特許第5810030号(P5810030)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5810030
(24)【登録日】2015年9月18日
(45)【発行日】2015年11月11日
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20151022BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20151022BHJP
【FI】
   G03G21/00 500
   G03G15/00 526
【請求項の数】4
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2012-90546(P2012-90546)
(22)【出願日】2012年4月11日
(65)【公開番号】特開2013-218219(P2013-218219A)
(43)【公開日】2013年10月24日
【審査請求日】2014年3月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129997
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 米藏
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(72)【発明者】
【氏名】安東 朋実
【審査官】 佐々木 創太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭54−147046(JP,A)
【文献】 特開平08−062905(JP,A)
【文献】 特開2003−057906(JP,A)
【文献】 特開2009−294556(JP,A)
【文献】 特開平05−011526(JP,A)
【文献】 特開平06−095447(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/00
G03G 21/00
G03G 21/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体ドラムの表面にトナー像を形成し、当該トナー像を記録媒体に転写させる画像形成を行う画像形成部と、
前記画像形成部による前記トナー像の転写位置に、前記記録媒体を搬送する搬送部と、
前記搬送部によって搬送される前記記録媒体の記録媒体ジャムを、前記転写位置よりも前記記録媒体の搬送方向上流側において検出する記録媒体ジャム検出部と、
連続して複数の前記録媒体を前記転写位置に搬送する前記搬送部による搬送動作と、当該連続して搬送されてくる各記録媒体に対する前記画像形成部による連続した画像形成とでなる連続画像形成動作を制御する制御部とを備える画像形成装置において、
前記制御部は、前記連続画像形成動作の制御中に、前記記録媒体ジャム検出部によって前記記録媒体ジャムが検出された場合には、前記搬送部に各記録媒体の搬送を停止させ、この時点で前記感光体ドラムの表面上に既に形成されている前記トナー像を、前記転写位置に位置している前記記録媒体に、前記画像形成部により転写させるトナー除去動作を行わせ
前記転写位置に前記記録媒体が位置しているかどうかを、レジストセンサーにより記録媒体の後端部が検出されてから、前記記録媒体の後端部が転写位置まで搬送されるのに必要な時間として予め定められた時間が経過しているかどうかで決定し、
前記トナー除去動作終了後に表示部に記録媒体ジャムが発生した旨を表示させる画像形成装置
【請求項2】
前記転写位置に位置している前記記録媒体があるか否かを検出する記録媒体検出部を更に備え、
前記制御部は、前記連続画像形成動作の制御中に、前記記録媒体ジャム検出部によって前記記録媒体ジャムが検出された場合であって、前記記録媒体検出部により前記記録媒体が前記転写位置に位置していないと検出されたときには、前記搬送部及び前記画像形成部に前記トナー除去動作を行わせず、前記記録媒体検出部により前記記録媒体が前記転写位置に位置していると検出されたときに、前記搬送部及び前記画像形成部に前記トナー除去動作を行わせる請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記連続画像形成動作の制御中に、前記記録媒体ジャム検出部によって前記記録媒体ジャムが検出された場合に、この時点で既に前記感光体ドラム表面上に形成している前記トナー像が前記記録媒体に未転写であると判断したときは、前記搬送部及び前記画像形成部に前記トナー除去動作を行わせ、感光体ドラム表面上の前記トナー像を前記記録媒体に転写済みであると判断したときは、前記搬送部及び前記画像形成部に前記トナー除去動作を行わせない請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像形成部は、前記感光体ドラムと、当該感光体ドラムを回転駆動させる駆動部と、帯電部と、露光部と、現像部と、転写部とを少なくとも有し、
前記制御部は、前記トナー除去動作時の前記画像形成部の駆動においては、前記感光体ドラム表面上に既に形成された前記トナー像が、当該感光体ドラム周面の前記転写位置に向かう回転により当該転写位置を通過するまで、前記帯電部、前記露光部、及び前記現像部を停止させて、少なくとも前記駆動部及び前記転写部を駆動させる請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、特に、トナーに起因する装置内部の汚れを低減する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、記録紙が正常に搬送されずに用紙搬送路で記録紙ジャム(紙詰まり)が生じた場合には、用紙搬送及び画像形成動作を停止させる画像形成装置がある。このように画像形成動作が完了していない状態で、画像形成動作が中断すると、記録紙に転写する前のトナー像が感光体ドラム表面に残り、当該トナー像のトナーにより装置内部が汚れるおそれがある。このため、例えば、下記特許文献1に示されるように、既に記録紙上に転写されているトナーについては、当該トナーを記録紙に定着させた後に装置内部から排出させることで、記録紙上のトナーが装置内部で拡散することを防止する画像形成装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−241583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に示される画像形成装置は、記録紙に転写された後の未定着状態のトナーが、記録紙から離れて装置内部に残存する事態を低減するものであり、感光体ドラムの表面上に形成されているトナー像であって、未だ記録紙に転写されていないトナー像を要因とする装置内部の汚れを低減することはできない。このため、上記特許文献1に示される画像形成装置によっても、記録紙ジャム時におけるトナーに起因した装置内部の汚染への対策は十分ではない。
【0005】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、記録媒体のジャム検出時に、感光体ドラム表面上に残存するトナー像の除去を可能とし、当該残存トナー像に起因する装置内部の汚れを更に低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に記載の発明は、感光体ドラムの表面にトナー像を形成し、当該トナー像を記録媒体に転写させる画像形成を行う画像形成部と、
前記画像形成部による前記トナー像の転写位置に、前記記録媒体を搬送する搬送部と、
前記搬送部によって搬送される前記記録媒体の記録媒体ジャムを、前記転写位置よりも前記記録媒体の搬送方向上流側において検出する記録媒体ジャム検出部と、
連続して複数の前記録媒体を前記転写位置に搬送する前記搬送部による搬送動作と、当該連続して搬送されてくる各記録媒体に対する前記画像形成部による連続した画像形成とでなる連続画像形成動作を制御する制御部とを備える画像形成装置において、
前記制御部は、前記連続画像形成動作の制御中に、前記記録媒体ジャム検出部によって前記記録媒体ジャムが検出された場合には、前記搬送部に各記録媒体の搬送を停止させ、この時点で前記感光体ドラムの表面上に既に形成されている前記トナー像を、前記転写位置に位置している前記記録媒体に、前記画像形成部により転写させるトナー除去動作を行わせ
前記転写位置に前記記録媒体が位置しているかどうかを、レジストセンサーにより記録媒体の後端部が検出されてから、前記記録媒体の後端部が転写位置まで搬送されるのに必要な時間として予め定められた時間が経過しているかどうかで決定し、
前記トナー除去動作終了後に表示部に記録媒体ジャムが発生した旨を表示させる画像形成装置である。
【0007】
この発明では、制御部は、連続画像形成動作時に記録媒体のジャムが発生した場合には、各記録媒体の搬送を停止させた状態として、感光体ドラム表面上に既に形成されたトナー像を、画像形成部によるトナー像の転写位置に位置している記録媒体に転写するトナー除去動作を行わせるので、記録媒体のジャム発生時に感光体ドラム表面上に既に形成されていたトナー像は記録媒体に転写され、感光体ドラム表面上から除去される。
【0008】
このため、上記トナー除去動作の完了後に、操作者が、用紙ジャム処理として、上記トナー像の転写された記録媒体を装置内部から取り除く作業を行えば、用紙ジャムに起因した画像形成動作の中断により、感光体ドラム表面上において記録媒体に未転写のまま残存したトナー像を、特別な機構の追加を必要とせずに取り除くことができる。これにより、記録媒体のジャム検出時には、感光体ドラムの表面上に形成済のトナー像であって、記録媒体に対して未転写のトナー像の除去を可能である。また、操作者による当該トナー像が転写された記録媒体の除去により、上記転写により記録媒体に回収されたトナーは装置内部に残存しないため、残存トナーに起因する装置内部の汚れを従来よりも更に低減することができる。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置であって、前記転写位置に位置している前記記録媒体があるか否かを検出する記録媒体検出部を更に備え、
前記制御部は、前記連続画像形成動作の制御中に、前記記録媒体ジャム検出部によって前記記録媒体ジャムが検出された場合であって、前記記録媒体検出部により前記記録媒体が前記転写位置に位置していないと検出されたときには、前記搬送部及び前記画像形成部に前記トナー除去動作を行わせず、前記記録媒体検出部により前記記録媒体が前記転写位置に位置していると検出されたときに、前記搬送部及び前記画像形成部に前記トナー除去動作を行わせるものである。
【0010】
この発明によれば、連続画像形成動作の制御中に、記録媒体のジャムが検出された場合であって、記録媒体が画像形成部によるトナー像の転写位置に位置していないときはトナー除去動作が行われないので、感光体ドラムの表面上に残存するトナー像を、確実に記録媒体に転写させて除去することが可能である。
【0011】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置であって、前記制御部は、前記連続画像形成動作の制御中に、前記記録媒体ジャム検出部によって前記記録媒体ジャムが検出された場合に、この時点で既に前記感光体ドラム表面上に形成している前記トナー像が前記記録媒体に未転写であると判断したときは、前記搬送部及び前記画像形成部に前記トナー除去動作を行わせ、感光体ドラム表面上の前記トナー像を前記記録媒体に転写済みであると判断したときは、前記搬送部及び前記画像形成部に前記トナー除去動作を行わせないものである。
【0012】
この発明によれば、連続画像形成動作の制御中に、記録媒体のジャムが検出された場合であって、この時点で感光体ドラム表面上に既に形成されているトナー像が記録媒体に対して未転写の場合、すなわち、感光体ドラム表面上に残存するトナー像がある場合に上記トナー除去動作が行われ、感光体ドラム表面上のトナー像を既に記録媒体に転写済の場合は、上記トナー除去動作は行われないので、感光体ドラム表面上の残存トナー像を除去する必要がある場合にのみ、上記トナー除去動作を行わせることができる。
【0013】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の画像形成装置であって、前記画像形成部は、前記感光体ドラムと、当該感光体ドラムを回転駆動させる駆動部と、帯電部と、露光部と、現像部と、転写部とを少なくとも有し、
前記制御部は、前記トナー除去動作時の前記画像形成部の駆動においては、前記感光体ドラム表面上に既に形成された前記トナー像が、当該感光体ドラム周面の前記転写位置に向かう回転により当該転写位置を通過するまで、前記帯電部、前記露光部、及び前記現像部を停止させて、少なくとも前記駆動部及び前記転写部を駆動させるものである。
【0014】
この発明によれば、制御部は、上記トナー除去動作時に、感光体ドラム表面上のトナー像を記録媒体に転写させるために必要な駆動部及び転写部の駆動を、感光体ドラム表面上のトナー像が上記転写位置を通過するまでの間行わせ、この間において、記録媒体へのトナー像転写に貢献しない帯電部、露光部、及び現像部は駆動停止させることで、トナー除去動作を、当該トナー除去に貢献しない無駄な動作を排除した上で行うことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、記録媒体のジャム検出時に、感光体ドラム表面上に残存するトナー像の除去を可能とし、当該トナー像に起因する装置内部の汚れを更に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の機構的な概略構成を示す側面図である。
図2】画像形成装置の電気的な概略構成を示すブロック図である。
図3】画像形成装置において、画像形成中に用紙ジャムが検出された場合の処理の第1実施形態を示すフローチャートである。
図4】画像形成装置において、画像形成中に用紙ジャムが検出された場合の処理の第2実施形態を示すフローチャートである。
図5】画像形成装置において、画像形成中に用紙ジャムが検出された場合の処理の第3実施形態を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態に係る画像形成装置1について図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施形態に係る画像形成装置1の機構的な概略構成を示す側面図である。
【0018】
画像形成装置1は、画像形成部2と、用紙搬送機構3と、給紙機構4と、定着部5と、用紙排出トレイ6とを備えている。本実施形態では、画像形成装置1がプリンターである場合を例にして説明する。
【0019】
画像形成部2は、用紙搬送機構3により給紙機構4から搬送されてくる記録紙P(記録媒体の一例)にトナー像を形成する画像形成動作を行う。画像形成部2は、感光体ドラム21と、帯電部22と、露光部23と、現像部24と、転写ローラー25とを備えている。
【0020】
感光体ドラム(像担持体)21は、その表面に感光層が設けられ、帯電部22による帯電でその表面電位が予め定められた値とされる。
【0021】
帯電部22は、感光体ドラム21の表面に対向する位置に設けられている。帯電部22は、図1に示す矢印の方向へ回転する感光体ドラム21の周面を予め定められた帯電能力でほぼ一様に帯電させる。
【0022】
露光部23は、感光体ドラム21の表面に対向する位置であって、感光体ドラム21周面の上記回転方向において帯電部22よりも下流側に設けられている。露光部23は、当該画像形成装置1にネットワーク接続されたコンピューター(不図示)等から入力された画像データ等に対応した図1において矢印で図示したレーザ光を、帯電後の感光体ドラム21の周面に照射し、各感光体ドラム21の周面に、当該画像データに対応する静電潜像を感光体ドラム21の周面に形成する。露光部23は、レーザ露光部であり、レーザビームを出力するレーザ光源(不図示)と、当該レーザビームを感光体ドラム21表面に向けて反射させるポリゴンミラーと、ポリゴンミラー(不図示)によって反射されたレーザ光を感光体ドラム21に導くためのレンズ(不図示)やミラー(不図示)等の光学部品を備えている。なお、露光部23は、LED(Light Emitting Diode)により感光体ドラム21表面を照射する方式のもの等、他の方式からなるものであってもよい。
【0023】
現像部24は、感光体ドラム21表面に露光部23によって形成された静電潜像にトナー(不図示)を供給する。現像部24による当該トナー供給により、感光体ドラム21の表面上の露光部23によって露光された部分に上記静電潜像にトナーを付着させ、当該静電潜像に応じたトナー像を形成する。現像部24に対しては、図略のトナーコンテナーからトナーが供給される。
【0024】
転写ローラー(転写部)25は、感光体ドラム21に対向する位置であって、感光体ドラム21の回転方向において現像部24よりも下流側に設けられている。転写ローラー25には、図略の転写バイアス印加機構により、トナーの極性とは異なる極性の転写バイアスが印加され、転写ローラー25は、感光体ドラム21の表面に形成された上記トナー像を、感光体ドラム21表面と当該転写ローラー25表面の間に搬送されてくる記録紙Pに転写させる。
【0025】
定着部5は、画像形成部2による記録紙Pへのトナー像転写位置よりも記録紙Pの搬送方向の下流側に配置されており、画像形成部2を通過した記録紙Pに転写されたトナー像を熱ローラー51及び圧ローラー52により熱圧着して当該記録紙Pに定着させる。なお、熱ローラー51及び圧ローラー52は、後述するメイン駆動モーター9(図2参照)から供給される回転駆動力により回転駆動される。
【0026】
用紙搬送機構(搬送部)3は、用紙搬送路31と、搬送ローラー32対と、レジストローラー対33と、スイッチバックローラー対341,342とを備えている。なお、搬送ローラー対32、レジストローラー対33、及びスイッチバックローラー対341,342は、上記メイン駆動モーター9から供給される回転駆動力により回転駆動される。
【0027】
用紙搬送路31は、給紙機構4から、画像形成部2及び定着部5を経て、用紙排出トレイ6まで記録紙Pが搬送させる搬送路である。用紙搬送路31の各所には、搬送ローラー対32が設けられており、当該搬送ローラー対32をなすローラー対の回転により、当該ローラー対によるニップにより、記録紙Pが用紙搬送路31内において、給紙機構4から、画像形成部2、定着部5、用紙排出トレイ6へ搬送される。
【0028】
また、用紙搬送路31は、主搬送路311と、反転搬送路312とを有している。主搬送路311は、給紙機構4から、画像形成部2、定着部5、用紙排出トレイ6までを繋ぐ搬送路である。反転搬送路312は、画像形成部2において記録紙Pの片面に画像形成を終えた記録紙Pを、両面印刷のために画像形成部2に再度搬送するための搬送路である。反転搬送路312は、主搬送路311において定着部5よりも記録紙Pの搬送方向下流側において当該主搬送路311から分岐し、記録紙Pの用紙搬送方向において給紙機構4よりも下流側であって、画像形成部2よりも上流側となる位置において、主搬送路311に合流する。
【0029】
スイッチバックローラー対341,342は、主搬送路311において、定着部5よりも記録紙Pの搬送方向下流側から用紙排出トレイ6までの間に配設されている。スイッチバックローラー対341,342は、後述する制御部10(図2)による制御の下、定着部5及び用紙排出トレイ6間において記録紙Pを搬送する。スイッチバックローラー対341,342は、画像形成部2及び定着部5を通過した記録紙Pを用紙排出トレイ6に排出する場合、記録紙Pの後端が記録紙Pの搬送方向下流側のスイッチバックローラー342を離れるまで、スイッチバックローラー対341,342により記録紙Pを用紙排出トレイ6に向けて搬送する。
【0030】
一方、スイッチバックローラー対341,342は、画像形成部2及び定着部5を通過した記録紙Pを、両面印刷のために画像形成部2に再度搬送する場合には、定着部5を通過した記録紙Pを、スイッチバックローラー対341,342により用紙排出トレイ6に向けてまず搬送する。そして、搬送方向における記録紙Pの後端が、記録紙Pの搬送方向上流側のスイッチバックローラー341を離れ、かつ、記録紙Pが記録紙Pの搬送方向下流側のスイッチバックローラー対342に狭持されているときに、スイッチバックローラー対341,342は、制御部10による制御で逆回転する。このとき、主搬送路311及び反転搬送路312の分岐点に設けられている図略の搬送路切換機構により記録紙Pを反転搬送路312に案内させる。このようにしてスイッチバックローラー対341,342により主搬送路311を逆送される記録紙Pは、反転搬送路312に案内されて画像形成部2よりも記録紙Pの搬送方向上流側となる主搬送路311の部分まで搬送され、ここから再び画像形成部2まで搬送される。この再搬送時には、当該スイッチバックローラー対341,342による反転動作と、反転搬送路312における記録紙Pの搬送動作とにより、当該記録紙Pは先に画像形成を行った面とは反対側の面が感光体ドラム21に対向するため、既に画像形成済の面とは異なる他方面に画像形成部2により画像形成が行われる。
【0031】
レジストローラー対33は、主搬送路311における画像形成部2の記録紙Pの搬送方向上流側に設けられ、主搬送路311において搬送される記録紙Pを、感光体ドラム21と転写ローラー25とが対向する位置(すなわち、画像形成部2によるトナー像の転写位置)に搬送するタイミングを調整する。
【0032】
また、用紙搬送路31の各所には、用紙検出センサー71,72,73,74が設けられている。用紙検出センサー71,72,73,74は、例えば、用紙搬送路31を挟んで互いに対向する位置に設けられた発光部及び受光部を有する光センサーからなり、受光部が発光部からの光を受光しているときは当該用紙検出センサーの配設位置には記録紙Pが存在しないことを示す用紙無信号を制御部10に出力し、発光部及び受光部の間に記録紙Pが介在して受光部が発光部からの光を受光していないときは、当該用紙検出センサーの配設位置に記録紙Pが存在することを示す用紙有信号を制御部10に出力する。
【0033】
また、制御部10は、用紙検出センサーから受け取る検出信号が用紙無信号から用紙有信号に変化した時点を、記録紙Pの先端部が当該用紙検出センサーに到達した時点として検出し、用紙検出センサーから受け取る検出信号が用紙有信号から用紙無信号に変化した時点を、記録紙Pの後端部が当該用紙検出センサーを通過した時点として検出する。
【0034】
各用紙検出センサーの配置は、例えば、用紙検出センサー71は、主搬送路311において画像形成部2及びレジストローラー対33よりも記録紙Pの搬送方向の上流側となる位置に設けられている。用紙検出センサー72は、主搬送路311において定着部5よりも記録紙Pの搬送方向の下流側となる位置に設けられている。用紙検出センサー73は、主搬送路311の後端部、すなわち、用紙排出トレイ6との接続部分に設けられている。用紙検出センサー74は、反転搬送路312に設けられている。
【0035】
制御部10は、各用紙検出センサー71,72,73,74から取得する上記用紙有信号及び用紙無信号に基づいて、用紙搬送路31における用紙(記録紙P)ジャム(記録紙ジャム)を検出する。当該用紙ジャム検出の詳細は後述する。
【0036】
また、レジストセンサー75は、主搬送路311においてレジストローラー対33よりも記録紙Pの搬送方向上流側であり用紙検出センサー71よりも記録紙Pの搬送方向下流側に設けられている。レジストセンサー75の構成は用紙検出センサー71と同様である。
【0037】
制御部10は、用紙検出センサー71により記録紙Pの先端部の到達が検出されたタイミングを用いて、当該タイミングから予め定められた一定時間(レジストローラー対33による用紙搬送速度と、レジストセンサー75及び上記トナー像転写位置間の距離とに基づいて定められる)経過後に、上記画像形成部2によるトナー像の転写位置に当該記録紙Pが搬送されるように、記録紙Pが画像形成部2の当該転写位置に到着するタイミングを調整する。すなわち、画像形成部2による当該記録紙Pへのトナー像の転写タイミングと、当該記録紙Pが当該転写位置に到着するタイミングが合うように調整される。
【0038】
また、制御部10は、用紙検出センサー73により記録紙Pの後端部の通過が検出されたタイミングをもって、上述したスイッチバックローラー対342から記録紙Pの後端が離れたことの検出を行う。
【0039】
給紙機構4は、用紙搬送路31に記録紙Pを給送する機構であり、給紙カセット40と、給紙ローラー41とを備える。給紙カセット40は、複数枚の記録紙Pを積層された状態で重ねて収容する。給紙ローラー41は、給紙カセット40に収容されている記録紙Pのうち最上部の記録紙Pの面に接触し、当該給紙ローラー41の回転により当該最上部から記録紙Pを1枚ずつピックアップして用紙搬送路31に給送する。
【0040】
図2は画像形成装置1の電気的な概略構成を示すブロック図である。なお、図2には、本発明に関する構成について示している。
【0041】
最初に、画像形成装置1の電気的な概略構成を説明する。
【0042】
画像形成装置1は、当該画像形成装置1の全体的な動作制御を司る制御部10を備えている。制御部10は、主に、画像形成部2、ドラムモーター8、メイン駆動モーター9、及び定着ヒーター12を駆動する。
【0043】
メイン駆動モーター9は、上述したように、搬送ローラー32と、スイッチバックローラー対341,342と、給紙ローラー41と、レジストローラー対33とに回転駆動力を供給する駆動源である。さらに、メイン駆動モーター9は、定着部5の熱ローラー51及び圧ローラー52からなる定着ローラー対に回転駆動力を供給する。
【0044】
ドラムモーター8は、感光体ドラム21の回転軸(不図示)に回転駆動力を供給する駆動源である。なお、図2においては、ドラムモーター8は、画像形成部2とは別個に記載されているが、本実施形態では、ドラムモーター8は画像形成部2の一部をなすものとして説明する。
【0045】
また、制御部10は、用紙検出センサー71,72,73,74を駆動制御し、当該用紙検出センサー71,72,73,74から上述した用紙有信号及び用紙無信号を取得する。制御部10は、用紙検出センサー71,72,73,74から取得した用紙有信号及び用紙無信号に基づいて、上述した各用紙検出センサーの配設位置における用紙有無判定を行う。
【0046】
制御部10は、記録紙Pに対して画像形成を行う際における記録紙搬送、画像形成、定着動作、及び用紙ジャム検出、さらには、後述するトナー除去動作を制御する。
【0047】
続いて、画像形成装置1における画像形成時における動作制御を説明する。
【0048】
画像形成動作時には、制御部10は、給紙カセット40に収容されている記録紙Pを給紙ローラー41により1枚ずつピックアップして主搬送路311に給送させ、主搬送路311の各所に設けられている搬送ローラー32により、当該記録紙Pを、画像形成部2に向けて搬送させる。複数枚の記録紙Pに連続して画像形成を行う連続印刷の場合は、制御部10は、給紙ローラー41及び搬送ローラー32により、画像形成部2に向けて、複数枚の記録紙Pを連続して搬送させる。
【0049】
制御部10は、給紙ローラー41により主搬送路311に記録紙Pを搬送開始したタイミングを用いて、当該タイミングから予め定められた時間(給紙ローラー41、搬送ローラー対32、及びレジストローラー対33による用紙搬送速度と、給紙機構4及び上記トナー像転写位置間の距離とに基づいて定められる)経過後に、当該記録紙Pに対して感光体ドラム21表面上のトナー像が転写されるように、当該記録紙Pに転写させるためのトナー像の形成を画像形成部2に開始させる。このとき、制御部10は、ドラムモーター8を含む画像形成部2を駆動させ、画像形成部2の上述した各部により帯電、露光、現像、及び転写の一連の行程を開始させる。
【0050】
また、制御部10は、レジストローラー対33の配設位置近傍に設けられたレジストセンサー75が出力する用紙検出信号を用いて、当該記録紙Pの先端部が画像形成部2のトナー像転写位置に到達するタイミングを、レジストローラー対33により調整することで、当該記録紙Pの先端部が上記予め定められた一定時間経過後のタイミングで画像形成部2のトナー像転写位置に到達するように調整する。
【0051】
制御部10は、レジストローラー対33により記録紙Pが画像形成部2のトナー像転写位置、すなわち、感光体ドラム21及び転写ローラー25の間に搬送されてきた記録紙Pに対して、感光体ドラム21表面上のトナー像を転写ローラー25により転写させる。感光体ドラム21及び転写ローラー25の間に連続して搬送されてきた各記録紙Pに対しては、感光体ドラム21上のトナー像が順次転写される。
【0052】
制御部10は、画像形成部2での画像形成が終了した記録紙Pを、定着部5を通過させた後、スイッチバックローラー対341,342により用紙排出トレイ6に排出させる。また、両面印刷を行う場合は、スイッチバックローラー対341,342により上述した反転動作を行って、当該記録紙Pを反転搬送路312から画像形成部2のトナー像転写位置に再度搬送して、画像形成部2に記録紙Pの他方面に画像形成を行わせた上で、搬送ローラー32等により当該記録紙Pを用紙排出トレイ6に排出させる。
【0053】
なお、複数枚の記録紙Pに連続して画像形成部2により画像形成を行う連続印刷の場合、先行する記録紙Pに対して画像形成部2がトナー像を転写している状態であっても、制御部10は、当該記録紙Pに転写させるトナー像の形成を終えている場合には、当該転写位置よりも、感光体ドラム21の回転方向下流側となる感光体ドラム21表面に、この時点でトナー像が転写されている記録紙Pの次に、当該画像形成部2による転写位置に搬送されてくる記録紙Pに転写するトナー像を形成させる。
【0054】
また、当該画像形成時における記録紙Pの搬送中には、制御部10は、用紙検出センサー71,72,73,74からの用紙有信号及び用紙無信号を用いて、各記録紙Pが、上記画像形成部2によるトナー像転写に適したタイミングで、用紙搬送路31における当該各用紙検出センサーの配設位置に到達しているかを判断し、適切なタイミングで記録紙Pが各配設位置に到達していないと判断した場合は、用紙搬送路31において紙詰まり、すなわち用紙ジャムが発生したものと判定する。例えば、制御部10は、給紙ローラー41に記録紙Pの給紙を開始させた時点から、予め定められた経過時間(給紙ローラー41及び搬送ローラー32による用紙搬送速度と、給紙機構4から用紙検出センサー71までの距離とに基づいて定められる)が経過しても、当該記録紙Pが用紙検出センサー71により検出されない場合、または、用紙検出センサー71からの用紙有信号及び用紙無信号に基づいて、制御部10が、記録紙Pの先端部を検出した後、所定時間(搬送ローラー32による記録紙Pの搬送速度と、記録紙Pの搬送方向における記録紙Pの長さとに基づいて定められる)経過しても当該記録紙Pの後端部を検出しない場合に、用紙ジャムが発生したと判定する。制御部10は、他の用紙検出センサー72,73,74についても同様にして用紙ジャムを検出する。制御部10は、用紙ジャムが発生したと判定したときは、この時点で、メイン駆動モーター9を停止させて、上記の各ローラーまたはローラー対による用紙搬送路31に係る動作を停止させる。なお、用紙検出センサー71及び制御部10が特許請求の範囲における記録媒体ジャム検出部の一例となる。
【0055】
次に、画像形成装置1において連続印刷中に用紙ジャムが検出された場合のトナー除去処理の第1実施形態を説明する。図3は、画像形成装置1において、画像形成中に用紙ジャムが検出された場合の処理の第1実施形態を示すフローチャートである。
【0056】
本実施形態では、制御部10が、画像形成部2及び用紙搬送機構3に上記連続印刷を行わせていることを前提とする(S1)。当該連続印刷では、制御部10は、用紙搬送機構3により連続して搬送されてくる各記録紙Pに対する画像形成及び転写を順次画像形成部2に実施させる。制御部10は、用紙検出センサー71〜74から取得する用紙有信号及び用紙無信号に基づいて、上述した用紙ジャム検出処理を行っている。
【0057】
ここで、制御部10は、給紙機構4から主搬送路311に記録紙Pを給紙させた後、用紙検出センサー71から、当該記録紙Pの先端を検出したことを示す用紙有信号の受信を待機する(S2でNO,S3でNO)。
【0058】
制御部10は、内蔵するタイマ機能(不図示)等による計時に基づいて、当該給紙時から予め定められた時間の経過時までに、用紙検出センサー71から上記記録紙Pについて用紙有信号を取得した場合は(S2でYES)、レジストローラー対33により上記のタイミング調整を行った後に、レジストローラー対33により記録紙Pを画像形成部2のトナー像転写位置に搬送させ、当該用紙有信号を用紙検出センサー71から取得したタイミングに基づいて定めた転写タイミングで、感光体ドラム21表面上に形成されているトナー像を転写ローラー25により当該記録紙Pに転写させる(S8)。なお、ここでの予め定められた時間とは、当該記録紙Pへの画像形成部2によるトナー像転写位置におけるトナー像転写タイミングで、当該記録紙Pがこの転写位置に到達するために求められる、給紙機構4から用紙検出センサー71までの記録紙Pの移動時間である。
【0059】
一方、制御部10は、当該予め定められた時間を経過しても、用紙検出センサー71から、当該記録紙Pについての用紙有信号を取得しない場合は(S2でNO,S3でYES)、すなわち、画像形成部2よりも記録紙Pの搬送方向の上流側において用紙ジャムが検出された場合には、メイン駆動モーター9を停止させて用紙搬送路31における全ての記録紙Pの搬送動作を停止させ、さらに、画像形成部2の帯電部22、露光部23、及び現像部24を停止させた状態として、ドラムモーター8を駆動し、転写ローラー25による転写プロセスを実行させるトナー除去動作を行わせる(S4)。
【0060】
これにより、制御部10は、上記用紙ジャムが検出された記録紙よりも先行して上記トナー像転写位置に搬送されている記録紙Pであって、この時点で画像形成部2によりトナー像を転写中の記録紙Pに、当該時点で既に感光体ドラム21の表面上に形成されているトナー像を転写させる。この制御により、この時点で感光体ドラム21の表面上に形成済みのトナー像は、当該記録紙Pへの転写用のトナー像、又は当該記録紙に続いて搬送されてくる後続の記録紙Pへの転写用のトナー像のいずれであっても、用紙ジャム検出時点でトナー像転写中の記録紙Pに転写される。
【0061】
制御部10は、感光体ドラム21の表面上に既に形成されているトナー像が、画像形成部2によるトナー像転写位置を通過するまで、上記トナー除去動作を行わせ(S5でNO,S5)、制御部10は、感光体ドラム21の表面上のトナー像が、画像形成部2のトナー像転写位置を通過したと判断すると(S5でYES)、画像形成部2のドラムモーター8及び転写ローラー25の転写プロセスを停止させる(S6)。なお、当該感光体ドラム21の表面上のトナー像が、画像形成部2のトナー像転写位置を通過したか否かの判断は、制御部10が、当該トナー像の形成を開始した時点(当該トナー像形成のための露光を開始した時点)から、予め定められた時間経過したことをもって、感光体ドラム21の表面上のトナー像が、画像形成部2のトナー像転写位置を通過したと判断する。この予め定められた時間は、当該トナー像形成のための露光開始時から、当該露光された感光体ドラム21表面部分が、感光体ドラム21の回転により上記トナー像転写位置に到達すると想定される時間である。当該露光タイミング、露光部23による露光ポイントから上記トナー像転写位置までの距離、及び感光体ドラム21の回転速度に基づいて、当該予め定められた時間が定まる。
【0062】
制御部10は、この後、例えば表示部473に、用紙ジャムが発生したことを示すメッセージを表示させる等の処理を行った後、画像形成装置1の全体的な動作を一時的に停止させて待機する。すなわち、上記用紙ジャムが検出された要因である記録紙が画像形成装置1の内部から取り除かれるまで、画像形成装置1を、その動作が一時的に停止される用紙ジャム解消待機状態に遷移させる制御を行う(S7)。なお、この後は、連続印刷が終了するまで、S1乃至S7の処理が繰り返される。
【0063】
この第1実施形態によれば、用紙ジャム発生時において感光体ドラム21の表面上に既に形成されていたトナー像は、用紙ジャム発生時点で画像形成部2のトナー像転写位置に到達している先行の記録紙Pに転写され、感光体ドラム21の表面上から除去される。
【0064】
このため、上記トナー除去の完了後に、操作者が、用紙ジャム処理として、上記トナー像の転写された記録紙Pを装置内部から取り除く作業を行えば、用紙ジャムに起因した画像形成動作の中断により感光体ドラム21表面上に残存した未転写のトナー像を、特別な機構の追加を必要とせずに取り除くことができる。
【0065】
このように、第1実施形態によれば、操作者による残存トナー像が転写された記録紙Pの排除により、残存トナーが装置内部に残存することがないため、残存トナーに起因した装置内部の汚れを従来よりも低減することができる。
【0066】
また、制御部10は、上記トナー除去動作時には、感光体ドラム21表面上のトナー像を記録紙Pに転写させるために必要なドラムモーター8の回転及び転写ローラー25の転写プロセスを、感光体ドラム21表面上の残存トナー像が上記トナー像転写位置を通過するまでの間行わせ、この間において、記録紙Pへの残存トナー像転写に貢献しない帯電部、露光部、及び現像部は駆動停止させることで、トナー除去動作を、当該トナー除去に貢献しない無駄な動作を排除した上で行うことができる。
【0067】
次に、画像形成装置1において連続印刷中に用紙ジャムが検出された場合のトナー除去処理の第2実施形態を説明する。図4は、画像形成装置1において、画像形成中に用紙ジャムが検出された場合の処理の第2実施形態を示すフローチャートである。なお、図3に示した第1実施形態と同様の処理は説明を省略する。
【0068】
第2実施形態では、制御部10は、上記予め定められた時間を経過しても、用紙検出センサー71から上記用紙有信号を取得しない場合には(S12でNO,S13でYES)、すなわち、画像形成部2よりも記録紙搬送方向において上流側において用紙ジャムが検出された場合には、この時点において、記録紙が画像形成部2によるトナー像の転写位置に存在しているか否かを判断する(S14)。
【0069】
例えば、制御部10は、レジストセンサー75により記録紙Pの後端部が検出されてから、当該記録紙Pの後端部が画像形成部2によるトナー像転写位置まで搬送されるのに必要な時間として予め定められた時間(レジストローラー33による用紙搬送速度と、レジストローラー33及び上記トナー像転写位置間の距離とに基づいて定められる)が経過していないことをもって、当該記録紙が画像形成部2によるトナー像の転写位置に存在していると判断する。この場合、制御部10及びレジストセンサー75が、特許請求の範囲における記録媒体検出部の一例となる。
【0070】
ここで、制御部10が、画像形成部2によるトナー像の転写位置に記録紙Pが存在していないと判断した場合は(S14でNO)、制御部10は、ドラムモーター及び転写プロセスを停止させて(S17)、画像形成装置1を上記用紙ジャム解消待機状態に遷移させる(S18)。
【0071】
一方、制御部10が、上記先行する記録紙Pが画像形成部2によるトナー像の転写位置に存在していると判断した場合(S14でYES)、すなわち、用紙ジャムを生じた記録紙Pに先行する記録紙Pが画像形成部2のトナー像転写位置に位置していると判断した場合に、制御部10は、上記トナー除去動作を実行させる(S15)。
【0072】
この第2実施形態では、連続画像形成動作の制御中に、記録紙Pの用紙ジャムが検出された場合には、先行する記録紙Pが画像形成部2によるトナー像の転写位置に位置しているとき、すなわち、上記トナー除去動作を行うことで感光体ドラム21表面の残存トナーを記録紙Pに転写可能な状態である場合にのみ、当該トナー除去動作が行われるので、感光体ドラム21表面上の残存トナーを確実に記録紙Pに転写させることが可能である。
【0073】
次に、画像形成装置1において連続印刷中に用紙ジャムが検出された場合のトナー除去処理の第3実施形態を説明する。図5は、画像形成装置1において、画像形成中に用紙ジャムが検出された場合の処理の第3実施形態を示すフローチャートである。なお、図3に示した第1実施形態、又は図4に示した第2実施形態と同様の処理は説明を省略する。
【0074】
第3実施形態では、制御部10は、上記予め定められた時間を経過しても、用紙検出センサー71から、上記記録紙Pを検出したことを示す用紙有信号を取得しない場合(S22でNO,S23でYES)、感光体ドラム21の表面上に残存トナー像があるか否かを判断する(S24)。ここで、制御部10は、感光体ドラム21の表面に残存トナー像があると判断した場合に(S24でYES)、記録紙Pが画像形成部2によるトナー像の転写位置に存在していることを条件として(S25でYES)、上記トナー除去動作を行わせる(S26)。
【0075】
すなわち、制御部10は、連続画像形成動作の制御中に、用紙ジャムが検出された場合に、この時点で既に感光体ドラム21表面上に形成しているトナー像が記録紙Pに未転写であると判断したときに、用紙搬送機構3及び画像形成部2にトナー除去動作を行わせる。
【0076】
一方、用紙ジャムの検出時に、制御部10が、感光体ドラム21の表面上にトナー像を未形成、又は形成したトナー像が記録紙Pに転写済みであると判断した場合には(S24でNO)、ドラムモーター及び転写プロセスを停止させて(S28、以降は、用紙ジャム解消待機状態とする制御に遷移する(S29)
【0077】
この場合、制御部10は、感光体ドラム21の表面に残存トナー像があるか否かの判断を、用紙検出センサー71により記録紙Pの用紙ジャムが検出された時点で、当該記録紙Pに転写させるトナー像の形成を画像形成部2に開始させている場合に、感光体ドラム21の表面上に残存トナー像があると判断する。また、制御部10は、当該用紙ジャムが検出された記録紙Pに転写するトナー像の形成を画像形成部2に開始させていない場合であっても、先行する記録紙Pに転写するトナー像の形成を開始させた時点から、当該トナー像の形成された周面部分が上記トナー像転写位置に到達していないと判断した場合は、感光体ドラム21の表面上に残存トナー像があると判断する。
【0078】
他方、制御部10は、用紙検出センサー71により記録紙Pの用紙ジャムが検出された時点で、当該用紙ジャムが検出された記録紙Pに転写させるトナー像を画像形成部2に開始させておらず、先行する記録紙Pに転写させるトナー像の形成された周面部分が上記トナー像転写位置を通過していると判断した場合は、感光体ドラム21の表面上に残存トナー像がない、すなわち、感光体ドラム21の表面上のトナー像は既に記録紙Pに転写済みと判断する。
【0079】
この第3実施形態によれば、連続画像形成動作の制御中に、記録紙Pの用紙ジャムが検出された場合であって、この時点で感光体ドラム21表面上に既に形成されているトナー像が記録紙Pに対して未転写の場合、すなわち、感光体ドラム21表面上に残存するトナー像がある場合に上記トナー除去動作が行われ、感光体ドラム21表面上のトナー像を既に記録紙Pに転写済の場合は、上記トナー除去動作は行われないので、感光体ドラム21表面上の残存トナー像を除去する必要がある場合にのみ、上記トナー除去動作を行わせることができる。
【0080】
なお、上記第3実施形態では、S25において、制御部10は、画像形成部2によるトナー像の転写位置に、記録紙Pが存在しているか否かの判断を行い、記録紙Pが存在している場合にのみ、トナー除去動作を行わせるようにしているが、当該S25の処理は行わないことも可能である。
【0081】
なお、本発明は上記実施の形態の構成に限られず種々の変形が可能である。例えば、上記各実施形態では、本発明に係る画像形成装置として、プリンターを用いて説明しているが、これは一例に過ぎず、本発明に係る画像形成装置は、プリンター以外のコピー機、ファクシミリ装置、或いは、コピー機能、ファクシミリ機能、スキャナー機能、及びプリンター機能等の複数機能を備えた複合機等の他の画像形成装置でもよい。
【0082】
また、図1乃至図5を用いて上記各実施形態により示した構成及び処理は、本発明の一実施形態に過ぎず、本発明を当該構成及び処理に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0083】
1 画像形成装置
2 画像形成部
21 感光体ドラム
22 帯電部
23 露光部
24 現像部
25 転写ローラー
3 用紙搬送機構
31 用紙搬送路
311 主搬送路
312 反転搬送路
32 搬送ローラー対
33 レジストローラー対
341,342 スイッチバックローラー対
4 給紙機構
40 給紙カセット
41 給紙ローラー
5 定着部
8 ドラムモーター
9 メイン駆動モーター
10 制御部
71,72,73,74 用紙検出センサー
75 レジストセンサー
図1
図2
図3
図4
図5