特許第5809964号(P5809964)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5809964
(24)【登録日】2015年9月18日
(45)【発行日】2015年11月11日
(54)【発明の名称】バルブユニット
(51)【国際特許分類】
   H01R 33/09 20060101AFI20151022BHJP
【FI】
   H01R33/09
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2011-282942(P2011-282942)
(22)【出願日】2011年12月26日
(65)【公開番号】特開2013-134831(P2013-134831A)
(43)【公開日】2013年7月8日
【審査請求日】2014年11月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100060690
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 秀雄
(74)【代理人】
【識別番号】100108017
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 貞男
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(72)【発明者】
【氏名】長澤 正憲
(72)【発明者】
【氏名】大石 全伸
【審査官】 前田 仁
(56)【参考文献】
【文献】 実開平2−74790(JP,U)
【文献】 特開平2−100259(JP,A)
【文献】 特開平08−249919(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 33/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェッジベースバルブと、前記ウェッジベースバルブの平板状の基部が差し込まれる合成樹脂製のソケットと、前記ソケットに取り付けられる端子金具と、を有するバルブユニットであって、
前記ウェッジベースバルブは、前記基部の両面に、前記端子金具に設けられた係止部が係止する第1凸部と、前記第1凸部の両側に配置された第2凸部及び第3凸部と、が設けられ、そして、前記基部から突出した一対のリード線が、前記各面の第1凸部と第2凸部との間に位置付けられ、
前記ソケットには、前記基部を収容する筒部と、前記筒部内に配置され、前記両面の第3凸部に係止する一対の係止アームと、が設けられている
ことを特徴とするバルブユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェッジベースバルブを有するバルブユニットに関し、特に、ウェッジベースバルブとソケットとのガタつきを抑えることができるバルブユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図8は、特許文献1に開示された従来のバルブユニットの分解図である。このバルブユニット201は、ウェッジベースバルブ10と、ウェッジベースバルブ10の平板状の基部11が差し込まれる合成樹脂製のソケット220と、ソケット220に取り付けられる一対の端子金具230と、を有している。
【0003】
上記ウェッジベースバルブ10は、平板状の基部11が一体的に形成されており、基部11の両面には、第1凸部12a、第2凸部12b、第3凸部12cが形成されている。第1凸部12aは、基部11の各面の中央部分に形成されている。第2凸部12b及び第3凸部12cは、第1凸部12aの両側に形成されている。また、基部11から突出した一対のリード線13は、その先端が各面の第1凸部12aと第2凸部12bとの間に位置するように折り返されている。
【0004】
上記ソケット220は、ウェッジベースバルブ10の基部11が挿入可能な断面略方形の筒部221と、筒部221に連なりコネクタが挿入可能なコネクタ部224と、を有している。筒部221を構成する4面の壁のうち2面には開口端から奥側に向かって二本のスリット222が形成されている。二本のスリット222間は筒部221の内外方向に可撓性を有するアーム部223となっており、同アーム部223の先端には筒形端部223aが設けられている。
【0005】
上記端子金具230は、一枚の耐熱銅合金板が屈曲されて形成されており、筒部221の底面を貫通してコネクタ部224内に突出する板状の端子部231と、筒部221の内面に当接する側面支持板部232と、ウェッジベースバルブ10のリード線13と接触する電極部233と、ウェッジベースバルブ10の基部11を保持するための可動接触片234と、これらを連結した連結部235から構成されている。可動接触片234は、第1凸部12aに係止する接触押圧部234aと、筒形端部223a内を通されて該筒形端部223aに係止される係止片234cと、を有している。
【0006】
上記バルブユニット201を組み立てる際は、先に、ソケット220に一対の端子金具230を装着しておき、その後、ウェッジベースバルブ10の基部11を筒部221内に挿入する。また、基部11が筒部221内に挿入される際は、対向する一対の可動接触片234及び一対のアーム部223が一旦外方に撓み、第1凸部12aが接触押圧部234aを乗り越えた後、概ね元の形状に復帰する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7−230867号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した従来のバルブユニット201においては、以下に示す問題があった。すなわち、バルブユニット201は、ソケット220に装着された端子金具230とウェッジベースバルブ10とが係止することによってウェッジベースバルブ10がソケット220に取り付けられる構成であり、ウェッジベースバルブ10とソケット220とが直接係止されないことから、ウェッジベースバルブ10とソケット220とのガタつきが生じ易いという問題があった。特に、ウェッジベースバルブ10は全体がガラスで製造されており、公差が大きいことから、この傾向が強くなるという問題があった。
【0009】
したがって、本発明は、ウェッジベースバルブとソケットとのガタつきを抑えることができるバルブユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために請求項1に記載された発明は、ウェッジベースバルブと、前記ウェッジベースバルブの平板状の基部が差し込まれる合成樹脂製のソケットと、前記ソケットに取り付けられる端子金具と、を有するバルブユニットであって、前記ウェッジベースバルブは、前記基部の両面に、前記端子金具に設けられた係止部が係止する第1凸部と、前記第1凸部の両側に配置された第2凸部及び第3凸部と、が設けられ、そして、前記基部から突出した一対のリード線が、前記各面の第1凸部と第2凸部との間に位置付けられ、前記ソケットには、前記基部を収容する筒部と、前記筒部内に配置され、前記両面の第3凸部に係止する一対の係止アームと、が設けられていることを特徴とするバルブユニットである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載された発明によれば、前記ソケットに一対の係止アームが設けられているので、ウェッジベースバルブとソケットとが従来通り端子金具の係止部を介して間接的に係止されるのに加えて、ウェッジベースバルブとソケットとが直接係止され、そのために、ウェッジベースバルブとソケットとのガタつきを抑えることができる。また、一対の係止アームが追加されたことにより、ウェッジベースバルブの軸方向、基部の厚み方向、及び、基部の幅方向に生じるガタつきを抑えることができる。なお、ウェッジベースバルブの第3凸部は元々ソケットとの係止に使われない不要な部分であり、この不要な部分を有効利用するので、別部材等を使用せずにガタつきを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施の形態にかかるバルブユニットの断面斜視図である。
図2図1に示されたバルブユニットにおけるウェッジベースバルブの斜視図である。
図3図1に示されたバルブユニットにおけるソケット及び端子金具の断面斜視図である。
図4図3に示されたソケットのみの断面斜視図である。
図5図4に示されたソケットの平面図である。
図6図1に示されたバルブユニットの組み立て方法を説明する説明図であり、ウェッジベースバルブがソケットに差し込まれる前の状態を示す図である。
図7図1に示されたバルブユニットの組み立て方法を説明する説明図であり、ウェッジベースバルブがソケットに差し込まれた状態を示す図である。
図8】従来のバルブユニットの分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一実施の形態にかかるバルブユニットを図1〜7を用いて説明する。
【0014】
図1に示す本発明のバルブユニット1は、自動車のウインカーランプ等に用いられるものであり、ウェッジベースバルブ10と、ウェッジベースバルブ10の平板状の基部11が差し込まれる合成樹脂製のソケット2と、ソケット2に取り付けられる一対の端子金具3と、を有している。
【0015】
上記ウェッジベースバルブ10は、背景技術の項で説明したバルブユニット201(図8を参照。)のウェッジベースバルブ10と同じものであり、ガラスの球殻に発光素子が封入された周知の構成のものである。ウェッジベースバルブ10は、図2に示すように、平板状の基部11が一体的に形成されており、基部11の両面には、第1凸部12a、第2凸部12b、第3凸部12cが形成されている。第1凸部12aは、基部11の各面の中央部分に形成されている。第2凸部12b及び第3凸部12cは、第1凸部12aの両側に形成されている。また、基部11から突出した一対のリード線13は、その先端が各面の第1凸部12aと第2凸部12bとの間に位置するように折り返されている。
【0016】
上記ソケット2には、図3〜5に示すように、ウェッジベースバルブ10の基部11及び一対の端子金具3の大部分を収容する断面略方形の筒部20と、筒部20に連なり図示しないコネクタが挿入可能なコネクタ部24と、筒部20の外面から突出した環状のフランジ部25と、筒部20内に配置され、基部11の両面の第3凸部12cに係止する一対の係止アーム22と、が設けられている。一対の係止アーム22は、筒部20の底面23から筒部20の開口部側に向かって延びている。また、一対の係止アーム22は、ソケット2の中心軸を中心にして点対称の位置に設けられている。また、図1,4に示すように、筒部20の内面には、端子金具3の係止片33が係止する係止凹部21が設けられている。
【0017】
上記一対の端子金具3は、互いに同形状であり、一枚の金属板が屈曲されて形成されている。各端子金具3は、基部11の各面の第1凸部12aに係止する係止部31と、リード線13と弾性接触する電極部32と、筒部20の係止凹部21に係止する係止片33と、筒部20の底面23を貫通してコネクタ部24内に突出する板状の端子部と、これらを連結した連結部と、で構成されている。係止部31及び電極部32は、筒部20の内側に向かって凸となる山型形状に曲げ形成されている。これら一対の端子金具3は、その大部分が筒部20内に位置付けられるとともに、ソケット2の中心軸を中心にして点対称の位置に位置付けられる。
【0018】
続いて、バルブユニット1の組み立て方法を説明する。まず、一対の端子金具3を筒部20内に挿入してソケット2に装着する。次に、図6,7に示すように、ウェッジベースバルブ10の基部11を筒部20内の一対の端子金具3間に圧入する。この際、対向する一対の係止部31は、各面の第1凸部12aが当接することにより互いに離れる側に一旦弾性変形し、各面の第1凸部12aが各係止部31の頂部(最も筒部20の内側に突出した部分)を乗り越えた後、概ね元の形状に復帰してこれら第1凸部12aに係止する。また、一対の係止アーム22は、各面の第3凸部12cが当接することにより互いに離れる側に一旦弾性変形し、各面の第3凸部12cが各係止アーム22先端の突起部を乗り越えた後、概ね元の形状に復帰してこれら第3凸部12cに係止する。また、一対の電極部32は、筒部20内に位置付けられた一対のリード線13と弾性接触する。このようにしてバルブユニット1が組み立てられる。
【0019】
このように、本発明のバルブユニット1によれば、ソケット2に一対の係止アーム22が設けられているので、ウェッジベースバルブ10とソケット2とが従来通り端子金具3の係止部31を介して間接的に係止されるのに加えて、ウェッジベースバルブ10とソケット2とが直接係止され、そのために、ウェッジベースバルブ10とソケット2とのガタつきを抑えることができる。また、一対の係止アーム22が追加されたことにより、ウェッジベースバルブ10の軸方向、基部11の厚み方向、及び、基部11の幅方向に生じるガタつきを抑えることができる。なお、ウェッジベースバルブ10の第3凸部12cは元々ソケットとの係止に使われない不要な部分であり、この不要な部分を有効利用するので、別部材等を使用せずにガタつきを抑えることができる。
【0020】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0021】
1 バルブユニット
2 ソケット
3 端子金具
10 ウェッジベースバルブ
11 基部
12a 第1凸部
12b 第2凸部
12c 第3凸部
13 リード線
20 筒部
22 係止アーム
31 係止部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8