特許第5809887号(P5809887)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5809887
(24)【登録日】2015年9月18日
(45)【発行日】2015年11月11日
(54)【発明の名称】液噴射確認治具
(51)【国際特許分類】
   B41F 35/00 20060101AFI20151022BHJP
   B41F 33/14 20060101ALI20151022BHJP
   B41F 9/06 20060101ALI20151022BHJP
【FI】
   B41F35/00 Z
   B41F33/14 Z
   B41F9/06
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2011-188872(P2011-188872)
(22)【出願日】2011年8月31日
(65)【公開番号】特開2013-49211(P2013-49211A)
(43)【公開日】2013年3月14日
【審査請求日】2014年8月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000184735
【氏名又は名称】株式会社小森コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100078499
【弁理士】
【氏名又は名称】光石 俊郎
(74)【代理人】
【識別番号】230111796
【弁護士】
【氏名又は名称】光石 忠敬
(74)【代理人】
【識別番号】230112449
【弁護士】
【氏名又は名称】光石 春平
(74)【代理人】
【識別番号】100102945
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 康幸
(74)【代理人】
【識別番号】100120673
【弁理士】
【氏名又は名称】松元 洋
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 周洋
【審査官】 亀田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】 特開平03−223699(JP,A)
【文献】 実開昭59−162065(JP,U)
【文献】 特表2009−533250(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41F 35/00
B41F 9/06
B41F 33/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹版印刷機のワイピング装置のワイピングタンクに支持されたワイピングロールを洗浄する洗浄液の噴射ノズルの噴射状態を確認する液噴射確認治具であって、
前記噴射ノズルの噴射口の前方側に位置するように前記ワイピングロールに代えて前記ワイピングタンクに着脱可能に支持されて当該噴射ノズルの当該噴射口からの前記洗浄液の噴射状態を目視し得る透明材料からなる確認板を備えている
ことを特徴とする液噴射確認治具。
【請求項2】
請求項1に記載の液噴射確認治具において、
前記確認板を支持すると共に前記ワイピングタンクに着脱可能に支持される支持軸を有し、
前記確認板が、前記支持軸の軸心と同軸上に位置する円弧状をなしている
ことを特徴とする液噴射確認治具。
【請求項3】
請求項2に記載の液噴射確認治具において、
前記確認板が、前記ワイピングロールと同一の曲率の円弧状をなしている
ことを特徴とする液噴射確認治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、凹版印刷機のワイピング装置の噴射ノズルからの洗浄液の噴射具合を確認する液噴射確認治具に関する。
【背景技術】
【0002】
凹版印刷機は、周面に凹版を取り付けられた凹版胴の当該凹版上にインキを供給し、当該凹版上から余剰のインキをワイピング装置のワイピングロールで取り除くことにより、圧胴に保持された紙に対して上記凹版の溝内のインキを印刷するようになっている。このような凹版印刷機のワイピング装置の一例の概略構造を図4に示す。
【0003】
図4に示すように、ワイピングタンク11の上側部分には、凹版胴20の周面の凹版に対接するワイピングロール12の支持軸12aが着脱可能及び回転可能に支持されている。前記ワイピングタンク11の内部には、前記ワイピングロール12の外周面に軸方向全長にわたって当接するワイピングパッド13が複数(本例では2つ)支持されている。前記ワイピングパッド13の近傍には、前記ワイピングロール12や当該ワイピングパッド13へ噴射口14aを向けた噴射ノズル14が当該ワイピングロール12の軸方向及び周方向に沿って所定の間隔で複数設けられている。
【0004】
前記噴射ノズル14の基端側は、送給ポンプ16の送給口側に連絡している。前記送給ポンプ16の受入口側は、洗浄液(ワイピング液)1を貯留する洗浄液槽17に連絡している。前記ワイピングタンク11の底部には、排液管15が連結されている。
【0005】
このように構成されたワイピング装置10においては、前記送給ポンプ16を作動して前記洗浄液槽17内の洗浄液1を前記噴射ノズル14の噴射口14aから噴射すると共に、図示しない駆動モータを駆動させて前記ワイピングロール12を回転駆動させると、前記ワイピングロール12が凹版胴20の凹版上の余剰のインキを当該凹版上から拭き取り、前記噴射ノズル14が前記ワイピングロール12や前記ワイピングパッド13へ前記洗浄液1を噴き掛けながら当該ワイピングパッド13が当該ワイピングロール12の外周面に拭き取った前記インキを当該ワイピングロール12から掻き取り洗浄し、洗浄除去された当該インキを上記洗浄液1と共にワイピングタンク11内に回収し、排液管15から外部へ排出することができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平7−015339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、前述したようなワイピング装置10においては、使用していくにしたがって、洗浄除去した前記インキが前記噴射ノズル14の噴射口14aに徐々に付着堆積して目詰まり等を引き起こし、当該噴射口14aから前記洗浄液1が次第に噴射しにくくなってしまうことから、保守点検等の際に、目詰まり等を生じた噴射ノズル14の噴射口14aを洗浄する必要があるものの、ワイピングロール12等が障害となって、噴射ノズル14の噴射口14aからの洗浄液1の噴射状態を確認することができなかった。
【0008】
そこで、ワイピングロール12をワイピングタンク11から取り外して洗浄液1の噴射状態を確認することが考えられるが、前記噴射ノズル14の前記噴射口14aからの前記洗浄液1の噴射量が非常に多いため、目視で確認できるものではなっかた。そのため、保守点検等の際には、すべての噴射ノズル14の噴射口14aを毎回洗浄しなければならず、非常に手間がかかってしまっていた。
【0009】
このようなことから、保守点検等の際の、凹版印刷機のワイピング装置10の噴射ノズル14の噴射口14aの洗浄にかかる手間を削減できるようにすることが強く求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述した課題を解決するためになされた本発明は、凹版印刷機のワイピング装置のワイピングタンクに支持されたワイピングロールを洗浄する洗浄液の噴射ノズルの噴射状態を確認する液噴射確認治具であって、前記噴射ノズルの噴射口の前方側に位置するように前記ワイピングロールに代えて前記ワイピングタンクに着脱可能に支持されて当該噴射ノズルの当該噴射口からの前記洗浄液の噴射状態を目視し得る透明材料からなる確認板を備えていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上述した液噴射確認治具において、前記確認板を支持すると共に前記ワイピングタンクに着脱可能に支持される支持軸を有し、前記確認板が、前記支持軸の軸心と同軸上に位置する円弧状をなしていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、上述した液噴射確認治具において、前記確認板が、前記ワイピングロールと同一の曲率の円弧状をなしていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る液噴射確認治具によれば、凹版印刷機のワイピング装置のワイピングロールに代えて噴射ノズルの噴射口の前方側に位置させるように確認板をワイピングタンクに支持させた後、噴射ノズルの噴射口から洗浄液を噴射すると、洗浄液が確認板に噴き付けられることから、確認板を覗き込むことにより、噴射ノズルの噴射口から噴射されている洗浄液の状態を目視確認することができ、目詰まり等の不具合を生じている噴射ノズルを容易に特定することができるので、特定した噴射ノズルのみを洗浄するだけで済ますことができ、凹版印刷機のワイピング装置の保守点検等にかかる手間を大幅に削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係る液噴射確認治具の主な実施形態の外観図である。
図2図1の液噴射確認治具をワイピング装置に装着した状態の説明図である。
図3図1の液噴射確認治具による液噴射状態の確認方法の説明図である。
図4】ワイピング装置の一例の概略構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係る液噴射確認治具の実施形態を図面に基づいて以下に説明するが、本発明は図面に基づいて説明する以下の実施形態のみに限定されるものではない。
【0016】
[主な実施形態]
本発明に係る液噴射確認治具の主な実施形態を図1〜3に基づいて説明する。なお、図2に示す凹版印刷機のワイピング装置は、図4に示した凹版印刷機のワイピング装置と同一構造であるため、先の説明で用いた符号と同一の符号を用いることにより、先の説明と重複する説明を省略する。
【0017】
図1,2に示すように、本実施形態に係る液噴射確認治具は、凹版印刷機のワイピング装置10のワイピングタンク11に支持されたワイピングロール12を洗浄する洗浄液(ワイピング液)1の噴射ノズル14の噴射状態を確認する液噴射確認治具100であって、前記噴射ノズル14の噴射口14aの前方側に位置するように前記ワイピングロール12に代えて前記ワイピングタンク11に着脱可能に支持されて当該噴射ノズル14の当該噴射口14aからの前記洗浄液1の噴射状態を目視し得るアクリル樹脂等の透明材料からなる確認板103を備え、さらに、ブラケット102を介して前記確認板103を支持すると共に前記ワイピングタンク11に着脱可能に支持される支持軸101を有している。
【0018】
前記支持軸101は、前記ワイピング装置10の前記ワイピングロール12に代えて、前記ワイピングタンク11の上側部分に着脱可能に係合する円板型のフランジ板101aが、その両端部にそれぞれ取り付けられている。
【0019】
前記ブラケット102は、前記支持軸101の軸方向に沿って所定の間隔で複数(本実施形態では3つ)設けられ、前記ワイピング装置10の前記ワイピングロール12よりも前記確認板103の板厚分だけ小さい曲率の外周を有する円弧板型をなして上記支持軸101に内周側が固定されている。
【0020】
前記確認板103は、外周面が前記ワイピングロール12と同一の曲率の円弧状に湾曲し、円弧の中心軸方向を前記支持軸101の軸方向へ向けると共に前記ブラケット102の外周に内周面側を固定支持されることにより、当該支持軸101の軸心と同軸上に位置するようになっている。
【0021】
このような構造をなす液噴射確認治具100を使用する洗浄液1の噴射確認方法を次に説明する。
【0022】
凹版印刷機の保守点検等の際に、まず、前記ワイピング装置10を印刷機本体内から引き出して、当該ワイピング装置10の前記ワイピングロール12を前記ワイピングタンク11から取り外し、前記液噴射確認治具100の前記確認板103を前記噴射ノズル14の前記噴射口14aの前方側に位置させるように前記支持軸101の前記フランジ板101aを当該ワイピングタンク11の上側部分に上記ワイピングロール12に代えて取り付ける。
【0023】
続いて、前記ワイピング装置10の前記送給ポンプ16を作動させると、前記噴射ノズル14の前記噴射口14aから前記洗浄液1が噴射され、前記液噴射確認治具100の前記確認板103に噴き付けられる。
【0024】
ここで、上記液噴射確認治具100の上記確認板103がアクリル樹脂等の透明材料からなることから、円弧状をなす当該確認板103を前記支持軸101側から覗き込むことにより、前記噴射ノズル14の前記噴射口14aから噴射されている前記洗浄液1の状態を目視確認することができる。
【0025】
このとき、前記噴射ノズル14の前記噴射口14aが正常であると、図3Aに示すように、前記洗浄液1が前記確認板103に前記支持軸101の軸方向にわたって切れ目なく均一の状態で噴き付けられる一方、前記噴射ノズル14の前記噴射口14aが目詰まり等の不具合を生じていると、図3Bに示すように、前記洗浄液1が、前記確認板103に対して、前記支持軸101の軸方向の端部側に噴き付けられなかったり、前記支持軸101の軸方向で切れ目を生じたり、未噴射部分を生じたりして、前記確認板103に噴き付けられる状態(形状)にバラつきを生じるようになる。
【0026】
このような洗浄液1の噴射状態(形状)を前記確認板103を介して目視確認することにより、目詰まり等の不具合を生じている噴射ノズル14を特定することができ、特定した噴射ノズル14のみを洗浄することにより、前記ワイピングロール12や前記ワイピングパッド13への前記洗浄液1の規定通りの噴き掛けを復帰させることが簡単にできる。
【0027】
したがって、本実施形態に係る液噴射確認治具100によれば、噴射ノズル14の噴射口14aからの洗浄液1の噴射状態を目視で確認することが容易にできることから、保守点検等の際に、目詰まり等を生じた噴射ノズル14の噴射口14aを特定して、当該噴射ノズル14の当該噴射口14aのみを洗浄するだけで済ますことができるので、保守点検等にかかる手間を大幅に削減することができる。
【0028】
[他の実施形態]
なお、前述した実施形態においては、前記支持軸101の軸心と同軸上に位置して前記ワイピングロール12と同一の曲率の円弧状をなしている確認板103を適用した場合について説明したが、本発明はこれに限らず、前記噴射ノズル14の噴射口14aの前方側に位置するように前記支持軸101に支持される確認板であれば、前述した実施形態の場合と同様にして適用することができる。
【0029】
しかしながら、前述した実施形態の場合のように、前記支持軸101の軸心と同軸上に位置する円弧状をなしている確認板103であれば、前記噴射ノズル14の前記噴射口14aから前記ワイピングロール12に噴き掛ける洗浄液1の状態に近似させて洗浄液1の噴射状態を観察することができるので好ましく、特に、前記ワイピングロール12と同一の曲率の円弧状をなしている確認板103であると、前記噴射ノズル14の前記噴射口14aから前記ワイピングロール12に噴き掛ける洗浄液1の状態と同一にして洗浄液1の噴射状態を観察することができるのでさらに好ましい。
【0030】
また、前記噴射ノズル14の前記噴射口14aから規定通りに噴射される前記洗浄液1の位置に対応する前記液噴射確認治具100の前記確認板103の位置に目印となるマークやライン等を表示しておくと、目視確認をより容易に行うことができるようになるのでさらに好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明に係る液噴射確認治具は、凹版印刷機のワイピング装置の保守点検等にかかる手間を大幅に削減することができるので、印刷産業において、極めて有益に利用することができる。
【符号の説明】
【0032】
1 洗浄液(ワイピング液)
10 ワイピング装置
11 ワイピングタンク
12 ワイピングロール
12a 支持軸
13 ワイピングパッド
14 噴射ノズル
14a 噴射口
15 排液管
16 送給ポンプ
17 洗浄液槽
20 凹版胴
100 液噴射確認治具
101 支持軸
101a フランジ板
102 ブラケット
103 確認板
図1
図2
図3
図4