【課題を解決するための手段】
【0006】
したがって、上述の欠点のうちの1つ以上を少なくとも部分的に取り除くことが更に好適である代替のルミネッセンスナノ粒子ベースのルミネッセンス材料を提供することが本発明の一態様である。そのようなルミネッセンスナノ粒子ベースのルミネッセンス材料を製造する方法を提供することも本発明の一態様である。更に、そのようなルミネッセンスナノ粒子ベースのルミネッセンス材料を有し、上述の欠点のうちの1つ以上を少なくとも部分的に取り除くことが更に好適である代替照明ユニットを提供することも本発明の一態様である。
【0007】
したがって、第1の態様では、本発明は、相互接続され、被覆されたルミネッセンスナノ粒子のマトリクス(本明細書では、時に、「複合材料」とも示される)(マトリクスは被覆される(以下において第2のコーティングと示される))を含むルミネッセンスナノ粒子ベースのルミネッセンス材料(即ち、「ルミネッセンス材料」)を提供する。
ルミネッセンスナノ粒子(本明細書では更に「量子ドット」とも示される)は、スペクトルの可視部分において放射可能な半導体ナノ粒子からなる群から選択され、
ルミネッセンスナノ粒子は、ナノ粒子の半導体材料とは異なる第1のコーティング材料を含む第1のコーティングを含み、第1のコーティング材料は、M1
x−M2
y−M3
z−A
(x+2y+3z)/2化合物からなる群から選択され、M1はNa、Li、Mg、Cu、Ag及びAu、特にCu、Ag及びAuからなる群から選択され、M2はZn及びCdからなる群から選択され、M3はGa、As、In及びTl、特にGa、In及びTlからなる群から選択され、AはO、S、Se、As、P及びTe、特にS、Se及びTeからなる群から選択され、xは0乃至1の範囲内であり、yは0乃至1の範囲内であり、zは0乃至1の範囲内であり、x、y及びzのうちの少なくとも1つは0より大きく、
マトリクスは、第1のコーティング材料とは異なる第2のコーティング材料を含む第2のコーティングを含み、第2のコーティング材料は、
M4Aからなる群から選択され、M4はAl、Ca、Mg、Zn及びCd、特にCa、Mg、Zn及びCdからなる群から選択され、AはCl、F、O、S、Se及びTe、特にS、Se及びTeからなる群から選択され、前記相互接続され、被覆されたルミネッセンスナノ粒子のマトリクスは、球状接合構造体を含み、1つ以上の球状部分が、1つ以上の被覆されたルミネッセンスナノ粒子を含み、前記1つ以上の球状部分は、前記M1
x−M2
y−M3
z−A
(x+2y+3z)/2化合物、
及び前記M4Aの化合物からなる群から選択される材料を含む接合部で相互接続される。
【0008】
驚くべきことに、このルミネッセンス材料は、比較的効率的(高い量子収量)で、温度消光が比較的低い。温度消光は、基礎のルミネッセンスナノ粒子材料よりも大幅に低い。QYも、ルミネッセンスナノ粒子ベースのルミネッセンス材料自体についてよりも高いようであり、又は、被覆されたルミネッセンスナノ粒子ベースのルミネッセンス材料についてよりも高い。したがって、被覆マトリクスは、ルミネッセンスナノ粒子に、予想外の有利な特性を提供する。ルミネッセンスナノ粒子ベースのルミネッセンス材料は、コーティングを有するマトリクスと見なすことができ、マトリクスが、複数のルミネッセンスナノ粒子をホストする。ナノ粒子は、実質的に互いには物理的には接触していない。より正確には、被覆されたナノルミネッセンスナノ粒子は、実質的に互いに物理的に接触していなくても、より大きいマトリクス内に埋め込まれている。当該マトリクスは、第1のコーティング材料と、特に第2のコーティング材料との(更なる)積層である。
【0009】
ルミネッセンスナノ粒子ベースのルミネッセンス材料は、相互接続されたルミネッセンスナノ粒子の塊と説明することができる。これらのナノ粒子は、被覆される。したがって、ルミネッセンスナノ粒子ベースのルミネッセンス材料は、相互接続され、被覆されたルミネッセンスナノ粒子の塊と説明することもできる。なお、「塊」との用語を使用するが、本発明の特定の構成要件は、大きいボリュームのマトリクスにおける被覆されたナノ粒子の球状接合構造体の存在である。ルミネッセンスナノ粒子の単なる塊は、通常、量子ドットには歓迎されない。というのも、単なる塊は、エネルギー損失を引き起こすからである。しかし、本発明では、被覆されたナノ粒子の単なる塊ではない。ナノ粒子は、マトリクスに成長させられる。即ち、ルミネッセンスナノ粒子上のコーティングは、第2のコーティングと共にマトリクスを形成する。したがって、第2のコーティングは、マトリクスを構成するマトリクスの一部とも、マトリクス上のコーティングとも見なされる。
【0010】
反応の間、第2のコーティングは、被覆されたナノ粒子(例えばCdSe/CdS)の表面上に成長し、(第1のコーティング材料からなる)表面の再構成が伴う。ZnSといった第2のコーティング材料が成長し続けると、付近の被覆されたナノ粒子(例えばCdSe/CdS及びCdSe/CdS/ZnS)は交差結合され、被覆されたマトリクスが形成される。このマトリクス内に、被覆されたナノ粒子(例えばCdSe/CdS)が埋め込まれる。このようにして、(被覆された)ルミネッセンスナノ粒子は相互接続される。又は、換言すれば、純粋な塊ではなく、被覆されたルミネッセンスナノ粒子の相互接続された系であり、本明細書では、マトリクスとも示される。
【0011】
ルミネッセンス材料は、原理上は、ナノ粒子として提供されることが可能な任意のルミネッセンス材料であってよい。しかし、特に、ルミネッセンスナノ粒子ベースのルミネッセンス材料は、半導体タイプのルミネッセンス材料であることが好適である。量子ドットは、Si系ナノ結晶、II−VI族化合物半導体ナノ結晶、III−V族化合物ナノ結晶、IV−VI族化合物ナノ結晶、及びこれらの混合物のうちの1つを含んでよい。
【0012】
ルミネッセンスナノ粒子は、例えばCdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、HgS、HgSe、HgTe、CdSeS、CdSeTe、CdSTe、ZnSeS、ZnSeTe、ZnSTe、HgSeS、HgSeTe、HgSTe、CdZnS、CdZnSe、CdZnTe、CdHgS、CdHgSe、CdHgTe、HgZnS、HgZnSe、HggZnTe、CdZnSeS、CdZnSeTe、CdZnSTe、CdHgSeS、CdHgSeTe、CdHgSTe、HgZnSeS、HgZnSeTe及びHgZnSTeからなる群から選択されるII−VI族化合物半導体量子ドットを含む。
【0013】
別の実施形態では、ルミネッセンスナノ粒子は、例えばGaN、GaP、GaAs、AlN、AlP、AlAs、InN、InP、InAs、GaNP、GaNAs、GaPAs、AlNP、AlNAs、AlPAs、InNP、InNAs、InPAs、GaAlNP、GaAlNAs、GaAlPAs、GaInNP、GaInNAs、GalNPAs、InAlNP、InAlNAs及びInAlPAsからなる群から選択されるIII−V族化合物半導体量子ドットである。
【0014】
更なる実施形態では、ルミネッセンスナノ粒子は、例えばCuInS
2、CuInSe
2、CuGaS
2、CuGaSe
2、AgInS
2、AgInSe
2、AgGaS
2及びAgGaSe
2からなる群から選択されるI−III−VI2黄銅鉱型半導体量子ドットである。
【0015】
更なる実施形態では、ルミネッセンスナノ粒子は、例えばLiAsSe
2、NaAsSe
2及びKAsSe
2からなる群から選択されるI−V−VI2半導体量子ドットである。
【0016】
更なる実施形態では、ルミネッセンスナノ粒子は、例えばSbTeといったIV−VI族化合物半導体ナノ結晶である。特定の実施形態では、ルミネッセンスナノ粒子は、InP、CuInS
2、CuInSe
2、CdTe、CdSe、CdSeTe、AgInS
2及びAgInSe
2からなる群から選択される。
【0017】
更なる実施形態では、ルミネッセンスナノ粒子は、例えばZnSe:Mn、ZnS:Mnといった内部ドーパントを有する上述の材料から選択されるII−VI、III−V、I−III−V及びIV−VI族化合物半導体ナノ結晶のうちの1つである。ドーパント元素は、Mn、Ag、Zn、Eu、S、P、Cu、Ce、Tb、Au、Pb、Tb、Sb、Sn及びTlから選択される。
【0018】
本明細書では、ルミネッセンスナノ粒子ベースのルミネッセンス材料は更に、CdSe及びZnSe:Mnといった異なるタイプのQDを含んでもよい。
【0019】
ルミネッセンスナノ粒子(コーティングなし)は、約2乃至10nmの範囲内の寸法を有する。例えば約3nmの直径を有するCdSe、InP、CuInSe
2といった球状粒子が提供される。
【0020】
ルミネッセンスナノ粒子(コーティングなし)は、1つの寸法におけるサイズが10nm未満である球体、立方体、ロッド、ワイヤ、ディスク、マルチポッド等の形状を有する。例えば長さ20nm及び直径4nmを有するPbSeのナノロッドが提供される。
【0021】
ルミネッセンスナノ粒子又は量子ドットは、本明細書では「第1のコーティング」との用語で示されるコーティングが提供される。第1のコーティングは、QD材料とは異なる材料を含む。「異なる」とは、化学成分において異なることを指す。しかし、第1のコーティング材料は、量子ドットと同じ結晶構造を有することが好適である。上述の通り、第1のコーティング材料は、特に、M1
x−M2
y−M3
z−A
(x+2y+3z)/2化合物からなる群から選択され、M1はCu、Ag及びAuからなる群から選択され、M2はZn及びCdからなる群から選択され、M3はGa、In及びTlからなる群から選択され、AはS、Se及びTeからなる群から選択され、xは0乃至1の範囲内であり、yは0乃至1の範囲内であり、zは0乃至1の範囲内であり、x、y及びzのうちの少なくとも1つは0より大きい。特定の実施形態では、第1のコーティングは、Cu
xZn
yIn
zS
(x+2y+3z)/2、Cu
xZn
yIn
zSe
(x+2y+3z)/2、ZnTeSe及びCdSからなる群から選択される材料を含む。M1
x−M2
y−M3
z−A
(x+2y+3z)/2の例は、例えば、CuZnInS
3、AgZnInSe
3、CuCdInSe
3等である。一実施形態では、第1のコーティングは、複数のコーティング(即ち、互いに重ね合わされた複数のコーティング層)を含む。このようにすると、被覆されたルミネッセンス材料は、マルチシェル粒子を含む。先の実施形態(変形態様)と組み合わされてもよい更に別の実施形態では、第1のコーティングのコーティング材料は、複数の様々なコーティング材料を含む。
【0022】
被覆されたルミネッセンスナノ粒子は、様々な形状を有し、様々なタイプであってよい。一実施形態では、マトリクスは、CdSe/CdSドット・イン・ロッド(dots-in-rods)ナノ粒子といったドット・イン・ロッドナノ粒子を含む。例えばロッド形CdS粒子は、(球状の)CdSe粒子を包み込む。別の実施形態では、マトリクスは、CdSe/CdSコア・シェルナノ粒子といったコア・シェルナノ粒子を含む。当業者には明らかなように、ルミネッセンスナノ粒子ベースのルミネッセンス材料は、様々なタイプの被覆されたルミネッセンスナノ粒子を含み、1つの実施形態では、第1のコーティング材料が異なり、別の実施形態では、ルミネッセンスナノ粒子が異なり、更に別の実施形態では、形態が異なる。例えば一実施形態では、マトリクスは、CdSe/CdSドット・イン・ロッドナノ粒子と、ZnTeSe/ZnSe、CuInS
2/ZnSeS、InP/ZnSコア−シェルナノ粒子とを含む。
【0023】
ナノ粒子は、それが球状のナノ粒子であろうとロッド形のナノ粒子であろうと、マトリクスの構成要素として使用される。すべてのナノ粒子が、ルミネッセンスコア(したがって、これらはQDである)を含んでもよいが、一実施形態では、ナノ粒子の一部はルミネッセンスコアを有さない。一実施形態では、マトリクスにおける1乃至100%(例えば2乃至25%のように1乃至50%)のナノ粒子が、上述の半導体のうちの1つといったルミネッセンスコアを含むが、更には50%以上も1つの選択肢である。この割合を変えることによって、隣接するQD間の距離が調整される。
【0024】
上述の通り、ルミネッセンスナノ粒子は、相互に接続される。例えば、(ロッド内の)量子ドットは、第2のコーティングが付与されると互いに接続される。更に、量子ドットは、ZnS接合部といった第2のコーティング材料によって形成された接合部によって接続される。したがって、一実施形態では、相互接続されたルミネッセンスナノ粒子のマトリクスは、球状接合構造体を含み、1つ以上の球状部分が、1つ以上の被覆されたルミネッセンスナノ粒子を含み、球状部分は、M1
x−M2
y−M3
z−A
(x+2y+3z)/2、
及びM4A(例えばZnS又はCdS)の化合物からなる群から選択される材料を含む接合部によって相互接続される。ここで、M1、M2、M3、M4、A、x、y、zは上で定義された通りである。特に、第2のコーティング材料は
、MgS、Zn
1−xMg
xS
ySe
1−y(xは、0乃至1の範囲内であり、yは、0乃至1の範囲内である)、ZnO
、ZnS及びZnSeからなる群から選択される。他の実施形態では、第2のコーティング材料は、ZnSO
3及び/又はZnSO
4を含む。更に別の実施形態では、ZnSSeが、第2のコーティング材料として付与される。特に、第2のコーティングは、硫化物又はセレン化物系であり、より一層特に、第2のコーティング材料は、Zn
1−xMg
xS
ySe
1−y(例えばZnS及び/又はZnSe及び/又はMgS)を含む。第2のコーティング材料は、量子収量及び熱的安定性を更に向上させる。
【0025】
特定の実施形態では、ルミネッセンスナノ粒子はCdSeを含み、第1のコーティング材料はCdSを含み、第2のコーティング材料はZnSを含む。
【0026】
マトリクスは更に、ナノ粒子を互いからある距離に保ち、再吸収(損失)を低減するのに有利である。したがって、一実施形態では、(同じマトリクス内の)隣接するルミネッセンスナノ粒子は、2乃至80nmといった10乃至100nmのように、5乃至200nmの範囲内のように、少なくとも20nmといった少なくとも5nmの最短距離を有する。当該距離は、被覆されたナノ粒子と第2のコーティングのボリューム比を選択することによって、及び/又は、ルミネッセンスコアのないナノ粒子(即ち、基本的に第1のコーティング材料で構成されるナノ粒子)を含めることによって調整することができる。
【0027】
第2のコーティングは、例えば少なくとも2nmのように1乃至50nmの範囲内のコーティング厚さ(d2)を有する。第2のコーティングの厚さは様々であってよい。更に、マトリクスには、接合部といった基本的に第2のコーティング材料のみで構成される部分もある。一実施形態では、第2のコーティングは、複数のコーティング(即ち、互いに重ね合わされた複数のコーティング層)を含む。先の実施形態(変形態様)と組み合わされてもよい更に別の実施形態では、第2のコーティングのコーティング材料は、複数の様々なコーティング材料を含む。
【0028】
上述の通り、ルミネッセンス材料は、有利な特性を有する。一実施形態では、ルミネッセンス材料は、25℃において少なくとも80%の量子効率を有する。更に、25℃における量子効率に比べて100℃では最大12%といった、最大20%の量子効率(又は量子収量)のクエンチ(quench)を有する。更に、有利なことに、青色における吸収が、第1及び/又は第2のコーティング材料によって増加するようである。このことは、吸収の増加、したがって、光収率の増加につながる。一実施形態では、ルミネッセンス材料は、400乃至500nm、特に450nmにおいて、CdSeコアといったコアの量子ドットの直接バンドギャップによる第1の吸収ピークよりも少なくとも10倍高い吸収度を有する。
【0029】
ナノ粒子又は量子ドットは、例えば成分Aとして示される。ナノ粒子上のコーティングは、成分Bとして示され、マトリクスコーティングは、成分Cとして示される。成分Aは、コア材料(例えばCdSe)であり、発光波長及び発光帯といった適用のための主要な特性を提示する。成分Aは、単一量子ドット又はハイブリッド量子ドットであってよい。成分Bは、シェル材料(例えばCdS)であり、マトリクスの本体及び形状を(任意選択的に成分Cと共に)形成する。成分Bは、成分Aの特性を高めるか、マトリクス全体に新しい特性をもたらす働きも有する。成分Bは、成分A上に実質的に格子整合して成長する(格子不整合は、好適には<10%、特に<5%)。成分Cは、シェル材料(例えばZnS)であり、マトリクスの追加の向上又は機能を与えるように成分Bを覆う。成分Cは、成分B上に格子整合して成長する(格子不整合は、好適には<10%、特に<5%)。成分Aに使用される材料(例えばCdSe)は、理論上、量子効率が高いという特性を有する。成分Bに使用される材料(例えばCdS)は、例えばUB及び/又は青色といった特定の波長に対し、理論上、光吸収度が成分Aよりもかなり高いという特性を有する。成分Cに使用される材料(例えばZnS)は、開放環境において、安定性が成分A及びBよりも高いという特性を有する。成分B(例えばCdS)と、任意選択的に成分Cとによって形成されるマトリクス本体は、2つ以上の領域を含む。主な領域は、成分C(例えばZnS、<5%の格子不整合)に整合する表面ファセットを有し、成分Cを安定的に成長させる。その他の領域は、(交差結合)接合部として働き、成分Cとの格子不整合が高いが、これらの領域における成分B及びCの間の格子応力は、周囲環境によって低減される。ナノ構造コア/マルチシェル半導体マトリクスは、高い量子収量(
>70%)と、狭い発光帯(FWHM<50nm)を有する。ナノ構造コア/マルチシェル半導体マトリクスは、青色領域において、発光コアの第1の吸収ピークにおけるよりも少なくとも5倍の吸収度を有する。ナノ構造コア/マルチシェル半導体マトリクスでは、温度消光が低減される。100℃における量子収量は、室温のQYに対し、最大でも20%の降下を示す。上述のマトリクスでは、成分Bの成分Aに対する総ボリューム比は、4以上である。したがって、第1のコーティング材料によって占められるボリュームは、ルミネッセンスナノ粒子によって占められるボリュームよりも少なくとも4倍大きい。本明細書において説明されるナノ構造コア/マルチシェル半導体マトリクスは、3つ以上の成分を含み、ここでは、成分A、成分B及び成分Cとして示される。しかし、構造体内に同様に具現化されるより多くの成分も利用できる。これらの構造体は、有機及び/又は無機マトリクス内に埋め込まれてよい。
【0030】
更なる態様では、本発明は、(例えば上述した通りの)ルミネッセンスナノ粒子ベースのルミネッセンス材料を製造する方法を提供する。当該方法は、
被覆されたルミネッセンスナノ粒子、第2のコーティング前駆物質系、及び、任意選択的に界面活性剤を、液体中で混合するステップと、
得られた混合液を加熱するステップと、
を含み、
ルミネッセンスナノ粒子は、スペクトルの可視部分において放射可能な半導体ナノ粒子からなる群から選択され、
被覆されたルミネッセンスナノ粒子は、ナノ粒子の半導体材料とは異なる第1のコーティング材料を含む第1のコーティングを含み、第1のコーティング材料は、M1
x−M2
y−M3
z−A
(x+2y+3z)/2化合物からなる群から選択され、M1はNa、Li、Mg、Cu、Ag及びAuからなる群から選択され、M2はZn及びCdからなる群から選択され、M3はGa、As、In及びTlからなる群から選択され、AはO、S、Se、As、P及びTeからなる群から選択され、xは0乃至1の範囲内であり、yは0乃至1の範囲内であり、zは0乃至1の範囲内であり、x、y及びzのうちの少なくとも1つは0より大きく、
第2のコーティング前駆物質系は、被覆されたルミネッセンスナノ粒子上に第2のコーティングを形成する1つ以上の前駆物質を含み、第2のコーティングは、第1のコーティング材料とは異なる第2のコーティング材料を含み、第2のコーティング材料は、M4A及びSiO
2からなる群から選択され、M4はAl、Ca、Mg、Zn及びCdからなる群から選択され、AはCl、F、O、S、Se及びTeからなる群から選択される。
【0031】
前駆物質系は、被覆されたナノ粒子の表面上に、第2のコーティングを形成する1つ以上の化合物を含む。これにより、複数のナノ粒子を有するマトリクスが組み立てられ、被覆されたマトリクスが提供される。界面活性剤は、例えばミリスチン酸である。しかし、ステアリン酸、ヘキシルホスホン酸といった脂肪酸、ヘキシデシルアミン(hexydecylamine)といった脂肪族アミン、1,2−ジ−O−ヘキシデシル−rac−グリセロール、トリオクチルホスフィン及びトリオクチルホスフィンオキシドといった脂肪族チオールのうちの1つ以上も適用される。
【0032】
第2のコーティング前駆物質系は、ビス[ビス(2−ヒドロキシエチル)ジチオカルバマト]亜鉛(II)、2−メルカプトピリジンN−オキシド亜鉛塩、(トルエン−3,4−ジチオラト)亜鉛(II)、ジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛(II)塩、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛(II)、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛塩、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ビス(テトラブチルアンモニウム)ビス(1,3−ジチオール−2−チオン−4,5−ジチオラト)亜鉛錯体のうちの1つ以上を含む。しかし、他のカルバミン酸亜鉛塩又は同様の構造を有する化学物質も提供される。更に、Znの代わりに又はZnに加えて、マグネシウム又はカドミウム等価物といった他のタイプの有機金属化合物も提供される。また、硫化物の代わりに又は硫化物に加えて、セレン化物又はテルル化物も適用される。特に、第2のコーティング材料は、ZnSを含むので、第2のコーティング前駆物質系は、上述の通り(例えばジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛)である。
【0033】
「加熱」とは、約300℃以下の範囲に温度を加熱することを指す。特に、270℃以下の温度まで加熱することであるが、好適には、少なくとも約150℃といった少なくとも140℃よりも上の温度まで加熱する。特定の実施形態では、加熱は、2段階加熱であり、140乃至210℃の範囲内の温度まで加熱することと、温度を当該温度に少なくとも5分間保つことと、180乃至260℃の範囲内といった170℃乃至300℃(特に最大270℃)の範囲内の温度に加熱することとを含む。
【0034】
更に、当該方法は、得られたルミネッセンス材料を液体から分離するステップと、ルミネッセンス材料を乾燥するステップとを含む。
【0035】
更なる態様では、本発明は、可視スペクトルのUV又は青色部分における光源光を提供する光源と、光源光の少なくとも一部を吸収する、上に定義された通りのルミネッセンス材料とを含む照明ユニットを提供する。特定の実施形態では、ルミネッセンス材料は、コーティング内に含まれ、当該コーティングは、光源光の少なくとも一部を透過させ、光源は、LEDを含む。更なる実施形態では、ルミネッセンス材料は、光源から離れている。即ち、光源から非ゼロの距離にある。例えばルミネッセンス材料は、照明ユニットの窓に付与されるか又は当該窓に含まれる。光源が青色光を提供する場合、ルミネッセンス材料は、光源光の一部のみを変換する。一実施形態では、光源の青色光とルミネッセンスナノ粒子ベースのルミネッセンス材料のルミネッセンス材料光とは共に、白色の照明ユニット光を提供する。
【0036】
本明細書における「白色光」との用語は、当業者には知られている。白色光は、特に、約2000乃至20000K、特に2700乃至20000Kの相関色温度(CCT)を有する光に関し、一般照明では、特に約2700K乃至6500Kの範囲内、また、背面照明には、特に約7000K乃至20000Kの範囲内、特にBBL(黒体軌跡)から約15SDCM(等色標準偏差)以内、特にBBLから約10SDCM以内、より一層特にBBLから約5SDCM以内の相関色温度(CCT)を有する光に関する。
【0037】
「紫色光」又は「紫色放射」との用語は、特に約380乃至440nmの範囲内の波長を有する光に関する。「青色光」又は「青色放射」との用語は、特に約440乃至490nmの範囲(幾らか紫色及び青緑色の色相を含む)内の波長を有する光に関する。「緑色光」又は「緑色放射」との用語は、特に約4900乃至560nmの範囲内の波長を有する光に関する。「黄色光」又は「黄色放射」との用語は、特に約560乃至590nmの範囲内の波長を有する光に関する。「橙色光」又は「橙色放射」との用語は、特に約590乃至620nmの範囲内の波長を有する光に関する。「赤色光」又は「赤色放射」との用語は、特に約620乃至750nmの範囲内の波長を有する光に関する。「可視」光又は「可視放射」との用語は、約380乃至750nmの範囲内の波長を有する光に関する。
【0038】
「上流」及び「下流」との用語は、光発生手段(ここでは、特に第1の光源)からの光の伝播に対するアイテム又は特徴の配置に関する。光発生手段からの光線内の第1の位置に対して、光発生手段に近い光線における第2の位置は、「上流」であり、光発生手段から離れる光線における第3の位置は、「下流」である。
【0039】
本明細書における、例えば「実質的にすべての放射」又は「実質的に〜からなる」における「実質的に」との用語は、当業者には理解されよう。「実質的に」との用語は、「もっぱら」、「完全に」、「あらゆる」等を有する実施形態も含む。したがって、実施形態において、形容詞も実質的に取り除かれる。必要に応じて、「実質的に」との用語は、95%以上といった90%以上、特に99%以上、より一層特に100%を含む99.5%以上に関する。「含む」との用語は、「含む」との用語が「〜からなる」を意味する実施形態も含む。
【0040】
更に、以下の説明及び請求項における「第1の」、「第2の」、「第3の」等との用語は、同様の要素間を区別するために使用され、必ずしも連続的な順番又は経時的な順番を説明するために使用されるものではない。当然ながら、このように使用される用語は、適切な状況下では置換可能であり、本明細書において説明される本発明の実施形態は、本明細書において説明されたものとは違う順序で動作することが可能である。
【0041】
本明細書におけるデバイスは、動作時に説明される他のデバイスに共通している。当業者には明らかなように、本発明は、動作の方法又は動作時のデバイスに限定されない。
【0042】
なお、上記実施形態は、本発明を説明するものであって制限するものではなく、また、当業者であれば、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく多くの代替実施形態をデザイン可能であることに留意されたい。請求項において、括弧内の任意の参照符号は、当該請求項を限定するものと解釈されるべきではない。「含む」との動詞とその活用形の使用は、請求項に記載される要素又はステップ以外の要素又はステップを排除するものではない。冠詞「a」又は「an」で示される要素は、当該要素が複数存在することを排除するものではない。特定の手段が相互に異なる従属項に記載されるからといって、これらの手段の組み合わせを有利に使用することができないことを示すものではない。
【0043】
本発明は更に、以下の説明に説明された及び/又は添付図面に示された特徴のうちの1つ以上を含むデバイスにも適用される。本発明は更に、以下の説明に説明された及び/又は添付図面に示された特徴のうちの1つ以上を含む方法又はプロセスにも関連する。
【0044】
本特許出願において説明された様々な態様は、追加の利点を提供するために組み合わされてもよい。また、幾つかの特徴は、1つ以上の分割出願のための基礎を形成する。