特許第5809957号(P5809957)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5809957
(24)【登録日】2015年9月18日
(45)【発行日】2015年11月11日
(54)【発明の名称】コイルチューブ支持構造
(51)【国際特許分類】
   B25J 19/00 20060101AFI20151022BHJP
【FI】
   B25J19/00 E
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2011-278021(P2011-278021)
(22)【出願日】2011年12月20日
(65)【公開番号】特開2013-128994(P2013-128994A)
(43)【公開日】2013年7月4日
【審査請求日】2014年10月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】390014672
【氏名又は名称】株式会社アマダホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100100712
【弁理士】
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】赤見 一男
(72)【発明者】
【氏名】高橋 祐希
【審査官】 川東 孝至
(56)【参考文献】
【文献】 実開平03−022892(JP,U)
【文献】 特表2009−531189(JP,A)
【文献】 実開昭60−084294(JP,U)
【文献】 特表2010−504861(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0226940(US,A1)
【文献】 実開昭62−77813(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00−21/02
H02G 11/00−11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットアームの先端部に、当該ロボットアームに対して揺動可能な揺動アームを備え、この揺動アームに備えたエアー動作手段及び当該エアー動作手段に関係して備えられたセンサに対して接続するためのエアー配管及び電気配線を備えたコイルチューブを支持するコイルチューブ支持構造であって、前記ロボットアームの基端部側に基端部を固定したガイドバーを前記ロボットアームと平行に設け、このガイドバーに被嵌した伸縮自在な弾性チューブ部材の基端部側を前記ガイドバーに固定して設けると共に、前記弾性チューブ部材の先端部を前記ガイドバーの先端部より突出して備え、前記弾性チューブ部材に被嵌して備えたコイルチューブに前記弾性チューブ部材の先端部を連結してあることを特徴とするコイルチューブ支持構造。
【請求項2】
請求項1に記載のコイルチューブ支持構造において、前記弾性チューブ部材は、線材を密着した螺旋形状に形成したコイルスプリングであることを特徴とするコイルチューブ支持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業用ロボットにおけるロボットアーム又はロボットハンドに備えた、例えばエアーアクチュエータやバキュームパッドなどのごときエアー動作手段に対して接続するエアー配管及び前記エアー動作手段に関連して備えられたセンサに接続される電気配線を一体に備えたコイルチューブを支持するコイルチューブ支持構造に係り、さらに詳細には、産業用ロボットにおけるロボットアームやロボットハンドに容易に追従することができ、かつロボットアームやロボットハンド等に巻き付くことのないようにコイルチューブを支持することのできるコイルチューブ支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
産業用ロボットにおけるロボットアーム又はロボットハンドに備えた、例えばエアーモータなどのごときエアーアクチュエータや、エアーチャック又はバキュームパッドなどのごときエアー動作手段に対してエアーを供給する場合、エアー配管が必要である。また、エアー動作手段の動作を制御するために、前記エアー動作手段に関係して備えられたセンサに対して接続する電気配線が必要である。
【0003】
そこで、エアー配管用のホースと電気配線用のケーブルを一体に備えたケーブルベア(登録商標)が提案されている。しかし、ケーブルベア(登録商標)は、全体的構成が帯状を呈するものであり、折り返し湾曲する場合の径が大きくなると共に、ケーブルベア(登録商標)の幅方向へ湾曲することができず自由度が小さいという問題がある。
【0004】
また、ロボットにおけるアーム先端に、多種のアクチュエータ、ツール、工具などを支持するためのヘッドを備え、このヘッドに対して接続する空気配管と電気配線とを一体に備えかつコイル状に形成されたコイルチューブが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−58376号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
エアー配管と電気配線とを一体にかつコイル状に形成したコイルチューブは柔軟性が大きく伸縮自在であることにより、ロボットハンドの回転動作に従って追従するものの、自重によって垂れ下がり周囲に干渉を生じ易いという問題がある。そこで、前記特許文献1に記載の構成においては、ロボットアームに垂直に備えた中空軸の上端部に中継ボックスを備え、この中継ボックスに一端側を固定したテフロン(登録商標)樹脂等からなるサポートチューブによって、コイルチューブを支持する構成である。
【0007】
特許文献1に記載のロボットはスカラー型のロボットであって、ロボットハンドは水平に回動(揺動)するのみであるから、サポートチューブでもってコイルチューブの垂れ下がりを防止する構成である。しかし、産業用ロボットにおいては、ロボットアームの先端部に備えたロボットハンドは、ロボットアームの長手方向に対して直交する方向の枢軸回りに回動(揺動)自在であり、かつ前記枢軸に対して直交する方向の回動軸の回りに回動するものである。したがって、特許文献1に記載の支持構造をそのまま適用するには問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前述のごとき問題に鑑みてなされたもので、ロボットアームの先端部に、当該ロボットアームに対して揺動可能な揺動アームを備え、この揺動アームに備えたエアー動作手段及び当該エアー動作手段に関係して備えられたセンサに対して接続するためのエアー配管及び電気配線を備えたコイルチューブを支持するコイルチューブ支持構造であって、前記ロボットアームの基端部側に基端部を固定したガイドバーを前記ロボットアームと平行に設け、このガイドバーに被嵌した伸縮自在な弾性チューブ部材の基端部側を前記ガイドバーに固定して設けると共に、前記弾性チューブ部材の先端部を前記ガイドバーの先端部より突出して備え、前記弾性チューブ部材に被嵌して備えたコイルチューブに前記弾性チューブ部材の先端部を連結してあることを特徴とするものである。
【0009】
また、前記コイルチューブ支持構造において、前記弾性チューブ部材は、線材を密着した螺旋形状に形成したコイルスプリングであることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ロボットアームの先端部に備えた揺動アームの揺動に追従してコイルチューブが伸縮するものの、伸びた状態は弾性チューブ部材の作用によって縮小した状態に復帰され、かつガイドバーによって支持されることとなり、コイルチューブが周囲の物と干渉することを防止することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】産業用ロボットの構成を機能的に示した概略説明図である。
図2】ロボットアームとエアー動作手段との関係を示した構成説明図である。
図3】ロボットアームとコイルチューブ支持構造との関係を示した構成説明図である。
図4】コイルチューブ支持構造の構成を示す構成説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明するに、先ず、理解を容易にするために、産業用ロボットの一般的構成について説明する。産業用ロボットには、直交座標系、円筒座標系、極座標系や多関節系などがあり、多関節系はよく知られた構成である。
【0013】
上記多関節系の産業用ロボット1は、図1に示すように、移動自在又は固定したベース3を備え、このベース3上に水平に回転する回転機構部5を備えて旋回軸7が備えられている。そして、前記旋回軸7の上端部には第1旋回部(枢軸部)9を介して第1ロボットアーム11が回動(揺動)自在に備えられている。また、前記第1ロボットアーム11の先端部には第2旋回部(枢軸部)13を介して第2ロボットアーム15が備えられている。そして、この第2ロボットアーム15の先端部には、第3旋回部(枢軸部)17を介して第3ロボットアーム19が備えられている。
【0014】
さらに、前記第3ロボットアーム19の先端部には、回転機構部21を介して揺動アームとしてのロボットハンド23が備えられている。そして、このロボットハンド23には、例えばバキュームパッド、エアーモータなどのごときエアーアクチュエータ、エアーチャックなどの種々のエアー動作手段25が着脱交換可能に備えられている。なお、本実施形態においては、板状のワークWを吸着自在な複数のバキュームパッド27を備えた構成のエアー動作手段でもって例示してある。
【0015】
より具体的には、図2に示すように、第2ロボットアーム15の先端部に、前記第3旋回部17を介して回動自在に備えた第3ロボットアーム19にロボットハンド23が回動自在に備えられており、このロボットハンド23に、複数のバキュームパッド27を備えた前記エアー動作手段25が着脱交換可能に備えられているものである。そして、前記エアー動作手段25には、例えばワークWを検知するセンサ28が備えられている。したがって、前記バキュームパッド27に接続するためのエアー配管が必要であると共に、前記センサ28に接続する電気配線が必要である。
【0016】
そこで、エアー配管と電気配線とを備えた従来の前記コイルチューブを採用して、前記バキュームパッド27に対するエアー配管の接続及び前記センサ28に対する電気配線の接続を行うことになる。しかし、前述したように、コイルチューブは伸縮自在で、かつ柔軟性が大であり、自重でもって垂れ下がり易いものである。よって、ロボットアーム15やロボットハンド23の移動動作時に、周囲の物と干渉を生じ易いものである。したがって、前記コイルチューブの適宜一部分をロボットアーム15に固定すると、前記干渉は抑制することができるものの、前記エアー動作手段25の動作に対する追従性が悪くなることや、エアー動作手段25の動作範囲を制限することがあるなど、新たな問題を生じることがある。
【0017】
そこで、本実施形態においては、図3、4に示すごときコイルチューブ支持構造29を採用して、コイルチューブの支持を行うものである。より詳細には、前記ロボットアーム15の基端部側に基端部を固定したガイドバー31のコイルチューブ支持部を前記ロボットアーム15の上面側に当該ロボットアーム15と平行に設ける。そして、前記ガイドバー31のコイルチューブ支持部の基端部側に備えた固定具33に、前記ガイドバー31の先端側から被嵌した伸縮自在な弾性チューブ部材35の基端部側が固定してある。
【0018】
前記弾性チューブ部材35は、例えばコイルスプリング等より構成してあるものであって、図4に示すように、ばね材を接触するように螺旋状に密に巻いて伸縮自在に構成してあり、前記ガイドバー31の先端部側から被嵌してある。換言すれば、前記弾性チューブ部材35に対して前記ガイドバー31を先端側から相対的に嵌入した構成である。図4より明らかなように、前記弾性チューブ部材35の先端部は前記ガイドバー31の先端部から突出した形態に備えられている。
【0019】
なお、前記弾性チューブ部材35の構成としては、全長に亘ってばね材が密に接触する必要はないものの、弾性チューブ部材35の少なくとも先端部側、すなわち、伸長時には前記ガイドバー31の先端部から外れ、収縮時にはガイドバー31の先端部とほぼ同一位置となる領域の部分は、ばね材が接触するように密に巻いた構成であることが望ましいものである。すなわち、上記構成とすることにより、弾性チューブ部材35が伸縮するときに、ガイドバー31の先端部がばね材の間に入り込むようなことがなく、弾性チューブ部材35の伸縮動作を円滑に行うことができるものである。なお、前記弾性チューブ部材35としては、コイルスプリングに限ることなく、例えばゴムチューブなども採用可能である。
【0020】
前記構成において、前記ロボットハンド23に備えた前記エアー動作手段25に先端部を接続したエアー配管及びセンサ28に先端部を接続した電気配線を備えたコイルチューブ37は前記弾性チューブ部材35に被嵌して支持されており、このコイルチューブ37の基端部側は、前記ロボットアーム15の基端部側上面に備えたソレノイドバルブユニット39に接続してある。そして、前記弾性チューブ部材35の先端部と前記コイルチューブ37における先端部付近の適宜位置は、例えば結束バンドなどのごとき適宜の固定具41を介して一体的に固定してある。したがって、前記コイルチューブ37の伸縮に対応して前記弾性チューブ部材35は伸縮するものである。
【0021】
以上のごとく、ロボットアーム15の上面側において、コイルチューブ支持構造29にコイルチューブ37が支持された状態にあるとき、ロボットアーム15が上下方向に揺動すると、ガイドバー31がロボットアーム15と一体に揺動してコイルチューブ37を支持するものである。したがって、ロボットアーム15が揺動するときに、コイルチューブ37がロボットアーム15から離れるように移動することを、ガイドバー31によって規制されるものである。よって、コイルチューブ37がロボットアーム15から大きく離れて周囲の物と干渉することを抑制することができるものである。
【0022】
前記ロボットアーム15に対して旋回部17を中心としてロボットアーム19が揺動する場合や、当該ロボットアーム19に対して、回転機構部21を介してエアー動作手段25が回動する場合には、前記ロボットアーム19やエアー動作手段25の動作に対応して前記コイルチューブ37は伸縮されることになる。この際、コイルチューブ37の伸縮に対応して弾性チューブ部材35が伸縮動作して支持するので、前記コイルチューブ37の先端側は前記弾性チューブ部材35によって常に引張られる形態にあり、コイルチューブ37の自重によって余分な弛みを生じるようなことがないものである。したがって、コイルチューブ37に余分な弛みを生じることに起因して周囲の物と干渉することを抑制することができるものである。
【0023】
以上のごとき説明より理解されるように、ロボットアーム15の上側に位置するコイルチューブ37は、上記ロボットアーム15上に備えたコイルチューブ支持構造29に支持されており、かつコイルチューブ支持構造29に備えた弾性チューブ部材35によってコイルチューブ37の先端側が常に引張られた状態にあるので、コイルチューブ37が自重によって弛みを生じて、例えばロボットアーム15に巻きつくようなことや、例えばエアー動作手段25や当該エアー動作手段25に保持されているワーク、製品などの周囲の物と干渉を生じるようなことがなく、前述したごとき問題を解消することができるものである。
【符号の説明】
【0024】
15 第2ロボットアーム
19 第3ロボットアーム
23 ロボットハンド(揺動アーム)
25 エアー動作手段
27 バキュームパッド
28 センサ
29 コイルチューブ支持構造
31 サイドバー
35 弾性チューブ部材
37 コイルチューブ
41 固定具
図1
図3
図4
図2