が開放された二股状の二本の接触腕部を有し、これら二本の接触腕部にそれぞれ相手接触部と接触する接触局部が設けられ、これら二つの接触局部は、相手電気部品の相手接続部を受容空間内に受容して相手接触部と接触するときに、受容方向およびその直交方向に位置をずらして接触するように設けられている。このように二本の接触腕部にそれぞれ設けられた二つの接触局部により、コンタクトの接触部と相手接触部が2点接触するため、従来の1点接触の電気コネクタよりも接続安定性を向上させることができる。また、二つの接触局部が受容方向に位置をずらして設けられているため、一方の接触局部が相手接触部と接触した後に、他方の接触局部が相手接触部と接触する(時差接触する)ので、従来の1点接触の電気コネクタよりも、相手電気部品の接続部を受容(嵌合)させる時の操作感を滑らかに(柔らかく)することができる。また、横方向(受容方向に直交する方向)にずれた二股状の接触腕部を有する構成であるため、各腕部が独立して弾性変形して接触局部が相手接触部と接触するので、接触信頼性(接続安定性)を高くすることができる。
【0013】
なお、上記構成の電気コネクタにおいて、コンタクトにおける二本の接触腕部の先端の位置が揃うように構成した場合、この部分を見てコンタクト製造後の品質検査を簡単に行うことができる。すなわち、二本の接触腕部の先端が揃っているかいないかを検査することにより、そのコンタクトが不良品であるか否かの判断を容易に行うことができ、コンタクトの品質検査が容易になる。
【0014】
また、上記構成の電気コネクタにおいて、コンタクトが、ハウジングに保持された保持部に繋がって逆U字状に曲げられた第1曲部およびこの第1曲部に繋がってU字状に曲げられた第2曲部を有し、この第2曲部に接触部が繋がって設けられるように構成されると、相手電気部品が受容(嵌合)されてコンタクトの接触部が押圧されたときに、第1および第2曲部により形成されるS字形状部分の弾性変形により、接触部は内方に移動する。このため、接触部における二つの接触局部は略平行かつ直線的に移動し、二つの接触局部の接触圧を均一に保ったままそれぞれ相手接触部に確実に接触させることができ、接続安定性をより向上させることができる。
【0015】
また、上記構成の電気コネクタにおいて、コンタクトにおける二本の接触腕部の間隔が基端側よりも先端側の方が狭くなるように構成されると、二本の接触腕部が互いに離れる方向に変形し難くなるため、二本の接触腕部が互いに離れる方向に座屈する可能性を低減させることができる。
【0016】
また、上記構成の電気コネクタにおいて、コンタクトにおける接触局部の相手接触部と接触する面が曲面状に形成されて構成されると、接触圧を集中させることができるため、接続安定性をより向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】プラグコネクタ(相手電気部品)を示す斜視図である。
【
図2】上記プラグコネクタを下方から見た斜視図である。
【
図3】
図1における矢印III‐IIIに沿って示す断面図である。
【
図4】
図1における矢印III‐IIIに沿って示す断面斜視図である。
【
図5】本発明に係るレセプタクルコネクタを示す斜視図である。
【
図6】上記レセプタクルコネクタを下方から見た斜視図である。
【
図7】上記レセプタクルコネクタを示す斜視図(一部断面図)である。
【
図8】(a)は
図5における矢印VIII‐VIIIに沿って示す断面図であり、(b)は
図5における矢印VIII‐VIIIに沿って示す断面斜視図である。
【
図9】上記レセプタクルコネクタを構成するレセプタクルコンタクトを示し、(a)は正面図であり、(b)は背面図である。
【
図10】上記レセプタクルコンタクトを示し、(a)は右側面図であり、(b)は左側面図である。
【
図11】上記レセプタクルコンタクトを示し、(a)は平面図であり、(b)は底面図である。
【
図12】上記レセプタクルコンタクトを示し、(a)は斜視図であり、(b)は下方から見た斜視図である。
【
図13】上記レセプタクルコネクタとプラグコネクタが嵌合した状態を示す断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら説明する。本発明の一実施形態に係る電気コネクタを有するコネクタ装置1を、
図1、
図5および
図13等に示している。なお、以下では、説明の便宜上、各図中に示す前後、左右および上下の矢印の方向をそれぞれ前後方向、左右方向および上下方向と称して説明する。
【0019】
コネクタ装置1は、プラグコネクタ10と、レセプタクルコネクタ50とを備えて構成されており、プラグコネクタ10とレセプタクルコネクタ50を嵌合させることにより、プラグコネクタ10が取り付けられる基板(図示せず)とレセプタクルコネクタ50が取り付けられる基板(図示せず)とを電気的に接続させるようになっている。
【0020】
まず、プラグコネクタ10の構成について、
図1〜
図4を参照して説明する。プラグコネクタ10は、略矩形箱状のプラグハウジング20と、このプラグハウジング20の長手方向に二列の整列状態で保持された複数のプラグコンタクト30と、プラグハウジング20を基板に取り付けるための一対の取付金具40とを備えて構成される。
【0021】
プラグハウジング20は、基板上に固定状態で取り付けられる固定側ハウジング21と、この固定側ハウジング21に対して相対移動可能に取り付けられた可動側ハウジング25とを有して構成されている。固定側ハウジング21は、樹脂等の電気絶縁性材料を用いて一体成形されており、略矩形板状に形成された底壁部22と、この底壁部22の左右端
部にそれぞれ立設された左右の壁部23,23と、底壁部22の前後端部にそれぞれ立設された前後の壁部24,24とを有し、中央にこれら四つの壁部に囲まれて上方に開放された可動側ハウジング収容空間21s(可動側ハウジング25の底壁部26を収容する空間)が形成されている。なお、前後壁部24,24の高さ(上方向への長さ)は、左右壁部23,23よりも高く形成されている。
【0022】
左右壁部23,23の外面にはそれぞれ、上下方向に延びるコンタクト保持溝23a,23aが前後方向に複数並んで形成されており、これらのコンタクト保持溝23a,23aにそれぞれプラグコンタクト30が保持されるようになっている。前後壁部24,24の外面には、取付金具40を保持する金具保持部24aが設けられている。底壁部22の下面には、固定側ハウジング21を基板上に取り付けるときに位置決めするための位置決め突起22aが設けられている。
【0023】
可動側ハウジング25は、樹脂等の電気絶縁性材料を用いて一体成形されており、略矩形板状に形成された底壁部26と、この底壁部26の左右端部にそれぞれ立設された左右の壁部27,27と、底壁部26の前後端部にそれぞれ立設された前後の壁部28,28とを有し、中央にこれら四つの壁部に囲まれて上方に開放された嵌合凹部25s(レセプタクルコネクタ50のレセプタクルハウジング51を受容する空間)が形成されている。
【0024】
底壁部26は、固定側ハウジング21の可動側ハウジング収容空間21sに収容可能な外形形状に形成されている。底壁部26の内面には、前後方向に延びる板状のプラグ部29が立設され、このプラグ部29は嵌合凹部25s内に位置している。プラグ部29の左右側面にはそれぞれ、上下方向に延びるコンタクト収容溝29a,29aが前後方向に複数並んで形成されている。底壁部26には、コンタクト収容溝29a,29aと繋がって上下に貫通したコンタクト保持孔26a,26aが前後方向に複数並んで形成されている。
【0025】
左右壁部27,27の上端部には、外方に延びてその先端が下方に延びるコンタクト収容壁部27aが形成され、このコンタクト収容壁部27aの内面と壁部27の外面とによって囲まれたコンタクト収容空間27s(プラグコンタクト30の曲部33を収容する空間)が形成されている。前後壁部28,28の上面には、取付金具40の折曲部44を受容する金具受容溝28aが形成されている。
【0026】
プラグコンタクト30は、導電性の金属薄板を打ち抜き加工等を行って
図3および
図4に示すような形状に曲げて形成されている。プラグコンタクト30は、固定側ハウジング21のコンタクト保持溝23aに保持される保持部31と、保持部31の下部から外方に延びる脚部(リード部)32と、保持部31の上部に繋がって逆U字状に曲げられた曲部33と、曲部33から下方に延びてその先端が左右方向に延びるL字状の延長部34と、延長部34に繋がって上方に延びる接触部35とを有して構成される。接触部35の上部(嵌合凹部25s内に露出する部分)および保持部31は、他の部分(脚部32、曲部33および延長部34)よりも前後幅が大きく形成されている。脚部32は、プラグコネクタ10を基板上に取り付ける際に、その基板上の配線パターンに半田付けされ、プラグコンタクト30と基板上の配線パターンが電気的に接続されるようになっている。
【0027】
取付金具40は、金属薄板を打ち抜き加工等を行って略平板状に形成されており、逆コ字状の基部41と、基部41の下端部からそれぞれ左右外方に延びる脚部42,42と、基部41の左右中央部から下方に延びて固定側ハウジング21の金具保持部24aの挿入孔に挿入されて保持される保持部(図示せず)と、基部41の左右中央部から上方に延びてその先端が略直角に曲げられた折曲部44とを有して構成される。左右の脚部42,42は、プラグコネクタ10を基板上に取り付ける際に、その基板上のマウントパターンに
半田付けされ、基板に対してプラグコネクタ10が強固に固定されるようになっている。
【0028】
このような構成のプラグコネクタ10では、可動側ハウジング25に取り付けたプラグコンタクト30の保持部31を固定側ハウジング21のコンタクト保持溝23aに挿入し、保持部31をコンタクト保持溝23aに保持させることにより、プラグコンタクト30を介して可動側ハウジング25が固定側ハウジング21に取り付けられる。ここで、可動側ハウジング25のコンタクト収容空間27s内においてプラグコンタクト30の曲部33等が弾性変形することにより、固定側ハウジング21に対して可動側ハウジング25が前後、左右および上下方向に移動可能となっている。そして、固定側ハウジング21の金具保持部24aに取付金具40を取り付けると、取付金具40の折曲部44が可動側ハウジング25の金具受容溝28a内に受容され、この折曲部44と金具受容溝28aにより可動側ハウジング25の前後および左右方向の移動可能な範囲を制限している。
【0029】
次に、上記プラグコネクタ10と組み合わせて用いられる相手方コネクタであるレセプタクルコネクタ50の構成について、
図5〜
図12を参照して説明する。レセプタクルコネクタ50は、プラグコネクタ10(可動側ハウジング25)の嵌合凹部25sに嵌合可能な略矩形箱状のレセプタクルハウジング60と、このレセプタクルハウジング60の長手方向に二列の整列状態で保持された複数のレセプタクルコンタクト70とを備えて構成される。
【0030】
レセプタクルハウジング60は、樹脂等の電気絶縁性材料を用いて一体成形されており、略矩形板状に形成された底壁部61と、この底壁部61の左右端部にそれぞれ立設された左右の壁部62,62と、底壁部61の前後端部にそれぞれ立設された前後の壁部63,63とを有し、中央にこれら四つの壁部に囲まれて上方に開放されたプラグ部受容空間60s(プラグコネクタ10(可動側ハウジング25)のプラグ部29を受容する空間)が形成されている。
【0031】
左右壁部62,62の内面にはそれぞれ、上下方向に延びるコンタクト収容溝62a,62aが前後方向に複数並んで形成されており、これらのコンタクト収容溝62a,62aにそれぞれレセプタクルコンタクト70が収容されるようになっている。底壁部61には、コンタクト収容溝62a,62aと繋がって上下に貫通したコンタクト保持孔61a,61aが前後方向に複数並んで形成されている。底壁部61の下面における前後端部にはそれぞれ、金属薄板をL字状に折り曲げて形成された取付片65が挿入されて保持される保持孔61b,61bが形成されている(
図7を参照)。この保持孔61b,61bに保持された取付片65,65は、レセプタクルコネクタ50を基板上に取り付ける際に、その基板上のマウントパターンに半田付けされ、基板に対してレセプタクルコネクタ50が強固に固定されるようになっている。底壁部61の下面には、レセプタクルコネクタ50を基板状に取り付けるときに位置決めするための位置決め突起61cが設けられている。
【0032】
レセプタクルコンタクト70は、導電性の金属薄板を打ち抜き加工等を行って
図9および
図12に示すような形状に曲げて形成されている。レセプタクルコンタクト70は、レセプタクルハウジング60のコンタクト保持孔61aに保持される保持部71と、保持部71の下部から外方に延びる脚部(リード部)72と、保持部71の上部に繋がって逆U字状に曲げられた第1曲部73と、第1曲部73に繋がってU字状に曲げられた第2曲部74と、第2曲部74に繋がって斜め上方に延びる接触部75とを有して構成される。
【0033】
保持部71および接触部75は、他の部分(脚部72、第1曲部73および第2曲部74)よりも前後幅が大きく形成されている。保持部71の前後側面にはそれぞれ複数の係止凸部71aが形成されており、これらの係止凸部71aがレセプタクルハウジング60
のコンタクト保持孔61aの内面と係合することによりレセプタクルコンタクト70がレセプタクルハウジング60に保持されるようになっている。脚部72は、レセプタクルコネクタ50を基板上に取り付ける際に、その基板上の配線パターンに半田付けされ、レセプタクルコンタクト70と基板上の配線パターンが電気的に接続されるようになっている。
【0034】
第1曲部73は、逆U字状の内側および外側の角部において面取り加工がなされており、第2曲部74は、U字状の内側の角部において面取り加工がなされている。レセプタクルコンタクト70は、保持部71と接触部75を繋ぐ部分において、逆U字状の第1曲部73およびU字状の第2曲部74によりS字状に形成されている。
【0035】
接触部75は、レセプタクルコンタクト70がレセプタクルハウジング60に保持された状態において、第2曲部74の端部からレセプタクルハウジング60のプラグ部受容空間60sの入口に向けて斜め内方に延びて形成されている(
図8を参照)。そして、接触部75は、先端が開放された二本の接触腕部76,76を有し、これら接触腕部76,76により左右方向から見て二股状に形成されている。
図10(a)に示すように、二本の接触腕部76,76の互いの間隔は、基端側よりも先端側の方が狭くなるようになっている(基端側の間隔d
1>先端側の間隔d
2)。
【0036】
二本の接触腕部76,76にはそれぞれ、先端側を左右方向に折り曲げて形成された接触局部76a,76a(プラグコンタクト30と接触する部分)が設けられ、二つの接触局部76a,76aは互いに上下方向(プラグコネクタ10との嵌合方向)および前後方向に位置をずらして設けられている。二本の接触腕部76,76は互いに先端部の位置(高さ)が揃うようになっている。接触局部76a,76aはそれぞれ、プラグコンタクト30と接触する面が曲面状に形成されている。
【0037】
次に、以上のように構成されるコネクタ装置1において、プラグコネクタ10とレセプタクルコネクタ50とを嵌合させて電気接続させる場合について、
図3、
図8および
図13を参照して説明する。なお、
図13では、プラグコネクタ10に対してレセプタクルコネクタ50を上方から嵌合させた場合について示している。
【0038】
両コネクタ10,50を電気接続させるには、レセプタクルコネクタ50のレセプタクルハウジング60をプラグコネクタ10の(可動側ハウジング25)の嵌合凹部25sに位置を合わせ、このままプラグコネクタ10とレセプタクルコネクタ50を合わせる。これにより、レセプタクルハウジング60が嵌合凹部25sに徐々に嵌合されるとともに、プラグコネクタ10(可動側ハウジング25)のプラグ部29がレセプタクルハウジング60のプラグ部受容空間60sに徐々に嵌合される。こうしてプラグ部29がプラグ部受容空間60sに徐々に嵌合されていくと、レセプタクルコンタクト70における接触部75の二本の接触腕部76,76にそれぞれ設けられた二つの接触局部76a,76aのうち、プラグ部受容空間60sの入口側に設けられた方の接触局部76aが、先ず、プラグ部29に設けられたプラグコンタクト30の接触部35に接触する。その後に、他方の接触局部76aがプラグコンタクト30の接触部35に接触する。この結果、レセプタクルコンタクト70が弾性変形してプラグコンタクト30とレセプタクルコンタクト70とが弾性的に2点で接触する。これにより、プラグコネクタ10が取り付けられる基板とレセプタクルコネクタ50が取り付けられる基板とが、プラグコネクタ10およびレセプタクルコネクタ50を介して電気的に接続された状態となり、両基板の間における信号伝送が可能となる。
【0039】
このようにコネクタ装置1では、レセプタクルコネクタ50において、レセプタクルコンタクト70の接触部75が、第2曲部74の端部からレセプタクルハウジング60のプ
ラグ部受容空間60sの入口に向けて斜め内方に延びるとともに先端が開放された二股状の二本の接触腕部76,76を有する。そして、二本の接触腕部76,76にそれぞれプラグコンタクト30と接触する接触局部76a,76aが設けられ、これら二つの接触局部76a,76aが、プラグコネクタ10のプラグ部29をプラグ部受容空間60s内に受容してプラグコンタクト30の接触部35と接触するときに、上下方向(プラグコネクタ10との嵌合方向)および前後方向に位置をずらして接触するように設けられている。このように二本の接触腕部76,76にそれぞれ設けられた二つの接触局部76a,76aにより、レセプタクルコンタクト70の接触部75とプラグコンタクト30の接触部35が2点接触するため、従来の1点接触の電気コネクタよりも接続安定性を向上させることができる。また、二つの接触局部76a,76aがプラグコネクタ10との嵌合方向(受容方向)に位置をずらして設けられているため、プラグ部受容空間60sの入口側に設けられた方の接触局部76aがプラグコンタクト30の接触部35と接触した後に、他方の接触局部76aがプラグコンタクト30の接触部35と接触する(時差接触する)。このため、従来の1点接触の電気コネクタよりも、プラグコネクタ10を嵌合させる時の操作感を滑らかに(柔らかく)することができる。また、前後方向(プラグコネクタ10との嵌合方向に直交する方向)にずれた二股状の接触腕部76,76を有する構成であるため、各腕部76,76が独立して弾性変形して接触局部76a,76aがプラグコンタクト30の接触部35と接触するので、接触信頼性(接続安定性)を高くすることができる。
【0040】
なお、レセプタクルコネクタ50において、レセプタクルコンタクト70における二本の接触腕部76,76の先端部の位置(高さ)が揃うように構成した場合、この部分を見てコンタクト製造後の品質検査を簡単に行うことができる。すなわち、二本の接触腕部76,76の先端が揃っているかいないかを検査することにより、そのコンタクトが不良品であるか否かの判断を容易に行うことができ、コンタクトの品質検査が容易になる。また、レセプタクルコンタクト70が、保持部71と接触部75を繋ぐ部分において逆U字状の第1曲部73およびU字状の第2曲部74によりS字状に形成されている。このため、プラグコネクタ10のプラグ部29が受容(嵌合)されて接触部75が押圧されたときに、第1および第2曲部73,74により形成されるS字形状部分の弾性変形により、接触部75は内方に移動する。このため、接触部75における二つの接触局部76a,76aは略平行かつ直線的に移動し、二つの接触局部76a,76aの接触圧を均一に保ったままそれぞれプラグコンタクト30の接触部35に確実に接触させることができ、接続安定性をより向上させることができる。
【0041】
また、レセプタクルコネクタ50において、レセプタクルコンタクト70における二本の接触腕部76,76の間隔が基端側よりも先端側の方が狭くなる構成されている(
図10(a)に示すように、基端側の間隔d
1>先端側の間隔d
2)。このため、二本の接触腕部76,76が互いに離れる方向に変形し難くなり、二本の接触腕部76,76が互いに離れる方向に座屈する可能性を低減させることができる。また、レセプタクルコンタクト70における接触局部76a,76aのプラグコンタクト30の接触部35と接触する面が曲面状に形成されているため、接触圧を集中させることができ、接続安定性をより向上させることができる。
【0042】
これまで本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明の範囲は上述の実施形態に示したものに限定されない。例えば、上述の実施形態では、レセプタクルコネクタ50(レセプタクルハウジング60)のプラグ部受容空間60sに対してプラグコネクタ10のプラグ部29が嵌合されて、レセプタクルコンタクト70とプラグコンタクト30が接触して電気接続される構成について説明した。しかしながら、本発明の一実施形態に係るレセプタクルコネクタ50に対して嵌合接続される相手側電気部品はプラグコネクタ10でなくてもよい。例えば、レセプタクルコネクタ50のプラグ部受容空間60sに直接
基板が挿入されて、レセプタクルコンタクト70と基板上の接続端子が接触して電気接続される構成であってもよい。