特許第5809694号(P5809694)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5809694マルチキャリア無線通信システムの測定構成
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5809694
(24)【登録日】2015年9月18日
(45)【発行日】2015年11月11日
(54)【発明の名称】マルチキャリア無線通信システムの測定構成
(51)【国際特許分類】
   H04W 36/00 20090101AFI20151022BHJP
   H04W 72/04 20090101ALI20151022BHJP
【FI】
   H04W36/00 110
   H04W72/04 111
【請求項の数】23
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2013-514540(P2013-514540)
(86)(22)【出願日】2011年6月17日
(65)【公表番号】特表2013-534093(P2013-534093A)
(43)【公表日】2013年8月29日
(86)【国際出願番号】CN2011075878
(87)【国際公開番号】WO2011157224
(87)【国際公開日】20111222
【審査請求日】2012年12月13日
(31)【優先権主張番号】61/355,657
(32)【優先日】2010年6月17日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】506423280
【氏名又は名称】聯發科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】MEDIATEK INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】チョウ,チャオ−チン
(72)【発明者】
【氏名】チェン,イ−シェン
【審査官】 青木 健
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/150462(WO,A1)
【文献】 特表2013−502763(JP,A)
【文献】 Huawei,Measurement Consideration in CA,3GPP TSG-RAN WG2♯68 R2-096495,2009年11月 9日
【文献】 ZTE,Comparison of one serving cell and multiple serving cells,3GPP TSG-RAN WG2♯67bis R2-095668,2009年10月12日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00 − 99/00
H04B 7/24 − 7/26
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−2
CT WG1
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチキャリア無線通信システムにおけるユーザー端末(UE)によって、プライマリコンポーネントキャリア(PCC)上のプライマリサービングセル(Pcell)の信号受信電力を測定するステップ、
構成されたセカンダリセル(Scell)のRSRQ/RSRPレベルを監視してScellの信号品質を得るステップ、
前記信号受信電力としきい値(s‐Measure)とを比較するステップ、および
前記信号受信電力が前記s‐Measure値より高い場合、s‐Measure機構を有効にし、全てのCC上の隣接セルの測定を停止するステップを含み、
前記UEは、SCC追加用の構成されていないCCを検出する必要がある時、前記構成されていないCC上のs‐Measure機構を無効にし、前記UEは、前記構成されていないCC上の隣接セルの測定を開始することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記Scellの信号品質が前記しきい値より低い時、または前記Scellの干渉が検出された時、s‐Measure機構を無効にし、前記UEは、全てのCC上の隣接セルの測定を開始するステップを更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記Scellの信号品質が前記しきい値より低い時、または前記Scellの干渉が検出された時、前記Scell上のs‐Measure機構を無効にし、前記UEは、前記SCC上の隣接セルの測定を開始するステップを更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記UEは、フェムトセルで用いられるキャリア周波数上のs‐Measure機構を無効にし、前記UEは、前記キャリア周波数上の隣接セルの測定を開始する請求項1に記載の方法。
【請求項5】
SCC上のセカンダリサービングセル(Scell)の第2の信号受信電力を測定するステップ、および
前記信号受信電力および前記第2の信号受信電力の両方が前記s‐Measure値より高い場合、s‐Measure機構を有効にし、全てのCC上の隣接セルの測定を停止するステップを含む請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記UEは、前記信号受信電力または前記第2の信号受信電力のいずれかが前記s‐Measure値より低い時、s‐Measure機構を無効にし、前記UEは、全てのCC上の隣接セルの測定を開始する請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記UEは、チャネル品質指示(CQI)が前記Scellで干渉を示した時、s‐Measure機構を無効にし、前記UEは、全てのCC上の隣接セルの測定を開始する請求項5に記載の方法。
【請求項8】
マルチキャリア無線通信システムにおけるプライマリコンポーネントキャリア(PCC)上のプライマリサービングセル(Pcell)からの第1の基準信号を受信するRFモジュール、
セカンダリコンポーネントキャリア(SCC)上のセカンダリサービングセル(Scell)からの第2の基準信号を受信し、Scellの信号品質を導き出すRFモジュール、および
第1の基準信号受信電力(RSRP)レベルとしきい値(s‐Measure)とを比較し、前記第1のRSRPレベルが前記s‐Measure値より高い場合、前記UEがs‐Measure機構を有効にし、全てのCC上の隣接セルの測定を停止する測定モジュールを含み、
前記UEは、SCC追加用の構成されていないCCを検出する必要がある時、前記構成されていないCC上のs‐Measure機構を無効にし、前記UEは、前記構成されていないCC上の隣接セルの測定を開始することを特徴とするユーザー端末(UE)。
【請求項9】
前記UEは、前記Scellの信号品質が前記しきい値より低い時、または前記Scellの干渉が検出された時、前記Scell上のs‐Measure機構を無効にし、前記UEは、前記SCC上の隣接セルの測定を開始する請求項8に記載のUE。
【請求項10】
前記UEは、フェムトセルで用いられるキャリア周波数上のs‐Measure機構を無効にし、前記UEは、前記キャリア周波数上の隣接セルの測定を開始する請求項8に記載のUE。
【請求項11】
前記測定モジュールは、第2の基準信号受信電力(RSRP)レベルとs‐Measure値も比較し、前記第1のRSRPおよび前記第2のRSRPの両方が前記s‐Measure値より高い場合、前記UEがs‐Measure機構を有効にし、全てのCC上の隣接セルの測定を停止する請求項8に記載のUE。
【請求項12】
前記UEは、前記第1のRSRPまたは前記第2のRSRPのいずれかが前記s‐Measure値より低い時、s‐Measure機構を無効にし、前記UEは、全てのCC上の隣接セルの測定を開始する請求項11に記載のUE。
【請求項13】
前記UEは、チャネル品質指示(CQI)が前記Scellで干渉を示した時、s‐Measure機構を無効にし、前記UEは、全てのCC上の隣接セルの測定を開始する請求項11に記載のUE。
【請求項14】
マルチキャリア無線通信システムにおけるユーザー端末(UE)によって、プライマリコンポーネントキャリア(PCC)上のプライマリサービングセル(Pcell)の信号受信電力を測定するステップ、
前記第1の信号受信電力が第1のs‐Measure値より高い場合、s‐Measure機構を有効にし、PCC上の隣接セルの測定を停止するステップ、
ユーザー端末(UE)によって、セカンダリコンポーネントキャリア(SCC)上のセカンダリサービングセル(Scell)の信号受信電力を測定するステップ、および
前記第2の信号受信電力が第2のs‐Measure値より高い場合、s‐Measure機構を有効にし、前記SCC上の隣接セルの測定を停止するステップを含み、
前記UEは、SCC追加用の構成されていないCCを検出する必要がある時、前記構成されていないCC上のs‐Measure機構を無効にし、前記UEは、前記構成されていないCC上の隣接セルの測定を開始することを特徴とするむ方法。
【請求項15】
干渉検出用にScell上のCQIを監視するステップ、および
前記Scellの干渉が検出された時、s‐Measure機構を無効にし、前記UEが前記SCC上の隣接セルの測定を開始するステップを更に含む請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記UEは、フェムトセルで用いられるキャリア周波数上のs‐Measure機構を無効にし、前記UEは、前記キャリア周波数上の隣接セルの測定を開始する請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記構成されていないCC上の隣接セルの測定は、Pcellの前記第1の信号受信電力を前記第1のs‐Measure値と比較することで決定される請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記構成されていないCC上の隣接セルの測定は、Pcellの前記第1の信号受信電力を前記構成されていないCCの前記第3のs‐Measure値と比較することで決定される請求項14に記載の方法。
【請求項19】
マルチキャリア無線通信システムにおけるプライマリコンポーネントキャリア(PCC)上のプライマリサービングセル(Pcell)の第1の基準信号を受信する第1のRFモジュール、
セカンダリコンポーネントキャリア(SCC)上のセカンダリサービングセル(Scell)の第2の基準信号を受信する第2のRFモジュール、および
第1の基準信号受信電力(RSRP)レベルと第1のs‐Measure値とを比較し、且つ第2の基準信号受信電力(RSRP)レベルと第2のs‐Measure値とを比較し、前記第1のRSRPレベルが前記第1のs‐Measure値より高い場合、前記UEがs‐Measure機構を有効にし、前記PCC上の隣接セルの測定を停止し、且つ前記第2のRSRPレベルが前記第2のs‐Measure値より高い場合、前記UEがs‐Measure機構を有効にし、前記PCC上の隣接セルの測定を停止する測定モジュールを含み、
前記UEは、SCC追加用の構成されていないCCを検出する必要がある時、前記構成されていないCC上のs‐Measure機構を無効にし、前記UEは、前記構成されていないCC上の隣接セルの測定を開始することを特徴とするユーザー端末(UE)。
【請求項20】
前記UEは、干渉検出用にScell上のCQIを監視し、前記UEは、前記Scellの干渉が検出された時、s‐Measure機構を無効にし、且つ前記UEは、前記SCC上の隣接セルの測定を開始する請求項19に記載のUE。
【請求項21】
前記UEは、フェムトセルで用いられるキャリア周波数上のs‐Measure機構を無効にし、前記UEは、前記キャリア周波数上の隣接セルの測定を開始する請求項19に記載のUE。
【請求項22】
前記構成されていないCC上の隣接セルの測定は、Pcellの前記第1の信号受信電力を前記第1のs‐Measure値と比較することで決定される請求項19に記載のUE。
【請求項23】
前記構成されていないCC上の隣接セルの測定は、Pcellの前記第1の信号受信電力を前記構成されていないCCの前記第3のs‐Measure値と比較することで決定される請求項19に記載のUE。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチキャリア無線通信システムに関し、特に、マルチキャリアOFDMAシステムの測定構成に関するものである。
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、35U.S.C.§119の下、2010年6月17日に出願された米国特許仮出願番号第61/355,657号「Measurement Configuration in the Multi-Carrier OFDMA Communication Systems,」からの優先権を主張するものであり、これらの全ては引用によって本願に援用される。
【背景技術】
【0003】
直交周波数分割多重(Orthogonal Frequency Division Multiplexing;OFDM)は、キャリア間干渉からの障害なしで周波数選択性チャネルにおいて高い伝送速度を実行する効率的多重化スキームである。OFDMシステム用により広い無線帯域幅を用いる2つの典型的な構造がある。従来のOFDMシステムでは、単一の無線周波数(RF)キャリアは、1つの広帯域の無線信号を搬送するように用いられ、マルチキャリアOFDMシステムでは、多重RFキャリアは、より狭い帯域幅を有する複数の無線信号を搬送するように用いられる。マルチキャリアOFDMシステムは、例えばより良いスペクトル拡張(spectum scalability)、従来の単一キャリアのハードウェア設計のより良い再利用、よりフレキシブルな移動局のハードウェア、及びアップリンク伝送における、より低いピーク電力対平均電力比(Average Power Ratio;PAPR)など、従来のOFDMシステムに比べ、さまざまな利点を有する。よって、マルチキャリアOFDMシステムは、IEEE802.16mTM−2011および3GPP Release10(即ちLTE−Advancedシステム用)ドラフト標準のベースラインシステムアーキテクチャとなり、IMT−advanced(International Mobile Telecommunications-Advanced)のシステム要求を満たしている。
【0004】
ロングタームエボリューション(LTE)システムは、シンプルなネットワークアーキテクチャにより、高いピークデータレート、低遅延、改善されたシステム容量、および低い作業コストを提供する。LTEシステムは、例えばGSM(GSMは、スイス国ジーエスエム ムー アソシエイションの登録商標)、CDMA、およびユニバーサル移動体通信システム(UMTS)などの以前の無線ネットワークとのシームレスな統合も提供する。LTEシステムの性能向上は、IMT−advanced第4世代(4G)規格に適合する、または超えることができるように考慮されている。性能向上の鍵の1つは、最大100MHzの帯域幅をサポートし、既存の無線ネットワークシステムとの後方互換性を保っていることである。キャリアアグリゲーション(CA)は、システムのスループットを改善するために導入されている。キャリアアグリゲーションにより、LTE−Advanced(LTE−A)システムは、ダウンリンク(DL)の1Gbpsとアップリンク(UL)の500Mbpsを超えるピークターゲットデータレートをサポートすることができる。このような技術は、オペレーターに複数のより小さい連続的または非連続的なコンポーネントキャリア(CC)を集約させて、より大きなシステム帯域幅を提供することができ、且つ潜在ユーザーにコンポーネントキャリアの1つを用いてシステムにアクセスさせて後方互換性を提供することができるため、魅力的である。
【0005】
LTE/LTE‐Aシステムでは、発展型ユニバーサル地上波無線アクセスネットワーク(E−UTRAN)は、ユーザー端末(UE)と呼ぶ複数の移動局と通信する複数の発展型ノードB(eNBs)を含む。一般的に、各UEは、サービングセルと隣接セルの受信された信号品質を定期的に測定し、測定の結果を可能なハンドオーバーまたはセル再選択用にそのサービングeNBに報告する必要がある。上述の測定は、UEのバッテリー電力を消費する可能性がある。電力を節約するために、UEの測定作業(activity)を停止するパラメータ(例えばs‐Measure)がUEの測定の頻度を減少するようにしばしば用いられる。
【0006】
図1(従来技術)は、単一キャリアのLTEシステム10のs‐Measure機構(mechanism)を図示している。LTEシステム10は、UE11、サービングeNB12、および2つの隣接eNB13およびeNB14を含む。UE11は、キャリア1(例えばサービングセル)を通してそのサービングeNB12に接続される。LTEセルの信号強度の基準信号受信電力(RSRP)の測定は、移動管理の入力として異なるセル間の順位付けを助ける。例えば、UE11は、そのサービングセルおよび2つの隣接セルのRSRPレベルを測定し、各セルの信号品質を測定する。測定は、UEの電力を消費するため、各々のUEが常時隣接セルの信号品質を測定することは、効率的ではない。一般的に、サービングセルのRSRPレベルがs‐Measureで特定されたしきい値を超えた時、隣接セルの測定は必要がなくなるため、UEは、隣接セルの信号品質の測定を停止する。
【0007】
図2(従来技術)は、マルチキャリアLTEシステム20のs‐Measure機構を図示している。LTEシステム20は、UE21、サービングeNB22、および隣接eNB23とeNB24を含む。キャリアアグリゲーションがサポートされている時、UEは、サービングeNBの異なるコンポーネントキャリア(CC)を通して複数のセルによってサーブされることができる。例えば、UE21は、キャリア1(例えばプライマリコンポーネントキャリア(PCC)上のプライマリサービングセル(Pcell))によって、且つキャリア2および3(例えばセカンダリコンポーネントキャリア(SCC)上のセカンダリサービングセル(Scell))によって、そのサービングeNB22に接続される。図1に図示されたs‐Measure機構と同様に、s‐Measure基準は、プライマリサービングセル(Pcell)、即ちPCC上のサービングセルのRSRPレベルと関係している。LTEリリース8/9の原理に従って、Pcellの信号品質がs‐Measureのしきい値を超えた時、UE21は、全てのCC上の隣接セルの全ての測定を停止する。例えば、PcellのRSRPレベルがs‐Measureを超えた時、UE21は、SCC上のCcellのRSRPレベルにかかわらず、隣接セルの測定を停止する。このようなs‐Measure機構がキャリアアグリゲーションにおいて用いられる時、さまざまな問題が生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
マルチキャリアOFDMAシステムの各種の測定構成およびs‐Measureを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の実施形態では、ユーザー端末(UE)は、プライマリコンポーネントキャリア(PCC)上のプライマリサービングセル(Pcell)の基準信号受信電力(RSRP)レベルを測定する。UEは、RSRPレベルとしきい値(例えば、s‐Measure)とを比較する。次いで、RSRPレベルがs‐Measure値より高い場合、UEは、s‐Measure機構を有効にし、全てのCC上の隣接セルの測定を停止する。UEは、セカンダリコンポーネントキャリア(SCC)上の構成されたセカンダリセル(Scell)のRSRQ/RSRPレベルも監視してScellの信号品質を得る。UEは、Scellの信号品質がしきい値より低い時、またはScellの干渉が検出された時、s‐Measure機構を無効にする。UEは、全てのCC上の隣接セルの測定を開始する。
【0010】
もう1つの実施形態では、UEは、Scellの信号品質がしきい値より低い時、またはScellの干渉が検出された時、s‐Measure機構を無効にする。UEは、SCC上の隣接セルの測定を開始する。UEは、フェムトセルで用いられるキャリア周波数上のs‐Measure機構を無効にし、キャリア周波数上の隣接セルの測定を開始することもできる。SCC追加用の構成されていないCCを検出する必要がある時、UEは、構成されていないCC上のs‐Measure機構を無効にし、構成されていないCC上の隣接セルの測定を開始する。
【0011】
第3の実施形態では、UEは、SCC上のScellの第2のRSRPレベルを測定する。UEは、第2のRSRPレベルと同じs‐Measure値とを比較する。RSRPレベルおよび第2のRSRPレベルの両方がs‐Measure値より高い場合、UEは、s‐Measure機構を有効にし、全てのCC上の隣接セルの測定を停止する。一方では、RSRPレベルまたは第2のRSRPレベルのいずれかがs‐Measure値より低い時、UEは、s‐Measure機構を無効にする。次いで、UEは、全てのCC上の隣接セルの測定を開始する。
【0012】
第4の実施形態では、ユーザー端末(UE)は、プライマリコンポーネントキャリア(PCC)上のプライマリサービングセル(Pcell)の第1の基準信号受信電力(RSRP)レベルを測定する。UEは、セカンダリコンポーネントキャリア(SCC)上のセカンダリサービングセル(Scell)の第2の基準信号受信電力(RSRP)レベルも測定する。UEは、第1のRSRPレベルと第1のs‐Measure値とを比較し、第2のRSRPレベルと第2のs‐Measure値とを比較する。次いで、UEは、第1のRSRPレベルが第1のs‐Measure値より高い場合、s‐Measure機構を有効にし、PCC上の隣接セルの測定を停止する。UEは、第2のRSRPレベルが第2のs‐Measure値より高い場合、s‐Measure機構を有効にし、SCC上の隣接セルの測定を停止する。独立したs‐Measure機構および独立したs‐Measure値を有することで、最大の柔軟性が達成される。
【0013】
他の実施形態及びそれらの利点が以下に詳細に説明される。この概要は、説明を限定するものではない。本発明は請求項によって限定される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
添付の図面は、本発明の実施形態を示しており、同一の番号は同一の要素を指している。
図1図1は、(従来技術)単一キャリアのLTEシステムのs‐Measure機構を図示している。
図2図2は、(従来技術)は、マルチキャリアLTEシステムのs‐Measure機構を図示している。
図3図3は、1つの新しい態様に基づいたマルチキャリアLTE/LTE−Aシステムのs‐Measure機構を図示している。
図4図4は、1つの新しい態様に基づいた測定構成のUEおよびeNBの簡略ブロック図である。
図5図5は、s‐Measure機構を用いた構成されたScellの監視の問題および解決法を図示している。
図6図6は、s‐Measure機構を用いたフェムトセルの検出の問題および解決法を図示している。
図7図7は、s‐Measure機構を用いた構成されていないCCにおけるフェムトセルの検出の問題および解決法を図示している。
図8図8は、s‐Measure機構を用いたSCC管理(例えば、SCC追加)の問題および解決法を図示している。
図9図9は、s‐Measure機構を用いた異質(heterogeneous)ネットワークにおけるSCC管理(例えば、SCC追加)の問題および解決法を図示している。
図10図10は、s‐Measure機構を用いたUEの測定構成の第1の解決法のフローチャートである。
図11図11は、s‐Measure機構を用いたUEの測定構成の第2の解決法のフローチャートである。
図12図12は、s‐Measure機構を用いたUEの測定構成の第3の解決法のフローチャートである。
図13図13は、s‐Measure機構を用いたUEの測定構成の第4の解決法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明のいくつかの実施形態を詳細に説明する。その例が添付の図面に示されている。
【0016】
図3は、1つの新しい態様に基づいたマルチキャリアLTE/LTE−Aシステム30のs‐Measure機構を図示している。LTE/LTE−Aシステムでは、発展型ユニバーサル地上波無線アクセスネットワーク(E−UTRAN)は、ユーザー端末(UE)と呼ぶ複数の移動局と通信する複数の発展型ノードB(eNBs)を含む。マルチキャリアLTE/LTE−Aシステム30は、UE31、サービングeNB32、および2つの隣接eNB33およびeNB34を含む。キャリアアグリゲーションがサポートされている時、UEは、サービングeNBの異なるコンポーネントキャリア(CC)上の複数のセルによってサーブされることができる。例えば、UE31は、プライマリコンポーネントキャリア1(例えば、PCC上のプライマリサービングセル(Pcell))を通してeNB32によってサーブされる。UE31は、セカンダリコンポーネントキャリア2、3、および4(例えば、SCC上のセカンダリサービングセル(Scell))を通してeNB32によってサーブされる。LTEセルの信号強度の基準信号受信電力(RSRP)の測定は、移動管理の入力として異なるセル間の順位付けを助ける。RSRPは、全ての帯域幅にあるセル固有基準信号を搬送する全てのリソース要素の電力の平均値である。RSRPは、セル固有基準信号を搬送するOFDM符号で測定されることができる。例えば、UE31は、PcellのRSRPレベルを測定し、Pcellの信号品質を測定する。また、UE31は、隣接セルのRSRPを測定して隣接セルの信号品質を測定する必要がある。E−UTRNAN測定イベント(例えばA1〜A6)は、測定結果に基づいてeNB32に報告されることができる。これにより、eNB32は、適切なコンポーネントキャリア(CC)管理およびハンドオーバー決定をすることができる。
【0017】
LTEセルの信号強度の基準信号受信電力(RSRP)の測定は、移動管理の入力として異なるセル間の順位付けを助ける。RSRPは、全ての帯域幅にあるセル固有基準信号を搬送する全てのリソース要素の電力の平均値である。RSRPは、セル固有基準信号を搬送するOFDM符号で測定されることができる。例えば、UE31は、PcellのRSRPレベルを測定し、Pcellの信号品質を測定する。また、UE31は、隣接セルのRSRPを測定して隣接セルの信号品質を測定する必要がある。E−UTRNAN測定イベント(例えばA1〜A6)は、測定結果に基づいてeNB32に報告されることができる。これにより、eNB32は、適切なコンポーネントキャリア(CC)管理およびハンドオーバー決定をすることができる。
【0018】
測定作業は、UEの電力を消耗するため、各々のUEが常時隣接セルの信号品質を測定することは、効率的ではない。例えば、一般的なs−Measure機構において、PcellセルのRSRPレベルが所定値(例えばs‐Measure)で特定されたしきい値を超えた時、隣接セルの測定は必要がなくなるため、UEは、隣接セルの信号品質の測定を停止する。しかしながら、キャリアアグリゲーションにより、PCC上のPcellの信号品質は、SCC上のScellの信号品質なほど限定的でない。SCC管理(例えば、Scell追加)では、構成されていないCCの信号品質も考慮される必要がある。
【0019】
1つの新しい態様に基づいて、各コンポーネントキャリア(CC)は、その特有のs‐Measurement基準を有することができる。図3に示されるように、s‐Measureしきい値は、PCC(Pcell)、SCC#1(Scell#1)、SCC#2(Scell#2)、およびSCC#3(Scell#3)用にa、b、c、およびdとなるようにそれぞれ設定される。一般概念では、UE31は、その対応のCC上の各サービングセルの受信された信号品質を測定する。次いで、UE31は、各サービングセルの受信された信号品質と対応のs‐Measureしきい値とを比較し、対応のCC上の隣接セルに対して測定作業を停止するかどうか測定する。例えば、UE31は、PcellのRSRPレベルとそのs‐Measureしきい値aとを比較する。RSRPレベルがしきい値を超えた時、UE31は、PCC上の隣接セルの測定作業を停止する。同様に、UE31は、Scell#1のRSRPレベルとそのs‐Measureしきい値bとを比較する。仮にRSRPレベルがしきい値を超えた時、UE31は、SCC#1上の隣接セルの測定作業を停止するなどである。s‐Measure値は、CC間で異なることができるか、またはPCC上のs‐Measure値と同じであることができる。また、各CC上のs‐Measure機構は、個別に有効または無効にされることができる。独立したs‐Measure機構と独立したs‐Measureしきい値を有することで、最大の柔軟性を得ることができる。
【0020】
図4は、1つの新しい態様に基づいた測定構成のUEおよびeNBの簡略ブロック図である。UE31は、メモリ35、プロセッサ36、測定モジュール37、およびアンテナ39に接続されたRFモジュール38を含む。同様に、eNB32は、メモリ45、プロセッサ46、測定モジュール47、およびアンテナ49に接続されたRFモジュール48を含む。また、複数のRFモジュールおよび複数のアンテナは、マルチキャリア伝送に用いられることができる。キャリアアグリゲーションのシナリオでは、測定される、異なるキャリア周波数は、測定対象(object)によって定められる。測定対象は、各々の構成されたCCに設定され、そのCC上の隣接セルを測定することができる。測定対象は、構成されていないCCに設定され、そのCC上の隣接CCを測定することもできる。図4の例では、表40は、4つのCC上の4つの測定対象で定められた4つの対象のIDをリストする。電力消費を節約し、且つ柔軟性を得るために、UE31の各測定対象のs‐Measure機構およびs‐Measureしきい値は、個別に無効または有効にされて構成されることができる。
【0021】
以下、さまざまなシナリオ、問題、および可能な解決法に対し、LTEシステムのキャリアアグリゲーションにおけるs‐Measure機構および構成がどのように用いられるかが説明される。
【0022】
図5(A)および図5(B)は、s‐Measure機構を用いた構成されたScellの監視の問題および解決法を図示している。図5(A)では、UE51は、そのサービングeNB52のプライマリサービングセル(CC1上のPcell)およびセカンダリサービングセル(CC2上のScell)のセル被覆領域に配置される。UE51がScell境界を移動する時、Scellの信号品質は、低下し始め、Pcellの信号品質は、高いままである。図5(B)は、UEの位置に基づくPcellおよびScellのRSRPレベルを図示している。図5(B)の例では、UE51が点線の影部分で表された位置に移動した時、PcellのRSRPレベルは、s‐Measureしきい値を超えたままである。しかしながら、ScellのRSRPレベルは、s‐Measureしきい値以下である。Scellの信号品質の低下は、通信品質に影響するか、またはスループットを減少させる。また、Scellの信号品質の低下が検出できない場合、Scellのハンドオーバーは時間内に触発されることができない。よって、Pcellの品質がs‐Measureしきい値を超える時でも、UE51は、Scellの品質を知ることが望ましい。
【0023】
1つの新しい態様に基づいて、UE51は、Scellの品質を得て、且つそれに応じてs‐Measure機構を構成する。例えば、UE51は、構成されたセルのRSRQ/RSRPレベルを監視してScellの信号品質を得る。第1の解決法では、Scellの品質がしきい値より低い時、UE51は、単にs‐Measure機構を無効にし、全てのCC上の隣接セルの全ての測定を開始する。第2の解決法では、Scellの品質がしきい値より低い時、UE51は、Scellに対応している測定対象上のs‐Measure機構を除外し、除外された測定対象上の隣接セルの測定を開始する。第3の解決法では、UE51は、Scellの品質とPcellの品質を測定し、セルの中の1つが同じs‐Measureしきい値より低い時、全てのCC上の隣接セルの全ての測定を開始する。第4の解決法では、UE51は、Scellの品質とPcellの品質を測定するが、PcellとScellの単独のs‐Measureしきい値を用いて、単独に有効/無効にし、s‐Measure機構を触発する。
【0024】
図6(A)および図6(B)は、s‐Measure機構を用いたフェムトセルの検出の問題および解決法を図示している。図6(A)では、UE61は、そのサービングeNB62のプライマリサービングセル(CC1上のPcell)およびセカンダリサービングセル(CC2上のScell)のセル被覆領域に配置される。CC1およびCC2のセル被覆領域内では、フェムトセルもCC2と同じキャリア周波数上でfemto eNB63によって展開される。UE61がフェムトセルを通過して移動する時、フェムトセルの信号は、強くなり、PcellおよびScellの信号品質は、高いままである。図6(B)は、UEの位置に基づくPcell、Scell、およびのRSRPレベルを図示している。図6(B)の例では、UE61が点線の影部分で表された位置に移動した時、PcellおよびScellの両方のRSRPレベルは、s‐Measureしきい値を超えたままである。しかしながら、ScellのRSRPレベルも非常に強く、マクロセルおよびフェムトセル間に大きな干渉を招く。よって、Pcell/Scellの品質がs‐Measureしきい値を超える時でも、UE61は、フェムトセルを検出し、Scellとフェムトセル間の干渉を防ぐことが望ましい。注意するのは、説明のためにフェムトセルが用いられているが、同様の問題が限定加入者グループ(CSGセル)にも当てはまる。
【0025】
1つの新しい態様に基づいて、UE61は、Scellの干渉を検出し、且つそれに応じてs‐Measure機構を構成する。例えば、UE61は、構成されたセルのRSRQ/RSRPレベルを監視してScellの干渉を検出する。第1の解決法では、UE61は、干渉の検出のためにScellのリンク品質報告を監視する。LTE/LTE‐Aシステムでは、リンク品質報告は、RSRQ/RSRPまたはチャネル品質指示(CQI)報告であることができる。Scellの干渉が高い時、UE61は、単にs‐Measure機構を無効にし、全てのCC上の隣接セルの全ての測定を開始する。第2の解決法では、UE61は、干渉の検出のためにScellのRSRQ/RSRPまたはCQI報告を監視する。Scellの干渉が高い時、UE61は、Scellに対応している測定対象上のs‐Measure機構を除外し、除外された測定対象上の隣接セルの測定を開始する。第3の解決法では、UE61は、干渉の検出のためにScellのCQI報告を監視し、干渉が検出された時、全てのCC上の隣接セルの全ての測定を開始する。第4の解決法では、eNB62は、UE51を特定のs‐Measure値に構成し、CC2上のフェムトセルの検出を容易にするか、または、Scellの干渉が検出された時、単にCC2上のs‐Measure機構を無効にする。
【0026】
図7(A)および図7(B)は、s‐Measure機構を用いた構成されていないCCにおけるフェムトセルの検出の問題および解決法を図示している。図7(A)では、UE71は、そのサービングeNB72のプライマリサービングセル(CC1上のPcell)およびセカンダリサービングセル(CC2上のScell)のセル被覆領域に配置される。CC1およびCC2のセル被覆領域内では、フェムトセルもUE71用の構成されていないCCである、キャリア周波数CC3上でfemto eNB73によってサーブされる。UE71がフェムトセルを通過して移動する時、フェムトセルの信号は、強くなり、PcellおよびScellの信号品質は、高いままである。図7(B)は、UEの位置に基づくPcell、Scell、およびのRSRPレベルを図示している。図7(B)の例では、UE71が点線の影部分で表された位置に移動した時、PcellおよびScellの両方のRSRPレベルは、s‐Measureしきい値を超えたままである。しかしながら、ScellのRSRPレベルも非常に強い。一般的に、オープンフェムトセルがオーバーレイマクロセルで用いられない周波数に用いられる時、UEは、フェムトセルを検出してフェムトセルにハンドオーバーし、マクロeNBからのトラフィックをオフロードすることができ、伝送電力を減少して電力を節約する。よって、Pcell/Scellの品質がs‐Measureしきい値を超える時でも、UE71は、フェムトセルを検出できることが望ましい。
【0027】
1つの新しい態様に基づいて、UE71は、Scellの干渉を検出し、且つそれに応じてs‐Measure機構を構成することができる。第1の解決法では、UE71がフェムトセルの近くにある時、UE71は単にs‐Measure機構を無効にし、全てのCC上の隣接セルの全ての測定を開始する。第2の解決法では、UE71がフェムトセルの近くにある時、UE71は、フェムトセルで用いられる周波数に対応している測定対象上のs‐Measure機構を除外し、除外された測定対象上の隣接セルの測定を開始する。第3の解決法では、eNB72は、UE71にs‐Measure機構を無効にするように明確に指示し、全てのCC上の隣接セルの全ての測定を開始する。最後に、第4の解決法では、フェムトセルで用いられる周波数でs‐Measure機構が無効にされるか、またはs‐Measure機構が構成され、フェムトセルの検出を容易にする特定のs‐Measure値を有する。
【0028】
図8(A)、図8(B)および図8(C)は、s‐Measure機構を用いたSCC管理(例えば、SCC追加)の問題および解決法を図示している。図8(A)および図8(C)では、SCCは、PCCより小さい被覆領域を有し、SCCは、構成されていない。図8(B)では、SCCの被覆領域は、PCCの被覆領域と異なり、SCCは、構成されていない。一般的には、Pcellの品質がs‐Measureしきい値を超える時でも、UEは、新しいSCC追加用に可能なScellを検出できることが望ましい。
【0029】
1つの新しい態様に基づき、UEは、新しいSCC追加用に可能なScellを検出でき、且つ対応してそのs‐Measure機構を構成する。第1の解決法では、新しいSCCを検出する必要がある時、またはそのソースeNBで指示される時、UEは単にs‐Measure機構を無効にし、全てのCC上の隣接セルの全ての測定を開始する。第2の解決法では、新しいSCCを検出する必要がある時、またはそのソースeNBで指示される時、UEは、構成されていないSCCに対応している測定対象上のs‐Measure機構を除外し、除外された測定対象上の隣接セルの測定を開始する。第3の解決法では、全てのサービングセルがs‐Measure値を超える場合、eNBは、UEに全てのCC上の隣接セルの測定を行うように指示し、必要ならば、新しい候補CCを検出させることができる。第4の解決法では、eNBは、異なるCC上で異なるs‐Measure値を構成し、各CC上のSCC管理を容易にする。例えば、構成されていないCC上のs‐Measureは、単独に無効にされて新しい候補CC上の隣接セルの測定をさせることができる。また、eNBは、新しいSCCを加える必要がある時、UEに構成されていないCCに対して測定を行うように明確に指示することができる。
【0030】
図9(A)および図9(B)は、s‐Measure機構を用いた異質(heterogeneous)ネットワーク90におけるSCC管理(例えば、SCC追加)の問題および解決法を図示している。ネットワーク90は、マクロeNB91、マクロeNB92、ピコeNB93、およびピコUE94を含む。マクロeNB91は、マクロセルでUE92をサーブし、ピコeNB93は、マクロセルの被覆領域内でピコセルにUE94をサーブする。ピコUE94がピコセルのセル領域延伸(cell region extension;CRE)に配置された時、UE94は、制限された送信機会、例えばABS(almost blank subframe)でサーブされる。図9(B)に表されるように、マクロeNB91は、ピコCREセルでABS(例えば、サブフレームp+1の空白(empty)制御およびデータ)を伝送する。UE94では、s‐Measure機構がピコCREセルに構成された時、測定結果は、常にs‐Measure値より高く、隣接セルの測定は無効にされる。これは、可能なScellの更なる追加を防ぐ。Ssellの支援なく、UE94のスループットは、ABSの構成に従って制限されることができる。
【0031】
1つの新しい態様に基づき、UE94は、SCC追加用に可能なScellを検出でき、且つ対応してそのs‐Measure機構を構成する。第1の解決法では、UE94がCREでサーブされる時、またはそのソースeNBで指示される時、UE94は単にs‐Measure機構を無効にし、全てのCC上の隣接セルの全ての測定を開始する。第2の解決法では、UE94がCREでサーブされる時、またはそのソースeNBで指示される時、UE94は、構成されていないSCCに対応している測定対象上のs‐Measure機構を除外し、除外された測定対象上の隣接セルの測定を開始する。第3の解決法では、全てのサービングセルがs‐Measure値を超える場合、eNBは、UEに全てのCC上の隣接セルの測定を行うように指示し、必要ならば、新しい候補CCを検出させることができる。第4の解決法では、eNBは、ABSのその自身の構成に基づいて異なるs‐Measure値を構成することができる。例えば、構成されていないCC上のs‐Measureは、単独に無効にされて新しい候補CC上の隣接セルの測定をさせることができる。また、eNBは、新しいSCCを加える必要がある時、UEに構成されていないCCに対して測定を行うように明確に指示することができる。
【0032】
種々のs‐Measure構成の解決法では、各々の解決法が上述の問題を克服するように測定構成の方法のフローチャートとして例示される。
【0033】
図10は、s‐Measure機構を用いたUEの測定構成の第1の解決法のフローチャートである。ステップ101では、UEは、Pcell上の受信した信号品質(例えばRSRP)を測定する。ステップ102では、Pcellの信号品質がそのs‐Measureしきい値と比較される。ステップ103では、Pcellの品質が良くない(即ち、PcellのRSRPレベルがs‐Measureしきい値以下である)時、UEは、全てのCC上の隣接セルの測定を開始、または継続する。一方では、ステップ104では、Pcellの品質が良い(即ち、PcellのRSRPレベルがs‐Measureしきい値以上である)時、UEは、全てのCC上の隣接セルの測定を停止する。
【0034】
Pcellの品質だけがこのs‐Measure機構に用いられるが、UEは、全ての構成されたScellのRSRQ/RSRPの監視を継続する。得られたScellの品質に基づいて、UEは、図5(A)および図5(B)に述べられた、Scell信号の低下の問題を検出することができる。UEは、図6(A)および図6(B)に述べられた、フェムトセルによって生じたScellの干渉も検出することができる。LTE/LTE‐Aシステムの1つの実施形態では、UEは、測定イベントA1およびA2を触発することでPcellおよびScellの測定結果を報告する。測定報告を参考に、サービングeNBは、UEに隣接セルを測定するように命令することができる。即ち、Scell信号の低下またはScellの干渉が検出されると、UEは、全てのCC上の隣接セルの測定を開始することができる。
【0035】
この第1の解決法は、Pcellの品質がs‐Measure値を超えたままである時、SCCに対して隣接セルのいくつかの測定機会をなくす可能性がある。上述の改善に取って代わるものの1つは、相対的に高いs‐Measureしきい値を設定し、Scell周波数で測定を行うように、より多くの機会を与えることである。しかしながら、高値のs‐Measureの設定は、より不必要な測定とより高いUEの電力消費を招く。
【0036】
図11は、s‐Measure機構を用いたUEの測定構成の第2の解決法のフローチャートである。s‐Measure機構が有効にされた後、Pcellの信号品質がs‐Measureしきい値に達した時、隣接セルの全ての周波数に対する測定は、停止される。また、除外機構が第2の解決法に導入され、特定の測定対象を除外し、これらの周波数上の隣接セルの測定が行われる。図11は、特定のキャリア周波数(測定対象)がs‐Measure機構から除外される制御フローを図示している。ステップ111では、UEは、Pcell上の受信した信号品質(例えばRSRP)を測定する。ステップ112では、Pcellの信号品質がそのs‐Measureしきい値と比較される。ステップ113では、Pcellの品質が良くない時(即ち、PcellのRSRPレベルがs‐Measureしきい値以下である)、UEは、全てのCC上の隣接セルの測定を開始、または継続する。ステップ114では、そうでない場合、Pcellの品質が良い時(即ち、PcellのRSRPレベルがs‐Measureしきい値以上である)、UEは、全ての構成された測定対象を順に処理し、構成された測定対象がまだあるか判断する。s‐Measure機構から除外された測定対象では(ステップ115)、この周波数の隣接セルの測定がステップ116で継続される。除外リストに入っていない他の測定対象では、この周波数の隣接セルの測定は、ステップ117で停止される。
【0037】
解決法1と比較すると、解決法2では、Scell信号の低下またはScellの干渉が検出された時、UEは、全てのCC上の隣接セルの測定を開始することがない。その代わり、検出されたScellに対応する測定対象だけが、s‐Measure機構から除外される。そうでなければ、Pcellの品質がs‐Measureを超えた時、かつScellの品質が低下または干渉された時、UEは、検出されたScell(s‐Measureから除外されている)の隣接セルの測定を継続するが、他のCC(s‐Measureから除外されていない)の隣接セルの測定を停止する。また、解決法2において、s‐Measure機構は、新しいCCを追加する必要がある時、フェムトセルを用いた周波数または構成されていないCCで除外される(無効にされる)ことができる。s‐Measure機構はUEがCREでサーブされた時も、除外される(無効にされる)ことができる。よって、図7図8および図9で例示された問題は、より効果的に解決されることができる。
【0038】
図12は、s‐Measure機構を用いたUEの測定構成の第3の解決法のフローチャートを図示している。図12は、改善されたs‐Measure機構を図示しており、s‐Measure基準は、サービングPcellおよびScellの両方に用いられる。ステップ121では、UEは、PcellおよびScellを含む全てのセルの信号品質を測定する。ステップ122では、セル(PcellまたはScell)の信号品質は、同じs‐Measureしきい値と比較される。セルの品質がしきい値を超えた時、UEは、全てのCC上の隣接セルの測定を停止する。そうでなければ、ステップ123では、少なくとも1つのセルの品質がしきい値以下である場合、全てのCC上の隣接セルの測定が開始される、または継続される。
【0039】
第3の解決法において、Scellの品質は、連続的に測定されて比較されるため、UEは、図5(A)および5(B)に述べられた、Scell信号の低下の問題を検出することができる。UEは、図6(A)および図6(B)に述べられた、フェムトセルによって生じたScellの干渉も検出することができる。Scell信号の低下またはScellの干渉が検出されると、UEは、単に全てのCC上の隣接セルの測定を開始する。注意するのは、eNBの関与(involvement)が最小化される。即ち、Scellの品質が低下した時、UEは、eNB構成によってs−Measurement値を変えることなく、隣接セルの測定を開始させることができる。第2の解決法と同様に、この第3の解決法のわずかな改善は、検出されたScellに対応している測定対象だけを除外するが他のCC上にあるs−Measureを用いたままである。
【0040】
より柔軟性を得るために、測定構成の第4の解決法は、各キャリア周波数(測定対象)に単独のs−Measureしきい値を持たせ、且つ隣接セルの測定が各キャリア周波数に単独に制御されることである。この方法では、s‐Measure機構は、各CC上で単独に動作されることができる。CC上のサービングセルの品質がそのs−Measureしきい値より低くなった時、CCに対応している隣接セルの測定が開始される。一方では、CC上のサービングセルの品質がそのs−Measureしきい値より高くなった時、特定のCCに対応している隣接セルの測定は停止される。図3を再度参照に、s−Measure値は、CC間で異なることができるか、または全てのCCと同じであることができる。また、各CC上のs−Measureしきい値は、単独に有効または無効にされることができる。
【0041】
提示された方法の1つの実施形態では、UEは、サービングeNBのその構成されたセルを監視する。UEは、監視によって測定を導き出し、測定結果をサービングeNBに報告する。測定報告は、測定イベントA1または測定イベントA2によって触発されることができる。測定イベントA1は、サービングセル品質は、所定のしきい値より高いことを示し、測定イベントA2は、サービングセル品質は、所定のしきい値より低いことを示している。UEは、測定データをS−measurementとも比較し、比較基準は、4つの提示された方法の1つに基づく。基準が合えば、UEは隣接セルを測定する。
【0042】
図13は、s‐Measure機構を用いたUEの測定構成の第4の解決法のフローチャートである。ステップ132では、UEは、一つずつ全てのコンポーネントキャリアCCを順に処理する。各構成されたCC(例えば、サービングセルが存在する)に対して、ステップ134では、サービングセルの信号品質は、このCCのしきい値(例えば、s−MeasureCCi)と比較される。そうでなければ、各構成されていないCC(例えば、サービングセルが存在しない)に対して、ステップ133では、Pcellの信号品質は、このCCのしきい値(例えば、s−MeasureCCi)と比較される。信号品質がしきい値を超えた時、そのCC上の隣接セルの測定は、停止される(ステップ136)。でなければ、そのCC上の隣接セルの測定は、継続または開始される(ステップ135)。各CCのs−Measure機構は、単独に無効/有効にされることができ、且つ各CCのs−Measureしきい値は、単独に構成され、最大の柔軟性が第4の解決法においてより多くのシグナリングオーバーヘッドで達成されることができる。
【0043】
本発明は、説明のためにある特定の実施の形態に関連して述べられているが本発明はこれを制限するものではない。よって、種々の変更、改造、及び上述の実施の形態の種々の特徴の組み合わせは、この請求項に記載したような本発明の範囲を逸脱せずに、行い得る。
【符号の説明】
【0044】
10 単一キャリアのLTEシステム
11、21、31、51、61、71 UE
12、22、32、52、62、77 サービングeNB
13、14、23、24、33、34 隣接eNB
20 マルチキャリアLTEシステム
30 マルチキャリアLTE/LTE−Aシステム
35、45 メモリ
36、46 プロセッサ
37、47 測定モジュール
38、48 RFモジュール
39、49 アンテナ
40 表
63、73 femto eNB
90 異質(heterogeneous)ネットワーク
91 マクロeNB
92 マクロeNB
93 ピコeNB
94 ピコUE
101〜104、111〜117、121〜124、131〜136 ステップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13