(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
糖アルコール変性シリコーンを少なくとも1種の25℃で固体であり、かつ、50gをイオン交換水1Lに溶解させたときの水溶液の25℃におけるpHが4以下である水溶性の酸性無機塩である酸性物質で処理する工程を含む、糖アルコール変性シリコーンの製造方法。
前記一般式(4−1)又は(4−2)において、Rである二価有機基が炭素原子数3〜5の、置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐状の二価炭化水素基である、請求項5記載の糖アルコール変性シリコーンの製造方法。
前記酸性物質が、無機酸、有機酸、酸性無機塩、固体酸、及び、酸性白金触媒からなる群から選択される、請求項1乃至10のいずれかに記載の糖アルコール変性シリコーンの製造方法。
前記酸処理工程後に、加熱及び/又は減圧することにより、臭気原因物質を除去する工程を含む、請求項1乃至11のいずれかに記載の糖アルコール変性シリコーンの製造方法。
請求項1乃至12のいずれかに記載の製造方法により得られた糖アルコール変性シリコーン中のカルボニル類と、2,4−ジニトロフェニルヒドラジンを少なくとも1種の炭素原子数1〜4の一価低級アルコールを含む反応媒体中で反応させて得られる反応溶液の吸光度から該糖アルコール変性シリコーンのカルボニル価を測定する方法。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(低臭性糖アルコール変性シリコーンの製造方法)
本発明は、糖アルコール変性シリコーンを少なくとも1種の酸性物質で処理する工程を含む、糖アルコール変性シリコーンの製造方法に関する。特に、臭気をより有効に低減し、低臭化された外用剤又は化粧料の原料(糖アルコール変性シリコーン)を工業的に得る観点から、本発明に係る製造方法は、
(a)炭素−炭素二重結合を有する糖アルコール基含有化合物と、
(b)オルガノハイドロジェンポリシロキサン とをヒドロシリル化反応させることにより糖アルコール変性シリコーンを合成する工程〔A〕;及び
上記合成工程〔A〕と共に、又は、上記合成工程〔A〕の後に、
糖アルコール変性シリコーンを、少なくとも1種の酸性物質の存在下で処理する工程〔B〕
を含むことを特徴とする糖アルコール変性シリコーンの製造方法であることが好ましい。また、前記酸処理工程後に、加熱及び/又は減圧することにより、臭気原因物質を除去する工程を含む糖アルコール変性シリコーンの製造方法であることが、より好ましい。
【0029】
(糖アルコール変性シリコーン)
前記糖アルコール変性シリコーンは、下記一般式(1):
【化14】
{式中、
R
1は一価有機基(但し、R
2、L
1及びQを除く)、水素原子又は水酸基を表し、
R
2は炭素原子数9〜60の、置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐状の一価炭化水素基、又は、下記一般式(2−1);
【化15】
(式中、R
11は置換若しくは非置換の炭素原子数1〜30の一価炭化水素基、水酸基又は水素原子であり、R
11の少なくとも一つは前記一価炭化水素基である。tは2〜10の範囲の数であり、rは1〜500の範囲の数である)若しくは下記一般式(2−2);
【化16】
(式中、R
11及びrは上記のとおりである)で表される鎖状のオルガノシロキサン基を表し、
L
1はi=1のときの下記一般式(3);
【化17】
(式中、
R
3は炭素原子数1〜30の、置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐状の一価炭化水素基を表し、
R
4はそれぞれ独立して炭素原子数1〜6のアルキル基又はフェニル基を表し、
Zは二価有機基を表し、
iはL
iで示されるシリルアルキル基の階層を表し、該シリルアルキル基の繰り返し数である階層数がkのとき1〜kの整数であり、階層数kは1〜10の整数であり、L
i+1はiがk未満のときは該シリルアルキル基であり、i=kのときはR
4であり、h
iは0〜3の範囲の数である)で表される、シロキサンデンドロン構造を有するシリルアルキル基を表し、
Qは糖アルコール基含有有機基を表し、
a 、b 、c及びdは、それぞれ、1.0≦a≦2.5、0≦b≦1.5、0≦c≦1.5、0.0001≦d≦1.5の範囲にある数である}で表されることができる。
【0030】
一般式(1)のR
1である一価有機基は、R
2、L
1及びQに該当する官能基でない限り、特に限定されるものではないが、炭素原子数1〜8の、置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐状の一価炭化水素基、−R
5O(AO)
nR
6(式中、AOは炭素原子数2〜4のオキシアルキレン基を表し、R
5は炭素原子数3〜5の、置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐状の二価炭化水素基を表し、R
6は水素原子、炭素原子数1〜24の、置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐状の一価炭化水素基、又は、炭素原子数2〜24の、置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐状のアシル基を表し、n=1〜100である)で表されるポリオキシアルキレン基、アルコキシ基、(メタ)アクリル基、アミド基、カルビノール基、又は、フェノール基であることが好ましい。但し、R
1が全て水酸基、水素原子、前記アルコキシ基又は前記ポリオキシアルキレン基になることはない。
【0031】
炭素原子数1〜8の一価炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、ブテニル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;ベンジル基等のアラルキル基;及び、これらの基の炭素原子に結合した水素原子が少なくとも部分的にフッ素等のハロゲン原子、又は、エポキシ基、グリシジル基、アシル基、カルボキシル基、アミノ基、メタクリル基、メルカプト基等を含む有機基で置換された基(但し、総炭素原子数は1〜8)が挙げられる。一価炭化水素基は、アルケニル基以外の基であることが好ましく、メチル基、エチル基、又は、フェニル基が特に好ましい。また、アルコキシ基は、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等低級アルコキシ基や、ラウリルアルコキシ基、ミリスチルアルコキシ基、パルミチルアルコキシ基、オレイルアルコキシ基、ステアリルアルコキシ基、ベへニルアルコキシ基等高級アルコキシ基等が例示される。
【0032】
特に、R
1は脂肪族不飽和結合を有しない炭素原子数1〜8の一価炭化水素基又は一価フッ化炭化水素基であることが好ましい。R
1に属する脂肪族不飽和結合を有しない一価炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基;ベンジル基のようなアラルキル基が例示され、一価フッ化炭化水素基は、トリフルオロプロピル基、ペンタフルオロエチル基等のパーフルオロアルキル基が例示される。工業的には、R
1がメチル基、エチル基、又は、フェニル基であることが好ましく、特に、全てのR
1の90モル%〜100モル%が、メチル基、エチル基、又は、フェニル基から選択される基であることが好ましい。
【0033】
前記糖アルコール変性シリコーンは、更なる機能性の付与を目的として、親水性基(−Q)以外の変性基、特に短鎖又は中鎖炭化水素ベースの基、をR
1として導入し、或いは設計することが可能である。すなわち、R
1が置換の一価炭化水素基である場合、置換基を、付与したい特性及び用途に合わせて適宜選択することができる。例えば、化粧料原料として使用する場合に、使用感、感触や持続性の向上等を目的として、アミノ基、アミド基、アミノエチルアミノプロピル基、カルボキシル基等を一価炭化水素基の置換基として導入することができる。
【0034】
一般式(1)のR
2の、炭素原子数9〜60の、置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐状の一価炭化水素基は長鎖炭化水素基又は上記一般式(2−1)若しくは(2−2)で表される鎖状のオルガノシロキサン基であり、ポリシロキサンの主鎖及び/又は側鎖に導入されることにより、外用剤又は化粧料中に配合される油剤、粉体等の各種成分に対する乳化性及び分散性、更に、使用感をより改善することができる。更に、前記一価長鎖炭化水素基又は鎖状のオルガノポリシロキサン基は疎水性官能基であるために、アルキル基の含有量の多い有機油に対する相溶性・配合安定性がより改善される。R
2は、全部が前記一価長鎖炭化水素基又は鎖状のオルガノポリシロキサン基であってもよく、これら両方の官能基であってよい。前記糖アルコール変性シリコーンにおいては、特に、R
2の一部又は全部が、一価長鎖炭化水素基であることが好ましく、かかる一価長鎖炭化水素基を分子中に有することにより、前記糖アルコール変性シリコーンは、シリコーン油だけでなく、アルキル基含有量の多い非シリコーン油に対してもより優れた相溶性を示し、例えば、非シリコーン油からなる熱安定性、経時安定性に優れた乳化物、分散物を得ることができる。
【0035】
一般式(1)のR
2で表される、ケイ素原子に結合した、炭素原子数9〜60の、置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐状の一価炭化水素基は、互いに同一でも異なっていてもよく、更に、その構造は、直鎖状、分岐状、部分分岐状の中から選択される。本発明においては、特に、非置換且つ直鎖状の一価炭化水素基が好適に用いられる。非置換一価炭化水素基としては、例えば、炭素原子数9〜60、好ましくは炭素原子数9〜30、より好ましくは炭素原子数10〜25のアルキル基、アリール基又はアラルキル基が挙げられる。一方、置換一価炭化水素基としては、例えば、炭素原子数9〜30、好ましくは炭素原子数9〜30、より好ましくは炭素原子数10〜25のパーフルオロアルキル基、アミノアルキル基、アミドアルキル基、カルビノール基が挙げられる。また、前記一価炭化水素基の炭素原子の一部がアルコキシ基で置換されていてもよく、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基が例示される。このような一価炭化水素基は、特に、炭素原子数9〜30のアルキル基であることが好ましく、一般式:−(CH
2)
v−CH
3(vは8〜30の範囲の数)で表される基が例示される。炭素原子数10〜25のアルキル基が特に好ましい。
【0036】
一般式(2−1)又は(2−2)で示される鎖状のオルガノシロキサン基は、シロキサンデンドロン構造を有するシリルアルキル基と異なり、直鎖状のポリシロキサン鎖構造を有する。一般式(2−1)又は(2−2)において、R
11は各々独立に、置換若しくは非置換の炭素原子数1〜30の一価炭化水素基、水酸基又は水素原子である。置換若しくは非置換の炭素原子数1〜30の一価炭化水素基は、好ましくは、炭素原子数1〜30のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数6〜30のアラルキル基、炭素原子数6〜30のシクロアルキル基であり、メチル基,エチル基,プロピル基,ブチル基,ペンチル基,ヘキシル基,ヘプチル基,オクチル基,デシル基等のアルキル基;シクロペンチル基,シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基等のアリール基が例示され、これらの基の炭素原子に結合した水素原子が少なくとも部分的にフッ素等のハロゲン原子、又は、エポキシ基、アシル基、カルボキシル基、アミノ基、メタクリル基、メルカプト基等を含む有機基で置換されていてもよい。R
11として特に好適には、メチル基,フェニル基又は水酸基が上げられ、R
11の一部がメチル基であり、一部が炭素原子数8〜30の長鎖アルキル基であるような形態も好適である。
【0037】
一般式(2−1)又は(2−2)において、tは2〜10の範囲の数であり、rは1〜500の範囲の数であり、rが2〜500の範囲の数であることが好ましい。かかる直鎖状のオルガノシロキサン基は疎水性であり、各種油剤との相溶性の観点から、rは1〜100の範囲の数であることが好ましく、2〜30の範囲の数であることが特に好ましい。
【0038】
一般式(3)で示される、シロキサンデンドロン構造を有するシリルアルキル基は、カルボシロキサン単位がデンドリマー状に広がった構造を包含し、高撥水性を呈する官能基であり、親水性基との組み合わせのバランスに優れ、前記糖アルコール変性シリコーンを配合した外用剤又は化粧料の使用時に、不快なベトツキ感を抑え、さっぱりした、自然な感触を与えることができる。更に、前記シロキサンデンドロン構造を有するシリルアルキル基は、化学的に安定であるために幅広い成分と組み合わせて使用することができるという有利な特性を付与する官能基である。
【0039】
一般式(3)のR
3で表される、炭素原子数1〜30の、置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐状の一価炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、ブテニル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;ベンジル基等のアラルキル基;及び、これらの基の炭素原子に結合した水素原子が少なくとも部分的にフッ素等のハロゲン原子、又は、エポキシ基、グリシジル基、アシル基、カルボキシル基、アミノ基、メタクリル基、メルカプト基等を含む有機基で置換された基(但し、総炭素原子数は1〜30)が挙げられる。
【0040】
一般式(3)のR
4で表される、炭素原子数1〜6のアルキル基又はフェニル基のうち、炭素原子数1〜6のアルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、ペンチル、ネオペンチル、シクロペンチル、ヘキシル等の直鎖状、分岐状或いは環状のアルキル基が挙げられる。
【0041】
一般式(3)において、i=kのとき、R
4はメチル基又はフェニル基であることが好ましい。特に、i=kのときはメチル基であることが好ましい。
【0042】
階層数kは、工業的には1〜3の整数であることが好適であり、より好適には、1又は2である。各階層数において、L
1で示される基は以下のように表される。式中、R
3、R
4及びZは前記と同様の基である。
【0043】
階層数k=1である場合、L
1は下記一般式(3−1)で表される。
【化18】
【0044】
階層数k=2である場合、L
1は下記一般式(3−2)で表される。
【化19】
【0045】
階層数k=3である場合、L
1は下記一般式(3−3)で表される。
【化20】
【0046】
階層数が1〜3の場合における一般式(3−1)〜(3−3)で示される構造において、h
1、h
2及びh
3は各々独立に0〜3の範囲の数である。これらのh
iは特に0〜1の範囲の数であることが好ましく、h
iが0であることが特に好ましい。
【0047】
一般式(3)及び(3−1)〜(3−3)において、Zは、各々独立に、二価有機基であり、具体的には、ケイ素結合水素原子と、アルケニル基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基等の不飽和炭化水素基を末端に有する官能基を付加反応させることにより形成される二価の有機基が挙げられるが、シロキサンデンドロン構造を有するシリルアルキル基の導入法に応じて、これらの官能基に限らず、適宜選択することができる。好ましくは、Zは、各々独立に、下記一般式:
【化21】
で示される二価の有機基から選ばれる基である。特に、L
1におけるZは、好適には、ケイ素結合水素原子と、アルケニル基の反応により導入される一般式−R
7−で示される2価の有機基である。同様に、Zはケイ素結合水素原子と、不飽和カルボン酸エステル基との反応により導入される−R
7−COO−R
8−で示される2価の有機基が好適である。一方、階層数kが2以上であり、L
2〜L
kであるL
iで示されるシリルアルキル基において、Zは炭素原子数2〜10のアルキレン基であることが好ましく、エチレン基,プロピレン基,メチルエチレン基又はヘキシレン基から選択される基であることが特に好ましく、エチレン基であることが最も好ましい。
【0048】
上記一般式中、R
7は、各々独立に、置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐鎖状の、炭素原子数2〜22のアルキレン基若しくはアルケニレン基、又は、炭素原子数6〜22のアリーレン基を表す。より具体的には、R
7はエチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基等の直鎖状アルキレン基;メチルメチレン基、メチルエチレン基、1−メチルペンチレン基、1,4−ジメチルブチレン基等の分岐状アルキレン基が例示され、R
7は、エチレン基、プロピレン基、メチルエチレン基又はヘキシレン基から選択される基であることが好ましい。
【0049】
上記一般式中、R
8は、下記式で示される二価の有機基から選択される基である。
【化22】
【0050】
一般式(1)において、Qは糖アルコール含有有機基であり、前記糖アルコール変性シリコーンの親水性部位を構成する。Qは糖アルコール部位を有する限りその構造は限定されるものではないが、二価有機基を介して糖アルコール残基がケイ素原子に結合することが好ましい。
【0051】
したがって、Qは、好ましくは、下記一般式(4−1):
【化23】
(式中、
Rは二価有機基を表し、
eは1又は2である)、又h、下記一般式(4−2):
【化24】
(式中、
Rは上記のとおりであり、
e’は0又は1である)で表される。
【0052】
前記糖アルコール変性シリコーンは、上記一般式(4−1)又は(4−2)で表される糖アルコール含有有機基のうち、少なくとも1種がケイ素原子に結合していることを特徴とする。更に、これらの糖アルコール含有有機基から選択される2種類以上の糖アルコール含有有機基を同一分子中に有するオルガノポリシロキサンであってもよい。同様に、異なる糖アルコール含有有機基を有するオルガノポリシロキサンの混合物を用いてもよい。
【0053】
一般式(4−1)又は(4−2)のRで表される二価有機基は、特に限定されるものではないが、例えば、炭素原子数1〜30の、置換若しくは非置換の、直鎖状又は分岐状の二価炭化水素基が挙げられる。炭素原子数3〜5の、置換若しくは非置換の、直鎖状又は分岐状の二価炭化水素基であることが好ましい。炭素原子数1〜30の、置換若しくは非置換の、直鎖状又は分岐状の二価炭化水素基としては、例えば、メチレン基、ジメチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基等の炭素原子数1〜30の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基;ビニレン基、アリレン基、ブテニレン基、ヘキセニレン基、オクテニレン基等の炭素原子数2〜30のアルケニレン基;フェニレン基、ジフェニレン基等の炭素原子数6〜30のアリーレン基;ジメチレンフェニレン基等の炭素原子数7〜30のアルキレンアリーレン基;及び、これらの基の炭素原子に結合した水素原子が少なくとも部分的にフッ素等のハロゲン原子、又は、カルビノール基、エポキシ基、グリシジル基、アシル基、カルボキシル基、アミノ基、メタクリル基、メルカプト基、アミド基、オキシアルキレン基等を含む有機基で置換された基が挙げられる。二価炭化水素基は、炭素原子数1〜30のアルキレン基であることが好ましく、炭素原子数1〜6のアルキレン基であることが好ましく、炭素原子数3〜5のアルキレン基がより好ましい。
【0054】
糖アルコール含有有機基としては、一般式(4−1)において、Rがプロピレン基であり、e=1である場合が特に好ましい。同様に、糖アルコール含有有機基として、一般式(4−2)において、Rがプロピレン基であり、e’=0である場合が特に好ましい。この場合の糖アルコール含有有機基は一般式(4−1)又は一般式(4−2)に対応して、構造式:−C
3H
6−OCH
2[CH(OH)]
3CH
2OH、又は、構造式:−C
3H
6−OCH{CH(OH)CH
2OH}
2で示されるキシリトール残基(以下、単に「キシリトール残基」或いは「キシリトール変性基」という)である。
【0055】
糖アルコール含有有機基の結合位置は、主鎖であるポリシロキサンの側鎖又は末端のいずれであってもよく、糖アルコール変性シリコーン1分子中に2以上の糖アルコール含有有機基を有する構造であってもよい。更に、これらの2以上の糖アルコール含有有機基は、同一又は異種の糖アルコール含有有機基であってもよい。これらの2以上の糖アルコール含有有機基は、主鎖であるポリシロキサンの側鎖のみ、末端のみ又は側鎖及び末端に結合する構造であってよい。
【0056】
一般式(1)で表される、糖アルコール基含有有機基(−Q)を有する糖アルコール変性シリコーンは、下記構造式(1−1):
【化25】
(式中、
R
2、L
1及びQは、各々独立に、上記のとおりであり、
Xはメチル基、R
2、L
1及びQからなる群から選択される基であり、
n1、n2、n3及びn4は、それぞれ独立して、0〜2,000の範囲の数であり、n1+n2+n3+n4は0〜2,000の範囲の数である。但し、n4=0のとき、Xの少なくとも一方はQである)で表される直鎖状のポリシロキサン構造を有する糖アルコール変性シリコーンであることが好ましい。
【0057】
式(1−1)中、(n1+n2+n3+n4)は10〜2,000の範囲の数であることが好ましく、25〜1500の範囲がより好ましく、50〜1000の範囲の数であることが特に好ましい。n1は10〜2,000の範囲の数であることが好ましく、25〜1500の範囲がより好ましく、50〜1000の範囲であることが更により好ましい。n2は、0〜250の範囲の数であることが好ましく、0〜150の範囲の数であることがより好ましい。
【0058】
R
2が前記の長鎖アルキル基である場合、界面活性及びシリコーン以外の油剤との相溶性の点から、特にn2>1であることが好ましい。n3は0〜250の範囲の数であることが好ましく、特にn3>1であって側鎖部分に、シロキサンデンドロン構造を有するシリルアルキル基(−L
1)を1以上有することが特に好ましい。n4は0〜100の範囲の数であり、0〜50の範囲の数であることが好ましい。但し、n4=0のとき、Xの少なくとも一方はQであることが必要である。
【0059】
上記構造式(1−1)において、Qは各々独立に上記一般式(4−1)又は一般式(4−2)で表される糖アルコール含有有機基であり、前記糖アルコール変性シリコーンにおいては、Qが全て上記一般式(4−1)又は一般式(4−2)で表される糖アルコール含有有機基であってもよく、一分子中のQの一部が上記一般式(4−1)で表される糖アルコール含有有機基であり、残りのQが、上記一般式(4−2)で表される糖アルコール含有有機基であってもよい。
【0060】
更に、前記糖アルコール変性シリコーンは、上記一般式(1)で示される1種類又は2種類以上の糖アルコール変性シリコーンの混合物であってもよい。
【0061】
特に、前記糖アルコール変性シリコーンは、上記一般式(1)において、Qがキシリトール残基である糖アルコール含有有機基であることが好ましい。
【0062】
上記の通り、キシリトール残基は、構造式:−C
3H
6−OCH
2[CH(OH)]
3CH
2OH、又は、構造式:−C
3H
6−OCH{CH(OH)CH
2OH}
2で示される基であるが、前記糖アルコール変性シリコーンにおいて、これらのキシリトール残基は1種類であっても2種類であってもよい。したがって、上記一般式(1)において、Qの全てが、構造式:−C
3H
6−OCH
2[CH(OH)]
3CH
2OH、又は、構造式:−C
3H
6−OCH{CH(OH)CH
2OH}
2で示されるキシリトール残基のみからなるものであってもよく、或いは、Qが、構造式:−C
3H
6−OCH
2[CH(OH)]
3CH
2OH、及び、構造式:−C
3H
6−OCH{CH(OH)CH
2OH}
2で示される2種類のキシリトール残基から構成されてもよい。後者の場合は、その構成比(物質量比)が5:5〜10:0の範囲であることが好ましく、8:2〜10:0の範囲であることが、特に好ましい。なお、10:0の場合とは、Qが、実質的に構造式:−C
3H
6−OCH
2[CH(OH)]
3CH
2OHで示されるキシリトール残基のみからなるものである。
【0063】
また、前記糖アルコール変性シリコーンが、2種類以上の糖アルコール変性シリコーンの混合物である場合には、該混合物中は、上記一般式(1)中のQが構造式:−C
3H
6−OCH
2[CH(OH)]
3CH
2OHで示されるキシリトール残基のみからなる糖アルコール変性シリコーン、上記一般式(1)中のQが構造式:−C
3H
6−OCH{CH(OH)CH
2OH}
2で示されるキシリトール残基のみからなる糖アルコール変性シリコーン、並びに、上記一般式(1)中のQが、構造式:−C
3H
6−OCH
2[CH(OH)]
3CH
2OH、及び、構造式:−C
3H
6−OCH{CH(OH)CH
2OH}
2で示される2種類のキシリトール残基から構成される糖アルコール変性シリコーン(構成比(物質量比)は5:5〜10:0の範囲であることが好ましく、8:2〜10:0の範囲であることが、特に好ましい)からなる群から選択される少なくとも2種類の糖アルコール変性シリコーンを含むことができる。更に、前記糖アルコール変性シリコーンは、上記一般式(1)中のQが、構造式:−C
3H
6−OCH
2[CH(OH)]
3CH
2OH、及び、構造式:−C
3H
6−OCH{CH(OH)CH
2OH}
2で示される2種類のキシリトール残基から構成(構成比(物質量比)は5:5〜10:0の範囲であることが好ましく、8:2〜10:0の範囲であることが、特に好ましい)され、その構成比が異なる少なくとも2種類の糖アルコール変性シリコーンの混合物であってもよい。
【0064】
前記糖アルコール変性シリコーンとしては、下記構造式(1−1−1):
【化26】
(式中、
R
2、Q、X、Z、n1、n2、n3及びn4は上記のとおりである)、又は、下記構造式(1−1−2):
【化27】
(式中、
R
2、Q、X、Z、n1、n2、n3及びn4は上記のとおりである)で表される糖アルコール変性シリコーンがより好ましい。
【0065】
糖アルコール含有有機基によるオルガノポリシロキサンの変性率は、主鎖であるポリシロキサンに結合した全ての官能基のうち0.001〜50モル%の範囲であることが好ましく、0.01〜30モル%の範囲であることがより好ましく、0.1〜10モル%の範囲であることが更により好ましい。なお、構造式(1−1)で示される糖アルコール変性シリコーンにおいて、糖アルコール含有有機基による変性率(モル%)は下式:
変性率(モル%)=(1分子あたりの珪素原子に結合した糖アルコール含有有機基の数)/{6+2×(n1+n2+n3+n4)}×100
で示される。例えば、1つの糖アルコール含有有機基を有するトリシロキサンからなる糖アルコール変性シリコーンの場合には、8個の珪素原子結合官能基のうち、1個が糖アルコール含有有機基により変性されているから、糖アルコール含有有機基による変性率は、12.5モル%である。
【0066】
前記糖アルコール変性シリコーンは、例えば、ヒドロシリル化反応触媒の存在下において、(a)珪素原子結合水素原子を有するオルガノポリシロキサン、(b)反応性不飽和基を1分子中に1つ有する有機化合物、及び、(c)反応性不飽和基を1分子中に1つ有する糖アルコール官能性有機化合物、更に必要に応じて(d)反応性不飽和基を1分子中に1つ有するシロキサンデンドロン化合物、及び/又は(e)反応性不飽和基を1分子中に1つ有する長鎖炭化水素化合物又は鎖状オルガノポリシロキサン化合物、を反応させることにより、得ることができる。上記の反応性不飽和基は、好適には、炭素−炭素二重結合を有する不飽和性の官能基である、アルケニル基又は不飽和脂肪酸エステル基が例示できる。成分(b)により上記の−R
1が導入され、成分(d)により上記の−L
1が導入され、成分(e)により上記の−R
2が導入される。
【0067】
前記糖アルコール変性シリコーンは、例えば、更に具体的には、以下のように得ることができる。
【0068】
前記糖アルコール変性シリコーンは、ケイ素−水素結合を有するオルガノポリシロキサンに対して、分子鎖の片末端に炭素−炭素二重結合を有する不飽和有機化合物、及び、分子中に炭素−炭素二重結合を有する糖アルコールの不飽和エーテル化合物を付加反応させることにより得ることができる。なお、分子鎖の片末端に炭素−炭素二重結合を有するシロキサンデンドロン化合物、及び/又は、分子鎖の片末端に炭素−炭素二重結合を有する不飽和長鎖炭化水素化合物又は分子鎖の片末端に炭素−炭素二重結合を有する鎖状オルガノポリシロキサンを更に付加反応させてもよい。
【0069】
上記の場合、前記糖アルコール変性シリコーンは、前記不飽和有機化合物、及び、前記糖アルコールの不飽和エーテル化合物、並びに、任意に、前記シロキサンデンドロン化合物、及び/又は、不飽和長鎖炭化水素化合物又は分子鎖の片末端に炭素−炭素二重結合を有する鎖状オルガノポリシロキサンとSiH基含有シロキサンとのヒドロシリル化反応生成物として得ることができる。これにより、有機基及び糖アルコール含有有機基、並びに、任意に、シロキサンデンドロン構造を有するシリルアルキル基、及び/又は、長鎖炭化水素基又は鎖状オルガノポリシロキサン基、を前記糖アルコール変性シリコーンのポリシロキサン鎖に導入することができる。この反応は、一括で行うこともできるし、逐次反応の形式をとることもできるが、逐次反応の方が安全面や品質管理の側面から好ましい。
【0070】
例えば、前記糖アルコール変性シリコーンは、ヒドロシリル化反応触媒の存在下において、下記一般式(1’):
【化28】
(式中、
R
1、a 、b、c及びdは上記のとおりである)で表される(a’)オルガノハイドロジェンシロキサンと、(c)反応性不飽和基を1分子中に1つ有する糖アルコール官能性有機化合物を少なくとも反応させて得ることができる。(d)反応性不飽和基を1分子中に1つ有するシロキサンデンドロン化合物、及び/又は、(e)反応性不飽和基を1分子中に1つ有する炭化水素化合物又は反応性不飽和基を1分子中に1つ有する鎖状オルガノポリシロキサンを更に反応させることが好ましい。
【0071】
前記糖アルコール変性シリコーンは、(c)反応性不飽和基を1分子中に1つ有する糖アルコール官能性有機化合物、及び、任意に、(d)反応性不飽和基を1分子中に1つ有するシロキサンデンドロン化合物、及び/又は、(e)反応性不飽和基を1分子中に1つ有する炭化水素化合物又は反応性不飽和基を1分子中に1つ有する鎖状オルガノポリシロキサンが共存する状態として、前記(c)成分、前記(d)成分及び/又は前記(e)成分、並びに、(a’)上記一般式(1’) で表されるオルガノハイドロジェンシロキサンを一緒に反応させるか、或いは、前記(a’)オルガノハイドロジェンシロキサンと任意に前記(d)成分、及び/又は、前記(e)成分とを逐次付加反応させた後、、前記(c)成分を更に付加反応させること等により、好適に製造することができる。
【0072】
(a)珪素原子結合水素原子を有するオルガノポリシロキサン及び(a’)オルガノハイドロジェンシロキサンとしては、例えば、下記構造式(1−1)’:
【化29】
(式中、
R
1は、各々独立に、上記のとおりであり、
X’はR
1又は水素原子から選択される基であり、
n1、n2、n3及びn4は上記のとおりである。但し、n2+n3+n4=0のとき、X’の少なくとも一方は水素原子である)で表されるオルガノハイドロジェンシロキサンが好ましい。
【0073】
(d)反応性不飽和基を1分子中に1つ有するシロキサンデンドロン化合物としては、下記一般式(3’):
【化30】
{式中、
R
3及びR
4は上記のとおりであり、
Z´は二価有機基を表し、
h
1は0〜3の範囲の数であり、
L´
1は、R
4、又は、j=1のときの下記一般式(3’’):
【化31】
(式中、R
3及びR
4は上記のとおりであり、
Zは二価有機基を表し、
jはL
jで示されるシリルアルキル基の階層を表し、該シリルアルキル基の繰り返し数である階層数がk´のとき1〜k´の整数であり、階層数k´は1〜9の整数であり、L
j+1はjがk´未満のときは該シリルアルキル基であり、j=k´のときはR
4である。h
jは0〜3の範囲の数である)で表されるシリルアルキル基を表す}で表される分子鎖末端に1個の炭素−炭素二重結合を有するシロキサンデンドロン構造を有する化合物が好ましい。
【0074】
(c)反応性不飽和基を1分子中に1つ有する糖アルコール官能性有機化合物としては、下記一般式(4’−1):
【化32】
(式中、
R’は不飽和有機基を表し、
eは1又は2であり、好ましくは1である)、又は、下記一般式(4’−2):
【化33】
(式中、
R’は不飽和有機基を表し、
e’は0又は1であり、好ましくは0である)で表される糖アルコールのモノ不飽和エーテル化合物が好ましい。
【0075】
不飽和有機基は、不飽和基を有する限り特に限定されるものではないが、炭素原子数3〜5の、置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐状の不飽和炭化水素基が好ましい。炭素原子数3〜5の不飽和炭化水素基としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基等のアルケニル基を挙げることができる。アリル基が好ましい。
【0076】
前記糖アルコールのモノ不飽和エーテル化合物としては、糖アルコールのモノアリルエーテルが好ましく、構造式:CH
2=CH−CH
2−OCH
2[CH(OH)]
3CH
2OH、又は、構造式:CH
2=CH−CH
2−OCH{CH(OH)CH
2OH}
2で表されるキシリトールモノアリルエーテル(以下、「キシリトールモノアリルエーテル」という)がより好ましい。キシリトールモノアリルエーテルは、公知の方法により合成することができ、また市販されているものもある。
【0077】
キシリトールモノアリルエーテルは、構造式:CH
2=CH−CH
2−OCH
2[CH(OH)]
3CH
2OH、又は、構造式:CH
2=CH−CH
2−OCH{CH(OH)CH
2OH}
2で示される化合物のうち一方のみであってもよく、これらの混合物であっても特に制限なく用いることができる。特に、構造式:CH
2=CH−CH
2−OCH
2[CH(OH)]
3CH
2OH、又は、構造式:CH
2=CH−CH
2−OCH{CH(OH)CH
2OH}
2で示されるキシリトールモノアリルエーテルのいずれかを精製して原料として使用するか、或いは、構造式:CH
2=CH−CH
2−OCH
2[CH(OH)]
3CH
2OH、及び、構造式:CH
2=CH−CH
2−OCH{CH(OH)CH
2OH}
2で表されるキシリトールモノアリルエーテルを物質量比で、5:5〜10:0の範囲で含有してなるキシリトールモノアリルエーテルを原料として使用することが好ましく、後者の場合は、8:2〜10:0の範囲で含有してなるキシリトールモノアリルエーテルの使用がより好ましい。なお、10:0の場合には、原料は、実質的に、構造式:CH
2=CH−CH
2−OCH
2[CH(OH)]
3CH
2OHで表されるキシリトールモノアリルエーテルのみからなる精製物である。
【0078】
(e)反応性不飽和基を1分子中に1つ有する炭化水素化合物又は反応性不飽和基を1分子中に1つ有する鎖状オルガノポリシロキサンとしては、下記一般式:
【化34】
(式中、R’は上記のとおりであり、
R
2’は炭素原子数7〜58の、置換若しくは非置換の、直鎖状又は分岐状の一価炭化水素基又は下記一般式(2−1);
【化35】
(式中、R
11、t及びrは上記のとおりである)若しくは下記一般式(2−2);
【化36】
(式中、R
11及びrは上記のとおりである)で表される鎖状のオルガノシロキサン基を表す)で表されるモノ不飽和有機化合物が好ましい。
【0079】
(e)反応性不飽和基を1分子中に1つ有する炭化水素化合物としては、炭素原子数9〜30のモノ不飽和炭化水素が好ましく、1−アルケンがより好ましい。1−アルケンとしては、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン等が例示される。反応性不飽和基を1分子中に1つ有する鎖状オルガノポリシロキサンとしては、片末端ビニル基封鎖ジメチルポリシロキサン、片末端ビニル基封鎖メチルフェニルポリシロキサン等が例示される。
【0080】
ヒドロシリル化反応は、触媒の存在下で行うことが好ましく、白金、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム等の化合物を挙げることができ、その触媒活性が高いことから白金化合物が特に有効である。白金化合物の例としては、塩化白金酸;金属白金;アルミナ、シリカ、カーボンブラック等の坦体に金属白金を坦持させたもの;白金−ビニルシロキサン錯体、白金−ホスフイン錯体、白金−ホスファイト錯体、白金アルコラート触媒等の白金錯体を挙げることができる。触媒の使用量は、白金触媒を使用する場合、金属白金として0.5〜1000ppm程度である。
【0081】
更に、前記糖アルコール変性シリコーンは、不飽和化合物の残存による反応後の臭気改善を目的として、水素添加処理を行ってもよい。水素添加処理には、加圧水素ガスを使用する方法と金属水素化物等の水素添加剤による方法とがあり、更に、該水素添加処理には均一反応と不均一反応がある。これらの一方を単独で行うこともできるが、これらを組合せて行うことも可能である。しかし、使用した触媒が製品に残存しないという利点を考慮すると、固体触媒を用いた不均一接触水素添加反応が最も好ましい。
【0082】
固体触媒(水素化触媒)としては、一般的な白金系触媒及びパラジウム系触媒等の貴金属系触媒、並びにニッケル系触媒を用いることができる。より具体的には、ニッケル、バラジウム、白金、ロジウム、コバルト等の単体並びに白金−パラジウム、ニッケル−銅−クロム、ニッケル−銅−亜鉛、ニッケル−夕ングステン及びニッケル−モリブデン等の複数の金属を組み合わせた触媒を例示することができる。任意に使用される触媒担体としては、活性炭、シリカ、シリカアルミナ、アルミナ、ゼオライト等を挙げることができる。また、Cu-Cr 、Cu-Zn 、Cu-Si 、Cu-Fe-Al、Cu-Zn-Ti等の銅含有水素化触媒等があげられる。前記水素化触媒の形態は一概には決定することができないが、通常、粉末、顆粒、錠剤等の形態から適宜選択することができる。また、合成工程(ヒドロシリル化反応)で使用した白金触媒をそのまま使用することもできる。これらの水素化触媒は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0083】
水素添加処理は、上記した付加反応により得られた糖アルコール変性シリコーンの粗製品を精製するためにも使用することができる。具体的には、水素化触媒の存在下、溶媒中若しくは無溶媒中で水素添加処理による無臭化を行って精製することができ、化粧料等に配合後の経時着臭の更なる低減及び他の成分との相溶性が求められる外用剤又は化粧料用途で、かかる精製品を用いることができる。また、前記無臭化の前工程又は後工程として、糖アルコール変性シリコーンの粗製品又は水素添加物に対して、減圧下に窒素ガスを接触させて軽質物を留去するストリッピング処理を行うことが好ましい。しかしながら、水素添加処理は費用対効果を考えた場合、経済的には不利となる。
【0084】
本発明に係る低臭性糖アルコール変性シリコーンは、糖アルコール変性シリコーン単独、又は、糖アルコール変性シリコーンと酸性物質その他を含む組成物の態様で得られるものであり、いずれであっても本発明の酸処理により、低臭化を達成することができる。糖アルコール変性シリコーン及び酸性物質その他を含む組成物の場合、糖アルコール変性シリコーンの配合量は特に限定されるものではないが、組成物の全重量(質量)を基準にして1〜99重量(質量)%、好ましくは5〜95重量(質量)%、より好ましくは10〜90重量(質量)%、更により好ましくは20〜80重量(質量)%、更により好ましくは30〜70重量(質量)%の範囲とすることもできる。
【0085】
(酸性物質)
本発明で使用される酸性物質は特に限定されるものではなく、ルイス酸、ブレンステッド酸、又は、アレニウス酸のいずれの定義に合致するものであってよい。本発明で使用される酸性物質は水溶性酸であることが好ましい。したがって、本発明で使用される酸性物質は水溶液中でプロトンを放出するアレニウス酸であることが好ましい。酸性物質は1種類を単独で使用してもよく、また、2種類以上を使用してもよい。本発明では、そのような酸性物質を用いることにより、炭素−酸素結合やケイ素−酸素結合の切断を生じることなく、糖アルコール変性シリコーンを実質的に無臭化し、経時での臭気生成をほぼ完全に抑制することができる。
【0086】
前記酸性物質は、無機酸、有機酸、酸性無機塩、固体酸、及び、酸性白金触媒からなる群から選択されることができる。
【0087】
無機酸は特に限定されるものではないが、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、炭酸、ホウ酸、スルホン酸、スルフィン酸等が挙げられる。なお、ベンゼンスルホン酸等の有機基を含むものは無機酸としては好ましくない。
【0088】
有機酸も特に限定されるものではないが、モノカルボン酸(モノヒドロキシモノカルボン酸、ジヒドロキシモノカルボン酸を含む)、ジカルボン酸(モノヒドロキシジカルボン酸、ジヒドロキシジカルボン酸を含む)、ポリカルボン酸等を使用することが可能であり、例えば、
蟻酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸等の直鎖飽和脂肪族モノカルボン酸(アルカン酸);
2−メチルプロパン酸、2−メチルブタン酸、トリメチルプロパン酸、2−メチルペンタン酸、トリメチル酢酸等の分岐飽和脂肪族モノカルボン酸(アルカン酸);
アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、アセトビニル酸、アセトアリル酸、ヘキセン酸、ヘプテン酸、オクテン酸等の不飽和脂肪族モノカルボン酸(アルケン酸);
プロピオール酸、テトロル酸、アリル酢酸、ヘキシン酸、オクチン酸等の不飽和脂肪族モノカルボン酸(アルキン酸);
ペンタジエン酸、ソルビン酸等の多価不飽和脂肪族モノカルボン酸;
クエン酸、乳酸、グリコール酸、α−オキシ酪酸等のα−ヒドロキシモノカルボン酸;
2−ヒドロキシ吉草酸、2−ヒドロキシカプロン酸、β−オキシ酪酸等のβ−ヒドロキシモノカルボン酸;
γ−オキシ酪酸等のγ−ヒドロキシモノカルボン酸;
グリセリン酸等のジヒドロキシモノカルボン酸;
ヒドロキシ(メタ)アクリル酸等のその他のヒドロキシモノカルボン酸;
シュウ酸、マロン酸、琥珀酸、グルタル酸、アジピン酸等の飽和脂肪族ジカルボン酸;
タルトロン酸、リンゴ酸等のモノヒドロキシ飽和脂肪族ジカルボン酸
酒石酸等のジヒドロキシ飽和脂肪族ジカルボン酸;
マレイン酸、フマル酸等の不飽和脂肪族ジカルボン酸;
安息香酸等の芳香族モノカルボン酸;
フタル酸等の芳香族ジカルボン酸;
グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、グルタミン酸、アスパラギン酸、PL−ピロリドンカルボン酸等のアミノ酸;
没食子酸等のポリカルボン酸が挙げられる。
【0089】
また、有機酸として、アルキル硫酸、アルキルリン酸、フェノール等も使用可能である。なお、高級脂肪酸又はその塩は有機酸としては好ましくない。
【0090】
酸性無機塩も限定されるものではないが、水溶性のものが好ましく、特に、25℃で固体であり、かつ、50gをイオン交換水1Lに溶解させたときの水溶液の25℃におけるpHが4以下、好ましくは3.5以下、より好ましくは2.0以下である水溶性の酸性無機塩が好ましい。酸性無機塩が室温(25℃)で固体である場合には、必要に応じて、ろ過により容易に除去することができる。また、酸性無機塩が水溶性の場合には、必要に応じて、水で容易に洗い流すことができる。なお、本発明におけるpHの値は、室温(25℃)下、試料水溶液を、ガラス電極を備えたpH計を用いて測定した値である。
【0091】
酸性無機塩として、例えば、二価以上の無機酸の少なくとも一価の水素原子が塩基により中和された酸性無機塩を用いることができる。二価以上の無機酸としては例えば、硫酸、亜硫酸等が挙げられる。塩基としては、アルカリ金属、アンモニア等が挙げられる。
【0092】
酸性無機塩は、より具体的には、硫酸水素イオン(HSO
4−)又は亜硫酸水素イオン(HSO
3−)及び1価の陽イオン(M
+)からなる1種以上の酸性無機塩であることが好適であり、1価の陽イオン(M
+)として、アルカリ金属イオン又はアンモニウムイオンが例示される。特に好適には、ナトリウムイオン、カリウムイオン及びアンモニウムイオンからなる群から選択される1種類以上の1価の陽イオンが好ましい。
【0093】
酸性無機塩としては、例えば、硫酸水素リチウム、硫酸水素ナトリウム、硫酸水素カリウム、硫酸水素ルビジウム、硫酸水素セシウム、硫酸水素アンモニウム、亜硫酸水素ナトリウム、又は、これらの水和物、並びに、AlCl
3、FeCl
3、TiCl
4、BF
3・Et
2O等のルイス酸が具体的に例示される。幾つかの酸性無機塩50gをイオン交換水1Lに溶解させたときの水溶液のpHは下表に例示する通りである。低臭化という技術的効果から、pHが2.0以下の水溶性の酸性無機塩として、硫酸水素ナトリウム、硫酸水素カリウム及び硫酸水素アンモニウムからなる群から選択される1種以上の酸性無機塩の使用がもっとも好適である。
【表1】
【0094】
固体酸としては、例えば、活性白土、酸性白土、固体酸性酸化ジルコニウム、強酸性陽イオン交換樹脂、フッ素化スルホン酸樹脂、アルミナ、シリカアルミナ、ゼオライト等の酸性の固体物質を使用することができる。固体酸性酸化ジルコニウムが好ましい。固体酸性酸化ジルコニウムとしては、例えば、ジルコニウム水酸化物を硫酸で処理した後、300℃以上で調製したもの、更に詳しくは、アルミニウム水酸化物又は水和酸化物、ジルコニウム水酸化物又は水和酸化物、及び、硫酸分含有化合物を混練し成形して得られた成形物を、正方晶構造のジルコニアが得られる温度、具体的には300℃以上で焼成することにより、調製した固体酸性ジルコニウム、具体的には硫酸ジルコニア等が挙げられる。固体酸性酸化ジルコニウムとしては(株)ジャパンエナジー製のSZA−60が市販されている。強酸性陽イオン交換樹脂は、例えば、官能基がスルホン酸基(−SO
3H)である陽イオン交換樹脂であり、市販のものとして、オルガノ(株)販売のアンバーリスト15、アンバーリスト16、アンバーリスト31、アンバーリスト35等がある。フッ素化スルホン酸樹脂は、重合体鎖に結合した懸垂状のスルホン酸基を有する過フッ素化された重合体であって、その具体例としては、特公昭59−4446号工法に記載のもの等が挙げられる。
【0095】
酸性白金触媒としては、例えば、塩化白金酸、アルコール変性塩化白金酸、塩化白金酸のオレフィン錯体、塩化白金酸のケトン錯体、塩化白金酸のビニルシロキサン錯体、四塩化白金等を使用することができる。塩化白金酸が好ましい。
【0096】
(糖アルコール変性シリコーンの酸処理及び臭気の低減)
本発明の糖アルコール変性シリコーンの製造方法は、糖アルコール変性シリコーンを少なくとも1種の酸性物質で処理する酸処理工程を含み、これにより糖アルコール変性シリコーンの臭気を大きく低減することを特徴とする。このため、本発明の製造方法は、「臭気低減方法」という側面を有する。以下、その詳細を示す。
【0097】
前記糖アルコール変性シリコーンの種類、製造方法等は既述のとおりである。すなわち、前記糖アルコール変性シリコーンは、例えば、炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1種の糖アルコール基含有化合物、及び、少なくとも1種のオルガノハイドロジェンポリシロキサンをヒドロシリル化反応させて得ることができる。1種類の糖アルコール基含有化合物のみを使用してもよく2種類以上の糖アルコール基含有化合物を併用してもよい。また、前記酸性物質の種類、製造方法等も既述のとおりである。1種類の酸性物質のみを使用してもよく2種類以上の酸性物質を併用してもよい。
【0098】
前記酸処理工程は、前記糖アルコール変性シリコーンを前記酸性物質と任意の態様で接触させることによって実施することができる。
【0099】
具体的には、前記酸処理工程は、例えば、前記糖アルコール変性シリコーンを含む反応系(例えば、フラスコ等の反応容器)中に、少なくとも1種の前記酸性物質、並びに、任意に水、アルコール等の有機溶媒を添加して撹拌する等の操作によって実施することができる。
【0100】
特に、前記糖アルコール変性シリコーンを含む反応系中に、少なくとも1種の前記酸性物質と水を添加して、機械力を用いて撹拌することが好ましい。酸処理工程は任意の温度、処理時間を選択して行うことができ、0〜200℃、より好ましくは50〜100℃の温度条件で、0.1〜24時間、より好ましくは0.5〜10時間程度の反応時間で行うことが可能である。酸性物質の使用量は、酸強度、処理装置及び処理時間、処理温度に応じて適宜選択することができるが、例えば硫酸水素ナトリウムや硫酸水素カリウム、硫酸水素アンモニウム、クエン酸、グリコール酸、リン酸等中程度の酸強度を持つ酸性物質の場合には、糖アルコール変性シリコーンに対して10〜500ppmの範囲が好ましく、20〜200ppmの範囲がより好ましい。また、塩酸や硫酸等酸強度のより大きな酸性物質の場合には、糖アルコール変性シリコーンに対して0.1〜50ppmの範囲が好ましく、酸強度の小さい弱酸性物質や活性白土,酸性白土,固体酸性酸化ジルコニウム,強酸性陽イオン交換樹脂,フッ素化スルホン酸樹脂,ゼオライト等に代表される固体酸の場合には、糖アルコール変性シリコーンに対して500〜10000ppmの範囲が好ましい。
【0101】
本発明の製造方法において、臭気低減を効率よく行う観点から、前記酸処理工程後に、加熱及び/又は減圧する工程(ストリッピング工程)を含むことが好ましい。前記加熱及び/又は減圧によって、臭気原因物質である低沸点成分を除去(ストリッピング)することができる。また、ストリッピング後に、再び酸処理工程を行うことでより多くの臭気原因物質を除去することができる。このとき、反応系に酸性物質が残存している場合には、新たに酸性物質を追加する必要はなく、水のみを添加すればよいという利点がある。すなわち、上記の酸処理工程及びストリッピング工程は、低臭化の程度を高める目的等でそれぞれ2回以上繰り返し行うことができる。
【0102】
ストリッピング工程によって留去される「低沸点成分」には、臭気原因物質であるプロピオンアルデヒド等のカルボニル化合物や低分子量のアセタール等の他、糖アルコール変性シリコーンの合成等に使用した反応溶媒等の揮発成分が含まれる。
【0103】
なお、ストリッピング工程は、前記酸処理工程の前に実施してもよい。
【0104】
ストリッピング方法としては、公知の反応条件を採用することが可能であるが、常圧下又は減圧下でのストリッピングが好ましく、120℃以下で行うことが好ましい。効率よくストリッピングするためには、減圧下で行うか、例えば窒素ガスのような不活性ガス注入下で行うことが好ましい。低沸点成分の留去操作の一例を具体的に示せば、低沸点成分が含まれている糖アルコール変性シリコーン若しくはその組成物、又は、その水素添加物を、還流冷却管、窒素挿入口等を備えたフラスコに仕込み、窒素ガスを供給しながら内部を減圧して昇温し、圧力と温度を一定に保持することにより軽質物を留去させる。ここに減圧条件としては、0.1〜10.0KPaとされ、加熱温度としては50〜170℃とされ、処理時間としては10分間〜24時間とすることが一般的である。
【0105】
本発明では、前記酸処理工程後に、塩基性物質によって糖アルコール変性シリコーンを中和処理してもよい。塩基性物質としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、アンモニア水、炭酸水素ナトリウム等の無機塩基、アミン、ピリジン等の有機塩基等を挙げることができる。塩基性物質の量は糖アルコール変性シリコーンを含む反応系を中和する量が好ましいが、必要に応じて、弱酸性又は弱アルカリ性となるよう添加量を加減することもできる。
【0106】
本発明では、前記酸処理工程の前及び/又は後に、或いは、前記ストリッピング工程の前及び/又は後に水素添加処理を行ってもよく、かかる形態も、本願発明の権利範囲に包含される。なお、水素添加反応による無臭化処理を行えば、更なる臭気低減効果を得ることは可能であるが、水素添加処理は工程が複雑であり、比較的高価な試薬、及び、特殊な装置が必要である。一方、本発明では前記酸処理工程によって十分な臭気低減効果を得ることができるので、そのような水素添加処理を実施する必要が乃至たがって、本発明では水素添加処理を省略することができる。
【0107】
(糖アルコール変性シリコーンの合成工程及び酸処理工程)
本発明に係る酸処理工程は、糖アルコール変性シリコーンとの接触が可能であれば、任意の段階で行うことができる。
【0108】
すなわち、糖アルコール変性シリコーンの製造工程において、酸性物質を共存させることにより、ヒドロシリル化反応等で得られた糖アルコール変性シリコーンを一段階で低臭化する工程であってもよい。また、糖アルコール変性シリコーンの合成工程後に、別のプロセスとして酸処理工程を行っても良い。更に、既に製造された糖アルコール変性シリコーンに、出荷或いは使用前等のタイミングで酸性物質を添加する工程であっても良い。なお、これらの酸処理工程後に、臭気原因物質の除去工程(好適には、ストリッピング工程)を付すことが好ましく、所望により、2回以上の酸処理工程を行っても良い。
【0109】
より具体的には、本発明に係る低臭性糖アルコール変性シリコーンの製造方法は、以下の(1)〜(3)のいずれの形態であってもよい。
(1)少なくとも1種の酸性物質の存在下で、
炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1種の糖アルコール基含有化合物、及び、少なくとも1種のオルガノハイドロジェンポリシロキサンをヒドロシリル化反応させる工程を含む、低臭性糖アルコール変性シリコーンの製造方法。
(2)炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1種の糖アルコール基含有化合物、及び、少なくとも1種のオルガノハイドロジェンポリシロキサンをヒドロシリル化反応させて糖アルコール変性シリコーンを得る工程、並びに
前記糖アルコール変性シリコーンを少なくとも1種の酸性物質で処理する工程
を含む、低臭性糖アルコール変性シリコーンの製造方法。
(3)少なくとも1種の反応媒体の存在下で、炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1種の糖アルコール基含有化合物、及び、少なくとも1種のオルガノハイドロジェンポリシロキサンをヒドロシリル化反応させて糖アルコール変性シリコーンを得る工程、並びに
前記得られた糖アルコール変性シリコーンに少なくとも1種の酸性物質を添加する工程
を含む、低臭性糖アルコール変性シリコーンの製造方法。
【0110】
特に、臭気をより有効に低減し、低臭化された外用剤又は化粧料の原料(糖アルコール変性シリコーン)を工業的に得る観点から、本発明に係る製造方法は、
(a)炭素−炭素二重結合を有する糖アルコール基含有化合物と、
(b)オルガノハイドロジェンポリシロキサン とをヒドロシリル化反応させることにより糖アルコール変性シリコーンを合成する工程〔A〕;及び
上記合成工程〔A〕と共に、又は、上記合成工程〔A〕の後に、
糖アルコール変性シリコーンを、少なくとも1種の酸性物質の存在下で処理する工程〔B〕
を含むことを特徴とする糖アルコール変性シリコーンの製造方法であることが好ましい。
【0111】
前記糖アルコール基含有化合物の種類等は既述のとおりである。すなわち、前記糖アルコール基含有化合物としては、1分子中に炭素−炭素二重結合を1つ有する糖アルコール基含有化合物を使用することができるが、1分子中に炭素−炭素二重結合を1つ有する糖アルコールの不飽和エーテル化合物を好適に使用することができる。特に、キシリトールモノアリルエーテルが好ましい。
【0112】
前記オルガノハイドロジェンポリシロキサンの種類等も既述のとおりである。すなわち、ケイ素原子結合水素原子を有する限り、前記オルガノハイドロジェンポリシロキサンは特に限定されるものではないが、上記一般式(1’)で表されるオルガノハイドロジェンシロキサンが好ましい。
【0113】
このようなオルガノハイドロジェンポリシロキサンの分子構造は限定されず、直鎖状、一部分岐状を有する直鎖状、分岐鎖状、環状、樹枝状が例示され、好ましくは直鎖状である。またその分子量は特に限定されず、低分子量体から高分子量体まで使用できる。具体的には、数平均分子量が100〜100万の範囲であることが好ましく、300〜50万の範囲がより好ましい。
【0114】
このようなオルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、下記構造式で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンが例示される。これらのオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、(i)側鎖のみ、(ii)側鎖又は分子鎖の片末端、(iii)側鎖又は分子鎖の両末端に珪素結合水素原子を有する直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサンである。
【化37】
【化38】
【化39】
式中、R
1は一般式(1’)における定義のとおりであり、vは0又は正の整数であり、wは正の整数であり、zは0又は正の整数である。
【0115】
特に、好適に使用することができる直鎖状のオルガノハイドロジェンポリシロキサンとして、上記式(1−1)’で示されるポリシロキサンが例示される。このようなオルガノハイドロジェンポリシロキサンは1種類を単独で用いてもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0116】
ヒドロシリル反応は既述したように実施することができる。例えば、ヒドロシリル化反応は、溶媒の存在下又は不存在下、公知の方法に従って行うことができる。反応溶媒としては、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶剤;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤;ジオキサン、THF等のエーテル系溶剤;n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘプタン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶剤;四塩化炭素等の塩素化炭化水素系の有機溶剤を挙げることができる。
【0117】
ヒドロシリル化反応は、触媒の不存在下で行ってもよいが、触媒の存在下に行うことにより低温で、短時間に反応が進行するので好ましい。ヒドロシリル反応触媒の種類、使用方法等は既述したとおりである。
【0118】
ヒドロシリル化反応の反応温度としては、通常20〜120℃であり、反応時間は、通常10分間〜24時間、好ましくは1〜10時間である。
【0119】
上記のヒドロシリル化反応を行う際に、[糖アルコール基含有化合物中の炭素−炭素二重結合の物質量/オルガノハイドロジェンポリシロキサン中の、前記糖アルコール基含有化合物の炭素−炭素二重結合に付加させたい珪素結合水素原子の物質量]の比は0.8〜1.5となる範囲が好ましく、1.0〜1.3となる範囲がより好ましい。すなわち、本発明に係る糖アルコール変性シリコーン又は糖アルコール変性シリコーン含有組成物を合成する場合には、糖アルコール基含有化合物を若干過剰に使用することがより好ましい。上記の比が1.5を超える仕込みも可能であるが、残存原料の割合が増えるために非経済的である。なお、上記の比が0.8〜1.0の場合にはヒドロシリル化反応によって消費される珪素結合水素原子は0.8〜1.0の範囲となり、0〜0.2の比率で珪素結合水素原子が残存する計算となるが、反応条件により、糖アルコール基中に含まれる水酸基や反応溶媒のアルコール性水酸基等との脱水素反応を生じさせ、当該残存珪素結合水素原子を消費することが可能である。
【0120】
一方、上記の比が0.8未満では、未反応のオルガノハイドロジェンポリシロキサンが残存するおそれがある。このような糖アルコール変性シリコーン又は糖アルコール変性シリコーン含有組成物を外用剤又は化粧料原料として用いた場合には、残存するオルガノハイドロジェンポリシロキサンが他の原料と反応し、水素ガスが発生する原因となり、配合先の外用剤又は化粧料の変質、火災の原因、容器の膨張等の好ましくない影響をもたらしうる。また、上記の比が0.8未満の状況下で、脱水素反応により残存した珪素結合水素原子を消費しようとした場合、Si−O−C 架橋結合の割合が増えるため製造中にゲル化する危険が高まる。従って、安全にオルガノハイドロジェンポリシロキサンを完全消費できるように、上記の比が0.8を超える、すなわち、糖アルコール基含有化合物を0.8当量より多い条件で反応させることが好ましい。
【0121】
また、前記酸性物質の種類等も既述のとおりである。1種類の酸性物質のみを使用してもよく2種類以上の酸性物質を併用してもよい。また、酸処理工程及び加熱及び/又は減圧することにより、臭気原因物質を除去する工程(ストリッピング工程)は、2回以上繰り返して行っても良い。
【0122】
(カルボニル価測定方法)
更に、本発明は、糖アルコール変性シリコーンの臭気の原因の1つと考えられるカルボニル化合物を正確に、また、簡便に定量する方法を提供する。当該方法は、簡便かつ安全な手段により、製品の臭気の程度を定量化することができる。このため、官能試験を行う必要なく、低臭化の程度を、安全に、且つ、客観的に数値化することが可能であり、本発明に係る糖アルコール変性シリコーン、又はそれを含む外用剤若しくは化粧料の製品において、当該製品が低臭化されていることを需要者に対して明示することを可能にする点で、有用である。
【0123】
当該方法は、より具体的には、カルボニル化合物を含む糖アルコール変性シリコーン又は該糖アルコール変性シリコーンを含む組成物、及び、2,4−ジニトロフェニルヒドラジン(2,4−DNPH)を少なくとも1種の炭素原子数1〜4の一価低級アルコールを含む反応媒体中で反応させて得られる反応溶液の吸光度から当該糖アルコール変性シリコーン又はそれを含む組成物のカルボニル価を測定する方法である。なお、「カルボニル化合物」には、アルデヒド類やケトン類のようにカルボニル基を有する化合物のほか、アセタールやプロペニルエーテル等、カルボニル基を有していないが、ある条件で分解してカルボニル基を生じるような潜在的なカルボニル化合物も含まれる。
【0124】
本発明では、糖アルコール変性シリコーン又はそれを含む組成物中のカルボニル化合物と2,4−DNPHとを反応させて得られる反応溶液の吸光度から、当該糖アルコール変性シリコーン又はそれを含む組成物のカルボニル価を求めており、このカルボニル価から、予め測定された検量線を利用して、当該糖アルコール変性シリコーン又は当該組成物中におけるプロパナール換算のカルボニル総量を測定することができる。
【0125】
「カルボニル価」とは、カルボニル含有量の指標値であって、2,4−DNPHを試料に反応させてなる反応溶液の吸光度(430nm又は460nmの吸光度)を試料1gあたりに換算することにより求められる値をいう。
【0126】
カルボニル価の測定は、酸の存在下にカルボニル類と2,4−DNPHとを反応させて生成されたヒドラゾンが、塩基性でキノイドイオンとなって発色する性質を利用するものであり、発色の程度を示す430nm(その近傍に飽和カルボニルに由来の極大波長がある。)又は460nm(その近傍に不飽和カルボニルに由来の極大波長がある。)の吸光度から、カルボニル価が求められる。
【0127】
「カルボニル総量」とは、糖アルコール変性シリコーン又はそれを含む組成物に対するカルボニル化合物の総量である。カルボニル化合物の濃度(プロピオンアルデヒドの濃度)が既知である標準試料についてのカルボニル価を測定して検量線を得ることにより、種々の試料(糖アルコール変性シリコーン又はそれを含む組成物)について、カルボニル化合物の濃度(カルボニル総量)を測定することができる。
【0128】
本発明の測定方法では、カルボニル化合物と2,4−DNPHとの反応における反応溶媒として、炭素原子数1〜4の一価低級アルコール少なくとも使用するが、水を併用することが好ましい。
【0129】
反応溶媒として、炭素原子数1〜4の一価低級アルコールと共に、水を使用することにより、アセタール等のアルデヒド縮合物(潜在的なカルボニル化合物)を含有する試料であっても、そのカルボニル価を高い精度で確実に求めることができ、着臭原因物質であるこれらに由来するカルボニル化合物をも考慮した合目的的なカルボニル総量を定量することが可能となる。この理由としては明らかではないが、反応系に水が存在することにより、アルデヒド縮合物が分解されて2,4−DNPHとの反応が確実に行われるからであると推測される。炭素原子数1〜4の一価低級アルコールと水とからなる反応溶媒における両者の混合割合としては、炭素原子数1〜4の一価低級アルコール:水(質量比)が99.9:0.1〜50:50が好ましく、99:1〜75:25がより好ましい。
【0130】
本発明において、「反応溶媒」とは、試料中のカルボニル化合物と、2,4−DNPHとの反応系に存在する溶媒をいい、(a)試料溶液を調製するために使用した溶媒のほか、(b)添加する酸の溶液を調製するために使用した溶媒、(c)2,4−DNPHの溶液を調製するために使用した溶媒等により反応溶媒が構成される。
【0131】
(a)試料溶液を構成するアルコール、(b)酸の溶液を構成するアルコール、(c)2,4−DNPHの溶液を構成するアルコールが、それぞれ、炭素原子数1〜4の一価低級アルコールでなくてもよく、これらを混合してなる反応溶媒中のアルコールが、炭素原子数1〜4の一価低級アルコールを含んでいればよい。
【0132】
本発明の測定方法では、反応溶液の吸光度を測定する際に当該反応溶液の容量を一定にするために添加する溶媒(以下、「希釈溶媒」ともいう)としてアルコールを使用することが好ましく、炭素原子数1〜4の一価低級アルコールを使用することが好ましい。なお、希釈溶媒のすべてがアルコールである必要はなく、本発明の効果が損なわれない範囲において、希釈溶媒の一部として、水及び/又は有機溶剤(その構造にカルボニル基を有さないものであって、有害性の少ないもの)を使用してもよい。
【0133】
前記炭素原子数1〜4の一価低級アルコールとしては、飽和アルコールが好ましく、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、sec−ブタノールが挙げられる。これらの一価低級アルコールは、、糖アルコール変性シリコーン又はそれを含む組成物の構造や組成に応じて、それら試料を溶解乃至は均一分散できるものを適宜選択することが好ましい。例えば、糖アルコールによる変性率が大きく親水性の大きい糖アルコール変性シリコーン又はそれを含む組成物の場合には、メタノールやエタノールを選択することが適している。一方、糖アルコールによる変性率が小さく親水性のあまり大きくない糖アルコール変性シリコーン又はそれを含む組成物の場合には、n−プロパノールやi−プロパノールを選択することが適している場合が多い。更に、長鎖アルキル基等有機的な油性の強い基によって共変性された糖アルコール変性シリコーン又はそれを含む組成物の場合には、n−ブタノールやi−ブタノール、sec−ブタノールを選択することが適している。炭素原子数1〜4の一価低級アルコールとして1種類のものを単独で使用してもよく2種類以上を混合して使用してもよい。
【0134】
これらのアルコールは、ベンゼンのような有害性がなく、また、極性・分子量の異なる種々の物質を溶解することができる。従って、反応溶媒及び希釈溶媒として、これらのアルコールを使用することにより、カルボニル価を求めるための各操作を安全かつ容易に行うことができる。
【0135】
前記炭素原子数1〜4の一価低級アルコールとしては、例えば、試薬特級品レベルの純度のものであれば、通常は問題なく使用可能である。しかし、特に精密な分析を必要とする場合には、そこに含まれるアルデヒド・ケトンの総量が3ppm以下、好ましくは2ppm以下、より好ましくは1ppm以下のもの(以下、「超高純度アルコール」ともいう)を使用することが好ましい。アルデヒド・ケトンの総量が3ppm以下である超高純度アルコールを反応溶媒として使用することにより、カルボニル含有量が少ない(例えば、カルボニル価が2未満)試料についても、カルボニル価を有効数字3ケタまで正確に求めることができる。
【0136】
超高純度アルコールの調製方法(精製方法)としては、精製すべきアルコールに、2,4−DNPH及び酸化作用を有しない酸(例えば塩酸やトリクロロ酢酸)を適量添加し、この系を数時間かけて加熱攪拌した後、常圧又は減圧下にアルコールを蒸留する方法を挙げることができる。なお、これらの精製処理は、反応溶液について吸光度の測定を行う前24時間以内に実施することが好ましい。
【0137】
また、超高純度アルコールとして、アルデヒド・ケトンの総量が3ppm以下となるまで精製された市販の高純度試薬を使用することが好ましい。超高純度アルコールとして使用することのできる市販の高純度試薬としては、エタノール(99.8%)インフィニティピュア、エタノール(99.8%)精密分析用、エタノール(99.5%)高速液体クロマトグラフ用、エタノール(99.5%)分光分析用、2−プロパノール(99.9%)インフィニティピュア、2−プロパノール(99.9%)精密分析用、2−プロパノール(99.5%)高速液体クロマトグラフ用、2−プロパノール(99.5%)分光分析用、1−プロパノール(99.8%)インフィニティピュア、1−プロパノール(99.5%)高速液体クロマトグラフ用、メタノール(99.8%)インフィニティピュア、メタノール(99.8%)精密分析用、メタノール(99.5%)高速液体クロマトグラフ用、メタノール(99.5%)分光分析用、n−ブチルアルコール高速液体クロマトグラフ用、n−ブチルアルコール分光分析用(以上、和光純薬工業(株)製)等を例示することができる。
【0138】
なお、上記のような高純度試薬であっても、アルデヒド・ケトンの総量が経時的に増加してアルデヒド・ケトンの総量が3ppmを超えることがある。また、開封後においては比較的短い時間(例えば24時間以内)で当該総量が3ppmを超えてしまう。そこで、特に精密な分析を必要とする場合には、超高純度アルコールとしての必須要件(アルデヒド・ケトンの総量が3ppm以下)を満足させる観点から、当該高純度試薬は、
(a)使用前6月以内に製造されたものであり、かつ、
(b)使用前24時間以内に開封されたものであることが好ましい。
【0139】
本発明の測定方法では、反応溶媒として使用する溶媒が、炭素原子数1〜4の一価低級アルコール又は炭素原子数1〜4の一価低級アルコールと水との混合溶媒のみからなる必要はなく、本発明の効果が損なわれない範囲において、反応溶媒の一部として、その構造にカルボニル基を有さないものであって、有害性の少ない有機溶剤を使用してもよい。但し、反応溶媒の一部として、炭素原子数1〜4の一価低級アルコール以外の有機溶剤を使用する場合には、当該有機溶剤(一部)と、炭素原子数1〜4の一価低級アルコール(残部)とを混合してなる反応溶媒(水を除く全部)に含まれるアルデヒド・ケトンの総量が3ppm以下であることが好ましい。
【0140】
本発明の測定方法においては、試料を溶媒に溶解してなる試料溶液に酸及び2,4−DNPHを添加し、この系を加熱処理することによって試料中のカルボニル化合物と2,4−DNPHとを反応させ、冷却後、この系にアルカリを添加し、次いで、希釈溶媒で一定の容量に調整することにより、塩基性の反応溶液(吸光度の測定に供される反応溶液)を調製することができる。ここに、塩基性の反応溶液を調製するための容器としては、容量が10〜100mLのメスフラスコを使用することが好ましい。
【0141】
(1) 試料溶液
試料溶液を調製するために使用する溶媒は、そのまま反応溶媒を構成するものとなるので、かかる溶媒としては、超高純度アルコールと水との混合溶媒が好ましい。吸光度を測定するために使用する試料溶液(試料及び溶媒)の質量としては、通常2〜6g程度とされ、好ましくは5g程度とされる。試料溶液中に含める試料の質量としては、吸光度の測定に供される反応溶液の調製量(使用するメスフラスコの容量)、試料中のカルボニル含有量(カルボニル価)によっても異なるが、例えば50mLのメスフラスコを使用して反応溶液(吸光度の測定に供される反応溶液)を調製する場合、純分で5〜250mgであることが好ましく、更に好ましくは10〜150mgとされる。
【0142】
(2)酸
試料溶液に添加される酸としては、希硫酸、塩酸、希硝酸、燐酸等の鉱酸、トリクロロ酢酸、トリフロロ酢酸、ギ酸、酢酸、スルホン酸、フェノール酸等の有機酸、AlCl
3 、FeCl
3 、TiCl
4 等のルイス酸等を挙げることができ、これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。これらのうち、高度に精製された糖アルコール変性シリコーン又はそれを含む組成物におけるカルボニル総量を正確に定量できるという観点から、トリクロロ酢酸、希硫酸(特に濃度20%以下のもの)及び塩酸(特に濃度37%以下のもの)が好ましい。また、本発明で使用する酸は、できるだけ高純度のもの(試薬特級又はそれ以上の純度のもの)であることが好ましい。
【0143】
これらの酸は、試料溶液にそのまま添加してもよいが、正確な計量を行う等の観点から、適宜の溶媒に溶解してなる溶液状態で添加することが好ましい。なお、酸の溶液を調製するために使用する溶媒はそのまま反応溶媒を構成するものとなるので、かかる溶媒としては、炭素原子数1〜4の一価低級アルコール、又は、炭素原子数1〜4の一価低級アルコールと水との混合溶媒を使用することが好ましい。50mLのメスフラスコで反応溶液(純分で5〜250mgの試料を含む反応溶液)を調製する場合に、酸の添加量は、純分で0.03〜5.0gであることが好ましい。
【0144】
(3)2,4−DNPH
試料溶液に添加される2,4−DNPHとしては、等量の水を含有する試薬特級又はそれ以上の純度のものを用いることが好ましい。また、再結晶等の精製操作により更に純度を高くしてもよい。2,4−DNPHは、試料溶液にそのまま添加してもよいが、正確な計量を行う等の観点から、適宜の溶媒に溶解してなる溶液状態で添加することが好ましい。なお、2,4−DNPHの溶液を調製するために使用する溶媒は、そのまま反応溶媒を構成するものとなるので、かかる溶媒としては、炭素原子数1〜4の一価低級アルコール、又は、炭素原子数1〜4の一価低級アルコールと水との混合溶媒を使用することが好ましい。50mLのメスフラスコで反応溶液(純分で5〜250mgの試料を含む反応溶液)を調製する場合に、2,4−DNPHの添加量は、純分で0.5〜100mgであることが好ましい。
【0145】
(4)加熱処理
試料、酸及び2,4−DNPHを含有する混合溶液の加熱処理条件としては、30〜120℃(但し、反応溶媒の沸点よりも低い温度)で20〜180分間とされる。処理温度が30℃未満では、試料中のカルボニル化合物と、2,4−DNPHとの反応に長時間を要し効率的ではない。一方、120℃よりも高い温度で加熱すると、生成したヒドラゾンが分解するおそれがある。処理時間が20分間未満では、2,4−DNPHとの反応を完結させることが困難となる。一方、処理時間が180分間を超えると、生成したヒドラゾンが分解するおそれがある。
【0146】
(5)アルカリ
試料中のカルボニル化合物と2,4−DNPHとの反応による反応溶液に添加されるアルカリとしては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の無機強塩基を用いることが好ましい。これらのアルカリは、試料溶液にそのまま添加してもよいが、正確な計量を行う等の観点から、適宜の溶媒に溶解してなる溶液状態で添加することが好ましい。かかる溶媒としては、アルカリを溶解することができ、その構造にカルボニル基を有さないものであって、反応溶媒として使用された溶媒との相溶性があり、有害性の少ないものの中から1種又は2種以上を選択して使用することができ、具体的には、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール等の一価の飽和低級アルコール、又は、これらに水及び/又はその他の有機溶剤(その構造にカルボニル基を有さないものであって、有害性の少ないもの)を適量混合してなる混合溶媒を例示することができ、超高純度アルコール、又は、超高純度アルコールと水との混合溶媒を使用することが好ましい。50mLのメスフラスコで反応溶液(純分で5〜250mgの試料を含む反応溶液)を調製する場合に、アルカリの添加量は、純分で0.05〜5.0gであることが好ましい。
【0147】
(6)希釈溶媒
アルカリが添加された反応溶液は、アルコールを主体とする希釈溶媒で一定の容量(例えば50mL)に調整される。希釈溶媒を構成するアルコールとしては、超高純度アルコールを使用することが好ましい。
【0148】
(7)具体的な調製方法
吸光度の測定に供される反応溶液の調製方法の一例を示せば、容量50mLのメスフラスコに、5〜250mgの試料を、炭素原子数1〜4の一価低級アルコールと水との混合溶媒で溶解してなる試料溶液5gを仕込み、次いで、0.03〜5.0gの酸が炭素原子数1〜4の一価低級アルコールに溶解された溶液と、0.5〜500mgの2,4−DNPHが炭素原子数1〜4の一価低級アルコールに溶解された溶液とを添加した後、このメスフラスコに栓をして、30〜120℃で20〜180分間かけて加熱処理することにより、試料中のカルボニル化合物と2,4−DNPHを反応させ、これを室温まで冷却した後、このメスフラスコに、0.05〜5.0gのアルカリがアルコールに溶解された溶液を添加し、その後、アルコールからなる希釈溶媒を添加して容量を50mLに調整する。
【0149】
本発明の測定方法においては、上記のようにして得られた塩基性の反応溶液について、必要に応じて濾過処理を行った後、430nm又は460nmの吸光度を測定する。ここに、試料中に含まれるカルボニル化合物が、主に飽和カルボニル化合物であると推定される場合には、当該反応溶液について430nmの吸光度を測定し、試料中に含まれるカルボニル化合物が、主に不飽和カルボニル化合物であると推定される場合には、当該反応溶液について460nmの吸光度を測定する。吸光度の測定おいて、反応溶液を収容する吸収セルは石英製のものを使用することが好ましい。また、吸収セルにより規定される液層の長さ(厚さ)は1cmであることが好ましい。
【0150】
吸光度の測定は、試料中のカルボニル化合物と2,4−DNPHとの反応による反応溶液にアルカリを添加してから10分経過後乃至20分経過前に実施することが好ましい。アルカリを添加してから10分が経過する前に測定される吸光度は安定性に欠けることがあり、また、アルカリを添加してから20分が経過した後は、反応溶液が褪色して吸光度が低下する傾向がある。種々の試料について実施した経験から、アルカリを添加してから15分経過時に吸光度を測定すると、最も再現性のよい値が得られる。
【0151】
本発明の測定方法においては、上記のようにして測定された吸光度から、試料(糖アルコール変性シリコーン又はそれを含む組成物)のカルボニル価を求める。そして、このカルボニル価から、予め測定された検量線を利用して、当該試料中におけるカルボニル総量を測定することができる。ここに、検量線は、上記の方法(カルボニル価の測定法)に従って、カルボニル総量(プロピオンアルデヒド濃度)が既知である複数の標準試料についてのカルボニル価を測定することにより得られる。
【0152】
例えば、下記の工程(1)〜(9)により測定される吸光度(A
1 )及び吸光度(A
2 )を、数式:CV=(A
1 −A
2 )/B〔但し、Bは、試料溶液5.000g中に含まれる試料の質量(g)である〕に代入してカルボニル価(CV)を求める方法によって、カルボニル総量(プロピオンアルデヒドの濃度)が既知である標準試料についてのカルボニル価を測定して検量線を得、この検量線を得るために採用した前記方法と同一の方法により、カルボニル総量が未知である試料(糖アルコール変性シリコーン又はそれを含む組成物)についてのカルボニル価を測定し、このカルボニル価及び前記検量線から、当該試料中のカルボニル総量を測定することができる。なお、特に精密な分析を必要とする場合には、下記の工程(1)及び工程(9)で使用する後記溶媒が、超高純度アルコールと水とを含有し、下記の工程(7)で使用する後記溶媒が超高純度アルコールを含有することが好ましい。
【0153】
〔工程〕
(1)試料を溶媒に溶解して試料溶液を調製する工程
(2)前記試料溶液5.000gに、4.3%(wt/vol)トリクロロ酢酸のアルコール溶液3mLを添加する工程
(3)上記の工程(2)により得られた混合溶液に、2,4−DNPHのアルコール溶液〔0.025%(wt/vol)〕5mLを添加する工程
(4)上記の工程(3)により得られた混合溶液を60℃で30分間加熱して、試料中のカルボニル化合物と2,4−DNPHとを反応させる工程
(5)上記の工程(4)により得られた反応溶液を室温で30〜70分間放置する工程
(6)上記の工程(5)により放置された後の反応溶液に、水酸化カリウムのアルコール溶液〔4.0%(wt/vol)〕10mLを添加する工程
(7)上記の工程(6)から5〜10分経過後、当該反応溶液に溶媒を添加し、総量が50mLの反応溶液を調製し、必要に応じて、この反応溶液を濾過処理する工程
(8)上記の工程(6)から10〜20分経過後、上記の工程(7)で得られた反応溶液について、430nm又は460nmの吸光度(A
1 )を測定する工程
(9)空試験として、前記試料溶液に代えて溶媒5.000gを使用し、上記の工程(2)〜(7)と同様の操作を行って得られた溶液について、430nm又は460nmの吸光度(A
2 )を測定する工程。
【0154】
なお、検量線の測定(標準試料についてのカルボニル価の測定)と、未知試料についてのカルボニル価の測定は、いずれを先に行ってもよい。
【0155】
以下、各工程について説明する。なお、反応溶液の調製に係る工程(2)〜(7)は、通常、50mLのメスフラスコを使用して行われる。
【0156】
工程(1)は、炭素原子数1〜4の一価低級アルコールを含有する溶媒に試料を溶解して試料溶液を調製する工程である。試料溶液における試料の割合は、当該試料について予測されるカルボニル価に応じて変更される。例えば、カルボニル価が6未満であると予測される試料では2〜3重量(質量)%(試料溶液5.000gあたり100〜150mg)、カルボニル価が6〜15の範囲にあると予測される試料では0.8〜2重量(質量)%(試料溶液5.000gあたり40〜100mg)、カルボニル価が15〜30の範囲にあると予測される試料では0.4〜0.8重量(質量)%(試料溶液5.000gあたり20〜40mg)、カルボニル価が30〜60の範囲にあると予測される試料では0.2〜0.4重量(質量)%(試料溶液5.000gあたり10〜20mg)、カルボニル価が60を超えると予測される試料では0.2重量(質量)%未満(試料溶液5.000gあたり10mg未満)とすることが好ましい。
【0157】
また、試料溶液を調製する場合には、試料を段階的に希釈することが好ましい。例えば、2重量(質量)%の試料溶液5.000gを調製する方法として、先ず、試料2.00gを、炭素原子数1〜4の一価低級アルコール23.00gに溶解させて、8重量(質量)%の溶液25.00gを調製する。次いで、50mLのメスフラスコに、8重量(質量)%の溶液1.250gと、炭素原子数1〜4の一価低級アルコール3.750gとを正確に添加して4倍に希釈する方法を挙げることができる。
【0158】
工程(2)は、上記の工程(1)により得られた2重量(質量)%の試料溶液5.000g(試料:0.100g)に、4.3%(wt/vol)のトリクロロ酢酸のアルコール溶液3mLを、ホールピペット等を用いて添加する工程である。このアルコール溶液の溶媒(炭素原子数1〜4の一価低級アルコール)は、特に精密な分析を必要とする場合には超高純度アルコールであることが好ましい。この場合、トリクロロ酢酸のアルコール溶液は、超高純度アルコール100mLを収容する瓶を開封し、この瓶に、トリクロロ酢酸4.3gを直接添加し、当該瓶に蓋をした後、振り混ぜることにより、当該瓶内で均一化させることにより調製することが好ましい。また、トリクロロ酢酸のアルコール溶液は、反応溶液についての吸光度の測定前24時間以内に調製することが好ましい。
【0159】
工程(3)は、上記の工程(2)により得られた混合溶液に、2,4−DNPHのアルコール溶液〔0.025%(wt/vol)〕5mLを、ホールピペット等を用いて添加する工程である。この2,4−DNPHのアルコール溶液の溶媒(炭素原子数1〜4の一価低級アルコール)は、特に精密な分析を必要とする場合には超高純度アルコールであることが好ましい。この場合、2,4−DNPHのアルコール溶液は、超高純度アルコール100mLを収容する瓶を開封し、この瓶に、2,4−DNPH(等量の水を含有する試薬特級品)50mgを直接添加し、当該瓶に蓋をした後、超音波洗浄機に5分間程度かけることにより、当該瓶内で2,4−DNPHを完全に溶解させることにより調製することが好ましい。また、2,4−DNPHのアルコール溶液は、反応溶液についての吸光度の測定前24時間以内に調製することが好ましい。試料中に存在するアセタール等のカルボニル化合物の前駆体をも加水分解させてカルボニル化合物として検出するために更に水を添加することが好ましい。
【0160】
工程(4)は、上記の工程(3)により得られた混合溶液を60℃で30分間加熱して、試料中のカルボニル類と、2,4−DNPHとを反応させる工程であり、これにより、ヒドラゾンを含有する反応溶液が得られる。
【0161】
工程(5)は、工程(4)により得られた反応溶液を室温で30〜70分間放置して冷却する工程である。
【0162】
工程(6)は、放置された後の反応溶液に、水酸化カリウムのアルコール溶液〔4.0%(wt/vol)〕10mLを、ホールピペット等を用いて添加して混合する工程である。これにより、反応溶液が塩基性を示し、生成したヒドラゾンがキノイドイオンとなって発色する。この水酸化カリウムのアルコール溶液の溶媒(炭素原子数1〜4の一価低級アルコール)は、特に精密な分析を必要とする場合には超高純度アルコールであることが好ましい。この場合、水酸化カリウムのアルコール溶液は、超高純度アルコール100mLを収容する瓶を開封し、この瓶に、水酸化カリウム(ペレット状の試薬特級品)4.0gを直接添加し、当該瓶に蓋をし、ペレットが消失するまで振り混ぜた後、超音波洗浄機に5〜10分間程度かけることにより、当該瓶内で水酸化カリウムを完全に溶解させることにより調製することが好ましい。また、水酸化カリウムのアルコール溶液は、反応溶液についての吸光度の測定前24時間以内に調製することが好ましい。
【0163】
工程(7)は、上記の工程(6)から5〜10分経過後、当該反応溶液に、炭素原子数1〜4の一価低級アルコール(好ましくは超高純度アルコール)からなる希釈溶媒を添加し、総量が50mLの反応溶液(塩基性の反応溶液)を調製する工程である。この反応溶液が、中和塩の析出によって不均一である場合には、更に濾過処理を行って均一な溶液を得ることが出来る。
【0164】
工程(8)は、上記の工程(7)で得られた反応溶液について、430nm(試料中に含まれるカルボニルが主に飽和カルボニルであると推定される場合)又は(試料中に含まれるカルボニルが主に不飽和カルボニルであると推定される場合)460nmの吸光度(A
1 )を測定する工程である。吸光度の測定は、上記の工程(6)の水酸化カリウムのアルコール溶液の添加時から10分経過後乃至20分経過前に実施することが必要とされ、水酸化カリウムのアルコール溶液の添加時から15分経過時に吸光度を測定することが最も好ましい。
【0165】
工程(9)は、空試験として、前記試料溶液に代えて、炭素原子数1〜4の一価低級アルコール5.000gを使用し、上記の工程(2)〜(7)と同様の操作(トリクロロ酢酸のアルコール溶液の添加;2,4−DNPHのアルコール溶液の添加と水の添加;得られる混合溶液の加熱及び冷却;水酸化カリウムのアルコール溶液の添加;炭素原子数1〜4の一価低級アルコールからなる希釈溶媒の添加)を行って得られた溶液について、430nm又は460nmの吸光度(A
2 )を測定する工程である。
【0166】
上記の工程(1)〜(8)により得られる吸光度(A
1 )と、上記の工程(9)により得られる吸光度(A
2 )を、それぞれ、数式:CV=(A
1 −A
2 )/Bに代入することにより、カルボニル価(CV)を求めることができる。上記の数式において、Bは、試料溶液5.000g中に含まれる試料の重量(質量)(g)であり、2重量(質量)%の試料溶液においては、0.1(5.000×0.02)となる。
【0167】
本発明の製造方法によって得られる糖アルコール変性シリコーン又はそれを含む組成物は、低臭性であり、上記方法により測定されたカルボニル価は、2.5Abs/g以下に低減されている。逆に、カルボニル価が低減された糖アルコール変性シリコーンは、化粧料等に配合した場合でも、臭気を感じることがほとんどなく、官能試験の結果ともよく一致する。更に、本発明の製造方法によって得られる糖アルコール変性シリコーン又はそれを含む組成物は、上記方法により測定されたカルボニル価が2.0Abs/g以下であることがより好ましく、1.6Abs/g以下であることが更により好ましい。なお、酸処理を行わない場合、糖アルコール変性シリコーン又はそれを含む組成物のカルボニル価は、一般に9.0Abs/g以上であり、独特の臭気が感じられる。更に、ポリエーテル変性シリコーンやポリグリセリン変性シリコーンにおいては、酸処理だけで2.5Abs/g以下のカルボニル価を達成することは困難である。
【0168】
本発明の低臭性糖アルコール変性シリコーンは、従来の低臭性ポリエーテル変性シリコーンとは異なり、空気中の酸素により酸化されて変質する傾向が本質的に少ない。従って、酸化劣化を防止するためフェノール類、ヒドロキノン類、ベンゾキノン類、芳香族アミン類、又はビタミン類等の酸化防止剤を入れ、酸化安定性を増加させる操作は必須では乃至かしながら、このような酸化防止剤、例えば、BHT(2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール)、ビタミンC、ビタミンE等を添加すると更に安定性が向上する。このとき、使用する酸化防止剤の添加量は、その重量(質量)において糖アルコール変性シリコーンに対し10〜1000ppm、好ましくは50〜500ppmとなる範囲である。
【0169】
(外用剤又は化粧料用原料)
本発明の低臭性糖アルコール変性シリコーンは、実質的に無臭であり、且つ、経時での臭気発生が低減されている。しかも、糖アルコール変性シリコーンの主鎖を構成するケイ素−酸素結合及び側鎖を構成する炭素−酸素結合が切断されず、全体として均一な組成物である。したがって、本発明の低臭性糖アルコール変性シリコーンは人体に使用される外用剤及び化粧料の原料として好適に利用することができる。
【0170】
外用剤及び化粧料用の原料中に占める低臭性糖アルコール変性シリコーンの割合は、原料の全重量(質量)を基準にして、10〜100重量(質量)%が好ましく、20〜100重量(質量)%がより好ましく、30〜100重量(質量)%が更により好ましい。これは、本発明の低臭性糖アルコール変性シリコーンをシリコーン油や有機油、アルコール類等適当な媒体で希釈して外用剤及び化粧料用の原料として扱うことが出来るためである。外用剤又は化粧料に配合される原料の割合は特に限定されるものではないが、例えば、外用剤又は化粧料の全重量(質量)を基準にして、0.1〜40重量(質量)%、好ましくは1〜30重量(質量)%、より好ましくは2〜20重量(質量)%、更により好ましくは3〜10重量(質量)%の範囲で使用することができる。
【0171】
(外用剤・化粧料)
本発明の低臭性糖アルコール変性シリコーン、又は、本発明の低臭性糖アルコール変性シリコーンからなる外用剤及び化粧料用の原料は、外用剤又は化粧料に好適に配合することができ、本発明の外用剤又は化粧料を構成することができる。これらは、特に有効成分が酸性物質である制汗剤組成物、ピーリング効果の期待される弱酸性の外用剤又は洗浄剤、化粧料等(これらの処方は酸性であるため、変性シリコーン由来の異臭発生が特に起こりやすいとされている)において、その無臭性の真価を発揮する。
【0172】
外用剤は人体の皮膚、爪、毛髪等に適用されるものであり、例えば、医薬有効成分を配合して各種疾患の治療に使用することができる。化粧料も人体の皮膚、爪、毛髪等に適用されるものであるが、美容目的で使用されるものである。外用剤又は化粧料としては、制汗剤、皮膚洗浄剤、皮膚外用剤若しくは皮膚化粧料、又は、毛髪洗浄剤、毛髪外用剤又は毛髪化粧料が好ましい。
【0173】
本発明に係る制汗剤、皮膚洗浄剤、皮膚外用剤又は皮膚化粧料は、本発明の低臭性糖アルコール変性シリコーンを含有しており、その形態は特に限定されないが、溶液状、乳液状、クリーム状、固形状、半固形状、ペースト状、ゲル状、粉末状、多層状、ムース状、スプレー状、油中水型或いは水中油型の乳化組成物(エマルジョン組成物)のいずれであってもよい。具体的には、本発明に係る皮膚外用剤又は皮膚化粧料等として、化粧水、乳液、クリーム、日焼け止め乳液、日焼け止めクリーム、ハンドクリーム、クレンジング、マッサージ料、洗浄剤、制汗剤、脱臭剤等の基礎化粧品;ファンデーション、メークアップ下地、頬紅、口紅、アイシャドー、アイライナー、マスカラ、ネールエナメル等のメーキャップ化粧品等が例示される。
【0174】
同様に、本発明に係る毛髪洗浄剤、毛髪外用剤又は毛髪化粧料は、本発明の低臭性糖アルコール変性シリコーンを含有しており、様々な形態で使用できる。例えば、それらをアルコール類、炭化水素類、揮発性環状シリコーン類等に溶解又は分散させて用いてもよいし、更には乳化剤を用いて水に分散させてエマルジョンの形態で用いることもできる。また、プロパン、ブタン、トリクロルモノフルオロメタン、ジクロルジフルオロメタン、ジクロルテトラフルオロエタン、炭酸ガス、窒素ガス等の噴射剤を併用してスプレーとして用いることもできる。この他の形態としては、乳液状、クリーム状、固形状、半固形状、ペースト状、ゲル状、粉末状、多層状、ムース状等が例示される。これらの様々な形態でシャンプー剤、リンス剤、コンディショニング剤、セットローション剤、ヘアスプレー剤、パーマネントウエーブ剤、ムース剤、染毛剤等として使用できる。
【0175】
本発明の外用剤又は化粧料は、本発明の効果を妨げない範囲で通常の外用剤又は化粧料に使用される成分、水、粉体又は着色剤、アルコール類、水溶性高分子、皮膜形成剤、油剤、油溶性ゲル化剤、有機変性粘土鉱物、界面活性剤、樹脂、紫外線吸収剤、塩類、保湿剤、防腐剤、抗菌剤、香料、塩類、酸化防止剤、pH調整剤、キレート剤、清涼剤、抗炎症剤、美肌用成分(美白剤、細胞賦活剤、肌荒れ改善剤、血行促進剤、皮膚収斂剤、抗脂漏剤等)、ビタミン類、アミノ酸類、核酸、ホルモン、包接化合物等、生理活性物質、医薬有効成分、香料を添加することができ、これらは特に限定されるものではない。
【0176】
水は、人体に有害な成分を含有せず、清浄であればよく、水道水、精製水、ミネラルウォーター、海洋深層水が例示される。本発明の外用剤又は化粧料が水系である場合、水相には本発明の効果を損なわない範囲で任意に水溶性の添加成分を配合することができる。水相を構成する成分としては、後述するビタミンB群、ビタミンC及びその誘導体、パントテン酸及びその誘導体、ビオチン等のビタミン類等の水溶性活性物質、制汗活性成分、水溶性紫外線吸収剤、各種水溶性の色素等を配合することができるが、これらに限定されるものでない。また、外用剤又は化粧料の保存安定性等を改善する目的で、公知のpH調整剤、防腐剤、抗菌剤又は酸化防止剤を適宜配合することもできる。
【0177】
粉体又は着色剤としては、通常の外用剤又は化粧料に使用されるものであれば、その形状(球状、棒状、針状、板状、不定形状、紡錘状等)や粒子径(煙霧状、微粒子、顔料 級等)、粒子構造(多孔質、無孔質等)を問わず、いずれのものも使用することができるが、これらの粉体及び/又は着色剤を顔料として配合する場合、平均粒子径が1nm〜20μmの範囲にある無機顔料粉体、有機顔料粉体、樹脂粉体から選択される1種類又は2種類以上を配合することが好ましい。
【0178】
粉体又は着色剤は、例えば、無機粉体、有機粉体、界面活性剤金属塩粉体 (金属石鹸)、有色顔料 、パール顔料 、有機変性粘度鉱物、金属粉末顔料 等が挙げられ、更にこれらの顔料を複合化したものも使用することができる。具体的には、無機粉体としては、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、マイカ、カオリン、セリサイト、白雲母、合成雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、リチア雲母、ケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウムマグネシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、ヒドロキシアパタイト、バーミキュライト、ハイジライト、ベントナイト、モンモリロナイト、ヘクトライト、ゼオライト、セラミックスパウダー、第二リン酸カルシウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ボロン等;有機粉体 としては、ポリアミドパウダー、ポリエステルパウダー、ポリエチレンパウダー、ポリプロピレンパウダー、ポリスチレンパウダー、ポリウレタンパウダー、ベンゾグアナミンパウダー、ポリメチルベンゾグアナミンパウダー、ポリテトラフルオロエチレンパウダー、ポリメチルメタクリレートパウダー、セルロース、シルクパウダー、ナイロンパウダー、12ナイロン、6ナイロン、シリコーンパウダー、シリコーンゴム球状粉体、ポリメチルシルセスキオキサンで表面を被覆したシリコーンゴム球状粉体 、ポリメチルシルセスキオキサン球状粉体 、スチレン・アクリル酸共重合体、ジビニルベンゼン・スチレン共重合体、ビニル樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ケイ素樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネイト樹脂、微結晶繊維粉体 、デンプン末、ラウロイルリジン等;界面活性剤金属塩粉体 としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ミリスチン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム、パルミチン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、セチルリン酸亜鉛、セチルリン酸カルシウム、セチルリン酸亜鉛ナトリウム等;有色顔料 としては、ベンガラ、酸化鉄、水酸化鉄、チタン酸鉄の無機赤色顔料 、γー酸化鉄等の無機褐色系顔料 、黄酸化鉄、黄土等の無機黄色系顔料 、黒酸化鉄、カーボンブラック等の無機黒色顔料 、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット等の無機紫色顔料 、水酸化クロム、酸化クロム、酸化コバルト、チタン酸コバルト等の無機緑色顔料 、紺青、群青等の無機青色系顔料 、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色227号、赤色228号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、黄色204号、黄色401号、青色1号、青色2号、青色201号、青色404号、緑色3号、緑色201号、緑色204号、緑色205号、橙色201号、橙色203号、橙色204号、橙色206号、橙色207号等のタール系色素をレーキ化したもの、カルミン酸、ラッカイン酸、カルサミン、ブラジリン、クロシン等の天然色素をレーキ化したもの等;パール顔料 としては、酸化チタン被覆雲母、雲母チタン、酸化鉄処理雲母チタン、酸化チタン被覆マイカ、オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆タルク、魚鱗箔、酸化チタン被覆着色雲母等;金属粉末顔料 としては、アルミニウム、金、銀、銅、白金、ステンレス等の金属粉末が挙げられる。
【0179】
特に無機系粉体として、微粒子酸化チタン、微粒子鉄含有酸化チタン、微粒子酸化亜鉛、微粒子酸化セリウム及びそれらの複合体等の紫外線を吸収散乱する粉体も挙げられる。更に詳細には、無機系の紫外線防御成分は、前記の無機系の粉体顔料、金属粉末顔料等を紫外線分散剤として配合するものであっても良く、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、低次酸化チタン、鉄ドーピング酸化チタン等の金属酸化物、水酸化鉄等の金属水酸化物、板状酸化鉄、アルミニウムフレーク等の金属フレーク類、炭化珪素等のセラミック類が挙げられる。このうち、平均粒子径が1〜100nmの範囲にある微粒子金属酸化物若しくは微粒子金属水酸化物から選ばれる少なくとも一種であることが特に好ましい。
【0180】
有機変性粘度鉱物としては、例えば、ジメチルベンジルドデシルアンモニウムモンモリロナイトクレー、ジメチルジオクタデシルアンモニウムモンモリナイトクレー、ジメチルアルキルアンモニウムヘクトライト、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムヘクトライト、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム処理ケイ酸アルミニウムマグネシウム等が挙げられる。これらの市販品としては、ベントン27(ベンジルジメチルステアリルアンモニウムクロライド処理ヘクトライト: ナショナルレッド社製)、ベントン38(ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド処理ヘクトライト: ナショナルレッド社製)等が挙げられる。
【0181】
シリコーンゴム球状粉体(シリコーンエラストマー球状粉体と呼ばれることもある)としては、一次粒子径が0.1〜50μmの範囲にあるものが好ましい。かかるシリコーンゴム球状粉体の市販品としては、例えば東レ・ダウコーニング社製のトレフィルE−506S,トレフィルE−508,9701 Cosmetic Powder,9702 Powder等が挙げられる。また、シリコーンゴム球状粉体は水分散液の形態としても、本発明の外用剤又は化粧料で使用することができる。このような水分散液の市販品としては、例えば東レ・ダウコーニング社製のBY 29−129,PF−2001 PIF Emulsion等が挙げられる。
【0182】
更に、これらの粉体又は着色剤には、撥水化処理がされていることが特に好ましい。また、これらの粉体及び/又は着色剤同士を複合化したもの、或いは、一般油剤や、本発明に係る糖アルコール変性シリコーン以外のシリコーン化合物、又はフッ素化合物、界面活性剤等で表面処理が行われたものも使用することができ、必要に応じて一種、又は二種以上用いることができる。
【0183】
このような撥水化処理の例としては、前記の粉体及び/又は着色剤を各種の撥水化表面処理剤で処理したものが挙げられ、例えばメチルハイドロジェンポリシロキサン処理、シリコーンレジン処理、シリコーンガム処理、アクリルシリコーン処理、フッ素化シリコーン処理等のオルガノシロキサン処理、ステアリン酸亜鉛処理等の金属石鹸処理、シランカップリング剤処理、アルキルシラン処理等のシラン処理、パーフルオロアルキルシラン、パーフルオロアルキルリン酸エステル塩、パーフルオロポリエーテル処理等のフッ素化合物処理、N-ラウロイル-L-リジン処理等のアミノ酸処理、スクワラン処理等の油剤処理、アクリル酸アルキル処理等のアクリル処理等が挙げられ、これらの1種以上を組み合わせて使用することが可能である。
【0184】
これらの粉体又は着色剤として、特に好適には、シリコーン樹脂粉末、シリコーンゴム粉末、有機樹脂粉末(シリコーン樹脂粉末を除く)、有機変性粘度鉱物、酸化チタン、酸化亜鉛、雲母チタン、金属石鹸、無機体質顔料及び無機着色顔料からなる群から選択される少なくとも1種の粉体又は着色剤である。
【0185】
アルコール類としては、低級アルコール、糖アルコール及び高級アルコールから選択される1種類以上を使用することができる。具体的には、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール;ソルビトール、マルトース等の糖アルコール;ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ヘキサデシルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ヘキシルドデカノール、オクチルドデカノール、セトステアリルアルコール、2−デシルテトラデシノール、コレステロール、シトステロール、フィトステロール、ラノステロール、POEコレステロールエーテル、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール) 、モノオレイルグリセリルエーテル(セラキルアルコール)等の高級アルコールが挙げられる。
【0186】
水溶性高分子は、外用剤又は化粧料の使用感を向上させる目的で配合され、通常の外用剤又は化粧料に使用されるものであれば、両性、カチオン性、アニオン性、非イオン性、水膨潤性粘土鉱物のいずれであっても用いることができ、1種類又は2種類以上の水溶性高分子を併用することもできる。これらの水溶性高分子は、含水成分の増粘効果を有するため、特にゲル状の含水外用剤又は化粧料、油中水型エマルジョン外用剤又は化粧料、水中油型エマルジョン外用剤又は化粧料を得る場合に有用である。
【0187】
両性水溶性高分子としては、両性化デンプン、塩化ジメチルジアリルアンモニウム誘導体(例えば、アクリルアミド・アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体、アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体)、メタクリル酸誘導体(例えば、ポリメタクリロイルエチルジメチルベタイン、N−メタクリロイルオキシエチルN,N−ジメチルアンモニウム−α−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキル共重合体等)が例示される。
【0188】
カチオン性水溶性高分子としては、第4級窒素変性ポリサッカライド(例えば、カチオン変性セルロース、カチオン変性ヒドロキシエチルセルロース、カチオン変性グアーガム、カチオン変性ローカストビーンガム、カチオン変性デンプン等)、塩化ジメチルジアリルアンモニウム誘導体(例えば、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体、ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウム等)、ビニルピロリドン誘導体(例えば、ビニルピロリドン・ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体塩、ビニルピロリドン・メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド共重合体、ビニルピロリドン・塩化メチルビニルイミダゾリウム共重合体等)、メタクリル酸誘導体(例えば、メタクリロイルエチルジメチルベタイン・塩化メタクリロイルエチルトリメチルアンモニウム・メタクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体、メタクリロイルエチルジメチルベタイン・塩化メタクリロイルエチルトリメチルアンモニウム・メタクリル酸メトキシポリエチレングリコール共重合体等)が例示される。
【0189】
アニオン性水溶性高分子としては、ポリアクリル酸又はそのアルカリ金属塩、ポリメタアクリル酸又はそのアルカリ金属塩、ヒアルロン酸又はそのアルカリ金属塩、アセチル化ヒアルロン酸又はそのアルカリ金属塩、メチルビニルエーテル・無水マレイン酸共重合体の加水分解物等の脂肪族カルボン酸又はその金属塩の水溶性重合体、カルボキシメチルセルロース又はそのアルカリ金属塩、メチルビニルエーテル−マレイン酸ハーフエステル共重合体、アクリル樹脂アルカノールアミン液、カルボキシビニルポリマーが例示される。
【0190】
非イオン性水溶性高分子としては、ポリビニルピロリドン、高重合ポリエチレングリコール、ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体、ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体、ビニルカプロラクタム/ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体、セルロース又はその誘導体(例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース)、ケラチン及びコラーゲン又はその誘導体、アルギン酸カルシウム、プルラン、寒天、ゼラチン、タマリンド種子多糖類、キサンタンガム、カラギーナン、ハイメトキシルペクチン、ローメトキシルペクチン、グァーガム、ペクチン、アラビアゴム、結晶セルロース、アラビノガラクタン、カラヤガム、トラガカントガム、アルギン酸、アルブミン、カゼイン、カードラン、ジュランガム、デキストラン、クインスシードガム、トラガントガム、キチン・キトサン誘導体、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ等)、ケラチン及びコラーゲン又はその誘導体等の天然の高分子化合物が例示される。
【0191】
水膨潤性粘土鉱物は無機系水溶性高分子であって、三層構造を有するコロイド含有ケイ酸アルミニウムの一種で、一般的に、下記式(A)で表されるものが例示される。
(X,Y)
2−3(Si,Al)
4O
10(OH)
2Z
1/3・nH
2O (A)
(但し、Xは、Al、Fe(III)、Mn(III)、又は、Cr(III)であり、Yは、Mg、Fe(II)、Ni、Zn、又は、Liであり、Zは、K、Na、又は、Caである)
このような無機系水溶性高分子として、具体的には、ベントナイト、モンモリロナイト、パイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、無水ケイ酸が例示され、これらは天然物及び合成物のいずれであってもよい。
【0192】
油剤としては、通常の外用剤又は化粧料に使用されるものであれば、固体、半固体、ペースト状、液状のいずれのものも使用することができる。具体的には、シリコーンオイル、炭化水素油、エステル油、植物性油脂類、動物性油脂類、脂肪酸、高級アルコール、トリグリセライド、人工皮脂、フッ素系油剤から選択される1種類又は2種類以上が例示できる。
【0193】
シリコーンオイルは、具体的には、下記一般式(5)で示される直鎖状オルガノポリシロキサン又は一般式(6)で示される環状オルガノポリシロキサン及び一般式(7)で示される分岐状オルガノポリシロキサンが挙げられる。
【化40】
【化41】
【化42】
【0194】
上の式(1)〜(3)について、R
9は、水素原子、水酸基又は炭素数2から30の一価の非置換又はフッ素置換アルキル基、アリール基、アミノ置換アルキル基、アルコキシ基及び(CH
3)
3SiO{(CH
3)
2SiO}
uSi(CH
3)
2CH
2CH
2-で示される基から選択される基であり、具体的には、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基等の飽和脂肪族炭化水素基;ビニル基、アリル基、ヘキセニル基等の不飽和脂肪族炭化水素基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の飽和脂環式炭化水素基;フェニル基、トリル基、ナフチル基等の芳香族炭化水素基及び、これらの基の炭素原子に結合した水素原子が部分的にハロゲン原子、エポキシ基、カルボキシル基、アミノ基、メタクリル基、メルカプト基等を含む有機基又は2価の炭化水素基及び/又は鎖状のポリジメチルシロキサン結合を介して結合されたトリメチルシロキシ基で置換された基が例示される。mは0から1000の整数、nは0から1000の整数、m+nが1から2000の整数、x、yは0、1、2又は3、p及びqは0〜8の整数で3≦p+q≦8、rは1〜4の整数、uは0〜500の整数である。
【0195】
これらの構造を有するシリコーンオイルとして具体的には、環状オルガノポリシロキサンとしてヘキサメチルシクロトリシロキサン(D3)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)、デカメチルシクロペンタシロキサン(D5)、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン(D6)、1,1−ジエチルヘキサメチルシクロテトラシロキサン、フェニルヘプタメチルシクロテトラシロキサン、1、1−ジフェニルヘキサメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラビニルテトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラシクロヘキシルテトラメチルシクロテトラシロキサン、トリス(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメチルシクロトリシロキサン、1,3,5,7−テトラ(3−メタクリロキシプロピル)テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラ(3−アクリロキシプロピル)テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラ(3−カルボキシプロピル)テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラ(3−ビニロキシプロピル)テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラ(p−ビニルフェニル)テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラ[3−(p−ビニルフェニル)プロピル]テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラ(N−アクリロイル−N−メチル−3−アミノプロピル)テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラ(N,N−ビス(ラウロイル)−3−アミノプロピル)テトラメチルシクロテトラシロキサン等が例示される。直鎖状オルガノポリシロキサンとしては、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(2cstや6cst等低粘度〜100万cst等高粘度のジメチルシリコーン)、オルガノハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルフェニルポリシロキサン,分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体,分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジフェニルポリシロキサン,分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体,トリメチルペンタフェニルトリシロキサン、フェニル(トリメチルシロキシ)シロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルアルキルポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン・メチルアルキルシロキサン共重合体,分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチル(3,3,3−トリフルオロプロピル)シロキサン共重合体、α,ω−ジヒドロキシポリジメチルシロキサン、α,ω−ジエトキシポリジメチルシロキサン、1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチル−3−オクチルトリシロキサン、1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチル−3−ドデシルトリシロキサン、1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチル−3−ヘキサデシルトリシロキサン、トリストリメチルシロキシメチルシラン、トリストリメチルシロキシアルキルシラン、テトラキストリメチルシロキシシラン、テトラメチル−1,3−ジヒドロキシジシロキサン、オクタメチル−1,7−ジヒドロキシテトラシロキサン、ヘキサメチル−1,5−ジエトキシトリシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、高級アルコキシ変性シリコーン、高級脂肪酸変性シリコーン等が例示される。
【0196】
炭化水素油としては、流動パラフィン,軽質流動イソパラフィン、重質流動イソパラフィン,ワセリン,n−パラフィン,イソパラフィン,イソドデカン、イソヘキサデカン、ポリイソブチレン、水素化ポリイソブチレン、ポリブテン,オゾケライト,セレシン,マイクロクリスタリンワックス,パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、ポリエチレン・ポリピロピレンワックス、スクワラン,スクワレン、プリスタン,ポリイソプレン等が例示される。
【0197】
エステル油としては、オクタン酸ヘキシルデシル、オクタン酸セチル,ミリスチン酸イソプロピル,パルミチン酸イソプロピル,ステアリン酸ブチル,ラウリン酸ヘキシル,ミリスチン酸ミリスチル,オレイン酸オレイル,オレイン酸デシル,ミリスチン酸オクチルドデシル,ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル,乳酸セチル,乳酸ミリスチル,フタル酸ジエチル,フタル酸ジブチル,酢酸ラノリン,モノステアリン酸エチレングリコール,モノステアリン酸プロピレングリコール,ジオイレイン酸プロピレングリコール,モノステアリン酸グリセリル,モノオレイン酸グリセリル,トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル,トリ2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリエチルヘキサン酸ジトリメチロールプロパン、(イソステアリン酸/セバシン酸)ジトリメチロールプロパン、トリオクタン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸2−ヘキシルデシル、アジピン酸ジ−2−ヘプチルウンデシル、リンゴ酸ジイソステアリル、モノイソステアリン酸水添ヒマシ油、モノイソステアリン酸N−アルキルグリコール、イソステアリン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソセチル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、2−エチルヘキサン酸セチル、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、オクチルドデシルガムエステル、オレイン酸エチル、オレイン酸オクチルドデシル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、クエン酸トリエチル、コハク酸2−エチルヘキシル、コハク酸ジオクチル、ステアリン酸イソセチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジオクチル、セバシン酸ジブチルオクチル、パリミチン酸セチル、パルミチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸オクチル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−ヘプチルウンデシル、12−ヒドロキシステアリル酸コレステリル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ミリスチン酸2−ヘキシルデシル、ラウリン酸エチル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−2−オクチルドデシルエステル、N − ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル/ベヘニル/オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル/オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル/ベヘニル/オクチルドデシル) 、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、N−ラウロイルサルコシンイソプロピル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、ネオペンタン酸イソデシル、ネオペンタン酸イソトリデシル、ネオペンタン酸イソステアリル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸オクチル、イソノナン酸イソトリデシル、ジネオペンタン酸ジエチルペンタンジオール、ジネオペンタン酸メチルペンタンジオール、ネオデカン酸オクチルドデシル、ジオクタン酸2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、テトラオクタン酸ペンタエリスリチル、水素添加ロジンペンタエリスリチル、トリエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル、テトライソステアリン酸ポリグリセリル、ノナイソステアリン酸ポリグリセリル−10 、デカ( エルカ酸/イソステアリン酸/リシノレイン酸)ポリグリセリル−8、(ヘキシルデカン酸/セバシン酸)ジグリセリルオリゴエステル、ジステアリン酸グリコール(ジステアリン酸エチレングリコール)、ダイマージリノール酸ジイソプロピル、ダイマージリノール酸ジイソステアリル、ダイマージリール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)、ダイマージリノール酸(フィトステリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸(フィトステリル/ イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイル、ジイソステアリン酸ダイマージリノレイル、ダイマージリノレイル水添ロジン縮合物、ダイマージリノール酸硬化ヒマシ油、ヒドロキシアルキルダイマージリノレイルエーテル、トリイソオクタン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリミリスチン酸グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、トリオクタン酸グリセリル、トリオレイン酸グリセリル、ジイソステアリン酸グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸) グリセリル、水添ロジントリグリセリド(水素添加エステルガム)、ロジントリグリセリド(エステルガム)、ベヘン酸エイコサン二酸グリセリル、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリル、ミリスチン酸イソステアリン酸ジグリセリル、酢酸コレステリル、ノナン酸コレステリル、ステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸コレステリル、オレイン酸コレステリル、12−ヒドロキシステアリン酸コレステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸コレステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリル、イソステアリン酸フィトステリル、軟質ラノリン脂肪酸コレステリル、硬質ラノリン脂肪酸コレステリル、長鎖分岐脂肪酸コレステリル、長鎖α−ヒドロキシ脂肪酸コレステリル、リシノレイン酸オクチルドデシル、ラノリン脂肪酸オクチルドデシル、エルカ酸オクチルドデシル、イソステアリン酸硬化ヒマシ油、アボカド油脂肪酸エチル、ラノリン脂肪酸イソプロピル等が例示される。
【0198】
天然動植物油脂類及び半合成油脂として、アボガド油、アマニ油、アーモンド油、イボタロウ、エノ油、オリーブ油、カカオ脂、カポックロウ、カヤ油、カルナウバロウ、肝油、キャンデリラロウ、牛脂、牛脚脂、牛骨脂、硬化牛脂、キョウニン油、鯨ロウ、硬化油、小麦胚芽油、ゴマ油、コメ胚芽油、コメヌカ油、サトウキビロウ、サザンカ油、サフラワー油、シアバター、シナギリ油、シナモン油、ジョジョバロウ、オリーブスクワラン、セラックロウ、タートル油、大豆油、茶実油、ツバキ油、月見草油、トウモロコシ油、豚脂、ナタネ油、日本キリ油、ヌカロウ、胚芽油、馬脂、パーシック油、パーム油、パーム核油、ヒマシ油、硬化ヒマシ油、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、ヒマワリ油、ブドウ油、ベイベリーロウ、ホホバ油、水添ホホバエステル、マカデミアナッツ油、ミツロウ、ミンク油、綿実油、綿ロウ、モクロウ、モクロウ核油、モンタンロウ、ヤシ油、硬化ヤシ油、トリヤシ油脂肪酸グリセライド、羊脂、落花生油、ラノリン、液状ラノリン、還元ラノリン、ラノリンアルコール、硬質ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル、卵黄油等が挙げられる。但し、POE はポリオキシエチレンを意味する。
【0199】
高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、イソステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸等が挙げられる。
【0200】
高級アルコールとしては、例えば、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ヘキサデシルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ヘキシルドデカノール、オクチルドデカノール、セトステアリルアルコール、2−デシルテトラデシノール、コレステロール、シトステロール、フィトステロール、ラノステロール、POEコレステロールエーテル、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール) 、モノオレイルグリセリルエーテル(セラキルアルコール)等が挙げられる。
【0201】
フッ素系油剤としては、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロデカリン、パーフルオロオクタン等が挙げられ、これらの油剤は必要に応じて一種、又は二種以上用いることができる。
【0202】
油溶性ゲル化剤としては、アルミニウムステアレート、マグネシウムステアレート、ジンクミリステート等の金属セッケン、N−ラウロイル−L−グルタミン酸、α,γ−ジ−n−ブチルアミン等のアミノ酸誘導体、デキストリンパルミチン酸エステル、デキストリンステアリン酸エステル、デキストリン2 − エチルヘキサン酸パルミチン酸エステル等のデキストリン脂肪酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル等のショ糖脂肪酸エステル、イヌリンステアリン酸エステル、フラクトオリゴ糖2−エチルヘキサン酸エステル等のフラクトオリゴ糖脂肪酸エステル、モノベンジリデンソルビトール、ジベンジリデンソルビトール等のソルビトールのベンジリデン誘導体、ジメチルベンジルドデシルアンモニウムモンモリロナイトクレー、ジメチルジオクタデシルアンモニウムモンモリナイトクレー等の有機変性粘土鉱物等が挙げられ、これらは必要に応じて一種、又は二種以上用いることができる。
【0203】
本発明の外用剤又は化粧料には、上記成分以外の界面活性剤を配合することができる。係る界面活性剤は、本発明に係る糖アルコール変性シリコーン以外のシリコーン系界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、半極性界面活性剤からなる群より選ばれる1種又は2種類以上の界面活性剤を併用することができる。
【0204】
シリコーン系界面活性剤は、本発明に係る低臭性糖アルコール変性シリコーン以外のシリコーン系界面活性剤である。かかるシリコーン系界面活性剤は油剤の乳化や洗浄、粉体の分散や表面処理用成分として使用される場合が多く、代表的には、ポリグリセリル変性シリコーン,グリセリル変性シリコーン,糖変性シリコーン、フッ素ポリエーテル変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、カルボン酸変性シリコーン,糖変性シリコーン,直鎖状シリコーン・ポリエーテルブロック共重合体,長鎖アルキル・ポリエーテル共変性シリコーン等が例示される。
【0205】
アニオン性界面活性剤として、飽和又は不飽和脂肪酸塩(例えば、ラウリン酸ナトリウム,ステアリン酸ナトリウム,オレイン酸ナトリウム,リノレン酸ナトリウム等),アルキル硫酸塩,アルキルベンゼンスルホン酸(例えば、ヘキシルベンゼンスルホン酸,トクチルベンゼンスルホン酸,ドデシルベンゼンスルホン酸等)及びその塩,ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩,ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸塩,ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩,スルホコハク酸アルキルエステル塩,ポリオキシアルキレンスルホコハク酸アルキルエステル塩,ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩,アルカンスルホン酸塩,オクチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド,ドデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシド,アルキルスルホネート,ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩,ポリオキシアルキレンアルキルエーテル酢酸塩,アルキルリン酸塩,ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩,アシルグルタミン酸塩,α−アシルスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリルスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、アルキル又はアルケニル硫酸塩、アルキルアミド硫酸塩、アルキル又はアルケニルリン酸塩、アルキルアミドリン酸塩、アルキロイルアルキルタウリン塩、N−アシルアミノ酸塩、スルホコハク酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アミドエーテルカルボン酸塩、α−スルホ脂肪酸エステル塩、アラニン誘導体、グリシン誘導体、アルギニン誘導体が例示される。塩としてはナトリウム塩等のアルカリ金属塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、トリエタノールアミン塩等のアルカノールアミン塩、更にはアンモニウム塩が挙げられる。
【0206】
カチオン性界面活性剤として、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化牛脂アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ジココイルジメチルアンモニウム、塩化ジオクチルジメチルアンモニウム、塩化ジ(POE)オレイルメチルアンモニウム(2EO)、塩化ベンザルコニウム、塩化アルキルベンザルコニウム,塩化アルキルジメチルベンザルコニウム,塩化ベンゼトニウム,塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、ラノリン誘導四級アンモニウム塩、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、塩化ベヘニン酸アミドプロピルジメチルヒドロキシプロピルアンモニウム、塩化ステアロイルコラミノホルミルメチルピリジニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化トール油アルキルベンジルヒドロキシエチルイミダゾリニウム、ベンジルアンモニウム塩が例示される。
【0207】
ノニオン性界面活性剤として、ジイソステアリン酸ポリグリセリルやポリヒドロキシステアリン酸ジグリセリル、イソステアリルグリセリルエーテル、ポリオキシアルキレンエーテル類,ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類,ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル類,ポリオキシアルキレン脂肪酸ジエステル類,ポリオキシアルキレン樹脂酸エステル類,ポリオキシアルキレン(硬化)ヒマシ油類,ポリオキシアルキレンアルキルフェノール類,ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル類,ポリオキシアルキレンフェニルフェニルエーテル類,ポリオキシアルキレンアルキルエステル類,ポリオキシアルキレンアルキルエステル類,ソルビタン脂肪酸エステル,ポリオキシアルキレンソルビタンアルキルエステル類,ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル類,ポリオキシアルキレンソルビット脂肪酸エステル類,ポリオキシアルキレングリセリン脂肪酸エステル類,ポリグリセリンアルキルエーテル類,ポリグリセリン脂肪酸エステル類,ショ糖脂肪酸エステル類,脂肪酸アルカノールアミド,アルキルグルコシド類,ポリオキシアルキレン脂肪酸ビスフェニルエーテル類,ポリプロピレングリコール,ジエチレングリコール,ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックポリマー,アルキルポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックポリマーエーテル、フッ素系界面活性剤等が例示される。
【0208】
両性界面活性剤としてイミダゾリン型、アミドベタイン型、アルキルベタイン型、アルキルアミドベタイン型、アルキルスルホベタイン型、アミドスルホベタイン型、ヒドロキシスルホベタイン型、カルボベタイン型、ホスホベタイン型、アミノカルボン酸型、アミドアミノ酸型両性界面活性剤が例示される。具体的には、2−ウンデシル−N,N,N−(ヒドロキシエチルカルボキシメチル)−2−イミダゾリンナトリウム、2−ココイル−2−イミタゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等のイミダゾリン型両性界面活性剤;ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ミリスチルベタイン等のアルキルベタイン型両性界面活性剤;ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン 、パーム核油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン 、牛脂脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン 、硬化牛脂脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン 、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン 、ミリスチン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン 、パルミチン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン 、ステアリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン 、オレイン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアミドベタイン型両性界面活性剤;ヤシ油脂肪酸ジメチルスルホプロピルベタイン等のアルキルスルホベタイン型両性界面活性剤;ラウリルジメチルアミノヒドロキシスルホベタイン等のアルキルヒドロキシスルホベタイン型両性界面活性剤;ラウリルヒドロキシホスホベタイン等のホスホベタイン型両性界面活性剤;N−ラウロイル−N’−ヒドロキシエチル− N’−カルボキシメチルエチレンジアミンナトリウム、N−オレオイル−N’−ヒドロキシエチル− N’−カルボキシメチルエチレンジアミンナトリウム、N−ココイル−N’−ヒドロキシエチル−N’−カルボキシメチルエチレンジアミンナトリウム、N−ラウロイル−N’−ヒドロキシエチル− N’−カルボキシメチルエチレンジアミンカリウム、N−オレオイル−N’−ヒドロキシエチル− N’−カルボキシメチルエチレンジアミンカリウム、N−ラウロイル−N−ヒドロキシエチル− N’−カルボキシメチルエチレンジアミンナトリウム、N−オレオイル−N−ヒドロキシエチル− N’−カルボキシメチルエチレンジアミンナトリウム、N−ココイル−N−ヒドロキシエチル− N’−カルボキシメチルエチレンジアミンナトリウム、N−ラウロイル−N−ヒドロキシエチル− N’, N’−ジカルボキシメチルエチレンジアミンモノナトリウム、N−オレオイル−N−ヒドロキシエチル− N’, N’−ジカルボキシメチルエチレンジアミンモノナトリウム、N−ココイル−N−ヒドロキシエチル−N’, N’−ジカルボキシメチルエチレンジアミンモノナトリウム、N−ラウロイル−N−ヒドロキシエチル− N’, N’−ジカルボキシメチルエチレンジアミンジナトリウム、N−オレオイル−N−ヒドロキシエチル− N’, N’−ジカルボキシメチルエチレンジアミンジナトリウム、N−ココイル−N−ヒドロキシエチル− N’, N’−ジカルボキシメチルエチレンジアミンジナトリウム等ののアミドアミノ酸型両性界面活性剤が例示される。
【0209】
半極性界面活性剤としては、アルキルアミンオキサイド型界面活性剤、アルキルアミンオキサイド、アルキルアミドアミンオキサイド、アルキルヒドロキシアミンオキサイド等が例示され、炭素数10〜18のアルキルジメチルアミンオキサイド、炭素数8〜18のアルコキシエチルジヒドロキシエチルアミンオキサイド等が好ましく用いられる。具体的には、ドデシルジメチルアミンオキサイド、ジメチルオクチルアミンオキサイド、ジエチルデシルアミンオキサイド、ビス−(2−ヒドロキシエチル)ドデシルアミンオキサイド、ジプロピルテトラデシルアミンオキサイド、メチルエチルへキサデシルアミンオキサイド、ドデシルアミドプロピルジメチルアミンオキサイド、セチルジメチルアミンオキサイド、ステアリルジメチルアミンオキサイド、タロウジメチルアミンオキサイド、ジメチル−2−ヒドロキシオクタデシルアミンオキサイド、ラウリルジメチルアミンオキシド、ミリスチルジメチルアミンオキシド、ステアリルジメチルアミンオキシド、イソステアリルジメチルアミンオキシド、ヤシ脂肪酸アルキルジメチルアミンオキシド、カプリル酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、カプリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、ミリスチン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、パルミチン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、ステアリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、イソステアリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、オレイン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、リシノレイン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、12−ヒドロキシステアリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、ヤシ脂肪酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、パーム核油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、ヒマシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、ラウリン酸アミドエチルジメチルアミンオキシド、ミリスチン酸アミドエチルジメチルアミンオキシド、ヤシ脂肪酸アミドエチルジメチルアミンオキシド、ラウリン酸アミドエチルジエチルアミンオキシド、ミリスチン酸アミドエチルジエチルアミンオキシド、ヤシ脂肪酸アミドエチルジエチルアミンオキシド、ラウリン酸アミドエチルジヒドロキシエチルアミンオキシド、ミリスチン酸アミドエチルジヒドロキシエチルアミンオキシド、及びヤシ脂肪酸アミドエチルジヒドロキシエチルアミンオキシドが例示される。
【0210】
紫外線防御剤には、無機系の紫外線防御剤と有機系の紫外線防御剤がある。本発明の外用剤又は化粧料が日焼け止め用途であれば、少なくとも1種の有機系の紫外線防御剤を含有することが好ましく、UV−Aに対応した紫外線防御成分とUV−Bに対応した紫外線防御成分を併用することが更に好ましい。
【0211】
無機紫外線防御剤は、無機系の粉体顔料、金属粉末顔料等を紫外線分散剤として配合するものであっても良く、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、低次酸化チタン、鉄ドーピング酸化チタン等の金属酸化物、水酸化鉄等の金属水酸化物、板状酸化鉄、アルミニウムフレーク等の金属フレーク類、炭化珪素等のセラミック類が挙げられる。
【0212】
有機紫外線防御剤として、パラアミノ安息香酸等の安息香酸系紫外線吸収剤、アントラニル酸メチル等のアントラニル酸系紫外線吸収剤、サリチル酸メチル等のサリチル酸系紫外線吸収剤、パラメトキシケイ皮酸オクチル等のケイ皮酸系紫外線吸収剤、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ウロカニン酸エチル等のウロカニン酸系紫外線吸収剤、4−t−ブチル−4’−メトキシ−ジベンゾイルメタン等のジベンゾイルメタン系紫外線吸収剤、2―[4―(ジエチルアミノ)―2―ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルエステル(ユビナールAプラス)等が挙げられる。
【0213】
塩類として、無機塩、有機酸塩、アミン塩及びアミノ酸塩が挙げられる。無機塩としては、例えば、塩酸、硫酸、炭酸、硝酸等の無機酸のナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、アルミニウム塩、ジルコニウム塩、亜鉛塩等;有機酸塩としては、例えば、酢酸、デヒドロ酢酸、クエン酸、りんご酸、コハク酸、アスコルビン酸、ステアリン酸等の有機酸類の塩;アミン塩及びアミノ酸塩としては、例えば、トリエタノールアミン等のアミン類の塩、グルタミン酸等のアミノ酸類の塩等が挙げられる。また、その他、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸等の塩、アルミニウムジルコニウムグリシン錯体等や、更には、化粧品処方の中で使用される酸−アルカリの中和塩等も使用することができる。
【0214】
保湿剤としては、グリセリン、ソルビトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グルコース、キシリトール、マルチトール、ポリエチレングリコール等の多価アルコール類;ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ピロリドンカルボン酸塩、ポリオキシエチレンメチルグルコシド、ポリオキシプロピレンメチルグルコシド、PEG/PPGジメチルエーテル等がある。
【0215】
防菌防腐剤としては、パラオキシ安息香酸アルキルエステル、安息香酸、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、フェノキシエタノール等、抗菌剤としては、安息香酸、サリチル酸、石炭酸、ソルビン酸、パラオキシ安息香酸アルキルエステル、パラクロルメタクレゾール、ヘキサクロロフェン、塩化ベンザルコニウム、塩化クロルヘキシジン、トリクロロカルバニリド、トリクロサン、感光素、フェノキシエタノール等が挙げられるが、口紅の場合は配合しないことが好ましい。
【0216】
酸化防止剤としては、例えば、トコフェロール、ブチルヒドロキシアニソール、ジブチルヒドロキシトルエン、フィチン酸等が挙げられる。
【0217】
pH調整剤としては、例えば、乳酸、クエン酸、グリコール酸、コハク酸、酒石酸、dl−リンゴ酸、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム等が挙げられ
【0218】
キレート剤としては、例えば、アラニン、エデト酸ナトリウム塩、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、リン酸等が挙げられる。
【0219】
清涼剤としては、L − メントール、カンフル等、抗炎症剤としては、アラントイン、グリチルレチン酸、グリチルリチン酸、トラネキサム酸、アズレン等が挙げられる。
【0220】
美肌用成分としては、胎盤抽出液、アルブチン、グルタチオン、ユキノシタ抽出物等の美白剤、ロイヤルゼリー等の細胞賦活剤、肌荒れ改善剤、ノニル酸ワレニルアミド、ニコチン酸ベンジルエステル、ニコチン酸β−ブトキシエチルエステル、カプサイシン、ジンゲロン、カンタリスチンキ、イクタモール、カフェイン、タンニン酸、α−ボルネオール、ニコチン酸トコフェロール、イノシトールヘキサニコチネート、シクランデレート、シンナリジン、トラゾリン、アセチルコリン、ベラパミル、セファランチン、γ−オリザノール等の血行促進剤、酸化亜鉛、タンニン酸等の皮膚収斂剤、イオウ、チアントロール等の抗脂漏剤等が挙げられ、ビタミン類としては、ビタミンA油、レチノール、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール等のビタミンA類、リボフラビン、酪酸リボフラビン、フラビンアデニンヌクレオチド等のビタミンB2類、ピリドキシン塩酸塩、ピリドキシンジオクタノエート、ピリドキシントリパルミテート等のビタミンB6類、ビタミンB12及びその誘導体、ビタミンB15及びその誘導体等のビタミンB類、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸ジパルミチン酸エステル、L−アスコルビン酸−2−硫酸ナトリウム、L−アスコルビン酸リン酸ジエステルジカリウム等のビタミンC類、エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール等のビタミンD類、α−トコフェノール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、ニコチン酸dl−α−トコフェロール、コハク酸dl−α−トコフェロール等のビタミンE類、ビタミンH、ビタミンP、ニコチン酸、ニコチン酸ベンジル等のニコチン酸類、パントテン酸カルシウム、D−パントテニルアルコール、パントテニルエチルエーテル、アセチルパントテニルエチルエーテル等のパントテン酸類等が挙げられる。
【0221】
アミノ酸として、グリシン、ヴァリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、フェニルアラニン、アルギニン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、シスチン、システイン、メチオニン、トリプトファン等のアミノ酸及び/又はその塩が例示される。
【0222】
核酸として、デオキシリボ核酸等、ホルモンとしては、エストラジオール、エテニルエストラジオール等が挙げられる。
【0223】
生理活性成分は、皮膚又は毛髪に塗布した場合に皮膚又は毛髪に何らかの生理活性を与える物質であって、親油性であるものが例示される。例えば、抗炎症剤、老化防止剤、ひきしめ剤、発毛剤、育毛剤、保湿剤、血行促進剤、乾燥剤、温感剤、ビタミン類、創傷治癒促進剤、刺激緩和剤、鎮痛剤、細胞賦活剤、酵素成分等が挙げられる。同様に、天然系の植物抽出成分、海藻抽出成分、生薬成分が好ましく配合することができる。
【0224】
医薬有効成分は、疾患治療効果を有する物質であって、例えば、タンパク質、ペプチド、低分子化合物が挙げられる。
【0225】
香料は、親油性の香料であれば特に限定されるものではなく、種々の植物の花、種子、葉、根等から抽出した香料、海藻類から抽出した香料、動物の各部位又は分泌物から抽出した香料(例、じゃこう、マッコウ)、人工的に合成した香料(例、メントール、ムスク、酢酸エステル、バニラ)が例示される。香料は、外用剤又は化粧料に香気、香りを付与するために配合される。色素は油溶性染料、体質顔料、無機顔料、有機顔料、親油性の蛍光増白剤等がある。
【0226】
[その他のシリコーン系化粧料原料との組み合わせ]
本発明に係る外用剤又は化粧料には、更に、その剤形及び処方に応じて、固形状シリコーン樹脂又は架橋性オルガノポリシロキサン、アクリルシリコーンデンドリマーコポリマー、シリコーン生ゴム(シリコーンガム)、ポリアミド変性シリコーン、アルキル変性シリコーンワックス、アルキル変性シリコーンレジンワックスを配合することができる。本発明により得られた低臭性糖アルコール変性シリコーンは、主鎖がポリシロキサン鎖から構成され、変性基として親水性の糖アルコール変性基を有するため、これらのシリコーン系の化合物との配合安定性に優れ、これらのシリコーン系化粧料原料の特徴的な感触を活かした化粧料を設計できる利点がある。
【0227】
[固形状シリコーン樹脂又は架橋性オルガノポリシロキサン]
本発明の本発明の外用剤又は化粧料には、固形状シリコーン樹脂又は架橋性オルガノポリシロキサンを更に含むことができる。固形状シリコーン樹脂又は架橋性オルガノポリシロキサンは室温において水に対して全く溶解しないか、水100gに対する該成分の溶解度が1重量(質量)%未満であるような疎水性のものが好ましい。
【0228】
固形状シリコーン樹脂とは、高度の分岐状構造、網状構造又は籠状構造を有するオルガノポリシロキサンであり、常温で固形状である。本発明の目的に反しない限り、通常化粧料に用いられるシリコーン樹脂であればいずれのものでも使用可能である。固形状シリコーン樹脂は、球状パウダー、燐片状パウダー、針状パウダー、平板フレーク状パウダー(一般に板状と理解される外観及び粒子のアスペクト比を有する板状パウダーを含む)等の粒子であってもよく、特に、後述するモノオルガノシロキシ単位(T単位)及び/又はシロキシ単位(Q単位)を含有するシリコーン樹脂パウダーが好適に用いられる。
【0229】
本発明により得られた低臭性糖アルコール変性シリコーンと共に固形状シリコーン樹脂を配合した場合、油剤との相溶性及び均一分散性が改善されると共に、固形状シリコーン樹脂の配合に伴う塗布部分への均一な密着性といった使用感の改善効果や耐水性・耐皮脂性等化粧持ちの改善効果が得られる点で有用である。
【0230】
固形状シリコーン樹脂には、例えば、トリオルガノシロキシ単位(M単位)(オルガノ基はメチル基のみ、メチル基とビニル基若しくはフェニル基である)、ジオルガノシロキシ単位(D単位)(オルガノ基はメチル基のみ、メチル基とビニル基若しくはフェニル基である)、モノオルガノシロキシ単位(T単位)(オルガノ基はメチル基、ビニル基、又はフェニル基である)及びシロキシ単位(Q単位)の任意の組み合わせからなるMQ樹脂、MDQ樹脂、MTQ樹脂、MDTQ樹脂、TD樹脂、TQ樹脂、TDQ樹脂がある。更には、トリメチルシロキシケイ酸、ポリアルキルシロキシケイ酸、ジメチルシロキシ単位含有トリメチルシロキシケイ酸、アルキル(パーフルオロアルキル)シロキシケイ酸が例示される。これらのシリコーン樹脂は油溶性であり、揮発性シリコーンに溶解しうるものが特に好ましい。
【0231】
特に、フェニル基の含有量の高い高屈折率のフェニルシリコーン樹脂(例えば、東レ・ダウコーニング社製の217 Flake resin等)は、容易にフレーク状のシリコーン樹脂パウダーとすることができ、特に、化粧料に配合した場合、皮膚や髪に輝きのある透明感を付与することができる。
【0232】
架橋性オルガノポリシロキサンは、オルガノポリシロキサン鎖が、ポリエーテル単位、炭素原子数4〜20のアルキレン単位又はオルガノポリシロキサン単位からなる架橋性成分等との反応により3次元的に架橋した構造のものが好ましい。
【0233】
架橋性オルガノポリシロキサンは、具体的には、珪素結合水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと、分子鎖の両末端に不飽和結合を有するポリエーテル化合物、分子中に1を超える二重結合を有する不飽和炭化水素、分子中に1を超える二重結合を有するオルガノポリシロキサンを付加反応させることにより得ることができる。
ここで、架橋性オルガノポリシロキサンは、未反応の珪素結合水素原子、フェニル基等の芳香族炭化水素基、オクチル基等の炭素原子数6〜30の長鎖アルキル基、ポリエーテル基、カルボキシル基等の修飾性官能基を有していても有していなくてもよく、希釈・性状等の物理的形態や製法等によらず制限なく使用できる。
【0234】
一例として、かかる架橋性オルガノポリシロキサンは、SiO単位、HSiO単位、R
bSiO単位、R
bHSiO単位、R
bSiO単位、R
bSiO単位及びR
bHSiO単位(ここで、R
bは脂肪族不飽和基を除く、置換若しくは非置換の炭素数1〜30の一価炭化水素基であり、R
bの一部は炭素数8〜30の一価炭化水素基である)からなる群から選択された構造単位で構成され、且つ、珪素原子に結合した水素原子を平均で1.5個以上分子中に含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと、分子鎖両末端に不飽和炭化水素基を有するポリオキシアルキレン化合物、ポリグリセリン化合物若しくはポリグリシジルエーテル化合物等であるポリエーテル化合物、一般式:CH=CH−C
rH−CH=CH
2(式中、rは0〜26の整数である)で表わされるα,ω−ジエンである不飽和炭化水素、又は、SiO
2単位、(CH=CH)SiO単位、R
cSiO単位、R
c(CH=CH)SiO単位、R
cSiO単位、R
cSiO単位及びR
c(CH=CH)SiO単位、(ここでR
cは脂肪族不飽和基を除く置換若しくは非置換の炭素数1〜30の一価炭化水素基である)からなる群から選択された構造単位で構成され、且つ、分子中にケイ素原子に結合したビニル基を平均で1.5個以上含有するオルガノポリシロキサンから選ばれる架橋性成分とを付加反応させることにより得ることができる。なお、未反応の珪素原子結合水素原子に対して付加反応により、前記修飾性官能基を導入することができる。例えば、未反応の珪素原子結合水素原子を有する架橋性オルガノポリシロキサンに対して、1−ヘキセンを反応させることで、C6アルキル基であるヘキシル基が導入される。
【0235】
このような架橋性オルガノポリシロキサンであれば、希釈・性状等の物理的形態や製法等によらず制限なく使用できるが、特に好ましいものとしては米国特許第5654362号中に記載されているα,ω−ジエン架橋シリコーンエラストマー(市販品としては、DC 9040 Silicone Elastomer Blend, DC 9041 Silicone Elastomer Blend, DC 9045 Silicone Elastomer Blend, DC 9046 Silicone Elastomer Blend、米国ダウコーニング社製)が挙げられる。同様に、部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物として、INCI名(International Nomenclature C
osmetic Ingredient labeling names)で(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー、(ジメチコン/フェニルビニルジメチコン)クロスポリマー、(PEG-8〜30/C6〜C30アルキルジメチコン)クロスポリマー、(ビニルジメチコン/C6〜C30アルキルジメチコン)クロスポリマー、(ジメチコン/ポリグリセリン)クロスポリマー等が挙げられる。
【0236】
ポリエーテル化合物により架橋されてなる、乳化性の架橋性オルガノポリシロキサンを成分として外用剤又は化粧料に配合した場合、本発明により得られた低臭性糖アルコール変性シリコーンが分散剤として機能するので、均一な乳化系(剤形)を形成できる利点がある。
【0237】
一方、オルガノポリシロキサン又はジエン等の不飽和炭化水素基により架橋されてなる、非乳化性の架橋性オルガノポリシロキサンを成分として外用剤又は化粧料に配合した場合、皮膚や毛髪に厚みのある滑らかな感触を付与し、マットな外観と皮膚のしわやしみ等を隠ぺいする効果が得られる。更に、各種油剤を保持して増粘する効果が高いので、化粧料の肌への密着感が改善され、化粧持ちも向上する利点がある。
【0238】
固形状シリコーン樹脂又は架橋性オルガノポリシロキサンは、その目的に応じて、1種類又は2種類以上を配合することができ、その目的及び配合の意図に応じて、化粧料又は外用剤全体の0.05〜25重量(質量)%の範囲内で配合することが好ましく、0.1〜15重量(質量)%の範囲内で配合することがより好ましい。
【0239】
[アクリルシリコーンデンドリマーコポリマー]
本発明の外用剤又は化粧料は、アクリルシリコーンデンドリマーコポリマーを更に含むことができる。アクリルシリコーンデンドリマーコポリマーは、カルボシロキサンデンドリマー構造を側鎖に有するビニル系重合体であり、例えば、特許第4009382号公報(特開2000−063225号公報)中に記載されているビニル系重合体が、特に好ましく例示される。市販品としては、東レ・ダウコーニング社製のFA 4001CM Silicone Acrylate、FA 4002 ID Silicone Acrylate等が挙げられるが、その側鎖等に炭素原子数8〜30、好適には炭素原子数14〜22の長鎖アルキル基を有するアクリルシリコーンデンドリマーコポリマーであってもよい。かかるアクリルシリコーンデンドリマーコポリマーは単独で配合した場合、優れた造膜性を有するため、本発明に係る外用剤又は化粧料に配合することにより、塗布部に強固な塗膜を形成することができ、耐皮脂性や耐摩擦性等の持続性が大幅に改善される。
【0240】
本発明により得られた低臭性糖アルコール変性シリコーンとアクリルシリコーンデンドリマーコポリマーとを併用することにより、カルボシロキサンデンドリマー構造による強撥水性により、耐皮脂性等の表面保護特性が改善されると共に、毛穴等の凹凸を効果的に目立たなくできる利点がある。また、糖アルコール変性シリコーンは、アクリルシリコーンデンドリマーコポリマーを他の油剤に好適に馴染ませるため、例えば、化粧持ちを改善し、皮膚表面や毛髪の劣化を長時間にわたって抑制できる利点がある。
【0241】
アクリルシリコーンデンドリマーコポリマーの配合量は、その目的及び配合の意図に応じて適宜選択されるものであるが、外用剤又は化粧料全体の1〜99重量(質量)%の範囲内が好ましく、30〜70重量(質量)%の範囲内がより好ましい。
【0242】
[シリコーン生ゴム(シリコーンガム)]
本発明の外用剤又は化粧料においては、室温における粘度が1,000,000mm
2/s以上の、シリコーン生ゴム(シリコーンガム)と称される、超高粘度ではあるが流動性を有するものもシリコーン油として好適に使用することができる。シリコーンガムは、超高重合度の直鎖状ジオルガノポリシロキサンであり、シリコーン生ゴムやオルガノポリシロキサンガムとも称されている。シリコーンガムは、その重合度が高いため、測定可能な程度の可塑度を有する点で、上記の油状シリコーン類と区別される。これらのシリコーンガムは、そのまま、或いは油状シリコーンに分散させた液状のガムディスパージョン(シリコーンガムのオイル分散物)として、本発明にかかる外用剤又は化粧料、特に感触付与を目的として毛髪化粧料に配合することができる。
【0243】
このようなシリコーン生ゴムとしては、ジアルキルシロキシ単位(D単位)を有する置換又は非置換のオルガノポリシロキサン、例えばジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、アミノポリシロキサン、メチルフロロアルキルポリシロキサン等、又は、それらの微架橋構造を有したもの等が挙げられ、代表例として、一般式:R
10(CH
3)
2SiO{(CH
3)
2SiO}
s{(CH
3)R
12SiO}
tSi(CH
3)
2R
10(式中、R
12はビニル基、フェニル基、炭素数が6〜20のアルキル基、炭素数3〜15のアミノアルキル基、炭素数3〜15のパーフロロアルキル基、炭素数3〜15の4級アンモニウム塩基含有アルキル基から選択される基であり、末端基R
10は、炭素数1〜8のアルキル基、フェニル基、ビニル基、炭素数3〜15のアミノアルキル基、水酸基及び炭素数1〜8のアルコキシ基から選択される基である。また、s=2,000〜6,000、t=0〜1,000、s+t=2,000〜6,000)で示されるものがある。中でも、重合度3000〜20000のジメチルポリシロキサン生ゴムが好ましい。また、分子の側鎖又は末端に3−アミノプロピル基、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピル基等を有するアミノ変性メチルポリシロキサン生ゴムが好ましい。また、本発明において、シリコーンガムは必要に応じて1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0244】
シリコーンガムは、超高重合度であるため、毛髪に対する残留性に優れ、通気性に優れた保護膜を形成する。このため、特に毛髪に艶と光沢を与え、使用中及び使用後に髪全体に張りとコシのある質感を付与することができる成分である。高重合度のシリコーンガムは、シリコーン油で希釈して低粘度化した形態で外用剤や化粧料に配合することもできる。
【0245】
シリコーンガムの配合量は、例えば、外用剤又は化粧料全体の0.05〜30重量(質量)%の範囲であり、好適には1〜15重量(質量)%の範囲である。なお、シリコーンガムは予め乳化工程(乳化重合も含む)を経て調製された乳化組成物として使用すれば配合がしやすく、本発明の毛髪化粧料に安定に配合することができる。シリコーンガムの配合量が前記下限未満では、特有の感触や毛髪に対する光沢付与効果が不十分となるおそれがある。
【0246】
[ポリアミド変性シリコーン]
本発明の外用剤又は化粧料に好適に配合しうるポリアミド変性シリコーンは、例えば、米国特許5981680号(特開2000−038450号公報)や特表2001−512164号公報中に記載されているシロサンベースのポリアミド化合物が例示され、市販品としては2−8178 Gellant、2−8179 Gellant等(米国ダウコーニング社製)が挙げられる。かかるポリアミド変性シリコーンは、油性原料、特にシリコーン油の増粘/ゲル化剤としても機能する。
【0247】
ポリアミド変性シリコーンを本発明により得られた低臭性糖アルコール変性シリコーンと併用すると、本発明の外用剤又は化粧料は、皮膚や毛髪等に塗布した場合に、伸びとおさまりが良く、安定感と密着性に更に優れるものになる。また、艶のある透明感と優れた光沢を付与し、油性原料を含む化粧料全体の粘度や硬さ(柔軟性)を適宜調整することが可能となり、全体的に油っぽさ(油っぽいベタベタした感触)を抑制できるという品質上の利点がある。更に、低臭性糖アルコール変性シリコーンの使用により香料、粉体等の分散安定性が改善されるため、例えば、均一且つきめ細かい化粧感が長時間にわたって持続する特徴がある。
【0248】
[シリコーンワックス]
本発明の外用剤又は化粧料に好適に配合しうるシリコーンワックスは、高級アルキル変性シリコーン、アルキル変性シリコーン樹脂である。高級アルキル変性シリコーンは室温でワックス状であり、固形化粧料(例えば、油性の固形皮膚化粧料、固形毛髪化粧料)の基材の一部として有用な成分である。したがって、本発明の外用剤又は化粧料において好適に使用することができる。このような高級アルキル変性シリコーンワックスとしては、例えば、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチル長鎖アルキルポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン・メチル長鎖アルキルシロキサン共重合体,分子鎖両末端長鎖アルキル変性ジメチルポリシロキサン等が挙げられる。これらの市販品としては、AMS−C30 Cosmetic Wax、2503 Cosmetic Wax等(米国ダウコーニング社製)が挙げられる。
【0249】
本発明により得られた低臭性糖アルコール変性シリコーンは、高級アルキル変性シリコーンワックスとの相溶性が良くワックス中での分散特性に優れるので長期保存安定性に優れた外用剤又は化粧料を得ることができる。また、外用剤又は化粧料、特に固形化粧料の成形性も優れている。特に、粉体を含む系において、高級アルキル変性シリコーンワックスを含む基材中に粉体を均一に安定分散させる効果があり、かつ成形後には基材の硬度を適度に緩和することにより、塗布時に滑らかで均一に伸びる外用剤又は化粧料を提供することができる。
【0250】
本発明の外用剤又は化粧料においては、高級アルキル変性シリコーンワックスは、化粧持ち効果及び高温安定性の点から、融点が60℃以上であることが好ましい。
【0251】
アルキル変性シリコーン樹脂は、外用剤又は化粧料に皮脂耐久性、保湿性、肌理細やかな感触を付与する成分であり、室温でワックス状のものを好適に使用することができる。例えば、特表2007−532754号公報に記載されているシルセスキオキサン樹脂ワックスが好ましく挙げられる。これらの市販品としては、SW−8005 C30 RESIN WAX等(米国ダウコーニング社製)が挙げられる。
【0252】
本発明により得られた低臭性糖アルコール変性シリコーンは、高級アルキル変性シリコーンワックスと同様に、アルキル変性シリコーン樹脂ワックスとの相溶性が良くワックス中での分散特性に優れるので長期保存安定性に優れた外用剤又は化粧料を得ることができる。更に、かかるアルキル変性シリコーン樹脂ワックスを含有する油相を、任意に他の界面活性剤と共に、安定に乳化することができ、皮膚や毛髪にしっとりとした感触や保湿効果、更には耐水性と耐皮脂性に代表される化粧持ちの改善効果をも付与することができる。
【0253】
また、本発明に係る外用剤又は化粧料が制汗剤である場合、或いは、その目的に応じて、制汗活性成分、デオドラント剤を配合することができる。
【0254】
制汗活性成分は、アルミニウムクロルハイドレート又はアルミニウム−ジルコニウムテトラクロルハイドレックスグリシン(ZAG)等の収斂性の塩が例示できるが、アルミニウム、ハフニウム、亜鉛及びジルコニウム塩、たとえばアルミニウムハライド、アルミニウムヒドロキシハライド、ジルコニウムハライド、ジルコニウムオキシハライド、ジルコニウムヒドロキシハライド、水酸化ジルコニルハライド、塩化アルミニウムジルコニウム、乳酸ジルコニウム− アルミニウム、塩基性アルミニウムハライド、例えばAl
2(OH)
5Cl、臭化アルミニウム、緩衝硫酸アルミニウム、ミョウバン、焼ミョウバン及びそれらの種々の水、アルコール又はグリシン錯体(例えば、アルミニウム、ジルコニウム及びグリシンを含むアルミニウム・ジルコニウムクロロハイドレートとグリシンとのコンプレックス(ZAGコンプレックス))等も使用することが出来る。これらの制汗活性成分は、1種又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。本発明に係る制汗剤組成物が油中水エマルジョン型制汗剤組成物である場合、これらの制汗活性成分は水相成分の一つである。一方、大豆抽出物やイソフラボン類も制汗効果を有することが知られている。これらは水溶性が低いため油相に溶解させて使用するのが好ましい。
【0255】
本発明において、上記制汗活性成分の配合量は、発汗の減少を与えるに足る量であって、かつ、その含有量が少量に抑制されていることが、パーソナルケア組成物においては好適でありうる。具体的には、制汗剤組成物において、制汗効果と感触の点から、化粧料全体の5〜25重量(質量)%の制汗活性成分を含有することが好適である。水溶性の制汗活性成分の場合、経済的理由からは、制汗効果を維持しつつ該組成物中の水の割合を最大限に高めることが好ましいが、制汗活性成分を水相に対する飽和量付近まで添加することもできる。
【0256】
本発明の外用剤又は化粧料、特に制汗剤組成物においては、前記の制汗活性成分と共に、又は制汗活性成分に代えて、デオドラント剤を配合できる。デオドラント剤は、消臭剤、香料、汗による臭いを防止又は除去する物質を挙げることができる。このようなデオドラント剤は、抗菌剤(殺菌剤又は防かび剤)、静菌剤、臭い吸着物質、消臭剤、香料等であり、腋臭、汗臭、足臭のような体臭防止の目的で配合される。なお、これらのデオドラント剤は、制汗剤以外の化粧料や外用剤においても有用であり、本発明の外用剤又は化粧料に好適に配合しうることは言うまでもない。
【0257】
抗菌剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニウムブロマイド、セチルピリジニウムクロライド、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン、ジイソブチルフェノキシエトキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、N−ラウロイルサルコシンナトリウム、N−パルミトイルサルコシンナトリウム、N−ミリストイルグリシン、N−ラウロイルサルコシンカリウム、トリメチルアンモニウムクロライド、アルミニウムクロロヒドロキシ乳酸ナトリウム、クエン酸トリエチル、トリセチルメチルアンモニウムクロライド、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,4,4’−トリクロロ−2’−ヒドロキシジフェニルエーテル(トリクロサン)、3,4,4’−トリクロロカルバニリド(トリクロカルバン);L−リジンヘキサデシルアミド等のジアミノアルキルアミド; クエン酸、サリチル酸、ピロクトース等の重金属塩、好ましくは亜鉛塩、及びそれらの酸、ピリチオンの重金属塩、好ましくはピリチオン亜鉛、フェノール硫酸亜鉛、エチルパラベン、ブチルパラベン、ヒノキチオール、ファルネソール、フェノキシエタノール、イソプロピルメチルフェノール、プロポリス、リゾチーム、塩化リゾチーム、リゾチームとビタミンE又はその誘導体とを組み合わせたもの、リゾチームとα−ヒドロキシ酸等の有機酸を組み合わせたもの等が挙げられる。
【0258】
静菌剤としては、例えば1−ヘプチルグリセリルエーテル、1−(2−エチルヘキシル)グリセリルエーテル、1−オクチルグリセリルエーテル、1−デシルグリセリルエーテル及び1−ドデシルグリセリルエーテル等のグリセリルモノアルキルエーテル等を使用することが出来る。
【0259】
臭い吸着物質は臭気原因物質を吸着して臭気を低減する物質であれば、特に制限なく用いることができ、これらは、既に記述した無機粉体や有機高分子の一部であって、同様の性質を示すものが含まれる。
【0260】
例えば、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、ゼオライト、メタケイ酸アルミン酸、無水ケイ酸、コロイダルシリカ、タルク、マイカ、ヒドロキシアパタイト、セルロース、トウモロコシデンプン、シルク、ナイロン末、架橋性オルガノポリシロキサン粉体、オルガノポリシロキサンエラストマー球状粉体等は、臭い吸着物質として使用できる。同様に、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩等の炭酸塩及び炭酸水素塩、アンモニウム塩、テトラアルキルアンモニウム塩等も使用でき、これらの臭い吸着物質のナトリウム塩及びカリウム塩がより好ましい。また、銀、銅、亜鉛、セリウム等の金属イオンを担持させた有機或いは無機の多孔質粒子(例えば、銀イオン担持ゼオライト、銀イオン/亜鉛イオン/アンモニウムイオン担持ゼオライト)や、銀カンクリナイトを含む針状結晶の集合体等を用いることもできる。これらは抗菌剤としても臭い吸着物質としても作用する点で、デオドラント剤として好適に使用できる。
【0261】
更には、ヒドロキシアルキル化シクロデキストリン、米発酵液を含む酒粕エキスや褐藻エキス、ケイヒ、チョウジ、ウイキョウ、ショウキョウ、ハッカ、ユズ、ゲンチアナ、アンズ、ユーカリ、クララ、クワ、アルエア、セージ、ローマカミツレ、オウゴン、ゴバイシ、クチナシ、ハマメリス、ハーブ等の動物・植物・微生物・菌類由来の各種抽出物等も、デオドラント剤として好適に使用できる。これらの成分の一部は、前述した生理活性成分と重複するが、デオドラント剤としての作用効果を目的として、これらの抽出物を選択することは化粧料の組成設計上、有用であり、かつ好ましい。
【0262】
臭い吸着物質は全組成中に0.001〜60重量(質量)% 含有するのが好ましく、0.01〜30重量(質量)% 、更に0.01〜3重量(質量)%含有するのがより好ましい。臭い吸着物質の含有量がこの範囲内にあれば、製剤の強度や感触を悪化させることなく、消臭性能を向上させることができる点で、有用である。
【0263】
適切な香料は、公知の、又はそうでなければ発汗に伴う悪臭をマスキングするのに有効な、又はそうでなければ所望の芳香を有する組成物を提供する如何なる局所用物質も含む。これらには、皮膚への局所適用に適切な、香料前駆体及び消臭芳香剤等の、あらゆる香料又は香料化学品が挙げられ、必要に応じて調香された香料成分であっても良い。
【0264】
[制汗剤組成物]
以上のとおり、本発明に係る低臭性糖アルコール変性シリコーンは汎用性に優れた外用剤又は化粧料用原料であり、化粧料又は医薬として人体に適用される組成物として、幅広く用いることができるものである。そこで、より具体的に、制汗剤組成物を例にとり説明する。本発明に係る制汗剤組成物は、油中水型エマルジョン(水系製剤)、スティック状の製剤及びスプレー等のエアゾール製剤のいずれであっても選択することができる。その配合成分は、製剤の種類に応じ、前記の化粧料成分を適宜選択して使用できる。特に、水相又は油相に配合される制汗活性成分は、前記のとおりであり、所望により、前記のデオドラント成分を配合することが好ましい。
【0265】
[油中水エマルジョン型の制汗剤組成物]
本発明の一実施態様である油中水エマルジョン型の制汗剤組成物においては、本発明の低臭性糖アルコール変性シリコーンを含有する油相成分(低臭性糖アルコール変性シリコーン、揮発性油剤、不揮発性油剤、可溶化剤等)、水相成分を任意の方法によって混合する。この際、透明性を確保するために、水相と油相とを独立に混合した後、両相の25℃における屈折率の差を0.0020単位以下になるように調整して乳化することにより、油中水エマルジョン型の制汗剤組成物の透明性及び安定性を改善することが好ましい。
【0266】
更に、本発明の低臭性糖アルコール変性シリコーンを含有するエマルジョン組成物は、水相と、前記低臭性糖アルコール変性シリコーン及び油剤を少なくとも含む油相とを独立に混合した後、両相の室温における屈折率の差を0.0020単位以下に調整して乳化することにより、その透明性を調整することができる。より具体的には、本発明にかかるエマルジョン組成物の透明性調整方法は、以下の(i)〜(iv)の手順を含む。
(i)(A)低臭性糖アルコール変性シリコーン、揮発性油剤、不揮発性油剤、可溶化剤等の油相成分を当該技術において既知の任意の方法によって混合する。同様に、水相成分も別の容器中で混合する。
(ii)室温(25℃)において、各相の屈折率(RI)を別々に測定する。
(iii)これら二相の屈折率の差が、少なくとも0.0020単位内にあるように、各相の屈折率の調整を行い、最終混合物の光学的透明性を確保する。
(iv)これらニ相を乳化する。乳化は、所望の乳化手段により行うことができるが、一般的には、剪断ミキサー等の機械的手段を用いて撹拌しつつ、該水相を該油相中に徐々に注入することによってこれら二相をエマルジョンとして合体させる。
【0267】
本発明にかかるエマルジョンの透明性調整方法は、特に、油中水型のエマルジョン組成物の調製において好適に用いることができ、得られたエマルジョン組成物をホモジナイザー又は他の適当な装置で高剪断条件下にて処理し、その透明性及び安定性を更に改善することができる。また、上記の手順(iii)において、半透明〜高透明性のエマルジョンを調製する場合には、これら二相の屈折率の差が相互に少なくとも約0.0020の屈折率(RI)単位内にあること、好ましくは約0.00010の単位内にあること、もっとも好ましくは両者間に屈折率の差がないことである。
【0268】
一方で、白色エマルジョンの調製等が必要な場合、エマルジョンの透明性が特に要求されない用途においては、各相の屈折率調整を行うことなく乳化処理を行い、不透明のエマルジョン組成物を得ることもできる。
【0269】
屈折率の調整は、簡便には、水相を追加量の水で希釈することで行うことができるが、更に、本発明の低臭性糖アルコール変性シリコーンを含有するエマルジョン組成物は、その水相又は油相に屈折率(RI)調整剤を配合し、油相と水相の屈折率の差を調整し、エマルジョン組成物の光学的透明性を確保することができる。すなわち、両相の屈折率の差が0或いは非常に小さい場合には、エマルジョン組成物は全体として、透明又は半透明となる。
【0270】
屈折率調整剤の種類及び使用量は水相及び油相の屈折率に応じて変動し、一般に光学的透明性を得るように水相及び油相の屈折率を調整するに足る量で存在させる。
【0271】
屈折率調整剤は該組成物の水相の屈折率の値を高める作用をもつ化合物又は該組成物の油相の屈折率の値を低下させる成分であれば、特に制限なく使用することができる。また、屈折率調整剤の添加は、前記の手順(i)〜(iv)のいずれの段階で行っても良いが、実用的には、手順(iii)において屈折率調整剤を用いて各相の屈折率を調整することが好ましい。
【0272】
水相の屈折率調整剤として用いられる成分として、低級一価アルコール、多価アルコール類及びその誘導体、糖アルコール類及びその誘導体、ポリオキシアルキレン基含有アルコール類、ポリオキシアルキレン基含有エーテル類、シリコーン−ポリエーテル共重合体等のシリコーン系界面活性剤(但し、本発明の低臭性糖アルコール変性シリコーンを除く)、水溶性高分子、任意の水溶性の極性型物質、水溶性無機塩、有機酸塩及びアミノ酸等が例示できる。これら水相の屈折率調整剤は1種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0273】
より具体的には、水相の屈折率調整剤は、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ヘキシレングリコール、オクチレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、4−メチル−1,2−ペンタンジオール、2−メチル−1,2−ペンタンジオール、3,3−メチル−1,2−ブタンジオール、4−メチル−1,2−ヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジオール、3−フェニル−1,2−プロパンジオール、グリセロールイソプロピルエーテル、グリセロールプロピルエーテル、グリセロールエチルエーテル、グリセロールメチルエーテル、グリセロールブチルエーテル、グリセロールイソペンチルエーテル、ジグリセロールイソプロピルエーテル、ジグリセロールイソブチルエーテル、トリグリセロールイソプロピルエーテル、アルキルキシリトールエーテル、アルキルソルビトールエーテル、1,2,6−へキサントリオール、1,2−へキサンジオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン、ポリグリセリン、ポリエチレングリコール、グリセリンモノアルキルエーテル( 例えば、キシルアルコール、セラキルアルコール、バチルアルコール等) ; 糖アルコール(例えば、マルチトール、マルトトリオース、ショ糖、エリトリトール、グルコース、フルクトース、デンプン分解糖、マルトース、キシリトース、デンプン分解糖還元アルコール等) ; グリソリッド; テトラハイドロフルフリルアルコール; POE-テトラハイドロフルフリルアルコール; POP-ブチルエーテル; POP・POE-ブチルエーテル; トリポリオキシプロピレングリセリンエーテル; POP-グリセリンエーテル; POP-グリセリンエーテルリン酸; POP・POE-ペンタンエリスリトールエーテル、シリコーン−ポリエーテル共重合体、シリコーン−(ポリ)グリセリン共重合体、糖変性シリコーン、又は任意の水溶性−極性型物質、塩化ナトリウムのような水溶性無機塩や有機酸塩、アミノ酸等も使用し得る。
【0274】
油相の屈折率調整剤として用いられる成分として、先に「油剤」として例示したものや、通常化粧料に用いられる油脂、高級アルコール、高級脂肪酸、有機系の親油性界面活性剤等から選ばれるものが例示できる。但し、油相の屈折率調整に用いるため、エマルジョンの油相の基油として用いた油剤とは異なる油剤である。これら水相の屈折率調整剤は1種以上を組み合わせて使用してもよい。また、油相の屈折率調整の目的で、2種の基油の混合物を用いても良い。
【0275】
油相の屈折率調整剤は、具体的には、シリコーン油、ミリスチン酸ラウリルやセバシン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソプロピル、安息香酸C8〜C18アルキル類等のエステル油、鉱油やポリデセン、水素化ポリイソブテン等の炭化水素油、オレイルアルコール、バチルアルコール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、オクチルドデカノール等の長鎖アルコール、PPG−3ミリスチルエーテルやPPG−14ブチルエーテル、POE(20)トリイソステアリン酸グリセリル又は他の混合物が例示される。
【0276】
本発明の低臭性糖アルコール変性シリコーンは、油中水エマルジョン型制汗剤組成物に配合することにより、サラッとした滑らかさと違和感のない自然な塗布感を付与できる。また、本発明の低臭性糖アルコール変性シリコーンは制汗活性成分を含む水相を安定に油中に乳化分散させるための乳化剤としても働くことができる。その使用量は、組成物全体を100重量(質量)部とした場合、0.1〜10部、好ましくは0.5〜5部である。更に、本発明の制汗剤においては、前記のエマルジョンの透明性調整方法を用いることによって、透明性に優れた、油中水エマルジョン型の透明制汗剤組成物を得られる実益がある。加えて、本発明の低臭性糖アルコール変性シリコーンは従来のポリエーテル変性シリコーン低臭化処理品等と比べて本質的に無臭性に優れるため、酸性の制汗活性成分と水とが共存する油中水エマルジョン型制汗剤組成物の処方中でも安定であり、経時での異臭発生が起きにくいという卓越した特徴を有する。
【0277】
油中水エマルジョン型制汗剤組成物の基油である揮発性油の使用量は、組成物全体を100重量(質量)部とした場合、5〜40部、好ましくは10〜30部、更により好ましくは15〜20部である。揮発性油としては、本発明における「油剤」成分として例示したもののうち、25℃で蒸気圧が測定されるものを使用することが出来る。すなわち、揮発性油は、25℃ における蒸気圧が0.01〜8hPa、好ましくは0.02〜2.0hPaで、1気圧における沸点が250℃ 未満のものである。
【0278】
油中水エマルジョン型制汗剤組成物において、制汗活性成分とデオドラント成分の種類及び使用量は前記の通りであり、所望により、適宜調整することができる。
【0279】
不揮発性油剤としては、本発明における「油剤」として例示したもののうち上記の「揮発性油」に該当しないもの、シリコーン系界面活性剤(但し、本発明の低臭性糖アルコール変性シリコーンを除く)、ジオクチルエーテル等のエーテル油、ジオクチルカーボネートやジオクタデシルカーボネート等の炭酸エステル油、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール等のエステル油、ポリアルキレングリコール及びその誘導体等が例示される。これらは、エモリエント効果や油中水エマルジョン型制汗剤組成物の感触や形態の調整効果を有する。不揮発性油の使用量は、上記同様に1〜10重量(質量)部、好ましくは2〜8重量(質量)部である。
【0280】
本発明にかかる油中水エマルジョン型の透明制汗剤組成物においては、可溶化剤を使用することもできる。これらの可溶化剤は本発明における「油剤」として例示したものや、通常化粧料に用いられる油脂、高級アルコール、高級脂肪酸、有機系の親油性界面活性剤等から選ばれるものであり、通常は基油として用いた油剤や前記の屈折率調整剤として用いた油剤、不揮発性油とは異なる油剤から選択される。しかし、屈折率調整剤や基油、不揮発性油が可溶化剤としての働きを担う場合もある。可溶化剤の使用量は全組成物の約0.1〜約20重量(質量)部、好ましくは1.0〜10.0重量(質量)部である。
【0281】
本発明にかかる油中水エマルジョン型の制汗剤組成物中に存在し得る他の成分は、粉体又は着色剤であり得る。具体的には、「粉体又は着色剤」として先に例示したもの等が挙げられる。また、架橋性オルガノポリシロキサン、オルガノポリシロキサンエラストマー球状粉体、シリコーン樹脂、アクリルシリコーンデンドリマーコポリマー、シリコーン生ゴム、ポリアミド変性シリコーン、アルキル変性シリコーンワックス、アルキル変性シリコーンレジンワックス等も本発明にかかる油中水エマルジョン型の制汗剤組成物中に好ましく存在し得る。これら成分の割合は通常、組成物全体を100重量(質量)部とした場合、一般に0〜8重量(質量)部であるが、限定されない。
【0282】
界面活性剤も本発明にかかる油中水エマルジョン型の制汗剤組成物に添加されてよい。具体的には、先に「界面活性剤」として例示したものに代表され、8を超えるHLBをもつ任意の親水性乳化剤を包含する。その配合量は、一般に全組成物100重量(質量)部に基づいて0〜2重量(質量)部である。しかしながら、この割合は系の所要HLB等に基づいて調整されることは当業者には明らかであると認められる。表面活性剤として好ましい親水性非イオン界面活性剤の例としては、POE-ソルビタン脂肪酸エステル類;POEソルビット脂肪酸エステル類;POE-グリセリン脂肪酸エステル類;POE-脂肪酸エステル類;POE-アルキルエーテル類;プルロニック型類;POE・POP-アルキルエーテル類;テトラPOE・テトラPOP-エチレンジアミン縮合物類;POE-ヒマシ油硬化ヒマシ油誘導体;POE-ミツロウ・ラノリン誘導体;アルカノールアミド;POE-プロピレングリコール脂肪酸エステル; POE-アルキルアミン;POE-脂肪酸アミド; ショ糖脂肪酸エステル;アルキルエトキシジメチルアミンオキシド;トリオレイルリン酸等が挙げられる。
【0283】
本発明の外用剤(一例として制汗剤組成物)には、上記の各成分の他に、増粘剤、油溶性ゲル化剤、有機変性粘土鉱物、生理活性成分、美肌用成分、pH調整剤、酸化防止剤、溶媒、キレート剤、保湿成分、薬剤等の各種成分を、本発明の目的を損なわない範囲で使用することができる。
【0284】
本発明に係る制汗剤組成物は、わきの下や他の部位に、汗及び/ 又は臭いを抑えるのに十分な量を塗布することにより使用される。対象とする皮膚上の部位に、約0.1〜10g塗布するのが好ましく、0.1〜5g、更に0.1〜1g塗布するのがより好ましい。
【0285】
[非水のスティック状制汗剤組成物]
次に、本発明の一実施態様であるスティック状制汗剤組成物について説明する。本スティック状制汗剤組成物は固形状制汗剤組成物の一形態であり、固形W/Oエマルション等水を含有させた形態としても良いし、実質的に水を含まない外用剤組成物とすることもできる。ここでは、実質的に水を含まない系を例にとって説明する。非水のスティック状制汗剤組成物は、安定性に優れておりドライな使用感を得たい場合に有利である。
【0286】
本発明の一実施態様である非水のスティック状制汗剤組成物においては、本発明の低臭性糖アルコール変性シリコーン、揮発性油剤、高級アルコール、ワックス、不揮発性油剤等の油相成分を混合し、高級アルコールやワックス等固体成分が融解する温度(例えば約80℃)で加熱及び撹拌を行い、単一の液体相を形成させる。系の凝固点より少し高い温度(例えば約65℃)に保ち、撹拌を行いながら制汗活性成分以外の残りの成分を加え、更に活性成分を加える。よく撹拌した後に、容器に流し込み、室温で固化させることにより製造できる。なお、攪拌操作は、ミキサー等、公知の機械力を用いた攪拌手段により行うことができる。
【0287】
本発明の低臭性糖アルコール変性シリコーンは、非水のスティック状制汗剤組成物に配合することにより、サラッとした滑らかさと適度な保湿感、違和感のない自然な塗布感を付与できる。そのため、ドライ感が強すぎる場合にそれを緩和して自然な使用感をもたらすことが出来る。また、本発明の低臭性糖アルコール変性シリコーンは粉体若しくは固体微粒子の表面に効果的に吸着することにより粒子凝集を抑制し、該粉体若しくは固体微粒子を油中に安定に均一分散させる効果を有する。この結果として、本発明の低臭性糖アルコール変性シリコーンを配合した非水のスティック状制汗剤組成物は、塗布乾燥後の白残りが少ない利点を有する。更に、本発明の低臭性糖アルコール変性シリコーンは高級アルコールやワックス等固形油との相溶性も良好であるため、スティック硬度をコントロールでき、且つ塗布乾燥後には固形油に由来する白色堆積物の発生を緩和する効果がある。加えて、本発明の低臭性糖アルコール変性シリコーンは従来のポリエーテル変性シリコーン低臭化処理品等と比べて本質的に無臭性に優れるため、酸性の制汗活性成分が含まれる非水のスティック状制汗剤組成物処方においても安定性に優れており、経時での異臭発生がほとんど無いという利点も有している。使用量は組成物全体を100重量(質量)部とした場合、0.1〜10重量(質量)部、好ましくは0.5〜5重量(質量)部である。
【0288】
本発明に係る非水のスティック状制汗剤組成物においては、揮発性油剤は1種以上を用いることができ、全組成中に5〜70重量(質量)%、更に10〜60重量(質量)%有するのが、良好な感触を得ることができるので好ましい。
【0289】
本発明に係る非水のスティック状制汗剤組成物においては、制汗活性成分は前記に例示した成分が特に制限なく使用できる。但し、非水系であるため、水溶性の塩等は、固体としてそのまま用いられ、組成物中に微粒子として分散するのが好ましい。該制汗活性成分の微粒子の平均粒径は約0.1〜100μmであるのが好ましく、特に0.1〜20μm、更に0.1〜10μmであるのがより好ましい。一方、例えば平均粒径が0.5〜8μmの範囲内にある比較的小さい粒子と、平均粒径が12〜50μmの範囲内にある比較的大きい粒子とを併用することにより、スティック状制汗剤組成物を塗布したときのすべり感等感触特性を向上させることもできる。
【0290】
非水のスティック状制汗剤組成物において、制汗活性成分は、1種以上を用いることができ、全組成中に10〜70重量(質量)%含有するのが好ましく、15〜50重量(質量)%、更に15〜25重量(質量)%含有することが、汗や臭いを抑える効果が十分に得られ、感触も良好であるのでより好ましい。また、前記同様のデオドラント剤を制汗活性成分と共に/又は代わりに配合することができ、その種類、使用量等は前記の通りである。
【0291】
本発明に係る非水のスティック状制汗剤組成物において使用できる高級アルコールは、炭素数12〜50、好ましくは炭素数16〜30、より好ましくは炭素数18〜24のものである。この範囲内のものであれば、良好な感触を得ることができる。具体的には、セチルアルコール、ステアリルアルコール、アラキジルアルコール、ベヘニルアルコール等が例示される。高級アルコールは、1種以上を用いることができ、全組成中に1〜50重量(質量)% 、好ましくは5〜35重量(質量)%、より好ましくは10〜25重量(質量)%含有される。この範囲内であれば、適度な賦形性とともに良好な感触を得ることができる。
【0292】
本発明に係る非水のスティック状制汗剤組成物において使用できる不揮発性油剤は、先に本発明における「油剤」として例示したもののうち上記の「揮発性油」に該当しないもの、各種シリコーン油、鉱油やポリデセン、水素化ポリイソブテン等の炭化水素油、シリコーン系界面活性剤(但し、本発明の低臭性糖アルコール変性シリコーンを除く)、ジオクチルエーテル等のエーテル油、ジオクチルカーボネートやジオクタデシルカーボネート等の炭酸エステル油、イソプロピルパルミテート、イソプロピルミリステート、ミリスチン酸ラウリル、セバシン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソプロピル、安息香酸C8〜C18アルキル類等のエステル油、PPG−3ミリスチルエーテルやPPG−14ブチルエーテル等のポリアルキレングリコール及びその誘導体、イソステアリルアルコールやオレイルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、有機系の親油性界面活性剤等が挙げられる。これらは、エモリエント効果に加え、感触や形態の調整効果を有するほか、油相の相溶化剤として働く場合もある。これら不揮発性油剤は1種以上を用いることができ、全組成中に1〜30重量(質量)% 、好ましくは5〜15重量(質量)%含有される。
【0293】
本発明に係る非水のスティック状制汗剤組成物は、更にワックスを含有することができ、高温安定性が向上するので好ましい。かかるワックスとしては、「油剤」として前記した成分や、油脂、高級脂肪酸等のうち、室温で固体であるものが例示される。更に、前記した架橋性オルガノポリシロキサン、オルガノポリシロキサンエラストマー球状粉体、シリコーン樹脂、アクリルシリコーンデンドリマーコポリマー、シリコーン生ゴム、ポリアミド変性シリコーン、アルキル変性シリコーンワックス、アルキル変性シリコーンレジンワックスのうち、室温で固体であるものが例示される。
好適には、硬化ヒマシ油、脂肪酸、ワックス状の変性シリコーン、グリセロールモノステアレート、2−8178 Gellant, 2−8179 Gellant等(米国ダウコーニング社製)、AMS−C30 Cosmetic Wax, 2503 Cosmetic Wax等(米国ダウコーニング社製)、アルキル変性シリコーンレジンワックス等を例示することができ、得られるスティック状制汗剤組成物に、適度な硬度と安定性を与える。
【0294】
上記のワックスは、1種以上を用いることができ、全組成中に1〜10重量(質量)%、更に2〜8重量(質量)%含有するのが、安定性に優れるとともに、良好な感触が得られるので好ましい。
【0295】
更に、本発明に係る非水のスティック状制汗剤組成物において、揮発性油と固形油を除く油相成分の合計重量(質量)“X”と、前記の制汗活性成分とデオドラント剤の合計重量(質量)“Y”の比が、 X/Y=1/7〜5/6、更に1/6〜2/3であるのが、感触及び制汗デオドラント能を高く維持しつつ、より白残りを抑えることができるので好ましい。
【0296】
その他、本発明に係る非水のスティック状制汗剤組成物中に存在し得る他の成分は、「粉体又は着色剤」として先に例示したもの、前記した架橋性オルガノポリシロキサン、オルガノポリシロキサンエラストマー球状粉体、シリコーン樹脂、アクリルシリコーンデンドリマーコポリマー、シリコーン生ゴム、ポリアミド変性シリコーン、アルキル変性シリコーンワックス、アルキル変性シリコーンレジンワックスであり、これら成分の割合は通常、組成物の全量に基づいて約0部〜約8部であるが、限定されない。また、上記の各成分の他に、増粘剤、油溶性ゲル化剤、有機変性粘土鉱物、生理活性成分、美肌用成分、pH調整剤、酸化防止剤、溶媒、キレート剤、保湿成分、薬剤等の各種成分を、本発明の目的を損なわない範囲で使用することができる。
【0297】
本発明に係る制汗剤組成物は、わきの下や他の部位に、汗及び/ 又は臭いを抑えるのに十分な量を塗布することにより使用される。対象とする皮膚上の部位に、約0.1〜10g塗布するのが好ましく、0.1〜5g、更に0.1〜1g塗布するのがより好ましい。また、本発明のスティック組成物は、汗及び/ 又は臭いを有効に抑えるために、1日1回又は2回塗布するのが好ましい。
【0298】
[エアゾール制汗剤組成物]
次に、本発明に係る低臭性糖アルコール変性シリコーンを含有する外用剤の一つであり、本発明の一実施態様であるエアゾール制汗剤組成物について説明する。本エアゾール制汗剤組成物は水を含有させた形態としても良いし、実質的に水を含まない外用剤組成物とすることもできる。非水のエアゾール制汗剤組成物はドライ感のあるサラサラした使用感を得るのに有利であり、一方、水を含むエアゾール制汗剤組成物は制汗作用の効率が良く清涼感が得られやすいという利点がある。
【0299】
本発明に係るエアゾール制汗剤組成物には、噴射剤と、その中に分散している粉体成分(制汗活性成分やデオドラント剤、使用性向上成分等)、本発明に係る低臭性糖アルコール変性シリコーン、及び液状油剤等を配合できる。
【0300】
本発明に係るエアゾール制汗剤組成物においては、制汗活性成分は粉体であっても溶液形態であっても良い。粉体の場合には、組成物中に微粒子として分散するのが好ましい。該微粒子の平均粒径は約0.1〜100μmであるのが好ましく、特に0.1〜20μm、更に0.1〜10μmであるのがより好ましい。溶液形態の場合には水溶液も使用できるが、組成物の保存安定性等をより高めるため、AP活性成分をプロピレングリコールやポリエチレングリコール、アルキルグリセロールエーテル、アルキルエーテル化糖類、アルキルエーテル化糖アルコール類等のポリオール類により錯体化又は溶解させた材料を使用することがより好ましい。本発明に係るエアゾール制汗剤組成物に使用できる制汗活性成分として、前記同様の成分が例示できる。
【0301】
制汗活性成分は、1種以上を用いることができ、好ましくはエアゾール制汗剤組成物全重量(質量)中0.001〜20.0重量(質量)%、更に好ましくは0.1〜10.0重量(質量)%である。
【0302】
本発明に係るエアゾール制汗剤組成物において、制汗活性成分と共に又はその代わりに配合し得るデオドラント剤としては、抗菌剤(殺菌剤又は防かび剤)、静菌剤、臭い吸着物質、消臭剤、香料等が挙げられる。これら成分の具体例は前記の通りであり、好ましい配合量はエアゾール制汗剤組成物全重量(質量)中0.01〜10.0重量(質量)%、更に好ましくは0.1〜3.0重量(質量)%である。
【0303】
本発明の低臭性糖アルコール変性シリコーンは、エアゾール制汗剤組成物に配合することにより、粉体若しくは固体微粒子の表面に効果的に吸着することにより粒子凝集を抑制し、該粉体若しくは固体微粒子を系中に安定に均一分散させる効果を有する。この結果として、本発明の低臭性糖アルコール変性シリコーンを配合したエアゾール制汗剤組成物は、エアゾールのバルブ詰まりが低減されると共に使用後の白さが目立たず、肌への均一付着性も向上する利点を有すると期待される。また、AP活性成分やデオドラント剤によって、使用後の皮膚に乾燥感や突っ張り感が感知され、乾燥肌や皮膚の弾力性の低下、不自然な皮膚感覚が生じる場合があるが、本発明の低臭性糖アルコール変性シリコーンを使用することによりこれらの不都合も緩和されると期待される。また、本発明の低臭性糖アルコール変性シリコーンは従来のポリエーテル変性シリコーン低臭化処理品等と比べ本質的に無臭性に優れるため、酸性の制汗活性成分が含まれるエアゾール制汗剤組成物処方においても安定であり、エアゾール制汗剤組成物の香りの経時変化がほとんど無いという利点も有する。使用量は約0.1〜約10重量(質量)部、好ましくは約0.5〜約5重量(質量)部である。
【0304】
該粉体の粒子径としては、肌にさらさらの感触を与えるためには1〜20μmが好ましく、5〜15μmが更に好ましい。粒子径が20μmより大きくなるとざらつきが感じられ、1μm以下では粒子飛散の問題が発生する場合がある。
【0305】
本発明に用いる噴射剤としては、ガス状の溶媒が例示され、例えば、プロパン、n-ブタン、イソブタン、イソペンタン、ペンタン、ジメチルエーテル、液化石油ガス(LPG)、液化天然ガス等である。特に、LPG、ジメチルエーテル、イソペンタンが好ましい。これらは、単独で使用しても良いし、若しくは2種類以上併用してもよい。1,1-ジフルオロエタン等の代替フロンやフロンガスも配合は可能であるが、環境的な問題から好ましくない。また、環境面及び安全面から、炭酸ガスや窒素ガスを使用することもできる。噴射剤の充填量は特に制限がなく常法により適宜決定される。
【0306】
本発明に係るエアゾール制汗剤組成物において配合される、AP活性成分やデオドラント剤以外の代表的な粉体成分としては、使用性向上成分が挙げられる。使用性向上成分は、肌にさらさら感を付与する作用を有するものであり、シリカゲル、タルク、ベントナイト、カオリナイト、真球状シリカ、スメクタイト、これらに表面処理を行った材料等の無機性粉体、ポリエチレン末、ナイロン末、ポリスチレン末、架橋性オルガノポリシロキサン粉体、オルガノポリシロキサンエラストマー球状粉体、シリコーン樹脂粉体等の有機性粉体、金属酸化物を含有する無機性粉体のような複合粉体等が挙げられる。すなわち、ここでの使用性向上成分は「粉体又は着色剤」として先に例示したもの、前記した架橋性オルガノポリシロキサン、オルガノポリシロキサンエラストマー球状粉体、シリコーン樹脂、アクリルシリコーンデンドリマーコポリマー、シリコーン生ゴム、ポリアミド変性シリコーン、アルキル変性シリコーンワックス、アルキル変性シリコーンレジンワックスであり得る。これら使用性向上成分は1種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0307】
本発明に係るエアゾール制汗剤組成物において配合される液状油剤としては、例えば、発明における「油剤」として先に例示したもののうち室温で液状であるものが挙げられる。液状油剤には粉末を肌上に均一に付着させると共に使用感を向上させる効果があり、1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。感触のみならずエモリエント効果や処方の柔軟性の観点から、液状油剤はシリコーン油を含むことが好ましい。べたつきの無いサラサラした感触を得るうえで、シリコーン油の好ましい粘度範囲は10万cst(25℃)以下、より好ましくは100cst(25℃)以下である。なお、液状油剤の配合量は、エアゾール制汗剤組成物全量中0.1〜50重量(質量)%が好ましく、更には0.5〜25重量(質量)%が好ましい。配合量が0.1重量(質量)%未満では、サラサラとしたオイルの感触が出ず、肌なじみが良くならず、50重量(質量)%を超えて配合すると上滑りにより使用感の低下や、製剤の安定性にも悪影響を及ぼす場合がある。
【0308】
なお、本発明に係るエアゾール制汗剤組成物において液状油剤を配合する場合、予め液状油剤を乳化してO/Wエマルションの形態としたものを配合することもできる。液状油剤の粘度が高い等の理由で、そのままではエアゾール制汗剤組成物中に安定に均一分散させるのが困難な場合等に有効である。この時、後述するアルコール類への耐性を備えたO/Wエマルション処方とすることが望ましく、界面活性剤としてリン酸系界面活性剤やオレイル基を有する非イオン性界面活性剤を使用するのが、配合安定性の良いO/Wエマルションを得る上で有効である。また、リン酸系界面活性剤と一般的な非イオン性界面活性剤とを併用することによっても、配合安定性の良いO/Wエマルションを得ることが出来る。
【0309】
本発明に係るエアゾール制汗剤組成物においては、更に、制汗活性成分を系中に溶解させ制汗作用をより効果的に発現させる目的で、水やエタノールやIPA、多価アルコール、界面活性剤等を配合しても良い。但し、エタノールやIPA等の低級一価アルコール、プロピレングリコールや1,3-ブチレングリコール等一部の多価アルコールは、配合量が多い場合に適用中及び適用後に皮膚の敏感な腋窩部分に炎症又は刺激を生じる傾向がある。そのため、低級一価アルコールの使用量はエアゾール制汗剤組成物全量中50重量(質量)%以下とすることが望ましい。また、皮膚の敏感な部分に刺激等を生じる傾向のある多価アルコールは、その使用量をエアゾール制汗剤組成物全量中20重量(質量)%以下とすることが望ましい。好ましい多価アルコールは、先に「水相の屈折率調整剤」として例示した成分である。水に関しては、制汗活性成分との重量(質量)比(制汗活性成分/水)が1/0.5〜1/2の範囲にあることが好ましい。この範囲であるとべたつき感を生じることなく、更に制汗作用が向上し、その発現も速やかになることが期待できる。
【0310】
界面活性剤の配合は、水を含むエアゾール制汗剤組成物の安定性向上に有効である。即ち、非水のエアゾール制汗剤組成物は、まず噴射剤と粉体を除く成分を配合して原液を調製し、この原液に粉体を均一に分散させたのち噴射剤を充填する方法で通常製造されるため、安定性の問題は生じにくい。一方で、水を含むエアゾール制汗剤組成物は、同様の方法で製造した場合に、液化石油ガス(LPG)等の噴射剤を混合すると系の安定性が低下し、制汗成分等の成分が澱として析出しやすいという問題があった。そのため、配合できる液状油剤の種類や量に制限が生じ、また制汗活性成分の濃度を下げてアルコール類の使用量を増やす等の対処も必要で、処方の自由度が低かった。しかしながら、適切な界面活性剤を配合することでこれらの問題を緩和できる。
【0311】
適当な界面活性剤は、制汗活性成分が酸性であること、及びエアゾール制汗剤組成物系の分散安定化効果の観点から、1種類又は2種類以上の非イオン性又は弱酸性の界面活性剤が好ましい。中でも、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンセチルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸が好ましい。
【0312】
上記界面活性剤の配合量は、エアゾール制汗剤組成物全量中0.1〜25重量(質量)%が好ましく、更には0.1〜10重量(質量)%が好ましい。配合量が0.1重量(質量)%未満であると製剤の安定性向上効果に乏しく、また配合目的から考えて25重量(質量)%を超えると経済的で乃至、使用感も低下する。
【0313】
本発明に係るエアゾール制汗剤組成物中に存在し得る他の成分は、無機塩類又は有機酸塩、シリコーン系界面活性剤(但し、本発明の低臭性糖アルコール変性シリコーンを除く)、前記した架橋性オルガノポリシロキサン、オルガノポリシロキサンエラストマー球状粉体、シリコーン樹脂、アクリルシリコーンデンドリマーコポリマー、シリコーン生ゴム、ポリアミド変性シリコーン、アルキル変性シリコーンワックス、アルキル変性シリコーンレジンワックス、及びシリコーン系界面活性剤以外の界面活性剤であり、具体的な成分名は先に挙げたとおりである。これら成分の割合は通常、組成物の全量に基づいて約0部〜約8部であるが、限定されない。また、上記の各成分の他に、増粘剤、油溶性ゲル化剤、有機変性粘土鉱物、生理活性成分、美肌用成分、pH調整剤、酸化防止剤、溶媒、キレート剤、保湿成分、薬剤等の各種成分を、本発明の目的を損なわない範囲で使用することができる。
【0314】
本発明に係るエアゾール制汗剤組成物は通常のエアゾール容器を使用でき、また防錆等の目的で容器内部表面を樹脂コーティングしたエアゾール容器を使用して噴霧することもできる。内袋を利用した二重容器を利用して噴霧することもできる。
【0315】
本発明に係る制汗剤組成物は、わきの下や他の部位に噴霧して、汗及び/ 又は臭いを抑えるのに十分な量を塗布することにより使用される。対象とする皮膚上の部位に、約0.1〜5g塗布するのが好ましく、0.1〜3g、更に0.1〜1g塗布するのがより好ましい。また、本発明にかかるエアゾール制汗剤組成物は、汗及び/ 又は臭いを有効に抑えるために、1日1回又は2回噴霧して塗布するのが好ましい。
【実施例】
【0318】
以下に、本発明に関して実施例を挙げて説明するが、本発明は、これらによって限定されるものではない。なお、下記組成式において、Me
3SiO基(又は、Me
3Si基)を「M」、Me
2SiO基を「D」、Me
2HSiO基(又は、Me
2HSi基)を「M
H」、MeHSiO基を「D
H」と表記し、M及びD中のメチル基(Me)をいずれかの置換基によって変性した単位を「M
R」及び「D
R」と表記する。
【0319】
[実施例1]
反応器に平均組成式:MD
31D
H15Mで表されるメチルハイドロジェンポリシロキサン 131.5g、及び、平均組成式:CH
2=CH−Si(OSiMe
3)
3で表されるビニルトリストリメチルシロキシシラン 37.9gを仕込み、室温・窒素流通下で攪拌しながら、白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体のイソプロピルアルコール溶液(Pt濃度0.45wt%) 0.31gを添加した。その後、反応器を60℃の油浴で加温したところ、30分後に反応器内の反応液の温度は72℃まで上昇した。ここで反応液を1g採取し、アルカリ分解ガス発生法(残存したSi−H基をKOHのエタノール/水溶液によって分解し、発生した水素ガスの体積から反応率を計算する)により反応率が目標に達していることを確認した。反応器を放冷後、32℃で1−ドデセン 33.0gを反応液に添加したところ、直ちに発熱し、10分後には64℃まで上昇した。70℃の油浴で保温しながら更に50分後に同様の方法で確認したところ、反応率は目標に達していた。次いで、キシリトールモノアリルエーテル 8.3g、イソプロピルアルコール(IPA) 175g、及び、ビタミンE 0.025gを仕込み、前記白金触媒 0.31gを追加した。1時間後に反応率が目標に達していることを確認し、1−ドデセン 46.7gと前記白金触媒 0.31gを添加した。3時間後に反応液を採取して確認したところ、ヒドロシリル化反応が完結しており平均組成式:MD
31D
R*13D
R*2111D
R*31Mで表される糖アルコール変性シリコーンが生成していることが分かった。ここで、R
*1、R
*21及びR
*3は下記のとおりである。
R
*1= −C
2H
4Si(OSiMe
3)
3
R
*21= −C
12H
25
R
*3= キシリトール残基
【0320】
次いで、低沸分を減圧下で留去した後、硫酸水素ナトリウム 0.013g/イオン交換水 4.5gからなる水溶液を添加して60−70℃で30分間の処理を行ない、更に、20Torrまで減圧して発生した臭い成分と水とを留去した。この後、再度イオン交換水 4.5gを添加して、同様に減圧して臭い成分と水とを留去する操作を2回繰り返し(最後の減圧操作では、60−70℃、20Torrで1時間維持)、平均組成式:MD
31D
R*13D
R*2111D
R*31Mで表される糖アルコール変性シリコーンを含む無臭化組成物211gを、肌色の不透明均一な粘稠液体として得た。ここで、R
*1、R
*21及びR
*3は上述のとおりである。なお、この組成物は製造後1週間経過後も異臭発生は認められなかった。
【0321】
なお、前記キシリトールモノアリルエーテルは、構造式:CH
2=CH−CH
2−OCH
2[CH(OH)]
3CH
2OH、及び、構造式:CH
2=CH−CH
2−OCH{CH(OH)CH
2OH}
2で表されるキシリトールモノアリルエーテルを物質量比でおよそ9:1の比で含有してなる原料であり、実施例1では、これらに対応した−C
3H
6−OCH
2[CH(OH)]
3CH
2OH、又は、−C
3H
6−OCH{CH(OH)CH
2OH}
2がキシリトール残基として、同様な物質量比で、導入された。
【0322】
[比較例1]
反応器に平均組成式:MD
31D
H15Mで表されるメチルハイドロジェンポリシロキサン 128.0g、及び、平均組成式:CH
2=CH−Si(OSiMe
3)
3で表されるビニルトリストリメチルシロキシシラン 36.8gを仕込み、室温・窒素流通下で攪拌しながら、白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体のイソプロピルアルコール溶液(Pt濃度0.45wt%) 0.31gを添加した。その後、反応器を65℃の油浴で加温したところ、25分後に反応器内の反応液の温度は84℃まで上昇した。45分後に液温が70℃まで下降したところで反応液を1g採取し、アルカリ分解ガス発生法により反応率が目標に達していることを確認した。この後、40℃で1−ドデセン 32.0gを反応液に添加したところ、直ちに発熱し、2分後には73℃まで上昇した。70℃の油浴で保温しながら更に30分後に同様の方法で確認したところ、反応率は目標に達していた。次いで、ポリグリセリンモノアリルエーテル 14.9g、イソプロピルアルコール(IPA) 175g、及び、ビタミンE 0.03gを仕込み、前記白金触媒 0.31gを追加した。1時間後に反応率が目標に達していることを確認し、1−ドデセン 45.5gと前記白金触媒 0.31gを添加した。4.5時間後に反応液を採取して確認したところ若干の水素ガスの発生が認められた。反応率の計算により、平均組成式:MD
31D
R*13D
R*2110.9D
R*411D
H0.1Mで表されるポリグリセリン変性シリコーンが生成していることが分かった。ここで、R
*1、R
*21及びR
*41は下記のとおりである。
R
*1= −C
2H
4Si(OSiMe
3)
3
R
*21= −C
12H
25
R
*41= −C
3H
6OX(Xはポリグリセリン部分)
【0323】
次いで、低沸分を減圧下で留去した後、硫酸水素ナトリウム 0.013g/イオン交換水 4.5gからなる水溶液を添加して60−70℃で30分間の処理を行ない、更に、10Torrまで減圧して発生した臭い成分と水とを留去した。この後、再度イオン交換水 4.5gを添加して、同様に減圧して臭い成分と水とを留去する操作を2回繰り返し(最後の減圧操作では、60−70℃、10Torrで1.5時間維持)、平均組成式:MD
31D
R*13D
R*2110.9D
R*411D
H0.1Mで表されるポリグリセリン変性シリコーンを含む組成物210gを、肌色の不透明均一な粘稠液体として得た。ここで、R
*1、R
*21及びR
*41は上述のとおりである。なお、この組成物は製造後1週間経過後に若干の異臭発生が認められた。
【0324】
なお、前記ポリグリセリンモノアリルエーテルは、グリセリンモノアリルエーテル1モルに対し3モル相当のグリシドールを開環重合することにより合成されたものである。グリセリンモノアリルエーテルには2つの水酸基があり、グリシドールはそのいずれとも反応し得るため、ポリグリセリン部分は鎖状構造だけでなく分岐構造も含まれる。
【0325】
[比較例2] <ポリエーテル変性シリコーン2(低臭処理品)の合成>
反応器に平均組成式:MD
31D
H15Mで表されるメチルハイドロジェンポリシロキサン 189.7g、及び、平均組成式:CH
2=CH−Si(OSiMe
3)
3で表されるビニルトリストリメチルシロキシシラン 54.7gを仕込み、30℃・窒素流通下で攪拌しながら、白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体のイソプロピルアルコール溶液(Pt濃度0.45wt%) 0.50gを添加した。その後、反応器を80℃の油浴で加温したところ、1時間後に反応器内の反応液の温度は70℃まで上昇した。3時間後に反応液を1g採取し、アルカリ分解ガス発生法により反応率が目標に達していることを確認した。この後、70℃で1−ドデセン 47.5gを添加したところ、直ちに発熱し、1分後には101℃まで上昇した。70℃の油浴で保温しながら更に1時間後に同様の方法で確認したところ、反応率は目標に達していた。次いで、ポリオキシエチレン(10)モノアリルエーテル 61.9g、イソプロピルアルコール(IPA) 120g、及び、ビタミンE 0.04gを仕込み、前記白金触媒 0.50gを追加した。2時間後に反応率が目標に達していることを確認し、1−ドデセン 66.4gと前記白金触媒1.50gを添加した。5.5時間後に反応液を採取して確認したところヒドロシリル化反応が完結しており平均組成式:MD
31D
R*13D
R*2110D
R*422Mで表されるポリエーテル変性シリコーンが生成していることが分かった。ここで、R
*1、R
*21及びR
*42は下記のとおりである。
R
*1= −C
2H
4Si(OSiMe
3)
3
R
*21= −C
12H
25
R
*42= −C
3H
6O(C
2H
4O)
10H
【0326】
次いで、低沸分を減圧下で留去した後、硫酸水素ナトリウム 0.02g/イオン交換水 6.0gからなる水溶液を添加して60−70℃で5分間の処理を行ない、更に、30Torrまで減圧して発生した臭い成分と水とを留去した。この後、再度イオン交換水 6.0gを添加して、同様に減圧して臭い成分と水とを留去する操作を2回繰り返し(最後の減圧操作では、70−80℃、3Torrで1時間維持)、更に精密ろ過を行って、平均組成式:MD
31D
R*13D
R*2110D
R*422Mで表されるポリエーテル変性シリコーンを含む組成物340gを、淡褐色透明均一液体として得た。ここで、R
*1、R
*21及びR
*42は上述のとおりである。なお、この組成物は製造後1週間経過後に若干の異臭発生が認められた。
【0327】
[比較例3]
反応器に平均組成式 MD
61D
H15M で表されるメチルハイドロジェンポリシロキサン111.6gを仕込み、構造式CH
2=CHSiMe
2(OSiMe
2)
6OSiMe
3で表される片末端ビニル変性ジメチルポリシロキサン30.9gと白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体のトルエン溶液(Pt濃度0.5wt%) 0.10gの混合物を滴下して、室温・窒素流通下で攪拌し、リニアシロキサン分岐型ポリシロキサン中間体を得た。
【0328】
また、別の反応器にトリグリセリンモノアリルエーテル7.0g、1−ドデセン50.4g、イソプロピルアルコール 100g、及び、白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体のイソプロピルアルコール溶液(Pt濃度0.5wt%) 0.40gを仕込み、窒素流通下で攪拌しながら先に合成したリニアシロキサン分岐型ポリシロキサンを溶剤の還流下に滴下した。滴下終了後に3時間の加熱攪拌を継続し、反応液1gを採取してアルカリ分解ガス発生法により確認したところ、ヒドロシリル化反応が完結しており平均組成式:MD
61D
R*2112D
R*222D
R*431Mで表されるトリグリセリン変性シリコーンが生成していることが分かった。ここで、R
*21、R
*22及びR
*43は下記のとおりである。
R
*21= −C
12H
25
R
*22= −C
2H
4SiMe
2(OSiMe
2)
6OSiMe
3
R
*43= −C
3H
6OX(Xはトリグリセリン部分)
【0329】
次いで、反応液をオートクレーブに移し、スポンジニッケル触媒 4.0g、水 2.0g、及び、イソプロピルアルコール 2.0gを添加後、水素ガスを導入して110℃、0.9MPaの条件で6時間にわたり水素添加処理を行った。次いで、処理後の反応混合物を60℃まで冷却して水素ガスをブローした後、窒素ガスによる置換を3回行った。次いで、スポンジニッケル触媒を精密ろ過により除去し、無色透明な濾液204gを得た。
【0330】
この濾液を別の反応器に仕込み、窒素流通下100℃,20Torrの条件で1時間維持することにより低沸分を溜去し、平均組成式:MD
61D
R*2112D
R*222D
R*431Mで表されるトリグリセリン変性シリコーンを含む無臭化組成物138gを、ほぼ無色の半透明均一液体として得た。ここで、R
*21、R
*22及びR
*43は上述のとおりである。なお、この組成物は製造後1週間経過後も異臭発生は認められなかった。
【0331】
[比較例4]
反応器に平均組成式 MD
71D
H14M で表されるメチルハイドロジェンポリシロキサン114.8g、及び、1−ヘキサデセン27.1gを仕込み、窒素流通下で攪拌しながら、室温で白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体のイソプロピルアルコール溶液(Pt濃度0.45wt%) 0.25gを添加したところ、2分後に45℃まで反応器内の反応液の温度が上昇した。その後、反応器を60℃の油浴で加温継続し、1時間後に反応液を1g採取してアルカリ分解ガス発生法により反応率を確認したところ、目標に達していることが分かった。この後、ポリオキシエチレン(10)モノアリルエーテル 40.2g、イソプロピルアルコール(IPA) 60g、及び、ビタミンE 0.02gを仕込み、前記白金触媒 0.25gを追加した。1.5時間後に反応率が目標に達していることを確認し、1−ヘキサデセン 18.1gを添加した。55−75℃で2.5時間後に反応液を採取して確認したところ、若干の水素ガスの発生が認められた。反応率の計算により、平均組成式:MD
71D
R*239.9D
R*424D
H0.1Mで表されるポリエーテル変性シリコーンが生成していることが分かった。ここで、R
*23及びR
*42は下記のとおりである。
R
*23= −C
16H
33
R
*42= −C
3H
6O(C
2H
4O)
10H
【0332】
次いで、硫酸水素ナトリウム 0.01g/イオン交換水 3.0gからなる水溶液を添加して70−75℃で30分間の処理を行ない、更に、常圧で窒素ガスの流量を増すことによって、イソプロピルアルコール、発生した臭い成分、水等を留去した。この後、再度イオン交換水 3.0gを添加し、70−75℃で10Torrまで減圧して臭い成分と水とを留去する操作を2回繰り返し(最後の減圧操作では、65−75℃、10Torrで1時間維持)、更に精密ろ過を行って、平均組成式:MD
71D
R*239.9D
R*424D
H0.1Mで表されるポリエーテル変性シリコーンを含む組成物156gを、淡褐色透明均一液体として得た。ここで、R
*23及びR
*42は上述のとおりである。なお、この組成物は製造後1週間経過後に若干の異臭発生が認められた。
【0333】
[比較例5]
反応器に平均組成式 MD
63D
H22M で表されるメチルハイドロジェンポリシロキサン 89.9g、ポリオキシエチレン(10)モノアリルエーテル 36.4g、1−ヘキサデセン 73.7g、及び、トルエン 60gを仕込み、窒素流通下で攪拌しながら40℃まで加温した。白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体のイソプロピルアルコール溶液(Pt濃度4.5wt%) 0.06gを添加し、80−110℃で2.5時間反応を行なった。反応器内の反応液1gを採取してアルカリ分解ガス発生法により確認したところ、ヒドロシリル化反応が完結していた。反応液を減圧下で加熱して低沸分を溜去することによって、平均組成式:MD
63D
R*2318D
R*424M で表されるポリエーテル変性シリコーンを含む組成物を、淡褐色の半透明均一液体として得た。ここで、R
*23及びR
*42は下記のとおりである。
R
*23= −C
16H
33
R
*42= −C
3H
6O(C
2H
4O)
10H
【0334】
次いで、上記組成物をオートクレーブに移し、スポンジニッケル触媒 4.0g、水 2.0g、及び、イソプロピルアルコール 60gを添加した後、水素ガスを導入して110℃/0.9MPaの条件で6時間にわたり水素添加処理を行った。次いで、処理後の反応混合物を60℃まで冷却して水素ガスをブローした後、窒素ガスによる置換を3回行った。次いで、スポンジニッケル触媒を加圧ろ過により除去し、無色透明な濾液210gを得た。
【0335】
この濾液を別の反応器に仕込み、窒素流通下100℃,20Torrの条件で1時間維持することにより低沸分を溜去し、平均組成式:MD
63D
R*2318D
R*424Mで表されるポリエーテル変性シリコーンを含む無臭化組成物160gを、無色透明均一液体として得た。ここで、R
*23及びR
*42は上述のとおりである。なお、この組成物は製造後1週間経過後も異臭発生は認められなかった。
【0336】
[比較例6]
反応器に平均組成式:MD
72D
H12M で表されるメチルハイドロジェンポリシロキサン 159.5g、平均組成式:CH
2=CH−Si(OSiMe
3)
3で表されるビニルトリストリメチルシロキシシラン 81.9g、キシリトールモノアリルエーテル 19.8g、イソプロピルアルコール(IPA) 75g、及び、2.3%酢酸ナトリウムのメタノール溶液 0.52gを仕込み、窒素流通下で攪拌しながら80℃まで加温した。その後、10%塩化白金酸のイソプロピルアルコール溶液 0.20gを添加し、80℃で5時間反応を行なった。反応器内の反応液1gを採取してアルカリ分解ガス発生法により反応率を確認したところ、ヒドロシリル化反応が完結していた。そして、反応液を減圧下で加熱して低沸分を溜去することにより、平均組成式:MD
72D
R*19D
R*33Mで表される糖アルコール変性シリコーンを含む非無臭化組成物 222gを、淡黄色の不透明均一な粘稠液体として得た。ここで、R
*1及びR
*3は下記を示す。なお、この組成物は製造後1週間経過後に異臭発生が認められた。
R
*1= −C
2H
4Si(OSiMe
3)
3
R
*3= キシリトール残基
【0337】
なお、前記キシリトールモノアリルエーテルは、構造式:CH
2=CH−CH
2−OCH
2[CH(OH)]
3CH
2OH、及び、構造式:CH
2=CH−CH
2−OCH{CH(OH)CH
2OH}
2で表されるキシリトールモノアリルエーテルを物質量比でおよそ9:1の比で含有してなる原料であり、比較例6では、これらに対応した−C
3H
6−OCH
2[CH(OH)]
3CH
2OH、又は、−C
3H
6−OCH{CH(OH)CH
2OH}
2がキシリトール残基として、同様な物質量比で、導入された。
【0338】
[評価]
実施例1及び比較例1〜6において得られた各種の変性シリコーン含有組成物を用いて、下記表2に示す組成のW/Oエマルジョンを調製した。
【表2】
【0339】
具体的には、以下のようにして上記組成のW/Oエマルジョンを調製した。
1) 上記油相成分を 200 mL の ガラス容器に仕込んだ。
2) 60℃恒温槽で加温しながら適時振り混ぜを行い、油相を均一化した。
3) ホモディスパーミキサーを用いて、1000rpmで全体の攪拌を開始した。
4) 予め混合し均一化しておいた水相成分を、45秒かけて徐々に油相に注いだ。
5) 3000rpmで全体を5分間攪拌した。
【0340】
このようにして得られたW/Oエマルジョン(実施例1及び比較例1〜6)の、40℃で2週間保管後、及び、40℃で1ヶ月保管後の臭気を下記に示す所定の試験により評価した。また、当該変性シリコーンのカルボニル総量(COV)を下記に示す所定の方法により測定した。結果を表3に示す。
【表3】
【0341】
表中、官能基の構造及びその分類は、以下の通りである。
<シロキサンデンドロン構造を有する基:R
*1>
R
*1= ―C
2H
4Si(OSiMe
3)
3
<糖アルコール基含有有機基:R
*3>
R
*3= −C
3H
6−OCH
2[CH(OH)]
3CH
2OH、又は、−C
3H
6−OCH{CH(OH)CH
2OH}
2
<その他の親水性基:R
*4>
R
*41= ―C
3H
6O−X(Xはポリグリセリン部分)
R
*42= ―C
3H
6O(C
2H
4O)
10H
R
*43= ―C
3H
6O−X(Xはトリグリセリン部分)
<その他の有機基:R
*2>
R
*21= −C
12H
25
R
*22= −C
2H
4SiMe
2(OSiMe
2)
6OSiMe
3
R
*23= −C
16H
33
【0342】
[臭気試験]
実施例1及び比較例1〜6の各W/Oエマルジョン28gを35mlガラス瓶に秤取し、密栓して40℃恒温槽内に静置した。2週間後と1カ月後に取り出してエマルジョンを室温に戻し、開封したときの臭気の程度を、以下の基準に従って評価した。
【0343】
臭気試験の評価基準:
◎ : 臭気は全く感じられない
○ : ごく微かに臭気が感じられる.
△ : 少し臭気が感じられる
× : 溶剤臭が明確に認められる
××: 強い溶剤臭が認められ、不快である
【0344】
[カルボニル総量の測定]
以下の手順に従って、実施例1及び比較例1〜6で得られた変性シリコーン組成物(試料)のカルボニル総量を「カルボニル価(COV)」として測定することにより、前記エマルション組成物の臭気原因となるカルボニル類を定量的に評価した。
【0345】
〔調製例1A〕
試薬特級n−ブタノール(A)を100mL褐色ガラス瓶に秤取し、更に試薬特級トリクロロ酢酸4.3gを添加し、当該瓶に蓋をした後、振り混ぜて均一化することにより、トリクロロ酢酸のアルコール溶液〔酸濃度として4.3%(wt/vol)〕を調製した。以下、この溶液を「トリクロロ酢酸溶液(1A)」とする。なお、この調製操作は、吸光度の測定前3時間以内に行った。
【0346】
〔調製例2A〕
試薬特級n−ブタノール(A)を100mL褐色ガラス瓶に秤取し、更に2,4−ジニトロフェニルヒドラジン(等量の水を含有する試薬特級品、以下、「2, 4−DNPH」と略す)50mgを添加し、当該瓶に蓋をした後、超音波洗浄機に10分間かけることにより、アルコール(A)によって2, 4−DNPHを完全に溶解させて、0.025%(wt/vol)の2, 4−DNPHのアルコール溶液を調製した。以下、この溶液を「2, 4−DNPH溶液(2A)」とする。なお、この調製操作は、吸光度の測定前3時間以内に行った。
【0347】
〔調製例3B〕
試薬特級エタノール(B)を100mL褐色ガラス瓶に秤取し、更に、水酸化カリウム(ペレット状試薬特級品)4.0gを直接添加し、当該瓶に蓋をし、時々振り混ぜながら超音波洗浄機に20分間かけることにより、アルコール(B)によって水酸化カリウムを完全に溶解させて、4.0%(wt/vol)の水酸化カリウムのアルコール溶液を調製した。以下、この溶液を「水酸化カリウム溶液(3B)」とする。なお、この調製操作は、吸光度の測定前3時間以内に行った。
【0348】
〔カルボニル価の測定〕
試料 2.00gと、試薬特級n−ブタノール(A)23.00gとを50mLの蓋付スクリュー管に仕込み、これらを混合して、試料濃度=8質量%の試料溶液(Sa)25.00gを調製した。
【0349】
得られた試料溶液(Sa)1.250gと、試薬特級n−ブタノール(A)3.750gとを50mLのメスフラスコに仕込み、両者を混合して、試料濃度=2質量%の試料溶液(Sb)5.000gを調製した。
【0350】
試料溶液(Sb)5.000gが収容されている当該メスフラスコに、調製例1Aで得られたトリクロロ酢酸溶液(1A)3mLと、調製例2Aで得られた2, 4−DNPH溶液(2A)5mLとをホールピペットにより添加した。更に、精製水1.050gを添加して混合した。これは、試料中に存在し得るアセタール等カルボニル化合物の前駆体をも加水分解させて、カルボニルとして検出するためである。
【0351】
次いで、当該メスフラスコに栓をし、そのまわりにテフロン(登録商標)シールを巻いて気密性を確保した後、当該メスフラスコを60℃の恒温糟に入れて30分間加熱することにより、試料中に含まれるカルボニル類と、2, 4−DNPHとを反応させた。次いで、当該メスフラスコを恒温糟から取り出し、室温で30分間放置した。
【0352】
次いで、当該メスフラスコの栓を開けて、調製例3Bで得られた水酸化カリウム溶液(3B)10mLをホールピペットにより添加し、当該メスフラスコを振って混合した。水酸化カリウム溶液(3B)10mLを添加してから8分経過後、希釈溶媒として試薬特級n−ブタノール(A)を添加し、この系を振り混ぜて総量が50mLの反応溶液(塩基性の反応溶液)を調製した。次いで、水酸化カリウム溶液(3B)10mLを添加してから15分経過後、上記の反応溶液を吸収セル(液層の長さ=1cm)に入れ、吸光光度計により、430nmの吸光度(A
1 )を測定した。
【0353】
一方、空試験として、前記試料溶液(Sb)に代えて、試薬特級n−ブタノール(A)5.000gを使用し、上記と同様の操作〔トリクロロ酢酸溶液(1A)の添加、2, 4−DNPH溶液(2A)の添加、得られた混合溶液の加熱及び冷却、水酸化カリウム溶液(3B)の添加、試薬特級n−ブタノール(A)からなる希釈溶媒の添加〕を行って得られた溶液を吸収セル(液層の長さ=1cm)に入れ、上記と同様にして430nmの吸光度(A
2 )を測定した。
【0354】
以上のようにして得られた吸光度(A
1 )及び吸光度(A
2 )を、数式:CV=(A
1 −A
2 )/0.1に代入することによりカルボニル価(COV)を求めた。
【0355】
表3に示す通り、実施例1で得られた糖アルコール変性シリコーン(キシリトール変性シリコーン)は、酸処理により、その臭気及びカルボニル価(COV)とも格段に低減された。一方、比較例1〜6で得られたポリエーテル変性シリコーン及びポリグリセリン変性シリコーンは、同様の酸処理のみでは臭気及びCOVの低減効果が不十分であり、水素添加を行って初めて実施例1と同程度の臭気の低減を実現することができた。
【0356】
更に、実施例1で得られた低臭化された糖アルコール変性シリコーン(キシリトール変性シリコーン)は、変性シリコーン組成物自体に異臭がほとんど無いだけでなく、これを含む乳化物であっても、経時的或いは高温による異臭の発生が極めて少ないという優れた特長を有しており、化粧料を初めとする外用剤組成物の原料として極めて有用であることが実証された。
【0357】
また、実施例1で得られた低臭化された糖アルコール変性シリコーンを含む組成物は、濾過操作を行わなかったため酸性物質を含有しており、酸性条件下であったが、それ自体及び水を含む乳化系で経時的或いは高温による異臭発生が極めて少なかった。したがって、実施例1で得られた組成物は、一般的な外用剤、化粧料向けに有用であるだけでなく、有効成分が酸性物質である制汗剤組成物、ピーリング効果の期待される弱酸性の外用剤又は洗浄剤、化粧料等(これらの処方は酸性であるため、変性シリコーン由来の異臭発生が特に起こりやすいとされている)において、その無臭性の真価を発揮する。
【0358】
以下、本発明に係る化粧料及び外用剤についてその処方例を示して説明するが、本発明に係る化粧料及び外用剤はこれらの処方例に記載の種類、組成に限定されるものではないことは言うまでもない。なお、処方例中、数値は重量(質量)%を示しており、また、品番を示した原料は、全て東レ・ダウコーニング株式会社から市販されている製品名である。
【0359】
[処方例1] 制汗エアゾール化粧料
(成分)(Wt%)
1.アルミニウムヒドロキシクロライド 3.0
2.酸化亜鉛 2.0
3.シリカ 3.0
4.銀イオン、亜鉛イオン、アンモニウムイオン担持ゼオライト 1.0
5.ステアリン酸カルシウム 0.1
6.ジメチルポリシロキサン 2.0
7.オクタン酸セチル 1.0
8.流動パラフィン 1.0
9.実施例1の組成物 10.0
10.オレイン酸ソルビタン 1.0
11.酸化防止剤 適量
12.香料 適量
13.液化石油ガス 残余
【0360】
(製造方法)
A:成分6〜11(油相部)及び成分12を混合し、均一液体とする。
B:上記液体に成分1〜5(粉末部)を混合し、均一に分散させて分散体を得る。
C:容器内に上記分散体及び成分13(噴射剤)を充填して、制汗エアゾール化粧料を得る。
【0361】
(効果)
粉末の付着性が良好で、使用後の白さが目立たず、且つ、安全性も高い。塗布後にべたつき感がなく適度等ライ感を有し、なめらかさで自然な皮膚感覚が得られる。また、経時で香りの変化がほとんどない。
【0362】
[処方例2] 非水加圧制汗剤製品
(成分)(Wt%)
1.アルミニウムクロロハイト゛レートの15wt%1,2-ヘキサンシ゛オール溶液 12.0
2.ジメチルポリシロキサン(10cst) 3.0
3.デカメチルシクロペンタシロキサン 3.0
4.実施例1の組成物 3.0
5.香料 1.0
6.ブタン 25.0
7.イソブタン 30.0
8.プロパン 3.0
9.ジメチルエーテル 20.0
【0363】
(製造方法)
A:成分1〜5を混合し、均一液体とする。
B:容器内に上記液体及び成分6〜8(噴射剤)を充填する。
C:最後に、成分9(噴射剤)を充填して、非水加圧制汗剤製品を得る。
【0364】
(効果)
透明均一な加圧液体が得られるため、制汗活性成分等の分離がなく製品寿命が長い。制汗効果に即効性があり、使用後の白さも目立たない。塗布後には、保湿感のある自然な皮膚感覚が得られる。また、経時で香りの変化がほとんどない。
【0365】
[処方例3] 制汗ローション組成物
(成分)(Wt%)
1.アルミニウムヒドロキシクロライド 5.0
2.POE(15)POP(5)セチルエーテルリン酸 5.0
3.精製水 5.0
4.タルク 0.4
5.真球状シリカ 0.4
6.スメクタイト 0.4
7.ナイロン末 0.4
8.ポリエチレン末 0.4
9.デカメチルシクロペンタシロキサン 1.0
10.SH 556 FLUID *1) 1.0
11.シロキサンテ゛ント゛ロン構造を有するホ゜リエーテル変性シリコーン 1.0
12.実施例1の組成物 0.5
13.トリクロサン 0.1
14.シラカバエキス 0.1
15.ローズマリーエキス 0.1
16.香料 1.0
17.エタノール 残部
注 *1) フェニルトリメチコン
【0366】
(製造方法)
A:成分9〜17を混合して溶解させ、均一液体とする。
B:上記液体に、成分1〜3を混合して溶解させる。
C:更に、成分4〜8をよく混合して均一分散させる。
【0367】
(効果)
透明均一な液状剤が得られるため、制汗活性成分等の分離がなく経時安定性が良好である。皮膚に塗布直後から速やかに制汗作用が発現する。塗布後には、エタノールの蒸発による突っ張り感を抑制し、べたつかずサラサラ感のある自然な皮膚感覚をもたらす。また、経時で香りの変化がほとんどない。
【0368】
[処方例4] 非水制汗デオドラントスティック組成物
(成分)(Wt%)
1.ステアリルアルコール 25.0
2.ベヘニルアルコール 0.5
3.硬化ヒマシ油 4.0
4.ポリプロピレングリコール(平均分子量1000) 7.0
5.PPG−14ブチルエーテル 1.0
6.デカメチルシクロペンタシロキサン 30.0
7.シロキサンテ゛ント゛ロン構造を有するアルキル・ホ゜リエーテル共変性シリコーン 3.0
8.実施例1の組成物 4.5
9.アルミニウム・シ゛ルコニウム・テトラクロロハイト゛レート・ク゛リシン 25.0
【0369】
(製造方法)
A: 成分1〜3及び成分6〜8を、80℃で加熱撹拌を行って溶解させる。
B: 得られた溶解物を65℃に保ち、撹拌を行いながら成分4〜5を加えて更に溶解させる。
C: 得られた溶解物を65℃に保ち、成分9を加え、よく撹拌して均一に分散させる。
D: 容器に流し込み、室温で固化させる。
【0370】
(効果)
皮膚に対して抵抗感なく滑らかに塗布することができ、その皮膜はべたつかず適度な保湿感を有するため、快適で自然な使用感が得られる。乾燥後の白残りもほとんど見えないレベルであり、制汗効果の持続性も良好である。また、製剤の経時着臭はほとんどない。
【0371】
[処方例5] エアゾール型制汗剤組成物
(成分)(Wt%)
1.アルミニウムヒドロキシクロライド *2) 5.0
2.アルミニウムヒドロキシクロライド *3) 1.5
3.精製水 10.0
4.POE(10)POP(5)セチルエーテルリン酸 1.5
5.マグネシアシリカ 1.0
6.多孔質シリカ 0.5
7.ポリメチルシルセスキオキサン粉末 1.0
8.デカメチルシクロペンタシロキサン 2.0
9.実施例1の組成物 0.5
10.イソプロピルメチルフェノール 0.05
11.ユーカリエキス 0.5
12.大豆エキス 0.1
13.メリッサエキス 0.1
14.リンゴエキス 0.1
15.香料 *4) 0.15
16.エタノール 26.0
17.LPG(0.15MPa/20℃) 50.0
注 *2) REACH 101 MICRO−DRY (商品名、リハイス社製)
注 *3) REACH 501 MICRO−DRY (商品名、リハイス社製)
注 *4) 表4に記載の香料組成例に従って調合する。
【0372】
(製造方法)
A:成分1〜4を混合して溶解させ、均一液体とする。(水相)
B:別に、成分8〜16を混合して溶解させ、均一液体とする。(エタノール相)
C:水相をエタノール相とよく混合し、均一液体とする。(原液)
D:原液に成分5〜7を混合し、均一分散させる。
E:最後に成分17を充填して、エアゾール型制汗剤組成物を得る。
【0373】
(効果)
透明均一な加圧液体が得られるため、制汗活性成分等の分離がなく製品寿命が長い。皮膚に塗布直後から速やかに制汗作用が発現する。塗布後には、べたつかず保湿感のある自然な皮膚感覚が得られる。また、経時で香りの変化がほとんどない。
【0374】
【表4】
【0375】
[処方例6] W/O 固形制汗スティック組成物
(成分)(Wt%)
1.ジメチルポリシロキサン(2cst) 17.5
2.安息香酸C
12−15アルキル 12.5
3.ポリデセン 11.3
4.実施例1の組成物 6.9
5.β−シトステロール 2.4
6.γ−オリザノール 2.4
7.アルミニウム・ジルコニウム・ペンタクロロハイドレート 18.8
8.精製水 18.8
9.グリセリン 9.4
【0376】
(製造方法)
A: 成分1〜4を、80℃で加熱撹拌を行って溶解させる。
B: 得られた溶解物を80℃に保ち、撹拌を行いながら成分5〜6を順次加えて更に溶解させる。
C: 別に、成分7〜9を混合し溶解させたのち、65℃に加熱する。
D: Bで得られた溶解物を65℃に保ち、撹拌しながらCで得られた溶解物を徐添して乳化する。
E: 静置して脱気した後、容器に流し込み室温で固化させる。
【0377】
(効果)
半透明感のある上品な外観と適度なスティック硬度を有する。また、なめらかで潤いのある塗布感に優れており、制汗効果の持続性も良好である。更に、塗布後の白残り、製剤の経時着臭ともほとんどない。
【0378】
[処方例7] W/O エマルション型制汗クリーム組成物
(成分)(Wt%)
1.ミネラルオイル 4.0
2.セテアリルアルコール 4.7
3.ステアリン酸グリセリル 2.0
4.PEG−20ステアレート 1.2
5.実施例1の組成物 1.5
6.フェノキシエタノール 0.4
7.酸化チタン 0.2
8.グリセリン 6.0
9.アルミニウム-シ゛ルコニウムテトラクロルハイト゛レックスク゛リシン 15.0
10.精製水 65.0
【0379】
(製造方法)
A: 成分1〜6を、80℃で加熱撹拌を行って溶解させる。
B: 得られた溶解物を80℃に保ち、撹拌を行いながら成分7を加えて均一分散させる。
C: 別に、成分8〜10を混合し溶解させたのち、65℃に加熱する。
D: Bで得られた分散物を65℃に保ち、撹拌しながらCで得られた溶解物を徐添して乳化する。
【0380】
(効果)
なめらかで違和感のない自然な塗布感の得られるクリームであり、制汗及び保湿効果の即効性と持続性のバランスが良好である。皮膚に潤いを与え、弾力性を回復する。塗布後の白残りや製剤の経時着臭はほとんどない。
【0381】
[先願に既に開示された処方]
本発明に係る糖アルコール変性シリコーンは、制汗剤以外の外用剤、化粧料にも用いることができる。その具体的な処方例としては、本件出願人が、特願2010-105888、特願2010-105888及び特願2010-105896及びこれらに基づく優先権主張出願において示した処方例中の共変性オルガノポリシロキサンを、本発明の製造法により得られた無臭化した糖アルコール変性シリコーンにより置き換えた処方、特願2009-244975、特願2009-244977、特願2010-173094及びこれらに基づく優先権主張出願に示した処方例中の実施例の糖アルコール変性シリコーンを、本発明の無臭化した糖アルコール変性シリコーンで置き換えた処方等が挙げられる。本発明の無臭化した糖アルコール変性シリコーンを含む組成物を用いることにより、その処方本来の効果に加えて製剤の経時着臭や香りの経時変化がほとんど無くなるという大きな利点が生まれる。