特許第5809916号(P5809916)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社IHIの特許一覧 ▶ IHI運搬機械株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5809916-走行クレーンの免震支持装置 図000002
  • 特許5809916-走行クレーンの免震支持装置 図000003
  • 特許5809916-走行クレーンの免震支持装置 図000004
  • 特許5809916-走行クレーンの免震支持装置 図000005
  • 特許5809916-走行クレーンの免震支持装置 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5809916
(24)【登録日】2015年9月18日
(45)【発行日】2015年11月11日
(54)【発明の名称】走行クレーンの免震支持装置
(51)【国際特許分類】
   B66C 15/00 20060101AFI20151022BHJP
   B66C 9/12 20060101ALI20151022BHJP
【FI】
   B66C15/00 B
   B66C9/12
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-222746(P2011-222746)
(22)【出願日】2011年10月7日
(65)【公開番号】特開2013-82524(P2013-82524A)
(43)【公開日】2013年5月9日
【審査請求日】2014年9月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(73)【特許権者】
【識別番号】000198363
【氏名又は名称】IHI運搬機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000512
【氏名又は名称】特許業務法人山田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩本 浩祐
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 祐二
(72)【発明者】
【氏名】谷田 宏次
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 修
(72)【発明者】
【氏名】酒井 英聡
【審査官】 加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭55−111388(JP,A)
【文献】 特開平08−333081(JP,A)
【文献】 特開2013−082523(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 15/00
B66C 9/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上側部材に対してロッカーピンにより吊り下げた少なくとも1つのイコライザビームを有する走行装置が支持脚に備えられてレール上を走行する走行クレーンの免震支持構造であって、一端が前記上側部材からロッカーピンにより吊下げられて揺動端が前記走行装置の走行方向へ揺動可能な1対のリンクと、前記上側部材による荷重の作用時に一方のリンクと他方のリンクの揺動端相互の最大開き角を規定するストッパ手段と、を有するリンク装置を、前記イコライザビームの少なくとも1つに置き換えて備えたことを特徴とする走行クレーンの免震支持装置。
【請求項2】
前記ストッパ手段は、前記各リンクの上部延長部に備えて互いに当接する当接部材であることを特徴とする請求項1記載の走行クレーンの免震支持装置。
【請求項3】
前記ストッパ手段は、前記各リンクの揺動端を相互に連結する折曲可能な連結部材であることを特徴とする請求項1記載の走行クレーンの免震支持装置。
【請求項4】
前記各リンクの相互間に、前記揺動端を相互に接近させる方向へ付勢するバネ手段を備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の走行クレーンの免震支持装置。
【請求項5】
前記各リンクの相互間に、前記揺動端の開き時に抵抗力を発揮するダンパ装置を備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の走行クレーンの免震支持装置。
【請求項6】
前記上側部材と前記各リンクとの間に、前記上側部材に対して前記各リンクがレール間の内側へ傾くのを防止するシャープレートを備えたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の走行クレーンの免震支持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、港湾部等で使用される走行クレーンにおいて、巨大な地震が発生した場合に、走行クレーンにレールと直角方向の揺れが発生し、車輪が浮き上がる現象及び脱輪するといった問題を、簡単な構成にて防止できるようにした走行クレーンの免震支持装置に関するものである。尚、本発明における走行クレーンは、港湾に備えられる大型のコンテナクレーンを含むが、これに限定されるものではなく、脚構造が門型を有してレール上を走行する種々の走行クレーンであれば、これに該当する。
【背景技術】
【0002】
走行クレーンの一例であるコンテナクレーンは、支持脚が門型に形成されたクレーン本体を有し、該クレーン本体の支持脚の四隅部に備えた走行装置により、岸壁に設けたレールに沿って走行する。
【0003】
このような走行式クレーンにおいて地震が発生した場合には、走行クレーンの走行方向と直角方向の加振力が外力として走行クレーンに作用することになる。走行式クレーンを構成するクレーン本体は、柔軟性を有しており、小規模或いは中規模の地震が発生して走行方向と直角方向の加振力が作用しても、クレーン本体が柔軟に変形することで加振力を吸収するため、問題を生じることはない。
【0004】
しかし、大規模な地震が発生した場合には、クレーンが大きく揺れることにより支持脚に浮き上がりが発生し、このために車輪がレール上から脱輪してしまう虞れがある。
【0005】
こうした問題に対処するために、従来の走行クレーンでは、種々の免震構造を備えることが提案されている。例えば、下部イコライザビームと上部イコライザビームとの間に免震装置を設け、この免震装置は、下部イコライザビームに設けられ上部イコライザビームに沿って鉛直方向に摺動する摺動部と、下部イコライザビームと上部イコライザビームとの間に設けられた油圧シリンダを含む減衰要素を有する油圧機構と、油圧機構の制御部とにより構成されたものがある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−284230号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1の免震装置では、構成が大掛かりになると共に、油圧機構を制御するための制御装置も必要となり、免震のための構造が複雑且つ高価になるという問題がある。
【0008】
本発明は、上記従来の問題に鑑みてなしたもので、巨大な地震が発生した際に、走行クレーンがレールと直角方向の揺れを発生し支持脚が浮き上がることにより脱輪するような問題を、簡単な構成によって防止できるようにした走行クレーンの免震支持装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上側部材に対してロッカーピンにより吊り下げた少なくとも1つのイコライザビームを有する走行装置が支持脚に備えられてレール上を走行する走行クレーンの免震支持構造であって、一端が前記上側部材からロッカーピンにより吊下げられて揺動端が前記走行装置の走行方向へ揺動可能な1対のリンクと、前記上側部材による荷重の作用時に一方のリンクと他方のリンクの揺動端相互の最大開き角を規定するストッパ手段と、を有するリンク装置を、前記イコライザビームの少なくとも1つに置き換えて備えたことを特徴とする走行クレーンの免震支持装置、に係るものである。
【0010】
上記走行クレーンの免震支持装置において、前記ストッパ手段は、前記各リンクの上部延長部に備えて互いに当接する当接部材であってもよい。
【0011】
又、上記走行クレーンの免震支持装置において、前記ストッパ手段は、前記各リンクの揺動端を相互に連結する折曲可能な連結部材であってもよい。
【0012】
又、上記走行クレーンの免震支持装置において、前記各リンクの相互間に、前記揺動端を相互に接近させる方向へ付勢するバネ手段を備えたことは好ましい。
【0013】
又、上記走行クレーンの免震支持装置において、前記各リンクの相互間に、前記揺動端の開き時に抵抗力を発揮するダンパ装置を備えたことは好ましい。
【0014】
又、上記走行クレーンの免震支持装置において、前記上側部材と前記各リンクとの間に、前記上側部材に対して前記各リンクがレール間の内側へ傾くのを防止するシャープレートを備えたことは好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の走行クレーンの免震支持装置によれば、クレーン本体にレールと直角方向の揺れが発生して支持脚が浮き上がろうとしても、一方のリンクと他方のリンクの揺動端相互の開き角が減少して車輪がレールから離反するのを防止するという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の走行クレーンに備える免震支持装置の一実施例を示す側面図である。
図2図1のリンク装置をII−II方向から見た詳細を示す正面図である。
図3】クレーン本体にレールと直角方向の揺れが発生し支持脚が浮き上がる現象が生じた際のリンク装置の作動を示す側面図である。
図4】本発明の走行クレーンに備える免震支持装置の他の実施例を示す側面図である。
図5】クレーン本体にレールと直角方向の揺れが発生する状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図示例と共に説明する。
【0018】
図1は走行クレーンを構成する門型のクレーン本体100における支持脚101の四隅部下部に設けられる走行装置102を示している。この走行装置102には、レール1上を前後に走行するための岸壁条件に見合った偶数または、奇数となる多数の車輪2を備えたものが知られている。
【0019】
図1では車輪2を8個備えた8輪タイプの走行装置102の場合を示しており、この走行装置102では、通常、クレーン本体100の支持脚101の下部に、レール1と直交し且つ水平方向に延びるロッカーピン3を介して大型の上部イコライザビーム4が前後に揺動可能に取り付けてあり、該上部イコライザビーム4の前端と後端の下部にはロッカーピン5を介して中型の中間部イコライザビーム6a,6bが前後に揺動可能に取り付けてあり、更に、一方の中間部イコライザビーム6aの前端と後端の下部にはロッカーピン7を介して小型の下部イコライザビーム8a,8bが前後に揺動可能に取り付けてあり、又、他方の中間部イコライザビーム6bの前端と後端の下部にはロッカーピン7を介して小型の下部イコライザビーム8c,8dが前後に揺動可能に取り付けてあり、前記各下部イコライザビーム8a,8b,8c,8dの夫々の前後には、前記レール1上を走行する前記車輪2が取り付けてある。
【0020】
図1の走行装置102においては、上側部材であるクレーン本体100の支持脚101の下部には、図2に示す如く前記ロッカーピン3を配置するための下方に延長された延長部9が紙面と直角方向に間隔を隔てて設けてあり、前記延長部9,9の内側に前記上部イコライザビーム4が配置される。
【0021】
ここで、本発明では、前記上部イコライザビーム4に置き換えて、前記ロッカーピン3に対して別個に揺動が可能な1対のリンク10,11を設けている。そして、前記各リンク10,11は、一端10a,11a(上端)が前記ロッカーピン3に枢支されており、又、夫々の他端(下端)である揺動端10b,11bにはロッカーピン5を介して中間部イコライザビーム6a,6bが枢支されている。ここで、図1では、一本のロッカーピン3に各リンク10,11の一端10a,11aが枢支された場合について示したが、平行な二本のロッカーピン3を設けて、各ロッカーピン3の夫々に前記リンク10,11を別個に枢支させてもよい。
【0022】
前記リンク10,11の相互間には、前記クレーン本体100の荷重の作用によって揺動端10b,11bが相互に前後に開くときの最大開き角αを規定するためのストッパ手段12を設けている。そして、前記リンク10,11とストッパ手段12とにより、前記上部イコライザビーム4に置き換えた、リンク装置13を構成している。
【0023】
前記ストッパ手段12は、図1図2に示す如く、前記各リンク10,11の一端10a,11aにおいて前記ロッカーピン3から上方へ伸びた上部延長部14,15が形成してあり、該上部延長部14,15の対向面には当接部材16,17を固定し、該当接部材16,17が互いに当接することによって、前記各リンク10,11の揺動端10b,11bの最大開き角αが規定され、最大開き角α以上は開けないようにしている。
【0024】
更に、前記各リンク10,11の揺動端10b,11bの相互間には、前記揺動端10b,11bを相互に引き付けて接近させるよう付勢された引っ張りバネ18(バネ手段)を設けている。この時、前記引っ張りバネ18に代えて、前記上部延長部14,15間に、該各上部延長部14,15間を相互に押し開くように作用する圧縮バネ或いは板バネ等を設けていてもよい。
【0025】
更に、前記各リンク10,11の上部延長部14,15間には、前記揺動端10b,11bの開き時に抵抗力を発揮するダンパ装置19を設けている。尚、このダンパ装置19は、前記リンク10,11の揺動端10b,11bの相互間に備えるようにしてもよい。前記ダンパ装置19にはチェック弁を備えた流体圧シリンダを用いることができる。即ち、前記揺動端10b,11bの開き角が減少する方向へ作動するときは、チェック弁が開通することで自由に回動することができ、逆に、揺動端10b,11bの開き角が増加する方向へ作動するときはチェック弁が閉塞され、流体圧シリンダに設けた小口を流体が流れて開き角がゆっくり増加することでダンパ機能を発揮するようになっている。
【0026】
又、図2に示す如く、上側部材であるクレーン本体100に設けた延長部9,9と前記各リンク10,11の一端10a,11aの外側との間における前記ロッカーピン3回りには、前記支持脚101が浮き上がってロッカーピン3が傾いたときに、前記延長部9,9に対して前記各リンク10,11がレール1,1間の内側へ傾くのを防止するためのシャープレート20を備えていると共に、前記延長部9,9と前記各リンク10,11に備えた上部延長部14,15との間にも、前記支持脚101が浮き上がってロッカーピン3が傾いたときに、前記延長部9,9に対して前記各リンク10,11がレール1,1間の内側へ傾くのを防止するためのシャープレート21を設けている。
【0027】
図4は、本発明の他の実施例を示すものであり、図4の実施例では、前記各リンク10,11の揺動端10b,11bの間を引っ張りバネ18(バネ手段)で接続すると共に、前記揺動端10b,11bの間を、前記引っ張りバネ18に対して紙面と直交する方向で互いに重なる位置に配置したダンパ装置19で接続している。
【0028】
更に、前記各リンク10,11の揺動端10b,11bの間には、折曲可能な連結材22によって連結するようにしたストッパ手段12を設けている。図4では二本の連結材22a,22bを備えた場合を示しており、一方の連結材22aの一端には前記揺動端10bに備えたロッカーピン5に嵌合する連結環23aを設け、他方の連結材22bの一端には前記揺動端10bに備えたロッカーピン5に嵌合する連結環23bを設け、前記連結材22a,22bの他端同士は連結ピン24によって上下に回動可能に連結している。上記連結材22に代えて、チェーン等を用いることもできる。
【0029】
尚、上記実施例においては、本発明のリンク装置13を上部イコライザビーム4に適用する場合について例示したが、上側部材である上部イコライザビーム4に対して取り付けられる中間部イコライザビーム6a,6b、及び、上側部材である中間部イコライザビーム6a,6bに対して取り付けられる下部イコライザビーム8a,8b,8c,8dにも適用することができる。そして、前記リンク装置13は、前記各イコライザビーム4,6a,6b,8a,8b,8c,8dの少なくとも1つに置き換えて備えればよい。
【0030】
次に、上記実施例の作動を説明する。
【0031】
図1は走行装置102がクレーン本体100の荷重を受けている状態を示しており、この時、ストッパ手段12を構成する当接部材16,17が当接することによって、リンク10,11の揺動端10b,11bの相互間は最大開き角αに規定されており、走行装置102に掛るクレーン本体100の荷重は8個の車輪2に均等に分担される。又、前記揺動端10b,11bの相互間に設けた引っ張りバネ18(バネ手段)は、引き伸ばされた状態にあり、又、上部延長部14,15間に設けたダンパ装置19は縮小された状態にある。
【0032】
図5に示す如く、クレーン本体100が設置された地盤が、地震によってレール1の長手方向と交差する方向へ振動した際に、振動の加速度が小さい場合にはクレーン本体100自身が柔軟に変形することにより問題を生じることはないが、当該走行クレーンが設置される敷地において、過去及び将来にわたって最強と考えられるような巨大な地震が発生し、その地震の加速度が大きい場合には、海側の支持脚101の車輪2と陸側の支持脚101の車輪2がレール1から交互に浮き上がるようにクレーン本体100にレール1と直角方向の揺れRが発生することが想定され、浮き上がった車輪2は次の段階ではレール1上に衝撃的に落下し、又は、浮き上がった車輪2がレール1上に戻らずに脱輪してしまう問題を発生する可能性がある。尚、大型の走行クレーンにおいて、前記したような巨大な地震によってレール1と直角方向の揺れRが発生した場合に車輪2がレール1から浮き上がる浮き上がり高さは数センチメートルと予想され、最大でも20センチメートル程度であると予想される。
【0033】
図1に示すクレーン本体100において、図5のように、地震によるレール1と直角方向の揺れRが発生して支持脚101が上昇しようとすると、前記各リンク10,11の一端10a,11aはロッカーピン3を介して支持脚101に揺動可能に枢支されており、しかも、前記リンク10の揺動端10bには、中間部イコライザビーム6a及び下部イコライザビーム8a,8bの重量が掛っており、又、前記リンク11の揺動端11bには、中間部イコライザビーム6b及び下部イコライザビーム8c,8dの荷重が掛っているため、前記リンク10,11は、図3に示す如く、揺動端10b,11bの相互間の角度が開き角α'のように自動的に減少されるようになる。図3のXは、支持脚101が上昇することによってロッカーピン3が上方へ移動した距離を表わしている。
【0034】
又、前記リンク10,11の揺動端10b,11bを引っ張りバネ18(バネ手段)により引き付けているため、前記支持脚101が上昇すると同時に、前記揺動端10b,11bの間の角度は確実に減少されるようになる。
【0035】
上記したように、支持脚101が上昇すると、揺動端10b,11bの相互間の角度が減少するようにリンク10,11が自動的に回動するので、揺動端10b,11bの下端に取り付けた中間部イコライザビーム6a,6bの高さは変化することなく、中間部イコライザビーム6a,6bが相互の接近するのみであり、下部イコライザビーム8a,8b,8c,8dの夫々の車輪2はレール1と噛み合った状態を保持し、車輪2がレール1から浮き上がることは防止される。
【0036】
又、前記支持脚101が上昇する加速度が大きい場合、或いは、地盤が落下する加速度が大きい場合にも、前記引っ張りバネ18によって揺動端10b,11bを引き付けているため、大きな加速度で支持脚101とレール1が離反しようとしても、それに追随して揺動端10b,11bの相互間の角度を減少するようにリンク10,11が確実に回動し、且つ、車輪2がレール1上に着地したままロッカーピン3が上方へ移動できる距離Xを大きく確保できるので、車輪2がレール1から離反することは防止される。
【0037】
このように、クレーン本体100にレール1と直角方向の揺れRが発生しても、車輪2がレール1から離反することが防止されるので、車輪2がレール1から脱輪することはない。
【0038】
更に、図3に示す状態から、支持脚101が下降すると、揺動端10b,11bの相互間の角度は減少された開き角α'から開かれるようになるが、このとき、前記ダンパ装置19は縮小され、ダンパ装置19は縮小時にダンパ機能を発揮するようになっているので、開き角の増加がダンパ装置19によって抑制され、これにより、前記したように支持脚101が下降してきてクレーン本体100の荷重が走行装置102に作用する際(着座時)の衝撃が緩衝される。又、前記揺動端10b,11bの間を引き付けている引っ張りバネ18も、開き角の増加を抑制するように働くので、引っ張りバネ18によっても着座時の衝撃を緩衝する作用が補助される。
【0039】
図4の実施例は、揺動端10b,11bの相互間を連結する連結材22からなるストッパ手段12によって揺動端10b,11bの相互間を最大開き角αに規定している点、及び、揺動端10b,11bの相互間に備えたダンパ装置19は開き角が増加することで前記ダンパ装置19が伸長し、その伸長時にダンパ機能を発揮するようになっている点以外は、前記図1の実施例と同じであり、図1の実施例と同様に作用することができる。
【0040】
前記リンク装置13による免震装置は、単独で走行クレーンに備えてもよいが、従来周知の免震構造と組み合わせて備えることもできる。
【0041】
尚、本発明の走行クレーンの免震支持装置は、上述の実施例にのみ限定されるものではなく、リンクの形状は図示例のものに限定されないこと、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0042】
1 レール
3 ロッカーピン
4 上部イコライザビーム(イコライザビーム)
5 ロッカーピン
6a,6b 中間部イコライザビーム(イコライザビーム)
7 ロッカーピン
8a,8b,8c,8d 下部イコライザビーム(イコライザビーム)
10,11 リンク
10a,11a 一端
10b,11b 揺動端
12 ストッパ手段
13 リンク装置
14,15 上部延長部
16,17 当接部材
18 引っ張りバネ(バネ手段)
19 ダンパ装置
20 シャープレート
21 シャープレート
22 連結材
100 クレーン本体
101 支持脚
102 走行装置
α 最大開き角
図1
図2
図3
図4
図5