(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5809654
(24)【登録日】2015年9月18日
(45)【発行日】2015年11月11日
(54)【発明の名称】ディスクカッター及びそれを備えたプリンタ
(51)【国際特許分類】
B26D 5/00 20060101AFI20151022BHJP
B41J 11/70 20060101ALI20151022BHJP
B26D 1/18 20060101ALI20151022BHJP
B26D 1/20 20060101ALI20151022BHJP
【FI】
B26D5/00 Z
B41J11/70
B26D1/18
B26D1/20 A
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-50802(P2013-50802)
(22)【出願日】2013年3月13日
(65)【公開番号】特開2014-176907(P2014-176907A)
(43)【公開日】2014年9月25日
【審査請求日】2014年2月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000235
【氏名又は名称】特許業務法人 天城国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉越 和幸
【審査官】
細川 翔多
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−191549(JP,A)
【文献】
特開平07−172009(JP,A)
【文献】
特開2000−271897(JP,A)
【文献】
特開2000−062265(JP,A)
【文献】
実開平05−009896(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26D 5/00
B26D 1/18
B26D 1/20
B41J 11/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体の幅方向に設けた固定刃と、
この固定刃に沿って移動し、前記固定刃と協働して前記媒体を切断する丸刃と、
前記幅方向に移動可能で、前記媒体の幅よりも外側の一方に配置される第1の待機位置センサ、および前記幅方向に移動可能で、他方に配置される第2の待機位置センサと、
前記第1の待機位置センサと前記第2の待機位置センサに検知される検知板と、
前記丸刃を回動自在に支持し、且つ前記検知板を備え、前記第1の待機位置センサと前記第2の待機位置センサ間を移動する丸刃ユニットと
を備えることを特徴とするディスクカッター。
【請求項2】
さらに、前記幅方向に移動可能であり、前記検知板を検知する第3の待機位置センサを前記第1の待機位置センサと第2の待機位置センサの間に設けることを特徴とする請求項1に記載のディスクカッター。
【請求項3】
前記検知板は、前記丸刃ユニットの直上に備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のディスクカッター。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載のディスクカッターを備えることを特徴とするプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、ディスクカッター、特に熱転写、感熱プリンタ等に使用する媒体を所定の長さに切断するためのディスクカッターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ディスクカッターは、媒体の搬送方向と直交する方向に丸刃を有する丸刃ユニットを移動させることで搬送されてくる媒体をカットする。丸刃ユニットの位置制御は、搬送方向から見て両端に配設された待機位置センサによって行われ、一端の待機位置に待機した丸刃ユニットが他端の待機位置センサの検出位置まで移動することで媒体をカットし、次のカット動作まで他端の待機位置センサの検出位置に待機させている。
【0003】
このようなディスクカッターでは、例えばサーマルヘッドを備えた熱転写、感熱プリンタにおいては、丸刃ユニットの移動量、即ち切断可能幅、はサーマルヘッドの印字幅より長く、且つ一定であり、媒体のサイズに関わらない。このため、媒体の幅が丸刃ユニットの切断可能幅に近い場合には問題ないが、例えば丸刃ユニットの切断可能幅に対して使用する媒体の幅が半分であるような場合には、媒体のカットに必要な移動量よりも丸刃ユニットの移動量は大きく、カット処理に要する時間に無駄があった。これは大きな媒体に対応したカッターであるほど影響が大きく、特に連続印字する場合には顕著である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−191549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は媒体の幅に合せて丸刃ユニットの移動量を変えることができ、処理を効率的に行うことが可能なディスクカッターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態にかかるディスクカッターは、媒体の幅方向に設けた固定刃と、この固定刃に沿って移動し、上記固定刃と協働して上記媒体を切断する丸刃と、上記幅方向に移動可能で、上記媒体の幅よりも外側の一方に配置される第1の待機位置センサおよび他方に配置される第2の待機位置センサと、上記第1の待機位置センサと上記第2の待機位置センサに検知される検知板と、上記丸刃を回動自在に支持し、且つ上記検知板を備え、上記第1の待機位置センサと上記第2の待機位置センサ間を移動する丸刃ユニットとを備えることを特徴としている。
【0007】
また、本実施形態にかかるディスクカッターは、媒体の幅方向に設けた固定刃と、この固定刃に沿って移動し、上記固定刃と協働して上記媒体を切断する丸刃と、上記幅方向の端部に配置される第1の待機位置センサと、上記幅方向に移動可能であり、上記第1の待機位置センサに対し上記媒体を介して対向配置される第2の待機位置センサと、上記第1の待機位置センサと上記第2の待機位置センサに検知される検知板と、上記丸刃を回動自在に支持し、且つ上記検知板を備え、上記第1の待機位置センサと上記第2の待機位置センサ間を移動する丸刃ユニットとを備えることを特徴としている。
【0008】
このような構成により、媒体の幅に合わせて丸刃ユニットの移動量を可変することができ、丸刃ユニットに対して媒体の切断動作に関わらない無駄な動きを少なくすることで媒体の切断処理時間の短縮を達成できる。
【0009】
また、本実施形態のディスクカッターは、さらに、上記幅方向に移動可能であり、上記検知板を検知する第3の待機位置センサを上記第1の待機位置センサと第2の待機位置センサの間に設けることを特徴としている。このような構成により、媒体を完全に切り離すフルカット処理だけでなく、媒体を途中まで切り離すパーシャルカット処理に対応することができる。
【0010】
また、本実施形態に係るディスクカッターは、上記検知板が丸刃ユニットの直上に取り付けられていることを特徴としている。このような構成により、丸刃ユニットは第一乃至第3の待機位置センサの直下に待機することになり、これら待機位置センサ間の距離が丸刃ユニットの移動距離とほぼ同じとなるため、ユーザーは容易に媒体の幅に合わせて第一乃至第3の待機位置センサの位置調整ができる。
【発明の効果】
【0011】
本実施形態に係るディスクカッターによれば、使用する媒体の幅に合せて丸刃ユニットの移動距離を変えることができるため、切断処理の時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本実施形態にかかるディスクカッターの概略構成図。
【
図2】本実施形態にかかるディスクカッターを幅の狭い媒体への適用例を示した図。
【
図3】
図2における印刷基準を片側に設定した場合の図。
【
図4】本実施形態の他の形態にかかるディスクカッターの概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本実施形態のディスクカッターについて図面を参照して詳細に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は本発明の一例に過ぎず、各部の構成は、本発明の趣旨を達成できるものであれば、その範囲で適宜変更や修正を行えることは勿論である。
【0014】
図1は、本実施形態に係るディスクカッターの概略構成図であり、
図2は、
図1における幅の狭い媒体P1に適用した場合のディスクカッターを示した図であり、
図3は、
図2における印刷基準を片側に設定した場合のディスクカッターを示した図である。
【0015】
本実施形態に係るディスクカッターは、例えばラベルやタグ紙等の媒体に印刷するためのサーマルヘッド等を備えた熱転写、感熱プリンタにおいて、印刷がなされた媒体Pを所定の長さに切断するためのものに適用される。
【0016】
図1に示すように、本実施形態に係るディスクカッター10は、丸刃1を備えた丸刃ユニット2と、丸刃1と協働して媒体を切断する固定刃3と、丸刃ユニット2を検出する第1の待機位置センサ4及び第2の待機位置センサ5と、丸刃ユニット2を駆動する駆動モータ6とを備えており、第1の待機位置センサ4及び第2の待機位置センサ5は、媒体Pの搬送方向に直交する方向、即ち媒体Pの幅方向に移動可能となっている。ディスクカッター10の動作は、プリンタ本体の印刷動作等を制御する制御部により制御される。
【0017】
丸刃1は、回動自在に丸刃ユニット2に取り付けられており、幅方向に移動することで、搬送されてくる媒体Pを所定の長さで切断する。丸刃ユニット2には、第1の待機位置センサ4及び第2の待機位置センサ5に検出されるための検知板7が備えられている。
【0018】
固定刃3は、丸刃1と協働して媒体Pを切断するために設けられる。固定刃3は、幅方向に媒体Pの最大幅を切断することができるだけの長さを有しており、丸刃1は固定刃3に沿って移動することで媒体Pを切断する。
【0019】
第1の待機位置センサ4および第2の待機位置センサ5は、丸刃ユニット2に設けられる検知板7を検出し、丸刃ユニット2の切断動作の開始、終了を判断している。第1の待機位置センサ4および第2の待機位置センサ5は、いずれも幅方向に移動可能であり(点線矢印)、適用される媒体Pの幅よりも外側(両矢印β1)に配置される。これら待機位置センサの配置は、適用するプリンタに合わせて適宜行うことができる。
【0020】
第1の待機位置センサ4および第2の待機位置センサ5が検知板7を検知すると、駆動モータ6が停止し、検知板7と共に移動する丸刃ユニット2はその位置に停止する。なお、第1の待機位置センサ4および第2の待機位置センサ5は、幅方向に移動できる構成となっていればよく、例えば窓枠の長手方向下部に固定刃3を固定し、固定刃3に対向する長手方向上部に支持させ、スライド可能とする構成としてもよい。また、第1の待機位置センサ4および第2の待機位置センサ5を着脱可能とし、幅方向の任意の位置に設置できる構成としてもよい。用いられる媒体の幅は、一般に規格によって決まっているため、例えばその規格幅に合わせた目盛等を幅方向に設けることで、第一に待機位置センサ4および第2の待機位置センサ5を媒体Pの幅に合わせた配置が容易になる。
【0021】
駆動モータ6は、丸刃ユニット2を第1の待機位置センサ4と第2の待機位置センサ5の間を移動させるためのものであり、例えば幅方向の両端部に張架するように無端ワイヤを設けて、この無端ワイヤに丸刃ユニット2を取り付け、無端ワイヤを駆動モータ6によって移動させることで丸刃ユニット2を移動させる。
【0022】
また、駆動モータ6は媒体の切断動作の他に、丸刃1および固定刃3を錆等から保護し、切れ味を保持するため、ある一定時間或いはあるカット数に達した場合に、切断可能最大範囲まで丸刃ユニット2を移動させる動作をすることも可能である。このような動作を行わせる場合には、ステップ数により大まかの丸刃ユニット2の位置が把握できるステップモータを用いることが好ましい。
【0023】
本実施形態に係るディスクカッター10の動作について、
図1乃至
図3を参照して詳細に説明する。
【0024】
図1に示すように、第1の待機位置センサ4および第2の待機位置センサ5は媒体Pの幅よりも外側に配置されている。丸刃1を有する丸刃ユニット2は、媒体Pの切断動作以外では媒体Pの搬送を阻害しないよう、第1の待機位置センサ4の下に待機している。プリンタにより媒体Pに印刷がなされて所定の距離搬送された後、丸刃ユニット2は、第1の待機位置センサ4から第2の待機位置センサ5へ移動しながら媒体Pを切断する(矢印α1)。丸刃ユニット2は、第2の待機位置センサ5が検知板7を検知するまで移動し、第2の待機位置センサ5が検知板7を検知すると切断動作が終了したと判断し、丸刃ユニット2を第2の待機位置センサ5の下に待機させる。
【0025】
その後、新たに媒体Pに印刷がなされて所定の距離搬送された後、丸刃ユニット2は第2の待機位置センサ5から第1の待機位置センサ4へ移動しながら媒体Pにおける次の切断位置を切断する(矢印α2)。丸刃ユニット2は、第1の待機位置センサ4が検知板7を検知するまで移動する。第1の待機位置センサ4が検知板7を検知すると切断動作が終了したと判断し、丸刃ユニット2を第1の待機位置センサ4の下で次の切断動作まで待機させる。この往復切断動作を繰り返し、媒体Pを切断する。
【0026】
図2に示すように、ディスクカッター10に、媒体Pより幅の狭い媒体P1を適用する場合、ユーザーは第1の待機位置センサ4及び第2の待機位置センサ5の位置をそれぞれ幅方向内側に移動させ(点線矢印)、媒体P1の幅の外側になるよう配置する(両矢印β2)。第1の待機位置センサ4と第2の待機位置センサ5の位置移動には、例えばユーザーが幅方向にスライドさせる、或いは一旦取り外し、所望の位置に取り付ける等により行う。媒体P1の切断動作において、丸刃ユニット2は移動後の第1の待機位置センサ41と第2の待機位置センサ51との間で往復動動作を行うことになる。
【0027】
また、プリンタの印刷基準が中心ではなく、例えば左側にある場合には、
図3に示すように、第1の待機位置センサ4の位置はそのままに、第2の待機位置センサ5の位置のみを幅方向内側へ移動させ(点線矢印)、媒体P1の幅の外側になるよう配置すればよい。媒体P1の切断動作において、丸刃ユニット2は第1の待機位置センサ4と移動後の第2の待機位置センサ52の間で往復動動作を行うことになる。なお、印刷基準が片側のみのプリンタに対しては、その印刷基準となる側の第1の待機位置センサ4または第2の待機位置センサ5を幅方向の一端に固定して移動できない仕様としてもよい。
【0028】
また、本実施形態にかかるディスクカッター20は、
図4に示すように、さらに、幅方向に移動可能な第3の待機位置センサ8を、第1の待機位置センサ4と第2の待機位置センサ5の間に設ける構成とすることができる。
【0029】
第3の待機位置センサ8を設けることで、丸刃ユニット2は上記した第1の待機位置センサ4と第2の待機位置センサ5の間(矢印α1)だけでなく、第1の待機位置センサ4或いは第2の待機位置センサ5と第3の待機位置センサ8の間(矢印α4)での移動が可能となる。このような構成としたディスクカッター20では、丸刃ユニット2は2つの異なった移動距離、即ち切断可能距離を有することとなり、媒体Pを完全に切り離すフルカット処理だけでなく媒体Pを途中まで切り離すパーシャルカット処理が可能となる。
【0030】
このように、本実施形態に係るディスクカッターは、待機位置センサを幅方向の任意な位置に移動可能としているため、媒体に合わせて丸刃ユニットの移動量を規制することが可能となり、切断処理に要する時間の無駄をなくすことができる。
【符号の説明】
【0031】
1 …丸刃
2 …丸刃ユニット
3 …固定刃
4 …第1の待機位置センサ
5 …第2の待機位置センサ
6 …駆動モータ
7 …検知板
8 …第3の待機位置センサ
10 …ディスクカッター