特許第5809692号(P5809692)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本碍子株式会社の特許一覧

特許5809692電力貯蔵装置及び電力貯蔵装置の運転方法
<>
  • 特許5809692-電力貯蔵装置及び電力貯蔵装置の運転方法 図000003
  • 特許5809692-電力貯蔵装置及び電力貯蔵装置の運転方法 図000004
  • 特許5809692-電力貯蔵装置及び電力貯蔵装置の運転方法 図000005
  • 特許5809692-電力貯蔵装置及び電力貯蔵装置の運転方法 図000006
  • 特許5809692-電力貯蔵装置及び電力貯蔵装置の運転方法 図000007
  • 特許5809692-電力貯蔵装置及び電力貯蔵装置の運転方法 図000008
  • 特許5809692-電力貯蔵装置及び電力貯蔵装置の運転方法 図000009
  • 特許5809692-電力貯蔵装置及び電力貯蔵装置の運転方法 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5809692
(24)【登録日】2015年9月18日
(45)【発行日】2015年11月11日
(54)【発明の名称】電力貯蔵装置及び電力貯蔵装置の運転方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/32 20060101AFI20151022BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20151022BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20151022BHJP
   H01M 10/39 20060101ALI20151022BHJP
【FI】
   H02J3/32
   H02J3/38 110
   H02J3/38 180
   H02J7/00 X
   H01M10/39 A
   H01M10/39 C
【請求項の数】6
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-509850(P2013-509850)
(86)(22)【出願日】2012年4月2日
(86)【国際出願番号】JP2012058877
(87)【国際公開番号】WO2012141022
(87)【国際公開日】20121018
【審査請求日】2014年2月19日
(31)【優先権主張番号】特願2011-86963(P2011-86963)
(32)【優先日】2011年4月11日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 良幸
【審査官】 田中 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−195348(JP,A)
【文献】 特開平09−037477(JP,A)
【文献】 特開2001−186677(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/32
H01M 10/39
H02J 3/38
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力貯蔵装置であって、
系統と、
ナトリウム−硫黄電池、併入/解列機構及びヒータを備え、前記ナトリウム−硫黄電池が前記系統へ併入された状態及び前記ナトリウム−硫黄電池が前記系統から解列された状態が前記併入/解列機構により切り替えられ、前記ヒータが前記系統に電気的に接続され前記ナトリウム−硫黄電池を加熱する複数の運転の単位と、
受電の遮断を検出する遮断検出機構と、
前記複数の運転の単位の各々に属する前記ナトリウム−硫黄電池の残存容量の指標を特定する残存容量特定部と、
前記残存容量特定部により特定された残存容量の指標を参照し、前記複数の運転の単位の各々に属する前記ナトリウム−硫黄電池の残存容量が多くなるほど高くなる順位を前記複数の運転の単位の各々に付与する順位付与部と、
前記遮断検出機構により受電の遮断が検出された場合に前記順位付与部により付与された順位が最も高い前記運転の単位を選択する選択部と、
前記併入/解列機構を制御し、前記ヒータを前記系統に電気的に接続したまま、前記選択部により選択された前記運転の単位に属する前記併入/解列機構に前記ナトリウム−硫黄電池を前記系統へ併入させ、前記選択部により選択されない前記運転の単位に属する前記併入/解列機構に前記ナトリウム−硫黄電池を前記系統から解列させ、前記選択部により選択された前記運転の単位に属する前記ナトリウム−硫黄電池から前記選択部により選択された前記運転の単位に属する前記ヒータ及び前記選択部により選択されない前記運転の単位に属する前記ヒータの両方へ電力を供給する自立運転を前記遮断検出機構により受電の遮断が検出された場合に実行する自立運転実行部と、
を備える電力貯蔵装置。
【請求項2】
請求項1の電力貯蔵装置において、
前記自立運転が実行されている間に、前記残存容量特定部により特定された残存容量の指標を参照し、前記選択部により選択されている前記運転の単位に属する前記ナトリウム−硫黄電池の残存容量が基準を下回ったことを検出する放電末検出部、
をさらに備え、
前記選択部は、
前記自立運転が実行されている間であって選択されている前記運転の単位に属する前記ナトリウム−硫黄電池の残存容量が基準を下回ったことが前記放電末検出部により検出された場合に既に選択された前記運転の単位を除いて前記順位付与部により付与された順位が最も高い前記運転の単位を選択しなおす
電力貯蔵装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2の電力貯蔵装置において、
前記系統に電気的に接続される電力消費体
をさらに備える電力貯蔵装置。
【請求項4】
請求項3の電力貯蔵装置において、
前記電力消費体は、
前記電力貯蔵装置の内部の温度を調整する空調機器
を備える電力貯蔵装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれかの電力貯蔵装置において、
前記複数の運転の単位の各々における故障を検出する故障検出部、
をさらに備え、
前記順位付与部は、
前記故障検出部により故障が検出された前記運転の単位に順位を付与しない
電力貯蔵装置。
【請求項6】
電力貯蔵装置の運転方法であって、
(a) 系統及び複数の運転の単位を備え、前記複数の運転の単位の各々がナトリウム−硫黄電池、併入/解列機構及びヒータを備え、前記複数の運転の単位の各々において前記ナトリウム−硫黄電池が前記系統へ併入された状態及び前記ナトリウム−硫黄電池が前記系統から解列された状態が前記併入/解列機構により切り替えられ、前記複数の運転の単位の各々において前記ヒータが前記系統に電気的に接続され前記ナトリウム−硫黄電池を加熱する電力貯蔵装置を設置する工程と、
(b) 受電の遮断を検出する工程と、
(c) 前記複数の運転の単位の各々に属する前記ナトリウム−硫黄電池の残存容量の指標を特定する工程と、
(d) 前記工程(c)において特定された残存容量の指標を参照し、前記複数の運転の単位の各々に属する前記ナトリウム−硫黄電池の残存容量が多くなるほど高くなる順位を前記複数の運転の単位の各々に付与する工程と、
(e) 前記工程(b)において受電の遮断が検出された場合に前記工程(d)において付与された順位が最も高い前記運転の単位を選択する工程と、
(f) 前記併入/解列機構を制御し、前記ヒータを前記系統に電気的に接続したまま、前記工程(e)において選択された前記運転の単位に属する前記併入/解列機構に前記ナトリウム−硫黄電池を前記系統へ併入させ、前記工程(e)において選択されない前記運転の単位に属する前記併入/解列機構に前記ナトリウム−硫黄電池を前記系統から解列させ、前記工程(e)において選択された前記運転の単位に属する前記ナトリウム−硫黄電池から前記工程(e)において選択された前記運転の単位に属する前記ヒータ及び前記工程(e)において選択されない前記運転の単位に属するヒータの両方へ電力を供給する自立運転を前記工程(b)において受電の遮断が検出された場合に実行する工程と、
を備える電力貯蔵装置の運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力貯蔵装置及び電力貯蔵装置の運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
系統電力網へ電力を送電し系統電力網から電力を受電する電力貯蔵装置においてナトリウム−硫黄電池が使用される。
【0003】
ナトリウム−硫黄電池は、高温で動作する二次電池である。このため、ナトリウム−硫黄電池が使用される電力貯蔵装置においては、ナトリウム−硫黄電池がヒータにより加熱される。また、電力貯蔵装置の内部の温度は機器が安定して動作する温度である必要がある。このため、電力貯蔵装置の内部の温度は空調により調整される。
【0004】
ヒータ及び空調を動作させる電力は系統電力網から供給される。したがって、停電、保守等のために系統電力網からの受電が遮断された場合は、ヒータ及び空調へ電力が供給されなくなる。ヒータ及び空調へ電力が供給されない場合は、ナトリウム−硫黄電池の温度が低下し、機器が安定して動作する温度から電力貯蔵装置の内部の温度が外れる。
【0005】
ナトリウム−硫黄電池の温度が低下した場合は、ナトリウム−硫黄電池の充電状態によっては、構成部品のひずみ等によりナトリウム−硫黄電池が故障しやすくなる。また、機器が安定して動作する温度から電力貯蔵装置の内部の温度が外れた場合は、機器が故障しやすくなる。
【0006】
特許文献1は、この問題の解決策を提案する。特許文献1は、系統電力網からの受電が遮断された場合にナトリウム−硫黄電池等からヒータへ電力を供給することを提案する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−51074号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、電力貯蔵装置の規模が大きい場合は、電力貯蔵装置を適切な状態に維持するために必要な電力も大きくなり、系統電力網からの受電が遮断された場合に長時間にわたって電力貯蔵装置を適切な状態に維持することが困難になる。
【0009】
本発明は、この問題を解決するためになされる。本発明の目的は、受電が遮断された場合でも長時間にわたって適切な状態に維持される電力貯蔵装置及び電力貯蔵装置の運転方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は電力貯蔵装置に向けられる。本発明の第1から第5までの局面はヒータが運転の単位に属する場合に関する
【0011】
本発明の第1の局面においては、系統、複数の運転の単位、遮断検出機構、残存容量特定部、順位付与部、選択部及び自立運転実行部が設けられる。
【0012】
運転の単位は、ナトリウム−硫黄電池、併入/解列機構及びヒータを備える。併入/解列機構は、ナトリウム−硫黄電池が系統へ併入された状態及びナトリウム−硫黄電池が系統から解列された状態を切り替える。ヒータは系統に電気的に接続されナトリウム−硫黄電池を加熱する。遮断検出機構は受電の遮断を検出する。
【0013】
複数の運転の単位の各々に属するナトリウム−硫黄電池の残存容量の指標が残存容量特定部により特定される。特定された残存容量の指標が参照され、複数の運転の単位の各々に順位付与部により順位が付与される。順位は、複数の運転の単位の各々に属するナトリウム−硫黄電池の残存容量が多くなるほど高くなる。
【0014】
遮断検出機構により受電の遮断が検出された場合に運転の単位が選択部により選択される。選択される運転の単位は、順位が最も高い運転の単位である。
【0015】
自立運転実行部により、併入/解列機構が制御され、受電の遮断が検出された場合に自立運転が実行される。自立運転においては、ヒータを系統に電気的に接続したまま、選択された運転の単位に属する併入/解列機構がナトリウム−硫黄電池を系統へ併入させ、選択されない運転の単位に属する併入/解列機構がナトリウム−硫黄電池を系統から解列させ、選択された運転の単位に属するナトリウム−硫黄電池から選択された運転の単位に属するヒータ及び選択されない運転の単位に属するヒータの両方へ電力を供給する
【0016】
本発明の第2の局面は、本発明の第1の局面にさらなる事項を付加する。本発明の第2の局面においては、放電末検出部が設けられる。放電末検出部により、自立運転が実行されている間に、残存容量の指標が参照され、選択されている運転の単位に属するナトリウム−硫黄電池の残存容量が基準を下回ったことが検出される。
【0017】
自立運転が実行されている間であって選択されている運転の単位に属するナトリウム−硫黄電池の残存容量が基準を下回ったことが検出された場合に運転の単位が選択部により選択しなおされる。選択しなおされる運転の単位は、既に選択された運転の単位を除いて順位が最も高い運転の単位である。
【0019】
本発明の第3の局面は、本発明の第1又は第2の局面にさらなる事項を付加する。本発明の第3の局面においては、電力消費体が設けられる。電力消費体は、系統に電気的に接続される。
【0020】
本発明の第4の局面は、本発明の第3の局面にさらなる事項を付加する。本発明の第4の局面においては、電力消費体が電力貯蔵装置の内部の温度を調整する空調機器を備える。
【0021】
本発明の第5の局面は、本発明の第1から第4までのいずれかの局面にさらなる事項を付加する。本発明の第5の局面においては、故障検出部が設けられる。複数の運転の単位の各々における故障が故障検出部により検出される。故障が検出された運転の単位には順位付与部により順位が付与されない。
【0027】
本発明の第6の局面は、電力貯蔵装置の運転方法に向けられる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の第1及び第6の局面によれば、受電が遮断された場合に、残存容量が多いナトリウム−硫黄電池からヒータへ電力が供給され、長時間にわたってヒータへ電力が供給され、長時間にわたってナトリウム−硫黄電池の温度が適切に維持される
【0029】
本発明の第2の局面によれば、選択されている運転の単位に属するナトリウム−硫黄電池からの電力の供給が困難になっても、選択しなおされた運転の単位に属するナトリウム−硫黄電池から電力が供給され、ヒータへの電力の供給が継続され、長時間にわたってヒータへ電力が供給され、長時間にわたってナトリウム−硫黄電池の温度が適切に維持される
【0031】
本発明の第3の局面によれば、受電が遮断された場合に、残存容量が多いナトリウム−硫黄電池から電力消費体へ電力が供給され、長時間にわたって電力消費体が供給され、長時間にわたって電力貯蔵装置が適切な状態に維持される。
【0032】
本発明の第4の局面によれば、電力貯蔵装置の内部の温度が適切に維持される。
【0033】
本発明の第5の局面によれば、自立運転が実行される場合に故障した運転の単位からヒータへ電力が供給されることが抑制され、故障した運転の単位の故障による自立運転が抑制される。
【0035】
これらの及びこれら以外の本発明の目的、特徴、局面及び利点は、添付図面とともに考慮されたときに下記の本発明の詳細な説明によってより明白となる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】自立運転の概略を示す模式図である。
図2】通常運転の概略を示す模式図である。
図3】電力貯蔵装置の電力系のブロック図である。
図4】電力貯蔵装置の制御系のブロック図である。
図5】PCS及び電池モジュールのブロック図である。
図6】電力貯蔵装置の電力系のブロック図である。
図7】選択された電池ユニットのPCSのブロック図である。
図8】選択されない電池ユニットのPCSのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
(着想の概略)
図1及び図2の模式図は、それぞれ、電力貯蔵装置における自立運転及び通常運転の概略を示す。
【0038】
(運転の単位)
図1及び図2に示すように、電力貯蔵装置1000においては、ナトリウム−硫黄電池1002は複数の運転の単位1004の各々の内部にある。
【0039】
運転の単位1004は、ナトリウム−硫黄電池1002の装置内系統1006への併入及び装置内系統1006からの解列の単位である。2個以上のナトリウム−硫黄電池1002が1個の運転の単位1004に属する場合は、当該2個以上のナトリウム−硫黄電池1002は、同時に装置内系統1006へ併入され、同時に装置内系統1006から解列される。当該2個以上のナトリウム−硫黄電池1002の一方が装置内系統1006へ併入されるのと同時に他方が装置内系統1006から解列されることはない。運転の単位1004の呼称は事業者によって異なるが、典型的には「電池ユニット」という呼称が使用される。
【0040】
典型的には複数の運転の単位1004の各々は筐体に収容される。2個以上の運転の単位1004が1個の筐体に収容されてもよく、運転の単位1004が筐体に収容されなくてもよい。
【0041】
(電力消費体)
第1の電力消費体1008は複数の運転の単位1004の各々の内部にある。第2の電力消費体1010は複数の運転の単位1004の外部にある。第1の電力消費体1008及び第2の電力消費体1010は装置内系統1006へ電気的に接続される。装置内系統1006から第1の電力消費体1008及び第2の電力消費体1010へ電力が供給される。第1の電力消費体1008及び第2の電力消費体1010は電力を消費して動作する。第1の電力消費体1008及び第2の電力消費体1010の片方が省略されてもよい。複数の第1の電力消費体1008の一部が省略されてもよい。
【0042】
(通常運転と自立運転との切り替え)
系統電力網1012からの受電が遮断されていない場合は図2に示すように通常運転が実行され、系統電力網1012からの受電が遮断されている場合は図1に示すように自立運転が実行される。
【0043】
(通常運転)
図2に示すように、通常運転が実行される場合は、複数の運転の単位1004の全部が運転される。複数の運転の単位1004の一部のみが運転されてもよい。運転される運転の単位1004に属するナトリウム−硫黄電池1002は、装置内系統1006へ併入され、装置内系統1006との間で電力のやりとりが可能な状態になる。併入されたナトリウム−硫黄電池1002が放電した電力は系統電力網1012へ送電される。系統電力網1012から受電した電力は装置内系統1006へ併入されたナトリウム−硫黄電池1002へ充電される。また、系統電力網1012から第1の電力消費体1008及び第2の電力消費体1010へ電力が供給される。ナトリウム−硫黄電池1002から第1の電力消費体1008及び第2の電力消費体1010へ電力が供給されてもよい。
【0044】
(自立運転)
図1に示すように、自立運転が実行される場合は、1個の運転の単位1004が運転される。運転される運転の単位1004に属するナトリウム−硫黄電池1002は装置内系統1006へ併入され、装置内系統1006との間で電力のやりとりが可能な状態になる。運転されない運転の単位1004に属するナトリウム−硫黄電池1002は装置内系統1006から解列され、装置内系統1006との間で電力のやりとりが不可能な状態になる。
【0045】
併入されたナトリウム−硫黄電池1002から第1の電力消費体1008及び第2の電力消費体1010へ電力が供給される。
【0046】
自立運転においては、2個以上の運転の単位1004が同時に運転されず、一方の運転の単位1004に属するナトリウム−硫黄電池1002が電力の供給元となり他方の運転の単位1004が備えるナトリウム−硫黄電池1002が電力の供給先になることがなくなり、電力貯蔵装置1000の動作が安定する。
【0047】
(運転される運転の単位)
複数の運転の単位1004の各々には順位が付与される。当該順位は、運転の単位1004に属するナトリウム−硫黄電池1002の残存容量が多くなるほど高くなる。
【0048】
自立運転が開始されるときには、順位が最も高い1個の運転の単位1004が選択され、選択された運転の単位1004が運転される。
【0049】
自立運転が開始された後に運転されている運転の単位1004に属するナトリウム−硫黄電池1002の残存容量が少なくなった場合は、既に選択された運転の単位1004を除いて順位が最も高い運転の単位1004が選択しなおされ、選択しなおされた運転の単位1004の運転が開始され、残存容量が少なくなったナトリウム−硫黄電池1002が属する運転の単位1004の運転が終了される。
【0050】
(電力貯蔵装置の望ましい実施形態の概略)
図3及び図4のブロック図は、電力貯蔵装置の望ましい実施形態を示す。図3のブロック図は電力系、図4のブロック図は制御系を示す。
【0051】
図3に示すように、電力貯蔵装置2000は、電池ユニット2002、充放電用の電力伝送路2004、充放電遮断用の遮断器2006、低圧側の系統2008、系統間接続用の電力伝送路2010、低圧側の系統間接続遮断用の遮断器2012、系統間接続用の変圧器2014、高圧側の系統間接続遮断用の遮断器2016、高圧側の系統2018、送受電用の電力伝送路2020、送受電遮断用の遮断器2022、不足電圧継電器用の変圧器2024、不足電圧継電器2026、給電用の電力伝送路2028、給電遮断用の遮断器2030、給電用の変圧器2032、空調機器2034及びコントローラ2036を備える。
【0052】
電池ユニット2002の数は、5個でなくてもよく、2個以上4個以下又は6個以上であってもよい。
【0053】
充放電用の電力伝送路2004及び充放電遮断用の遮断器2006は、複数の電池ユニット2002の各々に対応して設けられる。これらの構成物の一部が省略されてもよい。例えば、充放電遮断用の遮断器2006、低圧側の系統間接続遮断用の遮断器2012、高圧側の系統間接続遮断用の遮断器2016及び送受電遮断用の遮断器2022の全部又は一部が省略されてもよい。昇圧又は降圧が不要である場合は、不足電圧継電器用の変圧器2024及び給電用の変圧器2032の両方又は片方が省略される。
【0054】
系統電力網2902の電圧によっては、低圧側の系統2008が高圧側の系統になり高圧側の系統2018が低圧側の系統になる場合がある。系統電力網2902の電圧によっては、系統間接続用の電力伝送路2010が省略され、低圧側の系統2008及び高圧側の系統2018がひとつの系統にまとめられる場合もある。
【0055】
(系統電力網からの受電及び系統電力網への送電)
電力貯蔵装置2000は、遮断器2900を経由して系統電力網2902に接続される。電力貯蔵装置2000は、系統電力網2902から電力を受電し、系統電力網2902へ電力を送電する。電力貯蔵装置2000は、電力需給の変動の補償等に用いられる。電力貯蔵装置2000が電力を受電するときには、送受電用の電力伝送路2020、高圧側の系統2018、系統間接続用の電力伝送路2010、低圧側の系統2008及び充放電用の電力伝送路2004を順次に経由して系統電力網2902から電池ユニット2002へ電力が伝送される。電力貯蔵装置2000が電力を送電するときには、充放電用の電力伝送路2004、低圧側の系統2008、系統間接続用の電力伝送路2010、高圧側の系統2018及び送受電用の電力伝送路2020を順次に経由して電池ユニット2002から系統電力網2902へ電力が伝送される。電力貯蔵装置2000が系統電力網2902以外に接続されてもよい。
【0056】
(空調機器及びコントローラ)
電力貯蔵装置2000の内部の温度は空調機器2034により調整される。これにより、電力貯蔵装置2000の構成機器が安定して動作する温度に電力貯蔵装置2000の内部の温度が維持される。電力貯蔵装置2000の構成機器は、コントローラ2036により制御される。空調機器2034及びコントローラ2036は、上記の第2の電力消費体1010の典型例であり、電力を消費して動作する。ただし、空調機器2034及びコントローラ2036の両方又は片方が電池ユニット2002に設けられ上記の第1の電力消費体1008となってもよい。
【0057】
空調機器2034及びコントローラ2036以外の第2の電力消費体1010が電力貯蔵装置2000に設けられてもよい。例えば、照明、通信機器等が電力貯蔵装置2000に設けられてもよい。
【0058】
(電池ユニットの概略)
複数の電池ユニット2002の各々は、直交変換器(PCS)2100及び電池モジュール2102を備える。PCSは、"Power Conditioning System"等の略称であり、「交直変換装置」等とも呼ばれる。
【0059】
自立運転が実行される間はPCS2100において定電圧制御が行われる。PCS2100が発生する電圧を一定にするために参照される電圧は低圧側の系統2008の電圧である。PCS2100は、発生する電圧が低圧側の系統2008の電圧と一致するように発生する電圧を制御する。PCS2100は、ナトリウム−硫黄電池2104が放電した直流を交流へ変換して低圧側の系統2008へ供給する。また、PCS2100は、低圧側の系統2008から供給された交流を直流へ変換してナトリウム−硫黄電池2104を充電する。
【0060】
1個の電池ユニット2002に属する2個以上のPCS2100は並列運転される。望ましくは1個の電池ユニット2002に属するPCS2100の数は2個である。PCS2100の数が2個である場合は、PCS2100の数が1個である場合よりも電池ユニット2002の充放電能力が向上するからである。また、PCS2100の数が2個である場合は、PCS2100の数が3個以上である場合よりも電力貯蔵装置2000の動作が安定するからである。PCS2100の数が3個以上である場合に電力貯蔵装置2000の動作が安定しないのは、PCS2100の性能に個体差があるためである。3個以上のPCS2100が並列運転された場合は、PCS2100が発生する電圧のわずかな違いにより、一方の電池ユニット2002と他方の電池ユニット2002との間でエネルギー交換が起こる場合があり、正常な並列運転が行われない。すなわち、一方の電池ユニット2002に属するナトリウム−硫黄電池2104から他方の電池ユニット2002に属するナトリウム−硫黄電池2104へ充電が行われる。この状態においては、わずかな負荷の変動であっても過電流、不足電圧に至り電力貯蔵装置2000が停止する可能性が高い。
【0061】
(電池モジュール)
電池モジュール2102においては、ナトリウム−硫黄電池2104及びヒータ2106が容器2108に収容される。ナトリウム−硫黄電池2104及びヒータ2106以外の構成物が容器2108に収容されてもよい。典型的にはナトリウム−硫黄電池2104及びヒータ2106が容器2108に収容されるが、ナトリウム−硫黄電池2104及びヒータ2106が裸のまま電池ユニット2002に設けられてもよい。典型的にはナトリウム−硫黄電池2104は組電池であるが単電池であってもよい。電力貯蔵装置2000が運転されている間は、ナトリウム−硫黄電池2104がヒータ2106により加熱され、ナトリウム−硫黄電池2104の温度が300℃以上の温度に維持される。ヒータ2106は、上記の第1の電力消費体1008の典型例であり、電力を消費して動作する。
【0062】
ヒータ2106以外の第1の電力消費体1008が電池ユニット2002に設けられてもよい。例えば、電力を消費して動作するセンサ、コントローラ等が電池ユニット2002設けられてもよい。
【0063】
(通常運転と自立運転との切り替え)
電力貯蔵装置2000は、系統電力網2902に接続されている場合に通常運転を実行し、系統電力網2902に接続されていない場合に自立運転を実行する。
【0064】
通常運転が実行される場合は、系統電力網2902からヒータ2106、空調機器2034及びコントローラ2036へ電力が供給される。自立運転が実行される場合、ナトリウム−硫黄電池2104からヒータ2106、空調機器2034及びコントローラ2036へ電力が供給される。
【0065】
(電力貯蔵装置の内部の電気的接続)
低圧側の系統2008には、複数の電池ユニット2002の各々が充放電用の電力伝送路2004を介して電気的に接続される。低圧側の系統2008と複数の電池ユニット2002の各々とを接続する複数の充放電用の電力伝送路2004の各々には充放電遮断用の遮断器2006が挿入される。
【0066】
複数の充放電用の電力伝送路2004の各々はPCS2100に電気的に接続される。PCS2100には電池モジュール2102が電気的に接続される。これにより、ナトリウム−硫黄電池2104及びヒータ2106がPCS2100及び充放電用の電力伝送路2004を介して低圧側の系統2008に電気的に接続される。また、ナトリウム−硫黄電池2104が低圧側の系統2008へ併入された状態及びナトリウム−硫黄電池2104が低圧側の系統2008から解列された状態がPCS2100により切り替えられる。ナトリウム−硫黄電池2104と低圧側の系統2008との電気的な接続の経路とヒータ2105と低圧側の系統2008との電気的な接続の経路とが完全に分離されてもよい。PCS2100以外の併入/解列機構により併入された状態と解列された状態とが切り替えられてもよい。「併入」に代えて「投入」という語が使用される場合もある。
【0067】
1個のPCS2100に接続される電池モジュール2102の数は、1個でなくてもよく、2個以上であってもよい。
【0068】
低圧側の系統2008と高圧側の系統2018とは系統間接続用の電力伝送路2010により電気的に接続される。系統間接続用の電力伝送路2010には、低圧側の系統間接続遮断用の遮断器2012、系統間接続用の変圧器2014及び高圧側の系統間接続遮断用の遮断器2016が挿入される。
【0069】
高圧側の系統2018は、送受電用の電力伝送路2020を介して系統電力網2902に電気的に接続される。送受電用の電力伝送路2020には、送受電遮断用の遮断器2022が挿入され、不足電圧継電器用の変圧器2024を介して不足電圧継電器2026が電気的に接続される。また、高圧側の系統2018には、給電用の電力伝送路2028を介して空調機器2034及びコントローラ2036が電気的に接続される。給電用の電力伝送路2028には、給電遮断用の遮断器2030及び給電用の変圧器2032が挿入される。
【0070】
これにより、空調機器2034及びコントローラ2036は、給電用の電力伝送路2028、高圧側の系統2018及び系統間接続用の電力伝送路2010を介して低圧側の系統2008に電気的に接続される。空調機器2034及びコントローラ2036と低圧側の系統2008との電気的な接続の経路が変更されてもよい。例えば、給電用の電力伝送路2028が低圧側の系統2008に直接的に接続されてもよい。
【0071】
系統は、電力を伝送する電力伝送路の一種である。系統には、単数又は複数の電力供給元又は電力供給先が接続される。
【0072】
(PCSの概略)
図5は、PCS及び電池モジュールのブロック図である。
【0073】
図5に示すように、PCS2100は、電池充放電用の電力伝送路2200、直流側の電池充放電遮断用の遮断器2202、ホール電流計2204、双方向変換器2206、電池充放電用の変圧器2208、交流側の電池充放電遮断用の遮断器2210、ヒータ給電用の電力伝送路2212、ヒータ給電用の変圧器2214及びヒータ給電遮断用の遮断器2216を備える。これらの構成物の一部が省略されてもよい。例えば、直流側の電池充放電遮断用の遮断器2202及び交流側の電池充放電遮断用の遮断器2210の両方又は片方が省略されてもよい。ヒータ給電遮断用の遮断器2216が省略されてもよい。双方向変換器2206の交流側の電圧が低圧側の系統2008の電圧と一致する場合は電池充放電用の変圧器2008が省略されてもよい。ヒータ2106の動作電圧が低圧側の系統2008の電圧と一致する場合はヒータ給電用の変圧器2214が省略されてもよい。これらの構成物の一部がPCS2100の外部に設けられてもよい。これらの構成物以外の構成物がPCS2100の内部に設けられてもよい。
【0074】
電池充放電用の電力伝送路2200は、充放電用の電力伝送路2004とナトリウム−硫黄電池2104とを電気的に接続する。ヒータ給電用の電力伝送路2212は、充放電用の電力伝送路2004とヒータ2106とを電気的に接続する。電池充放電用の電力伝送路2200には、直流側の電池充放電遮断用の遮断器2202、ホール電流計2204、双方向変換器2206、電池充放電用の変圧器2208及び交流側の電池充放電遮断用の遮断器2210が挿入される。ヒータ給電用の電力伝送路2212には、ヒータ給電用の変圧器2214及びヒータ給電遮断用の遮断器2216が挿入される。
【0075】
ナトリウム−硫黄電池2104が放電した電力は、電池充放電用の電力伝送路2200により伝送され、直流側の電池充放電遮断用の遮断器2202、ホール電流計2204、双方向変換器2206、電池充放電用の変圧器2208及び交流側の電池充放電遮断用の遮断器2210を順次に通過する。電力が双方向変換器2206を通過するときに直流から交流への変換が行われる。電力が電池充放電用の変圧器2208を通過するときに昇圧が行われる。
【0076】
ナトリウム−硫黄電池2104へ充電される電力は、電池充放電用の電力伝送路2200により伝送され、交流側の電池充放電遮断用の遮断器2210、電池充放電用の変圧器2208、双方向変換器2206、ホール電流計2204及び直流側の電池充放電遮断用の遮断器2202を順次に通過する。電力が電池充放電用の変圧器2208を通過するときに降圧が行われる。電力が双方向変換器2206を通過するときに交流から直流への変換が行われる。
【0077】
電池充放電用の電力伝送路2200を流れる電流、すなわち、ナトリウム−硫黄電池2104の充放電電流はホール電流計2204により測定される。ホール電流計2204とは異なる形式の電流計により充放電電流が測定されてもよい。
【0078】
PCS2100がナトリウム−硫黄電池2104を併入する場合は、直流側の電池充放電遮断用の遮断器2202が閉じ、電池充放電用の電力伝送路2200が電力を伝送できる状態になる。PCS2100がナトリウム−硫黄電池2104を解列する場合は、直流側の電池充放電遮断用の遮断器2202が開き、電池充放電用の電力伝送路2200が電力を伝送できない状態になる。望ましくは直流側の電池充放電遮断用の遮断器2202により電池充放電用の電力伝送路2200が開閉されるが、交流側の電池充放電遮断用の遮断器2210により電池充放電用の電力伝送路2200が開閉されてもよく、直流側の電池充放電遮断用の遮断器2202及び交流側の電池充放電遮断用の遮断器2210の両方により電池充放電用の電力伝送路2200が開閉されてもよい。
【0079】
ヒータ2106へ供給される電力は、ヒータ給電用の電力伝送路2212により伝送され、ヒータ給電遮断用の遮断器2216及びヒータ給電用の変圧器2214を順次に通過する。電力がヒータ給電用の変圧器2214を通過するときに降圧が行われる。
【0080】
(制御系の概略)
図4に示すように、コントローラ2036は、残存容量特定部2300、順位付与部2302、選択部2304、自立運転実行部2306、放電末検出部2308及び故障検出部2310を備え、電力貯蔵装置2000が設置された後の電力貯蔵装置2000の運転の全部又は一部を担う。これらの構成物は、制御用コンピュータであるコントローラ2036がインストールされた制御用プログラムを実行することにより実現される。
【0081】
これらの構成物の全部又は一部がオペアンプ、コンパレータ等のソフトウエアを伴わない電子回路に置き換えられてもよい。これらの構成物による処理の全部又は一部が人間の手作業に置き換えられてもよい。
【0082】
(残存容量特定部)
残存容量特定部2300は、ホール電流計2204から充放電電流の計測値を取得し、充放電電流の計測値を積算し、積算値から複数の電池ユニット2002の各々に属するナトリウム−硫黄電池2104の残存容量の指標を導出する。
【0083】
残存容量の指標の導出の方法が変更されてもよい。例えば、ホール電流計2204とは異なる形式の電流計から充放電電流の計測値が取得されてもよい。充放電電力及び充放電電圧の測定値が取得され、充放電電力及び充放電電圧の測定値から充放電電流が算出されてもよい。充放電電力の計測値に代えて双方向変換器への充放電電力の指令値が使用されてもよい。
【0084】
残存容量の指標は、残存容量そのものであってもよいし、残存容量と一対一に対応する量であってもよい。例えば、複数の電池ユニット2002の各々に属するナトリウム−硫黄電池2104の定格容量が同じである場合は、定格容量に対する残存容量の比である充電状態(SOC)も当該指標になりうる。
【0085】
(順位付与部)
順位付与部2302は、残存容量特定部2300により特定された残存容量の指標を参照し、電池ユニット2002に順位を付与する。順位は、電池ユニット2002に属するナトリウム−硫黄電池2104の残存容量が多くなるほど高くなる。
【0086】
ただし、順位付与部2302は、下記の故障検出部2310により故障が検出された電池ユニット2002には順位を付与しない。これにより、自立運転が実行される場合に故障した電池ユニット2002からヒータ2106、空調機器2034及びコントローラ2036へ電力が供給されることが抑制され、電池ユニット2002の故障による自立運転の停止が抑制される。
【0087】
(選択部)
選択部2304は、不足電圧継電器2026により送受電用の電力伝送路2020の電圧の低下が検出された場合に、順位付与部2302により付与された順位が最も高い電池ユニット2002を選択する。
【0088】
不足電圧継電器2026による電圧の低下の検出以外により系統電力網2902からの受電の遮断が検出されてもよい。例えば、不足電圧継電器2026から独立した電圧計による電圧の低下の検出により系統電力網2902からの受電の遮断が検出されてもよい。系統電力網2902からの受電の遮断を要求する操作を電力貯蔵装置2000が受けつける場合は、当該操作の検出により系統電力網2902からの受電の遮断が検出されてもよい。
【0089】
選択部2304は、自立運転が実行されている間であって選択されている電池ユニット2002に属するナトリウム−硫黄電池2104の残存容量が基準を下回ったことが下記の放電末検出部2308により検出された場合に、既に選択された電池ユニット2002を除いて順位付与部2302により付与された順位が最も高い電池ユニット2002を選択しなおす。
【0090】
(放電末検出部)
放電末検出部2308は、自立運転が実行されている間に、残存容量特定部2300により特定された残存容量の指標を参照し、選択部2304により選択されている電池ユニット2002に属するナトリウム−硫黄電池2104の残存容量が基準を下回ったことを検出する。基準は、例えば、残存容量又はその指標の閾値(下限値)である。
【0091】
(故障検出部)
故障検出部2310は、複数の電池ユニット2002の各々における故障を検出する。故障はどのように検出されてもよい。例えば、異常電圧、異常電流、ナトリウム−硫黄電池2104の劣化等の検出により異常が検出される。
【0092】
(自立運転実行部)
自立運転実行部2306は、PCS2100を制御する。自立運転実行部2306は、不足電圧継電器2026により系統電力網2902からの受電の遮断が検出された場合に自立運転を実行する。自立運転においては、選択部2304により選択された電池ユニット2002に属するPCS2100に選択部2304により選択された電池ユニット2002に属するナトリウム−硫黄電池2104を低圧側の系統2008へ併入させ、選択部2304に選択されない電池ユニット2002に属するPCS2100に選択部2304に選択されない電池ユニット2002に属するナトリウム−硫黄電池2104を低圧側の系統2008から解列させる。
【0093】
これにより、系統電力網2902からの受電が遮断された場合に、残存容量が多いナトリウム−硫黄電池2104からヒータ2106、空調機器2034及びコントローラ2036へ電力が供給され、長時間にわたってヒータ2106、空調機器2034及びコントローラ2036へ電力が供給され、長時間にわたって電力貯蔵装置2000が適切な状態に維持される。例えば、ヒータ2106によりナトリウム−硫黄電池2104の温度が適切に維持され、空調機器2034により電力貯蔵装置2000の内部の温度が適切に維持され、コントローラ2036により電力貯蔵装置2000が適切に制御される。
【0094】
また、選択されている電池ユニット2002に属するナトリウム−硫黄電池2104からの電力の供給が困難になっても、選択しなおされた電池ユニット2002に属するナトリウム−硫黄電池2104から電力が供給され、ヒータ2106、空調機器2034及びコントローラ2036への電力の供給が継続され、長時間にわたってヒータ2106、空調機器2034及びコントローラ2036へ電力が供給され、長時間にわたって電力貯蔵装置2000が適切な状態に維持される。
【0095】
(動作例)
電池ユニット2002a〜2002eに属するナトリウム−硫黄電池2104のSOC及び状態並びに電池ユニット2002a〜2002eの順位が表1に示される場合を考える。
【0096】
【表1】
【0097】
この場合に系統電力網2902からの受電が遮断され、送受電遮断用の遮断器2022が開いたときに、順位が最も高い電池ユニット2002cが選択され、図6に示すように電池ユニット2002cに属するナトリウム−硫黄電池2104から電池ユニット2002a〜2002eに属するヒータ2106並びに空調機器2034及びコントローラ2036へ電力が供給される。当該電力が通過する遮断器は閉じている。このとき、図7に示すように選択された電池ユニット2002cのPCS2100の交流側の電池充放電遮断用の遮断器2210が閉じ、図8に示すように選択されなかった電池ユニット2002a,2002b,2002d及び2002eの交流側の電池充放電遮断用の遮断器2210が開く。
【0098】
その後、電池ユニット2002cに属するナトリウム−硫黄電池2104の放電が進行し放電末に至った場合は、電池ユニット2002cを除いて最も順位が高い電池ユニット2002aが選択しなおされ、電池ユニット2002aに属するナトリウム−硫黄電池2104から、電池ユニット2002b,2002c,2002d及び2002eに属するヒータ2106並びに空調機器2034及びコントローラ2036へ電力が供給される。
【0099】
本発明は詳細に示され記述されたが、上記の記述は全ての局面において例示であって限定的ではない。しがって、本発明の範囲からはずれることなく無数の修正及び変形が案出されうると解される。
【符号の説明】
【0100】
1000 電力貯蔵装置
1002 ナトリウム−硫黄電池
1004 運転の単位
2000 電力貯蔵装置
2002 電池ユニット
2008 低圧側の系統
2026 不足電圧継電器
2104 ナトリウム−硫黄電池
2106 ヒータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8